説明

極小の測定体積の測定に適した測定デバイス、及び測定方法

作業物質を用いて、測定開口(22a)を介し、測定チャンバ(24)に入り、該測定チャンバ(24)から出る測定媒体(26)を吸引及び分配するための測定デバイスであって、少なくとも部分的に圧縮性作業物質で充填された作業チャンバ(12)と、作業チャンバ内の作業物質の圧力を変更するように設計された圧力変更装置(14,16)と、測定開口(22a)を備えた測定チャンバ(24)と、を備え、作業チャンバ(12)と測定チャンバ(24)とが、バルブ(28)によって接続され、該バルブが、圧力伝達、特に、作業物質が、バルブ(28)を経由して作業チャンバ(12)から測定チャンバ(24)に流れることが妨げられる遮断位置と、バルブ(28)を経由して作業チャンバ(12)から測定チャンバ(24)内への圧力伝達が許容される通過位置と、の間で切り替えられることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定開口から測定チャンバ内に入り、前記チャンバから出る作業媒体を用いて、測定媒体を吸引及び分配するための測定デバイスに関するものであり、少なくとも部分的に圧縮性作業媒体で充填された作業チャンバと、作業チャンバ内における作業媒体の圧力を変更するように設計された圧力変更装置と、測定開口を備えた測定チャンバと、を備える。
【背景技術】
【0002】
さらに、本発明は、測定開口から測定チャンバ内に入り、後者から出る作業媒体を用いて、測定媒体を吸引及び分配するための測定方法に関するものであり、以下の方法のステップ、測定チャンバの外側の周囲圧力に対して測定チャンバ内の作業媒体の圧力に影響を与えるステップを含む。
【0003】
このような測定デバイス及び測定方法が、従来技術において一般的に知られている。いわゆるピペット操作装置が、周知の測定デバイスの一般的なカテゴリーを形成する。
【0004】
このような測定デバイス及び測定方法を用いて、測定されることになる測定媒体が、作業チャンバ内での減圧を経て、それ自体が周知の方法で吸引され、測定開口から測定チャンバ内に入り、次に、任意に維持され、作業チャンバ内の圧力上昇により、測定開口を介して測定チャンバから分配される。
【0005】
測定開口と測定媒体を囲む雰囲気の圧力に対して、作業チャンバ内の作業媒体の圧力変化が生じる。
【0006】
単純な測定デバイスにおいては、作業チャンバと測定チャンバとが、同一であるか、または少なくとも断面的に一致する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
周知の測定デバイスの欠点は、最大の可能な測定体積との関連で、極小の測定体積の測定媒体を吸引及び/または分配することに関連する困難性にある。
【0008】
この欠点は、基本的には、通常作業媒体として使用される空気の材料特性と組み合わせた周知の測定デバイスの構造に起因するものであり、:一般に、作業チャンバ内での作業媒体の圧力が、少なくとも部分的に作業チャンバを画定するピストン−シリンダー装置におけるピストンの動作によって変更される。最大の可能な測定体積との関連で、小さなまたは極小の測定体積が、最大の可能なピストンストロークとの関連で、極小のピストン動作を必要とし、これは、作業媒体としての一般的なガスまたは空気のスプリング−ダンパー動作及び所望の小さな測定体積が極めて不正確にのみ測定されることを意味する一般に液体測定媒体のイナーシャのためであり、これがまさに、小さな及び極小の測定体積を吸引及び/または分配するための試みが、かなりの測定エラーさらには測定の完全な失敗を引き起こす原因である。
【0009】
