説明

構造化された金属薄板ストリップを製作するためのプロセスおよび装置

この発明は、構造化された金属薄板ストリップ(1)を製作するための方法に関し、この発明は、少なくとも以下のステップ、すなわち、案内方向(4)に沿って成形装置(3)に平滑な金属薄板ストリップ(1)を供給するステップと、成形装置(3)によって平滑な金属薄板ストリップ(1)に主構造(5)を形成するステップとを含み、その間に、多数の別個の成形工具(6)は、案内方向(4)に対して実質的に垂直な態様で金属薄板ストリップ(1)に作用する。この発明はまた、起伏の高さに対する起伏の長さの比率が特に低い、構造化された金属薄板ストリップ(1)を製作することのできる、構造化された金属薄板ストリップ(1)を製作するための装置(3)にも関する。この種の構造化された金属薄板ストリップ(1)は特に、移動体の排気ガス系内の浄化用構成要素を製作するために使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主構造を有する、構造化された金属薄板ストリップを製作するためのプロセスと、金属薄板ストリップに少なくとも1つの主構造を導入するための装置とに関する。この種の構造化された金属薄板ストリップは、好ましくは、移動体の内燃機関用の排気ガス浄化用構成要素を製作するために使用される。
【背景技術】
【0002】
移動体の内燃機関、たとえば始動−点火およびディーゼルエンジン等からの排気ガスを処理するために、排気管内に相対的に大きな表面積を設けた構成要素または構造を配置することが公知である。これらの構成要素には、吸着性であって触媒的に活性な被覆、または同様の被覆が一般に設けられ、これらの構成要素の表面積が大きいため、流通する排気ガスとの密着が実現される。このような構成要素の例には、排気ガスに含まれる粉塵をフィルタ除去するためのフィルタ素子、少なくとも限られた期間にわたって排気ガスに含まれる汚染物質(NOx等)を蓄積するための吸着装置、触媒コンバータ(三元触媒、酸化触媒、還元触媒等)、流通する排気ガスの流れおよび/または渦流に働きかけるためのディフューザ、または代替的に、特に内燃機関によるコールドスタートの直後に排気ガスを予め定められた温度まで加熱する加熱素子が含まれる。自動車の排気系内での使用条件を考慮すると、以下のような支持基板、すなわち、セラミックハニカム体、押出成形されたハニカム体、および金属箔で形成されたハニカム体が基本的に適切であることが分かった。これらの支持基板が、その機能面で常に改造されなければならないという点を考慮すると、高温耐性および耐食性を有する金属薄板箔が、出発材料としての使用に特に適する。
【0003】
少なくとも部分的に構造化された複数の金属薄板箔を有するハニカム体を製作することが公知である。これらのハニカム体はその後、筐体内に導入されて、上述の1つ以上の被覆が設けられ得る支持体を形成する。少なくとも部分的に構造化された金属薄板箔は、互いに実質的に平行に配置された通路を形成するような態様で配置される。このことを確実に行なうために、一例として、金属薄板箔の一部には主構造が設けられる。この主構造は、特に、規則的な繰返し構造、特に、正弦波の一種、鋸歯状構造、方形波状の波形、デルタ波状の波形、オメガ状の波形等によって特徴付けられる。主構造を設けた金属薄板箔は、その後、互いの上に積重ねられ(適切であれば、平滑な中間層と交互に配置され)、相互に巻付けられて、筐体内に嵌合される。この金属薄板箔を筐体に接合した後に、実質的に平行な通路を有するハニカム体が得られる。
【0004】
このような金属薄板箔(平滑な箔および/または主構造を有する箔)に第2の小さな構造を導入することもまた公知である。この第2の小さな構造は特に、排気ガスがハニカム体に入った直後における層流の形成を防止するためのものである。層流が形成された場合、この種の通路の中央部に位置する一部の排気ガス流の領域と、たとえば、触媒的に活性な通路の壁部領域との間でガス交換が生じない。したがって、この副構造は、流れに対向する面を設け、この種の通路の内部で排気ガス流の一部が渦巻くようにする。これにより、排気ガス流の一部自体の集中的な混合を生じ、それにより、排気ガスに含まれる汚染物質と通路の壁部とが確実に密接する。この種の副構造を用いて、通路に対して横方向に延びる流路を形成することも可能であり、隣接する通路内で、排気ガス流の一部のガス交換が可能となる。このため、たとえば、案内面、微細構造、ラグ、突起、羽根、タブ、孔部等を含む副構造が公知である。この点に関し、セラミック材料で形成されるハニカム体に比べ、金属のハニカム体を製作すると、極めて広範囲にわたる変形例が生じる。なぜなら、押出動作ではこのように複雑な通路の壁部を実現することができないためであり、または、特に技術上の高コストをかけた場合にのみ、押出動作によってこのように複雑な通路
の壁部の実現が可能であるためである。
【0005】
さらに、排気ガスの処理については、排気ガスに含まれる汚染物質が、エンジン始動のほぼ直後に変換されることに対して特に関心が持たれている。法による規定または指針によると、このことは、特に高効率で行なわれるべきである。そのため、一段と薄い金属薄板箔がこれまで使用されてきた。極めて薄い金属薄板箔は、領域固有の熱容量が極めて低いことを意味する。このことは、流通する排気ガスから相対的に少ない量の熱が抽出されること、または、金属薄板自体が相対的に迅速に温度上昇を受けることを意味する。このことは重要である。なぜなら、たとえば、排気系で現在使用される、触媒的に活性な被覆は、約230℃〜270℃の温度である、或る一定の着火温度を超えた後にのみ、汚染物質の変換を開始するためである。少なくとも98%の効率で、わずか数秒後に汚染物質を変換することを目指し、たとえば20μm未満の厚さの金属薄板箔が使用される。
【0006】
