標的化気管支内療法のための方法、装置、および製剤
本発明は、院内患者において気管気管支炎、気管支拡張症、および肺炎を、治療効果に高い信頼性の十分な量の、組み合わせてまたは順次に投与される、好ましくはエアロゾル化抗グラム陽性および抗グラム陰性抗生物質で治療する、改良された手段を提供する。1つの局面において、本発明は、エアロゾルが人工呼吸器回路に送達される場合にこの結果を確かなものにする。1つの態様において、本結果は機械的に達成される。もう1つの態様において、本結果はエアロゾル製剤によって達成される。もう1つの局面において、本発明は、エアロゾルが人工呼吸器回路の気道末端に直接的に送達される場合に本結果を確かなものにする。本治療手段は、エアロゾルが人工呼吸器回路を介して導入される場合に人工呼吸器システムが引き起こす用量多様性を排除する。また、本治療手段は、投与された薬物の治療レベルが、患者の薬物への有意な全身暴露を伴わずに達成されるように、肺の患部部位に治療剤を特異的に集中させる。本発明はさらに、この特殊化された投薬計画を制御するための用量制御装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、入院患者を含めた被検体において気管気管支炎、気管支拡張症、および肺炎を治療するための方法および組成物に関する。また、本発明は、気管(ある態様では、深部肺)に対する抗微生物剤の送達を介して、そのような感染の危険性が増大した患者、特に挿管患者における肺感染の予防に関する。特に、本発明は、そのような患者を有意な全身レベルのエアロゾル化抗微生物剤に暴露することなく、機械的に通気された患者をエアロゾル化抗微生物剤で治療するための手段を提供する。特に、本発明は、人工呼吸器回路を介して投与されたエアロゾル化剤に典型的な分散と比較した場合に、患者間で実質的に変化しない用量の治療剤を機械的に通気された患者に投与するための手段を提供する。もう1つの局面において、本発明は、本発明が可能な用量制御を確実とする装置に関する。好ましい態様において、本発明では、肺感染を治療または予防するための、肺および気管気管支樹においてグラム陽性およびグラム陰性菌に対して殺菌または静菌効果を発揮する組合せにおいて有効なエアロゾル化抗微生物剤と併用した使用を意図する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
機械的人工呼吸器は、肺が病気のないように維持する通常のプロセスを乱すと思われる。事実、人工呼吸器関連肺炎(VAP)は、機械的人工呼吸器を必要とする患者の間で最もありふれた院内感染であると報告されている。挿管の持続時間と感染の発生との間には強い相関がある。最近の多大な研究において、挿管およびVAPの同定の間の平均間隔は3.3日であった。Rello J.ら,「Epidemiology and Outcomes of Ventilator-Associated Pneumonia in a Large US Database」Chest 122:2115(2002)。重要なことには、一旦VAPが発生すれば、患者は通常はより延長された人工呼吸器期間を必要とする。あいにく、挿管の延長は、しばしば死亡で終わる悪性サイクルにおいて、呼吸機能のさらなる代償不全を伴う新しい強度の感染を招く。
【0003】
そのような感染を全身投与される抗生物質で治療することは周知であるが、複数の抗生物質剤での全身の同時治療は、抗生物質-耐性株の選択の加速から流体および電解質バランスの破壊、および身体を通じた粘膜上皮の抗ウイルス防御メカニズムを危うくするまでの範囲の合併症の危険を孕んでいる。また、全身投与される抗生物質は肝臓、腎臓、および骨格に対して有害反応を有しかねない。そのような関心から、抗生物質投与についての段階的縮小戦略が最近必要とされるようになった。Hoffken G.およびNiederman M.S.,「Nosocomial Pneumonia:The Importance of De-escalating Strategy for Antibiotic Treatment of Pneumonia in the ICU」Chest 122:2183(2002)。
【0004】
前記引用の危険性の悪化は、全身療法の目的が循環においてではなく、気管支の粘膜側について、すなわち、気管支分泌において抗生物質の高濃度を達成することであるという事実である。多くの抗生物質は気管支を通っての血流から貧弱にしか拡散せず「Pennington,J.E.,「Penetration of antibiotics into respiratory secretions」,Rev Infect Dis 3(1):67-73(1981)」、これは医師が真に全身感染で規定されるであろうよりも高い用量の抗生物質を投与することにつながる。さらに、感染した患者を特徴付ける化膿性痰は、多くの抗生物質の効力を危うくする傾向がある、例えば、Levy,J.ら,「Bioactivity of gentamicin in purulent sputum from patients with cystic fibrosis or bronchiectasis:comparison with activity in serum」,J Infect Dis 148(6):1069-76(1983)参照。この因子は、さらに、医師が多量の抗生物質を処方する動機付けとなる。これらの危険は、幾人かの専門家が、院内患者において肺感染を全身的に治療するのを放棄すべきであることを提唱するに至らしめた。あいにく、既知の代替法はいずれも魅力的ではない。
【0005】
抗生物質が全身投与と共に経口、胃、および気管内粘膜に適用される代替アプローチが試みられてきた。それは非常にコストがかかり、いずれの場合においても、死亡率に対するいずれの軽減効果にも関連しない。それはまた、特に区別されずに用いられると、集中治療室において抗生物質-耐性感染の「突発」を招く。
【0006】
全身投与に関連する前記問題を克服するもう1つの試みにおいて、種々のネブライザーを介して送達されるエアロゾル(液滴または乾燥粉末)にて、自然に呼吸する患者の肺の粘膜表面に直接抗生物質を投与しようとする種々の試みがなされてきた。しかしながら、抗生物質のより局在化された投与は問題がある。エアロゾル化抗微生物剤に関する初期の研究は、明確な肯定的結果を示していなかった。しかしながら、これは挿管患者へのエアロゾル投与の、物理学の貧弱な認識のためであると考えられる。今日、貧弱なシステムデザインおよび/または不適切な装置用法の結果、肺中の所望の部位に到達するエアロゾルは実質的に得ることができないと認識されている。「Consensus Statement:Aerosols and Delivery Devices」Respiratory Care 45:589(2000)。
【0007】
さらに、達成された抗生物質のレベル、または観察された細菌負荷の低下の点で一般的に満足できる結果を伴う研究においてさえ「Eisenberg,J.ら,「A comparison of peak sputum tobramycin concentration in patients with cystic fibrosis using jet and ultrasonic nebulizer systems. Aerosolized tobramycin study group」,Chest 111(4):955-962(1997);Ramsey,B.W.ら,「Intermittent administration of inhaled tobramycin in patients with cystic fibrosis.Cysic fibrosis inhaled tobramycin study group」N Engl J.Med 340(1):23-30(1990)」、投与される抗生物質の量を低下させる努力はなされておらず、ネブライザーには典型的には全身投与される用量と同等な量の抗生物質が充填されていた。
【0008】
通気患者における霧化による抗生物質の投与は、報告されているところによるとさらに十分ではない(Fuller,H.D.ら,Pressurized aerosol versus jet aerosol delivery to mechanically ventilated patients.Am.Rev.Respir Dis 1989,141:440-444;MacIntyre,N.ら,Aerosol delivery to intubated,mechanically ventilated patients.Crit.Care Med 1985,13-81-84)。通気患者において、湿潤器を回避し、呼吸サイクルの吸息期にのみ働く霧化が、旧式のデザイン(Palmerら、Crit.Care Med 1998,26:31-39)の人工呼吸器(Bear II,Bear Medical Systems,Riverside,CA)を用いてなされてきた。
【0009】
エアロゾル送達の公知の方法により発生する有効量の極端な多様性は、気管支拡張剤などの従来的薬物の能力および安全性という理由から、そのような薬物では重要でない。しかしながら、多様性は抗生物質の場合には非常に重要な問題である。肺毒性の危険性は多様性問題を凌駕する思い切った用量の処方を思いとどまらせ、これにより患者は不適切な治療の期待、特に危険な事項に晒されたままとなる。最悪の場合には、不十分性が認識される時点までに、状況を修正する機会が過ぎている。多くの他の場合において、不十分な治療は、患者における抗生物質耐性生物の選択および増殖を刺激し、医師に全く警戒を怠らせ、全ての患者を危険に晒す。
【0010】
院内患者において肺感染を治療するための全身抗生物質療法の放棄を進めるために当技術分野において求められているものは、肺の末端気道に直接抗生物質を送達する手段である。そのような手段は短時間で気管支分泌中に高い信頼性の力価の抗生物質を生じさせて、選択プロセスが耐性生物の集団を確立し始める前に、全ての感染性生物を圧倒すべきである。一方、本発明は、全身循環への流出、肺毒性、ならびに医療従事者および他の患者の逸脱抗生物質への不慮の暴露を回避するための用量制御の信頼性のある手段を提供すべきである。
【発明の開示】
【0011】
発明の概要
これらおよび他の目的は、特にヒトを含めた動物において、院内感染を含めた肺感染を治療または予防する方法を提供する本発明によって達成される。本方法は、一般に、治療上有効量の抗生物質またはその薬学的に許容される塩をエアロゾルとしてそれを必要とする動物被検体またはヒト患者に投与することを含む。いくつかの抗生物質は本発明に従って組み合わせて、または順次に送達することができる。好ましくは、気道へ送達される量は、もしそのような量が全身送達されるのであれば、治療的には効果的であるのに十分でなく明らかに毒性を誘導するのに十分ではない。同時に、そのような量は、最小阻止濃度(「MIC」)の約10〜100倍大きい抗生物質の痰レベルをもたらすと考えられる。
【0012】
1つの局面において、人工呼吸器回路にそのエアロゾルが向かうように配置したネブライザーによって、治療上有効量は気道に到達する。液滴または乾燥粒子としてのエアロゾルを作り出すのに適当な種々のネブライザーが本発明で有用である。事実、人工呼吸器回路の内側壁上へのエアロゾル粒子捕獲を最小化する傾向があるエアロゾル送達の任意の手段も本発明の範囲内である。1つの態様において、この目的は、エアロゾル化粒子が有意に吸湿拡大されることを確実に阻害することによって達成される。なぜなら、水で包まれた粒子は壁に凝縮する傾向があるからである。1つの態様において、霧化が始まる前に所定量だけ人工呼吸器回路中の湿度を低下させる工程が導入される。本発明に従うこの態様において、標準ベンチテストモデルにおいて予め決定された約3μm未満に質量メジアン空気力学直径(「MMAD」)を維持する湿度が好ましく、約1.5μm未満のMMADがより好ましい。もう1つの態様において、各エアロゾル粒子は、実質的に非吸湿性エンベロープに包まれて送達される。
【0013】
もちろん、直径がより大きな態様を用いることができる。さらに、ある場合には、本発明では粒子または壁の表面電荷への調整が考えられる。例えば、装置上の表面電荷が重要であると仮定すると、本発明ではコネクターが作製されるか、またはY字部品(後に議論)が金属で作製されているか(または金属で少なくとも被覆されている)態様が考えられる。または、プラスチックコネクターおよび/またはY字部品を薬剤(例えば、湿潤剤、洗剤、石鹸)で処理して、表面電荷を調整することができる。
【0014】
本発明のもう1つの局面において、エアロゾル化抗生物質は動物被検体またはヒト患者の気道に直接送達され、人工呼吸器回路を大幅に回避する。本発明に従ったエアロゾル化抗生物質を送達するための特に便宜な手段は、参照として本明細書に組み入れられる米国特許第5,642,730号、第5,964,223号および第6,079,413号に記載されている。本発明が有用である処置戦略は、後記する患者の気道における特殊化吸引カテーテルの置き換えから恩典を受けるので、本発明のこの局面の1つの態様はエアロゾルおよび吸引カテーテルの組合せである。
【0015】
任意のそのような送達装置も、もしそれが本発明で考えられる範囲内で予測可能な量の治療剤を送達することができれば、本発明の範囲内である。好ましくは、この要件は、所定量の治療剤を含有するための装置で達成され、その装置は本発明のもう1つの局面である。本発明によると、そのような装置は、特定量の抗生物質を収容し、所定の送達期間に所定量の抗生物質の送達するサイズとされる。そのような装置は、本発明で範囲内にあるエアロゾル送達装置に動作可能に嵌合するように設計される。
【0016】
1つの態様において、本発明では、用量計量エレメントに取り付けられた流体駆動エレメントを含む装置が考えられ、ここで用量計量エレメントはエアロゾル化カテーテルに係合している。好ましい態様においては、用量計量エレメントはエアロゾル化カテーテルに脱着可能に係合し、規定された容量の貯蔵器を含み、ここで貯蔵器は、好ましくは可視測定表示(measurement indicia)を伴うまたは伴わない透明または半透明シリンダーまたはチューブとして構成される。この好ましい態様においては、患者用の流体製剤(例えば、抗生物質製剤)は貯蔵器に入れられ、流体駆動エレメントは、操作中、流体駆動エレメントが流体製剤を貯蔵器から出し、エアロゾル化装置に入れるように、貯蔵器に対して構成される。好ましい態様においては、流体駆動エレメントは圧縮ガスによって駆動されるプランジャーまたはピストンを含み、圧縮ガスは容器またはキャニスターに貯蔵され、装置の操作者によって放出される。圧縮ガスの放出が引き起こされると、プランジャーまたはピストンは規定容量の製剤をエアロゾル化カテーテルに押し込む。特に好ましい態様においては、装置は、それが人工呼吸器システムにおける開口またはポートに係合できるよう構成された「独立」装置であり、ここで、エアロゾル化カテーテルは、カテーテルの送達端部(すなわち、それから外にエアロゾルが送達される)がチューブのほぼ端部まで(または好ましくはチューブの端部下方まで延びることによってチューブを回避するように、エアロゾルを送達する)挿管患者の気管チューブ(および/または気管切開チューブ)の内側に(または側面に)嵌合するような寸法とされる。特に好ましい態様においては、エアロゾル化カテーテルの端部は、エアロゾルのスピードを示すためのバッフルを含む。
【0017】
好ましい態様においては、製剤中の一つまたは複数の薬物は抗微生物剤(すなわち、抗真菌剤、抗ウイルス剤および/または抗菌剤)である。特に好ましい態様においては、本発明では、エアロゾル化装置中に抗グラム陰性抗生物質またはその薬学的に許容される塩と共に抗グラム陽性抗生物質を含む製剤が考えられる。1つの態様において、本方法は、(a)(i)感染の一つまたは複数の症状を呈する患者(ヒトまたは動物を問わない)(または単に、感染の危険性がある患者);(ii)グラム陽性菌に対して活性を有する第一の抗生物質およびグラム陰性菌に対して活性を有する第二の抗生物質を含む製剤(典型的には、液体、乾燥粉末、または脂質製剤);(iii)下方端部が前記患者の気管内に(または気管内または気管切開チューブ内に)嵌合するよう構成されたエアロゾル送達端部を含む、上方端部および下方端部を含むエアロゾル送達装置を提供する工程;(b)前記患者の気管内に前記装置の前記エアロゾル送達端部を挿入して、位置決定された装置を作る工程;ならびに(c)前記製剤が位置決定された装置の前記エアロゾル送達端部を通じて前記患者に送達されるような条件下で前記製剤をエアロゾル化し、ここで、エアロゾルはまず前記患者の気管において前記患者と接触し(それにより、口腔咽頭を回避する)ことを含む。本発明の前記態様は送達装置によって限定されることを意図しない。1つの態様において、前記エアロゾル送達装置はエアロゾル送達カテーテルを含む。もう1つの態様において、前記エアロゾル送達装置はエアロゾル化ノズルに嵌合する気管支鏡を含む。さらにもう1つの態様において、前記エアロゾル送達装置はノズル延長に嵌合する計量用量吸入器を含む。
【0018】
抗生物質の混合物を投与する方法の態様は、挿管患者に特に適している。その目的で、本発明では、(a)(i)下方端部および上方端部を有する気管内チューブおよび気管切開チューブから選択されるチューブを挿管された、微生物感染の一つまたは複数の症状を呈する患者(ヒトまたは動物を問わない)(または単純に、挿管、または挿管された時間の長さのため、感染の危険性がある患者);(ii)グラム陽性菌に対して活性を有する第一の抗生物質、およびグラム陰性菌に対して活性を有する第二の抗生物質を含む製剤(典型的には、液体、乾燥粉末、または脂質製剤);(iii)下方端部が前記チューブ内に嵌合するように構成されたエアロゾル送達端部を含む、上方端部および下方端部を含むエアロゾル送達カテーテルを提供する工程;(b)前記チューブ内に前記カテーテルの前記エアロゾル送達端部を挿入して、位置決定されたカテーテルを作る工程;ならびに(c)前記製剤が位置決定されたカテーテルを通じて前記患者に送達されるような条件下で前記製剤をエアロゾル化する工程を含む方法の態様が考えられる。好ましい態様においては、前記チューブは機械的人工呼吸器に連結されている。特に好ましい態様においては、位置決定されたカテーテルの前記エアロゾル送達端部は(i)前記チューブ下方端部の直前(例えば、1インチ内)、(ii)前記チューブ下方端部(iii)、または前記チューブ下方端部の丁度下方(例えば、1インチ内)まで延びる(それにより、人工呼吸器管によって引き起こされる潜在的封鎖を回避する)。しかしながら、1つの態様において、位置決定されたカテーテルの前記エアロゾル送達端部は、前記エアロゾルがまず気管内チューブと接触し、その後、患者の気管と接触するように、十分に、(気管内チューブの1/3上方または1/3中央に位置する)気管内チューブ内にある。
【0019】
1つの態様において、特に「一定流」人工呼吸器に関して、本発明では、送達事象を厳格に人工呼吸器サイクルの吸息期および、もし可能であれば、低下した流速に制限することが考えられる。従って、1つの態様において、工程(c)のエアロゾル化は呼吸サイクルの吸息期に行われる(またはそれに固定される)。1つの態様において、機械的人工呼吸器は患者用の呼吸サイクルを制御し、前記サイクルは呼吸サイクルの吸息期を含む。
【0020】
もう1つの態様において、送達はカテーテルを通じ、「連続的」であって、吸息期に制限されない。1つの態様において、バンコマイシン/ゲンタマイシン製剤が(Trudellカテーテル等の)エアロゾルカテーテルを介して連続的に送達される。
【0021】
本発明は特定の投与量に限定されることを意図しない。一方、本明細書中に記載するエアロゾルシステムおよび方法の効率は、もし全身投与されたならば余りにも低くて一般には効果的ではないが、適当な薬学的に許容される製剤を気道に直接的に投与する場合には効果的である量の送達を可能とする。重要なことは、効率は増加し得ても、好ましい態様においては、効率は用量に対する制御を犠牲として増加しない。従って、送達がより再現性がある場合には、より低い効率が好ましいと考えられる。
【0022】
本発明は、特定の生物を殺すに過ぎない抗微生物剤に限定されることを意図しない。本発明では、広く種々の生物を取り扱う薬物および薬物の組合せが考えられる。好ましい態様においては、本発明では、とりわけ、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、インフルエンザ菌、および肺炎連鎖球菌、ならびに/またはメチシリン-耐性黄色ブドウ球菌のような細菌の抗生物質-耐性株によって引き起こされた感染の治療で効果的な薬物または薬物の組合せが考えられる。
【0023】
もちろん、抗ウイルス剤もエアロゾル化し、本発明の抗生物質製剤のように投与することができる。香港における重度の急性呼吸器系症候群(SARS)の勃発を考えれば、これは特に意義がある。SARSの症状は発熱、寒気、筋肉痛、および咳を含む。老齢の人、リンパ球減少症を持つ人、および肝臓機能不全を持つ人は、典型的には、重度の病気と関連付けられる。感染性薬剤はコロナウイルス科に属するウイルスであると考えられる。
【0024】
本発明の好ましい態様は感染を取り扱うが、本発明では、改良されたエアロゾル系および方法を、気管およびまたは深部肺へのエアロゾルを必要とする任意の患者、ヒトまたは動物に適用することもできると考えられる。この理由で、他の薬物(例えば、ステロイド、タンパク質、ペプチド、核酸、気管支拡張剤、界面活性剤、リドカイン等)がエアロゾルとして考えられる。さらに、他の種類の患者(例えば、嚢胞性線維症、肺癌、COPH、ARDS、SAID、ウマ慢性肺気腫、呼吸器系感染、喘息、気管支痙攣)が考えられる。
【0025】
さらに、本発明の好ましい態様は挿管患者の文脈で提示されるが、感染の危険性がある他の患者は本発明の方法および装置で治療することができると考えられる。例えば、老人(特に、介護施設における老人)、競争馬、イヌおよびネコ(ショーおよびレース動物)、頻繁に走る動物(例えば、サーカス動物)、狭い区画中の動物(例えば、動物園または農場)、一般的なヒトおよび動物は肺感染の危険性がある。本発明では、そのような個体のための気管および/または深部肺へのエアロゾルの送達が考えられ(予防的(すなわち、症状前)および急性条件下(すなわち症状後))、ここで、前記エアロゾルは抗微生物剤、特に、前記した抗生物質混合物を含む。
【0026】
1つの態様において、本発明では、ARDSまたは慢性閉塞性肺病(COPD)と診断された患者に適当な医薬を投与することが考えられる。本発明では、(a)(i)ARDSの一つまたは複数の症状を呈する患者(ヒトまたは動物を問わない)(または、単に、AIDS、結核、インフルエンザ、気腫、嚢胞性線維症、ウマ慢性肺気腫の慢性または急性疾患と以前に診断されたため、現在感染しているかまたは感染の危険性がある患者、または粘膜または痰の増加を呈する患者)、(ii)適当な医薬の製剤、および(iii)下方端部がエアロゾル送達端部を含む、上方端部および下方端部を含むエアロゾル送達カテーテルを提供する工程;(b)前記患者の気管に前記カテーテルの前記エアロゾル送達端部を挿入して、位置決定されたカテーテルを作る工程(もし患者が挿管チューブを有するならば、カテーテルは前記チューブの内部または側面に沿って嵌合するような構成である);ならびに(c)前記製剤が前記位置決定されたカテーテルを通って、前記患者に送達されるような条件下で前記製剤をエアロゾル化する工程を含む方法の態様が考えられる。
【0027】
本発明は、前記した組成物、装置、および方法を用いる場合の任意の正確な所望の結果に限定されない。しかしながら、本発明の組成物、装置、および方法は、挿管患者の死亡率の低下、低下した全身抗生物質暴露、および局所投与によって引き起こされた肺の標的化粘膜表面における上昇した暴露による耐性の発生の減少(または少なくとも耐性が増加しないこと)をもたらし得る。前記したように、本発明の組成物、装置、および方法は肺炎の治療で有用である(全身治療よりもかなり効果的であり;またはほとんどないが、有用な付加物であり得る)と考えられる。関連する感染も予防し、または減少させることができると考えられる(例えば、敗血症の予防、尿管感染の抑制等)。
【0028】
もちろん、本発明の組成物、装置、および方法の効率による全身性抗生物質の低下した使用はコストの低下、IVラインでの時間の減少、および/または中央ラインでの時間の減少をもたらすことができる。さらに、そのような減少が(下痢およびC.ディフィシレ(C.difficile)感染発生の低下、良好な栄養等によって測定されるように)抗生物質毒性を減少させるはずである。
【0029】
本発明の組成物、装置、および方法は、局所的に、ET-Trachチューブバイオフイルムの減少をもたらすであろうと考えられる。これは、今度は分泌をなくし、気道抵抗を減少させ、および/または呼吸の仕事を減少させるはずである。後者は人工呼吸器から患者を離すプロセスを容易とするはずである。
【0030】
本発明では、人工呼吸器システムの通常に使用されるエレメントを置き換えることができる特別な態様が考えられる。1つの態様において、本発明では、人工呼吸器および気管内に取り付け可能なモジュラーY字部品が考えられ、ここに、Y字部品の下方アームはエアロゾル発生器を含む。任意の正確な所望の結果に限定されないが、一体的発生器を持つモジュラーY字部品は全ての従来的エアロゾルシステム(ジェット、超音波、およびMDI)に対する人工呼吸器の影響を減少させ、同時に、Aerogen(商標)proのような装置の肯定的な品質を増強させると考えられる。再度、任意の正確な所望の結果に限定されないが、一体的発生器を持つモジュラーY部品は(1)送達における多様性を低下させて(給湿、バイアス流、連続対呼吸-作動の減少された効果)、(どのような市販の人工呼吸器システムが用いられようと)同一の送達を達成し;(2)呼吸作動の最大効果を可能とし;および(3)デッド容量を有しないネブライザーを用いる増強されたネブライザー効率に対する最大効果を可能とすると考えられる。
【0031】
1つの態様において、本発明では、(a)(i)下方端部および上方端部を有する気管内チューブおよび気管切開チューブから選択されるチューブを挿管された患者(前記患者は感染の症状を呈するか否かを問わない);(ii)第一の抗生物質を含む製剤;(iii)下方端部が前記患者の気管内に嵌合する様構成されたエアロゾル送達端部を含む、上方端部および下方端部を含むエアロゾル送達装置を提供する工程;(b)前記患者の気管内に前記装置の前記エアロゾル送達端部を挿入して、位置決定された装置を作る工程;ならびに(c)前記製剤が前記位置決定された装置の前記エアロゾル送達端部を通って前記患者に送達されるような条件下で前記製剤をエアロゾル化する工程であって、前記エアロゾルをまず前記気管に接触する工程を含む方法が考えられる。1つの態様において、前記エアロゾル送達装置はエアロゾル送達カテーテルを含む。もう1つの態様において、前記エアロゾル送達装置はエアロゾル化ノズルに嵌合した気管支鏡を含む。さらにもう1つの態様において、前記エアロゾル送達装置はノズル延長に嵌合した計量用量吸入器を含む。
【0032】
本発明は製剤の性質に限定されないが、1つの態様において、前記製剤はさらに第二の抗生物質を含み、ここで、前記第一の抗生物質はグラム陽性菌に対して活性を有し、前記第二の抗生物質はグラム陰性菌に対して活性を有する。さらにもう1つの態様において、製剤はさらに気管支拡張剤(例えば、アルブテロール(albuterol))を含む。
【0033】
1つの態様において、本発明は、(a)(i)微生物感染の一つまたは複数の症状を呈する挿管患者、(ii)グラム陽性菌に対する活性を有する第一の抗生物質およびグラム陰性菌に対して活性を有する第二の抗生物質を含む製剤;(iii)下方端部が前記チューブ内に嵌合するように構成されたエアロゾル送達端部を含む、上方端部および下方端部を含むエアロゾル送達カテーテルを提供する工程;(b)前記チューブ内に前記カテーテルの前記エアロゾル送達端部を挿入して、位置決定されたカテーテルを作る工程;ならびに(c)前記製剤が前記位置決定されたカテーテルを通って前記患者に送達されるような条件下で前記製剤をエアロゾル化する工程を含む方法が考えられる。経時的には、そのような投与は前記症状の一つまたは複数を減少させる(しかし、完全に排除する必要はない)ことが考えられる。例えば、そのような投与は(後により詳細に議論する)CPISスコアを減少させることができるか、あるいはCPISスコアを計算するのに用いられる一つまたは複数の因子を減少させることができる。一方、そのような投与は規定された時間中に分泌(例えば、痰)の量を減少させることができる。
【0034】
本発明は任意の正確な構成に限定されないが、前記した方法は、前記チューブが機械的人工呼吸器に連結される文脈で行われると考えられる。本発明は送達の正確なタイミングに限定されないが、1つの態様において、前記機械的人工呼吸器は呼吸サイクルを制御し、前記サイクルは呼吸サイクルの吸息期を含み、工程(c)のエアロゾル化は呼吸サイクルの吸息期に行われる。
【0035】
本発明はカテーテルの任意の正確な位置決定に限定されず、1つの態様において、前記位置決定されたカテーテルの前記エアロゾル送達端部は(i)前記チューブ下方端部の直前(例えば、3cm以内)、(ii)前記チューブ下方端部、または(iii)前記チューブ下方端部の丁度下方(例えば、3cmだけ)に延びる。しかしながら、1つの態様において、前記位置決定されたカテーテルの前記エアロゾル送達端部は、前記エアロゾルがまず気管内チューブに接触し、その後、患者の気管に接触するように、十分に(気管切開チューブの1/3上方または1/3中央に位置する)気管内チューブ内にある。
【0036】
さらにもう1つの態様において、本発明では、(a)(i)上昇した白血球細胞数(および/または上昇したCPISスコア)を呈する患者;(ii)グラム陽性菌に対する活性を有する第一の抗生物質および(任意で)グラム陰性菌に対する活性を有する第二の抗生物質を含む製剤;(iii)下方端部が前記患者の気管内に嵌合する様構成されたエアロゾル送達端部を含む、上方端部および下方端部を含むエアロゾル送達装置を提供する工程;(b)前記患者の気管内に前記装置の前記エアロゾル送達端部を挿入して、位置決定された装置を作る工程;ならびに(c)前記位置決定された装置の前記エアロゾル送達端部を通じて前記製剤が患者に送達されて、処置された患者を作るような条件下で前記製剤をエアロゾル化する工程であって、前記エアロゾルはまず前記気管に接触することを含む方法が考えられる。経時的には、そのような投与は白血球細胞数を減少させて(ある場合には、正常な範囲の数まで減少させる)と考えられる。従って、1つの態様において、前記方法は、さらに、(d)工程(c)の後に前記処置された患者の白血球細胞数を測定する工程を含む。
【0037】
しかしながら、白血球細胞数は多数のインジケーターのうちの1つに過ぎない。例として、そのような投与はCPISスコアを「例えば、6(または>6)から4以下」まで減少させることができるか、あるいはCPISスコアを計算するのに用いられる一つまたは複数の因子を減少させることができる。一方、そのような投与は規定された時間内に分泌(例えば、痰)の量を減少させることができる。
【0038】
繰り返すが、本発明は任意の正確な構成に限定されないが、前記した方法は、前記チューブが機械的人工呼吸器に連結される文脈で行われると考えられる。本発明は送達の正確なタイミングに限定されないが、1つの態様において、前記機械的人工呼吸器は呼吸サイクルを制御し、前記サイクルは呼吸サイクルの吸息期を含み、工程(c)の前記エアロゾル化は呼吸サイクルの吸息期に行われる。
【0039】
また、本発明はカテーテルの任意の正確な位置決定に制限されず、1つの態様においては、前記位置決定されたカテーテルの前記エアロゾル送達端部は(i)前記チューブ下方端部の直前(例えば、3cm以内)、(ii)前記チューブ下方端部、または(iii)前記チューブ下方端部の丁度下方(例えば、3cmだけ)に延びる。
【0040】
また、本発明では、(それがどのように用いられるかから独立した)装置および製剤が考えられる。本発明は製剤の性質に制限されないが、1つの態様において、前記製剤は、さらに、グラム陽性菌に対する活性を持つ第一の抗生物質およびグラム陰性菌に対する活性を持つ第二の抗生物質を含む。さらにもう1つの態様において、前記製剤はさらに気管支拡張剤(例えば、アルブテロール)を含む。1つの態様において、単一の抗生物質を気管支拡張剤と共に用いる。この組合せは、抗生物質を単独で用いる場合、抗生物質後気管支痙攣の(ある場合における)観察のため有用であることが判明した。
【0041】
1つの態様において、本発明では、用量計量エレメントに取り付けられた流体不動エレメントを含む装置が考えられ、ここで用量計量エレメントはエアロゾル化カテーテルに(直接的にまたは他のエレメントを通じて間接的に)係合し、前記カテーテルはエアロゾル送達端部を含む。好ましい態様においては、用量計量エレメントはエアロゾル化カテーテルに脱着可能に係合している(例えば、設置されたネジ、設置されたスナップ、管が他の管上を滑るか、またはその中を滑るという事実によって設けられ、かつ保持されたスライド)。1つの態様において、用量計量エレメントは規定された容量の貯蔵器を含む。1つの態様において、前記貯蔵器には薬物製剤(例えば、抗生物質製剤)が充填される。1つの態様において、前記貯蔵器は透明または半透明のシリンダーとしての構成である。1つの態様において、前記シリンダーは可視測定表示を含む。1つの態様において、前記流体駆動エレメントは圧縮ガスによって駆動されるプランジャーを含み、前記圧縮ガスはキャニスター中に貯蔵される。1つの態様において、前記エアロゾル化カテーテルは、それが気管内チューブ内部に嵌合できるような寸法である。1つの態様において、前記エアロゾル化カテーテルの前記送達端部はバッフルを含む。
