説明

樹脂複合材料及び樹脂複合材料の製造方法

【課題】炭素系フィラーを少量添加しただけで燃焼残渣を多くすることができ、難燃性を確実に高め得る樹脂複合材料及びその樹脂複合材料の製造方法を提供する。
【解決手段】合成樹脂に薄片化黒鉛が分散されており、不活性ガス雰囲気下で500℃まで加熱する燃焼試験により測定された燃焼残渣が10重量%以上である樹脂複合材料、及び薄片化黒鉛が分散されている薄片化黒鉛分散液を用意する工程と、前記薄片化黒鉛分散液を、合成樹脂が溶解または分散されている合成樹脂溶液または合成樹脂分散液に混合し、樹脂複合体溶液を作製する工程と、前記樹脂複合体溶液から溶媒を除去する工程とを備える樹脂複合材料の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、黒鉛などの炭素系材料が分散されている樹脂複合材料及びその樹脂複合材料の製造方法に関し、特に、難燃性に優れ、燃焼残渣を多くすることができる、樹脂複合材料及びその樹脂複合材料の製造方法を提供することにある。
【背景技術】
【0002】
従来、合成樹脂成形品などの耐熱性や機械的強度を高めるために、合成樹脂に無機充填材料を添加してなる樹脂複合材料が種々提案されている。例えば下記の特許文献1では、熱可塑樹脂に層状珪酸塩が微細に分散されている熱可塑樹脂複合材料が開示されている。ここでは、層状珪酸塩を微細に分散させることにより、燃焼残渣を多くし、熱可塑樹脂複合材料からなる成形品の耐熱性を高めることができるとされている。
【0003】
また、下記の特許文献2には、熱可塑性樹脂と、グラファイトなどの炭素系材料からなるフィラーを溶融混練し、得られた溶融混練物を成形することにより樹脂成形物を得る方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO03/66740
【特許文献2】特開2008−266577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1や特許文献2に記載のように、従来、合成樹脂からなる成形体の耐熱性や機械的強度を高めるために、層状珪酸塩やグラファイトなどの無機フィラーを配合してなる樹脂複合材料が種々提案されている。
【0006】
また、近年、特許文献1に記載の層状珪酸塩のように、nmオーダーのフィラーを複合化してなる、いわゆるナノコンポジットが注目されている。ナノコンポジットでは微細なフィラーが分散されているため、得られる熱可塑性樹脂複合材料からなるシートや各種形状の成形体の物性を高めたり、柔軟性を付与したりすることができるとされている。しかしながら、このようなナノコンポジットにおいても、熱可塑性樹脂にnmオーダーのフィラーを単に溶融混練により配合しただけでは、該フィラーが均一に分散され難かった。そのため、燃焼残渣の多い、難燃性に優れた成形体を確実に提供することは困難であった。すなわち、例えば層状珪酸塩を配合した場合、かなり多くの層状珪酸塩を樹脂に配合しなければ、燃焼残渣を多くすることができなかった。
【0007】
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、炭素系フィラーを少量添加しただけで、燃焼残渣を多くすることができ、従って難燃性を確実に高め得る樹脂複合材料及びその樹脂複合材料の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る樹脂複合材料は、合成樹脂に薄片化黒鉛が分散されており、不活性ガス雰囲気下で500℃まで加熱する燃焼試験により測定された燃焼残渣が10重量%以上である。
【0009】
本発明に係る樹脂複合材料のある特定の局面では、前記薄片化黒鉛が酸化薄片化黒鉛である。この場合、酸化薄片化黒鉛が、酸素と反応する官能基を有する樹脂、例えばポリメチル(メタ)アクリレートや、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル等と容易に反応する。そのため、樹脂複合材料において、薄片化黒鉛と合成樹脂との密着性をさらに高めることができる。従って、燃焼残渣をより一層多くすることができる。
【0010】
本発明に係る樹脂複合材料の他の特定の局面では、前記合成樹脂と前記薄片化黒鉛との合計100重量%に対し、前記薄片化黒鉛の割合が0重量%を超え、50重量%以下の範囲である。薄片化黒鉛の含有割合がこの範囲内である場合、燃焼残渣をより一層多くすることができる。従って、樹脂複合材料の難燃性をさらに高めることができる。
【0011】
