説明

樹脂製サンシェード

【課題】自身の耐久性に優れ、室内の室温上昇防止にも役立つ樹脂製サンシェードを提供する。
【解決手段】運転室のガラス面の車室内側の曲面に沿って配設されるようにしたパネル状の樹脂製サンシェード10において、樹脂製第1板材22と樹脂製第2板材24とを有し、該両板材の周縁部26同士が溶着されることにより、内部に中空部28が形成され、少なくとも一方の板材には、外表面31に複数の長溝34を形成するように、他方の板材の内表面30に向かって延びる先細突出部36が、運転室の前後方向に所定の間隔を隔てて複数設けられ、各々の先端部には、他方の板材の内表面30に突き合わせ溶着される突き合わせ部42が設けられ、運転室のガラス面の車室内側の曲面に沿うように湾曲可能とされる、ことを特徴とする一体成形の樹脂製サンシェード10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製サンシェードに関し、より詳細には、自身の耐久性に優れ、室内の室温上昇防止にも役立つ樹脂製サンシェードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両のルーフパネルに設けた開口部に、太陽光を遮るサンシェードが用いられてきた。
このサンシェードは、開口部の両側に設けられたレールに沿って車両の前後方向に摺動自在とされ、車両前側の先端部に設けた把手により、運転手あるいは乗員が適宜動かすようにしている。
【0003】
この点、サンシェードは、軽量性、高剛性および加工性の観点から、樹脂製が多く採用されている。特許文献1ないし特許文献3は、このような樹脂製サンシェードを開示する。
【0004】
特許文献1によれば、車両用のサンシェードが開示され、このサンシェードは、硬質合成樹脂板からなる基板と、基板の内側に配され、かつクッションシートと表皮材とを基板に溶着している内張りとを有し、特に基板と内張りとの側縁を表皮材が覆うように切断されており、作業工程の簡略化とともに見栄え向上を達成している。
【0005】
特許文献2によれば、サンシェードパネルが開示され、このサンシェードパネルは、車内側表皮材と車外側表皮材とが、両者の間に介在する硬質発泡性樹脂によって一体にモールド成形され、特に車内側表皮材の車外側にはシール層、一方車外側表皮材の車内側には、連通気泡を有する発泡性樹脂層が設けられ、硬質発泡性樹脂の成形時に発生するガスの排出に起因する成形不良の問題点を解消することが可能である。
【0006】
特許文献3によれば、自動車用サンルーフのサンシェードが開示され、このサンシェードは、発泡ウレタンの両面にガラス繊維マットが熱融着された多層の中実パネル構造であり、軽量で形状保持性に優れる。
【0007】
特許文献4によれば、サンシェードが開示され、このサンシェードは、車両のガラスと対峙する反射材と、車室内に露呈する通気部材と、反射部材と通気部材との間に介在し、車室内のガス状有害物質を吸着分解する浄化部材とを有し、蛇腹状のシート構造であり、車室内のガス状有害物質を吸着分解することが可能である。
以上の樹脂製サンシェードは、いずれも、多層の薄肉中実パネル構造である点で共通である。
しかしながら、このような従来の樹脂製サンシェードには、以下のような技術的問題点が存する。
【0008】
第1に、樹脂製サンシェードの耐久性に劣る点である。より詳細には、樹脂製サンシェードのガラス面に面する面は、車両のガラス面を通して太陽光を直接受けることから、特に夏場は温度が急激に上昇することから、樹脂製サンシェードの厚み方向に大きな温度勾配を生じ、その状態で、サンシェードは、車両の前後方向に繰り返し移動され、そのたびにフロントガラスの上部の曲面部に沿うように湾曲させられることから、時間経過とともに、樹脂製サンシェードの外観劣化を生じやすい。
さらに、サンシェードは構造上、自身の重さを両側に設けられたレールにより摺動可能に支持していることから、耐久性を確保するためには、できるだけ軽量であるのが好ましい。
【0009】
第2に、太陽光を遮ることは可能であるが、薄肉中実構造であることに起因して室内の室温上昇防止には役立たない点である。
より詳細には、特に夏場には、サンシェード自体が太陽光を受けて、加熱され、それが室内の室温上昇をもたらすことがある。特に、中実の樹脂製サンシェードの場合、中実による重量増大を相殺するために薄肉化をするとすれば、樹脂製サンシェードによる遮熱効果は期待できない。
