説明

機械的噛合いダイ

機械的噛合いダイが、第1の表面と、第2の表面と、複数の押出特徴(34)と、複数のチャネルとを含む。第1の表面および第2の表面は、各々、長手方向に延在する。押出特徴の各々は、第1の表面から、長手方向に実質的に垂直である断面平面内に延在するベース部分と、ベース部分から断面平面内にある角度で延在するアーム部分とを含む。各チャネルは、第2の表面から長手方向に対してある角度で延在し、1対の押出特徴の間に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出および成形システムでの使用のための押出ダイに関する。より詳細には、本発明は、押出ポリマー層を機械的に噛合せる押出ダイに関する。
【背景技術】
【0002】
多層フィルムおよび管などの複合物品は、典型的には、順次押出または共押出によって、押出プロセスを通して製造される。押出システムおよび押出ダイの設計に基いて、さまざまな幾何学的形状を得ることができる。押出後、複合物品の層は、層間剥離を防止するために、適切なレベルの層間接着力を必要とする。これは、特に熱可塑性材料が似ていない場合、異なった熱可塑性材料の結合された層を有する複合物品には問題である。似ていない材料は、付加的な結合手段なしで低レベルの層間接着力を示す化学組成を有する。似ていない材料の例としては、フルオロポリマーの層、および従来の非フッ素化有機ポリマーの層が挙げられる。そのような層の組合せは、燃料ライン管などのさまざまな産業用途で典型的である。
【0003】
タイ層、結合剤、および化学的改質などの化学的方法が、異なった材料の間の層間接着力を向上させるために用いられている。たとえば、タイ層は、一般に、互いに直接結合された場合の似ていない材料の間の接着力のレベルより大きい、似ていない材料の両方への接着力のレベルを示す材料の層である。それにもかかわらず、層間接着力を向上させるためのこれらの手段は、典型的には、処理の複雑さ、複合物品のコスト、ならびに複合物品を製造するための時間および労力を増加させる。さらに、そのような層間接着手段は、望ましくなく、複合物品の物理的および機械的特性を低減することがある。
【0004】
化学的結合に加えて、機械的ファスナも、層間剥離を防止するために使用されている。しかし、これらのタイプの機械的相互作用は、多層フィルム押出処理に十分に役立たない。したがって、押出処理の著しい変更が必要とされ、これは、製造の時間およびコストを増加させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タイ層、結合剤、または化学的改質を必要とせず、かつ効率的な押出プロセスを提供する、異なった熱可塑性材料の層間接着力を向上させるための手段が、引続き必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、機械的に噛合う層を有する複合物品を製造することができる機械的噛合いダイに関する。機械的噛合いダイは、複数の押出特徴と、複数のチャネルとを含む。各押出特徴は、第1の表面から断面平面内に延在するベース部分と、ベース部分から断面平面内にある角度で延在するアーム部分とを含む。断面平面は、第1の表面の長手方向に実質的に垂直である。各チャネルは、第2の表面から長手方向に対してある角度で延在し、1対の押出特徴の間に配置される。第2の表面は、また、長手方向に延在する。
【0007】
本発明は、さらに、第1のポリマー層を押出すための、長手方向に延在する第1の表面と、第2のポリマー層を押出すための、長手方向に延在する第2の表面とを含む機械的噛合いダイに関する。機械的噛合いダイは、また、複数の押出特徴と、複数のチャネルとを含む。各押出特徴は、第1の表面から延在するベース部分と、ベース部分からある角度で延在するアーム部分とを含む。各チャネルは、第2の表面から長手方向に対してある角度で延在し、1対の押出特徴の間に配置される。押出特徴は、第1のポリマー層に沿って長手方向に複数のリブを製造する。チャネルは、第2のポリマー層の一部をリブに実質的に適合させる。これは、機械的に噛合う層を有する複合物品を製造する。
【0008】
本発明は、さらに、機械的噛合いダイを使用して材料を押出す方法に関し、機械的噛合いダイは、複数の押出特徴と、複数のチャネルとを含む。各押出特徴は、第1の表面から断面平面内に延在するベース部分と、ベース部分から断面平面内にある角度で延在するアーム部分とを含む。断面平面は、第1の表面の長手方向に実質的に垂直である。各チャネルは、第2の表面から長手方向に対してある角度で延在し、1対の押出特徴の間に配置される。第2の表面は、また、長手方向に延在する。
【0009】
この方法は、第1のポリマー層の一部を、押出特徴を通して押出して、複数のリブを形成する工程と、第2のポリマー層の一部を、チャネルを通して押出す工程とを含む。これは、第2の材料をリブに実質的に適合させ、これは、第1のポリマー層を第2のポリマー層に機械的に噛合せる。
【0010】
図面は、本発明のいくつかの実施形態を記載するが、説明で示されるように、他の実施形態も企図される。すべての場合において、本開示は、本発明を代表として提示し、限定としてではない。本発明の原理の範囲および趣旨の範囲内である多数の他の変更および実施形態が、当業者によって考案され得ることが理解されるべきである。図は同じ割合で描かれていないことがある。図全体を通して同じ参照番号を使用して同じ部分を示した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、機械的に噛合う層を有する複合物品を製造することができる本発明の機械的噛合いダイ20の斜視図である。機械的噛合いダイ20は、押出システムでの使用のための環状押出ダイ(すなわち、ウェッジリング)であり、特徴部分22と、円錐形部分24と、支持部分26と、近位端部28と、遠位端部30とを含む。特徴部分22は、機械的噛合いダイ20の遠位端部30に配置され、かつ円錐形部分24に連結される。特徴部分22および円錐形部分24は、外面部分32a、32b、32cによって示された外面32を画定する。円錐形部分24は、さらに、支持部分26と軸方向に交差し、支持部分26は機械的噛合いダイ20の近位端部28に配置される。特徴部分22は、機械的噛合いダイ20の遠位端部30において特徴部分22の周りで円周方向に交互する複数の押出特徴34および複数のチャネル36を含む。押出特徴34およびチャネル36は、機械的噛合いダイ20で押出されるポリマー層の機械的噛合いを画定し促進するのに役立つ。機械的噛合いダイ20によってもたらされた機械的噛合いで製造された複合物品は、タイ層、結合剤、または化学的改質を必要とせずに、良好な層間接着力を示す。
【0012】
図2A〜2Cにさらに示されているように、機械的噛合いダイ20は、著しい変更を必要とせずに、押出システム、射出成形システム、およびブロー成形システムを含むさまざまなシステムで設置することができる。図2Aは、押出システムのダイヘッド38および押出ピン40との使用における機械的噛合いダイ20を示す。ダイヘッド38は、押出システムの残りの部分(図示せず)と係合する従来の3層ダイヘッドである。ダイヘッド38は、機械的噛合いダイ20の配置を明確にするために断面図で示されている。図2Bは、図2Aの断面2B−2Bに沿った長手方向の断面図である(さらに、押出システムの一部を示す)。図2Cは、図2Aのようなダイヘッド38との使用(押出ピン40を伴わない)における機械的噛合いダイ20を示し、機械的噛合いダイ20は断面で(sectionally)示されている。
【0013】
機械的噛合いダイ20は、支持部分26によってダイヘッド38内に支持される。支持部分26は、従来の態様でダイヘッド38に挿入し、これは、外面部分32a、32b、32cがダイヘッド38と接触しないように機械的噛合いダイ20を位置決めする。したがって、ダイヘッド38および外面部分32a、32b、32cは、第1の層を押出すための、外面部分32a、32b、32cの周りに円周方向に延在する第1の環状経路42を画定する。ポリマー材料が、第1の環状経路42に連結する、ダイヘッド38の環状入口44から、第1の環状経路42に供給される。
【0014】
図2Bに最もよく示されているように、機械的噛合いダイ20は、押出ピン40に隣接して配置された内面48をさらに含む。押出ピン40は、長手方向軸50に沿って機械的噛合いダイ20を通って延在するまっすぐな押出ピンである。押出ピン40は、押出システムのソケット52に固定された第1の端部40aと、機械的噛合いダイ20の遠位端部30を通って延在する第2の端部40bとを含む。押出ピン40は、押出ピン40が機械的噛合いダイ20の内面48と接触しないように、ソケット52によって支持される。ソケット52は、一般に機械的噛合いダイ20の支持部分26に隣接して配置される環状壁54を含む。環状壁54、押出ピン40、および機械的噛合いダイ20の内面48は、それにより、第2の層を押出すための、押出ピン40および環状壁54の周りに円周方向に延在する第2の環状経路56を画定する。ポリマー材料が、第2の環状経路56に連結する環状入口58から、第2の環状経路56に供給される。
【0015】
