説明

機材運用管理システム

【課題】使用者の必要とする機材を予め迅速に把握するとともに、作業現場での機材の運用状況を確実に把握し、管理者が管理する機材の作業現場での運用を効率的に行うことを可能とする。
【解決手段】使用予定の機材に関する品名と使用工区と使用期間と使用台数とを含む予約情報に基づき機材の使用予約を受付ける予約受付手段12と、業者が所有するIDカード32と機材を使用するための鍵33のバーコード34とを機材の貸出し時に読取ることで機材の貸出しを管理する貸出管理手段16と、業者のIDカード32と機材を使用するための鍵33のバーコード34とを機材の返却時に読取ることで機材の返却を管理する返却管理手段17と、予約受付手段12の予約情報と貸出管理手段16の貸出情報と返却管理手段17の返却情報とに基づき、少なくとも業者の予約に対する管理者が管理する機材の自動割り振りを行う統括制御手段13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、作業に必要な機材を貸出す機材運用管理システムに関し、とくに機材管理者が管理する機材の作業現場での運用を効率的に行うことが可能な機材運用管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工事期間が長期にわたる規模の大きな作業現場においては、作業に必要な機材のオペレータ業者などへの貸出や返却業務は人手に頼っており、機材管理者の業務は多忙で煩雑化するという問題があった。例えば、作業現場で使用する機材は、機材管理者がレンタル業者からレンタルした機材を使用しており、これらの機材をオペレータ業者に貸し出して効率的に運用することは、コストの低減からも機材管理者にとって重要なことである。
【0003】
そこで、建設工事の機材に関する技術として、機材センターなどのストック施設と建設工事現場との間で情報の収集や交換を円滑かつ速やかに行い、機材の配送効率を高めるようにした建設工事用資機材の管理システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、貸出した物品を制限時間内に確実に返却させるために、物品にICタグを添付して物品を管理する物品管理システムも知られている(例えば、特許文献2参照。)。さらに、鍵を利用してホテルのフロント業務や自動車の共同利用を行う予約管理システムが知られている(例えば、特許文献3、4参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−203103号公報
【特許文献2】特開2007−45592号公報
【特許文献3】特開平11−324427号公報
【特許文献4】特開2006−11891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、工事期間が長期にわたる規模の大きな作業現場においては、管理する機材の対象が増加するのに伴い管理が煩雑化し、機材の適正な割り振りをするために多くの時間を必要とするという問題がある。機材管理者は、レンタル業者からの機材の調達を円滑に行うために、翌日に使用する機材についてオペレータ業者と前日に打ち合わせを行い、機材の使用予定(誰が、どこで、いつから、何を、何台使いたい)を正確に把握しているが、この打ち合わせに多くの時間を必要とするという問題がある。したがって、事前打ち合わせを必要とすることなく、オペレータ業者などの機材使用者に対して機材を適正に割り振ることが可能なシステムの開発が望まれる。
【0006】
特許文献1の管理システムは、工事用資機材の配送効率を高めるためものであり、作業現場における機材の運用効率を高めることはできない。特許文献2の物品管理システムは、物品の返却のみを目的としたものであり、特許文献1と同様に機材の運用効率を高めることはできない。特許文献3、4は、鍵を利用する管理システムであり、ホテルのフロント業務の無人化や車の鍵の受け渡しを確実に行うことが可能であるが、管理者が管理する機材の運用効率を高めることはできない。
【0007】
そこでこの発明は、機材使用者の必要とする機材を予め迅速に把握するとともに、作業現場での機材の運用状況を確実に把握し、機材管理者が管理する機材の作業現場での運用を効率的に行うことが可能な機材運用管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、使用予定の機材に関する少なくとも品名と使用工区と使用期間と使用台数とを含む機材使用者からの予約情報に基づき前記機材の使用予約を受付ける予約受付手段と、前記機材使用者が所有する認証手段の情報と前記機材を使用するための鍵に取付けられる機材認識コードの情報とを前記機材の貸出し時に読取ることで機材管理者から前記機材使用者への前記機材の貸出しを管理する貸出管理手段と、前記機材使用者の前記認証手段の情報と前記機材を使用するための鍵に取付けられる機材認識コードの情報とを前記機材の返却時に読取ることで前記機材使用者からの前記機材管理者への前記機材の返却を管理する返却管理手段と、前記予約受付手段の予約情報と前記貸出管理手段の貸出情報と前記返却管理手段の返却情報とに基づき、少なくとも前記機材使用者の予約に対する前記機材管理者が管理する前記機材の自動割り振りを行う統括制御手段と、を備えたことを特徴とする機材運用管理システムである。
