説明

横送り搬送装置および横送り搬送方法

【課題】平板状の拡散体を一方向回転させているため、穀粒が流れたり、跳ねたりして拡散効率が低い。
【解決手段】搬送方向に長い機筐1A内に搬送体16を有する無端状のチェン17を設ける。機筐1Aの排出部10の下方には縦軸正逆往復移動する拡散体30Aを有する拡散装置30を設ける。拡散体30Aは、排出部10から落下する穀粒を受け止める平板状の受け止め部材33と該受け止め部材33の周縁に所定高さを有する堰き止め用起立部32を設けて構成し、前記堰き止め用起立部32には受け止め部材33上に受け止めた穀粒を飛散させる飛散誘導路34を構成する誘導樋を設けた横送り穀粒搬送装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、籾米、玄米、白米、小豆等の穀粒を、タンク・サイロ等搬送先貯留部に搬送する横送り搬送方法および横送り搬送装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送コンベアの終端に縦軸回転の回転部材を有する拡散装置を設けた構成は、公知である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−137782
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例は、単に、一定方向に受け止め部材を回転させているから、拡散効率が低いという課題がある。
即ち、回転部材により穀粒を拡散させるには、回転部材の上面と穀粒の摩擦抵抗により、回転部材の遠心力を穀粒に作用させる必要があり、そのため、回転部材への穀粒の供給量を減少させると、回転部材の遠心力の作用を受ける前に跳ね上がって落下し、また、供給量を増加させると、回転部材の上に層状になったうちの上方の穀粒は回転部材との摩擦抵抗が少なく、遠心力を受けずにそのまま滑り落ちてしまって、搬送先貯留部へ搬送するとき、搬送先貯留部の上部中央に山が形成されて、充填効率が低くなる。
本願は、排出部から落下する穀粒に効率よく遠心力を付与して、搬送先貯留部内へ拡散落下させ、搬送先貯留部の充填効率を向上させたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、少なくとも底板2と該底板2の左右両側の側板3を有して搬送方向に長く形成した機筐1Aの上方所定位置に供給部5を設け、該供給部5から所定距離おいた機筐1Aに落下口8を有する排出部10を設け、前記供給部5と前記排出部10の間に穀粒を搬送する搬送体16を有する無端状のチェン17を設け、前記排出部10の下方には縦伝達軸31により該縦伝達軸31を中心に縦軸正逆往復移動する拡散体30Aを有する拡散装置30を設け、前記拡散体30Aは、排出部10から落下する穀粒を受け止める平板状の受け止め部材33と該受け止め部材33の周縁に所定高さを有する堰き止め用起立部32を設けて構成し、前記堰き止め用起立部32には受け止め部材33上に受け止めた穀粒を飛散させる飛散誘導路34を構成する誘導樋45を設けた横送り穀粒搬送装置としたものである。
請求項2の発明は、前記拡散体30Aは略円形の受け止め部材33の中心に縦伝達軸31の下部を固定し、受け止め部材33の周縁に上方に起立する堰き止め用起立部32を形成し、該堰き止め用起立部32には前記縦伝達軸31の軸周り方向に所定間隔をおいて開口部41を複数設け、各開口部41に前記誘導樋45の基部を固定した横送り穀粒搬送装置としたものである。
請求項3の発明は、前記縦伝達軸31の軸周り方向に複数設けた各誘導樋45は、前記受け止め部材33より放射方向に突出する長さを夫々相違させて形成した横送り穀粒搬送装置としたものである。
請求項4の発明は、前記排出部10は、機筐1Aの落下口8の下方に下向き傾斜の落下誘導樋50を設け、落下誘導樋50の傾斜板52の下方に前記拡散体30Aを臨ませた横送り穀粒搬送装置としたものである。
