説明

横材取付用金具及び足場

【課題】容易に装着できるうえに安定性に優れた横材取付用金具を提供する。
【解決手段】複数段の階層が形成される直方体状の足場1の各段が、間隔を置いて並行に立設される脚柱11,11とその上部間を連結する横架材12とを有する建枠10と、横架材間に架け渡される足場板18と、長辺方向の脚柱間に架け渡される筋交い13とを備えており、その足場の脚柱から突出されるロックピン14に装着する手摺巾木兼用金具4である。
そして、脚柱に沿って延設される長尺状の本体部41と、ロックピンを挿通させるために本体部に穿孔される支持穴43と、本体部の下端に設けられて支持穴の貫通方向に平行する下段側の横架材12に被せられる係合部42と、本体部から突出されて手摺2A,2Bと巾木3A,3Bを取り付けるための手摺取付ピン44A,44Bと巾木取付ピン45A,46A,45B,46Bとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足場の安全設備である手摺、桟又は巾木などの横材を取り付けるために足場に装着される横材取付用金具、及びその横材取付用金具を使って横材が取り付けられた足場に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、門形の建枠と鋼製足場板と筋交いとによって直方体状の枠組が形成される足場に手摺を追加する際に、建枠の脚柱(建地)に装着される金具が知られている(特許文献1,2参照)。
【0003】
また、特許文献3,4に開示されているように、足場板の側縁に巾木を取り付けるために装着される金具も知られている。
【0004】
さらに、特許文献5には、既存の筋交いを利用して新たに桟を取り付けるための金具が開示されている。
【0005】
すなわち、既存の建枠には筋交いを取り付けるためのロックピンなどの突起物が設けられているが、筋交い取り付け以外に余分に設けられていないため、手摺や巾木などの横材を追加しようとすれば、横材取付用の金具を新たに装着する必要がある。
【0006】
一方、足場の安全性を向上させるために、従来から取り付けられていた筋交いや手摺に加えて、手摺、巾木、桟などを追加するように規制する動きがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭63−86249号公報
【特許文献2】特開2004−316157号公報
【特許文献3】特開2003−35034号公報
【特許文献4】特開2005−207061号公報
【特許文献5】特開2008−14097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら特許文献1に開示された金具は、筋交い用のロックピンを利用して金具を装着する構成になっているが、長尺状の金具の下端は固着ネジの締結力で脚柱に固定する構成になっているため、固着ネジを強く締め付ける必要があり、脚柱を傷つけるおそれがある。また、固着ネジが緩むと、金具の下端が脚柱の周りを回動してがたつくおそれがある。
【0009】
また、特許文献2,3,4に開示された金具は、金具の回動を抑制する構造とはなっておらず、ロックピンを挿通させる穴の遊びが大きかったり、U字状挟持手段が緩かったりするとがたつくおそれがある。
【0010】
さらに、特許文献5に開示された金具は、筋交いの途中に取り付けるものであるため、筋交いより低い位置に手摺や巾木を取り付けることができない。
【0011】
そこで、本発明は、容易に装着できるうえに安定性に優れた横材取付用金具、及びその横材取付用金具を使って横材が取り付けられた足場を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明の横材取付用金具は、上下方向に複数段の階層が形成される直方体状の足場の各段が、前記直方体の短辺方向に間隔を置いて並行に立設される脚柱とその脚柱の上部間を連結する横架材とを有する建枠と、前記直方体の長辺方向に間隔を置いて配置される複数の前記建枠の前記横架材間に架け渡される足場板と、前記長辺方向の前記脚柱間に架け渡される筋交いとを備えており、その足場の前記脚柱から前記短辺方向に突出されるロックピンに装着する横材取付用金具であって、前記脚柱に沿って延設される長尺状の本体部と、前記ロックピンを挿通させるために前記本体部に穿孔される支持穴と、前記本体部の下端に設けられて前記支持穴の貫通方向に平行する下段側の前記横架材に被せられる係合部と、前記本体部から突出されて横材を取り付けるための横材取付ピンとを備えたことを特徴とする。
