標識装置搭載車両における空気抵抗低減構造
【課題】普通自動車の屋根に標識装置を取り付けて構成される標識装置搭載車両の空気抵抗低減構造を提供する。
【解決手段】標識装置搭載車両の空気抵抗低減構造では、普通自動車の屋根に標識装置を取り付けて構成した標識装置搭載車両において、前記屋根の前記標識装置前方位置に、車両後方へ高さを増す傾斜部を設ける。そして、前方からの空気流発生時に、前記傾斜部と前記標識装置の間に渦流を形成し、前記渦流の上方に前記傾斜部の上端近傍及び前記標識装置の上端近傍を通る空気流を形成する。前記傾斜部は、前記屋根の上を幅方向に渡しその両端縁を前記屋根の縁に掛け止めて固定される基台と、前記基台に角度調節自在に取り付けた傾斜板とで構成してもよい。
【解決手段】標識装置搭載車両の空気抵抗低減構造では、普通自動車の屋根に標識装置を取り付けて構成した標識装置搭載車両において、前記屋根の前記標識装置前方位置に、車両後方へ高さを増す傾斜部を設ける。そして、前方からの空気流発生時に、前記傾斜部と前記標識装置の間に渦流を形成し、前記渦流の上方に前記傾斜部の上端近傍及び前記標識装置の上端近傍を通る空気流を形成する。前記傾斜部は、前記屋根の上を幅方向に渡しその両端縁を前記屋根の縁に掛け止めて固定される基台と、前記基台に角度調節自在に取り付けた傾斜板とで構成してもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速道路の管理者が使用する巡回車など、周囲の走行車両に対する注意喚起や警告表示を行うための標識装置を、普通自動車の屋根に取り付けて構成した標識装置搭載車両における、空気抵抗低減構造に関するものである。なお、本発明において普通自動車とは、道路交通法における、車両総重量5000kg未満、最大積載量3000kg未満、乗車定員10人以下の四輪車で、いわゆる乗用車に該当するものとする。
【背景技術】
【0002】
貨物車両において、トラクタのキャビンより高い荷箱を備えたトレーラが連結された場合、トラクタとトレーラとの段差により空気抵抗が大きくなる。空気抵抗の増大は、燃費に悪影響を及ぼすなどの問題があるため、この空気抵抗を低減するためのデフレクタがトラクタの屋根に搭載される。このデフレクタは、車体後方に向かって高さを増す傾斜面を備え、貨物車両走行時にはトラクタ上方の空気が傾斜面に沿って流れることから、トラクタとトレーラの段差部分における空気の衝突を防ぎ、空気抵抗を低減することができる。
【0003】
最近では、このデフレクタの性能や機能を向上させる手法も検討されており、例えば、特開平6−329053号公報には、走行中の空気抵抗を低減させる風案内姿勢と、キャビン外部への脱出空間を確保する脱出時姿勢とに変更可能なデフレクタが開示されている。また、特開2002−154462号公報には、形状を規制する金属棒材からなるフレーム部材に帆布を被装し軽量化したデフレクタが開示されている。更に、特開2007−1545号公報には、車幅方向に沿った回転軸を中心として回転自在に支持される前端部を中心としてルーフに対して傾動自在なパネル本体と、ルーフとパネル本体との間に配置され、ルーフの上面に対するパネル本体の傾斜角度を所定角度の範囲で調節する角度調節部とで構成され、トレーラを牽引した状態と牽引しない状態とのそれぞれにおいて空気抵抗の低減を図ることが可能なデフレクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−329053号公報
【特許文献2】特開2002−154462号公報
【特許文献3】特開2007−1545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、トレーラ等を牽引することが想定されていない普通自動車(いわゆる乗用車)は、通常、デフレクタのような装置の取り付けを行わなくとも、車体形状の最適化を図ることで空気抵抗を低減できる。ところが、高速道路の巡回監視を行うには、高速道路を走行する普通車両と同程度の速度で走行しながら、周囲の走行車両に対する注意喚起や警告表示を行う必要性があり、その用途のために普通自動車の屋根に標識装置を取り付けた場合、その車体形状の設計段階では想定されなかった空気抵抗の増加が生じることになる。
【0006】
そこで、本発明は、普通自動車の屋根に標識装置を取り付けて構成される標識装置搭載車両の空気抵抗低減構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る標識装置搭載車両の空気抵抗低減構造では、普通自動車の屋根に標識装置を取り付けて構成した標識装置搭載車両において、前記屋根の前記標識装置前方位置に、車両後方へ高さを増す傾斜部を設ける。そして、前方からの空気流発生時に、前記傾斜部と前記標識装置の間に渦流を形成し、前記渦流の上方に前記傾斜部の上端近傍及び前記標識装置の上端近傍を通る空気流を形成する。
【0008】
前記傾斜部は、前記屋根に対し、45度の傾斜角を有していることが好ましく、また、前記傾斜部の幅と、前記標識装置の幅の比が0.75であること、或いは、前記傾斜部の高さと、前記標識装置の高さの比が0.5であることが好ましい。更に、透光性を有することが好ましい。
【0009】
