説明

機械読み取り可能の情報を埋め込む方法及びシステム

【課題】基板上に情報を埋め込む方法であって、対象物に機械読み取り可能の情報を埋め込み、次いでこれを元に戻すことである。
【解決手段】基板上に情報を埋め込む方法であって、情報を機械読み取り可能のコードフォーマットに変換するステップと、前記機械読み取り可能のコードフォーマットを少なくとも一つの蛍光マーキング材で基板の上に書き込むステップとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械読み取り可能の情報を埋め込む方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書に記載されるのは、対象物に機械読み取り可能の情報を埋め込むプロセスとコードシステムである。使用コードは、バイナリ基準で、相異なる形状および/またはカラーを使用して情報をエンコードする。使用コードは、蛍光マーキング材、例えば、蛍光インクまたは蛍光トナーを使用して作成し得る。
【0003】
多数の利点が、本明細書に記載の多岐にわたる実施の形態に関連して存在する。例えば、蛍光剤が通常の室内光(周囲の光)の下の条件で無色の場合は、機械読み取り可能の情報または暗号化された情報は不可視である。情報は、従って、蛍光剤に蛍光を発せさせるUV光のような放射線に曝されるまでは、隠れているのである。別の利点の一つは、例えば、ドットまたはグリフの形で暗号化された情報は、既存のフォトコピー機ではコピー不可能とし得ることである。さらなる利点は、ドットが情報を暗号化するのに使用される場合は、暗号化し得る情報の量を格段に増大し得る。同一ページにプリントし得るドットの量が、グリフの場合と比較するとき、はるかに多量だからであり、その上ドットのサイズは、反射技術でなく、発光(蛍光)技術を使用することによって格段に小さくし得るからである。
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,128,525号
【特許文献2】米国特許第5,168,147号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既知の組成物やプロセスがこれらの意図した目的に対して適当ではあるけれども、対象物に機械読み取り可能の情報を埋め込み、次いでこれを元に戻すための追加的システムやプロセスに対するニーズは依然として存在する。さらに、見る人には検出し得ないけれども機械では読み取り可能のエンコードされた情報を文書に適切に配置するシステムやプロセスに対するニーズが存在する。その上、機械読み取り可能の情報をエンコードし、そのような情報を大量に記憶し、従って、記憶された情報に組み込まれる多層的決定の量を増加し得るシステムに対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る方法は、基板上に情報を埋め込む方法であって、情報を機械読み取り可能のコードフォーマットに変換するステップと、前記機械読み取り可能のコードフォーマットを少なくとも一つの蛍光マーキング材で基板の上に書き込むステップと、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る方法は、基板の上に情報を埋め込み、後で元に戻す方法であって、情報を示す機械読み取り可能のコードを基板の上に少なくとも一つの蛍光マーキング材で形成するステップと、その後に前記機械読み取り可能のコードを、前記少なくとも一つの蛍光マーキング材の蛍光を起こさせる放射線に曝し、前記少なくとも一つの蛍光マーキング材が蛍光を発している間に前記機械読み取り可能のコードを読み取るステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明に係るシステムは、基板の上に機械読み取り可能の情報を埋め込み、後で元に戻すシステムであって、少なくとも一つの蛍光マーキング材を含む画像形成装置であって、前記機械読み取り可能の情報を示すデータを受理して、画像受理基板の上に前記少なくとも一つの蛍光マーキング材を使用して機械読み取り可能のコードフォーマットで前記データに対応する画像を形成する画像形成装置と、前記少なくとも一つの蛍光マーキング材の蛍光を起こさせる放射線を発する放射線照射ユニットを備える文書読み取り装置と、前記少なくとも一つの蛍光マーキング材が蛍光を発している間に画像受理基板上の画像にあるデータを検出する読み取り装置と、を備えることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態で、記載されるのは、マーキング材を使用して基板上に既定機械読み取り可能のコードフォーマットでデータを書き込む方法である。マーキング材としてば、例えば、インクやトナーなどを含むどのような好適なマーキング材も使用し得る。マーキング材は、従来のマーキング材、例えば、可視のカラーを呈するマーキング材で差し支えない。実施の形態では、前記マーキング材は、蛍光マーキング材である。
【0010】
最初にコードフォーマットについて議論する。好適な、または所望の機械読み取り可能のコードフォーマットは、例えば、バーコードのような一次元のシンボル、スタック型バーコードやマトリックス型コードやPDF417コードのような二次元のシンボルなど、どのようなものでも選択し得る。
【0011】
