樹脂相溶性ヤーンバインダーおよびそれらの使用
【課題】複合材料を強化するための被覆繊維ストランドを提供すること。
【解決手段】以下を含む成分から形成された無デンプン組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む繊維ストランド:a)少なくとも1種の塗膜形成材料、b)少なくとも1種の高分子潤滑剤、c)少なくとも1種のロジン、d)少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、e)少なくとも1種の重合体粒子分散体であって、ここで、該個々の粒子は、少なくとも0.1ミクロンの直径を有する、f)少なくとも1種の乳化剤、およびg)少なくとも1種の追加潤滑剤であって、該追加潤滑剤は、該少なくとも1種の高分子潤滑剤とは異なる、繊維ストランド。
【解決手段】以下を含む成分から形成された無デンプン組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む繊維ストランド:a)少なくとも1種の塗膜形成材料、b)少なくとも1種の高分子潤滑剤、c)少なくとも1種のロジン、d)少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、e)少なくとも1種の重合体粒子分散体であって、ここで、該個々の粒子は、少なくとも0.1ミクロンの直径を有する、f)少なくとも1種の乳化剤、およびg)少なくとも1種の追加潤滑剤であって、該追加潤滑剤は、該少なくとも1種の高分子潤滑剤とは異なる、繊維ストランド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本願は、米国特許出願第10/960、967号(これは、2004年10月12日に出願された)から優先権を主張している。
【0002】
本発明は、一般に、複合材料を強化するための被覆繊維ストランドに関し、特定の実施形態では、その中にストランドを取り込んだマトリックス材料と相溶性である被覆繊維ストランドに関する。
【背景技術】
【0003】
熱硬化性成形操作では、良好な「ウェットスルー」(マットまたは布を通る高分子マトリックス材料の貫通)および「ウェットアウト」(マットまたは布における繊維の個々のバンドルまたはストランドを通る高分子マトリックス材料の貫通)特性が望まれている。対照的に、代表的な熱可塑性成形操作では、良好な分散特性(すなわち、熱可塑性材料内での繊維の良好な分布特性)が重要である。
【0004】
布に織られた繊維ストランドから形成された複合材料または積層体の場合、これらのストランドの良好なウェットスルー特性および良好なウェットアウト特性に加えて、繊維ストランドの表面にある被覆が繊維を処理中の摩耗から保護し、特に、良好なエア−ジェット織機において、良好な織り込み性(weavability)を与え、そして繊維ストランドが取り込まれる高分子マトリックス材料と相溶性であることが望ましい。しかしながら、多くのサイジング成分は、これらの高分子マトリックス材料と相溶性ではなく、ガラス繊維と高分子マトリックス材料との間の接着性に悪影響を与え得る。例えば、デンプン(これは、織物繊維に一般的に使用されるサイジング成分である)は、一般に、高分子マトリックス材料と相溶性ではない。結果として、これらの非相溶性材料は、高分子マトリックス材料で含浸する前に、織物から除去されなければならない。
【0005】
このような非樹脂相溶性サイジング材料の除去(すなわち、織物の脱脂または脱油)は、種々の技術によって、達成できる。これらの非樹脂相溶性サイジング材料の除去は、最も一般的には、織布を長時間にわたって高温に晒してサイジングを熱的に分解することにより、達成される(これは、通例、ヒート−クリーニングと呼ばれている)。従来のヒート−クリーニングプロセスは、織物を、380℃で、60〜80時間加熱する工程を包含する。しかしながら、このようなヒートクリーニング工程は、ガラス繊維の強度に有害であり、また、非相溶性材料を除去するのに常に完全に成功するときは限らず、さらに、織物をサイジング分解生成物で汚染し得る。サイジング材料を除去する他の方法(例えば、水洗および/または化学的除去)が試みられている。しかしながら、このような方法は、一般に、このような水洗および/または化学的除去操作に適合させるためのサイジング組成の相当な再編を要し、一般に、全ての非相溶性サイジング材料を除去する際に、ヒート−クリーニングほど効率的ではない。
【0006】
それに加えて、その織るプロセスは、ガラス繊維のヤーンを極めて摩耗し得るので、ワープヤーンとして使用されるヤーンは、代表的には、織る前に、ワープヤーンを摩耗耐性被覆(これは、通例、「スラッシングサイズ」と呼ばれている)で被覆してガラス繊維の摩耗を出来るだけ少なくするために、二次被覆工程(これは、通例、「スラッシング」と呼ばれている)を受ける。このスラッシングサイズは、一般に、その繊維形成操作中にガラス繊維に予め塗布された一次サイズの上に、塗布される。しかしながら、代表的なスラッシングサイズはまた、一般に、高分子マトリックス材料と相溶性ではないので、これらもまた、樹脂に取り込まれる前に、織布から除去されなければならない。
【0007】
さらに、脱脂または脱油された布と重合体樹脂との間の接着性を改善するために、この布には、さらに別の工程(これは、通例、「フィニッシング」と呼ばれている)において、ガラス繊維を再塗装するために、フィニッシングサイズ(代表的には、シランカップリング剤)が塗布される。
【0008】
これらの無付加価値(non−value added)処理工程(スラッシング、脱脂または脱油、およびフィニッシング)の各々は、布の生産サイクルおよび価格を上昇させる。さらに、各々は、一般に、資本設備および労働力の相当な投資を必要とする。さらに、これらの処理工程に関連して布の取り扱いが増えることによって、布が損傷したり品質が低下し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これらの処理工程のいくつかの効率または有効性を改善する方向で努力が向けられている。それにもかかわらず、以下の1つまたはそれ以上を達成できる被覆が必要とされたままである:ガラス繊維の摩耗および破断を阻止すること;多種多様なマトリックス材料に相溶性であること;良好な加水分解安定性を与えること;およびマトリックス材料により良好なウェットアウトおよびウェットスルーを備えること。それに加えて、もし、これらの被覆が生産性を高めるために最新のエア−ジェット織機に適合するなら、特に有利となる。さらに、種々の用途に必要な布の品質を維持して良好な積層体特性を与えつつ、布形成操作における無付加価値処理工程をなくせるなら、有利となる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の繊維ストランドは、以下の特性の少なくとも1つを達成する独特の被覆を有する:処理中における繊維の摩耗および破断の阻止;複合材料の形成時における良好なウェットスルー、ウェットアウトおよび分散特性;および良好な加水分解安定性(すなわち、繊維/高分子マトリックス材料の界面に沿った水の移動に対する抵抗性)。以下で詳細に定義するように、「ストランド」は、複数の個々の繊維(すなわち、少なくとも2本の繊維)を含む。本明細書中で使用する「複合材料」とは、本発明の被覆繊維ストランドと追加材料(例えば、高分子マトリックス材料と配合されて積層体を形成する被覆繊維ストランドを取り込む1層またはそれ以上の布があるが、これに限定されない)を意味する。良好な積層体強度、良好な熱安定性、高湿度、反応性の酸およびアルカリの存在下での低い腐食性および反応性、ならびに種々の重合体マトリックスとの相溶性(これは、この被覆を除去する必要性、特に、積層前の加熱または加圧水洗浄をなくし得る)は、本発明の被覆繊維ストランドが示し得る他の望ましい特性である。
【0011】
特定の実施形態では、本発明の被覆繊維ストランドは、製織および編組においても、良好な加工性を与える。低いファズおよびハロス(本明細書中で使用する「ハロス」とは、回転引張り装置の周りで形成され得る破断したフィラメントの環である)、低い破断フィラメント、低いストランド張力、高い可撓性および低い挿入時間は、個々にまたは組み合わせて、本発明の被覆ガラス繊維ストランドにより提供できる特性の例である。これらの特性は、個々にまたは組み合わせて、製織および編組を容易にでき、そして一貫して、殆ど表面欠陥のない布を提供できる。それに加えて、本発明の被覆繊維ストランドは、エアジェット製織プロセスで使用するのに適切であり得る。本明細書中で使用する「エアジェット製織」とは、1本またはそれ以上のエアジェットノズルから圧縮空気を噴射することによりワープシェッドにフィルヤーン(横糸)が挿入される形式の織物の製織である。
【0012】
特定の実施形態では、本発明の被覆繊維ストランドは、その繊維の被覆された表面に沿った熱伝導を促進できる独特の被覆を有する。電子回路の連続的な強化として使用するとき、本発明のこのような被覆ガラス繊維は、その強化に沿って、熱源(例えば、チップまたは回路)からの熱の散逸を促進する機構を提供して、回路部品から熱を追い出し、それにより、回路部品、ガラス繊維および高分子マトリックス材料の熱分解および/または劣化を阻止できる。本発明の被覆ガラス繊維は、マトリックス材料よりも高い熱伝導相(すなわち、熱の散逸および分配のための経路)を提供し、それにより、電子回路基板の熱膨張および焼結ひずみの差を減らし、そしてハンダ接合の信頼性を向上させる。
【0013】
本発明の被覆繊維ストランドはまた、アーマチュアバンディングテープ(これは、ラジアル圧縮における発電機アーマチュア、アーマチュア巻線およびコミュテータの構成部品を保持するのに有用であり得る)に対して、必要な強度および電気絶縁部品を提供する。このような圧縮がないと、このような部品の回転している部材の不均衡が起こり得、あるいは、ひどい場合には、この部材自体の破裂を引き起こし得る。代表的には、このようなバンディングは、樹脂が効果されたとき、このバンディングテープの個々の繊維をバンディング内の定位置に固定するのを助ける硬化可能接着樹脂に含浸された繊維ストランドから形成される。上記クリーニング工程をなくすことにより、本発明の被覆ガラス繊維が、このような方法により洗浄された繊維の上に、追加強度および電気絶縁を与えることが可能となる。
【0014】
本発明の被覆繊維ストランドは、さらに、複合材料の構造強化成分として、供され得る。複合材料は、航空宇宙、航空機、および他の用途で使用される重要な構造材料である。適切な用途には、稲妻による攻撃が原因の損傷からの航空機の保護、レーダーによる検出に対する航空機の遮蔽、およびロケットエンジンノズルとしてまたは再突入飛翔体上の誘導面としての宇宙航空複合材料の使用が挙げられる。複合材料は、複合材料内で異なる特性を保持する1つまたはそれ以上の別々の相を含む。代表的な非金属の航空宇宙用複合材料では、その強化材よりもずっと弱く延性のある樹脂材料のマトリックスに、高強度または高弾性率の強化材(例えば、ガラス繊維)が包埋されている。このマトリックスは、この強化材を共に結合し、整列し、そして保護する。
【0015】
複合材料の重要な局面は、重量を最小にしかつ性能を最大にするために、設計者が各個々の構造片の要求に対して材料の特性を改造できることにある。複合材料の特性は、その強化材相およびマトリックス相の個々の特性により、また、複合材料に存在している強化材およびマトリックスの相対量により、決定される。各バッチの複合材料の特性は、特定の用途に対する設計者の要求を満たすことが確かであると知られていなければならない。それゆえ、ヒートクリーニング工程(これは、ガラス繊維の強度に対して有害であり得、さらに、布をサイジング生成物で汚染し得る)をなくすことにより、得られた複合材料の特性をさらに正確に予測することが可能となる。
【0016】
特定の実施形態では、本発明の被覆繊維ストランドはまた、マトリックス樹脂に熱伝導性材料を取り込む必要性をなくすか少なくでき、これは、積層体の製造操作を向上させ、そして費用のかかるマトリックス材料供給タンクのパージング(purging)および維持を減らす。
【0017】
本発明の被覆繊維ストランドは、高いストランド開放性を有し得る。本明細書中で使用する「高いストランド開放性」との用語は、そのストランドが拡大断面を有し、このストランドのフィラメントが互いに密接には結合されていないことを意味する。高いストランド開放性は、ストランドバンドルへのマトリックス材料の貫入またはウェットアウトを促進できる。
【0018】
本発明の繊維ストランドから製造された本発明の複合材料(特に、積層体)は、以下の特性の少なくとも1つを有し得る:低い熱膨張率;良好な曲げ強度;良好な層間結合強度;および良好な加水分解安定性(すなわち、繊維/マトリックス材料の界面に沿った水の移動に対する抵抗性)。さらに、本発明に従った繊維ストランドから製造された本発明の電子支持体およびプリント回路基板は、以下の特性の少なくとも1つを有し得る:良好な穿孔可能性;および金属移動に対する抵抗性(これはまた、カソード−アノードフィラメント形成またはCAFとも呼ばれている)。Tummala(著)ら、Microelectronics Packaging Handbook.(1989)の896〜897ページおよびIPC−TR−476B,「Electrochemical Migration:Electrochemically Induced Failures in Printed Wiring Boards and Assemblies」、(1997)(これらの内容は、具体的に、本明細書中で参考として援用されている)を参照のこと。特定の実施形態では、本発明に従った繊維ストランドは、良好な穿孔可能性(これは、少なくとも1つ、穿孔中の低い用具摩耗により、示される)および穿孔穴の良好な位置精度を有する。
【0019】
上記のように、代表的な布形成操作は、ガラス繊維ヤーンおよびそこから製造された布をいくつかの無付加価値処理工程(例えば、スラッシング、ヒート−クリーニングおよびフィニッシング)にかける工程を包含する。本発明は、布、積層体、電子支持体、プリント回路基板、アーマチュアバンディングテープおよび航空宇宙用複合材料を形成する方法であって、種々の開示された用途で使用するのに適切な品質を有する布を提供しつつ、この布形成プロセスから無付加価値処理工程をなくすか減らす方法を提供する。本発明の特定の実施形態の他の利点には、生産サイクル時間の低下、資本設備がいらないこと、布取り扱いおよび労働コストの低下、良好な布品質および良好な最終製品特性が挙げられる。
【0020】
本発明の1実施形態では、繊維ストランドは、以下から形成された無デンプン組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む:少なくとも1種の塗膜形成材料、少なくとも1種の高分子潤滑剤、少なくとも1種のロジン、少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、少なくとも1種の重合体粒子分散体であって、ここで、該個々の粒子は、少なくとも0.1ミクロンの直径を有する、少なくとも1種の乳化剤、および少なくとも1種の追加潤滑剤であって、該追加潤滑剤は、該少なくとも1種の高分子潤滑剤とは異なる。
【0021】
本発明の別の実施形態では、繊維ストランドは、以下から形成された無デンプン組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む:少なくとも1種の塗膜形成材料、少なくとも1種のシリル化ポリアミン、少なくとも1種のロジン、少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、少なくとも1種の重合体粒子分散体であって、ここで、該個々の粒子は、少なくとも0.1ミクロンの直径を有する、少なくとも1種の乳化剤、および少なくとも1種の追加潤滑剤であって、該追加潤滑剤は、該少なくとも1種のシリル化ポリアミンとは異なる。
【0022】
本発明のさらに別の実施形態では、繊維ストランドは、以下から形成された組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む:少なくとも1種の塗膜形成材料、少なくとも1種の潤滑剤、少なくとも1種のロジン、少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、少なくとも1種の重合体粒子分散体であって、ここで、該個々の粒子は、少なくとも0.1ミクロンの直径を有する、少なくとも1種のフェノール性乳化剤、および少なくとも1種の追加乳化剤であって、該追加乳化剤は、該少なくとも1種のフェノール性乳化剤とは異なる。
【0023】
本発明のさらに別の実施形態では、繊維ストランドは、以下から形成された組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む:少なくとも1種の塗膜形成材料、少なくとも1種の潤滑剤、少なくとも1種のロジン、少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、少なくとも1種のフェノール性乳化剤、および少なくとも1種の追加乳化剤であって、該追加乳化剤は、該少なくとも1種のフェノール性乳化剤とは異なる。本発明のさらに別の実施形態では、繊維ストランドは、以下から形成された組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む:少なくとも1種の塗膜形成材料、少なくとも1種の潤滑剤、少なくとも1種のロジン、少なくとも1種のフェノール性乳化剤、および少なくとも1種の追加乳化剤であって、該追加乳化剤は、該少なくとも1種のフェノール性乳化剤とは異なる。
【0024】
本発明の別の実施形態では、繊維ストランドは、以下から形成された組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む:少なくとも1種の塗膜形成材料、少なくとも1種の潤滑剤、少なくとも1種のロジン、少なくとも1種の重合体粒子分散体であって、ここで、該個々の粒子は、少なくとも0.1ミクロンの直径を有する、少なくとも1種のフェノール性乳化剤、および少なくとも1種の追加乳化剤であって、該追加乳化剤は、該少なくとも1種のフェノール性乳化剤とは異なる。
【0025】
本発明の別の実施形態では、布は、少なくとも1本の繊維ストランドから構成された少なくとも1本のフィルヤーンと、例えば、以下から形成された組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維ストランドから構成された少なくとも1本のワープヤーンとを含む:少なくとも1種のロジン、少なくとも1種のカチオン性潤滑剤、少なくとも1種の塗膜形成材料、少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、および少なくとも1種の重合体粒子分散体。
【0026】
前記個々の実施形態の各々において、本発明の塗装組成物を構成する成分は、異なる。
【0027】
本明細書の目的のために、操作実施例以外、または特に明記しない限り、例えば、本明細書および特許請求の範囲で使用される成分の量、反応条件などを示す全ての数値または表現は、いずれの場合にも、「約」との用語により修飾されることが理解できるはずである。従って、以下の明細書および添付の特許請求の範囲で述べた数値パラメータは、他にそうでないことが示されていない限り、近似値であり、これは、本発明で得るように求めた所望の特性に依存して、変わり得る。少なくとも、この特許請求の範囲の等価物の原則の適用に限定しようとするのではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数に照らして、通常の端数計算技術を適用することにより、解釈すべきである。
【0028】
本発明に従った被覆繊維ストランドは、複数の繊維を含む。本明細書中で使用する「ストランド」とは、複数の個々の繊維(すなわち、少なくとも2本の繊維)を含み、このストランドは、異なる繊維化可能(fiberizable)材料から作られた繊維を含み得る。(繊維のバンドルはまた、「ヤーン」とも呼ばれ得る)。「繊維」との用語は、個々のフィラメントを意味する。本発明を限定しないものの、これらの繊維は、3〜35マイクロメートルの範囲の平均名目繊維直径を有し得る。特定の実施形態では、本発明の平均名目繊維直径は、例えば、5マイクロメートル以上であり得る。「ファインヤーン」用途には、この平均名目繊維直径は、5〜7マイクロメートルの範囲であり得る。
【0029】
これらの繊維は、当業者に公知の任意の種類の繊維化可能材料から形成でき、これらには、繊維化可能無機材料、繊維化可能有機材料および前述のいずれかの混合物が挙げられる。これらの無機および有機材料は、人工材料または天然に存在している材料のいずれかであり得る。当業者は、繊維化可能無機および有機材料がまた高分子材料であり得ることを理解する。本明細書中で使用する「高分子材料」との用語は、長鎖原子(これらは、共に連結され、溶液中または固体状態で絡まり得る)から構成される巨大分子から形成された材料を意味する(James Markら、Inorganic Polymers,Prentice Hall Polymer Science and Engineering Series,(1992) 1ページ(この内容は、本明細書中で参考として援用されている))。本明細書中で使用する「繊維化可能」とは、大体連続したフィラメント、繊維、ストランドまたはヤーンに形成できる材料を意味する。
【0030】
特定の実施形態では、これらの繊維は、無機繊維化可能ガラス材料から形成できる。本発明で有用な繊維化可能ガラス材料には、繊維化可能ガラス組成物(例えば、「E−ガラス」、「A−ガラス」、「C−ガラス」、「D−ガラス」、「G−ガラス」、「R−ガラス」、「S−ガラス」および「E−ガラス誘導体」)が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書中で使用する「E−ガラス誘導体」とは、少量のフッ素および/またはホウ素を含むガラス組成物、最も好ましくは、フッ素および/またはホウ素を含まないガラス組成物を意味する。さらに、本明細書中で使用する「少量のフッ素」とは、0.5重量パーセント未満のフッ素、例えば、0.1重量パーセント未満のフッ素を意味し、そして「少量のホウ素」とは、5重量パーセント未満のホウ素、例えば、2重量パーセント未満のホウ素を意味する。玄武岩およびミネラルウールは、本発明で有用な他の繊維化可能ガラス材料の例である。特定の実施形態では、これらのガラス繊維は、E−ガラスまたはE−ガラス誘導体から選択される。他の実施形態では、これらのガラス繊維は、G−ガラスから選択される。
【0031】
本発明のガラス繊維は、当該技術分野で公知の任意の適切な方法で、形成できる。例えば、ガラス繊維は、ダイレクトメルト繊維形成操作またはインダイレクト(すなわち、マーブルメルト)繊維形成操作で、形成できる。ダイレクトメルト繊維形成操作では、原料は、ガラス溶融炉において、混ぜ合わされ、溶融され、そして均質化される。溶融したガラスは、この炉から、前床に移動し、そして繊維形成装置に入り、この場所で、溶融したガラスは、連続ガラス繊維に細められる。マーブルメルトガラス形成操作では、所望の最終ガラス組成を有するガラスの断片またはマーブルが予め形成され、そしてブッシングに給送され、この場所で、それらは、溶融され、そして連続ガラス繊維に細められる。もし、プレメルター(premelter)を使用するなら、これらのマーブルは、まず最初に、このプレメルターに給送され、溶融され、次いで、融解したガラスは、繊維形成装置に給送され、この場所で、このガラスは、細められて、連続繊維が形成される。本発明では、これらのガラス繊維は、好ましくは、ダイレクトメルト繊維形成操作により、形成される。ガラス組成物およびガラス繊維を形成する方法に関する追加情報には、K.Loewenstein,The Manufacturing at Technology of Continuous Glass Fibres,(第3版、1993)、30〜44ページ、47〜103ページおよび115〜165ページ;米国特許第4,542,106号および第5,789,329号;ならびにIPC−EG−140 「Specification for Finished Fabric Woven from ‘E’ Glass for Printed Boards」、1ページ、The Institute for Interconnecting and Packaging Electronic Circuitsの刊行物(1997年6月)を参照のこと。
【0032】
適切な非ガラス繊維化可能無機材料の非限定的な例には、セラミック材料(例えば、炭化ケイ素、炭素、グラファイト、ムライト、酸化アルミニウムおよび圧電性セラミック材料)が挙げられる。適切な繊維化可能有機材料の非限定的な例には、綿布、セルロース、天然ゴム、亜麻、ラミー繊維、麻、サイザル麻および羊毛が挙げられる。適切な繊維化可能有機高分子材料の非限定的な例には、ポリアミドから形成されたもの(例えば、ナイロンおよびアラミド)、熱可塑性ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタラートおよびポリブチレンテレフタラート)、アクリル(例えば、ポリアクリロニトリル)、ポリオレフィン、ポリウレタンおよびビニル重合体(例えば、ポリビニルアルコール)が挙げられる。本発明で有用な非ガラス繊維化可能材料、およびこのような繊維を調製し加工する方法は、the Encyclopedia of Polymer Science and Technology、Vol.6(1967)の505〜712で詳細に述べられている。
【0033】
上記材料のいずれかのブレンドまたは生地、および上記材料のいずれかから形成された配合物は、もし望ましいなら、本発明で使用できることが分かる。さらに、繊維ストランドとの用語は、異なる繊維化可能材料から製造された少なくとも2本の異なる繊維を包含する。特定の実施形態では、本発明の繊維ストランドは、少なくとも1本のガラス繊維を含有するが、他の種類の繊維を含有し得る。
【0034】
本発明は、今ここで、一般に、ガラス繊維ストランドの状況で、述べるものの、当業者は、このストランドが、上述のような当該技術分野で公知の任意の繊維化可能材料から形成された繊維を含み得ることを理解する。それゆえ、ガラス繊維の点からの以下の論述は、一般に、上述の他の繊維に当てはまる。
【0035】
特定の実施形態では、本発明の繊維ストランドの繊維の少なくとも1本、おそらく全部は、これらの繊維の少なくとも1表面の少なくとも一部にて、塗装組成物(例えば、塗装組成物の残渣)を有する。この被覆は、繊維表面を処理中の摩耗から保護するのに、また、繊維の破断を阻止するのに役立ち得る。