請求項5の発明は、前記落下誘導樋50の傾斜板52の傾斜の延長線S上近傍に、前記受け止め部材33と前記縦伝達軸31との取付部分Tを臨ませて構成した横送り穀粒搬送装置としたものである。
請求項6の発明は、前記機筐1Aは、該機筐1Aの長さ方向の略中間部分に供給部5を設け、機筐1Aの長さ方向の両端部に落下口8を有し所定位置に設けた搬送先貯留部35の上方に臨ませて前記排出部10を設け、前記機筐1A内の搬送コンベア11は一対の無段階回転変更自在の駆動モータ14により正逆回転可能に構成し、機筐1Aの両端の夫々に設けた排出部10の何れかに向けてチェン17の搬送体16により搬送するように構成し、前記拡散装置30は縦伝達軸31の上部を機筐1Aの両端側に軸装し、機筐1Aの両端側に設けた拡散用モーター55により駆動するように設けた横送り穀粒搬送装置としたものである。
請求項7の発明は、搬送方向に長い機筐1Aの供給部5に穀粒を供給し、機筐1A内の搬送コンベア11の搬送チエン17の搬送体16により排出部10に向けて搬送し、排出部10から落下する穀粒を、拡散体30Aの受け止め部材33および受け止め部材33の周縁の堰き止め用起立部32により受け止め、拡散体30A上の穀粒に縦伝達軸31により該縦伝達軸31を中心とする縦軸正逆往復移動により遠心力を付与して飛散誘導路34から搬送先貯留部35内に拡散供給する横送り搬送方法としたものである。
請求項8の発明は、前記受け止め部材33の縦軸正逆往復移動により穀粒に縦軸の軸周り方向の回転力を付与し、軸周り方向に穀粒を移動させて各誘導樋45から飛散させる横送り搬送方法としたものである。
請求項9の発明は、前記受け止め部材33の周縁の夫々長さおよび/または幅の相違する複数設けた各誘導樋45から、放射方向への飛散距離を変化させて拡散落下させる横送り搬送方法としたものである。
請求項10の発明は、機筐1Aの排出部10に設けた落下誘導樋50により、排出部10の落下口8の真下から外れた位置にある拡散体30Aに向けて穀粒を流下させ、拡散体30Aの受け止め部材33および誘導樋45により搬送先貯留部35内に拡散供給する横送り搬送方法としたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、落下する穀粒を一定量受け止める拡散体30Aを、縦伝達軸31により該縦伝達軸31を中心とする縦軸正逆往復移動させるので、穀粒は拡散体30Aの遠心力を受けて誘導樋45から放射方向に飛散し、搬送先貯留部35内に拡散落下させることができる。
請求項2の発明では、拡散体30Aを、略円形の受け止め部材33の周縁に軸周り方向に複数誘導樋45を設けているので、受け止めた穀粒を各誘導樋45から効率よく放射方向に飛散させ、搬送先貯留部35内に拡散落下させることができる。
請求項3の発明では、縦伝達軸31の軸周り方向に複数設けた各誘導樋45は、受け止め部材33より放射方向に突出する長さおよび/または幅を夫々相違させて形成しているので、飛散距離および飛散量を相違させることができ、拡散効率を向上させることができる。
請求項4の発明では、排出部10に機筐1Aの落下口8の下方に下向き傾斜の落下誘導樋50を設けているので、排出部10から落下する穀粒を拡散装置30の拡散体30Aに確実に誘導でき、拡散効率を向上させることができる。
請求項5の発明では、排出部10から落下する穀粒の拡散体30Aの中央部分への誘導を効率よく行えて、拡散効率を向上させることができる
請求項6の発明では、中央から両端の排出部10に搬送する機筐1Aに、拡散装置30を一体状に取り付けているので、機筐1Aの設置を容易にでき、設置した機筐1Aはチェン17の搬送体16により搬送するから、仮に、チェン17あるいは搬送体16が破損しても、部品交換等のメンテナンス作業を機筐1Aの設置場所で行うことができ、メンテナンスのための機筐1Aの移動作業を不要にできるため、メンテナンス作業全般を容易にできる。特に、高所等のように機筐1A全体の移動が困難な設置条件での、メンテナンス作業を一層容易にできる。
請求項7の発明では、拡散体30Aの受け止め部材33および堰き止め用起立部32により落下する穀粒を受け止めて拡散させることができるので、機筐1Aの搬送量が多くても対応でき、搬送効率を向上させることができる。