従って、本発明の目的は、最大の可能な測定体積との関連で、小さな及び極小の測定体積を、従来技術における場合よりもさらに正確に測定することが可能な手段を用いた技術的な教示を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、ジェネリックな測定デバイスによる本発明の第一態様に従って達成され、作業チャンバと測定チャンバとが、バルブによって結合され、このバルブは、バルブを経由した作業チャンバから測定チャンバへの圧力伝達が妨げられる遮断位置と、バルブを経由した作業チャンバから測定チャンバへの圧力伝達が許容される通過位置と、の間で切り替えられることが可能である。本発明による解決策を用いて、次に、作業チャンバ内の作業媒体の所定の圧力が生じさせられ、及び/または、バルブが遮断位置にある場合、前記作業チャンバ内の圧力変更装置によって維持されることが可能である。これに関連して、これによって実際に生成される作業媒体の圧力レベルが、所定の測定体積を吸引及び/または分配するために必要とされる、構成のタイプによって左右される、圧力レベルを超えることが可能であることは有利であり、言い換えると、所定の測定体積を吸引するために必要であるよりもいっそう低減された圧力、または、所定の測定体積を分配するために必要であるよりも大きな過剰の圧力が、作業チャンバ内に広がることが可能である。
【0011】
バルブの開放及び関連する圧力伝達の結果として、作業チャンバ内に広がる圧力が、測定チャンバに作用することが可能となり、これによって、所望の測定処理が実行されることが可能である。
【0012】
遮断位置と通過位置との間におけるバルブの調節能が、測定チャンバへの作業チャンバの圧力の作用が、小さな及び極小の測定体積の所望の吸引及び/または分配のために十分である方法で機能することが可能である。
【0013】
とりわけ、本発明により想定される調節可能なバルブにより、作業チャンバから測定チャンバ内への圧力サージの生成が可能となり、言い換えると、測定チャンバ内の圧力への、作業チャンバ内の圧力の時間−制限された作用が可能となる。これらが、低減された圧力サージまたは過剰の圧力サージであることが可能である。
【0014】
圧力サージの継続時間に応じ、様々な大きな測定体積が、吸引され及び/または分配されることが可能であるが、作業チャンバ内において圧力サージの間に広がる作業媒体の圧力レベルが、測定チャンバ内の、従って、測定媒体への制限のない時間の間作用した場合よりもいまだ常に十分に小さい。
【0015】
測定デバイスの測定状態に応じ、測定チャンバが、一般的に、圧縮性作業媒体で、同様に、部分的に充填される。これが、作業チャンバ内と同じ作業媒体であることが可能であり、一般的に、作業チャンバ内と同じ作業媒体である。しかしながら、測定チャンバが、作業チャンバのものと異なる作業媒体を含むことができることが除外されるべきではない。
【0016】
本発明が、“圧縮性作業媒体”について言及する場合はいつでも、これが、作業媒体の体積の単純ではないごくわずかな変化が、後者の圧力変化を引き起こすことを意味する。作業媒体は一般的にガスであり、可能な場合は、コストの理由のために、空気である。本発明との関連において、水または油は、非圧縮性であるとみなされる。
【0017】
作業チャンバと測定チャンバとの間の圧力伝達が、一般的に、バルブを介した作業媒体の流れによって最も容易に達成される。しかしながら、技術的に理にかなったケースにおいては、膜等によって、作業チャンバが、測定チャンバから分離されることも可能であり、バルブが、圧力伝達に対するその位置に応じた膜の移動を可能にするまたは妨げることも可能である。このような圧力伝達が、本発明に包含されることも意図されている。
【0018】
原則としては、連続的な操作ポンプによって、圧力変更装置が形成されることが想定されてよく、その圧力及び/または吸い込み側が、作業チャンバに通じている。
【0019】
取り付け空間をほとんど有さず単純に構造的に実現されることが可能であり、当業者が長年にわたる経験を通して精通している特に好ましい場合において、しかしながら、圧力変更装置が、ピストン−シリンダー装置である。この場合において、ピストン−シリンダー装置のピストン表面とシリンダー壁とが、少なくとも断面的に、作業空間の境界を定める場合、測定デバイスを形成するために必要とされる取り付け空間が、特に小さいまま保たれることが可能である。
【0020】
最近使用される大部分の測定デバイスにおいて、測定される測定媒体が、一般的に、ピペット操作チップ内に吸引され、後者から分配される。次に、好ましくは、測定空間が、ピペット操作チップの壁によって少なくとも断面的に区切られることが想定されうる。様々な測定目的に対する測定デバイスの適合性のため、ピペット操作チップが、好ましくは、測定デバイス上に、取り外し可能に設けられる。同じ理由、及び、特に、さらに厳しい衛生面での要求のため、ピペット操作チップが、特に好ましくは、交換可能であり、すなわち、ピペット操作チップが、測定デバイス上に設けられ、ピペット操作チップが、他の物によって置換されることが可能である
