説明

標識化合物供給システム

【課題】O-15標識ガス-PET迅速検査法に適した標識化合物供給システムを提供する。
【解決手段】標識化合物供給システムにおいて、合成装置は、ターゲット箱で生成されたO-15を用いて少なくとも標識ガス15O2およびC15O2を順次合成する。標識ガスを配送するためのガス配送ラインは、ターゲット箱から合成装置を経て、配送された標識ガスを回収するための吸引ポンプまで配置される。真空ポンプは、ガス配送ラインにターゲット箱の近傍で接続される。ガス配送ライン内に窒素ガスを導入するための窒素ガス導入装置はガス配送ラインに接続される。品質確認装置は、ガス配送ラインに濃度安定化装置の下流側で接続される。シーケンサーは、標識化合物供給システムを制御して、先に投与した標識化合物による体内の放射能が減衰により消失する前に、次の標識化合物の合成と供給開始を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポジトロン放出断層撮影法(PET:Positron Emission Tomography)を用いたO-15ガス-PET検査に用いられるO-15標識ガスの製造(合成)と供給に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポジトロン放出断層撮影法を用いたPET検査によりO-15標識化合物(薬剤)を用いて脳血流、脳酸素代謝および脳酸素摂取率の定量画像評価が可能であり、脳梗塞に代表される脳虚血性疾患の診断に利用されている。脳卒中の医療において、発症後3時間以内の的確な治療がその後の病状を大きく左右することが明らかとなり、脳組織の虚血状態を知る上で最も重要な情報である発症後の脳酸素代謝を迅速かつ正確に把握することが重要となっている。PET検査は、O-15標識化合物(C15O、15O2およびH215O(またはC15O2))を被検者に供与して脳酸素代謝を正確に把握できる唯一の検査である。しかし、検査の所要時間が約1.5時間と長いため、急性期のみならず慢性期の被検者にとっても長時間の拘束による肉体的精神的ストレスが大きく、その普及が妨げられてきた。高齢化社会になり、脳卒中急性期医療の充実が叫ばれる今日、PET検査の時間短縮が求められている。
【0003】
定常法によるO-15標識ガス-PET検査では、3種類の放射性標識ガスC15O、15O2およびC15O2それぞれについて、持続的に被検者に投与し、脳内の放射能が平衡になった状態でPET撮像データを収集する。この方法では、1つの標識化合物を合成し被検者に吸入させて体内放射能濃度分布が平衡状態になった状態でPET撮像をし、次に、体内に残存する放射能の減衰を待って次の標識化合物の合成と吸入を開始する。ここで、直前に使用したガスが残存した場合、被検者が吸入するガスは直前に供給されたガスが混入したものとなり、検査結果に影響を与える。また合成装置の性能が劣化することにより不純物が混入する場合もある。これを防ぐために吸入前の検定(事前検定)が必要であり、これはPET薬剤のガイドラインにも規定されている。標識化合物を供給するための従来型の薬剤供給システムでは、O-15標識化合物は、サイクロトロンのターゲット箱で生成されたO-15を用いて合成され、品質確認装置をとおってその品質が確認された後に、被検者に供与されていた。定常法では3種類の標識化合物についての3回のPET撮像が行われるが、PET撮像の間に放射能濃度減衰待ちの時間があるので、薬剤供給システムにおいて、合成した標識化合物の品質を事前に確認した後に吸入を開始できる時間的な余裕があった。
【0004】
O-15標識ガス-PET検査の時間短縮のため、全体で20分以内で検査が完了できるO-15標識ガス-PET迅速検査法(dual autoradiography法)が開発されている(国際公開公報2006−043674)。迅速検査法は、撮像の時間解像度が従来考えられていたよりかなり短いという発見に基づいており、このため、完全に放射能が減衰消失するのをまたずに、2つの標識化合物を繰り返し投与すると、一回の撮像であっても複数の機能が画像として得られる。迅速検査法では、2つの標識化合物15O2およびC15O2を投与する場合のデータ収集手順は定常法とは著しく異なる。標識化合物は、いずれも脳内放射能が平衡になる前に短時間に投与が止められ、非平衡状態での放射能濃度の体内変化(動態)がPET撮影により測定される。放射性15Oの半減期は約2分であるが、先に投与した15O2の減衰による消失を待たずに、次の標識化合物C15O2が短い時間差で連続的に短時間投与される。その後は、2つの標識化合物の放射能濃度が同時に減衰していく。これにより、2つの薬剤についてのPET撮像は連続的に1回で行え、検査時間が短縮される。ただしこの方法では、短い制限時間内に品質検定を行い検査に要求される放射能を供給しなければならない。しかし、従来型の薬剤供給システムを用いていたため、薬剤の品質は制限時間内に検定できず、薬剤の品質検定が事後的に行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開公報2006−043674