【0013】
ここで、前記横材取付ピンは、前記支持穴の貫通方向及びそれに直交する方向の二方向に突出させることができる。また、前記横材取付ピンは、前記本体部の長手方向に間隔を置いて複数設けることもできる。
【0014】
さらに、前記係合部は、門形に形成されたカバー部と、そのカバー部と前記横架材との相対変位の発生を抑える固定手段とを備えた構成であってもよい。また、前記支持穴は、前記本体部の長手方向に間隔を置いて複数設けることができる。
【0015】
さらに、本発明の別の横材取付用金具は、上下方向に複数段の階層が形成される直方体状の足場の各段が、前記直方体の短辺方向に間隔を置いて並行に立設される脚柱とその脚柱の上部間を連結する横架材とを有する建枠と、前記直方体の長辺方向に間隔を置いて配置される複数の前記建枠の前記横架材間に架け渡される足場板と、前記長辺方向の前記脚柱間に架け渡される筋交いとを備えており、その足場の前記脚柱から前記短辺方向に突出されるロックピンに装着する横材取付用金具であって、前記脚柱に沿って延設される板状の本体部と、前記ロックピンを挿通させるために前記本体部に穿孔される支持穴と、前記本体部の上下方向の一方の端部に設けられて前記本体部とともに前記脚柱を囲み、前記本体部と対向する部分が開閉自在の係合バーによって形成される係合部と、前記本体部の上下方向の他方の端部に設けられて前記本体部から前記脚柱を挟むように延出される一対の側面板を有する補助係合部と、前記本体部から突出されて横材を取り付けるための横材取付ピンとを備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の足場は、上記いずれかの横材取付用金具が装着された足場であって、前記ロックピンには、前記支持穴を介して取り付けられる前記横材取付用金具と筋交いとが装着され、前記横材取付ピンを介して前記横材が取り付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
このように構成された本発明の横材取付用金具は、ロックピンに挿通させる支持穴を備えるとともに、本体部の下端に横架材に被せる係合部を備えている。
【0018】
このため、ロックピンを介して容易に装着できる。また、係合部は、横架材に被せる構成となっているため、安定性に優れている。
【0019】
また、横材取付ピンが二方向に突出されていれば、足場の二方向の辺に手摺や巾木などの横材を追加することができる。さらに、横材取付ピンを本体部の長手方向に間隔を置いて複数設けることで、異なる高さに横材を取り付けることができる。
【0020】
また、門形のカバー部と、横架材との固定手段とによって係合部を構成すれば、門形のカバー部を横架材に跨るように載置させることができるため、固定手段による拘束力が小さくても安定させることが可能である。
【0021】
また、支持穴が本体部の長手方向に間隔を置いて複数設けられていれば、ロックピンが突出されている高さが異なる様々な種類の建枠にも装着することが可能になる。
【0022】
さらに、本発明の別の横材取付用金具は、本体部の上下方向の端部に係合部と補助係合部とを備えている。
【0023】
このようにロックピンを挿通させる支持穴に加えて2箇所で脚柱に係合させるため、装着後の安定性に優れ、がたつきの発生を抑えることができる。また、係合部が開閉自在の係合バーによって形成されていれば、ボルトのように緩みが発生するおそれがない。
【0024】
さらに、ロックピンに取り付けられる筋交いと一緒に横材取付用金具を装着する構成であれば、既設の筋交いの数や位置を変更する必要がなく、足場の剛性を低下させるおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態の横材取付用金具の構成を説明する斜視図である。
【図2】直方体状の足場の長辺側を内側から見た正面図である。
【図3】図2のA−A方向で直方体状の足場の短辺側を見た側面図である。
【図4】横材取付用金具が装着された箇所を拡大して説明する側面図である。
【図5】図4のB−B方向で横材取付用金具が装着された箇所を見た正面図である。
【図6】実施例の横材取付用金具の構成を説明する斜視図である。
【図7】実施例の横材取付用金具が装着された箇所を拡大して説明する正面図である。
【図8】図7のC−C方向で横材取付用金具を見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0027】