共押出プロセスの間、異なったポリマー材料が、第1の環状経路42および第2の環状経路56を通って機械的噛合いダイ20の遠位端部30の方に流れて、それぞれ、第1および第2の層を製造することができる。適切なポリマー材料の例が、「複合物品およびその製造方法(Composite Articles and Methods of Making the Same)」(代理人事件番号59620US002)および「タイ層を有する複合物品およびその製造方法(Composite Article Having a Tie Layer and Method of Making the Same)」(代理人事件番号59652US002)という名称の、同時に出願された出願に記載されている。第1および第2の層が押出されるとき、特徴部分22の押出特徴34およびチャネル36は、第1および第2の層を機械的に噛合せる。第1および第2の層の機械的噛合いは、層間接着力を増加させ、これは、対応して、複合物品の層間剥離を低減し、おそらくなくす。これは、そうでなければ劣った層間接着力を示す似ていない熱可塑性材料を押出すときに特に有用である。
【0016】
図2A〜2Cは、さらに、第3の層を押出すための任意の第3の環状経路60および環状入口61を示す。第1の環状経路42および第3の環状経路60は、一般に、交差部分62で会合する。第3の層は、第1の層の、第2の層と相互作用する表面と反対側の表面に結合することができる。ポリマー材料が環状入口61から第3の環状経路60に供給される。
【0017】
図2Cに最もよく示されているように、内面48は内面部分48a、48bに分けられる。内面部分48aは、円錐形部分24および支持部分26内に円周方向に延在し、かつ第2の環状経路56のための一般に滑らかな表面を提供する。内面部分48bは、特徴部分22内に円周方向に延在する。
【0018】
図3は、図2Cの領域3の拡大斜視断面図である。示されているように、内面部分48bは、押出特徴34によって分離された複数の壁セグメント68を含む。壁セグメント68および押出特徴34は、内面部分48bに沿って長手方向軸50の方向に延在する。
【0019】
内面部分48a、48bの交差部分70において、壁セグメント68は内面部分48aから「上がる」。この「上がり」、または環状肩は、内面部分48aの内径に対して内面部分48bの内径を低減し、一般に、第2の環状経路56内の第2の層を、壁セグメント68の周りに流れるように向ける。しかし、押出特徴34は、交差部分70で第2の環状経路56に露出される。第2の層が壁セグメント68の周りに流れるが、第2の層の一部が、また、押出特徴34を通って流れる。これは、第2の層の表面に沿って延在する複数のリブを作り、リブは、押出特徴34によって画定された断面形状を示す。「断面」、「断面で」という用語などは、機械的噛合いダイ20の長手方向軸50に垂直である平面とここで定義する。
【0020】
機械的噛合いダイ20の遠位端部30の拡大斜視図である図4に示されているように、押出特徴34およびチャネル36が特徴部分22の周りで円周方向に交互するように、押出特徴34がチャネル36の各側に配置される。特徴部分22の周りに配置された押出特徴34およびチャネル36の数は、個別の要求が必要とするように、変わることができる。押出特徴34およびチャネル36の適切な数は、各々、約4から約50の範囲にあり、特に適切な数は約5から約20の範囲にある。一実施形態において、複合物品の機械的噛合いを最大にするために、押出特徴34は特徴部分22の周りに均一に隔置される。
【0021】
第2の層は第2の環状経路56を通って押出されるが、第1の層は、第1の環状経路42(一般に図4の矢印42によって示された)を通って、機械的噛合いダイ20の外面部分32b、32cに沿って、遠位端部30の方に押出される。図4、および遠位端部30の一部のさらに拡大された正面図である図5に示されているように、第1の環状経路42は、第1の層の第1の部分を、押出特徴34の頂面72の上に流れるように向け、第2の部分を、チャネル36内に流れるように向ける。頂面72は、外面32aの、遠位端部30で押出特徴34の上に延在する部分である。チャネル36は、外面32aの、押出特徴34間に円周方向に配置された部分である。各チャネル36は、外面32bに隣接した円周方向に狭い部分36aを含む。チャネル36が外面32aに沿って長手方向軸50の方向に遠位端部30の方に延在するにつれて、各チャネル36は円周方向に広がる。遠位端部30において、各チャネル36は、ポイント36bで、隣接した押出特徴34の下に延在する。チャネル36内に流れる、第1の層の第2の部分は、チャネル36の広がり寸法とともに拡大し、ポイント36bで押出特徴34の下にさらに拡大する。したがって、チャネル36は、第1の層の部分を、第2の層の部分の間に(すなわち、第2の層の表面と押出特徴34内の第2の層の部分との間に)流れるように向ける。第1および第2の層が遠位端部30で機械的噛合いダイ20を出るとき、第1の層は、リブ(押出特徴34によって形成された)、および第2の層の表面に実質的に適合する。ここでの、「に実質的に適合する(substantially conforms to)」、「に実質的に適合する(substantially conforming to)」という用語などは、リブ、および第2の層の表面の少なくとも75パーセントを密接に接触させることと定義する。冷却すると、第1および第2の層は複合物品を形成し、第2の層のリブは第1の層内に延在する。これは、第1および第2の層の機械的噛合いをもたらし、これは、複合物品の層間接着力を増加させる。
【0022】
機械的噛合いダイ20の押出特徴(たとえば、押出特徴34)は、第2の層のリブの断面形状を画定するためにさまざまな断面形状を含むことができる。さらに、個別の押出特徴は、各々、機械的噛合いダイ20の他の押出特徴と異なった断面形状を示すことができる。しかし、適切な機械的噛合いをもたらすために、機械的噛合いダイ20の各押出特徴は、ベース部分と、ベース部分から断面平面内にある角度で延在する少なくとも1つのアーム部分とを含む。
【0023】
図5は、同一であり、機械的噛合いダイ20の押出特徴34の例である隣接した押出特徴34a、34bを示す。図5に示された例において、押出特徴34は、「Y」形状の断面を示す。押出特徴34aによって示されるように、各押出特徴34は、ベース部分76と、ベース部分76からある角度で延在するアーム部分78、80とを含む。各押出特徴34について、ベース部分76およびアーム部分78、80の断面形状は、押出特徴34に沿って、長手方向軸50の方向に、交差部分70(図3に示された)まで維持される。それにより、第2の層の、押出特徴34aを通って流れる部分は、ベース部分76およびアーム部分78、80によって画定された断面形状を示すリブを製造する。
【0024】
ベース部分76は、内面部分48bの1対の壁セグメント68(すなわち、壁セグメント68a、68b)の間に延在する開口部である。ベース部分76は、一般に、断面平面内に、それぞれ、壁セグメント68a、68bから外方に延在する表面82、84によって画定される。表面82、84が、図5において、壁セグメント68a、68bに本質的に垂直な方向に延在するように示されているが、表面82、84は、代わりに、断面平面内に、壁セグメント68a、68bから他の角度(たとえば、45度)で延在することができる。
【0025】
アーム部分78は、断面平面内にベース部分76からある角度で延在する開口部であり、一般に、下面86および上面88によって画定される。下面86は、表面82および下面86の交差部分92から、表面82に対して角度αで延在する。表面82に対する適切な角度αの例は、約30度から約180度未満の範囲にある(180度は表面82に平行である)。表面82に対する特に適切な角度αの例は、約90度から約135度の範囲にある。図5に示されているように、角度αは表面82から約120度である。
【0026】
アーム部分80は、また断面平面内にベース部分76からある角度で延在する開口部であり、一般に、下面94および上面96によって画定される。下面94は、表面84および下面94の交差部分100から、表面84に対して角度βで延在する。表面84に対する適切な角度βの例は、約30度から約180度未満の範囲にある(180度は表面84に平行である)。表面84に対する特に適切な角度βの例は、約90度から約135度の範囲にある。角度βは、図5に、表面84から約120度として示されている。
【0027】
角度α、βが、各々、それぞれ表面82、84から約120度であるので、押出特徴34は断面「Y」形状を示す。しかし、個別の要求が必要とするように、角度αが、代わりに、角度βと異なった値を有することができることが認められる。異なる角度α、βは、対応して、ベース部分76から異なった角度で延在するアーム部分78、80をもたらす。
【0028】
機械的噛合いダイ20の各押出特徴(たとえば、押出特徴34)は、ベース部分(たとえば、ベース部分76)の高さと、総アーム長さとを含み、総アーム長さは、アーム部分(たとえば、アーム部分78、80)の個別の長さの合計である。第1および第2の層を機械的に噛合せるために、押出特徴34の少なくとも1つが、望ましくは、対応するベース部分76の高さより大きい総アーム長さを示す。さらに、大部分の押出特徴34が、対応するベース部分76の高さより大きい総アーム長さを示す場合に、機械的噛合いは向上される。
