説明

橋梁の維持管理計画支援システム

【課題】 橋梁の変状を適切なレベルで表すことで、経年の変状の進行を予測し、その予測結果に基づき最適な補修補強の組合せを提示することで、低コストでの橋梁の維持管理する。
【解決手段】
橋梁の維持管理を行うために、橋梁の維持管理計画支援システム(BMS)を用いることにより、橋梁を構成する部材の健全度を定量的にかつ客観的に評価し、長期的な劣化を予測する、そしてBMSデータベースは評価条件を作成し、劣化機構毎の劣化予測を自動計算、補正、確定し、またライフサイクルコストを自動計算、補正、確定し、さらに集計、表示を行うことで、最適な対策工法と対策時期を選定でき、橋梁の計画的かつ効率的な維持管理ができ、橋梁の健全度から将来的な保全計画を立案する作業を支援する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁を構成する構造物の劣化を診断し、その診断結果に基づいて適切な維持管理計画を立案する技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、橋梁などを構成する構造物の劣化を早期に発見し、劣化による被害を防止するとともに効果的な補修補強の時期、方法、を判断し、さらには、それらにコスト計算までをするような支援システムの必要性が高まってきている。
【0003】
従来、橋梁の維持管理が包括的に行える橋梁の維持管理計画支援システム(Bridge Management System(以下BMSという。))が提案されている。例えば、劣化診断機能、劣化予測機能、維持管理計画機能、さらには維持管理計画の最適化機能などを有しているものがある。
【0004】
特許文献1によれば、コンクリート構造物の劣化を早期に発見するとともに、点検データを保存し、簡易な目視検査による診断で劣化原因を推定するシステムがある。
詳細には損傷写真のサンプルを用意することにより、劣化度を判定するために必要なデータを保存し、点検における知識面の補助をする。また、点検結果の集計、分析にかかる膨大な時間と労力を低減し、点検結果から、コンクリートの劣化原因を推定するシステムが提案されている。
【0005】
また、特許文献2によれば、橋梁その他の構造物の維持管理に適切な技術情報を広く提供する構造物の技術情報ネットワークシステムおよび、そのコンテンツファイルを記憶する装置が提案されている。
【0006】
例えば、橋梁などの構造物の維持管理に適切かつ必要な専門知識がないとしても、必要なアドバイスをタイミングよく提供し、構造物の構造物管理者および維持管理企業がともに必要十分な技術情報および各種の情報を得ることができる。
【0007】
そして、上記必要十分な技術情報を、いわば構造物の維持管理に関する専門市場として広く一般に公開し、構造物管理者に大きな負担をかけることなく、必要十分な維持管理を適切な時間と費用でタイミングよく維持管理を行うシステム構想が提案されている。
【0008】
また、特許文献3によれば、個々の検査技術者の有する能力を有効に利用して所要時間を短縮し、検査時点における迅速で適切な保守管理を可能にする橋梁保守管理システム及び保守管理方法が提供されている。
【特許文献1】特開2001−349887号公報
【特許文献2】特許3194469号公報
【特許文献3】特開2001−216390号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のBMSにおいては、構造物の劣化を数値化し、その数値に基づいて変状グレードを特定する方法について検討されていなかった。また、橋梁の構造物の劣化箇所を補修するに当り計画を立てる場合、どのような維持管理計画をすることが可能であるかを提案し、その提案に基づいて新たに維持管理計画を立案することまで考えられていなかった。
【0010】
また、さまざまな橋梁の劣化に基づき劣化予測をし、その劣化予測パターンを比較して最も効率的で、コストの安値なパターンの選定を容易に行うことができなかった。
特許文献1の記載では、各劣化機構に関して、現地の構造物を写真などで撮影することにより劣化があるかないかを判断すると同時に、ファジー理論により確からしさを判断しているが、現在の変状について把握することしかできないという問題がある。
【0011】
特許文献2の記載では、点検を行う際の作業員の熟練度に関係なく点検の精度を確保することができるが、点検後の構造物の変状について述べていない。
特許文献3の記載では、橋梁などの管理を行う際に、クライアントに適時に必要な情報を提示することで構造物の維持管理を効率よく低コストで実現しているが、経年の変状を考えた情報までを提示していない。
【0012】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたものであり、橋梁の変状を適切なレベルで表すことで、経年の変状の進行を予測する。さらに、その予測結果に基づき最適な補修補強の組合せを提示することで、低コストでの橋梁の維持管理を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、橋梁に関する情報を提供する橋梁の維持管理計画支援システムにおいて、上記橋梁を構成する部材の劣化機構を複数のランクである変状グレードに分けて表現する変状基準を上記劣化機構毎に共通に設け、上記変状基準を上記劣化機構毎に数値表現して上記変状グレード毎の閾値とし、上記劣化機構毎に対応する劣化予測式により劣化予測値を計算し、上記劣化予測値と上記閾値を比較し当該劣化機構の上記変状グレードを予測する劣化予測手段と、上記変状グレードに対応する補修補強工法を対策費用と対策効果年に基づき選定し、補修補強費用を算出する補修補強費用計算手段と、上記補修補強費用計算手段で算出した結果を集計して出力する補修補強費用の集計手段と、を具備する構成とする。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、上記劣化機構は、少なくとも中性化、塩害、疲労、凍害、化学的侵食、アルカリ骨材反応の内の1つを有する構成とする。
請求項3に記載の発明によれば、上記劣化予測手段は、劣化予測期間の上記変状グレードを時間毎に表示して劣化曲線を作成する構成とする。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、上記劣化予測手段は、補修履歴があるときは上記劣化機構毎の補修補強による効果を上記変状グレードに反映させる構成とする。
請求項5に記載の発明によれば、上記劣化曲線は、上記劣化予測期間に補修履歴があるときに上記変状グレードを補修補強による効果だけ補修時に回復させ、上記劣化予測期間に補修履歴がない期間は上記回復した効果だけ上記劣化曲線を平行移動して上記劣化曲線を補正する構成とする。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、上記劣化曲線は、既に予測した劣化予測による補正と、実測値による補正と、点検による補正の内1つを上記劣化曲線に反映させる構成とする。
【0017】
請求項7に記載の発明によれば、上記劣化曲線は、複数の点検データと点検時期に基づいて上記変状グレードを上記劣化曲線に反映させる構成とする。
請求項8に記載の発明によれば、上記補修補強費用計算手段は、上記変状グレードに基づいて補修補強の実施を予測計算して補修補強シナリオを提案する構成とする。
【0018】
請求項9に記載の発明によれば、上記補修補強シナリオは、上記変状グレードを基準として、上記補修補強の実施時期を換えて複数の上記補修補強ナリオを提案する構成とする
請求項10に記載の発明によれば、上記補修補強費用計算手段は、施工箇所の作業環境条件によって費用を変えて設定することを自動的に判別する構成とする。
【0019】
請求項11に記載の発明によれば、上記作業環境条件として、橋梁に交差物があるときは費用を自動的に判別する構成とする。
請求項12に記載の発明によれば、上記補修補強シナリオの補正をするとき、個別設定または複数の橋梁に関して一括で補正するグループ設定を選択する構成とする。
【0020】
請求項13に記載の発明によれば、上記集計手段は、少なくとも劣化予測結果、補修補強結果の内の1つと共に橋梁に関するデータを表示する構成とする。
請求項14に記載の発明によれば、橋梁に関する情報を提供する橋梁の維持管理計画支援方法において、上記橋梁を構成する部材の劣化機構を複数のランクである変状グレードに分けて表現する変状基準を上記劣化機構毎に共通に設け、上記変状基準を上記劣化機構毎に数値表現して上記変状グレード毎の閾値とし、上記劣化機構毎に対応する劣化予測式により劣化予測値を計算し、上記劣化予測値と上記閾値を比較し当該劣化機構の上記変状グレードを予測し、上記変状グレードに対応する補修補強工法を対策費用と対策効果年に基づき選定し、補修補強費用を算出し、上記補修補強費用計算手段で算出した結果を集計して出力する、ことを特徴とする。
【0021】
請求項15に記載の発明によれば、橋梁の維持管理計画支援をコンピュータに実行させるプログラムであって、上記橋梁を構成する部材の劣化機構を複数のランクである変状グレードに分けて表現する変状基準を上記劣化機構毎に共通に設け、上記変状基準を上記劣化機構毎に数値表現して上記変状グレード毎の閾値とし、上記劣化機構毎に対応する劣化予測式により劣化予測値を計算し、上記劣化予測値と上記閾値を比較し当該劣化機構の上記変状グレードを予測する劣化予測機能と、上記変状グレードに対応する補修補強工法を対策費用と対策効果年に基づき選定し、補修補強費用を算出する補修補強費用計算機能と、上記補修補強費用計算手段で算出した結果を集計して出力する補修補強費用の集計機能と、をコンピュータに実現させるためのプログラムである。
【0022】
請求項16に記載の発明によれば、橋梁に関する情報を提供する橋梁の維持管理計画支援システムにおいて、上記橋梁を構成する部材の劣化機構を複数のランクである変状グレードに分けて表現する変状基準を上記劣化機構毎に共通に設け、上記変状基準を上記劣化機構毎に数値表現して上記変状グレード毎の閾値とし、上記劣化機構毎に対応する劣化予測式により劣化予測値を計算し、上記劣化予測値と上記閾値を比較し当該劣化機構の上記変状グレードを予測する構成とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、BMS−DBを用いることにより、橋梁を構成する部材の健全度を定量的にかつ客観的に評価し、長期的な劣化を予測できる。また、最適な対策工法と対策時期を選定することにより、橋梁の計画的かつ効率的な維持管理をすることで、橋梁の健全度から将来的な保全計画を立案する作業を支援することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下図面に基づいて、本発明の実施形態について詳細を説明する。なお、複数の図面に同じ要素を示す場合には同一の参照符号を付ける。

