説明

機械的な作用によって引き起こされる当該入力信号を検出する記録ユニット及び測定値を検出し信号を処理する方法

特定の長さにわたる任意の位置に対する範囲内での機械的な操作を測定できる3次元のフレキシブルな記録ユニットを改良する本発明の課題は、この記録ユニットが、ケーブル状に構成されていて且つ3次元の延在部分の全体にわたって1つの外側のフレキシブルな保護カバー及び2つの導体から構成され、当該保護カバー及び導体は、互いに同軸に配置されていて、前記一方の導体は、前記他方の導体をその全長にわたって包囲し、これらの導体のうちの1つの導体が、接地電極として使用され、その他方の導体は、電気抵抗として構成されていて且つ1つの電圧勾配を有し、当該2つの導体を静止状態中に互いに電気絶縁し、外部からの機械的な力の作用時に、これらの2つの導体間の一点接触又は面接触を可能にする誘電体が、これらの2つの導体間に存在し、押圧力ベクトルの方向に前記記録ユニットを操作することによって起動された電圧変化又は抵抗変化を算定するために適した測定値検出部及び評価ユニットが設けられていることによって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全長さに対する機械的な力作用を検出でき、当該作用の位置及び大きさつまり力の双方を簡単な測定器具によって測定できる、ケーブルのような任意の長さを有するフレキシブルな記録ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルホース内の圧縮空気、気体又は液体が、機械的な操作を当該ホースの端部に備わっている測定システムに対して転送するシステムが、従来の技術にしたがって公知である。しかし、このようなシステムは、操作する位置を測定できない。しかも、充填されたホースは、小さく且つ可動式の機器用には非常に重く且つ非常に壊れやすい。
【0003】
さらに、機械的な変形が、透過して伝達された光(光行差、強度)の変化を引き起こす光ファイバが公知である。この場合、当該信号処理は、干渉光に対する光ファイバの遮蔽及びエネルギーを一定に消費する照明源を必要とする。
【0004】
さらに、米国特許第6534999号明細書中に記されているようなセンサケーブルが公知である。当該センサケーブルは、機械的な衝撃の位置及び強さを電気信号に変換する圧電層に基づく。米国特許第6534999号明細書に記載のセンサケーブルは、警報装置を発展させるためには適するものの、指による操作に対しては想定されていなく且つ適してもいない。当該センサケーブルは、一定の押圧時は測定値を出力せず、接触面を検出しない。また、当該センサケーブルは、操作の時間経過にわたる測定値の変化の評価も不可能にする。さらに、当該センサケーブルは、圧電層を実現するための特定の重合体を必要とする。
【0005】
接触する位置を算出する公知の技術は、容量性のセンサ面である。当該容量性のセンサ面は、身体を特定の静電容量に近づけることによって、例えば指で軽く接触することによって起動される。それ故に、ピンのような道具による操作が不可能であり、手袋を付けたままでの操作は困難である。しかも、容量センサは、従来はフレキシブルで曲げやすい構造に維持されない。
【0006】
操作する位置及び操作する力を測定する別の公知の技術は、感圧抵抗体素子(Force Sensing Resistors)としての可撓リード線を有する膜センサである。感圧抵抗体素子は、測定点、測定ストリップ又は測定面として構成され得る。より多くの数の測定点の場合、対応するより多くの数のリード線が必要である。FSRストリップ又はFSR面のセンサ信号の解釈は、複雑な評価電子技術、特に特別な電気回路を必要とする。FSR膜は、フレキシブルリード線を使用して様々な3次元の形に適合され得る。しかしながら、当該適合は、組み立て及び製造時に既に考慮される必要がある。事後的な変更は不可能である。
【0007】
さらに、膜スイッチが公知である。1つの起動地点が、キーマトリクスとして配置されている多数の接点によって算定され得る。しかしながら、力の測定は不可能である。
【0008】
評価のためのマトリックスの代わりに、多数の膜スイッチが、複数の抵抗を介して互いに接続され得る(公知のキーパッド技術、図4)。このとき、閉じられている接点及びその位置が、特定の抵抗を通じて算定され得る。しかし同様に、力の測定は不可能である。