【0021】
ピペット操作チップの測定デバイスへの接続を容易にするために、それ自体が周知である方法において、ピペット操作チップ上に設けられた結合カウンター装置が、取り外し可能に結合されることが可能な結合装置を備えて、ピストン−シリンダー装置が設けられることを想定することが出来る。次に、測定デバイスに対して、可能な限り小さな取り付け空間を得るために、さらに、ピストン−シリンダー装置が、結合装置の領域において、作業媒体の経路を有し、この場合において、次に、バルブが、前記作業媒体の経路上に設けられることが可能であることが想定されうる。有利には、次に、同様に、バルブが結合装置の領域内に配置され、ピストン−シリンダー装置のピペット操作チップへの結合、及び、作業チャンバ及び測定チャンバの圧力伝達の分離が、結合装置の領域内で実施されることが可能であり、空間的に、相対的に小さな領域が存在し、上記機能が実現される。
【0022】
その長さ及び断面に関して、作業媒体の経路が、要求に適切に適合されることが可能であり、極端な例においては、開口によって単純に形成されることが可能であり、この開口に、バルブが好ましくは挿入される。比較的長い作業媒体の経路の場合では、作業媒体の経路が、作業チャンバ内の第1オリフィス終端部及び作業チャンバからさらに離れて存在する第2オリフィスを備える場合、本発明による測定デバイスの機能が、構成された取り付け空間内で確実に確保されることが可能であり、第2オリフィスを備えた作業媒体の経路の長手方向の端部領域が、好ましくは、少なくとも結合装置の一部によって囲まれる。次に、結合装置の一部が、作業媒体の経路の第2オリフィスを備えた長手方向の端部領域を囲む場合、それに関して、ピペット操作チップによって少なくとも断面的に区切られた測定チャンバとの圧力伝達のやりとりに作業チャンバが確実に関与させられることが可能であることを、これが確保する。
【0023】
ピストン−シリンダー装置のピストンと測定開口との間にバルブが空間的に配置される場合、また、小さな空間的な要求を備えて実現されることが可能である本発明による測定デバイスの構造的配置が、実現されることが可能である。好ましくは、この場合、測定開口が、ピストンの移動経路の延長線上に位置され、想像上の延長された移動経路が、測定開口を通りぬける。この方法において、極めて薄い測定デバイスが得られる。これにより、数個の測定デバイスが構成された空間内で互いに平行に配置されることが可能となる。
【0024】
具体的には、上記の測定処理が、自動化される、または、少なくとも操作上補助される場合、作業チャンバ内における作業媒体の圧力を変更させるために、圧力変更装置が、該圧力変更装置と結合された圧力変更アクチュエータを備えるならば、有利である。上記例のピストン−シリンダー装置において、圧力変更アクチュエータが、例えば、シリンダーに対してピストンを移動させるサーボモーターであってよい。圧力変更装置が、ポンプ内における連続的な操作を含む場合、圧力変更アクチュエータが、ポンプを駆動するモーターであってよい。
【0025】
さらに、これに関連して、圧力変更装置が、圧力変更アクチュエータを制御するように設計された第1制御デバイスを備えるならば有利である。この結果、作業チャンバ内の作業媒体の圧力が、圧力変更アクチュエータを用いて第1制御デバイスによって変更されることが可能である。
【0026】
同様に、測定処理を自動化するまたは後者の操作のための機械的なサポートを少なくとも提供するために、測定デバイスが、その調節のためのバルブに結合されたバルブアクチュエータと、バルブアクチュエータを制御するように設計された第2制御デバイスとを備えることが可能である。
【0027】
制御回路を用いて測定処理を制御することが要求される場合、または、原則として、特に高い精度を有する測定処理が要求される場合、測定デバイスが、作業チャンバ内において作業媒体の圧力を検出するように設計及び配置された圧力検出デバイスを備えるならば望ましい。制御回路が、特に、第1制御デバイスによって実行されることが可能であり、該第1制御デバイスが、圧力検出デバイスの圧力検出結果に応じて圧力変更アクチュエータを制御するように設計されている、特に、作業チャンバ内の作業媒体の予め設定された圧力を生成及び/または維持するように設計されている。