また、前記傾斜部は、前記屋根の上を幅方向に渡しその両端縁を前記屋根の縁に掛け止めて固定される基台と、前記基台に角度調節自在に取り付けた傾斜板とで構成してもよい。この場合、傾斜板は透光性を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る標識装置搭載車両の空気抵抗低減構造では、車両の走行により発生する前方からの空気流れの方向を傾斜部で変え、傾斜部と標識装置の間で渦流を形成することで、渦流の上方に、傾斜部の上端上方及び標識装置の上端上方を通る空気流を形成し、空気流が標識装置に直接当ることを防ぎ、空気抵抗を低減できる。また、前方からの空気流れの方向を傾斜部で変えることにより、屋根前縁近傍の空気抵抗も同時に低減できる。更に、標識装置の上端上方を通る空気流は乱れがなく流線が水平なものとなるため、標識装置後方における渦の発生を防止し、負圧による抵抗の発生を防止できる。
【0011】
傾斜部は、傾斜部と標識装置の間で渦流を形成するよう、その配置や形状を適宜調整することができるが、標識装置搭載車両の走行速度が70〜80kmと想定される場合は、屋根に対し45度の傾斜角を有することが好ましい。また、傾斜部の幅と標識装置の幅の比が0.75、傾斜部の高さと標識装置の高さの比が0.5であることが好ましい。更に、傾斜部が透光性を有するものであれば、標識装置搭載車両の前方からの、標識装置の視認性を高めることができる。
【0012】
また、傾斜部が、屋根の上を幅方向に渡しその両端縁を屋根の縁に掛け止めて固定される基台と、貴台に角度調節自在に取り付けた傾斜板とで構成されたものであれば、既存の標識装置搭載車両に容易に適用でき、しかも、標識装置搭載車両の走行が想定される速度に最適な角度とする調整を容易に行うことができる。この場合において、傾斜板が透光性を有するものであれば、標識装置搭載車両の前方からの、標識装置の視認性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る標識装置搭載車両の空気抵抗低減構造が適用された標識装置搭載車両の概観を示す側面図である。
【図2】同標識装置搭載車両における空気抵抗低減構造を拡大して示す平面図である。
【図3】数値解析の領域を示す側面図である。
【図4】傾斜部と標識装置を取り付けた場合における3次元流速分布図である。
【図5】図4においてZ座標が0となる縦断面の流速分布図である。
【図6】傾斜部と標識装置のどちらも取り付け無い場合における3次元流速分布図である。
【図7】図6においてZ座標が0となる縦断面の流速分布図である。
【図8】傾斜部を取り付けず標識装置のみを取り付け無い場合における3次元流速分布図である。
【図9】図8においてZ座標が0となる縦断面の流速分布図である。
【図10】傾斜部の他の実施形態を示す側面図である。
【図11】同実施形態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る標識装置搭載車両の空気抵抗低減構造の実施形態を図に示す。この構造は、排気量2000cc程度の四輪駆動乗用車、いわゆるレクリエーショナル・ビークル(RV)の屋根に標識装置を固定した標識装置搭載車両に適用されたものである。
標識装置搭載車両10の屋根11には、周囲の走行車両に対する注意喚起や警告表示を行うための標識装置1が取り付けられている。この標識装置1は、背面に「走行注意」など所定の文字列の複数を切り替えて表示する表示板2を備え、また、頂部には、回転点滅灯3を備えている。更に、前面には、前方からの空気流の方向を上方へ向けるための案内部4が設けられている。重量は約300kg、幅は1060mm、屋根11から回転点滅灯3の上端までの高さは1000mmである。
【0015】
更に、屋根11には、標識装置1前方位置に、車両後方へ高さを増す傾斜部5が設けられている。傾斜部5の材質は、十分な強度を有するものであればよいが、透光性を有するものであれば、標識装置搭載車両10の前方からの、標識装置1の視認性を高めることができるという利点がある。なお、傾斜部5の幅は800mm、屋根11から先端部6までの高さは500mm、前面7の屋根11に対する傾斜角は45度となっている。
【0016】
この構造による空気抗力低減効果を、数値解析による結果を参照しながら、以下に説明する。数値計算は、SolidWorks社の流体解析ソフトウェアFlow Simulationを用いて三次元形状(3Dモデル)を作成し、時間依存のナヴィエ-ストークス方程式を離散化し、計算メッシュ上で解く方法により行った。
【0017】
また、より適切な解を得るために信頼できる条件の下で、流れ計算中に、計算メッシュの再構成を自動的に行った。そして、時間依存方程式を使って定常問題を解くため、あらかじめ設定した範囲に収束する定常解(すなわち収束解)を得た時に計算を終了するものとした。なお、本数値解析では、標識装置の進行方向に対する空気抵抗を求めることが必要なため、計算領域に対して、圧力・速度・力などのエンジニアリングゴールを設定する必要がある。ここで、エンジニアリングゴールとは、様々な結果を得ることのできる解析結果から最も重要なものを選択することである。この数値解析では、エンジニアリングゴールの設定より、標識装置の進行方向に作用する空気抗力を結果として求めている。なお、一般設定条件として、解析タイプは外部流れ、流体は空気、流れタイプは層流及び乱流とし、車両走行速度条件は、70km/h、80km/h、90km/h、及び100km/hとした。
