説明

機能性咀嚼食品及びその製造方法

【課題】健康の維持や増進又は回復に役立つ機能性咀嚼食品を提供する。
【解決手段】小麦グルテン、グリアジン分画物及び機能材を含水状態で混捏し、成形することにより、可食性を備えてグミ菓子よりも咀嚼時間が長くなるよう構成される。これによれば、咀嚼回数を増すと共に、可食性により機能材を廃棄することなく摂取し得るので、健康の維持や増進又は回復を適切に図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康の維持又は回復に役立つ生理作用を有する機能性成分を含み、且つ咀嚼力を強化した機能性咀嚼食品及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、我が国では食生活やライフスタイルの欧米化に伴って糖尿病、高血圧症、高脂血症等の生活習慣病が増大しており、少子高齢化社会の到来と相俟って国民の健康指向が高まり、「自分の健康は自分で守る」というセルフメディケーションの考えが広く普及した結果、さまざまな機能性食品、いわゆる健康食品が市場に投入され、その市場規模はいまや1兆円にまで達している。又、加工食品の増加や嗜好の変化等により、若年層では強い咀嚼力を要しない柔らかい食品や糖分を多く含んだ菓子やジュース類を好んで摂取する傾向が強まった結果、う蝕の増加と歯茎の弱体化が進行している。一方、高齢者は歯や歯茎等の口腔内疾患により咀嚼力が減退するため流動食や経腸剤等に頼るケースが多くなる結果、消化器官や舌の機能が減退して言語消失や体力低下をきたし、究極的には老人性痴呆や寝たきり状態なるという問題がある。
【0003】
このような社会情勢を背景として、咀嚼機能を改善しつつ健康の維持と回復を図ることを目的として様々な機能性成分を配合したグミ菓子から成る咀嚼食品が開発されている(特許文献1参照)。又、キシリトールやカテキン等の抗う蝕性成分を配合した機能性チューインガムも開発されている。
【特許文献1】特願2000−276112号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、グミ菓子系の咀嚼食品では、1粒4g前後のグミゼリーを咀嚼した場合に1分以内で溶解してしまい、1度に3粒摂取しても咀嚼時間は2分程度で、咀嚼食品としてその咀嚼時間の長さは充分とは言い難い。一方機能性成分を配合したチューインガムも市販されているが、ガムベースが合成高分子で、可食性でないため、咀嚼後の放棄による環境汚染の問題があると同時に、水不溶性、すなわち唾液に溶解しない機能性成分を配合した場合には咀嚼後廃棄されるガムベースと一緒に機能性成分も廃棄され、完全に有効利用されないという問題がある。
【0005】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、チューインガムのような咀嚼後の廃棄による環境汚染の問題を防止し、更にグミ菓子より少なくとも数倍長い咀嚼時間を有し、加えて健康の維持や増進又は回復に役立つ生理作用を有する機能性成分を含んだ機能性咀嚼食品及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、小麦グルテンと、小麦グルテン由来のグリアジン分画物との混合物に種々の機能性成分を添加して加水状態で混捏することによって、適度の弾力性と集合性を有する可食性で、咀嚼力が強化された機能性咀嚼食品が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
具体的に説明すると、本発明者は、グミ菓子の少なくとも数倍の咀嚼時間、すなわち1粒で5、6分以上の咀嚼に耐えうるものがないか種々検討する中で、咀嚼食品は、チューインガムのように20〜30cm以上も引き伸ばし得る伸展性は不必要であり、適度の弾力性と集合性を有しつつ、小麦グルテン単独のように咀嚼2、3分でぼそぼその状態にならない程度にまとまりを発揮する程度の伸展性があれば良いことを見出した。そのためには咀嚼当初は弾力性があるものの、伸展性と集合性に欠ける小麦グルテンの物性を改良することにし、伸展性のあるグリアジンを小麦グルテンに添加することにした。
【0008】
すなわち、本発明の機能性咀嚼食品は、小麦グルテン、グリアジン分画物及び機能材を含水状態で混捏し、成形することにより、可食性を備えてグミ菓子よりも咀嚼時間が長くなるよう構成されたものである。
【0009】
これにより、小麦グルテンとグリアジン分画物を当量混合して混捏した際には、弾力性があり、数gの塊では5分以上の咀嚼が可能であり、且つ可食性の咀嚼物を得ることができた。
【0010】
従って、本発明によれば、グミ菓子よりも咀嚼時間を長くして咀嚼回数を増すと共に、可食性により機能材を廃棄することなく摂取し得るので、健康の維持や増進又は回復を適切に図ることができる。又、可食性により、チューインガムのような咀嚼後の廃棄による環境汚染の問題を防止することができる。
【0011】
又、本発明の機能性咀嚼食品は、小麦グルテンとグリアジン分画物の比率が重量比で4:6〜8:2であるように構成されることが好ましい。このように、小麦グルテンとグリアジン分画物の比率が重量比で4:6〜8:2であると、グミ菓子よりも咀嚼時間を好適に長くして咀嚼回数を増すと共に、可食性により機能材を廃棄することなく十分に摂取し得るので、健康の維持や増進又は回復を一層適切に図ることができる。ここで、小麦グルテンとグリアジン分画物の比率が重量比で4:6である場合において、これよりも小麦グルテンの割合が少なくなると弾力性が弱くなり、咀嚼時間が5分以下と短くなるので好ましくない。一方、小麦グルテンとグリアジン分画物の比率が重量比で8:2である場合において、これよりも小麦グルテンの割合が多くなると咀嚼当初の弾力性は高いけれども伸展性が極度に小さくなるため、ガム様の噛み応えとしては十分でないので好ましくない。なお本発明の機能性咀嚼食品の噛み応えのよさを確保するには、小麦グルテンとグリアジン分画物をあわせた基材の最小配合量を40重量%程度にすることが好ましい。
【0012】
本発明で用いる小麦グルテンは、活性グルテン又はバイタルグルテンと呼ばれている粉末状小麦蛋白であり、全体量の約8割を分子量約20万〜数百万のグルテニンと、分子量約3万〜8万のグリアジンとで組成し、グルテニンとグリアジンを夫々当量含んでいる。一方グリアジン分画物は、小麦グルテンから分画された分子量約3万〜8万のグリアジンであり、具体的には活性グルテンより30〜70容量%のエタノール水溶液又は酸性(pH3.5〜5.5)の5〜20容量%エタノール水溶液を用いて抽出分離し、乾燥させたものである。ここで、実施例に使用するグリアジン分画物は、pH4.0±0.5で噴霧乾燥して水分散性グリアジンを約70%含むグリアジン分画物、もしくは中和によりpH6.0±0.5で噴霧乾燥してグリアジンを約70%含むグリアジン分画物である。
【0013】