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Chmielowska他、J Cereb Blood Flow Metab 19: 570-582 (1999)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、O-15標識ガス-PET迅速検査法に適した標識化合物供給システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る標識化合物供給システムは、サイクロトロンの加速粒子のターゲットを含むターゲット箱と、ターゲット箱で生成されたO-15を用いて少なくとも標識ガス15O2およびC15O2を順次合成するための合成装置と、標識ガスを配送するためのガス配送ラインと、ガス配送ラインにターゲット箱の近傍で接続される真空ポンプと、ガス配送ライン内に窒素ガスを導入するための、ガス配送ラインに接続される窒素ガス導入装置と、シーケンサーとを備える。ガス配送ラインは、ターゲット箱から、合成装置を経て、ガス配送ライン内を配送された標識ガスを回収するための吸引ポンプまで配置され、合成装置と吸引ポンプの間に被検体の方への流路との分岐部を設けられる。シーケンサーは、ターゲット箱、合成装置、ガス配送ライン、真空ポンプおよび窒素ガス導入装置に電気的に結合され、ターゲット箱の中のターゲットの交換およびガス配送ラインの洗浄と新規ガスの充てんおよび合成装置による標識ガスの合成を自動的に行う。好ましくは、さらに、ガス配送ラインの分岐部の下流側に、合成装置により合成された標識ガスの品質を確認する品質確認装置を備え、品質確認後に標識ガスを投与できるようにする。
【0009】
好ましくは、真空ポンプおよび窒素ガス導入装置は、ターゲット箱の中のターゲットの交換とガス配送ラインの洗浄を2分以内に完了可能な性能を備える。また、好ましくは、合成装置、品質確認装置およびガス配送ラインは、合成された標識化合物の供給および品質確認が3分以内に完了可能な性能を備える。また、シーケンサーは、真空ポンプ、窒素ガス導入装置およびガス配送ラインによる、ターゲット箱の中のターゲットの交換と、ガス配送ラインの洗浄および新規ガスの充てんと、合成装置により合成される標識化合物の供給準備とを10分以内に完了可能である。
【0010】
上述の標識化合物供給システムでは、(1)ガス配送ラインにターゲット箱の近傍で真空ポンプを接続し、(2)ガス配送ライン内に窒素ガスを導入するため、ガス配送ラインに窒素ガス導入装置を接続し、さらに、(3)品質確認装置をガス配送ラインに濃度安定化装置の下流側に、その直後に配置する。これらの構成は、上述したようにすべて組みわせてもよいが、単独または2つの構成を組み合わせて、シーケンサーにより標識化合物の供給準備を体内の放射能が消失する前に(たとえば10分以内に)完了可能とする。
【発明の効果】
【0011】
O-15標識ガス-PET迅速検査法に適応して、標識ガスの連続的投与における投与間隔を短くでき、また、被検者への供与の前に標識ガスの品質検定が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】迅速検査対応型標識化合物供給システムの概略図
【図2】O-15標識化合物-PET迅速検査法による検査手順を示す図
【図3】シーケンス制御のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照して発明の実施の形態を説明する。
【0014】
2つの標識化合物15O2およびC15O2を連続的に投与するO-15標識ガス-PET迅速検査法では、各標識化合物は、それぞれ短時間供与された後、放射濃度の減衰がPET装置で測定される。ここで、第1の標識化合物が十分に減衰する前に、第2の標識化合物が投与され、その後は、2つの標識化合物の同時の減衰が測定される。国際公開公報2006−043674では、2つの薬物(15O2およびH215O、ここでH215Oは液体である)の連続的投与において、第1の薬物の投与から3分経過したときに、第2の薬物を投与している。これはChmielowska他(J Cereb Blood Flow Metab 19:570-582, 1999)の提案する、O-15標識水を6分間の間隔で連続投与した際に単純減算処理をする方法を普遍化したもので、より短時間化かつ異なる放射性薬剤の投与を可能にするものである。迅速検査法において2つの標識ガス15O2およびC15O2を独立に投与する場合、計算によって得られる酸素消費量や脳血流量画像の画質が最善になるような15O2およびC15O2投与時の最適な測定時間は、それぞれ3分と1.5分の程度であるが、本発明者らは、第1の薬物の投与終了から第2の薬物の投与までの時間(第1の薬物についての測定時間)について、減衰による放射能の消失を待たずともPET検査が実施できることに着目し、第1の薬物の投与終了から最適な撮像収集時間である3分を経過した後に第2の薬物の供給を行い、さらにそれに先立ち品質の事前検定を可能にするような標識化合物供給システムを開発した。現時点では第1の薬物の投与終了から第2の薬物の投与までの時間は5分程度であるが、いうまでもなく、この投与間隔は、標識化合物供給システムに組み込まれる機器などの性能を向上することで、さらに短くできる。また、一般的には、O-15標識ガス-PET迅速検査法は、投与された標識ガスによる体内の放射能の減衰による消失の前に次の標識ガスを投与することにより実施できる。また、上述のChmielowskaらの報告にあるように、15O標識ガスの体内からの放射能の減衰による消失に必要な時間は典型的には10分間とされる。連続投与を行わない従来の検査では、投与終了から10分を経過してから薬物が投与されていた。