(橋梁の維持管理計画支援システム構成)
橋梁の維持管理計画支援システム(BMS)の構成について図1に示すように、サーバ10とクライアント11は、インターネットや公衆回線、専用回線などを介して接続される。そして、サーバ10とクライアント11は交信を行い、クライアント11はサーバ10に命令するための操作と表示画面を制御する。
【0025】
次に、クライアント11から設定した命令をサーバ10に送信する。クライアント11から送信された命令をサーバ10が受信すると、命令時に設定された処理内容をサーバ10が処理し、その処理結果をクライアント11に通知する。そして、クライアント11に対して処理結果を送信し、処理結果を受信したクライアント11は処理結果を表示し利用者に結果を通知する。
【0026】
また、クライアント11を用いて、サーバ10のBMS−DBのデータ整備行うために、基本データ13、補完処理環境条件データ14などをコンバートできる構成である。
そして、基本的には技術者を中心としてBMSを用いることで、橋梁の健全度から将来的な保全計画を立案する作業を支援することが可能になる。
【0027】
なお、同図に示すシステム構成は一例であり、BMSのシステム構成が本構成に限定されるわけではない。

(BMS導入)
システムの導入時に、サーバ10のBMS−DBが所定のテーブル構成により構築される。そして、後述するデータ補完や変状グレードの閾値および補修補強工法に関する各種パラメータデータ、各種基本データ、例えば図2のような構造で構成されたコードデータ(橋梁種別コード、構造種別コード、橋梁類コードなど)の初期設定値が自動的にBMS−DBに設定される。
【0028】
なお、システム導入時のBMS−DBへの設定は、予め初期値を決めて設定しているが、過去の実績に基づいて順次更新された最新のデータを再設定してもかまわない。また、別途データベースシステムを設け、このデータベースシステムから定期的に自動的または手動により設定することも可能である。

