説明

機器の操作パネルの配置構造、該配置構造を用いて操作パネルを配置した機器、スタッカー

【課題】ユーザーが前ドアを開けて、用紙詰まり処理やカートを取り出す際に、誤って操作パネルのキーを押下する誤操作を防止することができる構造、機器、装置を提供する。
【解決手段】操作パネル10を、装置本体2の上面2aの、非支持側である取手7を設けてある側ではなく、前ドア4の装置本体2への支持側部位であるヒンジ6の上部側に設ける。カート3を装置本体2の内部から取り出すなどの操作を行う際には、ユーザーが前ドア4を開け、装置本体2の上面に設けてある操作パネル10のキー(キー11かキー12)を押し下げる。ユーザーが装置本体2の前でしゃがみ、右手を装置本体2の上面2aについてしまっても、そこには操作パネルは存在しないので、誤ってキーを押下してしまうことがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器の操作パネルの配置位置に関し、詳細には用紙スタック装置等の機器の操作パネルの配置構造、該配置構造を用いて操作パネルを配置した用紙スタック装置等の機器に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は画像形成装置の後処理装置として用いられる用紙スタック装置(以下、スタッカーと言う。)の一例を示す上方から見た斜視図(A)と、同装置の内部の用紙の排出箇所を下方から見て拡大して示す斜視図(B)である。また図6は、図5に示したスタッカーの前ドアを開いて示す正面図である。図示のように、この種のスタッカー1は、図示しない画像形成装置から排出されてきて装置本体2の内部に集積された用紙Pを装置本体外へ取り出すため、カート3が装備されている。そのため、装置本体2の前面側には、前ドア4を回動開閉可能に備えている。図中5は用紙Pの排出部である。また図中6、6は開閉ドア4を水平回動可能に支持するためのヒンジである。さらに図中2xは、装置本体2の上面2aに設けた排紙部である。
【0003】
すなわち図示のようなスタッカー1では、カート3を装置本体2の内部から取り出すには、もちろん前ドア4を開ける必要がある。この前ドア4を開ける際には、装置本体2の上面に設けてある操作パネルのキー(いずれも図示せず)を押し下げ、排出された用紙Pを積載したトレイ(図示せず)をカート3の上まで降ろす必要がある。なお、図中4aは、前ドア4に設けた窓部であり、図示の例では透明のパネルを設けて内部が見えるようにしてある。
【0004】
一般的にこの種の装置では、操作パネルのキーと前ドア4の取手7(図6に切り欠き状に記載してある部分)の操作箇所を近くしたいため、取手7を設ける部位の近傍で装置本体2側の部位(図6中に矢印Xで示す辺りの部位)に、装置本体2の上面2aに操作パネルを配置することが多い。なお、図示の例の装置では前ドア4の取手を切り欠き状にしているが、もちろん異なる形態の取手であっても操作パネルとの位置関係は同様とされることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図7は上述のようなスタッカー1で用紙の排出部5において用紙が詰まる等して、前ドア4を開けて用紙の処理をしようとしているユーザー8の一般的な姿勢を示す斜視図である。一般的なユーザー8の場合、上述のような用紙処理を行おうとするとき、図示のように、装置本体2の前でしゃがみ、右手8Rを装置本体2の上面2a(前記部位Xの位置あたり)についてしまい、左手(図示せず)で用紙を処理することになる。右手8Rで用紙処理を行わないのは、前ドア4が邪魔になる、あるいは邪魔と感じるためであろう。
【0006】
ところで、既に述べたように、右手8Rをつくであろう装置本体2の上面2aの部位Xの辺りには操作パネルが存在する。そのため、誤ってキーを押下してしまい、何らかの意図しない動作をスタッカー1に行わせてしまいがちである。気をつけていたとしても、操作パネルが上述のような部位Xあるいはその近くに配置されていると、このようなことが起きやすいと考えられる。
【0007】
誤操作しても特に問題のないキーもあるが、例えばスタックされた用紙が乗っているカート3を取り出したい時に押下するキーであったりすると、しゃがんでいるユーザー8にカート3がぶつかってしまうこともあり、このようなことは要注意の誤動作である。
【0008】
そこで本発明は、ユーザーが前ドアを開けて、用紙詰まり処理やカートを取り出す際に、誤って操作パネルのキーを押下する誤操作を防止することができる構造、機器、装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係る機器の操作パネルの配置構造は、機器本体の一面に開閉ドアを備え、該開閉ドアは、一側縁を前記機器本体に支持させて水平回動開閉可能としてなり、前記開閉ドアの前記機器本体への支持側部位は、前記機器本体上部の操作パネルを設けてある側であることを特徴とする。
【0010】
同請求項2に係るものは、請求項1の機器の操作パネルの配置構造において、前記開閉ドアの前記機器本体への支持をヒンジによる支持としてなることを特徴とする。
【0011】
同請求項3に係るものは、請求項2の機器の操作パネルの配置構造において、前記開閉ドアを支持するヒンジの上方部位に前記操作パネルを配置することを特徴とする。
【0012】
