説明

構成部品の支持体を備える空調システム

【課題】冷媒の漏洩を制限して、自動車内の空調回路内の圧力降下を制限するように構成されている空調システムを提供する。
【解決手段】冷媒FRが循環する空調回路(4)と、熱交換流体FCが循環する第1の二次回路(5)との構成要素である少なくとも1つの冷媒/熱交換流体熱交換器(13)、前記空調回路(4)と、熱交換液体LCが循環する第2の二次回路(6)との構成要素である冷媒/熱交換液体熱交換器(14)、内部熱交換器(19)および分配ユニット(22)を含む部品群を備えている、自動車の空調システム(1)であって、前記部品群(13、14、19、22)が据え付けられている支持体(100)を備えていることを特徴とする空調システム(1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の換気・暖房および/または冷房設備の分野に関する。より詳細には、本発明は、構成部品が、冷媒の漏洩の危険性をなくすように配置されている空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には、通常、車室内の空気の空気熱力学的パラメータを調整するための空調システムが装備されている。このような調整は、車室内に、内部空気流を送り出すことによって行われる。空調システムは、車室内への空気の送り出しの前に、空気流を循環させるためのチャネルを有する、換気・暖房および/または冷房設備を備えている。この換気・暖房、および/または冷房設備は、プラスチック材料から成り、かつ車両のダッシュボードの下に収容されているハウジングを備えている。
【0003】
ハウジングから車室内への内部空気流の放出に先立って、内部空気流の温度を調整するために、空調システムは、R744として知られている二酸化炭素のような冷媒が循環する空調回路を備えている。空調回路は、冷媒を昇圧させるためのコンプレッサ、および液体状態の冷媒のコンプレッサ内への流入を阻止するためのアキュムレータなどの複数の部材を備えている。さらに空調回路は、冷媒と内部空気流との間の連続的な熱交換を可能にするための複数の冷媒/内部空気流熱交換器を備えている。これらの冷媒/内部空気流熱交換器は、ハウジングから車室への内部空気流の放出に先立って、内部空気流がそれらの冷媒/内部空気流熱交換器を通過するように、換気・暖房および/または冷房設備の内部に配置されている。さらに空調回路は、冷媒/内部空気流熱交換器間に挿入された減圧手段を備えている。この減圧手段は、空調回路内で、冷媒の圧力を減圧させるためのものである。空調回路は、さらに、冷媒と周囲空気流との間の熱交換を可能にするための冷媒/周囲空気熱交換器を備えている。冷媒/周囲空気熱交換器は、冷媒と、車両の外部の空気流のような周囲空気流との間の熱交換を容易にするために、車両前面に配置されている。最後に、空調回路は、上述の各部品間の冷媒の循環を管理するための分配ユニットを備えている。
【0004】
この分配ユニットは、空調回路を、暖房モードまたは冷房モードで動作させるようになっている。暖房モードにおいては、空調回路は、内部空気流を加熱することができ、一方、冷房モードにおいては、空調回路は内部空気流を冷却するようになっている。これらの2つのモード間の空調回路の動作の変更は、分配ユニットの有する各開口間で、分配ユニット内の冷媒の循環を調整することによって得られる。
【0005】
上述の空調システムにおける1つの問題は、この空調システムが、冷媒の漏洩の危険性を制限するように構成されていないということである。さらに、このような空調システムの自動車への設置は、複雑で困難になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主たる目的は、空調回路、第1の二次回路、および第2の二次回路を備え、かつ冷媒の漏洩を制限して、空調回路内の圧力降下を制限するように構成されている空調システムを提供することである。本発明の別の目的は、自動車に容易に設置しうる空調システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による空調システムは、冷媒FRが循環する空調回路、熱交換流体が循環する第1の二次回路、および熱交換液体LCが循環する第2の二次回路のいずれかの構成部品から成る部品群を備えている。この空調システムは、部品群が据え付けられている支持体を備えている。
【0008】