【0018】
数値解析の範囲は、図3に示すように、標識装置搭載車両10の上側半分を含む領域Rとした。そして、鉛直方向をX軸、水平方向をY軸、車体の幅方向をZ軸とし、それらの座標値の範囲は、X軸については上方を正として−500から4000まで、Y軸については後方を正として−50から1600まで、Z軸については後方に向かって右手側(紙面手前側)を正として−1000から1000までとした。なお、以後の説明においては、領域R内において、フロントガラスと屋根の境界近傍をA領域、傾斜部5と標識装置1の案内部4の間をB領域、B領域の上方で傾斜部5の上端近傍及び標識装置1の上端近傍を含む連続領域をC領域、回転点滅灯3の直上をD領域、標識装置1の上端近傍から後ろで地面からの高さが標識装置1よりも高くなる領域をE領域、標識装置1の後ろで地面からの高さが標識1よりも低くなる領域をF領域、車体背後をG領域とする。
【0019】
図4及び図5に、解析結果を示す。また、比較参考例として、傾斜部5及び標識装置1のどちらも取り付けられていない状態の解析結果を図6及び図7に、標識装置1のみを取り付けた状態の解析結果を図8及び図9に示す。なお、図4〜図9は、いずれも、車両走行時速70km/hとしたときの領域Rにおける空気の流れを速度として示したものであり、図5、図7及び図9は、Z座標が0となる縦断面における流速分布である。
【0020】
まず、図9が示すように、傾斜部5を設けず標識装置1のみを取り付けた場合、標識装置後方のF領域で空気の流れが乱れていることが分かる。このF領域では、速度が0km/hに近づくため、圧力が低下し進行方向とは逆に力が作用してしまい、車両が後方に引っ張られる状態となる。一方、フロントガラスと屋根の境界領域であるA領域では、速度が高くなっている。これは、車体の形状自体の特性であり、そのことは、7が示すように、標識装置1が取り付けられていない状態においても、A領域の速度が高くなっていることからも明らかである。そして、図7及び図9は、このA領域の抵抗が大きくなってしまうことを示している。また、回転点滅灯3の直上領域であるD領域では、空気の通り道が狭くなるために流速が早くなっている。更に、車体背後のG領域では、標識装置1が存在しない状態であれば空気が円滑に流れているが(図7)、標識装置1が存在する状態では、標識装置1後方で流速が急激に上昇し、部分的な渦の発生により抵抗が大きくなっている。なお、標識装置1は実際の製品形状を考慮し中空である場合を想定しているため、標識装置1の内部では渦を巻いている。
【0021】
これに対し、図1及び図2に示す構造によれば、図5に示すように、傾斜部5と標識装置1の間のB領域に渦が形成され、このB領域の上方で傾斜部5の上端近傍及び標識装置1の上端近傍を含む連続領域をC領域に円滑な流れが形成されるため、前方からの空気は標識装置1の上方へ流れることとなり、標識装置1に直接あたることが無い。そのため、空気抵抗が減少することになる。また、C領域における円滑な流れは、標識装置1の後方におけるE領域でも乱れることがなく(図5において流線が水平に保たれている)、更に、G領域においても傾斜部5に遮られて空気が流れなくなり渦が発生せず、その結果として、標識装置後方における渦の発生を防ぎ、車両が後方に引っ張られることもなくなる。更にまた、傾斜部5により前方からの空気流れの方向が変わり、A領域における空気抵抗も減少することがわかる。
【0022】
なお、図4〜図9は、流速分布を示したものであるが、車両にかかる空気抵抗の数値として算出した結果を表1に示す。また、標識装置1は既述のように中空であるが、中空であることの影響を確認するため、傾斜部5を設けることなく中空を塞いだ場合についても同様の数値計算を行い算出した空気抵抗値を、「底板付き」の場合として表1に併せて示す。更に、図4及び図5は、傾斜部5の前面7の角度が45度、車両走行速度が70km/hの場合に得られた結果であるが、角度を15度又は30度とし、車両走行速度を80km/h、90km/h、又は100km/hとした場合についても同様の数値計算を行い、算出された空気抵抗の数値を、表1に併せて示す。
【0023】
【表1】
【0024】
表1において、「現形状」は、標識装置1が実際の製品形状であることを想定したモデル、すなわち、図8及び図9に相当するモデルを意味する。この表1より、中空を塞ぐための底板のみを取り付けても全体の空気抗力はほとんど減少しないことが確認された。一方、傾斜部5を付けることにより空気抵抗が減少することが分かった。特に、傾斜部5の角度を45度とすれば、車両走行速度が70〜80km/hの場合、現形状の空気抵抗の7割もの抵抗減少が確認できた。ただし、走行車両速度が90〜100km/hの場合、現形状の抵抗値と比べると30〜40%程度の減少を見込めるものの、車両走行速度が70〜80km/hの場合よりも抵抗が大きくなることが確認された。従って、傾斜部5の角度は、標識装置搭載車両10の走行が想定される速度を考慮して調節する必要があり、例えば、走行速度が70〜80km/hとなることが想定される高速道路の巡回であれば、45度が適した角度ということになる。
【0025】
次に、この構造による空気抵抗低減の効果として燃費に与える影響を、以下に説明する。
