説明

樹脂製シンク、樹脂製シンクを備えたキッチンカウンターおよびこのキッチンカウンターへの付設部材の取付構造

【課題】洗剤かごなどの汎用の付設部材を容易に吸着固定できる樹脂製シンクを提供すること。
【解決手段】排水部11aが設けられた底面部11と、この底面部11の外周縁から上方へ起立する内周面部12とが形成された樹脂製シンク1であって、前記内周面部12の裏面には磁石M1が配設され、前記磁石M1と吸着可能な付設部材Dが前記内周面部12の表面に着脱自在とされている樹脂製シンク1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製シンク、樹脂製シンクを備えたキッチンカウンターおよびこのキッチンカウンターへの付設部材の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、耐久性、成形性および意匠性に優れ、清掃も容易であることから、人造大理石などの樹脂製シンクが注目を集めている。
【0003】
一方、従来より、キッチンカウンターのシンクでの食器の洗浄などの作業に際し、作業に使用する部材などをシンク周りに配置することで、作業の効率化が図る工夫がなされている。
【0004】
例えば、特許文献1には、ステンレス製のシンクの奥側面に対向する付設部材の背面に、永久磁石としてのプラスチックマグネットを配設し、シンクの奥側面に、洗剤かごなどの付設部材(収納部材)を吸着固定する取付構造が記載されている。この取付構造では、シンクに吸着固定した付設部材に洗剤などを収納し、必要に応じてこれを取り出して使用することができる。
【0005】
また、特許文献2には、係止補助板と磁石片からなるごみ袋の止め具が記載されている。このごみ袋の止め具は、シンクの隅角部の裏面に、鉄などの金属製の係止補助板を接着し、永久磁石製の磁石片を表面側から吸着させることで、磁石片によってゴミ袋を係止している。このごみ袋の止め具では、シンクが非磁性体であっても使用可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−143738号公報
【特許文献2】特開昭62−133504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の取付構造の場合、洗剤かごなどの付設部材をシンクに吸着固定するためには、シンクが磁性体である必要がある。このため、非磁性体である樹脂製シンクに対しては、付設部材を吸着固定することができないという問題がある。
【0008】
一方、特許文献2のごみ袋の止め具は、非磁性体である樹脂製シンクにも使用可能であると考えられる。したがって、このごみ袋の止め具の固定構造を、洗剤かごなどの付設部材の取付けに応用して、樹脂製シンクの裏面に金属製の係止補助板を配置し、磁石を備えた付設部材を樹脂製シンクの表面側から吸着固定することは一応可能であると思われる。しかしながら、この場合、樹脂製シンクに吸着固定可能な付設部材は、磁石を備えたものに限られてしまうという問題がある。磁石を備えた付設部材は一般に普及しているとは言い難く、市販されている汎用の金属製の付設部材を樹脂製シンクに吸着固定することは難しいのが現状である。
【0009】
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、洗剤かごなどの汎用の付設部材を容易に吸着固定できる樹脂製シンクを提供することを課題としている。また、この樹脂製シンクを備えたキッチンカウンターおよびこのキッチンカウンターへの付設部材の取付構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の樹脂製シンクは、排水部が設けられた底面部と、この底面部の外周縁から上方へ起立する内周面部とが形成された樹脂製シンクであって、前記内周面部の裏面には磁石が配設され、前記磁石と吸着可能な付設部材が前記内周面部の表面に着脱自在とされていることを特徴としている。
【0011】
本発明のキッチンカウンターは、前記樹脂製シンクを備えていることを特徴としている。
【0012】
本発明のキッチンカウンターへの付設部材の取付構造は、排水部が設けられた底面部と、この底面部の外周縁から上方へ起立する内周面部とが形成された樹脂製シンクを備えたキッチンカウンターへの付設部材の取付構造であって、前記樹脂製シンクの前記内周面部の裏面には磁石が配設され、この磁石の磁力によって、前記付設部材が前記内周面部の表面に着脱自在に吸着固定されることを特徴としている。