本発明に用いる機能材としては、特に制限は無いが、糖尿病、高血圧、高脂血症等の生活習慣病に有用な抗酸化剤やアミノ酸類、歯周病等の口腔内疾患に有用な成分、免疫力を高める成分、痴呆や更年期障害に有用な成分、抗肥満物質、滋養強壮成分、美白・美肌用成分等が挙げられる。すなわち、本発明の機能性咀嚼食品は、機能材を、お茶カテキン、ブドウ種子プロアントシアニジン、フランス海岸松樹皮抽出物を含むポリフェノール類、ゴマリグナン類、ヘマトコッカス藻由来アスタキサンチン、γ―アミノ酪酸、キシリトール、マスティック(乳香)抽出エキス、プロポリス、フノラン、ニクズクやヨモギの生薬エキス類、アガリクス、メシマコブやヤマブシタケのキノコエキス類、乳酸菌加熱処理菌体末、ラクトフェリン、イソフラボン、イチョウ葉エキス、EPAやDHAの魚類由来高度不飽和脂肪酸、唐辛子末、カプシエイト、コエンザイムQ−10、塩化カルニチン、シトラスエキス、サラシアエキス、ギムネマシルベスタ抽出物、白インゲン豆エキス、桑葉抽出物、ビタミン類、緑黄色野菜エキス、ローヤルゼリー、カルシウム化合物・マグネシウム化合物・亜鉛イースト・鉄剤のミネラル類、滋養強壮用生薬エキス類、セラミド類、ヒアルロン酸のうち少なくとも1種以上にすることが好ましい。
【0014】
このような機能材のうち、お茶カテキン、ブドウ種子プロアントシアニジン、フランス海岸松樹皮抽出物を含むポリフェノール類、ゴマリグナン類、ヘマトコッカス藻由来アスタキサンチン、コエンザイムQ−10は抗酸化剤として生活習慣病に有用であり、γ―アミノ酪酸(ギャバ)は機能性アミノ酸として高血圧の改善に有用であり、キシリトール、マスティック(乳香)抽出物、プロポリス、フノランに加えて、ニクズクやヨモギの生薬エキスは口腔内疾患の予防に有用な成分であり、アガリクス、メシマコブ、ヤマブシタケのキノコエキス、乳酸菌加熱処理菌体、ラフトフェリンは免疫力を高める成分であり、イソフラボン、イチョウ葉エキス、DHAやEPAの魚類由来高度不飽和脂肪酸は痴呆や更年期障害に有用な成分であり、唐辛子末、カプシエイト、コエンザイムQ−10、塩化カルニチン、シトラスエキス、サラシアエキス、ギムネマシルベスタ抽出物、白インゲン豆エキス、お茶カテキン、桑葉抽出物は抗肥満物質であり、ビタミン類、緑黄色野菜エキス、ローヤルゼリー、カルシウム化合物・マグネシウム化合物・亜鉛酵母・鉄剤のミネラル類、生薬エキス類は滋養強壮成分であり、セラミド、ヒアルロン酸は美白・美肌用成分である。又、これらの機能材等の配合量には、特に制限は無いが基材量、添加水量、機能材の最小有効量やコスト等を考慮すると、機能性咀嚼食品の全体量に対して5〜25%程度が好ましい。
【0015】
このように、機能材の種類を選択することにより、上記の如く、口腔内疾患や生活習慣病等の特定疾患の予防食品として活用したり、あるいは特定の年齢層や性別の人を対象とする機能性食品すなわちダイエット志向や美白・美肌に関心を持つ女性向け食品、又は骨、免疫力や記憶力の衰えを抑制したい高齢者向けの食品、更にう蝕を防ぎ、歯茎を強化したい小児や若年者向けの食品として利用できる。従って、予防したい疾患、世代、性別に対応した機能性成分を配合した本発明の機能性咀嚼食品を食することにより健康を維持し、より一層増進、回復することができる。
【0016】
続いて、本発明の機能性咀嚼食品を製造する方法について述べると、本発明の機能性咀嚼食品の製造方法は、小麦グルテン、グリアジン分画物及び機能材を含水状態で混捏し、成形するものである。
【0017】
具体的には、まず混合比率4:6〜8:2の小麦グルテンとグリアジン分画物からなる基材を準備し、この基材に機能材、甘味料、香料等を加えてよく混合し、次いで水を滴々加えてよく混捏する。添加する水の量は基材、機能材、甘味料等の粉末原料の総量に対して1/3〜1/2量を目安とし、例えば手打ちうどんやそばを延ばす際のように全体が一塊になってベタつき感が無く、延し棒等で程よく引き伸ばしできる程度の量である。混合、混捏には100g程度の製造であれば乳鉢と乳棒で可能だが、より多量の製造にはミキサーやニーダー等を用いる。混捏した塊は成形ロールで板状に成形し、所望の大きさに切断することにより咀嚼食品が得られる。咀嚼食品相互の付着を防止するために、D−マンニトールやデンプン等をまぶすこともできるが、更にそれらの外側をシェラックでコーティングしたり、又はシェラックコーティングした後更に砂糖やマルチトールでコーティングした糖衣タイプの咀嚼食品、あるいはシェラックでコーティングした後に更にヘミセルロース系基材でコーティングしたものも作ることができる。
【0018】
これにより、本発明によれば、小麦グルテンとグリアジン分画物の混合物に機能材を添加して加水状態で混捏するという非常に簡便な操作で機能性咀嚼食品を製造することができる。ここで、グリアジン分画物を単独で使用してガム状物を製造する場合には、グリアジンが分子量約3万〜8万の低分子であると共に球状蛋白質であるため、咀嚼に耐え得る弾性力を形成できない。又、グリアジン分画物を単独で使用して弾性力を有するガム状物を製造する際には、グリアジン分画物を加熱処理したり、蛋白質転移酵素による架橋、あるいは焼成等の煩雑な処理が必要になる。
【0019】
又、本発明の機能性咀嚼食品の製造方法は、小麦グルテンとグリアジン分画物の比率が重量比で4:6〜8:2であることが好ましい。具体的には、小麦グルテン:グリアジン分画物の比率の重量比を7:3から8:2までの範囲にすると、基材含量に関係なく、咀嚼時間を15分以上にすることができる。又、小麦グルテン:グリアジン分画物の比率の重量比を6:4付近にすると、機能性咀嚼食品中の基材含量が60%以上の場合には咀嚼時間が15分を超え、基材含量が50%まで低下する場合には咀嚼時間が8〜10分程度に短縮する。更に小麦グルテン:グリアジン分画物の比率の重量比を4:6から5:5までの範囲すると、咀嚼時間を6〜10分程度にすることができる。
【0020】
このように、機能成分の性状を考慮しながら基材の組成比と含量を変動させることにより、機能性咀嚼食品の咀嚼時間を6分程度から15分を超える時間まで任意に設定することができるので、物を飲み込む力の弱い高齢者や低年齢者、あるいは成人にあっても長時間の咀嚼を好まない人には、咀嚼時間が10分を越えない機能性咀嚼食品を提供することができる。一方普通のガムに近い噛み応えを望む成人には、咀嚼時間が15分を超える機能性咀嚼食品を提供することができる。
【発明の効果】
【0021】
上記した本発明の機能性咀嚼食品を咀嚼した際には、グミ菓子よりも咀嚼時間を長くして咀嚼回数を増すと共に、可食性により機能材を廃棄することなく摂取し得るので、健康の維持や増進又は回復を適切に図ることができる。又、可食性により、チューインガムのような咀嚼後の廃棄による環境汚染の問題を防止することができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下のように実施例がある。
【実施例1】
【0023】
実施例1では、表1に示す如く、バイタルグルテン(小麦グルテン)を15.00g、グリアジン分画物を10.00gを取る(ここで小麦グルテンとグリアジン分画物の比率は重量比で6:4である)と共に所定量の機能材(キシリット)、甘味料及び粉末香料を乳鉢に取り、乳棒で良く混合してから他の機能材(マスティック抽出エキス)と油状香料を加えて均一にかき混ぜる。ついで他の機能材(ニクズクエキス、ヨモギエキス)及び精製水を混和した溶液を滴々加えながら乳棒でよく練合し、その塊を圧延ロール(クリアランス:3mm)に通す。圧延ロールに通す作業を更に3回繰り返して厚さ8mmの板状の成形物を得た。この板を幅15mm、長さ20mmに切断し、表面にD−マンニトールをまぶしてから冷蔵庫に一夜保存して機能性咀嚼食品を得た。
【0024】
【表1】