【0009】
この発明によれば、認証手段と機材認識コードの組み合わせを利用して機材使用者に対する機材の貸出しおよび返却を管理するので、作業現場での機材の運用状況を確実に把握することができ、機材管理者が管理する機材の機材使用者への適正な割り振りが可能となる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の機材運用管理システムにおいて、前記統括制御手段は、同一の機材が継続して同一の機材使用者によって使用される予約の場合は最優先で前記同一の機材使用者に前記同一の機材を割り当てる機能と、同一の工区における空き機材を優先的に同一の工区で作業を行う機材使用者に割り当てる機能と、予約した機材が前記機材管理者側に存在しない場合は代替の機材を割り当てる機能とを有することを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の機材運用管理システムにおいて、前記貸出管理手段は、前記機材使用者への機材の貸出時には、貸出される機材の場所が表示された貸出票を作成することを特徴としている。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の機材運用管理システムにおいて、前記機材使用者による前記機材の予約は、前記予約受付手段と通信可能な前記機材使用者の端末機によって行われることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、機材使用者の必要とする機材を予め迅速に把握するとともに、作業現場での機材の運用状況を確実に把握することができるので、機材使用者の予約に対する機材管理者が管理する機材の自動割り振り適正なものとすることができ、機材管理者が管理する機材の作業現場での運用を効率的に行うことが可能となる。これにより、機材管理者が管理する機材を高稼働率で運用することができ、機材調達に要する費用を削減することができる。また、従来必要とされた機材管理者と機材使用者との事前打ち合わせが不要となるので、機材管理者および機材使用者の双方の作業効率を高めることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、最優先で同一の機材使用者に同一の機材を割り当てるようにしているので、同一の場所で作業する機材使用者にとって機材の移動が不要となり、作業効率を高めることができる。また、同一の工区における空き機材を優先的に同一の工区で作業を行う機材使用者に割り当てることができるので、機材の移動に要する労力を軽減することができる。さらに、予約した機材が機材管理者側に存在しない場合は、代替の機材を割り当てることができるので、機材使用者は代替の機材によって作業を予定通り行うことが可能となり、工期の短縮が図れる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、貸出される機材の場所が表示された貸出票を作成するようにしているので、使用する機材の場所を事前に把握することができ、規模の大きな作業現場の場合でも使用する機材を容易に特定することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、機材使用者による機材の予約は、予約受付手段と通信可能な機材使用者の端末機によって行うことができるので、機材使用者と機材管理者が離れた場所にいる場合でも、機材使用者から機材管理者側への予約手続きが容易となり、予約手続きの効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係わる機材運用管理システムの概要を示すブロック図である。
【図2】図1の機材運用管理システムにおける機材および情報の流れを示すブロック図である。
【図3】図1の機材運用管理システムにおける機材担当者によるオペレータ業者への機材の貸出し手順を示すフローチャートである。
【図4】図1の機材運用管理システムにおける予約にない機材の貸出し手順を示すフローチャートである。
【図5】図1の機材運用管理システムにおける機材の返却手順を示すフローチャートである。
【図6】図1の機材運用管理システムにおける各手段の相互関係を示すブロック図である。
【図7】図1の機材運用管理システムにおける機材の予約手順を示す概要図である。
【図8】図1の機材運用管理システムにおける機材の割当て手順を示す概要図である。
【図9】図2における機材管理者からレンタル業者への機材の発注および入庫の手順を示す概要図である。
【図10】図2の機材管理者側における貸出前準備作業の手順を示す概要図である。
【図11】図2の機材管理者からオペレータ業者への機材の貸出し手順を示す概要図である。
【図12】図2の機材管理者からオペレータ業者への予約にない機材の貸出し手順を示す概要図である。