【0009】
操作する力は、歪みゲージ(DMS)によって測定され得る。しかしながら、操作する位置は測定され得ない。
【0010】
接触する位置及び接触面を算出する別の技術は、フィルムポテンショメータの技術である。当該フィルムポテンショメータは、最も簡単な形態では曲げやすいフィルムのストリップ、第2フィルム及び第3フィルムから構成される。この曲げやすいフィルムの一部が、高い電気抵抗の材料でコーティングされている。この第2フィルムの一部が、良好な導電性の材料でコーティングされている。この第3フィルムは、非導電性の絶縁スペーサから成る。この絶縁スペーサは、静止状態では当該両コーティングを互いに間隔をあけて保持する。この絶縁スペーサは、機械的な押圧時に当該導電性のコーティングの接触を可能にする。
【0011】
フィルムポテンショメータが曲げられると、フィルムポテンショメータが、機械的な操作をもはや感知しない程に、このフィルムポテンショメータの複数の接触面が接触する。したがって、フィルムポテンショメータは、より大きい機械負荷に耐える必要があるケーブル内に組み込まれた操作要素用には適さない。
【0012】
それ故に、ケーブルと組み合わせた操作要素は、通常は独立したユニットとして構想される。すなわち、従来の技術によれば、メカニカルキー及び/又は機械的調節器を有する個別のハウジングが、例えば音楽プレーヤー又は携帯電話を遠隔操作するためのヘッドフォンケーブル内に組み入れられる。照明ケーブルが、光度を調節するために多くの場合に調光器と組み合わされる。しかしながら、当該両ケーブルの場合では、個別のハウジングを有する別々の操作要素が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第6534999号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、安価な製造、丈夫な構造、僅かな寸法及び重量、並びに特に多方面の使用可能性を目的とする。
【0015】
当該課題は、約10〜1000グラムの範囲内の機械的な操作が数センチメートルから数メートルまでの長さにわたる任意の位置に対して測定され得るように、3次元のフレキシブル記録ユニットを改良する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この課題は、特許請求の範囲に記載の発明によって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(静止状態にある)本発明にしたがって構成された記録ユニットの断面図である。
【図2】(動作状態にある)本発明にしたがって構成された記録ユニットの断面図である。
【図3】本発明にしたがって構成された記録ユニットの電気回路図である。
【図4】信号処理部の図である。
【図5】本発明にしたがって構成された記録ユニットの2つの個々の操作による時間tに対するパルス列の例を示す。
【図6】(静止状態にある)滴状に形成された同軸フレキシブル誘電体の長手断面図である。
【図7】(動作状態にある)滴状に形成された同軸フレキシブル誘電体の長手断面図である。
【図8】滴状に形成された同軸フレキシブル誘電体の図(同軸高抵抗導体を除いてある側面図)である。
【図9】規則的な縞状に形成された同軸フレキシブル誘電体(の同軸高抵抗導体を除いてある側面図)である。
【図10】不規則的な縞状に形成された同軸フレキシブル誘電体(の同軸高抵抗導体を除いてある側面図)である。
【図11】孔を有するカバーとして形成された同軸フレキシブル誘電体(の同軸高抵抗導体を除いてある側面図)である。
【図12】(静止状態にある)複数の導体に分割された低抵抗導体を有する本発明にしたがって形成されたケーブルセンサの横断面図である。
【図13】(静止状態にある)三心ケーブルを組み込んだ本発明の記録ユニットの横断面図である。
【図14】(動作状態にある)三心ケーブルを組み込んだ本発明の記録ユニットの横断面図である。
【図15】(静止状態にある)三心ケーブルを組み込んだ本発明の記録ユニットの縦断面図である。
【図16】(動作状態にある)三心ケーブルを組み込んだ本発明の記録ユニットの縦断面図である。
【図17】音楽プレーヤー又は携帯電話を遠隔操作するための、本発明にしたがって構成された組み込み式記録ユニットを有するヘッドフォンケーブルの実施の形態である。
