説明

樹脂成形品および樹脂組成物

【課題】 電磁波シールド材として必要な導電性を有し、かつ耐加水分解性に優れた導電性熱可塑性樹脂成形品および導電性熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 真鍮製金属端子を120mm間隔で埋め込んだときの端子間抵抗値が6Ω以下であって、飽和水蒸気中120℃ 2気圧で40時間処理をした後の引張強さが35%以上である樹脂成形品、並びに熱可塑性ポリエステル樹脂(A)を30〜84.89質量%、フッ素含有重合体(B)を0.01〜20質量%、エポキシ樹脂(C)を0.1〜20質量%および炭素系充填剤(D)を30〜60質量%含有する樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や電気・電子部品に使用されるシールドコネクターなどの電磁波シールド部品、その他の用途に用いられる導電性樹脂成形品および導電性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
電気を動力とする自動車は、省エネルギーや二酸化炭素低減化の点において、今後の展開が大いに注目され、また、電気と燃料の両方を動力源とするハイブリッドカーは従来の自動車レベルにまで進歩し、今後ますます需要が増大するものと考えられる。
【0003】
これら電気を動力とする自動車では、動力ケーブルやその周辺から高レベルの電磁波が発生するため、ラジオへの雑音、計器類の誤作動、あるいはリモコンにより作動するエアコン、オーディオ、ドアロックなどの作動不良といったことが問題となる。この問題を解決するため、動力ケーブルのコネクターにアルミニウムのような電磁波シールド性を有する素材が使用されている。
【0004】
アルミニウムは電磁波シールド性が良好であり、金属の中でも比較的軽量であることからこの用途に使用されているが、ダイキャスト成形時にバリ発生するためトリミングなどの後加工が必要であり、また成形品の側面に凹凸の加工を施す場合にはダイキャスト成形後の切削加工が必要であり、さらには表面が経時的に酸化してシールド性が低下するためメッキ加工の工程が必要などの問題点がある。
【0005】
このように、アルミニウムは電磁波シールド性に優れるものの、成形性、後加工等の問題を有することから、近年、電磁波シールド材として、成形性、加工性に優れる熱可塑性樹脂の検討がなされてきている。
【0006】
ところで、電磁波シールド性と導電性との間には相関関係があり、導電性の高い(抵抗値の低い)材料ほど電磁波シールド性に優れることから、電磁波シールド性を発現させるためには、熱可塑性樹脂に高い導電性が要求される。さらに自動車用途では、エンジンルーム内がエンジンあるいはモータの発熱により高温雰囲気になり、また雨などの水分により高湿度になるため、熱可塑性樹脂に耐加水分解性が要求される。このようにハイブリッドカーのシールドコネクターに使用される熱可塑性樹脂には、導電性と耐加水分解性が要求される。
【0007】
ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂は、本来、耐加水分解性の低い樹脂であるが、加工時の溶融流動性、寸法安定性、耐熱性などのバランスが良好であるために各分野で広く使用されている。そこで、ポリエステル樹脂の耐加水分解性を抑制する目的で、エポキシ系化合物を配合するなどの検討がなされている(例えば、特許文献1参照)。また、導電性については、高いレベルの導電性がシールド用途に要求されるため、ポリエステル樹脂に炭素繊維を配合して導電性を付与するなどの検討がなされている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
特許文献1には、エポキシ系化合物が配合されたポリエステル系熱可塑性樹脂組成物が記載されており、湿熱処理後も高度な強度保持率を有し、耐加水分解性を示すことが記載されている。そこで、さらに導電性を付与するために、特許文献1に記載された熱可塑性樹脂組成物に特許文献2に記載された炭素繊維を導電性フィラーとして配合することが考えられる。しかしながら、耐加水分解性付与のために添加したエポキシ系化合物により導電性が低下するため、耐加水分解性と導電性の両者を満足することは困難であった。
【0009】
従って、電気自動車用のシールドコネクターとしては、耐加水分解性と高レベルの導電性が必要であり、導電性熱可塑性樹脂組成物でこの実用レベルの耐加水分解性を有するものは、これまでなかった。
【特許文献1】特開平6−212065号公報
【特許文献2】特開2003−12945号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、電磁波シールド材として必要な導電性を有し、かつ耐加水分解性に優れた導電性熱可塑性樹脂成形品および導電性熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。特に、電気自動車用途のシールドコネクター用として実用可能な導電性熱可塑性樹脂成形品および導電性熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、真鍮製金属端子を120mm間隔で任意の位置に埋め込んだときの端子間抵抗値が6Ω以下であって、飽和水蒸気中120℃ 2気圧で40時間処理をした後の引張強さが35%以上である樹脂成形品、並びに熱可塑性ポリエステル樹脂(A)を30〜84.89質量%、フッ素含有重合体(B)を0.01〜20質量%、エポキシ樹脂(C)を0.1〜20質量%および炭素系充填剤(D)を30〜60質量%含有する樹脂組成物に関するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の樹脂組成物は、優れた導電性と耐加水分解性を有することから、この樹脂組成物を成形して得られた樹脂成形品は、これらの特性が要求される電気電子関連機器、電波ノイズ低減に用いられる自動車、電気電子用途に好適な材料であり、特に、電気自動車用のシールドコネクターに好適な材料である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の樹脂成形品は、真鍮製金属端子を120mm間隔で任意の位置に埋め込んだときの端子間抵抗値が6Ω以下である。端子間抵抗値が6Ωを超えると高レベルの電磁波シールド効果が得られない。
