説明

楽器用スタンド

【課題】操作が簡単であることに加え、設置場所に応じて各脚部の高さ位置を容易に調節することのできる楽器用スタンドを提供することにある。
【解決手段】ドラムスタンド10は、中央パイプ12、固定カラー50、第1可動カラー60、第2可動カラー70、脚部及びステーを備えている。固定カラー50は、中央パイプ12の下端に固定され、第1可動カラー60及び第2可動カラー70は、中央パイプ12に対し摺動可能に装着されている。第1脚部14a,14bは第1可動カラー60に対し回動可能に連結され、第2脚部14cは第2可動カラー70に対し回動可能に連結されている。第1ステー15a,15bは第2可動カラー70に対し回動可能に連結され、第2ステー15cは固定カラー50に対し回動可能に連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーチングドラム等の楽器を設置するのに用いられる楽器用スタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
スタジアムの観客席には、フィールドからスタジアムの外側に向かって、シートが列をなして階段状に設置されている。スタジアムでは、観客席のシートにマーチングドラムスタンド(以下、ドラムスタンドと称す)を設置し、マーチングドラムを演奏しながら応援することがある。こうした背景から、平地のみならず、階段等の段差に跨って設置できるように構成されたドラムスタンドが幾つか提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されるドラムスタンド130によれば、図10に示すように、半円環状をなす一対の上部カラー131a,131bが、中央パイプ133の前側周面133aと後側周面133bとに対しそれぞれ摺動可能に装着されている。また、半円環状をなす一対の下部カラー132a,132bが、中央パイプ133の前側周面133aと後側周面133bとに対しそれぞれ摺動可能に装着されている。中央パイプ133の後側周面133bを摺動する上部カラー131b及び下部カラー132bには、特定の脚部134とその脚部134に連結されたステー135とがそれぞれ連結されている。また、中央パイプ133の前側周面133aを摺動する上部カラー131a及び下部カラー132aには、残りの2本の脚部136とその脚部136に連結されたステー137とがそれぞれ連結されている。
【0004】
図11に示すドラムスタンド140によれば、中央パイプ141の中央と下端とには、固定カラー142a,142bがそれぞれ装着されている。また、中央パイプ141において両固定カラー142a,142b間には、可動カラー143a,143bが摺動可能にそれぞれ装着されている。両固定カラー142a,142bには、相対的に長い二本の脚部144とそれら脚部144に連結されたステー145とがそれぞれ連結されている。各ステー145は、リング145aを介して、脚部144に対しスライド可能に連結されている。一方、両可動カラー143a,143bには、相対的に短い脚部146とその脚部146に連結されたステー147とがそれぞれ連結されている。ステー147は、連結ピン147aを介して、脚部146の中央に対し回動可能に連結されている。図10及び図11に示すドラムスタンド130,140はいずれも、三脚構造を構成する三本の脚部のうち特定の脚部の高さ位置を他の脚部から独立して調整できるように構成されている。
【0005】
また、特許文献2に開示されるドラムスタンド150によれば、図12に示すように、三本の脚部151のうち特定の脚部151aに対して延長板152が摺動可能に支持されている。ドラムスタンド150は、平地では、三本の脚部151を同じ長さにして使用される。一方、スタジアムの観客席では、脚部151aをフィールド側(図12に示す右側)に向け、延長板152の先端152aを観客席の座面SEに届くまで延ばした状態で使用される。即ち、この文献に開示のドラムスタンド150は、三脚構造を構成する三本の脚部151のうち特定の脚部151aの長さを他の脚部から独立して調整できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5072910号明細書
【特許文献2】米国特許第7703725号明細書
【発明の概要】
【0007】
しかしながら、図10及び図11に開示のドラムスタンド130,140の場合、中央パイプ133,141に対し脚部134,136,144,146を開閉したり、設置場所に応じて各脚部134,146の高さ位置を調節したりする際に操作される操作部Nの数が多くなっている。このため、ドラムスタンド130,140の開閉や設置のための操作が面倒であることに加え、部品点数が増えて製造コストが高くなるという問題があった。
【0008】
図12に示すドラムスタンド150の場合、三本の脚部151のうち特定の脚部151aの長さしか調整できないため、段差に跨ってドラムスタンド150を上手く設置することが難しかった。また、図12に示すドラムスタンド150においても、脚部151aに対し延長板152を摺動可能に支持するための脚構造が複雑化したり部品点数が増えたりする等の理由により、製造コストが高くなるという問題があった。