【0028】
さらに、測定デバイスが、所定のまたは予め決定可能な時間が経過した後で、時間信号を発することが可能なタイミングデバイスを備えることが可能である。上記のとおり、測定処理が、本発明による測定デバイスを用いて、具体的には、測定チャンバへの作業チャンバから生じる圧力パルスの作用により、実行されることが可能である。上記タイミングデバイスが、このような圧力サージの時間制御を可能な限り正確に達成するために有利である。
【0029】
これに関連して、タイミングデバイスが、時間信号を発した後の時間が調節されることが可能であるならば特に有利であり、異なるが、所定のまたは予め決定可能な持続時間の圧力サージが、作業チャンバによって測定チャンバに影響を及ぼされることが可能である。
【0030】
第2制御デバイスがバルブアクチュエータを制御するように設計されるため、有利には、バルブ開口の時間制御に対して、経過位置へのバルブの設定から所定時間が経過した後、タイミングデバイスの時間信号に応じて、バルブを、遮断位置へ切り替えるように、第2制御デバイスが設計されることが想定される。従って、所定の持続時間の圧力サージが、作業チャンバ内に設けられた蓄圧器によって、測定チャンバに自動化された方法で印加されることが可能であり、これによって、測定処理が、実行されることが可能である。これに関連して、測定体積が、経過位置へのバルブの調節と遮断位置へのバルブの調節との間で経過する時間の変更により調節されることが可能である。
【0031】
さらに、メモリー内に、測定体積に対する時間の長さのマッチング、可能ならばさらには密度、粘度等の可能な測定手段のパラメーターによる破壊のマッチング、を含む特性マップを保存することを想定することが可能である。
【0032】
本発明のさらなる態様によると、上記の目的は、以下のさらなる方法のステップを含むジェネリックな測定方法によって、同様に解決される。
−測定チャンバ内の作業媒体の圧力に影響を及ぼすステップの前に、:少なくとも部分的に作業媒体で充填された作業チャンバと、測定チャンバとの間の任意の圧力伝達接続を遮断するステップであって、作業媒体の圧力に影響を及ぼすステップが、以下のさらなる方法のステップを含む:
−作業チャンバと測定チャンバとの間の任意の圧力伝達接続が遮断される時間の間、作業チャンバ内の作業媒体の圧力を、所定の圧力レベルにする及び/または維持するステップ、
−作業チャンバ内の作業媒体の圧力が、所定の圧力レベルである間:、作業チャンバと測定チャンバとの間の圧力伝達接続を開放するステップ。
【0033】
この方法を用いて、作業チャンバと測定チャンバとの間の圧力伝達接続を遮断する可能性がなかった場合、同様に、最大の可能な測定体積に関して極小である所定の測定体積を吸引及び/または分配するために必要かつ十分でありうる高い圧力を有する蓄圧器を、作業チャンバ内に設けることが可能になる。また、所定の継続時間の間、圧力伝達接続を維持することにより、圧力サージが、作業チャンバによって、測定チャンバに影響を及ぼされることが可能であり、これにより、最大の可能な測定体積との関連で極小の測定体積が、吸引される及び/または分配されることが可能である。
【0034】
測定処理の全体の継続時間に関連して、短い圧力サージを生成するために、好ましくは、この方法が、以下のさらなるステップを含む:
−作業チャンバと測定チャンバとの間の圧力伝達接続の開放から所定の時間だけ経過させるステップ、及び
−所定時間が経過した後に、作業チャンバと測定チャンバとの間の任意の圧力伝達接続を遮断するステップ。
【0035】
様々な小さな測定体積を測定するために、本発明による方法は、経過することが想定される継続時間の選択的な調節も含むことが可能である。
【0036】
可能な限り高い測定精度を達成するために、バルブが、遮断位置にある場合に、圧力変更装置による作業媒体の圧力の影響が排他的に生じることがさらに想定できる
【0037】