本発明に係る樹脂複合材料の別の特定の局面では、前記合成樹脂が非晶性樹脂である。この場合、非晶性樹脂と薄片化黒鉛との接触頻度が高くなる。従って、樹脂複合材料の難燃性を効果的に高めることができる。
【0012】
本発明に係る樹脂複合材料のさらに他の特定の局面では、前記合成樹脂が、粒子径20nm〜30μmの樹脂微粒子である。この場合、合成樹脂と薄片化黒鉛の接触面積が大きくなる。従って、樹脂複合材料の難燃性を効果的に高めることができる。
【0013】
より好ましくは、前記樹脂微粒子が、スチレンとスチレンスルホン酸ナトリウムとの共重合体からなる。この場合、前期樹脂微粒子の有する−SO基の含有量を調整することにより、得られる前記樹脂微粒子の粒子径を任意に制御することができる。加えて、スチレンとスチレンスルホン酸ナトリウムとの共重合体はランダム共重合体であるため、前記樹脂微粒子は非晶性ポリスチレンに分類される。そのため、前記樹脂微粒子と薄片化黒鉛との接触頻度が高くなる。従って、樹脂複合材料の難燃性を大幅に高めることができる。
【0014】
本発明に係る複合樹脂材料の製造方法は、薄片化黒鉛が分散されている薄片化黒鉛分散液を用意する工程と、前記薄片化黒鉛分散液を、合成樹脂が溶解または分散されている合成樹脂溶液または合成樹脂分散液に混合し、樹脂複合体溶液を作製する工程と、前記樹脂複合体溶液から溶媒を除去する工程とを備える。
【0015】
本発明に係る樹脂複合材料の製造方法のある特定の局面では、前記薄片化黒鉛分散液を用意する工程において、前記薄片化黒鉛を酸化し酸化薄片化黒鉛とする。
【0016】
本発明に係る樹脂複合材料の製造方法の他の特定の局面では、前記合成樹脂として、ポリスチレン、スチレンとスチレンスルホン酸ナトリウムとの共重合体、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリ乳酸、ポリアクリロニトリル及びそれらの複合体からなる群から選択された少なくとも一種の合成樹脂を用いる。これらの合成樹脂は、薄片化黒鉛と多くの接触面において接触することができる。そのため、得られる樹脂複合材料の燃焼残渣をより一層多くすることができる。
【0017】
本発明に係る樹脂複合材料の製造方法の別の特定の局面では、前記合成樹脂がポリメチル(メタ)アクリレートであり、前記合成樹脂溶液を用意するに際し、前記ポリメチル(メタ)アクリレートをエタノール水溶液に加熱下で溶解する。ポリメチル(メタ)アクリレートは、エタノール水溶液に加熱下で溶解することができる。そのため、酸化薄片化黒鉛の含有の分散液を添加して、混合することにより、薄片化黒鉛を合成樹脂中に均一に分散してなる樹脂複合材料を確実に得ることができる。
【0018】
本発明に係る樹脂複合材料の製造方法のさらに別の特定の局面では、前記合成樹脂が非晶性樹脂である。この場合、非晶性樹脂と薄片化黒鉛との接触頻度が高くなる。従って、得られる樹脂複合材料の難燃性を効果的に高めることができる。
【0019】
本発明に係る樹脂複合材料の製造方法のまた他の特定の局面では、前記合成樹脂が、粒子径20nm〜30μmの樹脂微粒子である。この場合、合成樹脂と薄片化黒鉛の接触面積が大きくなる。従って、得られる樹脂複合材料の難燃性を効果的に高めることができる。
【0020】
より好ましくは、前記樹脂微粒子が、スチレンとスチレンスルホン酸ナトリウムとの共重合体からなる。この場合、前期樹脂微粒子の有する−SO基の含有量を調整することにより、得られる前記樹脂微粒子の粒子径を任意に制御することができる。加えて、スチレンとスチレンスルホン酸ナトリウムとの共重合体はランダム共重合体であるため、前記樹脂微粒子は非晶性ポリスチレンに分類される。そのため、前記樹脂微粒子と薄片化黒鉛との接触頻度が高くなる。それによって、燃焼後の燃焼残渣が大幅に増加する。従って、得られる樹脂複合材料の難燃性を大幅に高めることができる。
【0021】
本発明に係る樹脂複合材料の製造方法のまた別の特定の局面では、前記合成樹脂と前記薄片化黒鉛との合計100重量%に対し、前記薄片化黒鉛の添加割合を50重量%以下とする。この場合には、得られる燃焼残渣の量をより一層高めることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る樹脂複合材料は、合成樹脂に薄片化黒鉛が分散されており、不活性ガス雰囲気下で500℃まで加熱する燃焼試験により測定された燃焼残渣が10重量%以上であるため、難燃性が高められた樹脂複合材料を提供することが可能となる。
【0023】