この支持体は、空調回路の部品と、第1および第2の二次回路の部品とを接続するための内管を有する統合組立体である。さらに、統合組立体である支持体は、少なくとも1つの分配ユニット、冷媒と第1の二次回路を循環している熱交換流体との間の熱交換器、冷媒と第2の二次回路を循環している熱交換液体との間の熱交換器、高圧/高温の冷媒と低圧/低温の冷媒との間の熱交換のための内部熱交換器、および空調回路内を循環している冷媒の液体状態の部分を、分離および/または捕獲するためのアキュムレータまたはシリンダを保持している。
【0009】
統合組立体である支持体は、任意選択に制御システムが付随している電動コンプレッサまたはハイブリッドコンプレッサ(すなわち、電気エンジン駆動と組み合わせて、内燃エンジンを用いて機械的に駆動するコンプレッサ)を保持していると有利である。
【0010】
最後に、統合組立体である支持体は、連結された複数の部分組立品から成っている場合もあるし、または単一構造、すなわち単一体から成っている場合もある。
【0011】
支持体は、金属材料またはプラスチック材料からなっている。
【0012】
支持体は、例えば上述の部品群が取り付けられている上面を有する台状に構成されている。
【0013】
支持体は、また、例えば上述の部品群が据え付けられている容積を画定しているケージ状に構成されている。
【0014】
支持体は、車両シャーシへの少なくとも1つの取り付け手段を備えていると有利である。
【0015】
支持体は、少なくとも1つの把持手段を備えていることが望ましい。
【0016】
部品群には、少なくとも1つの電動コンプレッサまたはハイブリッドコンプレッサ、1つの内部熱交換器、1つの冷媒/熱交換流体熱交換器、および1つの冷媒/熱交換液体熱交換器が含まれていることが好ましい。
【0017】
部品群には、分配ユニットが含まれていると有利である。
【0018】
部品群には、第1の二次回路の構成要素である第1のポンプ、および第2の二次回路の構成要素である第2のポンプが含まれていることが望ましい。
【0019】
第1の二次回路に、熱交換流体/内部空気流熱交換器に接続するための第1の手段が設けられており、第2の二次回路に、熱交換液体/内部空気流熱交換器に接続するための第2の手段が設けられていることが好ましい。
【0020】
空調システムは、冷媒/周囲空気熱交換器を備えていると有利である。
【0021】
一実施形態によれば、冷媒/周囲空気熱交換器は、支持体に取り付けられている。
【0022】
別の一実施形態によれば、空調回路に、冷媒/周囲空気熱交換器に対する連結手段が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態による空調システムの概要図である。
【図2】本発明の第2の実施形態による空調システムの概要図である。
【図3】図1または図2に示されている空調システムの部分概要図である。
【図4】図1または図2に示されている空調システムの別の部分概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
添付図面を参照して、本発明の実施形態に関する説明を読むことによって、本発明をより明瞭に理解することができると思う。
【0025】
図1および図2に示すように、車室内の空気の空気熱力学的パラメータを調整するための空調システム1が、自動車に装備されている。このような調整は、車室内に、内部空気流2を送り出すことによって行われる。
【0026】
これを行うために、空調システム1は、次のものを備えている。
− 車室内への内部空気流2の送り出しの前に、内部空気流2を流すようになっているチャネルを有する、換気・暖房および/または冷房の設備3。
− R744として知られている二酸化炭素、またはHFO−1234yfとして知られている共沸混合物のような冷媒FR(超臨界状態にあることが好ましい)が内部を循環する空調回路4。
− 水とグリコールとの混合物のような熱交換流体FCが内部を循環する第1の二次回路5。
− 水とグリコールとの混合物のような熱交換液体LCが内部を循環する第2の二次回路6。
【0027】
換気・暖房および/または冷房設備3は、主として、プラスチック材料から成り、かつ例えば車両のダッシュボードの下に収容されているハウジング7を有している。この換気・暖房および/または冷房設備3は、内部空気流2を、ハウジング7が有する少なくとも1つの空気吸入開口9から、少なくとも1つの空気放出開口10まで循環させるための送風機8を備えている。空気放出開口10によって、内部空気流2を、ハウジング7から車室に送り出すことができる。
【0028】
車室内への内部空気流2の送り出しに先立って、内部空気流2の温度を調整するために、この換気・暖房および/または冷房設備3は、熱交換流体FCと内部空気流2との間の熱交換を可能にする熱交換流体/内部空気流熱交換器11、および熱交換液体LCと内部空気流2との間の熱交換を可能にする熱交換液体/内部空気流熱交換器12を備えている。