いわゆるアリコット測定、すなわち、可能な限り一致する極小の測定体積の分配に対して、この方法が、繰り返して実行される、言い換えると、作業チャンバ・測定チャンバ間の圧力伝達接続の開放と、任意の圧力伝達接続の遮断と、の間で実施される圧力伝達接続の開放及び遮断を含む工程段階が、繰り返して実行されるならば有利である。従って、第一に、ほぼ最大の可能な測定体積に対応する測定媒体の極めて大きな測定体積を吸引し、次に、本発明による測定方法を用いて、極めて多数の極小の測定体積で連続的にこれをリリースすることも想定できる。これに関連して、本測定方法の実施とともに用いられる測定デバイスが、好ましくは、2つの連続する分配操作間を移動され、小さな測定体積が、異なる容器に運ばれる。作業チャンバ内の作業媒体の圧力が、連続する分配操作間において所定の圧力レベルに達する場合、測定処理の正確さを増大させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明による測定デバイスである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、添付の図面を用いて、以下においてさらに詳細に説明される。図面が、本発明による測定デバイスを図示するものである。
【0040】
図面において、本発明による測定デバイスが、通常、参照符号10によって示される。測定デバイス10が、作業チャンバ12を備え、図示された実施例において、作業媒体として空気または他のガスを含む。
【0041】
作業チャンバ12が、測定デバイス10の長手方向軸Lに沿って伸び、ピストン14の前面14aによって、軸方向に区切られる。ピストン14が、軸方向に移動可能にシリンダー16に適合され、このシリンダーの壁16aが、半径方向に作業チャンバ12を画定する。
【0042】
作業チャンバ12の体積を変更させ、この結果、作業チャンバ12内に含まれる作業媒体の圧力を変更させるために、ピストン14が、制御ユニット20によって制御されることが可能なモーター18に結合される。例えば、この目的のため、ピニオンが、回転電気モーターの出力軸上に取り付けられ、ピニオンが、モーターの出力軸にねじれて固定して結合され、ピストンロッド14b上にラックアンドピニオン式アセンブリとかみ合わされる。
【0043】
ピペット操作チップ22が、それ自体が周知の方法で、ピストンロッド14b及びピストン14の出口端と反対側に面するその長手方向の端部において、取り外し可能にシリンダー16に結合される。ピペット操作チップ22が、シリンダー16に結合された状態で、測定デバイスの長手方向軸Lに沿って同様に伸びる縦構造である。図示された実施例において、ピペット操作チップが結合された場合、ピペット操作チップ22の長手方向軸と、シリンダー16の長手方向軸と、が測定デバイス10の長手方向軸Lと一致する。
【0044】
ピペット操作チップ22が、その内部に、測定チャンバ24を画定し、図面に図示された実施例において、液体測定媒体26が、測定チャンバ24内に吸引された。これに関連して、測定媒体26が、ピペット操作チップ22の測定開口22aを流れ、測定チャンバ24内に入る。
【0045】
シリンダー16内に支持されたバルブ28が、作業チャンバ12と測定チャンバ24との間に、軸方向に配置され、このバルブが、単に図式的に示されるバルブアクチュエータ30を用いて、作業チャンバ12及び測定チャンバ24が互いに圧力−伝達方法でやり取りする通過位置と、流れに関して作業チャンバ12が測定チャンバ24から分離される遮断位置と、の間で切り替えられることが可能である。
【0046】
作業チャンバ12内の作業媒体の圧力を測定する圧力測定装置32が、作業チャンバ12と接続される。圧力測定装置32が、制御ユニット20に、信号線34を介して、作業チャンバ12内の作業媒体の圧力を示す信号を送る。
【0047】
プログラムが、制御ユニット20内に保存され、ピストン14を駆動させるために、制御線36を介して、モーター18を操作し、作業チャンバ12内において、作業媒体が、所定の圧力レベルになる。この目的のため、バルブ28を閉じるように、制御ユニット20が、制御線38を介して、バルブアクチュエータ30を予め操作している。
【0048】
図面に示された実施例において、比較的大きな量の測定媒体26が、ピペット操作チップ22内に吸引された。この目的を達成するために、バルブ28が、通過位置に調節され、ピストン14が、作業チャンバ12の増大する方向に移された。