上記薄片化黒鉛を含有させてなる本発明の樹脂複合材料では、難燃性を効率的に高めることができる。そのため、薄片化黒鉛の含有割合が少ない場合であっても、燃焼残渣を10重量%以上とすることができる。従って、充填剤としての薄片化黒鉛の含有割合を少なくすることにより、様々な機械的物性を有する樹脂複合材料を容易に提供することが可能となる。
【0024】
本発明に係る樹脂複合材料の製造方法は、上記各工程を備えるため、燃焼残渣が10重量%以上である難燃性に優れた本発明の樹脂複合材料を容易に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0026】
(合成樹脂)
本発明に係る樹脂複合材料は、合成樹脂と、後述の薄片化黒鉛とを含み、上記合成樹脂中に上記薄片化黒鉛が分散されている。上記合成樹脂は特に限定されず、樹脂複合材料のマトリクス樹脂として使用可能な適宜の合成樹脂を用いることができる。
【0027】
好ましくは、上記合成樹脂として非晶性樹脂を用いることができる。その場合には、上記非晶性樹脂と上記薄片化黒鉛との接触頻度が高くなる。それによって、上記薄片化黒鉛による効果が発揮され易くなる。従って、樹脂複合材料の燃焼残渣をより一層多くすることができる。上記非晶性樹脂としては特に限定されず、適宜の非晶性樹脂を用いることができる。好ましくは、上記非晶性樹脂としてはスチレンとスチレンスルホン酸ナトリウムとの共重合体を用いられる。
【0028】
上記合成樹脂は、粒子径20nm〜30μmの樹脂微粒子であることが好ましい。その場合には、合成樹脂と薄片化黒鉛の接触面積が大きくなる。そのため、樹脂複合材料の燃焼後の燃焼残渣が効果的に増加する。従って、樹脂複合材料の難燃性を効果的に高めることができる。
【0029】
上記樹脂微粒子の粒子径が20nm以下の場合には、上記樹脂微粒子同士が凝集することがある。そのため、上記樹脂微粒子と薄片化黒鉛との接触面積がかえって小さくなることがある。上記樹脂微粒子の粒子径が30μmを超える場合、粒子径が大きくなるにつれて粒子の表面積は小さくなるため、合成樹脂と薄片化黒鉛の接触面積が小さくなる。そのため、燃焼残渣が効率よく得られなくなる。
【0030】
より好ましくは、上記合成樹脂は、スチレンとスチレンスルホン酸ナトリウムとの共重合体からなる樹脂微粒子である。その場合には、上記樹脂微粒子の有する−SO基の含有量を調整することにより、得られる上記樹脂微粒子の粒子径を任意に制御することができる。それによって、上記樹脂微粒子の粒子径を上述の20nm〜30μmの範囲に容易に調整することができるため、合成樹脂と薄片化黒鉛の接触面積を容易に大きくすることができる。加えて、スチレンとスチレンスルホン酸ナトリウムとの共重合体はランダム共重合体であるため、得られるポリスチレンポリマーは非晶性樹脂となる。そのため、上述した樹脂微粒子による効果と非晶性樹脂による効果の相乗効果により、樹脂複合材料が燃焼した際におけるチャー化がより一層促進され、燃焼後の燃焼残渣が大幅に増加する。従って、上記合成樹脂としてスチレンとスチレンスルホン酸ナトリウムとの共重合体からなる樹脂微粒子を用いることにより、本発明の樹脂複合材料の難燃性を大幅に高めることができる。
【0031】
(薄片化黒鉛)
本発明に係る樹脂複合材料では、上記合成樹脂中に、薄片化黒鉛が分散されている。それによって、本発明の樹脂複合材料を不活性ガス雰囲気下で20℃から500℃まで10℃/分の割合で加熱する燃焼試験により測定される燃焼残渣の量を10重量%以上とすることができる。すなわち、上記薄片化黒鉛によって、本発明の樹脂複合材料の難燃性が高められている。
【0032】
本発明において、薄片化黒鉛とは、元の黒鉛を剥離処理して得られるものであり、元の黒鉛よりも比表面積の大きいグラフェンシート積層体をいう。薄片化黒鉛におけるグラフェンシート比表面積は、元の黒鉛より大きければよいが、本発明においては、100〜2500m/gの範囲が好ましい。
【0033】
上記薄片化黒鉛を得る方法は特に限定されず、黒鉛に層間に硝酸イオンなどのイオンを挿入した後に加熱処理する化学的処理方法、超音波の印加などの物理的処理方法、あるいは黒鉛を作用極として電気分解を行う電気化学的方法など、従来公知の様々な方法により得ることができる。例えば、以下のような方法により黒鉛を解枠処理することによって薄片化黒鉛を得ることができる。まず、黒鉛の層間に電解質イオンを挿入する電気化学法などにより上記黒鉛の層間に層間物質を挿入し、層間距離を拡げた膨張化黒鉛とする。次に、膨張化黒鉛を、急速に加熱することにより膨張化黒鉛を剥離し、複数の薄片化黒鉛に分離することができる。
【0034】