実施の形態では、前記コードフォーマットは、例えば、米国特許第5,128,525号と第5,168,147号に開示のような自己クロック式グリフコードから構成される。実施の形態の一つでは、このコードは、文書エンコードスキームで0と1ビットを表すプリントされたグリフから成る。前記グリフは、各グリフから実質的に均等な距離でプリントされ、各グリフの中心が隣接するグリフ(複数を含む)の中心から実質的に均等な距離にあるようにされる。このマークのビジュアル外観は、肉眼では、織目模様の灰色がかった領域として見え得る。これらのマークは、極めて高密度、例えば、1平方インチ当たり約3,600データビット以上でプリントし得ると共に、1インチ当たり300ピクセルのスキャナで走査し得る。データは、マークの形状または回転角度でエンコードされる。クロックは、データに対して外部の同期マークを使用せずに、データ自体から取り得る。各データビット位置にマークを設置すれば、レジストレーションマークの使用せずにデータの読み取りプロセスを同期することは、より容易である。各シンボルで表され得るビットの数は、コード中のシンボルの総数と関連し、シンボルで表されるビットの数が「n」のとき、コード中に可能のグリフの総数は、2n個の別個のグリフである。例えば、2つの別個のグリフ、例えば、/と\が可能のコードでは、各シンボルは1ビットを表すことができ、例えば、例えば,/=1であり、\=0である。4つの別個のグリフ、例えば、/、─、\および|が可能のコードでは、例えば,/=00、|=01、\=10、および─=11である。8つの別個のグリフが可能のコードでは、各シンボルは3ビットを表し得る・・・などである。データは、グリフの形状、グリフの回転、または他の所望のバリエーションでエンコードし得る。
【0012】
実施の形態では、グリフは、楕円形マークであり、2つの別個の形が可能な簡単なコードでは、グリフは、垂直線からの回転が約+45°(例えば「/」)または−45°(例えば「\」)である楕円形マークが好ましい。この実施の形態における典型的なエンコードシーケンスの例は、図1に示される。同図では、例えば、例えば、一番目、五番目、六番目のグリフは1を表し、二番目、三番目、四番目のグリフは0を表す。角度が直交するマークを使用すると、データビット1とデータビット0の間に大きな差別度を生じさせることが可能である。マークは、水平や垂直でなく、約45°傾斜させ得る。理由は、(a)隣接したマークが接触する傾向が小さいこと、(b)目は、垂直線または水平線よりも対角線に対して感度が小さいこと、および(c)プリントや走査の際の不均等性は、水平方向(ムラ)または垂直方向(光検出器アレイ応答バラツキ)に現れる傾向があることである。実施の形態の一つでは、前記2個のグリフは各々、同数の隣接「ON」ピクセルを有する長手マルチピクセルシンボルで、かつ垂直からの回転角度が相互に相異なるものとし得る。これらの特殊グリフは、顕著な歪みや画像劣化が存在しても、共通の形に劣化する傾向はないので、相互に容易に識別可能である。さらに、すべてのグリフが同数の「ON」ピクセルを有するので、プリントされたグリフコードは、大略均質の織目模様を有する。この織目模様は、一般の人が外から見ると、高密度グリフのときグレースケール状外観の形を取る。
【0013】
以下に議論されるように、グリフが単一のカラーで作成される場合、グリフは蛍光マーキング材を使用して作成される。
【0014】
実施の形態では、前記コードは、少なくとも2つの相異なって着色されたマークから成る。同マークは、形状が同じでも、異なるものでもよい。相異なるカラーは、分光測光器のような読み取り機で個別的に検出可能である。吸収、発光、または反射分光法に基づいて相異なるカラーを検出可能の読み取り機が、使用し得る。読み取り機は、相異なるカラーを相異なるデータを表すものとして理解する、例えば、0を発色カラーの一つ(例えば、赤)として、1を発色カラーの他の一つ(例えば、青)として理解するので、前記コードがバイナリコードを暗号化するのが可能になる。2種類以上の識別可能のカラーが使用し得る。例えば、少なくとも赤と青、少なくとも赤と緑、少なくとも緑と青などである。相異なるカラーとしては、同じカラーであるが相異なる明暗度を有しているものでもよく、放射線に露光されたとき相異なる蛍光による識別し得る外観、例えば、相異なる明度を示す同じようなカラーも含む。
【0015】
前記マークは、上記に議論したように、グリフでも、あるいはドットなどでもよい。ドットとは、例えば、ある形状のあるマークのことを称するもので、例えば、円形または長方形のマークを含む。
【0016】
ドットの場合は、0と1は、読み取りが起こる条件の下で相異なるカラーを呈色および/または発色するドットで提供される。例えば、周囲の光の条件で二つの相異なって着色されるマーキング材が使用し得る。さらに、周囲の光の下では可視、または不可視のいずれかであるが、UV光のような放射線に曝されると相異なる二つのカラーを発色する蛍光マーキング材も、使用し得る。
【0017】
図2は、2つの相異なるカラーのドットを使用するコードを示す。赤く着色されたドットは、1を表し、青に着色されたドットは0を表す。
【0018】
従来のグリフでは、暗号化された情報の量がグリフのサイズによって制限される。グリフは一般に、図3に示されるように基板の表面で四角形の領域を占める。同一の四角形領域が、グリフの幅と略等しい直径を備える着色ドットで占められるとすると、コード作成での解像度に変化を要しないで、少なくとも4個または5個のドットを、グリフが占める同じスペースに含むことができる。図4を参照すると、単一のグリフが占める同じスペースに4個のドットが配置されるのが分かる。同じ装置を使用して基板上に作成されたグリフに比較して、情報のビット数は、基板の上にコードを作成する装置の解像度を増大せずに、少なくとも4倍だけ増大し得る。結果として、情報量は、グリフの代わりに着色ドットを使用して作成された文書では格段に増大される。情報能力の更なる増大は、ドットをさらにより小さくすることによって実現し得る。ドットは、約0.1μm〜約1,000μm、例えば、約10μm〜約100μm、そしてより好ましくは約40μm〜約100μmの範囲のサイズとし得る。