しかしながら、上に挙げた目的を考えると、製造上および適用上の多数の問題が存在する。このような微細構造、特に副構造の製作には、通常極めて高価であるがゆえに長い耐用寿命を有していなければならない、特に精密な工具が必要とされる。この場合、相対的に薄い箔厚が、相対的に「穏やかな」変形を必要とすることにも注意されるべきである。このような薄い金属箔は特に、冷間加工硬化する傾向がある。この冷間加工硬化は、特に、複数回変形を行なったときに生じる。このことは、材料の脆化を招き、排気系内で生じる高温負荷および動荷重を特に考えた場合、構成要素の故障をすぐに招き得る。さらに、金属薄板箔が一般に、変形中に圧搾されてはならないことを考慮すべきである。なぜなら、これによって材料の裂けがすぐに生じ得るためである。このようなひびは、場合によっては極めて小さなものであるが、ひびの伝播源となり、後の使用中における変動熱応力により、同じく構成要素の機能を脅かす。さらに、金属薄板箔は、製作中に折れるか、または丸まる傾向が防止されるべきである。折れることにより、たとえば、或る状況下で通路の閉鎖またはひびの形成を生じ、これらのひびは、自動車の排気系内における、以降の応力によって伝播し、ハニカム体の構造上の整合性を脅かす。この種の、折れたか、または変形した主および/または副構造が、排気ガスに対する所望しない妨害となることにより、或る状況下では排気ガス本体の上流で動圧の上昇が観察され、このことが、エンジン出力の低下を招く恐れがある。
【0007】
金属薄板箔に対し、互いに係合する倣削り工具(profiling tool)により、たとえば波形を回転するプロセスによって主構造を設けることが公知である。円周方向に倣削りが施された2つのローラを通って平滑な金属薄板ストリップが案内される。これらのローラの軸は、曲げ面に対して垂直に位置付けられる。これらのローラには、たとえば倣削り用のインボリュート歯が装着され、ローラの倣削り歯は、互いに係合する。しかしながら、この場合、変形されるべき金属薄板ストリップが、倣削り歯の頭部による同時変形により、倣削り歯の逃げ面に接して部分的に動かなくなる危険性がある。これにより、しばしば、材料が逃げ面の領域で圧縮され、倣削り歯の頭部の周辺部にひびが形成される。この製作プロセスに関するさらに別の制約とは、生成される主構造が、波形ローラの輪郭を実質的に再現することであり、歯が次々に回転していくこと、または、歯がこの回転現象のために或る一定の剛性を必要とすることにより、波形ローラの輪郭自体が制限されてしまう。この場合、主構造の波形高さに対する波形長さの極めて特定的な比率しか生じ得ない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これに基づいて研究を行なったところ、上述の技術上の問題を克服することが、この発明の目的である。特に、構造化された金属薄板ストリップを製作するためのプロセスを提供することがこの発明の目的であり、このプロセスは、安価であり、好ましくは連続して実施され得、金属薄板箔の過剰な冷間加工硬化を回避し、極めて広範囲の主構造および副
構造が実現されることを可能にし、移動体の内燃機関の排気ガス内に設けるのに適した主構造を生成する。この支持体は、極めて低い流体抵抗を有し、特に高い通路密度および集積された副構造を有することが意図される。さらに、この種の構造化された金属薄板ストリップを製作するための工具を記載することが意図される。この工具は、薄い金属薄板箔に、流れの点で好ましい、特に複雑な構造を導入するか、またはこれらの構造を変更するのに適する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これらの目的は、特許請求項1の特徴を有する構造化された金属薄板ストリップを製作するためのプロセスと、特許請求項7の特徴を有する、金属薄板ストリップに少なくとも1つの主構造を導入するための装置とによって達成される。さらに別の有利な構成は、それぞれの特許従属請求項に記載されており、そこで言及される特徴は、任意の所望の態様で互いに組合せることができる。
【0010】
構造化された金属薄板ストリップを製作するためのこの発明に従ったプロセスは、少なくとも以下のステップ、すなわち、
−案内方向に沿って成形装置に平滑な金属薄板ストリップを供給するステップと、
−複数の別個の成形工具が案内方向に対して実質的に垂直に金属薄板ストリップに作用する状態で、実現例の装置を用いて平滑な金属薄板ストリップに主構造を導入するステップとを含む。
【0011】
この製作プロセスの1つの大きな特徴は、主構造が、互いに係合する倣削り工具を回転させることによって製作されるのではなく、複数の別個の成形工具が一種の往復運動を行ない、平滑な金属薄板ストリップを予め定められた嵌め合いダイに押圧する点である。別個の成形工具が実質的に垂直な動きにより嵌め合いダイに向けて移動するため、主構造に対して、任意の所望の設計を有する広範囲の異なる実施例を得ることができる。この場合、複数の別個の成形工具が使用されるため、材料の荷重をさらに減らすことができる。このことは特に、各成形工具が、金属薄板ストリップの相対的に小さな領域のみを機械加工することを意味し、金属薄板ストリップの位置の変化(適切な場合、隣接する成形工具間の空間に生じるか、または成形工具の往復運動の規定された一時的なシーケンスにより生じる)は、オフセットされた順送りの変形動作により補償される。これにより、材料に対して特に穏やかな態様で主構造が生成される。
【0012】
複数の別個の成形工具という用語は、少なくとも2個、好ましくは少なくとも10個、特に20個をも超える別個の成形工具を意味するものとして理解されるべきである。この数は特に、金属薄板ストリップと同じ側に配置される成形工具にのみ関し、その一方で、嵌め合いダイは、好ましくは、金属薄板ストリップの反対側に位置付けられる。この種の嵌め合いダイは一般に、別個の成形工具が係合する複数の末端部を有し、或る状況下では、別個の成形工具をほぼ圧迫する(したがって、間隙は、ほぼ金属薄板の厚さにのみ相当する)。嵌め合いダイのこのような末端部が考慮される場合、これらの末端部は一般に、直線上または曲線上に位置する。この線は、成形装置を介して金属薄板ストリップを案内する方向に対して実質的に平行に位置する。別個の成形工具は、厳密にこの案内装置またはこの線に関して実質的に垂直に動かされる。このプロセスの、さらに詳細な説明を、異なる工具に関して以下に提示する。