【0036】
表Aは、いくつかの代表的なガラス繊維ヤーン製品における繊維の直径および数を列挙する。
【0037】
【表1A】
本発明の塗装組成物は、水性塗装組成物であり得、特定の実施形態では、水性樹脂相溶性塗装組成物であり得る。これらの塗装組成物は、必要に応じて、揮発性有機溶媒(例えば、アルコールまたはアセトン)を含有し得るが、特定の実施形態では、このような溶媒を含まない。さらに、本発明の塗装組成物は、一次サイジング組成物および/または二次サイジングまたは塗装組成物として、使用できる。
【0038】
本明細書中で使用する「サイズ」、「サイズド」または「サイジング」とは、繊維に塗布された任意の塗装組成物を意味する。「一次サイズ」または「一次サイジング」との用語は、繊維の形成直前に繊維に塗布された塗装組成物を意味する。「二次サイズ」、「二次サイジング」または「二次被覆」とは、一次サイズの塗布後に繊維に塗布された塗装組成物を意味する。「三次サイズ」、「三次サイジング」または「三次被覆」とは、二次サイズの塗布後に繊維に塗布された塗装組成物を意味する。これらの被覆は、繊維を布に組み込む前に、この繊維に塗布できるか、あるいは、繊維を布に組み込んだ後、例えば、その布を塗装することにより、この繊維に塗布できる。「サイズ」、「サイズド」および「サイジング」との用語は、通常の非樹脂相溶性サイジング組成物の少なくとも一部、おそらく、全部を熱処理または化学処理で除去した後、これらの繊維に塗布された塗装組成物(これはまた、「仕上げサイズ」とも呼ばれる)を意味し、すなわち、この仕上げサイズは、布形態に組み込まれた裸のガラス繊維に塗布される。
【0039】
本明細書中で使用する「樹脂相溶性」とは、ガラス繊維に塗布された塗装組成物が、この塗装組成物(または選択された塗装成分)が以下の特性の少なくとも1つを達成するように、そのガラス繊維を取り込みマトリックス材料と相溶性であることを意味する:このマトリックス材料に取り込む前に、(例えば、脱脂または脱油による)除去を必要としないこと;通常の処理中において、このマトリックス材料の良好なウェットアウトおよびウェットスルーを促進すること;および所望の物理的特性および加水分解安定性を有する最終複合材料製品を得ること。
【0040】
本発明の繊維ストランドの繊維の少なくとも一部、おそらく全部は、それらの繊維の表面の少なくとも一部において、塗装組成物(例えば、塗装組成物の残渣)を有する。
【0041】
本発明の1実施形態では、繊維ストランドは、以下から形成された無デンプン組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む:少なくとも1種の塗膜形成材料、少なくとも1種の高分子潤滑剤、少なくとも1種のロジン、少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、少なくとも1種の重合体粒子分散体であって、ここで、該個々の粒子は、少なくとも0.1ミクロンの直径を有する、少なくとも1種の乳化剤、および少なくとも1種の追加潤滑剤であって、該追加潤滑剤は、該少なくとも1種の高分子潤滑剤とは異なる。
【0042】
本発明の別の実施形態では、繊維ストランドは、以下から形成された無デンプン組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む:少なくとも1種の塗膜形成材料、少なくとも1種のシリル化ポリアミン、少なくとも1種のロジン、少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、少なくとも1種の重合体粒子分散体であって、ここで、該個々の粒子は、少なくとも0.1ミクロンの直径を有する、少なくとも1種の乳化剤、および少なくとも1種の追加潤滑剤であって、該追加潤滑剤は、該少なくとも1種のシリル化ポリアミンとは異なる。
【0043】
本発明のさらに別の実施形態では、繊維ストランドは、以下から形成された組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む:少なくとも1種の塗膜形成材料、少なくとも1種の潤滑剤、少なくとも1種のロジン、少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、少なくとも1種の重合体粒子分散体であって、ここで、該個々の粒子は、少なくとも0.1ミクロンの直径を有する、少なくとも1種のフェノール性乳化剤、および少なくとも1種の追加乳化剤であって、該追加乳化剤は、該少なくとも1種のフェノール性乳化剤とは異なる。
【0044】
本発明のさらに別の実施形態では、繊維ストランドは、以下から形成された組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む:少なくとも1種の塗膜形成材料、少なくとも1種の潤滑剤、少なくとも1種のロジン、少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、少なくとも1種のフェノール性乳化剤、および少なくとも1種の追加乳化剤であって、該追加乳化剤は、該少なくとも1種のフェノール性乳化剤とは異なる。
【0045】
本発明のさらに別の実施形態では、繊維ストランドは、以下から形成された組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む:少なくとも1種の塗膜形成材料、少なくとも1種の潤滑剤、少なくとも1種のロジン、少なくとも1種のフェノール性乳化剤、および少なくとも1種の追加乳化剤であって、該追加乳化剤は、該少なくとも1種のフェノール性乳化剤とは異なる。
【0046】
本発明の別の実施形態では、繊維ストランドは、以下から形成された組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む:少なくとも1種の塗膜形成材料、少なくとも1種の潤滑剤、少なくとも1種のロジン、少なくとも1種の重合体粒子分散体であって、ここで、該個々の粒子は、少なくとも0.1ミクロンの直径を有する、少なくとも1種のフェノール性乳化剤、および少なくとも1種の追加乳化剤であって、該追加乳化剤は、該少なくとも1種のフェノール性乳化剤とは異なる。
【0047】
本発明の別の実施形態では、布は、少なくとも1本の繊維ストランドから構成された少なくとも1本のフィルヤーンと、例えば、以下から形成された組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維ストランドから構成された少なくとも1本のワープヤーンとを含む:少なくとも1種のロジン、少なくとも1種のカチオン性潤滑剤、少なくとも1種の塗膜形成材料、少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、および少なくとも1種の重合体粒子分散体。
【0048】
本発明の塗装組成物は、少なくとも1種のロジンを含有できる。本発明の非限定的な1実施形態では、この少なくとも1種のロジンは、天然ロジン、化学変性ロジン、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0049】
有用な天然ロジンには、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。適切なガムロジンの非限定的な例には、生きている木から引き出されたオレオレジンに由来のテレビン油の蒸留後に得られる残渣が挙げられる。有用なウッドロジンは、松の切り株をナフサで抽出して揮発性画分を留去することにより得られる残渣を含有する。適切なトール油ロジンの非限定的な例は、トール油の分別の副生成物である。
【0050】
有用な化学変性ロジンには、それらが天然ロジンの明確な特性を示さないように化学的に変えられたロジンが挙げられる。非限定的な1実施形態では、この化学変性ロジンは、少なくとも1種のダイマーおよび少なくとも1種の脱炭酸樹脂酸を含む。有用な化学変性ロジの非限定的な例には、DYNAKOLL SI 100が挙げられ、これは、Eka Chemicals AB,Swedenから購入され、ウッドロジンを無水マレイン酸、ポリエチレングリコールおよびフェニルグリシジルエーテルと反応させたときに形成されるいくつかの反応生成物の混合物であると考えられている。それゆえ、DYNAKOLL SI 100は、例えば、少なくとも1個のグリシジルエーテル基(例えば、2個のグリシジルエーテル基)、および少なくとも1個のポリエチレングリコール基を含むと考えられている。
【0051】
このロジンは、本発明の塗装組成物中にて、全固形分ベースで、0重量パーセントより多く25重量パーセントまでの範囲の量で、存在できる。非限定的な1実施形態では、この少なくとも1種のロジンは、この塗装組成物中にて、全固形分ベースで、3〜15重量パーセントの範囲の量で、存在できる。別の非限定的な実施形態では、この少なくとも1種のロジンは、この塗装組成物中にて、全固形分ベースで、6〜12重量パーセントの範囲の量で、存在できる。
【0052】
本発明の塗装組成物は、さらに、1種またはそれ以上の潤滑性物質を含有できる。特定の実施形態では、この塗装組成物は、1種またはそれ以上のカチオン性潤滑剤を含有できる。このようなカチオン性潤滑剤の非限定的な例には、脂肪酸脂肪酸のアミン塩(これは、例えば、12個〜22個の炭素原子を有する脂肪酸部分および/または窒素原子に結合した1個〜22個の原子のアルキル基を有する第三級アミンを含み得る)、アルキルイミダゾリン誘導体(これは、例えば、脂肪酸とポリアルキレンポリアミンとの反応により、形成できる)、酸可溶化脂肪酸アミド(例えば、4個〜24個の炭素原子の酸基を有する飽和または不飽和脂肪酸アミド(例えば、ステアリン酸アミド))、酸可溶化ポリ不飽和脂肪酸アミド、脂肪酸とポリエチレンイミンおよびアミド置換ポリエチレンイミンと縮合物(例えば、EMERY 6717)、部分アミド化ポリエチレンイミン(これは、Cincinnati,OhioのCognis Corporationから市販されている)、およびALUBRASPIN 226(これは、Parsippany,New JerseyのBASF Corp.から市販されている)が挙げられる。
【0053】
有用なアルキルイミダゾリン誘導体の非限定的な例には、CATION X(これは、Princeton,New JerseyのRhone Poulenc/Rhodiaから市販されている)、およびALUBRASPIN 261(これは、Parsippany,New JerseyのBASF Corp.から購入した)がある。
【0054】
本発明の1実施形態では、この少なくとも1種のカチオン性潤滑剤は、1種またはそれ以上のシリル化ポリアミン重合体を含有する。このようなシリル化ポリアミン潤滑剤の非限定的な例には、ALUBRASPIN 227(これは、Parsippany,New JerseyのBASF Corpから購入した;例えば、米国特許第5,354,829号で開示されている)が挙げられる。
【0055】
本発明の特定の実施形態では、この少なくとも1種のカチオン性潤滑剤の量は、全固形分ベースで、この塗装組成物の8重量パーセント以下であり得る。非限定的な1実施形態では、この少なくとも1種のカチオン性潤滑剤の量は、全固形分ベースで、この塗装組成物の0.5〜8重量パーセントの範囲、例えば、全固形分ベースで、この塗装組成物の1〜6重量パーセント、および1〜3重量パーセントの範囲であり得る。
【0056】
本発明の特定の実施形態では、この潤滑剤は、1種またはそれ以上の高分子潤滑剤を含有できる。高分子潤滑剤の非限定的な例には、ポリアミン重合体から選択される潤滑剤が挙げられる。本発明の1実施形態では、この少なくとも1種の高分子潤滑剤は、1種またはそれ以上のシリル化ポリアミン重合体を含有する。このようなシリル化ポリアミン潤滑剤の非限定的な一例には、ALUBRASPIN 227(これは、Parsippany,New JerseyのBASF Corp.から購入した;例えば、米国特許第5,354,829号で開示されている)が挙げられる。
【0057】
本発明の特定の実施形態では、この少なくとも1種の高分子潤滑剤の量は、全固形分ベースで、この塗装組成物の8重量パーセント以下であり得る。非限定的な1実施形態では、この少なくとも1種の高分子潤滑剤の量は、全固形分ベースで、この塗装組成物の0.5〜8重量パーセントの範囲、例えば、全固形分ベースで、この塗装組成物の1〜6重量パーセント、および1〜3重量パーセントの範囲であり得る。
【0058】
本発明の特定の実施形態では、この潤滑剤は、さらに、1種またはそれ以上の極性を有するワックスおよびオイルを含有でき、さらに好ましくは、極性および35℃より高い融点、さらに好ましくは、45℃より高い融点を有する非常に結晶性のワックスを含む。このような物質は、極性のないワックスおよびオイルを含有するサイジング組成物で被覆された繊維ストランドと比較して、このような極性物質を含有するサイジング組成物で被覆された繊維ストランドに対する極性樹脂のウェットアウトおよびウェットスルーを向上させると考えられている。
【0059】
本発明の非限定的な実施形態は、(1)モノカルボン酸と(2)一価アルコールとを反応させることから形成されたエステルを含む極性を有する潤滑性物質を包含する。本発明で有用なこのような脂肪酸エステルの非限定的な例には、パルミチン酸セチル(これは、好ましい)(これは、例えば、KESSCO 653またはSTEPANTEX 653として、Maywood,New JerseyのStepan Companyから市販されている)、ミリスチン酸セチル(これもまた、STEPANLUBE 654として、Stepan Companyから市販されている)ラウリン酸セチル、ラウリン酸オクタデシル、ミリスチン酸オクタデシル、パルミチン酸オクタデシルおよびステアリン酸オクタデシルが挙げられる。他の実施形態では、本発明で有用な物質には、トリメチロールプロパントリペラルゴネート、天然鯨蝋油およびトリグリセリド油(大豆油、アマニ油、エポキシ化大豆油、およびエポキシ化アマニ油があるが、これらに限定されない)が挙げられる。
【0060】
本発明の特定の実施形態では、この極性を有する少なくとも1種の潤滑性物質の量は、全固形分ベースで、この塗装組成物の45重量パーセント以下であり得る。非限定的な1実施形態では、この極性を有する少なくとも1種の潤滑性物質の量は、全固形分ベースで、この塗装組成物の5〜45重量パーセントの範囲、例えば、全固形分ベースで、この塗装組成物の15〜35重量パーセント、および20〜30重量パーセントの範囲であり得る。
【0061】
この塗装組成物はまた、少なくとも1種の塗膜形成材料を含有できる。1実施形態では、この少なくとも1種の塗膜形成材料は、水溶性高分子材料を含有できる。有用な材料の非限定的な例には、ポリアルキレンポリオールおよびポリオキシアルキレンポリオール(例えば、MACOL E−300(これは、Parsippany,New JerseyのBASF Corporationから市販されている)およびCARBOWAX 300およびCARBOWAX 400(これは、Dow Chemicalsから市販されている))が挙げられる。有用な塗膜形成材料の別の非限定的な例には、POLYOX WSR 301(これは、Dow Chemicalsから市販されているポリ(エチレンオキシド)である)がある。
【0062】
特定の実施形態では、本発明の塗装組成物中に存在している少なくとも1種の塗膜形成材料の量は、全固形分ベースで、この水性サイジング組成物の0重量パーセントより多く5重量パーセントまでの範囲であり得る。非限定的な1実施形態では、このサイジング組成物中に存在している塗膜形成材料の量は、全固形分ベースで、この水性サイジング組成物の0.2〜3重量パーセントの範囲、例えば、全固形分ベースで、この塗装組成物の0.5〜2重量パーセントの範囲であり得る。
【0063】
この塗装組成物は、さらに、少なくとも1種の表面変性剤またはカップリング剤を含有できる。適切なカップリング剤は、官能性オルガノシランカップリング剤であり得る。このようなカップリング剤は、二重官能性を有すると考えられている。各金属原子またはケイ素原子は、そこに、1個またはそれ以上の加水分解可能基が結合されており、これらの基は、ガラス表面と反応して、ヒドロキシル基および1個またはそれ以上の基(これらは、この塗装組成物中の他の成分と相溶性であるか反応できると考えられている)を除去できる。
【0064】
有用な官能性オルガノ−シランカップリング剤の非限定的な例には、ガンマ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、ガンマ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、ビニル−トリアルコキシシラン、グリシドキシプロピルトリアルコキシシランおよびウレイドプロピルトリアルコキシシランが挙げられる。有用な官能性オルガノ−シランカップリング剤の非限定的な例には、A−187 ガンマ−グリシドキシ−プロピルトリメトキシシラン、A−174 ガンマ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、A−1100 ガンマ−アミノプロピルトリエトキシシランシランカップリング剤、A−1108 アミノシランカップリング剤およびA−1160 ガンマ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン(各々は、Greenwich,CTのCrompton Corporationから市販されている)が挙げられる。オルガノ−シランカップリング剤の別の非限定的な例には、Z−6032、N−β(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(これは、Midland,MichiganのDow Corningにより製造され、例えば、米国特許第4,798,889号で開示されている)が挙げられる。
【0065】
このオルガノシランカップリング剤は、これらの繊維に塗布する前に、例えば、1:1の化学量論比で、少なくとも部分的に加水分解でき、あるいは、もし望ましいなら、非加水分解形状で、塗布できる。当該技術分野で周知であるように、その水のpHは、このカップリングの加水分解を開始または加速するために、酸または塩基を加えることにより変えることができる。有用なシランカップリング剤の他の例は、K.Loewenstein,The Manufacturing Technology of Continuous Glass Fibresの253ページ(第3版、New York 1983)(この内容は、本明細書中で参考として援用されている)で述べられている。
【0066】
この少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤の量は、全固形分ベースで、この塗装組成物の0重量パーセントより多く20重量パーセントまでの範囲であり得る。非限定的な1実施形態では、この少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤の量は、全固形分ベースで、このサイジング組成物の3〜15重量パーセント、例えば、6〜12重量パーセントの範囲である。
【0067】
これらの塗装組成物は、さらに、それらの塗装組成物の成分(例えば、粒子および/または潤滑性物質)を乳化または分散するための1種またはそれ以上の乳化剤を含有する。適切な乳化剤または界面活性剤の非限定的な例には、ポリオキシアルキレンブロック共重合体(例えば、PLURONIC(商標)F−108ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン共重合体(これは、Parsippany,New JerseyのBASF Corporationから市販されている)(PLURONIC F−108共重合体は、SYNPERONIC F−108の商品名で、Europeで市販されている)、エトキシル化アルキルフェノール(例えば、IGEPAL CA−630 エトキシル化オクチルフェノキシエタノール(これは、Wayne,New JerseyのGAF Corporationから市販されている))、ポリオキシエチレンオクチルフェニルグリコールエーテル、ソルビトールのエチレンオキシド誘導体エステル(例えば、TMAZ 81(これは、Parsippany,New JerseyのBASFから市販されている))、ポリオキシエチル化植物油(例えば、ALKAMULS EL−719(これは、Rhone−Poulenc/Rhodiaから市販されている))、エトキシル化アルキルフェノール(例えば、MACOL OP−10 SP(これは、BASFから市販されている))およびノニルフェノール界面活性剤(例えば、MACOL NP−6、ICONOL NP−6、およびICONOL OP−10(これは、BASFから市販されている))、およびSERMUL EN 668(これは、CON BEA,Beneluxから市販されている))が挙げられる。一般に、乳化剤の量は、全固形分ベースで、この塗装組成物の1.5〜7重量パーセントの範囲、好ましくは、2〜6重量パーセントの範囲であり得る。
【0068】
本発明の塗装組成物は、さらに、少なくとも1つの重合体粒子分散体を含有できる。適切な粒子分散体の非限定的な例には、ポリエチレン粒子分散体、ポリプロピレン粒子分散体、エチレン/プロピレン共重合体粒子分散体、スチレン/アクリル粒子分散体、およびそれらの混合物が挙げられる。重合体粒子分散体の非限定的な例には、ROPAQUE(登録商標)(これは、Philadelphia,PAのRohm and Haas Companyから市販されている)がある。
【0069】
この少なくとも1種の重合体粒子分散体は、この塗装組成物を形成する成分に加えるとき、全固形分ベースで、5〜70重量パーセントの範囲であり得る。非限定的な1実施形態では、この少なくとも1種の粒子分散体は、この塗装組成物を形成する成分に加えるとき、全固形分ベースで、25〜60重量パーセント、例えば、40〜55重量パーセントの範囲である。
【0070】
本発明の塗装組成物は、さらに、その塗装組成物に2〜7の範囲のpHを与えるのに十分な量で、1種またはそれ以上の有機酸を含有できる。本発明の非限定的な1実施形態では、これらの塗装組成物は、その塗装組成物に3.5〜6(例えば、4〜5)の範囲のpHを与えるのに十分な量で、1種またはそれ以上の有機酸を含有できる。本発明で使用するのに適切な有機酸の非限定的な例には、モノ−およびポリカルボン酸および/またはそれらの無水物(例えば、酢酸、クエン酸、ギ酸、プロピオン酸、カプロン酸、乳酸、安息香酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの混合物)が挙げられる。
【0071】
水は、本発明の塗装組成物のための優れた溶媒である。そういうものとして、水は、これらのガラス繊維上への被覆の塗布を容易にするのに十分な量で、存在できる。このような塗装組成物の固形分の重量パーセントは、2〜20重量パーセントの範囲であり得る。本発明の非限定的な1実施形態では、これらの固形分の重量パーセントは、4〜15重量パーセントの範囲である。本発明の別の非限定的な実施形態では、固形分の重量パーセントは、5〜10重量パーセントの範囲である。
【0072】
1実施形態では、本発明の塗装組成物は、デンプン物質を含み得ない。本発明の説明で使用する「デンプン物質を含まない」または「無デンプン」とは、この塗装組成物が、このサイジング組成物の全重量に基づいて、5重量パーセント未満のデンプン物質、例えば、このサイジング組成物の全重量に基づいて、1重量パーセント未満のデンプン物質、およびこのサイジング組成物の全重量に基づいて、0.1重量パーセント未満のデンプン物質を含有することを意味する。
【0073】
本発明の塗装組成物は、さらに、少なくとも1種の粒子分散体を含有できる。複数の粒子を含有する塗装組成物を有する繊維ストランドは、本発明に従って、布に織られ、そして電子支持体、電子回路基板、アパーチャボンディングテープ、および航空宇宙用複合材料(下記)に作製できることは、当業者にさらに理解される。
【0074】
これらの粒子は、望ましい任意の形状または構成を有し得る。本発明では限定されないものの、適切な粒子形状の例には、球形(ビーズ、マイクロビーズまたは中空球体)、立方体、板状または針状(細長または繊維状)が挙げられる。さらに、これらの粒子は、中空、多孔質または空孔なし、あるいはそれらの組み合わせ(例えば、多孔質壁または中実壁を備えた中空中心)の内部構造を有し得る。適切な粒子特性に関するさらに多くの情報については、H.Katzら(著)、Handbook of Fillers and Plastics(1987)、9〜10ページ(これらの内容は、具体的に、本明細書中で参考として援用されている)を参照のこと。
【0075】
これらの粒子は、高分子無機材料、非高分子無機材料、高分子有機材料、非高分子有機材料、複合材料、および前述のもののいずれかの混合物から形成できる。本明細書中で使用する「高分子無機材料」とは、炭素以外の元素に基づいた骨格繰り返し単位を有する高分子材料を意味する。さらに多くの情報については、J.E.Markら、5ページ(この内容は、本明細書中で具体的に参考として援用されている)を参照のこと。本明細書中で使用する「高分子有機材料」とは、炭素に基づいた骨格繰り返し単位を有する合成高分子材料、半合成高分子材料および天然高分子材料を意味する。
【0076】
本明細書中で使用する「有機材料」とは、炭素含有化合物を意味し、ここで、この炭素は、代表的には、それ自体または水素に結合されており、また、しばしば、他の元素にも結合されているが、酸化炭素、炭化物、二硫化炭素などのような二元化合物;金属シアン化物、金属カルボニル、ホスゲン、硫化カルボニルなどのような三元化合物;および金属カーボネートのような炭素含有イオン化合物(例えば、炭酸カルシウムおよび炭酸ナトリウム)は含まれない。本明細書中で使用する「無機材料」との用語は、有機材料ではない材料を意味する。R.Lewis,Sr.,Hawley’s Condensed Chemical Dictionary,(第12版、1993)、761〜762ページ、およびM.Silberberg,Chemistry The Molecular Nature of Matter and Change(1996)、586ページ(これらの内容は、具体的に、本明細書中で参考として援用されている)を参照のこと。
【0077】