【0014】
また本発明の樹脂成形品においては、飽和水蒸気中120℃ 2気圧で100時間で処理(湿熱処理)をした後の引張強さ保持率が35%以上である。ここで、湿熱処理後の引張強さ保持率とは、次式によって求められるものである。
【0015】
保持率(%)=湿熱試験後の成形品の引張り強さ/湿熱試験前の成形品の引張強さ×100(%)
湿熱試験をした後の引張強さ保持率が35%以上の場合、湿熱環境下での長期の使用で、強度の低下による破損が少なくなる傾向であり好ましい。
【0016】
また、この湿熱試験後の保持率は、少なくとも35%以上であればよいが、36%以上が好ましく、37%以上であることが特に好ましい。
【0017】
このような特性を有する樹脂成形品は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)を30〜84.89質量%、フッ素含有重合体(B)を0.01〜20質量%、エポキシ樹脂(C)を0.1〜20質量%および炭素系充填剤(D)を15〜60質量%含有する樹脂組成物を成形することによって得ることができる。
【0018】
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)としては、特に制限されないが、例えば、芳香族もしくは脂環式のジカルボン酸またはそれらの誘導体と多価アルコールとを重縮合して得られるポリエステル樹脂が挙げられる。ジカルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等があげられる。多価アルコールの例としては、メチレン鎖が2〜6のポリメチレングリコール(エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオールなど)、ビスフェノールAのポリエチレングリコールおよび/またはポリプロピレングリコールの付加体等、ポリオキシテトラメチレングリコールやポリオキシエチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコールなどがあげられる。
【0019】
これらポリエステル樹脂の中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等の結晶性ポリエステルが好ましく、単体またはその混合物として用いることができる。特に、成形性、耐熱性、外観、経済性の観点からポリブチレンテレフタレート系ポリエステル樹脂が好適である。
【0020】
ポリブチレンテレフタレート系ポリエステル樹脂とは、ポリブチレンテレフタレート、または、繰り返し単位中ブチレンテレフタレート単位を30質量%以上含有するポリエステル共重合体のことである。共重合されるモノマーとしては、テレフタル酸およびその低級アルコールエステル以外の二塩基酸成分として、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、コハク酸等の脂肪族もしくは芳香族多塩基酸またはそれらのエステル等が挙げられる。また、1,4−ブタンジオール以外のグリコール成分としては、通常のアルキレングリコール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,3−オクタンジーオール等の低級アルキレングリコール;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等の芳香族アルコール;ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加体等のアルキレンオキサイド付加体芳香族アルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ化合物;またはそれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0021】
また、ポリブチレンテレフタレート系ポリエステル樹脂の場合、25℃の雰囲気で1,1,2,2−テトラクロロエタンとフェノールとの等質量混合液で測定した還元粘度(ηsp/c)が0.5〜2.5であることが好ましい。還元粘度が0.5以上の場合に、十分な強度の成形品が得られる傾向にあり、2.5以下の場合に、流動性が良好となり、充填性が十分となる傾向にある。この還元粘度の下限値は0.6以上がより好ましく、0.7以上が特に好ましい。また上限値は2.3以下がより好ましく、2.1以下が特に好ましい。
【0022】
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の含有量は、樹脂組成物中30〜84.89質量%である。熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の含有量が、30質量%以上の場合に、樹脂組成物を押出す際に連続したストランドが安定して得られる傾向にある。また、この含有量が84.89質量%以下の場合に、十分な導電性が得られる傾向にある。