(BMS−DBのフロー)
BMSは、橋梁を構成する部材の健全度を定量的にかつ客観的に評価し、長期的な劣化を予測し、最適な対策工法と対策時期を選定することにより、橋梁の計画的かつ効率的な維持管理を行うために、 図3に示す処理手順により各処理を実行する。
【0029】
そして、 橋梁に関する情報を提供する橋梁の維持管理計画支援システムにおいて、橋梁を構成する部材の劣化機構を複数のランクである変状グレードに分けて表現する変状基準を劣化機構毎に共通に設け、変状基準を劣化機構毎に数値表現して変状グレード毎の閾値とし、劣化機構毎に対応する劣化予測式により劣化予測値を計算し、劣化予測値と閾値を比較し劣化機構の変状グレードを予測する。変状グレードに対応する補修補強工法を対策費用と対策効果年に基づき選定し、補修補強費用を算出する。補修補強費用計算手段で算出した結果を集計して表示する。
【0030】
図3を用いてBMS−DBのフローを説明する。BMS−DBは大きく分けるとBMS活用準備(S31)、劣化予測(S32)、補修補強費用算出(S33)の処理に分類される。
【0031】
BMS活用準備(S31)は、基本データの準備(S34)、不足データ補完(S35)、各種パラメータ設定(S36)、評価条件の作成(S37)の各処理をする。
基本データの準備(S34)では、BMS−DBで必要なデータをコンバートする処理をする。次に、不足データ補完(S35)では、橋梁の劣化予測や、LCC(life Cycle Cost)の算定に必要なデータが不足している場合に、不足データを補完する。
【0032】
また、各種パラメータ設定(S36)では、BMS−DBで必要なパラメータを設定する。そして、評価条件の作成(S37)では、劣化予測、LCC算定を行うための評価条件を作成する。
【0033】
劣化予測(S32)は、劣化予測自動計算(S38)、劣化予測の補正確定(S39)の各処理を実行する。
劣化予測自動計算(S38)は、S37で作成した評価条件に基づいて、自動計算の対象となる橋梁部材について、予測式を用いて劣化機構毎に計算し劣化予測をする。
【0034】
ここで、劣化機構は少なくとも「中性化」、「塩害」、「疲労」、「凍害」、「化学的侵食」、「アルカリ骨材反応」などの項目を用意し、評価対象の橋梁部材の評価に使用する。
【0035】
劣化予測の補正確定(S39)は、劣化予測の自動計算結果の確認をし、必要に応じて劣化予測結果の補正処理を行い確定する。また、確定値を決定するために設定用シミュレーションを作成する。
【0036】
補修補強費用算出(S33)は、補修補強費用自動計算(S310)、補修補強費用の補正確定(S311)、補修補強費用の集計(S312)の各処理を実行する。
補修補強費用自動計算(S310)は、劣化予測結果に基づいて補強補修シナリオを作成し、LCCの自動計算を行う。
【0037】
補修補強費用の補正確定(S311)は、LCCの算定の自動計算結果を確認し、必要に応じて自動計算において採用した補修補強シナリオ及び、補強補修工法を変更することにより補正処理を行い確定する。
【0038】
補修補強費用の集計(S312)は、補修補強費用の累計を算出して表示する。
(BMS−DBの構成)
次に、サーバ10のBMS−DBのデータ構成について図4A、図4B、図4Cを用いて説明する。
【0039】
BMS−DBは図4Aに示すように、各種テーブルとこれらテーブルを利用して処理を行うBMS−DB処理部40から構成される。BMS−DB処理部40には評価対象の橋梁の評価条件に対して、必要なデータを抽出し、上記説明したフロー処理(図3)を行った後、利用者に結果を提示する。
【0040】
次に、各テーブルについて説明する。BMS活用準備(S31)で必要なデータが41で示すテーブル群に入力される。同図41はコードデータテーブル群42、橋梁諸元テーブル群43、点検情報テーブル44、交通量テーブル45、環境条件テーブル群46を有する。
【0041】
上記41内のテーブルは、基本データ47、補完処理・環境条件データ48からデータをコンバートする。コードデータテーブル群42にはコードデータベース49からデータをコンバートする。そして図4Cに示す構造種別コード表、橋分類コード表、管理事務所コード表、路線コード表などから構成されている。
【0042】
橋梁諸元テーブル群43には道路資産管理データベース410からデータをコンバートする。橋梁諸元テーブル43には複数の橋梁諸元に関するデータ、履歴データ群が格納されている。橋梁諸元テーブルは図4Bに示す橋梁諸元データ共通様式、橋梁諸元データ区分1、橋梁諸元データ伸縮装置などの1つ以上の形態を有するテーブルの集合から構成される。また、各テーブルの項目、キー(PK)はテーブル毎に異なる。履歴データ群は、橋梁コード、橋梁名、補修箇所、補修内容、補修原因、補修数量などのデータを有する1つ以上のテーブルから構成される。
【0043】
点検情報テーブル44には点検データベース411からデータをコンバートする。交通量テーブル45には交通量データベース412から交通量に関するデータをコンバートする。環境条件46には環境条件データベース413から環境に関するデータ(図4B参照:海岸線からの距離、降雨日数に関するデータなど)をコンバートする。
【0044】
評価作成管理テーブル414は、各橋梁の劣化機構などの評価をするための評価条件を1つ以上有し、そのテーブルの項目は評価開始年、評価期間、管理レベル、特性値の取扱い方などから構成される(図4B参照)。また、各評価条件は過去の評価条件、新規の評価条件から構成される。各評価条件は必要に応じて同図415に示すように編集することも可能である。
【0045】
補完結果データテーブル416は、橋梁諸元テーブル群43にないデータを補完する。補完結果データテーブルは床版かぶり平均値、床版かぶり最低値、主桁水セメント比(%)、主桁セメント種類、主桁コンクリート強度(kg/cm2)など(図4C参照)の項目から構成されている。
【0046】
評価計算対象テーブル群417は、評価作成管理テーブル414の対象の評価条件、橋梁諸元テーブル群43と補完結果データテーブル416のデータに基づき作成される。
また、劣化予測計算対象テーブル、劣化予測計算対象対象外テーブルを有する。そして、劣化予測計算対象テーブルは上記評価条件における劣化予測を行うためのデータとして、かぶり補完値、表面の塩化物量、コンクリート強度、床版厚、塩害計算対象区分など(図4C参照)を有する。
【0047】
劣化予測計算対象外テーブルも同様に中性化計算対象区分、塩害計算対象区分、RC床版計算対象区分など(図4C参照)を有する。
同図418は、劣化予測を行うために必要な変状グレード閾値テーブル419、劣化予測テーブル群420から構成される。変状グレード閾値テーブル419は各劣化機構の劣化の度合いを画像、数値などにより表にしたテーブルである。劣化予測テーブル群420は、評価作成管理テーブル414、415の上記橋梁の評価条件に基づき、劣化機構の劣化予測を行うために用いる。また、劣化予測グラフ値テーブル、劣化機構決定テーブルなどを有する。劣化予測グラフ値は、劣化予測のグラフを作成するために用いる。劣化機構決定テーブルは劣化機構の主たる劣化機構を決定する際に用いる。
【0048】
同図421は、補修補強費用の算出するために補修補強シナリオ初期設定テーブル422、補修補強工法テーブル423、補修補強費用テーブル群424などから構成される。補修補強シナリオ初期設定テーブル422は、補修補強を行うためのシナリオの作成に用いられる。また、補修補強工法テーブル423は補修補強を行う際の劣化機構毎の工法の費用、ランニングコストなどから構成され、費用計算に用いられる。
【0049】
補修補強費用テーブル群テーブル424は、補修補強シナリオ初期設定テーブル422、補修補強工法テーブル423、評価作成管理テーブル414の上記橋梁の評価条件に基づき算出した劣化機構の劣化予測から補修補強工法および費用を算出するために用いる。また、補修補強シナリオ組合せ設定テーブル、補修補強費用計算結果テーブルなどのテーブルを有する。補修補強シナリオ組合せ設定テーブルは方針コードを有し、補修補強費用計算結果テーブルは算出結果として対策回数合計、補修補強合計、ランニングコスト合計などの項目から構成される。
【0050】
次に、劣化予測(S32)で説明した劣化予測計算をするために、劣化予測シミュレーション管理テーブル425は、上記劣化予測をする評価作成管理テーブル414の上記橋梁の評価条件に基づき劣化予測シミュレーションを作成することができる。各劣化予測シミュレーションは必要に応じて同図426に示すように編集することも可能である。
【0051】
また、補修補強費用算出(S33)で説明した補修補強費用算出をするために、補修補強費用算出シミュレーション管理テーブル427は、上記劣化予測シミュレーションに基づき補修補強費用算出シミュレーションを作成する。各補修補強費用算出シミュレーションは必要に応じて同図428に示すように編集することも可能である。
【0052】
なお、図4に示す各テーブルの項目、キー(PK)は上記各テーブルで説明した構成に限定されるものではない。

(基本データの整備)
基本データの整備について説明する。道路資産管理DB410に蓄積されている図5橋梁諸元データ(橋梁名や設置位置、構造種別等の橋梁に関する基本的なデータや補修履歴データ(図6))をBMS−DBに移行(コンバート処理)する。また、図7に示す点検データDB411(橋梁毎に点検を行った結果データ)から現況における橋梁の損傷データもBMS−DBに移行(コンバート処理)する。この時に、BMS−DBで必要なデータが移行されない場合にはエラー表示を行い、完全な移行処理の完了を促す。(各データコンバート処理において、異常値等に対するチェックを行い、異常値等がある場合にはエラー表示により通知し、正常値への変更を促する)
なお、図1の12に示すように別途データベースを用いて、上記データを直接的にコンバート処理してもよい。
【0053】
また、環境条件データにある交通量や降雨日数、海岸線からの距離等のデータ(塩害関連データ)などは、別途準備して環境条件データベース413のように設定してもいいし、定期的(かつ自動的)にデータをコンバートしてもよい。例えば、交通量DB412から路線区間毎に整理された日平均大型車交通量データのコンバートなどである。
【0054】
ここで、交通量データは、交通統計データから経年別、路線区間別、5車種区分のデータなどから構成される。
また、上記降雨日数データは、日本統計年鑑(総務省 統計局)に記載されている降水日数などに基づいて、都道府県別の日照時間、天気日数、降水日数などから構成される。
【0055】
塩害関連データは、橋梁(連単位)から海岸線までの距離(km)、凍結防止剤の散布量、海砂の使用量の有無などから構成されている。