本発明では、上記薄片化黒鉛が酸化薄片化黒鉛であってもよい。酸化薄片化黒鉛とは、元の黒鉛を剥離処理した薄片化黒鉛を酸化したもの、あるいは酸化黒鉛を剥離処理して得られるものであり、元の黒鉛あるいは酸化黒鉛よりも比表面積の大きい酸化グラフェンシートの積層体をいう。
【0035】
上記酸化薄片化黒鉛を得る方法は、特に限定されない。例えば、黒鉛粉末を原料とし、Hummers法などの既知の方法によって、酸化度の高い薄片化黒鉛が分散した溶液を得ることができる。
【0036】
本発明の樹脂複合材料における薄片化黒鉛の含有割合は、上記樹脂複合材料を不活性ガス雰囲気下で20℃から500℃まで10℃/分の割合で加熱する燃焼試験により測定される燃焼残渣の量を10重量%以上とすることができる限り、特に限定されない。好ましくは、上記合成樹脂と上記薄片化黒鉛との合計100重量%に対し、0重量%を超え、50重量%以下の範囲である。その場合には、上述の燃焼試験により測定される燃焼残渣の量をさらに多くすることができる。
【0037】
従来、樹脂複合材料に層状珪酸塩などの他の無機フィラーを配合して難燃性を高めることが試みられていたが、その場合には、多量の層状珪酸塩を合成樹脂に配合しなければならなかった。これに対し、本発明の樹脂複合材料では、少量の薄片化黒鉛を含有させるだけで、燃焼残渣を10重量%以上と高くすることができる。そのため、樹脂複合材料に配合される無機フィラーの含有割合を非常に少なくすることができる。それによって、様々な機械的物性を有する樹脂複合材料を容易に提供することができる。
【0038】
上記薄片化黒鉛の配合割合は、上記樹脂複合材料に含まれる上記合成樹脂の種類や、後述するその他の添加物の種類及び添加量に応じて、適宜調整することが好ましい。例えば、上記合成樹脂としてポリメチル(メタ)アクリレートを用いる場合には、上記合成樹脂と上記薄片化黒鉛との合計100重量%に対し、上記薄片化黒鉛の配合割合を1重量%以下とすることがより好ましく、0.2重量%以下とすることがさらに好ましい。その場合には、上記薄片化黒鉛が極めて少量であっても、上述の燃焼試験により測定される燃料残渣の量を効果的に増やすことができる。
【0039】
さらに、上記合成樹脂としてスチレンとスチレンスルホン酸ナトリウムとの共重合体からなる樹脂微粒子を用いる場合には、上記樹脂微粒子と上記薄片化黒鉛との反応により、樹脂複合材料が燃焼した際におけるチャー化が促進される。そのため、上述の燃焼試験により測定される燃料残渣の量が大幅に増加する。このような樹脂微粒子を用いる場合には、上記合成樹脂と上記薄片化黒鉛との合計100重量%に対し、上記薄片化黒鉛の配合割合を0.1重量%〜50重量%の範囲とすることがより好ましい。上記薄片化黒鉛の配合割合を上記範囲とすることによって、上述の燃焼試験により測定される燃料残渣の量をより一層増やすことができる。
【0040】
(他の成分)
本発明に係る樹脂複合材料は、本発明の目的を阻害しない範囲で、様々な添加剤を含んでいてよい。このような添加剤としては、フェノール系、リン系、アミン系もしくはイオウ系等の酸化防止剤;金属害防止剤;ヘキサブロモビフェニルエーテルもしくはデカブロモジフェニルエーテル等のハロゲン化難燃剤;ポリリン酸アンモニウムもしくはトリメチルフォスフェート等の難燃剤;各種充填剤;帯電防止剤;安定剤;顔料等を挙げることができる。
【0041】
(樹脂複合材料の製造方法)
本発明に係る樹脂複合材料の製造方法では、まず、薄片化黒鉛が分散されている薄片化黒鉛分散液を用意する工程を行う。上記薄片化黒鉛分散液は、例えば、水やアルコールなどの極性分散媒中に、適宜の方法により上記薄片化黒鉛を分散させることによって用意することができる。その際、超音波を照射することにより、薄片化黒鉛の分散度を高めることもできる。
【0042】
また、上記薄片化黒鉛分散液を得る工程においては、例えば、原料として黒鉛を用意し、上記黒鉛の層間に硝酸水溶液などを用いての電解質を挿入して膨張化黒鉛を得た後、上記膨張化黒鉛から余分な水分を取り除いてから急速加熱することによって、薄片化黒鉛を得ることができる。このようにして得られた薄片化黒鉛を任意の分散媒に分散させることによって、上記薄片化黒鉛分散液を得ることができる。この電解質の挿入に際しては、電気分解法などを用いることができる。また、上記電解質としては、硝酸に限らず、硫酸、塩酸または過酸化水素水を用いてもよい。
【0043】
上記急速加熱条件については、用いる電解質によっても異なるが、例えば、5℃/秒〜30℃/秒の昇温速度で加熱することが好ましい。この範囲内の昇温速度で昇温することにより、薄片化黒鉛の比表面積を十分に大きくすることができる。