【0029】
ここで使用されるような「総アーム長さ」は、図5に提供された参照符号を使用して、次の方法によって計算することができる。最初に、長手方向軸50(図3に最もよく示された)に垂直である、特徴部分22を通る平面断面をとる。これは、図5に示されたタイプの断面図を提供する。次に、アーム部分78に言及して、表面82に対して角度αで交差部分92から延在する線102を提供する。線102は、それにより、下面86に平行である。次に、また交差部分92から延在し、かつ線102に垂直である線104を提供する。
【0030】
次に、位置特定された点まで、線104から垂直に(かつ線102に平行に)延在する線の最大長さを提供する、アーム部分78の表面(たとえば、下面86および上面88)に沿った点を位置特定する。図5に示されているように、アーム部分78は、アーム部分78の表面と線104との間の線(すなわち、線108)の最大長さを提供する点106を有し、線108は線104に垂直である。位置特定された点106と線104との間の線108の長さを、「アーム部分78の長さ」と定義する。
【0031】
同様に、アーム部分80の場合、表面84に対して角度βで交差部分100から延在する線112を提供する。線112は、それにより、アーム部分80の下面94に平行である。次に、また交差部分100から延在し、かつ線112に垂直である線114を提供する。
【0032】
次に、位置特定された点まで、線114から垂直に(かつ線112に平行に)延在する線の最大長さを提供する、アーム部分80の表面(すなわち、下面94および上面96)に沿った点を位置特定する。図5に示されているように、アーム部分80は、アーム部分80の表面と線114との間の線(すなわち、線118)の最大長さを提供する点116を有し、線118は線114に垂直である。位置特定された点116と線114との間の線118の長さを、「アーム部分80の長さ」と定義する。
【0033】
次に、押出特徴34aの「総アーム長さ」は、アーム部分78の長さおよびアーム部分80の長さの合計である。押出特徴34aが1つのアーム部分を含むだけである場合、押出特徴34aの総アーム長さは1つのアーム部分の長さである。あるいは、押出特徴34aが2つを超えるアーム部分を含む場合、押出特徴34aの総アーム長さは、押出特徴34aのアーム部分すべての長さの合計である。
【0034】
押出特徴34bは、押出特徴34aの同じ参照符号を組入れ、ベース部分76の高さを計算するための参照符号を提供する。ここで使用されるようなベース部分76の高さは、次の方法によって計算する。最初に、総アーム長さ計算のために得られた平面断面を使用して、点122、124によって画定された割線120を提供し、点122は表面82および壁セグメント68bの交差部分に位置特定され、点124は表面84および壁セグメント68cの交差部分に位置特定される。ここで使用されるように、「垂直」、「垂直に」という用語などは、割線120に垂直であり、かつ押出特徴34bの方に向けられる方向を指し、「水平」、「水平に」という用語などは、割線120に平行である方向を指す。
【0035】
次に、位置特定された点まで、割線120から垂直に、点122と点124との間に水平に延在する(表面上の別の点と交差せずに)線の最大長さを提供する、押出特徴34bの表面に沿った(すなわち、表面82、84、下面86、94、および上面88、96に沿った)点を位置特定する。割線120からの垂直線は、一般に、最初にそれぞれ表面82、84と交差せずに、下面86、94と交差しない。図5に示されているように、押出特徴34bは、点122と点124との間にあり、かつ押出特徴34bの表面と割線120との間の垂直線(すなわち、線128)の最大長さを提供する2つの点126を有する。押出特徴34bの対称形状のため、2つの点126が図5において得られた。点126の1つと割線120との間の線128の1つの長さを、「ベース部分76の高さ」と定義する。
【0036】
上で提供されたような、アーム部分78、80の総アーム長さ、およびベース部分76の高さの計算は、機械的噛合いダイ20の押出特徴のさまざまな断面形状に適用できる一般的な方法である。たとえば、ベース部分76の表面82、84が、壁セグメント68a、68bから断面平面内に45度の角度で延在した場合、割線120から延在する垂直線は、上面88、96ではなく、表面82または表面84と交差することができる。したがって、ベース部分の高さは、割線から、ベース部分76の表面82または表面84上の位置特定された点まで延在するだけである。
【0037】
図6は、押出特徴34およびチャネル36(図5に示された)を有する機械的噛合いダイ20で共押出しされた複合物品132の斜視図を示す。複合物品132は、第1の層134(第1の環状経路42から)と、第2の層136(第2の環状経路56から)とを含む。第1の層134は、界面138において第2の層136の表面136aと係合する表面134aを有する。第2の層136は、表面136aから第1の層134内に延在する複数のリブ140をさらに含む。各リブ140は、壁部分142と、オーバハング部分144、146とを含む。以下で説明されるように、リブ140は、押出特徴34の断面「Y」形状ではなく、断面「T」形状を示す。
【0038】
各リブ140について、壁部分142は高さを示し、オーバハング部分144、146は、各々、オーバハング幅を示す。「複合物品およびその製造方法(Composite Articles and Methods of Making the Same)」(代理人事件番号59620US002)および「タイ層を有する複合物品およびその製造方法(Composite Article Having a Tie Layer and Method of Making the Same)」(代理人事件番号59652US002)という名称の、同時に出願された出願は、機械的噛合いダイ20を使用して製造することができる複合物品、ならびにオーバハング幅および壁部分142の高さを計算するための方法を記載している。同時に出願された出願に論じられているように、オーバハング部分144、146のオーバハング幅の少なくとも1つが、望ましくは、壁部分142の高さより大きい。
【0039】
図6に示されているように、第1の層134の一部が、オーバハング部分144、146の下に、壁部分142および第2の層136の表面136aに隣接して配置される。押出特徴34およびチャネル36は、第1の層134がリブ140および表面136aに実質的に適合することを可能にする。特に、押出特徴34のベース部分76は、表面136aから対応するオーバハング部分144、146をずらすリブ140の壁部分142を作る。これは、より大きい量の第1の層134がオーバハング部分144、146の下に配置されることを可能にする。機械的噛合いダイ20のチャネル36は、第1の層134の一部が、オーバハング部分144、146の下に容易に流れ、それにより、リブ140および表面136aに実質的に適合することを可能にする。さらに、押出特徴のアーム部分78、80は、著しい総アーム長さ(望ましくは、対応するベース部分76の高さより大きい)を示す。これは、第1の層134の、オーバハング部分144、146の下に配置された部分を捕捉するために、著しいオーバハング幅を示すオーバハング部分144、146を作る。したがって、機械的噛合いダイ20は、第1の層134と第2の層136との間の機械的噛合いを作り、これは、複合物品132の層間剥離の可能性を低減する。
【0040】
図5および図6を比較する際に、押出特徴34によって製造されたリブ140が、押出特徴34の断面「Y」形状と異なる断面「T」形状を示すことが認められる。これは、第1の層134がリブ140および第2の層136の表面136aに実質的に適合するときのオーバハング部分144、146の一般的な低下によって引起されると考えられる。第1の層134の、押出特徴34の頂面72の上に流れる部分は、一般に、押出されたオーバハング部分144、146を、アーム部分78、80の角度をつけられた位置から、図6に提供された断面形状に(すなわち、「Y」形状から「T」形状に)押圧する。したがって、押出特徴34の断面「Y」形状は、オーバハング部分144、146のオーバハング幅を最大にするのに有益である。さらに、第1の層は、また、壁部分142を第2の層136の表面136aの方に圧縮することができる。これは、ベース部分76の高さに対して壁部分142の高さを低減する。層組成、流量、粘度、温度、線速度、およびそれらの組合せなどのさまざまな要因が、オーバハング部分144、146が低下される程度、および壁部分142が圧縮される程度に影響を及ぼすことができる。
【0041】
