説明

横電界駆動方式用カラー液晶フィルタおよびその製造方法

【課題】カラーフィルタへの帯電による液晶パネルでの表示ムラ欠陥を防止し、カラーフィルタ作製工程上の搬送性を向上させ、かつ光透過性を保持したカラーフィルタを提供すること。
【解決手段】透明基材の一方の面にブラックマトリックス、複数色の着色画素を有し、透明基板の他方の面に、透過率が97.0%以上で、かつ表面抵抗率が1Ω/□以上、10000Ω/□以下で、下記式(3)で表される、繰り返し単位を持つポリチオフェンを主成分とする透明導電層を有することを特徴とする横電界駆動方式用カラー液晶フィルタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラー液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタに関する。さらに詳しくは、特にIPS(In Plane Switching:横電界駆動)方式のカラー液晶表示装置に用いられる帯電防止性を付与したカラーフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
カラー液晶表示装置の表示方式には、TFT基材側の画素電極とカラーフィルタ側の対向電極との間に縦方向の電界を発生させ液晶を駆動させる方式(TN、VA、PSA、OAなど)とTFT側にのみ電極を形成し、横方向の電界を発生させ液晶を駆動させる方式(IPS、FFSなど)が知られている。
【0003】
この中で、特にIPS方式のカラー液晶表示装置では、カラーフィルタ側に電極を設けずTFTなどの駆動素子が形成された基材にのみ電極が置かれているために、カラーフィルタ側の透明基材に数100〜数1000Vという静電気が帯電し、これにより液晶の配向が乱れ画質に悪影響を与えてしまうという問題がある。
【0004】
また、IPS方式に限らず工程上でカラーフィルタが帯電することによって温度制御板とガラスが密着することによる搬送不良、静電気帯によるセルギャップ用スペーサービーズの偏在、あるいは異物付着の増大などの悪影響が考えられ、帯電防止や除電といった改善がカラーフィルタや液晶表示装置の製造上非常に重要となっている。
【0005】
このような問題に対して、一般的にカラーフィルタを形成する前にあらかじめ基材に透明導電層としてITO(酸化インジウムスズ)、ZnO(酸化亜鉛)などの導電性金属酸化物層をスパッタリング法、真空蒸着法、イオンテンプレーティング法などのドライプロセスによって形成しておく方式がとられ、導電層としてSnO(酸化スズ)を用いる方法が開示されている(特許文献1)。
【0006】
しかし、一般的にドライプロセスにより得られる透明導電層は固く脆いためクラックの発生による表面抵抗の増大が起こりやすく、フィルムなどの柔軟性に富んだ基材には適さない。
【0007】
一方、基材に導電性高分子による透明導電層を塗布(ウェットプロセス)により形成した場合には、透明導電層に柔軟性があるためクラックが発生しづらい。さらに、ドライプロセスに比べて製造コストがかからず、製造スピードも一般的には速く生産性に優れるという特徴を持つ。
【0008】
このような導電性高分子として、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールおよびこれらの誘導体などが知られ手織り、その中で導電性や安定性に優れたポリチオフェン、およびその誘導体が開示されている(特許文献2、特許文献3)。
【0009】
一方、透明性と導電性がトレードオフの関係になり、以前は高い透明性と導電性を両立することが困難であったが、最近では製法の改良などによりこれらの問題が解決されるようになってきている。中でもポリチオフェン誘導体とドーパントからなる複合分散体は、得られる導電層の透明性と導電性が高く、化学的安定性にも優れ、高い透明性と導電性の両立を達成している(特許文献4)。
【0010】
これらのポリチオフェン系導電性高分子は各種の溶媒、バインダ樹脂、界面活性剤、安
定剤などを配合することによって、成膜性、基材に対する密着性に優れた導電性被膜を形成可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平10−160920号広報
【特許文献2】特開平1−313521号広報
【特許文献3】特開2002−193972号広報
【特許文献4】特開2003−286336号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、カラーフィルタへの帯電による液晶パネルでの表示ムラ欠陥を防止し、カラーフィルタ作製工程上の搬送性を向上させ、かつ光透過性を保持したカラーフィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、透明基材の一方の面にブラックマトリックス、複数色の着色画素を有し、透明基板の他方の面に、透過率が97.0%以上で、かつ表面抵抗率が1Ω/□以上、10000Ω/□以下で、下記式(1)で表される、繰り返し単位を持つポリチオフェンを主成分とする透明導電層を有することを特徴とする横電界駆動方式用カラー液晶フィルタである。
【0014】
【化1】

(式中、R1およびR2は、相互に独立した水素または炭素数1〜4のアルキル基、または共に置換される炭素数1〜12のアルキレン基を表す。)
