説明

楽曲連動作動方法並びに装置

【課題】再生される楽曲の音質とテンポと音の強弱とが統合された楽曲との連動の度合いがより高い動作を作り出すことを可能とする。また、動作部の駆動や動作を制御するための特別の機構を必要とすることなく楽曲の再生に連動させて動作部を作動させることを可能とする。
【解決手段】オーディオ用アンプのスピーカー用出力端子から出力される交流電圧を印加して直流モーターを作動させ、直流モーターのシャフトの動作を伝達する支持軸に支持され剛性を有する動作部本体と該動作部本体に連接され可撓性を有する振動部とを含む動作体を再生される楽曲と連動させて動作させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽曲連動作動方法並びに装置に関する。さらに詳述すると、本発明は、楽曲の再生に連動させて例えば人形等の仕掛けを動作させる仕組みとして用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
楽曲の再生に連動させて仕掛けを動作させる従来の装置としては、例えば、駆動手段による駆動で動作する可動部を有する可動演出手段と、楽曲を再生して音声出力装置から出力する楽曲再生手段と、駆動手段に可動演出手段の可動部を駆動させる演出制御手段とを備え、楽曲再生手段が再生する楽曲のリズムに同期して演出制御手段が駆動手段に可動演出手段の可動部を駆動させる遊技機がある(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−325779号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の遊技機は、再生される楽曲のリズムに反応して動作態様を決定するものであり、予め設定した一定の範囲のリズムが続く間は同一の動作を繰り返し続けることになり、動作が単調になってしまうという問題がある。
【0005】
また、特許文献1の遊技機では、可動部は演出制御手段に予め設定された動作しかできず、再生される楽曲のリズムに対応させて予め設定された単一の動作を繰り返し続けるか、又はリズムの変化に反応して複数の決められた動作を繰り返すことになり、動作が単調に感じられ飽きられてしまうという問題がある。
【0006】
さらに、特許文献1の遊技機では、可動演出手段の可動部の駆動を制御するものとして演出制御手段が必要であり、その分機構が複雑になりコストアップにつながる。
【0007】
そこで、本発明は、再生される楽曲の音質(具体的には周波数)とテンポと音の強弱とが統合された楽曲との連動の度合いがより高い動作を作り出すことができる楽曲連動作動方法並びに装置を提供することを目的とする。さらに、本発明は、動作部の駆動や動作を制御するための特別の機構を必要とすることなく楽曲の再生に連動させて動作部を作動させることができる楽曲連動作動方法並びに装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の楽曲連動作動方法は、オーディオ用アンプのスピーカー用出力端子から出力される交流電圧を印加して直流モーターを作動させ、直流モーターのシャフトの動作を伝達する支持軸に支持され剛性を有する動作部本体とこの動作部本体に連接され可撓性を有する振動部とを含む動作体を再生される楽曲と連動させて動作させるようにしている。
【0009】
また、請求項2記載の楽曲連動作動装置は、スピーカー用出力端子を有するオーディオ用アンプと、直流モーターと、直流モーターのシャフトの動作を伝達する支持軸と、支持軸に支持され剛性を有する動作部本体とこの動作部本体に連接され可撓性を有する振動部とを含む動作体とを有するようにしている。
【0010】
したがって、この楽曲連動作動方法並びに装置によれば、オーディオ用アンプから出力される交流電圧が直流モーターにそのまま印加されることによって通常の単なる回転運動とは異なる態様で直流モーターが作動し、このモーターの作動に応じて動作体が動作する。直流モーターは、再生される楽曲の周波数帯域に応じて作動し、周波数が低い場合には回転の変位量が比較的大きくなって揺動し、周波数が高い場合には回転の変位量が僅かになって振動する。具体的には、概ね120Hzを境として、再生される楽曲の周波数が低い場合には直流モーターは揺動し、周波数が高い場合には直流モーターは振動する。