燃費に与える影響は、標識装置1のみを備えた道路巡回車両と、この道路巡回車両と同じ車種で標識装置1を備えず総重量を同一とした(約300kgのブロックを搭載し重量を調整した)一般車両について、単位燃料当りの走行距離(以下、燃費という)を測定し、これら測定値に基づいて算出を行った。
【0026】
燃費の測定に必要なデータは、日立製作所株式会社製のダイアグモニタHDM−30000で採取し、そのデータから平均燃費を求めた。また、参考データとして、前記道路巡回車両と同じ車種で標識装置1を備えず総重量の調整も行わない一般車両のデータも採取した。ダイアグモニタで取得した主要なデータ項目を表2に、得られた結果を表3に示す。
【表2】
【表3】
【0027】
道路巡回車両と重量調整を行った一般車両では、平均燃費で1.506km/lの差があることが確認された。両車両の重量はほぼ同一で標識装置のみが車体形状の相違となることから、この状態で燃費を比べると標識装置1の空気抵抗により、燃費が16.455%悪化したことになる。一方、図1及び図2に示す空気抵抗低減構造を採用すると、既述のように、標識装置1の空気抵抗が低減されるため、燃費が向上することになる。そして、この空気抵抗低減構造を採用した場合の燃費は以下の式で求められる。
【数1】
【0028】
例えば、傾斜部5の前面7が屋根11に対し45度傾斜している場合の燃費は、9.152+((141.117−43.644)/141.117)×(10.658−9.152)より10.192km/lとなる。なお、参考までに、上記式(1)のR2を底板付標識装置の空気抵抗とした場合の燃費を求めると、9.152+((141.117−138.007)/141.117)×(10.658−9.152)より9.185km/lとなり、道路巡回車両の平均燃費9.152km/lとほとんど変わらない。表1に示す全ての場合について同様に算出した燃費を表4に、燃費の改善効果率を表5に示す。
【表4】
【表5】
【0029】
図1及び図2に示す構造において、傾斜部5は、前面7が所定の角度をなすよう屋根11に固定されている。しかしながら、上記のように、傾斜部5の角度は、標識装置搭載車両10の走行が想定される速度に応じて調整することが好ましい。また、既に標識装置が搭載されている車両に対しては、容易に取り付けられることが好ましい。そのような場合は、傾斜部5は、図10及び図11に示すように、基台と、この基台に角度調節自在に取り付けた傾斜板とで構成してもよい。なお、図10及び図11において、図1及び図2に示す構造と実質的に同一の部分には同符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0030】
図10及び図11に示す傾斜部15を構成する基台16は、屋根11の上を幅方向に渡しその両端縁16a、16bにおいて、屋根11の縁又はルーフバーに掛け止めて固定できるものとなっている。このような基台16の構造としては、例えば、公知のルーフキャリアと同じものを採用することができる。傾斜板17は、基台16から起立した支持部材18にねじ19を使用して固定されている。ねじ19の挿通孔20は、傾斜板17の長手方向に沿って所定の間隔を開けて複数穿設されており、ねじ19を挿通させる挿通孔20を選択的に使用することで角度調節を図ることができる。また、傾斜板17の屋根11に接する縁辺には弾性部材21が取り付けられ、屋根11に対し密着するようになっている。弾性部材21の材質に制限は無く、ゴム、ウレタンなどを適宜使用することができる。
【0031】
基台16や傾斜板17の材質にも制限は無く、十分な強度を有するものを適宜使用できるが、傾斜板17が透光性を有するものであれば、標識装置搭載車両10の前方からの、標識装置1の視認性を高めることができるという利点がある。
【符号の説明】
【0032】
1 標識装置
2 表示板
3 回転点滅灯
4 案内部
5、15 傾斜部
6 先端
7 前面
10 標識装置搭載車両
11 屋根
16 基台
17 傾斜板
18 支持部材
19 ねじ
20 挿通孔
21 弾性材
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速道路の管理者が使用する巡回車など、周囲の走行車両に対する注意喚起や警告表示を行うための標識装置を、普通自動車の屋根に取り付けて構成した標識装置搭載車両における、空気抵抗低減構造に関するものである。なお、本発明において普通自動車とは、道路交通法における、車両総重量5000kg未満、最大積載量3000kg未満、乗車定員10人以下の四輪車で、いわゆる乗用車に該当するものとする。
【背景技術】
【0002】
貨物車両において、トラクタのキャビンより高い荷箱を備えたトレーラが連結された場合、トラクタとトレーラとの段差により空気抵抗が大きくなる。空気抵抗の増大は、燃費に悪影響を及ぼすなどの問題があるため、この空気抵抗を低減するためのデフレクタがトラクタの屋根に搭載される。このデフレクタは、車体後方に向かって高さを増す傾斜面を備え、貨物車両走行時にはトラクタ上方の空気が傾斜面に沿って流れることから、トラクタとトレーラの段差部分における空気の衝突を防ぎ、空気抵抗を低減することができる。
【0003】