【0013】
このプロセスの有利な改良点によると、構造化された金属薄板ストリップは、金属薄板箔を製作するために、主構造が導入された後に分断される。上述のプロセスは、好ましくは、コイルから引出された金属薄板ストリップにより実施されているが、この導入部に記載する排気ガス浄化用構成要素は特に、規定された長さの金属薄板箔を使用する。この長さは、ハニカム体の構造に主に依存し、螺旋状に巻回された金属薄板箔の場合、40cm
までの長さか、または代替的に、S字形に巻回された金属薄板箔の場合、わずか12cmの長さが用いられて、支持体を製作する。
【0014】
構造化された金属薄板ストリップが、波形長さおよび波形高さによって特徴付けられる主構造を有して製作されることも提案される。波形高さに対する波形長さの比率は、2未満、特に1.5未満である。原則的に、まず、「波形長さ」および「波形高さ」という用語が、「波形」状の主構造に適用可能であることに加え、これらの比率を他の主構造にも同様に適用可能であることに注目されるべきである。この場合、波形長さは、同じ種類の2つの末端部間の距離、たとえば2つの直接隣接する波形の山の間または2つの直接隣接する波形の谷の間の距離を示す。したがって、このことが意味するものが、主構造の繰返し長さであることが明らかになる。波形高さという用語は、2つの対向する末端部間の距離、すなわち、たとえば波形の山と隣接する波形の谷との間の距離を意味するものとして理解されるべきである。波形長さおよび波形高さは一般に、互いに対して垂直である。
【0015】
波形高さに対する波形長さの比率が2未満、特に1.5未満であるということは、主構造が相対的に急勾配で下降する逃げ面を有することを示す。この種の主構造は、後の組立て中において有利な特性を備えた通路を形成して、(排気ガスが流通し得る支持体の)ハニカム構造を形成する。たとえば、ポケット、すなわち、互いに隣接して配置された金属薄板箔間の接触領域内に必要量のはんだおよび/または被覆を設けることが、相対的に単純な態様で可能であり、極めて安価な手順を踏むことができる。さらに、この種の通路は、流れ特性の改善により特徴付けられる。なぜなら、特に、逃げ面が互いに相対的に接近しており、かつ、流通する排気ガスと部分的に被覆された通路の壁部との間の密着が可能であるためである。
【0016】
このプロセスのさらに別の構成によると、金属薄板ストリップまたは金属薄板箔は、耐高温性かつ耐食性の材料で形成され、0.11mm未満、特に0.06mm未満、好ましくは0.03mm未満もの厚さを有する。この材料は好ましくは、クロムおよび/またはアルミニウム(一般にはイオンベースを有する)を含み、および/またはニッケルベースを含む。特にこれらの材料において、上に示した厚さでは、これまで、主構造の導入中に材料が損傷を受ける傾向にあった。これは、第1に、上述の材料が冷間加工硬化を極めて生じやすいという点によるものであり、第2に、材料厚さにより危険性が生じたという点による。この点で、金属薄板ストリップに対し、案内方向に対して実質的に垂直に作用する別個の成形工具を用いた、提案されるプロセスは、ここに言及する材料および材料厚さに対して特に有利である。この記載内容において特徴付けられる金属薄板箔を用いることにより、200cpsi(1平方インチあたりのセル数)を上回るか、特に400cpsiを上回るか、好ましくは800cpsiさえも上回る通路密度を有する支持体を製作することが有利にも可能になる。
【0017】
このプロセスの別の改良点によると、成形装置内に金属薄板ストリップが導入される前に、金属薄板ストリップに対し、特に打抜き製造プロセスにより、孔部および/またはスロットを導入することが提案される。この種の孔部は、たとえば2mmから6mmの直径を有しており、通常は、排気ガス浄化用構成要素内の排気ガス流の一部に対する流路として使用され、隣接する通路間でのガス交換を可能にする。これらのスロットは一般に、副構造に対する始点として働き、この副構造は、たとえば上下反転、曲げ、拡張等によって金属薄板ストリップを変形することにより、スロットの位置に製作される。特に、案内面、羽根、または同様の構造が形成される。しかしながら、孔部をスロットに直接配置することも可能である。このことは特に、スロットが縁端領域に拡張部を有し、切欠き効果を減じることを意味するものとして理解されるべきである。この場合、孔部または拡張部は、1mmよりもはるかに小さい半径を有する。原則的に、金属薄板ストリップにこの種の孔部および/またはスロット(適切な場合は、それらの組合せ)を導入するのに使用され
得る多数の製作プロセスについて、当業者が認識していることにも注目されるべきである。この場合、打抜き製作プロセスが特に好ましい。なぜなら、このプロセスが、一連の製作の一部としても、特に低コストで使用され得るためである。
【0018】
このプロセスのさらに別の構成によると、金属薄板ストリップには、主構造が導入された後に、連動する倣削り工具により副構造が設けられ、この副構造は、好ましくは、金属薄板ストリップにおいて孔部および/またはスロットの境界を少なくとも部分的に定める。このプロセスステップは、別個の金属薄板箔を製作するために、構造化された金属薄板ストリップを分断する前でも通常は実施される。この明細書で述べる、連動する倣削り工具は、互いに沿って回転する逃げ面を有さない工具を意味するものとして特に理解されるべきである。むしろ、これらの倣削り工具は、副構造が実質的に形成された金属薄板ストリップの領域とのみ好ましくは接触するピン状の構造である。この場合、たとえば位置決めの補助として孔部および/またはスロットが使用される。
【0019】
この発明のさらに別の局面は、供給された金属薄板ストリップに少なくとも1つの主構造を導入するための装置を提案する。この装置は、互いに隣接して配置され、かつ、各々が主構造の区分に実質的に対応する接触面を有する複数の別個の成形工具を有する。この装置は、これらの成形工具が、金属薄板ストリップの案内方向に対して実質的に垂直に、かつ、少なくとも部分的に互いにオフセットされた態様で動き得ることによって特徴付けられる。この点において、この装置に関しては、プロセスに関して既に上で提示した説明を参照されたい。