さらに、再生される楽曲の音量の大きさ即ち音の強弱に応じてモーターは作動し、音量が大きいほどモーターのシャフトは素早く作動し、音量が小さいほどモーターのシャフトはゆっくりと作動する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の楽曲連動作動方法並びに装置によれば、再生される楽曲の周波数帯域並びに音の強弱に応じて直流モーターが揺動や振動をし、モーターの揺動や振動に応じて動作体の動作部本体が揺動したり振動したりすると共にこの動作部本体の動きによって振動部が大きく揺れたり細かく振れたりするので、楽器の音色や人の声音の周波数、テンポ並びに音の強弱として表れる楽曲の特徴に合わせて動作体を動作させることが可能であって再生される楽曲の音質とテンポと音の強弱とが統合された楽曲との連動の度合いがより高い動作を作り出すことができ、予め設定された動作を繰り返す場合と比べて飽きられてしまうことがない。さらに、楽曲の再生によってオーディオ用アンプから出力される交流電圧を印加して、再生される楽曲の周波数帯域並びに音の強弱に応じて直流モーターを作動させるようにしているので、動作を予め設定しておいたりモーターの作動を制御したりするための特別の機構を用いる場合と比べて機構を簡略にすることができコストダウンを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0013】
図1から図3に、本発明の楽曲連動作動方法を演奏動作人形に適用した実施形態の一例を示す。本発明の楽曲連動作動方法は、オーディオ用アンプ2のスピーカー用出力端子2a+,2a−から出力される交流電圧を印加して直流モーター3を作動させ、直流モーター3のシャフト3aの動作を伝達する支持軸6aに支持され剛性を有する脚部6b,胴体部6c,頭部6d,上腕部6eからなる動作部本体6b〜6eと動作部本体の胴体部6cに連接され可撓性を有する前腕及び手6fとを含む演奏動作人形6を再生される楽曲と連動させて動作させるようにしている。
【0014】
上記楽曲連動作動方法は、本発明の楽曲連動作動装置として装置化される。本実施形態の楽曲連動作動装置1は、スピーカー用出力端子2a+,2a−を有するオーディオ用アンプ2と、直流モーター3と、直流モーター3のシャフト3aの動作を伝達する支持軸6aと、支持軸6aに支持され剛性を有する動作部本体6b〜6eと動作部本体の上腕部6eの先端に連接され可撓性を有する前腕及び手6fとを含む演奏動作人形6とで構成される。なお、演奏動作人形6の胴体部6cには、ギターを模した部品7が取り付けられている。
【0015】
オーディオ用アンプ2としては、スピーカー用出力端子であるプラス端子2a+及びマイナス端子2a−を有する一般的なオーディオ用のアンプであって、直流モーター3を少なくとも作動させることができる程度の大きさの交流電圧を出力可能なアンプが用いられる。
【0016】
直流モーター3は、演奏動作人形6を動作させるための駆動源となるものであり、ブラシ付き直流モーターが用いられる。そして、直流モーター3としては、オーディオ用アンプ2から出力される交流電圧の大きさで作動可能なモーターが用いられる。なお、本発明では、直流モーター3に交流電圧が敢えてそのまま印加される。
【0017】
本実施形態では、直流モーター3はケーブル4を介してオーディオ用アンプ2のスピーカー用出力プラス端子2a+及びマイナス端子2a−に対して並列に接続される。なお、オーディオ用アンプ2のスピーカー用出力端子2a+及び2a−に対する直流モーター3の接続のされ方は本実施形態の接続のされ方に限られるものではなく、図2(A)に示すように、スピーカー用出力端子2a+及び2a−に対して直流モーター3が直列に接続されるようにしても良い。さらに、一つのオーディオ用アンプ2に対して接続される直流モーター3の個数は一個に限られるものではなく、図2(B)に示すように、二個の直流モーター3がスピーカー用出力端子2a+及び2a−に対して直列に、且つ直流モーター3相互は並列に接続されても良い。
【0018】
直流モーター3がオーディオ用アンプ2と接続される際には、直流モーター3端子間の抵抗がオーディオ用アンプ2のスピーカー出力部のインピーダンス内におさまるように調整される。このために、直流モーター3が、上述したように、直列若しくは並列に接続されたり、直列及び並列を組み合わせて接続されたりする。具体的には例えば、スピーカー出力部のインピーダンスが6〜16Ω程度の場合には、直流モーター3端子間の抵抗は5〜7Ω程度に設定されることが考えられる。また、インピーダンスの調整は、モーターの巻線抵抗を変更して直流モーター3自体のインピーダンスを調整することによって行うようにしても良いし、直流モーター3の接続のされ方と直流モーター3自体のインピーダンスの設定とによって行うようにしても良い。