【0025】
実施例1で得た機能性咀嚼食品を1分間に70〜80回の速度で咀嚼した結果、15分を超えてもだれることなく弾力性と集合性のある食感を保っていた。
【0026】
又、実施例1で得た機能性咀嚼食品の機能性として口腔内清浄作用を評価するため、機能性咀嚼食品1粒を咀嚼した前後の口臭を口腔内ガス検知器を用いて測定すると、機能性咀嚼食品服用前には呼気中に60ppmのアンモニアを検出したが、15分間咀嚼後に検出された呼気中のアンモニアは10ppm以下であった。すなわち実施例1の機能性咀嚼食品を咀嚼した後でうがい液に含まれた尿素がアンモニアへ変化する量が大幅に減少したことは、本実施例の機能性咀嚼食品が口腔内の細菌を大幅に減らす清浄作用を有することを証明するものである。
【0027】
続いて、表2の如く、実施例1の機能性咀嚼食品(下記の実施例3の機能性咀嚼食品も含む)と、従来の市販のグミ菓子と、市販の板ガムとについて5名のパネラーにより咀嚼時間を測定し比較した。ここで、市販のグミ菓子は、還元水飴等の基材にゼラチン等の増粘材を添加したものであり、市販の板ガムは、高分子材料に香料等を加えて熱処理、成形したものである。
【0028】
【表2】