(不足データ補完:不足データの補完処理、環境条件データの設定)
橋梁の劣化予測やLCC算定において不足するデータがある場合には、予め設定されているデータ補完表(図8を参照:例えば、表面の塩化物量、コンクリートの諸元についての補完表を使用する)に基づいてデータ補完処理を行い、必要なデータを設定する。なお、データ補完処理と合わせて、劣化予測の対象外となる橋梁部位部材を除外し、以後の処理の対象を選別する、すなわち、補完結果データテーブル416(データ補完表)と橋梁諸元テーブル群43(橋梁諸元データ)を用いて評価計算対象テーブル群417にデータを格納する。
【0056】
また、不足データの補完処理、環境条件データの設定の際も異常値等のチェックを行い、異常値等がある場合にはエラー表示により認知させ、正常値への変更を促す。
なお、交通量データの入力、降雨日数データの入力、海岸線からの距離データの入力については、交通量データベース412、環境条件データベース411などから直接的なデータコンバートをしてもよい。

(評価条件の作成および劣化予測等の自動計算処理)
(1)評価条件の作成
劣化予測および補修補強費用算定(LCC算定)を行う単位(評価単位)について、評価条件を設定して作成する。評価作成管理テーブル414の評価条件は、図9にあるように、評価開始年、評価期間、評価路線区間、管理レベル(変状グレード)、特性値の取り方(平均・最小)などを条件として作成する。
【0057】
なお、評価条件の作成には新規作成の他に、既存(既に作成済みの)評価条件を用いた分割作成、統合、削除等の編集処理が可能となっており、柔軟かつ効率的に評価単位を作成することができる。
【0058】
さらに、BMS−DBでは評価条件を作成すると同時に劣化予測の自動計算処理を行ってもよい。
なお、自動計算処理の対象となる劣化機構は、劣化機構毎に対応する予測式をBMS−DBに設定している。
【0059】
例えば、RC床版の劣化機構を例にあげて説明すると「中性化」、「塩害」、「疲労」などがあり、対象橋梁を上部工では連単位に下部工では1基単位に、かつ部材に分類した上で、劣化機構毎に計算処理を行い、最も変状進行の著しい劣化機構を主たる劣化機構とする。
(2)劣化予測等の自動計算処理
劣化予測の自動計算処理の手順について図10を用いて説明する。上記で説明したように、ステップS101で対象とする橋梁の評価条件を作成する。このとき評価条件は1つ以上作成することができ、評価条件は図4Aに示すように評価条件1、評価条件2・・・評価条件nのように複数個を劣化予測などの自動計算処理のために設定することができる。なお、実務での柔軟な対応を考慮して、評価条件(評価単位)は、BMS−DBに複数(例えば、初期基本設定は10個、イニシャルファイルで個数変更は可能)作成することができる。また、評価単位の分割、統合、削除、一部削除等の機能を有している。
【0060】
次に、ステップS102では、各評価条件に評価計算対象テーブル群417から対象橋梁データの抽出・読込みをする。
ステップS103では、上記評価条件毎の各劣化機構の処理を行う準備をする。
【0061】
ステップS104では、S103で準備した劣化機構毎のデータを利用して、各劣化機構に対応する予測の計算を実施する。ここで「中性化」「塩害」「疲労」などに対応する予測式が計算に必要な変数データがない場合(道路資産管理DB410などにない場合)、後述するデータ補完処理によって補完されたデータ(補完結果データテーブル416)を用いて劣化予測の自動計算処理を実行する。
【0062】
ステップS105では、補修履歴データ(橋梁諸元テーブル群43)がある場合に、補修履歴に対する処理についても自動計算を実施する。
ステップS106では、既存評価の補正値を使用の場合、劣化予測条件値による補正計算を実施し、 既存評価の補正値がなければ実施しない。
【0063】
ステップS107では、劣化機構毎の変状グレード表(変状グレード閾値テーブル419)に基づいて経年の変状グレード評価をする。「中性化」、「塩害」、「疲労」などを図11に示す変状グレードを利用して評価する。変状グレードについては後述する。
【0064】
ステップS108では、S107の結果に基づいて、各劣化機構のグレードを比較し、劣化が最も進んでいる劣化機構を、主たる劣化機構として仮設定をする。
例えば、「中性化」の劣化グレードがIで、「塩害」の劣化グレードがIII(劣化の進行
がIよりも進んでいる)であれば主たる劣化機構として「塩害」が選定され仮設定される

【0065】
ステップS109では、設定した評価対象橋梁部材が複数ある場合に、評価対象橋梁部材を全数完了したら処理を終了する。設定した評価対象橋梁部材がまだ残っていればステップS104に戻り処理を続ける。
【0066】
また、S102において評価の作成時に、別途作成した評価条件で保持している補正処理データ(各種実測値データや補修履歴データ)を当該評価条件に反映させてもかまわない。
【0067】
なお、ステップ1010として、評価作成時の設定において、LCC算定までの補修補強費用の自動計算を行ってもかまわない。

(変状グレード)
図11に示した変状グレードについて説明する。BMSでは橋梁の詳細点検結果に基づき、橋梁を構成する部材の変状や劣化の進行を共通の変状基準を設けランク(段階)毎に分けグレードで表す。このように区分することで管理水準の設定を可能にする。図11に管理水準の設定と対策の方向性を示す。
【0068】
例えばグレードを5段階に区別(I〜V)した場合、変状基準それぞれをIであれば問
題となる変状がない、IIであれば軽微な変状が発生している。IIIであれば変状が発生して
いる。IVであれば変状が著しい状態である。Vであれば深刻な変状が発生している。上記
のような条件で区分する。対策の方向性として、I、IIであれば継続観察をし、Vに至ら
ないように計画的な保全を行うことで管理水準を向上させる。
【0069】
次に、各劣化機構について劣化予測を自動的に行うための閾値の算出方法について、図12を用い説明する。「中性化」の場合は中性化の深さ、鋼材腐食量を計算する。「塩害」は塩化物イオン濃度、鋼材腐食量、を計算する。「疲労(RC床版など)」は疲労損傷度を計算する。「凍害」は凍害劣化予測式を計算する。(本実施例では変化が顕在化した場合、定期的な詳細調査から劣化予測式を立てる)、「化学的侵食」は化学的劣化予測式を計算する。(変化が顕在化した場合、定期的な詳細調査から劣化予測式を立てる)、「アルカリ骨材反応」はアルカリ骨材反応劣化予測式を用い計算する。(変化が顕在化した場合、定期的な詳細調査から劣化予測式を立てる)
「疲労(鋼橋の主部材)」は疲労評価式を用い疲労を計算する。
【0070】
「中性化」の場合は、1)中性化深さ、2)鋼材の腐食量を計算により算出し、自動計算を行う場合のグレード閾値とする。例えば図13に示す「土木学会式」により算出した中性化深さ(mm)と、かぶり(mm)から中性化残りX(mm)を算出する。そして、グレードI〜IIIの閾値とする。また、鋼材の腐食量Y(%)を計算しグレードIII〜Vの閾
値とする。ここで、グレードIIIの閾値1、2について説明すると、閾値を2つ用いるのは
中性化残りが10mm以下になった場合は、鋼材腐食量によりグレードを決めるためである。
【0071】
「塩害」の場合は、1)塩化物イオンの拡散方程式、2)鋼材の腐食量を計算により算出し、自動計算を行う場合のグレード閾値とする。(鋼材の腐食速度を閾値計算に利用してもかまわない)
例えば図14に示す「土木学会式」により算出した塩化物イオン濃度X(kg/m3)を用いる。そして、グレードI〜IIIの閾値とする。
【0072】
また、鋼材の腐食量Y(%)を計算しグレードIII〜Vの閾値とする。
「疲労(RC床版)」の場合は、疲労損傷度を計算により算出し、自動計算を行う場合のグレード閾値とする。例えば図15に示す疲労損傷度を算出する。そして、グレードI
〜Vの閾値とする。 なお、「凍害」、「化学的侵食」、「アルカリ骨材反応」、「疲労
(鋼橋の主部材)」などについても、各劣化機構に適当である劣化予測式により閾値を算出する。