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、操作が簡単であることに加え、設置場所に応じて各脚部の高さ位置を容易に調節することのできる楽器用スタンドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、楽器を設置するために用いられる楽器用スタンドであって、上下方向に延びる中央パイプと、中央パイプの下端に装着された下部カラーと、中央パイプに対し摺動可能に装着された第1可動カラーと、中央パイプに対し摺動可能に装着され、第1可動カラーよりも下方に配置された第2可動カラーと、中央パイプに対し開閉可能に組み付けられた少なくとも三つの脚部と、各脚部に連結された少なくとも三つのステーとを備え、少なくとも三つの脚部のうち第1脚部は第1可動カラーに対し回動可能に連結され、第2脚部は第2可動カラーに対し回動可能に連結され、少なくとも三つのステーのうち第1脚部に連結された第1ステーは第2可動カラーに対し回動可能に連結され、第2脚部に連結された第2ステーは下部カラーに対し回動可能に連結されていることを要旨とする。
【0011】
この構成によれば、下部カラーに対する第2可動カラーの位置を変更することで、中央パイプに対し第2脚部を開閉したり、第2脚部の高さ位置を調節したりすることができる。また、第2可動カラーに対する第1可動カラーの位置を変更することで、中央パイプに対し第1脚部を開閉したり、第1脚部の高さ位置を調節したりすることができる。このように、中央パイプに装着された第1及び第2可動カラーを操作しそれらの高さ位置を調節するだけで、中央パイプに対し第1及び第2脚部を開閉したり、第1及び第2脚部の高さ位置をそれぞれ調節したりすることができる。よって、操作が簡単であることに加え、楽器用スタンドの設置場所に応じて各脚部の高さ位置を容易に調節することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、楽器用スタンドは、二つの第1脚部を備えていることを要旨とする。
この構成によれば、二つの可動カラーのうち高い方に配置される第1可動カラーには、二つの第1脚部が連結されている。このため、第1及び第2可動カラーを操作することで、二つの第1脚部を第2脚部よりも高い位置に配置することができる。よって、楽器用スタンドを段差に跨って設置する場合、段差を形成する高い方の面に二つの第1脚部を載置することができ、楽器用スタンドを第1脚部側で安定的に支持することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2記載の発明において、二つの第1脚部は、互いに隣接して配置されていることを要旨とする。
この構成によれば、二つの第1脚部を備える脚構造として、具体的には、互いに隣接した配置された二つの第1脚部を備える三脚構造や、四脚構造を採用することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の発明において、中央パイプに装着され、楽器用スタンドの転倒を防止するための転倒防止手段を備え、楽器用スタンドは、その設置場所付近にある構造物に転倒防止手段を干渉させることで転倒しないように保持されることを要旨とする。
【0015】
この構成によれば、段差に跨って設置する場合であっても、楽器用スタンドの設置場所付近にある構造物に転倒防止手段を干渉させることで、楽器用スタンドが転倒しないように保持される。また、転倒防止手段が中央パイプに装着されているため、楽器スタンドをその重心付近で保持することもできる。よって、楽器用スタンドをより安定的に設置することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項4記載の発明において、転倒防止手段は、中央パイプに対し第2可動カラーと下部カラーとの間に装着されると共に、第1脚部が載置される構造物に押し当てられて楽器用スタンドを転倒しないように保持することを要旨とする。
【0017】
この構成によれば、転倒防止手段が、第1脚部が載置される構造物に対し下方から押し当てられる。これにより、転倒防止手段と第1脚部との間に構造物が挟持される。こうして、楽器用スタンドの第1脚部側で構造物に対し転倒防止手段を干渉させることにより、楽器用スタンドの第1脚部側への転倒を防止することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5記載の発明において、転倒防止手段は、中央パイプに対し第1可動カラーと第2可動カラーとの間に装着されると共に、第2脚部の上方に配置される構造物に押し当てられて楽器用スタンドを転倒しないように保持することを要旨とする。
【0019】
この構成によれば、転倒防止手段が、第2脚部の上方に配置される構造物に対し下方から押し当てられる。こうして、楽器用スタンドの第2脚部側で構造物に対し転倒防止手段を干渉させることにより、楽器用スタンドの第1脚部側への転倒を防止することができる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項4〜6のうちいずれか一項に記載の発明において、転倒防止手段は、中央パイプの軸線と直交する方向に沿って延びるロッドを有していることを要旨とする。
【0021】
この構成によれば、第1脚部が載置される構造物や第2脚部の上方に配置される構造物に対しロッドを押し当てた状態で、構造物に対しロッドをその軸線方向に沿って滑らせることができる。よって、楽器用スタンドを転倒しないように保持しながら、構造物に対する楽器用スタンドの位置決めを行うことができる。
【0022】
請求項8に記載の発明は、請求項4〜7のうちいずれか一項に記載の発明において、転倒防止手段は、中央パイプに対し着脱可能なクランプを有していることを要旨とする。