同請求項4に係るものは、請求項1から3のいずれかの機器の操作パネルの配置構造において、前記開閉ドアが、前記機器本体への支持側部位と反対側となる前記開閉ドアの非支持側部位に、開閉操作用の取手を備えてなることを特徴とする。
【0013】
同請求項5に係る機器は、請求項1から4のいずれかの機器の操作パネルの配置構造を用いて機器本体に操作パネルを配置してなることを特徴とする。
【0014】
同請求項6に係る用紙スタック装置は、画像形成装置本体と組み合わせられ、前記画像形成装置本体から排出された用紙を装置本体内部に集積する用紙スタック装置であって、前記用紙を集積する装置本体内部を開放、閉鎖するための開閉ドアを備え、請求項1から4のいずれかの機器の操作パネルの配置構造を用いて装置本体に操作パネルを配置してなることを特徴とする。
【0015】
同請求項7に係る用紙スタック装置は、画像形成装置本体と組み合わせられ、前記画像形成装置本体から排出された用紙を装置本体内部に集積する用紙スタック装置であって、前記用紙を集積する装置本体内部を開放、閉鎖するための開閉ドアを備え、前記開閉ドアが、前記機器本体への支持側部位と反対側となる前記開閉ドアの非支持側部位に、開閉操作用の取手を備え、該取手側の前記装置本体内側に前記画像形成装置本体から排出された用紙をスタックするために通す部位を備え、請求項1から3のいずれかの機器の操作パネルの配置構造を用いて装置本体に操作パネルを配置してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ユーザーが開閉ドアを開けて、用紙詰まり処理やカートを取り出す等の何らかの操作を行う際、誤って操作パネルのキーを押下する誤操作を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る機器の一例であるスタッカーを上方から見て示す斜視図
【図2】図1に示したスタッカーの前ドアを開いて示す斜視図
【図3】図2と反対側から見た斜視図
【図4】操作パネルの一例を拡大して示す平面図
【図5】画像形成装置の後処理装置として用いられるスタッカーの一例を示す上方から見た斜視図(A)と、同内部の用紙の排出箇所を下方から見て拡大して示す斜視図(B)
【図6】図5に示したスタッカーの前ドアを開いて示す正面図
【図7】スタッカーの用紙の詰まり解消等の処理をしようとしているユーザーの姿勢の一例を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
開閉ドア及び本体上面に操作パネルを搭載した機器において、開閉ドアの回動を支持する側の本体上面部やその近傍部位に操作パネルを配置して、ユーザーが開閉ドアを開けて何らかの処理を行う際に誤って操作パネルのキーを押下する誤操作が生じにくくして上述の目的を達成する。
【0019】
画像形成装置と組み合わせる用紙スタック装置(スタッカー)の場合、操作パネルの誤操作を無くし、あるいは少なくすることで、内部に収納してあるカートが意図せずに出てきてしまうなどの事態が防止され、あるいは少なくなる。
【実施例】
【0020】
以下、本発明に係る実施例を図面を参照して説明する。なお以下の説明においては、先に説明した従来の例と同一、共通あるいは類似する構成要素には同一の符号を付して説明する。また、当業者であれば種々の変形例を想到可能であるので、本発明は図示の実施例の構成には限定されない。
【0021】
<実施例1>
図1は本発明に係る機器の一例である用紙スタック装置(以下においても、スタッカーと言う。)の一例を上方から見て示す斜視図である。また図2は、図1に示したスタッカーの前ドアを開いて示す斜視図、図3は図2と反対側から見た斜視図である。
【0022】
図示のように、このスタッカー1も、図示しない画像形成装置から排出されてきて装置本体2の内部に集積された用紙Pを装置本体2外へ取り出すためにカート3が装備されている。そのため、装置本体2の前面側には、前ドア4を回動開閉可能に備えている。用紙Pの排出部は図示していないが、図5〜図7に示した従来例と同様の部位にある。図中6、6は開閉ドア4を水平回動可能に支持するためのヒンジ、図中2xは、装置本体2の上面に設けた排紙部である。また、図中4aは、前ドア4に設けた窓部で、従来の例と同様に透明のパネルを設けて内部が見えるようにしてある。取手7は、従来の例とは異なり、切り欠き状ではなく、正面側から見て凹んでいる部位としてある(図2、図3参照)。
【0023】
なお前ドア4は、用紙詰まり処理やカート3を取り出す際に、ユーザーが作業しやすいように、146°開くようになっている。これは一般的なユーザーについての本願発明者の観察によりそのような開き角度としたものである。もちろん本願発明はこの角度値に限定されない。前ドア4を開けて行う処理を考慮して適宜の開き角度を設定すればよい。
【0024】
図中10は操作パネルで、装置本体2の上面2aの、非支持側である取手7を設けてある側ではなく、前ドア4の装置本体2への支持側部位であるヒンジ6の上部側に設けてある。もちろん、操作パネル10は、ヒンジ6の直上部位に設ける必要はなく、ヒンジ6の直上部位あるいはその周囲の部位であって、非支持側である取手7を設けてある側には属さない部位に設ければよい。
【0025】
