説明

機器の盗難防止手段を備えた机

【課題】 索条(ケーブル)の他端取り付ける取付具を機器の使用する箇所近辺で探す必要がなく、且つ取付具を取り外すには困難が伴う機器の盗難防止手段を備えた机を提供すること。
【解決手段】 天板3から蓋体4を開放した状態であっても、ケーブル26の他端はコンセントユニット15と一体成型した取付具21に取り外し不能に結びつけられるとともに、ケーブル26の一端は機器30に取り付けた施錠具27に取り外し不能に取り付けられるので、施錠具27が施錠状態であればコンセントユニット15を破壊するかケーブル26を電動切断機等で切断しない限り、機器30を天板上から持ち去ることができず、確実に機器30の盗難を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板上に載置した機器に取り付けた施錠具に一端を取り外し不能に取り付けたケーブルの他端を固定物に結びつけて機器の搬出を不能にした機器の盗難防止手段を備えた机に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のOA機器等の機器の盗難防止手段として、不使用時にこれら機器類が盗難されないように、機器に盗難防止のための施錠具を取付け、索条の一端をこの施錠具に取り外し不能に取り付け、他端をループ状にして柱等に回装縛持して機器の搬出による盗難を防止しており、施錠具を解錠しない限り機器と索条とを切り離すことができないように構成されていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−131584号公報(段落0018〜段落0023、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1においては、索条のループ状の他端で回装縛持する柱等が近くにない場合は、柱に代わる取付具を適当な場所に架設しなければならず、機器の使用箇所との関係で、容易には取り外すことができない取付具が見いだせるかどうが不確定であり、盗難防止機能を果たせない恐れがあった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、索条(ケーブル)の他端を取り付ける取付具を機器の使用する箇所近辺で探す必要がなく、且つ取付具を取り外すには困難が伴う機器の盗難防止手段を備えた机を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の機器の盗難防止手段を備えた机は、天板上に載置した機器に取り付けた施錠具に一端を取り外し不能に取り付けたケーブルの他端を固定物に結びつけて機器の搬出を不能にした機器の盗難防止手段を備えた机であって、前記天板にはコンセントユニットが設けられ、前記ケーブルの他端は前記コンセントユニットと一体成型した取付具に取り外し不能に結びつけたことを特徴としている。
この特徴によれば、ケーブルの他端はコンセントユニットと一体成型した取付具に取り外し不能に結びつけられ、ケーブルの一端は機器に取り付けた施錠具に取り外し不能に取り付けられているので、施錠具が施錠状態であれば、コンセントユニットを破壊するかケーブルを切断しない限りケーブルと機器を切り離すことができず、確実に機器の盗難を防止できる。そして取付具がコンセントユニットと一体成型されているので、天板上に新たに取付具を設けるスペースを確保する必要がない。
【0007】
本発明の請求項2に記載の機器の盗難防止手段を備えた机は、請求項1に記載の機器の盗難防止手段を備えた机であって、前記コンセントユニットは、前記取付具を備えた金属製板材にコンセント用器具が取り付けられたものであり、前記板材は前記天板の下面に固着具により固定されていることを特徴としている。
この特徴によれば、天板の下面に潜り込んで板材を外さない限り、機器を搬出できないので盗難の可能性が低い。
【0008】
本発明の請求項3に記載の機器の盗難防止手段を備えた机は、請求項2に記載の機器の盗難防止手段を備えた机であって、前記天板に掘り込み部を設け、該掘り込み部底部に前記板材を嵌め込んだことを特徴としている。
