説明

機能制御システム、携帯機器、制御装置、制御方法、及びプログラム

【課題】システム全体の処理負荷を効果的に分散できる機能制御システムを提供すること。
【解決手段】機能制御システムは、制御領域内の携帯機器と携帯機器の機能を制御する制御装置とを備える。制御装置は、携帯機器の機能の実行を制限するための解除キー情報と解除キー情報に対応させた付加情報とを生成する情報生成手段と、解除キー情報を所定の機能を制限する携帯機器に対して送信する第1送信手段と、携帯機器の機能の制御情報に付加情報を付加して制御信号を生成する信号生成手段と、制御信号を制御領域内の携帯機器に対して送信する第2送信手段と、を有する。携帯機器は、送信された解除キー情報と制御信号とを受信する受信手段と、解除キー情報を保持する情報保持手段と、情報保持手段の解除キー情報に対応する付加情報が付加された制御情報による機能の実行を制限する機能制御手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、制御領域内にある少なくとも1つの携帯機器に対して制御信号を送信することで携帯機器の機能を制御する機能制御システム、携帯機器、制御装置、制御方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年のデジタル技術の発展に伴い、携帯機器の多様化が進行する一方で、公共の場所等における携帯機器の使用方法が問題となっている。例えば、設定変更が容易でないため推奨されていない設定で使用する、あるいは使用制限を認識しつつも使用する、等の問題が生じているが、携帯機器の使用者側にその判断を委ねる場合が多い。そこで、携帯機器の機能使用が問題となる場所等では、その機能を自動的に制限する技術が要望されている(特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−252379号公報
【特許文献2】特開2006−094380号公報
【特許文献3】特開2008−131434号公報
【特許文献4】特開2009−60231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記技術においては、制御領域内にある全携帯機器が、機能制限のための制御信号の影響を受けるため、機能制限をする必要がないユーザの携帯機器にも機能制限されるという問題が生じている。
【0005】
この問題点を解決すべく、ユーザ属性と現在時間と現在位置とに応じて使用される機能を制限する移動通信端末が知られている(特許文献3参照)。しかしながら、この移動通信端末においては、当該端末が制御領域内に入る毎に、サーバが機器情報を用いて機能リストを生成する。このため、制御する当該端末が増加するに従って、局所的にサーバの処理負荷が増加するというような問題が生じている。
【0006】
また、利用者毎に、利用者が所持する移動端末装置の各機能の使用制限を行うセキュリティシステムが知られている(特許文献4参照)。このセキュリティシステムにおいても、サーバであるID制御装置がユーザの入出毎に移動端末装置から入手したID情報を用いて、端末制御情報を生成するため、上記同様に制御する当該端末が増加するに従って、局所的にサーバの処理負荷が増加するという問題が生じている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、制御領域内にある少なくとも1つの携帯機器と、該携帯機器に対して制御信号を送信することで該携帯機器の機能を制御する制御装置と、を備える機能制御システムであって、前記制御装置は、前記携帯機器の機能の実行を制限するための解除キー情報と、該解除キー情報に対応させた付加情報と、を生成する情報生成手段と、前記情報生成手段により生成された前記解除キー情報を、所定の機能を制限する前記携帯機器に対して送信する第1送信手段と、前記携帯機器の機能を制御するための制御情報に、前記情報生成手段により生成された前記付加情報を付加して前記制御信号を生成する信号生成手段と、前記信号生成手段により生成された前記制御信号を、前記制御領域内の携帯機器に対して送信する第2送信手段と、を有しており、前記携帯機器は、前記第1送信手段から送信された前記解除キー情報と、前記第2送信手段から送信された前記制御信号と、を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された前記解除キー情報を保持する情報保持手段と、前記情報保持手段の解除キー情報に対応する前記付加情報が付加された前記制御情報による機能の実行を制限する機能制御手段と、を有する、ことを特徴とする機能制御システムである。
【0008】
この一態様によれば、携帯機器の各機能を制限する解除キー情報を、携帯機器毎に分散して保持し、制御装置からの制御信号に応じて、各機能の制御状態を決定する。したがって、サーバが行っていた処理負荷を各携帯機器に分散させることにより、システム全体の処理負荷を効果的に分散させることができる。
