説明

様々な偏光角度を有する光フィルタ及び処理アルゴリズム

光の偏光特性を分析するための方法、システムおよび偏光フィルタが説明され、その方法は、イメージセンシングシステムに備えられた複数のイメージセンサセルから画像データを取得する段階、取得された画像データから、取得された光景の偏光情報及び光景画像データを分離する段階、及び偏光情報を処理して情報を推測する段階、を備える。さらに、光の偏光特性を分析するための偏光フィルタが説明され、その偏光フィルタは、様々な方向の偏光の偏光セルの配列を備え、偏光フィルタは、少なくとも水平偏光フィルタセル、垂直偏光フィルタセル、非偏光フィルタセル及び円偏光フィルタセルのコア配列を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光偏光フィルタ及びイメージセンサによって捉えられた光の偏光特性を分析するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
機械によるイメージング及び画像処理の使用は、例えば防犯、ゲーム、医療、軍事、科学及び造形美術のような様々な分野で発展しているため、高度に進歩した画像処理及び分析ツールの必要性が増している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明に関する主題は、本明細書の結論部において具体的に指摘され、明瞭に主張される。しかしながら、本発明は、組織及び作動の方法の両方と同じく、物体、特徴及びその利点と共に、以下の詳細な説明を参照し、添付した図面と共に読めばもっともよく理解されうる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】本発明のいくつかの実施形態に従う光の偏光特性を分析するイメージセンシングシステムの概略図である。
【図2】本発明のいくつかの実施形態に従うイメージセンサセルの配列を覆う偏光フィルタ副配列の上面視概略図である。
【図3】本発明のいくつかの実施形態に従って配置された偏光フィルタ、波長フィルタ及びイメージセンサの部分積層概略図である。
【図4】本発明のいくつかの実施形態に従う偏光セルの例示的な副配列の概略図である。
【図5】本発明のいくつかの実施形態に従う光の偏光特性を分析する方法を示す概略的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図の簡略化及び明瞭化のために、図に示された要素は必ずしもスケールどおりに描かれていないことは理解されるであろう。例えば、要素のいくつかの大きさは、明瞭化のために他の要素と比べて誇張されうる。さらに、適切に考慮されれば、参照の符号は対応したまたは類似した要素を示す図において繰り返し使用されうる。
【0006】
以下の詳細な説明において、数多くの具体的な詳細な例が、本発明の徹底した理解を提供するために記載される。しかしながら、当業者であれば本発明はこれらの具体的な詳細な例を有さないで実施されうることを理解するであろう。他の例において、周知の方法、手順及び要素が、本発明を不明瞭にすることのないように、詳細に説明されていない。
【0007】
本発明の実施形態は、光偏光フィルタ及びイメージセンサによって捉えられた光の偏光特性を分析するシステムを提供しうる。本発明の実施形態に従う光偏光フィルタは、イメージセンサによって取得された光の偏光特性を明らかにしうる。取得された光の偏光特性についての情報は、例えば、人によって及び/または例えばマシンビジョン及び/または検査システムのプロセッサによって画像分析するために用いられうる。偏光特性の分析は、例えば、画像化された物体についての情報の推測及び/または画像内の特定の要素及び/または要素の特性の検出のために用いられうる。加えて、本発明のいくつかの実施形態において、取得された光の偏光特性についての情報は、例えば、取得された画像の処理及び/または画質改善、イメージセンサの校正及び/または画像を取得するために用いられうる光源の調整のために用いられうる。
【0008】
本発明の実施形態に従うシステムは、様々な種類の画像取得装置、カメラ、スキャナ及びその他のイメージセンサに埋め込まれることができ、従って、例えば、情報の追加的な層を用いて改善された画像を取得することができるようになりうる。この情報は、偏光フィルタによって明らかにされた偏光特性から推測されうる。
【0009】