図7は、押出特徴148と呼ばれる機械的噛合いダイ20の押出特徴の代替断面形状を示す、機械的噛合いダイ20の遠位端部30の斜視図である。上で説明されたように、機械的噛合いダイ20の押出特徴は、各押出特徴が、ベース部分と、ベース部分からある角度で延在する少なくとも1つのアーム部分とを含む限り、さまざまな断面形状を含むことができる。図7に示されているように、押出特徴148は、押出特徴34の断面「Y」形状の代わりに断面「T」形状を示す。複数の押出特徴148が壁セグメント68を分離し、壁セグメント68および押出特徴148は、内面部分48bに沿って長手方向軸50の方向に延在する。各押出特徴148について、断面「T」形状は、押出特徴148に沿って、交差部分70(一般に図3に示された)まで維持される。押出特徴148は交差部分70で第2の環状経路56に露出され、第2の層の一部が押出特徴148を通って流れることを可能にする。これは、第2の層が押出されるとき、第2の層に沿って半径方向に外方に延在する複数のリブをもたし、リブは、押出特徴148によって画定された断面形状を示す。
【0042】
押出特徴148およびチャネル36が特徴部分22の周りで円周方向に交互するように、押出特徴148がチャネル36の各側に配置される。第1および第2の層は、押出特徴34について上で説明されたのと同様の態様で、チャネル36および押出特徴148と相互作用する。第1の環状経路42は、第1の層の第1の部分を、押出特徴148の頂面72の上に流れるように向け、第2の部分を、チャネル36内に流れるように向ける。頂面72は、外面32aの、遠位端部30で押出特徴148の上に延在する部分である。チャネル36は、外面32aの、押出特徴148間に円周方向に配置された部分である。各チャネル36は、外面32bに隣接した円周方向に狭い部分36aを含む。チャネル36が外面32aに沿って長手方向軸50の方向に遠位端部30の方に延在するにつれて、各チャネル36は円周方向に広がる。遠位端部30において、チャネル36は、ポイント36bで、押出特徴148の下に延在する。チャネル36内に流れる、第1の層の第2の部分は、チャネル36の広がり寸法とともに拡大し、ポイント36bで押出特徴148の下にさらに拡大する。
【0043】
第1および第2の層が遠位端部30で機械的噛合いダイ20を出るとき、チャネル36は、第1の層が、リブ(押出特徴148によって形成された)、および第2の層の表面に実質的に適合するのを助ける。これは、第1の層内に延在する第2の層のリブをもたらし、これは、第1および第2の層をともに機械的に噛合せる。
【0044】
図8は、同一であり、機械的噛合いダイ20の押出特徴148の例である押出特徴148a、148bを示す、機械的噛合いダイ20の遠位端部30の一部の拡大正面図である。押出特徴148aによって示されるように、各押出特徴148は、ベース部分150と、ベース部分150からある角度で延在するアーム部分152、154とを含む。押出特徴148によって製造されたリブが、第2の層の表面に沿って延在し、かつベース部分150およびアーム部分152、154によって画定された断面形状を有する。
【0045】
ベース部分150は、内面部分48bの壁セグメント68a、68bの間に延在する開口部であり、一般に、断面平面内に、それぞれ、壁セグメント68a、68bから外方に延在する表面156、158によって画定される。アーム部分152は、断面平面内にベース部分150からある角度で延在する開口部であり、一般に、下面160、端面162、および上面164によって画定される。押出特徴34について上で説明されたように、下面160は、表面156および下面160の交差部分168から、表面156に対して角度αで延在する。同様に、アーム部分154は、また断面平面内にベース部分150からある角度で延在する開口部であり、一般に、下面170、端面172、および上面174によって画定される。下面170は、表面170および下面170の交差部分178から、表面158に対して角度βで延在する。
【0046】
表面156に対する適切な角度αの例は、約30度から約180度未満の範囲にある(180度は表面156に平行である)。表面156に対する特に適切な角度αの例は、約90度から約135度の範囲にある。表面158に対する適切な角度βの例は、約30度から約180度未満の範囲にある(180度は表面158に平行である)。表面158に対する特に適切な角度βの例は、約90度から約135度の範囲にある。図8の押出特徴148aは、アーム部分152、154がそれぞれ延在することができる代替角度α、βの例を提供する。示されているように、角度α、βは、各々、それぞれ表面156、158に対して約90度である。これは、押出特徴148aの断面「T」形状を作る。
【0047】
押出特徴34と同様に、各押出特徴148は、ベース部分(たとえば、ベース部分150)の高さと、総アーム長さとを含み、総アーム長さは、アーム部分(たとえば、アーム部分152、154)の個別の長さの合計である。総アーム長さおよびベース部分150の高さは、図5において説明された方法を用いて計算する。最初に、長手方向軸50(図3に最もよく示された)に垂直である、特徴部分22を通る平面断面をとる。これは、図8に示されたタイプの断面図を提供する。次に、押出特徴148aのアーム部分152に言及して、表面156に対して角度αで交差部分168から延在する線179を提供する。線179は、それにより、下面160に平行である。次に、また交差部分168から延在し、かつ線179に垂直である線180を提供する。
【0048】
次に、位置特定された点まで、線180から垂直に(かつ線179に平行に)延在する線の最大長さを提供する、アーム部分152の表面(たとえば、下面160、端面162、および上面164)に沿った点を位置特定する。図8に示されているように、端面162が線180に平行であるので、端面162に沿った任意の点が、そのような線(線182によってランダムに示された)の最大長さを提供する。したがって、端面162と線180との間の線182の長さを、「アーム部分152の長さ」と定義する。
【0049】
同様に、アーム部分154の場合、表面158に対して角度βで交差部分178から延在する線183を提供する。線183は、それにより、下面170に平行である。次に、また交差部分178から延在し、かつ線183に垂直である線184を提供する。
【0050】
次に、位置特定された点まで、線184から垂直に(かつ線176に平行に)延在する線の最大長さを提供する、アーム部分154の表面(すなわち、下面170、端面172、および上面174)に沿った点を位置特定する。図8に示されているように、端面172が線184に平行であるので、端面172に沿った任意の点が、そのような線(線186によってランダムに示された)の最大長さを提供する。端面172と線184との間の線186の長さを、「アーム部分154の長さ」と定義する。次に、押出特徴148aの総アーム長さは、アーム部分152の長さおよびアーム部分154の長さの合計である。
【0051】
ベース部分150の高さを計算するために(押出特徴148bに言及する)、最初に、総アーム長さ計算のために作られた平面断面を使用して、点190、192によって画定された割線188を提供し、点190は表面156および壁セグメント68bの交差部分に位置特定され、点192は表面158および壁セグメント68cの交差部分に位置特定される。次に、位置特定された点まで、割線188から垂直に、点190と点192との間に水平に延在する(表面上の別の点と交差せずに)線の最大長さを提供する、押出特徴148の表面に沿った(すなわち、表面156、158、下面160、170、端面162、172、および上面164、174に沿った)点を位置特定する。図8に示されているように、点190と点192との間に水平である、上面164、174に沿った任意の点が、そのような垂直線(線194によってランダムに示された)の最大長さを提供する。上面(すなわち、上面164、174)と割線188との間の線194の長さを、「ベース部分150の高さ」と定義する。
【0052】
第1および第2の層を機械的に噛合せるために、押出特徴148の少なくとも1つが、望ましくは、対応するベース部分150の高さより大きい総アーム長さを示す。さらに、大部分の押出特徴148が、対応するベース部分150の高さより大きい総アーム長さを示す場合に、機械的噛合いは向上される。図6と関連して一般に説明されるように、押出特徴148によって製造されたリブ140は、アーム部分152、154の位置からの、オーバハング部分144、146の一般的な低下を示すことができる。リブ140は、矢じりに似た断面形状を示すことができ、これは、また、第1の層134および第2の層136を機械的に噛合せるために、第1の層134の一部を捕捉する。
【0053】
上述されたような機械的噛合いダイ20は、機械的に噛合う層を有する複合物品を製造することができる本発明の機械的噛合いダイの例である。しかし、機械的噛合いダイ20は、特定の寸法に限定されることは意図されない。既存の押出システムのさまざまな設計によって、必要な押出ダイ寸法は、押出システム間で異なることがある。したがって、機械的噛合いダイ20のさまざまな実施形態が、既存の押出システムとの適合性のために異なった寸法を示すことができる。特に、円錐形部分24および支持部分26は、特定の押出システムでの使用のために必要とされない場合、任意の構成要素であることができる。長手方向軸50の方向における、機械的噛合いダイ20の適切な長さの例としては、約4.6センチメートル(cm)の特徴部分22の長さ、約4.1cmの円錐形部分24の長さ、および約1.6cmの支持部分26の長さが挙げられる。
【0054】