さらに、サンシェードは、車両前側の先端部がフロントガラスの内面上部まで及ぶように設けられるところ、先端部にフロントガラスの上部の曲面部に沿うように湾曲可能なヒンジ部が設けられておらず、特許文献4においては、ヒンジ部を設け蛇腹状に変形可能であるとしても、そのヒンジ部同士のピッチが大きく、いずれにしても、サンシェードがフロントガラスの上部の曲面部に厳密になじまず、フロントガラスの上部の曲面部とサンシェードとの間にスペースが不可避的に生じてしまう。このスペース内の空気が加熱されて、室内の室温上昇の要因となる。
【特許文献1】特開2006−341789号
【特許文献2】特開平5−208643号
【特許文献3】特開2003−53758号
【特許文献4】特許第4403749号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、自身の耐久性に優れ、室内の室温上昇防止にも役立つ樹脂製サンシェードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成するために、本発明の樹脂製サンシェードは、
車両のガラス面の車室内側の曲面に沿って配設されるようにしたパネル状の樹脂製サンシェードにおいて、
それぞれ、太陽光を遮るに十分な面積を有し互いに対向して配置された、樹脂製第1板材と樹脂製第2板材とを有し、
該両板材の周縁部同士が溶着されることにより、内部に中空部が形成され、
少なくとも一方の板材には、外表面に複数の長溝を形成するように、他方の板材の内表面に向かって延びる先細突出部が、車両の前後方向に所定の間隔を隔てて複数設けられ、
該複数の先細突出部の各々は、車両前後方向と交差する方向全体に亘って延び、前記複数の先細突出部の各々の先端部には、他方の板材の内表面に突き合わせ溶着される突き合わせ部が設けられ、
前記少なくとも一方の板材は、前記複数の長溝の開口が車両のガラス面の車室内側の曲面に臨むように配置され、
それにより、該突き合わせ部において、車両前後方向と交差する方向を中心に回動可能なヒンジ部が形成され、前記複数の先細突出部全体として、前記複数の長溝の開口が拡がる態様で、車両のガラス面の車室内側の曲面に沿うように湾曲可能とされる、構成としている。
【0012】
以上の構成を有する一体成形のパネル状樹脂製サンシェードによれば、互いに対向して配置された樹脂製第1板材および樹脂製第2板材それぞれの周縁部同士を溶着することにより内部に中空部が形成されるとともに、車両の前後方向に所定の間隔を隔てた複数の先細突出部を設けて車両前後方向と交差する方向を中心に回動可能なヒンジ部を形成し、少なくとも一方の板材において、複数の先細突出部に対応する複数の長溝の開口が車両のガラス面の車室内側の曲面に臨むように配置され、複数の先細突出部全体として複数の長溝の開口が拡がる態様で車両のガラス面の車室内側の曲面に沿うように湾曲可能とされることにより、ヒンジ部の湾曲の自由度が十分に確保され、特に夏場において、サンシェードのヒンジ部を車両のガラス面の車室内側の曲面に厳密に沿う態様とすることで、サンシェードと車両のガラス面の車室内側の曲面との間に空気溜まりが生じないようにしつつ、太陽光を受ける一方の樹脂製板材と、車室内側の他方の樹脂製板材との間の中空部28により遮熱効果が奏されるとともに、従来の中実構造のサンシェードに比して軽量化を達成することも相まって、夏場の過酷な環境のもとでのサンシェードの押し引きに伴う耐久性に資することが可能であり、以て自身の耐久性に優れ、室内の室温上昇防止にも役立つことが可能である。
【0013】
また、前記樹脂製サンシェードは、その両側部が車両の前後方向に摺動可能に車両の天井部から支持され、
前記複数の先細突出部の各々は、互いに平行に車両の前後方向と直交する方向に延びるのがよい。
さらに、前記複数の先細突出部の各々は、互いに対向し該先細突出部が設けられる前記一方の板材に対して傾斜する一対の傾斜面を有し、該一対の傾斜面の前記他方の板材側の縁部同士の間隔が、前記突き合わせ部の車両前後方向の幅を構成するのがよい。
【0014】
さらにまた、前記樹脂製サンシェードは、太陽光を遮らない引っ込み位置と太陽光を遮る引き出し位置との間で往復移動可能であり、
前記ヒンジ部は、車両前側の先端部に設けられ、