本明細書中で使用する「複合材料」との用語は、2種またはそれ以上の異なる材料の組み合わせを意味する。複合材料から形成された粒子は、一般に、それらの表面における硬度がその表面下の粒子の内部の硬度とは異なる。さらに具体的には、この粒子の表面は、当業者に周知の任意の様式で、変性でき、これらには、その表面下での粒子の硬度をガラス繊維の硬度より高くしつつ、その粒子の表面硬度がガラス繊維の硬度に等しいかそれ未満であるように、当該技術分野で公知の技術を使用して、その表面特性を化学的または物理的に変えることが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、粒子は、1種またはそれ以上の二次材料で被覆、クラッドまたはカプセル化された一次材料から形成でき、柔軟な表面を有する複合材料粒子が形成される。さらに別の代替実施形態では、複合材料から形成された粒子は、異なる形態の一次材料で被覆、クラッドまたはカプセル化された一次材料から形成できる。本発明で有用な粒子に関するさらに多くの情報については、G.Wypych,Handbook of Fillers.第2版(1999)、15〜202ページ(これらの内容は、具体的に、本明細書中で参考として援用されている)を参照のこと。
【0078】
本発明の粒子を形成する際に有用な代表的な非高分子無機材料には、グラファイト、金属、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、硫化物、ケイ酸塩、炭酸塩、硫酸塩および水酸化物から選択される無機材料が挙げられるが、これらに限定されない。これらの粒子が形成される適切な無機窒化物の非限定的な例には、窒素ホウ素がある。これらの粒子の非限定的な1実施形態では、これらの窒化ホウ素粒子は、六方晶系の結晶構造を有する。窒化ホウ素から形成される本発明で使用するのに適切な粒子の非限定的な例には、POLARTHERM(登録商標)100 Series(PT 120、PT 140、PT 160およびPT 180);300 Series(PT 350)、および600 Series(PT 620、PT 630、PT 640およびPT 670)窒化ホウ素粉末粒子(これらは、Cleveland,OhioのGeneral Electric Advanced Ceramics Corporationから市販されている)がある。「PolarTherm(登録商標) Thermally Conductive Fillers for Polymeric Materials」、a technical bulletin of Advanced Ceramics Corporation of Lakewood,Ohio(1996)(この内容は,本明細書中で具体的に参考として援用されている)。
【0079】
有用な無機酸化物の非限定的な例には、酸化亜鉛がある。適切な無機硫化物には、二硫化モリブデン、二硫化タンタル、二硫化タングステンおよび硫化亜鉛が挙げられるが、これらに限定されない。有用な無機ケイ酸塩には、ケイ酸アルミニウムおよびケイ酸マグネシウム(例えば、バーミキュライト)が挙げられるが、これらに限定されない。適切な金属には、モリブデン、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウム、銅、金、鉄、銀、前述のいずかの合金および混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
本発明の別の非限定的な実施形態では、これらの粒子は、非高分子有機材料から形成できる。本発明で有用な非高分子有機材料の例には、ステアリン酸塩(例えば、ステアリン酸亜鉛およびステアリン酸アルミニウム)、カーボンブラックおよびステアロアミドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
本発明のさらに別の非限定的な実施形態では、これらの粒子は、無機高分子材料から形成できる。有用な無機高分子材料の非限定的な例には、ポリホスファゼン、ポリシラン、ポリシロキサン、ポリゲレマン(polygeremanes)、高分子イオウ、高分子セレン、シリコーン、および前述のもののいずれかの混合物が挙げられる。無機高分子材料から形成できる本発明で使用するのに適切な粒子の非限定的な具体例には、TOSPEARL(R.J.Perry 「Applications for Cross−Linked Siloxane Particles」 Chemtech,February 1999の39〜44ページを参照のこと)があり、これは、架橋シロキサンから形成された粒子であり、そして東芝シリコーン株式会社から市販されている。
【0082】
本発明のさらに別の非限定的な実施形態では、これらの粒子は、合成有機高分子材料から形成できる。適切な有機高分子材料には、熱硬化性材料および熱可塑性材料が挙げられるが、これらに限定されない。適切な熱硬化性材料には、熱硬化性ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ材料、フェノール類、アミノプラスト、熱硬化性ポリウレタン、および前述のもののいずれかの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。エポキシ材料から形成される合成重合体粒子の非限定的な例には、エポキシミクロゲル粒子がある。
【0083】
適切な熱可塑性材料には、熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、アクリル重合体、ポリアミド、熱可塑性ポリウレタン、ビニル重合体、および前述のもののいずれかの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。適切な熱可塑性ポリエステルには、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラートおよびポリエチレンナフタレートが挙げられるが、これらに限定されない。適切なポリオレフィンには、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリイソブテンが挙げられるが、これらに限定されない。適切なアクリル重合体には、スチレンおよびアクリルモノマーの共重合体、およびメタクリレート含有重合体が挙げられるが、これらに限定されない。アクリル共重合体から形成される合成重合体粒子の非限定的な例には、RHOPLEX(登録商標)B−85(「Chemicals for the Textile Industry」 September 1987(これは、Philadelphia,PennsylvaniaのRohm and Haas Companyから入手できる)を参照のこと)(これは、不透明な非架橋固形アクリル粒子乳濁液である)、ROPAQUE(登録商標)HP−1055(以下の表題の製品特性シートを参照のこと:「ROPAQUE(登録商標)HP−1055,Hollow Sphere Pigment for Paper and Paperboard Coatings」 October 1994(これは、Philadelphia,PennsylvaniaのRohm and Haas Companyから入手できる)の1ページ(この内容は,本明細書中で参考として援用されている))(これは、不透明な非塗膜形成スチレン−アクリル重合体合成顔料であり、1.0マイクロメートルの粒径、26.5重量パーセントの固形分含量および55パーセントの空隙容量を有する)、ROPAQUE(登録商標)OP−96(以下の表題の製品技術報告書を参照のこと:「Architectural Coatings−ROPAQUE(登録商標)OP−96,The All Purpose Pigment」、April 1997(これは、Philadelphia,PennsylvaniaのRohm and Haas Companyから入手できる)の1ページ(この内容は,本明細書中で参考として援用されている))およびROPAQUE(登録商標)HP−543P(ROPAQUE(登録商標)HP−543PおよびROPAQUE(登録商標)OP−96は、同じ材料である;この材料は、塗料工業では、ROPAQUE(登録商標)HP−543Pとして、また、塗装工業では、ROPAQUE(登録商標)OP−96として、認められている)(これらは、同じであり、各々は、不透明な不透明な非塗膜形成スチレン−アクリル重合体合成顔料分散体であり、0.55マイクロメートルの粒径および30.5重量パーセントの固形分含量を有する)、およびROPAQUE(登録商標)OP−62 LO(以下の表題の製品技術報告書を参照のこと:「Architectural Coatings−ROPAQUE(登録商標)OP−96,The All Purpose Pigment」、April 1997(これは、Philadelphia,PennsylvaniaのRohm and Haas Companyから入手できる)の1ページ(この内容は,本明細書中で参考として援用されている))(これもまた、不透明な非塗膜形成スチレン−アクリル重合体合成顔料分散体であり、0.40マイクロメートルの粒径および36.5重量パーセントの固形分含量を有する)がある。これらの粒子の各々は、Philadelphia,PennsylvaniaのRohm and Haas Companyから市販されている。
【0084】
本発明に従った粒子はまた、半合成有機高分子材料および天然高分子材料から形成できる。本明細書中で使用する「半合成材料」とは、化学変性された天然に存在する材料である。これらの粒子が形成できる適切な半合成有機高分子材料には、セルロース誘導体(例えば、メチルセルロースおよび酢酸セルロース);ならびに化工デンプン(例えば、酢酸デンプンおよびデンプンヒドロキシエチルエーテル)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの粒子が形成できる適切な天然高分子材料には、多糖類(例えば、デンプン);ポリペプチド(例えば、カゼイン);および天然炭化水素類(例えば、天然ゴムおよびグッタペルカ)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
本発明の非限定的な1実施形態では、これらの重合体粒子は、この被覆ストランドにより水分吸収を減らすか制限するために、疎水性高分子材料から形成される。このような疎水性高分子材料の非限定的な例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンおよびポリメタクリル酸メチルが挙げられるが、これらに限定されない。ポリスチレン共重合体の非限定的な例には、ROPAQUE(登録商標)HP−1055、ROPAQUE(登録商標)OP−96、ROPAQUE(登録商標)HP−543P、およびROPAQUE(登録商標)OP−62 LO顔料(各々は、上述されている)が挙げられる。
【0086】
本発明の別の非限定的な実施形態では、これらの粒子は、高分子および非高分子無機材料、高分子および非高分子有機材料、複合材料、ならびに前述のもののいずれかの混合物から選択される材料から形成された中空粒子であり得る。これらの中空粒子が形成できる適切な材料の非限定的な例は、上で記述されている。本発明で有用な中空重合体粒子の非限定的な例には、ROPAQUE(登録商標)HP−1055、ROPAQUE(登録商標)OP−96、ROPAQUE(登録商標)HP−543P、およびROPAQUE(登録商標)OP−62 LO顔料(各々は、上述されている)が挙げられる。本発明で有用であり得る中空粒子の他の非限定的な例については、H.Katzら(著)(1987)の437〜452ページ(これらの内容は、具体的に、本明細書中で参考として援用されている)を参照のこと。
【0087】
本発明の形成サイズ組成物に有用な粒子は、水の分散液、懸濁液または乳濁液中に存在し得る。他の溶媒(例えば、鉱油またはアルコール)は、(好ましくは、5重量パーセント未満で)、もし望ましいなら、この分散液、懸濁液または乳濁液に含有できる。無機材料から形成される粒子の分散液の非限定的な例には、ORPAC BORON NITRIDE RELEASECOAT−CONCがあり、これは、窒化ホウ素の25重量パーセント水分散液であり、そしてOak Ridge,TennesseeのZYP Coatings,Inc.から市販されている。「ORPAC BORON NITRIDE RELEASECOAT−CONC」、ZYP Coatings,Inc.の技術報告書(この内容は、本明細書中で具体的に参考として援用されている)を参照のこと。
【0088】
ZYP Coatingsから市販されている他の有用な製品には、BORON NITRIDE LUBRICOAT(登録商標)顔料、ならびにBRAZE STOPおよびWELD RELEASE製品が挙げられる。アクリル重合体および共重合体から形成された合成重合体粒子の乳濁液および分散液の非限定的な具体例には、以下が挙げられる:RHOPLEX(登録商標)B−85アクリル乳濁液(上述)、RHOPLEX(登録商標)GL−623(以下の表題の製品特性シートを参照のこと:「Rhoplex(登録商標)GL−623,Self−Crosslinking Acrylic Binder of Industrial Nonwovens」、March 1997(これは、Philadelphia,PennsylvaniaのRohm and Haas Companyから入手できる)(この内容は、本明細書中で参考として援用されている))(これは、45重量パーセントの固形分含量および98℃のガラス転移温度を有する全アクリルファーム(all acrylic firm)重合体乳濁液である);EMULSION E−2321(以下の表題の製品特性シートを参照のこと:「Building Products Industrial Coatings−Emulsion E−2321」、1990(これは、Philadelphia,PennsylvaniaのRohm and Haas Companyから入手できる)(この内容は、本明細書中で参考として援用されている))(これは、45重量パーセントの固形分含量および105℃のガラス転移温度を有する硬質メタクリレート重合体乳濁液である);ROPAQUE(登録商標)OP−96およびROPAQUE(登録商標)HP−543P(上述)(これらは、0.55マイクロメートルの粒径および30.5重量パーセントの固形分含量を有する分散液として、供給されている);ROPAQUE(登録商標)OP−62 LO(上述)(これは、0.40マイクロメートルの粒径および36.5重量パーセントの固形分含量を有する分散液として、供給されている);およびROPAQUE(登録商標)HP−1055(上述)(これは、26.5重量パーセントの固形分含量を有する分散液として、供給されている);これらの全ては、Philadelphia,PennsylvaniaのRohm and Haas Companyから市販されている。
【0089】
本発明の特定の非限定的な実施形態では、エアジェットルームで処理された繊維に塗布される塗装組成物に取り込まれる粒子の平均粒径は、少なくとも2本の隣接繊維間で、その繊維ストランドがルームを横切ってエアジェット輸送可能にするのに十分な間隔を与えるように、選択できる。本明細書中で使用する「エアジェットルーム」とは、当業者に周知の様式で、1本またはそれ以上のノズルから圧縮空気を噴射することによりワープシェッドにフィルヤーン(横糸)が挿入される形式のルームを意味する。
【0090】
本発明の特定の非限定的な実施形態では、エアジェット製織(air−jet texturizing)機で処理された繊維に塗布された塗装組成物に取り込まれた粒子の平均粒径は、少なくとも2本の隣接繊維間で、そのストランドの連続「開放性」および絡み合いを可能にするのに十分な間隔を与えるように、選択できる。本明細書中で使用する「エアジェット製織」とは、圧縮空気を使用して1本またはそれ以上のストランドの個々のフィラメントを分離し、それらを機械的に絡み合わせて絡み合ったフィラメントの連続ヤーンを製造する種類のヤーン処理を意味する。
【0091】
本発明の特定の非限定的な実施形態では、エアジェット製織(air−jet texturizing)機で処理された繊維に塗布された塗装組成物に取り込まれた粒子の平均粒径は、少なくとも2本の隣接繊維間で、そのストランドの連続「開放性」および絡み合いを可能にするのに十分な間隔を与えるように、選択できる。本明細書中で使用する「エアジェット製織」とは、圧縮空気を使用して1本またはそれ以上のストランドの個々のフィラメントを分離し、それらを機械的に絡み合わせて絡み合ったフィラメントの連続ヤーンを製造する種類のヤーン処理を意味する。
【0092】
別の非限定的な実施形態では、高分子マトリックス材料で含浸する繊維に塗布された形成サイズ組成物に取り込まれた粒子の平均粒径は、少なくとも2本の隣接繊維間で、その繊維ストランドの良好にウェットアウトおよびウェットスルーを可能にするのに十分な間隔を与えるように、選択される。本明細書中で使用する「ウェットアウト」との用語は、ある材料(例えば、スラッシング溶液または高分子マトリックス材料)が個々のバンドルまたはストランドの繊維を通って貫通する性能を意味し、また、「ウェットスルー」との用語は、ある材料(例えば、高分子マトリックス材料)が布を貫通する性能を意味する。
【0093】
本発明では限定しないものの、1実施形態では、これらの粒子は、1000マイクロメートル以下の平均粒径(これは、レーザー散乱技術を使用して、測定した)を有する。別の非限定的な実施形態では、これらの粒子は、0.001〜100マイクロメートルの範囲の平均粒径(これは、レーザー散乱技術を使用して、測定した)を有する。別の非限定的な実施形態では、これらの粒子は、0.1〜25マイクロメートルの範囲の平均粒径(これは、レーザー散乱技術を使用して、測定した)を有する。
【0094】
本発明の別の非限定的な実施形態では、この平均粒径(これは、レーザー散乱技術を使用して、測定した)は、少なくとも0.1マイクロメートルであり、非限定的な1実施形態では、0.1マイクロメートル〜10マイクロメートルの範囲であり、そして別の非限定的な実施形態では、0.1マイクロメートル〜5マイクロメートルの範囲である。別の非限定的な実施形態では、粒子の平均粒径(これは、レーザー散乱技術を使用して、測定した)は、少なくとも0.5マイクロメートルであり、そして0.5マイクロメートル〜2マイクロメートルの範囲である。本発明の別の非限定的な実施形態では、これらの粒子は、このサイジング組成物が塗布される繊維の平均直径より一般に小さい平均粒径を有する。上述の平均粒径を有する粒子を含有する形成サイズ組成物の残渣の層を有する繊維ストランドから作製された捻れヤーンは、有利なことに、隣接繊維間で、マトリックス材料で含浸したとき、その繊維ストランドの完全性を維持しかつ許容できるウェットスルーおよびウェットアウト特性を与えつつ、エアジェット織り込み性(すなわち、ルームを横切るエアジェット輸送)を可能にするのに十分な間隔を与えることができることが観察された。
【0095】
本発明の別の非限定的な実施形態では、この平均粒径(これは、レーザー散乱技術を使用して、測定した)は、少なくとも3マイクロメートルであり、そして3〜1000マイクロメートルの範囲である。別の非限定的な実施形態では、この平均粒径(これは、レーザー散乱技術を使用して、測定した)は、少なくとも5マイクロメートルであり、そして5〜1000マイクロメートルの範囲である。さらに別の非限定的な実施形態では、その粒径は、10〜25マイクロメートル(これは、レーザー散乱技術を使用して、測定した)の範囲である。別の非限定的な実施形態では、この平均粒径は、一般に、このガラス繊維の平均名目直径に対応している。上述の範囲内に入る粒子で被覆されたストランドで作製された布は、高分子マトリックス材料で含浸したとき、良好なウェットスルーおよびウェットアウト特性を示すことが観察された。
【0096】
本発明に従ったサイジング組成物には、その繊維ストランドおよびそこから引き続いて製造された製品に所望の性質および処理特性を与えるために、異なる平均粒径を有する1個またはそれ以上の粒子の混合物を取り込むことができることは、当業者に認識される。さらに具体的には、異なる粒径は、適切な量で組み合わされて、例えば、良好なエアジェット輸送特性を有するストランドを提供するだけでなく、例えば、良好なウェットアウトおよびウェットスルー特性を示す布が提供できる。
【0097】
この少なくとも1種の粒子分散体は、この塗装組成物を形成する成分に加えられるとき、全固形分ベースで、5〜70重量パーセントの範囲であり得る。非限定的な1実施形態では、この少なくとも1種の粒子分散体は、この塗装組成物を形成する成分に加えられるとき、全固形分ベースで、25〜60重量パーセント、例えば、40〜55重量パーセントの範囲であり得る。
【0098】
本発明の塗装組成物は、当業者に周知の任意の適切な方法により、調製できる。
【0099】
本発明に従った塗装組成物は、多くの様式で、例えば、そのフィラメントをローラーまたはベルト塗布器と接触させることにより、噴霧または他の手段により、塗布できる。被覆された繊維は、室温または高温で、乾燥できる。乾燥機は、これらの繊維から、過剰の水分(もし存在しているなら)を取り除き、任意の硬化可能サイジング成分を硬化する。これらのガラス繊維を乾燥する温度および時間は、この塗装組成物内の固形分の割合、塗装組成物の成分および繊維の種類のような変数に依存している。
【0100】
本明細書中で使用する「硬化」(これは、組成物、例えば、「硬化組成物」に関連して、使用される)との用語は、その組成物の任意の架橋可能成分が少なくとも部分的に架橋されることを意味する。本発明の特定の実施形態では、これらの架橋可能成分の架橋密度(すなわち、架橋度)は、完全な架橋の5%〜100%の範囲である。他の実施形態では、この架橋密度は、全架橋の35%〜85%の範囲である。他の実施形態では、この架橋密度は、全架橋の50%〜85%の範囲である。当業者は、架橋の存在および架橋度(すなわち、架橋密度)が種々の方法(例えば、動的機械的熱分析(DMTA)(これは、窒素下にて行われ、Polymer Laboratories MK III DMTA分析装置を使用する))により測定できることを理解する。この方法は、被覆または重合体の遊離塗膜のガラス転移温度および架橋密度を測定する。硬化された物質のこれらの物理的特性は、架橋ネットワークの構造に関連している。
【0101】
この方法によれば、分析する試料の長さ、幅および厚さがまず測定され、この試料は、the Polymer Laboratories MK III装置にしっかりと取り付けられ、その寸法測定値は、この装置に入力される。3℃/分の加熱速度、1Hzの周波数、120%にの歪み、および0.01Nの静止力(static force)で、熱走査が実行され、そして試料の測定は、2秒ごとに行われる。この方法に従って、この試料の変形様式、ガラス転移温度および架橋密度が測定できる。高い架橋密度値は、その被覆における架橋度が高いことを示す。
【0102】
特定の実施形態では、この繊維ストランドに存在している塗装組成物の量は、強熱減量(LOI)で測定したとき、30重量パーセント未満であり得る。非限定的な1実施形態では、この繊維ストランドに存在している塗装組成物の量は、10重量パーセント未満、例えば、0.1重量パーセントと5重量パーセントの間であり得る。この繊維ストランド上の塗装組成物は、水性塗装組成物または粉末化塗装組成物の残渣であり得る。本発明の1実施形態では、このLOIは、1重量パーセント未満である。本明細書中で使用する「強熱減量」との用語は、次式(I)で決定されるように、この繊維ストランドの表面に存在している乾燥した塗装組成物の重量パーセントを意味する:
LOI=100×[(Wdry−Wbare)/Wdry]
ここで、Wdryは、この繊維ストランドの重量+オーブンにて220°F(約104℃)で60分間にわたって乾燥した後の塗装組成物の重量であり、そしてWbareは、この繊維ストランドをオーブンにて1150°F(約621℃)で20分間にわたって加熱しデシケーターにて室温まで冷却した後の裸の繊維ストランドの重量である。
【0103】
特定の実施形態では、この繊維には、一次サイズ、すなわち、繊維形成後に塗布される初期サイズが塗布される。一次サイズの塗布後、これらの繊維は、1ストランドあたり、2〜15,000本の繊維(例えば、1ストランドあたり、100〜1600の繊維)を有するストランドに集められる。
【0104】
例えば、二次塗装組成物を含む浴に被覆ストランドを浸けることにより、被覆ストランド上に二次塗装組成物を噴霧することにより、または被覆したストランドを上述の塗布器と接触させることにより、この一次サイズには、これらのストランドの一部を塗装または含浸するのに有効な量で、二次塗装組成物が塗布できる。被覆ストランドは、ダイスに通されて、ストランドから過剰の塗装組成物が除去できるか、および/または二次塗装組成物を少なくとも部分的に乾燥または硬化するのに十分な時間にわたって、上述のように乾燥できる。このストランドは、当該技術分野で周知の様式で、二次塗装組成物の塗布後に、乾燥できる。
【0105】
適切な二次塗装組成物は、上述のような1種またはそれ以上の塗膜形成材料、潤滑剤および他の添加剤を含有できる。この二次被覆は、一次サイジング組成物とは異なり得、すなわち、それは、(1)このサイジング組成物の成分とは化学的に異なる少なくとも1種の成分を含有する;または(2)このサイジング組成物に含有された同じ成分の量とは異なる量で、少なくとも1種の成分を含有する。
【0106】
これらのガラス繊維ストランドは、上述のように、さらに、捩ってヤーンにすることにより、チョッピングにより、平行組み合わせ(combination in parallel)により、さらに処理でき、バンドルまたはロービングが形成され、クロスに織られるか、または細断または連続ストランドマットに形成される。これらのガラス繊維ストランドは、例えば、当業者に公知の任意の撚糸技術により(捻れフレームを使用することにより)、撚糸できる。一般に、このストランドがボビンに供給される速度よりも速い速度で、ボビン上にストランドを巻き付けることを可能にする速度で、回転しているボビンにストランドを給送することにより、ストランドには、捻れが与えられる。一般に、このストランドは、リング上に位置しているアイ(これは、このボビンの長さを横切り、このストランドに、代表的には、1インチあたり、約0.5〜約3回転の捻れを与える)に通される。
【0107】