図1は、本実施の形態の横材取付用金具としての手摺巾木兼用金具4の構成を説明する斜視図である。
【0028】
この手摺巾木兼用金具4は、図2,3に示すような、上下方向に複数段の階層が形成される直方体状の足場1に装着される。すなわち、この足場1は、複数の建枠10,・・・と、足場1の長辺方向に向けて建枠10,10の上部間に架け渡される鋼製の足場板18と、足場1の長辺側となる建枠10,10の側面間に架け渡されるX字状の筋交い13とによって直方体状に組み立てられる仮設足場である。
【0029】
そして、図2は足場1の長辺側を内側から見た正面図、図3は図2のA−A方向で見た足場1の短辺側を示した側面図である。この図2,3には、足場1の3段分の階層が図示されており、建枠10,・・・は、上下方向の3段に積み上げられるとともに、各段においては足場1の長辺方向に間隔を置いて複数の建枠10,・・・が配置されている。
【0030】
この建枠10は、図3に示すように、間隔を置いて並行に立設される脚柱11,11と、その脚柱11,11の上部間を連結する横架材12とによって略門形に形成される。
【0031】
また、脚柱11,11間には、図3に示すように妻手摺15が水平に架け渡されるとともに、脚柱11と横架材12との間が略J字状の補剛材16によって連結される。
【0032】
さらに、脚柱11の上端からは連結ピン11aが上方に向けて突出されている。この連結ピン11aには、図4に示すように、その上段に配置される建枠10の脚柱11の下端が挿入されて、上下の建枠10,10間が連結される。
【0033】
また、長辺方向に間隔を置いて配置された建枠10,10間には、足場板18が架け渡される。この足場板18は、図4,5に二点鎖線で示すように、端部にフック状の掴み金具181が設けられた床板である。この掴み金具181は、図3,5に示すように下段側の建枠10の横架材12に引っ掛けられ、上段側の床面を形成する。なお、図3及び図2に示すように、幅の異なる2枚の足場板18,18が並行に建枠10,10間に架け渡される。
【0034】
また、長辺側に間隔を置いて配置された建枠10,10間には、図2に示すようにX字状に筋交い13,13が架け渡される。さらに、筋交い13,13の下方においては、手摺巾木兼用金具4,4Aを使って横材としての手摺2Aと巾木3Aとが足場板18に平行に建枠10,10間に架け渡される。
【0035】
さらに、図3に示すように、足場1の長辺方向の端部に配置される建枠10の補剛材16,16の下方においては、手摺巾木兼用金具4,4を使って横材としての手摺2Bと巾木3Bとが横架材12に平行に脚柱11,11間に架け渡される。
【0036】
なお、ここでは手摺2A,2Bという名称にしたが、この手摺2A,2Bには下桟など桟と呼ばれるものも含まれる。
【0037】
また、この脚柱11には、図4に示すように筋交い13,13の下端部を取り付けるためのロックピン14が、短辺方向に向けて水平に突出されている。すなわち、図3に示すように、並行して立設される脚柱11,11のそれぞれに設けられるロックピン14,14は、建枠10の内側に向けてそれぞれ延出される。また、筋交い13,13の上端部は、図3に示すように、脚柱11の上部に突出されたロックピン14Aに取り付けられる。
【0038】
このロックピン14(14A)の先端には、バネの付勢力によって可動して出入りする三角形状のロック爪141がロック機構として設けられており、筋交い13の端部の穴をロックピン14に差し込むだけで装着後の脱落を防止することができる。
【0039】
そして、本実施の形態の手摺巾木兼用金具4は、このロックピン14に装着される。この手摺巾木兼用金具4は、図1に示すように、長尺板状の本体部41と、ロックピン14を挿通させるために本体部41に穿孔される支持穴43,43Aと、本体部41の下端に設けられる係合部42と、本体部41から突出されて手摺2A,2Bを取り付けるための横材取付ピンとしての手摺取付ピン44A,44Bと、本体部41から突出されて巾木3A,3Bを取り付けるための横材取付ピンとしての巾木取付ピン45A,45B,46A,46Bとを備えている。
【0040】
なお、この図1に示した手摺巾木兼用金具4は、図3の右側の脚柱11に装着される形態であり、図3の左側の脚柱11に装着される手摺巾木兼用金具4は、手摺取付ピン44B及び巾木取付ピン45B,46Bが、本体部41の反対側の側面から突出することになる。また、図2に示すように、足場1の中間部に配置される建枠10に装着される手摺巾木兼用金具4Aは、手摺取付ピン44A及び巾木取付ピン45A,46Aのみが本体部41から突出されており、手摺取付ピン44B及び巾木取付ピン45B,46Bは省略される。