前記樹脂製サンシェードが引き出し位置にあるとき、前記ヒンジ部は、車両のフロントガラス面の上部の車室内側の曲面に沿うように湾曲可能とされ、
前記樹脂製サンシェードが手動で往復移動可能なように、前記ヒンジ部の車室内部に面する側に凹状の把手部が設けられるのがよい。
【0015】
加えて、前記樹脂製第1板材および前記樹脂製第2板材のうち、一方は、平板状であり、他方が前記複数の先細突出部を有し、前記複数の先細突出部の各々は、他方の板材の平板状の内表面に突き合わせ溶着されるのがよい。
さらに、前記平板状の一方の樹脂製板材の外表面に内張りが溶着されるのがよい。
さらにまた、前記樹脂製サンシェードの周側面には、前記樹脂製第1板材と前記樹脂製第2板材とのパーティングラインが設けられ、前記内張りは、該パーティングラインまで及ぶのがよい。
【0016】
加えて、前記樹脂製サンシェードの前記ヒンジ部以外の部分には、外表面に複数の凹溝部を形成するように、他方の板材の内表面に向かって延びる先細突出部が設けられ、それにより環状補強リブが形成されるのがよい。
さらに、車両の前後方向に隣接する前記先細突出部同士の所定の間隔は、前記ヒンジ部が沿うべき車両のガラス面の車室内側の曲面の曲率半径に応じて決定されるのがよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る樹脂製サンシェード10の実施形態を油圧ショベルの運転室2の天井部12に適用される場合を例として、図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
図1に示すように、運転室2の天井部12には、リッド付開口部14が設けられ、開口部14の運転室2の前後方向に延びる両側部には、案内レール16が設置され、樹脂製サンシェード10が案内レール16により支持されて、開口部14の運転室2後部に隣接する格納部(図示せず)に格納される引っ込み位置と、開口部14を覆う引き出し位置との間で、運転室2の前後方向に摺動可能とされている。
特に、引き出し位置において、樹脂製サンシェード10の運転室2前部側の先端部は、フロントガラス17の内面上部まで及ぶように設けられ、後に詳細に説明するように、先端部にはフロントガラス17の上部の曲面部18に沿うように湾曲可能なヒンジ部20が設けられている。
【0018】
図2および図3(後に参照する図4も含め、図の明瞭性のために、パネルの厚みを誇張して図示している)に示すように、樹脂製サンシェード10は、パネル状であり、それぞれ、開口部14を覆って太陽光を遮るに十分な面積を有する、樹脂製第1板材22と樹脂製第2板材24とを有し、これらの板材の周縁部26同士が溶着されることにより、内部に中空部28が形成されている。
これにより、樹脂製サンシェード10は構造上、自身の重さを両側縁に設けられた開口部14の案内レール16により摺動可能に支持しているところ、中空構造とすることにより軽量化を達成することにより耐久性確保に資するとともに、なるべく薄型のパネル状とすることにより、車室内のスペースを確保するようにしている。また、薄型のパネル状であっても樹脂製サンシェード10は、前記第1板材22及び第2板材24の両板材の周縁部26同士が溶着され閉じられた側壁により内部に密閉状態の中空部が形成されるため、中空部内の空気が車両室内の外気と循環することがないため、十分な断熱性、遮熱性を発揮し、車両室内の温度上昇を好適に防止することができる。
たとえば、樹脂製サンシェード10は、運転室の前後方向には、500〜1000ミリ前後、運転室の幅方向には、500〜1000ミリ前後であるの対して、その厚みは、20ミリ前後である。
【0019】
樹脂製第1板材22は、運転室内側に設置され、平板状であり、車室内の運転手あるいは乗員に視認される外表面31には、内張りとして化粧材32が貼り付けられている。
一方、樹脂製第2板材24は、開口部14側に設置され、樹脂製第1板材22と異なり、開口部14側に臨む外表面31に複数の長溝34を形成するように、樹脂製第1板材22の内表面30に向かって延びる先細突出部36が、樹脂製サンシェード10の運転室前部の先端部に、運転室の前後方向に所定の間隔を隔てて複数設けられる。
【0020】