撚糸ストランドおよび非撚糸ストランド(これは、時には、ゼロ撚糸ストランドと呼ばれる)は、織布または不織布、編み製品または編組製品、あるいは強化材を作製するのに使用できる。被覆繊維ストランドは、その布のワープおよび/またはフィル方向で、使用できる。本発明の特定の実施形態では、フィル方向のヤーンは、例えば、以下を含む成分から形成された無デンプン組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含有する:少なくとも1種の塗膜形成材料、少なくとも1種の高分子潤滑剤、少なくとも1種のロジン、少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、少なくとも1種の重合体粒子の分散体であって、ここで、該個々の粒子は、少なくとも0.1ミクロンの直径を有する、少なくとも1種の乳化剤、および少なくとも1種の追加潤滑剤であって、該追加潤滑剤は、該少なくとも1種の高分子潤滑剤とは異なる。また、ワープ方向のヤーンは、例えば、以下から形成された組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含有する:少なくとも1種のロジン、少なくとも1種のカチオン性潤滑剤、少なくとも1種の塗膜形成材料、少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、および少なくとも1種の重合体粒子の分散体。重合体粒子の分散体は、例えば、ポリエチレン粒子の分散体、ポリプロピレン粒子の分散体、エチレン/プロピレン共重合体粒子の分散体、スチレン/アクリル粒子の分散体、およびそれらの混合物を含有し得る。スチレン/アクリル粒子の分散体の非限定的な例には、ROPAQUE(これは、Philadelphia,PennsylvaniaのRohm and Haas Companyから市販されている)がある。ポリエチレン粒子の分散体の非限定的な例には、PROTOLUBE HD(これは、Pittsburgh,PAのBayer Corporationから市販されている)がある。
【0108】
適切な強化織布は、当業者に周知の任意の従来のルーム(例えば、シャトルルームまたはレピアールーム)を使用することにより形成できるが、好ましくは、エアジェットルームを使用して、形成される。エアジェットルームは、例えば、Model No.103として、日本のTsudakomaから、また、Model Nos.L−5000またはL−5100として、Zurich,SwitzerlandのSulzer Brothers Ltd.から市販されている。Sulzer Ruti L5000 and L5100 Product Bulletins of Sulzer Ruti Ltd.,Switzerland(この内容は、本明細書中で参考として援用されている)を参照のこと。本明細書中で使用する「エアジェット製織」とは、当業者に周知の様式で、1本またはそれ以上のエアジェットノズルから圧縮空気を噴射することによりワープヤーンにより形成されたワープシェッドにフィルヤーン(横糸)が挿入される形式のエアジェットを使用する織物の製織を意味する。このフィルヤーンは、圧縮空気により、代表的には、10〜60インチ(0.254〜1.524メートル)で、この織物の幅を横切って、推進される。
【0109】
異なるヤーンのエアジェット製織プロセスとの適合性および空気力学的特性は、以下の方法(これは、一般に、本明細書中では、「Air Jet Transport Drag Force」 Test Methodとして、と呼ばれている)により、決定できる。このAir Jet Transport Drag Force Testは、ヤーンがエアジェットの力によりエアジェットノズルに引き込まれるにつれて、このヤーンに加えられる引力または牽引力(「抵抗力」)を測定するのに使用される。この方法では、各ヤーン試料は、所望の空気圧(代表的には、約172キロパスカルと約379キロパスカルの間(約25〜約55ポンド/平方インチ)のゲージ)で、2ミリメートルの直径を有する内部エアジェットチャンバおよび20センチメートルの長さを有するノズル出口チューブを備えたSulzer Ruti 針状エアジェットノズルユニットModel No.044 455 001(これは、Spartanburg,North CarolinaのSulzer Rutiから市販されている)を通って、1分間あたり約274メートル(約300ヤード)の速度で、給送される。このヤーンがエアジェットノズルに入る前に、このヤーンと接触して、所定位置で、張力計が位置付けられる。この張力計は、このヤーンがエアジェットノズルに引き込まれるにつれて、このエアジェットによりヤーンに加えられる張力の測定値を与える。
【0110】
布の加水分解抵抗性は、ヤーンの試料に対する水分の吸収を評価するのに利用され得る。それは、積層体に対するハンダ浸漬試験を使って、測定できる。このような浸漬試験は、まず最初に、プリプレグを測定することにより、次いで、それらを1〜8層の範囲の積層体に形成することにより、実行できる。これらの積層体は、引き続いて、500°F〜560°Fの範囲で、10秒間〜3分間にわたって、溶融されたハンダに浸けられる。このハンダから摘出するとすぐに、これらの積層体は、積層体内に取り込まれた水分の脱出により引き起こされるブリスターまたは小斑点(measles)(これらはまた、層間剥離として、知られている)の形成について、検査される。小斑点は、顕微鏡で検査すると、その積層体上の非常に小さい割れとして現れ、代表的には、直径1〜2ミリメートルの範囲である。
【0111】
これらのストランドの破断を分析するには、マイクロワーピングが利用され得る。この分析は、当該技術分野で周知であり、そして通常のワーピング操作に変化を加えて刺激し、ファズ(fuzz)の蓄積を定量し、そしてファズボール(fuzz balls)の数を数える。
【0112】
これらの被覆繊維ストランドは、多種多様な用途(例えば、布、積層体、プリント回路基板、アーマチュアバンディングテープ、航空機用複合材料および航空宇宙用複合材料)で使用できる。これらの種々の用途では、本発明で有用なマトリックス材料には、熱硬化性材料、例えば、熱硬化性ポリエステル、ビニルエステル、エポキシド(これらは、分子内に少なくとも1個のエポキシまたはオキシラン基を含有する(例えば、多価アルコールまたはチオールのグリシジルエーテル))、フェノール類、アミノププラスト、熱硬化性ポリウレタン、前述のもののいずれかの誘導体、および前述のもののいずれかの混合物が挙げられる。プリント回路基板用の積層体を形成するのに適切なマトリックス材料には、FR−4 エポキシ樹脂が挙げられ、これらは、多官能性エポキシ樹脂(例えば、二官能性臭素化エポキシ樹脂)、ポリアミドおよび液状結晶性重合体であり、それらの組成は、当業者に周知である。もし、このような組成に関するそれ以上の情報が必要なら、Electronic Materials Handbook(商標),ASM International(1989)の534〜537ページ(この内容は、本明細書中で具体的に参考として援用されている)を参照のこと。
【0113】
適切な高分子熱可塑性マトリックス材料の非限定的な例には、ポリオレフィン、ポリアミド、熱可塑性ポリウレタンおよび熱可塑性ポリエステル、ビニル重合体、ならびに前述のもののいずれかの混合物が挙げられる。有用な熱可塑性材料のさらに別の例には、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアセタール、ポリ塩化ビニルおよびポリカーボネートが挙げられる。
【0114】
代表的なマトリックス材料調合物は、EPON 1120−A80エポキシ樹脂(これは、Houston,TexasのResolution Performance Productsから市販されている)、ジシアンジアミド、2−メチルイミダゾールおよびDOWANOL PMグリコールエーテル(これは、Midland,MichiganのThe Dow Chemical Co.から市販されている)からなる。
【0115】
本発明に従った複合材料中の高分子マトリックス材料および樹脂強化材に含有できる他の成分には、着色剤および顔料、潤滑剤または加工助剤、紫外線(UV)安定化剤、酸化防止剤、他の充填剤および増量剤が挙げられる。
【0116】
本発明は、今ここで、以下の非限定的な具体例により、説明する。
【実施例】
【0117】
表1で示した量(全固形分の重量パーセント)で、各成分を混合して、本発明で有用なサイジング組成物を形成した。
【0118】
【表1】
試料1〜6は、以下のようにして調製した:
1.撹拌条件下にて、POLYOX WSR 301を、160°Fの水にゆっくりと加え、次いで、引き続いた処理のために、メイン混合タンクに移した。
【0119】
2.STEPANTEX 653、ARLACEL 165、またはKESSOの添加:
A.Stepantex手順:別の容器にて、STEPANTEX 653を溶融し、そして160°Fまで加熱した。撹拌しながら、TMAZ−81、ICONOL OP−10および/またはMACOL OP−10を加えた。激しくかき混ぜつつ、反転が起こって乳濁液が形成されるまで、160°Fの水をゆっくりと加え、次いで、この乳濁液を、このメイン混合タンクに加えた。
【0120】
B.Arlacel/Kessco手順:別の容器にて、激しく撹拌しつつ、160°Fに加熱した水に、ARLACEL 165またはKESSO DGMSを加えた。混合物を20分間撹拌し、そしてメイン混合タンクに加えた。
【0121】
3.別の容器にて、撹拌条件下にて、160°Fの水に、DYNAKOLL SI 100をゆっくりと加えた。次いで、その溶液を、引き続いた処理のために、このメイン混合タンクに移した。
【0122】
4.別の容器にて、撹拌条件下にて、ALUBRASPIN 227を160°Fの水に加えた。その溶液に酢酸を加えて、この溶液のpHを
【0123】
【化1】
に調節した。次いで、この溶液を、引き続いた処理のために、このメイン混合タンクに移した。
【0124】
5.別の容器に、25部の室温水を加えた。次いで、撹拌しつつ、この容器に、5部の酢酸を加えた。激しく撹拌しつつ、この酢酸/水溶液に、100部のZ−6032をゆっくりと加えた。撹拌を1時間継続した。
【0125】
6.次いで、撹拌しつつ、別の容器に、400部の室温水を加えた。激しく撹拌しつつ、この水に、前工程から得たZ−6032プレミックスをゆっくりと加えた。ついで、このメイン混合タンクに、希釈したZ−6032プレミックスを加えた。
【0126】
7.このメイン混合タンクに酢酸を加えて、その最終混合物のpHを
【0127】
【化2】
に調節した。
【0128】
8.次いで、必要に応じて、水を加えて、必要な容量に希釈した。
【0129】
(試験1)
試料2のヤーンを製織挙動について評価した。試料2から構成された2ボビンのヤーンのTsudakoma #4ルームにおける製織を、このボビンによって、追跡した。このボビンの外部、中間部および内部について、230°の到着角度を得るのに必要なメインエアジェット圧力を記録した。このボビン上の同じ位置について、強熱減量(形成サイズ組成物の固形分の重量パーセントを、ガラスおよび乾燥形成サイズ組成物の全重量で割った値)およびヤード長もまた測定した。このルームは、二重給送で運転した。従来のフィリングヤーン結合剤ならば、高い欠陥値および多くのルーム工程なしでは、0.5ポンドを超えて製織されない。さらに、このボビンの移動部分(高いLOI)は、質の悪い製織と相関していた。
【0130】
【表2】
(試験2)
Shirley破断フィラメント測定を行い、試験ヤーンの破断フィラメントレベルを決定した。試験したフィラメントの長さは、120メートルであり、そして試験速度は、200メートル/分間であった。低い中間破断フィラメントレベルは、低いヤーンフィズおよびハロを示し、これは、製織効率が高いことにつながり得る。
【0131】
【表3】
(試験3)
試料4、5および6のヤーンを、各試料ヤーンを一対の通常の電子張力計を通って張力計の間に整列された固定ステンレス鋼シリンダーの周りに1分あたり200ヤードの速度で引っ張ることにより、摩擦力について評価した。これらの張力計の間の張力の差(グラム)は、以下の表4で示すように、その金属表面に対する摩擦力の尺度であり、そしてこのヤーンが製織操作中に受け得る摩擦力と類似していると解釈される。
【0132】
【表4】
上記実施形態には、その広範な本発明の概念から逸脱することなく、変更を行うことができることは、当業者が認めるところである。従って、本発明は、開示された特定の実施形態には限定されず、添付の特許請求の範囲で規定されるように、本発明の精神および範囲内にある改良を含むと解釈されることが分かる。
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
以下を含む成分から形成された無デンプン組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む繊維ストランド:
a)少なくとも1種の塗膜形成材料、
b)少なくとも1種の高分子潤滑剤、
c)少なくとも1種のロジン、
d)少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、
e)少なくとも1種の重合体粒子分散体であって、ここで、該個々の粒子は、少なくとも0.1ミクロンの直径を有する、
f)少なくとも1種の乳化剤、および
g)少なくとも1種の追加潤滑剤であって、該追加潤滑剤は、該少なくとも1種の高分子潤滑剤とは異なる、
繊維ストランド。
(項目2)
上記組成物が、水性塗装組成物の残渣である、項目1に記載の繊維ストランド。
(項目3)
上記少なくとも1種のロジンが、上記組成物中にて、全固形分ベースで、0重量パーセントより多く25重量パーセントまでの範囲の量で存在している、項目1に記載の繊維ストランド。
(項目4)
上記少なくとも1種のロジンが、上記組成物中にて、全固形分ベースで、3〜15重量パーセントの範囲の量で存在している、項目3に記載の繊維ストランド。
(項目5)
上記少なくとも1種のロジンが、上記組成物中にて、全固形分ベースで、6〜12重量パーセントの範囲の量で存在している、項目4に記載の繊維ストランド。
(項目6)
上記少なくとも1種のロジンが、天然ロジン、化学変性ロジン、およびそれらの組み合わせから選択される、項目3に記載の繊維ストランド。
(項目7)
上記少なくとも1種のロジンが、少なくとも1個のグリシジルエーテル基および少なくとも1個のポリエチレングリコール基を含む、項目6に記載の繊維ストランド。
(項目8)
上記少なくとも1種の高分子潤滑剤が、上記組成物中にて、全固形分ベースで、0重量パーセントより多く8重量パーセントまでの範囲の量で存在している、項目1に記載の繊維ストランド。
(項目9)
上記少なくとも1種の高分子潤滑剤が、上記組成物中にて、全固形分ベースで、0.5〜8重量パーセントの範囲の量で存在している、項目8に記載の繊維ストランド。
(項目10)
上記少なくとも1種の高分子潤滑剤が、上記組成物中にて、全固形分ベースで、1〜6重量パーセントの範囲の量で存在している、項目9に記載の繊維ストランド。
(項目11)
上記少なくとも1種の高分子潤滑剤が、上記組成物中にて、全固形分ベースで、1〜3重量パーセントの範囲の量で存在している、項目10に記載の繊維ストランド。
(項目12)
上記少なくとも1種の高分子潤滑剤が、ポリアミン重合体から選択される、項目8に記載の繊維ストランド。
(項目13)
上記少なくとも1種の高分子潤滑剤が、シリル化ポリアミン重合体を含む、項目9に記載の繊維ストランド。
(項目14)
上記少なくとも1種の塗膜形成材料が、上記組成物中にて、全固形分ベースで、0重量パーセントより多く5重量パーセントまでの範囲の量で存在している、項目1に記載の繊維ストランド。
(項目15)
上記少なくとも1種の塗膜形成材料が、上記組成物中にて、全固形分ベースで、0.2〜3重量パーセントの範囲の量で存在している、項目14に記載の繊維ストランド。
(項目16)
上記少なくとも1種の塗膜形成材料が、上記組成物中にて、全固形分ベースで、0.5〜2重量パーセントの範囲の量で存在している、項目15に記載の繊維ストランド。
(項目17)
上記少なくとも1種の塗膜形成材料が、ポリアルキレンポリオールおよびポリオキシアルキレンポリオールから選択される、項目14に記載の繊維ストランド。
(項目18)
上記少なくとも1種の塗膜形成材料が、少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む、項目17に記載の繊維ストランド。
(項目19)
上記少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤が、上記組成物中にて、全固形分ベースで、0重量パーセントより多く20重量パーセントまでの範囲の量で存在している、項目1に記載の繊維ストランド。
(項目20)
上記少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤が、上記組成物中にて、全固形分ベースで、3〜15重量パーセントの範囲の量で存在している、項目19に記載の繊維ストランド。
(項目21)
上記少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤が、上記組成物中にて、全固形分ベースで、6〜12重量パーセントの範囲の量で存在している、項目20に記載の繊維ストランド。
(項目22)
上記少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤が、トリアルコキシシランから選択される、項目19に記載の繊維ストランド。
(項目23)
上記少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤が、アミノプロピルトリアルコキシシランから選択される、項目22に記載の繊維ストランド。
(項目24)
上記少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤が、N−β(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびその塩を含む、項目23に記載の繊維ストランド。
(項目25)
上記少なくとも1種の重合体粒子分散体が、上記塗装組成物を形成する成分に加えられるとき、全固形分ベースで、5〜70重量パーセントの範囲の量で存在している、項目1に記載の繊維ストランド。
(項目26)
上記少なくとも1種の重合体粒子分散体が、上記塗装組成物を形成する成分に加えられるとき、全固形分ベースで、25〜60重量パーセントの範囲の量で存在している、項目25に記載の繊維ストランド。
(項目27)
上記少なくとも1種の重合体粒子分散体が、上記塗装組成物を形成する成分に加えられるとき、全固形分ベースで、40〜55重量パーセントの範囲の量で存在している、項目26に記載の繊維ストランド。
(項目28)
上記少なくとも1種の重合体粒子分散体が、ポリエチレン粒子の分散体、ポリプロピレン粒子の分散体、エチレン/プロピレン共重合体粒子分散体、スチレン/アクリル粒子の分散体、およびそれらの組み合わせから選択される、項目25に記載の繊維ストランド。
(項目29)
上記少なくとも1種の重合体粒子分散体が、ポリエチレン粒子、スチレン/アクリル粒子、およびそれらの組み合わせから選択される重合体粒子分散体を含む、項目28に記載の繊維ストランド。
(項目30)
上記少なくとも1種の乳化剤が、上記組成物中にて、全固形分ベースで、1.5〜7重量パーセントの範囲の量で存在している、項目1に記載の繊維ストランド。
(項目31)
上記少なくとも1種の乳化剤が、上記組成物中にて、全固形分ベースで、2〜6重量パーセントの範囲の量で存在している、項目30に記載の繊維ストランド。
(項目32)
上記少なくとも1種の乳化剤が、ポリオキシアルキレンブロック共重合体、エトキシル化アルキルフェノール、ポリオキシエチレンオクチルフェニルグリコールエーテル、ソルビトールのエチレンオキシド誘導体、ポリオキシエチル化植物油、エトキシル化アルキルフェノール、ノニルフェノール界面活性剤およびそれらの組み合わせを含む、項目30に記載の繊維ストランド。
(項目33)
上記少なくとも1種の乳化剤が、ソルビトールのエチレンオキシド誘導体、エトキシル化アルキルフェノール、ノニルフェノール界面活性剤およびそれらの組み合わせを含む、項目32に記載の繊維ストランド。
(項目34)
上記少なくとも1種の追加潤滑剤が、カチオン性潤滑剤ならびに極性を有するワックスおよびオイルから選択される、項目1に記載の繊維ストランド。
(項目35)
上記少なくとも1種の追加潤滑剤が、極性を有するワックスおよびオイルから選択される、項目34に記載の繊維ストランド。
(項目36)
上記少なくとも1本の繊維が、少なくとも1本の無機繊維を含み、該無機繊維が、E−ガラス、A−ガラス、C−ガラス、D−ガラス、G−ガラス、R−ガラス、S−ガラス、E−ガラス誘導体およびそれらの組み合わせから選択されるガラス材料を含む、項目1に記載の繊維ストランド。
(項目37)
上記少なくとも1本の繊維が、少なくとも1本の非ヒートクリーン繊維を含む、項目1に記載の繊維ストランド。
(項目38)
以下を含む成分から形成された無デンプン組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む繊維ストランド:
a)少なくとも1種の塗膜形成材料、
b)少なくとも1種のシリル化ポリアミン、
c)少なくとも1種のロジン、
d)少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、
e)少なくとも1種の重合体粒子分散体であって、ここで、該個々の粒子は、少なくとも0.1ミクロンの直径を有する、
f)少なくとも1種の乳化剤、および
g)少なくとも1種の追加潤滑剤であって、該追加潤滑剤は、該少なくとも1種のシリル化ポリアミンとは異なる、
繊維ストランド。
(項目39)
以下を含む成分から形成された組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む繊維ストランド:
a)少なくとも1種の塗膜形成材料、
b)少なくとも1種の潤滑剤、
c)少なくとも1種のロジン、
d)少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、
e)少なくとも1種の重合体粒子分散体であって、ここで、該個々の粒子は、少なくとも0.1ミクロンの直径を有する、
f)少なくとも1種のフェノール性乳化剤、および
g)少なくとも1種の追加乳化剤であって、該追加乳化剤は、該少なくとも1種のフェノール性乳化剤とは異なる、
繊維ストランド。
(項目40)
以下を含む成分から形成された組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む繊維ストランド:
a)少なくとも1種の塗膜形成材料、
b)少なくとも1種の潤滑剤、
c)少なくとも1種のロジン、
d)少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、
f)少なくとも1種のフェノール性乳化剤、および
g)少なくとも1種の追加乳化剤であって、該追加乳化剤は、該少なくとも1種のフェノール性乳化剤とは異なる、
繊維ストランド。
(項目41)
以下を含む成分から形成された組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む繊維ストランド:
a)少なくとも1種の塗膜形成材料、
b)少なくとも1種の潤滑剤、
c)少なくとも1種のロジン、
d)少なくとも1種のフェノール性乳化剤、および
e)少なくとも1種の追加乳化剤であって、該追加乳化剤は、該少なくとも1種のフェノール性乳化剤とは異なる、
繊維ストランド。
(項目42)
以下を含む成分から形成された組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む繊維ストランド:
a)少なくとも1種の塗膜形成材料、
b)少なくとも1種の潤滑剤、
c)少なくとも1種のロジン、
d)少なくとも1種の重合体粒子分散体であって、ここで、該個々の粒子は、少なくとも0.1ミクロンの直径を有する、
e)少なくとも1種のフェノール性乳化剤、および
f)少なくとも1種の追加乳化剤であって、該追加乳化剤は、該少なくとも1種のフェノール性乳化剤とは異なる、
繊維ストランド。
(項目43)
項目1に記載の少なくとも1本の繊維ストランドを含む、ヤーン。
(項目44)
項目1に記載の少なくとも1本の繊維ストランドを含む、布。
(項目45)
項目1に記載の少なくとも1本の繊維ストランドを含む、積層体。
(項目46)
項目1に記載の少なくとも1本の繊維ストランドを含む、プリプレグ。
(項目47)
項目1に記載の少なくとも1本の繊維ストランドを含む、電子回路基板。
(項目48)
項目1に記載の少なくとも1本の繊維ストランドを含む、アーマチュアバンディングテープ。
(項目49)
項目1に記載の少なくとも1本の繊維ストランドを含む、航空宇宙用複合材料。
(項目50)
項目1に記載の少なくとも1本の繊維ストランドを含む、航空機用複合材料。
(項目51)
項目1に記載の少なくとも1本の繊維ストランドを含む少なくとも1本のフィルヤーンと、
少なくとも1本のワープヤーンとを含む、
布。
(項目52)
項目1に記載の少なくとも1本の繊維ストランドを含む少なくとも1本のフィルヤーンと、
以下を含む成分から形成された組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維ストランドを含む少なくとも1本のワープヤーンとを含む、
布:
a)少なくとも1種のロジン、
b)少なくとも1種のカチオン性潤滑剤、
c)少なくとも1種の塗膜形成材料、
d)少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、および
e)少なくとも1種の重合体粒子分散体。
(項目53)
項目1に記載の少なくとも1本の繊維ストランドを含む少なくとも1本のフィルヤーンと、
少なくとも1本のワープヤーンとを含む、
積層体。
(項目54)
項目1に記載の少なくとも1本の繊維ストランドを含む少なくとも1本のフィルヤーンと、
少なくとも1本のワープヤーンとを含む、
プリプレグ。
(項目55)
項目1に記載の少なくとも1本の繊維ストランドを含む少なくとも1本のフィルヤーンと、
少なくとも1本のワープヤーンとを含む、
電子回路基板。
(項目56)
項目1に記載の少なくとも1本の繊維ストランドを含む少なくとも1本のフィルヤーンと、
少なくとも1本のワープヤーンとを含む、
アーマチュアバンディングテープ。
(項目57)
項目1に記載の少なくとも1本の繊維ストランドを含む少なくとも1本のフィルヤーンと、
少なくとも1本のワープヤーンとを含む、
航空宇宙用複合材料。
(項目58)
項目1に記載の少なくとも1本の繊維ストランドを含む少なくとも1本のフィルヤーンと、