【0044】
また、上記急速加熱に際しての加熱温度は、200℃〜1200℃の範囲が望ましい。350℃以上に加熱することにより、薄片化黒鉛の比表面積を十分に大きくすることができる。もっとも、加熱温度が1300℃を超えると、薄片化黒鉛の比表面積が小さくなるおそれがある。
【0045】
もっとも、薄片化黒鉛分散液を得る方法は特に限定されず、上記電気分解法に加えて、改良Hummers法などの既知の化学的方法や、気相低圧反応法で膨張黒鉛を作製した後、電気分解法と同様に急速加熱を行うことにより薄片化黒鉛を得る方法などを用いることもできる。
【0046】
改良Hummers法を用いて薄片化黒鉛の水分散液を得る方法としては次の手順による。まず、黒鉛を解枠して黒鉛粉末とし、氷浴しながら濃硫酸を添加・撹拌する。次に、過マンガン酸カリウムをゆっくり添加しつつ撹拌し、35℃程度で30分反応させる。次に、純水をゆっくり加え、98℃前後で15分反応させて薄片化黒鉛を得る。続いて、純水と過酸化水素水とを加えて反応を停止させる。その後、得られた溶液から遠心分離やろ過などにより上記薄片化黒鉛を回収する。得られた薄片化黒鉛は希塩酸および純水で十分洗浄し、所定の濃度で純水に分散させることによって、薄片化黒鉛分散液を得ることができる。
【0047】
本願発明者らは、上記のようにして得られた薄片化黒鉛の水分散液を乾燥させて水を除去した後、XPS測定によって元素分析を行った。それによると、上記薄片化黒鉛はC原子60%に対してO原子35%の原子数比率を備えており、黒鉛が高い割合で酸化されていた。すなわち、このようにして得られた薄片化黒鉛は、グラフェンシート表面が酸化した酸化薄片化黒鉛となっていることがわかる。酸化薄片化黒鉛は、酸化による−OH基や−COOH基などの官能基を表面に有しているため、水への分散度がきわめて高い。従って、上記改良Hummers法を用いることにより、上記酸化薄片化黒鉛がさらに均一に分散された薄片化黒鉛分散液を用意することができる。
【0048】
上記薄片化黒鉛分散液を用意する工程では、上述の改良Hummers法による酸化などの方法により、薄片化黒鉛のグラフェンシート表面に官能基を導入してもよい。薄片化黒鉛に官能基を導入することにより、上記分散媒や合成樹脂中における分散性を高めることができる。さらに、上記合成樹脂が、上記薄片化黒鉛の官能基と反応する官能基を有している場合には、樹脂複合材料中にて上記薄片化黒鉛及び上記合成樹脂に存在する官能基同士が反応することにより、上記薄片化黒鉛と上記合成樹脂との密着性が高められる。それによって、本発明の樹脂複合材料において、上記薄片化黒鉛による効果が発揮されやすくなる。従って、得られる樹脂複合材料の燃焼残渣をより一層多くすることができる。
【0049】
次に、本発明の製造方法では、上記薄片化黒鉛分散液を、上記合成樹脂が溶解または分散されている合成樹脂溶液または合成樹脂分散液に混合する工程を行う。それによって、上記薄片化黒鉛と上記合成樹脂を吸着させ、上記薄片化黒鉛と上記合成樹脂との樹脂複合材料溶液を作製する。
【0050】
なお、前述の薄片化黒鉛分散液を用意する工程では、黒鉛または膨張化黒鉛が分散媒に分散された分散媒に、上記合成樹脂溶液または合成樹脂分散液を混合してもよい。それによって、上記膨張化黒鉛を剥離して薄片化黒鉛とし、上記薄片化黒鉛分散液を得ると共に、得られた上記薄片化黒鉛分散液と上記合成樹脂溶液または上記合成樹脂分散液とを混合することができる。
【0051】
上記合成樹脂溶液または上記合成樹脂分散液については、上記合成樹脂を分散もしくは溶解し得る適宜の分散媒または溶媒に、上記合成樹脂を分散もしくは溶解することにより得ることができる。上記分散媒または上記溶媒は、使用する合成樹脂に応じて適宜選択すればよい。上記分散媒または上記溶媒としては、例えば、水、アルコール、NMPまたはTHFなどを用いることができる。
【0052】
上記分散媒または上記溶媒の温度は、使用する上記分散媒または上記溶媒の種類にもよるが、温度範囲は凝固点〜沸点の温度範囲である。上記分散媒または上記溶媒の温度が低すぎると、上記合成樹脂が上記溶媒に溶解しなかったり、上記溶媒中に溶解していた上記合成樹脂が析出したりするおそれがある。上記分散媒または上記溶媒の温度が高すぎると、上記分散媒または上記溶媒が沸騰するおそれがある。
【0053】