【0015】
図1は、薬物の事前の品質検定が可能な迅速検査対応型15O標識化合物供給システムの1実施形態の概略構成を示す。この15O標識化合物供給システムでは標識化合物C15O15O2およびC15O2を順次投与できる。PET検査を行う施設は、通常、サイクロトロンを収めたサイクロトロン室10、ホットラボ室40およびPET装置(ポジトロン放出断層撮像装置)を収めたPET室50からなる。なお、本発明の15O標識化合物供給システムはホットラボ室を設けていない施設でも採用できる。
【0016】
サイクロトロン室10では、サイクロトロン(図示しない)で生成された加速粒子をターゲット箱12内のターゲットに照射して放射性O−15(15O)を生成し、ターゲット箱12から15Oガスを持続的に一定流量で合成装置14に供給する。合成装置14では、3種類のO-15標識ガス(O-15標識一酸化炭素(C15O)、O-15標識酸素(15O2)およびO-15標識二酸化炭素(C15O2))をそれぞれ別々の合成系14a、14b、14cにおいて合成できる。3種類の標識化合物の合成方法とそのためのシステムは公知であるので、標識化合物の合成についての詳細な説明は省略する。ガス配送ライン18は、ターゲット箱12から、合成装置14とPET室内の濃度安定化装置52を経て、吸引ポンプ24まで配置される配管である。ガス配送ライン18およびそれに接続される各種機器との間のラインには各種バルブなどが設けられ、それらの開閉は電気的に制御可能であるが、記載の簡略化のため説明を省略する。
【0017】
真空ポンプ16は、ターゲット箱12に付設される真空ポンプであり、ターゲット箱12と合成装置14との間でガス配送ライン18に接続され、排気されたガスは貯留タンク20に貯められる。ターゲットの交換が必要な場合には、真空ポンプ16による排気を用いてターゲット箱12を陰圧とし、新たなターゲットを導入することにより、ターゲット箱12内のターゲットの迅速な交換を可能とした。
【0018】
また、ガス配送ライン洗浄用の窒素ガス導入装置22が、同様に、ターゲット箱12と合成装置14との間でガス配送ライン18に接続される。窒素ガス導入装置22により、合成装置14およびガス配送ライン18に窒素ガスを充てんして、導入停止後に吸引ポンプ24により下流方向に押し出すことにより、ガス配送ラインの洗浄すなわち残存標識ガスの除去をより迅速に行える。なお、一般的には洗浄のために窒素ガスを代表とする不活性ガスを導入すればよい。窒素ガス導入装置22は、不活性ガス導入装置の1例である。
【0019】
PET室50では、標識ガスは濃度安定化装置52に供給される。濃度安定化装置52は、放射能濃度が低下すると、混入する放射化されていないガスの流量を増加させ放射能濃度を一定に保つように作動する緩衝装置である。濃度安定化装置52は、時間あたりの放射能濃度が安定化された標識ガスを、被検者(被検体)が装着した吸入マスク54に供給する。こうして、被検者に標識ガスが供与されると、PET撮像データの収集が開始される。PET装置(図示しない)では、得られた脳内の放射能分布の投影データ(サイノグラムなどと呼ばれる)を時間ごとに画像再構成することで時系列曲線が脳内の放射能分布ごとに得られる。なお、濃度安定化装置52は、サイクロトロンの照射線量が一定していれば不要であり、その場合、濃度安定化装置の代わりに、三叉流路を用い、三叉流路から吸入マスク54への流路にガスを流すバルブを設ければよい。バルブを操作して、ガスを吸入マスク54の方に流せる。
【0020】
標識ガスの品質を確認するための品質確認装置56は、濃度安定化装置52の下流側の直後にガス配送ライン18に接続される。品質確認装置56は、標識化合物の放射化学的純度を測定する装置であり、具体的にはガスクロマトグラフを用いて測定を行う。品質確認装置56は、製薬担当者が自動操作により検定結果を確認できるようにする。製薬担当者は、その結果により標識化合物の品質を確認できる。なお、ガス配送ライン18を輸送されたガスは、サイクロトロン室に設置された吸引ポンプ24により回収され、貯留タンク20に貯められる。また、吸入マスク54からのガスは、サイクロトロン室に設置された吸引ポンプ26により回収され、貯留タンク28に貯められる。
【0021】
従来は、ホットラボ室内の製薬担当者が品質検定のための品質確認装置を直接に管理できるように、ホットラボ室に品質確認装置が設置されていた。この場合、15O標識ガスの品質確認のための流路切り替えによって生じる15Oガス供給の途絶えにより濃度安定と吸入開始の遅延が避けられず、迅速検査に対応できなかった。本システムでは、濃度安定化装置52以降に品質確認装置56を設置するので、流路の切り替えに伴う15O標識ガスの濃度安定化装置52への一時的な流路遮断がなくなる。
