説明

機能性ナノ粒子、その製造方法及び使用方法

多様なタイプの遷移元素金属の酸化物及び金属からなるのナノ粒子に1及び2の官能基を有する化合物が結合して形成され、(親水性プラスチック、繊維のような)タイプが異なる新素材の製造工程において有用な安定錯体及びその製造方法について説明する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性ナノ粒子、その製造方法及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ある有機化合物分子が固体の無機金属の表面に吸着され得るということが知られており、この特性は、科学技術上重要な化合物のすべての形成に係る、分散剤及び湿潤剤のようなものに広く用いられてきた。これらの分子のいくつかは複雑な表面に吸着されるだけでなく、その特性を大きく変化させ得るような微細構造の形成にも寄与する。
【0003】
上述の有機化合物分子の典型的な例としては(以下に結合剤として限定した)、チオール類、ドデシルリン酸ナトリウム(sodium dodecyl phosphate)、臭化セチルスメチルアンモニウム(cetyl thmethyl ammonium bromide)、多様な脂肪族のリン酸エステル及びホスホン酸、カルボン酸及びヒドロキサム酸といった官能基が一つだけの単純な脂肪族化合物である。
【0004】
他の機能的な分子と相互に作用をなし得なかった遊離脂肪鎖によって、単一の官能基と金属の無機的な表面との相互作用が通常は生じる。
【0005】
有機化合物分子と表面の親和性は、互いの化学的性質に依存している。これらの相互作用はいくつかのよく知られた事例について研究されている。しかしながら、しばしば矛盾した結果が生ずることから、ナノ粒子の表面と様々な結合剤との親和性についての完全な解明は、学術的な分野において、なお議論されている。
【0006】
ナノ粒子は、寸法が500nm以下、又は何人かの研究者によれば100nm以下であって、個々の粒子間に電気的な反発が存在するのであれば、液中で安定して分散する物質であることも知られている。
【0007】
分散液に沈殿は認められない。これは、温度に起因する分子運動が重力の作用によって粒子が沈殿するのを妨げるためである。2個の粒子の相互作用に係る電位は、とりわけナノ粒子の表面の状態に依存しており、吸着によって変化し、又は他の分子との結合によっても変化し、更には溶液中に存在するイオン種によっても変化する可能性がある。
【0008】
いくつかの錯体はナノ粒子及び上述した類型のモノ官能基の結合剤からなることが知られている(例えば、「Aronoff, Y. G. et al. J. Am. Chem. Soc. 1997, 119, 259-262. Heimer, T. A.; D'Arcangelis et al. Langmuir, 2002, 18, 5205-5212; Yee, C. et al. Langmuir, 1999, 15, 711 1 -71 15; Folkers, J. et al. Langmuir, 1995, 71 , 813-824」を参照)、しかしながらこれらには種々の不利な点が存在する。
【非特許文献1】Aronoff, Y. G. et al. J. Am. Chem. Soc. 1997, 119, 259-262. Heimer, T. A.
【非特許文献2】D'Arcangelis et al. Langmuir, 2002, 18, 5205-5212
【非特許文献3】Yee, C. et al. Langmuir, 1999, 15, 711 1 -71 15
【非特許文献4】Folkers, J. et al. Langmuir, 1995, 71 , 813-824
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
物質及び結合剤の研究が不十分であることを除外しても、前述の生成物は、生物医学上及び薬理学上の応用において重要な要件であるヒドロアルコール性(hydroalcoholic)環境での可溶性がないという問題点がる。
【0010】
さらに、遊離状態の単純な脂肪鎖は、生理活性分子が通常有する官能基と、相互に作用し合うということがまったくない。
【0011】
上述の記載に基づき、上述の問題点を克服し、錯体を様々な要求に適合し得るようにするナノ粒子及び官能基を有する結合剤で形成される錯体を得ることが重要である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による機能性ナノ粒子、その製造方法及び使用方法では、ナノ粒子としての金属酸化物、鉄、コバルト又はこれらの合金と、1及び2の官能基を有する化合物とからなる安定錯体を製造ずることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
安定な錯体が、種々の遷移金属酸化物のナノ粒子と、1及び2の官能基を有する化合物との結合によって得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
1及び2の官能基を有する化合物が、多様な遷移金属酸化物及び安定な錯体を形成する多様な金属とからなるナノ粒子と結合し得るという驚くべきことが目下発見されている。
【0015】
1の官能基を有する結合剤は、アルカンのような非極性溶媒での可溶性に優位であり、それゆえにこれらは、非極性溶媒に適合した(疎水性プラスチック、いくつかの合成繊維の)工程で用いられている。
【0016】
2の官能基を有する結合剤の場合、追加された官能基は(無機的な金属の表面と相互に作用するものではないが)、溶媒中のナノ粒子の溶解度を変化させ、新素材(親水性プラスチック、繊維の多様のタイプ)製造工程において有用なナノ粒子を生成させる。また、薬学及び医療の分野において有用な、生体重合体、シクロデキストリン、抗体及び薬物といった更なる複合体との化学的な相互作用を可能にする。
【0017】
その上、2の官能基を有する結合剤の使用は、ナノ粒子と、(磁気的、光学的といった)特性に依存している性質を有意に変化させることなく、ナノ粒子とナノ粒子全体の密な被覆を達成する結合剤との錯体が得られることを可能とする。
【0018】
他の有利な点のうち、ありがたいことに、前述の結合剤によって表面全体を被覆することで、ナノ粒子の毒性がなくなることも考慮されねばならない。
【0019】
本発明によれば、1及び2の官能基を有する化合物なる語句は、チオール、カルボン酸、ヒドロキサム酸、エステル、リン酸(又はそれらの塩)で脂肪鎖を有するものであって、特に2の官能基を有する結合剤の場合は、第二の官能基を(ω位置と称する)終端に有する。
【0020】
上述の第二の官能基は、OH、NH、COOH、COORからなる一群から選択されるのが好ましく、Rは下記のように定義される。
【0021】
特に、本発明に係る1及び2の官能基を有する化合物は、以下の式による化合物である。
【0022】
【化1】

【0023】
ここで、
nは2乃至20の整数であり、
は、H、OH、NH、COOH、COORからなる一群から選択されるものであり、
はCONHOH、CONHOR、PO(OH)、PO(OH)(OR)、COOH、COOR、SH、SRから選択されるものである。
【0024】
はアルカリ金属で、好ましくはK、Na若しくはLiであり、又は有機的な保護試薬である。
【0025】
上述のように定義された1及び2の官能基を有する化合物は、既知のものであるか、既知の工程によって製造され得るものである。
【0026】
