説明

槌の回転駆動型発射機構造

【課題】本発明は、ステップモータにより槌を360度回転させて玉を発射させることにより、槌の小型化、槌を位置決めするための制振ゴムの省略化を行うことを目的とする。
【解決手段】本発明による槌の回転駆動型発射機構造は、ステップモータ(1)の前蓋(3)のモータ軸(2)に槌先樹脂(5)を有するくの字型の槌(6)を360度回転自在に設け、この前蓋(3)の支持部材(12)のレール(11)上で玉ストッパ(22)上に保持された玉(14)を槌先樹脂(5)で打撃する構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、槌の回転駆動型発射機構造に関し、特に、ステップモータにより槌を360度回転させて玉を発射させることにより、槌の小型化、槌を位置決めするための制振ゴムの省略化を行うための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種のパチンコ発射機としては、例えば、後述の特許文献1にも開示されている構成を図5から図7において示すことができる。
すなわち、図5から図7において符号1で示されるものは、周知のVR型のソレノイドであり、このソレノイド1の回動軸2は、所定の有限角において往復回動自在に設けられている。
【0003】
前記ソレノイド1の取付け板一体型の前蓋3の表面4には、前記回動軸2が突出し、この回動軸2には全体形状がほぼ凹状をなすと共に先端に槌先樹脂5を有する槌6が取り付けられている。
【0004】
前記前蓋3の表面4には、その上部と中間位置に、第1制振ゴム7を有する第1ゴムホルダ8と、第2制振ゴム9を有する第2ゴムホルダ10とが設けられており、前記第1制振ゴム7は前記槌6の回動後のストッパとなり、前記槌6の第1当接部6Aが第1制振ゴム7に当接する。
また、前記槌6の第2当接部6Bは、この槌6の回動前の位置決めを行うために、前記第2当接部6Bが前記第2制振ゴム9に当接するように構成されている。
【0005】
前記前蓋3の表面4の下部位置には、レール11を有する支持部材12がボルト13によって固定されており、前記ソレノイド1の作動による槌6の回動により、槌先樹脂5がレール11上の玉14を打撃し、玉14は発射される。
【0006】
【特許文献1】特開2004−121336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のパチンコ発射機は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、槌を回動させるためのソレノイドが有限角駆動で構成されているため、この槌の回動動作を制限するための第1、第2制振ゴムを前蓋に設けなければならず、構造が複雑化すると共に、槌の形状自体も回転モーメントを大きく取る必要があるため、小型化することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による槌の回転駆動型発射機構造は、ステップモータの前蓋を貫通して前方へ突出するモータ軸と、前記モータ軸に設けられ全体形状がくの字型をなす槌と、前記槌の先端に設けられ軸方向が前記モータ軸のモータ軸方向とは直交する方向を有する槌先樹脂と、前記前蓋の表面に設けられ断面U字型をなすレールを有する支持部材と、前記支持部材の端部に設けられた玉ストッパと、前記玉ストッパに設けられた窓と、を備え、前記槌と槌先樹脂とは全体形状がコ字型をなし、前記槌が前記ステップモータによって回転することにより前記槌先樹脂が前記窓を貫通して前記レール上の玉を打撃し、前記槌は360度回転する構成であり、また、前記レールは、金属板を曲折して形成され、前記玉ストッパは一対の棒状部材よりなり、前記各棒状部材は互いに離間して配設されると共に、前記各棒状部材間に形成された窓の窓幅は前記玉の玉直径よりも小である構成であり、また、前記支持部材に設けられた前記棒状部材の棒長手方向は、前記前蓋の側部の辺方向とは非平行状態となるように傾斜して配設されている構成であり、また、前記前蓋の表面には、前記棒状部材の棒長手方向とは直交する方向に溝方向を有する長溝が形成され、前記長溝には前記レールの一部が配設されている構成であり、また、前記ステップモータのモータ軸の回転を制御するための制御部を有し、前記制御部からの回転指令により、前記槌を所定の角度位置に停止させる構成である。
【発明の効果】
【0009】