【0019】
グリフとドットは、好適なまたは所望の方法でデコードし得る。例えば、グリフについては、画像の歪みや劣化が、例えば、ファクシミリ伝送、フォトコピー機のスキャンなどで引き起こされたときでも、グリフのビットマップ画像を処理し得る。ある種のデコーダでは、グリフコードをデコードするために実行される画像処理は、最初、ビットマップ画像スペースのX−Y座標にグリフを配置し、次いで、データが以前にエンコードされた空間順序にてグリフを指標付けするテーブルを作成し、次いで、グリフを指標付けされた順序で分析し、内部にエンコードされたデータ値を順次に取り出すことで行われる。他のデコーダでは、画像処理は、形状でグリフを分類し、その間同時にグリフの中心をビットマップ画像スペースに配置し、グリフのデコードされた値を、便利にビットマップ画像スペースに指標化することで行われる。これらの空間的に指標化されたデコード済データ値は、時間ドメインにシリアル順序を再記憶するのが望ましい場合は、空間順序付けを支配する空間テンプレートまたはパターンに従って分類可能である。同様な方法は、ドットについても使用し得る。この場合デコードは、単にグリフの配位に基づくのではなく、相異なるカラーの検出に基づいて行われる。
【0020】
コードは、グリフまたはドットとを問わず、画像部分にプリントし得るが、または他の画像が描かれていない基板のブランク部分にもプリントし得る。蛍光マーキング材を使用してコードを生成する実施の形態では、特に、無色の蛍光マーキング材を使用してコードを生成する実施の形態では、コードは基板の画像部分だけに配置することもできる。例えば、画像がテキストから成っている場合は、コードはテキストの文字の上に重ねてプリントし得る。このようにすれば、コードは、通常の室内光の下では見る人から完全に隠され(例えば、インクで基板の光沢または色の差が生じるkとによって無色インクで描かれても潜在的に可視の小部分も、非画像領域に見えるチャンスは全くなく)、蛍光剤の蛍光を発生させるUV光のような放射線の下だけで見えるのである。
【0021】
実施の形態では、コードを、グリフまたはドットを含み、蛍光マーキング材を使って作成する。蛍光マーキング材は、可視し得る着色剤を含まないように製造し、通常の室内/周囲の光の条件下では無色のマーキング材となるようにし得るし、あるいは、可視し得る着色剤を含んでも、蛍光状態にすると、外観に可視し得る変化、例えば、カラーまたは明度に変化が起こるようにもし得る。無色の蛍光マーキング材でグリフまたはドットを作成する利点は、情報を、周囲の光では見えないようにし、蛍光マーキング材の蛍光を発せさせるUV光のような放射線に曝されたときのみに可視化され、機械読み取り可能とし得るということである。このように、承認者以外の人は、内部の暗号化情報の存在に気づかないようにし得るので、偽造の防止または検出に貴重なツールとなり得る。利点の他の一つは、本発明のグリフまたはドットは、従来のグリフが示すような灰色以外の外観を備えるようにもし得ることである。更なる利点の一つは、本発明のグリフまたはドットは、蛍光特性を再生し得ない既存のフォトコピー機ではコピー不可能なことである。
【0022】
コードがグリフから成る実施の形態では、グリフを作成するのに単一の蛍光マーキング材を使用し得る。この単一の蛍光マーキング材は、普通の周囲の光の下では基板上に実質的に見えないように実質的に着色剤を含まないようにするが、少なくとも一つの蛍光剤を含ませ、その少なくとも一つの蛍光剤の蛍光を起こさせる放射線に曝すと、その蛍光マーキング材が可視のカラーを呈するようにさせ得る。このように、本発明のグリフコードは、マーキング材の蛍光を発せさせる放射線に露出させられたときのみに見え、この蛍光が読み取り装置に検出し得るのである。また、蛍光剤に加えて着色剤をも含む蛍光マーキング材を採用することも許容し得る。
【0023】
グリフまたはドットを、蛍光マーキング材を使って作成するとき、読み取り装置には、蛍光マーキング材の蛍光を発生させるUV光源のような放射線源が装備される。読み取り装置は、従って、情報を検出し、読み取ることが可能である。この点では、本発明の暗号化と読み取りは、従来のマーキング材が使われるときの反射技術ではなく、発光技術、すなわち、蛍光マーキング材の使用に基づくものである。
【0024】
更なる実施の形態では、蛍光マーキング材は、少なくとも二種類の蛍光マーキング材から成る。第一蛍光マーキング材は、第一蛍光マーキング材の蛍光を起こさせる放射線に曝されると、第一蛍光マーキング材が第一可視カラーを呈するようにさせる第一蛍光剤を含み、そして第二蛍光マーキング材は、第二蛍光マーキング材をの蛍光を起こさせる放射線に曝されると、第二蛍光マーキング材が、第一可視カラーとは相異なる第二可視カラーを呈するようにさせる第二蛍光剤を含む。第一と第二の蛍光剤は、同じ放射線に露出すると、蛍光を発するものが望ましい。もっとも、このことは必ずしも必要ではない。
【0025】
実施の形態では、前記少なくとも二種類の蛍光マーキング材は、分光計のような読み取り装置で別個に検出し得る相異なるカラーを呈する。従って、コードフォーマットは、相異なって発色するカラーを使用することによってバイナリコードを暗号化し得る。相異なるカラーを呈色または発色するマーキング材の使用のみに基づくコードフォーマットの例が、図2に示される。
