樹脂製CD管
【課題】床、スラブ等、設置面への固定が容易な樹脂製CD管を提供する。
【解決手段】樹脂製CD管1は中空筒状の断面小判形状に構成され、管外周面に凸部2aと凹部2bが交互に形成されている。凸部2aは一定幅(d)に形成されているが、所定の間隔でこれより幅広d’(d'>d)の凸部(以下、幅広凸部2c)が配列されている。幅広凸部2cの底面2d側の両端には、床固定部3が管外縁2fより突出して設けられている。床固定部3にはビス取付孔4が設けられており、取付ビス8により床面9に固定させることができる。
【解決手段】樹脂製CD管1は中空筒状の断面小判形状に構成され、管外周面に凸部2aと凹部2bが交互に形成されている。凸部2aは一定幅(d)に形成されているが、所定の間隔でこれより幅広d’(d'>d)の凸部(以下、幅広凸部2c)が配列されている。幅広凸部2cの底面2d側の両端には、床固定部3が管外縁2fより突出して設けられている。床固定部3にはビス取付孔4が設けられており、取付ビス8により床面9に固定させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はCD管に関し、特に床、スラブ等、設置面への固定が容易な樹脂製CD管に関する。
【背景技術】
【0002】
管外周面に凸部と凹部を交互に形成して可撓性を向上させた樹脂製CD管(コンジット管)が、給湯・暖房配管等の鞘管として広く用いられている。従来、樹脂製CD管の床面等への設置に関しては、CD管を設置面に敷設した後、所定の間隔で固定具(サドルバンド)を床面にビス固定する方式が一般的である。
さらに、天井等にも容易取付可能な固定具として、例えば特許文献1の技術が提案されている。同文献による固定方法100は、図8に示すように建物の天井105と壁106に沿って所定の間隙で鋼製のガイド棒101を敷設し、支持具102で固定する。ガイド棒101には長手方向に沿って断続的にクランプ103が取り付けられており、クランプ103に給水管等104を固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−189581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、CD管の形状、サイズは用途に応じて区々であるため、これに対応するため固定具として多種類のサドル・部材を用意する必要があり、施工コストのアップ要因となっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は施工が容易で、かつ、施工コストの低減化が可能な樹脂製CD管を提供することを目的とする。
本発明は、以下の内容をその要旨とする。すなわち、本発明に係る樹脂製CD管は、
(1)管外周面に凸部と凹部が交互に形成され、可撓性を有する樹脂製CD管であって、一部の該凸部は、ビス取付孔を有する床固定部を備えて成ることを特徴とする。
本発明において(以下の各発明についても同様)、「床」又は「床面」とはCD管の設置面を意味し、壁面、天井面を含む概念である。
【0006】
(2)上記発明において、前記床固定部を本体底面側の端部に突出させて形成し、かつ、床面に密接設置可能に構成したことを特徴とする。
【0007】
(3)上記各発明において、前記床固定部を、本体底面側の左右両端部に備えたことを特徴とする。
【0008】
(4)上記各発明において、床固定部を、本体底面側の片側端部に左右交互に備えたことを特徴とする。
【0009】
(5)上記各発明において、前記床固定部を本体上面側にも備え、かつ、底面側と上面側交互に備えたことを特徴とする。
【0010】
(6)上記各発明において、前記樹脂製CD管は、前記床固定部を有する第一ユニットと、前記床固定部を有さない第二ユニットと、を備え、かつ、第一ユニットと第二ユニットとを嵌合可能に構成したことを特徴とする。
【0011】
(7)上記各発明において、前記ビス取付孔は、取付用ビスを側面から嵌入可能とする開放部を備えたことを特徴とする。
【0012】
(8)上記各発明において、前記床固定部の平面形状を、緩やかな裾野を有する山形形状に構成したことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の樹脂製CD管。
【0013】
(9)上記各発明において、前記樹脂製CD管は、硬質樹脂を用いた内層と、柔軟性を有する軟質樹脂を用いた外層と、の2層構造としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、CD管の施工に際して床面への固定具として多種類のサドル・部材を準備する必要がなくなるため、施工コストダウン、施工時間短縮が実現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1(a)】第一の実施形態に係る樹脂製CD管1の平面構成を示す図である。