【0023】
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の含有量の下限値は、40質量%以上が好ましく、50質量%以上が特に好ましい。また、この含有量の上限値は、84.75質量%以下が好ましく、84.7質量%以下がより好ましく、84.5質量%以下が特に好ましい。
【0024】
フッ素含有重合体(B)とは、重合体中にフッ素原子を含有する重合体である。このフッ素含有重合体(B)を配合することにより、本発明の樹脂組成物から得られた成形品の導電性が高いという効果を発現する。
【0025】
これらのフッ素含有重合体(B)は、市販品を使用することができ、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂としては、例えば、テフロン(登録商標)PFA(デュポン)、テフロン(登録商標)PFA−J(三井デュポン)等が、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂としては、例えば、ネオフロン(ダイキン工業)、テフロン(登録商標)FEP(デュポン、三井デュポン)等が、四フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂としては、例えば、アフロンCOP(旭硝子)、テフゼル(デュポン、三井デュポン)等が、三フッ化塩化エチレン−エチレン共重合樹脂としては、例えば、ヘーラー(Allied Chemical)等が、四フッ化エチレン樹脂としては、例えば、アルゴフロン(Montedison)、フルオン(ICI)、ハロンTFE(Allied Chemical)、ホスタフロン(ヘキスト)、ポリフロン(ダイキン工業)、ソレフロン(Produits Chemiques Ugine Kuhlman)、テフロン(登録商標)TFE(デュポン)、テフロン(登録商標)J(三井デュポン)等が、三フッ化塩化エチレン樹脂としては、例えば、ダイフロン(ダイキン工業)、Kel−F(3M)、Aclon CTFE、Voltalef(Produits Chemiques Ugine Kuhlman)等が、フッ化ビニリデン樹脂としては、例えば、Dulite(デュポン)、Dyflor(Dynamite Novel)、Forafon(Produits Chemiques Ugine Kuhlman)、KFポリマー(呉羽化学)、カイナー(Pennwalt Chemicals)、Solef(Solvay)等が、フッ化ビニル樹脂としては、例えば、Tedlar(デュポン)等を挙げることができる。これらは1種を用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0026】
フッ素含有重合体(B)は、上述したフッ素含有重合体をそのまま用いてもよいが、フッ素を含有しない熱可塑性樹脂(A)への分散性の面から、フッ素含有重合体と他の有機系重合体とを複合したフッ素含有重合体複合粒子であることが好ましい。
【0027】
フッ素含有重合体複合粒子としては、特に制限されないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン系粒子と有機系重合体粒子からなるものが挙げられる。ポリテトラフルオロエチレン含有重合体複合粒子のモロフォロジーは、ポリテトラフルオロエチレン系粒子と有機系重合体粒子の混合比や粒子系により様々であり、特に制限はない。例えば、ポリテトラフルオロエチレン系粒子の周りを有機重合体粒子が取り囲んだ形態や、その反対に有機系重合体粒子の周りをポリテトラフルオロエチレン系粒子が取り囲んだ形態や、1つの粒子に対して数個の粒子が凝集した形態等、様々な形態をとり得る。
【0028】
このようなポリテトラフルオロエチレン含有重合体複合粒子としては、ポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液存在下で有機系重合体を構成する単量体を乳化重合した後、凝固またはスプレードライにより粉体化して得られるもの、あるいはポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液と有機系重合体粒子水性分散液とを混合した分散液中で、エチレン性不飽和結合を有する単量体を乳化重合した後、凝固またはスプレードライにより粉体化して得られるものが好ましい。
【0029】
また、ポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液は、含フッ素界面活性剤を用いる乳化重合でテトラフルオロエチレンモノマーを重合させることにより得られる。乳化重合の際、ポリテトラフルオロエチレンに共重合成分として、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フルオロアルキルエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル等の含フッ素アルキル(メタ)アクリレートを用いることができる。これらの共重合成分は、特に制限されないが、テトラフルオロエチレンに対して10質量%以下であることが好ましい。
【0030】
ポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液の市販原料としては、旭ICIフロロポリマー社製のフルオンAD−1、AD−936、ダイキン工業社製のポリフロンD−1、D−2、三井デュポンフロロケミカル社製のテフロン(登録商標)30J等が代表例として挙げられる。
【0031】
有機系重合体粒子は、特に制限されるものではなく、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、6−ナイロン、6,6−ナイロン、ポリアリレート、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、ポリアクリル(メタ)アクリレート、ポリアセタール、芳香族アルケニル化合物とシアン化ビニル化合物からなる共重合体、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、ポリウレタン、エチレン−ポリプロピレン共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンのランダム共重合体およびブロック共重合体、該ブロック共重合体の水添加物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体等のジエン系ゴム、エチレン−プロピレンのランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、エチレン−メタクリレート、エチレン−ブチルアクリレートなどのエチレン−不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、例えばブチルアクリレート−ブタジエンなどのアクリル系弾性重合体、エチレン−酢酸ビニルとの共重合体、エチレン−プロピレン−エチリデンノンボルネン共重合体、エチレン−プロピレン−ヘキサジエン共重合体等のエチレン−プロピレン非共役ジエンターポリマー、ブチレン−イソプレン共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリオルガノシロキサン、ポリアルキル(メタ)アクリレートなどのゴム質重合体、ポリオルガノシロキサンおよびポリアルキル(メタ)アクリレートを含む複合ゴム、ゴム質重合体に芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体がグラフト重合されたグラフト共重合体、ポリオルガノシロキサンおよびポリアルキル(メタ)アクリレートを含む複合ゴムにビニル単量体をグラフトしてなる複合ゴム系グラフト共重合体およびこれらと共重合可能な成分を重合体に対して50質量%以下となるように含有する共重合体等が挙げられる。
【0032】
これらは単独で使用しても2種以上を併用してもよいが、ポリオレフィン系樹脂に配合する際のポリテトラフルオロエチレンの分散性の観点からポリオレフィン系樹脂に親和性を有するもであることが好ましく、特に、ポリアルキル(メタ)アクリレートを主成分とするものや、ゴム質重合体が好ましく、さらに炭素数4以上のアルキル基を有するポリアルキル(メタ)アクリレートを30質量%以上有するものが好ましい。
【0033】
ゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンのランダム共重合体、およびブロック共重合体、該ブロック共重合体の水添加物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体等のジエン系ゴム、エチレン−プロピレンのランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレン−ブテンのランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、エチレン−メタクリレート、エチレン−ブチルアクリレート等のエチレン−不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、例えばブチルアクリレート−ブタジエン等のアクリル系弾性重合体、エチレン−酢酸ビニルとの共重合体、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン−プロピレン−ヘキサジエン共重合体等のエチレン−プロピレン非共役ジエンターポリマー、ブチレン−イソプレン共重合体、塩素化ポリエチレンなどを例示でき、これらは単独で使用しても2種以上を併用しても良い。
【0034】
これらの中ではエチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン非共役ジエンターポリマージエン系ゴム、アクリル系弾性重合体が好ましく、特にポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体が例示でき、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリオルガノシロキサン、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリオルガノシロキサンおよびポリアルキル(メタ)アクリレートを含む複合ゴム等が好ましい。
【0035】
これらの有機系重合体の製造方法としては、バルク重合、溶液重合、縣濁重合、乳化重合等の通常公知の方法が用いられる。本発明に用いるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体におけるポリテトラフルオロエチレン系粒子と、有機重合体粒子との混合割合には特に制限はないが、ポリテトラフルオロエチレン系粒子が0.1〜90質量%であることが好ましい。