【図13】図2のオペレータ業者から機材管理者への機材の返却手順を示す概要図である。
【図14】図2の機材管理者からレンタル業者への機材の出庫手順を示す概要図である。
【図15】図1の機材運用管理システムにおける機材の稼動実績の管理内容を示す概要図である。
【図16】図2の機材管理者からレンタル業者への機材発注に用いられる手配依頼書の平面図である。
【図17】図2の機材管理者からレンタル業者へ送られる機材の入庫確認表の平面図である。
【図18】図2の機材管理者からオペレータ業者に発行される貸出票の平面図である。
【図19】図2の機材管理者からオペレータ業者に発行される返却票の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
つぎに、この発明の実施の形態について図面を用いて詳しく説明する。
【0019】
図1ないし図19は、この発明の実施の形態を示しており、例えば大規模な施設に関する空調設備の施工作業現場における機材の運用管理に適用した場合を示している。図2は、施工作業に関する機材の流れと情報の流れを示している。空調設備の施工作業に必要な機材には多くの種類があり、図9に示すように、機材30の一例として高所で安全に作業を行うための高所作業車がある。この実施の形態においては、機材管理者36は、高所作業車などの機材30をレンタル業者38からレンタルし、この機材30を機材使用者としてのオペレータ業者37に貸出すようにしている。
【0020】
図2は、レンタル業者38と機材管理者36とオペレータ業者37との間での機材30および情報の流れを示している。図2に示すように、機材30のオペレータ業者37への貸出しは、原則としてオペレータ業者(ここでは、機材を借り受けてその操作により作業を行う業者)37が機材管理者36に予約をすることにより行われる。機材管理者36は、オペレータ業者37からの予約情報に基づき、必要に応じてレンタル業者38へ機材30の発注を行い、レンタル業者38は、これに基づき機材管理者36へオペレータ業者37が予約した機材30を入庫(納入)するようになっている。機材管理者36は、入庫した機材30を予約したオペレータ業者37に貸出し、機材30の使用後には、オペレータ業者37は使用した機材30を機材管理者36に返却するようになっている。機材管理者36は、作業現場で使用しなくなった機材30について、レンタル業者38に出庫(返納)するようにしている。機材管理者36は、レンタル業者38からの機材30の調達をできる限り少なく抑えるために、管理する機材30の効率的な運用を図っている。
【0021】
この実施の形態においては、機材管理者36による機材30のオペレータ業者37への貸出しは、1日を区切りとして行われる。すなわち、機材管理者36による機材30の管理は、午前中に機材30が機材管理者36からオペレータ業者37に貸出され、同じ日の午後にオペレータ業者37から機材管理者36に機材30を返却することが前提となっている。つまり、同じ機材30を用いた作業が次の日も継続される場合であっても、機材30は一旦オペレータ業者38から機材管理者36に返却される。オペレータ業者37による機材30の予約は、例えば機材30貸出し日の前日の午後0時で締め切られる。
【0022】
図1は、図2の機材管理者36が運用する機材運用管理システム1を示している。機材運用管理システム1は、例えばコンピュータ11から構成されている。機材運用管理システム1は、図1に示すように、予約受付手段12、統括制御手段13、入庫管理手段14、出庫管理手段15、貸出管理手段16、返却管理手段17、稼動実績管理手段19、稼動履歴管理手段20、入力手段21、出力手段22と、を有している。
【0023】
図1の予約受付手段12は、機材使用者としてのオペレータ業者37からの予約情報に基づき機材30の使用予約を受付ける機能を有している。オペレータ業者37からの予約情報には、少なくとも使用を予定する機材30に関する「品名」と「工区」と「使用期間」と「使用台数」とを含まれる。「品名」には、機材30の種類名およびサイズなども含まれる。「工区」は、工事区分と呼ばれるもので、工事現場における特定の作業領域を意味する。
【0024】
図6に示すように、予約受付手段12が受け付けるオペレータ業者37からの情報は、「予約」だけでなく「変更」も含まれる。オペレータ業者37からの予約は、2週間先まで可能となっている。「変更」には、空き機材30の当日予約の入力、返却済み機材の追加貸出し、予約情報の変更、予約情報の取消しなどが含まれる。オペレータ業者37からの情報は、図1に示すオペレータ37が所有する端末機としてパーソナルコンピュータ(PC)31から情報通信網35を介して予約受付手段12に送られる構成となっている。この実施の形態においては、情報通信網35として無線LAN(Local Area Network)が用いられている。
【0025】
図1の入庫管理手段14は、レンタル業者38から機材管理者36へ入庫(納入)される機材30の入庫管理を行う機能を有している。図6に示すように、入庫管理手段14は、レンタル業者38から入庫される機材30の機材データの自動登録、鍵用バーコードと機材30とを連携させる機能を有している。また、入庫管理手段14は、図17に示すように、レンタル業者38からレンタルした機材30の一覧を表示する入庫確認表42を作成する機能を有している。