【0042】
1つの態様において、本発明では、ほぼY字の部品として構成された管を含む装置も考えられ、前記装置は人工呼吸器に取り付け可能な第一の端部および気管内チューブに取り付け可能な第二の端部を有し、ここで、前記第二の端部はエアロゾル発生器を含む。1つの態様において、前記エアロゾル発生器は前記第二の端部に一体化されている(例えば、前記部品を成型する時点で取り付けられる)。1つの態様において、前記エアロゾル発生器には薬物が充填されている。
【0043】
もう1つの態様において、本発明では人工呼吸器回路を含むシステムが考えられ、前記回路は(i)接合部で収束する吸息ラインおよび呼息ライン、(ii)前記接合部に近接して位置し、かつ気管内チューブ(または気管切開チューブ)と流体接続したネブライザーであって、前記吸息ラインまたは前記呼息ラインには位置しないネブライザーを含む。前記ネブライザーは、それが前記接合部および前記気管内チューブの間に位置する場合に前記接合部に「近接して」位置する(これは、任意で前記気管内チューブに対するよりも前記接合部により近いように置くことができる)。
【0044】
本発明は接合部の正確な構成に制限されることを意図しない。1つの態様において、接合部は第一の端部、第二の端部、および柄を有するY字部品(または「T」字部品または「V」字部品)を含む(「V」字部品の柄は丁度「V」の底部点である)。この態様においては、吸息ラインがY字部品の第一の端部に取り付けられており、ここで、呼息ラインがY字部品の第二の端部に取り付けられているのが好ましい。1つの態様において、ネブライザーはY字部品の柄に位置する。1つの態様において、ネブライザーは、単純に、Y字部品の柄に取り付けられている。好ましい態様においては、ネブライザーが位置決定され得るように、Y字部品および気管内チューブの間にネブライザーアダプターが挿入される(すなわち、ネブライザーはスナップフィット等として雄-雌様式でアダプターに嵌合する)。さらにもう1つの態様において、ネブライザーはY字部品の柄に一体化される。
【0045】
本発明は前記回路の正確な構成または性質に制限されない。1つの態様において、前記回路は閉じた回路である。もう1つの態様において、前記回路は開いた回路である。
【0046】
本発明では、ほぼY字の部品(または「T」字部品、または「V」字部品)として構成された管を含む装置の態様も考えられ、前記装置は(i)人工呼吸器回路の吸息ラインに取り付け可能な第一の端部、(ii)人工呼吸器回路の呼息ラインに取り付け可能な第二の端部、および(iii)ネブライザーを含む柄を含む。1つの態様において、ネブライザーはY字部品の柄に位置する。1つの態様において、ネブライザーは、単純に、Y字部品の柄に直接的に、または(例えば、もう1つのチューブまたは適当なエレメントを介して)間接的に取り付けられている。好ましい態様において、ネブライザーが位置決定され得るように、ネブライザーアダプターがY字部品および気管内チューブの間に挿入される。(すなわち、ネブライザーはスナップフィット等として雄-雌様式でアダプターに嵌合される)。さらにもう1つの態様において、ネブライザーはY字部品の柄に一体化されている。ネブライザーは空(後に充填)であるか、薬物が充填されている(但し、充填された形態で最終使用者に提供される)。
【0047】
どのようにして装置が用いられるかに制限されないが、1つの態様において、本発明では、(a)気管内チューブおよび気管切開チューブから選択されるチューブを介して人工呼吸器回路に取り付けられた被検体を提供する工程であって、人工呼吸器回路が(i)接合部において収束する吸息ラインおよび呼息ライン、(ii)前記接合部に近接して位置し、かつ前記チューブに流体接続したネブライザーであって、前記吸息ラインまたは呼息ラインに位置しないネブライザーを含む工程;(b)前記ネブライザーを介してエアロゾル化抗生物質を前記被検体に投与する工程を含む方法が考えられる。前記被検体はヒトまたは動物でありうる。1つの態様において、前記被検体は感染の一つまたは複数の症状を呈する患者である。1つの態様において、前記ネブライザーは工程(b)に先立って抗生物質製剤を含有する。1つの態様において、抗生物質製剤はグラム陰性菌に対する活性を有する第一の抗生物質およびグラム陰性菌に対する活性を有する第二の抗生物質を含む。
【0048】
もう1つの態様において、本発明は、(a)気管内チューブおよび気管切開チューブから選択されるチューブで挿管された、微生物感染の一つまたは複数の症状を呈する患者を提供する工程であって、前記チューブは(i)接合部において収束する吸息ラインおよび呼息ライン、(ii)前記接合部に近接して位置し、かつ前記チューブに流体接続するネブライザーを含む人工呼吸器回路に連結され、ここで、前記ネブライザーは前記吸息ラインまたは前記呼息ラインに位置せず、かつ複数の抗生物質を含む製剤を含有する工程;(b)前記ネブライザーを介してエアロゾルとしての前記製剤を前記患者に投与する工程を含む方法が考えられる。正確な製剤に制限されるものではないが、1つの態様において、前記製剤はグラム陽性菌に対する活性を有する第一の抗生物質、およびグラム陰性菌に対する活性を有する第二の抗生物質を含む。
【0049】
繰り返すが、本発明は特定の人工呼吸器配置に限定されない。1つの態様において、吸息および呼息ラインは機械的人工呼吸器に連結される。1つの態様において、機械的人工呼吸器は呼吸サイクルを制御し、前記サイクルは吸息期を含む。1つの態様において、工程(b)のエアロゾルの投与は呼吸サイクルの吸息期に行われる。
【0050】
また、本発明は、特定の人工呼吸器の特徴または操作形態に制限されない。1つの態様において、機械的人工呼吸器は給湿エレメントを含む。1つの態様において、工程(b)のエアロゾルの投与は、給湿エレメントが活動していない場合になされる。
【0051】
定義
本明細書中においては、「エアロゾル」は、ガス中の物質の液体または固体粒子の懸濁物と定義される。「充填」という用語は、送達システムに入れられる薬物の量を記載するのに用いられる。「吸入量」とは、患者によって吸入された現実の量をいう。「沈積」とは、患者において現実に沈積した用量をいう。本発明の種々の態様に従ったエアロゾル送達に関しては、抗生物質の「沈積」は、常に現在用いられる全身用量よりも低いことが好ましい。一方、「充填」は装置の効率に大いに依存し得る。重要なことには、低い効率の送達でもってさえ、(小さな範囲にわたって再現可能な)送達に対する良好な制御が、用量を制御する手段として好ましい。
【0052】
本発明では、様々な種類のアトマイザーおよびネブライザー双方の使用が考えられる。「アトマイザー」はバッフルのないエアロゾル発生器であり、一方、「ネブライザー」はより小さな粒子を生じさせるためにバッフルを用いる。しかしながら、特許請求の範囲における「ネブライザー」という用語はアトマイザーを含むことが意図される。
【0053】
1つの態様においては、本発明では、振動エレメントおよびテーパー付きの穴を備えたドーム形状の開口プレートを含む市販のAerogen(商標)エアロゾル発生器の使用が考えられる。前記プレートが1秒当たり数千回振動する場合に、ミクロ-ポンピング作用が液体をテーパー付きの穴を通して排出させ、正確に規定された範囲の液滴サイズを持つ低速エアロゾルを作り出す。Aerogen(商標)エアロゾル発生器は噴射剤を必要としない。
【0054】
「バッフリング」は、物体、即ち、「バッフル」による前方向運動の中断である。バッフリングは、エアロゾルを容器または管の側面にぶつけることによって達成することができる。より典型的には、(ボールまたは他のバリアーのような)構造をエアロゾルの経路中に置く(例えば、参照として本明細書に組み入れられる米国特許第5,642,730号、特に図6、エレメント6参照)。本発明では、エアロゾルが送達装置を出るにつれてエアロゾルのスピードを遅らせるためのバッフルの使用が考えられる。
【0055】
「用量計量エレメント」は、投与される薬物の量を制御するエレメントである。前記エレメントは薬物が投与される場合に前記薬物の量を測定することができるが、必ずしもその必要はない。好ましい態様において、前記エレメントは、単純に、規定された容量の容器(例えば、貯蔵器)として特徴付けられる。好ましい態様において、規定された容量は製造業者または病院の専門家(例えば、看護士、薬剤師、医師等)によって充填され、全容量が投与される。もう1つの態様において、貯蔵器は可視測定表示(例えば、マーキング、数字等)を備えた透明または半透明シリンダーとして配置され、前記充填は、ガイドとしての前記表示を用いて所望の点まで(例えば、全能力未満まで)なされる。
【0056】
「流体駆動エレメント」は、装置に沿った方向に流体を移動させるエレメントである。単純な態様においては、流体駆動エレメントは圧縮ガスによって駆動されるプランジャーを含み、圧縮ガスはキャニスターに貯蔵される。他の態様においては、ポンプが含まれる。さらに他の態様において、(シリンジの様式で)手で作動させるプランジャーが含まれる。
【0057】
1つのエレメントは、それが、ガス、蒸気などの通過を可能とするチャネル、チューブ、または他の導管を通じて取り付けられると、もう1つのエレメントと「流体接続」または「流体的に接続」される。事実、市販の人工呼吸器と組み合わせた管は、回路のエレメントの間に流体接続を維持することによってガス流のための「回路」を作り出す。回路中のポートは、装置および薬物を導入することができるように回路を一時的に開ける。「管」は、限定されるものではないが、種々のプラスチック、金属、および複合体を含めた種々の材料から形成することができる。管は剛性または柔軟性であり得る。管は脱着可能な形態または固定された形態で「取り付ける」ことができる。管は、典型的には、他の管またはコネクターにまたはコネクター上に滑らせることによって取り付けられる(その双方は「摺動可能に係合する」の例である)。
【0058】
「患者」はヒトまたは動物であり、入院している必要はない。例えば、外来患者、介護施設中の個人は「患者」である。
【0059】
「微生物感染の一つまたは複数の症状を呈する患者」は発熱または他の伝統的な症状を有することができるか、または分泌の増加、BALFにおける生物、または他の症状を呈することができる。「感染の危険性がある患者」は、限定されるものではないが、外傷患者、集中治療室の患者、挿管患者、老人患者、誕生時の体重が低い患者、免疫無防備状態患者を含む。
【0060】
「位置決定された」装置はインビボにて、即ち、患者との関係で位置決定される。例えば、ある態様においては、エアロゾルカテーテルは、エアロゾルがまず気管と接触するように位置される。もう1つの態様において、エアロゾルはまず気管内チューブと接触する。もう1つの態様において、エアロゾルは、バイオフィルムが気管を超えて延びるか否かに拘わらず、単純に、感染に関連する「バイオフィルム」と接触される。
【0061】
「ジェットネブライザー」は、液体がジェット流に到達し、ジェット流に吸引され、粉砕されて小粒子となるように毛細管作用によって液体を吸い上げる。
【0062】
「超音波ネブライザー」は、液体を粉々にしてエアロゾルとする音波を生じさせるために電流を用いる。超音波ネブライザーは、電気エネルギーを圧力エネルギーに変化させる(圧電エレクトロニック技術を含めた)セラミックトランスジューサーを含む。前記トランスジューサーは約1.5mHzまでの非常に高い周波数で振動する。振動エネルギーは水を通じて伝達され、振動するフレキシブルな隔膜に集中される。前記隔膜はエアロゾル化されるべき溶液と接触し、溶液を震盪させて粒子とする。高い周波数においては、微細な霧が発生する。超音波ネブライザーは、ジェットネブライザーよりも一定の粒子サイズを生じさせることができ、肺に極めて多く沈積する非常に大量の吸い込み可能な粒子を生じさせることができる。
【0063】
本発明では、いくつかの態様において、ポータブルネブライザーおよびエアロゾル装置(例えば、Omron Healthcare、Inc Portable Ultrasonic Nebulizer、NE-U03V MicroAir)を含めた圧電エレクトロニック技術(例えば、圧電セラミックエレクトロニックトランスジューサーに基づくPari GmBh(Starnberg、ドイツ国)e-Flow(商標)エレクトロニックネブライザー)、および吸入薬物送達技術(例えば、Mystic(商標)薬物吸入技術BattellePharma)に基づくネブライザーおよびエアロゾル薬物送達装置の利用が考えられる。
【0064】
「急性呼吸窮迫症候群」(ARDS)は、液体が充填された炎症が起こった肺胞からの突然の生命を脅かす肺不全である。それは、しばしば抗生物質を含む機械的通気によって治療される。
【0065】
気道閉塞(慢性肺気腫(COPD)、およびSAID参照)。
【0066】
気管支拡張剤。典型的には、気道を迅速に開けることによって直ちに救済を供するのに用いられる吸入されて短時間作用するエアロゾル医薬。
【0067】
SAID(小気道炎症病)。ウマにおいて咳および運動不耐を引き起こす下部気道の病気。これは慢性肺気腫よりも重篤ではない。
【0068】
慢性肺気腫(慢性閉塞性肺病または慢性閉塞性肺疾患)は、肺の小気道が狭くなることによる強制呼息努力によって特徴付けられる。この疾患は、慢性閉塞性肺病(COPD)としても知られている。
【0069】
pMDI(圧縮計量用量吸入器)(MDIまたは計量用量吸入器ともいう)。この装置はキャニスターを下に押す際にエアロゾルを作り出す。キャニスターを下に押す毎に、単一用量の医薬が分配される。
【0070】
湿潤ネブライザー(ジェットネブライザーとしても知られている);湿潤ネブライザーは液状薬物に対して高流量のガスを向けることによって作動され、微小な液滴または粒子の霧を生じさせる。
【0071】
さらなる態様は薬物製剤、局所麻酔および病気または疾患特異的抗生物質(例えば、エアロゾル化リドカインおよびCorus 1020抗生物質(Corus Pharma Inc.))の組み合わせを含む。
【0072】
「乾燥粉末」製剤の例は、喘息および気管支痙攣の予防のためのフォルモテロールフメレート吸入粉末(Novartis)である。
【0073】
発明の説明
患者の疾患の定義
機械的通気と感染との関連は明瞭であるが、(感染を引き起こすかまたは感染の結果であるかの何れかである)病気の正確な性質は明瞭ではない。「肺炎」はよく規定された疾患ではない。肺炎を診断するためのいわゆる「最も基準となる検査(gold standard)」は(典型的には、死後行われる)組織学的検査である。しかしながら、組織学的な肺炎の認識は病理学者の間で変動する。14日間の通気手段の後に死亡した39人の患者からなる実験群を用いた際、病理学者の一団は診断について合意しなかった。事実、同一一団によって6ヶ月後に同一のスライドが調べられた時に、患者の幾人かは再度分類された。Corley D.E.ら、「Reproducibility of the Hystologic Diagnosis of Pneumonia Among a Panel of Four Pathologists」Chest 112:458(1997)。一方、同一の実験群を用い、<50%好中球を含む細胞集団を含む気管支肺胞洗浄流体(BALF)は、組織学的肺炎に対して100%陰性の予測値を有した。いくつかの態様において、本発明は、挿管患者における肺炎/感染を排除する手段としてこのBALF測定を利用する。いくつかの態様において、VAPは、以下の基準:BALFにおける細胞の2%を超えるまたはそれと等しいものが、BALFの直接的調査で見出された細胞内細菌を含有する;103cfu/mlを超えるまたはそれと等しい保護された検体ブラシ試料;または104cfu/mlを超えるまたはそれと等しいBALF培養のうちの少なくとも2つの存在によって確認される。Combes A.ら、「Incidence and outcome of polymicrobial ventilator-associated pneumonia」Chest 121-1618(2002)参照。
【0074】
一般的な文献は(人工呼吸器-関連肺炎につき)一般的な標識「VAP」下で挿管患者の関係での感染を記載するが、本発明者らは、そのような患者は、少なくとも初期には、「気管気管支炎」として最良に記載されるより限定されたまたは局所化された病気を発症することを認識している。本発明を、いかなる方法によっても特定の病気メカニズムに限定する意図はないが、気管気管支炎は、口腔咽頭部の混合フローラによる基部側気道への侵入により、気管内チューブにおいて、またはその周りで(特に、チューブがカフ、例えば、バルーンカフで「係留」される場所において、またはその近くで、あるいはチューブの端部にて、またはその近くで)発生すると考えられる。換言すれば、チューブは口腔咽頭部のフローラを気管に運び、そこで、フローラは感染の初期部位にて増殖する。シュードモナスのような他の親水性生物は口腔咽頭部を迂回し、直接的に、導管としての気管内チューブまたは気管切開チューブを用いて気管に集落を形成することができる。
【0075】
本発明を、挿管患者において病気がどのようにして進行するかの理論に限定する意図はないが、本発明の方法および装置に従って気管気管支炎を治療(または予防)することによって肺炎を遅らすことができ、またはそれを予防することさえできると考えられる。本発明では、気管気管支炎の診断は痰レベルの測定によってなすことができると考えられる。
【0076】
説明として、図1Aは従来的な気管内挿管の略図である。図1Bは、気管内チューブを係留するバルーンカフを示す、図1Aの丸印の部分の拡大図であり、気管気管支炎に特徴的な感染の局所領域を模式的に示す。図2は、インライン痰トラップを備えた気管切開チューブ系を装備した患者の略図である。図3は、挿管の週の関数としての、図2の痰トラップで測定された痰の増加を示す棒グラフである。
【0077】
図3のデータは、その双方が本発明によって意図される、療法に対する2つの代替法の十分な根拠を示す。1つの態様において、本発明では、感染の症状が検出可能であるか否かを問わず、挿管から約7日後(または挿管から3日以上後および挿管から約7日以上後)における気管および/または深部肺に対する抗生物質混合物の予防的エアロゾルが考えられる。もう1つの態様において、分泌物の容量(例えば、痰レベル)が(挿管からの日数に拘わらず)任意の4時間の測定時間内に約2ccを超える場合に、気管気管支炎の診断がなされる。
【0078】
図4は、肺炎に対する高い痰レベルの関係を示す棒グラフである(例えばVAP)。病気進行の任意のの理論に本発明を限定するものではないが、(任意の4時間の測定時間における約6ccよりも大きな)非常に高い痰レベルは、気管気管支炎が肺炎に成熟したことを示すが、一方、「肺炎無し」の集団はより局所化された気管気管支炎を有すると考えられる。
【0079】
試験無しの治療
1つの態様において、挿管患者は「危険性がある」と観察され、エアロゾル化抗生物質の投与は予防的である。この態様において、感染についての試験はなされない。むしろ、感染の発生が挿管時間と共に増大することを示す多くの実験によって、治療の正当化が提供される。1つの態様において、人工呼吸器に接続されたある日数の後に(例えば、第3日に、より好ましくは3日を超えた日に、なおより好ましくは5日を超えた日に、より通常には7日を超えた日に)治療がなされる。
【0080】
患者の試験
本発明は試験のタイミングまたは性質に制限される意図ではない。例えば、1つの態様において、本発明では、感染の発症に先立って、(例えば、痰レベルにつき、BALFにおける細菌につき)挿管患者をモニタリングすることが考えられる。もう1つの態様において、本発明では、症状が出現した後(例えば、発熱、充血等)生物につき試験することが考えられる。「臨床肺感染スコア」をなす標準的な症状を本発明と組み合わせて用いることができる。
(1)体温
(2)白血球細胞数
(3)気管分泌の性質
(4)酸素付与およびARDS
(5)胸部X線所見
(6)気管分泌のグラム株および培養の結果。
【0081】
好ましい態様においては、挿管患者を挿管日数の関数として(例えば、痰レベルにつき、BALFにおける細菌につき、および/または白血球細胞数等につき)試験する。例えば、試験を挿管の直前および/または直後に行って、後の比較のための基準を得る。その後、同様な試験をその後各挿管日に行って、相対的な数を得る。この態様において、感染の診断は、絶対的なカットオフレベルの使用によるのではなく、経時的な増加(例えば、痰レベルの増加、BALFにおける細菌の増加、および/または白血球細胞数等の増加)を示すことによってなされる。もちろん、カットオフレベルを用いることもできる。例えば、白血球細胞数についての典型的なカットオフは10,000であり、これは正常未満である。1つの態様において、10,000以上の白血球細胞数(即ち、「上昇した」WBC数)を持つ挿管患者が、本明細書中に記載された様式でのエアロゾル化薬物投与のために選択される。
【0082】
また、本発明では、後治療を試験することが考えられる(図7参照)。即ち、エアロゾル化薬物を投与した後、レベル(例えば、痰レベル、BALFにおける細菌レベル、および/または白血球細胞数等)を測定して、投薬が所望の影響を有しているか否かを明らかにする。例えば、上昇した白血球細胞数を持つ患者において、10%(より好ましくは20%以上)の白血球細胞数の(1週間、しかしより好ましくは72時間以内、なおより好ましくは48時間以下以内のような)経時的減少は、エアロゾル化薬物治療が所望の結果を有していることを示す。そのような減少は図3に示されており、そこでは、多数の(「n」)抗生物質(ゲンタマイシン、アミカシンまたはバンコマイシン何れか)で処置した(「AA」)および生理食塩水対照(「プラセボ」)患者を、実験の開始時または無作為な時(「R」)および実験の最後(「EOS」)にその白血球数について試験した。
【0083】
1つの態様において、本発明では、痰レベルに基づく(正常な病院設定または臨床試験におけるかを問わず)処置のために患者を選択する方法が考えられる。図10に示されるように、規定された期間(例えば、4時間)における2ccを超える痰レベルを持つ患者を分離するのは、死亡率に対する有意な影響を有し得る。2ccを超える痰を有する患者はより高い死亡率を示した。従って、エアロゾル処置についてこの群を選択することは十分に根拠がある。
【0084】
図11は、痰レベルと共にCPISスコアがどのようにして処置のために患者を選択するのに用いられるかを示す。挿管の時点において、患者は約4のCPISスコアを呈した。2ccの痰が分泌される時点において、CPISスコアは6以上であった。実験中の処置の時点(即ち、薬物またはプラセボを受領させるために患者を無作為化した時点)において、CPISスコアはなおより高かった。しかしながら、処置の最後において、薬物で処置した集団は劇的に減少したCPIS数を示した。
【0085】
図10および11のデータは、2cc以上の痰レベルを持つ挿管患者をCPISシステムを用いてスコア取りした処置様式(通常の病院の状況における、または装置および薬物を評価するための臨床試験のためを問わない)を示す。6のCPISスコア未満を有する者は抗生物質で全身処置しない。むしろ、彼らはエアロゾル化薬物(例えば、抗生物質カクテル等)で処置する。もちろん、臨床試験のためには、薬物および他のプラセボにつき1つの群を無作為化する。結局は、全ての患者に毎日のCPISスコアを与える。処置した群についてのCPISスコアは(痰レベルと共に)減少するはずである。考えられる終点は、限定されるものではないが、人工呼吸器日数、(CDC-NNIS基準を用いて測定した)VAPの発生、CPISスコア、痰レベル、BALF培養、および死亡率、またはその組合せ(例えば、4以下のCPISスコアおよび4時間以内に分泌された2cc未満の痰)を含む。
【0086】
6以上のCPISスコアを有する者は、まず、感染の直接的証拠について試験する(例えば、グラム染色によって測定された微生物を持つBALF)。陰性である(例えば、グラム染色による検出無し)患者は抗生物質で全身処置しない。むしろ、彼らはエアロゾル化薬物(例えば、抗生物質カクテル等)で処置する。もちろん、臨床試験では、薬物および他のプラセボのために1つの群を無作為化する。いずれにしても、全ての患者に毎日のCPISスコアを与える。処置した群についてのCPISスコアは(痰レベルと共に)減少するはずである。考えられる終点は、限定されるものではないが、人工呼吸器の日数、(CDC-NNIS基準を用いて測定した)VAPの発生、CPISスコア、痰のレベル、および死亡率、またはその組合せ(例えば、4以下のCPISスコアおよび4時間以内に分泌された2cc未満の痰)を含む。CPISスコア(および/または進行した病気の他のマーカー、例えば、10,000以上のCFUを持つ患者)の任意の上昇の結果、全身抗生物質処置がなされる。
【0087】
生物に対して陽性である(例えば、グラム染色により陽性)6以上のCPISスコアを有する者は、抗生物質で全身処置する。その後(または同時に)、彼らをエアロゾル化薬物(例えば、抗生物質カクテル等)で処置する。もちろん、臨床試験のためには、薬物および他のプラセボにつき1つの群を無作為化する。いずれにしても、全ての患者に毎日のCPISスコアを与える。処置した群についてのCPISスコアは(痰レベルと共に)減少するはずである。考えられる終点は、限定されるものではないが、人工呼吸器の日数、(CDC-NNIS基準を用いて測定された)VAPの発生、CPISスコア、痰のレベル、および死亡率、またはその組合せ(例えば、4以下のCPISスコアおよび4時間以内に分泌された2cc未満の痰)を含む。CPISスコア(および/または進行した病気の他のマーカー、例えば、10,000以上のCFUを持つ患者)における任意の上昇の結果、継続した全身抗生物質処置がなされる。CPISスコア(または10,000未満のCFUを持つ丁度安定なCPISスコアでさえ)における任意の減少の結果、全身抗生物質処置は中断する。
【0088】
製剤
気管および肺の感染は異なる種類であり得る。いくつかの感染はウィルス性であり;いくつかの感染は(酵母を含めた)真菌性である。より通常には、感染はその性質が細菌である。しかしながら、感染の多くの場合は単一生物感染ではなく;多微生物感染が記載されている。Combes A.ら、「Incidence and outcome of polymicrobial ventilator-associated pneumonia」Chest 121-1618(2002)。この理由から、1つの態様において、本発明では、抗微生物混合物または「カクテル」が考えられる。
【0089】
1つの態様において、混合物はエアロゾル化のために処方した複数の抗微生物剤(例えば、抗生物質)を含む。好ましい態様において、抗生物質の組合せは、グラム陽性およびグラム陰性生物の広い範囲を撲滅する能力について選択される。1つの態様において、試験を処置に先立って行い、気道におけるグラム陰性およびグラム陽性細菌の組合せの増殖を確認することができる。一方、好ましい混合物での処置は、グラム陰性およびグラム陽性双方の微生物の存在の試験または確認無くして行うことができることも考えられる。後者の場合には、ICUの緊急性は、混合物での処置を予防策として慎重にすると思われる。そのようなアプローチは、エアロゾル化混合物を、最小の(もしあれば)全身暴露での感染に局所的に向ける点で正当化される。好ましい混合物での処置は、1つの抗生物質法がもう1つの方法に従う場合、末端気道への感染の進行は現実には促進される可能性に対して保証することができる。一方、感染の種類が知られている(またはインジケーターにより疑われる)場合には、感染に適した単一抗生物質での処置が考えられる。
【0090】
1つの態様において、抗真菌剤および抗生物質が混合物にて用いられる。本発明のなおもう1つの態様において、抗ウィルス剤、抗真菌剤および抗生物質が混合物にて用いられる。1つの態様において、これらの混合物は粒子である(例えば、カプセル化粒子、ミクロ粒子等)。
【0091】
本発明では、通常の溶剤(または、別法として、相互に数分以内〜8時間以内のように、一緒にまたは系列的に投与することができる別々の溶剤)中にて同時に投与することができ、かつ(同一ではないが)同様の治療時間経過を有することが予測することができる適合抗生物質組合せが考えられる。本発明では、エアロゾル投与は身体の他の部分の抗微生物レベルの抗生物質剤への暴露を最小化しつつ、侵された気道の表面に直接併用処置を投与するための効果的な手段であるので、適当なエアロゾル化装置で用いるのによく適合した製剤におけるそのような製剤を提供することが考えられる。適当なエアロゾル送達装置は、一方では口腔咽頭細菌を収集してそれを深部肺まで輸送することなく、かつ他方においては抗生物質攻撃によって正常な口腔咽頭フローラを乱すことなく、予測可能な量の治療剤を侵された領域に直接送達するものである。また、適当なエアロゾル送達装置は、操作中、それらはより濃い(および/またはより接着性の)製剤による封鎖を生じないという事実に基づいて選択されたものである。
【0092】
もう1つの局面において、本発明は、抗グラム陽性抗微生物剤および抗グラム陰性抗微生物剤、ならびに抗微生物剤との適合性につき選択された、かつエアロゾル化することができる薬学的に許容される担体、賦形剤、および/または希釈剤を併用して含む薬学的組成物を提供する。本発明は特定の担体、賦形剤、および/または希釈剤に限定されることを意図しない。種々のそのような剤が考えられる。いくつかの態様において、製剤は結合剤、充填剤、担体、保存剤、安定化剤、乳化剤、緩衝剤、および、例えば、薬学的等級のマンニトール、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム等としての賦形剤のような通常使用される添加剤を含むと考えられる。これらの組成物は溶液または乾燥粉末の形態を取り、典型的には、1%〜95%の有効成分、好ましくは2%〜70%の有効成分を含有する。
【0093】
本開示はヒト治療に対して強調されるが、治療的製剤は家畜動物のような動物用途、および他の治療剤と同様にヒトにおける臨床用途のために哺乳動物に投与することができる。一般に、治療効果に必要な投与量は、使用の型および投与の局面、ならびに個々の宿主の特殊化された要件に従って変化すると考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0094】
発明の詳細な説明
本発明のある好ましい態様、エアロゾルの送達は、湿度および他の因子(例えば、流速、管の差、人工呼吸器の差等)の変動を回避する様式でなされる。1つの態様において、これは患者と吸息および呼息ラインの接合部(典型的には、Y字部品)との間に位置する(ネブライザー、エアロゾル化カテーテル等を介するかを問わず)エアロゾル発生器の使用を含む。いくつかの態様において、エアロゾル発生器はY字部品に(またはY字部品の一体化部分に)取り付けられる。ある態様の利点は従来的配置との関連で後に議論する。
【0095】
湿度感受性噴霧化
任意の所与の人工呼吸器および噴霧化装置についても、選択すべき湿度の適当な予備的決定はベンチモデルを用いてなすことができる(図9A)。使用において、試験的人工呼吸器は番号8の気管内チューブを介して試験肺に連結される(例えば、M.I.I.VentAiTTL,Michigan Instruments,Inc.,Grand Rapids,MI)。エアロゾルを、呼息ラインにおける吸入マスフィルター(Pari,GmbH,Starnberg,ドイツ国)および漏洩フィルターを備えた気管内チューブに対して丁度末端側でサンプリングする。エアロゾルは、Y字部品から12インチの吸息ライン12に位置する装置での噴霧化によって発生させる。任意の多数の試験物質を使用することができる。各人工呼吸器につき評価することができる変数の中には以下のものがある:
人工呼吸器回路における相対湿度、
人工呼吸器サイクル中の噴霧化事象の頻度およびタイミング(「噴霧化アルゴリズム」)、
バイアス流速、
ネブライザー性能の要素(駆動圧力、初期粒子サイズ、粉末エアロゾル、液体エアロゾル、抗吸湿性包装エアロゾル製剤等)、
以下の変数の各々につき測定されるパラメーター、
吸入量(%)、ネブライザー充填の割合としてのフィルター上の薬物の量、
質量バランス(回収(%))、ネブライザーにおけるフィルター+残存物活性双方の合計、
質量媒体空気力学的直径(MMAD)。
【0096】
当業者であれば、バイアス流速、噴霧化アルゴリズム、およびネブライザーの具体的性能の関数としての、本発明の好ましい範囲内にエアロゾルのMMADを維持する湿度設定を任意の所与の人工呼吸器のベンチテストで見出すと考えられる。図9Aに示された配置の場合には、エアロゾル化薬物の良好な送達は、人工呼吸器の湿度特徴が活動的でない場合にネブライザーを作動させることによって達成することができる。従って、1つの態様において、本発明では、ネブライザーが吸息ラインに位置した配置を用いて複数の抗生物質を含む製剤を送達することが考えられる。好ましくは、この態様は、修飾された湿度条件(即ち、湿度が送達を有意には損なわない条件)下で用いられる。
【0097】
ベンチモデルのもう1つの態様は図9Bに示される。繰り返すが、エアロゾルは吸入量フィルター(Pari GmbH,Starnberg,ドイツ国)を備えた気管内チューブに対して丁度末端側でサンプリングされる;任意で、呼息および吸息ラインフィルターを使用することができる。エアロゾルは、吸息ラインの外側(即ち、吸息ライン中ではない)かつY字部品内(好ましくは、ETチューブと連結されるY字部品の端部に向けて)に位置する装置での噴霧化によって発生させる。また、任意の多数の試験物質を使用することができる。もちろん、本発明では、1つの態様において、患者との関連で図9B配置の使用が考えられ、ここに、少なくとも1つの抗生物質を含む製剤がエアロゾル化され、投与される。図9Bに示された態様では、より一定の(より低い効率ではあるが)投与が観察される。これはY字部品におけるエアロゾルエントリーの1つの利点を示す。
