説明

模擬銃用ルーレット式ターゲット装置

【課題】模擬銃の標的を構成するとともに、ゲームを楽しむこともできる模擬銃用ルーレット式ターゲット装置を提供する。
【解決手段】数字に代表される表示を回転面に複数個配列し、その表示を覆った標的片に弾丸が命中することにより表示を露出させることができるターゲット装置について、
装置本体の正面に開口部12を有する正面板13を具備し、係合部材との一時的係合によって駆動された後に自由に回転可能な回転表示板15を正面板の背後に配置し、回転表示板の表示の内の少なくとも1箇所の表示をあらわす窓口17を有し、他の表示を覆い隠す標的片16を上記正面板と回転表示板との間に配置し、上記標的片16の下部を前記開口部に配置して弾丸を受ける標的部18とし、落下した標的片を上記窓口に嵌め合わせるリセット機構を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、数字に代表される表示を回転面に複数個配列し、その表示を覆った標的片に弾丸が命中することにより表示を露出させることができる模擬銃用ルーレット式ターゲット装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エアソフトガンなどとも呼ばれる模擬銃は、例えば6mmの球状弾丸を使用し、若年層から青少年層あるいはそれ以上の年代層に渡って広く愛用され、それぞれの年代に応じた遊び方がなされている。模擬銃を対象としたターゲット装置には様々なものがあるが、多くは弾丸の命中を競う遊び方であり、標的を倒したり、弾き飛ばしたり、或いは孔をあけたりというようなものがほとんどであった。
【0003】
ターゲット装置の出願例としては例えば実開平6−80479号があり、それは中心部にほぼ三角形などの貫通口を開けた肉厚の回転基体を支持棒に回転可能にセットし、回転基体には標的を設けて、命中すると基体が回転し次の位置にて止まるという構成を有する。このためリセットの必要がないが、命中したかどうかが目的でありゲーム性はない。また特開2006−25851号のものは、遊戯ステーション上に設けたルーレット装置を備えているが、ルーレット装置それ自体は当選した遊戯者に払い出されるメダルの枚数を表示するに過ぎず、ゲームを構成するものではない。
【0004】
【特許文献1】実開平6−80479号
【特許文献2】特開2006−25851号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記の点に着目してなされたもので、その課題は、模擬銃の標的を構成するとともに、ゲームを楽しむこともできる模擬銃用ルーレット式ターゲット装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するため、本発明は数字に代表される表示を回転面に複数個配列し、その表示を覆った標的片に弾丸が命中することにより表示を露出させることができるターゲット装置について、
装置本体の正面に弾丸を当てる標的の一部を構成する開口部を有する正面板を具備し、
係合部材との一時的係合によって駆動された後に自由に回転可能な回転表示板を正面板の背後に配置し、
回転表示板の複数個の表示の内の少なくとも1箇所の表示をあらわす窓口を有するとともに、他の表示を覆い隠す標的片を上記正面板と回転表示板との間に配置し、
上記1個の表示をあらわす窓口を有する標的片の下部を前記開口部に配置し、弾丸を受ける標的部とするとともに、弾丸の命中により標的片が落下可能に上記標的部にて開口部の縁に係止し、落下した標的片を上記窓口に嵌め合わせるリセット機構を具備する
という手段を講じたものである(請求項1)。
【0007】
本発明の対象とするターゲット装置は、標的片に弾丸が命中することにより表示を露出させるものであり、その表示として数字を使用することができることからルーレット式というものである。回転表示板に一桁の数字だけを表示する場合、回転表示板が1個であれば当てる対象の数字は一桁つまり0〜9であり、回転表示板が2個であれば当てる対象の数字は0〜99となり、同様に3個の場合には0〜999となる。なお、回転表示板に一桁の数字だけを表示すると限定する必要はない。
【0008】
本発明の装置は、装置本体の正面に、弾丸を当てる標的の一部を構成する開口部を有する正面板を具備している。標的の一部とは命中する弾丸を通過させる部分のことである。回転表示板は上記正面板の背後に配置され、係合部材との一時的係合で駆動されることによって回転する、つまり一時的係合によって駆動された後に自由に回転可能になる。一時的係合で回転表示板に回転力が与えられ、その後回転表示板は自由回転可能となり、やがて偶然によって決まる位置で停止する。即ちゲーム性を有する。
【0009】