【0026】
図1の出庫管理手段15は、機材管理者36からレンタル業者38へ出庫(返納)される機材30の出庫管理を行う機能を有している。図6に示すように、出庫管理手段15は、例えばレンタル業者38への機材30の引取依頼書(図16の手配依頼書41が相当する)を作成する機能を有している。また、出庫管理手段15は、特定の機材30が貸出し中である場合は、その機材30の予約をNGとする機能を有している。さらに、出庫管理手段15は、返却後の鍵33の番号(キーNo.)を再利用することができる機能を有している。
【0027】
図1の貸出管理手段16は、機材管理者36からオペレータ業者37への機材30の貸出しを管理する機能を有している。すなわち、貸出管理手段16は、機材30の貸出し時に、オペレータ業者37が所有する認証カードとしてのIDカード32の情報と、機材30を稼動させるための鍵(キー)33に取付けられる機材認識コードとしてのバーコード34の情報とを読取ることで、機材管理者36からオペレータ業者37への機材30の貸出しを管理する機能を有している。貸出管理手段16におけるIDカード32の情報およびバーコード34の情報の読み取りは、バーコードリーダ18を介して行われる。IDカード32は、バーコードが付与されたICカードであってもよいし、磁気カードなどから構成してもよい。
【0028】
図6に示すように、貸出管理手段16は、読み取ったIDカード32の情報から機材30を貸出すオペレータ業者37を識別することが可能となっている。また、貸出管理手段16は、読み取ったバーコード34の情報から鍵33の番号(キーNo.)を確認することが可能となっている。貸出管理手段16は、IDカード32の情報およびバーコード34の情報の読み取りを行うことにより、機材30が貸出中(使用中)であることを把握することが可能となる。貸出管理手段16は、オペレータ業者37への機材30の貸出時には、鍵33に対応する機材30の保管位置が表示された貸出票43を作成する機能を有している。
【0029】
図1の返却管理手段17は、オペレータ業者37からの機材管理者36への機材30の返却を管理する機能を有している。すなわち、返却管理手段17は、機材30の返却時に、オペレータ業者37が所有するIDカード32の情報と、機材30を稼動させるための鍵33に取付けられるバーコード34の情報とを読取ることで、オペレータ業者37からの機材管理者36への機材30の返却を管理する機能を有している。返却管理手段17におけるIDカード32の情報およびバーコード34の情報の読み取りは、貸出管理手段16と同様にバーコードリーダ18を介して行われる。
【0030】
図6に示すように、返却管理手段17は、読み取ったIDカード32の情報から機材30を返却するオペレータ業者37を識別することが可能となっている。また、返却管理手段17は、読み取ったバーコード34の情報から鍵33の番号(キーNo.)を確認することが可能となっている。返却管理手段17は、IDカード32の情報およびバーコード34の情報の読み取りを行うことにより、機材30の返却が終了したことを把握することが可能となる。返却管理手段17には、機材30の返却時に、入力手段21を介して機材30の在庫(保管)場所を登録することが可能となっている。
【0031】
図1の統括制御手段13は、機材30の予約の締め切りを行い、翌日予約の確定および機材30の貸出予定に対する自動割振りを行う機能を有している。すなわち、統括制御手段13は、予約受付手段12の予約情報と、貸出管理手段16の貸出情報と、返却管理手段17の返却情報とに基づき、少なくとも機材管理者36が保有する機材30の予約に対するオペレータ業者37へ自動割り振りを行う機能を有している。
【0032】
図6に示すように、統括制御手段13は、同一の機材30が継続して同一のオペレータ37によって使用される場合は、同一の機材30を最優先で同一のオペレータ業者37に割り当てる機能を有している。また、統括制御手段13は、同一の工区における空き機材30を優先的に同一の工区での作業を行うオペレータ業者37に割り当てる機能を有している。さらに、統括制御手段13は、工区、機材別での機材30の不足台数を把握し、この台数を表示する機能を有している。
【0033】
また、図6の統括制御手段13は、機材管理者36への管理支援を行う機能も有している。例えば、該当する機材30がない場合は、代替の機材30を割り当てることを可能とする機能を有している。また、別の工区から機材30を割り当てることも可能となっている。さらに、統括制御手段13は、予約から保有している機材30の過不足を工区別に把握することが可能となっており、これにより不足する機材30の発注および余剰となる機材30の返却を機材管理者36に指示し、工区間における機材30の移動を効率よく行う機能を有している。
【0034】