【0098】
エアロゾル化治療剤の非吸湿性包装
非常に多数のマイクロカプセル化技術が当技術分野において知られており、その多くは、本発明のエアロゾル化粒子を、湿潤人工呼吸器回路の壁への水滴降下に対して抵抗性とする。非吸湿性である任意のエアロゾル粒子も本発明の範囲内であるが、包装目的の最近開示された特に適切な技術はSchneiderおよびBussatに対する米国特許第6,403,057号に記載され、特許請求され、参照として本明細書に組み入れられる。その発明によると、1μm〜1,000μmの画分からの平均サイズを持つマイクロカプセルが、一つまたは複数の生分解性の水不溶性脂質を用いて、最初は空気またはガスを含むコアをカプセル化するのに用いた場合に得ることができる。前記プロセスの結果、非合着性で、乾燥した瞬時に分散可能な粉末の形態のかなりの機械的強度のマイクロカプセルが得られる。それ自体、生分解性脂質から構成され、マイクロカプセルは身体中で1時間〜数時間続く。
【0099】
マイクロカプセルはガスのコアを保持するが、それは治療的に活性な物質の送達に用いることができ、その場合、活性物質は膜に含ませることができるか、あるいはコアに充填することもできる。実質的に任意の生物学的に活性な物質もマイクロカプセルで用いることができる。
【0100】
本発明との関係でマイクロカプセルを投与するためには、当業者は、’057特許の教示に従ってカプセルを「充填」し、任意の他の乾燥粉末と同様に得られた粒子を用い、マイクロカプセル内の活性剤の「充填」、ネブライザーの「充填」およびその性能特性、ならびに人工呼吸器の設定に対して注意を払う必要がある。
【0101】
用量制御装置
前記したキャリブレーション試験により、当業者は、本発明で利用されるエアロゾル化装置に「充填」するのに用いるべき抗生物質の量を精度をもって予め決定することができる。そのような充填は、さらに、先行技術が教示する(即ち、全身投与される量)よりもかなり少ない量である。シリンジ様送達を手で作動させる圧力でもって本発明の関係で用いることができるが、そのようなアプローチは操作者の間違いおよび誤投与の危険性がある。従って、好ましい態様において、本発明は、所望の薬物の予め測定された量のみを含有するようなサイズの予め測定された薬物貯蔵器を含む装置を提供し、ここで、送達は一旦発射されたならば、自動的かつ完全である。送達を自動化することによって、本発明では、本発明の方法によって投与した場合に投与される用量が全身レベルを有意に上昇させることなく、抗生物質の痰レベルをMICを超えて上昇させるであろうと考えられる。理想的には、抗生物質のレベルは、感染される肺および/または気管の領域の粘膜表面の細胞外流体において上昇する。
【0102】
図8は、用量制御を提供する独立装置の1つの態様を示す。示された態様において、装置(100)は、用量計量エレメント(101)、流体駆動エレメント(102)、およびエアロゾル化カテーテル(103)を含む。示された特定の態様は限定的であることを断じて意図するものではないが、便宜上、装置を2つの部分で作製することができる。示された特定の態様は、(望ましいならば、単一使用、連結解除、および第一の部分の廃棄、それに続くもう1つのモジュールユニットを用いた製剤の第二の投与を可能とするための)モジュラーとしての装置の第一の部分であり、エアロゾル化カテーテル(前記カテーテルは外部バッフル(105)を含む)を含む(例えば、スクリューおよびネジ係合した、104)装置の第二の部分に係合するような構成の、(用量計量エレメントおよび流体駆動エレメントを含む)装置の第一の部分を示す。
【0103】
好ましい態様において、用量計量エレメントは規定された容量の貯蔵器を含み、ここで貯蔵器(106)は、好ましくは可視測定表示(107)を伴うまたは伴わない、透明または半透明のシリンダーまたはチューブとして形成される。この好ましい態様において、患者用の流体製剤(例えば、抗生物質製剤)は貯蔵器に入れられ、前記貯蔵器(106)は流体駆動エレメント(102)の(流れの方向の点で)下流にある。好ましい態様において、流体駆動エレメントは圧縮ガス(示さず)によって駆動されるプランジャーまたはピストン(108)を含み、前記圧縮ガスは容器またはキャニスター(109)に貯蔵され、ポート(111)を通じて装置に係合するトリガー(110)を介して装置の操作者(示さず)によって放出され、前記トリガー(110)は拘束/開放(112)を破る。圧縮ガスの放出が発射されると、プランジャーまたはピストン(108)は規定容量の製剤をエアロゾル化カテーテルに押し込む。特に好ましい態様において、装置は、それが人工呼吸器システム(例えば、図1B参照)における開口またはポートに係合できるような構成の「独立」装置であり、ここで、(送達端部にエアロゾル化ノズル113を有する)前記エアロゾル化カテーテル(103)は、それが、挿管患者の気管内チューブ(および/または気管切開チューブ)の内部(例えば、図6参照)、または側面に沿って嵌合でき、従って、カテーテルの(すなわち、それからエアロゾルが送達される)送達端部がほぼチューブの端部(または、好ましくは、チューブの端部下方)まで延び、「それにより、チューブを迂回するようにエアロゾルを送達する」ような寸法である。特に好ましい態様において、エアロゾル化カテーテルの端部は、エアロゾルのスピードを遅らせるためのバッフル(105)を含む。
【0104】
本発明は、図8に示された駆動エレメント、発射エレメント、カテーテル、およびバッフルの正確なデザインによって制限されることを意図しない。(その全ては、参照として本明細書に組み入れ、カテーテル、エアロゾル化ノズル、バッフル等についての種々の異なるデザインを示す)米国特許第5,642,730号、第5,964,223号、および第6,079,413号、ならびに(参照として本明細書に組み入れられる)米国特許第6,210,359号に示され記載されたもののような、これらのエレメントについての変形が考えられる。
【0105】
好ましい態様において、駆動エレメントはAerogen(商標)エアロゾル発生器の使用によって全く回避することができる。そのような態様において、貯蔵器は、Aerogen(商標)エアロゾル発生器で終わるカテーテルの送達端部に置かれる。一方、本発明では、図8におけるエアロゾルノズルをAerogen(商標)エアロゾル発生器で置き換えることも考えられる。もちろん、本発明は、市販のAerogen(商標)モデルの現在のサイズに制限されない。エアロゾル発生器を従来的な技術によってサイズを小さくして、便宜上、他の装置に取り付けることができる。例えば、1つの態様において、エアロゾル発生器は約0.4〜10mmと小さく、好ましいサイズは約4.0mmであり(これは、成人の気管内チューブのための便宜的なサイズである)。
【0106】
または、エアロゾル発生器(例えば、Aerogen(商標)モデルのもの、またはそのスケールダウンしたバージョン)を人工呼吸器孔の構築されたY字部品に含めることができる。図12は人工呼吸器で用いられるY字部品の1つの態様の模式図であり、Y字部品の下方部分(例えば、末端アーム)におけるエアロゾル発生器の多数の代替設置を示す。事実、Y字部品の全末端アームは「エアロゾル可能」であると考えられる。重要なことには、より一定の投与を達成することができるのが判明し、ここで、エアロゾル発生器はある領域下方に置かれる(この領域の近似的境界は図12中で点線によって示される)。
【0107】
1つの態様において、エアロゾル発生器は、投与カテーテルが取り付けられたY字部品の下方アームに入れられる。もう1つの態様において、エアロゾル発生器の送達端部(または先端)が薬物をチューブのルーメンに送達できるように、エアロゾル発生器はY字部品と一体化される(例えば、取り付けられる、そこに埋め込まれる、挿入される等)。1つの態様において、エアロゾル発生器はチューブのルーメンまで延びる。1つの態様において、エアロゾル発生器はチューブの壁を通って延びる。
【0108】
1つの態様において、本発明では、(例えば、前記部位に薬物が充填された)一体化エアロゾル発生器を備えたY字部品はモジュールであり、「独立」装置として供給することができる。そのような態様において、薬物(例えば、抗生物質のカクテル)を送達するには、市販されている人工呼吸器と組み合わされた正規のY字部品を取り出し、それを、(例えば、「武装弾頭」の様式で)エアロゾル発生器を含むモジュールY字部品で置き換える。その後、発生器を作動させることによって薬物送達が達成される。
【0109】
本発明は、モジュールチューブの正確な構成に限定されることを意図しない(例えば、Yチューブの上方部分は「V」の形状とすることができ、Yチューブはより「T」のような形状となりうる)。同様に、本発明は下方アームにおけるエアロゾル発生器の正確な設置位置、またはその中に入れられたエアロゾル発生器の数に制限されることを意図しない(例えば、いくつかの態様においては複数が考えられ;1つの態様においては、薬物-充填発生器の数は薬物の所望の用量、即ち、所望のより多くの薬物によって決定され、より局所的薬物-充填発生器が用いられる)。また、本発明はチューブ内部への全エアロゾル発生器の設置に限定されない。
【0110】
1つの態様において、発生器の送達端部はY字部品の下方アームに一体化し、一方、他のエレメントはそれに取り付可能である。例えば、1つの態様において、発生器の薬物送達端部は導管(例えば、パイプ、チューブ、チャネル等)を介して、薬物送達端部(例えば、エアロゾルヘッド)から離れた薬物供給(例えば、流体貯蔵器)に取り付けられる。同様に、薬物を送達する力は、エアロゾルヘッドから離れていなくてもよい。局所的力は電池で発生させることができる。遠隔力は、種々の適当なエネルギー移動手段(例えば、ワイヤー/電気;導管/流体圧力および/または流れ;機械的トランスジューサー/音)によって促進され得る。
【0111】
組合わせ吸入カテーテルおよびエアロゾルカテーテル
本発明を実施する方法の1つの態様において、エアロゾル送達キャリアーが利用され、ポートを通って人工呼吸器回路に導入される(図2Aおよび2B)。吸入カテーテルを利用して、エアロゾルカテーテルをそれにネジ結合することができる(図6参照)ように、吸入カテーテル中にチャネルを設けることによって、エアロゾルカテーテルを設置するためのガイドとして働かせるのが都合がよい。特に、本発明では、吸入カテーテルをエアロゾル化カテーテルを気管内に挿入するための導管として適合させる(または適合可能な)態様が考えられる。好ましい態様において、吸入チャンバーは人工呼吸器回路の部分であり、人工呼吸器回路にはインライン(いくつかの態様においては、一体化)痰容量ゲージが供えられている。
【0112】
本発明の態様に従うと、その先端が気管内チューブに対して末端側に位置する吸入カテーテルは、挿管患者において痰の容量を定量するのに用いられ、エアロゾル化カテーテルの設置のための導管として働かせる。好ましい態様において、吸入カテーテルは、挿管患者からの痰を吸入するための人工呼吸器被検体の肺系に留置される吸入チューブ、吸入チューブを介して患者から吸入された痰を受領し、それを含む検体トラップ、および閉じることができるエアロゾル化カテーテル挿入ポートを含む。トラップおよび吸入カテーテルの操作的組合せは、別々のユニットが有する汚染に供されない予め組み立てられた滅菌ユニットを提供する。好ましくは、吸入カテーテルは、滅菌接合を備えたトラップの頂部に取り付けられる。
【0113】
本発明の他の局面によると、吸入カテーテルは、患者の気道内のエアロゾル化成分を測定するためのEBCセンサー(図2C)を含む。炎症メディエーターを測定する市販のセンサーを用いることができる。
【0114】
図面を参照し、吸入カテーテル10は、エアロゾルカテーテルまたはEBC収集回路に取り付けるために用いることができるポート14を含む。図2Bは、ポート14に挿入されたエアロゾルカテーテル30の基部側端部を備えた吸入カテーテル10を示す。エアロゾルカテーテル30の末端側端部は、液体供給および高圧源に取り付けられる。好ましい態様において、エアロゾルカテーテルは多数のルーメンを含む。図2Cは、ポート14に挿入されたEBC収集回路32の基部側端部を備えた吸入カテーテル10を示す。EBC収集回路の末端側端部は蒸気凝縮器に連結される。
【0115】
人工呼吸器回路にポートを提供することによって(特に、ある態様においては、患者に最も近い吸入カテーテルの端部に位置したポート)、本発明は米国特許第5,642,730号、第6,079,413号、および第6,293,279号(その全てを参照として本明細書に組み入れられる)に種々に記載されたカテーテルのような好ましい送達手段の設置を標準化して、制御されかつ均等に分配される様式で、治療剤の関連空間(例えば、気管内チューブの端部近く、好ましい態様においては、適切に位置した気管内チューブの丁度端部を過ぎたところ)への直接的送達を保証する。従って、抗生物質のような、用量が臨界的である薬物は、最初に、安全かつ経済的に肺に投与することができる。従って、そのような用量-臨界的薬物は、今や、肺への直接的投与につき取締当局によってより認可されると考えられる。さらに、特に抗生物質については、本発明は信頼できかつ目的的に測定可能な送達アプローチを提供する。処置を開始するための前記臨床インジケーターとカップリングさせると、組み合わせた特徴は最適な処置結果を提供する。
【0116】
好ましい薬物
抗グラム陽性剤として本発明で有用な抗生物質はマクロライド(例えば、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン)および糖ペプチド(例えば、バンコマイシンおよびテイコプラニン)を含む。しかしながら、適当なエアロゾルに分散または懸濁させることができる任意の抗グラム陽性剤も本発明の範囲内である(オキサゾルジノン、キヌプリスチン/ダルフォプリステン等)。抗グラム陰性剤として有用な抗生物質はアミノグリコシド(例えば、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ストレプトマイシン、メチルマイシン);キノロン(例えば、シプロフロキサシン、オフロキサシン、レボフロキサシン);テトラサイクリン(例えば、オキシテトラサイクリン、ドキシシクリン、ミノシクリン)およびコトリモキサゾールを含む。しかしながら、適当なエアロゾルに溶解または懸濁させることができる任意の抗陰性剤も本発明の範囲内である(例えば、コリスチン、イメピニム、メリペニム等)。好ましくは、抗グラム陽性抗生物質および抗グラム陰性抗生物質は、感染を系列的に治療するにおいて、治療時間経過を、事実、結果に関して全く違わないようにするように選択される。
【0117】
エアロゾル化溶剤として働く流体は、典型的には、特定の製剤のために選択された抗生物質の双方の溶解性および安定性を最適化するように選択されたpKaを持つ緩衝化生理食塩水である。しかしながら、リポソームを含む親油性溶剤を含めた他の流体は本発明の範囲内である。例えば、投薬の保持されたまたは制御された放出をもたらす脂質またはリポソーム処方抗生物質(例えば、Transave,SLT(商標)technology Inc.,ALZA's Steath Liposomal Technology,Gilead Liposomes Drug Delivery Sytems)。本発明で用いるために選択された各抗生物質の濃度は、まず、エアロゾル送達の速度を選択することによって与えられたエアロゾル化流体につき決定される。次いで、十分な量のそれぞれの抗生物質を添加して動物の気道に送達し、これは、そのような抗生物質が肺感染の治療のために全身投与された場合に(当技術分野において周知のアッセイ法によって測定された)従来的に達成されるレベル以下だけ全身循環中の抗生物質のレベルを増加させると考えられる。好ましくは、本用量は、抗微生物効果を全身的に発揮するのに十分なものとして一般的にみなされる概略レベル以下だけ全身レベルを増加させるのに十分なものである。より好ましくは、本用量は、任意の毒性を全身的に発揮するか、または身体中の他の箇所でフローラに影響するのに十分な全身レベルを増加させるのに十分な量よりも少なく、感染されるか、または感染される危険性がある肺の領域におけるよりも少ない。
【0118】
1つの態様において、本発明では、界面活性剤の固有の治療効果のためではなく、抗生物質のような薬物のための送達溶剤として、エアロゾルを介して界面活性剤(または、より一般的には、「湿潤剤」)を投与することが考えられる。任意の特定のメカニズムに本発明を限定する意図はないが、界面活性剤の特性は、肺の全表面にわたって抗生物質の分布を促進するように働くと考えられる。
【0119】
減少した抵抗性
本発明の組成物、装置、および方法の成功した使用は任意の特定のメカニズム(または特定のメカニズムの理解)に制限されないが、抗生物質抵抗性の発生は、もし全身抗生物質療法の高い選択圧が存在しなければ、減少すると考えられる。それにもかかわらず、本発明の組成物、装置、および方法は、全身抗生物質療法のバックグラウンドに対してさえ有効に用いることができる。エアロゾル化抗生物質は、全身抗生物質の存在における抵抗性の発生を予防する。
【0120】
1つの実験において、エアロゾル化抗生物質を受領した9人の患者のうち、3人は全身療法の間に新しい抵抗性の生物を発生させた。一方、8人のプラセボ対照患者のうち、全身療法中の8人のうち5人の患者は新しい抵抗性の生物を発生させた。このデータは、(i)エアロゾル投与が抵抗性の発生を減少させ;および(ii)減少した抵抗性は単にエアロゾルアプローチの利点ではなく、それはエアロゾルアプローチの固有の特性であることを示唆する。
【0121】
薬物含浸チューブ
本発明の1つの局面では、一つまたは複数の抗微生物剤を含浸させた気管内チューブまたは気管切開チューブが考えられる。好ましい態様において、少なくとも1つのグラム陽性および1つのグラム陰性抗生物質の混合物を用いる。1つの態様において、抗生物質混合物は、気管内チューブの表面コーティングとして適用することができる。もう1つの態様において、抗生物質混合物は、製造の間に気管内チューブマトリックスに配合することができる。1つの態様において、抗生物質混合物は全気管内チューブに適用される。もう1つの態様において、抗生物質混合物は気管内チューブのカフおよび/または先端に適用される。
【0122】
ポリマー表面コーティングは、ポリマー表面コーティングからの抗生物質および他の薬物の長持続放出を提供することが知られている。この技術は、ポリマー/抗生物質混合物の気管内チューブの表面への製造後適用を必要とする。(共に参照として本明細書に組み入れられる)Shikaniら、米国特許第5,762,638号;およびDombらの米国特許第5,512,055号。本発明で考えられるポリマーコーティングは、気管内チューブの外部表面に適用することができる。ある態様においては、これらのコーティングを含むポリマーは、限定されるものではないが、以下の特徴を呈することができる。(i)ポリマーは、気管内チューブの外側表面に配置するために溶液に可溶性または分散性である;(ii)ポリマーは考えられる任意の抗生物質と化学的に反応しない;(iii)ポリマーは考えられる抗生物質の全てと適合し、均一な、固体の複合体を形成する;(iv)ポリマーは気管チューブの表面に均一なコーティングを形成することができる;(v)ポリマーは、抗生物質の有意な喪失なくして、貯蔵、使用およびその排気の間安定であるポリマー-抗生物質複合体を形成することができる。考えられるポリマーは共に生体適合性かつ非生侵食性であることが好ましい。これらの特徴の双方は、各々、ポリマーが身体の組織と反応せず、また患者の身体に不用意に放出されないことを保証する。本発明によって考えられるポリマーは、限定されるものではないが、ポリウレタン、ポリ尿素、エチレンビニルアセテート、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ナイロン、ポリカルボネート、ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチル、セルロースエステル(即ち、エチル、メチルおよびプロピル)、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリテレフルオロエチレン、ポリ(エチレンビニルアセテート)、エラストマー有機ケイ素ポリマー、ポリ(ヒドロキシアルキルエステル、コポリマー、およびその組み合わせ)を含む。好ましくは、コーティングは0.01〜1.0mmの厚みであり、最も好ましくは、0.1〜0.22mmの厚みである。ポリマーコーティングは、溶媒キャスティング、融解、ディッピング、スプレイング、ブラシコーティング、または任意の他の適当な方法によって形成することができる。
【0123】
グラム陰性およびグラム陽性抗生物質の混合物を含浸した気管内チューブは製造中に構築することができる。液化ポリマーにグラム陰性およびグラム陽性抗生物質の混合物を充填する。抗菌混合物をポリマーに分散させるには、米国特許第4,310,509号および第4,643,181号に開示されたもののような抗生物質を直接的にポリマーに混合するような技術、または溶媒蒸発技術を用い、共に、参照として本明細書に組み入れられる。溶媒蒸発技術は、典型的には、溶媒中の抗生物質のエマルジョンの形成、および抗生物質がポリマー混合物全体に別々の相として均一に分散するようなエマルジョンのポリマーへの混合を含む。エマルジョンを形成するのに用いられる溶媒は単一種類の溶媒、または水、またはメタノール、エタノール、酢酸エチル、テトラヒドロフラン等のような水溶性溶媒から選択される溶媒組合せであり得る。エマルジョンの混合は、典型的には、低混合速度(約300rpm)にて、かつ雰囲気温度にて起こる。抗微生物剤は、好ましくは、接着剤の約0.1%〜約25重量%、より好ましくは約1%〜約5重量%の量にて存在させる。親水性接着剤を用いる場合、1%未満の量を用いることができる。この混合物は、適当に混合され、カフおよび先端領域を含めた気管内チューブに成型されるまで押し出される。ポリマーを固化させ、次いで、金型から取り出す。次いで、カテーテルをイソプロピルアルコール(w/w30/40/30溶液)で拭う。または、抗生物質含有液化ポリマーは気管内チューブのカフおよび/または先端領域よりなる金型領域に限定され、一方、気管内チューブの残りは、液化ポリマー中の抗生物質混合物なくして成型される。
【0124】
重要なことには、患者における痰レベルの測定が、含浸チューブの態様の効率を測定するための好都合な方法として考えられる。例えば、含浸された抗微生物剤(例えば、全装置上のコーティング、装置の先端および/またはカフ領域のコーティング等)を含む新しい気管内チューブは、痰のレベル(または前記感染に関連する他の測定)に基づき、相互に、他のチューブ、または同一のチューブ(含浸薬物を含まないにもかかわらず)と比較することができると考えられる。痰のレベルは、それが挿管期間にわたって時間の関数として容易に測定できる点で便宜的な読出を提供する。ある含浸された態様は増加した分泌の開始、および結果として気管気管支炎およびVAPの開始を妨げるかまたは少なくとも遅らせると予測される。本発明では、(限定されるものではないが、臨床試験における試験を含めた)そのような装置の試験は、病気の他のインジケーターと共にまたはそれなくしに、(前記した)痰レベル試験を用いることによって増強することができると考えられる。
【0125】
以下の実施例は、ある態様を特に詳細に説明するために単に設けられ、いかなる方法によっても限定されることを意図しない。
【0126】
実施例1
本発明の局面は、挿管患者において痰の容量を定量する方法とみなすことができる。1つの態様において、挿管患者を、さらに分泌がなくなるまで吸引する。次いで、挿管患者を所定の期間吸引する。もし挿管患者が所定の期間まで吸引される間に所定量の痰があれば、痰を培養し分析する。療法の順序は分析された培養に基づいて記載する。
【0127】
本発明の他の局面によると、挿管患者は、さらに分泌がなくなるまで、早朝(例えば、午前6時)に吸引する。挿管患者は、もはや分泌がなくなるまで、朝第二の時刻に遅く(例えば、午前8時)吸引する。
【0128】
本発明のさらに他の局面によると、挿管患者は4時間の間1時間ごとに吸引する。本発明のさらに他の局面によると、痰の所定の量は約2ccである。
【0129】
本発明のさらなる局面によると、療法の順序は、直接肺に送達すべきエアロゾル化抗生物質についての順序である。
【0130】
本発明の関連局面によると、エアロゾル化抗生物質の送達は、吸入カテーテルを介して直接肺に導入されたエアロゾル化カテーテルを介して行われる。
【0131】
本発明のなおさらなる関連局面において、直接エアロゾル化カテーテルを介するエアロゾル送達は、送液するポンプおよび圧力によってなされ、圧力供給は、機械的人工呼吸器または、任意で、その独立体と一体化させることができる。
【0132】
本発明のなおさらなる局面によると、培養を分析するに先立って初期療法順序を記載し、初期療法順序は培養を分析した後に修飾する。
【0133】
本発明のなおさらなる局面によると、痰中の炎症メディエーターを分析する。炎症メディエーターはTNF-α、インターロイキン-1-β、および可溶性ICAMを含むことができる。これらのレベルは、市販のELISAキットを用いて痰のゾルレベルで測定される。これらのサイトカインのレベルの上昇は、炎症の悪化を意味する。
【0134】
本発明のさらに他の局面によると、吸入された呼吸凝縮物(EBC)のエアロゾル化成分が測定される。エアロゾル化成分はTNF-α、IL-1β、IL-8、H2O2,ニトレートおよびニトライトを含むことができる。
【0135】
実施例2
本発明の態様は、人工呼吸器関連肺炎の危険性を規定する、およびそれを防止するためのシステムおよび方法を提供する。本方法は、機械的に挿管された患者において痰の容量を定量し、次いで、肺炎危険性データおよび痰容量が相関する参照データベースを用いることによって得られた値を解釈するための手段を含む。または、あるいは痰容量測定と組み合わせて、本方法は、経時的に、痰中の炎症プロセスの炎症細胞またはメディエーターのフラックスを測定するための手段を含む。1つの態様におけるシステムは、本方法の実施、およびエアロゾル化カテーテルを介して本処置を投与するのに適合した吸入カテーテルを含む。例示的態様において、本システムは、細菌感染の発症を反映する吸入された呼吸凝縮物(EBC)の揮発性またはエアロゾル化成分の測定も可能とする。本発明の例示的態様は、気道の全炎症負荷を測定するための手段を提供する。
【0136】
ここで、本発明の好ましい態様を説明するのみの目的とし、本発明を制限する目的ではなく示される図面を参照すると、図2Aは、挿管患者20で用いられる本発明に従って形成される、一体化痰容量ゲージ12を備えた吸引カテーテル10、および閉鎖手段16を備えたエアロゾル化挿入ポート14を示す。周知のように、痰は、気管、気管支、および肺から咳により上昇する物質を含む。少量の透明な痰は毎日肺によって通常は生産される。透明な痰の量は任意の副次的な呼吸器感染で増加する。本発明の痰容量ゲージ12は、挿管患者20において分泌を測定し、分析して、もしあれば、任意の処置を挿管患者のために規定すべきであるかを決定することを可能とする。
【0137】
人工呼吸器患者における分泌の容量はパイロット実験で検討された。これらの実験は、本発明の装置の開発、および臨床的終点として評価される容量を用いる概念を導く基本的データを生じた。この初期のデータに続き、その呼吸器系不全にわたって、またはその最初の2週間にわたって、全ての新たに挿管された患者の分泌の量を決定する調査を行った。この調査は:
(1)分泌は2週間の挿管の第2週を増加させ;および
(2)肺炎を持つ患者は、肺炎を有しない患者と比較した分泌の測定可能な有意な増加を有した
を証明した。
【0138】
実施例3
実験は、肺炎を持たない患者と比較した肺炎を有した患者における分泌の顕著な増加を示した。分泌の量は、肺炎を持たない患者においては第2週の間に増加した。より具体的には、肺炎を持つ患者についての痰の容量は、人工呼吸器の第1週における約6ccから第2週に約8ccへ増加した。肺炎を有しない患者については、痰の容量は第1週における約1ccから第2週における約2ccに増加する。
【0139】
炎症のマーカーとしての痰の容量の有効性を支持するデータは、痰の容量および炎症細胞およびサイトカインの間の関係を調べる調査で証明されている。エアロゾル化抗生物質を、機械的人工呼吸器を必要とする慢性的に病気の安定な患者に投与した。処置は、分泌の容量の有意な低下を引き起こした(p=0.002)。加えて、これらの患者においては生物の顕著な低下があった。さらに、分泌の容量は好中球濃度に関連した、r=0.502、p=0.008。また、さらに、IL-1βもまた容量に関連した、r=0.589、p<0.006。
【0140】
好中球は、容量と共に有意に増加する。これらの細胞から放出される炎症メディエーターは粘液生産を増加させ得るので、これらの細胞は原因となり得る。
【0141】
実施例4
気道炎症に対する処置の効果をさらに評価するために、炎症細胞またはメディエーターのフラックスを経時的に計算することによって、気道に対する全「炎症負荷」を評価するための方法を工夫した。容量測定は特定の期間に行う。細胞の数および炎症細胞の複数の種類の異なる細胞数を気管吸出物に対して行う。炎症サイトカインを痰のゾル相から測定する。気道負荷は、以下の方程式を用いて各炎症パラメーターにつき定義する。
好中球気道負荷=(TCC)細胞/gm気管吸出物(好中球(%))(ml/6時間)
および
sICAM-1負荷=sICAM-1ng/ml(ml/6時間)
【0142】
経時的に気道中の炎症メディエーターの全量に対して2つの成分がある。1つはその濃度であり、2つ目は経時的な分泌の容量である。経時的なメディエーターの全量はこの測定で反映される。好中球細胞負荷は7倍だけ有意に減少し(p<0.014)、sICAM-1は2.5倍だけ増加した(p<0.034)。この方法は、患者が処置を行っていないか、または処置中であるかを問わず、任意の時点における全気道炎症の直接的な定量的測定を与え、従って、生存のようなより究極的かつ極端な結果を待つよりはむしろ処置に対する応答に必要なリアルタイム測定を可能とする。
【0143】
臨床的終点の確立は、人工呼吸器関連感染を予防または治療するために設計された実験における主な課題のままである。4時間収集は、気道病理生理学および薬物療法に対する応答を評価するための潜在的に重要な手段である。肉眼での視覚的評価により看護スタッフによって記録された痰容量の増加は、しばしば、集中治療室専門家による気管気管支炎についての仕事または処置を誘発する。頻度および吸引の方法に依存する痰容量の主観的印象の不正確さを排除するために、本発明者らは、4時間にわたる定量的容量評価を工夫した。本発明者らは、以前、エアロゾル化抗生物質療法後における患者での容量の減少を記録した。
【0144】
この研究において、呼吸器分泌の減少は、9つの試験のうち6つにおいて、全ての生物の根絶と共にグラム陰性単離体の顕著な低下と関連付けられた。さらに、9つの試験のうち7つにおいてグラム染色は、処置の間にグラム陰性菌を有さず、これは、細菌集団が培養試験においてのみ低下しないが、気道においては顕著に低下したことを示唆する。有意な副作用はなかった。非常に高い痰レベルにもかかわらず、腎臓疾患を持つ1人の患者を除いては、血清レベルは低いか、または検出できなかった。加えて、下部呼吸器管に対する局所療法に関する先のヒトおよび動物実験で観察された執拗に抵抗性の単離体の出現は観察されなかった。20の単離体のうち3つのみが抵抗性後処置であり、処置後2週間で何も検出されなかった。抵抗性の欠如に対する理由は未知である。患者は同時には全て処置せず、以前の実験におけるように長時間処置しなかった。さらに、身体に対する薬物の全用量は選択的脱汚染におけるよりも低く、全身体フローラに対する影響は恐らくは低下する。加えて、薬物は標的器管に「直接」送達され、口および腸に影響しない。
【0145】
インビトロ実験は、これらのプロ炎症サイトカイン、TNF-αおよびIL-1βの遺伝子発現はグラム陰性細菌からのリポ多糖によって増加し、それは、今度は、内皮接着分子および他の化学走性サイトカインの合成を誘導することを示している。これらの分子は炎症細胞の流入、その活性化、エラスターゼのような酵素放出を調節するように見える。インビボヒトデータは、一義的に、BALおよびTNF-αおよびIL-1βの痰レベルが上昇したと報告される場合、敗血症ショック、外傷ARDSを持つ患者からのサイトカインレベルに一義的に限定される。これらの不安定な症候群において、肺胞マクロファージおよび他の気道細胞に由来するサイトカインによって媒介される肺プロセスから全身炎症反応を区別するのは困難である。
【0146】
本研究は、気道炎症細胞および分泌の容量に対するこれらのサイトカインの関係についての具体的療法の効果を評価する最初の研究であった。本発明者らは、TNF-α、IL-1β、sICAM-1、および好中球エラスターゼを含めた気道炎症の指標に対する薬物送達の効果を測定した。本容量はエアロゾル化抗生物質と共に減少したのみならず、この減少はIL-1βおよび好中球濃度に相関した。IL-βの濃度はマクロファージ/gm(r=0.744、p<0.002)、好中球/gm(r=0.710、p<0.0004)、およびリンパ球/gm(r=0.597、p=0.005)の数とよく相関することが判明した。マクロファージは、Il1-βについての起源の初代細胞であって、このサイトカインは好中球の増大した動員を援助することができるのでこれは興味深い。