ここで、本発明のいくつかの実施形態に従う光の偏光特性を分析するためのイメージセンシングシステム10の概略図である図1を参照する。システム10は、光を集めるための光学素子100、偏光フィルタ200、波長フィルタ300、イメージセンサ400及び画像処理システム500を含んでもよい。画像処理ユニット500は、プロセッサ560及び非一時的蓄積媒体580を含んでもよく、非一時的蓄積媒体は、一時的な、伝播する信号を受け入れるどのような蓄積媒体を含んでもよい。画像処理ユニット500は、イメージセンサ400及び必要に応じて例えば波長フィルタ300及び/または光学素子100のようなシステム10のその他の素子と、双方向データリンク510を介して通信してもよい。システム10は、光学素子100を介して光を取得し、矢印Aの方向へ光を流してもよい。図1においては偏光フィルタ200が光学素子100と波長フィルタ300との間に示されているが、本発明はこの点に限定されず、偏光フィルタ200はシステム10のその他の場所に配置されてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、フィルタ200は波長フィルタ300とイメージセンサ400との間に配置されてもよく、または例えばイメージセンサ400内に埋め込まれてもよい。他の実施形態において、フィルタ200は例えば光学素子100の前に配置されて光が光学素子100によって集められる前にフィルタ200を通過しうるようにしてもよい。
【0010】
図2を参照してより詳細に説明されるように、偏光フィルタ200は、様々な偏光の方向の偏光セルの配列を含んでもよい。セルの配列は、例えば、繰り返しパターンで様々な偏光方向の偏光セルの繰り返された複数の副配列を含んでもよい。イメージセンサ400の単一のセルまたはセルの所定のグループ上で取得されたほぼ全ての光が偏光フィルタ200のそれぞれの偏光セルを通過したものであるように、偏光フィルタ200の偏光セルが、イメージセンサ400のそれぞれのセルまたはセルの所定のグループに対応してもよい。
【0011】
図3を参照してより詳細に説明されるように、波長フィルタ300は、様々な色の波長フィルタリングセルの配列を含んでもよい。セルの配列は、例えばベイヤフィルタのような例えば繰り返されたパターンで様々な色の波長フィルタリングセルの繰り返された複数の副配列を含んでもよい。イメージセンサ400の単一のセルまたはセルの所定のグループ上で取得されたほぼ全ての光が偏光フィルタ200のそれぞれの偏光セル及び様々な色の波長フィルタリングセルのそれぞれの副配列の両方を通過したものであるように、波長フィルタリングセルの副配列が、偏光フィルタ200のそれぞれの偏光セル及びそのそれぞれのセルまたはイメージセンサ400のセルの所定のグループに対応してもよい。本発明のいくつかの実施形態において、波長フィルタ300の波長フィルタリングセルは、特定の偏光セルに対応するイメージセンサ400内のセルの所定のグループ内における所定のそれぞれのセルまたはセルの副グループに対応してもよい。
【0012】
従って、イメージセンサ400のセルは、特定の色及び特定の偏光の光を取得しうる。さらに、対応する偏光セルを通過した特定の偏光特性を有する光成分は、それぞれの波長フィルタリングセルを通過したのちにイメージセンサセルの対応する所定のグループ上で取得されうる。それによって、所定のグループのそれぞれのイメージセンサセルは、異なる色の偏光した光成分を取得しうる。それぞれのイメージセンサセルのそれぞれの波長フィルタリングセル及び偏光セルとの関係のデータベースは、非一時的蓄積媒体580に蓄積されてもよい。イメージセンサセルはそのそれぞれの偏光及び色のセルと関連することができるので、例えば異なる偏光セルに関する隣接したグループの数セルで取得された光の強度の間の関係によって、例えば、画像化された物体、照明条件、イメージセンサ400、波長フィルタ300及び/または光学素子100の校正などについての情報を推測することができるようになりうる。偏光及び/または色情報の分析は、例えば、画像処理ユニット500によって行われうる。
【0013】
上述のように、画像処理ユニット500は、イメージセンサ400のセル上で取得された光の偏光及び/または色特性から校正情報を推測しうる。本発明のいくつかの実施形態において、推測された校正情報に基づいて、画像処理ユニット500は、イメージセンサ400、波長フィルタ300及び/または光学素子100の校正を、例えばデータリンク510を介した制御メッセージによって変更しうる。
【0014】
ここで、偏光フィルタ副配列210の上面視概略図である図2を参照する。偏光フィルタ副配列210は、本発明のいくつかの実施形態に従って、イメージセンサ400内に含まれうるイメージセンサセル410の配列420上において、上述された偏光フィルタ200に含まれてもよい。副配列210は、異なる偏光特性を有するいくつかの偏光セル211、212、213および214を含んでもよい。図2においてそれぞれの副画素210に4つの偏光セルが図示されているが、異なる偏光特性を有する少なくとも二つの偏光セルが同一の副配列210に含まれる限り、その他どのような数の偏光セルが副配列210に含まれてもよい。例えば、偏光セル211は、偏光された光及び偏光されていない光のほとんど全てを透過する参照セルであってもよい。偏光セル212は、一方向に直線偏光された光、例えば垂直偏光された光のみを透過してもよい。偏光セル213は、他の方向に直線偏光された光、例えば水平偏光された光のみを透過してもよい。偏光セル214は、円偏光された光のみを透過してもよい。