図1の稼動実績管理手段19は、貸出管理手段16と返却管理手段17と統括制御手段13とからの情報に基づき、少なくともオペレータ業者37に貸出している機材30の稼動実績を把握する機能を有している。図6に示すように、稼動実績管理手段19は、予約一覧を作成することが可能となっており、これにより工区別、オペレータ業者別の予約状況と機材30の過不足を把握し、予約入力の促進を図っている。また、稼動実績管理手段19は、当日貸出しまたは返却状況に対する問い合わせが可能となっており、これにより、予約に対する割当、貸出し、返却の漏れを確認し、オペレータ業者の指導による基本ルールの徹底を図っている。
【0035】
稼動実績管理手段19は、図15に示す稼動実績表45〜47を作成する機能を有している。これにより、機材30、工区別の保有、稼動状況を日々把握することが可能となっており、機材30の保有数を適正化するようにしている。さらに、稼動実績管理手段19は、オペレータ業者別の実績も管理する機能を有している。すなわち、オペレータ業者37の月別の使用実態を把握するとともに、オペレータ業者37の機材30利用実態を管理し、レンタル料金は利用実態に即した費用按分としている。稼動実績管理手段19は、入庫した機材30の在庫一覧を作成することが可能となっている。これにより、機材30の置き場、使用場所を的確に把握することができ、効率的な機材30の在庫管理(在庫調査)が可能となる。ここで、オペレータ業者37の稼動実績において、同じ機材30を複数のオペレータ業者37が共有して使用した場合は、レンタル料金を共有者で按分することが可能となっている。
【0036】
図1の稼動履歴管理手段20は、出庫管理手段15と統括制御手段13とからの情報に基づき、オペレータ業者37の使用による機材30の稼動履歴を把握する機能を有している。図6に示すように、稼動履歴管理手段20は、利用責任者の把握と管理を行うものであり、機材30の利用者を限定し、機材30の故障、トラブル発生時の追跡を行うキーNo.による稼動履歴の問い合わせ、いつ、誰が、どこで使用したかを確認する機能を有している。また、稼動履歴管理手段20は、レンタル業者38へ出庫した機材30でも、オペレータ業者37の管理No.に基づき履歴検索が可能となっている。また、レンタル業者38からの修理請求に対し、使用者履歴を同様に確認することが可能となっている。
【0037】
図1の入力手段21は、例えばコンピュータのキーボードから構成されており、統括制御手段13への情報の入力が可能となっている。例えば、レンタル業者38から機材管理者36へ入庫される機材30の登録は、入力手段21を介して行われる。図1の出力手段22は、例えばコンピュータのプリンターから構成されている。出力手段22は、図18に示す貸出票43および図19に示す返却票44をプリントアウトする機能を有している。
【0038】
つぎに、機材運用管理システム1を用いた機材30の運用管理手順および作用について説明する。
【0039】
図3は、機材管理者37によるオペレータ業者37への機材30の貸出し手順を示している。図3のステップS51で機材30の貸出しに関する処理が開始され、ステップS52においてはオペレータ業者37による機材30の予約が行われる。機材30の予約は、図7に示すように、オペレータ業者37が自分のIDカード32の情報をパーソナルコンピュータ31のバーコードリーダ31aを介して読み取り、つぎにパーソナルコンピュータ31のキーボードを介して必要な機材30に関する情報をパーソナルコンピュータ31に入力することにより行われる。この予約は、機材30を使用する前日の規定の時間(午後0時)までに行われる。すなわち、パーソナルコンピュータ31には図7の予約表が表示されるので、明日は「どこで」「何台」の機材30が必要になるかを予約表に入力する。
【0040】
つぎに、ステップS53において、すべてのオペレータ業者37からの機材30の予約が締め切られる。上述したように、オペレータ業者37による機材30の予約は、例えば機材30貸出し日の前日の午後0時で締め切られるが、先日付けの仮締め切りも可能となっている。すなわち、この実施の形態においては、翌々日(次の作業日)についてのオペレータ業者37からの予約の仮締め切りが可能であり、仮締め切りした予約一覧および機材割当表をオペレータ業者37に示すことで、予約内容の確認を促し、予約情報のより正確な入力を促すことが可能となっている。
【0041】
オペレータ業者37からの機材30の予約が締め切られると、ステップS54に進み、統括制御手段13により機材管理者37側における機材30の運用状況が把握される。すなわち、ステップS54においては、統括制御手段13は、機材30の予約情報、貸出情報、返却情報とから、機材管理者37が管理する機材30に過不足がないかを把握し、機材30の過不足数を表示する。機材管理者36は、統括制御手段13からの情報に基づき、レンタル業者38からの機材30の調達をできる限り少なく抑えることを前提に、必要に応じてレンタル業者38への機材30の見込み発注や、追加発注を行う。
【0042】