【0147】
処置はsICAM-1の増加に関連付けられた。グラム陰性単離体の低下は好中球フラックスの下方調節と関連付けることができる場合、これは、抗生物質療法の間における表面上皮からの膜結合ICAM-1の増大した放出を表わすことができる。逆に、sICAM-1のレベルはヒト白血球エステラーゼのレベルと逆相関し(r=0.606、p=0.008)、これは、気道炎症およびエラストリティック活性が最大である場合、好中球動員の間における膜結合sICAM-1の減少した放出を示唆する。
【0148】
まとめると、これらの研究は、噴霧化抗生物質は、機械的に人工呼吸器された患者に効果的に送達することができ、かつこの処置の結果、臨床的および気道炎症指標が測定可能に変化することを示す。炎症性分泌が増加している患者を特に標的とした、本発明で記載したエアロゾル化抗生物質での選択的療法は、限定された細菌抵抗性を持つ口腔および腸フローラを維持しつつ、院内肺炎の発生を減少させると考えられる。
【0149】
実施例5
本発明の装置の態様は痰の容量を評価し、これは、放射線により識別可能な肺炎の発生に先立って、呼吸器系感染に対する処置の引き金とするための終点として用いられる。本発明の装置10の1つの態様は、人工呼吸器被検体の肺管系に留置される吸入チューブ18における痰の容量を測定する。この装置10は、任意の機械的に人工呼吸器される患者20が、それが肺炎まで進行する前に気道感染の処置から恩典を受けるであろうことを判断する。吸入カテーテルに加えて、本発明は、最大2ccの痰を含む滅菌検体トラップ12を含む。
【0150】
例示的態様において、本発明は、図14に示された以下のプロトコルで用いられる。まず、午前6:00時に、さらに分泌物が得られなくなるまで患者を吸引する(ブロック100)。これは、一晩蓄積し得る分泌物が適時の定量機関に含まれないことを確実とする。この時点後には呼吸器系管では生理食塩水を用いない。生理食塩水の任意の添加も吸引物の容量を無効とする。というのは、これは、気道分泌物の容量をもはや表さないからである。次に、午前8:00時において、分泌物が無くなるまで患者を吸引する(ブロック102)。装置10は、吸引カテーテルと壁にある負圧真空との間の吸引回路に置かれる。装置10はプラスチックから作製され、使用のために滅菌されなければならない。装置10はキャリブレーションを必要としないが、それはそのデザインの一部として吸引用の非常に特異的なプロトコルを必要とする。
【0151】
患者は、4時間の間、あるいは痰タップ12が2ccの分泌物で満たされるまで毎時間吸引する(ブロック104)。もし4時間後に、2cc未満であれば(決定ブロック106において いいえ)、装置10を回路ラインから取り出し廃棄する(ブロック108)。しかしながら、少なくとも2ccあれば(決定ブロック106において はい)、装置を培養のための微生物学および感受性分析に送る(ブロック110)。順番を書くと、この時点で患者をエアロゾル化抗生物質で開始させる(ブロック112)。集中治療ユニットにおける以前の培養または支配的生物は選択される抗生物質の指針となる。培養の結果が戻されれば(ブロック114)、順番が修正される(ブロック116)。
【0152】
本発明の他の態様は、吸引された痰の容量、および限定されるものではないが、TNF-α、インターロイキン1-β、および可溶性ICAM-1を含めた痰中の炎症メディエーターの存在/レベルを同時に測定する工程を含む二重終点診断方法を含む。これらのメディエーターの量は、痰の容量に関連付けられる用量である。従って、痰の容量およびサンプリングされたメディエーター/分子の量は発症する感染を示す。
【0153】
本発明の他の態様は、発症する細菌感染を反映する吸入された呼吸凝縮物(EBC)の揮発性またはエアロゾル化成分を測定する工程を含む痰容量/炎症メディエーター方法を含む。EBCは炎症の程度を検出するたに用いられてきたものであるが、炎症を診断するのに用いられたことは無い。
【0154】
本発明の種々の態様は、三重終点測定を含み、ここで、痰の容量、痰のメディエーター/分子、および凝縮物メディエーター/分子を一緒に用いて、細菌感染の存在を規定することができる。吸引カテーテルはそのインライン機能の一体的部分としてEBCセンサーを含む。EBC/容量装置を機械的通気の初日に中に入れ、その後、この様式が必要とされる間毎日それを入れる。呼吸凝縮物中の特異的細菌代謝産物、例えば、H2O2、硝酸塩、亜硝酸塩、および他の非特異的産物に加えて、分泌物中のTNF-α、IL-1β、およびIL-8(プロ炎症サイトカイン)の測定をモニタリングする。積算された容量、分泌物、およびEBC炎症データは、毎日を基礎としたリアルタイム変化を定量し、これは治療的尺度についての情報を提供する。
【0155】
痰容量試験に従ってその重傷度を評価することによって肺炎を治療および/または予防して、適当な投与計画を工夫するための本発明の例示的態様は、増大した分泌物および炎症メディエーター/分子を持つ患者において標的化エアロゾル化抗生物質(TAA)の使用を具体化する。容量/分泌物/EBC装置によって測定して、細菌感染に関連する増大した容量および炎症を有する患者は、送達カテーテルを介してエアロゾル化抗生物質で開始する。これはTAAの概念を表わす。
【0156】
標的化群のみにおいて規定された期間の間療法を与える。これは、患者および集中治療ユニットの環境への抗生物質暴露を低下させる。これは、この処置の基本的な局面である。というのは、全ての人工呼吸器患者に対する連続的局所療法を用いる初期の研究は高度に抵抗性の生物を導いたためである。
【0157】
TAAは患者の結果において4倍の改良につながる:(1)人工呼吸器関連肺炎の発生の低下;(2)機械的人工呼吸器についての人工呼吸器の日数の減少;(3)全身抗生物質の使用の減少;および(4)抗生物質耐性の減少。
【0158】
肺炎の発生減少における減少を確認するには、肺炎を診断する正確かつ一定の手段が必要である。発熱、新しい浸潤物、白血球増加症もしくは白血球減少、化膿性分泌物、および10,000を超えるコロニー形成単位を示す定量的気管支肺胞洗浄の存在を用いることができる。この方法を用いて、終点を比較することができ、これは以下のものを含む:
(1)増大した容量および炎症を持つ患者における肺炎の発生;
(2)エアロゾル化抗生物質対プラゼボを受ける患者における肺炎の発生;
(3)処置された患者についての抵抗性パターン対集中治療ユニット環境におけるパターン;
(4)抗生物質使用:抗生物質日数/患者=各集中治療ユニットにおける日数の倍数当りの抗生物質の数(例えば、日数倍数7日当たり2抗生物質=14抗生物質日);および
(5)処置したおよび処置していない患者における機械的人工呼吸器の長さ。
【0159】
実施例6
図15Aは、(i)(ボックス表示の「人工呼吸器孔」として示される)人工呼吸器から来る、接合部(1003)(典型的には、「T」または「Y」接合部)において収束する吸息ライン(1001)および呼息ライン(1002)、(ii)(例えば、柄(1005)に取り付けられた、または柄に一体化された)前記接合部に近接し、かつ気管切開チューブ(1006)(または、気管内チューブ)と流体接続して位置するネブライザー(1004)を含む人工呼吸器回路(1000)を示し、ここで、前記ネブライザー(1004)は前記吸息ラインまたは前記呼息ラインには位置しない。本発明はどのようにしてネブライザーを取り付けるかには制限されないが、図15Aは、Y字部品接合部が市販されているT字部品(1007)に取り付けられ、Y字部品の柄(1005)がT字部品(1007)の1つのアームに連結され、かつT字部品の柄(1008)がネブライザー(1004)に連結された態様を示す。
【0160】
図15Bは、(i)接合部(典型的には、「T」または「Y」接合部)に収束する吸息ラインおよび呼息ライン、(ii)(例えば、柄に取り付けられたまたは柄と一体化された)前記接合部に近接して、かつ気管内チューブ、およびネブライザーと前記気管内チューブとの間に位置した取り外し可能な吸引マスフィルターと流体接続して位置する前記ネブライザーを含む人工呼吸器回路を示し、ここに、前記ネブライザーは前記吸息ラインまたは前記呼息ラインに配置しない。吸引マスフィルターは、任意の送達量が現実に患者に到達しつつあるか正確な測定を行うことを可能とする。
【0161】
最初の実験において、図15Aおよび15Bの配置を2つの異なる市販の人工呼吸器:T-Bird人工呼吸器、Drager人工呼吸器で用いた。ネブライザーの作動は「連続的」モードならびに「呼吸作動」モードで調べた。これらの人工呼吸器についての湿度の特徴は、前記特徴が活動している場合、およびそれがオフである場合の双方の場合に試験を行うことによって調べた。呼息ラインフィルターも用いた(図示せず)。表1は(ネブライザー充填の割合として)データをまとめる。明らかに、湿度特徴がオフであって、活動的でない場合、(アルブテロールの)エアロゾルを送達する場合に利点が存在する。投与を呼吸作動とする場合、呼息フィルター上の薬物の量は約50%だけ降下し、投与を呼吸作動とする場合、吸入量は幾分増加する。最も重要なことには、前記データは吸入量の狭い範囲(約3つのパーセンテージ点の範囲)を明らかにする(例えば、用量に対する良好な制御)。
【0162】
エアロゾル化のための従来的配置と比較すると、前記データは、それが吸息ラインにあるようなネブライザーの設置が、送達用量に対する制御を改良することを明らかにする。ネブライザーが(図15AおよびBに示されるもののような)吸息ラインにない配置を用い、より再現性のある用量が送達される。
【0163】
重要なことには、図15Aおよび15Bは特定の位置におけるネブライザーの設置を示すが、本発明では、ネブライザーがY字部品に直接取り付けられないが、患者の近くに設置される(事実、Y字部品および患者の間のどこかに設置される)態様が考えられる。そのような代替設置は、人工呼吸器回路の否定的効果を依然として回避する。
【0164】
第二の実験において、図15Aおよび15Bの配置を、3つの異なる市販のネブライザーと共に単一の市販されている人工呼吸器(T-Bird人工呼吸器)で用いた。ネブライザーの作動は「連続」モードで調べた。これらの人工呼吸器についての湿度特徴は、前記特徴が活動的である場合、およびそれがオフとされている双方の場合に試験を行うことによって調べた。呼息ラインフィルターも用いた(図示せず)。表2は(ネブライザー充填の割合として)のデータをまとめる。明らかに、Portexネブライザーはこれらの条件下では貧弱にしか実行されなかった。オフとされ活動的でない湿度特徴を有することに幾分利点があるが、AerotechおよびAerogenネブライザーは、エアロゾル(ゲンタマイシンまたはバンコマイシンいずれか)を送達する場合に比較的感受性がないようであった。興味深いことには、吸入されたマスは双方の抗生物質で同様である。
【0165】
実施例7
図16は(図16AのY字部品に取り付けられたボックスとして示された)ネブライザーまたはエアロゾルカテーテルいずれかで用いることができるベンチモデルの1つの態様を示す(図16B中の矢印は、カテーテルをETチューブに位置させることができることを示す)。図16は、(i)接合部(典型的には、「T」まはた「Y」接合部)に収束する人工呼吸器(図示せず)から来る吸息ラインおよび呼息ラインを含む人工呼吸器回路を示す。気管内チューブ(または気管切開チューブ)は、患者中にある代わりに、基部側気道(気管および主柄気管支)をモデル化する100mlチューブに取り付けられている;100mlチューブは吸入マスフィルターに取り付けられている。換言すれば(患者の方向に移動する配置を記載する)、Y字部品はETチューブに連結され、これは100mlチューブに連結され、これは吸入量フィルターに連結されている(前記フィルターは、基部側気道を出て通過し、末端側肺に入るエアロゾルを測定する)。
【0166】
第一の実験において、図16Bのベンチモデルをエアロゾルカテーテル(Trudellカテーテル、Trudell Medical International)で試験し;標準T字部品を(いかなるネブライザーも無くして)用いた。放射性標識アルブテロールエアロゾルを発生させ、カテーテルを介してETチューブに導入した。吸引されたマスは2つの部分:基部側気道(100mlチューブ)および末端側気道(100mlチューブに対して末端側のフィルター)で測定した。質量メジアン空気力学直径(MMAD)は、カスケードインパクターを用いて気道に対して末端側に送達されたエアロゾルで測定した。試験は、湿度特徴が活動的、およびオフとされた2つの異なる人工呼吸器で実行した。エアロゾルの投与は連続的であった(呼吸作動ではない)。結果を表3に示す。データは、このような様式のエアロゾルの投与は湿度に対して比較的感受性でないことを明らかにする。興味深いことには、薬物の大部分は(基部側気道をモデル化する)100mlチューブに沈積し、少量はフィルター(末端側肺)に沈積する。これらのデータは、カテーテルの送達端部がETチューブ内にある場合に、ETチューブおよび気管が沈積の主な部位であることを示唆する。前記結果は、末端側気道への送達がネブライザーで達成されるものに匹敵することを示唆する。
【0167】
第二の実験において、Trudellカテーテルを用いて、図16Bのベンチモデル(再度、ネブライザーを用いなかった)および単一の人工呼吸器を用い、ベンチ作動モードにてエアロゾルをETチューブに投与した。吸入されたマスは、フィルターのみを用いて測定した(呼息ライン中の第二のフィルターも用いた)。アルベテロールおよびゲンタマイシンの双方を試験した。結果を表4に示し、それは、Trudellカテーテルが、吸息器によって設定される(例えば湿度)から大いに独立して挙動することを明らかにする。呼吸作動は、吸入されたマスを明らかに増加させ、狭い範囲の沈積は、この様式の投与が用量に対して良好な制御を供することを示す。
【0168】
ゲンタマイシンと同様な様式でバンコマイシンを投与する試みは困難に遭遇した;バンコマイシンは、呼吸作動またはパルスモードで作動させると、カテーテルの閉塞を引き起こしかねない。一方、バンコマイシンエアロゾルは、現存の製剤を用いて連続モードの操作にて首尾よく作り出されている。
【0169】
実施例8
図17は、ネブライザーを人工呼吸器回路に取り付けるための装置の種々の態様を示す。前記装置は管または導管の単一の部品として一般的には特徴付けることができ、前記装置は2つまたは3つの開いた端部を含み(任意で、前記端部は異なる内径を有する)、前記端部に取り付けられたエレメントの間の流体接続を可能とする。図17Aは、Y字部品(1703)への取り付けのための第一の端部(1702)上に構成され、気管内チューブ(1705)(または気管切開チューブ)に取り付けるための第二の端部(1704)上に構成され、かつネブライザー(図示せず)に取り付けるための第三の端部(または「柄」)(1706)上に構成されたワンピースアダプター(1701)を示す。本発明は特定の取付手段に限定されることを意図しない。1つの態様において、取付は、異なる直径の管を用いて達成される。例えば、図17Aは、気管内チューブ(1705)の管が、それがアダプター(1701)中を摺動することができ、かつ前記アダプターに係合することができるように、アダプター(1701)の第二の端部(1704)よりも小さな直径を有することを示す。または、アダプターの端部はより小さな直径を有することができ、ETチューブの内側を摺動することができる。正確な寸法に限定されるものではないが、1つの態様において、気管内チューブ(1705)の外径は約15mmであり、アダプター(1701)の第二の端部(1704)の内方寸法は約15mmであって、しっかりとした雄/雌摩擦嵌合を作り出す。再度、正確な寸法に限定されるものではないが、1つの態様において、Y字部品の柄の外径は22mmであって、アダプター(1701)の第一の端部(1702)の内径は22mmである。または、アタッチメントはスナップフィットまたはネジフィットとすることができる(例えば、アダプターの一つまたは複数の端部はネジ止めされる)。
【0170】
図17Bは、Y字部品(1709)に取り付けるための第一の端部(1708)上に構成され、気管内チューブ(または気管切開チューブ)(1711)に取り付けるための第二の端部(1710)上に構成され、かつネブライザー(図示せず)に取り付けるための第三の端部(1712)(または「柄」)上に取り付けられたワンピースアダプター(1707)を示し、ここで、前記第二の端部(1710)はフレキシブルな断面(1713)を含む。本発明は特定の取付手段に限定されることを意図しない。1つの態様において、取付は、異なる直径の管を用いて達成される。例えば、図17Bは、それが雄/雌摩擦嵌合にて、アダプター(1707)中を摺動することができ、かつ前記アダプターに係合することができるように、気管内チューブ(1711)の管がアダプター(1707)の第二の端部(1710)よりも小さな直径を有することを示す。または、アダプター端部直径はより小さくし、ETチューブ内を摺動することができる。または、アタッチメントはスナップフィットまたはスクリューフィットとすることができる(例えば、アダプターの一つまたは複数の端部はネジ止めされる)。
【0171】
図17Cは一体化ネブライザー(1715)を備えたワンピースアダプター(1714)を示し、前記アダプター(1714)はY字部品(1717)に取り付けるための第一の端部(1716)上に構成され、かつ気管内チューブ(または気管切開チューブ)(1719)に取り付けるための第二の端部(1718)上に構成され、ここで、前記第二の端部(1718)はフレキシブルな断面(1720)を含む。本発明は特定の取付手段に限定されることを意図しない。1つの態様において、取付は、異なる直径の管を用いて達成される。例えば、図17Cは、それが雄/雌摩擦嵌合にて、アダプター(1707)中を摺動することができ、かつ前記アダプターに係合することができるように、気管内チューブ(1711)の管がアダプター(1707)の第二の端部(1710)よりも小さな直径を有することを示す。または、アダプター端部直径は、それがETチューブ内部を摺動することができるようにより小さくすることができる。または、アタッチメントはスナップフィットまたはスクリューフィットとすることができる(例えば、アダプターの一つまたは複数の端部はネジ止めされる)。
【0172】
図17Cに示されたアダプター(1714)は単一のユニット(一体化部分としてのネブライザー)として成型することができる。または、アダプター(1714)は2(またはそれ以上)の部分として成型することができる(例えば、ネブライザーは別々に成型し、その後取り付けられる)。ネブライザーには薬物を充填することができるか、または空とすることができる。ネブライザーはガスまたは液体の適用のための一つまたは複数のポート(1721)を有することができる。
【0173】
(表1)
エアロゾル送達の末端側「Y」配置のまとめ(アルブテロール)
【0174】
(表2)
抗生物質のまとめ(末端側「Y」位置におけるネブライザー)
【0175】
(表3)
【0176】
(表4)
気管内カテーテル噴霧化システム(ETCNS-呼吸作動)
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】図1Aは、従来的気管内挿管のダイヤグラムである。図1Bは、図1Aの丸印領域の拡大図である。
【図2A】気管切開チューブおよびインライン痰トラップ(すなわち、人工呼吸器システムの部分としての)を備えた患者の略図である。
【図2B】エアロゾルカテーテルと、人工呼吸器システム中のポートとの係合を示す。
【図2C】EBCシステムと、人工呼吸器システム中のポートとの係合を示す。
【図3】挿管の週の関数としての、図2の痰トラップで測定された痰の増加を示す棒グラフである。
【図4】肺炎に対する高い痰レベルの関係を示す棒グラフである(例えば、VAP)。
【図5】例示的エアロゾルカテーテルの写真である。
【図6】操作組合せにおけるエアロゾルカテーテルおよび吸入カテーテルの略図である。
【図7】病気の決定因子である痰容量の関数としての、本発明に従って送達されたエアロゾル構成物の効力を示すデータでの棒グラフである。
【図8】用量計量エレメント、流体駆動エレメント、およびエアロゾル化カテーテルを含む本発明の好ましい装置の略図で示された特別の態様は、モジュラーとしての装置の第一の部分であって、エアロゾル化カテーテル(前記カテーテルは外部バッフルを含む)を含む(例えば、スクリュー/ネジ係合した)装置の第二の部分に係合するように配置された、(用量計量エレメントおよび流体駆動エレメントを含む)の装置の第一の部分を示す。
【図9A】人工呼吸器条件(例えば、湿度、呼吸サイクル等)の関数としての、エアロゾル送達を試験するためのベンチモデル1つの態様である。
【図9B】エアロゾル送達を試験するためのベンチモデルのもう1つの態様であり、ここで、前記エアロゾル源は人工呼吸器孔の吸息ラインに連結していない。
【図10】4時間以内における2ccを超える痰レベルに関連させた死亡率データでの棒グラフである。
【図11】CPISスコアと、実験の最後(EOS)における痰レベルおよび後処置との関連を示す棒グラフである。
【図12】人工呼吸器で用いられるY字部品の1つの態様の模式図であり、Y字部品の下方部分(例えば、末端アーム)へのエアロゾル発生器の多数の代替設置を示す。
【図13】エアロゾル化抗生物質の投与に続いての白血球細胞数の低下を示す棒グラフである。
【図14】本発明の1つの態様による、人工呼吸器患者における痰容量を測定するための例示的ロジックを説明するフロー図である。
【図15A】(i)接合部(典型的には、「T」または「Y」接合部)において収束する吸息ラインおよび呼息ライン、(ii)前記吸息ラインまたは前記呼息ラインに位置しない、(例えば、柄に取り付けられた、または柄に一体化された)前記接合部に近接し、かつ気管内チューブと流体接続して位置決定されたネブライザーを含む人工呼吸器回路の1つの態様を示す。
【図15B】(i)接合部(典型的には、「T」または「Y」接合部)に収束する吸息ライン及び呼息ライン、(ii)(例えば、柄に取り付けられた、または柄と一体化した)前記接合部に近接するネブライザーであって、かつ気管内チューブ、およびネブライザーと気管内チューブとの間に取り外し可能に位置した吸入マスフィルター(それは、ラインに導入されて、任意の患者が任意のエアロゾルを接種しているかを見出すことができるが、患者が現実に任意のエアロゾルを接種する前に除去されなければならない)と流体接続して位置したネブライザーを含む人工呼吸器回路を示し、ここで、前記ネブライザーは前記吸息ラインまたは前記呼息ラインに位置しない。吸入マスフィルターが、任意の送達量が現実に患者に到達しているかの正確な測定をなすことを可能とする。
【図16】基部側気道(およびその中への沈積)をモデル化したベンチモデルを示す。図16Aにおいては、エアロゾル発生器はネブライザーである。図16Bにおいては、エアロゾル発生器はエアロゾルカテーテルである。
【図17】Y字部品に取り付けるための第一の端部上に構成され、ネブライザーを人工呼吸器回路に取り付けるための装置の種々の態様を示す。図17Aは、気管内チューブ(または気管切開チューブ)への取り付けのための第二の端部上に構成され、かつネブライザーへの取り付けのための第三の端部(または「柄」)上に構成されたワンピースアダプターを示す。図17Bは、Y字部品への取り付けのための第一の端部上に構成され、気管内チューブ(または気管切開チューブ)への取り付けのための第二の端部上に構成され、かつネブライザーへの取り付けのための第三の端部(または「柄」)上に構成されたワンピースアダプターを示し、ここで、第二の端部はフレキシブルな断面を含む。図17Cは一体化ネブライザーを備えたワンピースアダプターを示し、このアダプターは、Y字部品への取り付けのための第一の端部上に構成され、かつ気管内チューブ(または気管切開チューブ)への取り付けのための第二の端部上に構成され、ここで、前記第二の端部はフレキシブルな断面を含む。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、入院患者を含めた被検体において気管気管支炎、気管支拡張症、および肺炎を治療するための方法および組成物に関する。また、本発明は、気管(ある態様では、深部肺)に対する抗微生物剤の送達を介して、そのような感染の危険性が増大した患者、特に挿管患者における肺感染の予防に関する。特に、本発明は、そのような患者を有意な全身レベルのエアロゾル化抗微生物剤に暴露することなく、機械的に通気された患者をエアロゾル化抗微生物剤で治療するための手段を提供する。特に、本発明は、人工呼吸器回路を介して投与されたエアロゾル化剤に典型的な分散と比較した場合に、患者間で実質的に変化しない用量の治療剤を機械的に通気された患者に投与するための手段を提供する。もう1つの局面において、本発明は、本発明が可能な用量制御を確実とする装置に関する。好ましい態様において、本発明では、肺感染を治療または予防するための、肺および気管気管支樹においてグラム陽性およびグラム陰性菌に対して殺菌または静菌効果を発揮する組合せにおいて有効なエアロゾル化抗微生物剤と併用した使用を意図する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
機械的人工呼吸器は、肺が病気のないように維持する通常のプロセスを乱すと思われる。事実、人工呼吸器関連肺炎(VAP)は、機械的人工呼吸器を必要とする患者の間で最もありふれた院内感染であると報告されている。挿管の持続時間と感染の発生との間には強い相関がある。最近の多大な研究において、挿管およびVAPの同定の間の平均間隔は3.3日であった。Rello J.ら,「Epidemiology and Outcomes of Ventilator-Associated Pneumonia in a Large US Database」Chest 122:2115(2002)。重要なことには、一旦VAPが発生すれば、患者は通常はより延長された人工呼吸器期間を必要とする。あいにく、挿管の延長は、しばしば死亡で終わる悪性サイクルにおいて、呼吸機能のさらなる代償不全を伴う新しい強度の感染を招く。
【0003】
そのような感染を全身投与される抗生物質で治療することは周知であるが、複数の抗生物質剤での全身の同時治療は、抗生物質-耐性株の選択の加速から流体および電解質バランスの破壊、および身体を通じた粘膜上皮の抗ウイルス防御メカニズムを危うくするまでの範囲の合併症の危険を孕んでいる。また、全身投与される抗生物質は肝臓、腎臓、および骨格に対して有害反応を有しかねない。そのような関心から、抗生物質投与についての段階的縮小戦略が最近必要とされるようになった。Hoffken G.およびNiederman M.S.,「Nosocomial Pneumonia:The Importance of De-escalating Strategy for Antibiotic Treatment of Pneumonia in the ICU」Chest 122:2183(2002)。
【0004】
前記引用の危険性の悪化は、全身療法の目的が循環においてではなく、気管支の粘膜側について、すなわち、気管支分泌において抗生物質の高濃度を達成することであるという事実である。多くの抗生物質は気管支を通っての血流から貧弱にしか拡散せず「Pennington,J.E.,「Penetration of antibiotics into respiratory secretions」,Rev Infect Dis 3(1):67-73(1981)」、これは医師が真に全身感染で規定されるであろうよりも高い用量の抗生物質を投与することにつながる。さらに、感染した患者を特徴付ける化膿性痰は、多くの抗生物質の効力を危うくする傾向がある、例えば、Levy,J.ら,「Bioactivity of gentamicin in purulent sputum from patients with cystic fibrosis or bronchiectasis:comparison with activity in serum」,J Infect Dis 148(6):1069-76(1983)参照。この因子は、さらに、医師が多量の抗生物質を処方する動機付けとなる。これらの危険は、幾人かの専門家が、院内患者において肺感染を全身的に治療するのを放棄すべきであることを提唱するに至らしめた。あいにく、既知の代替法はいずれも魅力的ではない。
【0005】
抗生物質が全身投与と共に経口、胃、および気管内粘膜に適用される代替アプローチが試みられてきた。それは非常にコストがかかり、いずれの場合においても、死亡率に対するいずれの軽減効果にも関連しない。それはまた、特に区別されずに用いられると、集中治療室において抗生物質-耐性感染の「突発」を招く。
【0006】
全身投与に関連する前記問題を克服するもう1つの試みにおいて、種々のネブライザーを介して送達されるエアロゾル(液滴または乾燥粉末)にて、自然に呼吸する患者の肺の粘膜表面に直接抗生物質を投与しようとする種々の試みがなされてきた。しかしながら、抗生物質のより局在化された投与は問題がある。エアロゾル化抗微生物剤に関する初期の研究は、明確な肯定的結果を示していなかった。しかしながら、これは挿管患者へのエアロゾル投与の、物理学の貧弱な認識のためであると考えられる。今日、貧弱なシステムデザインおよび/または不適切な装置用法の結果、肺中の所望の部位に到達するエアロゾルは実質的に得ることができないと認識されている。「Consensus Statement:Aerosols and Delivery Devices」Respiratory Care 45:589(2000)。
【0007】
さらに、達成された抗生物質のレベル、または観察された細菌負荷の低下の点で一般的に満足できる結果を伴う研究においてさえ「Eisenberg,J.ら,「A comparison of peak sputum tobramycin concentration in patients with cystic fibrosis using jet and ultrasonic nebulizer systems. Aerosolized tobramycin study group」,Chest 111(4):955-962(1997);Ramsey,B.W.ら,「Intermittent administration of inhaled tobramycin in patients with cystic fibrosis.Cysic fibrosis inhaled tobramycin study group」N Engl J.Med 340(1):23-30(1990)」、投与される抗生物質の量を低下させる努力はなされておらず、ネブライザーには典型的には全身投与される用量と同等な量の抗生物質が充填されていた。
【0008】
通気患者における霧化による抗生物質の投与は、報告されているところによるとさらに十分ではない(Fuller,H.D.ら,Pressurized aerosol versus jet aerosol delivery to mechanically ventilated patients.Am.Rev.Respir Dis 1989,141:440-444;MacIntyre,N.ら,Aerosol delivery to intubated,mechanically ventilated patients.Crit.Care Med 1985,13-81-84)。通気患者において、湿潤器を回避し、呼吸サイクルの吸息期にのみ働く霧化が、旧式のデザイン(Palmerら、Crit.Care Med 1998,26:31-39)の人工呼吸器(Bear II,Bear Medical Systems,Riverside,CA)を用いてなされてきた。
【0009】
エアロゾル送達の公知の方法により発生する有効量の極端な多様性は、気管支拡張剤などの従来的薬物の能力および安全性という理由から、そのような薬物では重要でない。しかしながら、多様性は抗生物質の場合には非常に重要な問題である。肺毒性の危険性は多様性問題を凌駕する思い切った用量の処方を思いとどまらせ、これにより患者は不適切な治療の期待、特に危険な事項に晒されたままとなる。最悪の場合には、不十分性が認識される時点までに、状況を修正する機会が過ぎている。多くの他の場合において、不十分な治療は、患者における抗生物質耐性生物の選択および増殖を刺激し、医師に全く警戒を怠らせ、全ての患者を危険に晒す。
【0010】
院内患者において肺感染を治療するための全身抗生物質療法の放棄を進めるために当技術分野において求められているものは、肺の末端気道に直接抗生物質を送達する手段である。そのような手段は短時間で気管支分泌中に高い信頼性の力価の抗生物質を生じさせて、選択プロセスが耐性生物の集団を確立し始める前に、全ての感染性生物を圧倒すべきである。一方、本発明は、全身循環への流出、肺毒性、ならびに医療従事者および他の患者の逸脱抗生物質への不慮の暴露を回避するための用量制御の信頼性のある手段を提供すべきである。
【発明の開示】
【0011】
発明の概要
これらおよび他の目的は、特にヒトを含めた動物において、院内感染を含めた肺感染を治療または予防する方法を提供する本発明によって達成される。本方法は、一般に、治療上有効量の抗生物質またはその薬学的に許容される塩をエアロゾルとしてそれを必要とする動物被検体またはヒト患者に投与することを含む。いくつかの抗生物質は本発明に従って組み合わせて、または順次に送達することができる。好ましくは、気道へ送達される量は、もしそのような量が全身送達されるのであれば、治療的には効果的であるのに十分でなく明らかに毒性を誘導するのに十分ではない。同時に、そのような量は、最小阻止濃度(「MIC」)の約10〜100倍大きい抗生物質の痰レベルをもたらすと考えられる。