1の官能基を有する化合物の場合、カルボキシル基(carboxylic group)を有する化合物(市場で入手可能なもの)を文献上よく知られた手順によって、カルボキシル基(carboxylic group)をヒドロキサム基(hydroxamic group)に置換された生成物と一致するものに変換するものであり、又はリン酸基(phosphoric group)中にハロゲンを導入することによる。かかる場合も、既知の合成手順によるものである。
【0027】
2の官能基を有する化合物において、その製造工程は、通常、市場で入手可能な2の官能基を有する化合物(例えば、カルボン酸又はω位置に官能基を有するアルコール)から合成を開始すること、ω位置の官能基の保護及び続くヒドロキサム基(hydroxamic group)又はリン酸基(phosphoric group)の導入のためのカルボキシル(carboxylic)(又はアルコール)基の最終的な活性化を考慮する。
【0028】
本発明においては、ナノ粒子なる語句は、その寸法が1乃至200nmの粒子を意味するものとする。
【0029】
本発明においては、特に好適なのは、金属及び遷移金属系列に属する金属酸化物で構成されるナノ粒子であって、MIIはCo、Ni、Fe、Zn、Mn、そしてMIIIはFeIII、Co、Al、である一般式MIIIIIで示される化合物が特に好適である。酸化物としては、磁赤鉄鉱(maghemite)型酸化物であるFe、特にはコバルト・フェライトであるCoFe、磁鉄鉱(magnetite)であるFeFe、磁赤鉄鉱(maghemite)であるγ-Feが挙げられる。金属のナノ粒子は、金属のFe及びCo並びにこれらの合金、更には貴金属類との合金である。
【0030】
ナノ粒子と結合剤との錯体は、1又は2の官能基を有する上述の誘導体の作成によって得られる。この誘導体は、上述で定義したナノ粒子の無垢な表面全体を覆うように、このナノ粒子と反応する。
【0031】
製造工程は、有機溶媒(例えばエチレングリコール)中に分散させたナノ粒子を、温度を下げた状態で数時間攪拌し続けながら、好ましい結合剤と反応させることによって行われる。
【0032】
その後、生成物は、例えばアセトンと共に沈殿するので、遠心分離するが、必要であれば適した溶媒中に再度分散し、再度沈殿させることによって精製する。
【0033】
出来上がった被覆及びその反応は異なる試験技術によって評価された。この試験技術には、DSC−TG示差走査熱量測定、FT−IR分光法、元素分析及びダイナミック光度散乱(DLS)が含まれる。
【0034】
生成物の磁気的特性における機能化された表面の効果も同様に評価された。
【0035】
生成した機能化されたナノ粒子は、プラスチック(例えばポリエチレン又は可塑性ポリエステル)又は合成繊維(例えばナイロン)及び天然繊維(例えば木綿)の製造のような特異な疎水性と親水性の挙動が要求される工程に用いられ得る。
【0036】
合成の工程は、ナノ粒子と、パルミチン酸型の1の官能基を有する結合剤と、の結合をなすことによる(実施例1を参照)。
【0037】
その上、2の官能基を有する結合剤で処理されたナノ粒子は、(磁性)粒子の特性と分子又は重合体(免疫系の不可視性、生体適合性)又はタンパク質の特性とを兼備するために、特定分子の官能基(例えばシクロデキストリン(cyclodexthns)、葉酸、抗体及び医薬)、タンパク質又は重合体(例えばポリアミドアミン)を攻撃することで更に改変されるようにしてもよい。
【0038】
磁気的特性は、磁気共鳴分析で試薬との普遍的及び選択的な対比を構成するものとして用いられ得るものであり、又は、温熱効果による粒子の加熱によって遊離が規制される運搬系(vehiculation system)を構成する薬剤を兼備し得るものである。
【0039】
一般的には、以下に我々が機能化されたナノ粒子として定義したナノ粒子と2の官能基を有する結合剤との錯体の集合、上述で定義した分子、重合体又はタンパク質の集合は、以下の判断基準に準ずるものとされている。
a)アミン類を外部の官能基として備える機能化されたナノ粒子は、先に定義した分子、重合体又はタンパク質であって、カルボン酸、アルデヒド及びアクリルアミドのうちの一つを官能基として有するものと結合してもよい。
b)カルボン酸を外部の官能基として備える機能化されたナノ粒子は、生体重合体、タンパク質又は分子(シクロデキストリン、葉酸、抗体、薬剤)であって、今度はアルコール、アミン及びチオールのうちの一つを官能基として有するものと結合してもよい。
c)オキシドリル(oxydril)基を外部の官能基として備える機能化されたナノ粒子は、生体重合体、タンパク質又は分子(シクロデキストリン、葉酸、抗体、薬剤)であって、今度はカルボン酸を官能基として有するものと結合してもよい。
【0040】
ナノ粒子と2の官能基を有する結合剤との錯体と、官能基を有する分子によって形成された上述の化合物が得られる様々な製造工程を以下に示す。
【0041】
(製造工程A)
例えば、ω−ヒドロキシ、ω−カルボキシ及びω−アミノ−カルボン酸;ω−ヒドロキシ、ω−カルボキシ及びω−アミノ−ヒドロキサム酸;ω−ヒドロキシ、ω−カルボキシ及びω−アミノ−リン酸;ω−ヒドロキシ、ω−カルボキシ及びω−アミノ−チオール(ω-hydroxy-, ω-carboxy- and ω-amino- carboxylic acids; ω-hydroxy-, ω- carboxy- and ω-amino- hydroxamic acids; ω-hydroxy-, ω-carboxy- and ω-amino- phosphoric acids; ω-hydroxy-, ω-carboxy- and ω-amino-thiols)のような単純な2の官能基を有する結合剤とナノ粒子との機能化である。それに引き続き、2の官能基を有する粒子と、分子、タンパク質又は重合体と、2の官能基を有する結合剤とを結合させる。
【0042】
(製造工程B)
結合剤を交換する手段によって、結合剤を伴う分子、重合体又は変性されたタンパク質と、機能化されたナノ粒子とを結合させる。
【0043】
(製造工程C)
2の官能基を有する結合剤の混合物とナノ粒子との機能化以外は製造工程Aと同様である。
【0044】
(製造工程D)
2の官能基を有する結合剤の混合物とナノ粒子との機能化以外は製造工程Bと同様である。
【0045】
(製造工程E)
適合した2の官能基を有する結合剤と結合させた前述の分子、重合体又はタンパク質と、ナノ粒子とを直接機能化するものである。
【0046】
(製造工程F)
適合した2の官能基を有する結合剤と既に結合させた分子、重合体又はタンパク質と、異なる2の官能基を有する結合剤との混合物と、ナノ粒子とを機能化するものである。
【0047】
本発明をより詳細に説明すべく、以下に結合剤、錯体及びこれらに引き続き生じる機能化の生成におけるいくつかの特異な例を示す。
【0048】
[実施例1]
「コバルトフェライト/ヒドロキサム酸ナノ粒子錯体(図1の1.1)」
例えば、直径5nmのコバルトフェライトをナノ粒子として重量比でジエチレングリコール中に3%含む10gの分散液に、ヘキサン20gに溶解した0.3gのヒドロキサム酸を添加、これらを常温で2時間攪拌し続ける。
【0049】
その後、40gのヘキサンで30分間溶媒抽出を行う。攪拌を中断すると、無極性相と極性相の2相の分離が観察され、無極性相(上相)はコバルトフェライトの存在を示す濃い黒色を呈するが、下相である極性相は透明である。
【0050】
2相に分離された後、ナノ粒子を含む相は、水又は水とエタノールが1:1をベースとする洗浄液で洗浄できる。
【0051】
被覆された粒子を単離するには、加温又は減圧によって溶媒を留去させてもよい。又は、溶媒抽出の前に、生成物を遠心分離し、その後適合する溶媒で再度分散させてもよい。
【0052】
(実験データ)
IR: 3394; 2915.12; 2856.08; 1594.20; 1 122.58; 1060.10.