上記合成樹脂としてポリメチル(メタ)アクリレート(PMMA)を用いる場合には、好ましくは、上記溶媒としてエタノール水溶液を用いることができる。特に、65℃以上の温度に加熱したエタノール水溶液を溶媒として用いることにより、上記合成樹脂として重量平均分子量Mwが5万以上の比較的大きな分子量のPMMAを用いる場合であっても、上記PMMAを容易に溶解させることができる。
【0054】
上記薄片化黒鉛分散液を合成樹脂の分散液もしくは溶解液に混合する場合には、混合により合成樹脂の分散度が下がったり、合成樹脂の溶解度が下がったりしないように溶媒の種類や温度を選択する必要がある。例えば、PMMAを合成樹脂として用いる場合は、好ましくは、溶解液は65℃以上の温度に加熱したエタノール水溶液を溶媒として用いることできる。その場合には、上記薄片化黒鉛分散液も65℃以上に加熱したエタノール水溶液中に、上記薄片化黒鉛を混合して分散することが望ましい。このとき、上記薄片化黒鉛分散液の温度が低いと、混合時に上記合成樹脂の溶解度が下がってしまい、薄片化黒鉛と上記合成樹脂の接触面積が小さくなってしまうことがある。その結果、得られる樹脂複合材料の熱分解残渣が生成じ難くなることがあり、難燃性が損なわれることがある。同様に、上記薄片化黒鉛分散液の分散媒が、上記合成樹脂の溶解度を下げる種類の場合には、混合時に合成樹脂の溶解度が下がることがある。そのため、熱分解残渣が生成じ難くなることがある。
【0055】
なお、エタノール水溶液を65℃以上に加熱することでPMMAは溶媒に溶解するが、その後50℃を下回ると、一旦溶解したPMMAが析出する可能性がある。また、加熱温度が75℃を超えると、エタノールが沸騰するおそれがある。従って、エタノール水溶液溶媒下において薄片化黒鉛とPMMAとを混合し、均一に撹拌・吸着させるためには、50℃〜75℃の温度範囲で加熱することが好ましい。
【0056】
また、例えばスチレンとスチレンスルホン酸ナトリウムとの共重合体などのポリスチレンからなる樹脂微粒子を合成樹脂として用いる場合には、上記樹脂微粒子表面の官能基により、水に分散することができる。そのため、水を上記樹脂微粒子の分散液として用いることが好ましい。その場合には、上記薄片化黒鉛分散液を得る際に用いられる分散媒にも、水を用いることが望ましい。水の温度によって上記樹脂微粒子や薄片化黒鉛の分散度はあまり変わらないので、混合時の温度は室温でよい。薄片化黒鉛の分散液に用いる溶媒が上記樹脂微粒子の分散状態を損なうような溶液の場合、上記樹脂微粒子同士が凝集することがある。そのため、薄片化黒鉛と上記樹脂微粒子との接触面積が小さくなることがある。その結果、得られる樹脂複合材料の熱分解残渣が生成じ難くなることがあり、難燃性が損なわれることがある。
【0057】
上記薄片化黒鉛と上記合成樹脂とを混合する方法については特に限定されず、適宜の混合方法、例えば撹拌羽などを用いた攪拌などにより行うことができる。また、撹拌時間については、上記薄片化黒鉛を上記合成樹脂中に分散し得る限り特に限定されないが、10分〜10時間の間とすることが望ましい。なお、撹拌時間が10時間を超えると、上記溶媒が揮発することがある。そのため、上記合成樹脂の上記溶媒への溶解度が下がるおそれがある。
【0058】
その後、本発明の製造方法では、上記樹脂複合材料溶液から溶媒を除去する工程を行う。それによって、本発明の樹脂複合材料を得ることができる。
【0059】
上記溶媒を除去する方法は、樹脂複合材料を得ることができる限り特に限定されず、適宜の方法により溶媒を除去することができる。上記溶媒を除去する方法としては、例えば、上記樹脂複合材料溶液を冷却する方法や貧溶媒を添加する方法が挙げられる。これらの方法によれば、上記樹脂複合材料の溶媒への溶解度を下げることによって、樹脂複合材料を析出させることができる。また、遠心分離やろ過等の方法により、溶媒を除去してもよい。これらの溶媒除去方法は単独で用いてもよく、複数の方法を組み合わせて用いてもよい。
【0060】
上記樹脂複合材料の製造に際しては、薄片化黒鉛の配合割合を樹脂複合材料中、33重量%以下とすることが望ましく、更には17重量%以下とすることが望ましい。従って、薄片化黒鉛分散液を合成樹脂溶液に添加する際に、上記薄片化黒鉛及び上記合成樹脂の合計100重量%に対し、薄片化黒鉛が50重量%以下、更に好ましくは20重量%以下となるように薄片化黒鉛分散液を添加することが望ましい。それによって、燃焼試験における燃焼残渣をさらに多くすることができる。従って、難燃性に優れた樹脂複合材料を提供することができる。
【0061】