【0036】
フッ素含有重合体複合粒子は、上述の水性分散液を、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウムなどの金属塩を溶解した熱水中に投入し、次いで塩析し凝固した後に乾燥するか、スプレードライによって粉体化することができる。
【0037】
該フッ素含有重合体(B)の含有量は、樹脂組成物中、0.01〜20質量%である。フッ素含有重合体(B)の含有量が0.01質量%以上の場合に、十分な導電性を得ることができる傾向にあり、20質量%以下の場合に、樹脂組成物を押出す際に、安定して連続したストランドを得ることができる傾向にある。フッ素含有重合体(B)の含有量の下限値は、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.2質量%以上が特に好ましい。また、この含有量の上限値は、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が特に好ましい。
【0038】
エポキシ樹脂(C)は、特に制限されず、ビスフェノールAジグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂あるいは線状高分子量クレゾールノボラックをグリシジルエーテル化した次の一般式(1)で示されるエポキシ樹脂があげられる。
【化1】

【0039】
式(1)中、R1 は、オルソまたはパラ位に結合しているCH3 基であり、nは繰り返し数である。
【0040】
エポキシ樹脂(C)は樹脂組成物中0.1〜20質量%である。エポキシ樹脂(C)の含有量が、0.1質量%以上の場合に、耐加水分解性が良好となる傾向にある。また、この含有量が20質量%以下の場合に、導電性が十分になる傾向にある。
【0041】
エポキシ樹脂(C)の含有量の下限値は、0.2質量%以上が好ましく、0.3質量%以上が特に好ましい。また、この含有量の上限値は、18質量%以下が好ましく、15質量%以下が特に好ましい。
【0042】
炭素系充填剤(D)は、特に制限されず、PAN系またはピッチ系あるいは気相成長型の炭素繊維、カーボンブラックやグラファイトなどの粒子状炭素、フラーレンやカーボンナノコイル、カーボンナノチューブ、カーボンナノバルーンなどのナノカーボンなどがあげられる。中でも導電性の面から炭素繊維が好ましい。炭素繊維の形態としては、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョプドストランド、ミルドファイバーなどがある。成形時などの繊維折損を抑えるため、高強度・高伸度タイプのものが好ましく、これらの特性を得ることのできるPAN系炭素繊維が好ましい。
【0043】
炭素繊維の弾性率は、特に制限されないが、成形時の繊維折損を抑える面から、195〜450GPaであることが好ましい。炭素繊維の弾性率の下限値は、215GPa以上がより好ましく、上限値は390GPa以下がより好ましい。
【0044】
また、炭素繊維の直径については、特に制限されないが、3〜10μmであることが好ましい。炭素繊維の直径の下限値は5μm以上がより好ましく、また、上限値は8μm以下がより好ましい。
【0045】
炭素繊維の表面処理については、特に制限されないが、樹脂との接着性を向上する面から、表面酸化処理等の処理を行うことが好ましい。また、この場合、酸価処理の方法は特に制限されないが、通電処理による表面酸化、オゾンなどの酸化性ガス雰囲気中の酸化処理等の酸価処理の方法があげられる。
【0046】
さらに一般的に使用されるエポキシ系、ポリアミド系、ウレタン系、ポリエステル系等のサイジング剤を用いた表面付着処理を行ってもよい。
【0047】
炭素繊維の形態は、特に制限されないが、数千から数十万本の炭素繊維の束からなるストランド状または粉砕したミルド状の形態で用いられる。ストランド状の形態についても、直接導入するロービング法、あるいは所定長さにカットしたチョップドストランドを使用することが可能である。
【0048】
また、炭素繊維の表面を金属でコートした炭素繊維を使用してもよい。金属コート炭素繊維として好ましいものは、ニッケルコート炭素繊維である。
【0049】
炭素系充填剤(D)の含有量は、樹脂組成物中15〜60質量%である。炭素系充填剤(D)の含有量が、15質量%以上の場合に十分な導電性が得られる傾向にあり、60質量%以下の場合に、樹脂組成物を押出す際に、安定して連続したストランドを得ることができる傾向にある。
【0050】
また本発明においては、他の導電性フィラーを炭素系充填剤(D)と併用しても良い。他の導電性フィラーとしては、特に制限されず、金属系導電性フィラーがあげられる。
【0051】
金属系導電性フィラーとしては銅、スズ、真鍮、ステンレス、鉄、アルミニウムなどの粉末や繊維状充填剤が挙げられる。またこれらの中ではスズ系の低融点金属あるいは銅や黄銅の繊維あるいは粉体を併用することが好ましい。
【0052】
本発明の樹脂組成物の調製は、特に制限されないが、例えば、従来の樹脂組成物の調製法として一般に用いられる設備と方法により調製することができる。その内でも溶融混練法が好ましい。溶融混練法に用いる調製装置としては、特に制限されないが、押出し機、バンバリーミキサー、ローラー、ニーダー等を挙げることができる。
【0053】
押出機については、特に制限されず、単軸、二軸押出機を用いることができる。中でも、短時間で混練を行うことができるため、二軸混練機が好ましい。
【0054】