最近では、このデフレクタの性能や機能を向上させる手法も検討されており、例えば、特開平6−329053号公報には、走行中の空気抵抗を低減させる風案内姿勢と、キャビン外部への脱出空間を確保する脱出時姿勢とに変更可能なデフレクタが開示されている。また、特開2002−154462号公報には、形状を規制する金属棒材からなるフレーム部材に帆布を被装し軽量化したデフレクタが開示されている。更に、特開2007−1545号公報には、車幅方向に沿った回転軸を中心として回転自在に支持される前端部を中心としてルーフに対して傾動自在なパネル本体と、ルーフとパネル本体との間に配置され、ルーフの上面に対するパネル本体の傾斜角度を所定角度の範囲で調節する角度調節部とで構成され、トレーラを牽引した状態と牽引しない状態とのそれぞれにおいて空気抵抗の低減を図ることが可能なデフレクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−329053号公報
【特許文献2】特開2002−154462号公報
【特許文献3】特開2007−1545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、トレーラ等を牽引することが想定されていない普通自動車(いわゆる乗用車)は、通常、デフレクタのような装置の取り付けを行わなくとも、車体形状の最適化を図ることで空気抵抗を低減できる。ところが、高速道路の巡回監視を行うには、高速道路を走行する普通車両と同程度の速度で走行しながら、周囲の走行車両に対する注意喚起や警告表示を行う必要性があり、その用途のために普通自動車の屋根に標識装置を取り付けた場合、その車体形状の設計段階では想定されなかった空気抵抗の増加が生じることになる。
【0006】
そこで、本発明は、普通自動車の屋根に標識装置を取り付けて構成される標識装置搭載車両の空気抵抗低減構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る標識装置搭載車両の空気抵抗低減構造では、普通自動車の屋根に標識装置を取り付けて構成した標識装置搭載車両において、前記屋根の前記標識装置前方位置に、車両後方へ高さを増す傾斜部を設ける。そして、前方からの空気流発生時に、前記傾斜部と前記標識装置の間に渦流を形成し、前記渦流の上方に前記傾斜部の上端近傍及び前記標識装置の上端近傍を通る空気流を形成する。
【0008】
前記傾斜部は、前記屋根に対し、45度の傾斜角を有していることが好ましく、また、前記傾斜部の幅と、前記標識装置の幅の比が0.75であること、或いは、前記傾斜部の高さと、前記標識装置の高さの比が0.5であることが好ましい。更に、透光性を有することが好ましい。
【0009】
また、前記傾斜部は、前記屋根の上を幅方向に渡しその両端縁を前記屋根の縁に掛け止めて固定される基台と、前記基台に角度調節自在に取り付けた傾斜板とで構成してもよい。この場合、傾斜板は透光性を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る標識装置搭載車両の空気抵抗低減構造では、車両の走行により発生する前方からの空気流れの方向を傾斜部で変え、傾斜部と標識装置の間で渦流を形成することで、渦流の上方に、傾斜部の上端上方及び標識装置の上端上方を通る空気流を形成し、空気流が標識装置に直接当ることを防ぎ、空気抵抗を低減できる。また、前方からの空気流れの方向を傾斜部で変えることにより、屋根前縁近傍の空気抵抗も同時に低減できる。更に、標識装置の上端上方を通る空気流は乱れがなく流線が水平なものとなるため、標識装置後方における渦の発生を防止し、負圧による抵抗の発生を防止できる。
【0011】
傾斜部は、傾斜部と標識装置の間で渦流を形成するよう、その配置や形状を適宜調整することができるが、標識装置搭載車両の走行速度が70〜80kmと想定される場合は、屋根に対し45度の傾斜角を有することが好ましい。また、傾斜部の幅と標識装置の幅の比が0.75、傾斜部の高さと標識装置の高さの比が0.5であることが好ましい。更に、傾斜部が透光性を有するものであれば、標識装置搭載車両の前方からの、標識装置の視認性を高めることができる。
【0012】
また、傾斜部が、屋根の上を幅方向に渡しその両端縁を屋根の縁に掛け止めて固定される基台と、貴台に角度調節自在に取り付けた傾斜板とで構成されたものであれば、既存の標識装置搭載車両に容易に適用でき、しかも、標識装置搭載車両の走行が想定される速度に最適な角度とする調整を容易に行うことができる。この場合において、傾斜板が透光性を有するものであれば、標識装置搭載車両の前方からの、標識装置の視認性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る標識装置搭載車両の空気抵抗低減構造が適用された標識装置搭載車両の概観を示す側面図である。
【図2】同標識装置搭載車両における空気抵抗低減構造を拡大して示す平面図である。
【図3】数値解析の領域を示す側面図である。
【図4】傾斜部と標識装置を取り付けた場合における3次元流速分布図である。
【図5】図4においてZ座標が0となる縦断面の流速分布図である。
【図6】傾斜部と標識装置のどちらも取り付け無い場合における3次元流速分布図である。
【図7】図6においてZ座標が0となる縦断面の流速分布図である。
【図8】傾斜部を取り付けず標識装置のみを取り付け無い場合における3次元流速分布図である。
【図9】図8においてZ座標が0となる縦断面の流速分布図である。
【図10】傾斜部の他の実施形態を示す側面図である。