【0012】
1つの局面において、人工呼吸器回路にそのエアロゾルが向かうように配置したネブライザーによって、治療上有効量は気道に到達する。液滴または乾燥粒子としてのエアロゾルを作り出すのに適当な種々のネブライザーが本発明で有用である。事実、人工呼吸器回路の内側壁上へのエアロゾル粒子捕獲を最小化する傾向があるエアロゾル送達の任意の手段も本発明の範囲内である。1つの態様において、この目的は、エアロゾル化粒子が有意に吸湿拡大されることを確実に阻害することによって達成される。なぜなら、水で包まれた粒子は壁に凝縮する傾向があるからである。1つの態様において、霧化が始まる前に所定量だけ人工呼吸器回路中の湿度を低下させる工程が導入される。本発明に従うこの態様において、標準ベンチテストモデルにおいて予め決定された約3μm未満に質量メジアン空気力学直径(「MMAD」)を維持する湿度が好ましく、約1.5μm未満のMMADがより好ましい。もう1つの態様において、各エアロゾル粒子は、実質的に非吸湿性エンベロープに包まれて送達される。
【0013】
もちろん、直径がより大きな態様を用いることができる。さらに、ある場合には、本発明では粒子または壁の表面電荷への調整が考えられる。例えば、装置上の表面電荷が重要であると仮定すると、本発明ではコネクターが作製されるか、またはY字部品(後に議論)が金属で作製されているか(または金属で少なくとも被覆されている)態様が考えられる。または、プラスチックコネクターおよび/またはY字部品を薬剤(例えば、湿潤剤、洗剤、石鹸)で処理して、表面電荷を調整することができる。
【0014】
本発明のもう1つの局面において、エアロゾル化抗生物質は動物被検体またはヒト患者の気道に直接送達され、人工呼吸器回路を大幅に回避する。本発明に従ったエアロゾル化抗生物質を送達するための特に便宜な手段は、参照として本明細書に組み入れられる米国特許第5,642,730号、第5,964,223号および第6,079,413号に記載されている。本発明が有用である処置戦略は、後記する患者の気道における特殊化吸引カテーテルの置き換えから恩典を受けるので、本発明のこの局面の1つの態様はエアロゾルおよび吸引カテーテルの組合せである。
【0015】
任意のそのような送達装置も、もしそれが本発明で考えられる範囲内で予測可能な量の治療剤を送達することができれば、本発明の範囲内である。好ましくは、この要件は、所定量の治療剤を含有するための装置で達成され、その装置は本発明のもう1つの局面である。本発明によると、そのような装置は、特定量の抗生物質を収容し、所定の送達期間に所定量の抗生物質の送達するサイズとされる。そのような装置は、本発明で範囲内にあるエアロゾル送達装置に動作可能に嵌合するように設計される。
【0016】
1つの態様において、本発明では、用量計量エレメントに取り付けられた流体駆動エレメントを含む装置が考えられ、ここで用量計量エレメントはエアロゾル化カテーテルに係合している。好ましい態様においては、用量計量エレメントはエアロゾル化カテーテルに脱着可能に係合し、規定された容量の貯蔵器を含み、ここで貯蔵器は、好ましくは可視測定表示(measurement indicia)を伴うまたは伴わない透明または半透明シリンダーまたはチューブとして構成される。この好ましい態様においては、患者用の流体製剤(例えば、抗生物質製剤)は貯蔵器に入れられ、流体駆動エレメントは、操作中、流体駆動エレメントが流体製剤を貯蔵器から出し、エアロゾル化装置に入れるように、貯蔵器に対して構成される。好ましい態様においては、流体駆動エレメントは圧縮ガスによって駆動されるプランジャーまたはピストンを含み、圧縮ガスは容器またはキャニスターに貯蔵され、装置の操作者によって放出される。圧縮ガスの放出が引き起こされると、プランジャーまたはピストンは規定容量の製剤をエアロゾル化カテーテルに押し込む。特に好ましい態様においては、装置は、それが人工呼吸器システムにおける開口またはポートに係合できるよう構成された「独立」装置であり、ここで、エアロゾル化カテーテルは、カテーテルの送達端部(すなわち、それから外にエアロゾルが送達される)がチューブのほぼ端部まで(または好ましくはチューブの端部下方まで延びることによってチューブを回避するように、エアロゾルを送達する)挿管患者の気管チューブ(および/または気管切開チューブ)の内側に(または側面に)嵌合するような寸法とされる。特に好ましい態様においては、エアロゾル化カテーテルの端部は、エアロゾルのスピードを示すためのバッフルを含む。
【0017】
好ましい態様においては、製剤中の一つまたは複数の薬物は抗微生物剤(すなわち、抗真菌剤、抗ウイルス剤および/または抗菌剤)である。特に好ましい態様においては、本発明では、エアロゾル化装置中に抗グラム陰性抗生物質またはその薬学的に許容される塩と共に抗グラム陽性抗生物質を含む製剤が考えられる。1つの態様において、本方法は、(a)(i)感染の一つまたは複数の症状を呈する患者(ヒトまたは動物を問わない)(または単に、感染の危険性がある患者);(ii)グラム陽性菌に対して活性を有する第一の抗生物質およびグラム陰性菌に対して活性を有する第二の抗生物質を含む製剤(典型的には、液体、乾燥粉末、または脂質製剤);(iii)下方端部が前記患者の気管内に(または気管内または気管切開チューブ内に)嵌合するよう構成されたエアロゾル送達端部を含む、上方端部および下方端部を含むエアロゾル送達装置を提供する工程;(b)前記患者の気管内に前記装置の前記エアロゾル送達端部を挿入して、位置決定された装置を作る工程;ならびに(c)前記製剤が位置決定された装置の前記エアロゾル送達端部を通じて前記患者に送達されるような条件下で前記製剤をエアロゾル化し、ここで、エアロゾルはまず前記患者の気管において前記患者と接触し(それにより、口腔咽頭を回避する)ことを含む。本発明の前記態様は送達装置によって限定されることを意図しない。1つの態様において、前記エアロゾル送達装置はエアロゾル送達カテーテルを含む。もう1つの態様において、前記エアロゾル送達装置はエアロゾル化ノズルに嵌合する気管支鏡を含む。さらにもう1つの態様において、前記エアロゾル送達装置はノズル延長に嵌合する計量用量吸入器を含む。
【0018】
抗生物質の混合物を投与する方法の態様は、挿管患者に特に適している。その目的で、本発明では、(a)(i)下方端部および上方端部を有する気管内チューブおよび気管切開チューブから選択されるチューブを挿管された、微生物感染の一つまたは複数の症状を呈する患者(ヒトまたは動物を問わない)(または単純に、挿管、または挿管された時間の長さのため、感染の危険性がある患者);(ii)グラム陽性菌に対して活性を有する第一の抗生物質、およびグラム陰性菌に対して活性を有する第二の抗生物質を含む製剤(典型的には、液体、乾燥粉末、または脂質製剤);(iii)下方端部が前記チューブ内に嵌合するように構成されたエアロゾル送達端部を含む、上方端部および下方端部を含むエアロゾル送達カテーテルを提供する工程;(b)前記チューブ内に前記カテーテルの前記エアロゾル送達端部を挿入して、位置決定されたカテーテルを作る工程;ならびに(c)前記製剤が位置決定されたカテーテルを通じて前記患者に送達されるような条件下で前記製剤をエアロゾル化する工程を含む方法の態様が考えられる。好ましい態様においては、前記チューブは機械的人工呼吸器に連結されている。特に好ましい態様においては、位置決定されたカテーテルの前記エアロゾル送達端部は(i)前記チューブ下方端部の直前(例えば、1インチ内)、(ii)前記チューブ下方端部(iii)、または前記チューブ下方端部の丁度下方(例えば、1インチ内)まで延びる(それにより、人工呼吸器管によって引き起こされる潜在的封鎖を回避する)。しかしながら、1つの態様において、位置決定されたカテーテルの前記エアロゾル送達端部は、前記エアロゾルがまず気管内チューブと接触し、その後、患者の気管と接触するように、十分に、(気管内チューブの1/3上方または1/3中央に位置する)気管内チューブ内にある。
【0019】
1つの態様において、特に「一定流」人工呼吸器に関して、本発明では、送達事象を厳格に人工呼吸器サイクルの吸息期および、もし可能であれば、低下した流速に制限することが考えられる。従って、1つの態様において、工程(c)のエアロゾル化は呼吸サイクルの吸息期に行われる(またはそれに固定される)。1つの態様において、機械的人工呼吸器は患者用の呼吸サイクルを制御し、前記サイクルは呼吸サイクルの吸息期を含む。
【0020】
もう1つの態様において、送達はカテーテルを通じ、「連続的」であって、吸息期に制限されない。1つの態様において、バンコマイシン/ゲンタマイシン製剤が(Trudellカテーテル等の)エアロゾルカテーテルを介して連続的に送達される。
【0021】
本発明は特定の投与量に限定されることを意図しない。一方、本明細書中に記載するエアロゾルシステムおよび方法の効率は、もし全身投与されたならば余りにも低くて一般には効果的ではないが、適当な薬学的に許容される製剤を気道に直接的に投与する場合には効果的である量の送達を可能とする。重要なことは、効率は増加し得ても、好ましい態様においては、効率は用量に対する制御を犠牲として増加しない。従って、送達がより再現性がある場合には、より低い効率が好ましいと考えられる。
【0022】
本発明は、特定の生物を殺すに過ぎない抗微生物剤に限定されることを意図しない。本発明では、広く種々の生物を取り扱う薬物および薬物の組合せが考えられる。好ましい態様においては、本発明では、とりわけ、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、インフルエンザ菌、および肺炎連鎖球菌、ならびに/またはメチシリン-耐性黄色ブドウ球菌のような細菌の抗生物質-耐性株によって引き起こされた感染の治療で効果的な薬物または薬物の組合せが考えられる。
【0023】
もちろん、抗ウイルス剤もエアロゾル化し、本発明の抗生物質製剤のように投与することができる。香港における重度の急性呼吸器系症候群(SARS)の勃発を考えれば、これは特に意義がある。SARSの症状は発熱、寒気、筋肉痛、および咳を含む。老齢の人、リンパ球減少症を持つ人、および肝臓機能不全を持つ人は、典型的には、重度の病気と関連付けられる。感染性薬剤はコロナウイルス科に属するウイルスであると考えられる。
【0024】
本発明の好ましい態様は感染を取り扱うが、本発明では、改良されたエアロゾル系および方法を、気管およびまたは深部肺へのエアロゾルを必要とする任意の患者、ヒトまたは動物に適用することもできると考えられる。この理由で、他の薬物(例えば、ステロイド、タンパク質、ペプチド、核酸、気管支拡張剤、界面活性剤、リドカイン等)がエアロゾルとして考えられる。さらに、他の種類の患者(例えば、嚢胞性線維症、肺癌、COPH、ARDS、SAID、ウマ慢性肺気腫、呼吸器系感染、喘息、気管支痙攣)が考えられる。
【0025】
さらに、本発明の好ましい態様は挿管患者の文脈で提示されるが、感染の危険性がある他の患者は本発明の方法および装置で治療することができると考えられる。例えば、老人(特に、介護施設における老人)、競争馬、イヌおよびネコ(ショーおよびレース動物)、頻繁に走る動物(例えば、サーカス動物)、狭い区画中の動物(例えば、動物園または農場)、一般的なヒトおよび動物は肺感染の危険性がある。本発明では、そのような個体のための気管および/または深部肺へのエアロゾルの送達が考えられ(予防的(すなわち、症状前)および急性条件下(すなわち症状後))、ここで、前記エアロゾルは抗微生物剤、特に、前記した抗生物質混合物を含む。
【0026】
1つの態様において、本発明では、ARDSまたは慢性閉塞性肺病(COPD)と診断された患者に適当な医薬を投与することが考えられる。本発明では、(a)(i)ARDSの一つまたは複数の症状を呈する患者(ヒトまたは動物を問わない)(または、単に、AIDS、結核、インフルエンザ、気腫、嚢胞性線維症、ウマ慢性肺気腫の慢性または急性疾患と以前に診断されたため、現在感染しているかまたは感染の危険性がある患者、または粘膜または痰の増加を呈する患者)、(ii)適当な医薬の製剤、および(iii)下方端部がエアロゾル送達端部を含む、上方端部および下方端部を含むエアロゾル送達カテーテルを提供する工程;(b)前記患者の気管に前記カテーテルの前記エアロゾル送達端部を挿入して、位置決定されたカテーテルを作る工程(もし患者が挿管チューブを有するならば、カテーテルは前記チューブの内部または側面に沿って嵌合するような構成である);ならびに(c)前記製剤が前記位置決定されたカテーテルを通って、前記患者に送達されるような条件下で前記製剤をエアロゾル化する工程を含む方法の態様が考えられる。
【0027】
本発明は、前記した組成物、装置、および方法を用いる場合の任意の正確な所望の結果に限定されない。しかしながら、本発明の組成物、装置、および方法は、挿管患者の死亡率の低下、低下した全身抗生物質暴露、および局所投与によって引き起こされた肺の標的化粘膜表面における上昇した暴露による耐性の発生の減少(または少なくとも耐性が増加しないこと)をもたらし得る。前記したように、本発明の組成物、装置、および方法は肺炎の治療で有用である(全身治療よりもかなり効果的であり;またはほとんどないが、有用な付加物であり得る)と考えられる。関連する感染も予防し、または減少させることができると考えられる(例えば、敗血症の予防、尿管感染の抑制等)。
【0028】
もちろん、本発明の組成物、装置、および方法の効率による全身性抗生物質の低下した使用はコストの低下、IVラインでの時間の減少、および/または中央ラインでの時間の減少をもたらすことができる。さらに、そのような減少が(下痢およびC.ディフィシレ(C.difficile)感染発生の低下、良好な栄養等によって測定されるように)抗生物質毒性を減少させるはずである。
【0029】
本発明の組成物、装置、および方法は、局所的に、ET-Trachチューブバイオフイルムの減少をもたらすであろうと考えられる。これは、今度は分泌をなくし、気道抵抗を減少させ、および/または呼吸の仕事を減少させるはずである。後者は人工呼吸器から患者を離すプロセスを容易とするはずである。
【0030】
本発明では、人工呼吸器システムの通常に使用されるエレメントを置き換えることができる特別な態様が考えられる。1つの態様において、本発明では、人工呼吸器および気管内に取り付け可能なモジュラーY字部品が考えられ、ここに、Y字部品の下方アームはエアロゾル発生器を含む。任意の正確な所望の結果に限定されないが、一体的発生器を持つモジュラーY字部品は全ての従来的エアロゾルシステム(ジェット、超音波、およびMDI)に対する人工呼吸器の影響を減少させ、同時に、Aerogen(商標)proのような装置の肯定的な品質を増強させると考えられる。再度、任意の正確な所望の結果に限定されないが、一体的発生器を持つモジュラーY部品は(1)送達における多様性を低下させて(給湿、バイアス流、連続対呼吸-作動の減少された効果)、(どのような市販の人工呼吸器システムが用いられようと)同一の送達を達成し;(2)呼吸作動の最大効果を可能とし;および(3)デッド容量を有しないネブライザーを用いる増強されたネブライザー効率に対する最大効果を可能とすると考えられる。
【0031】
1つの態様において、本発明では、(a)(i)下方端部および上方端部を有する気管内チューブおよび気管切開チューブから選択されるチューブを挿管された患者(前記患者は感染の症状を呈するか否かを問わない);(ii)第一の抗生物質を含む製剤;(iii)下方端部が前記患者の気管内に嵌合する様構成されたエアロゾル送達端部を含む、上方端部および下方端部を含むエアロゾル送達装置を提供する工程;(b)前記患者の気管内に前記装置の前記エアロゾル送達端部を挿入して、位置決定された装置を作る工程;ならびに(c)前記製剤が前記位置決定された装置の前記エアロゾル送達端部を通って前記患者に送達されるような条件下で前記製剤をエアロゾル化する工程であって、前記エアロゾルをまず前記気管に接触する工程を含む方法が考えられる。1つの態様において、前記エアロゾル送達装置はエアロゾル送達カテーテルを含む。もう1つの態様において、前記エアロゾル送達装置はエアロゾル化ノズルに嵌合した気管支鏡を含む。さらにもう1つの態様において、前記エアロゾル送達装置はノズル延長に嵌合した計量用量吸入器を含む。
【0032】
本発明は製剤の性質に限定されないが、1つの態様において、前記製剤はさらに第二の抗生物質を含み、ここで、前記第一の抗生物質はグラム陽性菌に対して活性を有し、前記第二の抗生物質はグラム陰性菌に対して活性を有する。さらにもう1つの態様において、製剤はさらに気管支拡張剤(例えば、アルブテロール(albuterol))を含む。
【0033】
1つの態様において、本発明は、(a)(i)微生物感染の一つまたは複数の症状を呈する挿管患者、(ii)グラム陽性菌に対する活性を有する第一の抗生物質およびグラム陰性菌に対して活性を有する第二の抗生物質を含む製剤;(iii)下方端部が前記チューブ内に嵌合するように構成されたエアロゾル送達端部を含む、上方端部および下方端部を含むエアロゾル送達カテーテルを提供する工程;(b)前記チューブ内に前記カテーテルの前記エアロゾル送達端部を挿入して、位置決定されたカテーテルを作る工程;ならびに(c)前記製剤が前記位置決定されたカテーテルを通って前記患者に送達されるような条件下で前記製剤をエアロゾル化する工程を含む方法が考えられる。経時的には、そのような投与は前記症状の一つまたは複数を減少させる(しかし、完全に排除する必要はない)ことが考えられる。例えば、そのような投与は(後により詳細に議論する)CPISスコアを減少させることができるか、あるいはCPISスコアを計算するのに用いられる一つまたは複数の因子を減少させることができる。一方、そのような投与は規定された時間中に分泌(例えば、痰)の量を減少させることができる。
【0034】
本発明は任意の正確な構成に限定されないが、前記した方法は、前記チューブが機械的人工呼吸器に連結される文脈で行われると考えられる。本発明は送達の正確なタイミングに限定されないが、1つの態様において、前記機械的人工呼吸器は呼吸サイクルを制御し、前記サイクルは呼吸サイクルの吸息期を含み、工程(c)のエアロゾル化は呼吸サイクルの吸息期に行われる。
【0035】
本発明はカテーテルの任意の正確な位置決定に限定されず、1つの態様において、前記位置決定されたカテーテルの前記エアロゾル送達端部は(i)前記チューブ下方端部の直前(例えば、3cm以内)、(ii)前記チューブ下方端部、または(iii)前記チューブ下方端部の丁度下方(例えば、3cmだけ)に延びる。しかしながら、1つの態様において、前記位置決定されたカテーテルの前記エアロゾル送達端部は、前記エアロゾルがまず気管内チューブに接触し、その後、患者の気管に接触するように、十分に(気管切開チューブの1/3上方または1/3中央に位置する)気管内チューブ内にある。
【0036】
さらにもう1つの態様において、本発明では、(a)(i)上昇した白血球細胞数(および/または上昇したCPISスコア)を呈する患者;(ii)グラム陽性菌に対する活性を有する第一の抗生物質および(任意で)グラム陰性菌に対する活性を有する第二の抗生物質を含む製剤;(iii)下方端部が前記患者の気管内に嵌合する様構成されたエアロゾル送達端部を含む、上方端部および下方端部を含むエアロゾル送達装置を提供する工程;(b)前記患者の気管内に前記装置の前記エアロゾル送達端部を挿入して、位置決定された装置を作る工程;ならびに(c)前記位置決定された装置の前記エアロゾル送達端部を通じて前記製剤が患者に送達されて、処置された患者を作るような条件下で前記製剤をエアロゾル化する工程であって、前記エアロゾルはまず前記気管に接触することを含む方法が考えられる。経時的には、そのような投与は白血球細胞数を減少させて(ある場合には、正常な範囲の数まで減少させる)と考えられる。従って、1つの態様において、前記方法は、さらに、(d)工程(c)の後に前記処置された患者の白血球細胞数を測定する工程を含む。
【0037】
しかしながら、白血球細胞数は多数のインジケーターのうちの1つに過ぎない。例として、そのような投与はCPISスコアを「例えば、6(または>6)から4以下」まで減少させることができるか、あるいはCPISスコアを計算するのに用いられる一つまたは複数の因子を減少させることができる。一方、そのような投与は規定された時間内に分泌(例えば、痰)の量を減少させることができる。
【0038】
繰り返すが、本発明は任意の正確な構成に限定されないが、前記した方法は、前記チューブが機械的人工呼吸器に連結される文脈で行われると考えられる。本発明は送達の正確なタイミングに限定されないが、1つの態様において、前記機械的人工呼吸器は呼吸サイクルを制御し、前記サイクルは呼吸サイクルの吸息期を含み、工程(c)の前記エアロゾル化は呼吸サイクルの吸息期に行われる。
【0039】
また、本発明はカテーテルの任意の正確な位置決定に制限されず、1つの態様においては、前記位置決定されたカテーテルの前記エアロゾル送達端部は(i)前記チューブ下方端部の直前(例えば、3cm以内)、(ii)前記チューブ下方端部、または(iii)前記チューブ下方端部の丁度下方(例えば、3cmだけ)に延びる。
【0040】
また、本発明では、(それがどのように用いられるかから独立した)装置および製剤が考えられる。本発明は製剤の性質に制限されないが、1つの態様において、前記製剤は、さらに、グラム陽性菌に対する活性を持つ第一の抗生物質およびグラム陰性菌に対する活性を持つ第二の抗生物質を含む。さらにもう1つの態様において、前記製剤はさらに気管支拡張剤(例えば、アルブテロール)を含む。1つの態様において、単一の抗生物質を気管支拡張剤と共に用いる。この組合せは、抗生物質を単独で用いる場合、抗生物質後気管支痙攣の(ある場合における)観察のため有用であることが判明した。
【0041】
1つの態様において、本発明では、用量計量エレメントに取り付けられた流体不動エレメントを含む装置が考えられ、ここで用量計量エレメントはエアロゾル化カテーテルに(直接的にまたは他のエレメントを通じて間接的に)係合し、前記カテーテルはエアロゾル送達端部を含む。好ましい態様においては、用量計量エレメントはエアロゾル化カテーテルに脱着可能に係合している(例えば、設置されたネジ、設置されたスナップ、管が他の管上を滑るか、またはその中を滑るという事実によって設けられ、かつ保持されたスライド)。1つの態様において、用量計量エレメントは規定された容量の貯蔵器を含む。1つの態様において、前記貯蔵器には薬物製剤(例えば、抗生物質製剤)が充填される。1つの態様において、前記貯蔵器は透明または半透明のシリンダーとしての構成である。1つの態様において、前記シリンダーは可視測定表示を含む。1つの態様において、前記流体駆動エレメントは圧縮ガスによって駆動されるプランジャーを含み、前記圧縮ガスはキャニスター中に貯蔵される。1つの態様において、前記エアロゾル化カテーテルは、それが気管内チューブ内部に嵌合できるような寸法である。1つの態様において、前記エアロゾル化カテーテルの前記送達端部はバッフルを含む。
【0042】
1つの態様において、本発明では、ほぼY字の部品として構成された管を含む装置も考えられ、前記装置は人工呼吸器に取り付け可能な第一の端部および気管内チューブに取り付け可能な第二の端部を有し、ここで、前記第二の端部はエアロゾル発生器を含む。1つの態様において、前記エアロゾル発生器は前記第二の端部に一体化されている(例えば、前記部品を成型する時点で取り付けられる)。1つの態様において、前記エアロゾル発生器には薬物が充填されている。
【0043】
もう1つの態様において、本発明では人工呼吸器回路を含むシステムが考えられ、前記回路は(i)接合部で収束する吸息ラインおよび呼息ライン、(ii)前記接合部に近接して位置し、かつ気管内チューブ(または気管切開チューブ)と流体接続したネブライザーであって、前記吸息ラインまたは前記呼息ラインには位置しないネブライザーを含む。前記ネブライザーは、それが前記接合部および前記気管内チューブの間に位置する場合に前記接合部に「近接して」位置する(これは、任意で前記気管内チューブに対するよりも前記接合部により近いように置くことができる)。
【0044】
本発明は接合部の正確な構成に制限されることを意図しない。1つの態様において、接合部は第一の端部、第二の端部、および柄を有するY字部品(または「T」字部品または「V」字部品)を含む(「V」字部品の柄は丁度「V」の底部点である)。この態様においては、吸息ラインがY字部品の第一の端部に取り付けられており、ここで、呼息ラインがY字部品の第二の端部に取り付けられているのが好ましい。1つの態様において、ネブライザーはY字部品の柄に位置する。1つの態様において、ネブライザーは、単純に、Y字部品の柄に取り付けられている。好ましい態様においては、ネブライザーが位置決定され得るように、Y字部品および気管内チューブの間にネブライザーアダプターが挿入される(すなわち、ネブライザーはスナップフィット等として雄-雌様式でアダプターに嵌合する)。さらにもう1つの態様において、ネブライザーはY字部品の柄に一体化される。
【0045】
本発明は前記回路の正確な構成または性質に制限されない。1つの態様において、前記回路は閉じた回路である。もう1つの態様において、前記回路は開いた回路である。
【0046】
本発明では、ほぼY字の部品(または「T」字部品、または「V」字部品)として構成された管を含む装置の態様も考えられ、前記装置は(i)人工呼吸器回路の吸息ラインに取り付け可能な第一の端部、(ii)人工呼吸器回路の呼息ラインに取り付け可能な第二の端部、および(iii)ネブライザーを含む柄を含む。1つの態様において、ネブライザーはY字部品の柄に位置する。1つの態様において、ネブライザーは、単純に、Y字部品の柄に直接的に、または(例えば、もう1つのチューブまたは適当なエレメントを介して)間接的に取り付けられている。好ましい態様において、ネブライザーが位置決定され得るように、ネブライザーアダプターがY字部品および気管内チューブの間に挿入される。(すなわち、ネブライザーはスナップフィット等として雄-雌様式でアダプターに嵌合される)。さらにもう1つの態様において、ネブライザーはY字部品の柄に一体化されている。ネブライザーは空(後に充填)であるか、薬物が充填されている(但し、充填された形態で最終使用者に提供される)。
【0047】
どのようにして装置が用いられるかに制限されないが、1つの態様において、本発明では、(a)気管内チューブおよび気管切開チューブから選択されるチューブを介して人工呼吸器回路に取り付けられた被検体を提供する工程であって、人工呼吸器回路が(i)接合部において収束する吸息ラインおよび呼息ライン、(ii)前記接合部に近接して位置し、かつ前記チューブに流体接続したネブライザーであって、前記吸息ラインまたは呼息ラインに位置しないネブライザーを含む工程;(b)前記ネブライザーを介してエアロゾル化抗生物質を前記被検体に投与する工程を含む方法が考えられる。前記被検体はヒトまたは動物でありうる。1つの態様において、前記被検体は感染の一つまたは複数の症状を呈する患者である。1つの態様において、前記ネブライザーは工程(b)に先立って抗生物質製剤を含有する。1つの態様において、抗生物質製剤はグラム陰性菌に対する活性を有する第一の抗生物質およびグラム陰性菌に対する活性を有する第二の抗生物質を含む。
【0048】
もう1つの態様において、本発明は、(a)気管内チューブおよび気管切開チューブから選択されるチューブで挿管された、微生物感染の一つまたは複数の症状を呈する患者を提供する工程であって、前記チューブは(i)接合部において収束する吸息ラインおよび呼息ライン、(ii)前記接合部に近接して位置し、かつ前記チューブに流体接続するネブライザーを含む人工呼吸器回路に連結され、ここで、前記ネブライザーは前記吸息ラインまたは前記呼息ラインに位置せず、かつ複数の抗生物質を含む製剤を含有する工程;(b)前記ネブライザーを介してエアロゾルとしての前記製剤を前記患者に投与する工程を含む方法が考えられる。正確な製剤に制限されるものではないが、1つの態様において、前記製剤はグラム陽性菌に対する活性を有する第一の抗生物質、およびグラム陰性菌に対する活性を有する第二の抗生物質を含む。
【0049】
繰り返すが、本発明は特定の人工呼吸器配置に限定されない。1つの態様において、吸息および呼息ラインは機械的人工呼吸器に連結される。1つの態様において、機械的人工呼吸器は呼吸サイクルを制御し、前記サイクルは吸息期を含む。1つの態様において、工程(b)のエアロゾルの投与は呼吸サイクルの吸息期に行われる。
【0050】
また、本発明は、特定の人工呼吸器の特徴または操作形態に制限されない。1つの態様において、機械的人工呼吸器は給湿エレメントを含む。1つの態様において、工程(b)のエアロゾルの投与は、給湿エレメントが活動していない場合になされる。
【0051】
定義
本明細書中においては、「エアロゾル」は、ガス中の物質の液体または固体粒子の懸濁物と定義される。「充填」という用語は、送達システムに入れられる薬物の量を記載するのに用いられる。「吸入量」とは、患者によって吸入された現実の量をいう。「沈積」とは、患者において現実に沈積した用量をいう。本発明の種々の態様に従ったエアロゾル送達に関しては、抗生物質の「沈積」は、常に現在用いられる全身用量よりも低いことが好ましい。一方、「充填」は装置の効率に大いに依存し得る。重要なことには、低い効率の送達でもってさえ、(小さな範囲にわたって再現可能な)送達に対する良好な制御が、用量を制御する手段として好ましい。
【0052】
本発明では、様々な種類のアトマイザーおよびネブライザー双方の使用が考えられる。「アトマイザー」はバッフルのないエアロゾル発生器であり、一方、「ネブライザー」はより小さな粒子を生じさせるためにバッフルを用いる。しかしながら、特許請求の範囲における「ネブライザー」という用語はアトマイザーを含むことが意図される。
【0053】
1つの態様においては、本発明では、振動エレメントおよびテーパー付きの穴を備えたドーム形状の開口プレートを含む市販のAerogen(商標)エアロゾル発生器の使用が考えられる。前記プレートが1秒当たり数千回振動する場合に、ミクロ-ポンピング作用が液体をテーパー付きの穴を通して排出させ、正確に規定された範囲の液滴サイズを持つ低速エアロゾルを作り出す。Aerogen(商標)エアロゾル発生器は噴射剤を必要としない。
【0054】
「バッフリング」は、物体、即ち、「バッフル」による前方向運動の中断である。バッフリングは、エアロゾルを容器または管の側面にぶつけることによって達成することができる。より典型的には、(ボールまたは他のバリアーのような)構造をエアロゾルの経路中に置く(例えば、参照として本明細書に組み入れられる米国特許第5,642,730号、特に図6、エレメント6参照)。本発明では、エアロゾルが送達装置を出るにつれてエアロゾルのスピードを遅らせるためのバッフルの使用が考えられる。
【0055】
「用量計量エレメント」は、投与される薬物の量を制御するエレメントである。前記エレメントは薬物が投与される場合に前記薬物の量を測定することができるが、必ずしもその必要はない。好ましい態様において、前記エレメントは、単純に、規定された容量の容器(例えば、貯蔵器)として特徴付けられる。好ましい態様において、規定された容量は製造業者または病院の専門家(例えば、看護士、薬剤師、医師等)によって充填され、全容量が投与される。もう1つの態様において、貯蔵器は可視測定表示(例えば、マーキング、数字等)を備えた透明または半透明シリンダーとして配置され、前記充填は、ガイドとしての前記表示を用いて所望の点まで(例えば、全能力未満まで)なされる。
【0056】
「流体駆動エレメント」は、装置に沿った方向に流体を移動させるエレメントである。単純な態様においては、流体駆動エレメントは圧縮ガスによって駆動されるプランジャーを含み、圧縮ガスはキャニスターに貯蔵される。他の態様においては、ポンプが含まれる。さらに他の態様において、(シリンジの様式で)手で作動させるプランジャーが含まれる。
【0057】
1つのエレメントは、それが、ガス、蒸気などの通過を可能とするチャネル、チューブ、または他の導管を通じて取り付けられると、もう1つのエレメントと「流体接続」または「流体的に接続」される。事実、市販の人工呼吸器と組み合わせた管は、回路のエレメントの間に流体接続を維持することによってガス流のための「回路」を作り出す。回路中のポートは、装置および薬物を導入することができるように回路を一時的に開ける。「管」は、限定されるものではないが、種々のプラスチック、金属、および複合体を含めた種々の材料から形成することができる。管は剛性または柔軟性であり得る。管は脱着可能な形態または固定された形態で「取り付ける」ことができる。管は、典型的には、他の管またはコネクターにまたはコネクター上に滑らせることによって取り付けられる(その双方は「摺動可能に係合する」の例である)。
【0058】
「患者」はヒトまたは動物であり、入院している必要はない。例えば、外来患者、介護施設中の個人は「患者」である。
【0059】
「微生物感染の一つまたは複数の症状を呈する患者」は発熱または他の伝統的な症状を有することができるか、または分泌の増加、BALFにおける生物、または他の症状を呈することができる。「感染の危険性がある患者」は、限定されるものではないが、外傷患者、集中治療室の患者、挿管患者、老人患者、誕生時の体重が低い患者、免疫無防備状態患者を含む。
【0060】
「位置決定された」装置はインビボにて、即ち、患者との関係で位置決定される。例えば、ある態様においては、エアロゾルカテーテルは、エアロゾルがまず気管と接触するように位置される。もう1つの態様において、エアロゾルはまず気管内チューブと接触する。もう1つの態様において、エアロゾルは、バイオフィルムが気管を超えて延びるか否かに拘わらず、単純に、感染に関連する「バイオフィルム」と接触される。