回転表示板の複数個の表示の内の少なくとも1箇所の表示をあらわす窓口を有するとともに、他の表示を覆い隠す標的片を上記正面板と回転表示板との間に配置する。ゲームなどを目的として本装置を使用するときに、当てる対象の表示だけを標的片の窓口に表わさせるためである。
【0010】
上記1個の表示をあらわす窓口を有する標的片の下部を前記開口部に配置し、弾丸を受ける標的部とするとともに、弾丸の命中により標的片が落下可能に上記標的部にて開口部の縁に係止する構成とする。従って、標的片は回転表示板面の表示が見えないように覆い隠しておくカバーであり、かつまた、実際に弾丸の命中する部分であるから、文字通り標的となる箇所である。
【0011】
弾丸の命中により落下した標的片を上記窓口に嵌め合わせるリセット機構を具備する。上記リセット機構は、回転表示板が複数個ある場合には、それら複数個の回転表示板の表示を覆う標的片を同時にリセットする方式を取ることができる。即ち回転表示板、回転表示板と係合する係合部材、回転表示板の表示をあらわす窓口は夫々複数個ずつ、窓口が横一列に並ぶように設け、複数個の係合部材が、それらを駆動機構により同時に駆動するように構成することができる(請求項2)。
【0012】
標的片は窓口の位置からの落下とその位置へのリセットと上下動を繰り返すものであるので、常に上下動位置にあるようにガイドを設けることができる。また、リセット操作には、リモコン(遠隔制御装置)を使用できることが望ましく、ターゲット装置の使用に当たっては、ターゲット装置全体を覆う回収ボックスを併用することが望ましい。
【0013】
回転表示板は所望の歯数を有する回転歯車を具備し、上記歯車に噛み合い、また離れるように設けられたラックの移動によって一時的に駆動され、その後自由回転可能に設けられている構成を取ることができる(請求項3)。
【発明の効果】
【0014】
本発明は以上のように構成されかつ作用するものであるから、模擬銃の標的として使用するとともに、ゲームを楽しむこともできる模擬銃用ルーレット式ターゲット装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下図示の実施形態を参照して本発明をより詳細に説明する。図1は、本発明の模擬銃用ルーレット式ターゲット装置10の一例を示すもので、発射された弾丸Bを回収するために、額縁状の正面開口を有する回収ボックス11とともに図示されている。本発明に係るターゲット装置10は、装置本体の正面に、弾丸を当てる標的の一部を構成する開口部12を有する正面板13を具備している。図示の例では、数字のみを表示14として回転面に複数個配列した回転表示板15を具備しており(図3参照)、従って開口部12も3箇所が横に並んで開口している。回転表示板15は、ルーレットでいえば回転円盤に相当する。
【0016】
本ターゲット装置10では、1個の回転表示板15に記載されている上記複数個の表示14のうちの1箇所の表示14だけをあらわす一方、他の表示14を覆い隠しておくために、標的片16を上記正面板13と回転表示板15との間に配置する。標的片16は、数字に適合した大きさと形状を有する窓口17を上部に形成し、弾丸Bを受ける凸状の標的部18を下部に設けた縦長板状の部材から成り、上記標的部18にて前記開口部12に配置されるとともに、弾丸Bの命中により落下可能に構成されている。18aは上記標的部下端を示しており、セット状態において開口部12の縁12aに係止し、標的片16により回転表示板15の表示14を覆い隠す状態を保つ(図1〜図4参照)。
【0017】
図において、19は保護カバーであり、正面板13の前面に配置されている。保護カバー19は開口部12と同位置に形成した前部開口19aを有しており、正面板13から浮かせて配置されるように、長く形成した取り付け軸20を四隅に有し、ボルトより成る取り付け具20aを用いて取り付けられている。
【0018】
本ターゲット装置10では、標的部18の下端18aを開口部12の掛け止め部12aに掛け止めるために、標的片16を、開口部12の後方から前方へ押す押圧部21を具備している。押圧部21は凸状の標的部18が開口部12に嵌まり込んでいる状態において、標的片16を前下方へ押す前上がりの斜面を持つ弾性部材22の先端部に設けられている。図示の弾性部材22はほぼU字型のトーションばねから成り、本体内部に吊り下げられた状態で取り付けられている。
【0019】
正面板13の後側には、標的片16の厚みよりもやや大きい間隔で中間板23を設置している。中間板23は正面板13との間の狭い空所24にて標的片16を上下方向へのみ移動可能に配置している。空所24を構成する正面板13と中間板23の両板面の間は、標的片16の最大厚みよりも大きいが、標的片受け部25に受け止められる標的片16が標的片受け部25から外れるほどではない程度の間隔に設定されている。
【0020】