【0049】
ここで、いわゆる“アリコーティング”の場合、ピペット操作チップ22内に吸引された測定媒体26が、吸引された測定媒体26の総体積に関して極小体積に分配され、この目的のために、バルブアクチュエータ30を用いて、バルブ28が遮断位置にされ、ピストン14が、作業チャンバ12の体積の減少方向に移動され、測定開口22aの周囲における周囲圧力に関して過剰圧力が生成される。データ線34上の出力信号に基き、作業チャンバ12内の作業媒体の圧力が、所定の目標圧力と一致したことを、制御ユニット20が認識するまで、ピストン14の移動が続く。この制御ユニット20が、モーター18の動作を停止させた後で、到達した位置にピストン14を保持する。
【0050】
次に、タイマー20aを備える制御ユニット20が、所定の短時間の間、制御線38及びバルブアクチュエータ30を用いて、バルブ28を開き、すなわち、バルブを通過位置に調節して、測定媒体26を極小の測定体積に分配する。所定の時間が経過した後、バルブを遮断位置に調節するように、制御ユニット20が、バルブアクチュエータ30を制御する。
【0051】
この方法において、過剰の圧力サージが、作業チャンバ12から測定チャンバ24に伝えられる。この過剰の圧力サージが、測定開口22aを介して、極小の再現可能な量の測定媒体26を放出することを提供する。測定体積、すなわち、分配された測定媒体26の量が、これに関連して、過剰の圧力サージの継続時間に応じて決まる。従って、過剰の圧力サージの長さが(吸引の場合における低減された圧力サージの継続時間と同様に)、好ましくは調節可能である。
【0052】
バルブ28を閉じた後、すなわち、遮断位置に調節した後、上記の処理と極めて大部分が同じであるさらなる分配処理が行われる前に、制御ユニット20が、上記方法で再度、測定チャンバ12内の作業媒体の圧力を所望の目標圧力に調節する。一方で、一連の測定体積を異なる容器にリリースするために、測定開口が、滴定プレートに対して移動される。
【0053】
有利には、制御ユニット20が、異なる作業媒体及び/または異なる測定媒体及び/または温度,圧力,粘度等の異なる状態変数のための少なくとも1つの特性マップが保存されることが可能なメモリー20bを備え、所望の測定体積を、バルブ28の通過位置の継続時間及び作業チャンバ12内の作業媒体の目標圧力と組み合わせる。従って、オペレーターは、使用された作業媒体と、測定されることになる測定媒体と、所望の測定体積と、を容易に入力することが可能であり、必要ならば、圧力,温度及び粘度のような状態変数が入力され、または、所望の測定が高い精度で自動的に進められた後で、これらが、図面に示されていないセンサーによって一部が検出される。
【符号の説明】
【0054】
10 測定デバイス
12 作業チャンバ
14 ピストン
14a 前面
14b ピストンロッド
16 シリンダー
16a 壁
18 モーター
20 制御ユニット
20a タイマー
20b メモリー
22 ピペット操作チップ
22a 測定開口
24 測定チャンバ
26 測定媒体
28 バルブ
30 バルブアクチュエータ
32 圧力測定装置
34 信号線
36 制御線
38 制御線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に圧縮性作業媒体で充填された作業チャンバ(12)と、
前記作業チャンバ(12)内の前記作業媒体の圧力を変更するように設計された圧力変更装置(14,16)と、
測定開口(22a)を備えた測定チャンバ(24)と、
を備え、
前記作業媒体を用いて、前記測定開口(22a)を介し、前記測定チャンバ(24)に入り、前記測定チャンバ(24)から出る測定媒体(26)を吸引及び分配するための測定デバイス(10)であって、
前記作業チャンバ(12)と前記測定チャンバ(24)とが、バルブ(28)によって接続され、前記バルブ(28)が、圧力伝達、特に、作業媒体が、前記バルブ(28)を経由して、前記作業チャンバ(12)から前記測定チャンバ(24)に流れることが妨げられる遮断位置と、前記バルブ(28)を経由して、前記作業チャンバ(12)から前記測定チャンバ(24)内に向かう圧力伝達が許容される通過位置と、の間で切り替えられることが可能であり、