少なくとも1本のワープヤーンとを含む、
航空機用複合材料。
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本願は、米国特許出願第10/960、967号(これは、2004年10月12日に出願された)から優先権を主張している。
【0002】
本発明は、一般に、複合材料を強化するための被覆繊維ストランドに関し、特定の実施形態では、その中にストランドを取り込んだマトリックス材料と相溶性である被覆繊維ストランドに関する。
【背景技術】
【0003】
熱硬化性成形操作では、良好な「ウェットスルー」(マットまたは布を通る高分子マトリックス材料の貫通)および「ウェットアウト」(マットまたは布における繊維の個々のバンドルまたはストランドを通る高分子マトリックス材料の貫通)特性が望まれている。対照的に、代表的な熱可塑性成形操作では、良好な分散特性(すなわち、熱可塑性材料内での繊維の良好な分布特性)が重要である。
【0004】
布に織られた繊維ストランドから形成された複合材料または積層体の場合、これらのストランドの良好なウェットスルー特性および良好なウェットアウト特性に加えて、繊維ストランドの表面にある被覆が繊維を処理中の摩耗から保護し、特に、良好なエア−ジェット織機において、良好な織り込み性(weavability)を与え、そして繊維ストランドが取り込まれる高分子マトリックス材料と相溶性であることが望ましい。しかしながら、多くのサイジング成分は、これらの高分子マトリックス材料と相溶性ではなく、ガラス繊維と高分子マトリックス材料との間の接着性に悪影響を与え得る。例えば、デンプン(これは、織物繊維に一般的に使用されるサイジング成分である)は、一般に、高分子マトリックス材料と相溶性ではない。結果として、これらの非相溶性材料は、高分子マトリックス材料で含浸する前に、織物から除去されなければならない。
【0005】
このような非樹脂相溶性サイジング材料の除去(すなわち、織物の脱脂または脱油)は、種々の技術によって、達成できる。これらの非樹脂相溶性サイジング材料の除去は、最も一般的には、織布を長時間にわたって高温に晒してサイジングを熱的に分解することにより、達成される(これは、通例、ヒート−クリーニングと呼ばれている)。従来のヒート−クリーニングプロセスは、織物を、380℃で、60〜80時間加熱する工程を包含する。しかしながら、このようなヒートクリーニング工程は、ガラス繊維の強度に有害であり、また、非相溶性材料を除去するのに常に完全に成功するときは限らず、さらに、織物をサイジング分解生成物で汚染し得る。サイジング材料を除去する他の方法(例えば、水洗および/または化学的除去)が試みられている。しかしながら、このような方法は、一般に、このような水洗および/または化学的除去操作に適合させるためのサイジング組成の相当な再編を要し、一般に、全ての非相溶性サイジング材料を除去する際に、ヒート−クリーニングほど効率的ではない。
【0006】
それに加えて、その織るプロセスは、ガラス繊維のヤーンを極めて摩耗し得るので、ワープヤーンとして使用されるヤーンは、代表的には、織る前に、ワープヤーンを摩耗耐性被覆(これは、通例、「スラッシングサイズ」と呼ばれている)で被覆してガラス繊維の摩耗を出来るだけ少なくするために、二次被覆工程(これは、通例、「スラッシング」と呼ばれている)を受ける。このスラッシングサイズは、一般に、その繊維形成操作中にガラス繊維に予め塗布された一次サイズの上に、塗布される。しかしながら、代表的なスラッシングサイズはまた、一般に、高分子マトリックス材料と相溶性ではないので、これらもまた、樹脂に取り込まれる前に、織布から除去されなければならない。
【0007】
さらに、脱脂または脱油された布と重合体樹脂との間の接着性を改善するために、この布には、さらに別の工程(これは、通例、「フィニッシング」と呼ばれている)において、ガラス繊維を再塗装するために、フィニッシングサイズ(代表的には、シランカップリング剤)が塗布される。
【0008】
これらの無付加価値(non−value added)処理工程(スラッシング、脱脂または脱油、およびフィニッシング)の各々は、布の生産サイクルおよび価格を上昇させる。さらに、各々は、一般に、資本設備および労働力の相当な投資を必要とする。さらに、これらの処理工程に関連して布の取り扱いが増えることによって、布が損傷したり品質が低下し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これらの処理工程のいくつかの効率または有効性を改善する方向で努力が向けられている。それにもかかわらず、以下の1つまたはそれ以上を達成できる被覆が必要とされたままである:ガラス繊維の摩耗および破断を阻止すること;多種多様なマトリックス材料に相溶性であること;良好な加水分解安定性を与えること;およびマトリックス材料により良好なウェットアウトおよびウェットスルーを備えること。それに加えて、もし、これらの被覆が生産性を高めるために最新のエア−ジェット織機に適合するなら、特に有利となる。さらに、種々の用途に必要な布の品質を維持して良好な積層体特性を与えつつ、布形成操作における無付加価値処理工程をなくせるなら、有利となる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の繊維ストランドは、以下の特性の少なくとも1つを達成する独特の被覆を有する:処理中における繊維の摩耗および破断の阻止;複合材料の形成時における良好なウェットスルー、ウェットアウトおよび分散特性;および良好な加水分解安定性(すなわち、繊維/高分子マトリックス材料の界面に沿った水の移動に対する抵抗性)。以下で詳細に定義するように、「ストランド」は、複数の個々の繊維(すなわち、少なくとも2本の繊維)を含む。本明細書中で使用する「複合材料」とは、本発明の被覆繊維ストランドと追加材料(例えば、高分子マトリックス材料と配合されて積層体を形成する被覆繊維ストランドを取り込む1層またはそれ以上の布があるが、これに限定されない)を意味する。良好な積層体強度、良好な熱安定性、高湿度、反応性の酸およびアルカリの存在下での低い腐食性および反応性、ならびに種々の重合体マトリックスとの相溶性(これは、この被覆を除去する必要性、特に、積層前の加熱または加圧水洗浄をなくし得る)は、本発明の被覆繊維ストランドが示し得る他の望ましい特性である。
【0011】
特定の実施形態では、本発明の被覆繊維ストランドは、製織および編組においても、良好な加工性を与える。低いファズおよびハロス(本明細書中で使用する「ハロス」とは、回転引張り装置の周りで形成され得る破断したフィラメントの環である)、低い破断フィラメント、低いストランド張力、高い可撓性および低い挿入時間は、個々にまたは組み合わせて、本発明の被覆ガラス繊維ストランドにより提供できる特性の例である。これらの特性は、個々にまたは組み合わせて、製織および編組を容易にでき、そして一貫して、殆ど表面欠陥のない布を提供できる。それに加えて、本発明の被覆繊維ストランドは、エアジェット製織プロセスで使用するのに適切であり得る。本明細書中で使用する「エアジェット製織」とは、1本またはそれ以上のエアジェットノズルから圧縮空気を噴射することによりワープシェッドにフィルヤーン(横糸)が挿入される形式の織物の製織である。
【0012】
特定の実施形態では、本発明の被覆繊維ストランドは、その繊維の被覆された表面に沿った熱伝導を促進できる独特の被覆を有する。電子回路の連続的な強化として使用するとき、本発明のこのような被覆ガラス繊維は、その強化に沿って、熱源(例えば、チップまたは回路)からの熱の散逸を促進する機構を提供して、回路部品から熱を追い出し、それにより、回路部品、ガラス繊維および高分子マトリックス材料の熱分解および/または劣化を阻止できる。本発明の被覆ガラス繊維は、マトリックス材料よりも高い熱伝導相(すなわち、熱の散逸および分配のための経路)を提供し、それにより、電子回路基板の熱膨張および焼結ひずみの差を減らし、そしてハンダ接合の信頼性を向上させる。
【0013】
本発明の被覆繊維ストランドはまた、アーマチュアバンディングテープ(これは、ラジアル圧縮における発電機アーマチュア、アーマチュア巻線およびコミュテータの構成部品を保持するのに有用であり得る)に対して、必要な強度および電気絶縁部品を提供する。このような圧縮がないと、このような部品の回転している部材の不均衡が起こり得、あるいは、ひどい場合には、この部材自体の破裂を引き起こし得る。代表的には、このようなバンディングは、樹脂が効果されたとき、このバンディングテープの個々の繊維をバンディング内の定位置に固定するのを助ける硬化可能接着樹脂に含浸された繊維ストランドから形成される。上記クリーニング工程をなくすことにより、本発明の被覆ガラス繊維が、このような方法により洗浄された繊維の上に、追加強度および電気絶縁を与えることが可能となる。
【0014】
本発明の被覆繊維ストランドは、さらに、複合材料の構造強化成分として、供され得る。複合材料は、航空宇宙、航空機、および他の用途で使用される重要な構造材料である。適切な用途には、稲妻による攻撃が原因の損傷からの航空機の保護、レーダーによる検出に対する航空機の遮蔽、およびロケットエンジンノズルとしてまたは再突入飛翔体上の誘導面としての宇宙航空複合材料の使用が挙げられる。複合材料は、複合材料内で異なる特性を保持する1つまたはそれ以上の別々の相を含む。代表的な非金属の航空宇宙用複合材料では、その強化材よりもずっと弱く延性のある樹脂材料のマトリックスに、高強度または高弾性率の強化材(例えば、ガラス繊維)が包埋されている。このマトリックスは、この強化材を共に結合し、整列し、そして保護する。
【0015】
複合材料の重要な局面は、重量を最小にしかつ性能を最大にするために、設計者が各個々の構造片の要求に対して材料の特性を改造できることにある。複合材料の特性は、その強化材相およびマトリックス相の個々の特性により、また、複合材料に存在している強化材およびマトリックスの相対量により、決定される。各バッチの複合材料の特性は、特定の用途に対する設計者の要求を満たすことが確かであると知られていなければならない。それゆえ、ヒートクリーニング工程(これは、ガラス繊維の強度に対して有害であり得、さらに、布をサイジング生成物で汚染し得る)をなくすことにより、得られた複合材料の特性をさらに正確に予測することが可能となる。
【0016】
特定の実施形態では、本発明の被覆繊維ストランドはまた、マトリックス樹脂に熱伝導性材料を取り込む必要性をなくすか少なくでき、これは、積層体の製造操作を向上させ、そして費用のかかるマトリックス材料供給タンクのパージング(purging)および維持を減らす。
【0017】
本発明の被覆繊維ストランドは、高いストランド開放性を有し得る。本明細書中で使用する「高いストランド開放性」との用語は、そのストランドが拡大断面を有し、このストランドのフィラメントが互いに密接には結合されていないことを意味する。高いストランド開放性は、ストランドバンドルへのマトリックス材料の貫入またはウェットアウトを促進できる。
【0018】
本発明の繊維ストランドから製造された本発明の複合材料(特に、積層体)は、以下の特性の少なくとも1つを有し得る:低い熱膨張率;良好な曲げ強度;良好な層間結合強度;および良好な加水分解安定性(すなわち、繊維/マトリックス材料の界面に沿った水の移動に対する抵抗性)。さらに、本発明に従った繊維ストランドから製造された本発明の電子支持体およびプリント回路基板は、以下の特性の少なくとも1つを有し得る:良好な穿孔可能性;および金属移動に対する抵抗性(これはまた、カソード−アノードフィラメント形成またはCAFとも呼ばれている)。Tummala(著)ら、Microelectronics Packaging Handbook.(1989)の896〜897ページおよびIPC−TR−476B,「Electrochemical Migration:Electrochemically Induced Failures in Printed Wiring Boards and Assemblies」、(1997)(これらの内容は、具体的に、本明細書中で参考として援用されている)を参照のこと。特定の実施形態では、本発明に従った繊維ストランドは、良好な穿孔可能性(これは、少なくとも1つ、穿孔中の低い用具摩耗により、示される)および穿孔穴の良好な位置精度を有する。
【0019】
上記のように、代表的な布形成操作は、ガラス繊維ヤーンおよびそこから製造された布をいくつかの無付加価値処理工程(例えば、スラッシング、ヒート−クリーニングおよびフィニッシング)にかける工程を包含する。本発明は、布、積層体、電子支持体、プリント回路基板、アーマチュアバンディングテープおよび航空宇宙用複合材料を形成する方法であって、種々の開示された用途で使用するのに適切な品質を有する布を提供しつつ、この布形成プロセスから無付加価値処理工程をなくすか減らす方法を提供する。本発明の特定の実施形態の他の利点には、生産サイクル時間の低下、資本設備がいらないこと、布取り扱いおよび労働コストの低下、良好な布品質および良好な最終製品特性が挙げられる。
【0020】
本発明の1実施形態では、繊維ストランドは、以下から形成された無デンプン組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む:少なくとも1種の塗膜形成材料、少なくとも1種の高分子潤滑剤、少なくとも1種のロジン、少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、少なくとも1種の重合体粒子分散体であって、ここで、該個々の粒子は、少なくとも0.1ミクロンの直径を有する、少なくとも1種の乳化剤、および少なくとも1種の追加潤滑剤であって、該追加潤滑剤は、該少なくとも1種の高分子潤滑剤とは異なる。
【0021】
本発明の別の実施形態では、繊維ストランドは、以下から形成された無デンプン組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む:少なくとも1種の塗膜形成材料、少なくとも1種のシリル化ポリアミン、少なくとも1種のロジン、少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、少なくとも1種の重合体粒子分散体であって、ここで、該個々の粒子は、少なくとも0.1ミクロンの直径を有する、少なくとも1種の乳化剤、および少なくとも1種の追加潤滑剤であって、該追加潤滑剤は、該少なくとも1種のシリル化ポリアミンとは異なる。
【0022】
本発明のさらに別の実施形態では、繊維ストランドは、以下から形成された組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む:少なくとも1種の塗膜形成材料、少なくとも1種の潤滑剤、少なくとも1種のロジン、少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、少なくとも1種の重合体粒子分散体であって、ここで、該個々の粒子は、少なくとも0.1ミクロンの直径を有する、少なくとも1種のフェノール性乳化剤、および少なくとも1種の追加乳化剤であって、該追加乳化剤は、該少なくとも1種のフェノール性乳化剤とは異なる。
【0023】
本発明のさらに別の実施形態では、繊維ストランドは、以下から形成された組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む:少なくとも1種の塗膜形成材料、少なくとも1種の潤滑剤、少なくとも1種のロジン、少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、少なくとも1種のフェノール性乳化剤、および少なくとも1種の追加乳化剤であって、該追加乳化剤は、該少なくとも1種のフェノール性乳化剤とは異なる。本発明のさらに別の実施形態では、繊維ストランドは、以下から形成された組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む:少なくとも1種の塗膜形成材料、少なくとも1種の潤滑剤、少なくとも1種のロジン、少なくとも1種のフェノール性乳化剤、および少なくとも1種の追加乳化剤であって、該追加乳化剤は、該少なくとも1種のフェノール性乳化剤とは異なる。
【0024】
本発明の別の実施形態では、繊維ストランドは、以下から形成された組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む:少なくとも1種の塗膜形成材料、少なくとも1種の潤滑剤、少なくとも1種のロジン、少なくとも1種の重合体粒子分散体であって、ここで、該個々の粒子は、少なくとも0.1ミクロンの直径を有する、少なくとも1種のフェノール性乳化剤、および少なくとも1種の追加乳化剤であって、該追加乳化剤は、該少なくとも1種のフェノール性乳化剤とは異なる。
【0025】
本発明の別の実施形態では、布は、少なくとも1本の繊維ストランドから構成された少なくとも1本のフィルヤーンと、例えば、以下から形成された組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維ストランドから構成された少なくとも1本のワープヤーンとを含む:少なくとも1種のロジン、少なくとも1種のカチオン性潤滑剤、少なくとも1種の塗膜形成材料、少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、および少なくとも1種の重合体粒子分散体。
【0026】
前記個々の実施形態の各々において、本発明の塗装組成物を構成する成分は、異なる。
【0027】
本明細書の目的のために、操作実施例以外、または特に明記しない限り、例えば、本明細書および特許請求の範囲で使用される成分の量、反応条件などを示す全ての数値または表現は、いずれの場合にも、「約」との用語により修飾されることが理解できるはずである。従って、以下の明細書および添付の特許請求の範囲で述べた数値パラメータは、他にそうでないことが示されていない限り、近似値であり、これは、本発明で得るように求めた所望の特性に依存して、変わり得る。少なくとも、この特許請求の範囲の等価物の原則の適用に限定しようとするのではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数に照らして、通常の端数計算技術を適用することにより、解釈すべきである。
【0028】
本発明に従った被覆繊維ストランドは、複数の繊維を含む。本明細書中で使用する「ストランド」とは、複数の個々の繊維(すなわち、少なくとも2本の繊維)を含み、このストランドは、異なる繊維化可能(fiberizable)材料から作られた繊維を含み得る。(繊維のバンドルはまた、「ヤーン」とも呼ばれ得る)。「繊維」との用語は、個々のフィラメントを意味する。本発明を限定しないものの、これらの繊維は、3〜35マイクロメートルの範囲の平均名目繊維直径を有し得る。特定の実施形態では、本発明の平均名目繊維直径は、例えば、5マイクロメートル以上であり得る。「ファインヤーン」用途には、この平均名目繊維直径は、5〜7マイクロメートルの範囲であり得る。
【0029】
これらの繊維は、当業者に公知の任意の種類の繊維化可能材料から形成でき、これらには、繊維化可能無機材料、繊維化可能有機材料および前述のいずれかの混合物が挙げられる。これらの無機および有機材料は、人工材料または天然に存在している材料のいずれかであり得る。当業者は、繊維化可能無機および有機材料がまた高分子材料であり得ることを理解する。本明細書中で使用する「高分子材料」との用語は、長鎖原子(これらは、共に連結され、溶液中または固体状態で絡まり得る)から構成される巨大分子から形成された材料を意味する(James Markら、Inorganic Polymers,Prentice Hall Polymer Science and Engineering Series,(1992) 1ページ(この内容は、本明細書中で参考として援用されている))。本明細書中で使用する「繊維化可能」とは、大体連続したフィラメント、繊維、ストランドまたはヤーンに形成できる材料を意味する。
【0030】
特定の実施形態では、これらの繊維は、無機繊維化可能ガラス材料から形成できる。本発明で有用な繊維化可能ガラス材料には、繊維化可能ガラス組成物(例えば、「E−ガラス」、「A−ガラス」、「C−ガラス」、「D−ガラス」、「G−ガラス」、「R−ガラス」、「S−ガラス」および「E−ガラス誘導体」)が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書中で使用する「E−ガラス誘導体」とは、少量のフッ素および/またはホウ素を含むガラス組成物、最も好ましくは、フッ素および/またはホウ素を含まないガラス組成物を意味する。さらに、本明細書中で使用する「少量のフッ素」とは、0.5重量パーセント未満のフッ素、例えば、0.1重量パーセント未満のフッ素を意味し、そして「少量のホウ素」とは、5重量パーセント未満のホウ素、例えば、2重量パーセント未満のホウ素を意味する。玄武岩およびミネラルウールは、本発明で有用な他の繊維化可能ガラス材料の例である。特定の実施形態では、これらのガラス繊維は、E−ガラスまたはE−ガラス誘導体から選択される。他の実施形態では、これらのガラス繊維は、G−ガラスから選択される。
【0031】
本発明のガラス繊維は、当該技術分野で公知の任意の適切な方法で、形成できる。例えば、ガラス繊維は、ダイレクトメルト繊維形成操作またはインダイレクト(すなわち、マーブルメルト)繊維形成操作で、形成できる。ダイレクトメルト繊維形成操作では、原料は、ガラス溶融炉において、混ぜ合わされ、溶融され、そして均質化される。溶融したガラスは、この炉から、前床に移動し、そして繊維形成装置に入り、この場所で、溶融したガラスは、連続ガラス繊維に細められる。マーブルメルトガラス形成操作では、所望の最終ガラス組成を有するガラスの断片またはマーブルが予め形成され、そしてブッシングに給送され、この場所で、それらは、溶融され、そして連続ガラス繊維に細められる。もし、プレメルター(premelter)を使用するなら、これらのマーブルは、まず最初に、このプレメルターに給送され、溶融され、次いで、融解したガラスは、繊維形成装置に給送され、この場所で、このガラスは、細められて、連続繊維が形成される。本発明では、これらのガラス繊維は、好ましくは、ダイレクトメルト繊維形成操作により、形成される。ガラス組成物およびガラス繊維を形成する方法に関する追加情報には、K.Loewenstein,The Manufacturing at Technology of Continuous Glass Fibres,(第3版、1993)、30〜44ページ、47〜103ページおよび115〜165ページ;米国特許第4,542,106号および第5,789,329号;ならびにIPC−EG−140 「Specification for Finished Fabric Woven from ‘E’ Glass for Printed Boards」、1ページ、The Institute for Interconnecting and Packaging Electronic Circuitsの刊行物(1997年6月)を参照のこと。
【0032】
適切な非ガラス繊維化可能無機材料の非限定的な例には、セラミック材料(例えば、炭化ケイ素、炭素、グラファイト、ムライト、酸化アルミニウムおよび圧電性セラミック材料)が挙げられる。適切な繊維化可能有機材料の非限定的な例には、綿布、セルロース、天然ゴム、亜麻、ラミー繊維、麻、サイザル麻および羊毛が挙げられる。適切な繊維化可能有機高分子材料の非限定的な例には、ポリアミドから形成されたもの(例えば、ナイロンおよびアラミド)、熱可塑性ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタラートおよびポリブチレンテレフタラート)、アクリル(例えば、ポリアクリロニトリル)、ポリオレフィン、ポリウレタンおよびビニル重合体(例えば、ポリビニルアルコール)が挙げられる。本発明で有用な非ガラス繊維化可能材料、およびこのような繊維を調製し加工する方法は、the Encyclopedia of Polymer Science and Technology、Vol.6(1967)の505〜712で詳細に述べられている。
【0033】
上記材料のいずれかのブレンドまたは生地、および上記材料のいずれかから形成された配合物は、もし望ましいなら、本発明で使用できることが分かる。さらに、繊維ストランドとの用語は、異なる繊維化可能材料から製造された少なくとも2本の異なる繊維を包含する。特定の実施形態では、本発明の繊維ストランドは、少なくとも1本のガラス繊維を含有するが、他の種類の繊維を含有し得る。
【0034】
本発明は、今ここで、一般に、ガラス繊維ストランドの状況で、述べるものの、当業者は、このストランドが、上述のような当該技術分野で公知の任意の繊維化可能材料から形成された繊維を含み得ることを理解する。それゆえ、ガラス繊維の点からの以下の論述は、一般に、上述の他の繊維に当てはまる。
【0035】
特定の実施形態では、本発明の繊維ストランドの繊維の少なくとも1本、おそらく全部は、これらの繊維の少なくとも1表面の少なくとも一部にて、塗装組成物(例えば、塗装組成物の残渣)を有する。この被覆は、繊維表面を処理中の摩耗から保護するのに、また、繊維の破断を阻止するのに役立ち得る。
【0036】
表Aは、いくつかの代表的なガラス繊維ヤーン製品における繊維の直径および数を列挙する。
【0037】
【表1A】
本発明の塗装組成物は、水性塗装組成物であり得、特定の実施形態では、水性樹脂相溶性塗装組成物であり得る。これらの塗装組成物は、必要に応じて、揮発性有機溶媒(例えば、アルコールまたはアセトン)を含有し得るが、特定の実施形態では、このような溶媒を含まない。さらに、本発明の塗装組成物は、一次サイジング組成物および/または二次サイジングまたは塗装組成物として、使用できる。
【0038】
本明細書中で使用する「サイズ」、「サイズド」または「サイジング」とは、繊維に塗布された任意の塗装組成物を意味する。「一次サイズ」または「一次サイジング」との用語は、繊維の形成直前に繊維に塗布された塗装組成物を意味する。「二次サイズ」、「二次サイジング」または「二次被覆」とは、一次サイズの塗布後に繊維に塗布された塗装組成物を意味する。「三次サイズ」、「三次サイジング」または「三次被覆」とは、二次サイズの塗布後に繊維に塗布された塗装組成物を意味する。これらの被覆は、繊維を布に組み込む前に、この繊維に塗布できるか、あるいは、繊維を布に組み込んだ後、例えば、その布を塗装することにより、この繊維に塗布できる。「サイズ」、「サイズド」および「サイジング」との用語は、通常の非樹脂相溶性サイジング組成物の少なくとも一部、おそらく、全部を熱処理または化学処理で除去した後、これらの繊維に塗布された塗装組成物(これはまた、「仕上げサイズ」とも呼ばれる)を意味し、すなわち、この仕上げサイズは、布形態に組み込まれた裸のガラス繊維に塗布される。
