説明

樹脂組成物

【課題】
優れた透明性を持つ硬化塗膜を得ることができる樹脂組成物を提供する。
【解決手段】
放射線硬化型モノマー及び/又は放射線硬化型オリゴマー(A)、5〜45の比誘電率を持つ有機溶剤(B)、導電性無機微粒子(C)、並びにN−置換ピロリドン(D)を含んでなることを特徴とする樹脂組成物を用いる。(B)はメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンチルアルコール、エチレングリコール、グリセリン及び/又はプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。(C)が、20〜100nmの一次粒径を持ち、アルミニウムドープ酸化亜鉛、アンチモン酸亜鉛、アンチモンドープ酸化錫、インジウムドープ酸化錫、リンドープ酸化錫及び/又は酸化アンチモンが好ましい。(D)はN−アルキル−2−ピロリドン、N−アルケニル−2−ピロリドン及び/又はN−ヒドロキシアルキル−2−ピロリドンが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック基材に帯電防止性を付与させるための材料として、導電性無機微粒子及びアクリルアミドを含有する樹脂組成物が知られている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−298716号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の樹脂組成物では、十分な透明性を持つ硬化塗膜が得られないという問題がある。
そこで、本発明は、優れた透明性を持つ硬化塗膜を得ることができる樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の化合物を用いることにより、前記課題が解決できることを見いだし、本発明に到達した。すなわち、本発明の樹脂組成物の特徴は、放射線硬化型モノマー及び/又は放射線硬化型オリゴマー(A)、5〜45の比誘電率(25℃)を持つ有機溶剤(B)、導電性無機微粒子(C)、並びにN−置換ピロリドン(D)を含んでなる点を要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の樹脂組成物は、高い透明性を持つため、プラスチック基材に適用してもプラスチック基材の透明性を阻害しない。また、導電性にも優れているため、プラスチック基材に高い帯電防止性を付与できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
放射線硬化型モノマー及び/又は放射線硬化型オリゴマー(A)としては、放射線{電子線、紫外線、可視光線及び赤外線等}の照射を受けた際に、硬化反応を開始するモノマー及び/又はオリゴマーであれば制限がなく、エチレン性不飽和二重結合を有するもの等が含まれる。
【0008】
放射線硬化型モノマーとしては、単官能(メタ)アクリレート及び多官能(メタ)アクリレート(たとえば、特開2005−154609号公報)等を用いることができる。
これらの(メタ)アクリレートのうち、塗膜硬度の観点等から、(メタ)アクリロイル基を分子中に3〜15個含有する(メタ)アクリレート{特開2005−154609号公報に記載されたヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリレート(b12)及びヒドロキシル基を含有しない(メタ)アクリレート(b22)等}が好ましく、塗膜の透明性等の観点から、さらに好ましくは脂肪族(メタ)アクリレート(脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステル)、特に好ましくはペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートである。
【0009】
放射線硬化型オリゴマーとしては、(メタ)アクリロイル基含有オリゴマー(たとえば、特開2005−154609号公報)等を用いることができる。
これらのうち、塗膜硬度の観点等から、(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー{特開2005−154609号公報に記載されたオリゴマー等;イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(b1)とを反応させて製造され得るもの(c2)等}が好ましく、さらに好ましくはイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとしてイソシアネート基を3〜16個有するウレタンプレポリマーとヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート{特開2005−154609号公報に記載されたヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(b1)等}との反応生成物、特に好ましくはヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート{特開2005−154609号公報に記載されたヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(b1)等}が脂肪族(メタ)アクリレートである反応生成物である。
放射線硬化型オリゴマーの数平均分子量は、1500以上が好ましく、さらに好ましくは1800〜20000、特に好ましくは4800〜10000である。この範囲であると、耐擦傷性、フィルム加工時の反り及び耐クラック性が良好となり好ましい。なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、分子量既知のポリスチレンを標準物質として測定される。