(劣化予測の補正確定処理)
(1)確定値設定用の劣化予測シミュレーションの作成
上記劣化予測の自動計算結果を確認し、必要に応じて劣化予測の補正確定処理を行う。この補正確定処理を行うグループとして、評価単位を選択した後に劣化予測シミュレーション単位を設定する。
【0073】
次に、劣化予測式を設定していない自動計算の対象外の劣化機構が、例えば自動計算ができる設定を「中性化」、「塩害」、「疲労」とし、自動計算の設定をしていない劣化機構、すなわち自動計算の対象外の劣化機構を「凍害」、「化学的侵食」、「アルカリ骨材反応」とした場合に関しては、必要に応じて複数点プロット方式(ある時点での変状グレードを複数プロットする)で劣化曲線を設定し、確定する。例として5点プロット方式などを用いてよい。
(2)劣化予測の補正確定
劣化予測の自動計算結果を確認し、補修履歴、実測値、点検結果の各データを利用して補正処理を行い、劣化予測式を確定する。補正の必要がない場合には、補正処理を行わずにそのまま確定する。
【0074】
補修履歴に関しては、既存または未登録の補修履歴を劣化予測に反映するか否かを選択して補正する。
補修履歴データの追加、削除を行うことができる。
【0075】
実測値に関しては、塩化物イオン濃度、かぶり、鋼材の腐食量などについて当該橋梁に対する調査等からの実測値がある場合にデータ登録をして補正する。
点検結果に関しては、詳細点検等による損傷状況を確認し、外観状況から現状の変状グレードを劣化機構毎に入力して補正する。
【0076】
劣化予測の補正確定処理は、個々の劣化曲線を確認しながら行うことができる。また、劣化予測の確定処理は、確定値設定用の劣化予測シミュレーション(単位)や支社局、事務所、路線区間等で括られるグループ等での一括的な処理と、個別(1橋梁1連・部材毎)処理の両方が可能となっており、適宜選択することで作業の効率化を図ることができる。
【0077】
確定値は、評価条件の中で各橋梁の上部工1連単位、下部工1基単位に再計算された結果として評価条件毎(単位)に1つ保持される。
劣化予測の補正確定処理の手順について図16のフローを用い説明する。
【0078】
ステップS161では、評価作成管理テーブル414から評価の条件の読込み評価条件を設定する。
ステップS162では、確定値設定用の劣化予測シミュレーション作成・設定を実施する。劣化予測の補正確定処理は、新規に確定値設定用の劣化予測シミュレーションを作成するか、既存のものを劣化予測シミュレーション管理テーブル425から選択して実施する。
【0079】
また、1つの評価条件に対して複数個の確定値設定用の劣化予測シミュレーションを作成可能であり、このシミュレーション単位で確定されるまでは、補正途中の値を劣化予測シミュレーション単位で保持する。したがって、同一橋梁に対しても別途の観点から補正処理を複数試行することも可能である。
【0080】
また、劣化機構毎に補正処理をすることも可能である。
条件設定を新規作成する場合は、劣化予測シミュレーション管理テーブル425に新規に作成した確定値設定用シミュレーションを格納する。
【0081】
また、劣化予測シミュレーション管理テーブル425に必要とする確定値設定用シミュレーションが既に用意されている場合は、既存の設定を利用する。
なお、各劣化予測シミュレーションにおいて確定がされた場合には、後から確定された値を確定値として設定してもよい。
【0082】
ステップS163では、各評価条件に評価計算対象テーブル群417から対象橋梁データの抽出、読込みをする。
ステップS164では、対象橋梁データから1橋梁の部位、部材の選択をする。
【0083】
ステップS165では、劣化予測テーブル群420から既計算結果データの読込み、確認をする。図17に示す劣化曲線などを対象とする評価条件毎に作成し表示する。同図は変状グレードのレベルを縦軸にし時間(予測期間)を横軸に作成されたグラフで、T0を開始年、T1をグレードIの終了年、T2をグレードIIの終了年、T3をグレードIIIの終
了年、T4をグレードIVの終了年としている。
【0084】
次に、ステップS166では、補正が必要な場合は、補正処理・再計算のためにステップS167に進み、必要でない場合はステップS1612に進み、確定し主たる劣化機構の設定をする。
【0085】
ステップS167では、補修履歴による補正計算をする。例えば、対象とする劣化機構の部位についての補修履歴データ図6がある場合には、図17の劣化曲線を図18に示す補修補強工法単価マスターコード表(上部工)の補修履歴データ、図19に補修補強工法単価マスターコード表(下部工)の補修履歴データなどの補正履歴データに基づき対策効果(年)分補正を行う、図20に例を示す。
【0086】
例えば、補修履歴がある場合には、図20に示すように補修年にグレードIIからグレー
ドIに補正され、補修履歴がない部分については劣化曲線を対策効果(年)分平行移動し
て、劣化曲線を再計算する。
【0087】
ステップS168では、劣化予測条件値による補正計算する。実測値データによる補正、点検データ(橋梁全体をトータルに評価したデータ)による補正を実施する。
「中性化」の場合の例を図21に示す。現在の劣化曲線を点検年のグレードレベル(中性化深さ(mm)、または中性化残り(mm))に基づいて補正する。
【0088】
同図のようにT1−T2間で明らかに違いがある場合、点検時の中性化の深さ、安全率、点検年までの使用年数から、補正値(傾き)=(点検時の中性の深さ)/((安全率)×(点検年までの使用年数)1/2)を計算し、T1−T2間の劣化曲線の傾きを補正する。その後、T0−T1間の劣化曲線を変更し、T2−T4間の劣化曲線を平行移動して、T1−T2間の劣化曲線に接続する。なお、安全係数は例えば1.3などの既知の数値を使用する。
【0089】
他の、劣化機構の場合も同様に、各劣化機構に設定されている補正値を計算により求めて同様の補正を行う。
ステップS169では、劣化予測式を設定していない劣化機構に対して、技術者が点検等における外観状況から変状グレードを判断して、複数点の点検などによる判定年と変状グレードをプロットして劣化曲線を作成する。
【0090】
例えば、図22に示すように、N点プロットによる劣化予測を実施する。点検時に健全度評価を行い、各点検年の変状グレードをプロットし、各点をN次式で近似することで劣化曲線を作成する。また、各部材についても点検を行い現状の劣化の進行予測を行う。例えば折れ線グラフ、回帰曲線、N次曲線などを用いてもよい。本例の場合は、「凍害」、「化学的浸食」、「アルカリ骨材反応」、「鋼部材の疲労」、「凍結防止剤による塩害」などに実施する。したがって、この機能を使用することにより、BMSとは別途の予測式等を使用した劣化予測結果をBMS上に反映させることもできる。
【0091】
BMSに設定されている予測式から得られる劣化曲線は、同時期に設計、施工され、同じ環境条件であれば、自動計算結果はほとんど同じ結果となる。しかし、自動計算による劣化予測結果が同一であっても、さまざまな付加要因によって実際には個々の橋梁の損傷状況は異なるため、補正処理を行うことによって、より現状に則した劣化予測になるようにする。例えば、専門技術者による判断による補正を行うことが好適である。また、補修履歴データについても、部分補修等の取扱い(効果の有無)を一概に決められないため、専門技術者の判断を反映させることを可能にしている。
【0092】
また、「鉄筋のかぶり」をはじめ、「中性化の深さ」や「塩化物イオン濃度」、「鋼材の腐食量」などについて具体的な数値が測定されている場合に、現状把握と予測の精度向上のために実測値データを反映させた補正も設定することが可能である。
【0093】
また、「水セメント比」についても実測値を入力した補正も行うことができる。
「RC床版の疲労」に関しては、遊離石灰法による判定方法が日本道路公団において要領化されており、この判定結果を反映させることによる補正も可能である。
【0094】
なお、上記補正については各種データによる補正を時系列に則して反映させ、補正後の予測曲線は劣化予測式による劣化曲線を平行移動させる。
ステップS1610では、変状グレード閾値テーブル419にある劣化機構毎の変状グレード表に基づいて経年の変状グレードを評価する。「中性化」、「塩害」、「疲労」などの変状グレードを利用して評価する。
【0095】
さらに、点検データに関しては、詳細点検によって現況の詳細な損傷状況が把握されており、このデータを技術者が見ることにより、現状の変状グレードに対する補正を行う。
図23は変状グレートの解説と、この点検データによる判定に関して、「中性化」の代表的な事例の判定を示した図である。劣化の進行を変状グレードで分け、各変状グレードについて外観、状態の説明、また実際の画像などから構成される。
【0096】
ステップS1611では、確定主たる劣化機構の設定をする。S1610の結果に基づいて、各劣化機構のグレードを比較し、劣化が最も進んでいる劣化機構を、主たる劣化機構として仮設定をする。
【0097】
ステップS1612では、設定した評価対象橋梁部材を全数完了したら処理の終了となる。評価対象橋梁部材がまだ残っていればステップS164に戻り処理を続ける。劣化予測テーブル群420に劣化予測結果を格納する。