また炭素系充填剤(D)の混練機への投入方法としては、特に制限されないが、混練によるアスペクト比の低下を抑制する面から、でスクリューの中間から添加するサイドフィード法が好ましい。
【0055】
本発明の樹脂組成物は、各種の成形により成形品として使用できる。成形方法としては、特に制限されないが、射出成形、押出成形による棒状、中空状、シート状への成形、真空成形、ブロー成形などが挙げられる。
【実施例】
【0056】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0057】
1)成形品の評価
(1)抵抗値
三菱重工業(株)社製 射出成形を用いて成形したISO 3167 A形 ダンベル型試験片に120mm間隔で市販の半田ごてを使用して真鍮製金属端子を加熱圧入し、端子を埋め込んで、この端子間の抵抗をテスターで測定した。なお、真鍮製金属端子は、東海金属工業(株)製のダッチウルトラサート4M2×3.7×4L UD−42001を用いた。
【0058】
(2)湿熱処理
ISO 3167 A形 ダンベル型試験片を使用して、試験片を120℃、2気圧の飽和水蒸気下で100時間湿熱処理を行った後、ISO 527に準拠して引張り強さを測定して、湿熱処理前後の引張強さ保持率(%)により耐加水分解性の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0059】
湿熱処理後の引張強さ保持率は、次式によって求めた。
【0060】
保持率(%)=湿熱処理後の引張強さ/湿熱処理前の成形品の引張強さ}×100(%)
2)使用した原料
(1)熱可塑性ポリエステル樹脂(A)
A−1:ノバデュラン5008(三菱エンジニアリングプラスチックス社製 ポリブチレンテレフタレート 還元粘度=0.99)
(2)フッ素含有重合体(B)
B−1:製造例1に記載のポリテトラフルオロエチレン含有共重合体複合粒子
(3)エポキシ樹脂(C)
C−1:ESCN−220HH(住友化学(株)社製 数平均分子量 約1200、エポキシ当量が218の線状高分子量クレゾールノボラックエポキシ樹脂)
C−2:エピコート1004K(ジャパン エポキシ レジン(株)社製 数平均分子量 約1600、エポキシ当量が875〜975のビスフェノールA型エポキシ樹脂)
(4)炭素繊維(D)
D−1:TR06NEB3E 三菱レイヨン製 チョップド炭素繊維。繊維径7μm、サイズ剤ナイロン系、引張り弾性率235GPa、繊維長6mm、収束本数12000本、体積固有抵抗値1.5×10-3Ωcm。
【0061】
D−2:ミルドファイバーMME(TCテクノ社製 PAN系炭素繊維ミルド 繊維径7μm 平均繊維長80μm)
(5)その他
・CHC−13P−03(化成社製タルク)
・アデカスタブAO-60(旭電化工業社製 ヒンダードフェノール系抗酸化剤)
・アデカスタブPEP−36(旭電化工業社製 チオエーテル系抗酸化剤)
・LICOWAX−OP(クラリアントジャパン社製 離型剤 モンタン酸の部分ケン化エステル)
(製造例1)ポリテトラフルオロエチレン含有共重合体複合粒子(B−1)の製造
ドデシルメタクリレート60部とメチルメタクリレート35部、メチルアクリレート5部の混合溶液にクメンヒドロキシパーオキサイド0.3部を溶解させた。これにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.0部と蒸留水300部の混合液を添加し、ホモミキサーにて10,000rpmで5分間攪拌した後、ホモジナイザーに20MPaの圧力で2回通し、安定な予備分散液を得た。これを攪拌装置、冷却器、熱電対、窒素導入口、試薬滴下装置を備えたフラスコに仕込み、窒素気流下、水浴中70℃に加熱した。
【0062】
硫酸第一鉄0.0004部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.0012部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.2部を蒸留水5部に溶かして、内容物に加えて重合を開始し、3時間保持し、ポリマー粒子分散液(以下B−1a)を得た。(B−1aの固形分濃度は25.2%で粒子径分布は単一のピークを示し、重量平均粒子径は180nm、表面電位は−52mVであった)
ポリテトラフルオロエチレン系粒子分散液として旭硝子社製フルオンAD936を用いた。(AD936の固形分濃度は63.0%であり、ポリテトラフルオロエチレンに対して5%のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルを含むものである。AD936の粒子径分布は単一のピークを示し、重量平均粒子径は280nm、表面電位は−20mVであった。)
83.3部のAD936に蒸留水116.7部を添加して、固形分26.2%のポリテトラフルオロエチレン粒子分散液B−1bを得た。(B−1bは25%のポリテトラフルオロエチレン粒子と1.2%のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルを含むものである。)
80部のB−1b(固形分21.0部)と 234.1部のB−1a(固形分59.0部)とを攪拌翼、コンデンサー、熱電対、窒素導入口を備えたセパラブルフラスコに仕込み、窒素気流下で1時間攪拌した。
【0063】
80部のB−1b(固形分21.0部)と 234.1部のB−1a(固形分59.0部)とを攪拌翼、コンデンサー、熱電対、窒素導入口を備えたセパラブルフラスコに仕込み、窒素気流下で1時間攪拌した。
【0064】