【0022】
PET室50には、標識化合物供給システムにおけるシーケンス制御を行うシーケンサー(シーケンス装置)58が設置され、製薬担当者がPET室50においてシーケンサー58を操作する。シーケンサー58は、たとえばプログラマブルロジックコントローラである。シーケンサー58は、窒素ガス導入装置22、真空ポンプ24,合成装置14、吸引ポンプ24,26、濃度安定化装置52、吸入マスク54、品質確認装置56、各種バルブ、PET装置などに電気的に結合され、これらの動作タイミングを制御する。このため、たとえば、合成装置14は、PET撮像装置の収集と同期させるための外部入出力端子を有する。シーケンス制御のための各種電気的結合についての詳細な記載は省略する。
【0023】
なお、事前検定を行わない場合は、必ずしも品質確認装置56を設けなくてもよい。その場合でも、この標識化合物供給システムを用いることにより、標識化合物の投与間隔を短縮でき、測定時間をたとえば上述の最適時間3分、1.5分に近づけることができる。
【0024】
図2は、O-15標識ガス-PET迅速検査法において、20分以内で検査を完了できる検査手順の1例を図式的に示す。検査の際には、ベッドの上で、被検者(図示しない)の頭部は、PET装置の視野内に固定されている。最初の薬剤投与の前より動脈からの血液の採血を開始し、検査中それを持続する。これにより血液中全放射能濃度曲線を得る。図2の例では、3種類の標識化合物が、C15O、15O2およびC15O2の順に被検者に投与される。C15O、15O2およびC15O2の薬剤投与時間はそれぞれ30秒、1分、1分と設定されている。この薬剤投与時間は検査に必要な放射能を脳内へ移行させるに必要な時間であり、経験的に設定されている。設定した薬剤投与時間におけるC15O、15O2およびC15O2の放射能濃度は、2次元PET撮像法の場合には、それぞれ2200MBq/分、45000MBq/分および4000MBq/分の程度であるが、3次元PET撮像法の場合にはほぼ1桁少なくなる。まず、標識化合物C15Oの測定をおこなうが、定常法と異なり、短時間投与の後に放射能濃度の減衰が測定される。次に、標識化合物15O2およびC15O2の連続的投与を行うが、一方の標識化合物を先に投与した後、先に投与した標識化合物の十分な減衰を待たずに、他方の標識化合物を、短い時間差で続いて投与し、これに伴い、15O2およびC15O2のPET撮像データ収集は中断なしに連続的に行う。連続的に投与される2つの標識化合物の投与の時間差は典型的には5分としているが、第1の薬物の投与に基づく機能画像の画質が最適とされる収集時間よりも長い限り、なるべく短いことが望まれる。このため、15O2の投与終了後に、ただちにC15O2の合成が開始され、その品質が確認されると、合成されたC15O2が投与される。この例では、投与の時間差は5分である。なお、3種類の標識化合物C15O、15O2およびC15O2の投与の順番はこれに限られず、たとえば、C15O2の次に15O2を連続的に投与することも同様に行えるが、その説明は省略する。
【0025】
上に説明した例では、標識化合物15O2およびC15O2の連続的投与において、C15O2の投与は15O2の投与終了から5分後に開始されねばならないので、合成されたC15O2の品質の事前検定は15O2の投与終了からC15O2の投与前に終わらせる必要がある。標識化合物の合成開始と品質確認を迅速に行うため、図1に示される供給システムは以下の特徴を備える。まず、(1)品質確認装置56を濃度安定化装置52の下流側の直後に配置して、持続的な15O標識ガス供給を維持する。このように品質確認装置56を濃度安定化装置52の下流側の直後に設置したとしても、次に投与される標識ガスの合成開始から品質確認まで、最速の合成装置や品質確認装置を用いても3分程度を要することがわかった。いいかえれば、ここで使用されている合成装置14、ガス配送ライン18および品質確認装置56は、投与される標識ガスの合成開始から品質確認まで3分以内に完了可能な性能を備える。このため、ガス配送ライン18における残存ガスの迅速な交換と合成準備を2分以内に終了する必要がある。ここで、C15O2の合成のためにはターゲット箱12の中のターゲットも交換しなければならない。そこで、(2)ガス配送ライン18にターゲット箱12の近くに真空ポンプ16を接続し、また、(3)ガス配送ライン18に窒素ガス導入装置22を接続する。さらに、(4)ガス配送ライン18を吸引する吸引ポンプ24を、ガス配送ライン18内の窒素を除くために用いる。これにより、真空ポンプ16でターゲット箱12から15O2ターゲットを排気し、同時にガス配送ライン18内に残存している標識ガスの迅速な除去を行い、次に、合成準備のため窒素ガス導入装置22により、ターゲット箱12とガス配送ライン18にC15O2ターゲットを導入する。(C15O2ターゲットは、大部分が窒素からなるガスである。)ここで、現在入手できる最適な真空ポンプ16および窒素ガス導入装置22を選定することにより、ガス配送ライン18における残存ガスの迅速な交換と合成準備を2分以内に迅速に完了することが可能になった。