【0029】
この結果、実施例1の機能性咀嚼食品は、グミ菓子よりも咀嚼時間が長く、板ガム(チューインガム)と異なって可食性があることが明らかである。
【0030】
従って実施例1の機能性咀嚼食品によれば、グミ菓子よりも咀嚼時間を長くして咀嚼回数を増すと共に、可食性により機能材を廃棄することなく摂取し得るので、健康の維持や増進又は回復を適切に図ることができる。又、可食性により、チューインガムのような咀嚼後の廃棄による環境汚染の問題を防止することができる。更に、性別を問わず小児から高齢者までの幅広い年齢層を対象とした口腔内清浄の効果を有することができる。
【実施例2】
【0031】
実施例2では、表3に示す如く、バイタルグルテン(小麦グルテン)を18.20g、グリアジン分画物を9.80g取る(ここで小麦グルテンとグリアジン分画物の比率は重量比で6.5:3.5である)と共に、機能材(ドロマイト(ミネラル類)、ビタミンミックス−マルチ(ビタミン類)、ピロリン酸第二鉄、亜鉛イースト、イソフラボン)、甘味料、粉末香料を乳鉢に取り、乳棒でよく混合してから油状香料を加えて均一にかき混ぜる。ついで精製水を滴々加えながら乳棒でよく練合し、その塊を圧延ロールに通し、以下実施例1と同様に成形、切断、D−マンニトールをまぶし、冷蔵庫内一夜保存を行って機能性咀嚼食品を得た。
【0032】
【表3】