断面平面内の(すなわち、長手方向軸50に対して半径方向における)、機械的噛合いダイ20の適切な外径の例としては、約2.3cmから約2.7cmに遠位から近位に増加する特徴部分22の外径、約2.7cmから約5.4cmに遠位から近位に増加する円錐形部分24の外径、および約8.2cmの支持部分26の外径が挙げられる。断面平面内の、機械的噛合いダイ20の適切な内側寸法の例としては、約1.9cmの、内面48bにおける特徴部分22の内径、および約2.3cmから約4.8cmに遠位から近位に増加する、内面48aにおける円錐形部分24および支持部分26の内径が挙げられる。
【0055】
図9は、機械的噛合いダイ20への本発明の代替実施形態を示す、機械的噛合いダイ200の斜視図である。機械的噛合いダイ200は、複合物品が、複合管状物品ではなく平面フィルムである以外は、機械的噛合いダイ20と同じ態様で、機械的に噛合う層を有する複合物品を製造する。示されているように、機械的噛合いダイ200は、第1の特徴部分202と、第2の特徴部分204と、支持部分206と、近位端部208と、遠位端部210とを含む3層押出ダイである。第1の特徴部分202および第2の特徴部分204は、機械的噛合いダイ200の近位端部208において支持部分206と連結し、遠位端部210において略平行である。第1の特徴部分202は、外面212と、内面214とを含み、第2の特徴部分204は、外面216と、内面218とを含む。
【0056】
第1の特徴部分202は、複数の押出特徴220と、複数のチャネル222とをさらに含む。押出特徴220およびチャネル222は、横方向軸224の方向に、機械的噛合いダイ200の遠位端部210において、第1の特徴部分202を横切って交互する。示されているように、横方向軸224は長手方向軸226に垂直であり、長手方向軸226は、機械的噛合いダイ200の近位端部208および遠位端部210を含む方向に延在し、一般に、第1の特徴部分202および第2の特徴部分204を通るポリマー材料の流れの方向を表す。第2の特徴部分204は、複数の押出特徴228と、複数のチャネル230とをさらに含む。押出特徴228およびチャネル230は、横方向軸224の方向に、機械的噛合いダイ200の遠位端部210において、第2の特徴部分204を横切って交互する。
【0057】
押出特徴220、228、およびチャネル222、230は、機械的噛合いダイ20の押出特徴148と同様の態様で、機械的噛合いダイ200で押出されるポリマー層を機械的に噛合せる。機械的噛合いダイ200によってもたらされた機械的噛合いで製造された平面複合物品は、タイ層、結合剤、または化学的改質を必要とせずに、良好な層間接着力を示す。
【0058】
第1の特徴部分202に沿って配置された押出特徴220およびチャネル222の数は、個別の要求が必要とするように、変わることができる。押出特徴220およびチャネル222の適切な数は、各々、約4から約50の範囲にあり、特に適切な数は約5から約20の範囲にある。一実施形態において、複合物品の機械的噛合いを最大にするために、押出特徴220は第1の特徴部分202に沿って均一に隔置される。同様に、第2の特徴部分204に沿って配置された押出特徴228およびチャネル230の数も、個別の要求が必要とするように、変わることができる。押出特徴228およびチャネル230の適切な数は、各々、約4から約50の範囲にあり、特に適切な数は約5から約20の範囲にある。一実施形態において、複合物品の機械的噛合いを最大にするために、押出特徴228は第2の特徴部分204に沿って均一に隔置される。押出特徴220、228は、互いにまっすぐ横切って配置するか(図9に示されているように)、千鳥に配列するか、非対称に配置することができる。
【0059】
機械的噛合いダイ200は、また、著しい変更を必要とせずに、押出システム、射出成形システム、およびブロー成形システムを含むさまざまなシステムで設置することができる。第1の特徴部分202の外面212は、第1の層を遠位端部210の方に押出すための第1の経路232(矢印232によって示された)を部分的に画定する。内面214、218は、第2の層(すなわち、コア層)を遠位端部210の方に押出すための第2の経路234(矢印234によって示された)を画定する。第2の特徴部分204の外面216は、第3の層を遠位端部210の方に押出すための第3の経路236(矢印236によって示された)を部分的に画定する。
【0060】
共押出プロセスの間、異なったポリマー材料が、第1の経路232、第2の経路234、および第3の経路236を通って、遠位端部210の方に流れて、それぞれ、第1、第2、および第3の層を製造することができる。適切なポリマー材料の例が、「複合物品およびその製造方法(Composite Articles and Methods of Making the Same)」(代理人事件番号59620US002)および「タイ層を有する複合物品およびその製造方法(Composite Article Having a Tie Layer and Method of Making the Same)」(代理人事件番号59652US002)という名称の、同時に出願された出願に記載されている。第1および第2の層が押出されるとき、第1の特徴部分202の押出特徴220およびチャネル222は、第1および第2の層を機械的に噛合せる。同様に、第3の層が第2の層とともに押出されるとき、第2の特徴部分204の押出特徴228およびチャネル230は、第2および第3の層を機械的に噛合せる。層の機械的噛合いは、機械的噛合いダイ20について上で説明されたのと同じ態様で行われる。これは、層間接着力を増加させ、これは、対応して、複合物品の層間剥離を低減し、おそらくなくす。
【0061】
図10は、内面214、218を示す、機械的噛合いダイ200の後側面図(rear side view)である。内面214は、内面部分214a、214bに分けられ、内面218は、内面部分218a、218bに分けられる。内面部分214a、218aは、近位端部208(図示せず)と遠位端部210との間に配置され、かつ第2の経路234のための一般に滑らかな表面を提供する。内面部分214b、218bは、遠位端部210の近くに配置される。図10に示されているように、内面部分214bは、内面部分214a、214bの交差部分または肩238において「上がり」、内面部分218bは、内面部分218a、218bの交差部分または肩240において「上がる」。これらの「上がり」は、図3において先に説明された、機械的噛合いダイ20の内面部分48a、48bの間に画定された「上がり」または環状肩に対応する。各「上がり」は、内面214と内面218との間の距離を低減する。これは、対応して、第2の経路234の寸法を低減し、一般に、第2の経路234内の第2の層を、内面部分214b、218bの周りに流れるように向ける。
【0062】
示されているように、押出特徴220は、交差部分238で第2の経路234に露出される。第2の層が内面部分214bの周りに流れるが、第2の層の一部が、また、押出特徴220を通って流れる。これは、第2の層の表面(第1の層に面する)に沿って延在する第1の組のリブを作り、第1の組のリブは、押出特徴220によって画定された断面形状を示す。押出特徴228も、交差部分240で第2の経路234に露出される。第2の層が内面部分218bの周りに流れるが、第2の層の一部が、また、押出特徴228を通って流れる。これは、第2の層の表面(第3の層に面する)に沿って延在する第2の組のリブを作り、第2の組のリブは、押出特徴228によって画定された断面形状を示す。
【0063】
図11は、押出特徴220、228、およびチャネル222、230を示す、機械的噛合いダイ200の遠位端部210の一部の拡大正面図である。示されているように、押出特徴220、228は、断面「T」形状を示し、これは、図8において先に説明された押出特徴148に対応する。しかし、押出特徴220、228は、同じ断面形状を均一に示す必要はない。たとえば、押出特徴220は断面「T」形状を示すことができ、押出特徴228は断面「Y」形状を示すことができる。さらに、第1の特徴部分202に沿って延在する個別の押出特徴220は、各々、異なった断面形状を示すことができる(この原理は、また、押出特徴228に適用される)。
【0064】
機械的噛合いダイ20の押出特徴148およびチャネル36について図7および図8において上で説明されたのと同様の態様で、第1および第2の層は、押出特徴220およびチャネル222と相互作用し、第2および第3の層は、押出特徴228およびチャネル230と相互作用する。これは、第1の層と第2の層との間、および第2の層と第3の層との間の機械的噛合いを示す平面複合物品を製造する。
【0065】
図11に示されているように、押出特徴220およびチャネル222が第1の特徴部分202に沿って横方向に交互するように、押出特徴220がチャネル222の各側に配置される。第2の層は第2の経路234を通って押出されるが、第1の層は、第1の経路232を通って、外面212に沿って、遠位端部210の方に押出される。第1の経路232は、第1の層の第1の部分を、押出特徴220の頂面242の上に流れるように向け、第2の部分を、チャネル222内に流れるように向ける。頂面242は、外面212の、遠位端部210で押出特徴220の上に延在する部分である。チャネル222は、外面212の、押出特徴220間に横方向に配置された部分である。各チャネル222は、遠位端部210から最も遠い位置で、横方向に狭い部分222aを含む。チャネル222が外面212に沿って長手方向軸226の方向に遠位端部210の方に延在するにつれて、各チャネル222は横方向に広がる。遠位端部210において、チャネル222は、ポイント222bで押出特徴220の下に延在する。