放射線硬化型オリゴマーの官能基数としては、耐擦傷性等の観点から、6〜25が好ましく、さらに好ましくは9〜20、特に好ましくは10〜15である。
【0010】
放射線硬化型オリゴマーは公知の方法{たとえば特開2003−342525号公報及び特開2006−028499号公報等}等により調製できるが、市場から入手できるものをそのまま用いてもよい。
市場から入手できるオリゴマーとしては、アートレジンUN−904、アートレジンUN−903、アートレジンHMP−2、アートレジンHMP−5及びアートレジンH−61{以上、根上工業株式会社製};NKオリゴ U−15HA及びNKオリゴ U−9HA{以上、新中村化学株式会社製};並びにUA−306I及びUA−306H{以上、共栄社化学株式会社製}等が好ましく例示できる。
【0011】
なお、これらの放射線硬化型モノマー及び/又は放射線硬化型オリゴマー(A)は単独で用いてもよいし、また2種類以上を併用してもよい。塗膜の耐クラック性の観点から、放射線硬化型モノマー及び放射線硬化型オリゴマーを組みあわせて用いることが好ましい。
【0012】
有機溶剤(B)としては{以下の括弧内の数字は後述する25℃における比誘電率である。}、アルコール[炭素数1〜4の1価アルコール{メタノール(33.1)、エタノール(23.8)、n−プロパノール(22.2)、i−プロパノール(18.3)、1−ブタノール(17.1)、2−ブタノール(15.8)、t−ブタノール(10.9)等}];炭素数5〜8の1価アルコール{1−ペンタノール(13.9)、i−ペンチルアルコール(14.7)、tert−ペンチルアルコール(5.8)、ベンジルアルコール(13.1)等};及び2〜3価多価アルコール{エチレングリコール(37.7)、グリセリン(42.5)等}]、アルキレングリコールモノアルキルエーテル{エチレングリコールモノメチルエーテル(16.9)、エチレングリコールモノエチルエーテル(29.6)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(10.5)等}、ケトン{アセトン(20.7)及びメチルエチルケトン(18.5)等}、アミド{N,N−ジメチルホルムアミド(36.7)及びN,N−ジメチルアセトアミド(37.8)等}等が含まれる。
これらのうち、塗膜の透明性等の観点から、アルコール、アルキレングリコールモノアルキルエーテル及びアミドが好ましく、さらに好ましくはアルコール及びアミド、特に好ましくはメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、i−ペンチルアルコール、t−ペンチルアルコール、エチレングリコール、グリセリン及びN,N−ジメチルアセトアミド、次に好ましくはメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール及びエチレングリコール、最も好ましくはメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール及びエチレングリコールである。
有機溶剤(B)の比誘電率(25℃)は、5〜45であり、好ましくは10〜38、さらに好ましくは17〜37、特に好ましくは18〜34である。この範囲であると、導電性無機微粒子の凝集が発生しにくく、塗膜の透明性がさらに良好となる。
なお、比誘電率 は、JIS C2101:1999「23.誘電正接試験及び比誘電試験」に準拠して、誘電率(ε)を測定し{試料充填前の空の静電容量C(pF)と、試料充填時の等価並列静電容量C(pF)を測定し、等価並列静電容量(C)を空の静電容量(C)で除して誘電率εを算出する。}、この誘電率(ε)と空気の比誘電率 1.000585との積で与えられる。
なお、これらの有機溶剤は単独で用いてもよいし、また2種類以上を併用してもよい。
【0013】
導電性無機微粒子(C)としては、導電性金属酸化物又は導電性金属からなる微粒子等が使用できる。
導電性金属酸化物としては、アルミニウムドープ酸化亜鉛、アンチモン酸亜鉛、アンチモンドープ酸化錫、インジウムドープ酸化錫、リンドープ酸化錫及び酸化アンチモン等が挙げられる。
導電性金属としては、金、銀、銅及び白金等が挙げられる。
これらのうち、帯電防止性等の観点から、導電性金属酸化物が好ましく、さらに好ましくはアルミニウムドープ酸化亜鉛、アンチモン酸亜鉛、アンチモンドープ酸化錫、インジウムドープ酸化錫、リンドープ酸化錫及び酸化アンチモン、塗膜の透明性等の観点から特に好ましくはアンチモン酸亜鉛、アンチモンドープ酸化錫、リンドープ酸化錫及びインジウムドープ酸化錫である。
【0014】
導電性無機微粒子(C)の一次粒径(nm)は、20〜100が好ましく、さらに好ましくは20〜40である。
なお、一次粒径はJIS H7803:2005「金属触媒の粒子径及び結晶子径測定方法通則」に準拠し、透過型電子顕微鏡の観察による平均粒子径(測定した一次粒子の長径及び短径の加算平均値)として算出される。
導電性無機微粒子は、水及び有機溶剤に分散したものを用いることもできる。有機溶剤としては有機溶剤(B)と同様であり、好ましいものも同じである。なお、これらの有機溶剤は単独で用いてもよいし、また2種類以上を併用してもよい。
【0015】
導電性無機微粒子(C)は公知の方法(特開2005−330177号公報等に記載の方法)等で製造できるが、市場に流通しているものをそのまま使用できる。