また、請求項2に記載の発明は、透明基材の一方の面に請求項1に記載の透明導電層を形成する工程と、透明基材の他方の面にブラックマトリックス、複数色の着色画素を形成する工程とからなることを特徴とする横電界駆動方式用カラー液晶フィルタの製造方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明のカラーフィルタは導電性高分子を主成分とする高い透明性と導電性を有した透明導電層を具備しているため、カラー液晶表示装置における液晶の配向の乱れによる画質への悪影響を低減し、カラーフィルタ作製工程上の搬送性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の導電性高分子を主成分とする透明導電層を付与した、横電界駆動方式用カラー液晶フィルタの一例を示した概念断面図である。
【図2】本発明のハードコート機能層を持ち、導電性高分子を主成分とする透明導電層を付与した、横電界駆動方式用カラー液晶フィルタの一例を示した概念断面図である。
【図3】本発明のハードコート機能層を持ち、導電性高分子を主成分とする透明導電層を付与した、横電界駆動方式用カラー液晶フィルタの一例を示した概念断面図である。
【図4】本発明のオーバーコート機能層を持ち、導電性高分子を主成分とする透明導電層を付与した、横電界駆動方式用カラー液晶フィルタの一例を示した概念断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下本発明を実施するための形態を、図面を用いて詳細に説明する。本発明の横電界駆動方式用カラー液晶フィルタは、基板1の一方に導電性高分子であるポリチオフェンを主成分とする透明導電層2、透明導電層2とは異なる一方に複数色の着色画素3、ブラック
マトリックス4を有している。
【0018】
さらに図2は基材1と透明導電層2の間に、ハードコート機能層5設けた構成を示しており、図3は基材1透明導電層2の上に、ハードコート機能層5を設けた構成を示している。また、図4のように着色画素3およびブラックマトリックス4上にオーバーコート機能層6等を有していても良い。
【0019】
透明導電層2は、膜厚を厚くしなければ表面抵抗が大きくなり、カラー液晶表示装置における液晶の配向の乱れによる画質への悪影響や基材の帯電による工程上の搬送不良が生じやすくなるが、一方、膜厚を厚くすると透明性の低下を招く。本発明では透明導電層の、表面抵抗率は10000Ω/□以下、望ましくは4000Ω/□以下、1Ω/□以上とすることで画質への悪影響や工程上の搬送不良の生じないカラーフィルタを得ることができる。
【0020】
また、透明導電層の厚みを変更したサンプルでは、厚い場合に透過率が95%未満であると、明視野の画素透過率が低くなり、コントラスト的にも不利になることがわかっている。実質的にカラーフィルタとして用いるためには透明導電層の透過率が97%以上、好ましくは98%以上であれば、光学特性値など特に問題は生じないことを見出した。
【0021】
本発明における透明導電層は、下記一般式で表される繰り返し単位からなるポリカチオン状のポリチオフェンから構成される導電性高分子からなることが好ましい。
【0022】
【化2】

(式中、R1およびR2は、相互に独立した水素または炭素数1〜4のアルキル基、または共に置換される炭素数1〜12のアルキレン基を表す。)
この導電性高分子を構成するポリチオフェンのR1およびR2は、相互に独立した水素または炭素数が1〜4のアルキル基、又は共に置換される炭素数が1〜12のアルキレン基を表す。R1およびR2が共に置換される炭素数が1〜12のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、1,2−エチレン基および、1,3−プロピレン基、2,3−ブチレン基、1,2−シクロヘキシレン基などがあげられ、特に、1,2−エチレン基が好ましい。これらの置換基は、さらに置換基内で炭素数1〜12のアルキル基もしくはフェニル基を含んでもよい。
【0023】
一方、導電性高分子を構成するポリアニオンとしては、例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸などのポリカルボン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸などのポリスルホン酸などがあげられる。
【0024】
本発明における透明導電層は、基材の一方の面に透明導電塗液を塗布し塗膜を形成する工程、塗膜を乾燥し溶媒を除去する工程により形成される。さらに、透明導電塗膜に硬化性を持たせた場合は、熱や紫外線照射等の硬化方法で適宜硬化する工程を含む。
【0025】
本発明における透明導電層を形成するための塗液は、上述の導電性高分子を主成分として溶媒に溶解あるいは分散させた溶液を用いるが、必要に応じて適当な高分子材料をバインダとして添加することができる。
【0026】
本発明における透明導電層を形成するための塗液には、いわゆるハジキ、ムラなどの塗膜欠陥の発生を防止するために、表面調整剤と呼ばれる添加剤を加えても良い。表面調整剤は、その働きに応じて、レベリング剤、消泡剤、界面活性剤、表面張力調整剤とも呼ばれるが、いずれも形成される塗膜の表面張力を一定にする働きや低下させる働きを備える。
【0027】