本発明のいくつかの実施形態において、偏光セルの同一の配置が、例えば偏光セルの繰り返しパターンを形成するようにそれぞれの副配列210内に含まれてもよい。しかしながら、他の実施形態においては、異なる副配列210が、異なる偏光セル及び/または異なる配置を含んでもよい。本発明のいくつかの実施形態に従って、図2に示されるように、それぞれの偏光セル211、212、213及び214は、イメージセンサセル410、例えば図2に示されるように4つのセンサセル410の対応するグループ上に配置され、それぞれの偏光セルは4つのセル410のそれぞれのグループに大きさ、形状及び配置を適合させてもよい。本発明の他の実施形態において、偏光フィルタ200とイメージセンサ400との間の光学素子は、偏光セル211、212、213または214を通過させてイメージセンサセル410のそれぞれのグループに光を導いてもよく、それによって例えばセル410のそれぞれのグループ上の偏光セルの正確な重ね合わせが不要になりうる。
【0015】
ここで、本発明のいくつかの実施形態に従って配置された偏光フィルタ200、波長フィルタ300及びイメージセンサ400の部分積層概略図である図3を参照する。図3の部分図において、イメージセンサ400の例示的な一部分が、いくつかのイメージセンサセル410を含んで図示されている。波長フィルタ300のそれぞれの部分は、様々な色の対応する数の波長フィルタリングセル310を含んでもよい。偏光フィルタ200のそれぞれの一部分は、垂直及び水平偏光セル212および213または上述したようなその他どのようなありうる偏光セルでもあるような異なる偏光特性を有する二つの隣接する偏光セルを含んでもよい。波長フィルタリングセル310は、異なる色の波長フィルタリングセル310の副配列を繰り返して配置されてもよい。例えば、偏光セル211、212、213及び214またはその他のそれぞれは、波長フィルタ300の波長フィルタリングセル310のそれぞれの副配列とともに配置されてもよい。さらに、それぞれの波長フィルタリングセル310は、イメージセンサセル410と共に配置されてもよく、それによって例えば特定のセル410が特定の色のそれぞれの波長フィルタリングセル310及び特定の偏光特性を有するそれぞれの偏光セル211、212、213または214またはその他を通過した光を取得してもよい。さらに、対応する偏光セルを通過した特定の偏光特性を有する光成分は、それぞれの波長フィルタリングセル310を通過したのちにいくつかのイメージセンサセル410上で取得されてもよく、それによっていくつかのセル410のそれぞれが、異なる色の偏光した光を取得してもよい。この目的に関して、波長フィルタ300及び偏光フィルタ200は、互換性があり、つまり、光が偏光フィルタ200を通過してから波長フィルタ300を通過してもよく、またはその反対でもよい。
【0016】
ここで、本発明のいくつかの実施形態に従う偏光フィルタ200の偏光セルの例示的な副配列210の概略図である図4を参照する。副配列210は、図2を参照して詳細に上述したように、それぞれ非偏光、垂直偏光、水平偏光及び円偏光を有する偏光セル211、212、213及び214のコア配列250を含んでもよい。さらに、副配列210は、コア配列250を取り囲む偏光セル1から12の層260及び層260を取り囲む偏光セル13から32の層270を含んでもよい。同様に、副配列210は、偏光セルの層を取り囲む追加的な層を含んでもよい。層260、270などを取り囲む偏光セルの少なくともいくつかは、様々な方向の直線偏光を有してもよい。本発明のいくつかの実施形態において、それぞれの層における直線偏光セルが様々な方向の直線偏光を有してもよく、一つの層内の隣接した直線偏光セルの間の偏光位相差は、360°を層内の直線偏光セルの数で割ることによって決定されてもよい。例えば12のセルを含みうる層260を例とすると、隣接したセルの間の偏光位相差は約30°であってもよい。20セルを含む層270において、隣接したセルの間の偏光位相差は約18度であってよい。さらに多くのセルを含みうる追加的な層は、隣接したセル間においてさらに小さな位相差を提供してもよく、そのため、例えば、偏光情報のより微細な詳細な方向及び/または明らかにされた偏光情報に基づいた情報のより正確な推測が可能になる。本発明のいくつかの実施形態において、取り囲む層260及び270などは、セル211のような、偏光を有さず必要に応じて異なる透明度を有する追加的な参照セルを含んでもよい。本発明のいくつかの実施形態において、取り囲む層260及び270などは、必要に応じて異なる円偏光の方向(時計まわり方向または反時計回り方向の円偏光のような)を有するセル214のような、追加的な円偏光セルを含んでもよい。
【0017】
図2、3及び4には四角形の偏光セル、波長フィルタリングセル及びイメージセンサセルが図示されているが、本発明のいくつかの実施形態に従って、他の形状のセル、例えば円形や六角形のセルが可能であることが理解されるであろう。さらに、図面に示されたのとは異なるパターン及び形状のセル配列及び/または副配列が可能である。