【0061】
「ジェットネブライザー」は、液体がジェット流に到達し、ジェット流に吸引され、粉砕されて小粒子となるように毛細管作用によって液体を吸い上げる。
【0062】
「超音波ネブライザー」は、液体を粉々にしてエアロゾルとする音波を生じさせるために電流を用いる。超音波ネブライザーは、電気エネルギーを圧力エネルギーに変化させる(圧電エレクトロニック技術を含めた)セラミックトランスジューサーを含む。前記トランスジューサーは約1.5mHzまでの非常に高い周波数で振動する。振動エネルギーは水を通じて伝達され、振動するフレキシブルな隔膜に集中される。前記隔膜はエアロゾル化されるべき溶液と接触し、溶液を震盪させて粒子とする。高い周波数においては、微細な霧が発生する。超音波ネブライザーは、ジェットネブライザーよりも一定の粒子サイズを生じさせることができ、肺に極めて多く沈積する非常に大量の吸い込み可能な粒子を生じさせることができる。
【0063】
本発明では、いくつかの態様において、ポータブルネブライザーおよびエアロゾル装置(例えば、Omron Healthcare、Inc Portable Ultrasonic Nebulizer、NE-U03V MicroAir)を含めた圧電エレクトロニック技術(例えば、圧電セラミックエレクトロニックトランスジューサーに基づくPari GmBh(Starnberg、ドイツ国)e-Flow(商標)エレクトロニックネブライザー)、および吸入薬物送達技術(例えば、Mystic(商標)薬物吸入技術BattellePharma)に基づくネブライザーおよびエアロゾル薬物送達装置の利用が考えられる。
【0064】
「急性呼吸窮迫症候群」(ARDS)は、液体が充填された炎症が起こった肺胞からの突然の生命を脅かす肺不全である。それは、しばしば抗生物質を含む機械的通気によって治療される。
【0065】
気道閉塞(慢性肺気腫(COPD)、およびSAID参照)。
【0066】
気管支拡張剤。典型的には、気道を迅速に開けることによって直ちに救済を供するのに用いられる吸入されて短時間作用するエアロゾル医薬。
【0067】
SAID(小気道炎症病)。ウマにおいて咳および運動不耐を引き起こす下部気道の病気。これは慢性肺気腫よりも重篤ではない。
【0068】
慢性肺気腫(慢性閉塞性肺病または慢性閉塞性肺疾患)は、肺の小気道が狭くなることによる強制呼息努力によって特徴付けられる。この疾患は、慢性閉塞性肺病(COPD)としても知られている。
【0069】
pMDI(圧縮計量用量吸入器)(MDIまたは計量用量吸入器ともいう)。この装置はキャニスターを下に押す際にエアロゾルを作り出す。キャニスターを下に押す毎に、単一用量の医薬が分配される。
【0070】
湿潤ネブライザー(ジェットネブライザーとしても知られている);湿潤ネブライザーは液状薬物に対して高流量のガスを向けることによって作動され、微小な液滴または粒子の霧を生じさせる。
【0071】
さらなる態様は薬物製剤、局所麻酔および病気または疾患特異的抗生物質(例えば、エアロゾル化リドカインおよびCorus 1020抗生物質(Corus Pharma Inc.))の組み合わせを含む。
【0072】
「乾燥粉末」製剤の例は、喘息および気管支痙攣の予防のためのフォルモテロールフメレート吸入粉末(Novartis)である。
【0073】
発明の説明
患者の疾患の定義
機械的通気と感染との関連は明瞭であるが、(感染を引き起こすかまたは感染の結果であるかの何れかである)病気の正確な性質は明瞭ではない。「肺炎」はよく規定された疾患ではない。肺炎を診断するためのいわゆる「最も基準となる検査(gold standard)」は(典型的には、死後行われる)組織学的検査である。しかしながら、組織学的な肺炎の認識は病理学者の間で変動する。14日間の通気手段の後に死亡した39人の患者からなる実験群を用いた際、病理学者の一団は診断について合意しなかった。事実、同一一団によって6ヶ月後に同一のスライドが調べられた時に、患者の幾人かは再度分類された。Corley D.E.ら、「Reproducibility of the Hystologic Diagnosis of Pneumonia Among a Panel of Four Pathologists」Chest 112:458(1997)。一方、同一の実験群を用い、<50%好中球を含む細胞集団を含む気管支肺胞洗浄流体(BALF)は、組織学的肺炎に対して100%陰性の予測値を有した。いくつかの態様において、本発明は、挿管患者における肺炎/感染を排除する手段としてこのBALF測定を利用する。いくつかの態様において、VAPは、以下の基準:BALFにおける細胞の2%を超えるまたはそれと等しいものが、BALFの直接的調査で見出された細胞内細菌を含有する;103cfu/mlを超えるまたはそれと等しい保護された検体ブラシ試料;または104cfu/mlを超えるまたはそれと等しいBALF培養のうちの少なくとも2つの存在によって確認される。Combes A.ら、「Incidence and outcome of polymicrobial ventilator-associated pneumonia」Chest 121-1618(2002)参照。
【0074】
一般的な文献は(人工呼吸器-関連肺炎につき)一般的な標識「VAP」下で挿管患者の関係での感染を記載するが、本発明者らは、そのような患者は、少なくとも初期には、「気管気管支炎」として最良に記載されるより限定されたまたは局所化された病気を発症することを認識している。本発明を、いかなる方法によっても特定の病気メカニズムに限定する意図はないが、気管気管支炎は、口腔咽頭部の混合フローラによる基部側気道への侵入により、気管内チューブにおいて、またはその周りで(特に、チューブがカフ、例えば、バルーンカフで「係留」される場所において、またはその近くで、あるいはチューブの端部にて、またはその近くで)発生すると考えられる。換言すれば、チューブは口腔咽頭部のフローラを気管に運び、そこで、フローラは感染の初期部位にて増殖する。シュードモナスのような他の親水性生物は口腔咽頭部を迂回し、直接的に、導管としての気管内チューブまたは気管切開チューブを用いて気管に集落を形成することができる。
【0075】
本発明を、挿管患者において病気がどのようにして進行するかの理論に限定する意図はないが、本発明の方法および装置に従って気管気管支炎を治療(または予防)することによって肺炎を遅らすことができ、またはそれを予防することさえできると考えられる。本発明では、気管気管支炎の診断は痰レベルの測定によってなすことができると考えられる。
【0076】
説明として、図1Aは従来的な気管内挿管の略図である。図1Bは、気管内チューブを係留するバルーンカフを示す、図1Aの丸印の部分の拡大図であり、気管気管支炎に特徴的な感染の局所領域を模式的に示す。図2は、インライン痰トラップを備えた気管切開チューブ系を装備した患者の略図である。図3は、挿管の週の関数としての、図2の痰トラップで測定された痰の増加を示す棒グラフである。
【0077】
図3のデータは、その双方が本発明によって意図される、療法に対する2つの代替法の十分な根拠を示す。1つの態様において、本発明では、感染の症状が検出可能であるか否かを問わず、挿管から約7日後(または挿管から3日以上後および挿管から約7日以上後)における気管および/または深部肺に対する抗生物質混合物の予防的エアロゾルが考えられる。もう1つの態様において、分泌物の容量(例えば、痰レベル)が(挿管からの日数に拘わらず)任意の4時間の測定時間内に約2ccを超える場合に、気管気管支炎の診断がなされる。
【0078】
図4は、肺炎に対する高い痰レベルの関係を示す棒グラフである(例えばVAP)。病気進行の任意のの理論に本発明を限定するものではないが、(任意の4時間の測定時間における約6ccよりも大きな)非常に高い痰レベルは、気管気管支炎が肺炎に成熟したことを示すが、一方、「肺炎無し」の集団はより局所化された気管気管支炎を有すると考えられる。
【0079】
試験無しの治療
1つの態様において、挿管患者は「危険性がある」と観察され、エアロゾル化抗生物質の投与は予防的である。この態様において、感染についての試験はなされない。むしろ、感染の発生が挿管時間と共に増大することを示す多くの実験によって、治療の正当化が提供される。1つの態様において、人工呼吸器に接続されたある日数の後に(例えば、第3日に、より好ましくは3日を超えた日に、なおより好ましくは5日を超えた日に、より通常には7日を超えた日に)治療がなされる。
【0080】
患者の試験
本発明は試験のタイミングまたは性質に制限される意図ではない。例えば、1つの態様において、本発明では、感染の発症に先立って、(例えば、痰レベルにつき、BALFにおける細菌につき)挿管患者をモニタリングすることが考えられる。もう1つの態様において、本発明では、症状が出現した後(例えば、発熱、充血等)生物につき試験することが考えられる。「臨床肺感染スコア」をなす標準的な症状を本発明と組み合わせて用いることができる。
(1)体温
(2)白血球細胞数
(3)気管分泌の性質
(4)酸素付与およびARDS
(5)胸部X線所見
(6)気管分泌のグラム株および培養の結果。
【0081】
好ましい態様においては、挿管患者を挿管日数の関数として(例えば、痰レベルにつき、BALFにおける細菌につき、および/または白血球細胞数等につき)試験する。例えば、試験を挿管の直前および/または直後に行って、後の比較のための基準を得る。その後、同様な試験をその後各挿管日に行って、相対的な数を得る。この態様において、感染の診断は、絶対的なカットオフレベルの使用によるのではなく、経時的な増加(例えば、痰レベルの増加、BALFにおける細菌の増加、および/または白血球細胞数等の増加)を示すことによってなされる。もちろん、カットオフレベルを用いることもできる。例えば、白血球細胞数についての典型的なカットオフは10,000であり、これは正常未満である。1つの態様において、10,000以上の白血球細胞数(即ち、「上昇した」WBC数)を持つ挿管患者が、本明細書中に記載された様式でのエアロゾル化薬物投与のために選択される。
【0082】
また、本発明では、後治療を試験することが考えられる(図7参照)。即ち、エアロゾル化薬物を投与した後、レベル(例えば、痰レベル、BALFにおける細菌レベル、および/または白血球細胞数等)を測定して、投薬が所望の影響を有しているか否かを明らかにする。例えば、上昇した白血球細胞数を持つ患者において、10%(より好ましくは20%以上)の白血球細胞数の(1週間、しかしより好ましくは72時間以内、なおより好ましくは48時間以下以内のような)経時的減少は、エアロゾル化薬物治療が所望の結果を有していることを示す。そのような減少は図3に示されており、そこでは、多数の(「n」)抗生物質(ゲンタマイシン、アミカシンまたはバンコマイシン何れか)で処置した(「AA」)および生理食塩水対照(「プラセボ」)患者を、実験の開始時または無作為な時(「R」)および実験の最後(「EOS」)にその白血球数について試験した。
【0083】
1つの態様において、本発明では、痰レベルに基づく(正常な病院設定または臨床試験におけるかを問わず)処置のために患者を選択する方法が考えられる。図10に示されるように、規定された期間(例えば、4時間)における2ccを超える痰レベルを持つ患者を分離するのは、死亡率に対する有意な影響を有し得る。2ccを超える痰を有する患者はより高い死亡率を示した。従って、エアロゾル処置についてこの群を選択することは十分に根拠がある。
【0084】
図11は、痰レベルと共にCPISスコアがどのようにして処置のために患者を選択するのに用いられるかを示す。挿管の時点において、患者は約4のCPISスコアを呈した。2ccの痰が分泌される時点において、CPISスコアは6以上であった。実験中の処置の時点(即ち、薬物またはプラセボを受領させるために患者を無作為化した時点)において、CPISスコアはなおより高かった。しかしながら、処置の最後において、薬物で処置した集団は劇的に減少したCPIS数を示した。
【0085】
図10および11のデータは、2cc以上の痰レベルを持つ挿管患者をCPISシステムを用いてスコア取りした処置様式(通常の病院の状況における、または装置および薬物を評価するための臨床試験のためを問わない)を示す。6のCPISスコア未満を有する者は抗生物質で全身処置しない。むしろ、彼らはエアロゾル化薬物(例えば、抗生物質カクテル等)で処置する。もちろん、臨床試験のためには、薬物および他のプラセボにつき1つの群を無作為化する。結局は、全ての患者に毎日のCPISスコアを与える。処置した群についてのCPISスコアは(痰レベルと共に)減少するはずである。考えられる終点は、限定されるものではないが、人工呼吸器日数、(CDC-NNIS基準を用いて測定した)VAPの発生、CPISスコア、痰レベル、BALF培養、および死亡率、またはその組合せ(例えば、4以下のCPISスコアおよび4時間以内に分泌された2cc未満の痰)を含む。
【0086】
6以上のCPISスコアを有する者は、まず、感染の直接的証拠について試験する(例えば、グラム染色によって測定された微生物を持つBALF)。陰性である(例えば、グラム染色による検出無し)患者は抗生物質で全身処置しない。むしろ、彼らはエアロゾル化薬物(例えば、抗生物質カクテル等)で処置する。もちろん、臨床試験では、薬物および他のプラセボのために1つの群を無作為化する。いずれにしても、全ての患者に毎日のCPISスコアを与える。処置した群についてのCPISスコアは(痰レベルと共に)減少するはずである。考えられる終点は、限定されるものではないが、人工呼吸器の日数、(CDC-NNIS基準を用いて測定した)VAPの発生、CPISスコア、痰のレベル、および死亡率、またはその組合せ(例えば、4以下のCPISスコアおよび4時間以内に分泌された2cc未満の痰)を含む。CPISスコア(および/または進行した病気の他のマーカー、例えば、10,000以上のCFUを持つ患者)の任意の上昇の結果、全身抗生物質処置がなされる。
【0087】
生物に対して陽性である(例えば、グラム染色により陽性)6以上のCPISスコアを有する者は、抗生物質で全身処置する。その後(または同時に)、彼らをエアロゾル化薬物(例えば、抗生物質カクテル等)で処置する。もちろん、臨床試験のためには、薬物および他のプラセボにつき1つの群を無作為化する。いずれにしても、全ての患者に毎日のCPISスコアを与える。処置した群についてのCPISスコアは(痰レベルと共に)減少するはずである。考えられる終点は、限定されるものではないが、人工呼吸器の日数、(CDC-NNIS基準を用いて測定された)VAPの発生、CPISスコア、痰のレベル、および死亡率、またはその組合せ(例えば、4以下のCPISスコアおよび4時間以内に分泌された2cc未満の痰)を含む。CPISスコア(および/または進行した病気の他のマーカー、例えば、10,000以上のCFUを持つ患者)における任意の上昇の結果、継続した全身抗生物質処置がなされる。CPISスコア(または10,000未満のCFUを持つ丁度安定なCPISスコアでさえ)における任意の減少の結果、全身抗生物質処置は中断する。
【0088】
製剤
気管および肺の感染は異なる種類であり得る。いくつかの感染はウィルス性であり;いくつかの感染は(酵母を含めた)真菌性である。より通常には、感染はその性質が細菌である。しかしながら、感染の多くの場合は単一生物感染ではなく;多微生物感染が記載されている。Combes A.ら、「Incidence and outcome of polymicrobial ventilator-associated pneumonia」Chest 121-1618(2002)。この理由から、1つの態様において、本発明では、抗微生物混合物または「カクテル」が考えられる。
【0089】
1つの態様において、混合物はエアロゾル化のために処方した複数の抗微生物剤(例えば、抗生物質)を含む。好ましい態様において、抗生物質の組合せは、グラム陽性およびグラム陰性生物の広い範囲を撲滅する能力について選択される。1つの態様において、試験を処置に先立って行い、気道におけるグラム陰性およびグラム陽性細菌の組合せの増殖を確認することができる。一方、好ましい混合物での処置は、グラム陰性およびグラム陽性双方の微生物の存在の試験または確認無くして行うことができることも考えられる。後者の場合には、ICUの緊急性は、混合物での処置を予防策として慎重にすると思われる。そのようなアプローチは、エアロゾル化混合物を、最小の(もしあれば)全身暴露での感染に局所的に向ける点で正当化される。好ましい混合物での処置は、1つの抗生物質法がもう1つの方法に従う場合、末端気道への感染の進行は現実には促進される可能性に対して保証することができる。一方、感染の種類が知られている(またはインジケーターにより疑われる)場合には、感染に適した単一抗生物質での処置が考えられる。
【0090】
1つの態様において、抗真菌剤および抗生物質が混合物にて用いられる。本発明のなおもう1つの態様において、抗ウィルス剤、抗真菌剤および抗生物質が混合物にて用いられる。1つの態様において、これらの混合物は粒子である(例えば、カプセル化粒子、ミクロ粒子等)。
【0091】
本発明では、通常の溶剤(または、別法として、相互に数分以内〜8時間以内のように、一緒にまたは系列的に投与することができる別々の溶剤)中にて同時に投与することができ、かつ(同一ではないが)同様の治療時間経過を有することが予測することができる適合抗生物質組合せが考えられる。本発明では、エアロゾル投与は身体の他の部分の抗微生物レベルの抗生物質剤への暴露を最小化しつつ、侵された気道の表面に直接併用処置を投与するための効果的な手段であるので、適当なエアロゾル化装置で用いるのによく適合した製剤におけるそのような製剤を提供することが考えられる。適当なエアロゾル送達装置は、一方では口腔咽頭細菌を収集してそれを深部肺まで輸送することなく、かつ他方においては抗生物質攻撃によって正常な口腔咽頭フローラを乱すことなく、予測可能な量の治療剤を侵された領域に直接送達するものである。また、適当なエアロゾル送達装置は、操作中、それらはより濃い(および/またはより接着性の)製剤による封鎖を生じないという事実に基づいて選択されたものである。
【0092】
もう1つの局面において、本発明は、抗グラム陽性抗微生物剤および抗グラム陰性抗微生物剤、ならびに抗微生物剤との適合性につき選択された、かつエアロゾル化することができる薬学的に許容される担体、賦形剤、および/または希釈剤を併用して含む薬学的組成物を提供する。本発明は特定の担体、賦形剤、および/または希釈剤に限定されることを意図しない。種々のそのような剤が考えられる。いくつかの態様において、製剤は結合剤、充填剤、担体、保存剤、安定化剤、乳化剤、緩衝剤、および、例えば、薬学的等級のマンニトール、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム等としての賦形剤のような通常使用される添加剤を含むと考えられる。これらの組成物は溶液または乾燥粉末の形態を取り、典型的には、1%〜95%の有効成分、好ましくは2%〜70%の有効成分を含有する。
【0093】
本開示はヒト治療に対して強調されるが、治療的製剤は家畜動物のような動物用途、および他の治療剤と同様にヒトにおける臨床用途のために哺乳動物に投与することができる。一般に、治療効果に必要な投与量は、使用の型および投与の局面、ならびに個々の宿主の特殊化された要件に従って変化すると考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0094】
発明の詳細な説明
本発明のある好ましい態様、エアロゾルの送達は、湿度および他の因子(例えば、流速、管の差、人工呼吸器の差等)の変動を回避する様式でなされる。1つの態様において、これは患者と吸息および呼息ラインの接合部(典型的には、Y字部品)との間に位置する(ネブライザー、エアロゾル化カテーテル等を介するかを問わず)エアロゾル発生器の使用を含む。いくつかの態様において、エアロゾル発生器はY字部品に(またはY字部品の一体化部分に)取り付けられる。ある態様の利点は従来的配置との関連で後に議論する。
【0095】
湿度感受性噴霧化
任意の所与の人工呼吸器および噴霧化装置についても、選択すべき湿度の適当な予備的決定はベンチモデルを用いてなすことができる(図9A)。使用において、試験的人工呼吸器は番号8の気管内チューブを介して試験肺に連結される(例えば、M.I.I.VentAiTTL,Michigan Instruments,Inc.,Grand Rapids,MI)。エアロゾルを、呼息ラインにおける吸入マスフィルター(Pari,GmbH,Starnberg,ドイツ国)および漏洩フィルターを備えた気管内チューブに対して丁度末端側でサンプリングする。エアロゾルは、Y字部品から12インチの吸息ライン12に位置する装置での噴霧化によって発生させる。任意の多数の試験物質を使用することができる。各人工呼吸器につき評価することができる変数の中には以下のものがある:
人工呼吸器回路における相対湿度、
人工呼吸器サイクル中の噴霧化事象の頻度およびタイミング(「噴霧化アルゴリズム」)、
バイアス流速、
ネブライザー性能の要素(駆動圧力、初期粒子サイズ、粉末エアロゾル、液体エアロゾル、抗吸湿性包装エアロゾル製剤等)、
以下の変数の各々につき測定されるパラメーター、
吸入量(%)、ネブライザー充填の割合としてのフィルター上の薬物の量、
質量バランス(回収(%))、ネブライザーにおけるフィルター+残存物活性双方の合計、
質量媒体空気力学的直径(MMAD)。
【0096】
当業者であれば、バイアス流速、噴霧化アルゴリズム、およびネブライザーの具体的性能の関数としての、本発明の好ましい範囲内にエアロゾルのMMADを維持する湿度設定を任意の所与の人工呼吸器のベンチテストで見出すと考えられる。図9Aに示された配置の場合には、エアロゾル化薬物の良好な送達は、人工呼吸器の湿度特徴が活動的でない場合にネブライザーを作動させることによって達成することができる。従って、1つの態様において、本発明では、ネブライザーが吸息ラインに位置した配置を用いて複数の抗生物質を含む製剤を送達することが考えられる。好ましくは、この態様は、修飾された湿度条件(即ち、湿度が送達を有意には損なわない条件)下で用いられる。
【0097】
ベンチモデルのもう1つの態様は図9Bに示される。繰り返すが、エアロゾルは吸入量フィルター(Pari GmbH,Starnberg,ドイツ国)を備えた気管内チューブに対して丁度末端側でサンプリングされる;任意で、呼息および吸息ラインフィルターを使用することができる。エアロゾルは、吸息ラインの外側(即ち、吸息ライン中ではない)かつY字部品内(好ましくは、ETチューブと連結されるY字部品の端部に向けて)に位置する装置での噴霧化によって発生させる。また、任意の多数の試験物質を使用することができる。もちろん、本発明では、1つの態様において、患者との関連で図9B配置の使用が考えられ、ここに、少なくとも1つの抗生物質を含む製剤がエアロゾル化され、投与される。図9Bに示された態様では、より一定の(より低い効率ではあるが)投与が観察される。これはY字部品におけるエアロゾルエントリーの1つの利点を示す。
【0098】
エアロゾル化治療剤の非吸湿性包装
非常に多数のマイクロカプセル化技術が当技術分野において知られており、その多くは、本発明のエアロゾル化粒子を、湿潤人工呼吸器回路の壁への水滴降下に対して抵抗性とする。非吸湿性である任意のエアロゾル粒子も本発明の範囲内であるが、包装目的の最近開示された特に適切な技術はSchneiderおよびBussatに対する米国特許第6,403,057号に記載され、特許請求され、参照として本明細書に組み入れられる。その発明によると、1μm〜1,000μmの画分からの平均サイズを持つマイクロカプセルが、一つまたは複数の生分解性の水不溶性脂質を用いて、最初は空気またはガスを含むコアをカプセル化するのに用いた場合に得ることができる。前記プロセスの結果、非合着性で、乾燥した瞬時に分散可能な粉末の形態のかなりの機械的強度のマイクロカプセルが得られる。それ自体、生分解性脂質から構成され、マイクロカプセルは身体中で1時間〜数時間続く。
【0099】
マイクロカプセルはガスのコアを保持するが、それは治療的に活性な物質の送達に用いることができ、その場合、活性物質は膜に含ませることができるか、あるいはコアに充填することもできる。実質的に任意の生物学的に活性な物質もマイクロカプセルで用いることができる。
【0100】
本発明との関係でマイクロカプセルを投与するためには、当業者は、’057特許の教示に従ってカプセルを「充填」し、任意の他の乾燥粉末と同様に得られた粒子を用い、マイクロカプセル内の活性剤の「充填」、ネブライザーの「充填」およびその性能特性、ならびに人工呼吸器の設定に対して注意を払う必要がある。
【0101】
用量制御装置
前記したキャリブレーション試験により、当業者は、本発明で利用されるエアロゾル化装置に「充填」するのに用いるべき抗生物質の量を精度をもって予め決定することができる。そのような充填は、さらに、先行技術が教示する(即ち、全身投与される量)よりもかなり少ない量である。シリンジ様送達を手で作動させる圧力でもって本発明の関係で用いることができるが、そのようなアプローチは操作者の間違いおよび誤投与の危険性がある。従って、好ましい態様において、本発明は、所望の薬物の予め測定された量のみを含有するようなサイズの予め測定された薬物貯蔵器を含む装置を提供し、ここで、送達は一旦発射されたならば、自動的かつ完全である。送達を自動化することによって、本発明では、本発明の方法によって投与した場合に投与される用量が全身レベルを有意に上昇させることなく、抗生物質の痰レベルをMICを超えて上昇させるであろうと考えられる。理想的には、抗生物質のレベルは、感染される肺および/または気管の領域の粘膜表面の細胞外流体において上昇する。
【0102】
図8は、用量制御を提供する独立装置の1つの態様を示す。示された態様において、装置(100)は、用量計量エレメント(101)、流体駆動エレメント(102)、およびエアロゾル化カテーテル(103)を含む。示された特定の態様は限定的であることを断じて意図するものではないが、便宜上、装置を2つの部分で作製することができる。示された特定の態様は、(望ましいならば、単一使用、連結解除、および第一の部分の廃棄、それに続くもう1つのモジュールユニットを用いた製剤の第二の投与を可能とするための)モジュラーとしての装置の第一の部分であり、エアロゾル化カテーテル(前記カテーテルは外部バッフル(105)を含む)を含む(例えば、スクリューおよびネジ係合した、104)装置の第二の部分に係合するような構成の、(用量計量エレメントおよび流体駆動エレメントを含む)装置の第一の部分を示す。
【0103】
好ましい態様において、用量計量エレメントは規定された容量の貯蔵器を含み、ここで貯蔵器(106)は、好ましくは可視測定表示(107)を伴うまたは伴わない、透明または半透明のシリンダーまたはチューブとして形成される。この好ましい態様において、患者用の流体製剤(例えば、抗生物質製剤)は貯蔵器に入れられ、前記貯蔵器(106)は流体駆動エレメント(102)の(流れの方向の点で)下流にある。好ましい態様において、流体駆動エレメントは圧縮ガス(示さず)によって駆動されるプランジャーまたはピストン(108)を含み、前記圧縮ガスは容器またはキャニスター(109)に貯蔵され、ポート(111)を通じて装置に係合するトリガー(110)を介して装置の操作者(示さず)によって放出され、前記トリガー(110)は拘束/開放(112)を破る。圧縮ガスの放出が発射されると、プランジャーまたはピストン(108)は規定容量の製剤をエアロゾル化カテーテルに押し込む。特に好ましい態様において、装置は、それが人工呼吸器システム(例えば、図1B参照)における開口またはポートに係合できるような構成の「独立」装置であり、ここで、(送達端部にエアロゾル化ノズル113を有する)前記エアロゾル化カテーテル(103)は、それが、挿管患者の気管内チューブ(および/または気管切開チューブ)の内部(例えば、図6参照)、または側面に沿って嵌合でき、従って、カテーテルの(すなわち、それからエアロゾルが送達される)送達端部がほぼチューブの端部(または、好ましくは、チューブの端部下方)まで延び、「それにより、チューブを迂回するようにエアロゾルを送達する」ような寸法である。特に好ましい態様において、エアロゾル化カテーテルの端部は、エアロゾルのスピードを遅らせるためのバッフル(105)を含む。
【0104】
本発明は、図8に示された駆動エレメント、発射エレメント、カテーテル、およびバッフルの正確なデザインによって制限されることを意図しない。(その全ては、参照として本明細書に組み入れ、カテーテル、エアロゾル化ノズル、バッフル等についての種々の異なるデザインを示す)米国特許第5,642,730号、第5,964,223号、および第6,079,413号、ならびに(参照として本明細書に組み入れられる)米国特許第6,210,359号に示され記載されたもののような、これらのエレメントについての変形が考えられる。
【0105】
好ましい態様において、駆動エレメントはAerogen(商標)エアロゾル発生器の使用によって全く回避することができる。そのような態様において、貯蔵器は、Aerogen(商標)エアロゾル発生器で終わるカテーテルの送達端部に置かれる。一方、本発明では、図8におけるエアロゾルノズルをAerogen(商標)エアロゾル発生器で置き換えることも考えられる。もちろん、本発明は、市販のAerogen(商標)モデルの現在のサイズに制限されない。エアロゾル発生器を従来的な技術によってサイズを小さくして、便宜上、他の装置に取り付けることができる。例えば、1つの態様において、エアロゾル発生器は約0.4〜10mmと小さく、好ましいサイズは約4.0mmであり(これは、成人の気管内チューブのための便宜的なサイズである)。
【0106】
または、エアロゾル発生器(例えば、Aerogen(商標)モデルのもの、またはそのスケールダウンしたバージョン)を人工呼吸器孔の構築されたY字部品に含めることができる。図12は人工呼吸器で用いられるY字部品の1つの態様の模式図であり、Y字部品の下方部分(例えば、末端アーム)におけるエアロゾル発生器の多数の代替設置を示す。事実、Y字部品の全末端アームは「エアロゾル可能」であると考えられる。重要なことには、より一定の投与を達成することができるのが判明し、ここで、エアロゾル発生器はある領域下方に置かれる(この領域の近似的境界は図12中で点線によって示される)。
【0107】
1つの態様において、エアロゾル発生器は、投与カテーテルが取り付けられたY字部品の下方アームに入れられる。もう1つの態様において、エアロゾル発生器の送達端部(または先端)が薬物をチューブのルーメンに送達できるように、エアロゾル発生器はY字部品と一体化される(例えば、取り付けられる、そこに埋め込まれる、挿入される等)。1つの態様において、エアロゾル発生器はチューブのルーメンまで延びる。1つの態様において、エアロゾル発生器はチューブの壁を通って延びる。
【0108】
1つの態様において、本発明では、(例えば、前記部位に薬物が充填された)一体化エアロゾル発生器を備えたY字部品はモジュールであり、「独立」装置として供給することができる。そのような態様において、薬物(例えば、抗生物質のカクテル)を送達するには、市販されている人工呼吸器と組み合わされた正規のY字部品を取り出し、それを、(例えば、「武装弾頭」の様式で)エアロゾル発生器を含むモジュールY字部品で置き換える。その後、発生器を作動させることによって薬物送達が達成される。
【0109】
本発明は、モジュールチューブの正確な構成に限定されることを意図しない(例えば、Yチューブの上方部分は「V」の形状とすることができ、Yチューブはより「T」のような形状となりうる)。同様に、本発明は下方アームにおけるエアロゾル発生器の正確な設置位置、またはその中に入れられたエアロゾル発生器の数に制限されることを意図しない(例えば、いくつかの態様においては複数が考えられ;1つの態様においては、薬物-充填発生器の数は薬物の所望の用量、即ち、所望のより多くの薬物によって決定され、より局所的薬物-充填発生器が用いられる)。また、本発明はチューブ内部への全エアロゾル発生器の設置に限定されない。
【0110】
1つの態様において、発生器の送達端部はY字部品の下方アームに一体化し、一方、他のエレメントはそれに取り付可能である。例えば、1つの態様において、発生器の薬物送達端部は導管(例えば、パイプ、チューブ、チャネル等)を介して、薬物送達端部(例えば、エアロゾルヘッド)から離れた薬物供給(例えば、流体貯蔵器)に取り付けられる。同様に、薬物を送達する力は、エアロゾルヘッドから離れていなくてもよい。局所的力は電池で発生させることができる。遠隔力は、種々の適当なエネルギー移動手段(例えば、ワイヤー/電気;導管/流体圧力および/または流れ;機械的トランスジューサー/音)によって促進され得る。
【0111】
組合わせ吸入カテーテルおよびエアロゾルカテーテル
本発明を実施する方法の1つの態様において、エアロゾル送達キャリアーが利用され、ポートを通って人工呼吸器回路に導入される(図2Aおよび2B)。吸入カテーテルを利用して、エアロゾルカテーテルをそれにネジ結合することができる(図6参照)ように、吸入カテーテル中にチャネルを設けることによって、エアロゾルカテーテルを設置するためのガイドとして働かせるのが都合がよい。特に、本発明では、吸入カテーテルをエアロゾル化カテーテルを気管内に挿入するための導管として適合させる(または適合可能な)態様が考えられる。好ましい態様において、吸入チャンバーは人工呼吸器回路の部分であり、人工呼吸器回路にはインライン(いくつかの態様においては、一体化)痰容量ゲージが供えられている。
【0112】