(補修補強費用(LCC)の自動計算処理)
補修補強費用(LCC)の自動計算処理は、上記までに確定されている劣化予測結果を使用して、補修補強シナリオについてLCCの自動計算を行い、LCCが最も安くなるシナリオを採用して集計処理までを実施する。
【0098】
補修補強シナリオについてLCCの自動計算は、主たる劣化機構およびその他の劣化機構に対して算出するLCCを算出する。
LCCの自動計算処理は、後述するルールに基づいて実施し、補修補強工法のパラメータを予め設定した補修補強工法のパラメータ表から利用する。
【0099】
なお、LCCの自動計算処理においては、補修補強工法のパラメータ表に示された、各変状グレードに対応する工法の中から、効果年を考慮して最も費用の安い工法を採用することとしている。
【0100】
すなわち、対策費用(単価)/対策効果年(+ランニングコスト)円/年の最も安価な工法を採用= 対策効果年/対策費用(単価)が最も大きい工法を採用している。
補修補強費用(LCC)の自動計算処理について図24のフローを用い説明する。
【0101】
ステップS241では、評価作成管理テーブル414から評価の条件の読込み評価条件を設定する。
ステップS242では、計算対象範囲の設定をする。LCCの自動計算処理は、対象の評価条件を選択し、評価条件(単位)で支社・局、事務所、路線等を選定して実施する。
【0102】
ステップS243では、各評価条件に評価計算対象テーブル群417から対象橋梁データの抽出・読込みをし、対象橋梁データから1橋梁、部位、部材データの読込みをする。
ステップS244では、劣化予測テーブル群420から劣化予測データの読込みをする。
【0103】
ステップS245では、計算条件データの読込みをする。1)費用の設定、2)各グレードで有効な補修補強工法を選定する。
費用の設定は、連の全スパン数N、交差物を跨ぐスパン数m、単価1(作業環境が普通)C1、単価2(作業環境例:交差箇所)C2などのパラメータに基づき、単価C={C1×(N−m)+C2×m}/Nの設定をする。
【0104】
各グレードでの有効な補修補強工法の選定は、各グレードで適用が推奨される工法で最も〔対策効果(年)/単価C〕が大きい工法を選定する。
さらに、補修補強シナリオの選定をする。例えば方針として、1)変状グレードIIより
変状を進行させない、2)変状グレードIIIより変状を進行させない、3)変状グレードIVより変状を進行させない、4)打換え(取替え)を繰返すなどの複数の方針を満たすシナリオを複数作成する。
【0105】
図25にRC床版の疲労の例を示す。各グレードにおける補修補強工法をあげて、対象となる工法を適用した場合の対策効果年を予め用意しておく。
次に、図26に対策方針別の補修補強シナリオの例を示す。方針1)はグレードIIより
変状を進行させないように床版防水A、Bを繰り返し行った場合の劣化曲線である。方針2)はグレードIIIより変状を進行させないように下面増厚(床版防水、ひび割れ補修併用
)後、床版防水Aを繰り返し行った場合の劣化曲線である。方針3)はグレードIVより変
状を進行させない例である。
【0106】
ステップS246では、S245の設定と、補修補強シナリオ初期設定テーブル422、補修補強工法テーブル423に基づき費用算出・集計をする。
ステップS247では、シナリオ毎の集計結果比較をする。図27に示すような補修補強シナリオの組合せを作成する。(本例では最大18通りの補修補強シナリオを用意している)
組合せのルールとして、図27では、1)補修補強後、変状グレードIまで回復する。
2)1回目は評価年の状態により、上記方針などにより対策を行う。3)前回の対策以上の対策にならない組合せとする。4)初回対策まで期間+初回以後の対策効果年の合計が評価終了期間まで対策を繰返す。4項目を設定し、その組合せルールに従いシナリオを表示する。
【0107】
ステップS248では、採用シナリオの決定をする。
ステップS249では、設定した評価対象橋梁部材を全数完了したら処理の終了となる。評価対象橋梁部材がまだ残っていればステップS243に戻り処理を続ける。補修補強費用計算結果テーブルに結果を格納する。
【0108】
また、交差物がある橋梁(連)に関しては、費用を自動的に変えて設定することができ(補修補強工法パラメータ表において、施工箇所における作業環境条件によって費用を変えて設定)、設定にあたっては、交差条件に関する登録データに基づきシステム側で自動的に判別している。