【0026】
蛍光を発すると、相異なる外観、例えば、相異なるカラーまたは相異なる明度を出現する二種類の相異なる蛍光マーキング材の使用に関連する追加的利点には、不可視のグリフを作成する能力が含まれるので、従来のグリフで得られるグレー領域のものと比較すると、より優れた外観を備える画像が作成されることが挙げられる。
【0027】
蛍光マーキング材を使用して形成される二種類の相異なるカラー発光のグリフまたはドットを使用することに関連する更なる利点の一つは、グリフおよび/またはドットが、上記で議論されたように、既存のフォトコピー機ではフォトコピー不可能なことである。
【0028】
二種類の相異なる蛍光マーキング材を採用する利点は、着色剤が蛍光マーキング材の一方または両方に含まれるかどうかにかかわらず、情報を暗号化し、記憶する能力が格段に増加することである。例えば、二種類の相異なるカラーを発色する蛍光マーキング材で作成されたグリフは、暗号化のため二種類のメカニズムの使用が可能である。第一は、グリフの配位方向(例えば、左または右)で、上記で議論したものである。第二は、上記のようにグリフの二種類の相異なるカラーである。これは、より多くの情報を基板の同じ表面に暗号化するメカニズムとして、四種類の相異なる状態を提供する。従来の一種類のカラーのグリフでは、第一のメカニズム(グリフ配位方向)のみを使用するので、提供される状態は二種類のみである。例の一つは、図5に示され、ここでは、二種類の相異なるカラーの蛍光マーキング材を使用してグリフを生成するとき、四種類の状態が達成可能で、次の通りに表し得る。すなわち、#1:右向き配位/赤い発光カラー(バイナリコード:00)と、#2:右向き配位/青い発光カラー(バイナリのコード:01)と、#3:左向き配位/赤い発光カラー(バイナリコード10)と、#4:左向き配位/青い発光カラー(バイナリコード11)。従って、実施の形態では、機械読み取り可能のコードフォーマットは、一組で四種類のグリフを備え、各グリフは、00,01,10,11から成る群から選択される相異なるデジタル値に対応する。具体的には、前記四種類のグリフは、第一蛍光マーキング材で作成され、水平軸に対して約+45°の角度で傾いた長手斜軸を有する第一グリフと、第二蛍光マーキング材で作成され、水平軸に対して約+45°の角度で傾いた長手斜軸を有する第二グリフと、第一蛍光マーキング材で作成され、水平軸に対して約−45°の角度で傾いた長手斜軸を有する第三グリフと、第二蛍光マーキング材で作成され、水平軸に対して約−45°の角度で傾いた長手斜軸を有する第四グリフとから成る。
【0029】
さらに、グリフまたはドットを、相異なって着色された状態、または相異なるカラーを発色する状態で使用して情報を記憶するとき、暗号化できる情報量の顕著な増加が実現し得る。これは、記憶し得る情報の量に関してのみならず、壊れた文書の情報を復元する作業に関しても有用である。すなわち、壊れた文書から情報を復元するに当たって、現在のグリフ技術と比較して、復元し得る文書は格段に高い比率となる。これは、例えば、ドットおよび/またはグリフを使用すると、全体として、より多量の情報を暗号化によって記憶可能であり、従って、文書に書き込まれた二重情報(過剰保護)の量が、従来の一種類のカラーのグリフと比較して、増大し得る。例えば、記憶されるデータの量と、記憶されたデータに組み込まれる多層的決定の量との間にはトレードオフ関係が存在する。現在、データの多層的決定は、一般に、約10%と設定されており、従って、文書の約10%超が壊れている場合はデータ復元はうまく行かないとされている。これは、現在の一種類のカラーで、かつ非発光性のグリフでは暗号化可能な量に制限があるという事実に起因する。相異なって着色されたグリフまたはドット、または相異なるカラーを発色するグリフまたはドットを使用すれば、永久的に着色されたものであるか、あるいは見えない蛍光性のものであるかを問わず、暗号化された情報の量が増大するので、10%超も壊れているデータを復元することが可能となる。この復元比率は、グリフに比較してドットを使用したときが高くなる。前述のように、より多くのドットが、同じ解像度ではグリフが占める同じスペースに含まれ得るという事実に基づく。
【0030】
コードが従来のマーキング材でプリントされるとき、プリントされた文書の少なくとも一部分は、比較的均一なテクスチャのグレースケール画像と見えるもので永久的にプリントされる。大量の情報量が存在するとき、プリントされた文書全体がグリフで覆われ、これが文書のバックグランドとなることもあり得る。このバックグランドの上に、肉眼で読まれることを意図する画像または情報が作成される。本発明の実施の形態の蛍光マーキング材を使用すれば、例えば、コードを作成するのに使用される蛍光マーキング材に蛍光を発生させる波長の放射線でグリフパターンの一部または全部を照射することによって、変化を起こさせて可視化または不可視化させ得るパターンでコードを発生することが可能である。
【0031】
非蛍光マーキング材を使って、相異なって着色されたグリフまたはドットを作成するとき、どのような従来のマーキング材も、インクとトナーを含めて、使用し得る。好適なマーキング材の例としては、リソグラフィーやフレクソグラフィー用のインクを含むインク、インクジェット印刷プロセスに使用に好適なものを含む水性インク、静電画像形成プロセスに使用に好適な液体および乾燥トナー材、インクジェット印刷プロセスに使用に好適なものを含むホットメルトインクなどが挙げられる。そのような従来のマーキング材は、一般に、顔料、染料、顔料の混合物、染料の混合物、または顔料と染料の混合物のような着色剤とともに少なくとも一つのベヒクルを含む。