なお、図1の例ではガス配送ライン18の長さは60mであるが、これは標準的な長さである。いいかえれば、ここで使用されている真空ポンプ16、窒素ガス導入装置22およびガス配送ライン18は、ターゲット箱12の中のターゲットの交換とガス配送ライン12の洗浄を2分以内に完了可能な性能を備える。その後、交換されたターゲットの照射と、合成装置14による新たな標識ガスの合成が開始され、合成された標識ガスがガス配送ライン18を通って品質確認装置56まで輸送され、品質確認後に被検者に投与される。こうして15O標識ガスの品質確認時間(15O標識ガスの合成準備から品質確認までの時間)を5分に短縮できた。この標識化合物の事前検定は上述の標識化合物供給システムによりはじめて可能となったものである。
【0026】
なお、国際公開公報2006−043674)に記載された迅速検査法ではCOの投与は不要であるが、上述の例ではCOの投与を行っている。あえてCO画像を撮像し、COを不要とするプロトコルから計算される同様の画像(血液量)を比較することで、同じ血液量でも動脈成分を多く含む画像と、全体の血液量画像との二つが得られるので、これらを比較する。
【0027】
2本のターゲット箱を交換する比較例では、COおよびOの合成のための15O2ターゲットと、CO2合成のためのC15O2ターゲットが用いられる。図1の標識化合物供給システムでは、1本のターゲット箱12に真空ポンプ16を付設しているので、ターゲット箱を交換する比較例に比べて、ターゲットの交換が短時間(2分以内)で行える。なお、2本のターゲット箱が並列に設置可能なサイクロトロンの場合は、ターゲット箱を急速に排気する必要はない。
【0028】
図2の検査手順についてさらに説明すると、最初に投与する薬物C15Oの検査の場合、サイクロトロンを運転してターゲット箱に15Oを生成し、合成装置14においてC15Oを合成し、PET室に送る。C15Oは、品質確認装置56で品質を検定された後、濃度安定化装置52から吸入マスク54に送られ、被検者に短時間(30秒)投与される。その後、PET装置により頭部のPET撮像データが収集される。データ収集時間は6分である。
【0029】
次に、15O2およびC15O2が連続的に投与される。上述の薬物C15Oの投与が終了すると、まず、窒素ガス導入装置22により合成装置14およびガス配送ライン18に窒素ガスを導入してガス配送ライン18を洗浄する。(この場合ターゲットは交換しない。)次に、サイクロトロンを運転してターゲット箱に15Oを生成し、合成装置14において15O2を合成し、PET室に送る。15O2は、品質確認装置56で品質を検定された後、吸入マスク54に送られ、被検者に短時間(1分)投与される。その後、PET撮像データが5分間収集される。ここで、「5分」後には、投与した薬剤の放射能濃度がまだ十分に減衰していない状態であるが、本迅速検査法では、その状態で次の薬剤を投与する。このため、上述の15O2の1分間の投与が終わると、ただちに、残存ガスの迅速な交換とC15O2の合成準備をはじめる。まず、真空ポンプ16でターゲット箱12を排気して、C15O2ターゲットに入れ換えると同時に並行して窒素ガス導入装置22により、合成装置14およびガス配送ライン18内に窒素ガスを充てんし、残っている標識化合物を取り除く。さらに窒素導入を停止し、吸引ポンプ24にて合成装置14から吸引ポンプ24までのガス配送ライン18を73kPaまで吸引し、ガス配送ライン18内の窒素を除く。ターゲット箱12の排気からライン18内の窒素除去までに要する時間は1分以内である。そして、交換したターゲットへの照射を開始し、かつ、ガス配送ライン18に窒素を満たして、合成準備が2分以内に終了する。合成装置14においてC15O2の合成を開始し、PET室に供給する。合成されたC15O2は、合成開始から5分以内に品質確認装置56で品質が検定され、その後、被検者へのC15O2の投与(1分)が開始される。ここで、PET撮像は、連続的に続けられていて、撮像データが、さらに3分間収集される。15O2およびC15O2について合計9分のデータ収集の後にPET装置によるPET撮像を終了する。これら一連の動作は、シーケンサー58による自動シーケンス制御により制御される。全体のPET検査は、20分で完了できる。この例では、標識ガスC15O2が事前検定のあとに投与できる。すなわち、被検者の15O2吸入を終了した後、C15O2合成開始から5分後にC15O2の品質を確認して吸入を開始できる。こうして、本標識化合物供給システムでは、迅速検査法において標識ガスの品質の事前検定が可能になった。
【0030】
上述のとおり、2つの薬物(15O2およびC15O2)は、C15OのPET撮像データの収集が終了した後に、連続的に投与される。この連続的投与のためシーケンサー48による自動制御シーケンスが実行される。
【0031】