【0029】
熱交換流体/内部空気流熱交換器11は、第1の二次回路5の1つの構成要素を成している。第1の二次回路5には、さらに、冷媒FRと熱交換流体FCとの間の熱交換を可能にする冷媒/熱交換流体熱交換器13が含まれている。第1の二次回路5には、熱交換流体FCを、熱交換流体/内部空気流熱交換器11と冷媒/熱交換流体熱交換器13との間に循環させるための第1のポンプP1が含まれている。
【0030】
熱交換液体/内部空気流熱交換器12は、第2の二次回路6の1つの構成要素を成している。第2の二次回路6には、さらに、冷媒FRと熱交換液体LCとの間の熱交換を可能にする冷媒/熱交換液体熱交換器14が含まれている。第2の二次回路6には、最後に、熱交換液体LCを、熱交換液体/内部空気流熱交換器12と冷媒/熱交換液体熱交換器14との間に循環させるための第2のポンプP2が含まれている。
【0031】
冷媒/熱交換流体熱交換器13、冷媒/熱交換液体熱交換器14は、また、空調回路4の構成要素をもなしており、それぞれ冷媒FRと熱交換流体FC、冷媒FRと熱交換液体LCとの間の熱交換を可能にしている。
【0032】
空調回路4は、さらに、冷媒FRを昇圧させるための電動コンプレッサ、またはハイブリッドコンプレッサ15を備えている。電動コンプレッサまたはハイブリッドコンプレッサ15は、液体状態の冷媒FRの、電動コンプレッサまたはハイブリッドコンプレッサ15内への流入を阻止するためのアキュムレータ16と流体連絡していることが好ましい。空調回路4は、さらに、冷媒/周囲空気熱交換器17を備えている。冷媒/周囲空気熱交換器17は、冷媒FRと、冷媒/周囲空気熱交換器17を通過する周囲空気流18との間の熱交換を可能にする。周囲空気流18は、具体的には、車両の外部の空気流である。冷媒FRと周囲空気流18との間の熱交換を促進するために、冷媒/周囲空気熱交換器17は、車両の前面に配置されることが好ましい。空調回路4は、さらに、冷媒FRの圧力を、高圧から低圧に減圧させるための複数の減圧手段D1、D2、D3を備えている。減圧手段D1、D2、D3は、具体的には、電子制御される減圧装置である。動作モードに応じて、空調回路4には、それぞれに、電動コンプレッサまたはハイブリッドコンプレッサ15と、減圧手段D1、D2、D3のうちの少なくとも1つとの間に設けられる複数の高圧ラインHP1、HP2、HP3、およびそれぞれに、減圧手段D1、D2、D3のうちの少なくとも1つと、電動コンプレッサまたはハイブリッドコンプレッサとの間に設けられる複数の低圧ラインBP1、BP2、BP3が形成されている。空調回路4は、最後に、高圧チャネル20および低圧チャネル21を有する内部熱交換器19を備えており、高圧チャネル20内を循環する冷媒FRと、低圧チャネル21内を循環する冷媒FRとの間で熱交換が可能である。空調回路4の各動作モードに応じて、高圧チャネル20は、高圧ラインHP1、HP2、HP3のうちの1つの一部を構成し、一方、低圧チャネル21は、低圧ラインBP1、BP2、BP3のうちの1つの一部を構成している。
【0033】
空調回路4は、内部空気流2が、熱交換流体/内部空気流熱交換器11、および熱交換液体/内部空気流熱交換器12によって加熱される暖房モードで動作するようになっている。空調回路4は、さらに、内部空気流2が、熱交換液体/内部空気流熱交換器12によって冷却される冷房モードで動作することができる。このとき、熱交換流体/内部空気流熱交換器11は作動しない。最後に、空調回路4は、内部空気流2が、まず、熱交換液体/内部空気流熱交換器12によって冷却され、次いで、内部空気流2の流れ方向32で見て、熱交換液体/内部空気流熱交換器12の下流に配置されている熱交換流体/内部空気流熱交換器11によって加熱される除湿モードで動作するようになっている。
【0034】
より詳細には、第2の二次回路6を循環する熱交換液体LCは、冷房モードおよび除湿モードにおいては、冷却源として働き、一方、暖房モードにおいては、換気・暖房および/または冷房の設備3のハウジング7内に収容されている熱交換流体/内部空気流熱交換器11に対する補助加熱源として働くことに注意されたい。暖房モードにおいては、冷媒/熱交換液体熱交換器14は、空調回路内を循環している冷媒FRを冷却するガス冷却器として働き、それによって、暖房モードにおける動作時の空調回路の性能を向上させる作用を有する。したがって、冷媒/熱交換液体熱交換器14は、冷媒FRが循環する空調回路4の1つの構成要素を成している。空調回路4は、電動コンプレッサまたはハイブリッドコンプレッサ15、冷媒/周囲空気熱交換器17、少なくとも3つの減圧手段D1、D2、D3(以下に記述されるように分配ユニット22内でグループ化されていると有利である)、空調回路4と、熱交換流体FCが循環する第1の二次回路5との両方の構成要素である冷媒/熱交換流体熱交換器13、空調回路4と、熱交換液体LCが循環する第2の二次回路6との両方の構成要素である冷媒/熱交換液体熱交換器14、および内部熱交換器19を備えている。空調回路4は、次のモードで動作する。