図4は操作パネル10の一例を拡大して示す平面図である。図4の例では、11がカート3を取り出したいときにトレイを下まで降下させるためのキー、12が用紙詰まり処理の際に詰まった用紙を取る際にトレイを降下させるためのキーである。なお、図中13は他のキー、14はキーの操作を示す発光部、15は発光部が何を表示しているのかを示す図柄である。
【0026】
この実施例でカート3を装置本体2の内部から取り出すなどの操作を行う際には、ユーザーが前ドア4を開け、装置本体2の上面に設けてある操作パネル10のキー(キー11かキー12)を押し下げる。キー11を操作すれば、トレイが下まで降下してカート3が取り出せるようになり、キー12を操作すれば、用紙詰まり処理が行えるようになる。
【0027】
このような状態で一般的なユーザー8が用紙処理等を行おうとするとき、図7に示したように装置本体2の前でしゃがみ、右手8Rを装置本体2の上面2aについてしまっても、そこには操作パネルは存在しないので、誤ってキーを押下してしまうことがなく、したがって何らかの意図しない動作をスタッカー1に行わせてしまいこともない。
【0028】
<実施例2>
なお図示は省略するが、本実施例とは異なり、装置本体2の正面左側から用紙が排出されてくる構造の場合には、操作をしやすくするために前ドアの支持が逆側になることが多いので、ユーザーは左手を装置本体の上面につけることになる。その場合、操作パネルも図示の例とは逆側に設ければよいことになる。
【0029】
<実施例3>
これも図示は省略するが、前ドアが観音開きタイプの2枚ドアの場合には、操作パネルはどちらかのドアのヒンジ等の支持部の上部側に設ければよい。一般的には、右利きのユーザーの場合には図7のような姿勢を取ることが多いので、正面左側のドアのヒンジの上部側に設ける血ことが好ましいと考えられる。
【符号の説明】
【0030】
1:スタッカー
2:装置本体
2a:装置本体の上面
2x:装置本体上面の排紙部
3:カート
4:前ドア
4a:前ドアの窓部
6:ヒンジ
7:取手
8:ユーザー
8R:ユーザーの右手
10:操作パネル
11、12、13:キー
14:キーの操作を示す発光部
15:発光部の表示内容を示す図柄
P:用紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【特許文献1】特開2005−230951号公報
【特許文献2】特開2006−097990号公報
【特許文献3】特開2008−130493号公報
【特許文献4】特開2009−242076号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体の一面に開閉ドアを備え、
該開閉ドアは、一側縁を前記機器本体に支持させて水平回動開閉可能としてなり、
前記開閉ドアの前記機器本体への支持側部位は、前記機器本体上部の操作パネルを設けてある側である、
ことを特徴とする機器の操作パネルの配置構造。
【請求項2】
請求項1の機器の操作パネルの配置構造において、
前記開閉ドアの前記機器本体への支持をヒンジによる支持としてなる、
ことを特徴とする機器の操作パネルの配置構造。
【請求項3】
請求項2の機器の操作パネルの配置構造において、
前記開閉ドアを支持するヒンジの上方部位に前記操作パネルを配置する、
ことを特徴とする機器の操作パネルの配置構造。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかの機器の操作パネルの配置構造において、
前記開閉ドアが、前記機器本体への支持側部位と反対側となる前記開閉ドアの非支持側部位に、開閉操作用の取手を備えてなる、
ことを特徴とする機器の操作パネルの配置構造。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかの機器の操作パネルの配置構造を用いて機器本体に操作パネルを配置してなる、
ことを特徴とする機器。
【請求項6】
画像形成装置本体と組み合わせられ、前記画像形成装置本体から排出された用紙を装置本体内部に集積する用紙スタック装置であって、
前記用紙を集積する装置本体内部を開放、閉鎖するための開閉ドアを備え、
請求項1から4のいずれかの機器の操作パネルの配置構造を用いて装置本体に操作パネルを配置してなる、
ことを特徴とする用紙スタック装置。
【請求項7】
画像形成装置本体と組み合わせられ、前記画像形成装置本体から排出された用紙を装置本体内部に集積する用紙スタック装置であって、
前記用紙を集積する装置本体内部を開放、閉鎖するための開閉ドアを備え、
前記開閉ドアが、前記機器本体への支持側部位と反対側となる前記開閉ドアの非支持側部位に、開閉操作用の取手を備え、
該取手側の前記装置本体内側に前記画像形成装置本体から排出された用紙をスタックするために通す部位を備え、
請求項1から3のいずれかの機器の操作パネルの配置構造を用いて装置本体に操作パネルを配置してなる、
ことを特徴とする用紙スタック装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−189825(P2012−189825A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53501(P2011−53501)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】