【0033】
実施例2を実施例1と同様に評価した結果、実施例2の機能性咀嚼食品は咀嚼開始15分後においてもだれることなく弾力性とまとまりを維持した。
【0034】
従って、実施例2の機能性咀嚼食品によれば、実施例1と同様に健康の維持や増進又は回復を適切に図ることができ、同時に、実施例2の機能性咀嚼食品には、ミネラルとビタミンを備えるので、不足しがちな中高年やダイエット志向の女性に効果があると共に、女性ホルモン様の生理活性を有するイソフラボンを配合したので、若年者から高齢者まで幅広い年齢層の女性に好適に適用することができる。
【実施例3】
【0035】
実施例3では、表4に示す如く、バイタルグルテン(小麦グルテン)を14.85g、グリアジン分画物を12.15gを取る(ここで小麦グルテンとグリアジン分画物の比率は重量比で5.5:4.5である)と共に、機能材(イチョウ葉エキス末、ラクトフェリン、お茶カテキン(サンフェノン)、亜鉛イースト、キシリトール)、甘味料及び粉末香料を乳鉢に取り、乳棒でよく混合してから機能材(DHAオイル、EPAオイル)及び油状香料を加えて均一にかき混ぜる。ついで精製水を滴々加えながら乳棒でよく練合し、その塊を圧延ロールに通し、以下実施例1と同様に成形、切断、D−マンニトールをまぶし、冷蔵庫内一夜保存を行って機能性咀嚼食品を得た。
【0036】
【表4】