図8は、統括制御手段13によって作成された予約一覧48および機材割当表49を示している。予約一覧48は、各オペレータ業者37の予約内容を集計して表示しており、機材割当表49は各オペレータ業者37に対する機材30の割当てを表示している。ここで、「何が」「どこで」「何台」不足するのを確認できるので、機材管理者36は、機材30の過不足を把握した後、各オペレータ業者37と台数の調整や、必要に応じてレンタル業者38への機材30の発注を行うことになる。
【0043】
ステップS54において、機材管理者37側における機材30の運用状況が把握されると、ステップS55に進み、統括制御手段13によって機材30の予約に対するオペレータ業者37への自動割り振りが行われる。上述したように、統括制御手段13は、同一の機材30が継続して同一のオペレータ37によって使用される場合は、同一の機材30を最優先で同一のオペレータ業者37に割り当てることや、同一の工区における空き機材30を優先的に同一の工区での作業を行うオペレータ業者37に割り当てを行う。このように、統括制御手段13は、機材30の予約情報および返却情報から保有している機材30の過不足を工区別に把握し、これにより不足する機材30の発注および余剰となる機材30の返却を機材管理者36に指示するので、工区間における機材30の移動を効率よく行うことが可能となる。
【0044】
図11は、機材管理者36からオペレータ業者37への機材の貸出し処理の概要を示している。機材管理者36からオペレータ業者37への機材の貸出しに際しては、図3のステップS56に示すように、IDカード32とバーコード34を読取ることが必要となる。IDカード32とバーコード34を読取りは、図11に示すように、バーコードリーダ18を介して行われる。IDカード32とバーコード34を読取りが完了すると、ステップS57に進み、読取り結果と予約内容が一致するか否かが判断される。ここで、読取り結果と予約内容が一致しないと判断された場合は、ステップS60に進み、貸出し不可と判断される。つまり、予約していないオペレータ業者37などが貸し出しを要請した場合は、貸出し不可と判断され、システムの信頼性を担保することが可能となる。
【0045】
ステップS57において、読取り結果と予約内容が一致すると判断された場合は、ステップS58に進み、予約した機材30がオペレータ業者37に貸出される。そして、ステップS59において、図18に示す貸出票43がプリンターから構成される出力手段22によってプリントアウトされる。貸出票43には、機材30が建物の何階のどの工区にあるかが明記されているので、容易に機材30が保管されている場所を把握することが可能となる。貸出票43がプリントアウトされると、ステップS61に進み、機材30の予約から貸出しまでの処理が終了する。
【0046】
図4および図12は、予約にない機材の貸出しの手順を示している。図4のステップS71によって処理が開始され、ステップS72においてオペレータ業者37が機材管理者36に対してIDカード32の提示を行う。つぎに、ステップ73に進み、機材30の空き情報が機材管理者36側のコンピュータ11の画面に表示される。つぎに、ステップS74に進み、オペレータ業者37が使用したい機材30の空きがあるか否かが統括制御手段13によって判断される。ここで、機材30の空きがないと判断された場合は、ステップS77に進み、機材30の代替となる機材が存在する否かの検討が行われる。そして、代替の機材30があれば、その機材30をオペレータ業者37に貸出す。
【0047】
ステップS74において、オペレータ業者37が使用したい機材30の空きがあると統括制御手段13によって判断された場合は、ステップS75に進み、IDカード32の情報と機材30の鍵33に取付けられたバーコード34の情報がバーコードリーダ18によって読み取られる。そして、図18に示す貸出票43が出力手段22によってプリントアウトされ、機材30の貸出しが行われる。貸出票43がプリントアウトされると、ステップS78に進み、予約にない機材30の貸出しの処理が終了する。
【0048】
図5および図13は、機材30の返却処理の手順を示している。図5に示すように、ステップS81で機材30の返却処理が開始され、ステップS82において鍵33に取付けたバーコード34の情報がバーコードリーダ18を介して読み取られる。つぎに、コンピュータ11の機材の返却メニューが起動し、機材30の使用場所を変更した否かのメニューがコンピュータ11の画面に表示される。つぎにステップS83に進み、機材30の使用場所を変更した否かの選択が行われる。ここで、機材30の使用場所を変更しなかった旨を選択した場合は、ステップS85に進む。ステップS83において、機材30の使用場所を変更した旨を選択した場合は、ステップS84に進み、入力手段22を介して使用場所の入力が行われる。
【0049】