【0013】
このキッチンカウンターへの付設部材の取付構造では、前記付設部材には、磁石が配設されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の樹脂製シンクによれば、洗剤かごなどの汎用の付設部材を容易に吸着固定することができる。本発明のキッチンカウンターおよびキッチンカウンターへの付設部材の取付構造によれば、樹脂製シンクに汎用の付設部材を容易に吸着固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の樹脂製シンクの一実施形態を例示した断面図および要部拡大図である。
【図2】本発明の樹脂製シンクを備えたキッチンカウンターおよびこのキッチンカウンターへの付設部材の取付構造の一実施形態を例示した斜視図である。
【図3】本発明のキッチンカウンターにおける樹脂製シンクに付設部材を取付けた状態を例示した断面概要図である。
【図4】本発明のキッチンカウンターへの付設部材の取付構造の別の実施形態を例示した断面概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の樹脂製シンクは、キッチンカウンターとは別体として成形されているもの、また、樹脂製のキッチンカウンターと一体成形されたものを含む。以下、本発明の樹脂製シンクについて、キッチンカウンターとは別体として成形されたものを例に説明する。
【0017】
図1は、本発明の樹脂製シンクの一実施形態を例示した断面図および要部拡大図である。
【0018】
樹脂製シンク1は、公知の熱硬化性樹脂を成形して形成され、表面には、大理石調、御影石調、墨ぼかし調、幾何模様調などの各種のデザイン模様が付けられている。原料となる熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂などを1種または2種以上使用することができる。また、これらの熱硬化性樹脂に、ガラス繊維、ビニロン繊維、ナイロン繊維などの強化繊維を添加した繊維強化熱硬化性樹脂(FRP)を使用することもできる。さらに、この熱硬化性樹脂や繊維強化熱硬化性樹脂は、樹脂製シンク1とキッチンカウンター全体との調和を考慮して、適宜各種の色調に着色して使用することができる。
【0019】
樹脂製シンク1は、底面部11と、内周面部12と、フランジ部13とが一体に成形されている。
【0020】
底面部11は、全体形状が略長方形であり、略水平に形成されている。また、底面部11の中央奥行き側には、上下に貫通する排水部11aが設けられている。
【0021】
内周面部12は、底面部11の外周縁から上方へ向かって略垂直に起立して形成されている。具体的には、内周面部12は、対向する前面部12aと後面部12bおよび対向する左右の側面部(図1では図示していない)とによって形成されている。
【0022】
樹脂製シンク1は、内周面部12の後面部12bおよび左右の側面部(図1では図示していない)の裏面の上方域に、表面側へ窪む収納凹部Sが形成されており、この収納凹部Sに磁石M1が配設されている。このため、磁石M1が樹脂製シンク1の表面側に近接しており、磁石M1の磁力を表面側へ効果的に伝えることができる。
【0023】
収納凹部Sは、例えば、内周面部12の裏面において水平方向(横方向)に連続する溝状に形成することもできるし、複数箇所において部分的に形成することができる。収納凹部Sの配設位置は特に限定されず、内周面部12の後面部12b、前面部12a、左右の側面部(図1では図示していない)のうちのいずれかの領域、あるいは複数の領域における適宜な位置に配設することができる。
【0024】
収納凹部Sへの磁石M1の配設方法は特に限定されないが、例えば、収納凹部Sの形状に対応した形状の磁石M1を収納凹部S内に嵌挿して配設することができる。また、例えば、接着剤や両面テープなどを使用して収納凹部S内に磁石M1を接着して配設することもできる。
【0025】
内周面部12の裏面に配設される磁石M1は、永久磁石であって、磁力が内周面部12の表面側に及ぶものを適宜使用することができる。
【0026】
フランジ部13は、内周面部12の上端部から外側へ向かって略水平に延出して形成されている。
【0027】
図2は、本発明の樹脂製シンクを備えたキッチンカウンターおよびこのキッチンカウンターへの付設部材の取付構造の一実施形態を例示した斜視図である。図3は、本発明のキッチンカウンターにおける樹脂製シンクに付設部材を取付けた状態を例示した断面概要図である。
【0028】