図3は、シーケンサー48が逐次実行する連続的投与制御プログラムのフローを示す。C15Oの所定時間(たとえば30秒)の投与が終了した後に、C15OのPET撮像データ収集時間と事前検定に要する時間とを考慮して、適当な時間に、窒素ガス導入装置22に合成装置14およびガス配送ライン18内に窒素ガスを導入させて(S10)、ガス配送ライン18を洗浄する。すなわち、残っている標識化合物を取り除き窒素ガスを充てんする。次に、窒素ガス導入装置22に窒素導入を停止させ(S12)、合成装置14に15O2の合成を開始させ(S14)、品質確認装置56に、合成された15O2の品質の検定を開始させる(S16)。合成された15O2は、窒素ガスを搬送ガスとして、ガス配送ライン18を経てPET室50に送られ、品質確認装置56による検定が開始される。所定のC15OのPET撮像データ収集時間(たとえば6分)が経過し、かつ、合成された15O2の品質確認が所定時間(5分)以内に終了すると(S18)、標識ガス供給装置(濃度安定化装置52)に吸入マスク54への15O2の供給を開始させ、同時に、PET装置(図示しない)にPET撮像データの収集を開始させる(S20)。15O2の供給は所定時間(たとえば1分)で終了させる(S22)。
【0032】
薬剤(15O2)の投与が終了すると、真空ポンプ16にターゲット箱12を排気させ、窒素ガス導入装置22によりC15O2ターゲットに入れ換えさせて、加速粒子の照射を開始させる(S24)。これにより入れ換えはたとえば1分以内に完了する。同時に並行して、窒素ガス導入装置22に合成装置14およびガス配送ライン18内に窒素ガスを導入させて(S26)、ガス配送ライン18を洗浄する。このように、シーケンス制御により、標識ガス15O2およびC15O2の一方の標識ガスの被検体への投与を所定時間行わせ、かつ、標識ガス15O2およびC15O2の前記一方の標識ガスの合成と投与を終了した後に、ただちに、真空ポンプにサイクロトロンのターゲット箱を排気させて、ターゲット箱の中のターゲットを入れ換え、これに並行して、窒素ガス導入装置にガス配送ラインおよび合成装置に窒素ガスを導入させる。
【0033】
次に、窒素ガス導入装置22による窒素導入を停止させ、吸引ポンプ24に、合成装置14から吸引ポンプ24までのガス配送ライン18を吸引させ(S28)、ガス配送ライン内の窒素を除く。ターゲット箱12の排気からライン内の窒素除去までに要する時間は1分以内(たとえば50秒)である。次に、合成装置14にC15O2の合成を開始させる(S30)。合成されたC15O2は、窒素ガスを搬送ガスとして、ガス配送ライン18を経てPET室50に送られ、品質確認装置56にC15O2の品質の検定を開始させる(S32)。品質確認装置56による事前検定が行われる。合成開始からたとえば5分以内に品質確認装置56によるC15O2の品質確認が終わると、標識ガス供給装置である濃度安定化装置52に吸入マスク54へのC15O2の供給を開始させる(S34)。所定の供給時間(たとえば1分)が経過すると、C15O2の合成及び供給を停止させる(S36)。このように、シーケンス制御により、さらに、窒素ガス導入装置に窒素導入を停止させ、吸引ポンプに合成装置から吸引ポンプまでのガス配送ラインを吸引させ、次に、合成装置に標識ガス15O2およびC15O2の他方の標識ガスの合成を開始させる。次に、合成された前記他方の標識ガスの品質を品質確認装置に確認させ、前記一方の標識ガスの投与が終了した後、5分以内に前記他方の標識ガスの品質が確認されると、合成された前記他方の標識ガスの被検体への投与を所定時間行わせる。
【0034】
その後、所定時間(3分)が経過すると、PET撮像データの収集を終了させる(S38)。こうして、シーケンス制御により、さらに、標識ガスの合成と投与を終了した後、あるいは検定が終了した後に、外部のPET撮像データ収集システムにデータ収集を開始させ、さらに所定時間が経過した後にデータ収集を停止させる。さらに、標識ガスの合成と投与を終了した後、ターゲットへの加速粒子の照射を開始させると同時に、ターゲット箱12を吸引し、同時に窒素ガス導入装置22にガス配送ライン18を陽圧にて窒素にて残存放射能を押し出させる。
【0035】
なお、2つの薬物の投与の順序が逆の場合も、同様に事前の品質検定を行える。
【0036】
以上に説明したように、上述の標識化合物供給システムでは、投与されたO-15標識ガスによる体内の放射能が減衰により消失する前に、次に投与されるO-15標識ガスの品質検定が可能になり、複数のO-15標識ガスをそれぞれ事前検定後に連続的に投与できる。具体的には、O-15標識ガス(O-15標識一酸化炭素(C15O)、O-15標識酸素(15O2)およびO-15標識二酸化炭素(C15O2))を、それぞれ、品質確認後に被検者に投与できた。
【0037】
上述の標識化合物供給システムでは、(1)ガス配送ライン18にターゲット箱12の近傍で真空ポンプ16を接続し、(2)ガス配送ライン内に窒素ガスを導入するため、ガス配送ライン18に窒素ガス導入装置22を接続し、(3)さらに、品質確認装置56をガス配送ライン18において濃度安定化装置52の下流側に直後に配置する。前に説明したように、これにより投与間隔を5分に短縮できた。
【0038】