【図1(b)】CD管1の断面構成を示す図(図1のA−A'矢視図)である。
【図1(c)】樹脂製CD管1の床面固定の態様を示す図である。
【図2(a)】第二の実施形態に係る樹脂製CD管20の平面構成を示す図である。
【図2(b)】CD管20の断面構成を示す図(図1のB−B'矢視図)である。
【図3】第三の実施形態に係るCD管30の床固定部近傍の構成を示す図である。
【図4】第四の実施形態に係るCD管40の床固定部近傍の構成を示す図である。
【図5】第五の実施形態に係るCD管50の床固定部近傍の構成を示す図である。
【図6】第六の実施形態に係るCD管60の断面構成を示す図である。
【図7】第七の実施形態に係るCD管70の断面構成を示す図である。
【図8】従来のCD管100の配管施工態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る樹脂製CD管の実施形態について、図1乃至7を参照してさらに詳細に説明する。重複を避けるため、各図において同一構成には同一符号を用いて示している。なお、本発明の範囲は特許請求の範囲記載のものであって、以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0017】
(第一の実施形態)
図1(a)乃至1(c)を参照して、樹脂製CD管1は中空筒状の断面小判形状に構成され、管外周面に凸部2aと凹部2bが交互に形成されている。CD管1は、このような構造(コルゲート構造)により可撓性が向上し、施工時において現場の状況に合わせて湾曲配置容易に構成されている。CD管の樹脂材質としては、例えば高密度(硬質)ポリエチレンを用いることができる。
凸部2aは一定幅(d)に形成されているが、所定の間隔でこれより幅広d’(d'>d)の凸部(以下、幅広凸部2c)が配列されている。幅広凸部は、従来から配管長の目安、材料印字部等を目的として、一定間隔(例えば1m)で設けられていることが多く、本実施形態ではこの部分を床固定部として利用するものである。
【0018】
幅広凸部2cの底面2d側の両端には、床固定部3が管外縁2fより突出して設けられている。床固定部3にはビス取付孔4が設けられており、取付ビス8により床面9に固定させることができる。床固定部3の外縁は半円形状に形成されている。
【0019】
次に、図1(c)を参照して、CD管1を暖房用配管6の鞘管として用いる場合の設置態様について説明する。CD管1の中空部2eに、予め又は施工時に暖房用配管6を挿通する。暖房用配管6は、架橋ポリエチレン材質の一対の温水ペアチューブ6bをアルミテープ6aで巻きつけ束ね、その外側に信号線6cを配線して構成されている。なお、信号線の本数、配線位置については熱源機、コントローラの種類等に応じて、種々のタイプがある。
設置に際しては、CD管1の底面2d及び床固定部3を床面9に密接させて載置後、ワッシャー8aを介在させてビス取付孔4に取付ビス8を挿通し、床面9に固定する。
この場合、必ずしも全ての床固定部3を用いて固定する必要はなく、設置後に蛇行等の支障が生じない範囲で状況(直線部、曲線部等)に応じた対応をとることができる。以下の実施形態においても同様である。
【0020】
なお、本実施形態では幅広凸部2cに床固定部3を設ける例を示したが、これに限らず通常の凸部2aに床固定部3を設ける態様とすることもできる。
【0021】
また、本実施形態では凸部がリング状に形成されるコルゲート構造の例を示したが、これに限らず凸部が螺旋状に形成される構造とすることもできる。以下の実施形態においても同様である。
【0022】
また、本実施形態では断面小判形状のCD管に床固定部を設ける例を示したが、断面円形のCD管に床固定部を設ける態様とすることもできる。以下の実施形態においても同様である。
【0023】
(第二の実施形態)
次に図2(a)、図2(b)を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態に係るCD管20が上述のCD管1と異なる点は、床固定部の構成である。すなわち、CD管1では幅広凸部2cの底面両端に床固定部3が設けられているのに対して、CD管20では底面2dの片側、かつ、図2(b)において左右(図2(a)において上下)交互に床固定部21,22が設けられている。その他の構成については上述の実施形態と同様であるので、重複説明を省略する。また、暖房用配管等の挿通、取付ビスによる床面への固定についても同様であるので、重複説明を省略する。