【0037】
実施例3を実施例1と同様に評価した結果、実施例3の機能性咀嚼食品は10分間咀嚼することができた。
【0038】
従って、実施例3の機能性咀嚼食品によれば、実施例1と同様に健康の維持や増進又は回復を適切に図ることができ、同時に、実施例3の機能性咀嚼食品には、イチョウ葉エキス、ラクトフェリン、DHA及びEPA等を配合するので、抗痴呆作用、免疫力増強作用、発ガン予防作用、抗炎症作用、抗動脈硬化作用及び脂質低下作用等を有し、痴呆、癌、関節炎、動脈硬化等の疾患に罹患しやすい高齢者に好適に適用することができる。
【実施例4】
【0039】
実施例4では、表5に示す如く、バイタルグルテン(小麦グルテン)を345g、グリアジン分画物を230gを取る(ここで小麦グルテンとグリアジン分画物の比率は重量比で6:4である)と共に、機能材(キシリット)、甘味料及び粉末香料をニーダーに取り、良く混合してから油状香料と機能材(マスティック抽出エキス)を加えて均一に混合する。ついで機能材(ニクズクエキス、ヨモギエキス)及び20重量%グリセリン水溶液を混和した溶液を滴々加えながらよく練合する。得られた塊を5.0mm、4.0mm、3.5mm及び3.0mmのクリアランスの圧延ロールにそれぞれ4回ずつ通し、厚さ8mmの板状の成形物を得た。この板を幅15mm、長さ15mmに切断し、表面にD−マンニトールをまぶした。
【0040】
次にこの機能性咀嚼食品の全量を連続通気式のコーティング装置に入れ、白シェラックのアルコール溶液40mLを表6の条件で噴霧してシェラックコーティングした機能性咀嚼食品を得た。
【0041】
【表5】

【0042】
【表6】

【0043】
実施例4を実施例1と同様に評価した結果、実施例4の機能性咀嚼食品は咀嚼後15分間だれることがなかった。
【0044】
従って、実施例4の機能性咀嚼食品によれば、実施例1と同様に健康の維持や増進又は回復を適切に図ることができ、同時に、実施例4の機能性咀嚼食品には、キシリット、マスティック抽出エキス、ニクズクエキス、ヨモギエキス等を配合するので、口腔内疾患を好適に予防することができる。
【実施例5】
【0045】
実施例5では、実施例7と同様にして得たシェラックコーティング済みの機能性咀嚼食品を連続通気式のコーティング装置に入れ、表8に示す糖衣液を表7の条件で噴霧して糖衣タイプの機能性咀嚼食品を得た。
【0046】
【表7】

【0047】
【表8】

【0048】
実施例5を実施例1と同様に評価した結果、実施例5の機能性咀嚼食品は咀嚼後15分間だれることがなかった。
【実施例6】
【0049】
実施例6では、実施例4と同様にして得たシェラックコーティング済みの機能性咀嚼食品を連続通気式のコーティング装置に入れ、表9に示すコーティング液を表10の条件で噴霧してフィルムコーティングタイプの機能性咀嚼食品を得た。
【0050】
【表9】

【0051】
【表10】

【0052】
実施例6を実施例1と同様に評価した結果、実施例6の機能性咀嚼食品は咀嚼後15分間だれることがなかった。
【実施例7】
【0053】
実施例7では、表11に示す如く、バイタルグルテン(小麦グルテン)を19.60g、グリアジン分画物を8.40g取る(ここで小麦グルテンとグリアジン分画物の比率は重量比で7:3である)と共に、機能材(L−カルチニン、CoQ−10、白インゲン豆エキス、サラシアエキス、ギムネマシルベスタ抽出物、マルチトール、κ−カラギーナン)、甘味料、粉末香料を乳鉢に取り、乳棒でよく混合してから油状香料を加えて均一にかき混ぜる。ついで精製水を滴々加えながら乳棒でよく練合し、その塊を圧延ロールに通し、以下実施例1と同様に成形、切断、D−マンニトールをまぶし、冷蔵庫内一夜保存を行って機能性咀嚼食品を得た。
【0054】
【表11】