市場から入手できるものとしては、ハクスイテック株式会社製;Pazet CK(アルミニウムドープ酸化亜鉛、粉末、一次粒径20〜40nm)、日産化学工業株式会社製;セルナックスCX−Z610M(アンチモン酸亜鉛、メタノール分散体、一次粒径20〜30nm)、株式会社ジェムコ製;T−1(アンチモンドープ酸化錫、粉末、一次粒径20〜30nm)、住友金属鉱山株式会社製;SUFP(インジウムドープ酸化錫、粉末、一次粒径20〜40nm)及び触媒化成工業株式会社製;TL−30S(リンドープ酸化錫、粉末、一次粒径20〜40)、TL−45(酸化アンチモン、粉末、一次粒径20〜40nm)等が好ましく例示できる。なお、(C)は単独で用いてもよいし、また2種類以上を併用してもよい。
【0016】
N−置換ピロリドン(D)としては、ピロリドン骨格の窒素原子の水素原子を、炭素数1〜12のアルキル、炭素数2〜20のアルケニル又は炭素数2〜12のヒドロキシアルキルで置換したピロリドン(2−ピロリドン又は3−ピロリドン)が含まれる。
N−置換ピロリドンとしては、N−アルキル−2−ピロリドン(アルキル基の炭素数;1〜12)、N−アルケニル−2−ピロリドン(アルケニル基の炭素数;2〜20)及びN−ヒドロキシアルキル−2−ピロリドン(ヒドロキシアルキル基の炭素数;2〜12)等が含まれる。
N−アルキル−2−ピロリドンとしては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン及びN−ドデシル−2−ピロリドン等が挙げられる。
N−アルケニル−2−ピロリドンとしては、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ヘキセニル−2−ピロリドン及びN−エイコセニル−2−ピロリドン等が挙げられる。
N−ヒドロキシアルキル−2−ピロリドンとしては、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、N−(ヒドロキシヘキシル)−2−ピロリドン及びN−(ヒドロキシドデシル)−2−ピロリドン等が挙げられる。
これらのうち、塗膜の透明性等の観点から、N−アルキル−2−ピロリドン及びN−ヒドロキシアルキル−2−ピロリドンが好ましく、さらに好ましくはN−オクチル−2−ピロリドン、N−ドデシル−2−ピロリドン及びN−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドンである。
【0017】
N−置換ピロリドン(D)は、公知の方法{たとえば特開平6−234738号公報、特開平6−256306号公報及び特公昭47−21420号公報等}等により調製できるが、市場に流通しているものをそのまま使用できる。
市場から入手できる(D)としては、M−PYROL(N−メチル−2−ピロリドン)、NEP(N−エチル−2−ピロリドン)、CHP(N−シクロヘキシル−2−ピロリドン)、サルファドン LP−100(N−オクチル−2−ピロリドン)、サルファドン LP−300(N−ドデシル−2−ピロリドン)、V−PYROL(N−ビニル−2−ピロリドン)及びHEP{N−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン}{以上、アイエスピー・ジャパン株式会社製}等が好ましく例示できる。
【0018】
放射線硬化型モノマー及び/又は放射線硬化型オリゴマー(A)の含有量(重量%)としては、塗膜の透明性と帯電防止性とのバランス等の観点から、導電性無機微粒子(C)の重量に基づいて、10〜300が好ましく、さらに好ましくは15〜200、特に好ましくは20〜150、最も好ましくは25〜130である。
有機溶剤(B)の含有量(重量%)としては、本発明の樹脂組成物の粘度等によって適宜決定できるが、導電性無機微粒子(C)の重量に基づいて、315〜1150が好ましく、さらに好ましくは380〜950、特に好ましくは445〜775、最も好ましくは470〜700である。
N−置換ピロリドン(D)の含有量(重量%)としては、塗膜の透明性及び塗膜のレベリング性等の観点から、導電性無機微粒子(C)の重量に基づいて、0.05〜20が好ましく、さらに好ましくは0.1〜14、特に好ましくは0.2〜10、最も好ましくは0.5〜5である。なお、(D)は単独で用いてもよいし、また2種類以上を併用してもよい。
【0019】
本発明の樹脂組成物には、さらに紫外線重合開始剤を含有させることが好ましい。紫外線重合開始剤としては、特開2005−154609号公報に記載された紫外線重合開始剤等を用いることができる。これらの紫外線重合開始剤のうち、ラジカル重合開始剤が好ましく、さらに好ましくはベンゾイル基含有ラジカル重合開始剤、モルフォニル基含有ラジカル重合開始剤及びリン原子含有ラジカル重合開始剤、特に好ましくはモルフォニル基含有ラジカル重合開始剤及びリン原子含有ラジカル重合開始剤である。
【0020】
紫外線重合開始剤を含有する場合、この含有量(重量%)は、放射線硬化型モノマー及び/又は放射線硬化型オリゴマー(A)の合計重量に基づいて、1〜15が好ましく、さらに好ましくは2〜10、特に好ましくは3〜8である。この範囲であると、樹脂組成物の硬化性がさらに良好となる。
【0021】
本発明の樹脂組成物には、紫外線重合開始剤と共に光増感剤を併用してもよい。光増感剤としては、特開2005−154609号公報に記載された光増感剤等を用いることができる。これらの光増感剤のうち、トリアルキリアミン及びジアルキルアミノフェニル光増感剤が好ましく、さらに好ましくはジアルキルアミノフェニル増感剤、特に好ましくは4,4 −ジアルキルアミノベンゾフェノンである。
光増感剤を含有する場合、この含有量(重量%)は、紫外線重合開始剤の重量に基づいて、5〜100が好ましく、さらに好ましくは10〜80、特に好ましくは20〜50である。この範囲であると、樹脂組成物の硬化性がさらに良好となる。
【0022】