この構成によれば、楽器用スタンドの設置場所に応じて、中央パイプに転倒防止手段を装着したり、中央パイプから転倒防止手段を取り外したりすることができる。つまり、脚部の開閉に際し邪魔にならないように、中央パイプから転倒防止手段を予め取り外しおくことができる。また、中央パイプに対する転倒防止手段の取付位置、即ち、転倒防止手段の高さ位置を容易に調整することもできる。
【0023】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のうちいずれか一項に記載の発明において、中央パイプの上端には、楽器を楽器用スタンドに固定するための固定手段が設けられていることを要旨とする。
【0024】
この構成によれば、固定手段によって、楽器用スタンドから楽器が外れて落下することを防止できる。
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のうちいずれか一項に記載の発明において、楽器用スタンドは、マーチングドラムを設置するために用いられるマーチングドラムスタンドであることを要旨とする。
【0025】
この構成によれば、操作が簡単であることに加え、設置場所に応じて各脚部の高さ位置を容易に調節することのできるマーチングドラムスタンドを提供することができる。また、叩打して演奏されるマーチングドラムを、平地のみならず、段差に跨って安定的に設置することのできるマーチングドラムスタンドを提供することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、操作が簡単であることに加え、設置場所に応じて各脚部の高さ位置を容易に調節することのできる楽器用スタンドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係るドラムスタンドの全体を示す斜視図。
【図2】ドラムスタンドの分解斜視図。
【図3】転倒防止手段を装着したドラムスタンドの下部構造を示す部分側面図。
【図4】転倒防止手段の全体を示す斜視図。
【図5】平地に設置したドラムスタンドを示す側面図。
【図6】段差に跨って設置したドラムスタンドを示す側面図。
【図7】(a)は、本発明に係るドラムスタンドの三脚構造を採用したテナードラム用スタンドの斜視図、(b)は、本発明に係るドラムスタンドの三脚構造を採用したバスドラム用スタンドの斜視図。
【図8】別例のドラムスタンドの三脚構造を示す模式上面図。
【図9】(a),(b)は、別例のドラムスタンドの四脚構造を示す模式上面図。
【図10】従来のドラムスタンドの下部構造を示す側面図。
【図11】従来のドラムスタンドの下部構造を示す斜視図。
【図12】従来のドラムスタンドを示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る楽器用スタンドを、マーチングドラムとしてのスネアドラムを設置するために用いられるドラムスタンドに具体化した一実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。
【0029】
図1及び図2に示すように、ドラムスタンド10は、上下方向に延びる中央パイプ12、脚部14a,14b,14c、ステー15a,15b,15c、及びアーム18を備えている。中央パイプ12は、上段パイプ20及び下段パイプ21により構成されている。上段パイプ20は、下段パイプ21に対し摺動可能に組み付けられている。
【0030】
両パイプ20,21の連結部分には、二種類のブッシュ22,23と共に支持カラー24が装着されている。支持カラー24の側部には、T型ナット25、及びT型ナット25に螺合されるボルト26が取り付けられている。T型ナット25を緩めることで、下段パイプ21に対して上段パイプ20が摺動可能となり、ドラムスタンド10全体の高さが調節可能となる。一方、T型ナット25を締め付けることで、下段パイプ21に対する上段パイプ20の摺動が規制されるため、ドラムスタンド10全体の高さが固定される。
【0031】
第1脚部14a,14bは、基端部30aと中間部30bと先端部30cとを所定の形状に屈曲してなる一対の脚板30により構成されている。一対の脚板30は、対向する向きに配置されると共に一体に組み付けられている。両脚板30間には、基端部30aから中間部30bにかけて延びる隙間が、下段パイプ21に対し閉じられた第1ステー15a,15bを収納するためのスペース30dとして形成されている。第1脚部14a,14bの先端には、ゴム製のストッパ31がそれぞれ装着されている。第1ステー15a,15bは、連結軸32を介して、第1脚部14a,14bに対し回動可能にそれぞれ連結されている。
【0032】
第2脚部14cは、基端部40aと中間部40bと先端部40cとを所定の形状に屈曲してなる一対の脚板40により構成されている。一対の脚板40は、対向する向きに配置されると共に一体に組み付けられている。両脚板40間には、基端部40aから中間部40bにかけて延びる隙間が、下段パイプ21に対し閉じられた第2ステー15cを収納するためのスペース40dとして形成されている。第2脚部14cの先端にも、ストッパ31が装着されている。第2ステー15cは、連結軸42を介して、第2脚部14cに対し回動可能に連結されている。尚、第1脚部14a,14bに対する第1ステー15a,15bの連結位置は、第2脚部14cに対する第2ステー15cの連結位置よりも脚部の先端に近い位置に設けられている。
【0033】