【0055】
実施例7を実施例1と同様に評価した結果、実施例7の機能性咀嚼食品は咀嚼開始15分後においてもだれることがなかった。
【0056】
従って、実施例7の機能性咀嚼食品によれば、実施例1と同様に健康の維持や増進又は回復を適切に図ることができ、同時に、実施例7の機能性咀嚼食品には、L−カルチニン、CoQ−10、白インゲン豆エキス、サラシアエキス、ギムネマシルベスタ抽出物、マルチトール、κ−カラギーナンを備えるので、抗肥満物質を好適に摂取することができる。
【実施例8】
【0057】
実施例8では、表12に示す如く、バイタルグルテン(小麦グルテン)を290g、グリアジン分画物を290gを取る(ここで小麦グルテンとグリアジン分画物の比率は重量比で5:5である)と共に、機能材(キシリット)、甘味料及び粉末香料をニーダーに取り、良く混合してから油状香料と機能材(マスティック抽出エキス)を加えると共に、潤滑剤(ナタネ油もしくは大豆油又はコーン油)を全量の2〜6重量%好ましくは4重量%で加えて均一に混合する。ついで機能材(ニクズクエキス、ヨモギエキス)及び精製水を混和した溶液を滴々加えながらよく練合する。得られた塊を70〜120℃好ましくは80〜100℃の条件で処理し、次いでこの塊を5.0mm、4.0mm、3.5mm及び3.0mmのクリアランスの圧延ロールにそれぞれ4回ずつ通し、厚さ8mmの板状の成形物を得た。この板を幅15mm、長さ15mmに切断し、表面にD−マンニトールをまぶした。
【0058】
次にこの機能性咀嚼食品の全量を連続通気式のコーティング装置に入れ、白シェラックのアルコール溶液40mLを表13の条件で噴霧してシェラックコーティングした機能性咀嚼食品を得た。
【0059】
【表12】

【0060】
【表13】

【0061】
実施例8を実施例1と同様に評価した結果、実施例8の機能性咀嚼食品は10分間咀嚼することができた。
【0062】
従って、実施例8の機能性咀嚼食品によれば、実施例1と同様に健康の維持や増進又は回復を適切に図ることができ、同時に、実施例8の機能性咀嚼食品には、キシリット、マスティック抽出エキス、ニクズクエキス、ヨモギエキス等を配合するので、口腔内疾患等を好適に予防することができる。
【0063】
尚、本発明の機能性咀嚼食品及びその製造方法は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、機能材は可食により有用な成分を備えるならば他のものでも良いこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小麦グルテン、グリアジン分画物及び機能材を含水状態で混捏し、成形することにより、可食性を備えてグミ菓子よりも咀嚼時間が長くなるよう構成されたことを特徴とする機能性咀嚼食品。
【請求項2】
小麦グルテンとグリアジン分画物の比率が重量比で4:6〜8:2であるように構成された請求項1記載の機能性咀嚼食品。
【請求項3】
機能材を、お茶カテキン、ブドウ種子プロアントシアニジン、フランス海岸松樹皮抽出物を含むポリフェノール類、ゴマリグナン類、ヘマトコッカス藻由来アスタキサンチン、γ―アミノ酪酸、キシリトール、マスティック(乳香)抽出エキス、プロポリス、フノラン、ニクズクやヨモギの生薬エキス類、アガリクス、メシマコブやヤマブシタケのキノコエキス類、乳酸菌加熱処理菌体末、ラクトフェリン、イソフラボン、イチョウ葉エキス、EPAやDHAの魚類由来高度不飽和脂肪酸、唐辛子末、カプシエイト、コエンザイムQ−10、塩化カルニチン、シトラスエキス、サラシアエキス、ギムネマシルベスタ抽出物、白インゲン豆エキス、桑葉抽出物、ビタミン類、緑黄色野菜エキス、ローヤルゼリー、カルシウム化合物・マグネシウム化合物・亜鉛イースト・鉄剤のミネラル類、滋養強壮用生薬エキス類、セラミド類、ヒアルロン酸のうち少なくとも1種以上にした請求項1記載の機能性咀嚼食品。
【請求項4】
小麦グルテン、グリアジン分画物及び機能材を含水状態で混捏し、成形することを特徴とする機能性咀嚼食品の製造方法。
【請求項5】
小麦グルテンとグリアジン分画物の比率が重量比で4:6〜8:2である請求項4記載の機能性咀嚼食品の製造方法。

【公開番号】特開2006−109751(P2006−109751A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−299938(P2004−299938)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(591018648)明治薬品株式会社 (5)
【Fターム(参考)】