【0019】
ケーブル4は、オーディオ用アンプ2から出力される交流電圧を伝達可能なケーブルが用いられる。具体的には例えば、一般的なオーディオセットにおいてアンプとスピーカーとを接続するケーブルが用いられる。なお、本実施形態では、ケーブル4のオーディオ用アンプ2と反対側の端部はオーディオ用スピーカー(図示省略)と接続されている。
【0020】
本発明では、オーディオ用アンプ2のスピーカー用出力端子2a+,2a−から出力される交流電圧が直流モーター3に印加されるので、直流モーター3のシャフト3aは印加される交流電圧の周波数及び音の強弱に応じて作動し、周波数が低い場合には回転の変位量が比較的大きくなって揺動し、周波数が高い場合には回転の変位量が僅かになって振動する。具体的には、交流電圧の周波数の大きさおよそ120Hzを境として、概ね120Hzから低い帯域の周波数の場合には直流モーター3のシャフト3aは揺動し、概ね120Hzよりも高い帯域の周波数の場合にはシャフト3aの動作は回転運動とはならず振動する。
【0021】
ここで、例えば、楽曲中の歌声(バスからソプラノまで)の基音の周波数帯域は概ね90Hz〜1KHz程度であるので、歌声の再生に連動しては、直流モーター3のシャフト3aは殆ど振動する。また、楽曲中の楽器については、例えば、ギター(基音の周波数帯域が概ね85Hz〜750Hz程度)やバスサキソホーン(同じく60Hz〜350Hz程度)やドラム(同じく95Hz〜180Hz程度)やピアノ(同じく30Hz〜5KHz)やトロンボーン(同じく90Hz〜500Hz)の再生に連動しては、シャフト3aは揺動及び振動する。一方、例えば、ソプラノサキソホーン(基音の周波数帯域が概ね250Hz〜1.5KHz)の再生に連動しては、シャフト3aは振動する。なお、複数の楽器が同時に演奏される楽曲で複数の周波数の音が同時に再生される場合には、複数の楽器のうち音量が大きい即ちレベルが大きい楽器の周波数に応じた動作が顕著に表れる。
【0022】
さらに、本発明では、オーディオ用アンプ2のスピーカー用出力端子2a+,2a−から出力される交流電圧が直流モーター3に印加されるので、直流モーター3のシャフト3aは印加される交流電圧の大きさに応じた早さで動作をする。具体的には、再生される楽曲の音量が大きく出力される交流電圧が大きいほど直流モーター3のシャフト3aは素早く動き、再生される楽曲の音量が小さく出力される交流電圧が小さいほどシャフト3aはゆっくりと動く。
【0023】
また、本実施形態では、図3に示すように、直流モーター3のシャフト3aの先端に連結具を介してコイルばね3bが固定され、このコイルばね3bの先端に連結具を介して演奏動作人形6の剛な支持軸6aが固定されている。すなわち、コイルばね3b及び支持軸6aを介して演奏動作人形6が直流モーター3のシャフト3aに固定されている。また、シャフト3aと支持軸6aとの間にコイルばね3bを設けることにより、コイルばね3bを設けない場合と比べ、シャフト3aの動作による演奏動作人形6の動作が増幅される。なお、図3において、符号5は、直流モーター3並びに演奏動作人形6の安定を確保するための基台をあらわす。
【0024】
本実施形態の演奏動作人形6はギターの演奏を模擬する人形であり、脚部6b,胴体部6c,頭部6d,上腕部6eからなる動作部本体6b〜6e並びにギターを模した部品7は剛性が高い材料で形成され、前腕及び手6fは剛性が低く可撓性を有する材料で形成される。前腕及び手6fの一端は上腕部6eの先端部にビス又は接着剤により結合される。なお、動作部本体6b〜6eは、シャフト3aの揺動に伴って支持軸6aが揺動した場合に動作部本体6b〜6eが大きく撓むことがない程度の剛性を少なくとも有することが望ましい。一方、前腕及び手6fについては、シャフト3aの揺動や振動に伴って撓んだり細かく振れたりする程度の可撓性を少なくとも有することが望ましい。
【0025】
以上のように構成された演奏動作人形6によれば、直流モーター3のシャフト3aが揺動したり振動したりする場合に、支持軸6aの揺動や振動に従って動作部本体6b〜6e全体は一体として揺動したり振動したりする。そして、前腕及び手6fは、支持軸6aが揺動する場合には上腕部6eとの付け根部分を支点として振り子のように揺れ、支持軸6aが振動する場合には細かく振れて振動部となる。