また、堰き止め用起立部32により受け止め部材33の真下に落下する穀粒量を減少させて拡散効果を向上させることができる。
請求項8の発明では、拡散体30Aの縦軸正逆往復移動の軸周り方向の回転力を穀粒に与えるので、誘導樋45に対面していない穀粒も遠心力と相俟って、誘導樋45と対面して飛散させることができ、飛散効率を向上させるだけでなく、穀粒の残留減少も防止する。
また、堰き止め用起立部32の内側面への糠等の付着を抑制でき、メンテナンス作業を減少させ、メンテナンス作業を容易にすることができる。
請求項9の発明では、飛散距離を相違させて穀粒を落下させるので、拡散効率を向上させることができる。
請求項10の発明では、落下誘導樋50が排出部10から落下する穀粒を拡散装置30に誘導でき、拡散効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】横送り搬送装置の一部省略側面図。
【図2】同平面図。
【図3】同断面図。
【図4】上方移動状態の搬送体の分解斜視図。
【図5】横送り搬送装置の排出部付近の側面図。
【図6】拡散装置の受け止め部材および誘導樋の一部斜視図。
【図7】同断面図。
【図8】同平面図。
【図9】排出部の平面図。
【図10】拡散装置の作用状態図。
【図11】拡散体の他の実施例の側面図。
【図12】拡散体の他の実施例の側面図。
【図13】拡散体の他の実施例の平面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図面は、本発明の一実施態様を示し、その構成を図面について説明すると、1は籾米、玄米、白米、小豆等の粉粒体や茶葉等の葉状体(茎葉体)の搬送物を横送り搬送しうる搬送装置であり、搬送装置1は機筐1A内に搬送コンベア11を設けている。
搬送装置1および搬送コンベア11の構成は任意であるが、一例を示すと、機筐1Aは、底板2と底板2の左右両側に側板3を設けて構成し、機筐1Aは略水平方向に長く形成し、機筐1Aの上方所定位置に供給部5を設け、該供給部5から所定距離おいた機筐1Aに落下口8を有する排出部10を設け、前記供給部5と前記排出部10の間の底板2上を移動する搬送体16を有する無端状のチェン17を設ける。
搬送装置1は、少なくとも、機筐1Aの長さ方向の一方側に供給部5を、他方側に排出部10を設ければ良いが、 実施例では、機筐1Aの全長の中間所定位置の上方位置に供給部5を設け、機筐1Aの両端側には夫々落下口8を有する排出部10を設けている。
【0009】
供給部5は上部に投入口7を、下部に供給口9を夫々設けて構成する。
実施例の前記搬送コンベア11は機筐1Aの長さ方向の両端に夫々スプロケット12を回転軸13により軸装し、各回転軸13には無段階に回転変更自在の駆動モータ14を夫々設け、何れか一方の駆動モータ14に通電して、何れか一方のスプロケット12を駆動し、他方のスプロケット12は自由回転とし、何れか一方の排出部10に穀粒を搬送し、反対に、何れか他方の駆動モータ14に通電すると、何れか他方のスプロケット12を駆動し、一方のスプロケット12を自由回転とし、何れか他方の排出部10に穀粒を搬送する。
前記一対のスプロケット12には搬送体16を有する前記チェン17を掛け回している。
【0010】
前記チェン17は、図4のように、前後方向の両側リンク18をピン19により連結して無端状に形成し、前記両側リンク18のうち所定のものの左右両側には進行方向に対して交差方向に突出する突出部20を設け、突出部20により前記搬送体16を構成する。前記搬送体16のうち所定個数を置いて特定の搬送体16の各突出部20には、ウレタンゴム等より形成した弾性掻落し体21を取付ける。22は固定具である。
前記弾性掻落し体21は、機筐1Aの底板2の上面に摺接して移動するように構成する。また、弾性掻落し体21は機筐1Aの左右側板3に近接または摺接させて移動するように構成する。
【0011】