脚部14a,14b,14c及びステー15a,15b,15cは、下部カラーとしての固定カラー50及び一対の可動カラー60,70を介して、下段パイプ21に対し開閉可能にそれぞれ組み付けられている。固定カラー50は、下段パイプ21の下端に下方から嵌め込まれて固定されている。固定カラー50は、一つのステー連結突起51を有している。ステー連結突起51は、固定カラー50の周面に設けられている。ステー連結突起51は、固定カラー50の軸線を中心に径方向に突出している。固定カラー50は、可動カラー60,70よりも上下方向に長い円筒状に形成されている。
【0034】
一対の可動カラー60,70は、固定カラー50よりも上方に配置されると共に、下段パイプ21に対しその軸線に沿って摺動可能に装着されている。一対の可動カラー60,70のうち第2可動カラー70は、第1可動カラー60よりも下方に配置されている。第2可動カラー70は、下段パイプ21に対し、固定カラー50と第1可動カラー60との間を摺動可能であり、具体的には、固定カラー50の上端から第1可動カラー60の下端に至るまでの全体に亘って摺動可能となっている。
【0035】
第1可動カラー60は、二つの脚部連結突起61,62を有している。各脚部連結突起61,62は、第1可動カラー60の周面において間隔を空けて配置されている。各脚部連結突起61,62は、第1可動カラー60の軸線を中心に径方向にそれぞれ突出している。第1可動カラー60において、両脚部連結突起61,62と反対側の端部には、ボルト63と、ボルト63の先端に螺合されるT型ナット64とが取り付けられている。T型ナット64は、下段パイプ21に対する第1可動カラー60の取付位置、即ち、第1可動カラー60の高さ位置を調整又は固定する際に操作される。
【0036】
第2可動カラー70は、一つの脚部連結突起71と、二つのステー連結突起72,73とを有している。脚部連結突起71及びステー連結突起72,73は、第2可動カラー70の周面において等角度間隔を空けて配置されている。脚部連結突起71及びステー連結突起72,73は、第2可動カラー70の軸線を中心に径方向にそれぞれ突出している。第2可動カラー70において、両ステー連結突起72,73の間には、T型ボルト74が螺合されている。T型ボルト74は、下段パイプ21に対する第2可動カラー70の取付位置、即ち、第2可動カラー70の高さ位置を調整又は固定する際に操作される。
【0037】
第1可動カラー60、第2可動カラー70及び固定カラー50には、脚部14a,14b,14c及びステー15a,15b,15cがそれぞれ以下のように連結されている。即ち、第1可動カラー60の脚部連結突起61,62には、第1脚部14a,14bの各基端がそれぞれ回動可能に連結されている。二つの第1脚部14a,14bは、互いに隣接して配置されている。第2可動カラー70のステー連結突起72,73には、第1ステー15a,15bの各基端がそれぞれ回動可能に連結されている。また、第2可動カラー70の脚部連結突起71には、第2脚部14cの基端が回動可能に連結されている。固定カラー50のステー連結突起51には、第2ステー15cの基端が回動可能に連結されている。このように、ドラムスタンド10は、二本の第1脚部14a,14bと一本の第2脚部14cとからなる三脚構造を備えている。
【0038】
上段パイプ20の上端には、L字構造をなすアーム18が連結されている。アーム18は、中央パイプ12の上端から横方向に延びる支持バー81と、支持バー81の先端に角度アジャスタ82を介して連結されたストッパ83とを備えている。ストッパ83の上端には、支持部品84を介して、一対のフック85a,85bを備えた連結装置86が設けられている。両フック85a,85bには、それらを架橋するように長方形状の架橋部材87が固定されている。図5及び図6に示すように、両フック85a,85bにスネアドラムSの連結軸SSが嵌め込まれることで、スネアドラムSが連結装置86を介してドラムスタンド10に連結される。
【0039】
図1に示すように、両フック85a,85bのそれぞれには、固定手段としてのロックレバー88a,88bが回動可能に支持されている。ロックレバー88a,88bが二点鎖線で示すロック位置に切り換えられると、スネアドラムSの連結軸SSがフック85a,85bから外れないように保持される。一方、ロックレバー88a,88bが実線で示すアンロック位置に切り換えられると、フック85a,85内の連結軸SSがアンロックされて、ドラムスタンド10からスネアドラムSを取り外すことが可能となる。
【0040】
図3に示すように、ドラムスタンド10は、転倒防止手段90を下段パイプ21に装着して使用することもできる。転倒防止手段90は、段差に跨って設置されたドラムスタンド10を第1脚部14a,14b側、第1脚部14a及び第2脚部14c側、第1脚部14b及び第2脚部14c側のいずれにも転倒しないように保持するためのものである。転倒防止手段90は、下段パイプ21に対し、第1可動カラー60と第2可動カラー70との間、及び第2可動カラー70と固定カラー50との間の少なくとも一方に装着される。転倒防止手段90は、下段パイプ21に着脱可能なクランプ91と、L字状のロッド92とを備えている。
【0041】
図4に示すように、クランプ91は、クランプ本体93と、クランプ本体93と共に下段パイプ21を挟持するクランプ片94と、クランプ本体93の端部に対し回動可能に取着された角度アジャスタ95とを備えている。クランプ片94は、一対のボルト96a,96bにより、クランプ本体93に対し離間可能に連結されている。両ボルト96a,96bのネジ部には、スプリング97a,97bが、クランプ本体93及びクランプ片94により圧縮された状態でそれぞれ装着されている。T型ナット98aが螺着されたボルト96aは、ピンを介して、クランプ本体93の端部に対し回動可能に連結されている。円盤ナット98bが螺着されたボルト96bは、クランプ本体93の孔からクランプ片94の孔に向けて挿通されている。