つぎに、ステップS85に進み、鍵33がオペレータ業者37から機材管理者36に返却される。そして、ステップS86においては、オペレータ業者37に貸出した鍵33のすべてが返却されているか否かが返却管理手段17によって判断される。ここで、オペレータ業者37に貸出した鍵33のすべてが返却されていると返却管理手段17によって判断された場合は、ステップS87に進む。ステップS87においては、機材30の使用場所を変更した旨の情報は、翌日の機材30の割り振りを検討する際に反映される。鍵33の返却に際しては、図19に示す返却票44が出力手段22によってプリントアウトされ、返却票44はオペレータ業者37に渡される。ステップS87における処理が終了すると、ステップS89に進み、機材30の返却に関する一連の処理が終了する。
【0050】
図9は、機材管理者36によるレンタル業者38への機材発注の概要を示している。図9に示すように、機材30の発注は、機材管理者36からレンタル業者38へ情報を送ることにより行われる。具体的には、図16に示す手配依頼書41を機材管理者36からファクシミリを介してレンタル業者38へ送ることにより行われる。
【0051】
機材管理者36からレンタル業者38に手配依頼書41が送られると、レンタル業者38による機材30の手配が行われる。図9に示すように、機材30の手配は、レンタル業者38側の担当者によって行われる。すなわち、レンタル業者38側の担当者は、自社内に保管されている機材30をチェックし、該当する機材30を機材管理者36側に送るよう関係部署に指示をする。つぎに、レンタル業者38から機材管理者36側に機材30が入庫(納入)される。ここで、機材管理者36側に機材30が入庫される機材30には、機材30を稼動させるための鍵33が添付されている。
【0052】
図9に示すように、機材30が機材管理者36側に入庫されると、機材管理者36によって入庫された機材30の登録が行われる。機材30の登録は、キーボードから構成される入力手段21を介して行われる。機材30の登録に必要な機材データは、機材30のメーカ、型番などのデータであり、この機材データが記憶されたUSBメモリは、予めレンタル業者38から機材管理者36側に提供されている。機材管理者36は、レンタル業者38から提供された機材データを参照しながら、入庫された機材30の属性データの登録を行う。
【0053】
図9に示すように、入庫された機材30の登録が完了すると、機材30の鍵33にバーコード34が取付けられる。鍵33へのバーコード34の取付けは、連結具33aによって行われる。これによって、機材30のオペレータ業者37への貸出しが可能となる。
【0054】
図10は、機材管理者36による機材30の貸出し前の準備作業の概要を示している。機材管理者36は、機材30を使用するオペレータ業者37毎に機材30の鍵33を用意する。図10に示すように、バーコード34が取付けられた鍵33は、例えば、A社使用分、B社使用分、C社使用分といった具合にオペレータ業者37毎に区分けされる。
【0055】
図14は、機材30の返却手順を示している。図14に示すように、使用しなくなった機材30を返却する際には、図16に示す手配依頼書41に所定の事項を記載し、これを機材管理者36がレンタル業者38に送付する。そして、レンタル業者38側の担当者により機材30の引取手配が行われる。レンタル業者38が機材管理者36側に機材30を引取りに来た際は、バーコード34は鍵33からが取外され、取外されたバーコード34は機材管理者36によって保管される。
【0056】
このように、機材運用管理システム1においては、オペレータ業者37の必要とする機材30を予め迅速に把握するとともに、作業現場での機材30の運用状況を確実に把握することができるので、オペレータ業者37の予約に対する機材管理者36が管理する機材30の自動割り振りを適正なものとすることができ、機材管理者36が管理する機材30の作業現場での運用を効率的に行うことが可能となる。これにより、機材管理者36が管理する機材30を高稼働率で運用することができ、機材調達に要する費用を削減することができる。つまり、できる限り作業現場に入庫している機材30を効率的に使用することにより、レンタル業者38からの機材30の調達を少なくすることでき、機材調達に要する費用を削減すること可能となる。そして、従来必要とされていた機材管理者36とオペレータ業者37との事前打ち合わせが不要となるので、機材管理者36およびオペレータ業者37の双方の作業効率を高めることができる。
【0057】
また、同一の機材30が継続して同一のオペレータ業者37により使用される場合は、最優先で同一のオペレータ業者37に同一の機材30を割り当てるので、同一の場所で作業するオペレータ業者37にとって機材30の移動が不要となる。さらに、同一の工区における空き機材30を優先的に同一の工区で作業を行うオペレータ業者37に割り当てるようにしているので、機材30の移動労力を軽減することができ、オペレータ業者37の作業効率を高めることができる。
【0058】
オペレータ業者37による機材30の予約は、予約受付手段12と通信可能なオペレータ業者37のパーソナルコンピュータ31によって行うようにしているので、機材管理者36がいる管理事務所とオペレータ業者37がいる現場事務所が離れている場合でも、オペレータ業者37から機材管理者36への予約手続きが容易となり、予約手続きの効率化を図ることができる。また、オペレータ業者37への機材30の貸出時には、貸出される機材30の場所が表示された貸出票43を作成するようにしているので、使用する機材30の場所を事前に把握することができ、規模の大きな作業現場の場合でも、使用する機材30を容易に特定することができる。