【0020】
さらに、「接触面」という用語が、金属薄板ストリップと接触する成形工具の一部、すなわち、金属薄板ストリップの変形を部分的にもたらす成形工具の一部を意味するものとして理解され得ることに注意されるべきである。この接触面は、主構造の一部を実質的に製作するような態様で設計され、成形工具が、たとえば嵌め合いダイ内に、所望の主構造を有する金属薄板ストリップを押すか、または押圧し得るようにする。互いに隣接する別個の成形工具の配置は、好ましくは以下のようなものとなる。すなわち、すべての成形工具が金属薄板ストリップまたは嵌め合いダイに係合する場合(すなわち、最大の伸張時に)、成形工具の接触面が互いに隣接するか、および/または嵌め合いダイの輪郭に対して実質的に平行に位置付けられるような配置である。
【0021】
別個の成形工具の互いにオフセットされた動きにより、金属薄板ストリップの十分な材料が変形領域内に引込まれ得ることによって、変形中の、金属薄板ストリップに対する過剰な応力(過剰な拡張、過剰な圧縮、冷間加工硬化等)を防ぐ。これにより、金属薄板ストリップの相対的に大きな領域が成形工具付近に配置されることは明らかであるが、この領域は、異なる瞬間に変形され、および/または同時に異なる強度で変形される。したがって、「オフセットされた動き」は、互いに隣接して配置された成形工具の往復運動が、異なる時点に、異なる速度で、異なる力でおよび/または異なる方向の力の作用で生じることを意味するものとして理解されるべきである。
【0022】
金属薄板ストリップは、以下のような態様で変形されることが好ましい。すなわち、外側の成形工具(すなわち、案内方向において最後に配置された成形工具)が往復運動を開始し、隣接する成形工具が、他方の対向する成形工具(すなわち、案内方向において最初に配置された成形工具)に至るまで、時間的に連続してそれぞれの往復運動を行なう態様で、金属薄板ストリップの変形が行なわれることが好ましい。この場合、変形ステップ中のどの時点においても、別個の成形工具のすべてが金属薄板ストリップと係合している訳ではなく、別個の成形工具の半分以下、特に別個の成形工具の3分の1未満が金属薄板ストリップと接触する場合、特に有利である。その一方で、2個以上、好ましくは3個以上、特に5個以上のこのような成形工具は、変形中に金属薄板ストリップに対して同時に力
を加えて、確実な保持および連続した変形を可能にすべきである。
【0023】
主構造が波形長さおよび波形高さを有し、波形高さに対する波形長さの比率が好ましくは2未満であり、これらの成形工具が、波形長さの10倍未満、特に波形長さの5倍未満の幅を有することによって特徴付けられることもまた提案される。波形高さおよび波形長さという用語の定義に関しては、上に提示した記述内容を参照されるべきである。別個の成形工具の幅は、ここに記載する装置に対してより一層詳細に規定される。規定された数の波形の山または波形の谷のみを形成する相対的に幅の狭い成形工具が示される。これらの成形工具の幅は、波長の実質的に2倍に対応することが特に好ましい。成形工具の、相対的に狭い幅のこの設計により、金属薄板ストリップの、特に穏やかな変形が生じる。なぜなら、金属薄板ストリップの極めて限られた領域のみが同時に変形されるためである。このことは、圧縮または拡張の結果としての、金属薄板ストリップ内の材料の流れを著しく減少させる。
【0024】
さらに、別個の成形工具の、空間的にオフセットされた往復運動を確保する手段が存在することが提案され、隣接する成形工具の往復運動が時間的に重複することが好ましくは可能である。「空間的にオフセットされた往復運動」という用語は、すべての成形工具が同じ大きさの往復運動を行なうものの、これらの運動が、変形プロセス中に異なる態様で生じ、それにより、少なくとも複数の成形工具が、往復運動に関して異なる段階にあることを特に意味するものとして理解されるべきである。「時間的に重複する往復運動」という用語は、複数の成形工具がそれらの最端位置に同時に存在せずに、往復運動を行なっていることを特に意味するものとして理解されるべきである。
【0025】
この種の往復運動を得るために提案される手段は、回転方向において互いにオフセットされたカムを有するカムシャフトである。この種のカムシャフトは、たとえば以下の態様で設計され得る。すなわち、軸方向から見て互いに隣接して配置され、かつ、回転方向において互いにオフセットされて配置されるか、または、回転方向において互いにオフセットされたカムの最高点(maxima)を有する、複数のカム区分をカムシャフトが有するような態様で、カムシャフトが設計される。カムの数は、往復運動を行なうようにカムに接触させる複数の別個の隣接した成形工具の数に対応することが一般的である。この往復運動は、カムの特別な構成によって容易に適合され得、それにより、カムの輪郭によって速度または持上げ運動を容易に調節することができる。隣接する成形工具を時間的に重複させるために、対応するカムは、カムシャフトを端部側から回転方向に見たとき、少なくとも部分的に重複する。
【0026】
この装置のさらに別の構成によると、この手段はキャリッジを含む。このキャリッジは、成形工具を基準として移動し得るように配置され、このキャリッジの移動は、この相対運動と、キャリッジを成形工具に適切に接続することとによって往復運動が生じるような態様で生じる。上述のカムシャフトの場合、相対運動はカムシャフトの回転運動によって生じるが、キャリッジは、特に、適切なガイドによって生じる並進運動または同様の運動を生じる。すなわち、このことは、この種のキャリッジが、往復運動を生じる力を加えるような態様で、別個の成形工具と成功裏に接触することを意味する。例として、このことは、この種のキャリッジが、成形工具の接触面とは反対側で動かされ、滑り面が金属薄板ストリップの位置に向けて成形工具を押圧することによって実現され得る。往復運動、特にその速度および行程は、この面に適切に倣削りを施すことによって設定可能である。キャリッジが成形工具を通過して案内される速度により、機械加工のステップのサイクル頻度(cycle frequency)に影響を及ぼすことも可能である。