【図18】センサ技術の対比表である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1中には、静止状態にある本発明にしたがって構成された記録ユニットの断面が示されている。本発明の記録ユニットは、外側の保護カバー1、中心にある低抵抗導体2、この低抵抗導体2に対して同軸に配置された高抵抗導体3及びフレキシブルな同軸誘電体4から構成される。この誘電体4は、静止状態では導体2と導体3との間の絶縁スペーサとして使用される。
【0019】
図2中には、動作状態にある、すなわち2つの導体2,3の接触時の本発明にしたがって構成された記録ユニットの横断面が示されている。押圧力ベクトル5方向の鈍い接触押圧が、例えば指によってケーブル状の記録ユニットの外側の保護カバー1に印加される時に、当該接触が起こる。本発明は、導体2,3の同軸の配置及び誘電体4の構成によってケーブル状の記録ユニットのあらゆる任意の場所に対する接触を可能にする。
【0020】
起動点を算定するため、図3中に示された本発明の記録ユニットの電気回路に応じて、電圧が、電極6を通じて高抵抗導体3の一方の端部に対して印加され、その他方の端部が、電極7を通じて接地されていることによって、電圧勾配が形成される。本発明の記録ユニットが、低抵抗導体2に接する操作時に、タップ電極8が、各操作位置に対して特有の電圧を測定する。この電圧は、A/D変換器9によって測定される。電極6及び負極7に対するそれぞれの電圧が、操作時に測定される場合、当該2つの値は、記録ユニットの両端部に対する距離に対応する。
【0021】
押圧力ベクトル5の方向に操作する接触面は、電圧の測定によって算出され得ない。何故なら、より大きい接触面の場合、この電圧は、当該接触面の広範囲に位置している複数の点の押圧力ベクトル5の方向の個々の操作時にタップ電極8に対して印加される電圧の平均値に等しいからである。
【0022】
一区間つまり個々の点の代わりの2つの点に対する起動が、これらの2つの点の間の短絡を発生させる。この短絡は、電極6と電極7との間の抵抗をこれらの点の間の距離に比例して減少させる。それ故に、希望する時に、操作時の接触面又は起動した区間の長さが、抵抗の測定を通じて算出され得る。操作状態中の電極6と電極7との間の抵抗と、静止状態中の電極6と電極7との間の抵抗との差が、操作時に起動した区間の長さを示す。一例が、このことを示している。図3の電極6と電極7との間の抵抗は、静止状態では10キロオームである。抵抗が、一区間の短絡によって9キロオームに低下すると、当該短絡区間(=操作時の起動部分の長さ)は、1キロオームになる。1キロオームは、10キロオームの10分の1であるので、当該区間の10%が短絡している。
【0023】
電子回路が、多重方法によって迅速に、すなわち1秒当たり10〜500回2つの測定方法の間で切り替えられ得る。これによって、操作位置及び起動部分の長さが、1回の操作によって見かけ上同時に算定され得る。
【0024】
この代わりに、1回の操作の位置及び接触面は、図3の電子回路を拡張することによっても算定され得る。このため、この電子回路は、追加の1つのプルアップ電気抵抗10だけ補充される。このプルアップ電気抵抗10は、可変抵抗11に対して直列に接続されて、図3の電極6と可変抵抗11との間に設置される。プルアップ抵抗10の抵抗値は、可変抵抗11の抵抗値と同様な範囲内になければならない。可変抵抗11とプルアップ抵抗10との間で第2AD変換器(図示せず)によって降圧された電圧が、静止状態では一定であって入力電圧のほぼ半分である。この第2AD変換器(図示せず)によって測定される電圧は、記録ユニットの操作時は接触面に比例して低下する一方で、位置は、図3の第1AD変換器9で説明したように同時に算定され得る。非常に大きい接触面の極端な場合では、図示しなかった第2AD変換器に対する電圧は、ほとんど零まで低下する。
【0025】
図4中には、押圧力ベクトル5の方向の押圧による本発明の記録ユニットの操作から出発する信号処理の経過に関する例が概略的に示されている。(電圧又は抵抗の)測定値が、AD変換器9の評価電子機器によって評価され、端末装置の制御ユニット13に対して転送される。これらの測定値は、押圧位置又は押圧力に一義的に割り当てられ得るので、制御ユニット13は、端末装置のどのパラメータ(音量、速度等)をどのくらい変える必要があるか又は何時どの機能を実施する必要があるかを決定できる。