本発明の態様に従うと、その先端が気管内チューブに対して末端側に位置する吸入カテーテルは、挿管患者において痰の容量を定量するのに用いられ、エアロゾル化カテーテルの設置のための導管として働かせる。好ましい態様において、吸入カテーテルは、挿管患者からの痰を吸入するための人工呼吸器被検体の肺系に留置される吸入チューブ、吸入チューブを介して患者から吸入された痰を受領し、それを含む検体トラップ、および閉じることができるエアロゾル化カテーテル挿入ポートを含む。トラップおよび吸入カテーテルの操作的組合せは、別々のユニットが有する汚染に供されない予め組み立てられた滅菌ユニットを提供する。好ましくは、吸入カテーテルは、滅菌接合を備えたトラップの頂部に取り付けられる。
【0113】
本発明の他の局面によると、吸入カテーテルは、患者の気道内のエアロゾル化成分を測定するためのEBCセンサー(図2C)を含む。炎症メディエーターを測定する市販のセンサーを用いることができる。
【0114】
図面を参照し、吸入カテーテル10は、エアロゾルカテーテルまたはEBC収集回路に取り付けるために用いることができるポート14を含む。図2Bは、ポート14に挿入されたエアロゾルカテーテル30の基部側端部を備えた吸入カテーテル10を示す。エアロゾルカテーテル30の末端側端部は、液体供給および高圧源に取り付けられる。好ましい態様において、エアロゾルカテーテルは多数のルーメンを含む。図2Cは、ポート14に挿入されたEBC収集回路32の基部側端部を備えた吸入カテーテル10を示す。EBC収集回路の末端側端部は蒸気凝縮器に連結される。
【0115】
人工呼吸器回路にポートを提供することによって(特に、ある態様においては、患者に最も近い吸入カテーテルの端部に位置したポート)、本発明は米国特許第5,642,730号、第6,079,413号、および第6,293,279号(その全てを参照として本明細書に組み入れられる)に種々に記載されたカテーテルのような好ましい送達手段の設置を標準化して、制御されかつ均等に分配される様式で、治療剤の関連空間(例えば、気管内チューブの端部近く、好ましい態様においては、適切に位置した気管内チューブの丁度端部を過ぎたところ)への直接的送達を保証する。従って、抗生物質のような、用量が臨界的である薬物は、最初に、安全かつ経済的に肺に投与することができる。従って、そのような用量-臨界的薬物は、今や、肺への直接的投与につき取締当局によってより認可されると考えられる。さらに、特に抗生物質については、本発明は信頼できかつ目的的に測定可能な送達アプローチを提供する。処置を開始するための前記臨床インジケーターとカップリングさせると、組み合わせた特徴は最適な処置結果を提供する。
【0116】
好ましい薬物
抗グラム陽性剤として本発明で有用な抗生物質はマクロライド(例えば、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン)および糖ペプチド(例えば、バンコマイシンおよびテイコプラニン)を含む。しかしながら、適当なエアロゾルに分散または懸濁させることができる任意の抗グラム陽性剤も本発明の範囲内である(オキサゾルジノン、キヌプリスチン/ダルフォプリステン等)。抗グラム陰性剤として有用な抗生物質はアミノグリコシド(例えば、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ストレプトマイシン、メチルマイシン);キノロン(例えば、シプロフロキサシン、オフロキサシン、レボフロキサシン);テトラサイクリン(例えば、オキシテトラサイクリン、ドキシシクリン、ミノシクリン)およびコトリモキサゾールを含む。しかしながら、適当なエアロゾルに溶解または懸濁させることができる任意の抗陰性剤も本発明の範囲内である(例えば、コリスチン、イメピニム、メリペニム等)。好ましくは、抗グラム陽性抗生物質および抗グラム陰性抗生物質は、感染を系列的に治療するにおいて、治療時間経過を、事実、結果に関して全く違わないようにするように選択される。
【0117】
エアロゾル化溶剤として働く流体は、典型的には、特定の製剤のために選択された抗生物質の双方の溶解性および安定性を最適化するように選択されたpKaを持つ緩衝化生理食塩水である。しかしながら、リポソームを含む親油性溶剤を含めた他の流体は本発明の範囲内である。例えば、投薬の保持されたまたは制御された放出をもたらす脂質またはリポソーム処方抗生物質(例えば、Transave,SLT(商標)technology Inc.,ALZA's Steath Liposomal Technology,Gilead Liposomes Drug Delivery Sytems)。本発明で用いるために選択された各抗生物質の濃度は、まず、エアロゾル送達の速度を選択することによって与えられたエアロゾル化流体につき決定される。次いで、十分な量のそれぞれの抗生物質を添加して動物の気道に送達し、これは、そのような抗生物質が肺感染の治療のために全身投与された場合に(当技術分野において周知のアッセイ法によって測定された)従来的に達成されるレベル以下だけ全身循環中の抗生物質のレベルを増加させると考えられる。好ましくは、本用量は、抗微生物効果を全身的に発揮するのに十分なものとして一般的にみなされる概略レベル以下だけ全身レベルを増加させるのに十分なものである。より好ましくは、本用量は、任意の毒性を全身的に発揮するか、または身体中の他の箇所でフローラに影響するのに十分な全身レベルを増加させるのに十分な量よりも少なく、感染されるか、または感染される危険性がある肺の領域におけるよりも少ない。
【0118】
1つの態様において、本発明では、界面活性剤の固有の治療効果のためではなく、抗生物質のような薬物のための送達溶剤として、エアロゾルを介して界面活性剤(または、より一般的には、「湿潤剤」)を投与することが考えられる。任意の特定のメカニズムに本発明を限定する意図はないが、界面活性剤の特性は、肺の全表面にわたって抗生物質の分布を促進するように働くと考えられる。
【0119】
減少した抵抗性
本発明の組成物、装置、および方法の成功した使用は任意の特定のメカニズム(または特定のメカニズムの理解)に制限されないが、抗生物質抵抗性の発生は、もし全身抗生物質療法の高い選択圧が存在しなければ、減少すると考えられる。それにもかかわらず、本発明の組成物、装置、および方法は、全身抗生物質療法のバックグラウンドに対してさえ有効に用いることができる。エアロゾル化抗生物質は、全身抗生物質の存在における抵抗性の発生を予防する。
【0120】
1つの実験において、エアロゾル化抗生物質を受領した9人の患者のうち、3人は全身療法の間に新しい抵抗性の生物を発生させた。一方、8人のプラセボ対照患者のうち、全身療法中の8人のうち5人の患者は新しい抵抗性の生物を発生させた。このデータは、(i)エアロゾル投与が抵抗性の発生を減少させ;および(ii)減少した抵抗性は単にエアロゾルアプローチの利点ではなく、それはエアロゾルアプローチの固有の特性であることを示唆する。
【0121】
薬物含浸チューブ
本発明の1つの局面では、一つまたは複数の抗微生物剤を含浸させた気管内チューブまたは気管切開チューブが考えられる。好ましい態様において、少なくとも1つのグラム陽性および1つのグラム陰性抗生物質の混合物を用いる。1つの態様において、抗生物質混合物は、気管内チューブの表面コーティングとして適用することができる。もう1つの態様において、抗生物質混合物は、製造の間に気管内チューブマトリックスに配合することができる。1つの態様において、抗生物質混合物は全気管内チューブに適用される。もう1つの態様において、抗生物質混合物は気管内チューブのカフおよび/または先端に適用される。
【0122】
ポリマー表面コーティングは、ポリマー表面コーティングからの抗生物質および他の薬物の長持続放出を提供することが知られている。この技術は、ポリマー/抗生物質混合物の気管内チューブの表面への製造後適用を必要とする。(共に参照として本明細書に組み入れられる)Shikaniら、米国特許第5,762,638号;およびDombらの米国特許第5,512,055号。本発明で考えられるポリマーコーティングは、気管内チューブの外部表面に適用することができる。ある態様においては、これらのコーティングを含むポリマーは、限定されるものではないが、以下の特徴を呈することができる。(i)ポリマーは、気管内チューブの外側表面に配置するために溶液に可溶性または分散性である;(ii)ポリマーは考えられる任意の抗生物質と化学的に反応しない;(iii)ポリマーは考えられる抗生物質の全てと適合し、均一な、固体の複合体を形成する;(iv)ポリマーは気管チューブの表面に均一なコーティングを形成することができる;(v)ポリマーは、抗生物質の有意な喪失なくして、貯蔵、使用およびその排気の間安定であるポリマー-抗生物質複合体を形成することができる。考えられるポリマーは共に生体適合性かつ非生侵食性であることが好ましい。これらの特徴の双方は、各々、ポリマーが身体の組織と反応せず、また患者の身体に不用意に放出されないことを保証する。本発明によって考えられるポリマーは、限定されるものではないが、ポリウレタン、ポリ尿素、エチレンビニルアセテート、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ナイロン、ポリカルボネート、ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチル、セルロースエステル(即ち、エチル、メチルおよびプロピル)、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリテレフルオロエチレン、ポリ(エチレンビニルアセテート)、エラストマー有機ケイ素ポリマー、ポリ(ヒドロキシアルキルエステル、コポリマー、およびその組み合わせ)を含む。好ましくは、コーティングは0.01〜1.0mmの厚みであり、最も好ましくは、0.1〜0.22mmの厚みである。ポリマーコーティングは、溶媒キャスティング、融解、ディッピング、スプレイング、ブラシコーティング、または任意の他の適当な方法によって形成することができる。
【0123】
グラム陰性およびグラム陽性抗生物質の混合物を含浸した気管内チューブは製造中に構築することができる。液化ポリマーにグラム陰性およびグラム陽性抗生物質の混合物を充填する。抗菌混合物をポリマーに分散させるには、米国特許第4,310,509号および第4,643,181号に開示されたもののような抗生物質を直接的にポリマーに混合するような技術、または溶媒蒸発技術を用い、共に、参照として本明細書に組み入れられる。溶媒蒸発技術は、典型的には、溶媒中の抗生物質のエマルジョンの形成、および抗生物質がポリマー混合物全体に別々の相として均一に分散するようなエマルジョンのポリマーへの混合を含む。エマルジョンを形成するのに用いられる溶媒は単一種類の溶媒、または水、またはメタノール、エタノール、酢酸エチル、テトラヒドロフラン等のような水溶性溶媒から選択される溶媒組合せであり得る。エマルジョンの混合は、典型的には、低混合速度(約300rpm)にて、かつ雰囲気温度にて起こる。抗微生物剤は、好ましくは、接着剤の約0.1%〜約25重量%、より好ましくは約1%〜約5重量%の量にて存在させる。親水性接着剤を用いる場合、1%未満の量を用いることができる。この混合物は、適当に混合され、カフおよび先端領域を含めた気管内チューブに成型されるまで押し出される。ポリマーを固化させ、次いで、金型から取り出す。次いで、カテーテルをイソプロピルアルコール(w/w30/40/30溶液)で拭う。または、抗生物質含有液化ポリマーは気管内チューブのカフおよび/または先端領域よりなる金型領域に限定され、一方、気管内チューブの残りは、液化ポリマー中の抗生物質混合物なくして成型される。
【0124】
重要なことには、患者における痰レベルの測定が、含浸チューブの態様の効率を測定するための好都合な方法として考えられる。例えば、含浸された抗微生物剤(例えば、全装置上のコーティング、装置の先端および/またはカフ領域のコーティング等)を含む新しい気管内チューブは、痰のレベル(または前記感染に関連する他の測定)に基づき、相互に、他のチューブ、または同一のチューブ(含浸薬物を含まないにもかかわらず)と比較することができると考えられる。痰のレベルは、それが挿管期間にわたって時間の関数として容易に測定できる点で便宜的な読出を提供する。ある含浸された態様は増加した分泌の開始、および結果として気管気管支炎およびVAPの開始を妨げるかまたは少なくとも遅らせると予測される。本発明では、(限定されるものではないが、臨床試験における試験を含めた)そのような装置の試験は、病気の他のインジケーターと共にまたはそれなくしに、(前記した)痰レベル試験を用いることによって増強することができると考えられる。
【0125】
以下の実施例は、ある態様を特に詳細に説明するために単に設けられ、いかなる方法によっても限定されることを意図しない。
【0126】
実施例1
本発明の局面は、挿管患者において痰の容量を定量する方法とみなすことができる。1つの態様において、挿管患者を、さらに分泌がなくなるまで吸引する。次いで、挿管患者を所定の期間吸引する。もし挿管患者が所定の期間まで吸引される間に所定量の痰があれば、痰を培養し分析する。療法の順序は分析された培養に基づいて記載する。
【0127】
本発明の他の局面によると、挿管患者は、さらに分泌がなくなるまで、早朝(例えば、午前6時)に吸引する。挿管患者は、もはや分泌がなくなるまで、朝第二の時刻に遅く(例えば、午前8時)吸引する。
【0128】
本発明のさらに他の局面によると、挿管患者は4時間の間1時間ごとに吸引する。本発明のさらに他の局面によると、痰の所定の量は約2ccである。
【0129】
本発明のさらなる局面によると、療法の順序は、直接肺に送達すべきエアロゾル化抗生物質についての順序である。
【0130】
本発明の関連局面によると、エアロゾル化抗生物質の送達は、吸入カテーテルを介して直接肺に導入されたエアロゾル化カテーテルを介して行われる。
【0131】
本発明のなおさらなる関連局面において、直接エアロゾル化カテーテルを介するエアロゾル送達は、送液するポンプおよび圧力によってなされ、圧力供給は、機械的人工呼吸器または、任意で、その独立体と一体化させることができる。
【0132】
本発明のなおさらなる局面によると、培養を分析するに先立って初期療法順序を記載し、初期療法順序は培養を分析した後に修飾する。
【0133】
本発明のなおさらなる局面によると、痰中の炎症メディエーターを分析する。炎症メディエーターはTNF-α、インターロイキン-1-β、および可溶性ICAMを含むことができる。これらのレベルは、市販のELISAキットを用いて痰のゾルレベルで測定される。これらのサイトカインのレベルの上昇は、炎症の悪化を意味する。
【0134】
本発明のさらに他の局面によると、吸入された呼吸凝縮物(EBC)のエアロゾル化成分が測定される。エアロゾル化成分はTNF-α、IL-1β、IL-8、H2O2,ニトレートおよびニトライトを含むことができる。
【0135】
実施例2
本発明の態様は、人工呼吸器関連肺炎の危険性を規定する、およびそれを防止するためのシステムおよび方法を提供する。本方法は、機械的に挿管された患者において痰の容量を定量し、次いで、肺炎危険性データおよび痰容量が相関する参照データベースを用いることによって得られた値を解釈するための手段を含む。または、あるいは痰容量測定と組み合わせて、本方法は、経時的に、痰中の炎症プロセスの炎症細胞またはメディエーターのフラックスを測定するための手段を含む。1つの態様におけるシステムは、本方法の実施、およびエアロゾル化カテーテルを介して本処置を投与するのに適合した吸入カテーテルを含む。例示的態様において、本システムは、細菌感染の発症を反映する吸入された呼吸凝縮物(EBC)の揮発性またはエアロゾル化成分の測定も可能とする。本発明の例示的態様は、気道の全炎症負荷を測定するための手段を提供する。
【0136】
ここで、本発明の好ましい態様を説明するのみの目的とし、本発明を制限する目的ではなく示される図面を参照すると、図2Aは、挿管患者20で用いられる本発明に従って形成される、一体化痰容量ゲージ12を備えた吸引カテーテル10、および閉鎖手段16を備えたエアロゾル化挿入ポート14を示す。周知のように、痰は、気管、気管支、および肺から咳により上昇する物質を含む。少量の透明な痰は毎日肺によって通常は生産される。透明な痰の量は任意の副次的な呼吸器感染で増加する。本発明の痰容量ゲージ12は、挿管患者20において分泌を測定し、分析して、もしあれば、任意の処置を挿管患者のために規定すべきであるかを決定することを可能とする。
【0137】
人工呼吸器患者における分泌の容量はパイロット実験で検討された。これらの実験は、本発明の装置の開発、および臨床的終点として評価される容量を用いる概念を導く基本的データを生じた。この初期のデータに続き、その呼吸器系不全にわたって、またはその最初の2週間にわたって、全ての新たに挿管された患者の分泌の量を決定する調査を行った。この調査は:
(1)分泌は2週間の挿管の第2週を増加させ;および
(2)肺炎を持つ患者は、肺炎を有しない患者と比較した分泌の測定可能な有意な増加を有した
を証明した。
【0138】
実施例3
実験は、肺炎を持たない患者と比較した肺炎を有した患者における分泌の顕著な増加を示した。分泌の量は、肺炎を持たない患者においては第2週の間に増加した。より具体的には、肺炎を持つ患者についての痰の容量は、人工呼吸器の第1週における約6ccから第2週に約8ccへ増加した。肺炎を有しない患者については、痰の容量は第1週における約1ccから第2週における約2ccに増加する。
【0139】
炎症のマーカーとしての痰の容量の有効性を支持するデータは、痰の容量および炎症細胞およびサイトカインの間の関係を調べる調査で証明されている。エアロゾル化抗生物質を、機械的人工呼吸器を必要とする慢性的に病気の安定な患者に投与した。処置は、分泌の容量の有意な低下を引き起こした(p=0.002)。加えて、これらの患者においては生物の顕著な低下があった。さらに、分泌の容量は好中球濃度に関連した、r=0.502、p=0.008。また、さらに、IL-1βもまた容量に関連した、r=0.589、p<0.006。
【0140】
好中球は、容量と共に有意に増加する。これらの細胞から放出される炎症メディエーターは粘液生産を増加させ得るので、これらの細胞は原因となり得る。
【0141】
実施例4
気道炎症に対する処置の効果をさらに評価するために、炎症細胞またはメディエーターのフラックスを経時的に計算することによって、気道に対する全「炎症負荷」を評価するための方法を工夫した。容量測定は特定の期間に行う。細胞の数および炎症細胞の複数の種類の異なる細胞数を気管吸出物に対して行う。炎症サイトカインを痰のゾル相から測定する。気道負荷は、以下の方程式を用いて各炎症パラメーターにつき定義する。
好中球気道負荷=(TCC)細胞/gm気管吸出物(好中球(%))(ml/6時間)
および
sICAM-1負荷=sICAM-1ng/ml(ml/6時間)
【0142】
経時的に気道中の炎症メディエーターの全量に対して2つの成分がある。1つはその濃度であり、2つ目は経時的な分泌の容量である。経時的なメディエーターの全量はこの測定で反映される。好中球細胞負荷は7倍だけ有意に減少し(p<0.014)、sICAM-1は2.5倍だけ増加した(p<0.034)。この方法は、患者が処置を行っていないか、または処置中であるかを問わず、任意の時点における全気道炎症の直接的な定量的測定を与え、従って、生存のようなより究極的かつ極端な結果を待つよりはむしろ処置に対する応答に必要なリアルタイム測定を可能とする。
【0143】
臨床的終点の確立は、人工呼吸器関連感染を予防または治療するために設計された実験における主な課題のままである。4時間収集は、気道病理生理学および薬物療法に対する応答を評価するための潜在的に重要な手段である。肉眼での視覚的評価により看護スタッフによって記録された痰容量の増加は、しばしば、集中治療室専門家による気管気管支炎についての仕事または処置を誘発する。頻度および吸引の方法に依存する痰容量の主観的印象の不正確さを排除するために、本発明者らは、4時間にわたる定量的容量評価を工夫した。本発明者らは、以前、エアロゾル化抗生物質療法後における患者での容量の減少を記録した。
【0144】
この研究において、呼吸器分泌の減少は、9つの試験のうち6つにおいて、全ての生物の根絶と共にグラム陰性単離体の顕著な低下と関連付けられた。さらに、9つの試験のうち7つにおいてグラム染色は、処置の間にグラム陰性菌を有さず、これは、細菌集団が培養試験においてのみ低下しないが、気道においては顕著に低下したことを示唆する。有意な副作用はなかった。非常に高い痰レベルにもかかわらず、腎臓疾患を持つ1人の患者を除いては、血清レベルは低いか、または検出できなかった。加えて、下部呼吸器管に対する局所療法に関する先のヒトおよび動物実験で観察された執拗に抵抗性の単離体の出現は観察されなかった。20の単離体のうち3つのみが抵抗性後処置であり、処置後2週間で何も検出されなかった。抵抗性の欠如に対する理由は未知である。患者は同時には全て処置せず、以前の実験におけるように長時間処置しなかった。さらに、身体に対する薬物の全用量は選択的脱汚染におけるよりも低く、全身体フローラに対する影響は恐らくは低下する。加えて、薬物は標的器管に「直接」送達され、口および腸に影響しない。
【0145】
インビトロ実験は、これらのプロ炎症サイトカイン、TNF-αおよびIL-1βの遺伝子発現はグラム陰性細菌からのリポ多糖によって増加し、それは、今度は、内皮接着分子および他の化学走性サイトカインの合成を誘導することを示している。これらの分子は炎症細胞の流入、その活性化、エラスターゼのような酵素放出を調節するように見える。インビボヒトデータは、一義的に、BALおよびTNF-αおよびIL-1βの痰レベルが上昇したと報告される場合、敗血症ショック、外傷ARDSを持つ患者からのサイトカインレベルに一義的に限定される。これらの不安定な症候群において、肺胞マクロファージおよび他の気道細胞に由来するサイトカインによって媒介される肺プロセスから全身炎症反応を区別するのは困難である。
【0146】
本研究は、気道炎症細胞および分泌の容量に対するこれらのサイトカインの関係についての具体的療法の効果を評価する最初の研究であった。本発明者らは、TNF-α、IL-1β、sICAM-1、および好中球エラスターゼを含めた気道炎症の指標に対する薬物送達の効果を測定した。本容量はエアロゾル化抗生物質と共に減少したのみならず、この減少はIL-1βおよび好中球濃度に相関した。IL-βの濃度はマクロファージ/gm(r=0.744、p<0.002)、好中球/gm(r=0.710、p<0.0004)、およびリンパ球/gm(r=0.597、p=0.005)の数とよく相関することが判明した。マクロファージは、Il1-βについての起源の初代細胞であって、このサイトカインは好中球の増大した動員を援助することができるのでこれは興味深い。
【0147】
処置はsICAM-1の増加に関連付けられた。グラム陰性単離体の低下は好中球フラックスの下方調節と関連付けることができる場合、これは、抗生物質療法の間における表面上皮からの膜結合ICAM-1の増大した放出を表わすことができる。逆に、sICAM-1のレベルはヒト白血球エステラーゼのレベルと逆相関し(r=0.606、p=0.008)、これは、気道炎症およびエラストリティック活性が最大である場合、好中球動員の間における膜結合sICAM-1の減少した放出を示唆する。
【0148】
まとめると、これらの研究は、噴霧化抗生物質は、機械的に人工呼吸器された患者に効果的に送達することができ、かつこの処置の結果、臨床的および気道炎症指標が測定可能に変化することを示す。炎症性分泌が増加している患者を特に標的とした、本発明で記載したエアロゾル化抗生物質での選択的療法は、限定された細菌抵抗性を持つ口腔および腸フローラを維持しつつ、院内肺炎の発生を減少させると考えられる。
【0149】
実施例5
本発明の装置の態様は痰の容量を評価し、これは、放射線により識別可能な肺炎の発生に先立って、呼吸器系感染に対する処置の引き金とするための終点として用いられる。本発明の装置10の1つの態様は、人工呼吸器被検体の肺管系に留置される吸入チューブ18における痰の容量を測定する。この装置10は、任意の機械的に人工呼吸器される患者20が、それが肺炎まで進行する前に気道感染の処置から恩典を受けるであろうことを判断する。吸入カテーテルに加えて、本発明は、最大2ccの痰を含む滅菌検体トラップ12を含む。
【0150】
例示的態様において、本発明は、図14に示された以下のプロトコルで用いられる。まず、午前6:00時に、さらに分泌物が得られなくなるまで患者を吸引する(ブロック100)。これは、一晩蓄積し得る分泌物が適時の定量機関に含まれないことを確実とする。この時点後には呼吸器系管では生理食塩水を用いない。生理食塩水の任意の添加も吸引物の容量を無効とする。というのは、これは、気道分泌物の容量をもはや表さないからである。次に、午前8:00時において、分泌物が無くなるまで患者を吸引する(ブロック102)。装置10は、吸引カテーテルと壁にある負圧真空との間の吸引回路に置かれる。装置10はプラスチックから作製され、使用のために滅菌されなければならない。装置10はキャリブレーションを必要としないが、それはそのデザインの一部として吸引用の非常に特異的なプロトコルを必要とする。
【0151】
患者は、4時間の間、あるいは痰タップ12が2ccの分泌物で満たされるまで毎時間吸引する(ブロック104)。もし4時間後に、2cc未満であれば(決定ブロック106において いいえ)、装置10を回路ラインから取り出し廃棄する(ブロック108)。しかしながら、少なくとも2ccあれば(決定ブロック106において はい)、装置を培養のための微生物学および感受性分析に送る(ブロック110)。順番を書くと、この時点で患者をエアロゾル化抗生物質で開始させる(ブロック112)。集中治療ユニットにおける以前の培養または支配的生物は選択される抗生物質の指針となる。培養の結果が戻されれば(ブロック114)、順番が修正される(ブロック116)。
【0152】
本発明の他の態様は、吸引された痰の容量、および限定されるものではないが、TNF-α、インターロイキン1-β、および可溶性ICAM-1を含めた痰中の炎症メディエーターの存在/レベルを同時に測定する工程を含む二重終点診断方法を含む。これらのメディエーターの量は、痰の容量に関連付けられる用量である。従って、痰の容量およびサンプリングされたメディエーター/分子の量は発症する感染を示す。
【0153】
本発明の他の態様は、発症する細菌感染を反映する吸入された呼吸凝縮物(EBC)の揮発性またはエアロゾル化成分を測定する工程を含む痰容量/炎症メディエーター方法を含む。EBCは炎症の程度を検出するたに用いられてきたものであるが、炎症を診断するのに用いられたことは無い。
【0154】
本発明の種々の態様は、三重終点測定を含み、ここで、痰の容量、痰のメディエーター/分子、および凝縮物メディエーター/分子を一緒に用いて、細菌感染の存在を規定することができる。吸引カテーテルはそのインライン機能の一体的部分としてEBCセンサーを含む。EBC/容量装置を機械的通気の初日に中に入れ、その後、この様式が必要とされる間毎日それを入れる。呼吸凝縮物中の特異的細菌代謝産物、例えば、H2O2、硝酸塩、亜硝酸塩、および他の非特異的産物に加えて、分泌物中のTNF-α、IL-1β、およびIL-8(プロ炎症サイトカイン)の測定をモニタリングする。積算された容量、分泌物、およびEBC炎症データは、毎日を基礎としたリアルタイム変化を定量し、これは治療的尺度についての情報を提供する。
【0155】
痰容量試験に従ってその重傷度を評価することによって肺炎を治療および/または予防して、適当な投与計画を工夫するための本発明の例示的態様は、増大した分泌物および炎症メディエーター/分子を持つ患者において標的化エアロゾル化抗生物質(TAA)の使用を具体化する。容量/分泌物/EBC装置によって測定して、細菌感染に関連する増大した容量および炎症を有する患者は、送達カテーテルを介してエアロゾル化抗生物質で開始する。これはTAAの概念を表わす。
【0156】
標的化群のみにおいて規定された期間の間療法を与える。これは、患者および集中治療ユニットの環境への抗生物質暴露を低下させる。これは、この処置の基本的な局面である。というのは、全ての人工呼吸器患者に対する連続的局所療法を用いる初期の研究は高度に抵抗性の生物を導いたためである。
【0157】
TAAは患者の結果において4倍の改良につながる:(1)人工呼吸器関連肺炎の発生の低下;(2)機械的人工呼吸器についての人工呼吸器の日数の減少;(3)全身抗生物質の使用の減少;および(4)抗生物質耐性の減少。
【0158】
肺炎の発生減少における減少を確認するには、肺炎を診断する正確かつ一定の手段が必要である。発熱、新しい浸潤物、白血球増加症もしくは白血球減少、化膿性分泌物、および10,000を超えるコロニー形成単位を示す定量的気管支肺胞洗浄の存在を用いることができる。この方法を用いて、終点を比較することができ、これは以下のものを含む:
(1)増大した容量および炎症を持つ患者における肺炎の発生;
(2)エアロゾル化抗生物質対プラゼボを受ける患者における肺炎の発生;
(3)処置された患者についての抵抗性パターン対集中治療ユニット環境におけるパターン;
(4)抗生物質使用:抗生物質日数/患者=各集中治療ユニットにおける日数の倍数当りの抗生物質の数(例えば、日数倍数7日当たり2抗生物質=14抗生物質日);および
(5)処置したおよび処置していない患者における機械的人工呼吸器の長さ。
【0159】
実施例6
図15Aは、(i)(ボックス表示の「人工呼吸器孔」として示される)人工呼吸器から来る、接合部(1003)(典型的には、「T」または「Y」接合部)において収束する吸息ライン(1001)および呼息ライン(1002)、(ii)(例えば、柄(1005)に取り付けられた、または柄に一体化された)前記接合部に近接し、かつ気管切開チューブ(1006)(または、気管内チューブ)と流体接続して位置するネブライザー(1004)を含む人工呼吸器回路(1000)を示し、ここで、前記ネブライザー(1004)は前記吸息ラインまたは前記呼息ラインには位置しない。本発明はどのようにしてネブライザーを取り付けるかには制限されないが、図15Aは、Y字部品接合部が市販されているT字部品(1007)に取り付けられ、Y字部品の柄(1005)がT字部品(1007)の1つのアームに連結され、かつT字部品の柄(1008)がネブライザー(1004)に連結された態様を示す。
【0160】
図15Bは、(i)接合部(典型的には、「T」または「Y」接合部)に収束する吸息ラインおよび呼息ライン、(ii)(例えば、柄に取り付けられたまたは柄と一体化された)前記接合部に近接して、かつ気管内チューブ、およびネブライザーと前記気管内チューブとの間に位置した取り外し可能な吸引マスフィルターと流体接続して位置する前記ネブライザーを含む人工呼吸器回路を示し、ここに、前記ネブライザーは前記吸息ラインまたは前記呼息ラインに配置しない。吸引マスフィルターは、任意の送達量が現実に患者に到達しつつあるか正確な測定を行うことを可能とする。
【0161】
最初の実験において、図15Aおよび15Bの配置を2つの異なる市販の人工呼吸器:T-Bird人工呼吸器、Drager人工呼吸器で用いた。ネブライザーの作動は「連続的」モードならびに「呼吸作動」モードで調べた。これらの人工呼吸器についての湿度の特徴は、前記特徴が活動している場合、およびそれがオフである場合の双方の場合に試験を行うことによって調べた。呼息ラインフィルターも用いた(図示せず)。表1は(ネブライザー充填の割合として)データをまとめる。明らかに、湿度特徴がオフであって、活動的でない場合、(アルブテロールの)エアロゾルを送達する場合に利点が存在する。投与を呼吸作動とする場合、呼息フィルター上の薬物の量は約50%だけ降下し、投与を呼吸作動とする場合、吸入量は幾分増加する。最も重要なことには、前記データは吸入量の狭い範囲(約3つのパーセンテージ点の範囲)を明らかにする(例えば、用量に対する良好な制御)。
【0162】
エアロゾル化のための従来的配置と比較すると、前記データは、それが吸息ラインにあるようなネブライザーの設置が、送達用量に対する制御を改良することを明らかにする。ネブライザーが(図15AおよびBに示されるもののような)吸息ラインにない配置を用い、より再現性のある用量が送達される。
【0163】
重要なことには、図15Aおよび15Bは特定の位置におけるネブライザーの設置を示すが、本発明では、ネブライザーがY字部品に直接取り付けられないが、患者の近くに設置される(事実、Y字部品および患者の間のどこかに設置される)態様が考えられる。そのような代替設置は、人工呼吸器回路の否定的効果を依然として回避する。
【0164】
第二の実験において、図15Aおよび15Bの配置を、3つの異なる市販のネブライザーと共に単一の市販されている人工呼吸器(T-Bird人工呼吸器)で用いた。ネブライザーの作動は「連続」モードで調べた。これらの人工呼吸器についての湿度特徴は、前記特徴が活動的である場合、およびそれがオフとされている双方の場合に試験を行うことによって調べた。呼息ラインフィルターも用いた(図示せず)。表2は(ネブライザー充填の割合として)のデータをまとめる。明らかに、Portexネブライザーはこれらの条件下では貧弱にしか実行されなかった。オフとされ活動的でない湿度特徴を有することに幾分利点があるが、AerotechおよびAerogenネブライザーは、エアロゾル(ゲンタマイシンまたはバンコマイシンいずれか)を送達する場合に比較的感受性がないようであった。興味深いことには、吸入されたマスは双方の抗生物質で同様である。
【0165】
実施例7