【0027】
別個の成形工具を互いに平行に配置することも提案される。このことは、すなわち、金属薄板ストリップの案内方向が、同様に実質的に直線状であることを意味する。このよう
にして配置された成形工具については、上述のカムシャフトによって往復運動が生じることが特に勧められる。
【0028】
代替的に、成形工具が互いに対して斜めに、特に、それらの接触面から始まる少なくとも5°の角度で配置されることもまた提案される。この角度は、成形工具と、成形工具の、金属薄板ストリップへの作用領域に必要とされる空間に依存して変化してよく、または、これよりも大きくてよく、たとえば約10°、15°、20°等であってよい。この場合、成形工具が、中央部にプロファイルホイールが設けられた状態で、放射状の態様で配置されることが特に有利である。この種の成形工具を傾斜させて配置することにより、接触面を形成する成形工具の領域が、互いに最短距離を取ることが一般的に想定される。成形工具を傾斜させて配置することにより、この装置は相対的にコンパクトな構成を有することが可能になる。成形工具は、それらの間の角度が常に同じであることが好ましく、最終的には、実質的に円形領域をカバーし得るが、円の一部のみ、たとえば半円または四分の三円が成形工具によって形成されることもまた可能である。
【0029】
この場合、金属薄板ストリップの変形が行なわれるべき際に、成形工具は、中央部に向かい半径方向の内側に方向付けられた往復運動を行なう。成形工具の接触面とは実質的に反対の凹凸を有する形状を含むプロファイルホイールは、嵌め合いダイとして中央部に設けられる。同時に、このプロファイルホイールは、適切な駆動ユニットに接続される場合、構造化された金属薄板ストリップを前方に送るために使用され得る。しかしながら、主構造の形成中、すなわち、成形工具の往復運動中には、案内方向において、成形工具を基準としたプロファイルホイールの動きは生じない。
【0030】
この場合、プロファイルホイールが回転方向を有し、外部経路上で案内されるキャリッジが、反対の移動方向を有する場合もまた、特に有利である。これにより、金属薄板ストリップの変形または主構造の製作が、既に変形された金属薄板ストリップの領域から、案内方向とは反対方向に絶えず連続するという原理がここでもまた実現される。これにより、金属薄板ストリップの平滑な領域が、輪郭内に確実に引込まれ得るようになる。
【0031】
この装置のさらに別の構成によると、金属薄板ストリップを連続して供給および排出するための手段が存在することが提案される。これにより、好ましくは、少なくとも20m/分(1分間当りのメートル)の進度が確保される。この場合、「連続した態様で供給および排出する」という用語は、1時間の間に平均で少なくとも20m/分の進度が得られる状態で、金属薄板ストリップが、連続して、絶えず、自動的に移送されることを特に意味するものとして理解されるべきである。
【0032】
最後に、別個の成形工具の往復運動を確保するための手段が、以下に挙げる装置、すなわち、金属薄板ストリップ用の供給装置、連動する倣削り工具により副構造を製作するための倣削り装置、金属薄板ストリップに孔部および/またはスロットを製作するための打抜き装置、および金属薄板ストリップから別個の金属薄板箔を製作するための分断装置からの少なくとも1つのさらに別の装置を駆動する駆動装置に接続されることもまた提案される。
【0033】
これにより、金属薄板ストリップの変形に用いられるさらに別のプロセスステップ、または、先行するすべてのプロセスステップが、成形装置の動きのシーケンスに正確に合致するようになる。この種の動きの合致を、EDPツールおよび/またはソフトウェアによって得ることもまた可能であるが、プロセスの信頼性の理由から、この場合は、個々の駆動ユニットが適切な動力伝達経路によって結合されることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図面を参照して、これからより詳細に、この発明およびその技術上の背景を説明する。この場合、これらの図面が、特に好ましく、有利でかつ例示的な実施例を示しているものの、これらの実施例が、この発明に対して何ら限定を設けないことに注意されるべきである。
【0035】
図1は、供給された金属薄板ストリップ1に少なくとも1つの主構造5を導入するための装置3を示し、この装置3は、複数の別個の成形工具6を有する。これらの別個の成形工具6は、互いに隣接して配置され、その各々が、主構造5の区分15に実質的に対応する接触面14を有する。このことは、図2に示す、拡大されたサブ領域から特に認識することができる。成形工具6は、金属薄板ストリップ1の案内方向4に対して実質的に垂直に、かつ、互いに対して少なくとも部分的にオフセットされて動き得る。装置3は、成形工具6の往復運動33を生じるための手段を有しており、それにより、隣接する成形工具6の往復運動33は、時間的に重複する。これらの手段はキャリッジ20を含み、キャリッジ20は、成形工具6を基準として移動し得るように配置され、キャリッジ20の移動は、この相対運動と、キャリッジ20が成形工具6に適切に接続されることとによって往復運動33が生じるような態様で生じる。
【0036】
この場合、成形工具6は、斜めに、特に放射状の態様で互いに配置され、これらの工具は、それらの接触面14から始まる、少なくとも10°の角度21を取る。キャリッジ20は、移動方向26において経路25上で均一な速度で駆動されることが好ましい。この場合、左下の小区分に示すように、運動中にキャリッジ20が成形工具6と接触しない領域を設けることが好ましい。この小区分、または、キャリッジ20がこの小区分を通過するのに必要とする時間は、金属薄板ストリップ1を前方に送るために使用される。この目的で、中央部22のプロファイルホイール23は、回転方向24に回転する。このプロファイルホイール23は、最後に形成された主構造5が、案内方向4において最後に配置された成形工具6の周辺部に正確に位置付けられるように、十分に離れて回転することが好ましい。この前方への送り動作は、キャリッジ20が、最後に配置されたこの成形工具6にちょうど到達して、この成形工具6に往復運動33を行なわせると完了する。