TG: Loss at 500 °C, 26%
DLS:
【0053】
【表1】

【0054】
[実施例2]
「12−アミノ−N−ヒドロキシドデカンアミド(12-amino-N-hvdroxy dodecanamide)の合成」
【0055】
【化2】

【0056】
a)12−アミノ−(tert−ブトキシカルボニル)ドデカン酸(12-amino-(tert-butoxycarbonyl)dodecanoic acid)の合成
磁石アンカーと、有孔隔壁と、アルゴン用の蛇口とを備えた250mlの二口フラスコで、市場で入手可能な12−アミノ−ドデカン酸(5.2g、25.8mmol)をジオキサン(20ml)に溶解させ、BocO(6.5ml、28mmol)を添加する。
【0057】
反応系を0℃とし、2NのNaOH水溶液(13.2ml)をゆっくりと滴下する。溶液は、24時間、還流させた状態で反応させる。
【0058】
蒸留水(60ml)を加え、EtO(2x30ml)で溶媒抽出する。
【0059】
水相はクエン酸(25% W/W)によりpH=5の酸性とする。これをEtOAc(3x50)で溶媒抽出し、邪魔な断片はMgSOに結合させ、ロータリーエバポレーターと高真空ポンプとで濃縮する。
【0060】
12−アミノ−(tert−ブトキシカルボニル)ドデカン酸(12-amino-(tert-butoxycarbonyl)dodecanoic acid)6.0gを得る(収率=73%)。融点は80〜82℃
【0061】
(分光分析データ)IR: 3365, 2919, 2853, 1727, 1688, 1520, 1469, 1365, 1246, 1172, 946.
1H-NMR (400 MHz, CD3OD): 1.35 (s, 9H), 1.40-1.60 (m, 18H), 2.35 (t, J=7.0 Hz, 2H), 3.00 (t, J=6.6 Hz, 2H), 4.80 (brs, 1 H).
13C-NMR (100.2 MHz, CD3OD): 24.9, 26.7, 27.7, 29.1, 29.3, 29.4 (2CH2), 29.48, 29.5, 29.8, 33.8, 40.2, 78.6, 157.3, 176.4.
MS: 315 (M+)
【0062】
b)12−アミノ−(tert−ブトキシカルボニル)ドデカン酸(12-amino-(tert-butoxycarbonyl)dodecanoic acid)のジシクロへキシルアンモニウム塩(dicyclohexyl ammonium salt)の合成
【0063】
MeOH(20ml)中に12−アミノ−(tert−ブトキシカルボニル)ドデカン酸(12-amino-(tert-butoxycarbonyl)dodecanoic acid)(5.8g、18.4mmol)を有する懸濁液にジシクロへキシルアミン(3.92ml、19.7mmol)を加える。
【0064】
この懸濁液を常温で10分間攪拌し続ける。
【0065】
溶媒を減圧によって除去すると、精製を全く要さずに白い粉末状で9.1gの生成物を得る(収率=100%)。
【0066】
c)tert−ブチル12−(ベンジルオキシアミノ)−12−オキソドデシルカルバミン酸塩(tert-butyl 12-(benzyloxy amino)- 12-oxododecyl carbamate)の合成
12−アミノ−(tert−ブトキシカルボニル)ドデカン酸(12-amino-(tert-butoxycarbonyl)dodecanoic acid)のジシクロへキシルアンモニウム塩(dicyclohexyl ammonium salt)(9.1g、18.4mmol)を、磁石アンカーと、有孔隔壁と、アルゴン用の蛇口とを備えた100mlの二口フラスコに入れ、ピリジン(1.50ml、15.2mmol)とジクロロメタン(18ml)とを添加する。
【0067】
塩化チエニル(22.1mmol、1.62ml)を注射器で添加し、常温で5分間反応させる。
【0068】
その間に、もう一つの二口フラスコに、ベンジルオキシアミンクロロハイドレート(benzyloxylamine chlorohydrate)(2.9g、18.4mmol)を秤量し、4−ジメチルアミンピリジン(4- dimethylamine pyridine)(DIMAP、3.6g、3.0mmol)とジクロロメタン(36ml)とを添加する。
【0069】
この溶液を注射器で第1のフラスコに滴下し、常温で1時間攪拌。ロータリーエバポレーターによって溶媒を留去し、シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(溶離液 酢酸エチル/石油エーテル 1/1)で精製することにより、黄白色の固体状の生成物3.8gを単離する(収率=50%)。融点は68〜73℃。
【0070】
(分光分析データ)IR: 3346, 3298, 2922, 2851, 1682, 1657, 1540, 1356, 1269, 1254, 1171.
1H-NMR (400 MHz, CDCI3): 1.05-1.10 (m, 16H), 1.40 (s, 9H), 1.40-1.55 (m, 2H), 2.00 (brs, 2H), 3.00-3.10 (m, 2H), 4.80 (brs, 1 H), 4.90 (s, 2H), 7.25-7.35 (m, 5H), 9.25 (brs, 1 H).
13C-NMR (75.3 MHz, CDCI3): 25.2, 26.4, 28.1, 28.8, 28.9, 29.1, 29.2, 29.7, 32.7, 40.3, 77.5, 78.6, 128.0, 128.7 (2ArCH), 135.3, 155.8, 170.1
MS: 420 (M+)
【0071】
d)12−アミノ−N−(ベンジルオキシ)ドデカンアミド(12-amino-N-(benzyloxy)dodecanamide)の合成
tert−ブチル12−(ベンジルオキシアミノ)−12−オキソドデシルカルバミン酸塩(tert-butyl 12-(benzyloxy amino)- 12-oxododecyl carbamate)(3.14g、7.5mmol)が入った不活性ガス雰囲気の一口フラスコにクロロホルム(30ml)を添加する。
【0072】
三フッ化酢酸(5.6ml、7.5mmol)をゆっくりと滴下し、常温で1時間攪拌。
【0073】
ロータリーエバポレーターによって溶媒を留去し、濃アンモニア水を加えてpH=9にする。
【0074】
蒸留水(30ml)とクロロホルム(30ml)を添加。クロロホルム(3x25ml)で溶媒抽出し、有機相は硫酸マグネシウムで脱水する。それを濾別し、溶媒を除去して黄色みを帯びた固体状の生成物2.0gを得る(収率=85%)。融点は76〜78℃。
【0075】
(分光分析データ)IR: 3357, 3225, 2907, 2841, 1657, 1553, 1369, 1203, 1057.
1H-NMR (400 MHz, CDCI3): 1.00-1.40 (m, 16H), 1.45-1.55 (brs, 2H), 2.00 (brs, 2H), 2.45 (brs, 2H), 4.80-5.00 (brm, 5H), 7.20-7.40 (m, 5H).
13C-NMR (75.3 MHz, CDCI3): 25.3, 26.5, 28.9, 29.0, 29.1, 29.2, 29.24, 32.7, 32.9, 41.5, 77.5, 128.2, 129.0 (2ArCH), 135.7, 170.7.