迅速検査法において、より一般的には、標識化合物が連続的に被検者に投与されるとき、一つの標識ガスの投与が終了した後、投与された標識ガスによる体内の放射能が減衰により消失する前に次の標識ガスを投与すればよい。したがって、投与間隔(標識化合物の供給準備の完了)は、10分以内、好ましくは9分以内、より好ましくは7分以内、さらに好ましくは5分以内である。したがって、上述の3つの構成は、必ずしもすべて備えられていなくてもよく、標識化合物供給システムの仕様に応じて、その時間的条件が満足されるように1つまたは2つの構成を組み合わせてもよい。たとえば、真空ポンプ16と窒素ガス導入装置22の一方のみを配置して、または、濃度安定化装置52の下流側に直後に品質確認装置56を設置して、投与間隔を10分以内にするようにシーケンス制御をすればよい。(なお、上述の例では、15O2の合成は真空ポンプによる排気をせずに行われている。)
【0039】
上述のシーケンス制御の例では、5分以内の間隔で投与するため、ガス配送ライン18における残存ガスの迅速な交換と合成準備を2分以内に終了し、また、合成と品質確認を3分以内に終了していた。しかし、より一般的には、上述したように体内の放射能が減衰により消失する前(たとえば10分以内)に品質確認ができればよいので、上述の「2分」および「3分」より長い適当な時間で処理してもよい。
【0040】
図1に示した標識化合物供給システムにおいて、たとえば、真空ポンプ16、窒素ガス導入装置22または品質確認装置56が含まれない場合または使用されない場合は、図3のシーケンス制御において、当該装置の制御を省略すればよい。
【0041】
標識化合物標識化合物供給システムにおいて、さらに、15O2から15O標識水(H215O)を合成する第2の合成装置(図示しない)を備えてもよい。この合成装置は、PET室において、被検者まで送られてきた15O2が分岐されて供給されると水素と反応させてH215Oを合成する。15O標識水はC15O2ガスの代わりに投与できる。
【符号の説明】
【0042】
12 ターゲット箱、 14 合成装置、 16 真空ポンプ、 18 ガス配送ライン、 22 窒素ガス供給装置、 52 濃度安定化装置、 54 吸入マスク、 56 品質確認装置、 58 シーケンサー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイクロトロンの加速粒子のターゲットを含むターゲット箱と、
前記ターゲット箱で生成されたO-15を用いて少なくとも標識ガス15O2およびC15O2を順次合成するための合成装置と、
前記標識ガスを配送するためのガス配送ラインであって、前記ターゲット箱から、前記合成装置を経て、前記ガス配送ライン内を配送された標識ガスを回収するための吸引ポンプまで配置され、前記合成装置と前記吸引ポンプの間に被検体の方への流路との分岐部を設けたガス配送ラインと、
前記ガス配送ラインに前記ターゲット箱の近傍で接続される真空ポンプと、
前記ガス配送ライン内に窒素ガスを導入するための窒素ガス導入装置であって、前記ガス配送ラインに接続される窒素ガス導入装置と、
前記ターゲット箱、前記合成装置、前記ガス配送ライン、前記真空ポンプおよび前記窒素ガス導入装置に電気的に結合され、前記ターゲット箱の中のターゲットの交換および前記ガス配送ラインの洗浄と新規ガスの充てんおよび前記合成装置による標識ガスの合成を自動的に行うためのシーケンサーと
を備える標識化合物供給システム。
【請求項2】
さらに、前記合成装置により合成された前記標識ガスの品質を確認する品質確認装置を備え、前記品質確認装置は、前記ガス配送ラインの前記分岐部の下流側に接続され、前記シーケンサーは、さらに前記品質確認装置に電気的に結合され、前記品質確認装置による品質確認を制御する、請求項1に記載された標識化合物供給システム。
【請求項3】
前記真空ポンプ、前記窒素ガス導入装置および前記ガス配送ラインは、前記ターゲット箱の中のターゲットの交換と、前記ガス配送ラインの洗浄を2分以内に完了可能な性能を備える請求項1または2に記載された標識化合物供給システム。
【請求項4】
前記合成装置、前記品質確認装置および前記ガス配送ラインは、合成された標識化合物の供給および品質確認が3分以内に完了可能な性能を備える、請求項2に記載された標識化合物供給システム。
【請求項5】
前記シーケンサーは、前記真空ポンプ、前記窒素ガス導入装置および前記ガス配送ラインによる、前記ターゲット箱の中のターゲットの交換と、前記ガス配送ラインの洗浄および新規ガスの充てんと、前記合成装置により合成される標識化合物の供給準備とを10分以内に完了可能である、請求項1〜4のいずれかに記載された標識化合物供給システム。
【請求項6】
サイクロトロンの加速粒子のターゲットを含むターゲット箱と、
前記ターゲット箱で生成されたO-15を用いて少なくとも標識ガス15O2およびC15O2を順次合成するための合成装置と、
前記標識ガスを配送するためのガス配送ラインであって、前記ターゲット箱から、前記合成装置を経て、前記ガス配送ライン内を配送された標識ガスを回収するための吸引ポンプまで配置され、前記合成装置と前記吸引ポンプの間に被検体の方への流路との分岐部を設けたガス配送ラインと、
前記ガス配送ラインに前記ターゲット箱の近傍で接続される真空ポンプと、