中間板23の後側には、リセット板26が上下方向へ移動可能に配置されており、そのリセット板26に、上記の標的片受け部25が設けられている。標的片受け部25は標的片16を下部で支える突起から成り、その突起と同じ幅で中間板23に形成されている、上下方向のガイド溝27を通して正面板13と中間板23の間の空所24に突き出している。標的片受け部25は前下がりの傾斜面を有しており、この傾斜面により標的片16の下部を前上方へ向けている。
【0021】
中間板23の背後には裏面板28が設置されており、裏面板28は前部の正面板13及び保護カバー19と一体に結合され、全体として扁平な本発明のターゲット装置10の後面形状を形成する。裏面板28は、その下部上下に挿通孔29a、29bを有しており、その挿通孔29aには裏面板28の背後に設置されている、動力機構30に設けられたカム円盤31の軸31aが回転可能に配置され、また、挿通孔29bには上記動力機構30に設けられた後述する螺旋カム38の軸38aが回転可能に配置されている。
【0022】
さらに、カム円盤31には軸31aから所要半径にカムピン32が取り付けられ、カムピン32は前記リセット板26に形成された横長孔33と係合している(図6参照)。よって、カム円盤31の回転に伴いリセット板26を上下にスライドさせ、その標的片受け部25の前下がり傾斜面付近に載置されている標的片16をリセット位置まで上昇させるように設けられている(図7参照)。
【0023】
さらに本発明のターゲット装置10において、回転表示板15は所望の歯数を有する回転歯車34を具備し、上記回転歯車34に噛み合い、また離れるように設けられたラック体35の移動によって一時的に駆動され、その後、自由回転可能に設けられている。即ち、回転歯車34は軸34aによって本体に軸支されており、ラック体35は回転歯車34に噛み合うラック歯36を回転歯車34と同数個、間欠的に設けた構成を有している(図8以下参照)。
【0024】
図中、37はラック体付勢手段を示しており、図示の例では、ラック体35を長手方向に一方向付勢しているコイルばねより成る引きばねである。これに、前述の螺旋カム38が対抗しており、そのカム面38bにラック側摺動ピン35aが摺接しながら、回転軸38aに近い位置から離れた位置まで移動することによって、回転歯車34とラック歯36の係合と、回転表示板15の自由回転を行うように構成されている。
【0025】
裏面板28には受光基盤39が設けられており、リモコン40の操作によりリセットすることができる構成である。図中、13b、19bは、受光部39aに赤外光線を導く窓を示す。また、41は電源、42はモーター、43はギヤユニット、44はリセットスイッチを示す。なお、正面板13が装置設置面から所望の角度で後方へ傾斜して支えられるように、本ターゲット装置10に支え手段としての可動スタンドも使用される。
【0026】
上記のリセットスイッチ44はメインスイッチとは別に設けられており、図5に示したようにカム円板45の回転によりオン・オフされるもので、本体側に配置された正負1対より成るスイッチ片46と、カム円板45が待機状態(或いは回転の初期位置)にあるときに円板外周の6時方向の位置に形成した非加圧部47としての凹部と、それ以外の円板外周を利用する加圧部分48を有している。スイッチ片46は突起を有し、加圧部分48に押されてスイッチ片46同士が接触した時に通電状態になる。
【0027】
このように構成されている本発明の作動について次に説明する。本発明のターゲット装置10がセットされている作動状態において、標的片16は、凸状の標的部18が開口部12に嵌まり込んでおり(図7参照)、リセット板26は図7の状態から下降して図10の状態にある。従ってプレイヤーがエアソフトガンから発射した弾丸Bが上記標的部18に命中すると、開口部12の掛け止め部12aに掛け止められている標的部18の下端18aが命中の衝撃で外れ、標的片16は下位にあるリセット板26の上に落下するので、その窓口17に背後の回転表示板15に記載された表示14があらわれ、装置正面のプレイヤーに目視される。
【0028】
上記と同じ動作が標的片16の全てについてなされると、3箇所の窓口17には表示が並ぶことになり、図示の例では三桁の数字が表示されることになる。そこで、ゲーム参加者が開始に先立ってあらかじめ決めて置いた三桁の数字と、弾丸命中により窓口17にあらわれた数字とを比較し、的中者或いは窓口17にあらわれた数字に最も近い者を勝者として、得点を記録することを繰り返すようなゲームを行うことができる。表示14が図柄の場合には、図柄合せ、例えば同じ図柄がそろったかどうか或いは同じ図柄の個数などによって勝敗を決めることになる。
【0029】