【0009】
また、本発明の一態様は、制御領域内にあり、制御装置から送信される制御信号に基づいて機能を制御する携帯機器であって、前記制御装置から送信された、前記機能の実行を制限するための解除キー情報と、前記機能を制御するための制御情報に付加情報を付加して生成された制御信号と、を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された前記解除キー情報を保持する情報保持手段と、前記情報保持手段の解除キー情報に対応する前記付加情報が付加された前記制御情報による機能の実行を制限する機能制御手段と、を備える、ことを特徴とする携帯機器であってもよい。
【0010】
さらに、本発明の一態様は、制御領域内にある少なくとも1つの携帯機器に対して制御信号を送信することで該携帯機器の機能を制御する制御装置であって、前記携帯機器の機能の実行を制限するための解除キー情報と、該解除キー情報に対応させた付加情報と、を生成する情報生成手段と、前記情報生成手段により生成された前記解除キー情報を、所定の機能を制限する前記携帯機器に対して送信する第1送信手段と、前記携帯機器の機能を制御するための制御情報に、前記情報生成手段により生成された前記付加情報を付加して前記制御信号を生成する信号生成手段と、前記信号生成手段により生成された前記制御信号を、前記制御領域内の携帯機器に対して送信する第2送信手段と、を備える、ことを特徴とする制御装置であってもよい。
【0011】
さらにまた、本発明の一態様は、制御領域内にある少なくとも1つの携帯機器と、該携帯機器に対して制御信号を送信することで該携帯機器の機能を制御する制御装置と、を備える機能制御システムの制御方法であって、前記携帯機器の機能の実行を制限するための解除キー情報と、該解除キー情報に対応させた付加情報と、を生成し、前記生成された解除キー情報を、所定の機能を制限する前記携帯機器に対して送信し、前記携帯機器の機能を制御するための制御情報に、前記生成された付加情報を付加して前記制御信号を生成し、前記生成された制御信号を、前記制御領域内の携帯機器に対して送信し、前記送信された解除キー情報と、前記送信された制御信号と、を受信し、前記受信された解除キー情報を保持し、前記保持された解除キー情報に対応する前記付加情報が付加された前記制御情報による機能の実行を制限する、ことを特徴とする機能制御システムの制御方法であってもよい。
【0012】
なお、本発明の一態様は、制御領域内にあり、制御装置から送信される制御信号に基づいて機能を制御するプログラムであって、前記制御装置から送信された、前記機能の実行を制限するための解除キー情報と、前記機能を制御するための制御情報に付加情報を付加して生成された制御信号と、を受信する処理と、前記受信された解除キー情報を保持する処理と、前記保持された解除キー情報に対応する前記付加情報が付加された前記制御情報による機能の実行を制限する処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラムであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、システム全体の処理負荷を効果的に分散できる機能制御システム、携帯機器、制御装置、制御方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1に係る機能制御システムの概略的な構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る制御装置の概略的なシステム構成を示すブロック図である。
【図3】所定の機能に対する付加情報と解除キー情報とが対応付けられている状態を示す図である。
【図4】制御情報に付加情報を夫々付加して生成された制御信号の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る携帯機器の概略的なシステム構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る機能制御システムの制御装置における制御処理フローの一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態1に係る機能制御システムの携帯機器における制御処理フローの一例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態1に係る機能制御システムの携帯機器の機能部における各機能の実行処理フローの一例を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態2に係る機能制御システムの処理フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態1.