【0026】
上述した本発明の楽曲連動作動方法を演奏動作人形に適用した楽曲連動作動装置1の動作を以下に説明する。
【0027】
カセットデッキやCDプレーヤー等の楽曲再生装置(図示省略)から出力される楽曲再生信号がオーディオ用アンプ2に入力される。楽曲再生信号はオーディオ用アンプ2によってオーディオ用アンプ2と接続されるスピーカーの規格に適合するエネルギーまで増幅されてスピーカー用出力端子2a+,2a−から交流電圧として出力される。
【0028】
スピーカー用出力端子2a+,2a−から出力された交流電圧が直流モーター3に印加され、直流モーター3のシャフト3aは印加された交流電圧の周波数及び音の強弱に応じて揺動や振動をする。このシャフト3aの揺動や振動は支持軸6aを介して演奏動作人形6に伝えられ、支持軸6aの揺動や振動によって演奏動作人形6の動作部本体6b〜6eが揺動したり振動したり、振動部である前腕及び手6fが大きく揺れたり細かく振れたりする。
【0029】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、本実施形態では、本発明の楽曲連動作動方法並びに装置を演奏動作人形に適用した場合について説明したが、本発明が適用される仕掛けは演奏動作人形に限られない。具体的には例えば、楽団の指揮を模擬する指揮動作人形に適用しても良いし、舞踊やダンスを模擬する舞踏動作人形に適用しても良いし、動物や多様なキャラクターを作動させる仕掛けに適用することもできる。さらにまた、ピアノの鍵盤やギターの弦など楽器を動作させるようにしても良いし、人形と楽器とを同時に動作させるようにしても良い。
【0030】
また、本実施形態では、直流モーター3のシャフト3aの回転動作が軸心を中心として回転する動きとしてそのまま支持軸6aに伝達され、動作体としての演奏動作人形6が支持軸6aの軸心を中心として揺動したり振動したりする場合について説明したが、シャフト3aの回転動作の伝達と動作体の動作とはこれに限られない。具体的には例えば、歯車等を介してシャフト3aの回転運動が上下方向の運動として支持軸6aに伝達され、動作体が上下運動するようにしても良いし、歯車等を介してシャフト3aの回転運動によって支持軸6aが横方向に運動するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の楽曲連動作動装置の実施形態の一例を示す図である。
【図2】直流モーターの接続のされ方の例を説明する図である。(A)は直流モーターがスピーカー用出力端子に対して直列に接続される場合を説明する図である。(B)は直流モーターがスピーカー用出力端子に対して直列に接続されると共に二個の直流モーター相互が並列に接続される場合を説明する図である。
【図3】本発明の実施形態の一例を示す図であって、本発明を演奏動作人形に適用した場合の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1 楽曲連動作動装置
2 オーディオ用アンプ
2a+,2a− スピーカー用出力端子
3 直流モーター
4 接続ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオ用アンプのスピーカー用出力端子から出力される交流電圧を印加して直流モーターを作動させ、前記直流モーターのシャフトの動作を伝達する支持軸に支持され剛性を有する動作部本体と該動作部本体に連接され可撓性を有する振動部とを含む動作体を再生される楽曲と連動させて動作させることを特徴とする楽曲連動作動方法。
【請求項2】
スピーカー用出力端子を有するオーディオ用アンプと、直流モーターと、前記直流モーターのシャフトの動作を伝達する支持軸と、前記支持軸に支持され剛性を有する動作部本体と該動作部本体に連接され可撓性を有する振動部とを含む動作体とを有することを特徴とする楽曲連動作動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−93236(P2008−93236A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−279679(P2006−279679)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【出願人】(000220136)日本電産ピジョン株式会社 (23)
【Fターム(参考)】