この特徴によれば、取付具を天板から突出しないように構成できるので、コンセントに差し込まれた電源ケーブルや通信ケーブルが取付具に邪魔されず、配線がスムーズに行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例】
【0010】
図1は、本発明の実施例における機器の盗難防止手段を備えた机の全体像を示す斜視図であり、図2は、天板に取り付けられるコンセントユニットを示す分解組立斜視図であり、図3(a)は、天板に設けられたコンセントユニットにワイヤーケーブルを取り付ける過程を示す正面断面図であり、図3(b)は、コンセントユニットの通常の使用状態を示す正面断面図であり、図4は、機器(以下、パソコン)がワイヤーケーブルを介してコンセントユニットに固定された状態を示す側断面図である。
【0011】
本発明における机は、主としてノート型パソコン等の機器を常設させる学校内の専門教室に設置されるもので、教室の不使用時に机の天板上に設置される機器に蓋体を閉蓋させ、この蓋体を天板にロックさせることで、機器の盗難防止および外部からの破損防止を目的として利用されている。
【0012】
図1に示されるように机1は、主に一対の脚柱2,2’と、脚柱2,2’の上端に支持固定された天板3と、一対の脚柱2,2’間に設けられた幕板2aと、天板3上面の長さ方向に沿って並列された2つの蓋体4と、から構成されている。これら2つの蓋体4により天板3が2つに区画されており両区画にノート型のパソコン30が載置されている。このパソコン30に後述する天板3上に配線されたネットワーク通信を行うLAN等の通信ケーブル28や、電源供給用の給電ケーブル29を接続することで適宜利用可能となっている。
【0013】
以下、本実施例の説明において、机1の正面側を前方をとし、机1の背面側を後方とし、一方の脚柱2側を左方とし、他方の脚柱2’側を右方として説明する。なお、2つの蓋体4の構造および蓋体の周辺機器類は同一構造であるので、本実施例では、一方の蓋体4まわりの構造についてのみ説明する。
【0014】
蓋体4は天板3の左右に設けられた基部8のそれぞれ取り付けられた2本のリンク部材10,11で前方から後方へと開放可能に支持されており、両基部8を外部から隠蔽するように左右方向に延びるカバー体12が取り付けられている。例えば、パソコン30を利用しない場合には、蓋体4を天板3に閉蓋させたのち、天板3の前端部に形成された施解錠3aの旋錠操作によって鈎を鍵孔3bから突設させることで、この鈎が蓋体4の前端部に形成された係合孔4cに係合され蓋体3が開放不能に固定される構造になっている。
【0015】
カバー体12の直下に位置する天板3の一部には、上下に貫通する掘り込み部3cが形成され、この掘り込み部3cにコンセントユニット15が取り付けられている。コンセントユニット15には、通信ケーブル28および給電ケーブル29の他端が接続されるとともに、盗難防止用の金属製ワイヤーケーブル26の他端が取り付けられ、パソコン30の背面側には、通信ケーブル28および給電ケーブル29,そしてワイヤーケーブル26の一端が接続されている。
【0016】
次いで、コンセントユニット15について詳細に説明する。図2に示されるようにコンセントユニット15は、主に金属製の板材で形成された金属製板材(以下、板材20)および、各種コンセントを備えたコンセント用器具23と、プラスチック材で形成された化粧カバー16と、から構成されている。天板3の掘り込み部3cは左右の長さ方向に延びる矩形の開口が上下に貫通して形成されており、さらに掘り込み部3cの底面には開口が一段大きく形成された底部3dが形成されている。この底部3dの各隅部には上方に向けてネジ18の取付穴3eが形成されている。
【0017】
板材20には、中央部の左右に所定間隔離間して係合孔20a,20a’が形成され、中央部の前後に向けて側面視半円形の金属製取付具(以下、取付具21)が取り外し不要に溶接され連結固定されている。板材20の係合孔20aの左方近傍および係合孔20a’の右方近傍にはそれぞれネジ19の螺合孔20bが形成され、板材20の各隅部にはネジ18の貫通孔20cが形成されている。
【0018】