【0041】
この本体部41は、図4に示すように脚柱11に沿って延設される部材で、2本の筋交い13,13の端部が取り付けられたロックピン14のロック爪141と筋交い13との間に介在可能な厚さに形成される。
【0042】
また、ここでは支持穴43,43Aを二つ設けているが、これは、建枠10の種類によってロックピン14の位置が異なるためで、この手摺巾木兼用金具4(4A)は、二種類のロックピン14の高さに対応させることができる。ここでは、支持穴43は、横架材12の上面から330mm程度の高さに設けられるロックピン用であり、支持穴43Aは、横架材12の上面から240mm程度の高さに設けられるロックピン用である。
【0043】
また、脚柱11にキーロック17などの突起物が設けられた種類の建枠10に対応できるように、本体部41のキーロック17に対向する位置には、挿入口47を貫通させておく。
【0044】
さらに、係合部42は、図1に示すように、門形に形成されたカバー部421と、カバー部421とそれを被せる横架材12との相対変位の発生を抑える固定手段としての滑止めボルト422とを有している。
【0045】
このカバー部421には、円筒状の横架材12の上面と両側面とを門形に囲む3面が形成されており、このカバー部421の貫通方向は、支持穴43,43Aの貫通方向と平行になる。
【0046】
また、図5に示すように、手摺巾木兼用金具4を脚柱11のロックピン14に装着すると、カバー部421の直交する3つの内面が横架材12に3箇所で当接することになる。
【0047】
さらに、滑止めボルト422は、カバー部421の内面側への突出量を回転によって調整し、先端を横架材12の側面に押し付けることによって相対変位の発生を抑える手段である。ここで、カバー部421は、横架材12に対して3箇所で当接する安定した装着性能を備えているため、滑止めボルト422による押し付ける力はそれ程大きなものとしなくてもよい。
【0048】
また、本体部41の支持穴43の上方から突出される手摺取付ピン44A,44Bは、支持穴43の貫通方向とそれに直交する方向との二方向に向けて突出されている。
【0049】
この支持穴43に挿通させるロックピン14は、元々、長辺側の筋交い13,13を装着するために設けられたものであり、そのロックピン14と平行になるように突出される手摺取付ピン44Aも、長辺側の手摺2Aの取り付けに使用される。
【0050】
また、この手摺取付ピン44Aに水平面内で直交する方向に突出される手摺取付ピン44Bは、短辺側の手摺2Bの取り付けに使用される。さらに、これらの手摺取付ピン44A,44Bの先端には、ロックピン14と同様のロック爪141がロック機構として設けられている。
【0051】
そして、これらの手摺2A,2Bは、筋交い13,13の交差部又は妻手摺15よりも低い位置に架け渡されるので、筋交い13,13又は妻手摺15と足場板18との隙間を遮ることができ、その間からの作業員の落下を防ぐことができる。例えば、手摺取付ピン44A,44Bは、横架材12の上面から390mm程度の高さに設けられる。
【0052】
また、本体部41の長手方向(上下方向)に間隔を置いて設けられる一対の巾木取付ピン45A,46Aは、図5に示すように、長辺側の巾木3Aの取り付けに使用される。
【0053】
さらに、この巾木取付ピン45A,46Aに水平面内で直交する方向に突出される巾木取付ピン45B,46Bは、短辺側の巾木3Bの取り付けに使用される。また、これらの巾木取付ピン45A,45B,46A,46Bの先端には、ロックピン14と同様のロック爪141がロック機構として設けられている。
【0054】
これらの巾木3A,3Bは、足場板18の側縁に立設されることになるため、足場板18上の資材や部品などの物の落下を防ぐことができる。
【0055】
次に、本実施の形態の手摺巾木兼用金具4の作用について説明する。
【0056】
このように構成された本実施の形態の手摺巾木兼用金具4(4A)は、ロックピン14に挿通させる支持穴43を備えるとともに、本体部41の下端に横架材12に被せる門形のカバー部421が設けられた係合部42を備えている。
【0057】
このため、カバー部421を横架材12に被せて脚柱11方向に手摺巾木兼用金具4をスライドさせれば、脚柱11から突出されたロックピン14が支持穴43に挿入されて容易に装着することができる。