以上の構成により、CD管20はCD管1と比較して床面固定箇所を1/2に減らすことができ、ビス使用数の減少、施工作業効率等のさらなる向上が可能となる。
【0024】
(第三の実施形態)
次に図3を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態に係るCD管30が上述のCD管20と異なる点は、ビス取付孔の構成である。すなわち、CD管20ではビス取付孔4は丸孔形状に構成されているのに対して、CD管30の床固定部31に設けられているビス取付孔32は、側面から嵌入可能とするように開口部32aが設けられている。その他の構成については上述の実施形態と同一であるので、重複説明を省略する。
掛かる構成により、CD管30では開口部32aにより、例えば上側からビスを差し込むことが困難な狭所での施工自由度が増して、作業効率の向上に資する。
【0025】
(第四の実施形態)
次に図4を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態に係るCD管40が上述のCD管20等と異なる点は、幅広凸部の幅長さである。すなわち、CD管40の幅広凸部41の幅d”は、CD管20の幅広凸部2cの幅d’と比較してさらに広く構成されている。これに伴い床固定部42の根元部分についてもより幅広に構成され、CD管20等では半円形状であるのに対して、CD管40の床固定部42では緩やかな裾野を有する山形形状に構成されている。その他の構成及び床面への固定方法については上述の実施形態と同一であるので、重複説明を省略する。
CD管40は上記構成により、床固定部の強度をより高くすることができ、施工後の安定性がより向上する。
【0026】
なお、本実施形態では床固定部42を片側端部に備えた例を示したが、両端部に床固定部42を片側端部に備える態様とすることもできる。以下の該当する実施形態についても同様である。
【0027】
(第五の実施形態)
次に図5を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態に係るCD管50が上述のCD管40と異なる点は、ビス取付孔の構成である。
すなわち、CD管40ではビス取付孔4は丸孔形状に設けられているのに対して、CD管50のビス取付孔53についてはCD管40と同様に側面に開放部53aが設けられている。その他の構成については上述の各実施形態と同一であるので、重複説明を省略する。
CD管50は上記構成により、CD管40と同様に床固定部52の強度を高めつつ、さらに施工時において上側からビスを差し込むことが困難な狭い場所での施工等に際して自由度が増し、作業効率の向上に資する。
【0028】
(第六の実施形態)
さらに図6を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態に係るCD管60が上述の各CD管と異なる点は、管長である。すなわち、CD管1等では1本の長尺管により構成され、凸部2aに所定の間隔で床固定部2aが設けられている。
これに対して本実施形態のCD管60では、比較的短い2種類のユニットCD管(床固定部付ユニットCD管61及び床固定部なしユニットCD管62)の組み合わせにより構成されている。両ユニットの端部にはそれぞれ嵌合接続機構61a、62aが設けられており、必要に応じて適宜、嵌合接続することにより所望の管長に調整可能に構成されている。なお、ユニットCD管61とユニットCD管62は必ずしも交互に接続させることなく、床固定の必要な箇所に床固定部付ユニットCD管61を配置するように組み合わせれば足りる。
【0029】
(第七の実施形態)
さらに本発明の他の実施形態について説明する。図7を参照して、本実施形態に係るCD管70が上述の各CD管と異なる点は、樹脂材質及び層構成である。すなわち、上述の各CD管では一体として硬質樹脂(例えば硬質ポリエチレン)により構成されている。これに対して本実施形態のCD管70は2層構造であり、内層71はCD管1等と同じく硬質ポリエチレン、外層72及び床固定部73は軟質樹脂、例えばシリコンゴム等により構成されている。その他の構成については上述の実施形態と同一であるので、重複説明を省略する。
CD管70は床固定部73に軟質樹脂材質を用いたことにより狭い場所にも配管容易であり、施工自由度が増して作業効率の向上に資する。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は温水暖房用鞘管としてのみならず、給湯用配管、電線用鞘管等に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0031】