【0042】
ボルト96aに螺合されたT型ナット98aを緩めると、クランプ本体93に対しボルト96aが図4に示すA方向に回動可能となる。このとき、クランプ片94の基端を図4に示すP方向に押して、クランプ片94の先端をクランプ本体93から離間させると、下段パイプ21を締め付けていたクランプ91が開放される。このため、下段パイプ21から転倒防止手段90を取り外すことが可能となる。一方、ボルト96aを図4に示す位置に戻してから、ボルト96aに螺合されたT型ナット98aを締め付けると、下段パイプ21がクランプ91により締め付けられるため、転倒防止手段90が下段パイプ21に固定される。
【0043】
ロッド92は、角度アジャスタ95に固定される固定部92aと、固定部92aから直角に曲げられて固定部92aよりも長い当接部92bとを有している。当接部92bは、ドラムスタンド10の設置場所付近にある構造物K1,K2と干渉する部分である。当接部92bの周囲には、当接部92bの基端から先端までの全体に亘りカバー99が装着されている。カバー99は、ゴムやスポンジ等のクッション性を有する素材により形成されている。ロッド92は、固定部92aを下段パイプ21の軸線方向に、当接部92bを下段パイプ21の軸線と直交する方向にそれぞれ向けて、角度アジャスタ95の装着孔95aに装着されている。
【0044】
次に、上記のドラムスタンド10の作用について図5及び図6を参照して説明する。ここでは、ドラムスタンド10を段差に跨って設置する場合の説明として、スタジアムの観客席にドラムスタンド10を設置する場合を想定し、以下に記載する。尚、観客席には、シートが列をなして階段状に設置されており、前列シートFSと後列シートRSとの間には、前列シートFSよりも低い位置に通路Iが形成されている。
【0045】
ドラムスタンド10を平地に設置する場合、まず、第1可動カラー60及び第2可動カラー70を操作して、図5の二点鎖線で示すように閉じられた脚部14a,14b,14c及びステー15a,15b,15cを同図の実線で示すように開く。そして、一本の第2脚部14cを演奏者Pに対し前方に、二本の第1脚部14a,14bを後方にそれぞれ向けて、ドラムスタンド10を設置する。次に、第1脚部14a,14b及び第2脚部14cの各先端の高さ位置が同じになるように、第1可動カラー60及び第2可動カラー70の高さ位置をそれぞれ調節する。その後、T型ナット64及びT型ボルト74をそれぞれ締め付けて、第1可動カラー60及び第2可動カラー70の高さ位置をそれぞれ固定する。上記一連の操作により、第2可動カラー70が固定カラー50付近に配置されるため、第2脚部14cは、下段パイプ21に対し大きく開くと共に前方に大きく突き出された状態で保持される。一方、第1脚部14a,14bは、下段パイプ21に対する第2脚部14cの開き角度よりも小さい角度で開くと共に後方に少し突き出された状態で保持される。続いて、スネアドラムSの打面SDを演奏し易い位置に配置するため、T型ナット25を操作して、ドラムスタンド10全体の高さを調節する。尚、ドラムスタンド10を平地に設置する場合、転倒防止手段90は使用しないため、下段パイプ21から取り外されている。
【0046】
ドラムスタンド10を段差に跨って設置する場合、まず、上述したように、脚部14a,14b,14c、及びステー15a,15b,15を開く。そして、図6に示すように、二本の第1脚部14a,14bを演奏者Pに対し前方に、一本の第2脚部14cを後方にそれぞれ向けて、前列シートFSと後列シートRSとの間にドラムスタンド10を設置する。次に、第1脚部14a,14bの先端の高さ位置が前列シートFSと同じ高さになるように、また、第2脚部14cの先端の高さ位置が通路Iと同じ高さになるように、第1可動カラー60及び第2可動カラー70の高さ位置をそれぞれ調節する。その後、T型ナット64及びT型ボルト74をそれぞれ締め付けて、第1可動カラー60及び第2可動カラー70の高さ位置をそれぞれ固定する。上記一連の操作により、下段パイプ21の上端付近に第1可動カラー60が配置されると共に、第2可動カラー70が、第1可動カラー60と固定カラー50との間の中間位置に配置される。これにより、二本の第1脚部14a,14bは、第2可動カラー70に対する第1可動カラー60の位置に基づく角度で下段パイプ21に対し開いた状態に保持される。一方、一本の第2脚部14cは、固定カラー50に対する第2可動カラー70の位置に基づく角度で下段パイプ21に対し開いた状態に保持される。
【0047】
続いて、下段パイプ21に対し、第2可動カラー70と固定カラー50との間に転倒防止手段90を装着する。このとき、下段パイプ21に対する転倒防止手段90の取付位置、即ち、転倒防止手段90の高さ位置を、ロッド92の当接部92bが前列シートFSの下面に押し当てられる位置に調節する。また、このとき、下段パイプ21の軸線周りに転倒防止手段90を手で回すことにより、下段パイプ21の軸線周りの転倒防止手段90の角度位置も調節する。更に、角度アジャスタ95を回動させることにより、ロッド92の当接部92bの向きを、前列シートFSの下面と平行になるように調節する。これら一連の操作により、ロッド92の当接部92bと第1脚部14a,14bとの間に前列シートFSが挟持される。
【0048】