本発明の樹脂組成物には、その他の添加剤{消泡剤、保存安定化剤、着色剤、抗菌剤、増粘剤及び/又は粘弾性調整剤等;たとえば、特開2005−154609号公報}等をさらに含有させることができる。
【0023】
本発明の樹脂組成物は、放射線硬化型モノマー及び/又は放射線硬化型オリゴマー(A)、有機溶剤(B)、導電性無機微粒子(C)及びN−置換ピロリドン(D)並びに必要に応じて紫外線重合開始剤、光増感剤及び/又はその他の添加剤を均一攪拌混合することにより得ることができる。
均一攪拌混合する方法(順番)としては、導電性無機微粒子(C)と有機溶剤(B)とを均一混合した後、N−置換ピロリドン(D)を加えて均一混合し、その後に放射線硬化型モノマー及び/又は放射線硬化型オリゴマー(A)、並びに紫外線重合開始剤、光増感剤及び/又はその他の添加剤を加えて均一攪拌混合することが好ましい。
均一撹拌混合の温度(℃)としては均一撹拌混合できれば特に制限はないが、25〜60が好ましく、さらに好ましくは30〜50、特に好ましくは35〜45である。
均一撹拌混合の時間(時間)としては均一撹拌混合できれば特に制限はないが、0.1〜4が好ましく、さらに好ましくは0.5〜3、特に好ましくは1〜2である。
【0024】
本発明の樹脂組成物は、木材、紙、石、ガラス、コンクリート、金属、プラスチック又は金属蒸着プラスチック等用のコーティング剤として使用することができる。
これらのうち、プラスチック及び金属蒸着プラスチック等のコーティング剤又は接着剤等として好適であり、特にプラスチック及び金属蒸着プラスチック等のコーティング剤として好適であり、プラスチックのコーティング剤として最適である。
プラスチックとしては、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、スチレン−メタクリル樹脂、トリアセチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリサルホン、シクロオレフィンポリマー及びポリアクリロニトリル等が挙げられる。
【0025】
本発明の樹脂組成物をコーティング剤として適用する場合、樹脂組成物は、公知の塗工方法等によりコーティングでき、ディップ塗工、スプレー塗工、バーコーター塗工、ロールコーター塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工及びスピンコーター塗工等が適用できる。
本発明の樹脂組成物をコーテイングする場合、コーティング層の厚さは、2〜100μm程度が好ましい。なお、溶剤を用いた場合は、溶剤留去後にこの厚さになることが好ましい。
【実施例】
【0026】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されない。
なお、特記しない限り、部は重量部を意味する。
本発明の樹脂組成物(実施例1〜44)及び比較用の樹脂組成物(比較例1〜3)について、<表面硬度>、<塗膜密着性>、<曇価>、<全光線透過率>及び<帯電防止性>について評価し、評価結果を下表に示した。なお、評価用試料は次のように調製した。また、評価方法は以下の通りである。
<評価用試料の調製>
ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡(株)製、コスモシャインA4100、厚み100μm)を10cm(縦)×10cm(横)角の大きさにカットしてベースフィルムとした。
次いで、JIS K5101−1991「顔料試験方法」6.色、6.2B法、(1.2)展色器具に記載されたバーコーターと同等のバーコーターを用いて、サンプル(樹脂組成物)をベースフィルムに塗工し、70℃の乾燥機内で1分間放置した後、塗工面に紫外線(高圧水銀灯、80W、波長365nm、500mJ/cm)を塗工面に対して垂直に照射して、評価用試料を調製した。塗工厚はほぼ3μmであった。
【0027】
<表面硬度>
JIS K5600−5−4:2002「引っかき強度(鉛筆法)」に準じて鉛筆硬度の試験を行った。
<塗膜密着性>
JIS K5600−5−6:2002「付着性(クロスカット法)」に準じて塗膜の100目盛り中の剥離した数を測定した。
<曇価>
JIS K7136:2000「透明材料のヘーズの求め方」に準じて、日本電飾株式会社製ヘーズメーターNDH 2000を用いて曇価の測定を行った。なお、この場合の曇価はポリエチレンテレフタレートフィルムと塗膜をあわせた値である。
<全光線透過率>
JIS K7105:1981「プラスチックの光学特性試験方法」5.5光線透過率及び全光線透過率に準じて、日本電飾株式会社製ヘーズメーターNDH 2000を用いて全光線透過率の測定を行った。なお、この場合の全光線透過率はポリエチレンテレフタレートフィルムと塗膜をあわせた値である。
<帯電防止性>
JIS C2151−1990「電気用プラスチックフィルム試験方法」10.表面抵抗率に準じて、評価用試料を23±2℃、相対湿度50±5%に空調した部屋に24時間静置した後、東亜ディーケーケー株式会社製極超絶縁計SM−8220及び電極SME−8310を用いて、試験電圧100Vの条件で表面抵抗率を測定した。
【0028】
<実施例1>