− 冷媒/周囲空気熱交換器17は、周囲空気から熱を吸収し、冷媒/熱交換流体熱交換器13および冷媒/熱交換液体熱交換器14は、それぞれ熱交換流体FCおよび熱交換液体LCに熱を放出する暖房モード。
− 冷媒/周囲空気熱交換器17は周囲空気に熱を放出し、冷媒/熱交換流体熱交換器13は稼動せず、また冷媒/熱交換液体熱交換器14は熱交換液体LCから熱を吸収する冷房モード。
− 冷媒/周囲空気熱交換器17は周囲空気から熱を吸収し、冷媒/熱交換流体熱交換器13は熱交換流体FCに熱を放出し、また冷媒/熱交換液体熱交換器14は熱交換液体LCから熱を吸収する除湿モード。
暖房モードにおいては、冷媒/熱交換流体熱交換器13が、冷媒FRのガス冷却器として働くことに加えて、冷媒/熱交換液体熱交換器14も、冷媒FRのガス冷却器として働く。
【0035】
さらに、例えば図1において、冷媒/熱交換液体熱交換器14は、空調回路において、冷媒/熱交換流体熱交換器13の下流で、それに直列に配置されており、空調回路が暖房モードにあるときには、どちらの熱交換器にも、高圧/高温状態の冷媒FRが通過するということに注意されたい。
【0036】
除湿モードにおいては、高圧/高温状態の冷媒が、冷媒/熱交換流体熱交換器13、内部熱交換器19を、順次通過する。次いで、冷媒/周囲空気熱交換器17および冷媒/熱交換液体熱交換器14への、冷媒FRの並列供給によって、冷媒FRが、分配ユニット22で二分割される。分配ユニットは、冷媒を2つの相異なる圧力レベルに減圧させる2つの減圧手段D1およびD2を備えている。第1の減圧手段D1を通過した冷媒の圧力は、第2の減圧手段D2を通過した冷媒の圧力より低い。
【0037】
冷媒/熱交換液体熱交換器14を通過した後、冷媒FRは、分配ユニット22に戻って、冷媒/周囲空気熱交換器17の流出開口における冷媒の圧力に等しい圧力まで、冷媒FRの圧力を減圧するための第3の減圧手段D3によって減圧される。第3の減圧手段D3の下流に、分配ユニットは、第3の減圧手段D3からの冷媒FRと、冷媒/周囲空気熱交換器17からの冷媒FRとを単一の冷媒に戻して、その全体をアキュムレータ16に放出するための「Y」字状の導管を有している。
【0038】
このような構成により、熱交換液体/内部空気流熱交換器12を冷媒のエバポレータとして動作させ、同時に、熱交換流体/内部空気流熱交換器11を冷媒のヒートシンクとして動作させるだけで、除湿機能を容易に遂行することが可能になる。
【0039】
空調回路4は、冷媒FRの9つの流入口E1〜E9、および冷媒FRの4つの流出口S1〜S4を有する分配ユニット22を備えている。この分配ユニット22は、空調回路4の内部の冷媒FRの循環を管理するようになっている。
【0040】
分配ユニット22は、分配ユニット22内への冷媒FRの第1の流入口E1および第2の流入口E2、および分配ユニット22からの冷媒FRの第1の流出口S1を有している。第1の流出口S1は、第1の流入口E1および第2の流入口E2と流体連絡している。より詳細には、冷媒FRを、第1の流入口E1から第1の流出口S1に流すことを可能にするために、第1の流入口E1と第1の流出口S1との間に、第1のチャネルC1が設けられている。同様に、冷媒FRを、第2の流入口E2から第1の流出口S1に流すことを可能にするために、第2の流入口E2と第1の流出口S1との間に、第2のチャネルC2が設けられている。第1のチャネルC1には、第1の減圧手段D1が取り付けられており、一方、第2のチャネルC2には、冷媒FRの第2のチャネルC2内の通過を可能にしたり、阻止したりするように作られている第1のバルブV1が取り付けられている。
【0041】