(補修補強費用(LCC)の補正)
(1)確定値設定用シミュレーションの作成
LCC算定の自動計算結果を確認し、必要に応じてLCC算定の補正確定処理を行う。この補正確定処理を行うグループとして、評価条件(単位)を選択した後に補修補強費用算出シミュレーション単位を設定する。
【0109】
すなわち、LCC算定の補正確定処理は、確定値設定用の補修補強費用算出シミュレーションを作成するか、既存のものを選択して実施する。
(2)補修補強費用(LCC)の補正、確定
LCC算定の自動計算結果を確認し、自動計算において採用している補修補強シナリオおよび補修補強工法を変更することにより補正処理を行った後、確定する。補正の必要がない場合には、補正処理を行わずにそのまま確定する。主たる劣化機構およびその他の劣化機構に対してもLCCを算出する。
【0110】
補修補強工法に関しては、劣化機構毎に区分しており、工法の追加設定、費用の変更等を行うことができる。
LCCの自動計算は一定の条件に基づいて行うが、損傷状況や施工条件、作業環境条件等の相違によって、個別橋梁あるいは特定の路線区間の橋梁に関して、補修補強の工法やシナリオの変更が必要となる場合が少なくない。このため、専門技術者の判断により、これらの補正を行うことにより、現状に則したLCC算定となるようにしている。LCC算定対象とする補修補強シナリオの選定は、任意に設定することが可能である。
【0111】
データ管理機能(BMS−DB処理部内)によって、各補修補強工法に関するパラメータ(費用、効果年等)の変更や、新しい工法の追加を行うことができ、新技術、新工法等をBMSに適宜反映させることが可能となっている。
【0112】
LCCの補正確定処理は、個々の劣化曲線やLCCグラフを確認しながら行うことができる。確定値は、評価条件に1つ保持される。
補修補強費用(LCC)の算定の手順について図28のフローを用い説明をする。
【0113】
ステップS281では、評価作成管理テーブル414から評価の条件の読込み評価条件を設定する。
ステップS282では、確定値設定用の補修補強費用算出シミュレーション作成設定を実施する。条件設定を新規作成する場合は、補修補強費用算出シミュレーション管理テーブル427に新規に作成した確定値設定用のシミュレーションを格納する。
【0114】
また、補修補強費用算出シミュレーション管理テーブル427に必要とする確定値設定用の補修補強費用算出劣化シミュレーションが既に用意されている場合は、既存の設定を利用する。
【0115】
ステップS283では、採用工法の変更については、支社、局、事務所や路線区間等で括られるグループでの一括的な変更と、個別での変更が共に可能である。
補正を行わないときはS2812に進む。補正単位を決める場合は、個別設定をする場合にはS286に進み、グループによる場合はS284に進み計算を実施する。
【0116】
LCCの確定処理は、確定値設定用の補修補強費用算出シミュレーション単位や支社、局、事務所、路線区間等で括られるグループ等での一括的な処理と、個別(1橋梁1連・部材毎)処理の両方が可能となっており、適宜選択することで作業の効率化を図ることができる。
【0117】
ステップS284では、補修補強シナリオ初期設定テーブル422の補修補強シナリオの変更、再計算(シミュレーション単位)をする。補修補強シナリオに関しては、予め設定されている複数のシナリオに、専門技術者の判断でさらにシナリオを追加設定することができる。(S289も同様である)
ステップS285では、補修補強工法テーブル423から補修補強工法に関する変更・再計算をする (支社、局、事務所、路線区間等単位)
ステップS286では、評価計算対象テーブル群417から対象橋梁データの抽出をする。
【0118】
ステップS287では、1橋梁、部位、部材の選択をする。
ステップS288では、既計算結果データ読込み確認をする。
ステップS289では、補修補強シナリオ初期設定テーブル422から採用シナリオの変更、再計算をする。補修補強シナリオの変更は、個別(1橋梁1部位・部材毎)に行うこともできる。
【0119】
ステップS2810では、補修補強工法テーブル423から補修補強工法の変更、再計算をする。
ステップS2811では、設定した評価対象橋梁部材を全数完了したら処理の終了となる。評価対象橋梁部材がまだ残っていればステップS287に戻り処理を続ける。
【0120】
ステップS2812では、確定をする。補修補強費用テーブル群424の補修補強費用計算結果テーブルに計算結果を格納する。
上記補修補強工法の追加や費用、効果年等のパラメータの変更はデータ管理機能で行う。(補修補強工法テーブル423への追加・変更)
1つの評価条件に対して複数(本例では8つ)の確定値設定用シミュレーションを作成可能であり、このシミュレーション単位で確定されるまでは、補正途中の値をシミュレーション単位で保持する。したがって、同一橋梁に対しても別途の観点から補正処理を複数試行することも可能である。
【0121】
なお、各シミュレーションで確定された場合には、後から確定された値が確定値となってもよい。

(補修補強費用の集計)
上記評価条件(単位)で部材毎に算出(確定)された対策費を集計し、年毎に必要な対策工法と対策費および評価終了年までに必要となる補修補強費用の累計を算出して表示(集計表・集計グラフ)する。集計結果は、橋梁、連、上下線毎・劣化機構毎に、上部工、下部工について、別々に表示することもでき、それらを全て一緒に表示することも可能である。
【0122】
複数の評価について、同時に費用集計グラフを表示することで、例えば管理グレードの違いによる補修補強費用の比較を行うことができる。
補修補強費用の集計について図29のフローを用い説明する。
【0123】
ステップS291では、評価作成管理テーブル414から評価の設定(選定)のために評価条件の読込みをする。
ステップS292では、評価計算対象テーブル群417、劣化予測テーブル群420、補修補強費用テーブル群424を用い計算対象範囲の設定をする。
【0124】
ステップS293では、集計対象の選択をする。
ステップS294では、補修補強費用の集計をしてデータを格納する。(費用集計テーブル)
ステップS295では、集計結果の確認しシナリオ毎の比較をする。
【0125】
この集計結果を用いて、橋梁の管理計画を立案する。また、集計結果を基に費用の大小についてソートして補修補強のプライオリティを判別しやすくすることもできる。
また、BMSでは、構造的機能劣化に着目して劣化予測から橋梁の管理計画立案を支援することを主体的に行っているが、実際の橋梁の補修補強では構造的機能劣化以外の損傷に対応するためのものや耐震補強等に代表される社会的要請に対応するためのものがある。したがって、橋梁全体の管理計画を立案するためには、これら構造的機能劣化以外に対応する補修補強費用についても合わせて考える必要があり、BMSから出力したファイルに対して、構造的機能劣化以外に対応する補修補強計画データを入力した後、再度BMSに取り込んで、全ての補修補強計画を一元的にBMSで集計できる。

(ファイル出力)
BMSでは、各フェーズにおいて表形式、グラフ等での表示(画面出力)、印刷出力を行うことができる他、CSV形式でのファイル出力も可能で、出力したデータを利活用することができる。
【0126】
また、BMSでは、橋梁諸元や補修履歴、点検等のデータを取り扱っており、さらにBMSによるアウトプットとして劣化予測データ、補修補強計画データがあり、これらを総合的に取りまとめて出力することができる。

また、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】BMSシステムの構成を示す図である。
【図2】基本データの構造を示すコードデータの例である。
【図3】BMS−DBの利用方法を示すフロー図である。
【図4A】BMS−DBのデータ構成を示す図である。
【図4B】BMS−DBのデータ構成を示す図である。
【図4C】BMS−DBのデータ構成を示す図である。
【図5】橋梁諸元データの例を示す図である。
【図6】補修履歴データの例を示す図である。
【図7】点検データの例を示す図である。
【図8】表面の塩化物量、コンクリートの諸元についての補完表の例を示す図である。
【図9】評価条件の設定例を示す図である。
【図10】劣化予測の自動計算処理の手順を示すフロー図である。
【図11】変状グレードについて説明する図である。
【図12】劣化予測を自動的に行うための閾値の算出方法を示す図である。
【図13】中性化の変状グレードを示す図である。
【図14】塩害の変状グレードを示す図である。
【図15】RC床版の疲労の変状グレードを示す図である。
【図16】劣化予測の補正・確定処理の手順を示すフロー図である。
【図17】劣化曲線を示す図である。
【図18】補修補強工法単価マスターコード表(上部工)の補修履歴データの例を示す図である。
【図19】補修補強工法単価マスターコード表(下部工)の補修履歴データの例を示す図である。
【図20】補正履歴データに基づき対策効果(年)分の補正を劣化曲線に行うことを示す図である。
【図21】実測値データ、点検データによる補正を劣化曲線に行うことを示す図である。(「中性化」の場合の例)
【図22】N点プロットによる劣化予測の実施例を示す図である。
【図23】「中性化」の変状グレートと点検データによる判定を示した図である。
【図24】補修補強費用(LCC)の自動計算処理の手順を示したフロー図である。
【図25】RC床版の疲労に対する補修補強工法パラメータの例を示す図である。
【図26】対策方針別の補修・補強シナリオの例を示す図である。
【図27】補修補強シナリオの組合せを示した図である。
【図28】補修補強費用(LCC)の算定の手順を示したフロー図である。
【図29】補修補強費用の集計の手順を示したフロー図である。
【符号の説明】
【0128】
10 サーバ
11 クライアント
12 クライアント
13 基本データ
14 補完処理環境条件データ