1、20、30、40、50、60、70・・・樹脂製CD管
2a・・・凸部
2b・・・凹部
2c、41、51・・・幅広凸部
2d・・・中空部
3,21,22、31、42、52、73・・・・床固定部
4、32,43、53・・・・ビス取付孔
61a、62a・・・・嵌合接続機構
【技術分野】
【0001】
本発明はCD管に関し、特に床、スラブ等、設置面への固定が容易な樹脂製CD管に関する。
【背景技術】
【0002】
管外周面に凸部と凹部を交互に形成して可撓性を向上させた樹脂製CD管(コンジット管)が、給湯・暖房配管等の鞘管として広く用いられている。従来、樹脂製CD管の床面等への設置に関しては、CD管を設置面に敷設した後、所定の間隔で固定具(サドルバンド)を床面にビス固定する方式が一般的である。
さらに、天井等にも容易取付可能な固定具として、例えば特許文献1の技術が提案されている。同文献による固定方法100は、図8に示すように建物の天井105と壁106に沿って所定の間隙で鋼製のガイド棒101を敷設し、支持具102で固定する。ガイド棒101には長手方向に沿って断続的にクランプ103が取り付けられており、クランプ103に給水管等104を固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−189581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、CD管の形状、サイズは用途に応じて区々であるため、これに対応するため固定具として多種類のサドル・部材を用意する必要があり、施工コストのアップ要因となっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は施工が容易で、かつ、施工コストの低減化が可能な樹脂製CD管を提供することを目的とする。
本発明は、以下の内容をその要旨とする。すなわち、本発明に係る樹脂製CD管は、
(1)管外周面に凸部と凹部が交互に形成され、可撓性を有する樹脂製CD管であって、一部の該凸部は、ビス取付孔を有する床固定部を備えて成ることを特徴とする。
本発明において(以下の各発明についても同様)、「床」又は「床面」とはCD管の設置面を意味し、壁面、天井面を含む概念である。
【0006】
(2)上記発明において、前記床固定部を本体底面側の端部に突出させて形成し、かつ、床面に密接設置可能に構成したことを特徴とする。
【0007】
(3)上記各発明において、前記床固定部を、本体底面側の左右両端部に備えたことを特徴とする。
【0008】
(4)上記各発明において、床固定部を、本体底面側の片側端部に左右交互に備えたことを特徴とする。
【0009】
(5)上記各発明において、前記床固定部を本体上面側にも備え、かつ、底面側と上面側交互に備えたことを特徴とする。
【0010】
(6)上記各発明において、前記樹脂製CD管は、前記床固定部を有する第一ユニットと、前記床固定部を有さない第二ユニットと、を備え、かつ、第一ユニットと第二ユニットとを嵌合可能に構成したことを特徴とする。
【0011】
(7)上記各発明において、前記ビス取付孔は、取付用ビスを側面から嵌入可能とする開放部を備えたことを特徴とする。
【0012】
(8)上記各発明において、前記床固定部の平面形状を、緩やかな裾野を有する山形形状に構成したことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の樹脂製CD管。
【0013】
(9)上記各発明において、前記樹脂製CD管は、硬質樹脂を用いた内層と、柔軟性を有する軟質樹脂を用いた外層と、の2層構造としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、CD管の施工に際して床面への固定具として多種類のサドル・部材を準備する必要がなくなるため、施工コストダウン、施工時間短縮が実現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1(a)】第一の実施形態に係る樹脂製CD管1の平面構成を示す図である。
【図1(b)】CD管1の断面構成を示す図(図1のA−A'矢視図)である。
【図1(c)】樹脂製CD管1の床面固定の態様を示す図である。
【図2(a)】第二の実施形態に係る樹脂製CD管20の平面構成を示す図である。
【図2(b)】CD管20の断面構成を示す図(図1のB−B'矢視図)である。
【図3】第三の実施形態に係るCD管30の床固定部近傍の構成を示す図である。