本発明による槌の回転駆動型発射機構造は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、ステップモータの前蓋を貫通して前方へ突出するモータ軸と、前記モータ軸に設けられ全体形状がくの字型をなす槌と、前記槌の先端に設けられ軸方向が前記モータ軸のモータ軸方向とは直交する方向を有する槌先樹脂と、前記前蓋の表面に設けられ断面U字型をなすレールを有する支持部材と、前記支持部材の端部に設けられた玉ストッパと、前記玉ストッパに設けられた窓と、を備え、前記槌と槌先樹脂とは全体形状がコ字型をなし、前記槌が前記ステップモータによって回転することにより前記槌先樹脂が前記窓を貫通して前記レール上の玉を打撃し、前記槌は360度回転することにより、従来の槌始動兼停止位置および槌ストッパ位置に設ける制振ゴム及びゴムホルダが不要となり省部品化が可能となる。また、槌が360度回転するため、従来よりも大幅に小型化され、さらに、ステップモータ駆動であるため、所定位置での停止が確実となる。また、前記レールは、金属板を曲折して形成され、前記玉ストッパは一対の棒状部材よりなり、前記各棒状部材は互いに離間して配設されると共に、前記各棒状部材間に形成された窓の窓幅は前記玉の玉直径よりも小であることにより、回転する槌がこの窓を貫通することにより、玉を発射することができ、また、その窓幅が玉の直径より小であるため、玉を位置決めすることができる。
また、前記支持部材に設けられた前記棒状部材の棒長手方向は、前記前蓋の側部の辺方向とは非平行状態となるように傾斜して配設されていることにより、玉の発射角度を得ることができる。また、前記前蓋の表面には、前記棒状部材の棒長手方向とは直交する方向に溝方向を有する長溝が形成され、前記長溝には前記レールの一部が配設されていることにより、レールの取付けが容易となる。
また、前記ステップモータのモータ軸の回転を制御するための制御部を有し、前記制御部からの回転指令により、前記槌を所定の角度位置に停止させることにより、モータ軸の回転位置制御が容易となり、槌の回転角度を容易に制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、ステップモータにより槌を360度回転させて玉を発射させることにより、槌の小型化、槌を位置決めするための制振ゴムの省略化を行うようにした槌の回転駆動型発射機構造を提供することを目的とする。
【実施例】
【0011】
以下、図面と共に本発明による槌の回転駆動型発射機構造の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分については同一符号を付して説明する。
図1から図4において符号1で示されるものは、周知のステップモータであり、このステップモータ1の取付け板一体型の前蓋3には、ステップ回転すると共にモータ軸方向2Aを有するモータ軸2が突出して設けられている。
【0012】
前記槌6は、従来よりも形状が大幅に小型化されていると共に、全体形状がくの字型をなし、その先端には、軸方向24を有する槌先樹脂5が設けられている。
前記槌6と槌先樹脂5とにより、全体形状がコの字型となり、この槌6は360度回転できるように構成されている。
【0013】
前記前蓋3の前記モータ軸2の近傍位置には、一対の棒状部材20、21からなる玉ストッパ22をその端部12aに有する支持部材12が設けられており、この支持部材12の各棒状部材20、21の棒長手方向23と前記槌先樹脂5の軸方向24とは非直交方向となり、前記軸方向24は前記モータ軸2の軸方向とは直交するように構成されている。
【0014】
前記各棒状部材20、21の棒長手方向23と前記前蓋3の辺方向25とは、互いに非平行状態となり、前記辺方向25に対して傾斜して配設されている。
前記各棒状部材20、21間には、上部解放型の窓26が設けられており、この窓26の各棒状部材20、21間の窓幅26Aは、この支持部材12のレール11上に載置された玉14の玉直径27よりも小となるように構成されている。
【0015】
前記前蓋3の表面4には、前記棒長手方向23に対して直交する方向に向けて溝方向28を有する長溝29が形成されており、この長溝29内には前記玉ストッパ22の一方の棒状部材20が位置している。
【0016】
前記レール11は、金属板を板金加工して得られていると共に、横断面形状がU字型をなすと共に、三個の断面U字部が連続して形成されることにより全体の横断面形状でU字型をなすように構成されている。前記レール11の側部の一部11aは前記長溝29内に位置している。
また、前記ステップモータ1の上部には、入力コネクタ30が設けられ、このコネクタ30に接続された制御部31を介して回転指令32をステップモータ1に入力できるように構成されている。