より詳細には、各々の先細突出部36は、運転室前後方向と直交する方向全体に亘って延び、複数の先細突出部36の各々の先端部には、樹脂製第1板材22の内表面30に突き合わせ溶着される突き合わせ部42が設けられる。
各々の先細突出部36は、互いに対向し、先細突出部36が設けられる樹脂製第2板材24に対して傾斜する一対の傾斜面38を有し、一対の傾斜面38の樹脂製第2板材24側の縁部の間隔が、突き合わせ部42の運転室前後方向の幅を構成する。
複数の長溝34それぞれは、台形断面の形状を有し、傾斜面の傾斜角度α(図3)、先細突出部36の数、隣接する先細突出部36同士の間隔D(図3)および突き合わせ部42の運転室前後方向の幅W(図3)は、樹脂製サンシェード10が引き出し位置にあるとき、運転室前部側の先端部が及ぶフロントガラス17上部の曲面18の曲率半径に応じて決定すればよい。特に、長溝34に形成される傾斜面38の傾斜角度αは案内レール内を樹脂製サンシェードが移動する際に、長溝34の縁(先細突出部36の付け根における角部)が案内レールと接触、干渉して滑らかな摺動が阻害されることを防止するため、90°未満であり好ましくは45〜80°の範囲で設定される。傾斜角度αが45°未満であると樹脂製サンシェード10の厚みとの関係で先細突出部36同士の間隔Dが幅広となりすぎフロントガラス17上部の曲面18にヒンジ部20が好適に沿って湾曲することができない。さらに、80°より大きくなると案内レール内の凹凸に長溝34が引っかかりやすくなり摺動が阻害されるおそれがある。一方、傾斜角度αを好適な範囲に設定された傾斜面を有する長溝34は案内レール内の凹凸に接触した場合であっても傾斜面に沿って凹凸を容易に乗り越えることが可能であり樹脂製サンシェードの摺動が阻害されることがない。
【0021】
より具体的には、複数の先細突出部36それぞれにおいて、運転室前後方向と直交する方向のまわりに回動可能なヒンジ部20を形成し、複数の先細突出部36全体として、運転室のガラス面の車室内側の曲面に沿うように湾曲可能とする。特に、樹脂製第2板材24が複数の長溝34の開口が運転室のガラス面の車室内側の曲面に臨むように配置されことにより、複数の長溝34の開口が拡がる態様で、湾曲可能であり、それにより湾曲の自由度を確保することが可能である。なお、それぞれの突き合わせ部42が運転室前後方向と直交する方向のまわりに回動可能なヒンジ部20を形成することから、突き合わせ部42の運転室前後方向の幅Wは、樹脂製第2板材24が突き合わせ部42を介して樹脂製第1板材22に溶着固定される範囲内で、なるべく狭く、突き合わせ部42は、運転室前後方向と直交する方向にほぼ直線状に延びるのが好ましい。
樹脂製第1板材22のヒンジ部20には、運転手あるいは乗員が手で押し引き可能なように、ヒンジ部20の車室内部に面する側に凹状の把手部44が設けられる。
【0022】
また、樹脂製サンシェード10のヒンジ部20以外の部分には、外表面31に複数の凹溝部46を形成するように、樹脂製第1板材22の内表面30に向かって延びる先細突出部が設けられ、それにより環状補強リブ48が形成される。
これにより、樹脂製サンシェード10の保形性を維持することが可能である。特に、使用に際して樹脂製サンシェード10の両端のみが案内レールに載置された状態であっても車両幅方向での撓み変形することがない。
【0023】
樹脂製第1板材22および樹脂製第2板材24それぞれの材質は、熱可塑性樹脂であり、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、または非晶性樹脂などで、より具体的にはエチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンペンテン、メチルペンテン等のオレフィン類の単独重合体あるいは共重合体であるポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン)である。
【0024】
化粧材32は、外観性向上および装飾性向上の観点から設けられ、その材質は、繊維表皮材シート状表皮材、フィルム状表皮材等が適用される。かかる繊維表皮材の素材としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリウレタン、アクリル、ビニロン等の合成繊維、アセテート、レーヨン等の半合成繊維、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン等の再生繊維、綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維、又はこれらのブレンド繊維が挙げられる。