【図4】第四の実施形態に係るCD管40の床固定部近傍の構成を示す図である。
【図5】第五の実施形態に係るCD管50の床固定部近傍の構成を示す図である。
【図6】第六の実施形態に係るCD管60の断面構成を示す図である。
【図7】第七の実施形態に係るCD管70の断面構成を示す図である。
【図8】従来のCD管100の配管施工態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る樹脂製CD管の実施形態について、図1乃至7を参照してさらに詳細に説明する。重複を避けるため、各図において同一構成には同一符号を用いて示している。なお、本発明の範囲は特許請求の範囲記載のものであって、以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0017】
(第一の実施形態)
図1(a)乃至1(c)を参照して、樹脂製CD管1は中空筒状の断面小判形状に構成され、管外周面に凸部2aと凹部2bが交互に形成されている。CD管1は、このような構造(コルゲート構造)により可撓性が向上し、施工時において現場の状況に合わせて湾曲配置容易に構成されている。CD管の樹脂材質としては、例えば高密度(硬質)ポリエチレンを用いることができる。
凸部2aは一定幅(d)に形成されているが、所定の間隔でこれより幅広d’(d'>d)の凸部(以下、幅広凸部2c)が配列されている。幅広凸部は、従来から配管長の目安、材料印字部等を目的として、一定間隔(例えば1m)で設けられていることが多く、本実施形態ではこの部分を床固定部として利用するものである。
【0018】
幅広凸部2cの底面2d側の両端には、床固定部3が管外縁2fより突出して設けられている。床固定部3にはビス取付孔4が設けられており、取付ビス8により床面9に固定させることができる。床固定部3の外縁は半円形状に形成されている。
【0019】
次に、図1(c)を参照して、CD管1を暖房用配管6の鞘管として用いる場合の設置態様について説明する。CD管1の中空部2eに、予め又は施工時に暖房用配管6を挿通する。暖房用配管6は、架橋ポリエチレン材質の一対の温水ペアチューブ6bをアルミテープ6aで巻きつけ束ね、その外側に信号線6cを配線して構成されている。なお、信号線の本数、配線位置については熱源機、コントローラの種類等に応じて、種々のタイプがある。
設置に際しては、CD管1の底面2d及び床固定部3を床面9に密接させて載置後、ワッシャー8aを介在させてビス取付孔4に取付ビス8を挿通し、床面9に固定する。
この場合、必ずしも全ての床固定部3を用いて固定する必要はなく、設置後に蛇行等の支障が生じない範囲で状況(直線部、曲線部等)に応じた対応をとることができる。以下の実施形態においても同様である。
【0020】
なお、本実施形態では幅広凸部2cに床固定部3を設ける例を示したが、これに限らず通常の凸部2aに床固定部3を設ける態様とすることもできる。
【0021】
また、本実施形態では凸部がリング状に形成されるコルゲート構造の例を示したが、これに限らず凸部が螺旋状に形成される構造とすることもできる。以下の実施形態においても同様である。
【0022】
また、本実施形態では断面小判形状のCD管に床固定部を設ける例を示したが、断面円形のCD管に床固定部を設ける態様とすることもできる。以下の実施形態においても同様である。
【0023】
(第二の実施形態)
次に図2(a)、図2(b)を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態に係るCD管20が上述のCD管1と異なる点は、床固定部の構成である。すなわち、CD管1では幅広凸部2cの底面両端に床固定部3が設けられているのに対して、CD管20では底面2dの片側、かつ、図2(b)において左右(図2(a)において上下)交互に床固定部21,22が設けられている。その他の構成については上述の実施形態と同様であるので、重複説明を省略する。また、暖房用配管等の挿通、取付ビスによる床面への固定についても同様であるので、重複説明を省略する。
以上の構成により、CD管20はCD管1と比較して床面固定箇所を1/2に減らすことができ、ビス使用数の減少、施工作業効率等のさらなる向上が可能となる。
【0024】
(第三の実施形態)
次に図3を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態に係るCD管30が上述のCD管20と異なる点は、ビス取付孔の構成である。すなわち、CD管20ではビス取付孔4は丸孔形状に構成されているのに対して、CD管30の床固定部31に設けられているビス取付孔32は、側面から嵌入可能とするように開口部32aが設けられている。その他の構成については上述の実施形態と同一であるので、重複説明を省略する。