【0032】
着色剤として、例としては、ベヒクルに分散または溶解可能などのような染料または顔料を含み得る。
【0033】
実施の形態では、コードは、少なくとも一種類の蛍光マーキング材を使用して作成される。蛍光マーキング材は、選択された基板に画像を書き込むに好適であって、蛍光剤を含むどんな材料で差し支えない。好適なマーキング材の例としては、リソグラフィーやフレクソグラフィー用のインクを含むインク、インクジェット印刷プロセスに使用に好適なものを含む水性インク、静電画像形成プロセスに使用に好適な液体および乾燥トナー材、インクジェット印刷プロセスに使用に好適なものを含むホットメルトインクなどが挙げられる。
【0034】
蛍光マーキング材は、一般に、少なくとも一つの蛍光剤を含んだ少なくとも一つのベヒクルから成る。蛍光剤は、所望の量だけ蛍光マーキング材に存在し得るが、望ましくは、好適な光(例えば、UV光)の条件の下で所望のカラーと強度(例えば、蛍光)を付与するに効果的な量だけ存在し得る。例えば、蛍光剤は、蛍光マーキング材の約0.1〜約25重量%、例えば、約1〜約15重量%の量でマーキング材に存在する。
【0035】
蛍光マーキング材は、また、任意選択でどのような着色剤をも、上記の量で含み得る。さらに、蛍光マーキング材は、ワックスおよび/または他の従来の添加剤、例えば、流動補助剤、電荷添加剤、乾燥剤などを含み得る。
【0036】
従って、本発明の蛍光マーキング材は、蛍光剤を、着色マーキング材または実質的に無色のマーキング材に含めさせ得る。また、蛍光剤それ自体が、周囲の光の条件の下で可視のカラーを呈し、活性化放射線に曝されると相異なるカラーまたは同じカラーの蛍光を発するものでも差し支えない。
【0037】
蛍光剤が、着色マーキング材に含まれているとき、蛍光剤は、活性化放射線に露光されると、プリントされたコードの外観を目立って変えなければならない。周囲の光の下では、プリントされたコードは、着色マーキング材に含まれた着色剤の本来のカラーを呈する。しかし、放射線に露光されると、マーキング材に含まれる蛍光剤の蛍光によって、プリントされたコードの外観は目に見えて変化する。例えば、黄色の蛍光マーキング材は周囲の光の下では意図する黄色のカラーを呈するが、活性化放射線に曝されると、この蛍光剤の蛍光は、前に呈色されたカラーを相異なるカラー、例えば、赤または青のカラーに変え得る。
【0038】
上記の機能は、非承認者が暗号化された情報をデコードするのを困難にするのに有用となり得る。例えば、蛍光を発しない「ダミー」コードシンボルを、プリントされたコードに散在し得る。これらのシンボルは読み取りに当たって蛍光を発しないので、読み取り装置にはこれらのシンボルは不可視である。代わりに、読み取り装置は蛍光を発するシンボルだけを読み取るので、暗号化された情報を正しくデコードすることになる。一方、周囲の光の下で、プリントされたシンボルの読み取りに基づいて情報をデコードしようとする人は、暗号化された情報を正しくデコードすることが出来なくなる。さらに、文書および/またはコードをコピーする人も、コードを正しく復元することができなくなる。コードのある種の部分だけが、活性化放射線に露光されると蛍光を発するようになっていることを知りようがないからである。
【0039】
蛍光剤が、着色剤を含まないマーキング材に含められている場合は、プリントされたコードは、周囲の光の下では見る人にとって不可視または、また明白ではない。放射線に露光して初めて、その蛍光剤の蛍光により、インクは可視化する。また、実質的に無色のマーキング材に蛍光剤を含ませることの利点は、周囲の光では見えないけれども、活性化放射線に露光すると現れるようにされているコードを作成することを含む。従って、このコードはフォトコピー不可能である。これは、蛍光剤が既存のコピー条件の下では蛍光を発しないからで、従って、コピーには現れない。さらに、コピー機は、蛍光剤を含むインクを備えないので、コピーは蛍光を発しない。そのような機能は、認証が可能ということで有利である。なぜなら、偽造されたコピーでは、蛍光特性を備えるようにすることが不可能だからである。また、この機能を用いることにより、隠された情報を意図的に文書に埋め込むことが可能である。埋め込まれた情報は、活性化放射線に露出することを知っている人だけに明らかにされる。
【0040】
蛍光剤または蛍光マーキング材とは、例えば、活性化放射線、例えば、約10nm〜約800nm、例えば、約10nm〜約400nm(UV光の範囲)、または約20nm〜約380nmの波長を有する放射線に露出すると蛍光を発する能力のある材料を称する。従って、活性化放射線は、紫外線(UV)、可視光線、または赤外線の領域にあり得る。もっとも、UV領域(約10nm〜約400nmま)の励起放射線を使用することが最も一般的である。蛍光発生は、活性化放射線に露光すると即座に生じることもあるし、ある活性化段階を超えた後に生じることもあり得る。蛍光インクで発生される蛍光は、可逆であるが、カラー変化または画像の外観変化が検出し得るに必要な時間、例えば、約0.1秒〜約1時間、例えば、約0.5秒〜約30分、または約0.5秒〜約5分の時間フレームの間は継続しなければならない。
【0041】
好適な蛍光剤としては、例えば、蛍光染料、蛍光顔料、および無機量子ナノ粒子材料が挙げられる。蛍光染料の例としては、ローダミン、フルオレセイン、クマリン、ナフタルイミド、ベンゾキサンセン、アクリジン、アゾ、これらの混合物などが挙げられる。
【0042】
好適な着色蛍光剤で、周囲の光の下で着色カラーを示し、活性化エネルギーに曝されると蛍光を発するものも、使用し得る。