この場合、ドラムスタンド10の第1脚部14a,14b側で構造物としての前列シートFSに対しロッド92が干渉するため、ドラムスタンド10の第1脚部14a,14b側、即ち、スタジアムのフィールド側(図6に示す左側)への転倒が防止される。また、図6の紙面と略直交する方向、即ち、第1脚部14a及び第2脚部14c側、第1脚部14b及び第2脚部14c側へのドラムスタンド10の転倒も防止される。
【0049】
また、この場合、二本の第1脚部14a,14bが前列シートFS上に載置されているため、二本の第1脚部14a,14bによって、ドラムスタンド10が第1脚部14a,14b側で安定的に支持されている。更に、スネアドラムSはその軸線を中央パイプ12の軸線と一致させて保持されているため、ドラムスタンド10の起立時の姿勢も安定している。更に、転倒防止手段90が下段パイプ21に装着されており、ドラムスタンド10がその重心付近で保持されているため、ドラムスタンド10をより安定的に設置することができる。 上記の場合とは異なり、ドラムスタンド10の設置場所やシートFS,RSの形状によっては、下段パイプ21に対し、第1可動カラー60と第2可動カラー70との間にのみ転倒防止手段90を装着することもある。この場合も、第2可動カラー70と固定カラー50との間に転倒防止手段90を装着した場合と同様の操作を行うことによって、ロッド92の当接部92bが後列シートRSに下方から押し当てられるように、下段パイプ21に対する転倒防止手段90の取付位置を調節する。これにより、ドラムスタンド10の第2脚部14c側で後列シートRSに対しロッド92を干渉させることができる。このため、ドラムスタンド10の第1脚部14a,14b側への転倒に加え、第1脚部14a及び第2脚部14c側並びに第1脚部14b及び第2脚部14c側へのドラムスタンド10の転倒も防止される。
【0050】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)第1可動カラー60には、第1脚部14a,14bがそれぞれ回動可能に連結されている。第2可動カラー70には、第1ステー15a,15bがそれぞれ回動可能に連結されると共に、第2脚部14cが回動可能に連結されている。また、固定カラー50には、第2ステー15cの基端が回動可能に連結されている。この構成によれば、固定カラー50に対する第2可動カラー70の位置を変更することで、中央パイプ12に対し第2脚部14cを開閉したり、第2脚部14cの高さ位置を調節したりすることができる。また、第2可動カラー70に対する第1可動カラー60の位置を変更することで、中央パイプ12に対し第1脚部14a,14bを開閉したり、第1脚部14a,14bの高さ位置を調節したりすることができる。このように、中央パイプ12に装着された第1可動カラー60及び第2可動カラー70を操作しそれらの高さ位置を調節するだけで、中央パイプ12に対し第1脚部14a,14b及び第2脚部14cを開閉したり、第1脚部14a,14b及び第2脚部14cの高さ位置をそれぞれ調節したりすることができる。よって、操作が簡単であることに加え、ドラムスタンド10の設置場所に応じて各脚部14a,14b,14cの高さ位置を容易に調節することができる。
【0051】
(2)ドラムスタンド10は、互いに隣接して配置される二本の第1脚部14a,14bと、一本の第2脚部14cとからなる三脚構造を備えている。この構成によれば、二つの可動カラー60,70のうち高い方に配置される第1可動カラー60には、二本の第1脚部14a,14bが連結されている。このため、第1可動カラー60及び第2可動カラー70を操作することで、二本の第1脚部14a,14bを第2脚部14cよりも高い位置に配置することができる。よって、ドラムスタンド10を段差に跨って設置する場合、段差を形成する高い方の面に二本の第1脚部14a,14bを載置することができ、ドラムスタンド10を第1脚部14a,14b側で安定的に支持することができる。
【0052】
(3)ドラムスタンド10は、転倒防止手段90を下段パイプ21に装着して使用することもできる。この構成によれば、段差に跨って設置する場合であっても、ドラムスタンド10の設置場所付近にある構造物K1,K2に転倒防止手段90のロッド92を干渉させることで、ドラムスタンド10が転倒しないように保持される。また、転倒防止手段90が下段パイプ21に装着されているため、ドラムスタンド10をその重心付近で保持することもできる。よって、転倒防止手段90を使用することで、ドラムスタンド10をより安定的に設置することができる。
【0053】
(4)転倒防止手段90を下段パイプ21に対し第2可動カラー70と固定カラー50との間に装着した場合、図3の左側に示すように、ロッド92の当接部92bが、第1脚部14a,14bが載置される構造物K1に対し下方から押し当てられる。これにより、ロッド92の当接部92bと第1脚部14a,14bとの間に構造物K1が挟持される。この場合、ドラムスタンド10の第1脚部14a,14b側で構造物K1に対し転倒防止手段90のロッド92を干渉させることにより、ドラムスタンド10の第1脚部14a,14b側への転倒を防止することができる。
【0054】
(5)転倒防止手段90を下段パイプ21に対し第1可動カラー60と第2可動カラー70との間に装着した場合、図3の右側に示すように、ロッド92の当接部92bが、第2脚部14cの上方に配置される構造物K2に対し下方から押し当てられる。この場合、ドラムスタンド10の第2脚部14c側で構造物K2に対し転倒防止手段90のロッド92を干渉させることにより、ドラムスタンド10の第1脚部14a,14b側への転倒を防止することができる。
【0055】