前記測定チャンバ(24)が、好ましくは取り外し可能である、特に好ましくは交換可能である、ピペット操作チップ(22)の壁によって少なくとも断面的に区切られ、前記圧力変更装置(14,16)が、ピストン−シリンダー装置(14,16)であり、
好ましくは、ピストン表面(14a)とシリンダー壁(16a)とが、前記作業チャンバ(12)を、少なくとも断面的に画定し、
前記ピストン−シリンダー装置(14,16)に、前記ピペット操作チップ(22)上に設けられた結合カウンター−装置が取り外し可能に結合される結合装置が備えられ、
前記結合装置の領域における前記ピストン−シリンダー装置(14,16)が、作業媒体の経路を備え、前記バルブ(28)が、前記作業媒体の経路上に設けられることを特徴とする測定デバイス(10)。
【請求項2】
前記作業媒体の経路が、前記作業チャンバ(12)内の第1オリフィス終端部と、前記作業チャンバ(12)からさらに離れた第2オリフィスとを備え、
好ましくは、前記第2オリフィスを備えた前記作業媒体の接続経路の長手方向端部領域が、少なくとも前記結合装置の一部によって囲まれることを特徴とする請求項1に記載の測定デバイス(10)。
【請求項3】
前記バルブ(28)が、空間的に、前記ピストン−シリンダー装置(14,16)のピストン(14)と、前記測定開口(22a)との間に配置されることを特徴とする請求項1に記載の測定デバイス(10)。
【請求項4】
前記圧力変更装置(14,16)が、前記作業チャンバ(12)内の前記作業媒体の圧力を変更するための前記圧力変更装置(14,16)と結合された圧力変更アクチュエータ(18)と、制御デバイス(20)と、を備え、
前記制御デバイス(20)が、前記圧力変更アクチュエータ(18)を制御するように設計されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の測定デバイス(10)。
【請求項5】
前記バルブ(28)を調節するためのバルブアクチュエータ(30)であって、前記バルブ(28)が結合されるバルブアクチュエータ(30)と、
前記バルブアクチュエータ(30)を制御するように設計された制御デバイス(20)と、
を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の測定デバイス(10)。
【請求項6】
前記作業チャンバ(12)内の前記作業媒体の圧力を検出するように設計及び配置された圧力検出デバイス(32)を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の測定デバイス(10)。
【請求項7】
制御デバイス(20)が、前記圧力検出デバイス(32)の圧力検出結果に応じて、圧力変更アクチュエータ(18)を制御するように設計された、特に、前記作業チャンバ(12)内の前記作業媒体の所定の圧力を発生及び/または維持するように設計されたことを特徴とする請求項6に記載の測定デバイス(10)。
【請求項8】
タイミングデバイス(20a)と、制御デバイス(20)と、を備え、
好ましくは、前記タイミングデバイス(20a)の時間信号に応じて、前記バルブ(28)の前記通過位置への設定から所定の時間が経過した後、前記制御デバイス(20)が、前記バルブ(28)を前記遮断位置に切り替えるように設計されたことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の測定デバイス(10)。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2012−510065(P2012−510065A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537850(P2011−537850)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【国際出願番号】PCT/EP2008/010126
【国際公開番号】WO2010/060448
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(501401397)ハミルトン・ボナドゥーツ・アーゲー (8)
【Fターム(参考)】