【0026】
図5中には、本発明にしたがって構成されたフレキシブルな記録ユニットの異なる位置に対する空間的に離れて連続する2つの個々の操作時の時間tに依存するパルス列が示されている。図5は、1つの特定の電圧値が各操作位置に対応することを明瞭に示す。すなわち、評価電子機器が、当該測定値から対応する操作位置を推測できる。さらに図5は、本発明にしたがって構成されたフレキシブルな記録ユニットが一定の押圧時に操作の全期間にわたって一定の測定値を出力することを示す。2Vの測定値14は、空間的に離れた個別で且つ250ミリ秒の期間に対して一定の1回の操作の結果である。1Vの測定値15は、空間的に離れた個別で且つ1.5秒の期間に対して一定の1回の操作の結果である。
【0027】
図6及び7中には、本発明にしたがって構成された記録ユニットのフレキシブルな同軸誘電体12の機能が、縦断面に沿って拡大して示されている。この誘電体12は、滴状に形成された非導電性の材料16から成る。この材料16は、静止状態(図6)では本発明にしたがって構成された記録ユニットの2つの導体2及び3の間の絶縁スペーサとして使用される。そして、操作位置に対する当該導体2及び3の接触が保証されるように、この材料16は、図7の十分な押圧時に一緒に押圧されて押しのけられる。
【0028】
図8〜図11中には、フレキシブルな同軸誘電体4の可能なバリエーションがそれぞれ、高抵抗導体3を除いて上から見た状態で示されている。この場合、図8は、滴16としての構造を示す。図9は、規則的に配置されたストリップ18としての構造を示す。図10は、不規則的に配置されたストリップ19としての構造を示す。図11は、孔を有するカバー20としての構造を示す。
【0029】
図12は、本発明にしたがって構成された記録ユニットのバリエーションを示す。このバリエーションの場合、図1の外側の高抵抗の導体3が、複数の導体から成る導体束21に分配されている。この場合、これらの個々の導体は、同軸に配置されていて且つ図示しなかった1つの固有のA/D変換器に接続されている。当該導体束21のうちのどの導体及び幾本の導体が、どの位置に対して操作されたかに応じて、評価電子機器が、操作位置だけではなくて、360°の全周に関するこの操作位置の方向も算定され得る。
【0030】
図13は、本発明にしたがって構成された記録ユニットが任意の電流ケーブル内に組み込まれ得る本発明の特性を通常の三心電流ケーブルの例で示す。この三心電流ケーブルは、通常は3つの心線22から構成される。この場合、これらの心線22のうちの1つの心線が接地されている。各心線22は、絶縁体23によって包囲されている。充填材24が、複数の心線22の間に存在する。全ての心線22が、共通のさらなる絶縁体25であるケーブルの保護カバーによって包囲されている。
【0031】
図14は、動作状態にある組み込まれた本発明の記録ユニットを有する三心電流ケーブルの横断面を示す。この場合、本発明の記録ユニットは、ケーブルの心線22の周りに同軸に配置された以下の3つの層から構成される:高抵抗の導体2及び低抵抗の導体3、これらの導体2,3は、フレキシブルな導体4によって静止状態中に間隔をあけて保持される。
【0032】
図14は、組み込まれた本発明の記録ユニットを有する三心ケーブルに対する押圧力ベクトル5の方向のフレキシブルな誘電体4を介した押圧時に、どのようにして2つの導体2及び3の間の距離がブリッジされて、電気接触が操作位置に対して閉じられるかを明瞭に示す。
【0033】
図15は、静止状態にある組み込まれた本発明の記録ユニットを有する三心ケーブルの縦断面を示す。高抵抗の導体3及び低抵抗の導体2が、外側の保護カバー1の下でケーブルの心線22の周りに同軸に配置されている。当該両導体2及び3は、静止状態では同様に同軸配置されたフレキシブルな誘電体4によって間隔をあけて保持される。
【0034】
図16は、組み込まれた本発明の記録ユニットを有する三心ケーブルに対する押圧力ベクトル5の方向のフレキシブルな誘電体4を介した押圧時に、どのようにして2つの導体2及び3の間の距離がブリッジされて、電気接触が押圧の位置に対して閉じられるかを明瞭に示す。
【0035】