コンセント用器具23の板部23cには、左右に所定間隔離間して通信コンセント23aおよび電気コンセント23bが取り付けられており、通信コンセント23aの上面に通信ケーブル28の後述する通信プラグ28aを挿し込み可能な穴が形成され、電気コンセント23bの上面にも給電ケーブル29の後述する給電プラグ29aを挿し込み可能な穴が形成されている。そして、板部23cの左右両端にはそれぞれネジ19の貫通孔23dが形成されている。
【0019】
化粧カバー16には、左右の長さ方向に延びる矩形の開口16aが上下に貫通して形成され、上端に外方に向けて係止枠16cが形成されている。なお、開口16aの対向面である外側面には前後にそれぞれ外方に突設される抜止め係合片16bが設けられており、天板3の掘り込み部3cに化粧カバー16を嵌め込んで取り付けた際に、容易に取り外れない構成となっている。
【0020】
そこで、これら板材20,コンセント用器具23,化粧カバー16を前述した天板3の掘り込み部3cに取り付ける過程について具体的に説明すると、まず底部3dに板材20を下方より上方に向けて嵌合させ、掘り込み部3cの内部空間に取付具21を嵌め込んでネジ18を各貫通孔20cに貫通させて各取付穴3eに螺合させることで板材20を固定する。
【0021】
次いで、板材20に下方より上方に向けてコンセント用器具23を接合させながら係合孔20aに通信コンセント23aを嵌合させるとともに、係合孔20a’に電気コンセント23bを嵌合させたのち、ネジ19を各貫通孔23dに貫通させて各螺合孔20bに螺合させることでコンセント用器具23を固定する。そして、化粧カバー16を上方より下方に向けて掘り込み部3cの開口3cに押し込むことで、開口3cの前後側面に各抜止め係合片16bが嵌合固定される。
【0022】
次に、天板3の掘り込み部3cに板材20,コンセント用器具23,化粧カバー16が図3(a)に示されるように取り付けられる。掘り込み部3cの深さは、取付具21および通信コンセント23a、電気コンセント23bが内設されたとき、天板3の上面に大きく突設して、天板3の利用時に邪魔なることがない設定になっている。さらに、化粧カバー16によって開口3cの縁部の角が保護されることで、後述する盗難防止用ロック装置(以下、ロック装置25)や通信ケーブル28および給電ケーブル29の取付作業時における指への引っ掛け防止保護となっている。
【0023】
取付具21に取り付けるロック装置25には、金属線状の強固なワイヤーケーブル26を二本に束ね、ワイヤーケーブル26の一端が金属製の旋錠具27に連結され、ワイヤーケーブル26の他端部にかしめ金具26bが介挿されることによってループ形のリング状挿通部26aが形成されている。旋錠具27は図示しない鍵で旋錠操作される鍵穴部27aと、この鍵穴部27aに差し込んだ鍵の操作によって作動する突起27bが設けられている。
【0024】
そこで、取付具21にリング状挿通部26aを挿通させたのち、ワイヤーケーブル26の先端に取り外し不能に取り付けた旋錠具27をリング状挿通部26aのリング内に通し、さらに旋錠具27を図3(a)に示した矢印の如く略上方に向けて引っ張り上げることで、図3(b)に示されるようにリング状挿通部26aを取付具21に巻き付けることでワイヤーケーブル26の一端側が回装縛持され、取り外し不能に結びつけられる。このように、ロック装置25を介して取付具21に上向きの力が加えられても、板材20が底部3dに嵌合されていることから上方に取り外れることのない構成になっている
【0025】
そして掘り込み部3cの上方より下方に向けて、給電ケーブル29の給電プラグ29aを電気コンセント23bに挿し込み、通信ケーブル28の通信プラグ28aを通信コンセント23aに挿し込むことで、簡便にパソコン30に電力を供給できるとともに、ネットワーク利用可能にできる。このように、取付具21を天板3上面から大きく突出しないように構成できるので、各コンセント23b,23bに差し込まれた電源ケーブル28や通信ケーブル29を取付具21に邪魔されることなく、ケーブル配線の取り回しをスムーズに行えるようになっている。
【0026】
次いで、図4に示されるように天板3上に載置されたパソコン30の背面部の一部には、ロック穴30aが側面視鈎状に形成され、このロック穴30aに旋錠具27の先端側を挿し込んだのち、鍵操作することでロック穴30aに突起27bが突出し、旋錠具27がパソコン30に取り外し不能に連結される(施錠具27の施錠状態)。