分配ユニット22は、分配ユニット22内への冷媒FRの第3の流入口E3および第4の流入口E4、および分配ユニット22からの冷媒FRの第2の流出口S2を有している。第2の流出口S2は、第3の流入口E3および第4の流入口E4と流体連絡している。より詳細には、冷媒FRを、第3の流入口E3から第2の流出口S2に流すことを可能にするために、第3の流入口E3と第2の流出口S2との間に、第3のチャネルC3が設けられている。同様に、冷媒FRを、第4の流入口E4から第2の流出口S2に流すことを可能にするために、第4の流入口E4と第2の流出口S2との間に、第4のチャネルC4が設けられている。第3のチャネルC3には、第2の減圧手段D2が取り付けられており、一方、第4のチャネルC4には、冷媒FRの第4のチャネルC4内の通過を可能にしたり、阻止したりするように作られている第2のバルブV2が取り付けられている。
【0042】
分配ユニット22は、分配ユニット22内への冷媒FRの第5の流入口E5、第6の流入口E6および第7の流入口E7、および分配ユニット22からの冷媒FRの第3の流出口S3を有している。第3の流出口S3は、第5の流入口E5、第6の流入口E6および第7の流入口E7と流体連絡している。より詳細には、冷媒FRを、第5の流入口E5から第3の流出口S3に流すことを可能にするために、第5の流入口E5と第3の流出口S3との間に、第5のチャネルC5が設けられている。同様に、冷媒FRを、第6の流入口E6から第3の流出口S3に流すことを可能にするために、第6の流入口E6と第3の流出口S3との間に、第6のチャネルC6が設けられている。最後に、同様に、冷媒FRを、第7の流入口E7から第3の流出口S3に流すことを可能にするために、第7の流入口E7と第3の流出口S3との間に、第7のチャネルC7が設けられている。第5のチャネルC5には、冷媒FRの第5のチャネルC5内の通過を可能にしたり、阻止したりすることができるように作られた第3のバルブV3が取り付けられている。第6のチャネルC6には、冷媒FRの第6のチャネルC6内の通過を可能にしたり、阻止したりすることができるように作られた第4のバルブV4が取り付けられている。第7のチャネルC7には、冷媒FRの第7のチャネルC7内の通過を可能にしたり、阻止したりすることができるようになっている第5のバルブV5が取り付けられている。
【0043】
分配ユニット22は、分配ユニット22内への冷媒FRの第8の流入口E8および第9の流入口E9、および分配ユニット22からの冷媒FRの第4の流出口S4を有している。第4の流出口S4は、第8の流入口E8および第9の流入口E9と流体連絡している。より詳細には、冷媒FRを、第8の流入口E8から第4の流出口S4に流すことを可能にするために、第8の流入口E8と第4の流出口S4との間に、第8のチャネルC8が設けられている。同様に、冷媒FRを、第9の流入口E9から第4の流出口S4に流すことを可能にするために、第9の流入口E9と第4の流出口S4との間に、第9のチャネルC9が設けられている。第8のチャネルC8には、冷媒FRの第8のチャネルC8内の通過を可能にしたり、阻止したりすることができるようになっている第6のバルブV6が取り付けられている。第9のチャネルC9には、第3の減圧手段D3が取り付けられている。第3の減圧手段D3に対する側路を設けることによって、第9の流入口E9と第4の流出口S4との間の冷媒FRの循環を可能にするために、第3の減圧手段D3に並列に、第7のバルブV7が配置されている。
【0044】
冷媒/周囲空気熱交換器17は、第7の流入口E7および第8の流入口E8と流体連絡している、冷媒FRの流出開口23を有している。冷媒/周囲空気熱交換器17は、さらに、第1の流出口S1と流体連絡されている、冷媒FRの流入開口24を有している。
【0045】
冷媒/熱交換液体熱交換器14は、第6の流入口E6および第9の流入口E9と流体連絡されている、冷媒FRの流出開口25を有している。冷媒/熱交換液体熱交換器14は、さらに、第2の流出口S2と流体連絡されている、冷媒FRの流入開口26を有している。
【0046】
内部熱交換器19は、第1の流入口E1および第3の流入口E3と流体連絡されている高圧流出口27を有している。内部熱交換器19は、さらに、第3の流出口S3と流体連絡している高圧流入口28を有している。高圧流出口27と高圧流入口28とは、高圧チャネル20を介して、互いに流体連絡している。さらに、内部熱交換器19は、電動コンプレッサまたはハイブリッドコンプレッサ15の冷媒流入口と流体連絡している低圧流出口29を有している。内部熱交換器19は、さらに、アキュムレータ16からの冷媒FRの流出口と流体連絡している低圧流入口30を有している。低圧流出口29と低圧流入口30とは、低圧チャネル21を介して、互いに流体連絡している。高圧チャネル20と低圧チャネル21とは、高圧チャネル20と低圧チャネル21とのうちの一方の内部を循環している冷媒FRと、他方の内部を循環している冷媒FRとの間の熱交換を可能にするように、配置されている。
【0047】