図16は(図16AのY字部品に取り付けられたボックスとして示された)ネブライザーまたはエアロゾルカテーテルいずれかで用いることができるベンチモデルの1つの態様を示す(図16B中の矢印は、カテーテルをETチューブに位置させることができることを示す)。図16は、(i)接合部(典型的には、「T」まはた「Y」接合部)に収束する人工呼吸器(図示せず)から来る吸息ラインおよび呼息ラインを含む人工呼吸器回路を示す。気管内チューブ(または気管切開チューブ)は、患者中にある代わりに、基部側気道(気管および主柄気管支)をモデル化する100mlチューブに取り付けられている;100mlチューブは吸入マスフィルターに取り付けられている。換言すれば(患者の方向に移動する配置を記載する)、Y字部品はETチューブに連結され、これは100mlチューブに連結され、これは吸入量フィルターに連結されている(前記フィルターは、基部側気道を出て通過し、末端側肺に入るエアロゾルを測定する)。
【0166】
第一の実験において、図16Bのベンチモデルをエアロゾルカテーテル(Trudellカテーテル、Trudell Medical International)で試験し;標準T字部品を(いかなるネブライザーも無くして)用いた。放射性標識アルブテロールエアロゾルを発生させ、カテーテルを介してETチューブに導入した。吸引されたマスは2つの部分:基部側気道(100mlチューブ)および末端側気道(100mlチューブに対して末端側のフィルター)で測定した。質量メジアン空気力学直径(MMAD)は、カスケードインパクターを用いて気道に対して末端側に送達されたエアロゾルで測定した。試験は、湿度特徴が活動的、およびオフとされた2つの異なる人工呼吸器で実行した。エアロゾルの投与は連続的であった(呼吸作動ではない)。結果を表3に示す。データは、このような様式のエアロゾルの投与は湿度に対して比較的感受性でないことを明らかにする。興味深いことには、薬物の大部分は(基部側気道をモデル化する)100mlチューブに沈積し、少量はフィルター(末端側肺)に沈積する。これらのデータは、カテーテルの送達端部がETチューブ内にある場合に、ETチューブおよび気管が沈積の主な部位であることを示唆する。前記結果は、末端側気道への送達がネブライザーで達成されるものに匹敵することを示唆する。
【0167】
第二の実験において、Trudellカテーテルを用いて、図16Bのベンチモデル(再度、ネブライザーを用いなかった)および単一の人工呼吸器を用い、ベンチ作動モードにてエアロゾルをETチューブに投与した。吸入されたマスは、フィルターのみを用いて測定した(呼息ライン中の第二のフィルターも用いた)。アルベテロールおよびゲンタマイシンの双方を試験した。結果を表4に示し、それは、Trudellカテーテルが、吸息器によって設定される(例えば湿度)から大いに独立して挙動することを明らかにする。呼吸作動は、吸入されたマスを明らかに増加させ、狭い範囲の沈積は、この様式の投与が用量に対して良好な制御を供することを示す。
【0168】
ゲンタマイシンと同様な様式でバンコマイシンを投与する試みは困難に遭遇した;バンコマイシンは、呼吸作動またはパルスモードで作動させると、カテーテルの閉塞を引き起こしかねない。一方、バンコマイシンエアロゾルは、現存の製剤を用いて連続モードの操作にて首尾よく作り出されている。
【0169】
実施例8
図17は、ネブライザーを人工呼吸器回路に取り付けるための装置の種々の態様を示す。前記装置は管または導管の単一の部品として一般的には特徴付けることができ、前記装置は2つまたは3つの開いた端部を含み(任意で、前記端部は異なる内径を有する)、前記端部に取り付けられたエレメントの間の流体接続を可能とする。図17Aは、Y字部品(1703)への取り付けのための第一の端部(1702)上に構成され、気管内チューブ(1705)(または気管切開チューブ)に取り付けるための第二の端部(1704)上に構成され、かつネブライザー(図示せず)に取り付けるための第三の端部(または「柄」)(1706)上に構成されたワンピースアダプター(1701)を示す。本発明は特定の取付手段に限定されることを意図しない。1つの態様において、取付は、異なる直径の管を用いて達成される。例えば、図17Aは、気管内チューブ(1705)の管が、それがアダプター(1701)中を摺動することができ、かつ前記アダプターに係合することができるように、アダプター(1701)の第二の端部(1704)よりも小さな直径を有することを示す。または、アダプターの端部はより小さな直径を有することができ、ETチューブの内側を摺動することができる。正確な寸法に限定されるものではないが、1つの態様において、気管内チューブ(1705)の外径は約15mmであり、アダプター(1701)の第二の端部(1704)の内方寸法は約15mmであって、しっかりとした雄/雌摩擦嵌合を作り出す。再度、正確な寸法に限定されるものではないが、1つの態様において、Y字部品の柄の外径は22mmであって、アダプター(1701)の第一の端部(1702)の内径は22mmである。または、アタッチメントはスナップフィットまたはネジフィットとすることができる(例えば、アダプターの一つまたは複数の端部はネジ止めされる)。
【0170】
図17Bは、Y字部品(1709)に取り付けるための第一の端部(1708)上に構成され、気管内チューブ(または気管切開チューブ)(1711)に取り付けるための第二の端部(1710)上に構成され、かつネブライザー(図示せず)に取り付けるための第三の端部(1712)(または「柄」)上に取り付けられたワンピースアダプター(1707)を示し、ここで、前記第二の端部(1710)はフレキシブルな断面(1713)を含む。本発明は特定の取付手段に限定されることを意図しない。1つの態様において、取付は、異なる直径の管を用いて達成される。例えば、図17Bは、それが雄/雌摩擦嵌合にて、アダプター(1707)中を摺動することができ、かつ前記アダプターに係合することができるように、気管内チューブ(1711)の管がアダプター(1707)の第二の端部(1710)よりも小さな直径を有することを示す。または、アダプター端部直径はより小さくし、ETチューブ内を摺動することができる。または、アタッチメントはスナップフィットまたはスクリューフィットとすることができる(例えば、アダプターの一つまたは複数の端部はネジ止めされる)。
【0171】
図17Cは一体化ネブライザー(1715)を備えたワンピースアダプター(1714)を示し、前記アダプター(1714)はY字部品(1717)に取り付けるための第一の端部(1716)上に構成され、かつ気管内チューブ(または気管切開チューブ)(1719)に取り付けるための第二の端部(1718)上に構成され、ここで、前記第二の端部(1718)はフレキシブルな断面(1720)を含む。本発明は特定の取付手段に限定されることを意図しない。1つの態様において、取付は、異なる直径の管を用いて達成される。例えば、図17Cは、それが雄/雌摩擦嵌合にて、アダプター(1707)中を摺動することができ、かつ前記アダプターに係合することができるように、気管内チューブ(1711)の管がアダプター(1707)の第二の端部(1710)よりも小さな直径を有することを示す。または、アダプター端部直径は、それがETチューブ内部を摺動することができるようにより小さくすることができる。または、アタッチメントはスナップフィットまたはスクリューフィットとすることができる(例えば、アダプターの一つまたは複数の端部はネジ止めされる)。
【0172】
図17Cに示されたアダプター(1714)は単一のユニット(一体化部分としてのネブライザー)として成型することができる。または、アダプター(1714)は2(またはそれ以上)の部分として成型することができる(例えば、ネブライザーは別々に成型し、その後取り付けられる)。ネブライザーには薬物を充填することができるか、または空とすることができる。ネブライザーはガスまたは液体の適用のための一つまたは複数のポート(1721)を有することができる。
【0173】
(表1)
エアロゾル送達の末端側「Y」配置のまとめ(アルブテロール)
【0174】
(表2)
抗生物質のまとめ(末端側「Y」位置におけるネブライザー)
【0175】
(表3)
【0176】
(表4)
気管内カテーテル噴霧化システム(ETCNS-呼吸作動)
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】図1Aは、従来的気管内挿管のダイヤグラムである。図1Bは、図1Aの丸印領域の拡大図である。
【図2A】気管切開チューブおよびインライン痰トラップ(すなわち、人工呼吸器システムの部分としての)を備えた患者の略図である。
【図2B】エアロゾルカテーテルと、人工呼吸器システム中のポートとの係合を示す。
【図2C】EBCシステムと、人工呼吸器システム中のポートとの係合を示す。
【図3】挿管の週の関数としての、図2の痰トラップで測定された痰の増加を示す棒グラフである。
【図4】肺炎に対する高い痰レベルの関係を示す棒グラフである(例えば、VAP)。
【図5】例示的エアロゾルカテーテルの写真である。
【図6】操作組合せにおけるエアロゾルカテーテルおよび吸入カテーテルの略図である。
【図7】病気の決定因子である痰容量の関数としての、本発明に従って送達されたエアロゾル構成物の効力を示すデータでの棒グラフである。
【図8】用量計量エレメント、流体駆動エレメント、およびエアロゾル化カテーテルを含む本発明の好ましい装置の略図で示された特別の態様は、モジュラーとしての装置の第一の部分であって、エアロゾル化カテーテル(前記カテーテルは外部バッフルを含む)を含む(例えば、スクリュー/ネジ係合した)装置の第二の部分に係合するように配置された、(用量計量エレメントおよび流体駆動エレメントを含む)の装置の第一の部分を示す。
【図9A】人工呼吸器条件(例えば、湿度、呼吸サイクル等)の関数としての、エアロゾル送達を試験するためのベンチモデル1つの態様である。
【図9B】エアロゾル送達を試験するためのベンチモデルのもう1つの態様であり、ここで、前記エアロゾル源は人工呼吸器孔の吸息ラインに連結していない。
【図10】4時間以内における2ccを超える痰レベルに関連させた死亡率データでの棒グラフである。
【図11】CPISスコアと、実験の最後(EOS)における痰レベルおよび後処置との関連を示す棒グラフである。
【図12】人工呼吸器で用いられるY字部品の1つの態様の模式図であり、Y字部品の下方部分(例えば、末端アーム)へのエアロゾル発生器の多数の代替設置を示す。
【図13】エアロゾル化抗生物質の投与に続いての白血球細胞数の低下を示す棒グラフである。
【図14】本発明の1つの態様による、人工呼吸器患者における痰容量を測定するための例示的ロジックを説明するフロー図である。
【図15A】(i)接合部(典型的には、「T」または「Y」接合部)において収束する吸息ラインおよび呼息ライン、(ii)前記吸息ラインまたは前記呼息ラインに位置しない、(例えば、柄に取り付けられた、または柄に一体化された)前記接合部に近接し、かつ気管内チューブと流体接続して位置決定されたネブライザーを含む人工呼吸器回路の1つの態様を示す。
【図15B】(i)接合部(典型的には、「T」または「Y」接合部)に収束する吸息ライン及び呼息ライン、(ii)(例えば、柄に取り付けられた、または柄と一体化した)前記接合部に近接するネブライザーであって、かつ気管内チューブ、およびネブライザーと気管内チューブとの間に取り外し可能に位置した吸入マスフィルター(それは、ラインに導入されて、任意の患者が任意のエアロゾルを接種しているかを見出すことができるが、患者が現実に任意のエアロゾルを接種する前に除去されなければならない)と流体接続して位置したネブライザーを含む人工呼吸器回路を示し、ここで、前記ネブライザーは前記吸息ラインまたは前記呼息ラインに位置しない。吸入マスフィルターが、任意の送達量が現実に患者に到達しているかの正確な測定をなすことを可能とする。
【図16】基部側気道(およびその中への沈積)をモデル化したベンチモデルを示す。図16Aにおいては、エアロゾル発生器はネブライザーである。図16Bにおいては、エアロゾル発生器はエアロゾルカテーテルである。
【図17】Y字部品に取り付けるための第一の端部上に構成され、ネブライザーを人工呼吸器回路に取り付けるための装置の種々の態様を示す。図17Aは、気管内チューブ(または気管切開チューブ)への取り付けのための第二の端部上に構成され、かつネブライザーへの取り付けのための第三の端部(または「柄」)上に構成されたワンピースアダプターを示す。図17Bは、Y字部品への取り付けのための第一の端部上に構成され、気管内チューブ(または気管切開チューブ)への取り付けのための第二の端部上に構成され、かつネブライザーへの取り付けのための第三の端部(または「柄」)上に構成されたワンピースアダプターを示し、ここで、第二の端部はフレキシブルな断面を含む。図17Cは一体化ネブライザーを備えたワンピースアダプターを示し、このアダプターは、Y字部品への取り付けのための第一の端部上に構成され、かつ気管内チューブ(または気管切開チューブ)への取り付けのための第二の端部上に構成され、ここで、前記第二の端部はフレキシブルな断面を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(i)下方端部および上方端部を有する気管内チューブおよび気管切開チューブからなる群より選択されるチューブが挿管されいる患者;
(ii)第一の抗生物質を含む製剤;
(iii)下方端部が該患者の気管内に嵌合する様構成されたエアロゾル送達端部を含む、上方端部および下方端部を含むエアロゾル送達装置;
を提供する工程;
(b)該患者の気管内に該装置の該エアロゾル送達端部を挿入して、位置決定された装置を作る工程;ならびに
(c)該製剤が該位置決定された装置の該エアロゾル送達端部を通じて該患者に送達されるような条件下で該製剤をエアロゾル化し、ここで該エアロゾルは最初に該気管と接触する工程
を含む方法。
【請求項2】
エアロゾル送達装置がエアロゾル送達カテーテルを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
エアロゾル送達装置がエアロゾル化ノズルに嵌合した気管支鏡を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
エアロゾル送達装置がノズル延長部分に嵌合した計量用量吸入器を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
製剤が第二の抗生物質をさらに含み、ここで第一の抗生物質がグラム陽性菌に対して活性を有し、第二の抗生物質がグラム陰性菌に対して活性を有する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
(a)(i)微生物感染の一つまたは複数の症状を呈する挿管された患者;
(ii)グラム陽性菌に対して活性を有する第一の抗生物質、およびグラム陰性菌に対して活性を有する第二の抗生物質を含む製剤;
(iii)下方端部がチューブ内に嵌合する様構成されたエアロゾル送達端部を含む、上方端部および下方端部を含むエアロゾル送達カテーテル;
を提供する工程;
(b)該カテーテルの該エアロゾル送達端部を該チューブ内に挿入して、位置決定されたカテーテルを作る工程;ならびに
(c)該製剤が該位置決定されたカテーテルを通じて該患者に送達されるような条件下で該製剤をエアロゾル化する工程
を含む方法。
【請求項7】
チューブが機械的人工呼吸器に連結された、請求項6記載の方法。
【請求項8】
機械的人工呼吸器が呼吸サイクルを制御し、ここで該サイクルが呼吸サイクルの吸息期を含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
工程(c)のエアロゾル化が呼吸サイクルの吸息期に行われる、請求項7記載の方法。
【請求項10】
位置決定されたカテーテルのエアロゾル送達端部がチューブ下方端部の下方に延びる、請求項6記載の方法。
【請求項11】
(a)(i)上昇した白血球細胞数を呈する患者;
(ii)グラム陽性菌に対して活性を有する第一の抗生物質、およびグラム陰性菌に対して活性を有する第二の抗生物質を含む製剤;
(iii)下方端部が患者の気管内に嵌合する様構成されたエアロゾル送達端部を含む、上方端部および下方端部を含むエアロゾル送達装置;
を提供する工程;
(b)該装置の該エアロゾル送達端部を該患者の気管内に挿入して、位置決定された装置を作る工程;ならびに
(c)該製剤が該位置決定された装置の該エアロゾル送達端部を通じて該患者に送達されて、処置された患者を作るような条件下で該製剤をエアロゾル化し、ここで該エアロゾルは最初に該気管と接触する工程
を含む方法。
【請求項12】
エアロゾル送達装置がエアロゾル送達カテーテルを含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
(d)工程(c)の後に、処置された患者の白血球細胞数を測定する工程をさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項14】
用量計量エレメントに取り付けられた流体駆動エレメントを含む装置であって、用量計量エレメントがエアロゾル化カテーテルに係合し、該カテーテルがエアロゾル送達端部を含む、装置。
【請求項15】
用量計量エレメントがエアロゾル化カテーテルに脱着可能に係合する、請求項14記載の装置。
【請求項16】
用量計量エレメントが規定された容量の貯蔵器を含む、請求項15記載の装置。
【請求項17】
貯蔵器が透明または半透明シリンダーとして構成される、請求項16記載の装置。
【請求項18】
シリンダーが可視測定表示を含む、請求項17記載の装置。
【請求項19】
流体駆動エレメントが圧縮ガスによって駆動されるプランジャーを含み、ここで圧縮ガスはキャニスター中に貯蔵される、請求項14記載の装置。
【請求項20】
エアロゾル化カテーテルが、それが気管内チューブ内部に嵌合できるような寸法である、請求項14記載の装置。
【請求項21】
エアロゾル化カテーテルの送達端部がバッフルを含む、請求項14記載の装置。
【請求項22】
ほぼY字の部品として構成された管を含む装置であって、人工呼吸器に取り付け可能な第1の端部および気管内チューブに取り付け可能な第二の端部を有する装置であり、ここで第二の端部はエアロゾル発生器を含む、装置。
【請求項23】
エアロゾル発生器が第二の端部と一体化された、請求項22記載の装置。
【請求項24】
エアロゾル発生器に薬物が充填された、請求項23記載の装置。
【請求項25】
(i)接合部に収束する吸息ラインおよび呼息ライン、(ii)接合部に近接して位置し、かつ気管内チューブと流体接続したネブライザーであって、吸息ラインまたは呼息ラインに位置しないネブライザーを含む、人工呼吸器回路。
【請求項26】
接合部が第一の端部、第二の端部、および柄を有するY字部品を含む、請求項25記載の人工呼吸器回路。
【請求項27】
吸息ラインがY部品の第一の端部に取り付けられ、呼息ラインがY字部品の第二の端部に取り付けられる、請求項26記載の人工呼吸器回路。
【請求項28】
ネブライザーがY字部品の柄に位置する、請求項27記載の人工呼吸器回路。
【請求項29】
ネブライザーがY字部品の柄と一体化された、請求項28記載の人工呼吸器回路。
【請求項30】
ネブライザーがY字部品の柄に取り付けられた、請求項27記載の人工呼吸器回路。
【請求項31】
Y字部品の柄がT字部品の第一のアームに取り付けられ、T字部品が気管内チューブに連結された第二のアーム、およびネブライザーに連結された柄を含む、請求項27記載の人工呼吸器回路。
【請求項32】
閉じた回路である、請求項25記載の人工呼吸器回路。
【請求項33】
開いた回路である、請求項25記載の人工呼吸器回路。
【請求項34】
ほぼY字部品として構成された管を含む装置であって、(i)人工呼吸器回路の吸息ラインに取り付け可能な第一の端部、(ii)人工呼吸器回路の呼息ラインに取り付け可能な第二の端部、および(iii)ネブライザーを含む柄を含む、装置。
【請求項35】
ネブライザーがY字部品の柄に一体化された、請求項34記載の装置。
【請求項36】
ネブライザーに薬物が充填された、請求項34記載の装置。
【請求項37】
(i)ほぼY字部品として構成された管、該Y字部品が取り付けられた(ii)ほぼT字部品として構成された管であって、該T字部品が柄を含み、柄がネブライザーに取り付けられている管を含むシステム。
【請求項38】
ネブライザーがT字部品の柄に一体化された、請求項37記載のシステム。
【請求項39】
ネブライザーに薬物が充填された、請求項38記載のシステム。
【請求項40】
(a)気管内チューブおよび気管切開チューブから選択されるチューブを介して人工呼吸器回路が取り付けられた被検体を提供する工程であって、人工呼吸器回路が(i)接合部に収束する吸息ラインおよび呼息ライン(ii)接合部に近接して位置し、かつ該チューブに流体接続したネブライザーであって、該吸息ラインまたは該呼息ラインには位置しないネブライザーを含む工程;
(b)該ネブライザーを介してエアロゾル化された抗生物質を被検体に投与する工程
を含む方法。
【請求項41】
被検体が感染の一つまたは複数の症状を呈する患者である、請求項40記載の方法。
【請求項42】
工程(b)に先立って、ネブライザーが抗生物質製剤を含有する、請求項40記載の方法。
【請求項43】
抗生物質製剤がグラム陽性菌に対して活性を有する第一の抗生物質、およびグラム陰性菌に対して活性を有する第二の抗生物質を含む、請求項42記載の方法。
【請求項44】
(a)気管内チューブおよび気管切開チューブから選択されるチューブが挿管された、微生物感染の一つまたは複数の症状を呈する患者を提供する工程であって、該チューブが(i)接合部に収束する吸息ラインおよび呼息ライン、(ii)接合部に近接して位置し、かつ該チューブと流体接続するネブライザーであって、吸息ラインまたは呼息ラインには位置せず、かつ複数の抗生物質を含む製剤を含むネブライザーを含む人工呼吸器回路に連結される工程;
(b)該製剤をエアロゾルとして該ネブライザーを介して該患者に投与する工程
を含む方法。
【請求項45】
製剤がグラム陽性菌に対して活性を有する第一の抗生物質、およびグラム陰性菌に対して活性を有する第二の抗生物質を含む、請求項44記載の方法。
【請求項46】
吸息ラインおよび呼息ラインが機械的人工呼吸器に連結された、請求項44記載の方法。
【請求項47】
機械的人工呼吸器が呼吸サイクルを制御し、該サイクルが吸息期を含む、請求項46記載の方法。
【請求項48】
工程(b)のエアロゾルの投与が呼吸サイクルの吸息期に行われる、請求項47記載の方法。
【請求項49】
機械的人工呼吸器が給湿エレメントを含む、請求項46記載の方法。
【請求項50】
工程(b)のエアロゾルの投与が、給湿エレメントが作動していない時に行われる、請求項49記載の方法。
【請求項1】
(a)(i)下方端部および上方端部を有する気管内チューブおよび気管切開チューブからなる群より選択されるチューブが挿管されいる患者;
(ii)第一の抗生物質を含む製剤;
(iii)下方端部が該患者の気管内に嵌合する様構成されたエアロゾル送達端部を含む、上方端部および下方端部を含むエアロゾル送達装置;
を提供する工程;
(b)該患者の気管内に該装置の該エアロゾル送達端部を挿入して、位置決定された装置を作る工程;ならびに
(c)該製剤が該位置決定された装置の該エアロゾル送達端部を通じて該患者に送達されるような条件下で該製剤をエアロゾル化し、ここで該エアロゾルは最初に該気管と接触する工程
を含む方法。
【請求項2】
エアロゾル送達装置がエアロゾル送達カテーテルを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
エアロゾル送達装置がエアロゾル化ノズルに嵌合した気管支鏡を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
エアロゾル送達装置がノズル延長部分に嵌合した計量用量吸入器を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
製剤が第二の抗生物質をさらに含み、ここで第一の抗生物質がグラム陽性菌に対して活性を有し、第二の抗生物質がグラム陰性菌に対して活性を有する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
(a)(i)微生物感染の一つまたは複数の症状を呈する挿管された患者;
(ii)グラム陽性菌に対して活性を有する第一の抗生物質、およびグラム陰性菌に対して活性を有する第二の抗生物質を含む製剤;
(iii)下方端部がチューブ内に嵌合する様構成されたエアロゾル送達端部を含む、上方端部および下方端部を含むエアロゾル送達カテーテル;
を提供する工程;
(b)該カテーテルの該エアロゾル送達端部を該チューブ内に挿入して、位置決定されたカテーテルを作る工程;ならびに
(c)該製剤が該位置決定されたカテーテルを通じて該患者に送達されるような条件下で該製剤をエアロゾル化する工程
を含む方法。
【請求項7】
チューブが機械的人工呼吸器に連結された、請求項6記載の方法。
【請求項8】
機械的人工呼吸器が呼吸サイクルを制御し、ここで該サイクルが呼吸サイクルの吸息期を含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
工程(c)のエアロゾル化が呼吸サイクルの吸息期に行われる、請求項7記載の方法。
【請求項10】
位置決定されたカテーテルのエアロゾル送達端部がチューブ下方端部の下方に延びる、請求項6記載の方法。
【請求項11】
(a)(i)上昇した白血球細胞数を呈する患者;
(ii)グラム陽性菌に対して活性を有する第一の抗生物質、およびグラム陰性菌に対して活性を有する第二の抗生物質を含む製剤;
(iii)下方端部が患者の気管内に嵌合する様構成されたエアロゾル送達端部を含む、上方端部および下方端部を含むエアロゾル送達装置;
を提供する工程;
(b)該装置の該エアロゾル送達端部を該患者の気管内に挿入して、位置決定された装置を作る工程;ならびに
(c)該製剤が該位置決定された装置の該エアロゾル送達端部を通じて該患者に送達されて、処置された患者を作るような条件下で該製剤をエアロゾル化し、ここで該エアロゾルは最初に該気管と接触する工程
を含む方法。
【請求項12】
エアロゾル送達装置がエアロゾル送達カテーテルを含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
(d)工程(c)の後に、処置された患者の白血球細胞数を測定する工程をさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項14】
用量計量エレメントに取り付けられた流体駆動エレメントを含む装置であって、用量計量エレメントがエアロゾル化カテーテルに係合し、該カテーテルがエアロゾル送達端部を含む、装置。
【請求項15】
用量計量エレメントがエアロゾル化カテーテルに脱着可能に係合する、請求項14記載の装置。
【請求項16】
用量計量エレメントが規定された容量の貯蔵器を含む、請求項15記載の装置。
【請求項17】
貯蔵器が透明または半透明シリンダーとして構成される、請求項16記載の装置。
【請求項18】
シリンダーが可視測定表示を含む、請求項17記載の装置。
【請求項19】
流体駆動エレメントが圧縮ガスによって駆動されるプランジャーを含み、ここで圧縮ガスはキャニスター中に貯蔵される、請求項14記載の装置。
【請求項20】
エアロゾル化カテーテルが、それが気管内チューブ内部に嵌合できるような寸法である、請求項14記載の装置。
【請求項21】
エアロゾル化カテーテルの送達端部がバッフルを含む、請求項14記載の装置。
【請求項22】
ほぼY字の部品として構成された管を含む装置であって、人工呼吸器に取り付け可能な第1の端部および気管内チューブに取り付け可能な第二の端部を有する装置であり、ここで第二の端部はエアロゾル発生器を含む、装置。
【請求項23】
エアロゾル発生器が第二の端部と一体化された、請求項22記載の装置。
【請求項24】
エアロゾル発生器に薬物が充填された、請求項23記載の装置。
【請求項25】
(i)接合部に収束する吸息ラインおよび呼息ライン、(ii)接合部に近接して位置し、かつ気管内チューブと流体接続したネブライザーであって、吸息ラインまたは呼息ラインに位置しないネブライザーを含む、人工呼吸器回路。
【請求項26】
接合部が第一の端部、第二の端部、および柄を有するY字部品を含む、請求項25記載の人工呼吸器回路。
【請求項27】
吸息ラインがY部品の第一の端部に取り付けられ、呼息ラインがY字部品の第二の端部に取り付けられる、請求項26記載の人工呼吸器回路。
【請求項28】
ネブライザーがY字部品の柄に位置する、請求項27記載の人工呼吸器回路。
【請求項29】
ネブライザーがY字部品の柄と一体化された、請求項28記載の人工呼吸器回路。
【請求項30】
ネブライザーがY字部品の柄に取り付けられた、請求項27記載の人工呼吸器回路。
【請求項31】
Y字部品の柄がT字部品の第一のアームに取り付けられ、T字部品が気管内チューブに連結された第二のアーム、およびネブライザーに連結された柄を含む、請求項27記載の人工呼吸器回路。
【請求項32】
閉じた回路である、請求項25記載の人工呼吸器回路。
【請求項33】
開いた回路である、請求項25記載の人工呼吸器回路。
【請求項34】
ほぼY字部品として構成された管を含む装置であって、(i)人工呼吸器回路の吸息ラインに取り付け可能な第一の端部、(ii)人工呼吸器回路の呼息ラインに取り付け可能な第二の端部、および(iii)ネブライザーを含む柄を含む、装置。
【請求項35】
ネブライザーがY字部品の柄に一体化された、請求項34記載の装置。
【請求項36】
ネブライザーに薬物が充填された、請求項34記載の装置。
【請求項37】
(i)ほぼY字部品として構成された管、該Y字部品が取り付けられた(ii)ほぼT字部品として構成された管であって、該T字部品が柄を含み、柄がネブライザーに取り付けられている管を含むシステム。
【請求項38】
ネブライザーがT字部品の柄に一体化された、請求項37記載のシステム。
【請求項39】
ネブライザーに薬物が充填された、請求項38記載のシステム。
【請求項40】
(a)気管内チューブおよび気管切開チューブから選択されるチューブを介して人工呼吸器回路が取り付けられた被検体を提供する工程であって、人工呼吸器回路が(i)接合部に収束する吸息ラインおよび呼息ライン(ii)接合部に近接して位置し、かつ該チューブに流体接続したネブライザーであって、該吸息ラインまたは該呼息ラインには位置しないネブライザーを含む工程;
(b)該ネブライザーを介してエアロゾル化された抗生物質を被検体に投与する工程
を含む方法。
【請求項41】
被検体が感染の一つまたは複数の症状を呈する患者である、請求項40記載の方法。
【請求項42】
工程(b)に先立って、ネブライザーが抗生物質製剤を含有する、請求項40記載の方法。
【請求項43】
抗生物質製剤がグラム陽性菌に対して活性を有する第一の抗生物質、およびグラム陰性菌に対して活性を有する第二の抗生物質を含む、請求項42記載の方法。
【請求項44】
(a)気管内チューブおよび気管切開チューブから選択されるチューブが挿管された、微生物感染の一つまたは複数の症状を呈する患者を提供する工程であって、該チューブが(i)接合部に収束する吸息ラインおよび呼息ライン、(ii)接合部に近接して位置し、かつ該チューブと流体接続するネブライザーであって、吸息ラインまたは呼息ラインには位置せず、かつ複数の抗生物質を含む製剤を含むネブライザーを含む人工呼吸器回路に連結される工程;
(b)該製剤をエアロゾルとして該ネブライザーを介して該患者に投与する工程
を含む方法。
【請求項45】
製剤がグラム陽性菌に対して活性を有する第一の抗生物質、およびグラム陰性菌に対して活性を有する第二の抗生物質を含む、請求項44記載の方法。
【請求項46】
吸息ラインおよび呼息ラインが機械的人工呼吸器に連結された、請求項44記載の方法。
【請求項47】
機械的人工呼吸器が呼吸サイクルを制御し、該サイクルが吸息期を含む、請求項46記載の方法。
【請求項48】
工程(b)のエアロゾルの投与が呼吸サイクルの吸息期に行われる、請求項47記載の方法。
【請求項49】
機械的人工呼吸器が給湿エレメントを含む、請求項46記載の方法。
【請求項50】
工程(b)のエアロゾルの投与が、給湿エレメントが作動していない時に行われる、請求項49記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【公表番号】特表2006−512184(P2006−512184A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515723(P2005−515723)
【出願日】平成15年5月7日(2003.5.7)
【国際出願番号】PCT/US2003/014708
【国際公開番号】WO2004/071368
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(504412015)ザ リサーチ ファウンデーション オブ ステイト ユニバーシティ オブ ニューヨーク (3)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年5月7日(2003.5.7)
【国際出願番号】PCT/US2003/014708
【国際公開番号】WO2004/071368
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(504412015)ザ リサーチ ファウンデーション オブ ステイト ユニバーシティ オブ ニューヨーク (3)
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