図17は、本発明の記録ユニットを有し、ヘッドフォン26を収容するヘッドフォンケーブル27を実施の形態として示す。音楽プレーヤー又は携帯電話の遠隔操作部が、ヘッドフォン26を通じてケーブル27内に組み込まれる。操作のためのラベル28,29,30,31,32,33が、目視可能な表示として又は知覚可能な刻印として実現されている。測定値が、さらなる処理のために接続プラグ34を介して評価電子機器に対して転送される。
【0036】
ラベル28とラベル33との間のヘッドフォンケーブル27に対する押圧時に、A/D変換器によって測定される値が、接点と当該ラベル28又は33との間の距離に比例する。ケーブル27上のラベル28〜33は、本発明の記録ユニットの位置を示す。音楽プレーヤーの巻き戻し機能、演奏機能/ポーズ機能、早送り機能又は停止機能を実施する必要があるとして、評価電子機器が、個々の押圧時の当該位置の測定値を解釈する。ヘッドフォンケーブル27のラベル27及び32は、本発明の記録ユニットの位置を示す。これらの位置の直接の操作時に、最小の音量又は最大の音量が調節される。ユーザが、ヘッドフォン27上の操作位置をラベル33とラベル32との間で変更すると、A/D変換器9が、当該変更した位置に応じて新たな信号を測定する。
【0037】
本発明の記録ユニットは、操作要素を実現するためにその他のケーブル内にも組み込まれ得る、例えば光度用の調光器としての照明ケーブル内に組み込まれ得る。
【0038】
さらに、本発明の記録ユニットは、可動式の電子機器用の操作要素を衣服、例えばジャケットの中に組み込むことを可能にする。従来のスイッチは、より多くの数のリード線を必要とし、防水であるか又は容易に取り外し可能である必要がある。このことは、経費がかかる。これに対して、本発明の記録ユニットは、網紐のように繊維製品の空洞によって伸縮され得る。衣服が洗濯されなければならないか又は記録ユニットが破損された場合、当該記録ユニットは容易に交換され得る。しかも、余計なコストをかけることなしに、本発明の記録ユニットを収容するためのオプション部品を、衣服の一部に装着することが簡単に可能である。
【0039】
図18中には、本発明の記録ユニットが、3つの異なる公知のセンサ技術と対比されている。この場合、符号「+」は、「はい」及び「可能」を示す。符号「−」は、「不可能」を示す。本発明だけが、ケーブル状のフレキシブルな誘電体(図1中の4)を利用する。確かに、圧電センサケーブルもフレキシブルに変形可能であるものの、指による一定の操作の位置が正確に算出され得ない。それ故に、本発明だけによって、電子機器を制御するための操作要素が、例えば直接に、存在する低圧カーベル内に組み込まれ得る。
【0040】
本発明の記録ユニットの利点は、特にそのフレキシブルな加工にある。当該記録ユニットは、メートル単位のロール製品として搬送され、購入され、必要に応じて任意に分割され、カットされ得る。当該ケーブル技術は、機械、固定手段、接触、梱包及び道具に転用され得る。当該転用は、コストを下げ、用途の可能性を何倍にもする。
【0041】
本発明の記録ユニットは、3次元的にフレキシブルに変形可能であるので、この記録ユニットは、その他のセンサの特殊な構造が経済的に見合わないであろう試作品及び少量製品でも使用可能である。このことは、例えば調査、ロボット光学、障害者用のアシスト手段、補整器及び特殊な機械に対して成立する。
【0042】
簡単に評価でき且つ安定な信号は、安価で信頼性の高い電子機器を可能にする。操作位置の正確な算定(図1中の高抵抗の導体の線形性及びA/D変換器9の分解能に依存した約0.1%の精度)に対しては、基本的に1つのA/D変換器で丁度十分である。当該算定と平行して押圧力を粗く算定(図1中のカバー1の材料に依存した、20gと500gとの間での約20%の精度)するためには、もう1つのA/D変換器で十分である。
【0043】
本発明の記録ユニットの低い価格及び丈夫さは、例えば学校の授業又は子供の玩具での使用を可能にする。また、携帯電話のような機器は、簡単に携行できる追加の操作要素を装備できる。
【符号の説明】
【0044】
1 保護カバー
2 低抵抗同軸導体
3 高抵抗同軸導体
4 誘電体
5 押圧力ベクトル
6 正極
7 負極
8 タップ電極
9 AD変換器
10 プルアップ抵抗
11 信号検出素子
13 制御ユニット
14 測定値
15 測定値
16 滴状のフレキシブル誘電体
17 フレキシブル絶縁体内の開口部
18 規則的な縞状のフレキシブル誘電体
19 不規則的な縞状のフレキシブル誘電体