しかして、前記排出部10の下方には穀粒を拡散させる拡散装置30の拡散体30Aを設ける。拡散体30Aは、周縁に堰き止め用起立部32を設けた受け止め部材33で穀粒を受け止め、周縁の堰き止め用起立部32と受け止め部材33により受け止めた穀粒に、縦伝達軸31により該縦伝達軸31を中心とする縦軸正逆往復移動(縦軸正逆往復回動)によって生じる遠心力と受け止め部材33を回動させる縦伝達軸31の軸周り方向の回転力を作用させて、飛散誘導路34からタンク・サイロ等の搬送先貯留部35内に拡散落下させ、搬送先貯留部35の充填効率を向上させる。
【0012】
拡散体30Aの受け止め部材33の縦軸正逆往復移動により生じる遠心力を穀粒に与えるには、穀粒と受け止め部材33との接触摩擦抵抗が生じることが必要であるが、受け止め部材33上に高く層状に穀粒が重なると、上方の穀粒ほど摩擦抵抗が減少し、遠心力の作用よりも重力の作用が大きく影響して上方の穀粒は遠心力による飛散する前に落ちてしまうから、単に、排出部10の下方に遠心力を発生させる回転体を設けても、搬送先貯留部35の中心近くに穀粒が落下してしまって、搬送先貯留部35の中心より遠くに拡散せず、搬送先貯留部35の上方部分では中央のみが高い山形状になって充填効率が低くなる。
【0013】
本願は、受け止め部材33と該受け止め部材33の周縁の堰き止め用起立部32により拡散体30Aを構成し、拡散体30Aにより排出部10からの穀粒を一旦受け止めるので、拡散体30Aからそのまま落ちる穀粒量を減少させ、拡散体30Aが受け止めた穀粒との接触抵抗を大きくし、縦軸正逆往復移動により生じる遠心力を効率よく付与することに着目し、受け止めた穀粒に遠心力を付与して、飛散誘導路34から放射方向に飛散させ、搬送先貯留部35内に放射方向および水平方向に拡散させながら落下させる。
したがって、搬送先貯留部35の上部でも、全面に略均等に穀粒を充填できる。
また、拡散体30Aの堰き止め用起立部32の存在は、単に穀粒に遠心力を与えても、遠心力により放射方向に移動する穀粒が堰き止め用起立部32の内側面に当接すると、そのまま堰き止め用起立部32の内側面に穀粒を押し付けるように作用し、押し付けられた穀粒は移動せず、放射方向に飛散させられないことがあるが、本願の拡散体30Aは、受け止め部材33上の穀粒に遠心力と共に、正逆往復移動により縦伝達軸31の軸周り方向の回転力を穀粒に付与するので、受け止め部材33上の穀粒は縦伝達軸31の軸周り方向にも移動し、飛散誘導路34への流入を円滑・確実にし、堰き止め用起立部32の内側面への穀粒の張り付きを防止して拡散効率を向上させる。
【0014】
受け止め部材33は円形の平板状部材により形成し、受け止め部材33の中心に縦回転軸縦伝達軸31の下部を固定し、受け止め部材33の周縁に上方に起立する堰き止め用起立部32を形成する。堰き止め用起立部32には前記縦伝達軸31の軸周り方向に所定間隔をおいて開口部41を複数設ける。
受け止め部材33の周縁には、受け止め部材33上に受け止められた穀粒を飛散させる飛散誘導路34を、前記開口部41に連設して設ける。飛散誘導路34は、該受け止め部材33の回転中心より放射方向に伸びるように形成する。飛散誘導路34は、終始略同一所定幅の誘導樋45により構成する。誘導樋45は、受け止め部材33の堰き止め用起立部32の各開口部41に誘導樋45の基部を固定し、誘導樋45の先端は放射方向に突出させて構成する。
誘導樋45は、終始略同一所定幅の底板部46と該底板部46の両側部に起立させた起立部47により形成する。誘導樋45は、縦伝達軸31の軸周り方向に複数設ける。
【0015】
この場合、複数設ける各誘導樋45は、受け止め部材33より放射方向に突出する長さを夫々相違させて形成すると、受け止め部材33から放射方向への飛散距離を変化させられ、落下する際の拡散効率を向上させることができ、好適である。
実施例では、平面視縦伝達軸31の軸周り方向に互いに略直角に位相を変えるように、長誘導樋45Aを4個設け、隣接する長誘導樋45Aの間に二つの短誘導樋45Bを設け、飛散距離の変化に規則性を持たせて、縦伝達軸31の回転数を含めた各種条件設定を容易にしている。