以下、図面を参照して本発明の実施の形態1について説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る機能制御システムの概略的な構成を示す図である。本実施の形態1に係る機能制御システム10は、制御領域S内にある少なくとも1つの携帯機器1と、携帯機器1に対して制御信号を送信することで携帯機器1の機能を制御する制御装置2と、を備えている。
【0016】
ここで、制御領域Sとは、例えば、ある領域S'内に存在する携帯機器1の各機能を制御することができる範囲を指す。また、制御装置2と携帯機器1とは、例えば、無線LAN(Local Area Network)等のネットワーク網を介して相互に通信接続されてもよい。さらに、携帯機器1は、例えば、携帯電話、PHS(Personal Handy-PHONE System)(登録商標)、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)(登録商標)、携帯ゲーム機、デジタルカメラ等を含む。
【0017】
さらに、制御装置2は、例えば、制御処理、演算処理等を行うCPU(Central Processing Unit)2aと、CPU2aによって実行される制御プログラム、演算プログラム等が記憶されたROM(Read Only Memory)2bと、処理データ等を記憶するRAM(Random Access Memory)2cと、を有する、マイクロコンピュータを中心としたハードウェア構成となっている。
【0018】
図2は、本実施の形態1に係る制御装置の概略的なシステム構成を示すブロック図である。制御装置2は、例えば、情報生成部21と、第1送信部22と、信号生成部23と、第2送信部24と、を有している。
【0019】
情報生成部21は、情報生成手段の一具体例であり、携帯機器1の機能の実行を制限するための解除キー情報と、解除キー情報に対応させた付加情報と、を生成する。なお、携帯機器1は、制御信号に基づいて所定の機能を制御するが、この所定の機能1〜nに対する付加情報1〜nと解除キー情報1〜nとは、一対一で対応付けられている(図3)。また、情報生成部21は、携帯機器1の制御対象となる全機能に対して、付加情報及び解除キー情報を生成する。情報生成部21は、生成した解除キー情報を第1送信部22に対して出力し、付加情報を信号生成部23に対して出力する。
【0020】
第1送信部22は、第1送信手段の一具体例であり、情報生成部21により生成された解除キー情報を、所定の機能を制限する機能制限対象の各携帯機器1に対して任意の組合せで、アンテナ25もしくは、第1送信部22がもつ携帯機器1との有線接続インタフェースを介して送信する。ここで、所定の機能とは、例えば、各携帯機器が有する後述の機能のうち制限を行う特定の機能を指す。また、この機能制限対象の携帯機器1及び送信する解除キー情報の所定の組合せは、制御装置2のRAM2c等に予め設定されているが、機能制限を行う携帯機器1あるいは制限する機能に応じて、任意に設定変更できるものとする。また、図2においては、第1送信部22及び第2送信部24は物理的に別々に構成されているが、これに限らず、物理的に1つに構成されていてもよい。
【0021】
信号生成部23は、信号生成手段の一具体例であり、図4に示すように、携帯機器1の各機能1〜nを制御するための制御情報1〜nに、情報生成部21により生成された付加情報1〜nを夫々付加して制御信号を生成する。ここで、携帯機器1の各機能1〜nと、制御情報1〜n及び付加情報1〜nとは、夫々対応付けられている。また、付加情報1〜nには、例えば、上述したような、対応する解除キー情報1〜nを特定するための情報が含まれている。信号生成部23は、生成した制御信号を第2送信部24に対して出力する。
【0022】
第2送信部24は、第2送信手段の一具体例であり、信号生成部23により生成された制御信号を、制御領域S内に存在する各携帯機器1に対してアンテナ25を介して、所定周期で送信する。
【0023】
図5は、本実施の形態1に係る携帯機器の概略的なシステム構成を示すブロック図である。本実施の形態1に係る携帯機器1は、例えば、受信部11と、情報保持部12と、状態保持部13と、機能部14と、機能制御部15と、を有している。
【0024】
受信部11は、受信手段の一具体例であり、制御装置2の第1送信部22から送信された解除キー情報と、第2送信部24から送信された制御信号とを、アンテナ16もしくは、受信部11がもつ制御装置2との有線接続インタフェースを介して夫々受信する。また、解除キー情報は、受信部11がもつ制御装置2との有線接続インタフェースを介して受信してもよい。受信部11は、第1送信部22から受信した解除キー情報を、情報保持部12に対して出力し、第2送信部24から受信した制御信号を機能制御部15に対して出力する。