MS: 320 (M+)
【0076】
e)12−アミノ−N−ヒドロキシドデカンアミド(12-amino-N-hydroxy dodecanamide)の合成
Parr反応器で水素によって水素付加を行う。Pd−C120mg、12−アミノ−N−(ベンジルオキシ)ドデカンアミド(12-amino-N-(benzyloxy)dodecanamide)(1.0g、2.4mmol)と、エタノール(40ml)を反応器に入れる。
【0077】
三角フラスコによってエタノール中で生成物を50℃に加熱するのが良策である。
【0078】
水素付加は30分間継続し、セライトの層からなる多孔質の隔壁上で濾別後、エタノールでこの隔壁を数回洗浄する。
【0079】
溶液をロータリーエバポレーター及び高真空ポンプで濃縮し、白色固体状の12−アミノ−N−ヒドロキシドデカンアミド(12-amino-N-hydroxy dodecanamide)(500mg、収率=66%)が得られる。融点は112〜116℃。
【0080】
(分光分析データ)IR:. 3247, 2973, 2856, 1712, 1635, 1465, 1207, 1 155, 1041 .
1H-NMR (400 MHz, CDCI3): 1.10-1.60 (m, 18H), 2.0 (brt, 2H), 2.70-2.75 (m, 4H), 6.80 (brs, 1 H), 7.40 (brs, 1 H).
13C-NMR (75.3 MHz, CDCI3): Interval CH225.9-33.0, 41.8, 169.8.
MS: 230 (M+).
【0081】
以下に示す合成手順と同様の手順で、N−12−ジヒドロキシドデカンアミド(N-12-dihydroxy dodecanamide)が、12−ヒドロキシドデカン酸(2-hydroxy dodecanoic acid)から得られる。
【0082】
【化3】

【0083】
[実施例3]
「12−アミノドデシルホスホン酸水素カリウム(potassium hydrogen-12-aminododecyl phosphonate)の合成」
【0084】
【化4】

【0085】
a)ter−ブチル12−ヒドロキシドデシルカルバメート(ter-butyl 12-hydroxy dodecylcarbamate)の合成
還流冷却器、磁石アンカーを備える100mlの二口フラスコに、静的な窒素ガス源下、12−アミノ−1−ドデカノールクロロハイドレート(12-amino-1 -dodecanol chlorohydrate)(3.34g、14.1mmol)を秤量して入れ、ピリジン(40ml)、PrNet(2.45ml、14.1mmol)及びBoCO(3.24ml、14.1mmol)を添加する。これを70℃で60時間攪拌したままにしておき、ロータリーエバポレーターと高真空ポンプによって濃縮し、生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで、石油エーテル/酢酸エチルで1/1の溶離液によって精製することにより、ter−ブチル12−ヒドロキシドデシルカルバメート(Synthesis of ter-butyl 12-hydroxy dodecylcarbamate)3.1gが収率73%で白色の固体として単離される。融点は78℃。
【0086】
(分光分析データ)IR: 3424, 3370, 2920, 2852, 1686, 1523, 1 172, 1058.
1H-NMR (400 MHz, CDCI3): 1.20-1.30 (brs, 20H), 1.40 (brs, 9H), 3.15 (brs, 2H), 3.6 (t, J=8.5Hz, 2H), 4.4 (brs, 1 H).
13C-NMR (75.3 MHz, CDCI3): 24.8, 26.7, 27.6, 29.0, 29.2 (2CH2), 29.5, 29.6, 29.7, 29.73, 33.7, 40.1, 78.9, 157.1
MS: 301 (M+)
【0087】
b)ter−ブチル12−ブロモドデシルカルバメート(ter-butyl 12-bromo dodecylcarbamate)の合成
還流冷却器、磁石アンカーを備える250mlの二口フラスコで、静的な窒素ガス源下、ter−ブチル12−ヒドロキシドデシルカルバメート(ter-butyl 12-hydroxy dodecylcarbamate)(3.07g、10.2mmol)をジクロロメタン(75ml)に溶解させる。PPh(2.94g、11.2ml)及びNBS(2.42g、10.7mmol)を添加。この混合物を還流させた状態で24時間攪拌させる。これをロータリーエバポレーターと高真空ポンプによって濃縮し、生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで、石油エーテル/酢酸エチルで3/1の溶離液によって精製することにより、ter−ブチル12−ブロモドデシルカルバメート(ter-butyl 12-bromo dodecylcarbamate)2.9gが収率78%で低融点の白色の固体として単離される。融点は42〜44℃。
【0088】
(分光分析データ)IR: 3421, 3366, 2924, 2853, 1688, 1521, 1 170, 1061 .
1H-NMR (400 MHz, CDCI3): 1.10-1.20 (brs, 20H), 1.35 (brs, 9H), 3.05 (brs, 2H), 3.60 (t, J=6.0 Hz, 2H), 4.80 (brs, 1 H).
13C-NMR (100.4 MHz, CDCI3): 26.4, 27.8, 28.1, 28.4, 28.9, 29.1, 29.15, 29.2, 29.7, 32.5, 33.4, 40.2, 78.2, 155.2
MS: 363 (M+).
【0089】
c)ter−ブチル12−(ジエトキシホスホリル)ドデシルカルバメート(ter-butyl 12-(diethoxyphosphoryl)dodecylcarbamate)の合成
還流冷却器を備える一口フラスコにter−ブチル12−ブロモドデシルカルバメート(ter-butyl 12-bromo dodecylcarbamate)(2.39g、6.6mmol)を秤量し、リン酸トリエチル(2.25ml、13.1mmol)を添加。反応混合物を150℃にして、静的な窒素ガス源下、攪拌させる。18時間後、一口フラスコに高真空ポンプを接続して揮発性生成物を除去し、その結果生じた不透明な油状物質を直接シリカゲルによるカラムクロマトグラフィーに入れる。石油エーテル/酢酸エチルが1/1の混合液で溶出させ、0.4gのter−ブチル12−(ジエトキシホスホリル)ドデシルカルバメート(ter-butyl 12-(diethoxyphosphoryl)dodecylcarbamate)が無色の油状物質として単離される(収率=14%)。
【0090】
(分光分析データ)IR: 3420, 3371, 2922, 2850, 1687, 1218, 1060.
1H-NMR (400 MHz, CDCI3): 1.20-1.45 (m+t, J=7.0 Hz, 35H), 1.55-1.60 (bm, 2H), 3.05 (brq, 2H), 3.90-4.15 (m, 4H).
13C-NMR (75.3 MHz, CDCI3): 15.6, 24.9-29.8 (10CH2+ t-Bu), 40.0, 61.2, 65.2, 78.3, 155.6.
MS: 421 (M+).
【0091】
d)12−アミノドデシルホスホン酸水素カリウム(Potassium hydrogen- 12-amino dodecylphosphonate)
還流冷却器を備える一口フラスコにter−ブチル12−(ジエトキシホスホリル)ドデシルカルバメート(ter-butyl 12-(diethoxyphosphoryl)dodecylcarbamate)(0.35g、8.3mmol)を秤量し、濃塩酸(1.5ml)を添加。温度を100℃とし、静的な窒素ガス源下で攪拌する。18時間後、高真空ポンプで濃縮し、うす茶色でゴム状の固体を得る。
【0092】
(分光分析データ)IR: 3431, 2900, 2841, 1631, 1470, 1 172, 1045, 952.
1H-NMR (400 MHz, CDCI3): 広域信号: (1.0-1.80, m), brs 2.80, brs 3.40.
13C-NMR (100.4 MHz, CDCI3): 23.0-28.8 (重複信号), 31.2, 33.4.
MS: 265 (M+).