【0059】
以上、この発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、この実施の形態においては、機材管理者36側で鍵33にバーコード34を取付ける構成としているが、鍵33にバーコード34を取付ける作業はレンタル業者38側で行い、鍵33とバーコード34を機材30と一緒に機材管理者36側に入庫する構成としてもよい。また、オペレータ業者37から予約受付手段12への予約情報は、図1に示すオペレータ37が所有する端末機としてのパーソナルコンピュータ31から情報通信網35を介して送る構成としているが、その他の通信手段を介して送る構成としてもよい。さらに、オペレータ業者37は機材使用者の一例であり、機材使用者は業者でなくともよく、機材管理者36が属する会社の社員などであってもよい。
【0060】
この実施の形態においては、予約の締め切りを機材30の貸出し前日の午後0時としているが、予約の締め切りを他の時間帯に設定してもよい。さらに、一日の内で予約の締め切りを複数回設定し、例えば同一の機材30を午前と午後で異なるオペレータ業者37が使用する構成としてもよい。また、実施の形態においては、機材30の一例として高所作業車を示したが、機材30は高所作業車に限定されることはなく、機材30にはフォークリフトや発電機なども含まれる。また、本発明の機材運用管理システム1は、大規模な施設についての空調設備の施工作業に限定されることはなく、機材を用いる作業現場であれば種類を問わず適用可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 機材運用管理システム
11 コンピュータ
12 予約受付手段
13 統括制御手段
14 入庫管理手段
15 出庫管理手段
16 貸出管理手段
17 返却管理手段
18 バーコードリーダ
19 稼動実績管理手段
20 稼動履歴管理手段
21 入力手段
22 出力手段
30 機材
31 パーソナルコンピュータ(端末機)
32 IDカード(認証手段)
33 鍵
34 バーコード(機材認識コード)
36 機材管理者
37 オペレータ業者(機材使用者)
38 レンタル業者
43 貸出票

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用予定の機材に関する少なくとも品名と使用工区と使用期間と使用台数とを含む機材使用者からの予約情報に基づき前記機材の使用予約を受付ける予約受付手段と、
前記機材使用者が所有する認証手段の情報と前記機材を使用するための鍵に取付けられる機材認識コードの情報とを前記機材の貸出し時に読取ることで機材管理者から前記機材使用者への前記機材の貸出しを管理する貸出管理手段と、
前記機材使用者の前記認証手段の情報と前記機材を使用するための鍵に取付けられる機材認識コードの情報とを前記機材の返却時に読取ることで前記機材使用者からの前記機材管理者への前記機材の返却を管理する返却管理手段と、
前記予約受付手段の予約情報と前記貸出管理手段の貸出情報と前記返却管理手段の返却情報とに基づき、少なくとも前記機材使用者の予約に対する前記機材管理者が管理する前記機材の自動割り振りを行う統括制御手段と、
を備えたことを特徴とする機材運用管理システム。
【請求項2】
前記統括制御手段は、同一の機材が継続して同一の機材使用者によって使用される予約の場合は最優先で前記同一の機材使用者に前記同一の機材を割り当てる機能と、同一の工区における空き機材を優先的に同一の工区で作業を行う機材使用者に割り当てる機能と、予約した機材が前記機材管理者側に存在しない場合は代替の機材を割り当てる機能とを有することを特徴とする請求項1に記載の機材運用管理システム。
【請求項3】
前記貸出管理手段は、前記機材使用者への機材の貸出時には、貸出される機材の場所が表示された貸出票を作成することを特徴とする請求項1または2に記載の機材運用管理システム。
【請求項4】
前記機材使用者による前記機材の予約は、前記予約受付手段と通信可能な前記機材使用者の端末機によって行われることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の機材運用管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−186743(P2011−186743A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50772(P2010−50772)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000169499)高砂熱学工業株式会社 (287)
【出願人】(508075373)太陽建機レンタル株式会社 (4)
【Fターム(参考)】