なお、上記薄片化黒鉛の添加割合は、上記樹脂複合材料に含まれる上記合成樹脂の種類や、後述するその他の添加物の種類及び添加量に応じて、適宜調整することが好ましい。例えば、上記合成樹脂としてポリメチル(メタ)アクリレートを用いる場合には、上記薄片化黒鉛及び上記合成樹脂の合計100重量%に対し、上記薄片化黒鉛の添加割合を1重量%以下とすることがより好ましく、0.2重量%以下とすることがさらに好ましい。その場合には、上記薄片化黒鉛が極めて少量であっても、上述の燃焼試験により測定される燃料残渣の量を効果的に増やすことができる。
【0062】
さらに、上記合成樹脂としてスチレンとスチレンスルホン酸ナトリウムとの共重合体からなる樹脂微粒子を用いる場合には、上記薄片化黒鉛及び上記合成樹脂の合計100重量%に対し、上記薄片化黒鉛の添加割合を1重量%〜50重量%の範囲とすることがより好ましい。上記薄片化黒鉛の配合割合を上記範囲とすることによって、上述の燃焼試験により測定される燃料残渣の量をより一層増やすことができる。
【0063】
(実施例及び比較例)
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を明らかにする。
【0064】
(実施例1)
黒鉛(SECカーボン社製、品番:SNO−15、平均粒径15μm)を用意した。この黒鉛のグラフェン間層間距離をXRDスペクトルより測定したところ、0.336nmであった。上記黒鉛0.25gを、硫酸分98%の濃硫酸11.5mlに入れ、氷浴しつつ1時間攪拌した。しかる後、上記黒鉛の濃硫酸分散液中に、過マンガン酸カリウム1.5gを添加し、攪拌し、35℃で30分間反応させた。さらに、水23mlを添加し、98℃の温度で15分間反応を継続した。しかる後、水70mlと30体積%の過酸化水素水4.5mlを加え、反応を停止させた。しかる後、反応液を14000rpmで30分遠心分離した。しかる後、5%塩酸水溶液および純水でそれぞれ3回洗浄を行い、純水に分散した薄片化黒鉛を得た。
【0065】
この薄片化黒鉛の水分散液をガラスセルに塗布・乾燥し、得られた乾燥体の層間距離をXRDスペクトルで測定したところ、7.557nmであり、黒鉛本来の層間距離である0.335nmを表すピークは検出されなかった。すなわち、XRDスペクトルの結果から、黒鉛が薄片化黒鉛とされていることがわかる。また、同様に薄片化黒鉛の水分散液を塗布・乾燥したガラスセルをSEM観察したところ、薄片化された黒鉛がガラスセル上に塗布されていることを確認した。
【0066】
こうして得られた上記薄片化黒鉛の水分散体を0.6mg/mlの濃度となるように希釈して水に分散させ、薄片化黒鉛分散液を用意した。
【0067】
他方、ポリメチルメタクリレート(PMMA、シグマアルドリッチ社製、平均分子量120,000)2gを、エタノール濃度80重量%のエタノール水溶液に72℃の温度で混合して溶解させることにより、PMMA溶液を得た。このPMMA溶液に対して、PMMA固形分100重量%に対し、上記薄片化黒鉛が固形分で0.04重量%となるように、上記薄片化黒鉛分散液を添加し、70℃の温度で1時間撹拌した。しかる後、20℃の温度に冷却し、樹脂複合材料を析出させた。
【0068】
上記のようにして得られた樹脂複合材料を、窒素ガス雰囲気下で20℃から500℃まで10℃/分の速度で加熱する燃焼試験を行った。燃焼試験前後の重量を測定した。その結果、得られた樹脂複合材料の燃焼試験前の重量を100重量%としたときの燃焼試験後の重量の割合、すなわち燃焼残渣は、10.4重量%であった。
【0069】
(実施例2)
薄片化黒鉛の添加割合を、PMMA固形分100重量%に対し0.09重量%に変更したことを除いては実施例1と同様にして、樹脂複合材料を得た。
【0070】
得られた樹脂複合材料を実施例1と同様にして燃焼試験を行った結果、燃焼残渣は12.0重量%であった。
【0071】
(実施例3)
スチレンとスチレンスルホン酸ナトリウムとの共重合体からなる樹脂微粒子を、以下のようにして作製した。2L重合容器に水1100mL、スチレンモノマー180mLを仕込み、窒素ガスを導入しつつ、撹拌羽により150rpmの撹拌速度で撹拌することによって、乳化液を作製した。別途、乳化剤としてのスチレンスルホン酸モノマーを水で2重量%の濃度に希釈してなる乳化剤溶液を用意した。また、重合開始剤としてのペルオキソ二硫酸カリウムを水で3重量%の濃度に希釈してなる重合開始剤溶液を用意した。
【0072】
上記乳化液を、窒素ガスを導入したまま70℃まで昇温した。次に、上記重合開始剤溶液20mLを添加し、続けて上記乳化剤溶液を50mLを添加した。その後、重合温度を70℃±2℃の範囲に維持したまま8時間重合処理を行った。このようにして、上記樹脂微粒子を含むエマルジョンを得た。