掛かる構成により、CD管30では開口部32aにより、例えば上側からビスを差し込むことが困難な狭所での施工自由度が増して、作業効率の向上に資する。
【0025】
(第四の実施形態)
次に図4を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態に係るCD管40が上述のCD管20等と異なる点は、幅広凸部の幅長さである。すなわち、CD管40の幅広凸部41の幅d”は、CD管20の幅広凸部2cの幅d’と比較してさらに広く構成されている。これに伴い床固定部42の根元部分についてもより幅広に構成され、CD管20等では半円形状であるのに対して、CD管40の床固定部42では緩やかな裾野を有する山形形状に構成されている。その他の構成及び床面への固定方法については上述の実施形態と同一であるので、重複説明を省略する。
CD管40は上記構成により、床固定部の強度をより高くすることができ、施工後の安定性がより向上する。
【0026】
なお、本実施形態では床固定部42を片側端部に備えた例を示したが、両端部に床固定部42を片側端部に備える態様とすることもできる。以下の該当する実施形態についても同様である。
【0027】
(第五の実施形態)
次に図5を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態に係るCD管50が上述のCD管40と異なる点は、ビス取付孔の構成である。
すなわち、CD管40ではビス取付孔4は丸孔形状に設けられているのに対して、CD管50のビス取付孔53についてはCD管40と同様に側面に開放部53aが設けられている。その他の構成については上述の各実施形態と同一であるので、重複説明を省略する。
CD管50は上記構成により、CD管40と同様に床固定部52の強度を高めつつ、さらに施工時において上側からビスを差し込むことが困難な狭い場所での施工等に際して自由度が増し、作業効率の向上に資する。
【0028】
(第六の実施形態)
さらに図6を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態に係るCD管60が上述の各CD管と異なる点は、管長である。すなわち、CD管1等では1本の長尺管により構成され、凸部2aに所定の間隔で床固定部2aが設けられている。
これに対して本実施形態のCD管60では、比較的短い2種類のユニットCD管(床固定部付ユニットCD管61及び床固定部なしユニットCD管62)の組み合わせにより構成されている。両ユニットの端部にはそれぞれ嵌合接続機構61a、62aが設けられており、必要に応じて適宜、嵌合接続することにより所望の管長に調整可能に構成されている。なお、ユニットCD管61とユニットCD管62は必ずしも交互に接続させることなく、床固定の必要な箇所に床固定部付ユニットCD管61を配置するように組み合わせれば足りる。
【0029】
(第七の実施形態)
さらに本発明の他の実施形態について説明する。図7を参照して、本実施形態に係るCD管70が上述の各CD管と異なる点は、樹脂材質及び層構成である。すなわち、上述の各CD管では一体として硬質樹脂(例えば硬質ポリエチレン)により構成されている。これに対して本実施形態のCD管70は2層構造であり、内層71はCD管1等と同じく硬質ポリエチレン、外層72及び床固定部73は軟質樹脂、例えばシリコンゴム等により構成されている。その他の構成については上述の実施形態と同一であるので、重複説明を省略する。
CD管70は床固定部73に軟質樹脂材質を用いたことにより狭い場所にも配管容易であり、施工自由度が増して作業効率の向上に資する。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は温水暖房用鞘管としてのみならず、給湯用配管、電線用鞘管等に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0031】
1、20、30、40、50、60、70・・・樹脂製CD管
2a・・・凸部
2b・・・凹部
2c、41、51・・・幅広凸部
2d・・・中空部
3,21,22、31、42、52、73・・・・床固定部
4、32,43、53・・・・ビス取付孔
61a、62a・・・・嵌合接続機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管外周面に凸部と凹部が交互に形成され、可撓性を有する樹脂製CD管であって、
一部の該凸部は、ビス取付孔を有する床固定部を備えて成ることを特徴とする樹脂製CD管。