【0025】
情報保持部12は、情報保持手段の一具体例であり、受信部11により受信された解除キー情報を格納する記憶領域を有するものである。情報保持部12は、例えば、RAM等の半導体メモリにより構成されている。
【0026】
状態保持部13は、状態保持手段の一具体例であり、例えば、情報保持部12と同様にRAM等の半導体メモリにより構成されている。また、状態保持部13は、携帯機器1の各機能を制限するための機能制御フラグと、制御信号の受信時刻と、をそれぞれ格納する記憶領域を有するものである。
【0027】
この機能制限フラグは、機能部14の各機能に対応して夫々設けられものであり(図4)、オン状態のときに対応する後述の各機能の実行を許容せず、又オフ状態のときに対応する各機能の実行を許容するための識別情報である。なお、図2において、情報保持部12と状態保持部13は、物理的に別々に構成されているが、これに限らず、物理的に1つに構成されていてもよい。また、機能制限フラグは、オン状態のときに対応する各機能の実行を許容し、又オフ状態のときに対応する各機能の実行を制限してもよい。
【0028】
機能部14は、機能手段の一具体例であり、状態保持部13に保持された機能制御フラグに基づいて、携帯機器1が備える各種機能を実行する。例えば、機能部14は、状態保持部13に保持された機能制限フラグがオフ状態となっている各機能の実行を許容し、オン状態となっている各機能の実行を制限する。
【0029】
なお、上記各種の機能には、例えば、カメラ撮影機能、スケジュール管理機能、メモ機能、音楽の録音又は再生機能、動画又は静止画像の記録再生機能、テレビ機能、メモリの読書きを行う外部メモリアクセス機能、携帯機器1と外部機器との通信を可能とするUSBや赤外線通信、無線LAN通信の各機能、建物外部との通信を可能にする電話通話、データ通信、電子メール機能、等の携帯機器1が有する任意の機能を含むものとする。
【0030】
機能制御部15は、機能制御手段の一具体例であり、状態保持部13の機能制限フラグをオン状態又はオフ状態に変更することで、機能部14の各機能の実行の可否を制御する。
【0031】
例えば、機能制御部15は、受信部11から制御信号を受けると、その受信時刻を状態保持部13に記録すると共に、情報保持部12に保持された解除キー情報に対応する制御信号の制御情報及び付加情報を抽出する(図4)。このとき、情報保持部12に保持された解除キー情報に対応する制御情報は、後述のフラグ操作から除外する。そして、機能制御部15は、抽出した各制御情報の機能に対応する状態保持部13の機能制限フラグをオフ状態からオン状態に変更することで、各機能の実行を制限する。
【0032】
図6は、本実施の形態1に係る機能制御システムの制御装置における制御処理フローの一例を示すフローチャートである。まず、制御装置2の情報生成部21は、制御信号による機能の実行を制限するための解除キー情報と、解除キー情報に対応させた付加情報と、を生成する(ステップS101)。
【0033】
情報生成部21は、携帯機器1の制御対象となる全機能に対して、付加情報及び解除キー情報を生成すると(ステップS102のYES)、第1送信部22を介して、任意の組合せの解除キー情報を、機能制限対象の各携帯機器1に対して送信する(ステップS103)。
【0034】
次に、信号生成部23は、携帯機器1の各機能1〜nを制御するための制御情報1〜nに、情報生成部21により生成された付加情報1〜nを夫々付加して制御信号を生成する(ステップS104)。そして、第2送信部24は、信号生成部23により生成された制御信号を、制御領域S内へ所定周期でブロードキャスト送信する(ステップS105)。
【0035】
図7は、本実施の形態1に係る機能制御システムの携帯機器における制御処理フローの一例を示すフローチャートである。例えば、携帯機器1が制御領域S内に入ると、携帯機器1の受信部11は、制御装置2の第1送信部22から送信された解除キー情報を受信し、情報保持部12は、受信部11により受信された解除キー情報を格納する(ステップS111)。なお、本制御処理において、(ステップS111)の処理は、必須ではなく任意である。
【0036】
次に、機能制御部15は、受信部11により受信された信号が制御装置2の第2送信部24から送信された制御信号であるか否かを判断する(ステップS112)。
【0037】