【0058】
すなわち、ロックピン14には、脚柱11方向に挿入する際には抵抗とならず、脚柱11から離隔させる方向への移動に対してはストッパとなるロック爪141が設けられているので、本体部41の支持穴43をロックピン14に挿通させるだけで、手摺巾木兼用金具4を足場1に装着することができる。
【0059】
また、図5に示すように、横架材12の上に門形のカバー部421が跨るように載置されるため、本体部41の長手方向と横架材12の軸方向の双方に直交する方向(横架材12の水平面内の軸直交方向)への移動が、カバー部421を横架材12に被せただけで制限される。
【0060】
さらに、係合部42の横架材12の軸方向への移動も、滑止めボルト422を回して締め付けることで制限することができる。この方向の移動に対しては、横架材12とカバー部421の内面との3箇所の当接箇所も抵抗となるため、滑止めボルト422の先端を横架材12に押し当てる力の大きさは、それ程、大きくする必要がなく、その力によって横架材12を損傷させるおそれがほとんどない。なお、足場板10の掴み金具181によっても、係合部42の横架材12の軸方向への移動は制限される。
【0061】
また、本体部41の上部は支持穴43を介してロックピン14に支持され、本体部41の下端は横架材12に載置させる安定性に優れた係合部42によって支持されるので、手摺巾木兼用金具4が装着後にがたつくことはほとんどない。
【0062】
さらに、手摺取付ピン44A,44B及び巾木取付ピン45A,45B,46A,46Bが直交する二方向に突出されているので、足場1の長辺側と短辺側の二方向の辺に手摺2A,2B及び巾木3A,3Bを追加することができる。
【0063】
また、本体部41の上部に手摺取付ピン44A,44Bを設け、本体部41の下端付近に巾木取付ピン45A,45B,46A,46Bを設けることで、高さの異なる位置に二種類の横材を取り付けることができる。
【0064】
さらに、支持穴43,43Aが本体部41の長手方向に間隔を置いて複数設けられていれば、ロックピン14が突出されている高さが異なる様々な種類の建枠10にも装着することができ、汎用性を広げることができる。
【0065】
また、ロックピン14に取り付けられる筋交い13,13と一緒に手摺巾木兼用金具4を装着する構成であれば、既設の筋交い13,13の数や位置は変更されずに設計通りの剛性を得ることができるため、手摺や巾木の追加によって足場1の剛性を低下させるおそれがない。
【0066】
さらに、手摺取付ピン44A,44Bは、ロックピン14を挿入する支持穴43とは異なる位置に設けられているので、筋交い13の取り付け位置とは異なる任意の高さに手摺2A,2Bを新たに追加することができる。
【実施例】
【0067】
以下、前記した実施の形態とは別の形態の横材取付用金具としての手摺専用金具5について、図6−図8を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0068】
この実施例の手摺専用金具5は、矩形板状の本体部51と、ロックピン14を挿通させるために本体部51に穿孔される支持穴53と、本体部51の上端部に設けられる係合部52と、本体部51の下端部に設けられる補助係合部55と、本体部51から突出されて横材としての手摺2Aを取り付けるための横材取付ピンとしての手摺取付ピン54とを備えている。
【0069】
この本体部51の正面には、上部に手摺取付ピン54が面直交方向に向けて突出され、下部に支持穴53が穿孔されている。
【0070】
この支持穴53に挿通させるロックピン14は、図7に示すように、元々、長辺側の筋交い13,13を装着するために設けられたものであり、そのロックピン14と平行になるように突出される手摺取付ピン54も、足場1の長辺側の手摺2Aの取り付けに使用される。
【0071】
また、係合部52は、本体部51の上端部に設けられて本体部51の背面とともに脚柱11を囲むように形成されている。すなわち、本体部51の背面の上端側縁から、背面直交方向に一対の上端側面板521,521がそれぞれ延設され、本体部51と対向する部分には開閉自在の係合バー522が架け渡される。
【0072】
この上端側面板521は、図8に示すように矩形の鋼板で、筋交い13,13の2枚の厚さと脚柱11の直径と係合バー522の直径とを加算した長さよりも長く形成されている。
【0073】