【0043】
量子ナノ粒子材料は、蛍光性無機半導体ナノ粒子材料(量子ドットとしても知られる)である。量子ナノ粒子の利点は、チューニングが可能なので、一種類の物質と同一の合成プロセスだけを使用して、粒子サイズの関数として所望の波長(カラー)を放射し得るということである。例えば、約2〜約10nmのナノ粒子サイズ範囲で、スペクトルの可視範囲から全範囲のカラーを得ることができる。さらに、量子ナノ粒子は、有機染料と比較して、改良された耐疲労性を有する。量子ナノ粒子の有利な点の他の一つは、放射帯域が狭いことであり、カスタマイズしたカラーを設計するのに可能な波長選択の数が増えることである。これらは小さいサイズ、一般に、約30nm未満、例えば、約20nm未満なので、ナノ粒子を含んでいるマーキング材は、容易に噴出可能である。量子ナノ粒子は、多くの会社から、例えば、エビデント・テクノロジーズ(Evident Technologies)社から入手可能である。
【0044】
実施の形態では、本発明に使用される量子ナノ粒子は、官能化された量子ナノ粒子である。表面官能化量子ナノ粒子は、マーキング材ベヒクルと優れた相溶性を有し得る。マーキング材ベヒクルとの相溶性を得るためにナノ粒子の表面に存在する好適な官能基は、長い鎖式または分枝式アルキル基で、例えば、長さが、約1〜約150炭素原子、約2〜約125炭素原子、または約3〜約100炭素原子のものを含み得る。他の好適な相溶性付加官能基としては、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネートなどが挙げられる。
【0045】
蛍光剤として量子ナノ粒子を使用する利点は、暗号化コードが相異なるユーザに容易にカスタマイズし得ることである。上記に議論したように、少なくとも二つの相異なるように着色された、または相異なるカラーを発光するマーキング材から成るコードを使用することは、電子バイナリフォーマットの情報を記憶し、隠す方法の一つを示すもので、これらのコードは、意図されているユーザと適切な電子読み取り装置以外には、コピーしたり、読み取りしたりできない(人の目には見えないから)。同じ暗号化された技術がすべての顧客に提供されたらば、結果は、同じ保護技術を所有しているどの顧客も、別の顧客が保護している文書を読めるということになる。これは、印刷セキュリティの観点から受け入れ不可能である。そのようなコードのカスタマイズは、各顧客に相異なるエンコード/デコード方法とコードスクランブルキーを提供することによって可能ではあるが、これはソフトウェアによる解決である。これは、うまく働くかも知れないが、どのようなソフトウェアによってでも同じであり、十分な時間さえ与えられれば、偽造されてしまうことになろう。追加的保護が、特に、機密を要する重要な文書を保護するために必要である。量子ナノ粒子を蛍光剤として使用すれば、コードと文書とをカスタマイズする材料の面での解決法が提供され、キーを変える必要はなくなる。
【0046】
相異なるユーザは、各自のカスタマイズされたコードに対して相異なるカラーのセットを保有し得て、各自の電子読み取り装置は、特定のカラー(波長)のセットのみを検出するように設定される。結果として、たとえ文書が悪意ある人の手に落ちても、認証されていないユーザが、読んだり、改めて認証したりは出来なくなる。そのユーザは、発光したコードを検出し、読み取るに必要なチューニングした読み取り装置を有しないからである。量子ナノ粒子は、一般に、放射スペクトル帯域が極めて狭いので、カスタマイズは極めて多くの顧客に可能である。
【0047】
保護方法に対して材料面からの解決策を見出すには、蛍光コンポーネントから発光したカラーを全スペクトルにわたってチューニングする能力が必要である。これは、一般に、有機蛍光染料では不可能である。しかし、量子ナノ粒子を使用すれば、合成プロセスや材料自体を変えずとも、ナノ粒子サイズを変えることによって、どのようなカラーもチューニングが可能である。可視スペクトルのどのようなカラーも、量子ナノ粒子サイズを約2nm〜約10nmの範囲で変えることによって達成し得る。
【0048】
量子ナノ粒子を含むマーキング材は、極めて特定的な放射スペクトルを有するように製造し得る。例えば、マーキング材は、約30nm以下、例えば、約25nm以下または約20nm以下の狭い全半値幅最大放射範囲ピーク値を有する放射範囲を有するように製造し得る。これにより、発光カラーの波長を特定的にチューニングし、読み取り装置を設定して、極めて特定的で近接した波長の箇所の放射線を検出し得る。例えば、蛍光マーキング材から発光し、読み取り装置で検出される相異なる波長は、例えば、約20nm〜約100nm、例えば、約30nm〜約100nmだけ異なるとし得る。従って、量子ナノ粒子のこれらの特性を利用することにより、本明細書に記載のセキュリティマーキング材のカスタマイズが可能である。
【0049】
相異なるキーが使用され、コードが壊れている場合でも、ユーザの一人の電子読み取り装置は、ユーザの別の一人が暗号化した文書を読むことが出来ない。発光カラーに係わる情報を持っていないからである。従って、検出は、特定の発光波長だけを識別するようにチューニングされた読み取り装置を使用して行われる。
【0050】
同様な結果を、相異なる有機蛍光染料を使用して達成し得るけれども、有機染料では、発光される波長の数は限定される。発光されるカラーを有機蛍光染料で変えるには、有機化合物自体を変えたり、あるいはコア分子を適切な官能基で置換したりすることが必要である。これは、長い合成ルートを経過しなければならない可能性があるので、達成はより困難になる。