【0066】
チャネル222内に流れる、第1の層の第2の部分は、チャネル222の広がり寸法とともに拡大し、ポイント222bで押出特徴220の下にさらに拡大する。したがって、チャネル222は、第1の層の部分を、第2の層の部分の間に(すなわち、第2の層の表面と押出特徴220内の第2の層の部分との間に)流れるように向ける。
【0067】
押出特徴228およびチャネル230が第2の特徴部分204に沿って横方向に交互するように、押出特徴228もチャネル230の各側に配置される。第2の層は第2の経路234を通って押出されるが、第3の層は、第3の経路236を通って、外面216に沿って、遠位端部210の方に押出される。第3の経路236は、第3の層の第1の部分を、押出特徴228の頂面244の上に流れるように向け、第2の部分を、チャネル230内に流れるように向ける。図11に示されているように、押出特徴228およびチャネル230は、押出特徴220およびチャネル222に対して方向的に逆にされる。しかし、一貫性のため、同じ方向用語が、両方に適用される(たとえば、「上に」、「下に」など・・・)。頂面244は、外面216の、遠位端部210で押出特徴228の上に延在する部分である。チャネル230は、外面216の、押出特徴228間に横方向に配置された部分である。各チャネル230は、遠位端部210から最も遠い位置で、横方向に狭い部分230aを含む。チャネル230が外面216に沿って長手方向軸226の方向に遠位端部210の方に延在するにつれて、各チャネル230は横方向に広がる。遠位端部210において、チャネル230は、ポイント230bで押出特徴228の下に延在する。
【0068】
チャネル230内に流れる、第3の層の第2の部分は、チャネル230の広がり寸法とともに拡大し、ポイント230bで押出特徴228の下にさらに拡大する。したがって、チャネル230は、第3の層の部分を、第2の層の部分の間に(すなわち、第2の層の表面と押出特徴228内の第2の層の部分との間に)流れるように向ける。
【0069】
第1、第2、および第3の層が、遠位端部210で機械的噛合いダイ200を出るとき、第1の層は、第1の組のリブ(押出特徴220によって形成された)、および第2の層の表面に実質的に適合し、第3の層は、第2の組のリブ(押出特徴228によって形成された)、および第2の層の反対側の表面に実質的に適合する。冷却すると、第1、第2、および第3の層は、平面複合物品を形成し、第1の組のリブは第1の層内に延在し、第2の組のリブは第3の層内に延在する。これは、第1および第2の層の機械的噛合い、ならびに第2および第3の層の機械的噛合いをもたらし、これは、複合物品の層間接着力を増加させる。
【0070】
機械的噛合いダイ200の押出特徴(たとえば、押出特徴220、228)は、第1および第2の組のリブの断面形状を画定するためにさまざまな断面形状を含むことができる。機械的噛合いダイ20の押出特徴のように、機械的噛合いダイ200の各押出特徴は、ベース部分と、ベース部分からある角度で延在する少なくとも1つのアーム部分とを含む。図11に示されているように、押出特徴220、228は、図7および図8において先に説明された機械的噛合いダイ20の押出特徴148と同じである。各押出特徴220は、ベース部分246と、ベース部分246からある角度で延在するアーム部分248、250とを含む。各押出特徴220について、ベース部分246およびアーム部分248、250の断面形状は、押出特徴220に沿って、長手方向軸226の方向に、交差部分238(図10に示された)まで維持される。それにより、第2の層の、押出特徴220を通って流れる部分は、ベース部分246およびアーム部分248、250によって画定された断面形状を示す第1の組のリブを製造する。
【0071】
同様に、各押出特徴228は、ベース部分252と、ベース部分252からある角度で延在するアーム部分254、256とを含む。各押出特徴228について、ベース部分252およびアーム部分254、256の断面形状は、押出特徴228に沿って、長手方向軸226の方向に、交差部分240(図10に示された)まで維持される。それにより、第2の層の、押出特徴228を通って流れる部分は、ベース部分252およびアーム部分254、256によって画定された断面形状を示す第2の組のリブを製造する。
【0072】
機械的噛合いダイ200の各押出特徴は、ベース部分の高さと、総アーム長さとを含み、総アーム長さは、アーム部分の個別の長さの合計である。押出特徴220、228について、総アーム長さおよびベース部分の高さは、図5において説明された方法を用いて計算し、図8の押出特徴148について説明されたような結果を有する。第1、第2、および第3の層を機械的に噛合せるために、押出特徴220の少なくとも1つが、望ましくは、対応するベース部分246の高さより大きい総アーム長さを示し、押出特徴228の少なくとも1つが、望ましくは、対応するベース部分252の高さより大きい総アーム長さを示す。さらに、大部分の押出特徴220が、対応するベース部分246の高さより大きい総アーム長さを示し、かつ大部分の押出特徴228が、対応するベース部分252の高さより大きい総アーム長さを示す場合に、機械的噛合いは向上される。
【0073】
図12に示された機械的噛合いダイ200の代替実施形態において、押出特徴およびチャネルは、特徴部分の1つ(すなわち、第1の特徴部分202)のみの上に存在することができる。この実施形態において、第2の特徴部分204は、滑らかな表面であり、いかなる押出特徴またはチャネルも含まない。これは、2つの層のみが押出されている場合、または第2の層と第3の層との間に機械的噛合いが望まれない場合に有用である。第3の層は、第2の層の、第1の層と相互作用する表面と反対側の表面に化学的に結合することができる。
【0074】
本発明の機械的噛合いダイは、押出多層物品のさまざまな形状を生じさせることができる。上で説明された実施形態(すなわち、管状複合物品用機械的噛合いダイ20および平面複合物品用機械的噛合いダイ200)に加えて、適切な押出形状の例としては、「L」形状のフィルム、アーチ形フィルム、「U」形状のフィルム、不規則な形状のフィルム、波形フィルム、円筒形複合物品、矩形形状のフィルム、および押出可能である他の幾何学的形状の複合物品が挙げられる。
【0075】
押出特徴(たとえば、押出特徴34、148、220、228)のベース部分の高さは、個別の要求が必要とするように、変わることができる。特に、層厚さ、押出特徴の数、および複合物品の直径などのパラメータが、必要な高さを決めることができる。しかし、高さは、望ましくは、押出特徴によって形成されたリブが第1の層を貫通しないように十分に小さい。機械的噛合いダイ20、200の押出特徴のベース部分の適切な高さの例としては、約25.0mm未満の高さが挙げられ、特に適切な高さは約10.0mm未満である。しかし、非常に薄い層での使用のため、ベース部分の高さは0.5mm未満でさえあることができる。対応するアーム部分は、望ましくは、ベース部分の高さより大きい総アーム長さを示し、押出特徴の数および複合物品の直径などのパラメータによって決めることができる。
【0076】
機械的噛合いダイ20、200は、一般に、15/5鋼からキャストされる。次に、押出特徴は、押出特徴を画定するようにワイヤ放電加工(EDM)によって形成される。同様に、チャネルは、チャネルを画定するようにシンカーEDMによって形成される。
【0077】
管状および平面複合物品について上で説明されたような、ポリマー層を共押出しすることに加えて、ポリマー層を、代わりに、別個の工程(たとえば、順次押出プロセス)から製造することができる。第1の工程で、本発明の機械的噛合いダイを使用して、第2の層を押出して、第2の層の表面から延在するリブを形成することができ、リブは、機械的噛合いダイの押出特徴によって画定された断面形状を有する。次に、第2の工程において、第1の層(および使用される場合第3の層)を、リブ、および第2の層の表面に実質的に適合するように第2の層上にコーティングする。コーティングは、第1の層を、クロスヘッドダイを通して、輪郭を作られた第2の層の上に押出すなどの従来の態様によって行うことができる。これは、また、第1および第2の層を機械的に噛合せる。しかし、共押出は1工程製造を可能にし、これは、ラインの始動および制御を簡単にし、また、複合物品に対するより大きい品質管理をもたらす。
【実施例】
【0078】
本発明の範囲内の多数の変更および変形が当業者には明らかであるので、例示としてのみ意図される次の実施例で、本発明をより詳細に説明する。特に明記しない限り、次の実施例で報告された部、パーセンテージ、および比はすべて、重量基準であり、実施例で使用された試薬はすべて、以下で説明される化学供給業者から得られたか入手可能であるか、従来の技術によって合成することができる。