表面調整剤として通常用いられる添加剤としては、シリコーン系添加剤、フッ素系添加剤、アクリル系添加剤等があげられる。シリコーン系添加剤にあたっては、ポリジメチルシロキサンを基本構造とする誘導体であり、ポリジメチルシロキサン構造の側鎖を変性したものが用いられる。例えば、ポリエーテル変性ジメチルシロキサンがシリコーン添加剤として用いられる。また、フッ素系添加剤としては、パーフルオロアルキル基を備える化合物が用いられる。
また、塗液中に先に述べた表面調整剤のほかにも、他の機能性添加剤を加えても良い。ただし、これらの添加剤は形成される導電性高分子を主成分とする透明導電層2の透明性を損なわない方が好ましい。機能性添加剤としては、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、撥水剤、密着性向上剤、安定剤などを使用でき、それにより、形成される導電性高分子を主成分とする透明導電層2自体に機能を持たせたり、また、耐久性を向上したりすることができる。
【0028】
このとき、基材1としては、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板やポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)などからなるプラスチック板、プラスチックフィルムを用いることができる。
【0029】
基材1への塗液の塗布は、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート、フローコート、グラビアロールコート、エアドクターコート、ワイヤードクターコート、ナイフコート等により行うことができる。
【0030】
塗液を塗布し、基材1上に形成された塗膜は溶媒を除去するために乾燥される。なお、乾燥手段としては加熱、送風、熱風などが例示される。また、自然乾燥により溶媒を除去することも可能である。
【0031】
導電性高分子を主成分とする透明導電塗層2に熱硬化性を持たせた場合は、上記溶媒除去と同時あるいは続いて硬化のための熱を加える、および/または別途、後工程で熱を加えることにより硬化させることができる。
【0032】
導電性高分子を主成分とする透明導電塗層2に紫外線硬化性を持たせた場合は、光源として高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク等を利用できる。
【0033】
本発明のカラーフィルタは導電性高分子を主成分とする透明導電層を形成した後又は形成する前に基材1の導電性高分子を主成分とする透明導電層2とは異なる面にブラックマトリックス4、複数色の着色画素3を形成する。
【0034】
透明基材1上に着色画素やブラックマトリックスを形成する方法としては顔料分散法が主流となっている。顔料分散法は、有機顔料などの色材を分散した感光性着色組成物の塗布層を公知のフォトリソグラフィー法によってパターニングすることにより、カラーフィルタを複数の着色層(赤色、緑色、青色など)の画素に形成する方法である。複数の着色層の入色順を限定するものでないが、アライメントの都合及び積層PSの形成性からブラックマトリクス4のパターン形成後に着色層の塗布、露光、現像等により赤色着色画素3R、緑色着色画素3G、青色着色画素3Bなどを順次形成する。
【0035】
通常のカラーフィルタ基板において、ブラックマトリックス4の層厚さは0.5〜3μm、幅は3〜30μmの範囲である。また、赤色着色画素3R、緑色着色画素3G、青色着色画素3Bのそれぞれの膜厚は0.5〜3μmである。
【0036】
ブラックマトリックス4は、黒色樹脂を用いて形成された液晶表示装置のコントラストアップのために各画素間に形成する細い遮光パターンである。ブラックマトリックス4を形成する方法としては、非感光性黒色組成物を用いフォトリソグラフィー法によって保護レジストを形成し、エッチングによってマトリックス状に形成する方法、あるいは感光性黒色組成物を用いフォトリソグラフィー法によってマトリックス状に形成する方法がある。感光性黒色組成物は少なくとも、カーボンブラックや酸化チタン、あるいは複数の有機顔料、バインダ樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、溶剤からなる。
【0037】
また、着色画素3を形成する方法としては、感光性着色組成物を用いフォトリソグラフィー法によって形成する方法がある。感光性着色組成物は、少なくとも、着色顔料あるいは染料、透明樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、溶剤からなる。
【0038】
ブラックマトリックス4及び着色画素3の形成に用いる感光性黒色組成物及び感光性着色組成物は、例えば、透明樹脂バインダに顔料成分を、分散剤を用いて分散させ、この分散液に光重合性モノマー、光重合開始剤、増感剤、溶剤などを添加して調製される。
【0039】
光重合に適合する樹脂バインダとしては、例えば、アクリレート樹脂、熱重合に適合する樹脂バインダとしては、例えば、エポキシ樹脂、光重合及び熱重合に適合する樹脂バインダとしては、例えば、エポキシアクリレート樹脂があげられる。
【0040】