20 孔を有するカバーとしてのフレキシブル誘電体
21 低抵抗導体束
22 心線
23 個々の心線22の周りの絶縁体
24 心線22間の安定化充填材
25 保護カバーとしての絶縁体
26 ヘッドフォン
27 組み込まれた記録ユニットを有するヘッドフォンケーブル
28 巻き戻し機能に対するラベル
29 演奏機能/ポーズ機能に対するラベル
30 早送り機能に対するラベル
31 停止機能に対するラベル
32 最大ボリュームに対するラベル
33 最小ボリュームに対するラベル
34 端末装置用の接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録ユニットにおいて、
この記録ユニットは、ケーブル状に構成されていて且つ3次元の延在部分の全体にわたって1つの外側のフレキシブルな保護カバー(1)及び2つの導体(2;3)から構成され、当該保護カバー及び導体は、互いに同軸に配置されていて、前記一方の導体は、前記他方の導体をその全長にわたって包囲し、これらの導体のうちの1つの導体が、接地電極として使用され、その他方の導体は、電気抵抗として構成されていて且つ1つの電圧勾配を有し、当該2つの導体(2;3)を静止状態中に互いに電気絶縁し、外部からの機械的な力の作用時に、これらの2つの導体(2;3)間の一点接触又は面接触を可能にする誘電体が、これらの2つの導体間に存在し、押圧力ベクトル(5)の方向に前記記録ユニットを操作することによって起動された電圧変化又は抵抗変化を算定するために適した測定値検出部及び評価ユニットが設けられていることを特徴とする記録ユニット。
【請求項2】
前記2つの導体間に存在する誘電体は、電気絶縁性のフレキシブルで且つ圧縮可能な気体を含有する固体から構成されることを特徴とする請求項1に記載の記録ユニット。
【請求項3】
前記測定検出部及び前記評価ユニットは、1つのAD変換器(9)及び1つの制御ユニット(13)から構成されることを特徴とする請求項1に記載の記録ユニット。
【請求項4】
前記低抵抗の導体(3)は、個々の心線から成る導体束(21)から構成されることを特徴とする請求項1に記載の記録ユニット。
【請求項5】
前記導体束の個々の心線は、互いに電気絶縁されていて且つそれぞれ互いに独立して前記測定検出部及び前記評価ユニットに接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の記録ユニット。
【請求項6】
1つの電源が設けられていて、この電源は、1つのリード線を通じて前記高抵抗の導体の一方の端部に高い電圧を印加し、当該他方の端部に低い電圧を外部から印加することを特徴とする請求項1に記載の記録ユニット。
【請求項7】
1つの電源が設けられていて、この電源は、前記記録ユニットの内側の少なくとも1つの追加の導体を通じて前記高抵抗の導体の一方の端部に高い電圧を印加し、当該他方の端部に低い電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載の記録ユニット。
【請求項8】
記録ユニットを操作する位置を算定する方法において、
測定値を検出するため、操作の結果として前記高抵抗の導体との接触によって引き起こされる前記低抵抗の導体(3)の電圧が測定されることを特徴とする方法。
【請求項9】
記録ユニットを操作する区間を算定する方法において、
測定値を検出するため、操作の結果として前記低抵抗の導体との接触によって引き起こされる前記高抵抗の導体(3)の抵抗の短絡が測定されることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2010−531982(P2010−531982A)
【公表日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513752(P2010−513752)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際出願番号】PCT/EP2008/005181
【国際公開番号】WO2009/003629
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(510002604)テヒ21・ゼンゾア・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (1)
【Fターム(参考)】