【図11】同実施形態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る標識装置搭載車両の空気抵抗低減構造の実施形態を図に示す。この構造は、排気量2000cc程度の四輪駆動乗用車、いわゆるレクリエーショナル・ビークル(RV)の屋根に標識装置を固定した標識装置搭載車両に適用されたものである。
標識装置搭載車両10の屋根11には、周囲の走行車両に対する注意喚起や警告表示を行うための標識装置1が取り付けられている。この標識装置1は、背面に「走行注意」など所定の文字列の複数を切り替えて表示する表示板2を備え、また、頂部には、回転点滅灯3を備えている。更に、前面には、前方からの空気流の方向を上方へ向けるための案内部4が設けられている。重量は約300kg、幅は1060mm、屋根11から回転点滅灯3の上端までの高さは1000mmである。
【0015】
更に、屋根11には、標識装置1前方位置に、車両後方へ高さを増す傾斜部5が設けられている。傾斜部5の材質は、十分な強度を有するものであればよいが、透光性を有するものであれば、標識装置搭載車両10の前方からの、標識装置1の視認性を高めることができるという利点がある。なお、傾斜部5の幅は800mm、屋根11から先端部6までの高さは500mm、前面7の屋根11に対する傾斜角は45度となっている。
【0016】
この構造による空気抗力低減効果を、数値解析による結果を参照しながら、以下に説明する。数値計算は、SolidWorks社の流体解析ソフトウェアFlow Simulationを用いて三次元形状(3Dモデル)を作成し、時間依存のナヴィエ-ストークス方程式を離散化し、計算メッシュ上で解く方法により行った。
【0017】
また、より適切な解を得るために信頼できる条件の下で、流れ計算中に、計算メッシュの再構成を自動的に行った。そして、時間依存方程式を使って定常問題を解くため、あらかじめ設定した範囲に収束する定常解(すなわち収束解)を得た時に計算を終了するものとした。なお、本数値解析では、標識装置の進行方向に対する空気抵抗を求めることが必要なため、計算領域に対して、圧力・速度・力などのエンジニアリングゴールを設定する必要がある。ここで、エンジニアリングゴールとは、様々な結果を得ることのできる解析結果から最も重要なものを選択することである。この数値解析では、エンジニアリングゴールの設定より、標識装置の進行方向に作用する空気抗力を結果として求めている。なお、一般設定条件として、解析タイプは外部流れ、流体は空気、流れタイプは層流及び乱流とし、車両走行速度条件は、70km/h、80km/h、90km/h、及び100km/hとした。
【0018】
数値解析の範囲は、図3に示すように、標識装置搭載車両10の上側半分を含む領域Rとした。そして、鉛直方向をX軸、水平方向をY軸、車体の幅方向をZ軸とし、それらの座標値の範囲は、X軸については上方を正として−500から4000まで、Y軸については後方を正として−50から1600まで、Z軸については後方に向かって右手側(紙面手前側)を正として−1000から1000までとした。なお、以後の説明においては、領域R内において、フロントガラスと屋根の境界近傍をA領域、傾斜部5と標識装置1の案内部4の間をB領域、B領域の上方で傾斜部5の上端近傍及び標識装置1の上端近傍を含む連続領域をC領域、回転点滅灯3の直上をD領域、標識装置1の上端近傍から後ろで地面からの高さが標識装置1よりも高くなる領域をE領域、標識装置1の後ろで地面からの高さが標識1よりも低くなる領域をF領域、車体背後をG領域とする。
【0019】
図4及び図5に、解析結果を示す。また、比較参考例として、傾斜部5及び標識装置1のどちらも取り付けられていない状態の解析結果を図6及び図7に、標識装置1のみを取り付けた状態の解析結果を図8及び図9に示す。なお、図4〜図9は、いずれも、車両走行時速70km/hとしたときの領域Rにおける空気の流れを速度として示したものであり、図5、図7及び図9は、Z座標が0となる縦断面における流速分布である。
【0020】
まず、図9が示すように、傾斜部5を設けず標識装置1のみを取り付けた場合、標識装置後方のF領域で空気の流れが乱れていることが分かる。このF領域では、速度が0km/hに近づくため、圧力が低下し進行方向とは逆に力が作用してしまい、車両が後方に引っ張られる状態となる。一方、フロントガラスと屋根の境界領域であるA領域では、速度が高くなっている。これは、車体の形状自体の特性であり、そのことは、7が示すように、標識装置1が取り付けられていない状態においても、A領域の速度が高くなっていることからも明らかである。そして、図7及び図9は、このA領域の抵抗が大きくなってしまうことを示している。また、回転点滅灯3の直上領域であるD領域では、空気の通り道が狭くなるために流速が早くなっている。更に、車体背後のG領域では、標識装置1が存在しない状態であれば空気が円滑に流れているが(図7)、標識装置1が存在する状態では、標識装置1後方で流速が急激に上昇し、部分的な渦の発生により抵抗が大きくなっている。なお、標識装置1は実際の製品形状を考慮し中空である場合を想定しているため、標識装置1の内部では渦を巻いている。
【0021】