【0073】
上記エマルジョンをTEMで観察したところ、直径約120nmの微粒子が分散していることを確認した。
【0074】
PMMAを上記共重合体からなる上記樹脂微粒子を含むエマルジョンに変更し、上記樹脂微粒子を含むエマルジョン100重量%に対し薄片化黒鉛の添加割合を20.0重量%に変更したことを除いては実施例1と同様にして、樹脂複合材料を得た。
【0075】
得られた樹脂複合材料を実施例1と同様にして燃焼試験を行った結果、燃焼残渣は53.7重量%であった。
【0076】
(比較例1)
実施例1で用いたPMMAについて、実施例1と同様にして燃焼試験を行ったところ、燃焼残渣は0.6重量%であった。
【0077】
(比較例2)
薄片化黒鉛の添加割合を、PMMA固形分100重量%に対し0.26重量%に変更したことを除いては実施例1と同様にして、樹脂複合材料を得た。
【0078】
得られた樹脂複合材料を実施例1と同様にして燃焼試験を行った結果、燃焼残渣は1.2重量%であった。
【0079】
(比較例3)
実施例3で用いた上記樹脂微粒子について、実施例1と同様にして燃焼試験を行ったところ、燃焼残渣は6.5重量%であった。
【0080】
上記実施例1〜3及び比較例1〜3の結果を下記の表1に併せて示す。
【0081】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂に薄片化黒鉛が分散されており、不活性ガス雰囲気下で500℃まで加熱する燃焼試験により測定された燃焼残渣が10重量%以上である、樹脂複合材料。
【請求項2】
前記薄片化黒鉛が酸化薄片化黒鉛である、請求項1に記載の樹脂複合材料。
【請求項3】
前記合成樹脂と前記薄片化黒鉛との合計100重量%に対し、前記薄片化黒鉛の割合が0重量%を超え、50重量%以下の範囲である、請求項1または2に記載の樹脂複合材料。
【請求項4】
前記合成樹脂が非晶性樹脂である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂複合材料。
【請求項5】
前記合成樹脂が、粒子径20nm〜30μmの樹脂微粒子である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂複合材料。
【請求項6】
前記樹脂微粒子が、スチレンとスチレンスルホン酸ナトリウムとの共重合体からなる、請求項5に記載の樹脂複合材料。
【請求項7】
薄片化黒鉛が分散されている薄片化黒鉛分散液を用意する工程と、
前記薄片化黒鉛分散液を、合成樹脂が溶解または分散されている合成樹脂溶液または合成樹脂分散液に混合し、樹脂複合体溶液を作製する工程と、
前記樹脂複合体溶液から溶媒を除去する工程とを備える、樹脂複合材料の製造方法。
【請求項8】
前記薄片化黒鉛分散液を用意する工程において、前記薄片化黒鉛を酸化して酸化薄片化黒鉛とする、請求項7に記載の樹脂複合材料の製造方法。
【請求項9】
前記合成樹脂として、ポリスチレン、スチレンとスチレンスルホン酸ナトリウムとの共重合体、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリ乳酸、ポリアクリロニトリル及びそれらの複合体からなる群から選択された少なくとも一種の合成樹脂を用いる、請求項7または8記載の樹脂複合材料の製造方法。
【請求項10】
前記合成樹脂がポリメチル(メタ)アクリレートであり、前記合成樹脂溶液を用意するに際し、前記ポリメチル(メタ)アクリレートをエタノール水溶液に加熱下で溶解する、請求項9に記載の樹脂複合材料の製造方法。
【請求項11】
前記合成樹脂が非晶性樹脂である、請求項7〜10に記載の樹脂複合材料の製造方法。
【請求項12】
前記合成樹脂が粒子径20nm〜30μmの樹脂微粒子である、請求項7〜11のいずれか1項に記載の樹脂複合材料の製造方法。
【請求項13】
前記樹脂微粒子が、スチレンとスチレンスルホン酸ナトリウムとの共重合体からなる、請求項12に記載の樹脂複合材料の製造方法。
【請求項14】
前記合成樹脂と前記薄片化黒鉛との合計100重量%に対し、前記薄片化黒鉛の添加割合を50重量%以下とする、請求項7〜13のいずれか1項に記載の樹脂複合材料の製造方法。

【公開番号】特開2012−107233(P2012−107233A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237545(P2011−237545)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】