【0093】
[実施例4]
「12−ヒドロキシドデシルホスホン酸水素カリウム(potassium hydrogen-12-hydroxy dodecylphosphonate)の合成」
【0094】
【化5】

【0095】
a)安息香酸12−ブロモドデシル(12-Bromododecyl benzoate)の合成
静的な窒素ガス源下、100mlの二口フラスコで、12−ブロモ−ドデカノール(5.0g、18.9mmol)を秤量し、ピリジン(25ml)を添加し、氷と塩とによる外部浴によって温度を0℃にする。
【0096】
塩化ベンゾイルをゆっくりと滴下し、滴下が完了したら、氷による外部浴を取り去り、常温で攪拌させる。
【0097】
18時間後、酢酸エチル(100ml)と蒸留水(100ml)を添加。有機相を蒸留水(3x50ml)で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水する。これを吸引濾過し、ロータリーエバポレーターと高真空ポンプとによって溶媒を除去する。
【0098】
生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで、石油エーテル/エチルエーテルで5/1の混合溶離液によって精製することにより、安息香酸12−ブロモドデシル(12-Bromododecyl benzoate)4.5gが収率65%で無色の油状として単離される。
【0099】
又は、18時間攪拌後、反応混合物に酢酸エチル(100ml)を添加し、硫酸銅の飽和水溶液(3x80ml)で反応物を洗浄してピリジンを除去する。カラムクロマトグラフィーを用いないこの方法では、収率は90%に向上し、生成物は次の工程で直接使用される。
【0100】
(分光分析データ)
IR: 2926, 2853, 1716, 1269, 1109.
1H-NMR (400 MHz, CDCI3): 1.10-1.60 (m, 16 H), 1.60-1.80 (m, 4H), 3.55 (t, J=6.8 Hz, 2H), 4.25 (t, J=6.8 Hz, 2H), 7.30-7.35 (m, 3H), 8.00-8.05 (m, 2H) ppm.
13C-NMR (75.3 MHz, CDCI3): 25.8, 26.6, 28.5, 28.6-29.3 (6CH2), 32.4, 44.8, 64.8, 128.0, 129.3, 130.3, 132.5, 166.3.
MS: 369 (M+).
【0101】
b)安息香酸12−ジエトキシホスホリル(12-Diethoxyphosphoryl benzoate)の合成
還流冷却器を備える一口フラスコに安息香酸12−ブロモドデシル(12-Bromododecyl benzoate)(4.25g、11.5mmol)を秤量し、亜リン酸トリエチル(4.11ml、24mmol)を添加。反応混合物を150℃にして、静的な窒素ガス源下で攪拌させる。24時間後、一口フラスコに高真空ポンプを接続して揮発性生成物を除去し、その結果生じた不透明な油状物質を直接シリカゲルによるカラムクロマトグラフィーに入れる。酢酸エチル/石油エーテルが1/1の混合溶離液で溶出させ、4.0g(収率=82%)の安息香酸12−ジエトキシホスホリル(12-Diethoxyphosphoryl benzoate)が無色の油状物質として単離される。
【0102】
(分光分析データ)IR: 3663, 3425, 2927, 2844, 1721, 1218, 1064.
1H-NMR (400 MHz, CDCI3): 1.30 (t, J= 7.0 Hz, 6H), 1.40-1.80 (m, 22 H), 3.95-4.05 (m, 4H), 4.25 (t, J=6.0 Hz, 2H), 7.40-7.65 (m, 3H), 8.00-8.05 (m, 2H) ppm.
13C-NMR (75.3 MHz, CDCI3): 16.0, 22.6, 24.2-34.1 (10CH2), 61.0, 65.3, 128.2, 129.4, 131 .4, 167.1.
MS: 426 (M+).
【0103】
c)12−ヒドロキシドデシルホスホン酸水素カリウム(potassium hydrogen-12-hydroxy dodecylphosphonate)の合成
還流冷却器を備える一口フラスコに安息香酸12−ジエトキシホスホリル(12-Diethoxyphosphoryl benzoate)(4.0g、9.3mmol)を秤量し、濃塩酸(10ml)を添加。混合物の温度を100℃とし、静的な窒素ガス源下で攪拌させる。72時間後、酢酸エチル(80ml)と蒸留水(40ml)を添加する。
【0104】
分液漏斗で溶液を分離し、酢酸エチル(3x50ml)で3回以上、水相を抽出する。
【0105】
化合した有機相は、NaClの飽和溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ロータリーエバポレーターと高真空ポンプとによって濃縮する。
【0106】
石油エーテル/酢酸エチルで1/1の溶離液でシリカゲルのカラムクロマトグラフィーを行う。このときに、副生成物である安息香酸が最初に単離され、溶離液を純粋なメタノールに代えると、生成物である12−ベンジルオキシドデシルリン酸(12-benzyloxydodecyl phosphoric acid)が単離される。
【0107】
カラムクロマトグラフィーを継続し、全体の加水化物である12−ヒドロキシドデシルリン酸(12- hydroxydodecyl phosphoric acid)も単離される。共に生じた最後の2生成物は(約2.0g)、次工程で使用される。
【0108】
単離した2生成物を還流冷却器を備える一口フラスコに入れ、メタノール(50ml)、蒸留水(20ml)及び炭酸カリウム(13mmol、1.8g)を添加する。
【0109】
混合物を50℃とし、静的な窒素ガス源下で18時間攪拌させる。
【0110】
メタノールをロータリーエバポレーターで除去し、副生成物である安息香酸メチルを除去するためにエチルエーテル(3x20ml)で3回溶媒抽出する。
【0111】
10%の塩酸を水溶液に添加し、酸性度を上げる。白色の固体が沈殿するので、水をロータリーエバポレーターと高真空ポンプとで除去する。得られた固体は、メタノールで溶かし、塩化カリウムを除去すべく静置する。融点は270〜279℃。
【0112】
(分光分析データ)IR: 3357, 2917, 2850, 1467, 1233, 1 162, 1010, 936.
1H-NMR (400 MHz, D2O): 1.10-1.90 (m, 22H), 3.40 (brs, 2H).
13C-NMR (75.3 MHz, D2O): 24.5, 25.3, 29.0-29.3 (7CH2), 30.5, 31.7, 61.9.
MS: 266 (M+).
【0113】
このときに生じたリン酸は、等モル量のKOHで処理し、メタノール中で加熱することで、相当するカリウム塩が得られる。12−ヒドロキシドデシルホスホン酸(12- hydroxy dodecylphosphonate)のカリウム塩1.3gが、収率57%(安息香酸12−ジエトキシホスホリルからの場合)、白色紛状固体で得られる。融点は336〜348℃
【0114】
(分光分析データ)IR: 3308, 2918, 2851, 2364, 1651, 1553, 1399, 1082, 977, 831.