機能制御部15は、受信部11により受信された信号が制御信号であると判断したとき(ステップS112のYES)、制御信号の制御情報及び付加情報を抽出する(ステップS113)。そして、機能制御部15は、抽出された制御対象の機能に対応した情報保持部12に保持された解除キーを参照する(ステップS114)。
【0038】
その後、機能制御部15は、対象機能と一致する解除キー情報が情報保持部12に保持されているか否かを判断する(ステップS115')。機能制御部15は、対象機能と一致する解除キー情報が情報保持部12に保持されていないと判断した場合(ステップS115'のNO)、後述の(ステップS116)を実行する。一方、機能制御部15は、対象機能と一致する解除キー情報が情報保持部12に保持されていると判断した場合(ステップS115'のYES)、情報保持部12の解除キー情報の送信元(制御装置2)と抽出した制御信号の送信元(制御装置2)とが同一であるか否かを判断する(ステップS115)。ここで、解除キー情報及び制御信号には、例えば、送信元IDが含まれており、機能制御部15は、これら送信元IDが一致するか否かを判断する。
【0039】
機能制御部15は、解除キー情報の送信元と抽出した制御信号の送信元とが同一でないと判断したとき(ステップS115のNO)、抽出した各制御情報の機能に対応する状態保持部13の機能制限フラグをオン状態に変更することで、各機能の実行を制限する(ステップS116)。
【0040】
機能制御部15は、上記全機能に対する機能制限フラグの変更が終了すると(ステップS117のYES)、状態保持部13にその制御信号の受信時刻を記録する(ステップS118)。その後、機能部14は、各機能の実行要求を受けると、状態保持部13に保持された機能制御フラグに基づいて、携帯機器1内に予め組み込まれる各機能を実行する(ステップS119)。
【0041】
図8は、本実施の形態1に係る機能制御システムの携帯機器の機能部における各機能の実行処理フローの一例を示すフローチャートである。携帯機器1の機能部14は、各機能の実行要求を受けると、状態保持部13に記録された制御信号の受信時刻に基づいて、制御装置2から制御信号を受信しているか否かを判断する(ステップS121)。
【0042】
機能部14は、制御装置2から制御信号を受信していると判断したとき(ステップS121のYES)、その制御信号の受信時刻から所定時間経過して、携帯機器1が制御領域S外に出たか否かを判断する(ステップS122)。一方、機能部14は、制御装置2から制御信号を受信していないと判断したとき(ステップS121のNO)、後述の(ステップS125)へ移動する。
【0043】
機能部14は、制御信号の受信時刻から所定時間経過して、携帯機器1が制御領域S外に出たと判断したとき(ステップS122のYES)、状態保持部13に保持された各機能に対応する機能制限フラグをオン状態からオフ状態に変更し(ステップS123)、後述の(ステップS125)へ移行する。一方、機能部14は、制御信号の受信時刻から所定時間以内であり、携帯機器1が制御領域S内にあると判断したとき(ステップS122のNO)、実行要求の機能に対応する機能制限フラグがオン状態にあるか確認する(ステップS124)。
【0044】
機能部14は、実行要求の機能に対応する機能制限フラグがオン状態にあると判断したとき(ステップS124のYES)、その実行要求の機能を実行することなく、本処理を終了する。一方、機能部14は、実行要求の機能に対応する機能制限フラグがオフ状態にあると判断したとき(ステップS124のNO)、実行要求の機能を実行する(ステップS125)。
【0045】
以上、本実施の形態1に係る機能制御システム10によれば、携帯機器1毎に送信する解除キー情報の組合わせを変更するだけで、携帯機器1毎に異なる機能制御を容易に実行することができる。また、各機能を制限する解除キー情報を、各携帯機器1の情報保持部12毎に保持するため、従来技術のようにサーバ等で集中的に保持、管理する必要がない。さらに、各携帯機器1が制御装置2から解除キー情報及び制御信号を受信して、その制御状態を決定する。したがって、従来、サーバ等が行っていた処理負荷を各携帯機器1に分散させることにより、システム全体の処理負荷を効果的に分散させることができる。
【0046】
なお、このように各携帯機器1に処理負荷を分散させることで、システムの一部(例えば、一部の携帯機器1等)に異常が生じた場合でも、システム全体に対する影響を小さく抑えることができる。また、制御対象である携帯機器1の各機能が増加した場合でも、各処理は携帯機器1に分散されているため、システム全体における処理負荷の増加を効果的に抑えることができる。また、制御パターンが増加するに従ってサーバに必要な記憶領域が増加するという従来の問題点も回避できる。