アキュムレータ16は、さらに、第4の流出口S4からの冷媒FRの流入開口31を有している。
【0048】
冷媒/熱交換流体熱交換器13は、流入開口38を通じて、電動コンプレッサまたはハイブリッドコンプレッサ15からの冷媒FRを受け、その冷媒FRを、流出開口39を通じて、冷媒/熱交換流体熱交換器13が流体連絡している第2の流入口E2または第4の流入口E4または第5の流入口E5に流出させる。
【0049】
第1の減圧手段D1、第2の減圧手段D2、第3の減圧手段D3は、それらがそれぞれ割り当てられている第1のチャネルC1、第3のチャネルC3、第9のチャネルC9内の冷媒FRの通過を可能にしたり阻止したりすることができるようになっている。
【0050】
冷媒FRの漏洩の危険性を最小にするために、本発明では、電動コンプレッサまたはハイブリッドコンプレッサ15、第1の二次回路5の冷媒/熱交換流体熱交換器13、第2の二次回路6の冷媒/熱交換液体熱交換器14、アキュムレータ16、内部熱交換器19、分配ユニット22、第1のポンプP1、第2のポンプP2などの、空調システム1の構成要素、すなわち空調回路4、第1の二次回路5、または第2の二次回路6の構成要素である部品を支持するための支持体100を、空調システム1に設けることを提案する。言い換えると、換気・暖房および/または冷房の設備3の内部に収容されている熱交換流体/内部空気流熱交換器11および熱交換液体/内部空気流熱交換器12、および車両の前面に配置される冷媒/周囲空気熱交換器17を除いて、電動コンプレッサまたはハイブリッドコンプレッサ15、第1の二次回路5の冷媒/熱交換流体熱交換器13、第2の二次回路6の冷媒/熱交換液体熱交換器14、アキュムレータ16、内部熱交換器19、分配ユニット22、第1のポンプP1、第2のポンプP2などの、空調回路4、第1の二次回路5および/または第2の二次回路6の構成要素である部品の全部または一部が、支持体100の容積上または容積内に据え付けられるようになっている。電動コンプレッサまたはハイブリッドコンプレッサ15、第1の二次回路5の冷媒/熱交換流体熱交換器13、第2の二次回路6の冷媒/熱交換液体熱交換器14、アキュムレータ16、内部熱交換器19、分配ユニット22、第1のポンプP1、第2のポンプP2などの部品の全部が、支持体100上または支持体100の容積内に据え付けられており、かつ支持体100は、これら部品間の流体連絡のための内管を有していることが好ましい。このような構成によって、冷媒FRの漏洩の危険性を制限し、空調回路4の内部の圧力降下を際立って少なくすることができる。
【0051】
このように、図1に示す第1の実施形態によれば、支持体100上に集められている部品は、電動コンプレッサまたはハイブリッドコンプレッサ15、アキュムレータ16、冷媒/熱交換流体熱交換器13、冷媒/熱交換液体熱交換器14、内部熱交換器19、分配ユニット22、第1のポンプP1、および第2のポンプP2である。この場合には、支持体100は、車両のエンジンルームのいずれの位置に配置するのにも適している。
【0052】
図2に示す第2の実施形態によれば、支持体100上、または支持体100内に集められている部品は、電動コンプレッサまたはハイブリッドコンプレッサ15、アキュムレータ16、冷媒/熱交換流体熱交換器13、冷媒/熱交換液体熱交換器14、内部熱交換器19、分配ユニット22、第1のポンプP1、第2のポンプP2、および冷媒/周囲空気熱交換器17である。本発明のこの第2の実施形態においては、冷媒/周囲空気熱交換器17は、支持体100内に組み込まれている、すなわち、支持体100が、冷媒/周囲空気熱交換器17を機械的に保持しているとともに、周囲空気は、支持体100を通り抜けて確実に循環することができる。この場合にも、冷媒の漏洩の危険性は少なくなる。
【0053】
この場合には、冷媒/周囲空気熱交換器17が、冷媒FRと周囲空気流18との間の最適な熱交換を可能にするように、支持体100は、車両の前面の領域に配置される。
【0054】
本発明の第1の実施形態においては、支持体100、および支持体100によって支持されている電動コンプレッサまたはハイブリッドコンプレッサ15、アキュムレータ16、冷媒/熱交換流体熱交換器13、冷媒/熱交換液体熱交換器14、内部熱交換器19、分配ユニット22、第1のポンプP1、第2のポンプP2を含む部品が、第2の実施形態においては、それらに加えて、冷媒/周囲空気熱交換器17が、一体として扱うのに適し、車両への組み込みを容易にするユニットアセンブリ101を形成している。これを可能にするために、支持体100は、車両に空調システム1を組み込むためにユーザがつかむことができる1対の取っ手、またはそれと同等の把持手段102を備えている。支持体100は、さらに、車両のエンジンルーム壁などの車両シャーシへの取り付け手段103を備えている。取り付け手段103は、ボルト締め、継ぎ手接合、クリップ留め、または同様の取り付け手法に基づくものであってもよい。保守管理を容易にするために、取り付け手段103は、解除可能であることが望ましい。