感光性着色組成物に含有される着色顔料としては、一般に市販されている有機顔料を用いることができる。また、形成するフィルタセグメントの色相に応じて、染料、天然色素、無機顔料を併用することができる。有機顔料としては、発色性が高く、かつ耐熱性、特に耐熱分解性の高いものが好適に用いられる。有機顔料は、1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。また、有機顔料は、ソルトミリング、アシッドペースティング等により微細化したものであってもよい。
【0041】
以下に、感光性着色組成物に使用可能な有機顔料の具体例を、カラーインデックス(C.I.)番号で示す。赤色着色画素3Rには、例えば、色材として、C.I.Pigment Red 7、14、41、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、81:4、146、168、177、178、179、184、185、187、200、202、208、210、246、254、255、264、270、272、279等の赤色顔料を用いることができ、黄色顔料や橙色顔料を併用することもできる。
【0042】
黄色顔料としては、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、187、188、193、194、199、198、213、214等が挙げられる。橙色顔料としては、C.I.Pigment Orange 36、43、51、55、59、61、71、73等が挙げられる。
【0043】
緑色着色画素3Gには、例えば、C.I.Pigment Green 7、10、3
6、37、58等の緑色顔料を用いることができ、黄色顔料を併用することもできる。黄色顔料としては、赤色着色画素3Rに用いる顔料としてあげたものと同様のものが使用可能である。
【0044】
青色着色画素3Bには、例えば、C.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64等の青色顔料を用いることができ、紫色顔料を併用することもできる。紫色顔料としては、C.I.PigmentViolet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等が挙げられる。
【0045】
また、透明樹脂は、前記着色顔料、透明体質顔料を分散させる樹脂であって、画素パターン露光後の現像において、未露光部がアルカリ現像液により溶解除去できる樹脂を言う。具体的には、アルキルアクリレート、環状アクリレート、環状メタクリレート、ヒドロキシエチルエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等のアクリル系モノマートエチレン性の不飽和基を有するラジカル重合性のモノマーからなるアクリル系透明樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシアクリレート透明樹脂、多官能エポキシ樹脂にエチレン性の不飽和基を有するラジカル重合性のモノマーを付加させたタイプの樹脂を使用することができる。ただし、上記樹脂に限定されるものではない。
【0046】
光重合性モノマーとしては、例えば、以下に示すようなモノマーを混合して、又は単独で使用することができる。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を含むモノマーや、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、あるいは、ペンタエリストールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレートのカプロラクトン付加物のヘキサ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレートなどがあげられる。前記重合性モノマーの一部が、カルボキシル基含有多官能性単量体を含む重合性モノマーであることは、好ましい。例えば、ペンタエリスリトール又はその誘導体であっても良い。
【0047】
ラジカル重合性モノマーの重合反応を開始させる活性種を発生する光重合開始剤としては、tert−ブチルペルオキシ−iso−ブタレ−ト、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルジオキシ)ヘキサン、1,4−ビス[α−(tert−ブチルジオキシ)−iso−プロポキシ]ベンゼン、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルジオキシ)ヘキセンヒドロペルオキシド、α−(iso−プロピルフェニル)−iso−プロピルヒドロペルオキシド、2,5−ビス(ヒドロペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、tert−ブチルヒドロペルオキシド、1,1−ビス(tert−ブチルジオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ブチル−4,4−ビス(t−ブチルジオキシ)バレレ−ト、シクロヘキサノンペルオキシド、2,2’,5,5’−テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−アミルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベン
ゾフェノン、3,3’−ビス(tert−ブチルペルオキシカルボニル)−4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、tert−ブチルペルオキシベンゾエ-ト、t−ブチルジペルオキシイソフタレ-トなどの有機過酸化物や、9,10−アンスラキノン、1−クロロアンスラキノン、2−クロロアンスラキノン、オクタメチルアンスラキノン、1,2−ベンズアンスラキノンなどのキノン類や、ベンゾインメチル、ベンゾインエチルエーテル、α−メチルベンゾイン、α−フェニルベンゾインなどのベンゾイン誘導体などをあげることができる。さらに、使用することのできる光重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のIrgacure651、184、1173、907、369、379、819、CGI 124やBASF社製のTPO、日本化薬(株)製のKayacure DTEX、あるいは4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノンのようなベンゾフェノン類のほかに、ビイミダゾール化合物、トリアジン化合物などをあげることができる。
【0048】
また、感光性着色組成物には、顔料を充分に組成物中に分散させ、基板上の塗布を容易にするために有機溶剤を含有させる。有機溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。
【0049】
樹脂に顔料を分散する際には、適宜、界面活性剤、樹脂型顔料分散剤、色素誘導体等の分散剤が使用できる。また、塗布性向上、感度の向上、密着性の向上などを目的として、連鎖移動剤、界面活性剤、シランカップリング剤等の添加剤を添加しても良い。
【0050】
以下に、本発明に係わる実施例を示す。なお、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0051】
すべての実施例において基材1として無アルカリガラス“#1737”(コーニング社製)を用い、塗液として、透明導電性高分子(PEDOT/PSS(ポリエチレンジオキシシオフェン/ポリスチレンスルホン酸))分散塗料(OC−AE:信越ポリマー社製)を用いた。
【実施例1】
【0052】
無アルカリガラス基材に、透明導電性高分子分散塗料をスピンコートにより乾燥後の膜厚が19nmとなるように塗布し、130℃で5分間加熱し、基材上に透明導電層を形成した。
【実施例2】
【0053】
乾燥後の膜厚が35nmとなるように塗布し、それぞれ変える以外は実施例1と同様にして基材1上に透明伝導層2を形成した。
<比較例1〜5>
乾燥後の膜厚は比較例1では81nm、比較例2では97nm、比較例3では157nm、比較例4では244nm、比較例5では455nmであり、それ以外は実施例1と同様にして基材1上に透明伝導層2を形成した。評価は膜厚、表面抵抗率、透過率を測定することにより行った。以下に詳細を示す。
【0054】
膜厚は接触式膜厚計(小坂研究所製:ET4000T)を用い測定した。表面抵抗率はJIS K7194に従い、ロレスタAP(三菱化学社製:MCP−T400)を用い測
定した。透過率は紫外可視分光光度計(日立ハイテク社製:U−4000)を用いて、無アルカリガラス基材をリファレンスとして測定波長400〜700nmの透過率の平均を算出した。
【0055】
以下、表1に実施例1〜2、比較例1〜5についての評価を記載した。
【0056】
【表1】

<評価結果>
実施例1および実施例2の膜厚条件において透明導電層の透過率が97%以上で、かつ表面抵抗が1Ω/□以上、10000Ω/□以下の高い透明性と導電性を示すことがわかる。
【符号の説明】
【0057】
1・・・基材
2・・・導電性高分子を主成分とする透明導電層
3・・・着色画素
3R・・・赤色着色画素
3G・・・緑色着色画素
3B・・・青色着色画素
4・・・ブラックマトリックス
5・・・ハードコート層等の機能層
6・・・オーバーコート層等の機能層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材の一方の面にブラックマトリックス、複数色の着色画素を有し、透明基板の他方の面に、透過率が97.0%以上で、かつ表面抵抗率が1Ω/□以上、10000Ω/□以下で、下記式(3)で表される、繰り返し単位を持つポリチオフェンを主成分とする透明導電層を有することを特徴とする横電界駆動方式用カラー液晶フィルタ。
【化3】

(式中、R1およびR2は、相互に独立した水素または炭素数1〜4のアルキル基、または共に置換される炭素数1〜12のアルキレン基を表す。)
【請求項2】
透明基材の一方の面に、請求項1に記載の透明導電層を形成する工程と、透明基材の他方の面にブラックマトリックス、複数色の着色画素を形成する工程とからなることを特徴とする横電界駆動方式用カラー液晶フィルタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−108356(P2012−108356A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257735(P2010−257735)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】