アンチモン酸亜鉛(日産化学工業株式会社製;セルナックスCX−Z610M、60重量%メタノール分散体、一次粒径20〜30nm)18部、メタノール(住友化学工業株式会社製;メタノール、工業用グレード)17部及びi−プロパノール(協和発酵ケミカル株式会社製;イソプロパノール、工業用グレード)50部{導電性無機微粒子(C)の重量に基づく使用量;696重量%}を25℃にて均一混合し、引き続き、N−オクチル−2−ピロリドン(アイエスピー・ジャパン株式会社製;サルファドンLP−100)0.51部{導電性無機微粒子(C)の重量に基づく使用量;4.7重量%}を加えて均一混合(25℃)した後、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート12部、(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(根上工業株式会社製;アートレジンHMP−2)1.6部{(C)の重量に基づく使用量;126重量%}、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製;イルガキュア184)1部を加えて均一攪拌混合(40℃)して、本発明の樹脂組成物(1)を得た。
【0029】
<実施例2〜16>
「イソプロパノール50部」を「tert−ペンチルアルコール(ナカライテスク株式会社製;試薬特級グレード)50部」、「グリセリン(阪本薬品工業株式会社製;グリセリン、工業用グレード)50部」、「プロピレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社製;MFG、工業用グレード)50部」、「t−ブタノール(ナカライテスク株式会社製;t−ブタノール、試薬特級グレード)50部」、「エチレングリコール(日本触媒株式会社製;エチレングリコール、工業用グレード)50部」、「1−ブタノール(ナカライテスク株式会社製;1−ブタノール、試薬特級グレード)50部」、「N,N−ジメチルホルムアミド(ナカライテスク株式会社製;N,N−ジメチルホルムアミド、試薬特級グレード)50部」、「メタノール(株式会社クラレ製;メタノール、工業用グレード)50部」、「イソプロパノール10部」、「イソプロパノール98部」、
「イソプロパノール17部」、「イソプロパノール77部」、「イソプロパノール58部」、「イソプロパノール27部」、「イソプロパノール24部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の樹脂組成物(2)〜(16)を得た。
【0030】
【表1】

【0031】
<実施例17〜23>
「アンチモン酸亜鉛18部」を、「アンチモンドープ酸化錫(株式会社ジェムコ製;T−1、粉末、一次粒径20〜30nm)、インジウムドープ酸化錫(住友金属鉱山株式会社製;SUFP、粉末、一次粒径20〜40nm)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(ハクスイテック株式会社製;Pazet CK、粉末、一次粒径20〜40nm)、酸化アンチモン(触媒化成工業株式会社製;TL−45、粉末、一次粒径20〜40nm)、リンドープ酸化錫(触媒化成工業株式会社製;TL−30S、粉末、一次粒径20〜40nm)のいずれかを11部」又は「アンチモンドープ酸化錫(株式会社ジェムコ製;ES、17重量%イソブタノール分散体、一次粒径80〜100nm)63部」、「アンチモン酸亜鉛12部及びアンチモンドープ酸化錫(株式会社ジェムコ製;ES、17重量%イソブタノール分散体、一次粒径80〜100nm)10部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の樹脂組成物(16)〜(23)を得た。
【0032】
【表2】

【0033】
<実施例24〜29>
「N−オクチル−2−ピロリドン0.51部」を、「N−ドデシル−2−ピロリドン(アイエスピー・ジャパン株式会社製;サルファドンLP−300)、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン(アイエスピー・ジャパン株式会社製;HEP)、N−メチル−2−ピロリドン(アイエスピー・ジャパン株式会社製;M−PYROL)、N−エチル−2−ピロリドン(アイエスピー・ジャパン株式会社製;NEP)、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン(アイエスピー・ジャパン株式会社製;CHP)のいずれかを0.51部」又は「N−オクチル−2−ピロリドン0.26部及びN−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン)0.25部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の樹脂組成物(24)〜(29)を得た。
【0034】
【表3】

【0035】
<実施例30〜37>
「N−オクチル−2−ピロリドン0.51部」を、「N−オクチル−2−ピロリドン0.055部、0.53部、0.025部、1.05部、0.012部、1.5部、0.006部又は2.1部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の樹脂組成物(30)〜(37)を得た。
【0036】
【表4】

【0037】
<実施例38〜44>