すべての標的片16が弾丸命中により落下したら、リモコン40を用いてリセット操作を行う。リセット操作の開始により動力機構30が始動し、それによってカム円板48の1回転する間に、以下の全てのリセットが完了する。即ち、カム円盤31の回転によりリセット板26が上昇し、それとともに標的片16が上昇すると上端では押圧部21に接触し、下端では標的片受け部25に乗っている標的片16を前方へ押すことになる(図4参照)。その結果、凸状の標的部18が開口部12に嵌り込んで、標的片16のリセットを完了する。
【0030】
一方、動力機構30が始動すると螺旋カム38が回転し、その外周のカム面38bがラック側摺動ピン35aを介してラック体35を押し動かすことになり(図8)、ラック体35に設けられているラック歯36が回転歯車34と噛み合う作用をするようになる(図9)。即ち、上記ラック歯36と回転歯車34とは係合部材を構成しており、これらの一時的係合によって駆動された状態が起こり(図8)、その後自由回転に変わり(図9)、ラック体35の戻り時に噛み合い、任意の点で停止する(図10)。かくして上記回転歯車34と一体の回転表示板15が回転し、板面の表示14の回転位置がランダムに決まるものである(図1)。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る模擬銃用ルーレット式ターゲット装置の一例を示す斜視図である。
【図2】同上装置の保護カバーを外した斜視図である。
【図3】同上装置の構成部材を示すもので、Aは回転表示板の、Bは標的片の斜視図である。
【図4】同上装置の要部断面図である。
【図5】同上装置の動力部を示すブロック図である。
【図6】同上装置の作動に関して、標的片リセット前の状態を示す説明図である。
【図7】同じく作動に関して、標的片リセット中の状態を示す説明図である。
【図8】同じく作動に関して、回転表示板のリセット状態を示す説明図である。
【図9】同じく回転表示板のリセット中の状態を示す説明図である。
【図10】同じく回転表示板のリセットより復帰後の状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0032】
10 ターゲット装置
11 回収ボックス
12 開口部
13 正面板
14 表示(数字)
15 回転表示板
16 標的片
17 窓口
18 標的部
19 保護カバー
20 取り付け軸
21 押圧部
22 弾性部材
23 中間板
24 空所
25 標的片受け部
26 リセット板
27 ガイド溝
28 裏面板
29a、29b 軸孔
30 動力機構
31 カム円盤
32 カムピン
33 横長孔
34 回転歯車
35 ラック体
36 ラック歯
37 ラック体付勢手段
38 螺旋カム
39 受光基盤
40 リモコン
41 電源
42 モーター
43 ギヤユニット
44 リセットスイッチ
45 カム円板
46 一対のスイッチ片
47 非加圧部
48 加圧部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
数字に代表される表示を回転面に複数個配列し、その表示を覆った標的片に弾丸が命中することにより表示を露出させることができるターゲット装置であって、
装置本体の正面に弾丸を当てる標的の一部を構成する開口部を有する正面板を具備し、
係合部材との一時的係合によって駆動された後に自由に回転可能な回転表示板を正面板の背後に配置し、
回転表示板の複数個の表示の内の少なくとも1箇所の表示をあらわす窓口を有するとともに、他の表示を覆い隠す標的片を上記正面板と回転表示板との間に配置し、
上記1個の表示をあらわす窓口を有する標的片の下部を前記開口部に配置して弾丸を受ける標的部とするとともに、弾丸の命中により標的片が落下可能に上記標的部にて開口部の縁に係止し、落下した標的片を上記窓口に嵌め合わせるリセット機構を具備して成る
模擬銃用ルーレット式ターゲット装置。
【請求項2】
回転表示板、回転表示板と係合する係合部材、回転表示板の表示をあらわす窓口は夫々複数個ずつ、窓口が横一列に並ぶように設けられており、複数個の係合部材は、それらを駆動機構により同時に駆動するように構成された請求項1記載の模擬銃用ルーレット式ターゲット装置。
【請求項3】
回転表示板は所望の歯数を有する回転歯車を具備し、上記歯車に噛み合い、また離れるように設けられたラックの移動によって一時的に駆動され、その後自由回転可能に設けられている請求項1記載の模擬銃用ルーレット式ターゲット装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−35883(P2010−35883A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−203514(P2008−203514)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【出願人】(592153584)株式会社東京マルイ (29)