【0055】
第1の二次回路5には、熱交換流体/内部空気流熱交換器11と、第1のポンプP1および冷媒/熱交換流体熱交換器13との間に配置されている、1対の第1の接続手段104が設けられている。この第1の接続手段104は、例えば環状の、解除可能な接続スリーブタイプである。
【0056】
第2の二次回路6には、熱交換液体/内部空気流熱交換器12と、第2のポンプP2および冷媒/熱交換液体熱交換器14との間に配置されている、1対の第2の接続手段105が設けられている。この第2の接続手段105も、例えば環状の、解除可能な接続スリーブタイプである。
【0057】
図1においては、冷媒/周囲空気熱交換器17と、第1の流出口S1、および第7の流入口E7および第9の流入口E9との間に配置されている、1対の連結手段106が、空調回路4に設けられている。この連結手段106も、例えば環状の、解除可能な接続スリーブタイプである。
【0058】
図3において、支持体100は、金属またはプラスチックから成る台として構成されており、本発明の第1の実施形態の場合には、電動コンプレッサまたはハイブリッドコンプレッサ15、アキュムレータ16、冷媒/熱交換流体熱交換器13、冷媒/熱交換液体熱交換器14、内部熱交換器19、分配ユニット22、第1のポンプP1、および第2のポンプP2などの部品が、その上に据え付けられており、第2の実施形態の場合には、それらに加えて、冷媒/周囲空気熱交換器17も据え付けられている。
【0059】
図4において、支持体100は、金属またはプラスチックから成る、容積107を区画しているケージとして構成されている。本発明の第1の実施形態の場合には、電動コンプレッサまたはハイブリッドコンプレッサ15、アキュムレータ16、冷媒/熱交換流体熱交換器13、冷媒/熱交換液体熱交換器14、内部熱交換器19、分配ユニット22、第1のポンプP1、および第2のポンプP2を含む部品が、その中に収容されており、第2の実施形態の場合には、それらに加えて、冷媒/周囲空気熱交換器17も収容されている。この場合には、ケージは、金属ブロックの機械加工によって形成することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 空調システム
2 内部空気流
3 換気・暖房および/または冷房の設備
4 空調回路
5 第1の二次回路
6 第2の二次回路
7 ハウジング
8 送風機
9 空気吸入開口
10 空気放出開口
11 熱交換流体/内部空気流熱交換器
12 熱交換液体/内部空気流熱交換器
13 冷媒/熱交換流体熱交換器
14 冷媒/熱交換液体熱交換器
15 電動コンプレッサまたはハイブリッドコンプレッサ
16 アキュムレータ
17 冷媒/周囲空気熱交換器
18 周囲空気流
19 内部熱交換器
20 高圧チャネル
21 低圧チャネル
22 分配ユニット
23、25、39 流出開口
24、26、31、38 流入開口
27 高圧流出口
28 高圧流入口
29 低圧流出口
30 低圧流入口
32 流れ方向
100 支持体
101 ユニットアセンブリ
102 把持手段
103 取り付け手段
104 第1の接続手段
105 第2の接続手段
106 連結手段
107 容積
BP1〜BP3 低圧ライン
1〜C9 チャネル
1〜D3 減圧手段
1〜E9 流入口
FC 熱交換流体
FR 冷媒
HP1〜HP3 高圧ライン
LC 熱交換液体
1、P2 ポンプ
1〜S4 流出口
1〜V7 バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の空調システム(1)であって、少なくとも1つの冷媒/熱交換流体熱交換器(13)と、冷媒/熱交換液体熱交換器(14)と、内部熱交換器(19)と、分配ユニット(22)を含む部品群を備え、前記冷媒/熱交換流体熱交換器(13)は、冷媒FRが循環する空調回路(4)と熱交換流体FCが循環する第1の二次回路(5)とに属しており、前記冷媒/熱交換液体熱交換器(14)は、前記空調回路(4)と熱交換液体LCが循環する第2の二次回路(6)とに属している空調システム(1)において、前記空調システム(1)は、前記部品群(13、14、19、22)が搭載される支持体(100)を備えていることを特徴とする空調システム(1)。
【請求項2】