【0037】
図3は、主構造5を有する、構造化された金属薄板ストリップ1を製作するための成形装置3のさらに別の例示的な実施例を模式的に示す。ここでもまた、この場合は互いに実質的に平行に配置される複数の成形工具6が設けられ、互いに対してオフセットされた往復運動33を生じ得る。この往復運動33を生じるために、回転方向18において互いにオフセットされて配置されたカム19を有するカムシャフト17が、成形工具6の接触面14とは離れた側に設けられる。図示された例示的なこの実施例において、これらのカム19は、成形工具6を上方に押圧する。カム19の直径の縮小により、成形工具6が下に下がる。図3から認識できるように、互いに隣接して配置されたカム19は、下り勾配または上り勾配を形成し、カム19は、カムシャフト17の回転角に依存して、異なる時点で異なる成形工具6に接触する。
【0038】
成形工具6は、往復運動33の結果、金属薄板ストリップ1を嵌め合いダイ46内に押圧し、この場合、嵌め合いダイ46も同様に往復運動33を行ない得る。図示される例示的な実施例では、まず、右手側に配置された成形工具6が金属薄板ストリップ1の変形を開始し、さらに左に配置された成形工具6が徐々に変形を行なう。最後に、この図面の最も左側に配置された最も外側の成形工具6がその往復運動33を完了すると、嵌め合いダイ46は、矢印47が示す方向に移動することによって金属薄板ストリップ1を前方に送るために使用される。この時点で、成形工具6は、金属薄板ストリップ1の主構造5と係合しておらず、嵌め合いダイ46は、この図面の右側へ部分的に移動してから上方に持上げられ、その後、左側に向けて再び移動する。それにより、嵌め合いダイの輪郭は、再び、成形工具6の接触面14と直接対向して配置される。そして、金属薄板ストリップ1の
平滑な区分が、成形工具6と嵌め合いダイ46との間に再び配置される。嵌め合いダイ46自体によって生じる前方への送り動作の代わりに、またはこれと組合せて、原則的には、この目的で別個の要素を設けることも可能である。一例として、「イジェクタ」として働く櫛状の要素を嵌め合いダイ46に設けることができ、それにより、この櫛状の要素は、嵌め合いダイ46を基準として好ましくは動かされ得る。したがって、これらの「イジェクタ」は、金属薄板ストリップ1を前方へ移送するようにも働き得る。この場合、重量のある嵌め合いダイ46は、上下運動のみを行なう。櫛状の要素をさらに用いて、所望の波形高さを較正または微調整することができる。
【0039】
この例示的な実施例においても、カムシャフト17のカム19を以下のように構成することが可能である。すなわち、規定された時点に、または、規定された期間にわたり、カム19のいずれもが成形工具6と接触せず、この時点または期間を正確に用いて金属薄板ストリップ1を前方へ送るような態様で、カム19を構成することが可能である。このことは、カムシャフト17が同じ速度で連続して常に駆動され得るという利点を有する。
【0040】
図4は、移動体の用途、たとえば自動車、オートバイ、芝刈機等のための排気ガス浄化用構成要素としての支持体38の模式斜視図を示す。上述のプロセスにより、または、上述の装置を用いて製作された金属薄板箔2は、積重ねられるか、または積層され、その後、互いに実質的に平行に配置される複数の通路35を有するハニカム構造39を形成するような態様で相互に巻付けられるか、または巻回される。このハニカム構造39は一般に、対応する筐体37内に挿入されて、特にはんだ付けのプロセスによって筐体37に接合される。結果的に得られる支持体38は、触媒コンバータ、粉塵トラップ、吸着装置、フローミキサー等として使用され得る。この場合、一方端側40から反対の端部側に実質的に連続して延びる通路35が好ましい。互いに接続された、隣接する通路35を設けることもまた可能である。
【0041】
拡大して図示される抜粋部分において、金属薄板箔2のいくつかが主構造5を有する金属薄板箔2を認識することもまた可能である。さらに、金属薄板箔2は、孔部10によって少なくとも部分的に境界を定められた副構造13を有する。これらの孔部10により、隣接する通路35についてのガス交換が確実に可能となる。金属薄板箔2の主構造5により、支持体38の極めて大きな表面積36が確保され、それにより、排気ガスと、表面36上に配置された被覆34との密着が可能となる。被覆34による迅速な変換を行なうために、金属薄板箔2は、好ましくは、0.1mm未満、特に0.5mm未満の厚さ9を有する。
【0042】
図5は、主構造5および副構造13を有する金属薄板箔2の模式斜視図を示す。主構造5は、波形状の構成を有しており、波形の山41および波形の谷42を有する。波形の山41および波形の谷42は、金属薄板箔2の全長48にわたって互いに実質的に平行に伸びる。加えて、金属薄板箔2には、副構造13が設けられる。副構造13は、波形の谷42から上方に延び、波形の山41から下方に延びる複数の案内面43を含む。これらの案内面43の周囲には、孔部10が存在する。これらの孔部10は、金属薄板箔2に沿った流れの方向44における界面流を離脱させ、この界面流を、隣接するサブ領域内に進路変更する。
【0043】
図6は、構造化された複数の金属薄板箔2または金属薄板ストリップ1を製作するためのプロセスの構成を模式的に示す。(A)によって表記されるステップは、実質的に平面の金属薄板ストリップ1の内側領域に、多数のスロット11を導入することを含む。図示される実施例において、スロット11は、金属薄板ストリップ1の縁端部に対して実質的に平行に配置されるが、このことは必ずしも必要とされない。スロット11は、互いに対して任意の所望の配置で設けることができる。ここではまた、少なくとも部分的に、スロ