【0039】
本明細書中で使用する「樹脂相溶性」とは、ガラス繊維に塗布された塗装組成物が、この塗装組成物(または選択された塗装成分)が以下の特性の少なくとも1つを達成するように、そのガラス繊維を取り込みマトリックス材料と相溶性であることを意味する:このマトリックス材料に取り込む前に、(例えば、脱脂または脱油による)除去を必要としないこと;通常の処理中において、このマトリックス材料の良好なウェットアウトおよびウェットスルーを促進すること;および所望の物理的特性および加水分解安定性を有する最終複合材料製品を得ること。
【0040】
本発明の繊維ストランドの繊維の少なくとも一部、おそらく全部は、それらの繊維の表面の少なくとも一部において、塗装組成物(例えば、塗装組成物の残渣)を有する。
【0041】
本発明の1実施形態では、繊維ストランドは、以下から形成された無デンプン組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む:少なくとも1種の塗膜形成材料、少なくとも1種の高分子潤滑剤、少なくとも1種のロジン、少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、少なくとも1種の重合体粒子分散体であって、ここで、該個々の粒子は、少なくとも0.1ミクロンの直径を有する、少なくとも1種の乳化剤、および少なくとも1種の追加潤滑剤であって、該追加潤滑剤は、該少なくとも1種の高分子潤滑剤とは異なる。
【0042】
本発明の別の実施形態では、繊維ストランドは、以下から形成された無デンプン組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む:少なくとも1種の塗膜形成材料、少なくとも1種のシリル化ポリアミン、少なくとも1種のロジン、少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、少なくとも1種の重合体粒子分散体であって、ここで、該個々の粒子は、少なくとも0.1ミクロンの直径を有する、少なくとも1種の乳化剤、および少なくとも1種の追加潤滑剤であって、該追加潤滑剤は、該少なくとも1種のシリル化ポリアミンとは異なる。
【0043】
本発明のさらに別の実施形態では、繊維ストランドは、以下から形成された組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む:少なくとも1種の塗膜形成材料、少なくとも1種の潤滑剤、少なくとも1種のロジン、少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、少なくとも1種の重合体粒子分散体であって、ここで、該個々の粒子は、少なくとも0.1ミクロンの直径を有する、少なくとも1種のフェノール性乳化剤、および少なくとも1種の追加乳化剤であって、該追加乳化剤は、該少なくとも1種のフェノール性乳化剤とは異なる。
【0044】
本発明のさらに別の実施形態では、繊維ストランドは、以下から形成された組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む:少なくとも1種の塗膜形成材料、少なくとも1種の潤滑剤、少なくとも1種のロジン、少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、少なくとも1種のフェノール性乳化剤、および少なくとも1種の追加乳化剤であって、該追加乳化剤は、該少なくとも1種のフェノール性乳化剤とは異なる。
【0045】
本発明のさらに別の実施形態では、繊維ストランドは、以下から形成された組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む:少なくとも1種の塗膜形成材料、少なくとも1種の潤滑剤、少なくとも1種のロジン、少なくとも1種のフェノール性乳化剤、および少なくとも1種の追加乳化剤であって、該追加乳化剤は、該少なくとも1種のフェノール性乳化剤とは異なる。
【0046】
本発明の別の実施形態では、繊維ストランドは、以下から形成された組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む:少なくとも1種の塗膜形成材料、少なくとも1種の潤滑剤、少なくとも1種のロジン、少なくとも1種の重合体粒子分散体であって、ここで、該個々の粒子は、少なくとも0.1ミクロンの直径を有する、少なくとも1種のフェノール性乳化剤、および少なくとも1種の追加乳化剤であって、該追加乳化剤は、該少なくとも1種のフェノール性乳化剤とは異なる。
【0047】
本発明の別の実施形態では、布は、少なくとも1本の繊維ストランドから構成された少なくとも1本のフィルヤーンと、例えば、以下から形成された組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維ストランドから構成された少なくとも1本のワープヤーンとを含む:少なくとも1種のロジン、少なくとも1種のカチオン性潤滑剤、少なくとも1種の塗膜形成材料、少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、および少なくとも1種の重合体粒子分散体。
【0048】
本発明の塗装組成物は、少なくとも1種のロジンを含有できる。本発明の非限定的な1実施形態では、この少なくとも1種のロジンは、天然ロジン、化学変性ロジン、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0049】
有用な天然ロジンには、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。適切なガムロジンの非限定的な例には、生きている木から引き出されたオレオレジンに由来のテレビン油の蒸留後に得られる残渣が挙げられる。有用なウッドロジンは、松の切り株をナフサで抽出して揮発性画分を留去することにより得られる残渣を含有する。適切なトール油ロジンの非限定的な例は、トール油の分別の副生成物である。
【0050】
有用な化学変性ロジンには、それらが天然ロジンの明確な特性を示さないように化学的に変えられたロジンが挙げられる。非限定的な1実施形態では、この化学変性ロジンは、少なくとも1種のダイマーおよび少なくとも1種の脱炭酸樹脂酸を含む。有用な化学変性ロジの非限定的な例には、DYNAKOLL SI 100が挙げられ、これは、Eka Chemicals AB,Swedenから購入され、ウッドロジンを無水マレイン酸、ポリエチレングリコールおよびフェニルグリシジルエーテルと反応させたときに形成されるいくつかの反応生成物の混合物であると考えられている。それゆえ、DYNAKOLL SI 100は、例えば、少なくとも1個のグリシジルエーテル基(例えば、2個のグリシジルエーテル基)、および少なくとも1個のポリエチレングリコール基を含むと考えられている。
【0051】
このロジンは、本発明の塗装組成物中にて、全固形分ベースで、0重量パーセントより多く25重量パーセントまでの範囲の量で、存在できる。非限定的な1実施形態では、この少なくとも1種のロジンは、この塗装組成物中にて、全固形分ベースで、3〜15重量パーセントの範囲の量で、存在できる。別の非限定的な実施形態では、この少なくとも1種のロジンは、この塗装組成物中にて、全固形分ベースで、6〜12重量パーセントの範囲の量で、存在できる。
【0052】
本発明の塗装組成物は、さらに、1種またはそれ以上の潤滑性物質を含有できる。特定の実施形態では、この塗装組成物は、1種またはそれ以上のカチオン性潤滑剤を含有できる。このようなカチオン性潤滑剤の非限定的な例には、脂肪酸脂肪酸のアミン塩(これは、例えば、12個〜22個の炭素原子を有する脂肪酸部分および/または窒素原子に結合した1個〜22個の原子のアルキル基を有する第三級アミンを含み得る)、アルキルイミダゾリン誘導体(これは、例えば、脂肪酸とポリアルキレンポリアミンとの反応により、形成できる)、酸可溶化脂肪酸アミド(例えば、4個〜24個の炭素原子の酸基を有する飽和または不飽和脂肪酸アミド(例えば、ステアリン酸アミド))、酸可溶化ポリ不飽和脂肪酸アミド、脂肪酸とポリエチレンイミンおよびアミド置換ポリエチレンイミンと縮合物(例えば、EMERY 6717)、部分アミド化ポリエチレンイミン(これは、Cincinnati,OhioのCognis Corporationから市販されている)、およびALUBRASPIN 226(これは、Parsippany,New JerseyのBASF Corp.から市販されている)が挙げられる。
【0053】
有用なアルキルイミダゾリン誘導体の非限定的な例には、CATION X(これは、Princeton,New JerseyのRhone Poulenc/Rhodiaから市販されている)、およびALUBRASPIN 261(これは、Parsippany,New JerseyのBASF Corp.から購入した)がある。
【0054】
本発明の1実施形態では、この少なくとも1種のカチオン性潤滑剤は、1種またはそれ以上のシリル化ポリアミン重合体を含有する。このようなシリル化ポリアミン潤滑剤の非限定的な例には、ALUBRASPIN 227(これは、Parsippany,New JerseyのBASF Corpから購入した;例えば、米国特許第5,354,829号で開示されている)が挙げられる。
【0055】
本発明の特定の実施形態では、この少なくとも1種のカチオン性潤滑剤の量は、全固形分ベースで、この塗装組成物の8重量パーセント以下であり得る。非限定的な1実施形態では、この少なくとも1種のカチオン性潤滑剤の量は、全固形分ベースで、この塗装組成物の0.5〜8重量パーセントの範囲、例えば、全固形分ベースで、この塗装組成物の1〜6重量パーセント、および1〜3重量パーセントの範囲であり得る。
【0056】
本発明の特定の実施形態では、この潤滑剤は、1種またはそれ以上の高分子潤滑剤を含有できる。高分子潤滑剤の非限定的な例には、ポリアミン重合体から選択される潤滑剤が挙げられる。本発明の1実施形態では、この少なくとも1種の高分子潤滑剤は、1種またはそれ以上のシリル化ポリアミン重合体を含有する。このようなシリル化ポリアミン潤滑剤の非限定的な一例には、ALUBRASPIN 227(これは、Parsippany,New JerseyのBASF Corp.から購入した;例えば、米国特許第5,354,829号で開示されている)が挙げられる。
【0057】
本発明の特定の実施形態では、この少なくとも1種の高分子潤滑剤の量は、全固形分ベースで、この塗装組成物の8重量パーセント以下であり得る。非限定的な1実施形態では、この少なくとも1種の高分子潤滑剤の量は、全固形分ベースで、この塗装組成物の0.5〜8重量パーセントの範囲、例えば、全固形分ベースで、この塗装組成物の1〜6重量パーセント、および1〜3重量パーセントの範囲であり得る。
【0058】
本発明の特定の実施形態では、この潤滑剤は、さらに、1種またはそれ以上の極性を有するワックスおよびオイルを含有でき、さらに好ましくは、極性および35℃より高い融点、さらに好ましくは、45℃より高い融点を有する非常に結晶性のワックスを含む。このような物質は、極性のないワックスおよびオイルを含有するサイジング組成物で被覆された繊維ストランドと比較して、このような極性物質を含有するサイジング組成物で被覆された繊維ストランドに対する極性樹脂のウェットアウトおよびウェットスルーを向上させると考えられている。
【0059】
本発明の非限定的な実施形態は、(1)モノカルボン酸と(2)一価アルコールとを反応させることから形成されたエステルを含む極性を有する潤滑性物質を包含する。本発明で有用なこのような脂肪酸エステルの非限定的な例には、パルミチン酸セチル(これは、好ましい)(これは、例えば、KESSCO 653またはSTEPANTEX 653として、Maywood,New JerseyのStepan Companyから市販されている)、ミリスチン酸セチル(これもまた、STEPANLUBE 654として、Stepan Companyから市販されている)ラウリン酸セチル、ラウリン酸オクタデシル、ミリスチン酸オクタデシル、パルミチン酸オクタデシルおよびステアリン酸オクタデシルが挙げられる。他の実施形態では、本発明で有用な物質には、トリメチロールプロパントリペラルゴネート、天然鯨蝋油およびトリグリセリド油(大豆油、アマニ油、エポキシ化大豆油、およびエポキシ化アマニ油があるが、これらに限定されない)が挙げられる。
【0060】
本発明の特定の実施形態では、この極性を有する少なくとも1種の潤滑性物質の量は、全固形分ベースで、この塗装組成物の45重量パーセント以下であり得る。非限定的な1実施形態では、この極性を有する少なくとも1種の潤滑性物質の量は、全固形分ベースで、この塗装組成物の5〜45重量パーセントの範囲、例えば、全固形分ベースで、この塗装組成物の15〜35重量パーセント、および20〜30重量パーセントの範囲であり得る。
【0061】
この塗装組成物はまた、少なくとも1種の塗膜形成材料を含有できる。1実施形態では、この少なくとも1種の塗膜形成材料は、水溶性高分子材料を含有できる。有用な材料の非限定的な例には、ポリアルキレンポリオールおよびポリオキシアルキレンポリオール(例えば、MACOL E−300(これは、Parsippany,New JerseyのBASF Corporationから市販されている)およびCARBOWAX 300およびCARBOWAX 400(これは、Dow Chemicalsから市販されている))が挙げられる。有用な塗膜形成材料の別の非限定的な例には、POLYOX WSR 301(これは、Dow Chemicalsから市販されているポリ(エチレンオキシド)である)がある。
【0062】
特定の実施形態では、本発明の塗装組成物中に存在している少なくとも1種の塗膜形成材料の量は、全固形分ベースで、この水性サイジング組成物の0重量パーセントより多く5重量パーセントまでの範囲であり得る。非限定的な1実施形態では、このサイジング組成物中に存在している塗膜形成材料の量は、全固形分ベースで、この水性サイジング組成物の0.2〜3重量パーセントの範囲、例えば、全固形分ベースで、この塗装組成物の0.5〜2重量パーセントの範囲であり得る。
【0063】
この塗装組成物は、さらに、少なくとも1種の表面変性剤またはカップリング剤を含有できる。適切なカップリング剤は、官能性オルガノシランカップリング剤であり得る。このようなカップリング剤は、二重官能性を有すると考えられている。各金属原子またはケイ素原子は、そこに、1個またはそれ以上の加水分解可能基が結合されており、これらの基は、ガラス表面と反応して、ヒドロキシル基および1個またはそれ以上の基(これらは、この塗装組成物中の他の成分と相溶性であるか反応できると考えられている)を除去できる。
【0064】
有用な官能性オルガノ−シランカップリング剤の非限定的な例には、ガンマ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、ガンマ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、ビニル−トリアルコキシシラン、グリシドキシプロピルトリアルコキシシランおよびウレイドプロピルトリアルコキシシランが挙げられる。有用な官能性オルガノ−シランカップリング剤の非限定的な例には、A−187 ガンマ−グリシドキシ−プロピルトリメトキシシラン、A−174 ガンマ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、A−1100 ガンマ−アミノプロピルトリエトキシシランシランカップリング剤、A−1108 アミノシランカップリング剤およびA−1160 ガンマ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン(各々は、Greenwich,CTのCrompton Corporationから市販されている)が挙げられる。オルガノ−シランカップリング剤の別の非限定的な例には、Z−6032、N−β(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(これは、Midland,MichiganのDow Corningにより製造され、例えば、米国特許第4,798,889号で開示されている)が挙げられる。
【0065】
このオルガノシランカップリング剤は、これらの繊維に塗布する前に、例えば、1:1の化学量論比で、少なくとも部分的に加水分解でき、あるいは、もし望ましいなら、非加水分解形状で、塗布できる。当該技術分野で周知であるように、その水のpHは、このカップリングの加水分解を開始または加速するために、酸または塩基を加えることにより変えることができる。有用なシランカップリング剤の他の例は、K.Loewenstein,The Manufacturing Technology of Continuous Glass Fibresの253ページ(第3版、New York 1983)(この内容は、本明細書中で参考として援用されている)で述べられている。
【0066】
この少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤の量は、全固形分ベースで、この塗装組成物の0重量パーセントより多く20重量パーセントまでの範囲であり得る。非限定的な1実施形態では、この少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤の量は、全固形分ベースで、このサイジング組成物の3〜15重量パーセント、例えば、6〜12重量パーセントの範囲である。
【0067】
これらの塗装組成物は、さらに、それらの塗装組成物の成分(例えば、粒子および/または潤滑性物質)を乳化または分散するための1種またはそれ以上の乳化剤を含有する。適切な乳化剤または界面活性剤の非限定的な例には、ポリオキシアルキレンブロック共重合体(例えば、PLURONIC(商標)F−108ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン共重合体(これは、Parsippany,New JerseyのBASF Corporationから市販されている)(PLURONIC F−108共重合体は、SYNPERONIC F−108の商品名で、Europeで市販されている)、エトキシル化アルキルフェノール(例えば、IGEPAL CA−630 エトキシル化オクチルフェノキシエタノール(これは、Wayne,New JerseyのGAF Corporationから市販されている))、ポリオキシエチレンオクチルフェニルグリコールエーテル、ソルビトールのエチレンオキシド誘導体エステル(例えば、TMAZ 81(これは、Parsippany,New JerseyのBASFから市販されている))、ポリオキシエチル化植物油(例えば、ALKAMULS EL−719(これは、Rhone−Poulenc/Rhodiaから市販されている))、エトキシル化アルキルフェノール(例えば、MACOL OP−10 SP(これは、BASFから市販されている))およびノニルフェノール界面活性剤(例えば、MACOL NP−6、ICONOL NP−6、およびICONOL OP−10(これは、BASFから市販されている))、およびSERMUL EN 668(これは、CON BEA,Beneluxから市販されている))が挙げられる。一般に、乳化剤の量は、全固形分ベースで、この塗装組成物の1.5〜7重量パーセントの範囲、好ましくは、2〜6重量パーセントの範囲であり得る。
【0068】
本発明の塗装組成物は、さらに、少なくとも1つの重合体粒子分散体を含有できる。適切な粒子分散体の非限定的な例には、ポリエチレン粒子分散体、ポリプロピレン粒子分散体、エチレン/プロピレン共重合体粒子分散体、スチレン/アクリル粒子分散体、およびそれらの混合物が挙げられる。重合体粒子分散体の非限定的な例には、ROPAQUE(登録商標)(これは、Philadelphia,PAのRohm and Haas Companyから市販されている)がある。
【0069】
この少なくとも1種の重合体粒子分散体は、この塗装組成物を形成する成分に加えるとき、全固形分ベースで、5〜70重量パーセントの範囲であり得る。非限定的な1実施形態では、この少なくとも1種の粒子分散体は、この塗装組成物を形成する成分に加えるとき、全固形分ベースで、25〜60重量パーセント、例えば、40〜55重量パーセントの範囲である。
【0070】
本発明の塗装組成物は、さらに、その塗装組成物に2〜7の範囲のpHを与えるのに十分な量で、1種またはそれ以上の有機酸を含有できる。本発明の非限定的な1実施形態では、これらの塗装組成物は、その塗装組成物に3.5〜6(例えば、4〜5)の範囲のpHを与えるのに十分な量で、1種またはそれ以上の有機酸を含有できる。本発明で使用するのに適切な有機酸の非限定的な例には、モノ−およびポリカルボン酸および/またはそれらの無水物(例えば、酢酸、クエン酸、ギ酸、プロピオン酸、カプロン酸、乳酸、安息香酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの混合物)が挙げられる。
【0071】
水は、本発明の塗装組成物のための優れた溶媒である。そういうものとして、水は、これらのガラス繊維上への被覆の塗布を容易にするのに十分な量で、存在できる。このような塗装組成物の固形分の重量パーセントは、2〜20重量パーセントの範囲であり得る。本発明の非限定的な1実施形態では、これらの固形分の重量パーセントは、4〜15重量パーセントの範囲である。本発明の別の非限定的な実施形態では、固形分の重量パーセントは、5〜10重量パーセントの範囲である。
【0072】
1実施形態では、本発明の塗装組成物は、デンプン物質を含み得ない。本発明の説明で使用する「デンプン物質を含まない」または「無デンプン」とは、この塗装組成物が、このサイジング組成物の全重量に基づいて、5重量パーセント未満のデンプン物質、例えば、このサイジング組成物の全重量に基づいて、1重量パーセント未満のデンプン物質、およびこのサイジング組成物の全重量に基づいて、0.1重量パーセント未満のデンプン物質を含有することを意味する。
【0073】
本発明の塗装組成物は、さらに、少なくとも1種の粒子分散体を含有できる。複数の粒子を含有する塗装組成物を有する繊維ストランドは、本発明に従って、布に織られ、そして電子支持体、電子回路基板、アパーチャボンディングテープ、および航空宇宙用複合材料(下記)に作製できることは、当業者にさらに理解される。
【0074】
これらの粒子は、望ましい任意の形状または構成を有し得る。本発明では限定されないものの、適切な粒子形状の例には、球形(ビーズ、マイクロビーズまたは中空球体)、立方体、板状または針状(細長または繊維状)が挙げられる。さらに、これらの粒子は、中空、多孔質または空孔なし、あるいはそれらの組み合わせ(例えば、多孔質壁または中実壁を備えた中空中心)の内部構造を有し得る。適切な粒子特性に関するさらに多くの情報については、H.Katzら(著)、Handbook of Fillers and Plastics(1987)、9〜10ページ(これらの内容は、具体的に、本明細書中で参考として援用されている)を参照のこと。
【0075】
これらの粒子は、高分子無機材料、非高分子無機材料、高分子有機材料、非高分子有機材料、複合材料、および前述のもののいずれかの混合物から形成できる。本明細書中で使用する「高分子無機材料」とは、炭素以外の元素に基づいた骨格繰り返し単位を有する高分子材料を意味する。さらに多くの情報については、J.E.Markら、5ページ(この内容は、本明細書中で具体的に参考として援用されている)を参照のこと。本明細書中で使用する「高分子有機材料」とは、炭素に基づいた骨格繰り返し単位を有する合成高分子材料、半合成高分子材料および天然高分子材料を意味する。
【0076】
本明細書中で使用する「有機材料」とは、炭素含有化合物を意味し、ここで、この炭素は、代表的には、それ自体または水素に結合されており、また、しばしば、他の元素にも結合されているが、酸化炭素、炭化物、二硫化炭素などのような二元化合物;金属シアン化物、金属カルボニル、ホスゲン、硫化カルボニルなどのような三元化合物;および金属カーボネートのような炭素含有イオン化合物(例えば、炭酸カルシウムおよび炭酸ナトリウム)は含まれない。本明細書中で使用する「無機材料」との用語は、有機材料ではない材料を意味する。R.Lewis,Sr.,Hawley’s Condensed Chemical Dictionary,(第12版、1993)、761〜762ページ、およびM.Silberberg,Chemistry The Molecular Nature of Matter and Change(1996)、586ページ(これらの内容は、具体的に、本明細書中で参考として援用されている)を参照のこと。
【0077】
本明細書中で使用する「複合材料」との用語は、2種またはそれ以上の異なる材料の組み合わせを意味する。複合材料から形成された粒子は、一般に、それらの表面における硬度がその表面下の粒子の内部の硬度とは異なる。さらに具体的には、この粒子の表面は、当業者に周知の任意の様式で、変性でき、これらには、その表面下での粒子の硬度をガラス繊維の硬度より高くしつつ、その粒子の表面硬度がガラス繊維の硬度に等しいかそれ未満であるように、当該技術分野で公知の技術を使用して、その表面特性を化学的または物理的に変えることが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、粒子は、1種またはそれ以上の二次材料で被覆、クラッドまたはカプセル化された一次材料から形成でき、柔軟な表面を有する複合材料粒子が形成される。さらに別の代替実施形態では、複合材料から形成された粒子は、異なる形態の一次材料で被覆、クラッドまたはカプセル化された一次材料から形成できる。本発明で有用な粒子に関するさらに多くの情報については、G.Wypych,Handbook of Fillers.第2版(1999)、15〜202ページ(これらの内容は、具体的に、本明細書中で参考として援用されている)を参照のこと。
【0078】