これに対し、図1及び図2に示す構造によれば、図5に示すように、傾斜部5と標識装置1の間のB領域に渦が形成され、このB領域の上方で傾斜部5の上端近傍及び標識装置1の上端近傍を含む連続領域をC領域に円滑な流れが形成されるため、前方からの空気は標識装置1の上方へ流れることとなり、標識装置1に直接あたることが無い。そのため、空気抵抗が減少することになる。また、C領域における円滑な流れは、標識装置1の後方におけるE領域でも乱れることがなく(図5において流線が水平に保たれている)、更に、G領域においても傾斜部5に遮られて空気が流れなくなり渦が発生せず、その結果として、標識装置後方における渦の発生を防ぎ、車両が後方に引っ張られることもなくなる。更にまた、傾斜部5により前方からの空気流れの方向が変わり、A領域における空気抵抗も減少することがわかる。
【0022】
なお、図4〜図9は、流速分布を示したものであるが、車両にかかる空気抵抗の数値として算出した結果を表1に示す。また、標識装置1は既述のように中空であるが、中空であることの影響を確認するため、傾斜部5を設けることなく中空を塞いだ場合についても同様の数値計算を行い算出した空気抵抗値を、「底板付き」の場合として表1に併せて示す。更に、図4及び図5は、傾斜部5の前面7の角度が45度、車両走行速度が70km/hの場合に得られた結果であるが、角度を15度又は30度とし、車両走行速度を80km/h、90km/h、又は100km/hとした場合についても同様の数値計算を行い、算出された空気抵抗の数値を、表1に併せて示す。
【0023】
【表1】
【0024】
表1において、「現形状」は、標識装置1が実際の製品形状であることを想定したモデル、すなわち、図8及び図9に相当するモデルを意味する。この表1より、中空を塞ぐための底板のみを取り付けても全体の空気抗力はほとんど減少しないことが確認された。一方、傾斜部5を付けることにより空気抵抗が減少することが分かった。特に、傾斜部5の角度を45度とすれば、車両走行速度が70〜80km/hの場合、現形状の空気抵抗の7割もの抵抗減少が確認できた。ただし、走行車両速度が90〜100km/hの場合、現形状の抵抗値と比べると30〜40%程度の減少を見込めるものの、車両走行速度が70〜80km/hの場合よりも抵抗が大きくなることが確認された。従って、傾斜部5の角度は、標識装置搭載車両10の走行が想定される速度を考慮して調節する必要があり、例えば、走行速度が70〜80km/hとなることが想定される高速道路の巡回であれば、45度が適した角度ということになる。
【0025】
次に、この構造による空気抵抗低減の効果として燃費に与える影響を、以下に説明する。
燃費に与える影響は、標識装置1のみを備えた道路巡回車両と、この道路巡回車両と同じ車種で標識装置1を備えず総重量を同一とした(約300kgのブロックを搭載し重量を調整した)一般車両について、単位燃料当りの走行距離(以下、燃費という)を測定し、これら測定値に基づいて算出を行った。
【0026】
燃費の測定に必要なデータは、日立製作所株式会社製のダイアグモニタHDM−30000で採取し、そのデータから平均燃費を求めた。また、参考データとして、前記道路巡回車両と同じ車種で標識装置1を備えず総重量の調整も行わない一般車両のデータも採取した。ダイアグモニタで取得した主要なデータ項目を表2に、得られた結果を表3に示す。
【表2】
【表3】
【0027】
道路巡回車両と重量調整を行った一般車両では、平均燃費で1.506km/lの差があることが確認された。両車両の重量はほぼ同一で標識装置のみが車体形状の相違となることから、この状態で燃費を比べると標識装置1の空気抵抗により、燃費が16.455%悪化したことになる。一方、図1及び図2に示す空気抵抗低減構造を採用すると、既述のように、標識装置1の空気抵抗が低減されるため、燃費が向上することになる。そして、この空気抵抗低減構造を採用した場合の燃費は以下の式で求められる。
【数1】
【0028】
例えば、傾斜部5の前面7が屋根11に対し45度傾斜している場合の燃費は、9.152+((141.117−43.644)/141.117)×(10.658−9.152)より10.192km/lとなる。なお、参考までに、上記式(1)のR2を底板付標識装置の空気抵抗とした場合の燃費を求めると、9.152+((141.117−138.007)/141.117)×(10.658−9.152)より9.185km/lとなり、道路巡回車両の平均燃費9.152km/lとほとんど変わらない。表1に示す全ての場合について同様に算出した燃費を表4に、燃費の改善効果率を表5に示す。
【表4】
【表5】
【0029】
図1及び図2に示す構造において、傾斜部5は、前面7が所定の角度をなすよう屋根11に固定されている。しかしながら、上記のように、傾斜部5の角度は、標識装置搭載車両10の走行が想定される速度に応じて調整することが好ましい。また、既に標識装置が搭載されている車両に対しては、容易に取り付けられることが好ましい。そのような場合は、傾斜部5は、図10及び図11に示すように、基台と、この基台に角度調節自在に取り付けた傾斜板とで構成してもよい。なお、図10及び図11において、図1及び図2に示す構造と実質的に同一の部分には同符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0030】