1H-NMR (400 MHz, CD3OD): 1.20-1.85 (m, 22H), 3.50 (t, J=6.8Hz, 2H)
13C-NMR (75.3 MHz, CD3OD): 22.9, 25.7, 29.1 -29.5 (7CH2), 30.7 (d, J=12Hz), 61.8
MS: 265 (M"), 39 (K+)
【0115】
[実施例5]
「13−エトキシ−13−オキサトリデシルホスホン酸水素カリウム(potassium hydrogen-13-ethoxy-13-oxatridecyl phosphonate)の合成」
【0116】
【化6】

【0117】
a)12−ヒドロキシドデカン酸エチル(ethyl 12-hydroxydodecanoate)の合成
還流冷却器、磁石アンカーを備える100mlの二口フラスコに、静的な窒素ガス源下、12−ヒドロキシドデカン酸(12-hydroxy-dodecanoic acid)(5.0g、23.2mmol)を秤量して入れ、エタノール(20ml)及び塩化アセチル(1.62mmol、0.09ml、0.1eq.)を添加する。
【0118】
混合物を24時間、還流させながら攪拌する。ロータリーエバポレーターと高真空ポンプとで濃縮し、生成物を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィーで、石油エーテル/酢酸エチルが5/4の混合溶離液によって精製する。
【0119】
12−ヒドロキシドデカン酸エチル(ethyl 12-hydroxydodecanoate)3.30gが収率96%で、薄い黄色みを帯びた油状物質として単離される。
【0120】
(分光分析データ)IR: 3662, 2926, 2853, 1731.
1H-NMR (400 MHz, CDCI3):1.05-1.25 (m, 17H), 1.40-1.60 (m, 4H), 2.17 (t, J=7.2Hz, 2H), 2.34 (s, 1 H), 3.49 (t, J=6.8 Hz, 2H), 4.01 (1, J=7.2 Hz, 2H).
13C-NMR (75.3 MHz, CDCI3): 14.0, 24.7, 25.6, 28.9, 29.0, 29.2, 29.2, 29.3, 29.4, 32.6, 34.2, 59.98, 62.6, 173.8.
MS: 234 (M+)
【0121】
b)12−ブロモドデカン酸エチル(ethyl 12-bromododecanoate)の合成
還流冷却器、磁石アンカーを備える100mlの二口フラスコで、静的な窒素ガス源下、12−ヒドロキシドデカン酸エチル(ethyl 12-hydroxydodecanoate)(1.65g、6.7mmol)をジクロロメタン(20ml)に溶解させる。
【0122】
PPh(1.93g、7.4mmol)及びNBS(1.6g、7.0mmol)を添加する。
【0123】
混合物を24時間、還流させながら攪拌する。ロータリーエバポレーターで濃縮し、生成物を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィーで、石油エーテル/酢酸エチルが5/1の混合溶離液によって精製する。
【0124】
12−ブロモドデカン酸エチル(ethyl 12-bromododecanoate)1.92g(収率=92%)が、薄い黄色みを帯びた油状物質として単離される。
【0125】
(分光分析データ)IR: 2926, 2853, 1731.
1H-NMR (400 MHz, CDCI3): 1.20-1.45 (m, 15H), 1.55-1.65 (m, 4H), 1.80-1.90 (m, 2H), 2.30 (t, J=7.0Hz, 2H), 3.40 (t, J=7.1 Hz, 2H), 4.10 (1, J=7.2Hz, 2H).
13C-NMR (75.3 MHz, CDCI3): 14.2, 24.9, 28.1, 28.7, 29.1, 29.3 (2CH2), 29.4, 32.8, 33.9, 34.3, 61.1, 173.8.
MS: 296 (M+)
【0126】
c)13−(ジエトキシホスホリル)トリデカン酸エチル(ethyl 13-(diethoxyphosphoryl)tridecanoate)の合成
還流冷却器を備える一口フラスコに、12−ブロモドデカン酸エチル(ethyl 12-bromododecanoate)(1.8g、7.37mmol)を秤量し、リン酸トリエチル(2.6ml、15mmol)を添加する。
【0127】
反応混合物を150℃にし、静的な窒素ガス源下、攪拌させる。
【0128】
24時間後、一口フラスコに高真空ポンプを接続して揮発性生成物を除去し、その結果生じた不透明な油状物質を直接シリカゲルによるカラムクロマトグラフィーに入れる。酢酸エチル/石油エーテルが1/1の混合液で溶出させ、2.5g(収率=94%)の13−(ジエトキシホスホリル)トリデカン酸エチル(ethyl 13-(diethoxyphosphoryl)tridecanoate)が無色の油状物質として単離される。
【0129】
(分光分析データ)IR: 3684, 3445, 2978, 2853, 1730, 1216, 1058.
1H-NMR (400 MHz, CDCI3): 1.05-1.15 (m, 25H), 1.40-1.80 (m, 4H), 2.0-2.1 (m, 2H), 4.00 (brs, 6H).
13C-NMR (75.3 MHz, CDCI3): 14.0, 15.9, 16.2 (d, J=5.6 Hz), 22.1, 22.2, 24.7, 26.2, 26.8, 29.0, 29.1, 29.2, 30.3 (d, J=16.1 Hz), 34.1, 59.9, 61.1 1 (d, J=6.4 Hz), 63.7(d, J=5.6 Hz), 173.6.
MS: 364 (M+)
【0130】
d)13−エトキシ−13−オキサトリデシルホスホン酸水素カリウム(potassium hydrogen-13-ethoxy-13-oxatridecyl phosphonate)の合成
還流冷却器を備える一口フラスコに、(ジエトキシホスホリル)トリデカン酸エチル(ethyl (diethoxyphosphoryl)tridecanoate)(1.3g、3.6mmol)を秤量し、濃塩酸(2ml)を添加する。
【0131】
混合物の温度を100℃にし、静的な窒素ガス源下、攪拌させる。6時間後、高真空ポンプで濃縮する。粘着性のある白色固体が得られる。
【0132】
水素原子による核磁気共鳴分析は、未だエステルの官能基が存在していることを示している。
【0133】
KOH溶液(水/MeOHが1/1混合物20ml中にKOHを460mg有するもの)を添加し、全量を常温で攪拌させる。
【0134】
翌朝、生成物を乾燥させ、有機性の不純物をEtOAcで除去する。水相部分を濃縮し、得られた粘着性の白色固体にMeOHを10ml添加して、5分間還流させる。
【0135】
ピペットを用いて溶液を分離し、白い残留物を高真空ポンプで乾燥させ、分光分析にかける。
【0136】
生成物が800mg(収率=62%)、白色紛状の固体として得られる。融点は350〜360℃である。
【0137】
(分光分析データ)IR: 3411 (br), 2922, 2848, 1649, 1566, 1410, 1041, 977.
1H-NMR (400 MHz, D2O): 1.00-1.40 (m, 20H), 2.0 (t, J=7.6 Hz, 2H).
13C-NMR (100.3 MHz, D2O): 23.5, 24.4, 26.1, 28.7, 28.9, 31.3, 37.87 (CH2 として識別可能な信号のみ)
MS (m/z): 278/2= 139 (M+)
【0138】
以下に示す合成手順と同様の手順で、12−ヒドロキシアミノ−12−オキソドデカン酸(12-hydroxyamino-12-oxododecanoic acid)が得られる。
【0139】
【化7】

【0140】
「ナノ粒子/2の官能基を有する結合剤との錯体」
[実施例6]
「12−(ヒドロキシアミノ)−12−オキソドデカン酸エチル(ethyl 12-(hvdroxyamino)-12-oxododecanoate)の合成」
【0141】
【化8】

【0142】
「12−ヒドロキシドデカン酸エチル(ethyl 12-hydroxydodecanoate)の合成」
【0143】
【化9】

【0144】
還流冷却器を備える二口フラスコに、アルゴン還流下で攪拌しながら12−ヒドロキシ−ドデカン酸(5.0g、23.2mmol)、エタノール(20ml)及び塩化アセチル(0.09ml、1.62mmol)を添加、混合物を24時間還流する。
【0145】
最後に、ロータリーエバポレーターと高真空ポンプとで溶液を濃縮し、できたばかりの生成物を石油エーテル/酢酸エチルが5/4の溶離液を用いてシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで精製する。所望の生成物5.45g(収率=96%)が薄黄色い油状物質として単離される。
【0146】
(分光分析データ)
1H-NMR δ, ppm (400 MHz, CDCl3): 1.05-1.25 (m, 17H), 1.40-1.60(m, 4H), 2.17 (t, J=7.2 Hz, 2H), 2.34 (s, 1H), 3.49 (t, J=6.8 Hz, 2H), 4.01 (1, J=7.2 Hz, 2H).