本発明の粒子を形成する際に有用な代表的な非高分子無機材料には、グラファイト、金属、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、硫化物、ケイ酸塩、炭酸塩、硫酸塩および水酸化物から選択される無機材料が挙げられるが、これらに限定されない。これらの粒子が形成される適切な無機窒化物の非限定的な例には、窒素ホウ素がある。これらの粒子の非限定的な1実施形態では、これらの窒化ホウ素粒子は、六方晶系の結晶構造を有する。窒化ホウ素から形成される本発明で使用するのに適切な粒子の非限定的な例には、POLARTHERM(登録商標)100 Series(PT 120、PT 140、PT 160およびPT 180);300 Series(PT 350)、および600 Series(PT 620、PT 630、PT 640およびPT 670)窒化ホウ素粉末粒子(これらは、Cleveland,OhioのGeneral Electric Advanced Ceramics Corporationから市販されている)がある。「PolarTherm(登録商標) Thermally Conductive Fillers for Polymeric Materials」、a technical bulletin of Advanced Ceramics Corporation of Lakewood,Ohio(1996)(この内容は,本明細書中で具体的に参考として援用されている)。
【0079】
有用な無機酸化物の非限定的な例には、酸化亜鉛がある。適切な無機硫化物には、二硫化モリブデン、二硫化タンタル、二硫化タングステンおよび硫化亜鉛が挙げられるが、これらに限定されない。有用な無機ケイ酸塩には、ケイ酸アルミニウムおよびケイ酸マグネシウム(例えば、バーミキュライト)が挙げられるが、これらに限定されない。適切な金属には、モリブデン、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウム、銅、金、鉄、銀、前述のいずかの合金および混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
本発明の別の非限定的な実施形態では、これらの粒子は、非高分子有機材料から形成できる。本発明で有用な非高分子有機材料の例には、ステアリン酸塩(例えば、ステアリン酸亜鉛およびステアリン酸アルミニウム)、カーボンブラックおよびステアロアミドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
本発明のさらに別の非限定的な実施形態では、これらの粒子は、無機高分子材料から形成できる。有用な無機高分子材料の非限定的な例には、ポリホスファゼン、ポリシラン、ポリシロキサン、ポリゲレマン(polygeremanes)、高分子イオウ、高分子セレン、シリコーン、および前述のもののいずれかの混合物が挙げられる。無機高分子材料から形成できる本発明で使用するのに適切な粒子の非限定的な具体例には、TOSPEARL(R.J.Perry 「Applications for Cross−Linked Siloxane Particles」 Chemtech,February 1999の39〜44ページを参照のこと)があり、これは、架橋シロキサンから形成された粒子であり、そして東芝シリコーン株式会社から市販されている。
【0082】
本発明のさらに別の非限定的な実施形態では、これらの粒子は、合成有機高分子材料から形成できる。適切な有機高分子材料には、熱硬化性材料および熱可塑性材料が挙げられるが、これらに限定されない。適切な熱硬化性材料には、熱硬化性ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ材料、フェノール類、アミノプラスト、熱硬化性ポリウレタン、および前述のもののいずれかの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。エポキシ材料から形成される合成重合体粒子の非限定的な例には、エポキシミクロゲル粒子がある。
【0083】
適切な熱可塑性材料には、熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、アクリル重合体、ポリアミド、熱可塑性ポリウレタン、ビニル重合体、および前述のもののいずれかの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。適切な熱可塑性ポリエステルには、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラートおよびポリエチレンナフタレートが挙げられるが、これらに限定されない。適切なポリオレフィンには、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリイソブテンが挙げられるが、これらに限定されない。適切なアクリル重合体には、スチレンおよびアクリルモノマーの共重合体、およびメタクリレート含有重合体が挙げられるが、これらに限定されない。アクリル共重合体から形成される合成重合体粒子の非限定的な例には、RHOPLEX(登録商標)B−85(「Chemicals for the Textile Industry」 September 1987(これは、Philadelphia,PennsylvaniaのRohm and Haas Companyから入手できる)を参照のこと)(これは、不透明な非架橋固形アクリル粒子乳濁液である)、ROPAQUE(登録商標)HP−1055(以下の表題の製品特性シートを参照のこと:「ROPAQUE(登録商標)HP−1055,Hollow Sphere Pigment for Paper and Paperboard Coatings」 October 1994(これは、Philadelphia,PennsylvaniaのRohm and Haas Companyから入手できる)の1ページ(この内容は,本明細書中で参考として援用されている))(これは、不透明な非塗膜形成スチレン−アクリル重合体合成顔料であり、1.0マイクロメートルの粒径、26.5重量パーセントの固形分含量および55パーセントの空隙容量を有する)、ROPAQUE(登録商標)OP−96(以下の表題の製品技術報告書を参照のこと:「Architectural Coatings−ROPAQUE(登録商標)OP−96,The All Purpose Pigment」、April 1997(これは、Philadelphia,PennsylvaniaのRohm and Haas Companyから入手できる)の1ページ(この内容は,本明細書中で参考として援用されている))およびROPAQUE(登録商標)HP−543P(ROPAQUE(登録商標)HP−543PおよびROPAQUE(登録商標)OP−96は、同じ材料である;この材料は、塗料工業では、ROPAQUE(登録商標)HP−543Pとして、また、塗装工業では、ROPAQUE(登録商標)OP−96として、認められている)(これらは、同じであり、各々は、不透明な不透明な非塗膜形成スチレン−アクリル重合体合成顔料分散体であり、0.55マイクロメートルの粒径および30.5重量パーセントの固形分含量を有する)、およびROPAQUE(登録商標)OP−62 LO(以下の表題の製品技術報告書を参照のこと:「Architectural Coatings−ROPAQUE(登録商標)OP−96,The All Purpose Pigment」、April 1997(これは、Philadelphia,PennsylvaniaのRohm and Haas Companyから入手できる)の1ページ(この内容は,本明細書中で参考として援用されている))(これもまた、不透明な非塗膜形成スチレン−アクリル重合体合成顔料分散体であり、0.40マイクロメートルの粒径および36.5重量パーセントの固形分含量を有する)がある。これらの粒子の各々は、Philadelphia,PennsylvaniaのRohm and Haas Companyから市販されている。
【0084】
本発明に従った粒子はまた、半合成有機高分子材料および天然高分子材料から形成できる。本明細書中で使用する「半合成材料」とは、化学変性された天然に存在する材料である。これらの粒子が形成できる適切な半合成有機高分子材料には、セルロース誘導体(例えば、メチルセルロースおよび酢酸セルロース);ならびに化工デンプン(例えば、酢酸デンプンおよびデンプンヒドロキシエチルエーテル)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの粒子が形成できる適切な天然高分子材料には、多糖類(例えば、デンプン);ポリペプチド(例えば、カゼイン);および天然炭化水素類(例えば、天然ゴムおよびグッタペルカ)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
本発明の非限定的な1実施形態では、これらの重合体粒子は、この被覆ストランドにより水分吸収を減らすか制限するために、疎水性高分子材料から形成される。このような疎水性高分子材料の非限定的な例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンおよびポリメタクリル酸メチルが挙げられるが、これらに限定されない。ポリスチレン共重合体の非限定的な例には、ROPAQUE(登録商標)HP−1055、ROPAQUE(登録商標)OP−96、ROPAQUE(登録商標)HP−543P、およびROPAQUE(登録商標)OP−62 LO顔料(各々は、上述されている)が挙げられる。
【0086】
本発明の別の非限定的な実施形態では、これらの粒子は、高分子および非高分子無機材料、高分子および非高分子有機材料、複合材料、ならびに前述のもののいずれかの混合物から選択される材料から形成された中空粒子であり得る。これらの中空粒子が形成できる適切な材料の非限定的な例は、上で記述されている。本発明で有用な中空重合体粒子の非限定的な例には、ROPAQUE(登録商標)HP−1055、ROPAQUE(登録商標)OP−96、ROPAQUE(登録商標)HP−543P、およびROPAQUE(登録商標)OP−62 LO顔料(各々は、上述されている)が挙げられる。本発明で有用であり得る中空粒子の他の非限定的な例については、H.Katzら(著)(1987)の437〜452ページ(これらの内容は、具体的に、本明細書中で参考として援用されている)を参照のこと。
【0087】
本発明の形成サイズ組成物に有用な粒子は、水の分散液、懸濁液または乳濁液中に存在し得る。他の溶媒(例えば、鉱油またはアルコール)は、(好ましくは、5重量パーセント未満で)、もし望ましいなら、この分散液、懸濁液または乳濁液に含有できる。無機材料から形成される粒子の分散液の非限定的な例には、ORPAC BORON NITRIDE RELEASECOAT−CONCがあり、これは、窒化ホウ素の25重量パーセント水分散液であり、そしてOak Ridge,TennesseeのZYP Coatings,Inc.から市販されている。「ORPAC BORON NITRIDE RELEASECOAT−CONC」、ZYP Coatings,Inc.の技術報告書(この内容は、本明細書中で具体的に参考として援用されている)を参照のこと。
【0088】
ZYP Coatingsから市販されている他の有用な製品には、BORON NITRIDE LUBRICOAT(登録商標)顔料、ならびにBRAZE STOPおよびWELD RELEASE製品が挙げられる。アクリル重合体および共重合体から形成された合成重合体粒子の乳濁液および分散液の非限定的な具体例には、以下が挙げられる:RHOPLEX(登録商標)B−85アクリル乳濁液(上述)、RHOPLEX(登録商標)GL−623(以下の表題の製品特性シートを参照のこと:「Rhoplex(登録商標)GL−623,Self−Crosslinking Acrylic Binder of Industrial Nonwovens」、March 1997(これは、Philadelphia,PennsylvaniaのRohm and Haas Companyから入手できる)(この内容は、本明細書中で参考として援用されている))(これは、45重量パーセントの固形分含量および98℃のガラス転移温度を有する全アクリルファーム(all acrylic firm)重合体乳濁液である);EMULSION E−2321(以下の表題の製品特性シートを参照のこと:「Building Products Industrial Coatings−Emulsion E−2321」、1990(これは、Philadelphia,PennsylvaniaのRohm and Haas Companyから入手できる)(この内容は、本明細書中で参考として援用されている))(これは、45重量パーセントの固形分含量および105℃のガラス転移温度を有する硬質メタクリレート重合体乳濁液である);ROPAQUE(登録商標)OP−96およびROPAQUE(登録商標)HP−543P(上述)(これらは、0.55マイクロメートルの粒径および30.5重量パーセントの固形分含量を有する分散液として、供給されている);ROPAQUE(登録商標)OP−62 LO(上述)(これは、0.40マイクロメートルの粒径および36.5重量パーセントの固形分含量を有する分散液として、供給されている);およびROPAQUE(登録商標)HP−1055(上述)(これは、26.5重量パーセントの固形分含量を有する分散液として、供給されている);これらの全ては、Philadelphia,PennsylvaniaのRohm and Haas Companyから市販されている。
【0089】
本発明の特定の非限定的な実施形態では、エアジェットルームで処理された繊維に塗布される塗装組成物に取り込まれる粒子の平均粒径は、少なくとも2本の隣接繊維間で、その繊維ストランドがルームを横切ってエアジェット輸送可能にするのに十分な間隔を与えるように、選択できる。本明細書中で使用する「エアジェットルーム」とは、当業者に周知の様式で、1本またはそれ以上のノズルから圧縮空気を噴射することによりワープシェッドにフィルヤーン(横糸)が挿入される形式のルームを意味する。
【0090】
本発明の特定の非限定的な実施形態では、エアジェット製織(air−jet texturizing)機で処理された繊維に塗布された塗装組成物に取り込まれた粒子の平均粒径は、少なくとも2本の隣接繊維間で、そのストランドの連続「開放性」および絡み合いを可能にするのに十分な間隔を与えるように、選択できる。本明細書中で使用する「エアジェット製織」とは、圧縮空気を使用して1本またはそれ以上のストランドの個々のフィラメントを分離し、それらを機械的に絡み合わせて絡み合ったフィラメントの連続ヤーンを製造する種類のヤーン処理を意味する。
【0091】
本発明の特定の非限定的な実施形態では、エアジェット製織(air−jet texturizing)機で処理された繊維に塗布された塗装組成物に取り込まれた粒子の平均粒径は、少なくとも2本の隣接繊維間で、そのストランドの連続「開放性」および絡み合いを可能にするのに十分な間隔を与えるように、選択できる。本明細書中で使用する「エアジェット製織」とは、圧縮空気を使用して1本またはそれ以上のストランドの個々のフィラメントを分離し、それらを機械的に絡み合わせて絡み合ったフィラメントの連続ヤーンを製造する種類のヤーン処理を意味する。
【0092】
別の非限定的な実施形態では、高分子マトリックス材料で含浸する繊維に塗布された形成サイズ組成物に取り込まれた粒子の平均粒径は、少なくとも2本の隣接繊維間で、その繊維ストランドの良好にウェットアウトおよびウェットスルーを可能にするのに十分な間隔を与えるように、選択される。本明細書中で使用する「ウェットアウト」との用語は、ある材料(例えば、スラッシング溶液または高分子マトリックス材料)が個々のバンドルまたはストランドの繊維を通って貫通する性能を意味し、また、「ウェットスルー」との用語は、ある材料(例えば、高分子マトリックス材料)が布を貫通する性能を意味する。
【0093】
本発明では限定しないものの、1実施形態では、これらの粒子は、1000マイクロメートル以下の平均粒径(これは、レーザー散乱技術を使用して、測定した)を有する。別の非限定的な実施形態では、これらの粒子は、0.001〜100マイクロメートルの範囲の平均粒径(これは、レーザー散乱技術を使用して、測定した)を有する。別の非限定的な実施形態では、これらの粒子は、0.1〜25マイクロメートルの範囲の平均粒径(これは、レーザー散乱技術を使用して、測定した)を有する。
【0094】
本発明の別の非限定的な実施形態では、この平均粒径(これは、レーザー散乱技術を使用して、測定した)は、少なくとも0.1マイクロメートルであり、非限定的な1実施形態では、0.1マイクロメートル〜10マイクロメートルの範囲であり、そして別の非限定的な実施形態では、0.1マイクロメートル〜5マイクロメートルの範囲である。別の非限定的な実施形態では、粒子の平均粒径(これは、レーザー散乱技術を使用して、測定した)は、少なくとも0.5マイクロメートルであり、そして0.5マイクロメートル〜2マイクロメートルの範囲である。本発明の別の非限定的な実施形態では、これらの粒子は、このサイジング組成物が塗布される繊維の平均直径より一般に小さい平均粒径を有する。上述の平均粒径を有する粒子を含有する形成サイズ組成物の残渣の層を有する繊維ストランドから作製された捻れヤーンは、有利なことに、隣接繊維間で、マトリックス材料で含浸したとき、その繊維ストランドの完全性を維持しかつ許容できるウェットスルーおよびウェットアウト特性を与えつつ、エアジェット織り込み性(すなわち、ルームを横切るエアジェット輸送)を可能にするのに十分な間隔を与えることができることが観察された。
【0095】
本発明の別の非限定的な実施形態では、この平均粒径(これは、レーザー散乱技術を使用して、測定した)は、少なくとも3マイクロメートルであり、そして3〜1000マイクロメートルの範囲である。別の非限定的な実施形態では、この平均粒径(これは、レーザー散乱技術を使用して、測定した)は、少なくとも5マイクロメートルであり、そして5〜1000マイクロメートルの範囲である。さらに別の非限定的な実施形態では、その粒径は、10〜25マイクロメートル(これは、レーザー散乱技術を使用して、測定した)の範囲である。別の非限定的な実施形態では、この平均粒径は、一般に、このガラス繊維の平均名目直径に対応している。上述の範囲内に入る粒子で被覆されたストランドで作製された布は、高分子マトリックス材料で含浸したとき、良好なウェットスルーおよびウェットアウト特性を示すことが観察された。
【0096】
本発明に従ったサイジング組成物には、その繊維ストランドおよびそこから引き続いて製造された製品に所望の性質および処理特性を与えるために、異なる平均粒径を有する1個またはそれ以上の粒子の混合物を取り込むことができることは、当業者に認識される。さらに具体的には、異なる粒径は、適切な量で組み合わされて、例えば、良好なエアジェット輸送特性を有するストランドを提供するだけでなく、例えば、良好なウェットアウトおよびウェットスルー特性を示す布が提供できる。
【0097】
この少なくとも1種の粒子分散体は、この塗装組成物を形成する成分に加えられるとき、全固形分ベースで、5〜70重量パーセントの範囲であり得る。非限定的な1実施形態では、この少なくとも1種の粒子分散体は、この塗装組成物を形成する成分に加えられるとき、全固形分ベースで、25〜60重量パーセント、例えば、40〜55重量パーセントの範囲であり得る。
【0098】
本発明の塗装組成物は、当業者に周知の任意の適切な方法により、調製できる。
【0099】
本発明に従った塗装組成物は、多くの様式で、例えば、そのフィラメントをローラーまたはベルト塗布器と接触させることにより、噴霧または他の手段により、塗布できる。被覆された繊維は、室温または高温で、乾燥できる。乾燥機は、これらの繊維から、過剰の水分(もし存在しているなら)を取り除き、任意の硬化可能サイジング成分を硬化する。これらのガラス繊維を乾燥する温度および時間は、この塗装組成物内の固形分の割合、塗装組成物の成分および繊維の種類のような変数に依存している。
【0100】
本明細書中で使用する「硬化」(これは、組成物、例えば、「硬化組成物」に関連して、使用される)との用語は、その組成物の任意の架橋可能成分が少なくとも部分的に架橋されることを意味する。本発明の特定の実施形態では、これらの架橋可能成分の架橋密度(すなわち、架橋度)は、完全な架橋の5%〜100%の範囲である。他の実施形態では、この架橋密度は、全架橋の35%〜85%の範囲である。他の実施形態では、この架橋密度は、全架橋の50%〜85%の範囲である。当業者は、架橋の存在および架橋度(すなわち、架橋密度)が種々の方法(例えば、動的機械的熱分析(DMTA)(これは、窒素下にて行われ、Polymer Laboratories MK III DMTA分析装置を使用する))により測定できることを理解する。この方法は、被覆または重合体の遊離塗膜のガラス転移温度および架橋密度を測定する。硬化された物質のこれらの物理的特性は、架橋ネットワークの構造に関連している。
【0101】
この方法によれば、分析する試料の長さ、幅および厚さがまず測定され、この試料は、the Polymer Laboratories MK III装置にしっかりと取り付けられ、その寸法測定値は、この装置に入力される。3℃/分の加熱速度、1Hzの周波数、120%にの歪み、および0.01Nの静止力(static force)で、熱走査が実行され、そして試料の測定は、2秒ごとに行われる。この方法に従って、この試料の変形様式、ガラス転移温度および架橋密度が測定できる。高い架橋密度値は、その被覆における架橋度が高いことを示す。
【0102】
特定の実施形態では、この繊維ストランドに存在している塗装組成物の量は、強熱減量(LOI)で測定したとき、30重量パーセント未満であり得る。非限定的な1実施形態では、この繊維ストランドに存在している塗装組成物の量は、10重量パーセント未満、例えば、0.1重量パーセントと5重量パーセントの間であり得る。この繊維ストランド上の塗装組成物は、水性塗装組成物または粉末化塗装組成物の残渣であり得る。本発明の1実施形態では、このLOIは、1重量パーセント未満である。本明細書中で使用する「強熱減量」との用語は、次式(I)で決定されるように、この繊維ストランドの表面に存在している乾燥した塗装組成物の重量パーセントを意味する:
LOI=100×[(Wdry−Wbare)/Wdry]
ここで、Wdryは、この繊維ストランドの重量+オーブンにて220°F(約104℃)で60分間にわたって乾燥した後の塗装組成物の重量であり、そしてWbareは、この繊維ストランドをオーブンにて1150°F(約621℃)で20分間にわたって加熱しデシケーターにて室温まで冷却した後の裸の繊維ストランドの重量である。
【0103】
特定の実施形態では、この繊維には、一次サイズ、すなわち、繊維形成後に塗布される初期サイズが塗布される。一次サイズの塗布後、これらの繊維は、1ストランドあたり、2〜15,000本の繊維(例えば、1ストランドあたり、100〜1600の繊維)を有するストランドに集められる。
【0104】
例えば、二次塗装組成物を含む浴に被覆ストランドを浸けることにより、被覆ストランド上に二次塗装組成物を噴霧することにより、または被覆したストランドを上述の塗布器と接触させることにより、この一次サイズには、これらのストランドの一部を塗装または含浸するのに有効な量で、二次塗装組成物が塗布できる。被覆ストランドは、ダイスに通されて、ストランドから過剰の塗装組成物が除去できるか、および/または二次塗装組成物を少なくとも部分的に乾燥または硬化するのに十分な時間にわたって、上述のように乾燥できる。このストランドは、当該技術分野で周知の様式で、二次塗装組成物の塗布後に、乾燥できる。
【0105】
適切な二次塗装組成物は、上述のような1種またはそれ以上の塗膜形成材料、潤滑剤および他の添加剤を含有できる。この二次被覆は、一次サイジング組成物とは異なり得、すなわち、それは、(1)このサイジング組成物の成分とは化学的に異なる少なくとも1種の成分を含有する;または(2)このサイジング組成物に含有された同じ成分の量とは異なる量で、少なくとも1種の成分を含有する。
【0106】
これらのガラス繊維ストランドは、上述のように、さらに、捩ってヤーンにすることにより、チョッピングにより、平行組み合わせ(combination in parallel)により、さらに処理でき、バンドルまたはロービングが形成され、クロスに織られるか、または細断または連続ストランドマットに形成される。これらのガラス繊維ストランドは、例えば、当業者に公知の任意の撚糸技術により(捻れフレームを使用することにより)、撚糸できる。一般に、このストランドがボビンに供給される速度よりも速い速度で、ボビン上にストランドを巻き付けることを可能にする速度で、回転しているボビンにストランドを給送することにより、ストランドには、捻れが与えられる。一般に、このストランドは、リング上に位置しているアイ(これは、このボビンの長さを横切り、このストランドに、代表的には、1インチあたり、約0.5〜約3回転の捻れを与える)に通される。
【0107】
撚糸ストランドおよび非撚糸ストランド(これは、時には、ゼロ撚糸ストランドと呼ばれる)は、織布または不織布、編み製品または編組製品、あるいは強化材を作製するのに使用できる。被覆繊維ストランドは、その布のワープおよび/またはフィル方向で、使用できる。本発明の特定の実施形態では、フィル方向のヤーンは、例えば、以下を含む成分から形成された無デンプン組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含有する:少なくとも1種の塗膜形成材料、少なくとも1種の高分子潤滑剤、少なくとも1種のロジン、少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、少なくとも1種の重合体粒子の分散体であって、ここで、該個々の粒子は、少なくとも0.1ミクロンの直径を有する、少なくとも1種の乳化剤、および少なくとも1種の追加潤滑剤であって、該追加潤滑剤は、該少なくとも1種の高分子潤滑剤とは異なる。また、ワープ方向のヤーンは、例えば、以下から形成された組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含有する:少なくとも1種のロジン、少なくとも1種のカチオン性潤滑剤、少なくとも1種の塗膜形成材料、少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、および少なくとも1種の重合体粒子の分散体。重合体粒子の分散体は、例えば、ポリエチレン粒子の分散体、ポリプロピレン粒子の分散体、エチレン/プロピレン共重合体粒子の分散体、スチレン/アクリル粒子の分散体、およびそれらの混合物を含有し得る。スチレン/アクリル粒子の分散体の非限定的な例には、ROPAQUE(これは、Philadelphia,PennsylvaniaのRohm and Haas Companyから市販されている)がある。ポリエチレン粒子の分散体の非限定的な例には、PROTOLUBE HD(これは、Pittsburgh,PAのBayer Corporationから市販されている)がある。