図10及び図11に示す傾斜部15を構成する基台16は、屋根11の上を幅方向に渡しその両端縁16a、16bにおいて、屋根11の縁又はルーフバーに掛け止めて固定できるものとなっている。このような基台16の構造としては、例えば、公知のルーフキャリアと同じものを採用することができる。傾斜板17は、基台16から起立した支持部材18にねじ19を使用して固定されている。ねじ19の挿通孔20は、傾斜板17の長手方向に沿って所定の間隔を開けて複数穿設されており、ねじ19を挿通させる挿通孔20を選択的に使用することで角度調節を図ることができる。また、傾斜板17の屋根11に接する縁辺には弾性部材21が取り付けられ、屋根11に対し密着するようになっている。弾性部材21の材質に制限は無く、ゴム、ウレタンなどを適宜使用することができる。
【0031】
基台16や傾斜板17の材質にも制限は無く、十分な強度を有するものを適宜使用できるが、傾斜板17が透光性を有するものであれば、標識装置搭載車両10の前方からの、標識装置1の視認性を高めることができるという利点がある。
【符号の説明】
【0032】
1 標識装置
2 表示板
3 回転点滅灯
4 案内部
5、15 傾斜部
6 先端
7 前面
10 標識装置搭載車両
11 屋根
16 基台
17 傾斜板
18 支持部材
19 ねじ
20 挿通孔
21 弾性材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
普通自動車の屋根に標識装置を取り付けて構成した標識装置搭載車両において、
前記屋根の前記標識装置前方位置に、車両後方へ高さを増す傾斜部を設け、前方からの空気流発生時に、前記傾斜部と前記標識装置の間に渦流を形成し、前記渦流の上方に前記傾斜部の上端上方及び前記標識装置の上端上方を通る空気流を形成することを特徴とする標識装置搭載車両の空気抵抗低減構造。
【請求項2】
前記傾斜部は、前記屋根に対し、45度の傾斜角を有している請求項1に記載の標識装置搭載車両の空気抵抗低減構造。
【請求項3】
前記傾斜部の幅と、前記標識装置の幅の比が0.75である請求項1又は2に記載の標識装置搭載車両の空気抵抗低減構造。
【請求項4】
前記傾斜部の高さと、前記標識装置の高さの比が0.5である請求項1、2又は3に記載の標識装置搭載車両の空気抵抗低減構造。
【請求項5】
前記傾斜部が透光性を有する請求項1、2、3又は4に記載の標識装置搭載車両の空気抵抗低減構造。
【請求項6】
前記傾斜部は、前記屋根の上を幅方向に渡しその両端縁を前記屋根の縁又はルーフバーに掛け止めて固定される基台と、前記貴台に角度調節自在に取り付けた傾斜板とで構成されている請求項1、2、3又は4に記載の標識装置搭載車両の空気抵抗低減構造。
【請求項7】
前記傾斜板が透光性を有する請求項6に記載の標識装置搭載車両の空気抵抗低減構造。
【請求項1】
普通自動車の屋根に標識装置を取り付けて構成した標識装置搭載車両において、
前記屋根の前記標識装置前方位置に、車両後方へ高さを増す傾斜部を設け、前方からの空気流発生時に、前記傾斜部と前記標識装置の間に渦流を形成し、前記渦流の上方に前記傾斜部の上端上方及び前記標識装置の上端上方を通る空気流を形成することを特徴とする標識装置搭載車両の空気抵抗低減構造。
【請求項2】
前記傾斜部は、前記屋根に対し、45度の傾斜角を有している請求項1に記載の標識装置搭載車両の空気抵抗低減構造。
【請求項3】
前記傾斜部の幅と、前記標識装置の幅の比が0.75である請求項1又は2に記載の標識装置搭載車両の空気抵抗低減構造。
【請求項4】
前記傾斜部の高さと、前記標識装置の高さの比が0.5である請求項1、2又は3に記載の標識装置搭載車両の空気抵抗低減構造。
【請求項5】
前記傾斜部が透光性を有する請求項1、2、3又は4に記載の標識装置搭載車両の空気抵抗低減構造。
【請求項6】
前記傾斜部は、前記屋根の上を幅方向に渡しその両端縁を前記屋根の縁又はルーフバーに掛け止めて固定される基台と、前記貴台に角度調節自在に取り付けた傾斜板とで構成されている請求項1、2、3又は4に記載の標識装置搭載車両の空気抵抗低減構造。
【請求項7】
前記傾斜板が透光性を有する請求項6に記載の標識装置搭載車両の空気抵抗低減構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図10】
【図11】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図10】
【図11】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2010−195305(P2010−195305A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−44471(P2009−44471)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(505398952)中日本高速道路株式会社 (94)
【出願人】(593165487)学校法人金沢工業大学 (202)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(505398952)中日本高速道路株式会社 (94)
【出願人】(593165487)学校法人金沢工業大学 (202)
【Fターム(参考)】
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