13C-NMR δ, ppm (100.6 MHz, CDCl3): 14.0, 24.7, 25.6, 28.9, 29.0, 29.2, 29.2, 29.3, 29.4, 32.6, 34.2, 59.98, 62.6, 173.8.
IR, cm-1: 3423, 2928, 2855, 1737.
MS : 245 (M+1)+
【0147】
「12−エトキシ−12オキソドデカン酸(12-ethoxy-12oxodocecanoic acid)の合成」
【0148】
【化10】

【0149】
有孔の区画を有する一口フラスコに、アルゴン還流下、攪拌しながらアセトニトリル(80ml)を過ヨウ素酸(5.13g、22.5mmol)に添加し、15分後、温度を0℃にする。
【0150】
この条件下で、12−ヒドロキシドデカン酸エチル(ethyl 12-hydroxydodecanoate)(5; 2.5g、10.2mmmol)及び塩化クロム酸ピリジン(PCC;44mg,0.20mmol)をアセトニトリル(20ml)に有する溶液を、フラスコ内に滴下する。
【0151】
滴下後、常温で24時間、反応させる。反応は、酢酸エチル(100ml)の添加で中断される。
【0152】
反応溶液は、蒸留水/塩水(2x50ml)が1:1の溶液、亜硫酸水素ナトリウムの飽和水溶液(NaHSO;2x25ml)及び塩水(2x50ml)で洗浄する。
【0153】
有機相は無水硫酸ナトリウムで脱水し、吸引濾過する。溶媒を留去し、生成物を高真空下で乾燥させると、白色の固体2.45gを得る。
【0154】
生成物を、酢酸エチル/石油エーテルが3/1の混合溶液で溶出するシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製する。
【0155】
所望の生成物2.1g(収率=80%)が白色固体として得られる。上記反応は、「 Hunsen, M. Synthesis 2005, 2487-2490 」による。
【0156】
(分光分析データ)
1H-NMR δ, ppm (400 MHz, CDCl3): 1.26 (m, 15H), 1.61(m, 4H), 2.28 (t, J=7.6 Hz, 2H), 2.35 (t, J=7.4 Hz, 2H), 4.12 (q, J=7.1 Hz, 2H).
13C-NMR δ, ppm (100.6 MHz, CD3OD): 14.5, 26.0, 30.1-30.5, 34.9, 35.0, 61.3, 175.4, 177.5.
IR, cm-1: 2916, 2850, 1739, 1714, 1473, 1432.
MS : 259 (M+1)+
【0157】
「12−(ヒドロキシアミノ)−12−オキソドデカン酸エチル(ethyl 12-(hydroxyamino)-12-oxododecanoate)の合成」
【0158】
【化11】

【0159】
アルゴン還流下、還流冷却器を備える一口フラスコで、攪拌しながらクロロホルム(20ml)に12−エトキシ−12オキソドデカン酸(12-ethoxy-12oxododecanoic acid)(13; 1.5g、5.8mmol)を溶かす。塩化チオニル(SOCl;0.64ml,8.8mmol)を滴下し、還流させながら3時間反応させる。
【0160】
混合物を常温まで冷却し、高真空下で溶媒を除去する。
【0161】
得られた生成物は、ジクロロメタン(20ml)に溶かし、常温で攪拌しながら、ピリジン(10ml)に塩酸ヒドロキシルアミン(hydroxylamine hydrochloride)(0.61g、8.8mmol)を有する溶液を加え、同様の条件で12時間反応させる。
【0162】
全溶媒を高真空下で除去し、残った生成物は酢酸エチル(50ml)に溶かし、蒸留水(3x20ml)で洗浄する。
【0163】
有機相は無水硫酸ナトリウムで脱水し、吸引濾過する。溶媒を留去し、高真空下で乾燥させると、薄い黄色の固体として生成物1.3g(収率=82%)を得る。
【0164】
(分光分析データ)
1H-NMR δ, ppm (400 MHz, CD3OD): 1.27 (m, 15H), 1.60(m, 4H), 2.08 (t, J=7.4 Hz, 2H), 2.30 (t, J=7.2 Hz, 2H), 4.11 (q, J=7.1 Hz, 2H).
13C-NMR δ, ppm (100.6 MHz, CD3OD): 14.5, 25.9, 26.5, 30.0-30.4, 33.1, 35.0, 61.3, 173.4, 175.4.
IR, cm-1: 3421, 2922, 2848, 1735, 1636, 1469, 1421.