また、図13の実施例では短誘導樋45Bの数を増やしているが、反対に、長誘導樋45Aの数を増やしても良い。
このように、拡散装置30の拡散体30Aは、搬送先貯留部35を基準に設定される搬送装置1による穀粒の搬送量と、搬送先貯留部35の内径および受け止め部材33の外径と、堰き止め用起立部32の高さと、飛散誘導路34の長さおよび幅とを相対的に、穀粒が所定量滞留しつつ拡散するように設定する。
例えば、図11の実施例では、拡散体30Aの堰き止め用起立部32の高さを受け止め部材33の直径に対して高くし、図12の実施例では受け止め部材33の直径に対して飛散誘導路34の長さを長くしたものである。
【0016】
また、同様に、受け止め部材33の正逆往復移動(回動)の振幅幅および振幅数も、前記諸条件により設定する。例えば、長誘導樋45Aが30度あるいは90度移動すると、受け止め部材33を反転させ、あるいは、長誘導樋45Aが360度一周してから、受け止め部材33を反転させる等、諸条件に合わせて設定する。
なお、拡散体30Aは、受け止め部材33および堰き止め用起立部32を、排出部10からの穀粒を所定量受け止められればよく、堰き止め用起立部32から穀粒が溢れて落下するのを妨げるものでもなく、堰き止め用起立部32から溢れて落下する穀粒量より、受け止め部材33の放射方向に飛散する穀粒量が所定割合多くなるように設定すれば、効率よく、拡散落下させられる。
しかして、前記排出部10は、機筐1Aの落下口8の下方に下向き傾斜の落下誘導樋50を設けて構成し、落下誘導樋50は落下流動方向を基準に左右の側板51と傾斜板52により形成する。この落下誘導樋50の先端下方に前記拡散装置30を臨ませる。
【0017】
拡散体30Aの受け止め部材33上の穀粒は少量でも、受け止め部材33の縦軸正逆往復移動による遠心力および軸周り方向の回転力を受けて、誘導樋45から飛散されるが、受け止め部材33は縦伝達軸31の下部に設けられ、縦伝達軸31の上部に駆動回転伝達機構を設ける必要から、拡散体30A全体は排出部10の落下口8の真下から外れたところに位置する。
そのため、落下誘導樋50により排出部10から排出される穀粒を拡散体30Aの特に受け止め部材33に誘導し、拡散体30A全体(全面)で穀粒を受け止め、拡散落下するように配置構成する。
この場合、受け止め部材33と縦伝達軸31との取付部分Tに向けて穀粒が落下するように構成すると、好適であった。
即ち、落下誘導樋50の傾斜板52の傾斜の延長線Sの近傍に受け止め部材33と縦伝達軸31との取付部分Tを設けると(図5)、拡散体30Aの全面にバランス良く穀粒が受け止められて飛散する。
【0018】
縦伝達軸31の上部は、機筐1Aの両端に設けた取付部56に軸装し、拡散装置30の両端の取付部56に設けた拡散用モーター55により駆動するように設け、縦伝達軸31の下部は落下誘導樋50から所定間隔をおいて配置し、落下誘導樋50の先端下方に拡散体30Aを臨ませる。
換言すると、拡散体30Aの誘導樋45のうちの一方側の誘導樋45は落下誘導樋50の傾斜板52の下方に位置し、他方側の誘導樋45は落下誘導樋50の傾斜板52の下方以外に位置する。
拡散用モーター55の回転を拡散体30Aが縦軸正逆往復移動するように伝達させる駆動伝達機構の構成は任意であるが、一例を示すと、拡散用モーター55の出力軸58を取付部56の上方に突出させ、出力軸58に回転アーム59の基部を取付ける。縦伝達軸31の上部には回動アーム60を設け、回動アーム60と回転アーム59とをロッド61により連結し、回転アーム59の回転運動を回動アーム60の往復運動に変換すればよい。
また、拡散装置30の拡散体30Aは、機筐1Aの搬送先の搬送先貯留部35の上方に臨ませる。
61は縦伝達軸31の外周に設けた保護カバーである(図1)。
【0019】
(実施例の作用)
次ぎに作用を述べる。