【0047】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係る機能制御システム10において、制御装置2の信号生成部23は、各制御情報に情報生成部21により生成された付加情報を夫々付加して制御信号を生成した後、付加情報及び解除キー情報の変更要求があるか否かを判断してもよい。これにより、各携帯機器1に対する機能制限を容易に変更することができる。
【0048】
図9は、本実施の形態2に係る機能制御システムの処理フローを示すフローチャートである。制御装置2の情報生成部21は、制御信号による機能の実行を制限するための解除キー情報と、解除キー情報に対応させた付加情報と、を生成する(ステップS201)。
【0049】
情報生成部21は、携帯機器1の制御対象となる全機能に対して、付加情報及び解除キー情報を生成すると(ステップS202のYES)、第1送信部22を介して、所定の組合わせの解除キー情報を、機能制限対象の各携帯機器1に対して送信する(ステップS203)。
【0050】
次に、信号生成部23は、携帯機器1の各機能1〜nを制御するための制御情報1〜nに、情報生成部21により生成された付加情報1〜nを夫々付加して制御信号を生成する(ステップS204)。
【0051】
その後、信号生成部23は、付加情報及び解除キー情報の変更要求があるか否かを判断する(ステップS205)。なお、この変更要求は、例えば、ユーザが制御装置2に対して設定変更を行うことより実現することができる。
【0052】
信号生成部23は、付加情報又は解除キー情報の変更要求があると判断したとき(ステップS205のYES)、上記(ステップS201)に移行する。一方、信号生成部23が、付加情報又は解除キー情報の変更要求がないと判断したとき(ステップS205のNO)、第2送信部2は、信号生成部23により生成された制御信号を、制御領域S内へ所定周期でブロードキャスト送信する(ステップS206)。
【0053】
以上、本実施の形態2に係る機能制御システム10によれば、各携帯機器1に送信する制御信号の付加情報及び解除キー情報を変更するだけで、各携帯機器1に対する機能制限を容易に変更することができる。また、付加情報及び解除キー情報を各携帯機器1に送信するだけで各携帯機器1の情報保持部12に保持された解除キー情報を更新し、携帯機器1の各機能の実行を制限できる。したがって、例えば、セキュリティに関する機能を制御するなどの、一定期間毎に解除キー情報を更新する場合や、不正に解除キー情報が入手されたときに解除キー情報を変更する場合などに、的確かつ容易に対応することができる。
【0054】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0055】
また、上記実施の形態において、任意の処理を、CPU2aにコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。この場合、コンピュータプログラムは、記録媒体に記録して提供することも可能であり、また、インターネットその他の通信媒体を介して伝送することにより提供することも可能である。さらに、記憶媒体には、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD、ROMカートリッジ、バッテリバックアップ付きRAMメモリカートリッジ、フラッシュメモリカートリッジ、不揮発性RAMカートリッジ等が含まれる。さらにまた、通信媒体には、電話回線等の有線通信媒体、マイクロ波回線等の無線通信媒体等が含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1 携帯機器
2 制御装置
11 受信部
12 情報保持部
13 状態保持部
14 機能部
15 機能制御部
21 情報生成部
22 第1送信部
23 信号生成部
24 第2送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御領域内にある少なくとも1つの携帯機器と、該携帯機器に対して制御信号を送信することで該携帯機器の機能を制御する制御装置と、を備える機能制御システムであって、
前記制御装置は、
前記携帯機器の機能の実行を制限するための解除キー情報と、該解除キー情報に対応させた付加情報と、を生成する情報生成手段と、
前記情報生成手段により生成された前記解除キー情報を、所定の機能を制限する前記携帯機器に対して送信する第1送信手段と、