【0108】
適切な強化織布は、当業者に周知の任意の従来のルーム(例えば、シャトルルームまたはレピアールーム)を使用することにより形成できるが、好ましくは、エアジェットルームを使用して、形成される。エアジェットルームは、例えば、Model No.103として、日本のTsudakomaから、また、Model Nos.L−5000またはL−5100として、Zurich,SwitzerlandのSulzer Brothers Ltd.から市販されている。Sulzer Ruti L5000 and L5100 Product Bulletins of Sulzer Ruti Ltd.,Switzerland(この内容は、本明細書中で参考として援用されている)を参照のこと。本明細書中で使用する「エアジェット製織」とは、当業者に周知の様式で、1本またはそれ以上のエアジェットノズルから圧縮空気を噴射することによりワープヤーンにより形成されたワープシェッドにフィルヤーン(横糸)が挿入される形式のエアジェットを使用する織物の製織を意味する。このフィルヤーンは、圧縮空気により、代表的には、10〜60インチ(0.254〜1.524メートル)で、この織物の幅を横切って、推進される。
【0109】
異なるヤーンのエアジェット製織プロセスとの適合性および空気力学的特性は、以下の方法(これは、一般に、本明細書中では、「Air Jet Transport Drag Force」 Test Methodとして、と呼ばれている)により、決定できる。このAir Jet Transport Drag Force Testは、ヤーンがエアジェットの力によりエアジェットノズルに引き込まれるにつれて、このヤーンに加えられる引力または牽引力(「抵抗力」)を測定するのに使用される。この方法では、各ヤーン試料は、所望の空気圧(代表的には、約172キロパスカルと約379キロパスカルの間(約25〜約55ポンド/平方インチ)のゲージ)で、2ミリメートルの直径を有する内部エアジェットチャンバおよび20センチメートルの長さを有するノズル出口チューブを備えたSulzer Ruti 針状エアジェットノズルユニットModel No.044 455 001(これは、Spartanburg,North CarolinaのSulzer Rutiから市販されている)を通って、1分間あたり約274メートル(約300ヤード)の速度で、給送される。このヤーンがエアジェットノズルに入る前に、このヤーンと接触して、所定位置で、張力計が位置付けられる。この張力計は、このヤーンがエアジェットノズルに引き込まれるにつれて、このエアジェットによりヤーンに加えられる張力の測定値を与える。
【0110】
布の加水分解抵抗性は、ヤーンの試料に対する水分の吸収を評価するのに利用され得る。それは、積層体に対するハンダ浸漬試験を使って、測定できる。このような浸漬試験は、まず最初に、プリプレグを測定することにより、次いで、それらを1〜8層の範囲の積層体に形成することにより、実行できる。これらの積層体は、引き続いて、500°F〜560°Fの範囲で、10秒間〜3分間にわたって、溶融されたハンダに浸けられる。このハンダから摘出するとすぐに、これらの積層体は、積層体内に取り込まれた水分の脱出により引き起こされるブリスターまたは小斑点(measles)(これらはまた、層間剥離として、知られている)の形成について、検査される。小斑点は、顕微鏡で検査すると、その積層体上の非常に小さい割れとして現れ、代表的には、直径1〜2ミリメートルの範囲である。
【0111】
これらのストランドの破断を分析するには、マイクロワーピングが利用され得る。この分析は、当該技術分野で周知であり、そして通常のワーピング操作に変化を加えて刺激し、ファズ(fuzz)の蓄積を定量し、そしてファズボール(fuzz balls)の数を数える。
【0112】
これらの被覆繊維ストランドは、多種多様な用途(例えば、布、積層体、プリント回路基板、アーマチュアバンディングテープ、航空機用複合材料および航空宇宙用複合材料)で使用できる。これらの種々の用途では、本発明で有用なマトリックス材料には、熱硬化性材料、例えば、熱硬化性ポリエステル、ビニルエステル、エポキシド(これらは、分子内に少なくとも1個のエポキシまたはオキシラン基を含有する(例えば、多価アルコールまたはチオールのグリシジルエーテル))、フェノール類、アミノププラスト、熱硬化性ポリウレタン、前述のもののいずれかの誘導体、および前述のもののいずれかの混合物が挙げられる。プリント回路基板用の積層体を形成するのに適切なマトリックス材料には、FR−4 エポキシ樹脂が挙げられ、これらは、多官能性エポキシ樹脂(例えば、二官能性臭素化エポキシ樹脂)、ポリアミドおよび液状結晶性重合体であり、それらの組成は、当業者に周知である。もし、このような組成に関するそれ以上の情報が必要なら、Electronic Materials Handbook(商標),ASM International(1989)の534〜537ページ(この内容は、本明細書中で具体的に参考として援用されている)を参照のこと。
【0113】
適切な高分子熱可塑性マトリックス材料の非限定的な例には、ポリオレフィン、ポリアミド、熱可塑性ポリウレタンおよび熱可塑性ポリエステル、ビニル重合体、ならびに前述のもののいずれかの混合物が挙げられる。有用な熱可塑性材料のさらに別の例には、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアセタール、ポリ塩化ビニルおよびポリカーボネートが挙げられる。
【0114】
代表的なマトリックス材料調合物は、EPON 1120−A80エポキシ樹脂(これは、Houston,TexasのResolution Performance Productsから市販されている)、ジシアンジアミド、2−メチルイミダゾールおよびDOWANOL PMグリコールエーテル(これは、Midland,MichiganのThe Dow Chemical Co.から市販されている)からなる。
【0115】
本発明に従った複合材料中の高分子マトリックス材料および樹脂強化材に含有できる他の成分には、着色剤および顔料、潤滑剤または加工助剤、紫外線(UV)安定化剤、酸化防止剤、他の充填剤および増量剤が挙げられる。
【0116】
本発明は、今ここで、以下の非限定的な具体例により、説明する。
【実施例】
【0117】
表1で示した量(全固形分の重量パーセント)で、各成分を混合して、本発明で有用なサイジング組成物を形成した。
【0118】
【表1】
試料1〜6は、以下のようにして調製した:
1.撹拌条件下にて、POLYOX WSR 301を、160°Fの水にゆっくりと加え、次いで、引き続いた処理のために、メイン混合タンクに移した。
【0119】
2.STEPANTEX 653、ARLACEL 165、またはKESSOの添加:
A.Stepantex手順:別の容器にて、STEPANTEX 653を溶融し、そして160°Fまで加熱した。撹拌しながら、TMAZ−81、ICONOL OP−10および/またはMACOL OP−10を加えた。激しくかき混ぜつつ、反転が起こって乳濁液が形成されるまで、160°Fの水をゆっくりと加え、次いで、この乳濁液を、このメイン混合タンクに加えた。
【0120】
B.Arlacel/Kessco手順:別の容器にて、激しく撹拌しつつ、160°Fに加熱した水に、ARLACEL 165またはKESSO DGMSを加えた。混合物を20分間撹拌し、そしてメイン混合タンクに加えた。
【0121】
3.別の容器にて、撹拌条件下にて、160°Fの水に、DYNAKOLL SI 100をゆっくりと加えた。次いで、その溶液を、引き続いた処理のために、このメイン混合タンクに移した。
【0122】
4.別の容器にて、撹拌条件下にて、ALUBRASPIN 227を160°Fの水に加えた。その溶液に酢酸を加えて、この溶液のpHを
【0123】
【化1】
に調節した。次いで、この溶液を、引き続いた処理のために、このメイン混合タンクに移した。
【0124】
5.別の容器に、25部の室温水を加えた。次いで、撹拌しつつ、この容器に、5部の酢酸を加えた。激しく撹拌しつつ、この酢酸/水溶液に、100部のZ−6032をゆっくりと加えた。撹拌を1時間継続した。
【0125】
6.次いで、撹拌しつつ、別の容器に、400部の室温水を加えた。激しく撹拌しつつ、この水に、前工程から得たZ−6032プレミックスをゆっくりと加えた。ついで、このメイン混合タンクに、希釈したZ−6032プレミックスを加えた。
【0126】
7.このメイン混合タンクに酢酸を加えて、その最終混合物のpHを
【0127】
【化2】
に調節した。
【0128】
8.次いで、必要に応じて、水を加えて、必要な容量に希釈した。
【0129】
(試験1)
試料2のヤーンを製織挙動について評価した。試料2から構成された2ボビンのヤーンのTsudakoma #4ルームにおける製織を、このボビンによって、追跡した。このボビンの外部、中間部および内部について、230°の到着角度を得るのに必要なメインエアジェット圧力を記録した。このボビン上の同じ位置について、強熱減量(形成サイズ組成物の固形分の重量パーセントを、ガラスおよび乾燥形成サイズ組成物の全重量で割った値)およびヤード長もまた測定した。このルームは、二重給送で運転した。従来のフィリングヤーン結合剤ならば、高い欠陥値および多くのルーム工程なしでは、0.5ポンドを超えて製織されない。さらに、このボビンの移動部分(高いLOI)は、質の悪い製織と相関していた。
【0130】
【表2】
(試験2)
Shirley破断フィラメント測定を行い、試験ヤーンの破断フィラメントレベルを決定した。試験したフィラメントの長さは、120メートルであり、そして試験速度は、200メートル/分間であった。低い中間破断フィラメントレベルは、低いヤーンフィズおよびハロを示し、これは、製織効率が高いことにつながり得る。
【0131】
【表3】
(試験3)
試料4、5および6のヤーンを、各試料ヤーンを一対の通常の電子張力計を通って張力計の間に整列された固定ステンレス鋼シリンダーの周りに1分あたり200ヤードの速度で引っ張ることにより、摩擦力について評価した。これらの張力計の間の張力の差(グラム)は、以下の表4で示すように、その金属表面に対する摩擦力の尺度であり、そしてこのヤーンが製織操作中に受け得る摩擦力と類似していると解釈される。
【0132】
【表4】
上記実施形態には、その広範な本発明の概念から逸脱することなく、変更を行うことができることは、当業者が認めるところである。従って、本発明は、開示された特定の実施形態には限定されず、添付の特許請求の範囲で規定されるように、本発明の精神および範囲内にある改良を含むと解釈されることが分かる。
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
以下を含む成分から形成された無デンプン組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む繊維ストランド:
a)少なくとも1種の塗膜形成材料、
b)少なくとも1種の高分子潤滑剤、
c)少なくとも1種のロジン、
d)少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、
e)少なくとも1種の重合体粒子分散体であって、ここで、該個々の粒子は、少なくとも0.1ミクロンの直径を有する、
f)少なくとも1種の乳化剤、および
g)少なくとも1種の追加潤滑剤であって、該追加潤滑剤は、該少なくとも1種の高分子潤滑剤とは異なる、
繊維ストランド。
(項目2)
上記組成物が、水性塗装組成物の残渣である、項目1に記載の繊維ストランド。
(項目3)
上記少なくとも1種のロジンが、上記組成物中にて、全固形分ベースで、0重量パーセントより多く25重量パーセントまでの範囲の量で存在している、項目1に記載の繊維ストランド。
(項目4)
上記少なくとも1種のロジンが、上記組成物中にて、全固形分ベースで、3〜15重量パーセントの範囲の量で存在している、項目3に記載の繊維ストランド。
(項目5)
上記少なくとも1種のロジンが、上記組成物中にて、全固形分ベースで、6〜12重量パーセントの範囲の量で存在している、項目4に記載の繊維ストランド。
(項目6)
上記少なくとも1種のロジンが、天然ロジン、化学変性ロジン、およびそれらの組み合わせから選択される、項目3に記載の繊維ストランド。
(項目7)
上記少なくとも1種のロジンが、少なくとも1個のグリシジルエーテル基および少なくとも1個のポリエチレングリコール基を含む、項目6に記載の繊維ストランド。
(項目8)
上記少なくとも1種の高分子潤滑剤が、上記組成物中にて、全固形分ベースで、0重量パーセントより多く8重量パーセントまでの範囲の量で存在している、項目1に記載の繊維ストランド。
(項目9)
上記少なくとも1種の高分子潤滑剤が、上記組成物中にて、全固形分ベースで、0.5〜8重量パーセントの範囲の量で存在している、項目8に記載の繊維ストランド。
(項目10)
上記少なくとも1種の高分子潤滑剤が、上記組成物中にて、全固形分ベースで、1〜6重量パーセントの範囲の量で存在している、項目9に記載の繊維ストランド。
(項目11)
上記少なくとも1種の高分子潤滑剤が、上記組成物中にて、全固形分ベースで、1〜3重量パーセントの範囲の量で存在している、項目10に記載の繊維ストランド。
(項目12)
上記少なくとも1種の高分子潤滑剤が、ポリアミン重合体から選択される、項目8に記載の繊維ストランド。
(項目13)
上記少なくとも1種の高分子潤滑剤が、シリル化ポリアミン重合体を含む、項目9に記載の繊維ストランド。
(項目14)
上記少なくとも1種の塗膜形成材料が、上記組成物中にて、全固形分ベースで、0重量パーセントより多く5重量パーセントまでの範囲の量で存在している、項目1に記載の繊維ストランド。
(項目15)
上記少なくとも1種の塗膜形成材料が、上記組成物中にて、全固形分ベースで、0.2〜3重量パーセントの範囲の量で存在している、項目14に記載の繊維ストランド。
(項目16)
上記少なくとも1種の塗膜形成材料が、上記組成物中にて、全固形分ベースで、0.5〜2重量パーセントの範囲の量で存在している、項目15に記載の繊維ストランド。
(項目17)
上記少なくとも1種の塗膜形成材料が、ポリアルキレンポリオールおよびポリオキシアルキレンポリオールから選択される、項目14に記載の繊維ストランド。
(項目18)
上記少なくとも1種の塗膜形成材料が、少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む、項目17に記載の繊維ストランド。
(項目19)
上記少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤が、上記組成物中にて、全固形分ベースで、0重量パーセントより多く20重量パーセントまでの範囲の量で存在している、項目1に記載の繊維ストランド。
(項目20)
上記少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤が、上記組成物中にて、全固形分ベースで、3〜15重量パーセントの範囲の量で存在している、項目19に記載の繊維ストランド。
(項目21)
上記少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤が、上記組成物中にて、全固形分ベースで、6〜12重量パーセントの範囲の量で存在している、項目20に記載の繊維ストランド。
(項目22)
上記少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤が、トリアルコキシシランから選択される、項目19に記載の繊維ストランド。
(項目23)
上記少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤が、アミノプロピルトリアルコキシシランから選択される、項目22に記載の繊維ストランド。
(項目24)
上記少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤が、N−β(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびその塩を含む、項目23に記載の繊維ストランド。
(項目25)
上記少なくとも1種の重合体粒子分散体が、上記塗装組成物を形成する成分に加えられるとき、全固形分ベースで、5〜70重量パーセントの範囲の量で存在している、項目1に記載の繊維ストランド。
(項目26)
上記少なくとも1種の重合体粒子分散体が、上記塗装組成物を形成する成分に加えられるとき、全固形分ベースで、25〜60重量パーセントの範囲の量で存在している、項目25に記載の繊維ストランド。
(項目27)
上記少なくとも1種の重合体粒子分散体が、上記塗装組成物を形成する成分に加えられるとき、全固形分ベースで、40〜55重量パーセントの範囲の量で存在している、項目26に記載の繊維ストランド。
(項目28)
上記少なくとも1種の重合体粒子分散体が、ポリエチレン粒子の分散体、ポリプロピレン粒子の分散体、エチレン/プロピレン共重合体粒子分散体、スチレン/アクリル粒子の分散体、およびそれらの組み合わせから選択される、項目25に記載の繊維ストランド。
(項目29)
上記少なくとも1種の重合体粒子分散体が、ポリエチレン粒子、スチレン/アクリル粒子、およびそれらの組み合わせから選択される重合体粒子分散体を含む、項目28に記載の繊維ストランド。
(項目30)
上記少なくとも1種の乳化剤が、上記組成物中にて、全固形分ベースで、1.5〜7重量パーセントの範囲の量で存在している、項目1に記載の繊維ストランド。
(項目31)
上記少なくとも1種の乳化剤が、上記組成物中にて、全固形分ベースで、2〜6重量パーセントの範囲の量で存在している、項目30に記載の繊維ストランド。
(項目32)
上記少なくとも1種の乳化剤が、ポリオキシアルキレンブロック共重合体、エトキシル化アルキルフェノール、ポリオキシエチレンオクチルフェニルグリコールエーテル、ソルビトールのエチレンオキシド誘導体、ポリオキシエチル化植物油、エトキシル化アルキルフェノール、ノニルフェノール界面活性剤およびそれらの組み合わせを含む、項目30に記載の繊維ストランド。
(項目33)
上記少なくとも1種の乳化剤が、ソルビトールのエチレンオキシド誘導体、エトキシル化アルキルフェノール、ノニルフェノール界面活性剤およびそれらの組み合わせを含む、項目32に記載の繊維ストランド。
(項目34)
上記少なくとも1種の追加潤滑剤が、カチオン性潤滑剤ならびに極性を有するワックスおよびオイルから選択される、項目1に記載の繊維ストランド。
(項目35)
上記少なくとも1種の追加潤滑剤が、極性を有するワックスおよびオイルから選択される、項目34に記載の繊維ストランド。
(項目36)
上記少なくとも1本の繊維が、少なくとも1本の無機繊維を含み、該無機繊維が、E−ガラス、A−ガラス、C−ガラス、D−ガラス、G−ガラス、R−ガラス、S−ガラス、E−ガラス誘導体およびそれらの組み合わせから選択されるガラス材料を含む、項目1に記載の繊維ストランド。
(項目37)
上記少なくとも1本の繊維が、少なくとも1本の非ヒートクリーン繊維を含む、項目1に記載の繊維ストランド。
(項目38)
以下を含む成分から形成された無デンプン組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む繊維ストランド:
a)少なくとも1種の塗膜形成材料、
b)少なくとも1種のシリル化ポリアミン、
c)少なくとも1種のロジン、
d)少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、
e)少なくとも1種の重合体粒子分散体であって、ここで、該個々の粒子は、少なくとも0.1ミクロンの直径を有する、
f)少なくとも1種の乳化剤、および
g)少なくとも1種の追加潤滑剤であって、該追加潤滑剤は、該少なくとも1種のシリル化ポリアミンとは異なる、
繊維ストランド。
(項目39)
以下を含む成分から形成された組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む繊維ストランド:
a)少なくとも1種の塗膜形成材料、
b)少なくとも1種の潤滑剤、
c)少なくとも1種のロジン、
d)少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、
e)少なくとも1種の重合体粒子分散体であって、ここで、該個々の粒子は、少なくとも0.1ミクロンの直径を有する、
f)少なくとも1種のフェノール性乳化剤、および
g)少なくとも1種の追加乳化剤であって、該追加乳化剤は、該少なくとも1種のフェノール性乳化剤とは異なる、
繊維ストランド。
(項目40)
以下を含む成分から形成された組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む繊維ストランド:
a)少なくとも1種の塗膜形成材料、
b)少なくとも1種の潤滑剤、
c)少なくとも1種のロジン、
d)少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、
f)少なくとも1種のフェノール性乳化剤、および
g)少なくとも1種の追加乳化剤であって、該追加乳化剤は、該少なくとも1種のフェノール性乳化剤とは異なる、
繊維ストランド。
(項目41)
以下を含む成分から形成された組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む繊維ストランド:
a)少なくとも1種の塗膜形成材料、
b)少なくとも1種の潤滑剤、
c)少なくとも1種のロジン、
d)少なくとも1種のフェノール性乳化剤、および
e)少なくとも1種の追加乳化剤であって、該追加乳化剤は、該少なくとも1種のフェノール性乳化剤とは異なる、
繊維ストランド。
(項目42)
以下を含む成分から形成された組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維を含む繊維ストランド:
a)少なくとも1種の塗膜形成材料、
b)少なくとも1種の潤滑剤、
c)少なくとも1種のロジン、
d)少なくとも1種の重合体粒子分散体であって、ここで、該個々の粒子は、少なくとも0.1ミクロンの直径を有する、
e)少なくとも1種のフェノール性乳化剤、および
f)少なくとも1種の追加乳化剤であって、該追加乳化剤は、該少なくとも1種のフェノール性乳化剤とは異なる、
繊維ストランド。
(項目43)
項目1に記載の少なくとも1本の繊維ストランドを含む、ヤーン。
(項目44)
項目1に記載の少なくとも1本の繊維ストランドを含む、布。
(項目45)
項目1に記載の少なくとも1本の繊維ストランドを含む、積層体。
(項目46)
項目1に記載の少なくとも1本の繊維ストランドを含む、プリプレグ。
(項目47)
項目1に記載の少なくとも1本の繊維ストランドを含む、電子回路基板。
(項目48)
項目1に記載の少なくとも1本の繊維ストランドを含む、アーマチュアバンディングテープ。
(項目49)
項目1に記載の少なくとも1本の繊維ストランドを含む、航空宇宙用複合材料。
(項目50)
項目1に記載の少なくとも1本の繊維ストランドを含む、航空機用複合材料。
(項目51)
項目1に記載の少なくとも1本の繊維ストランドを含む少なくとも1本のフィルヤーンと、
少なくとも1本のワープヤーンとを含む、
布。
(項目52)
項目1に記載の少なくとも1本の繊維ストランドを含む少なくとも1本のフィルヤーンと、
以下を含む成分から形成された組成物で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1本の繊維ストランドを含む少なくとも1本のワープヤーンとを含む、
布:
a)少なくとも1種のロジン、
b)少なくとも1種のカチオン性潤滑剤、
c)少なくとも1種の塗膜形成材料、
d)少なくとも1種のオルガノシランカップリング剤、および
e)少なくとも1種の重合体粒子分散体。
(項目53)
項目1に記載の少なくとも1本の繊維ストランドを含む少なくとも1本のフィルヤーンと、
少なくとも1本のワープヤーンとを含む、
積層体。
(項目54)
項目1に記載の少なくとも1本の繊維ストランドを含む少なくとも1本のフィルヤーンと、
少なくとも1本のワープヤーンとを含む、
プリプレグ。
(項目55)
項目1に記載の少なくとも1本の繊維ストランドを含む少なくとも1本のフィルヤーンと、
少なくとも1本のワープヤーンとを含む、
電子回路基板。
(項目56)
項目1に記載の少なくとも1本の繊維ストランドを含む少なくとも1本のフィルヤーンと、
少なくとも1本のワープヤーンとを含む、
アーマチュアバンディングテープ。
(項目57)
項目1に記載の少なくとも1本の繊維ストランドを含む少なくとも1本のフィルヤーンと、
少なくとも1本のワープヤーンとを含む、
航空宇宙用複合材料。
(項目58)
項目1に記載の少なくとも1本の繊維ストランドを含む少なくとも1本のフィルヤーンと、
少なくとも1本のワープヤーンとを含む、
航空機用複合材料。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載される発明。
【請求項1】
本明細書中に記載される発明。
【公開番号】特開2011−140745(P2011−140745A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−94511(P2011−94511)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【分割の表示】特願2007−535689(P2007−535689)の分割
【原出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド (267)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94511(P2011−94511)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【分割の表示】特願2007−535689(P2007−535689)の分割
【原出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド (267)
【Fターム(参考)】
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