前記ターゲット箱、前記合成装置、前記ガス配送ラインおよび前記真空ポンプに電気的に結合され、前記ターゲット箱の中のターゲットの交換および前記ガス配送ラインの洗浄と、前記合成装置による標識ガスの合成を自動的に行うためのシーケンサーと、
を備える標識化合物供給システム。
【請求項7】
サイクロトロンの加速粒子のターゲットを含むターゲット箱と、
前記ターゲット箱で生成されたO-15を用いて少なくとも標識ガス15O2およびC15O2を順次合成するための合成装置と、
前記標識ガスを配送するためのガス配送ラインであって、前記ターゲット箱から、前記合成装置を経て、前記ガス配送ライン内を配送された標識ガスを回収するための吸引ポンプまで配置され、前記合成装置と前記吸引ポンプの間に被検体の方への流路との分岐部を設けたガス配送ラインと、
前記ガス配送ライン内に窒素ガスを導入するための窒素ガス導入装置であって、前記ガス配送ラインに接続される窒素ガス導入装置と、
前記ターゲット箱、前記合成装置、前記ガス配送ラインおよび前記窒素ガス導入装置に電気的に結合され、前記配送ラインの洗浄と新規ガスの充てんおよび標識ガスの合成を自動的に行うためのシーケンサーと、
を備える標識化合物供給システム。
【請求項8】
さらに、前記合成装置により合成された前記標識ガスの品質を確認する品質確認装置を備え、前記品質確認装置は前記ガス配送ラインの前記分岐部の下流側に接続され、前記シーケンサーは、さらに前記品質確認装置に電気的に結合され、前記品質確認装置による品質確認を制御する、請求項6または7に記載された標識化合物供給システム。
【請求項9】
サイクロトロンの加速粒子のターゲットを含むターゲット箱と、
前記ターゲット箱で生成されたO-15を用いて少なくとも標識ガス15O2およびC15O2を順次合成するための合成装置と、
前記標識ガスを配送するためのガス配送ラインであって、前記ターゲット箱から、前記合成装置を経て、前記ガス配送ライン内を配送された標識ガスを回収するための吸引ポンプまで配置され、前記合成装置と前記吸引ポンプの間に被検体の方への流路との分岐部を設けたガス配送ラインと、
前記合成装置により合成された前記標識ガスの品質を確認する品質確認装置であって、前記ガス配送ラインの前記分岐部の下流側で接続される品質確認装置と、
前記ターゲット箱、前記合成装置、前記ガス配送ラインおよび前記品質確認装置に電気的に結合され、前記合成装置による標識ガスの合成および前記品質確認装置による品質確認を自動的に行うためのシーケンサーと
を備える標識化合物供給システム。
【請求項10】
さらに、前記ガス配送ラインに前記ターゲット箱の近傍で接続される真空ポンプを備え、前記シーケンサーは、さらに前記真空ポンプに電気的に結合され、前記ターゲット箱の中のターゲットの交換および前記ガス配送ラインの洗浄を制御する、請求項9に記載された標識化合物供給システム。
【請求項11】
さらに、前記ガス配送ライン内に窒素ガスを導入するための窒素ガス導入装置であって、前記ガス配送ラインに接続される窒素ガス導入装置を備え、前記シーケンサーは、さらに前記窒素導入装置に電気的に結合され、前記配送ラインの洗浄と新規ガスの充てんを制御する、請求項10に記載された標識化合物供給システム。
【請求項12】
前記シーケンサーは、合成された標識化合物の供給の準備を10分以内に完了可能である請求項6〜11のいずれかに記載された標識化合物供給システム。
【請求項13】
さらに、前記合成装置において合成された前記標識ガスの濃度を安定化し、供給するための濃度安定化装置であって、前記ガス移送ラインに前記合成装置と前記吸引ポンプとの間に接続される濃度安定化装置を備える、請求項1〜12のいずれかに記載された標識化合物供給システム。
【請求項14】
前記合成装置は、さらにC15Oを合成する合成系を備えることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載された標識化合物供給システム。
【請求項15】
前記合成装置は、さらに15O2から15O標識水(H215O)を合成する第2の合成装置を備えることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載された標識化合物供給システム。
【請求項16】
前記合成装置は、さらにPET撮像装置の収集と同期させるための外部入出力端子を有した、請求項1〜13のいずれかに記載された標識化合物供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−43356(P2011−43356A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190261(P2009−190261)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(510094724)独立行政法人国立循環器病研究センター (52)
【出願人】(509170925)株式会社モレキュラーイメージングラボ (1)
【上記1名の代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
【Fターム(参考)】