機筐1Aの両端に設けた一対の駆動モータ14のうち何れか一方に通電すると、通電された駆動モータ14により回転するスプロケット12が駆動スプロケット12となって、搬送コンベア11の搬送体16を一方側の排出部10に向けて循環移動させ、この状態で中央の供給部5から機筐1Aに穀粒を供給すると、穀粒は搬送体16により一方側の排出部10に向けて搬送され、一方側の排出部10の下方に設けた搬送先貯留部35に落下して貯留される。
また、一対の駆動モータ14のうち何れか他方の駆動モータ14に通電すると、通電された駆動モータ14により回転するスプロケット12が駆動用スプロケットとなって、搬送コンベア11の搬送体16を他方側の排出部10に向けて移動させ、中央の供給部5から機筐1Aに供給された穀粒は搬送体16により他方側の排出部10に向けて搬送され、他方側の排出部10の下方に設けた搬送先貯留部35に落下して貯留される。
【0020】
しかして、各排出部10の下方には、排出部10から落下する穀粒を一定量受け止めて拡散させる拡散体30Aを有する拡散装置30を設けているから、搬送先貯留部35内に穀粒は均等に拡散落下して、充填効率を向上させる。
拡散装置30は、縦軸正逆往復移動する拡散体30Aを有し、拡散体30Aは略円形の受け止め部材33の中心に縦伝達軸31の下部を固定し、受け止め部材33の周縁に上方に起立する堰き止め用起立部32を設けて構成しているから、排出部10から落下した穀粒は一旦拡散体30Aの受け止め部材33の上面に落ち、落ちた穀粒は堰き止め用起立部32により受け止め部材33から落下するのが堰き止められ、拡散体30Aにて受け止められる。
【0021】
拡散体30Aは、受け止め部材33の周縁に、受け止め部材33上に受け止められた穀粒を飛散させる飛散誘導路34を、前記縦伝達軸31の軸周り方向に複数設けているから、受け止め部材33の上の穀粒は、縦軸正逆往復移動する受け止め部材33による遠心力を受けて、飛散誘導路34から放射方向に飛散し、搬送先貯留部35内に拡散しながら落下する。
単に、拡散体30Aの受け止め部材33上に穀粒を落下させても、縦軸正逆往復移動している受け止め部材33の上面と接触して生じる遠心力の作用を受ける前に跳ねたり、あるいは、滑って崩れたりして受け止め部材33の直ぐ下方に落下してしまって、拡散体30A(受け止め部材33)の真下に落下する穀粒量が増加して拡散させられないが、本願では拡散体30Aの受け止め部材33の周縁に堰き止め用起立部32を設けて落下する穀粒を一旦受け止めるので、受け止め部材33との接触抵抗を大きくし、受け止め部材33の縦軸正逆往復移動により生じる遠心力を効率よく与えて飛散誘導路34から放射方向に飛散させる。
【0022】
したがって、搬送先貯留部35内の放射方向に略均等に穀粒を充填できる。
一方、受け止め部材33の周縁に設けた堰き止め用起立部32の存在は、単に穀粒に遠心力を与えたのでは、堰き止め用起立部32の内側面に穀粒が押し付けられて放射方向に移動しない現象が生じることがあるが、本願では、拡散体30Aの受け止め部材33上の穀粒に遠心力と共に、回転を正逆に反転させて受け止め部材33を往復移動(回動)させ、これにより縦伝達軸31の軸周り方向の回転力を付与させているので、受け止め部材33上の穀粒は堰き止め用起立部32の内側面へ当たっても縦伝達軸31の軸周り方向に移動して飛散誘導路34に入り、飛散誘導路34により放射方向に飛散する。
そのため、受け止め部材33上の穀粒は少量でも、受け止め部材33の縦軸正逆往復移動による遠心力および軸周り方向の回転力を受けて、誘導樋45から飛散されるので、受け止め部材33上の残留穀粒の発生を防止する。
【0023】
飛散誘導路34は、受け止め部材33の回転中心より放射方向に伸びるように誘導樋45により構成しているから、受け止め部材33上の穀粒のうち、各誘導樋45に対面する穀粒が遠心力により誘導樋45内に入って、誘導樋45により誘導されて放射方向に飛ばされて、拡散される。
各誘導樋45は、終始略同一所定幅で構成しているから、各誘導樋45内で穀粒が詰まるのを防止し、拡散作用を確実にする。