【0018】
ここで、本発明のいくつかの実施形態に従う光の偏光特性を分析する方法を示す概略的なフローチャートである図5を参照する。ブロック610に示されるように、本方法は例えば画像処理ユニット500で、イメージセンサ400の複数のイメージセンサセル410から画像データを取得する段階を含んでもよい。詳細に上述したように、イメージセンサ400、波長フィルタ300及び偏光フィルタ200は、例えば、対応する偏光セルを通過した特定の偏光特性を有する光成分がそれぞれの波長フィルタリングセル310を通過したのちにいくつかのイメージセンサセル410上で取得され、それによっていくつかのセル410のそれぞれが異なる色の偏光した光を取得してもよいように配置される。従って、それぞれのイメージセンサセル410を対応する偏光セル及び波長フィルタリングセルに関連付けさせるデータに基づいて、いくつかのイメージセンサセル410から取得された画像データの比較により、色、強度及び偏光データの推測を可能にするものであってよい。
【0019】
ブロック620に示されるように、本方法は、取得された画像データから、取得された光景の偏光情報と光景画像データとを分離する段階を含んでもよい。偏光情報及び光景画像データは、例えば、いくつかのイメージセンサセル410のグループから取得された画像データの比較によって推測されてもよい。画像データの比較および情報の推測を含む、画像データの分析は、例えば、画像処理ユニット500のプロセッサ560によってなされてもよい。分離された偏光情報は、特定のイメージ画素に関連してもよく、その特定のイメージ画素は、偏光情報が推測されたイメージセンサセルのグループによって規定されてもよい。例えば、イメージセンサセルのグループは、例えば、図2を参照して上述されたように偏光セルの副配列210に対応してもよい。分離された偏光情報は、直線偏光の偏光度及び方向、円偏光の偏光度及び方向並びに全強度を含んでもよい。偏光情報は、強度及び偏光情報が推測された偏光のストークスパラメータによって表されてもよい。
【0020】
ブロック630に示されるように、本方法は、画像化された光景、画像の光学的品質及び/またはイメージセンサについての情報を推測することができるように、例えば、それぞれの光景画像データとの関連性と共に偏光情報を処理する段階を含んでもよい。
【0021】
ブロック640に示されるように、例えば、それぞれの光景画像データに関連する偏光情報を処理する段階は、例えば、照明の方向及び/または強さ、画像化された物体の物理的特性及び/または物体及び/または光景の特定な種類の検出のような、画像化された光景についての情報を推測することができるようになされてもよい。例えば、特定の種類の物質からの光の反射は、既知の方法で光の偏光に影響を与えるので、物体及び/または表面を形成する物質についての情報が、偏光情報に基づいて推測されうる。さらには、特定の偏光特性及び/またはパターンを有する特定の光源が画像化される光景を照らすために用いられて、イメージセンサセル410から取得された偏光情報に基づいて特定の種類の物体/表面の検出を行ってもよい。
【0022】
さらに、偏光情報に基づいて、物体の大きさ及び/または形状、及び/またはイメージセンサからの物体の距離が推測されてもよい。物体の大きさ及び/または形状の分析に基づいて、物体が特定されうる。加えて、偏光情報に基づいて、イメージセンサと画像化された物体/表面との間の媒質についての情報、例えば、イメージセンサと画像化された物体/表面との間の空気/水/その他の媒質内に存在する物質についての情報などが推測されてもよい。物質についてのそのような情報は、例えば、空気/水の汚染の指標となるものであってよい。さらに、偏光情報に基づいて、位置、方向、強度、グレアなどのような、画像化された光景の自然光源及び/または人工光源についての情報が、例えば直線偏光の偏光度及び方向を分析することによって検出されてもよい。本発明の実施形態によって提供された、画像化された光景についての情報を推測するために偏光情報を処理する能力は、例えば、リモートセンシングシステム、マシンビジョンシステム、自動選別機、コンピュータによる顔及び/またはその他の特徴検出、医療イメージング及びその他多くの応用に用いられてもよい。
【0023】
ブロック650に示されるように、例えば、それぞれの光景画像データに関連する偏光情報の処理は、取得された光景画像の光学的及び/または視覚的品質についての情報を推測することができるように行われてもよい。例えば、光景内の表面からの光反射によって引き起こされる色のひずみのような光景画像における特定の種類の色のひずみは、高い直線偏光度に関連しうる。光景内の光源から放射される偏光されていない光によって引き起こされる色のひずみのような、光景画像におけるその他の種類の色のひずみは、低い直線偏光度に関連しうる。偏光情報を分析することにより、色のひずみを有する領域及び色のひずみの原因が検出され、それによって例えば画像の修正が可能になりうる。さらに、偏光情報に基づいて、例えば、イメージセンサと画像化された物体/表面との間の媒質の質の結果でありうるような、霞み及び/またはグレアの領域が検出されうる。画像の霞み及び/またはグレア特性は、霞み及び/またはグレアと関連する偏光特性の領域を特定することにより、画像データから分離され、それによって、例えば、霞み及び/またはグレアのデータを差し引いて画像の修正が可能になってもよい。