その後、系内を80℃に昇温し、1時間攪拌した後、硫酸鉄(II)0.001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.003部、ロンガリット塩0.24部、蒸留水60.8部の混合液を加え、メチルメタクリレート19部、メチルアクリレート1部、ターシャリーブチルパーオキサイド0.4部の混合液を1時間かけて滴下し、滴下終了後内温を80℃で1時間保持してラジカル重合を完了させた。一連の操作を通じて固形物の分離はみられず、均一な分散液を得た。この粒子分散液を酢酸カルシウム5部を含む90℃の熱水400部に投入し、固形物を分離させ、濾過、乾燥してフッ素含有重合体複合粒子B−1(99部)を得た。
【0065】
実施例1〜5、比較例1〜3
2軸押出機(池貝製作所製PCM−30)を用いて、表1に示す各成分を樹脂フィーダーおよびサイドフィーダーから供給し、シリンダー温度250℃の温度で溶融混練してペレットとした。なお、樹脂フィーダーからは表1の熱可塑性樹脂、フッ素含有重合体複合粒子、およびその他の各成分をブレンドして投入した。またサイドフィーダーからは表1の炭素繊維(D−1)を投入した。
【0066】
次いでこのペレットを150℃で2時間の熱風による乾燥をした後、射出成形機(日本製鋼所(JSW)製 75T成形機 J75SSII)を用いて樹脂温度260℃、金型温度80℃の温度条件でISO 3167 A形の試験片を成形した。
【0067】
表1から明らかなように、実施例1〜5は、湿熱処理後の引張強さ保持率が40%以上で、導電性も端子間抵抗値で6Ω以下であるため、耐加水分解性および導電性が良好に保たれていた。
【0068】
これに対して、比較例1は、フッ素含有重合体(B)およびエポキシ樹脂(C)を含まない組成であり、耐加水分解性は不良であった。
【0069】
また、比較例2、3は、フッ素含有重合体(B)を含有しているため、耐加水分解性は良好であるが、導電性が不良であった。
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の樹脂成形品は、電磁波シールド性が要求される電気・電子部品に使用することができる。特に、耐加水分解性の要求される自動車用部品に好適に使用することができる。
【0071】
樹脂成形品の例としては、特に動力ケーブルの接続に使用されるシールドコネクターや各種のコネクター、自動車エンジンルーム内または車内用のノイズ低減カバーおよび部品、携帯電話用ハウジング等の筐体およびパソコンハウジング等の筐体、ICカバー用筐体等の各種機器の筐体に極めて有用である。
【0072】
そのほか、コネクター、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEDランプ、ソケット、用紙用分離爪、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶ディスプレー部品、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、HDD部品、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク(登録商標)・コンパクトディスクなどの音声機器部品;照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品;オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具;オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受、などの各種軸受;モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品;顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンショメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキバット磨耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、パワーシートギアハウジング、イグニッションコイル用部品、点火装置ケース、インストロメントパネルのノイズ低減部品などの自動車・車両関連部品、その他、パチンコ台用ICカバー等各種用途に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真鍮製金属端子を120mm間隔で任意の位置に埋め込んだときの端子間抵抗値が6Ω以下であって、飽和水蒸気中120℃ 2気圧で100時間処理をした後の引張強さ保持率が35%以上である樹脂成形品。
【請求項2】
樹脂成形品が自動車用部品である請求項1記載の樹脂成形品。
【請求項3】
樹脂成形品が電気・電子部品である請求項1記載の樹脂成形品。
【請求項4】
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)を30〜84.89質量%、フッ素含有重合体(B)を0.01〜20質量%、エポキシ樹脂(C)を0.1〜20質量%、および炭素系充填剤(D)を30〜60質量%含有する樹脂組成物。

【公開番号】特開2008−88203(P2008−88203A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−267252(P2006−267252)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】