MS : 274 (M+1)+
【0165】
[実施例7]
「コバルトフェライト/12−ヒドロキシドデシルホスホン酸 ナノ粒子錯体(Cobalt ferrite/12-hvdroxydodecyl phosphonate acid nanoparticle complexes)(図1の1.2)」
ジエチレングリコール中に重量で3%の、例えば直径5nmのコバルトフェライトであるナノ粒子を含む分散液10gに、軽く加熱したEtOH20gに加えて溶かした12−ヒドロキシドデシルホスホン酸(12-hydroxydodecyl phosphonate acid)0.3gを添加し、全量を常温で2時間攪拌し続ける。
【0166】
アセトンを添加すると沈殿を生じるので、遠心分離する。
【0167】
検体はエタノールに再度分散させ、再び沈殿させ、不純物除去のため遠心分離する。水分を含んだ検体は、所望の溶媒に再度分散させてもよい。
【0168】
[実施例8]
「コバルトフェライト/12−アミノ−N−ヒドロキシドデカンアミド ナノ粒子錯体(Cobalt ferhte/12-Amino-N-hydroxydodecanamide nanoparticle complexes)(図1の1.2)」
ジエチレングリコール中に重量で3%の、例えば直径5nmのコバルトフェライトであるナノ粒子を含む分散液10gに、沸騰水20gに加えて溶かした12−アミノ−N−ヒドロキシドデカンアミド(12- amino-N-hydroxydodecanamide)0.21gを添加し、全量を常温で2時間攪拌し続ける。
【0169】
アセトンを添加すると沈殿を生じるので、遠心分離する。
【0170】
検体はエタノールに再度分散させ、再び沈殿させ、不純物除去のため遠心分離する。水分を含んだ検体は、所望の溶媒に再度分散させることができる。
【0171】
「重合体/官能基を有する分子、無機ナノ粒子との錯体」
[実施例9]
「エチレンジアミノ二酢酸-ビサクリロイルピペラジン(ethylendiamino diacetic acid-bisacryloil piperazine)からなるポリアミドアミン(PAA)で機能化されたナノ粒子化合物の合成(図1の1.2.1)」
ジエチレングリコール中に重量で0.1%の、ヒドロキサミック12−アミノドデカン酸(hydroxamic 12-aminododecanoic acid)で機能化した例えば直径5nmのコバルトフェライトであるナノ粒子を含む水性の分散液10gに、重合体0.02gを含む溶液10gを添加する。
【0172】
トリエチルアミンを数滴滴下してpHを8に調整。溶液を25℃の暗所で2日間攪拌させる。
【0173】
未反応の重合体を除去するAmiconフィルターで生成物を濾過する。生成物は溶液のままでもよいし、特性分析のために乾燥させてもよい。
【0174】
[実施例10]
「機能化されたナノ粒子/シクロデキストリンの化合物の合成」
a)移植された生成物におけるシクロデキストリンを直接固定する手順(図1の1.2.1)
ジエチレングリコール中に重量で0.1%の、例えば直径5nmのコバルトフェライトであるナノ粒子を含む分散液10gに、軽く加熱したEtOH20gにハイドロキサミック12−ヒドロキシドデカン酸(hydroxamic 12-hydroxydodecanoic acid)0.21gを加えて溶かした溶液を添加し、全量を60℃で1時間攪拌し続ける。 アセトンを添加すると沈殿を生じるので、遠心分離する。得られた固体はエタノールに再度分散させ、再び沈殿させ、不純物除去のため遠心分離する。
【0175】
水分を含んだ検体は、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、2g)、4−ヂメチルアミノピリジン(DMAP、0.2g)を添加したDMF(15ml)に再度分散させてもよく、全量を0℃に冷却する。
【0176】
α−シクロデキストリンカルボン酸(6−デオキシ−6−カルボキシ−α−シクロデキストリン、1g)をDMF(25ml)に懸濁させる。これを0℃に冷却し、反応混合物にゆっくりと添加。常温で48時間、攪拌させる。
【0177】
溶液をアセトン(100ml)に注ぎ、生じた沈殿を分離して高真空下で乾燥させる。
【0178】
粗製生成物は、Sephadex CM-25でさらに精製してもよい。
b)官能基を有する結合剤におけるシクロデキストリンの直接固定と、その後のコバルトフェライトへの移植の手順(図1の1.4)
O/EtOHが1/1(20ml)の中に6−デオキシ−6−カルボキシ−α−シクロデキストリン(1g、0.87mmol)を有する溶液に、DCC(197mg、0.96mmol)、DMAP(12mg、0.087mmol、触媒効率10%)及びヒドロキサミック12−ヒドロキシドデカン酸(hydroxamic 12-hydroxy dodecanoic acid)(0.2g、0.87mmol)を添加する。
【0179】
反応混合物は常温で72時間攪拌させる。
【0180】
ヒドロキサミック12−ヒドロキシドデカン酸と結合したシクロデキストリン360mg(30%)を含む粗製生成物は、Sephadex CM-25でさらに精製してもよい。
【0181】
得られた生成物200mgを96%のエタノール20mlに溶かし、これをジエチレングリコール中に重量で0.1%の、直径5nmのコバルトフェライトであるナノ粒子を含む分散液10gに添加する。
【0182】
混合物を常温で2時間攪拌させる。アセトンを添加すると沈殿を生じるので、遠心分離する。 検体はエタノールに再度分散させ、再び沈殿させ、不純物除去のため遠心分離する。検体は、所望の溶媒に再度分散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0183】
【図1】ナノ粒子と前記2官能基化された結合剤からなる錯体の製造方法及び錯体とバイオポリマー、分子(シクロデキストリン、抗体等)及びタンパク質との連続反応に係る模式図である。
【図2a】機能付与前のエタノールの懸濁液におけるZeta電位を示す図である。
【図2b】機能付与後のエタノールの懸濁液におけるZeta電位を示す図である。
【図3a】機能付与前の水の懸濁液におけるZeta電位を示す図である。
【図3b】機能付与後の水の懸濁液におけるZeta電位を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ粒子形状の金属酸化物、鉄、コバルト又はこれらの合金と、1及び2の官能基を有する化合物とからなる安定錯体。
【請求項2】
前記ナノ粒子形状の金属酸化物が、式:MIIIII(ここで、MIIはCo、Ni、FeII、Zn、Mnであり、MIIIはFeIII、Co、Alである)で、示される化合物である、請求項1に記載の錯体。
【請求項3】
前記酸化物は、磁赤鉄鉱型酸化物のFeである請求項2に記載の錯体。
【請求項4】
前記酸化物は、コバルト・フェライトであるCoFe、磁鉄鉱であるFeFe及び磁赤鉄鉱であるFeからなる一群から選択される請求項3に記載の錯体。
【請求項5】
前記1及び2の官能基を有する化合物は、チオール、カルボン酸、エステル、ヒドロキサム酸、リン酸(又はそれらの塩)で脂肪鎖を有するもので構成される一群から選択されるものであって、特に2の官能基を有する結合剤の場合は、二番目の官能基を(ω位置と称する)終端に有する請求項1乃至4に記載の錯体。
【請求項6】
前記二番目の官能基は、OH、NH、COOH、COORからなる一群から選択され、Rはアルカリ金属又は有機的な保護試薬である請求項5に記載の錯体。
【請求項7】
一般式(II):R-(CH)-R
で示され、
nは2乃至20の整数であり、
は、H、OH、NH、COOH、COORからなる一群から選択され、
はCONHOH、PO(OH)、PO(OH)(OR)、COOH、SHから選択され、
はアルカリ金属又は有機的な保護試薬である、請求項6に記載の錯体。
【請求項8】
前記アルカリ金属は、K、Na又はLiからなる一群から選択される請求項7に記載の錯体。
【請求項9】
コバルトフェライトのナノ粒子/12−ヒドロキシドデシルホスホン酸と;コバルトフェライトのナノ粒子/12−アミノ−N−ヒドロキシドデカンアミドと;機能化されたナノ粒子/エチレンジアミノ二酢酸-ビサクリロイルピペラジンからなるポリアミドアミン(PAA)とからなる、請求項1乃至8に記載の錯体。
【請求項10】
所望の結合剤と有機溶媒中で反応させて前記ナノ粒子の分散液を形成し、該分散液を低温で数時間攪拌し続け、得られた反応物の沈殿を遠心分離し、所望の溶媒中で再度分散させて再沈殿させることにより精製してもよい請求項1乃至8に記載の錯体の製造方法。
【請求項11】
2の官能基を有する誘導体の外部の官能基は分子、タンパク質又は重合体に結合される二官能基を有する、請求項1乃至8に記載の錯体からなる化合物。
【請求項12】
前記分子は、シクロデキストリン、葉酸、抗体、ポリアミドアミンから選択される請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
コバルトフェライト/12−ヒドロキシドデシルホスホン酸と、カルボキシルメチル化シクロデキストリンとの結合からなる請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
コバルトフェライト/コバルトフェライト酸/12−アミノ−N−ヒドロキシドデカンアミドと、カルボキシメチル化シクロデキストリンとの結合からなる請求項12に記載の化合物。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【公表番号】特表2009−522200(P2009−522200A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549006(P2008−549006)
【出願日】平成19年1月3日(2007.1.3)
【国際出願番号】PCT/EP2007/050036
【国際公開番号】WO2007/077240
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(507185118)コロロッビア イタリア ソシエタ ペル アチオニ (7)
【Fターム(参考)】