【0079】
次の組成略記を次の実施例で使用する。
「THV 500」:ミネソタ州オークデールのダイニオン・LLC(Dyneon,LLC of Oakdale,MN)から、商品名「ダイニオン(Dyneon)THV 500フルオロサーモプラスチック(Fluorothermoplastic)」で市販されているフッ素化ターポリマー。
「THV 815」:ミネソタ州オークデールのダイニオン・LLCから、商品名「ダイニオンTHV 815フルオロサーモプラスチック」で市販されているフッ素熱可塑性樹脂(fluorothermoplastic)。
「VFEPX 6815G」:ミネソタ州オークデールのダイニオン・LLCから、商品名「ダイニオンVFEPX 6815Gフルオロサーモプラスチック」で市販されているフッ素熱可塑性樹脂。
「ウルトラミッド(Ultramid)B3」:ニュージャージー州マウントオリーブのBASFコーポレーション(BASF Corp.of Mount Olive,NJ)から、商品名「ウルトラミッドB3」市販されているポリアミド(ナイロン)6。
「EMS L25W40X」:サウスカロライナ州サムターのエムスケミーN・A・インコーポレイテッド(EMS−Chemie N.A.,Inc.of Sumter SC)から、商品名「グリルアミド(Grilamid)L25W40X」で市販されているポリアミド(ナイロン)12。
【0080】
実施例1
実施例1は、本発明の機械的噛合いダイで共押出しされた3層管状複合物品である。機械的噛合いダイは、機械的噛合いダイ20について上で説明されたような寸法を示し、かつ押出特徴34について上で説明されたような断面「Y」形状を示す押出特徴を含んだ。
【0081】
内側管状層は、THV 815からなり、長さ対直径比が26であり温度プロファイルが255/275/285℃である、コネチカット州イーストノーウォークのハレル・インコーポレイテッド(Harrel,Inc.of East Norwalk,CT)から市販されている3.8cm(1.5インチ)のハレル単軸押出機(Harrel Single Screw Extruder)から、本発明の機械的噛合いダイで押出した。押出は、内側管状層に沿って半径方向に延在するリブを作った。
【0082】
中間層は、EMS L25W40Xからなり、各々、長さ対直径比が26であり温度プロファイルが180/195/210℃である、コネチカット州イーストノーウォークのハレル・インコーポレイテッドから市販されている2.5cm(1インチ)のハレル単軸押出機から、本発明の機械的噛合いダイで押出した。
【0083】
外側管状層は、EMS L25W40Xからなり、各々、長さ対直径比が26であり温度プロファイルが180/195/210℃である、コネチカット州イーストノーウォークのハレル・インコーポレイテッドから市販されている5.1cm(2インチ)のハレル単軸押出機から、本発明の機械的噛合いダイで押出した。外側管状層は、本発明の機械的噛合いダイと直接相互作用しなかった。中間層および外側管状層が同じポリマーからなったので、実施例1の管状複合物品は、2層複合物品として効果的に機能した。
【0084】
実施例1の結果として生じる管状複合物品を、水浴中で急冷し、ウェブ取扱い設備に供給し、3.4メートル毎分(11フィート毎分)の線速度で巻上げた。
【0085】
実施例2
実施例2は、内側管状層がTHV 815の代わりにVFEPX 6815Gからなった以外は、実施例1で説明された手順に従って共押出しされた3層管状複合物品である。
【0086】
実施例3
実施例3は、線速度が10.1メートル毎分(33フィート毎分)であった以外は、実施例1で説明された手順に従って共押出しされた、実施例2の3層管状複合物品である。
【0087】
実施例4
実施例4は、線速度が15.5メートル毎分(51フィート毎分)であった以外は、実施例1で説明された手順に従って共押出しされた、実施例2および3の3層管状複合物品である。
【0088】
実施例5
実施例5は、本発明の機械的噛合いダイで共押出しされた3層管状複合物品である。機械的噛合いダイは、機械的噛合いダイ20について上で説明されたような寸法を示し、かつ押出特徴148について上で説明されたような断面「T」形状を示す押出特徴を含んだ。
【0089】
内側管状層は、THV 500からなり、長さ対直径比が26であり温度プロファイルが255/275/285℃である3.8cm(1.5インチ)のハレル単軸押出機から、本発明の機械的噛合いダイで押出した。押出は、内側管状層に沿って半径方向に延在するリブを作った。
【0090】
中間層および外側管状層は、各々、ウルトラミッドB3からなり、各々、長さ対直径比が26であり温度プロファイルが180/195/210℃である5.1cm(2インチ)のハレル単軸押出機から、本発明の機械的噛合いダイで押出した。外側管状層は、本発明の機械的噛合いダイと直接相互作用しなかった。中間層および外側管状層が同じポリマーからなったので、実施例5の管状複合物品は、2層複合物品として効果的に機能した。
【0091】
実施例5の結果として生じる管状複合物品を、水浴中で急冷し、ウェブ取扱い設備に供給し、3.7メートル毎分(12フィート毎分)の線速度で巻上げた。
【0092】
実施例6
実施例6は、線速度が9.1メートル毎分(30フィート毎分)であった以外は、また、実施例5で説明された手順に従って共押出しされた、実施例5の3層管状複合物品である。
【0093】
実施例7
実施例7は、線速度が12.2メートル毎分(40フィート毎分)であった以外は、また、実施例5で説明された手順に従って共押出しされた、実施例5の3層管状複合物品である。
【0094】
実施例8
実施例8は、線速度が14.6メートル毎分(48フィート毎分)であった以外は、また、実施例5で説明された手順に従って共押出しされた、実施例5の3層管状複合物品である。
【0095】
実施例1〜8の剥離強度テスト
実施例1〜8の複合物品を、ASTM D1876に従って、インストロン・モデル(Instron Model)5564上で、150mm/分のクロスヘッド速度で、剥離強度についてテストした。インストロン・モデル5564は、マサチューセッツ州カントンのインストロン・コーポレーション(Instron Corp.of Canton,MA)から市販されている。表1は、実施例1〜8の剥離強度結果を提供する。
【0096】
【表1】

【0097】
実施例1〜8の複合物品の内側層はフルオロポリマー(すなわち、THV 815、VFEPX 6815G、およびTHV 500)からなった。対照的に、中間(および外側)層はナイロンポリマー(すなわち、EMS L25W40XおよびウルトラミッドB3)からなった。フルオロポリマーおよびナイロンポリマーは、一般に劣った層間接着力を示す似ていない材料である。助け(たとえば、似ていない材料の化学的または機械的噛合い)がなければ、そのような層を有する複合物品は、わずかな剥離強度を示す。しかし、表1に示されているように、実施例1〜8の複合物品は、約6.0N/cmから約16N/cmの剥離強度を示す。これは、本発明の機械的噛合いダイによって形成されたリブの機械的噛合いによる。
【0098】
示されているように、実施例5〜8の複合物品は、一般に、実施例1〜4の複合物品より低い剥離強度を示した。これは、実施例5〜8の複合物品のリブの変形によると考えられた。「T」形状は実質的に圧縮され、これは、層間の、より少ない量の機械的噛合いをもたらした。それにもかかわらず、実施例5〜8の複合物品は、依然として、適切なレベルの層間接着力を示し、これらは、機械的噛合いのない同様の複合物品より優れていた。
【0099】
本発明を好ましい実施形態に関して説明したが、当業者は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態および詳細に変更がなされてもよいことを認めるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の機械的噛合いダイの斜視図である。
【図2A】押出システムのダイヘッドとの使用における本発明の機械的噛合いダイの斜視図である。
【図2B】図2Aの断面2B−2Bに沿った縦断面図である。
【図2C】押出システムとの使用における本発明の機械的噛合いダイの斜視断面図である。
【図3】図2Cの領域3の拡大斜視断面図である。
【図4】本発明の機械的噛合いダイの遠位端部の拡大斜視図である。
【図5】本発明の機械的噛合いダイの遠位端部の一部のさらに拡大された正面図である。
【図6】図示のため一部が破断された、本発明の機械的噛合いダイで製造された複合物品の斜視図である。
【図7】代替押出特徴を示す、本発明の第2の実施形態の機械的噛合いダイの遠位端部の斜視図である。
【図8】代替押出特徴を示す、本発明の第2の実施形態の機械的噛合いダイの遠位端部の一部の拡大正面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態の機械的噛合いダイの斜視図である。
【図10】本発明の第3の実施形態の機械的噛合いダイの後側面図である。
【図11】本発明の第3の実施形態の機械的噛合いダイの遠位端部の一部の拡大正面図である。