【0024】
ブロック660に示されるように、例えば、それぞれの光景画像データに関連する偏光情報の処理は、イメージセンサについての情報を推測することができるように行われてもよい。例えば、偏光データに基づいて、例えば、照明の所定の方向、イメージセンサの位置及び/または動きについての情報が推測されてもよい。さらに、偏光情報に基づいて、イメージセンサセルの暗電流ノイズのレベルが検出されてもよい。さらに、異なる偏光特性に関連するイメージセンサセルが、例えば、異なる強度のために異なる露出時間を必要としてもよい。従って、イメージセンサセルから取得された画像データに基づいて、特定の偏光特性に関連するイメージセンサセルの露出過少または露出過多が検出されてもよい。
【0025】
ブロック670に示されるように、本方法は、推測された情報に基づく画像の処理及び/または向上及び/または調整を含んでもよい。例えば、取得された光景画像の光学的及び/または視覚的品質についての情報並びに画像の視覚的品質と偏光特性との間の関連性に基づいて、画像に、例えば、色のひずみ、霞み及び/またはグレアのような欠陥を除去する処理を行ってもよい。さらに、上述のように、偏光フィルタ200は、様々な偏光特性の偏光セルの副配列の繰り返しを含んでもよい。そのため、類似した偏光特性を有する偏光セルは、偏光フィルタ200に渡って一定の距離で配置されてもよい。従って、イメージセンサ400は、類似した偏光特性を有する偏光セルに関連するイメージセンサセルのグループを含んでもよく、イメージセンサセルのグループは、イメージセンサセルの配列に渡って一定の距離で配置されてもよい。このシステム10の質は、追加的な特徴を提供するために用いられてもよい。例えば、特定の距離だけずれた二つのイメージセンサセル上で取得された二つの類似した画像が、例えば、三角測量演算によって画像化された光景の三次元及び/または深さ情報を抽出するために組み合わされてもよい。従って、三次元画像が生成されてもよい。
【0026】
ブロック680に示されるように、本方法は、例えば、イメージセンサ400、波長フィルタ300及び/または光学素子100のようなシステム10の素子に校正データ及び/または命令を通信し、推測されたデータに基づいて校正を行うことを含んでもよい。例えば、イメージセンサセルの暗電流ノイズのレベル及び/または必要な露出時間を調整するための校正データ及び/または命令が、上述したように検出されて、イメージセンサ400及び/または個々のイメージセンサセル、波長フィルタ300及び/または光学素子100に通信されてもよい。
【0027】
ブロック690に示されるように、本方法は画像処理ユニット500によって処理した後に推測されたデータ及び/または向上された画像及び/または調整された画像を出力する段階を含んでもよい。例えば、照明、媒質及び/またはイメージセンサについての推測された情報が、使用者及び/またはその他のプロセッサに通信されて、それらが照明、媒質及び/またはイメージセンサのパラメータを調整するための情報に基づいて判断を行ってもよい。例えば、画像化された物体、表面及び/または媒質についての推測された情報が、使用者、蓄積媒体及び/またはその他のプロセッサに通信されて、特定の応用例に従ってさらなる処理やその他のどのような使用を行ってもよい。
【0028】
本発明の特定の特徴が本明細書において示され、説明されたが、数多くの調整、除外、変更及び等価物が当業者によってここでなされるであろう。従って、添付された特許請求の範囲が、本発明の真の思想の範囲内となるような調整や変更の全てを包含することを意図されている。
【符号の説明】
【0029】
10 イメージセンシングシステム
100 光学素子
200 偏光フィルタ
210 偏光フィルタ副配列
211 参照セル
212 垂直偏光セル
213 水平偏光セル
214 円偏光セル
250 コア配列
260、270 偏光セルの層
300 波長フィルタ
310 波長フィルタリングセル
400 イメージセンサ
410 イメージセンサセル
500 画像処理システム
510 双方向データリンク
560 プロセッサ