【0025】
樹脂製サンシェード10は、たとえば2枚の溶融状態の熱可塑性樹脂製シートを利用して、化粧材32を金型のキャビティに設置したうえで金型からの真空吸引により一体成形するのが好ましく、2枚の溶融状態の熱可塑性樹脂製シートの周縁部26同士を溶着することにより、周縁部26にパーティングラインPLが形成され、化粧材32の縁部をパーティングラインPLまで及ぶようにすることにより、より一層外観性向上および装飾性向上を図ることが可能である。さらに、使用に際して貼着された化粧材32の縁部が樹脂製サンシェード10の側壁で貼着されパーティングラインPLまで及ぶようにすることで、化粧材32の縁部が案内レール等と擦れることによる剥がれが生じることがない。
【0026】
以上の構成を有する一体成形のパネル状樹脂製サンシェード10によれば、把手部44を持って引っ込み位置から案内レール16に沿って引き出し位置まで摺動させることにより、太陽光を遮ることが可能である。
この場合、図4に示すように、互いに対向して配置された樹脂製第1板材22および樹脂製第2板材24それぞれの周縁部26同士を溶着することにより内部に中空部28が形成されるとともに、運転室の前後方向に所定の間隔を隔てた複数の先細突出部36を設けて運転室前後方向と交差する方向を中心に回動可能なヒンジ部20を形成し、少なくとも一方の板材において、複数の先細突出部36に対応する複数の長溝34の開口が運転室のガラス面の車室内側の曲面に臨むように配置され、複数の先細突出部36全体として複数の長溝34の開口が拡がる態様で運転室のガラス面の車室内側の曲面に沿うように湾曲可能とされることにより、ヒンジ部20の湾曲の自由度が十分に確保され、特に夏場において、サンシェードのヒンジ部20を運転室のガラス面の車室内側の曲面に厳密に沿う態様とすることで、サンシェードと運転室のガラス面の車室内側の曲面との間に空気溜まりが生じないようにしつつ、太陽光を受ける一方の樹脂製板材と、車室内側の他方の樹脂製板材との間の中空部28により遮熱効果が奏されるとともに、従来の中実構造のサンシェードに比して軽量化を達成することも相まって、夏場の過酷な環境のもとでのサンシェードの押し引きに伴う耐久性に資することが可能であり、以て自身の耐久性に優れ、室内の室温上昇防止にも役立つことが可能である。
【0027】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において、当業者であれば、種々の修正あるいは変更が可能である。
たとえば、本実施形態においては、樹脂製サンシェード10を油圧ショベルのような建設作業機械の運転室に適用する場合を説明したが、それに限定されることなく、自動車のサンルーフ等にも適用可能である。
また、本実施形態においては、樹脂製サンシェード10に対してヒンジ部20を形成するのに、樹脂製第2板材24から樹脂製第1板材22の内表面30に向かって突出する先細突出部36により形成したが、それに限定されることなく、樹脂製第1板材22および樹脂製第2板材24それぞれから中空部28に向かって突出する先細突出部36を設け、互いの突き合わせ部42を中空部28内で溶着させることにより形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態に係る樹脂製サンシェードを適用した運転室の天井部まわりの概略部分斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る樹脂製サンシェードの斜視図である。
【図3】図2の線A−Aに沿う断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る樹脂製サンシェード10が引き出し位置にあるときの状態を示す概略図である。
【符号の説明】
【0029】
PL パーティングライン
D 先細突出部の間隔
W 突き合わせ部の幅
α 傾斜角度
10 樹脂製サンシェード
12 天井部
14 開口部
16 案内レール
17 フロントガラス
18 曲面部
20 ヒンジ部
22 樹脂製第1板材
24 樹脂製第2板材