【0017】
前述の構成において、玉14がレール11上に供給され、玉ストッパ22に当接した状態で、ステップモータ1を前記回転指令32によってステップ回転(ステップトラッキング)させると、槌先樹脂5は前記窓26を貫通して玉14の外周を打撃するため、玉14は前記レール11上を走行して玉発射となる。
【0018】
前記ステップモータ1は、前記制御部31からの回転指令32によってステップ駆動及び連続駆動(駆動周波数を高くする場合)によって槌6を回転させ、玉発射を行うことができ、例えば、槌6を所定の角度位置に停止させた後に回転させて玉発射を行うことができる。
また、前述の玉発射後は、槌6を回転させるため、槌6は360度の回転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による槌の回転駆動型発射機構造を示す正面図である。
【図2】図1の右側断面図である。
【図3】図1の背面図である。
【図4】図1の要部の拡大構成図である。
【図5】従来構成の正面図である。
【図6】図5の右側断面図である。
【図7】図5の背面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 ステップモータ
2 モータ軸
2A モータ軸方向
3 前蓋
4 表面
6 槌
11 レール
11a 一部
12 支持部材
14 玉
20、21 棒状部材
22 玉ストッパ
23 棒長手方向
24 軸方向
25 辺方向
26 窓
26A 窓幅
27 玉直径
28 溝方向
29 長溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステップモータ(1)の前蓋(3)を貫通して前方へ突出するモータ軸(2)と、前記モータ軸(2)に設けられ全体形状がくの字型をなす槌(6)と、前記槌(6)の先端に設けられ軸方向(24)が前記モータ軸(2)のモータ軸方向(2A)とは直交する方向を有する槌先樹脂(5)と、前記前蓋(3)の表面(4)に設けられ断面U字型をなすレール(11)を有する支持部材(12)と、前記支持部材(12)の端部(12a)に設けられた玉ストッパ(22)と、前記玉ストッパ(22)に設けられた窓(26)と、を備え、
前記槌(6)と槌先樹脂(5)とは全体形状がコ字型をなし、前記槌(6)が前記ステップモータ(1)によって回転することにより前記槌先樹脂(5)が前記窓(26)を貫通して前記レール(11)上の玉(14)を打撃し、前記槌(6)は360度回転することを特徴とする槌の回転駆動型発射機構造。
【請求項2】
前記レール(11)は、金属板を曲折して形成され、前記玉ストッパ(22)は一対の棒状部材(20,21)よりなり、前記各棒状部材(20,21)は互いに離間して配設されると共に、前記各棒状部材(20,21)間に形成された窓(26)の窓幅(26A)は前記玉(14)の玉直径(27)よりも小であることを特徴とする請求項1記載の槌の回転駆動型発射機構造。
【請求項3】
前記支持部材(12)に設けられた前記棒状部材(20,21)の棒長手方向(23)は、前記前蓋(3)の側部の辺方向(25)とは非平行状態となるように傾斜して配設されていることを特徴とする請求項1又は2記載の槌の回転駆動型発射機構造。
【請求項4】
前記前蓋(3)の表面(4)には、前記棒状部材(20,21)の棒長手方向(23)とは直交する方向に溝方向(28)を有する長溝(29)が形成され、前記長溝(29)には前記レール(11)の一部(11a)が配設されていることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の槌の回転駆動型発射機構造。
【請求項5】
前記ステップモータ(1)のモータ軸(2)の回転を制御するための制御部(31)を有し、前記制御部(31)からの回転指令(32)により、前記槌(6)を所定の角度位置に停止させることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の槌の回転駆動型発射機構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−154878(P2010−154878A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333332(P2008−333332)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000203634)多摩川精機株式会社 (669)
【Fターム(参考)】