この誘導樋45は縦伝達軸31の軸周り方向に所定間隔を置いて複数設けており、各誘導樋45は終始略同一所定幅の底板部46と該底板部46の両側部に起立させた起立部47により形成しているから、縦軸正逆往復移動により受け止め部材33上の穀粒には縦伝達軸31の軸回り方向の力も作用し、受け止め部材33上の穀粒は軸周りにも移動して、各誘導樋45には受け止め部材33上の穀粒が移動して対面し、遠心力により放射方向に飛ばされ、受け止め部材33上の全ての穀粒は拡散される。
【0024】
また、複数設けた誘導樋45は、受け止め部材33より放射方向に突出する長さおよび/または幅を夫々相違させて形成しているから、受け止め部材33の中心からの飛散距離を長短(遠近)に変化させ、また、飛散量も変化させることができ、一層、拡散効率を向上させる。
即ち、例えば、隣接する各長誘導樋45Aを略直角に位相を変えて4個設け、隣接する長誘導樋45Aの間に二つの短誘導樋45Bを設けているので、各長誘導樋45Aから穀粒は遠くに飛ばされ、二つの短誘導樋45Bにより受け止め部材33の中心近傍に落下させられる。
しかして、排出部10は、機筐1Aの落下口8の下方に下向き傾斜の落下誘導樋50を設けて構成し、落下誘導樋50は落下流動方向を基準に左右の側板51と傾斜板52により形成し、落下誘導樋50の先端下方に拡散装置30を臨ませているから、拡散体30Aの受け止め部材33の全体(全面)に穀粒を落下誘導し、拡散体30Aを効率よく作用させる。
【0025】
拡散体30Aの受け止め部材33上の穀粒は少量でも、受け止め部材33の縦軸正逆往復移動による遠心力を受けて、誘導樋45から飛散されるが、例えば、受け止め部材33は縦伝達軸31の下部に設けられ、縦伝達軸31の上部に駆動回転伝達機構を設ける必要から、受け止め部材33全体は排出部10の落下口8の真下に設置できず、排出部10の落下口8の真下に配置できる受け止め部材33の部分は限られる等の理由から、受け止め部材33上面全体に穀粒を落下させることは難しいが、落下誘導樋50により排出部10からの穀粒を受け止め部材33に誘導するから、拡散体30Aの受け止め部材33の全体(全面)に排出部10から落下する穀粒を誘導でき、拡散装置30の拡散効率を向上させ、その結果、機筐1Aの搬送量も増加させることができ、全体の搬送効率も向上させられる。
【0026】
即ち、受け止め部材33上の落下口8側に穀粒が片寄ると、少ない側の受け止め部材33での作用効率が低下するので、落下誘導樋50により受け止め部材33の中心に穀粒が流下するように誘導し、拡散体30Aの作用効率を向上させる。
この場合、側面視、落下誘導樋50の傾斜板52の傾斜の延長線S上近傍に拡散体30Aの受け止め部材33と縦伝達軸31との取付部分Tを設けると、受け止め部材33上の全面にバランス良く穀粒が滞留しながら飛散させられる。
【符号の説明】
【0027】
1…機筐、2…底板、3…側板、5…供給部、6…投入口、7…供給口、8…落下口、10…排出部、11…搬送コンベア、12…正逆転スプロケット、13…回転軸、14…駆動モータ、16…搬送体、17…チェン、18…両側リンク、19…ピン、20…突出部、21…弾性掻落し体、30…拡散装置、31…縦伝達軸、32…堰き止め用起立部、33…受け止め部材、34…飛散誘導路、35…搬送先貯留部、41…開口部、45…誘導樋、46…底板部、47…起立部、50…落下誘導樋、51…側板、52…傾斜板、55…拡散用モーター、56…取付部、58…出力軸、59…回転アーム、60…回動アーム、61…ロッド、62…保護カバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも底板2と該底板2の左右両側の側板3を有して搬送方向に長く形成した機筐1Aの上方所定位置に供給部5を設け、該供給部5から所定距離おいた機筐1Aに落下口8を有する排出部10を設け、前記供給部5と前記排出部10の間に穀粒を搬送する搬送体16を有する無端状のチェン17を設け、前記排出部10の下方には縦伝達軸31により該縦伝達軸31を中心に縦軸正逆往復移動する拡散体30Aを有する拡散装置30を設け、前記拡散体30Aは、排出部10から落下する穀粒を受け止める平板状の受け止め部材33と該受け止め部材33の周縁に所定高さを有する堰き止め用起立部32を設けて構成し、前記堰き止め用起立部32には受け止め部材33上に受け止めた穀粒を飛散させる飛散誘導路34を構成する誘導樋45を設けた横送り穀粒搬送装置。