(6)転倒防止手段90は、下段パイプ21に着脱可能なクランプ91を有している。この構成によれば、ドラムスタンド10の設置場所に応じて、下段パイプ21に転倒防止手段90を装着したり、下段パイプ21から転倒防止手段90を取り外したりすることができる。つまり、第1脚部14a,14b及び第2脚部14cの開閉に際し邪魔にならないように、下段パイプ21から転倒防止手段90を予め取り外しおくことができる。また、クランプ91は下段パイプ21に対し着脱可能であるため、下段パイプ21に対する転倒防止手段90の取付位置、即ち、転倒防止手段90の高さ位置や、下段パイプ21の軸線周りの転倒防止手段90の角度位置を容易に調整することもできる。
【0056】
また、ロッド92は、角度アジャスタ95の装着孔95aに装着されている。この構成によれば、角度アジャスタ95に取り付けられたロッド92を上下方向に移動させたり、ロッド92を上下反転させて装着孔95aに取り付けたりすることで、構造物K1,K2に対しドラムスタンド10を設置できる高さ方向の範囲を広げることができる。よって、様々な形状や大きさを有する構造物K1,K2に対しても、ドラムスタンド10を設置することができる。
【0057】
(8)ロッド92は、当接部92bを下段パイプ21の軸線と直交する方向に向けて、角度アジャスタ95の装着孔95aに装着されている。この構成によれば、第1脚部14a,14bが載置される構造物K1や第2脚部14cの上方に配置される構造物K2に対しロッド92を押し当てた状態で、構造物K1,K2に対しロッド92をその軸線方向に沿って滑らせることができる。よって、ドラムスタンド10を転倒しないように保持しながら、構造物K1,K2に対するドラムスタンド10の位置決めを行うことができる。 (9)図5及び図6に示すように、スネアドラムSは、ドラムスタンド10に連結された状態で、スネアドラムSの軸線を中央パイプ12の軸線と一致させるようにして保持される。また、この状態で、スネアドラムSは、ストッパ83の下部前面にスネアドラムSの下側フープSFを当接させることにより打面SDを水平にして保持される。この場合、ドラムスタンド10の起立時の姿勢が安定するため、スネアドラムSをより安定的に支持することができる。
【0058】
(10)両フック85a,85bのそれぞれには、固定手段としてのロックレバー88a,88bが回動可能に支持されている。この構成によれば、ロックレバー88a,88bをロック位置に切り換えることによって、ドラムスタンド10からスネアドラムSが外れて落下しないようロックすることができる。
【0059】
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・本実施形態において、本発明に係るドラムスタンド10の三脚構造を、テナードラムを設置するために用いるテナードラム用スタンドに適用してもよい。図7(a)に示すように、テナードラム用スタンド101は、中央パイプ102と、中央パイプ102の軸線を中心に開閉可能な一対の可動ロッド103と、中央パイプ102の上端に固定された固定ロッド104と、テナードラムが連結される連結装置105とを備えている。
【0060】
また、本発明に係るドラムスタンド10の三脚構造を、バスドラムを設置するために用いるバスドラム用スタンドに適用してもよい。図7(b)に示すように、バスドラム用スタンド106は、中央パイプ107と、中央パイプ107の上端に固定された平板108と、平板108上に固定された4本のフレーム109と、バスドラムが連結される連結装置110とを備えている。
【0061】
・本実施形態において、ドラムスタンド111は、図8に示すように、一本の第1脚部112aと二本の第2脚部112b,112cとからなる三脚構造を備えたドラムスタンドであってもよい。この場合、一本の第1脚部112aが第1可動カラー113に対し回動可能に連結され、第1脚部112aに連結された一本の第1ステー114aが第2可動カラー115に対し回動可能に連結されている。また、二本の第2脚部112b,112cが第2可動カラー115に対し回動可能に連結され、第2脚部112b,112cにそれぞれ連結された二本の第2ステー114b,114cが固定カラー116に対し回動可能に連結されている。
【0062】
・本実施形態において、ドラムスタンド10は、図9(a),(b)に示すように、二本の第1脚部120a,120b及び二本の第2脚部120c,120dからなる四脚構造を備えたドラムスタンドであってもよい。この場合、例えば、図9(a)に示すように、隣接して配置された二本の第1脚部120a,120bが第1可動カラー121に対し回動可能に連結され、第1脚部120a,120bにそれぞれ連結された二本の第1ステー122a,122bが第2可動カラー123に対し回動可能に連結されている。また、隣接して配置された二本の第2脚部120c,120dが第2可動カラー123に対し回動可能に連結され、第2脚部120c,120dにそれぞれ連結された二本の第2ステー122c,122dが固定カラー124に対し回動可能に連結されている。
【0063】
また、図9(b)に示すように、互いに対向して配置された二本の第1脚部125a,125bが第1可動カラー126に対し回動可能に連結され、第1脚部125a,125bにそれぞれ連結された二本の第1ステー127a,127bが第2可動カラー128に対し回動可能に連結されている。また、互いに対向して配置された二本の第2脚部125c,125dが第2可動カラー128に対し回動可能に連結され、第2脚部125c,125dにそれぞれ連結された二本の第2ステー127c,127dが固定カラー129に対し回動可能に連結されている。