前記携帯機器の機能を制御するための制御情報に、前記情報生成手段により生成された前記付加情報を付加して前記制御信号を生成する信号生成手段と、
前記信号生成手段により生成された前記制御信号を、前記制御領域内の携帯機器に対して送信する第2送信手段と、
を有しており、
前記携帯機器は、
前記第1送信手段から送信された前記解除キー情報と、前記第2送信手段から送信された前記制御信号と、を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された前記解除キー情報を保持する情報保持手段と、
前記情報保持手段の解除キー情報に対応する前記付加情報が付加された前記制御情報による機能の実行を制限する機能制御手段と、
を有する、ことを特徴とする機能制御システム。
【請求項2】
請求項1記載の機能制御システムであって、
前記携帯機器は、
前記機能毎に設定され、該機能の実行の可否を制御するための機能制限フラグを保持する状態保持手段と、
該状態保持手段に保持された前記機能毎の機能制限フラグに基づいて、各機能を実行する機能手段と、を更に有する、ことを特徴とする機能制御システム。
【請求項3】
請求項2記載の機能制御システムであって、
前記携帯機器の機能制御手段は、前記情報保持手段に保持された前記解除キー情報に対応する前記状態保持手段の機能制限フラグを変更することで、前記機能の実行を制限する、ことを特徴とする機能制御システム。
【請求項4】
制御領域内にあり、制御装置から送信される制御信号に基づいて機能を制御する携帯機器であって、
前記制御装置から送信された、前記機能の実行を制限するための解除キー情報と、前記機能を制御するための制御情報に付加情報を付加して生成された制御信号と、を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された前記解除キー情報を保持する情報保持手段と、
前記情報保持手段の解除キー情報に対応する前記付加情報が付加された前記制御情報による機能の実行を制限する機能制御手段と、
を備える、ことを特徴とする携帯機器。
【請求項5】
制御領域内にある少なくとも1つの携帯機器に対して制御信号を送信することで該携帯機器の機能を制御する制御装置であって、
前記携帯機器の機能の実行を制限するための解除キー情報と、該解除キー情報に対応させた付加情報と、を生成する情報生成手段と、
前記情報生成手段により生成された前記解除キー情報を、所定の機能を制限する前記携帯機器に対して送信する第1送信手段と、
前記携帯機器の機能を制御するための制御情報に、前記情報生成手段により生成された前記付加情報を付加して前記制御信号を生成する信号生成手段と、
前記信号生成手段により生成された前記制御信号を、前記制御領域内の携帯機器に対して送信する第2送信手段と、
を備える、ことを特徴とする制御装置。
【請求項6】
制御領域内にある少なくとも1つの携帯機器と、該携帯機器に対して制御信号を送信することで該携帯機器の機能を制御する制御装置と、を備える機能制御システムの制御方法であって、
前記携帯機器の機能の実行を制限するための解除キー情報と、該解除キー情報に対応させた付加情報と、を生成し、
前記生成された解除キー情報を、所定の機能を制限する前記携帯機器に対して送信し、
前記携帯機器の機能を制御するための制御情報に、前記生成された付加情報を付加して前記制御信号を生成し、
前記生成された制御信号を、前記制御領域内の携帯機器に対して送信し、
前記送信された解除キー情報と、前記送信された制御信号と、を受信し、
前記受信された解除キー情報を保持し、
前記保持された解除キー情報に対応する前記付加情報が付加された前記制御情報による機能の実行を制限する、
ことを特徴とする機能制御システムの制御方法。
【請求項7】
制御領域内にあり、制御装置から送信される制御信号に基づいて機能を制御するプログラムであって、
前記制御装置から送信された、前記機能の実行を制限するための解除キー情報と、前記機能を制御するための制御情報に付加情報を付加して生成された制御信号と、を受信する処理と、
前記受信された解除キー情報を保持する処理と、
前記保持された解除キー情報に対応する前記付加情報が付加された前記制御情報による機能の実行を制限する処理と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−109600(P2011−109600A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265313(P2009−265313)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】