【請求項2】
請求項1において、前記拡散体30Aは略円形の受け止め部材33の中心に縦伝達軸31の下部を固定し、受け止め部材33の周縁に上方に起立する堰き止め用起立部32を形成し、該堰き止め用起立部32には前記縦伝達軸31の軸周り方向に所定間隔をおいて開口部41を複数設け、各開口部41に前記誘導樋45の基部を固定した横送り穀粒搬送装置。
【請求項3】
請求項2において、前記縦伝達軸31の軸周り方向に複数設けた各誘導樋45は、前記受け止め部材33より放射方向に突出する長さを夫々相違させて形成した横送り穀粒搬送装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2または請求項3において、前記排出部10は、機筐1Aの落下口8の下方に下向き傾斜の落下誘導樋50を設け、落下誘導樋50の傾斜板52の下方に前記拡散体30Aを臨ませた横送り穀粒搬送装置。
【請求項5】
請求項4において、前記落下誘導樋50の傾斜板52の傾斜の延長線S上近傍に、前記受け止め部材33と前記縦伝達軸31との取付部分Tを臨ませて構成した横送り穀粒搬送装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2または請求項3または請求項4または請求項5において、前記機筐1Aは、該機筐1Aの長さ方向の略中間部分に供給部5を設け、機筐1Aの長さ方向の両端部に落下口8を有し所定位置に設けた搬送先貯留部35の上方に臨ませて前記排出部10を設け、前記機筐1A内の搬送コンベア11は一対の無段階回転変更自在の駆動モータ14により正逆回転可能に構成し、機筐1Aの両端の夫々に設けた排出部10の何れかに向けてチェン17の搬送体16により搬送するように構成し、前記拡散装置30は縦伝達軸31の上部を機筐1Aの両端側に軸装し、機筐1Aの両端側に設けた拡散用モーター55により駆動するように設けた横送り穀粒搬送装置。
【請求項7】
搬送方向に長い機筐1Aの供給部5に穀粒を供給し、機筐1A内の搬送コンベア11の搬送チエン17の搬送体16により排出部10に向けて搬送し、排出部10から落下する穀粒を、拡散体30Aの受け止め部材33および受け止め部材33の周縁の堰き止め用起立部32により受け止め、拡散体30A上の穀粒に縦伝達軸31により該縦伝達軸31を中心とする縦軸正逆往復移動により遠心力を付与して飛散誘導路34から搬送先貯留部35内に拡散供給する横送り搬送方法。
【請求項8】
請求項7において、前記受け止め部材33の縦軸正逆往復移動により穀粒に縦軸の軸周り方向の回転力を付与し、軸周り方向に穀粒を移動させて各誘導樋45から飛散させる横送り搬送方法。
【請求項9】
請求項8において、前記受け止め部材33の周縁の夫々長さおよび/または幅の相違する複数設けた各誘導樋45から、放射方向への飛散距離を変化させて拡散落下させる横送り搬送方法。
【請求項10】
請求項7または請求項8または請求項9において、機筐1Aの排出部10に設けた落下誘導樋50により、排出部10の落下口8の真下から外れた位置にある拡散体30Aに向けて穀粒を流下させ、拡散体30Aの受け止め部材33および誘導樋45により搬送先貯留部35内に拡散供給する横送り搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−73824(P2011−73824A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226972(P2009−226972)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(300008793)精研工業株式会社 (16)
【Fターム(参考)】