【0051】
従って、蛍光剤として量子ナノ粒子を使用する利点としては、高暗号化機能、ナノ粒子の単なるサイズ調整によってカスタマイズされた発光カラーを提供する能力、無限のカラー組み合わせによる無限のカスタマイズの可能性、コピー不可、優れた耐疲労性、極めて狭い発光帯域(例えば、有機染料は一般に広い発光帯域を有する)によるコード偽造の困難さが挙げられ、さらに量子ナノ粒子が優れた熱安定性を備え、既存のインクジェットまたは電子写真技術を使用してプリント可能なことである。
【0052】
マーキング材のベヒクルとして、どのようなインクまたはトナー用ベヒクルも好適に使用し得る。相変化固形インクに対しては、ベヒクルとしては、米国特許出願第11/548,775号、米国特許第6,906,118号および/または米国特許第5,122,187号に記載のいずれでもよい。インクベヒクルは、また、放射線硬化可能のものでよい。例えば、米国特許出願第11/548,774号に記載のどのようなインクベヒクルでもよい。インクベヒクルは、また、トナー用のポリマ結着剤、例えば、ポリエステルまたはポリアクリレートなどでもよい。
【0053】
マーキング材のベヒクルは、また、ワックス、例えば、パラフィン、微結晶ワックス、ポリエチレンワックスやポリプロピレンワックスのようなポリオレフィンワックス、エステルワックス、脂肪酸や他のワックス様物質、脂肪アミド含有物質、スルホンアミド物質、相異なる天然由来物質(例えば、トール油やロジンエステル)から製造された樹脂様物質、および合成ワックスを含み得る。ワックスは、マーキング材の約5%〜約25重量%の量で存在し得る。
【0054】
蛍光マーキング材を使用するとき、基板上の機械読み取り可能の情報を埋め込み、後で取り出すためのシステムは、少なくとも一つの蛍光マーキング材を使用する画像形成装置を備える。この画像形成装置は、機械読み取り可能の情報を示すデータを受理して、画像受理基板の上に少なくとも一つの蛍光マーキング材を使用して機械読み取り可能のコードフォーマットで前記データに対応する画像を形成する。前記システムは、他に、少なくとも一つの蛍光マーキング材の蛍光を起こさせる放射線を発する放射線照射ユニットを備える文書読み取り装置と、前記少なくとも一つの蛍光マーキング材が蛍光を発している間に画像受理基板上の画像にあるデータを検出する読み取り装置とを備える。
【0055】
さらに、前記システムは、例えば、一つまたは複数のプロセッサを備え、情報および/または機械読み取り可能のコードフォーマットを示すデータであって、画像形成装置で受理されるデータに情報を変換したり、読み取り装置が検出したデータを変換し、暗号化された情報を元に戻したりし得る。
【0056】
前記画像形成装置として、インクジェット装置、電子写真装置、または他のマーキング材で画像を形成するための装置を使用し得る。好適な方法は、限定するわけではないが、以下の諸法を含む。すなわち、電子写真法やイオン写真法のような静電プリント法。ここでは、静電潜像が形成され、蛍光マーキング材で、乾燥と液体とを問わず、現像される。インクジェットプリント法(ピエゾ電気、サーマルまたはバブルジェット法を含む)。ここでは、蛍光剤を含有するインクの粒子が画像の形で所望の基板に噴出される。ホットメルトインクジェット法。ここでは、蛍光剤を含むインクは室温で固体であり、高温で液体となるので、インクは、融点以上の温度に加熱され、画像の形で基板に噴出される。従来のプリント法。リソグラフ法やフレクソグラフ法を含む。
【0057】
インクジェット装置では、幾つかの実施の形態が可能である。例えば、実施の形態で、蛍光マーキング材のみを噴出するようにし得る。例えば、蛍光インク専用の別個のインクジェットヘッドを装備し得る。この装置は、別々に、従来のマーキングインクで基板に画像を形成する追加のプリントヘッドを装備し得る。他の実施の形態では、インクジェットヘッドに、従来のインク用と、蛍光インク用とに区分けしたチャンネル設けることによって、画像とコードとを同時にプリントすることが可能である。
【0058】
実施の形態では、前記画像形成装置は、電子写真装置とインクジェット装置との双方の装置を備え得る。例えば、前記画像形成装置は、一つ以上の非蛍光マーキング材を装填する電子写真装置と、少なくとも一つの蛍光マーキング材を装填する別個のインクジェット装置とを備え得る。この場合、電子写真装置は、再生される画像を形成するために使用され、一方、インクジェット装置は、暗号化された情報を各文書の上にプリントし得る。望ましくは、インクジェット装置は、プロセス方向でいえば、電子写真装置の下流側に配置される。そうすれば、暗号化された情報が電子写真装置で後から二重にプリントされることはない。もっともインクジェット装置を電子写真装置の上流に配置しても差し支えないこともある。
【0059】
蛍光マーキング材は、どのような所望の基板にも適用し得る。好適な基板の例としては、ゼロックス(登録商標)4024のような普通紙、罫線付ノートブック紙、ボンド紙、シャープ社シリカ被覆紙のようなシリカ被覆紙、十条紙と同類の紙、透明紙、布、織物、プラスチックス、ポリマフィルム、金属のような無機基板、木質基板などが挙げられる(しかし、これらに限定されない)。
【0060】
以下の実施例において、具体的な実施の形態がさらに示される。すべての部と%は、特記なき限り重量基準である。
【0061】
(実施例1)
固形インク組成物が、蛍光染料を含み、次のように調製された。
【0062】
青色発光組成物