【請求項2】
前記床固定部を本体底面側の端部に突出させて形成し、かつ、床面に密接設置可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の樹脂製CD管。
【請求項3】
前記床固定部を、本体底面側の左右両端部に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂製CD管。
【請求項4】
前記床固定部を、本体底面側の片側端部に左右交互に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂製CD管。
【請求項5】
前記床固定部を本体上面側にも備え、かつ、底面側と上面側交互に備えたことを特徴とする請求項3又は4に記載の樹脂製CD管。
【請求項6】
前記樹脂製CD管は、前記床固定部を有する第一ユニットと、前記床固定部を有さない第二ユニットと、を備え、かつ、第一ユニットと第二ユニットとを嵌合可能に構成したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の樹脂製CD管。
【請求項7】
前記ビス取付孔は、取付用ビスを側面から嵌入可能とする開放部を備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の樹脂製CD管。
【請求項8】
前記床固定部の平面形状を、緩やかな裾野を有する山形形状に構成したことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の樹脂製CD管。
【請求項9】
前記樹脂製CD管は、硬質樹脂を用いた内層と、柔軟性を有する軟質樹脂を用いた外層と、の2層構造としたことを特徴とする請求項1に乃至8のいずれかに記載の樹脂製CD管。
【請求項1】
管外周面に凸部と凹部が交互に形成され、可撓性を有する樹脂製CD管であって、
一部の該凸部は、ビス取付孔を有する床固定部を備えて成ることを特徴とする樹脂製CD管。
【請求項2】
前記床固定部を本体底面側の端部に突出させて形成し、かつ、床面に密接設置可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の樹脂製CD管。
【請求項3】
前記床固定部を、本体底面側の左右両端部に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂製CD管。
【請求項4】
前記床固定部を、本体底面側の片側端部に左右交互に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂製CD管。
【請求項5】
前記床固定部を本体上面側にも備え、かつ、底面側と上面側交互に備えたことを特徴とする請求項3又は4に記載の樹脂製CD管。
【請求項6】
前記樹脂製CD管は、前記床固定部を有する第一ユニットと、前記床固定部を有さない第二ユニットと、を備え、かつ、第一ユニットと第二ユニットとを嵌合可能に構成したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の樹脂製CD管。
【請求項7】
前記ビス取付孔は、取付用ビスを側面から嵌入可能とする開放部を備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の樹脂製CD管。
【請求項8】
前記床固定部の平面形状を、緩やかな裾野を有する山形形状に構成したことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の樹脂製CD管。
【請求項9】
前記樹脂製CD管は、硬質樹脂を用いた内層と、柔軟性を有する軟質樹脂を用いた外層と、の2層構造としたことを特徴とする請求項1に乃至8のいずれかに記載の樹脂製CD管。
【図1(a)】
【図1(b)】
【図1(c)】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図1(b)】
【図1(c)】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2013−36531(P2013−36531A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172752(P2011−172752)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】
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