580 非一時的蓄積媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を集めるための光学素子;様々な方向の偏光の偏光セルの配列を有する偏光フィルタ;様々な色の波長フィルタリングセルの複数の繰り返された副配列を備え、それぞれの前記副配列の波長フィルタリングセルが前記偏光フィルタのそれぞれの偏光セルに対応する波長フィルタ;及びイメージセンサセルの配列を備えるイメージセンサを備え、波長フィルタリングセルの前記副配列の少なくとも一つが、前記偏光フィルタのそれぞれの偏光セル及び前記イメージセンサのセルのそれぞれのグループに対応し、セルの前記それぞれのグループにおけるそれぞれのイメージセンサセルが、それぞれの偏光セル及びそれぞれの波長フィルタリングセルの両方を通過した光を取得するように構成された、光の偏光特性を分析するシステム。
【請求項2】
前記イメージセンサから取得された画像データに基づいて、偏光情報を推測するための画像処理ユニットをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記画像処理ユニットが、さらに、前記偏光情報から推測された校正データを前記イメージセンサ、前記波長フィルタ及び前記光学素子の少なくとも一つに通信する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
偏光セルの前記配列が、少なくとも水平偏光フィルタセル、垂直偏光フィルタセル、非偏光フィルタセル及び円偏光フィルタセルのコア配列を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
偏光セルの前記配列が、様々な偏光特性の偏光セルの少なくとも一つの層をさらに備え、前記層が前記コア配列を取り囲む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
偏光セルの取り囲む前記層の少なくともいくつかのセルが、それぞれ、異なる方向の直線偏光特性を有する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
少なくともいくつかの前記セルが、隣接したセル間で、一定の位相差の直線偏光特性を有する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
様々な方向の偏光の偏光セルの配列を有し、少なくとも水平偏光フィルタセル、垂直偏光フィルタセル、非偏光フィルタセル及び円偏光フィルタセルのコア配列を備える、偏光フィルタ。
【請求項9】
偏光セルの前記配列が、様々な偏光特性の偏光セルの少なくとも一つの層をさらに備え、前記層が前記コア配列を取り囲む、請求項8に記載の偏光フィルタ。
【請求項10】
偏光セルの取り囲む前記層の少なくともいくつかのセルが、それぞれ異なる方向の直線偏光特性を有する、請求項9に記載の偏光フィルタ。
【請求項11】
少なくともいくつかの前記セルが、隣接したセル間で、一定の位相差の直線偏光特性を有する、請求項10に記載の偏光フィルタ。
【請求項12】
イメージセンシングシステムに備えられた複数のイメージセンサセルから画像データを取得する段階;取得された画像データから取得された光景の偏光情報及び光景画像データを分離する段階;及び前記偏光情報を処理して情報を推測する段階、を備える、光の偏光特性を分析する方法。
【請求項13】
偏光情報及び光景画像データを分離する前記段階が、いくつかのイメージセンサセルから取得された画像データの比較を備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記推測された情報が、取得された光景画像の光学的及び/または視覚的品質についての情報、画像化された光景についての情報及びイメージセンサセルについての情報のうち少なくとも一つを備える、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
取得された前記画像を、推測された前記情報に基づいて処理する段階をさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
処理された前記画像の少なくとも一つ及び推測された前記情報の少なくともいくつかを出力する段階をさらに備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
校正データを前記イメージセンシングシステムの素子に通信する段階をさらに備える、請求項16に記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【公表番号】特表2013−520675(P2013−520675A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554470(P2012−554470)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際出願番号】PCT/IL2011/000189
【国際公開番号】WO2011/104714
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(512072603)ヴォロテック・リミテッド (2)
【Fターム(参考)】