26 周縁部
28 中空部
30 内表面
31 外表面
32 化粧材
34 長溝
36 先細突出部
38 傾斜面
42 突き合わせ部
44 把手部
46 凹溝部
48 環状補強リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のガラス面の車室内側の曲面に沿って配設されるようにしたパネル状の樹脂製サンシェードにおいて、
それぞれ、太陽光を遮るに十分な面積を有し互いに対向して配置された、樹脂製第1板材と樹脂製第2板材とを有し、
該両板材の周縁部同士が溶着されることにより、内部に中空部が形成され、
少なくとも一方の板材には、外表面に複数の長溝を形成するように、他方の板材の内表面に向かって延びる先細突出部が、車両の前後方向に所定の間隔を隔てて複数設けられ、
該複数の先細突出部の各々は、車両前後方向と交差する方向全体に亘って延び、前記複数の先細突出部の各々の先端部には、他方の板材の内表面に突き合わせ溶着される突き合わせ部が設けられ、
前記少なくとも一方の板材は、前記複数の長溝の開口が車両のガラス面の車室内側の曲面に臨むように配置され、
それにより、該突き合わせ部において、車両前後方向と交差する方向を中心に回動可能なヒンジ部が形成され、前記複数の先細突出部全体として、前記複数の長溝の開口が拡がる態様で、車両のガラス面の車室内側の曲面に沿うように湾曲可能とされる、
ことを特徴とする一体成形の樹脂製サンシェード。
【請求項2】
前記樹脂製サンシェードは、その両側部が車両の前後方向に摺動可能に車両の天井部から支持され、
前記複数の先細突出部の各々は、互いに平行に車両の前後方向と直交する方向に延びる、請求項1に記載の一体成形の樹脂製サンシェード。
【請求項3】
前記複数の先細突出部の各々は、互いに対向し該先細突出部が設けられる前記一方の板材に対して傾斜する一対の傾斜面を有し、該一対の傾斜面の前記他方の板材側の縁部同士の間隔が、前記突き合わせ部の車両前後方向の幅を構成する、請求項1に記載の一体成形の樹脂製サンシェード。
【請求項4】
前記樹脂製サンシェードは、太陽光を遮らない引っ込み位置と太陽光を遮る引き出し位置との間で往復移動可能であり、
前記ヒンジ部は、車両前側の先端部に設けられ、
前記樹脂製サンシェードが引き出し位置にあるとき、前記ヒンジ部は、車両のフロントガラス面の上部の車室内側の曲面に沿うように湾曲可能とされ、
前記樹脂製サンシェードが手動で往復移動可能なように、前記ヒンジ部の車室内部に面する側に凹状の把手部が設けられる、請求項2に記載の一体成形の樹脂製サンシェード。
【請求項5】
前記樹脂製第1板材および前記樹脂製第2板材のうち、一方は、平板状であり、他方が前記複数の先細突出部を有し、前記複数の先細突出部の各々は、他方の板材の平板状の内表面に突き合わせ溶着される、請求項1に記載の一体成形の樹脂製サンシェード。
【請求項6】
前記平板状の一方の樹脂製板材の外表面に内張りが溶着される、請求項5に記載の一体成形の樹脂製サンシェード。
【請求項7】
前記樹脂製サンシェードの周側面には、前記樹脂製第1板材と前記樹脂製第2板材とのパーティングラインが設けられ、前記内張りは、該パーティングラインまで及ぶ、請求項6に記載の一体成形の樹脂製サンシェード。
【請求項8】
前記樹脂製サンシェードの前記ヒンジ部以外の部分には、外表面に複数の凹溝部を形成するように、他方の板材の内表面に向かって延びる先細突出部が設けられ、それにより環状補強リブが形成される、請求項1に記載の一体成形の樹脂製サンシェード。
【請求項9】
車両の前後方向に隣接する前記先細突出部同士の所定の間隔は、前記ヒンジ部が沿うべき車両のガラス面の車室内側の曲面の曲率半径に応じて決定される、請求項1に記載の一体成形の樹脂製サンシェード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−86700(P2013−86700A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230524(P2011−230524)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000104674)キョーラク株式会社 (292)
【出願人】(390001579)プレス工業株式会社 (173)