【図12】本発明の第4の実施形態の機械的噛合いダイの斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延在する第1の表面および第2の表面と、
複数の押出特徴であって、前記押出特徴の各々が、
前記第1の表面から断面平面内に延在するベース部分であって、前記断面平面が前記長手方向に実質的に垂直である、ベース部分と、
前記ベース部分から前記断面平面内にある角度で延在するアーム部分とを含む、複数の押出特徴と、
複数のチャネルであって、各チャネルが、前記第2の表面から前記長手方向に対してある角度で延在し、各チャネルが、1対の押出特徴の間に配置される、複数のチャネルとを含む機械的噛合いダイ。
【請求項2】
前記押出特徴の少なくとも1つが、さらに前記長手方向に延在し、前記押出特徴が、前記断面平面内の断面形状を示し、前記断面形状が、前記ベース部分および前記アーム部分によって画定され、前記押出特徴が、前記断面形状を前記長手方向に沿って実質的に維持する、請求項1に記載の機械的噛合いダイ。
【請求項3】
前記チャネルの少なくとも1つが、前記断面平面内の断面幅を示し、前記断面幅が、前記チャネルおよび前記第2の表面の交差部分において最も狭く、前記断面幅が、前記長手方向に沿って増加する、請求項1に記載の機械的噛合いダイ。
【請求項4】
前記チャネルの1つの一部が、前記押出特徴の少なくとも1つのアーム部分と前記第1の表面との間に延在する、請求項1に記載の機械的噛合いダイ。
【請求項5】
前記押出特徴の少なくとも1つについて、前記ベース部分が高さを含み、前記アーム部分が総アーム長さを含み、前記総アーム長さが前記ベース部分の高さより大きい、請求項1に記載の機械的噛合いダイ。
【請求項6】
前記押出特徴の少なくとも1つについて、前記アーム部分が、前記ベース部分に対して約90度から約180度未満の範囲にある角度で、前記ベース部分から延在する、請求項1に記載の機械的噛合いダイ。
【請求項7】
前記アーム部分が、前記ベース部分に対して約90度から約135度の範囲にある角度で、前記ベース部分から延在する、請求項6に記載の機械的噛合いダイ。
【請求項8】
前記第1の表面および前記第2の表面が環状である、請求項1に記載の機械的噛合いダイ。
【請求項9】
前記第1の表面および前記第2の表面が、平面フィルムを製造する流れ経路を画定するように整列される、請求項1に記載の機械的噛合いダイ。
【請求項10】
前記押出特徴の各々のベース部分の高さが約10.0ミリメートル以下である、請求項1に記載の機械的噛合いダイ。
【請求項11】
前記押出特徴の少なくとも1つについて、前記アーム部分が第1のアーム部分であり、前記押出特徴が、前記ベース部分から前記断面平面内に第2の角度で延在する第2のアーム部分をさらに含む、請求項1に記載の機械的噛合いダイ。
【請求項12】
前記第1のアーム部分が第1の長さを含み、前記第2のアーム部分が第2の長さを含み、前記ベース部分が高さを含み、前記第1の長さおよび前記第2の長さの合計が、前記ベース部分の高さより大きい、請求項11に記載の機械的噛合いダイ。
【請求項13】
前記第2の角度が、前記第1のアーム部分の角度と同じであり、前記第2のアーム部分が、前記ベース部分から、前記第1のアーム部分と反対の方向に延在する、請求項11に記載の機械的噛合いダイ。
【請求項14】
前記第1のアーム部分と、前記第2のアーム部分とを含む前記押出特徴が、前記断面平面内のT形状を実質的に画定する、請求項13に記載の機械的噛合いダイ。
【請求項15】
前記第1のアーム部分と、前記第2のアーム部分とを含む前記押出特徴が、前記断面平面内のY形状を実質的に画定する、請求項13に記載の機械的噛合いダイ。
【請求項16】
第1のポリマー層を押出すための、長手方向に延在する第1の表面と、
第2のポリマー層を押出すための、前記長手方向に延在する第2の表面と、
前記第1のポリマー層に沿って前記長手方向に複数のリブを製造するための複数の押出特徴であって、各押出特徴が、前記第1の表面から延在するベース部分と、前記ベース部分からある角度で延在するアーム部分とを含む、複数の押出特徴と、
前記第2のポリマー層の一部を前記リブに実質的に適合させるための複数のチャネルであって、各チャネルが、前記第2の表面から前記長手方向に対してある角度で延在し、各チャネルが、1対の押出特徴の間に配置される、複数のチャネルとを含む機械的噛合いダイ。
【請求項17】
各押出特徴のベース部分が、前記第1の表面から断面平面内に延在し、各押出特徴のアーム部分が、前記ベース部分から前記断面平面内にある角度で延在し、前記断面平面が、前記長手方向に実質的に垂直である、請求項16に記載の機械的噛合いダイ。
【請求項18】
前記押出特徴の少なくとも1つが、さらに前記長手方向に延在し、前記押出特徴が、前記断面平面内の断面形状を示し、前記断面形状が、前記ベース部分および前記アーム部分によって画定され、前記押出特徴が、前記断面形状を前記長手方向に沿って実質的に維持する、請求項17に記載の機械的噛合いダイ。
【請求項19】
前記チャネルの少なくとも1つが、前記断面平面内の断面幅を示し、前記断面幅が、前記チャネルおよび前記第2の表面の交差部分において最も狭く、前記断面幅が、前記長手方向に沿って増加する、請求項17に記載の機械的噛合いダイ。
【請求項20】
前記チャネルの1つの一部が、前記押出特徴の少なくとも1つのアーム部分と前記第1の表面との間に延在する、請求項16に記載の機械的噛合いダイ。
【請求項21】
前記押出特徴の少なくとも1つについて、前記ベース部分が高さを含み、前記アーム部分が総長さを含み、前記アーム部分の総長さが、前記ベース部分の高さより大きい、請求項16に記載の機械的噛合いダイ。
【請求項22】
前記押出特徴の少なくとも1つについて、前記アーム部分が第1のアーム部分であり、前記押出特徴が、前記ベース部分から第2の角度で延在する第2のアーム部分をさらに含む、請求項16に記載の機械的噛合いダイ。
【請求項23】
前記第1のアーム部分が第1の長さを含み、前記第2のアーム部分が第2の長さを含み、前記ベース部分が高さを含み、前記第1の長さおよび前記第2の長さの合計が、前記ベース部分の高さより大きい、請求項22に記載の機械的噛合いダイ。
【請求項24】
材料を押出す方法であって、
長手方向に延在する第1の表面および第2の表面と、
複数の押出特徴であって、各押出特徴が、前記第1の表面から延在するベース部分と、前記ベース部分からある角度で延在するアーム部分とを含む、複数の押出特徴と、
複数のチャネルであって、各チャネルが、前記第2の表面から前記長手方向に対してある角度で延在し、各チャネルが、1対の押出特徴の間に配置される、複数のチャネルとを含む機械的噛合いダイを提供する工程と、
第1のポリマー層の一部を、前記押出特徴を通して押出して、複数のリブを形成する工程と、
第2のポリマー層の一部を、前記チャネルを通して押出し、それにより、第2の材料を前記リブに実質的に適合させ、前記第2の材料を前記リブに実質的に適合させることが、前記第1のポリマー層を前記第2のポリマー層に機械的に噛合せる工程とを含む方法。
【請求項25】
各押出特徴のベース部分が、前記第1の表面から断面平面内に延在し、各押出特徴のアーム部分が、前記ベース部分から前記断面平面内にある角度で延在し、前記断面平面が、前記長手方向に実質的に垂直である、請求項24に記載の機械的噛合いダイ。
【請求項26】
前記押出特徴の少なくとも1つについて、前記ベース部分が高さを含み、前記アーム部分が総長さを含み、前記アーム部分の総長さが、前記ベース部分の高さより大きい、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記押出特徴の各々のベース部分の高さが約10.0ミリメートル以下である、請求項24に記載の機械的噛合いダイ。
【請求項28】
前記押出特徴の少なくとも1つが、前記断面平面内のT形状を実質的に画定する、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記押出特徴の少なくとも1つが、前記断面平面内のY形状を実質的に画定する、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記リブの少なくとも1つが、前記第1のポリマー層および前記第2のポリマー層の断面平面内のT形状を実質的に画定する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第1のポリマー層および前記第2のポリマー層が共押出しされる、請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2008−502518(P2008−502518A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527223(P2007−527223)
【出願日】平成17年4月8日(2005.4.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/011855
【国際公開番号】WO2006/001871
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】