また、上端側面板521の本体部51背面から筋交い13,13の2枚の厚さと脚柱11の直径とを加算した長さより離隔した位置には、係合バー522を挿通させる穴521aが穿孔されている。
【0074】
さらに、係合バー522には、両端に脱落防止機構として例えばロック爪141が設けられており、一方の上端側面板521の穴521aから係合バー522を挿入し、他方の上端側面板521の穴521aからロック爪141が設けられた先端を突出させることで、脚柱11を囲む四角形の枠が形成される。
【0075】
また、補助係合部55は、本体部51の下端部に設けられて本体部51の背面とともに脚柱11を平面視略コ字状に囲むように形成される。すなわち、図6に示すように、本体部51の背面の下端側縁から、背面直交方向に一対の下端側面板551,551がそれぞれ延設される。
【0076】
そして、上端側面板521と下端側面板551との間は、図6,8に示すように開放されているので、ロックピン14に筋交い13,13を装着しても、図7,8に示すように手摺専用金具5と干渉することなく取り付けをおこなうことができる。
【0077】
このように実施例の手摺専用金具5は、本体部51の上下方向の端部に係合部52と補助係合部55とを備えている。この係合部52は、脚柱11を平面視ロ字状に囲むように形成されており、補助係合部55は、脚柱11を平面視コ字状に囲むように形成されている。
【0078】
すなわち、ロックピン14を挿通させる支持穴53に加えて2箇所を係合させて脚柱11に対する回動を抑制させるうえに、手摺専用金具5の上端が脚柱11から離隔するのを係合バー522によって阻止するため、装着後の安定性に優れ、がたつきの発生を抑えることができる。
【0079】
また、係合部52は、ボルトを使わない差込み式の開閉自在の係合バー522によって形成されるため、ボルトで締め付けたときのように緩みが発生するおそれがない。
【0080】
さらに、ロックピン14に取り付けられる筋交い13,13と一緒に手摺専用金具5を装着する構成であるため、既設の筋交い13,13の数や位置を変更する必要がなく、足場1の剛性を低下させるおそれがない。
【0081】
また、手摺取付ピン54は、ロックピン14を挿入する支持穴53とは異なる位置に設けられているので、筋交い13の取り付け位置とは異なる任意の高さに手摺2Aを設けることができる。
【0082】
さらに、足場1に物の落下を防止するネットが張られている場合は、巾木3A,3Bを取り付けなくても物の落下は防止できるので、簡素な構成の手摺専用金具5を使うことによって、手摺2Aだけを簡単かつ経済的に追加することができる。
【0083】
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態と略同様であるので説明を省略する。
【0084】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態及び実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態及び実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0085】
例えば、前記実施の形態では、支持穴43,43Aは2箇所に設けたが、これに限定されるものではなく、装着を想定している足場の建枠のロックピン14の高さに応じて1箇所でも3箇所以上にしてもよい。
【0086】
また、前記実施例では、係合部52を上端に設け、補助係合部55を下端に設けたが、これに限定されるものではなく、ロックピン14を挿通させる支持穴53が本体部51の上部に設けられた場合は、係合部52を下端に設け、補助係合部55を上端に設ける構成であってもよい。
【0087】
さらに、前記実施の形態及び実施例では、三角形状のロック爪141について説明したが、これに限定されるものではなく、ロックピン14の側面に取り付けられ、軸方向と軸直交方向との間で回動可能なピンを軸直交方向に向けて停止させることができる回転式のロック機構又は差し込み式の抜止めピンなど、公知のロック機構又は抜け防止構造を適用することができる。
【0088】
また、前記実施の形態では、横材として手摺2A,2B及び巾木3A,3Bを手摺巾木兼用金具4によって取り付けたが、これに限定されるものではなく、横材として手摺を複数段にして取り付けることもできる。この場合は、手摺取付ピン44A,44Bとは高さの異なる手摺取付ピンを追加して手摺を追加することができる。また、巾木3A,3Bに替えて手摺を追加してもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 足場