キッチンカウンター2は、例えば、樹脂製、ステンレス製、木製で形成されており、中央付近に樹脂製シンク1を備えている。また、キッチンカウンター2の前端部には、下方へ屈曲して形成されたエプロン部21が形成されている。さらに、樹脂製シンク1の後方には水栓3が配設されている。
【0029】
キッチンカウンター2は、例えば、中央付近に設けた開口部に樹脂製シンク1を嵌め込んでフランジ部13をキッチンカウンター2の上面に当接させ、この当接部分に接着剤を塗布して固着することができる。これによって、キッチンカウンター2と樹脂製シンク1とが固着一体化される。
【0030】
樹脂製シンク1は、内周面部12の裏面の収納凹部Sに磁石M1が配設され、その磁力は表面側に及ぶため、磁性を有する付設部材Dを樹脂製シンク1の表面に着脱自在に吸着固定することができる。このため、付設部材Dが磁石M1を備えていなくても、キッチンカウンター2の使用状況に応じて、樹脂製シンク1の内周面部12の後面部12b、左右の側面部12c、12dの表面の適宜な位置に、各種の付設部材Dを着脱自在に吸着固定することができる。また、樹脂製シンク1は、収納凹部Sに配設された磁石M1が表面側に近接しているため、付設部材Dを強力に吸着固定することができる。
【0031】
付設部材Dには、例えば、食器洗剤を収納する洗剤かご、洗浄用スポンジやごみ袋などを収納する収納ラックなどが含まれ、汎用の市販品を適宜使用することができる。付設部材Dの材料は、鉄やステンレスが好ましく、例えば、水切り性を確保するために、網目状に形成されたものなどを適宜使用することができる。
【0032】
図4は、本発明のキッチンカウンターへの付設部材の取付構造の別の実施形態を例示した断面概要図である。図1〜図3で示した実施形態と共通する部分には同一の符号を付し、以下では説明は省略する。
【0033】
付設部材Dは、キッチンカウンター2の樹脂製シンク1と対向する側に磁石M2を備えている。これによって、樹脂製シンク1の内周面部12の裏面に設けられた収納凹部Sに配設された磁石M1と、付設部材Dに配設された磁石M2とが内周面部12を介して引き合うため、樹脂製シンク1の内周面部12の表面に付設部材Dをより強力に固定することができる。
【0034】
本発明の樹脂製シンク、樹脂製シンクを備えたキッチンカウンターおよびキッチンカウンターへの付設部材の取付構造は、以上の形態に限定されることはない。例えば、樹脂製シンクの底面部、内周面部などの形状は様々な形態をとることができる。具体的には、底面部と内周面部は、排水部へ向かって傾斜する湾曲形状に形成することもできる。さらに、樹脂製シンクの内周面部の裏面に収納凹部を設けず、磁石を直接、内周面部の裏面に接着などすることもできる。さらに、キッチンカウンターは、例えば、バックガードなどを備えることもできる。
【符号の説明】
【0035】
1 樹脂製シンク
11 底面部
11a 排水部
12 内周面部
2 キッチンカウンター
M1、M2 磁石
D 付設部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水部が設けられた底面部と、この底面部の外周縁から上方へ起立する内周面部とが形成された樹脂製シンクであって、前記内周面部の裏面には磁石が配設され、前記磁石と吸着可能な付設部材が前記内周面部の表面に着脱自在とされていることを特徴とする樹脂製シンク。
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂製シンクを備えたキッチンカウンター。
【請求項3】
排水部が設けられた底面部と、この底面部の外周縁から上方へ起立する内周面部とが形成された樹脂製シンクを備えたキッチンカウンターへの付設部材の取付構造であって、
前記樹脂製シンクの前記内周面部の裏面には磁石が配設され、この磁石の磁力によって、前記付設部材が前記内周面部の表面に着脱自在に吸着固定されることを特徴とするキッチンカウンターへの付設部材の取付構造。
【請求項4】
前記付設部材には、磁石が配設されていることを特徴とする請求項3に記載のキッチンカウンターへの付設部材の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−85628(P2013−85628A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227394(P2011−227394)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】