ット11が、縁端領域における孔部10とともに示されており、孔部10は、副構造13が形成された後にスロット11の縁端領域からひびの伝播が開始することを防ぐ役割を担う。
【0044】
ステップ(B)において、金属薄板ストリップ1は初めて変形され、第1の波形長さ7を有する主構造5を生じる。したがって、孔部10およびスロット11が既に設けられた金属薄板ストリップ1には、たとえば上述の成形装置3の1つを用いて主構造5が設けられる。主構造5は、2つの隣接した同類の末端部(波形の山41または波形の谷42)が第1の波形長さ7を示す状態で、縁端部から容易に認識される。主構造5を記載するために使用され得るさらに別の基準が、波形高さ8である。ここでは、第1の変形ステップの後に、たとえば第1の波形高さ8が生じ、この局面の間に、波形高さ8に対する波形長さ7の比率は2未満である。
【0045】
さらに別の変形ステップ(C)において、金属薄板ストリップ1に副構造13が導入される。ここでもまた図示される副構造13は、対向するように配向される案内面43および孔部10を有する。副構造13は主構造1上に重ねられる。
【0046】
図示される変形ステップ(D)において、主構造5は、第1の波形長さ7よりも短い第2の波形長さ7を生じるような態様で寄せられるか、または変形される。波形長さ7が縮小されることにより、それに対応して波形高さ8が増大し、すなわち、第1の波形高さ8が第2の波形高さ8よりも低くなることが図面から認識できる。ここに示すプロセスにより、波形高さに対する波形長さ7の比率を、たとえば1.5未満までさらに下げることができる。
【0047】
しかしながら、この点において、原則的に、プロセスステップ(B)および(C)が1つの製作ステップでも実施され得ることが示されるべきである。すなわち、このことは、成形装置3または成形工具6が、金属薄板ストリップ1と接触すると、主構造5および副構造13が同時に生成され得るような態様で設計され得ることを意味する。
【0048】
図7は、構造化された金属薄板箔を製作するために使用され得る製作ラインの構造を模式的に示す。平滑であって構造化されていない金属薄板ストリップ1は、この金属薄板ストリップ1が巻回された金属ストリップコイルから出発し、まず、供給装置28によって打抜き装置29に供給され、ここでは、たとえば開口部10および/またはスロット11が金属ストリップ1に導入される(詳細には図示せず)。次に、金属薄板ストリップ1はアライメント装置32へと前方に案内され、このアライメント装置32は、たとえば、打抜かれた構成物、または孔部10およびスロット11を記録することにより、金属薄板ストリップ1の進度を正確に確認する。次に、金属薄板ストリップ1は成形装置3に供給される。図示された実施例において、成形工具6は、ここでもまた放射状の配置である。構造化された金属薄板ストリップ1は、成形装置3から退出した後に、2つの連動する倣削り工具12を有する倣削り装置31に供給される。金属薄板ストリップ1が倣削り工具12を通過するのに伴い、副構造13(図示せず)が形成される。最後に、完成した金属薄板ストリップ1が分断装置30にも供給され、金属薄板ストリップ1は、予め定められた長さおよび幅を有する金属薄板箔2に剪断される。
【0049】
図7からも認識できるように、成形装置3は成形工具6を駆動するために用いられる駆動装置27を有する。この駆動装置は、少なくとも打抜き装置29、倣削り装置31、および/または分断装置30を駆動するために同時に利用可能である。
【0050】
構造化された金属薄板ストリップを製作するためにここに記載したプロセスおよびここに言及した装置は、特に費用対効果が高く、動作の信頼性が高い。特に移動体の内燃機関
の排気系での使用を考えたときに望ましくない、金属薄板ストリップへの所望しない変形が、ほぼ完全に回避される。さらに、金属薄板箔の徹底した高サイクルタイムと、その結果として、特に高い生産速度とを達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】この発明に従った装置の第1の例示的な実施例を示す図である。
【図2】図1からの例示的な実施例の詳細図である。
【図3】この発明に従った装置のさらに別の例示的な実施例を示す図である。
【図4】この発明のプロセスに従った、金属薄板箔を有する排気ガス浄化用構成要素のための支持体を示す図である。
【図5】この発明に従ったプロセスにより製作可能な、構造化された金属薄板層の例示的な一実施例を示す図である。
【図6】触媒支持体として使用され得る、構造化された金属薄板ストリップの製作順序を模式的に示す図である。
【図7】この発明に従ったプロセスを用いる、構造化された金属薄板箔のための製作ラインの構造を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1 金属薄板ストリップ、2 金属薄板箔、3 装置、4 案内装置、5 主構造、6
成形工具、7 波形長さ、8 波形高さ、9 厚さ、10 孔部、11 スロット、12 倣削り工具、13 副構造、14 接触面、15 区分、16 幅、17 カムシャフト、18 回転方向、19 カム、20 キャリッジ、21 角度、22 中央部、23 プロファイルホイール、24 回転方向、25 経路、26 移動方向、27 駆動装置、28 供給装置、29 打抜き装置、30 分断装置、31 倣削り装置、32 アライメント装置、33 往復運動、34 被覆、35 通路、36 表面、37 筐体、38 支持体、39 ハニカム構造、40 端部側、41 波形の山、42 波形の谷、43 案内面、44 流れの方法、45 逃げ面、46 嵌め合いダイ、47 矢印、48 長さ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造化された金属薄板ストリップ(1)を製作するための方法およびプロセスであって、少なくとも以下のステップ、すなわち、
−案内方向(4)に沿って成形装置(3)に平滑な金属薄板ストリップ(1)を供給するステップと、