10 建枠
11 脚柱
12 横架材
18 足場板
2A,2B 手摺(横材)
3A,3B 巾木(横材)
4,4A 手摺巾木兼用金具(横材取付用金具)
41 本体部
42 係合部
421 カバー部
422 滑止めボルト(固定手段)
43,43A 支持穴
44A,44B 手摺取付ピン(横材取付ピン)
45A,45B,46A,46B 巾木取付ピン(横材取付ピン)
5 手摺専用金具(横材取付用金具)
51 本体部
52 係合部
522 係合バー
53 支持穴
54 手摺取付ピン(横材取付ピン)
55 補助係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に複数段の階層が形成される直方体状の足場の各段が、前記直方体の短辺方向に間隔を置いて並行に立設される脚柱とその脚柱の上部間を連結する横架材とを有する建枠と、前記直方体の長辺方向に間隔を置いて配置される複数の前記建枠の前記横架材間に架け渡される足場板と、前記長辺方向の前記脚柱間に架け渡される筋交いとを備えており、その足場の前記脚柱から前記短辺方向に突出されるロックピンに装着する横材取付用金具であって、
前記脚柱に沿って延設される長尺状の本体部と、
前記ロックピンを挿通させるために前記本体部に穿孔される支持穴と、
前記本体部の下端に設けられて前記支持穴の貫通方向に平行する下段側の前記横架材に被せられる係合部と、
前記本体部から突出されて横材を取り付けるための横材取付ピンとを備えたことを特徴とする横材取付用金具。
【請求項2】
前記横材取付ピンは、前記支持穴の貫通方向及びそれに直交する方向の二方向に突出されていることを特徴とする請求項1に記載の横材取付用金具。
【請求項3】
前記横材取付ピンは、前記本体部の長手方向に間隔を置いて複数設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の横材取付用金具。
【請求項4】
前記係合部は、門形に形成されたカバー部と、そのカバー部と前記横架材との相対変位の発生を抑える固定手段とを備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の横材取付用金具。
【請求項5】
前記支持穴は、前記本体部の長手方向に間隔を置いて複数設けられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の横材取付用金具。
【請求項6】
上下方向に複数段の階層が形成される直方体状の足場の各段が、前記直方体の短辺方向に間隔を置いて並行に立設される脚柱とその脚柱の上部間を連結する横架材とを有する建枠と、前記直方体の長辺方向に間隔を置いて配置される複数の前記建枠の前記横架材間に架け渡される足場板と、前記長辺方向の前記脚柱間に架け渡される筋交いとを備えており、その足場の前記脚柱から前記短辺方向に突出されるロックピンに装着する横材取付用金具であって、
前記脚柱に沿って延設される板状の本体部と、
前記ロックピンを挿通させるために前記本体部に穿孔される支持穴と、
前記本体部の上下方向の一方の端部に設けられて前記本体部とともに前記脚柱を囲み、前記本体部と対向する部分が開閉自在の係合バーによって形成される係合部と、
前記本体部の上下方向の他方の端部に設けられて前記本体部から前記脚柱を挟むように延出される一対の側面板を有する補助係合部と、
前記本体部から突出されて横材を取り付けるための横材取付ピンとを備えたことを特徴とする横材取付用金具。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の横材取付用金具が装着された足場であって、
前記ロックピンには、前記支持穴を介して取り付けられる前記横材取付用金具と筋交いとが装着され、前記横材取付ピンを介して前記横材が取り付けられることを特徴とする足場。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−17197(P2011−17197A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162809(P2009−162809)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(303056368)東急建設株式会社 (225)
【出願人】(597105784)東建産業株式会社 (1)