【0027】
つまり、天板3の下面に潜り込んで、ネジ18の解除操作をして板材20を外さない限り、パソコン30を搬出できないので盗難の可能性を低くできる。なお、本実施例ではパソコン30にロック装置25を用いているが、これに限定するものではなく、他の機器類に適用してもよいことは言うまでもない。
【0028】
したがって、天板3から蓋体4を開放した状態であっても、ワイヤーケーブル26の他端はコンセントユニット15と一体成型した取付具21に取り外し不能に結びつけられるとともに、ワイヤーケーブル26の一端はパソコン30に取り付けた施錠具27に取り外し不能に取り付けられているので、施錠具27が施錠状態であれば、コンセントユニット15を破壊するかワイヤーケーブル26を電動切断機等で切断しない限り、ロック装置25とパソコン30を切り離すことができず、確実にパソコン30の盗難を防止できる。そして取付具21がコンセントユニット15内に一体で成型されているので、天板3上に新たに取付具21を設けるスペースを確保する必要がなくコスト的にも優れ、且つ天板3上面からの見栄えも良くなる。
【0029】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれ、例えば上記実施例では、板材20とコンセント用器具23を別体で構成しているが、コンセント用器具23を使用せずに板材20に予め通信コンセント23aおよび電気コンセント23bを設けた板材を単体で使用するようにしても良い。
【0030】
また、上記実施例の天板3の掘り込み部3cに化粧カバー16を取り付けているが、本発明はこれに限定するものではなく、必ずしもコンセントユニット15に化粧カバー16を設けない構成でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施例における機器の盗難防止手段を備えた机の全体像を示す斜視図である。
【図2】天板に取り付けられるコンセントユニットを示す分解組立斜視図である。
【図3】(a)は、天板に設けられたコンセントユニットにワイヤーケーブルを取り付ける過程を示す正面断面図であり、(b)は、コンセントユニットの通常の使用状態を示す正面断面図である。
【図4】機器がワイヤーケーブルを介してコンセントユニットに固定された状態を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 机
2、2’ 脚柱
3 天板
3c 掘り込み部
3d 底部
3e 取付穴
4 蓋体
8 基部
10、11 リンク部材
15 コンセントユニット
16 化粧カバー
16a 開口
16b 抜止め係合片
20 金属製板材
20a、20a’ 係合孔
20b 螺合孔
20c 貫通孔
21 取付具
23 コンセント用器具
23a 通信コンセント
23b 電気コンセント
23c 板部
23d 貫通孔
25 盗難防止用ロック装置
26 ワイヤーケーブル
26a リング状挿通部
27 旋錠具
27a 鍵穴部
27b 突起
28 通信ケーブル
29 給電ケーブル
30 機器(パソコン等)
30a ロック穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板上に載置した機器に取り付けた施錠具に一端を取り外し不能に取り付けたケーブルの他端を固定物に結びつけて機器の搬出を不能にした機器の盗難防止手段を備えた机であって、前記天板にはコンセントユニットが設けられ、前記ケーブルの他端は前記コンセントユニットと一体成型した取付具に取り外し不能に結びつけたことを特徴とする機器の盗難防止手段を備えた机。
【請求項2】
前記コンセントユニットは、前記取付具を備えた金属製板材にコンセント用器具が取り付けられたものであり、前記板材は前記天板の下面に固着具により固定されている請求項1に記載の機器の盗難防止手段を備えた机。
【請求項3】
前記天板に掘り込み部を設け、該掘り込み部底部に前記板材を嵌め込んだ請求項2に記載の機器の盗難防止手段を備えた机。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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