前記支持体(100)に据え付けられている電動コンプレッサ、またはハイブリッドコンプレッサ(15)が、前記部品群に含まれている、請求項1に記載の空調システム(1)。
【請求項3】
前記支持体(100)に据え付けられているアキュムレータ(16)が、前記部品群に含まれている、請求項1または2に記載の空調システム(1)。
【請求項4】
前記部品群は、第1のポンプ(P1)と、第2のポンプ(P2)を含み、前記第1のポンプ(P1)は、前記第1の二次回路(5)内の前記熱交換流体FCを循環させ、前記支持体(100)に搭載され、前記第2のポンプ(P2)は、前記第2の二次回路(6)内の前記熱交換液体LCを循環させ、前記支持体(100)に据え付けられている請求項1〜3のいずれかに記載の空調システム(1)。
【請求項5】
前記支持体(100)に搭載されている冷媒/周囲空気熱交換器(17)が、前記部品群に含まれている、請求項1〜4のいずれか1つに記載の空調システム(1)。
【請求項6】
前記支持体(100)は、前記部品群が搭載されている台として構成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1つに記載の空調システム(1)。
【請求項7】
前記支持体(100)は、前記部品群が搭載され、所定の内部容積(107)を画定するケージとして構成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1つに記載の空調システム(1)。
【請求項8】
前記支持体(100)は、車両シャーシへの少なくとも1つの取り付け手段(103)、および少なくとも1つの把持手段(102)を備えていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1つに記載の空調システム(1)。
【請求項9】
前記第1の二次回路(5)に、熱交換流体/内部空気流熱交換器(11)に接続するための第1の手段(104)が設けられており、前記第2の二次回路(6)に、熱交換液体/内部空気流熱交換器(12)に接続するための第2の手段(105)が設けられていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の空調システム(1)。
【請求項10】
前記空調回路(4)に、前記冷媒/周囲空気熱交換器(17)に対する連結手段(106)が設けられていることを特徴とする、請求項5に記載の空調システム(1)。
【請求項11】
冷媒FRが循環する空調回路(4)であって、コンプレッサ(15)と、冷媒/周囲空気熱交換器(17)と、少なくとも3つの減圧手段(D1、D2、D3)と、冷媒/熱交換流体熱交換器(13)と、冷媒/熱交換液体熱交換器(14)と、内部熱交換器(19)を備え、前記冷媒/熱交換流体熱交換器(13)は、前記空調回路(4)と熱交換流体FCが循環する第1の二次回路(5)とに属し、前記冷媒/熱交換液体熱交換器(14)は、前記空調回路(4)と熱交換液体LCが循環する第2の二次回路(6)とに属する空調回路(4)において、
−暖房モードでは、前記冷媒/周囲空気熱交換器(17)は周囲空気により加熱され、一方、前記冷媒/熱交換流体熱交換器(13)および前記冷媒/熱交換液体熱交換器(14)は、前記熱交換流体FCおよび前記熱交換液体LCにより冷却され、
−空調モードでは、前記冷媒/周囲空気熱交換器(17)は周囲空気により冷却され、一方、前記冷媒/熱交換流体熱交換器(13)は稼動せず、また前記冷媒/熱交換液体熱交換器(14)は前記熱交換液体LCにより加熱され、
−除湿モードでは、前記冷媒/周囲空気熱交換器(17)は周囲空気により加熱され、前記冷媒/熱交換流体熱交換器(13)は前記熱交換流体FCにより冷却され、また前記冷媒/熱交換液体熱交換器(14)は前記熱交換液体LCにより加熱される、
という動作をする空調回路(4)において、
前記暖房モードにおいては、前記冷媒/熱交換流体熱交換器(13)は、前記冷媒FRのガス冷却器として働き、かつ前記冷媒/熱交換液体熱交換器(14)も、前記冷媒FRのガス冷却器として働くようになっている空調回路(4)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−126522(P2011−126522A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−281288(P2010−281288)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(505113632)ヴァレオ システム テルミク (81)
【Fターム(参考)】