99gのポリエチレンワックス基剤の塊を、ビーカーに入れ、オーブンに移し、3時間の間140℃に加熱した。融解後に、インク基剤の入ったビーカーを、グリフィン(Griffin)加熱マントルに移し、30分間175RPMで回転のオーバーヘッド撹拌装置を使用して混合した。1gの蛍光化合物(DFSB-CO(青色発光蛍光染料))をリスク(Risk)反応器から、攪拌しながら、徐々に10分間にわたって基剤に添加した。溶液は、さらに2時間攪拌を続けた。その後、135℃で70mmモット(Mott)濾過アセンブリで0.22μmナイロンフィルタを通して濾過した。インク濾過液をアルミニウム皿に注ぎ、放冷し、固化させた。
【0063】
赤色発光組成物
99gのポリエチレンワックス基剤の塊を、また、リスク反応器からの1gの蛍光染料DFKY-C7(赤色発光蛍光染料)と混合した。実施例1に用いた手順で組成物を調製した。
【0064】
上記で調製された各固形インクを使用してフェーザ(Phaser)8400でドットをプリントした。普通の室内光の下では、ドットは不可視であったが、UV光の下では適切な青色、または赤色を発光した。
【0065】
(実施例2)
UV硬化可能のインク組成物とプリント
基本インク組成物
UV硬化可能インク組成物を以下の手順で形成した。1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(2.5g、チバイルガキュア(Ciba Irgacure)2959として市販の光開始剤)を47.5gのサルトマ社(Sartomer Co.Inc.)市販プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレートに添加した。混合物を1時間の間90℃で攪拌し、その後、室温まで放冷した。ゲル剤をインク組成物に使用も可。
【0066】
青色発光蛍光染料との組成物
上記で調製されたUV硬化可能インクの10gバッチを、リスク反応器からの0.1gの蛍光化合物DFSB-COと混合し、2時間の間室温で攪拌し、蛍光化合物が確実に溶解するようにした。80℃加熱も任意選択で使用可。
【0067】
赤色発光蛍光染料との組成物
同様な組成物を、リスク反応器からのDFKYC7、赤色発光蛍光染料を使って調製する。
【0068】
ドットを紙の上に上記二つのUV硬化可能の蛍光組成物各々を含む鋭い注射針を用いて手で書いた。紙に書いた後、UV光で硬化する。ドットはUV硬化後に適切なカラーを呈するが、カラーは薄れ、ドットは、周囲の光の下に放置すると不可視となる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本明細書に記載の実施の形態で使用するのに好適な機械読み取り可能のグリフコードの例を示す図である。
【図2】二種の相異なるカラーを使用するのに好適な機械読み取り可能のグリフコードの例を示す図である。
【図3】所与の解像度でグリフコードマークが占めるスペースを示す図である。
【図4】グリフコードマークに比較して所与の解像度でドットが占めるスペースを比較して示す図である。
【図5】相異なるグリフ方向と相異なるカラーの双方を使用する機械読み取り可能のコードフォーマットの例を示す図である。
【符号の説明】
【0070】
#1:右向き配位/赤い発光カラー(バイナリコード:00)、#2:右向き配位/青い発光カラー(バイナリのコード:01)、#3:左向き配位/赤い発光カラー(バイナリコード10)、#4:左向き配位/青い発光カラー(バイナリコード11)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に情報を埋め込む方法であって、
情報を機械読み取り可能のコードフォーマットに変換するステップと、
前記機械読み取り可能のコードフォーマットを少なくとも一つの蛍光マーキング材で基板の上に書き込むステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
基板の上に情報を埋め込み、後で元に戻す方法であって、
情報を示す機械読み取り可能のコードを基板の上に少なくとも一つの蛍光マーキング材で形成するステップと、
その後に前記機械読み取り可能のコードを、前記少なくとも一つの蛍光マーキング材の蛍光を起こさせる放射線に曝し、前記少なくとも一つの蛍光マーキング材が蛍光を発している間に前記機械読み取り可能のコードを読み取るステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
基板の上に機械読み取り可能の情報を埋め込み、後で元に戻すシステムであって、
少なくとも一つの蛍光マーキング材を含む画像形成装置であって、前記機械読み取り可能の情報を示すデータを受理して、画像受理基板の上に前記少なくとも一つの蛍光マーキング材を使用して機械読み取り可能のコードフォーマットで前記データに対応する画像を形成する画像形成装置と、
前記少なくとも一つの蛍光マーキング材の蛍光を起こさせる放射線を発する放射線照射ユニットを備える文書読み取り装置と、前記少なくとも一つの蛍光マーキング材が蛍光を発している間に画像受理基板上の画像にあるデータを検出する読み取り装置と、
を備えることを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−117396(P2008−117396A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−281147(P2007−281147)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.バブルジェット
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】