「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート12部、(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー1.6部」を、「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート1.0部、(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー0.2部」、「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート28部、(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー3.8部」、「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート1.4部、(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー0.3部」、「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート19部、(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー2.5部」、「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート1.9部、(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー0.3部」、「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート14.2部、(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー1.9部」、「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2.4部、(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー0.4部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の樹脂組成物(38)〜(44)を得た。
【0038】
【表5】

【0039】
<比較例1>
インジウムドープ酸化錫(触媒化成工業株式会社製;ELCOM V−2504、固形分20重量%)405部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(三協化学株式会社製;PM)214部を25℃にて均一混合し、引き続き、変性シリコーン(東レダウコーニングシリコーン株式会社製;FZ−2207)0.7部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(三洋化成工業株式会社製;ネオマー DA−600)250部、アクリロイルモルフォリン(興人株式会社製;ACMO)13.4部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製;イルガキュア184)25部、酢酸エチル(三協化学株式会社製;酢酸エチル、工業用グレード)101部を加えて均一攪拌混合(40℃)して、比較用の樹脂組成物(45)を得た。
【0040】
<比較例2>
「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート250部」を「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート236部」、「アクリロイルモルフォリン13.4部」を「アクリロイルモルフォリン26.8部」に変更したこと以外、比較例1と同様にして、本発明の樹脂組成物(46)を得た。
【0041】
「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート250部」を「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート184部」、「アクリロイルモルフォリン13.4部」を「アクリロイルモルフォリン80.4部」に変更したこと以外、比較例1と同様にして、本発明の樹脂組成物(47)を得た。
【0042】
【表6】

【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の樹脂組成物は、帯電防止性コーティング剤として使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線硬化型モノマー及び/又は放射線硬化型オリゴマー(A)、5〜45の比誘電率(25℃)を持つ有機溶剤(B)、導電性無機微粒子(C)、並びにN−置換ピロリドン(D)を含んでなることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
5〜45の比誘電率(25℃)を持つ有機溶剤(B)がメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、i−ペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、エチレングリコール、グリセリン及びプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
導電性無機微粒子(C)が、20〜100nmの一次粒径を持ち、かつ、アルミニウムドープ酸化亜鉛、アンチモン酸亜鉛、アンチモンドープ酸化錫、インジウムドープ酸化錫、リンドープ酸化錫及び酸化アンチモンからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
N−置換ピロリドン(D)が、N−アルキル−2−ピロリドン、N−アルケニル−2−ピロリドン及びN−ヒドロキシアルキル−2−ピロリドンからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。

【公開番号】特開2008−95059(P2008−95059A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−316366(P2006−316366)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(000106438)サンノプコ株式会社 (124)
【Fターム(参考)】