【0064】
・本実施形態において、第1脚部14a,14b及び第2脚部14c及び第1ステー15a,15b及び第2ステー15cの本数をそれぞれ増やすことにより、ドラムスタンド10の脚構造を、三脚構造や四脚構造以外の任意の脚構造に変更してもよい。
【0065】
・本実施形態において、本発明は、マーチングドラム以外の打楽器、例えば、木琴や鉄琴等を設置するために用いられる楽器用スタンドとして具体化してもよい。
・本実施形態において、第1ステー15a,15bを、第1脚部14a,14bに対しスライド可能にそれぞれ連結してもよい。同様に、第2ステー15cを、第2脚部14cに対しスライド可能に連結してもよい。
【0066】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)楽器を設置するために用いられる楽器用スタンドであって、上下方向に延びる中央パイプと、前記中央パイプに対し開閉可能に組み付けられた少なくとも三つの脚部と、前記各脚部に連結された少なくとも三つのステーと、前記中央パイプに装着され、前記楽器用スタンドの転倒を防止するための転倒防止手段とを備え、前記楽器用スタンドは、その設置場所付近にある構造物に前記転倒防止手段を干渉させることで転倒しないように保持されることを特徴とする楽器用スタンド。
【符号の説明】
【0067】
S…スネアドラム(楽器)、K1,K2…構造物、10…ドラムスタンド(楽器用スタンド)、12…中央パイプ、14a,14b…第1脚部、14c…第2脚部、15a,15b…第1ステー、15c…第2ステー、50…固定カラー(下部カラー)、60…第1可動カラー、70…第2可動カラー、88a,88b…ロックレバー(固定手段)、90…転倒防止手段、92…ロッド、91…クランプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽器を設置するために用いられる楽器用スタンドであって、
上下方向に延びる中央パイプと、
前記中央パイプの下端に装着された下部カラーと、
前記中央パイプに対し摺動可能に装着された第1可動カラーと、
前記中央パイプに対し摺動可能に装着され、前記第1可動カラーよりも下方に配置された第2可動カラーと、
前記中央パイプに対し開閉可能に組み付けられた少なくとも三つの脚部と、
前記各脚部に連結された少なくとも三つのステーとを備え、
前記少なくとも三つの脚部のうち第1脚部は前記第1可動カラーに対し回動可能に連結され、第2脚部は前記第2可動カラーに対し回動可能に連結され、
前記少なくとも三つのステーのうち前記第1脚部に連結された第1ステーは前記第2可動カラーに対し回動可能に連結され、前記第2脚部に連結された第2ステーは前記下部カラーに対し回動可能に連結されていることを特徴とする楽器用スタンド。
【請求項2】
請求項1記載の楽器用スタンドにおいて、
前記楽器用スタンドは、二つの前記第1脚部を備えていることを特徴とする楽器用スタンド。
【請求項3】
請求項2記載の楽器用スタンドにおいて、
前記二つの前記第1脚部は、互いに隣接して配置されていることを特徴とする楽器用スタンド。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の楽器用スタンドは、更に、
前記中央パイプに装着され、前記楽器用スタンドの転倒を防止するための転倒防止手段を備え、
前記楽器用スタンドは、その設置場所付近にある構造物に前記転倒防止手段を干渉させることで転倒しないように保持されることを特徴とする楽器用スタンド。
【請求項5】
請求項4記載の楽器用スタンドにおいて、
前記転倒防止手段は、前記中央パイプに対し前記第2可動カラーと前記下部カラーとの間に装着されると共に、前記第1脚部が載置される構造物に押し当てられて前記楽器用スタンドを転倒しないように保持することを特徴とする楽器用スタンド。
【請求項6】
請求項4又は5記載の楽器用スタンドにおいて、
前記転倒防止手段は、前記中央パイプに対し前記第1可動カラーと前記第2可動カラーとの間に装着されると共に、前記第2脚部の上方に配置される構造物に押し当てられて前記楽器用スタンドを転倒しないように保持することを特徴とする楽器用スタンド。
【請求項7】
請求項4〜6のうちいずれか一項に記載の楽器用スタンドにおいて、
前記転倒防止手段は、前記中央パイプの軸線と直交する方向に沿って延びるロッド有していることを特徴とする楽器用スタンド。
【請求項8】
請求項4〜7のうちいずれか一項に記載の楽器用スタンドにおいて、
前記転倒防止手段は、前記中央パイプに対し着脱可能なクランプを有していることを特徴とする楽器用スタンド。
【請求項9】
請求項1〜8のうちいずれか一項に記載の楽器用スタンドにおいて、
前記中央パイプの上端には、前記楽器を前記楽器用スタンドに固定するための固定手段が設けられていることを特徴とする楽器用スタンド。
【請求項10】
請求項1〜9のうちいずれか一項に記載の楽器用スタンドにおいて、
前記楽器用スタンドは、マーチングドラムを設置するために用いられるマーチングドラムスタンドであることを特徴とする楽器用スタンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−41157(P2013−41157A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178489(P2011−178489)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(000195018)星野楽器株式会社 (13)
【Fターム(参考)】