40 BMS−DB処理部
41 BMS活用準備必要なテーブル
42 コードデータテーブル群
43 橋梁諸元テーブル群
44 点検情報テーブル
45 交通量テーブル
46 環境条件テーブル群
47 基本データ
48 補完処理・環境条件データ
49 コードデータベース
410 道路資産管理データベース
411 点検データベース
412 交通量データベース
413 環境条件データベース
414 評価作成管理テーブル
415 各評価条件は必要に応じて同図に示すように編集
416 補完結果データテーブル
417 評価計算対象テーブル群
418 劣化予測を行うために必要なテーブル
419 変状グレード閾値テーブル
420 劣化予測テーブル群
421 補修補強費用を算出するために必要なテーブル
422 補修補強シナリオ初期設定テーブル
423 補修補強工法テーブル
424 補修補強費用テーブル群
425 劣化予測シミュレーション管理テーブル
426 各劣化予測シミュレーションの編集
427 補修補強費用算出シミュレーション管理テーブル
428 補修補強費用算出シミュレーションの編集
429 データ管理機能



【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋梁に関する情報を提供する橋梁の維持管理計画支援システムにおいて、
前記橋梁を構成する部材の劣化機構を複数のランクである変状グレードに分けて表現する変状基準を前記劣化機構毎に共通に設け、前記変状基準を前記劣化機構毎に数値表現して前記変状グレード毎の閾値とし、
前記劣化機構毎に対応する劣化予測式により劣化予測値を計算し、前記劣化予測値と前記閾値を比較し当該劣化機構の前記変状グレードを予測する劣化予測手段と、
前記変状グレードに対応する補修補強工法を対策費用と対策効果年に基づき選定し、補修補強費用を算出する補修補強費用計算手段と、
前記補修補強費用計算手段で算出した結果を集計して出力する補修補強費用の集計手段と
を具備することを特徴とする橋梁の維持管理計画支援システム。
【請求項2】
前記劣化機構は、少なくとも中性化、塩害、疲労、凍害、化学的侵食、アルカリ骨材反応の内の1つを有することを特徴とする請求項1に記載の橋梁の維持管理計画支援システム。
【請求項3】
前記劣化予測手段は、劣化予測期間の前記変状グレードを時間毎に表示して劣化曲線を作成することを特徴とする請求項1に記載の橋梁の維持管理計画支援システム。
【請求項4】
前記劣化予測手段は、補修履歴があるときは前記劣化機構毎の補修補強による効果を前記変状グレードに反映させることを特徴とする請求項1に記載の橋梁の維持管理計画支援システム。
【請求項5】
前記劣化曲線は、前記劣化予測期間に補修履歴があるときに前記変状グレードを補修補強による効果だけ補修時に回復させ、前記劣化予測期間に補修履歴がない期間は前記回復した効果だけ前記劣化曲線を平行移動して前記劣化曲線を補正することを特徴とする請求項3に記載の橋梁の維持管理計画支援システム。
【請求項6】
前記劣化曲線は、既に予測した劣化予測による補正と、実測値による補正と、点検による補正の内1つを前記劣化曲線に反映させることを特徴とする請求項3に記載の橋梁の維持管理計画支援システム。
【請求項7】
前記劣化曲線は、複数の点検データと点検時期に基づいて前記変状グレードを前記劣化曲線に反映させることを特徴とする請求項3に記載の橋梁の維持管理計画支援システム。
【請求項8】
前記補修補強費用計算手段は、前記変状グレードに基づいて補修補強の実施を予測計算して補修補強シナリオを提案することを特徴とする請求項1に記載の橋梁の維持管理計画支援システム。
【請求項9】
前記補修補強シナリオは、前記変状グレードを基準として、前記補修補強の実施時期を換えて複数の前記補修補強ナリオを提案することを特徴とする請求項8に記載の橋梁の維持管理計画支援システム。
【請求項10】
前記補修補強費用計算手段は、施工箇所の作業環境条件によって費用を変えて設定することを自動的に判別することを特徴とする請求項1に記載の橋梁の維持管理計画支援システム。
【請求項11】
前記作業環境条件として、橋梁に交差物があるときは費用を自動的に判別することを特徴とする請求項10に記載の橋梁の維持管理計画支援システム。
【請求項12】
前記補修補強シナリオの補正をするとき、個別設定または複数の橋梁に関して一括で補正するグループ設定を選択することを特徴とする請求項8に記載の橋梁の維持管理計画支援システム。
【請求項13】
前記集計手段は、少なくとも劣化予測結果、補修補強結果の内の1つと共に橋梁に関するデータを表示することを特徴とする請求項1に記載の橋梁の維持管理計画支援システム。
【請求項14】
橋梁に関する情報を提供する橋梁の維持管理計画支援方法において、
前記橋梁を構成する部材の劣化機構を複数のランクである変状グレードに分けて表現する変状基準を前記劣化機構毎に共通に設け、前記変状基準を前記劣化機構毎に数値表現して前記変状グレード毎の閾値とし、
前記劣化機構毎に対応する劣化予測式により劣化予測値を計算し、前記劣化予測値と前記閾値を比較し当該劣化機構の前記変状グレードを予測し、
前記変状グレードに対応する補修補強工法を対策費用と対策効果年に基づき選定し、補修補強費用を算出し、
前記補修補強費用計算手段で算出した結果を集計して出力する、
ことを特徴とする橋梁の維持管理計画支援方法。
【請求項15】
橋梁の維持管理計画支援をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記橋梁を構成する部材の劣化機構を複数のランクである変状グレードに分けて表現する変状基準を前記劣化機構毎に共通に設け、前記変状基準を前記劣化機構毎に数値表現して前記変状グレード毎の閾値とし、
前記劣化機構毎に対応する劣化予測式により劣化予測値を計算し、前記劣化予測値と前記閾値を比較し当該劣化機構の前記変状グレードを予測する劣化予測機能と、
前記変状グレードに対応する補修補強工法を対策費用と対策効果年に基づき選定し、補修補強費用を算出する補修補強費用計算機能と、
前記補修補強費用計算手段で算出した結果を集計して出力する補修補強費用の集計機能と
をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【請求項16】
橋梁に関する情報を提供する橋梁の維持管理計画支援システムにおいて、
前記橋梁を構成する部材の劣化機構を複数のランクである変状グレード分けて表現する変状基準を前記劣化機構毎に共通に設け、前記変状基準を前記劣化機構毎に数値表現して前記変状グレード毎の閾値とし、前記劣化機構毎に対応する劣化予測式により劣化予測値を計算し、前記劣化予測値と前記閾値を比較し当該劣化機構の前記変状グレードを予測することを特徴とする橋梁の維持管理計画支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図18】
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【図19】
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【図22】
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【図24】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図17】
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【図20】
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【図21】
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【図23】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2006−177080(P2006−177080A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−372669(P2004−372669)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(591135082)日本道路公団 (8)
【出願人】(597165618)株式会社東関東 (18)
【出願人】(591091087)株式会社建設技術研究所 (18)
【Fターム(参考)】