−複数の別個の成形工具(6)が案内方向(4)に対して実質的に垂直に金属薄板ストリップ(1)に作用する状態で、成形装置(3)を用いて平滑な金属薄板ストリップ(1)に主構造(5)を導入するステップとを含む、方法およびプロセス。
【請求項2】
構造化された金属薄板ストリップ(1)は、金属薄板箔(2)を製作するために、主構造(5)が導入された後に分断される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
構造化された金属薄板ストリップ(1)は、波形長さ(7)および波形高さ(8)によって特徴付けられる主構造(5)を有して製作され、波形高さ(8)に対する波形長さ(7)の比率は、2未満、特に1.5未満である、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
金属薄板ストリップ(1)または金属薄板箔(2)は、好ましくはクロムおよび/またはアルミニウムを含んで、および/またはニッケルベースである、耐高温性かつ耐食性の材料で形成され、0.11mm未満、特に0.06mm未満、および好ましくは0.03mm未満もの厚さ(9)を有する、請求項1、2または3に記載のプロセス。
【請求項5】
成形装置(3)内に金属薄板ストリップ(1)が導入される前に、金属薄板ストリップ(1)に対し、特に打抜き製造プロセスにより、孔部(10)および/またはスロット(11)が導入される、請求項1から4の1つに記載のプロセス。
【請求項6】
金属薄板ストリップ(1)には、主構造(5)が導入された後に、連動する倣削り工具(12)により副構造(13)が設けられ、この副構造は、好ましくは、金属薄板ストリップ(1)において孔部(10)および/またはスロット(11)の境界を少なくとも部分的に定める、請求項1から5の1つに記載のプロセス。
【請求項7】
供給された金属薄板ストリップ(1)に少なくとも1つの主構造(5)を導入するための装置(3)であって、前記装置(3)は、互いに隣接して配置され、かつ、各々が主構造(5)の区分(15)に実質的に対応する接触面(14)を有する複数の別個の成形工具(6)を有し、成形工具(6)が、金属薄板ストリップ(1)の案内方向(4)に対して実質的に垂直に、かつ、少なくとも部分的に互いにオフセットされた態様で動き得ることを特徴とする、装置(3)。
【請求項8】
主構造(5)は波形長さ(7)および波形高さ(8)を有し、波形高さ(8)に対する波形長さ(7)の比率は、好ましくは2未満であり、成形工具(6)が、波形長さ(7)の10倍未満、特に波形長さ(7)の5倍未満の幅(16)を有することを特徴とする、請求項7に記載の装置(3)。
【請求項9】
別個の成形工具(6)の、空間的にオフセットされた往復運動を確保する手段が存在することを特徴とし、隣接する成形工具(6)の往復運動が時間的に重複することが好ましくは可能である、請求項7または8に記載の装置(3)。
【請求項10】
該手段が、回転方向(18)において互いにオフセットされたカム(19)を有するカムシャフト(17)を含むことを特徴とする、請求項9に記載の装置(3)。
【請求項11】
該手段はキャリッジ(20)を含み、キャリッジ(20)は、成形工具(6)を基準として移動し得るように配置され、キャリッジ(20)の移動は、相対運動と、キャリッジ(20)を成形工具(6)に適切に接続することとによって往復運動が生じるような態様で生じる、請求項9または10に記載の装置(3)。
【請求項12】
成形工具(6)が互いに平行に配置されることを特徴とする、請求項7から11の1つに記載の装置(3)。
【請求項13】
成形工具(6)が、互いに対して斜めに、特に、それらの接触面(14)から始まる少なくとも5°の角度(21)で配置されることを特徴とする、請求項7から11の1つに記載の装置(3)。
【請求項14】
成形工具(6)が、中央部(22)にプロファイルホイール(23)が設けられた状態で、放射状の態様で配置されることを特徴とする、請求項13に記載の装置(3)。
【請求項15】
プロファイルホイール(23)が、回転方向(24)を有し、外部経路(25)上で案内されるキャリッジ(20)が、反対の移動方向(26)を有することを特徴とする、請求項14に記載の装置(3)。
【請求項16】
金属薄板ストリップ(1)を連続して供給および排出するための手段が存在し、該手段が、好ましくは少なくとも20m/分の進度を確保することを特徴とする、請求項7から15の1つに記載の装置(3)。
【請求項17】
別個の成形工具(6)の往復運動を確保するための手段が、以下に挙げる装置、すなわち、
−金属薄板ストリップ(1)用の供給装置(28)、
−連動する倣削り工具(12)により副構造(13)を製作するための倣削り装置(31)、
−金属薄板ストリップ(1)に孔部(10)および/またはスロット(11)を製作するための打抜き装置(1)、および
−金属薄板ストリップ(1)から別個の金属薄板箔(2)を製作するための分断装置(30)
からの少なくとも1つのさらに別の装置を駆動する駆動装置(27)に接続されることを特徴とする、請求項7から16の1つに記載の装置(3)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−527659(P2006−527659A)
【公表日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515861(P2006−515861)
【出願日】平成16年6月9日(2004.6.9)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006205
【国際公開番号】WO2004/110664
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(594174493)エミテク・ゲゼルシャフト・フュール・エミシオーンテクノロギー・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (27)