説明

機能縁体付き下着

【課題】 「股間よじ分け開口形式の下着」は布素材のみで製作されるものである為にその縁部の形を維持する為には立体縫いによる生地どうしの摩擦や外着の外力による圧着やタブ部の垂れ下がりを容易にする為の空間が必要だった。ズボン下形式のものでは耳様のタブ部と花弁様の身頃の所作とその行儀が心配された。それらを安定させる為の合成樹脂類をタブ部の縁部などへ入れることを考えるが合成樹脂類の硬さゆえに歩行時や屈脚時においてはそれらの縁部が内太股から外れてしまう心配や、他にも多くの懸念があった。
【解決手段】 それらを取り巻く種々の懸念は伸縮穴・ジグザグ形状・股関節屈曲部・微弱なピアノ線・ペニス穴・制止爪・股上調整部・回転屈曲部・解除ボタン・J字部・形状記憶合金・バネ性による身体の締め付け・等々の様々な機能を統合させた機能縁体となるフレームを考えることによって初歩的な問題が解決された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
合成樹脂類等の伸縮性や柔軟性を利用した最新の下半身用下着に関する。
【背景技術】
【0002】
【実用新案登録文献1】
登録第3118992号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
設定登録となった「股間よじ分け開口形式の下着」は機能縁体付き下着と一部分を除いては同一の縁部によって形作られた画期的な下着であったが、布素材のみで製作されるものである為にその縁部の形を維持する為には立体縫いによる生地どうしの摩擦や外着の外力による圧着やタブ部の垂れ下がりを容易にする為の空間が必要だった。特にズボン下形式の「股間よじ分け開口形式の下着」においては耳様の大型タブ部の所作とその行儀が心配された。立体縫いされる花弁様の後外身頃等の状況も生地どうしの摩擦力だけで果たしてその形態を保持し続けることが出来るかどうかも心配された。
【0004】
現在の下半身用下着の主流は腸骨を締め付けるような伸縮性を保ちつつ、且つタイトなデザインの下着が多くの愛好者によって愛用されている。タック切込みによる空間が広く空けられて形作られる下半身用下着は時代の精神に反するかのようで見向きがされない。海外のスポーツ選手であってもタイトなタイツ類を着用している。おそらく軍関係者などにおいてもそういう下着や外着を好む傾向があるかも知れない。ズボン下形式の「股間よじ分け開口形式の下着」が不細工な下着とされて普及・愛用されなければアイデアを想起した意味が無い。
【0005】
大型タブ部と花弁様の後外身頃等を安定させる為の合成樹脂製の縁素材をタブの縁部と後外身頃の縁部へ入れることを考えるが合成樹脂類等の硬さゆえに歩行時や屈脚時においてはその縁部が内太股から外れてしまう懸念があり、また激しい運動時などでは発熱発火も危惧された。そしてまた、ファスナーやマジックテープやホック釦よりも異質な感じとなる合成樹脂類等の素材で形作られる縁部を有する肌着や下着の着心地はどのようなものかと考え続けた。
【0006】
やがてそれらを取り巻く種々の懸念はジグザグ形状・股関節屈曲部・微弱なピアノ線・ペニス穴などの様々な機能を結合させた機能縁体となるフレームを考えることによって初歩的な問題が解決された。
【発明の目的】
【0007】
本発明は地獄の現場や過酷な任務地へ赴いて難儀なオペレーションを敢行し、作業し、戦う人々のためにささげられる。そしてまた不自由な境地に居住している人達にも提示される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
図1は機能縁体となる左身頃体40に縫着されるフレーム全体を射出成型したものを平面上に展開した図である。図は主図となる機能縁体(左用)41に加えてそれと一対となる機能縁体(右用)31の断片も載せている。その双方はa部とa’の部分とf部とf’の部分が異なるだけで他の部分は細部では右と左で裏返った形態となるが大まかな外観は左右対称に成型される。そしてa部とa’部が接着されて双方の機能縁体が強固に一体化されるヨーク部を構成する。a部と類似した形態となる後端のb部は一体化されずに左右の身頃体のゴム線収縮部間に挟まれる格好で縫着される。左右で一対となるb部間は脊椎が位置することと、股間よじ分け開口時にそのb部どうしが中央寄りに移動して接近する仕組みとなる為、一体化させない。
【0009】
機能縁体が身体と生地の柔軟な動きに順応して各部分で屈曲し、伸縮しやすいようc・c”部のような伸縮穴を空け、d・h・g・kのような屈曲穴を空けた。とくに股関節上に位置するg部は重要な働きをする。が、それは後述する。屈曲穴以外での柔軟な動きや伸びなどは機能縁体の股関節屈曲部g近辺に刻まれる平べったい脊柱様の部分が体温を含み込みつつ図2のような前かがみの姿勢となったときにも下着及び身体と一体となった屈曲をしてくれる。腹部屈曲部dと下腹部屈曲部hは標準的な人体腹部のおおよその屈曲位置となっている。
【0010】
内太股から尻下へいたるジグザグ状の部分は、やはり体温を含み込みつつ柔軟な屈曲にも順応できる形態にしている。合成樹脂類特有の冷感をやわらげる為にはジグザグのデザインや機能縁体上部に見られる蛇行様の穴貫きか、又は網状の貫きが必要となる。臀部をコイルバネの如くに被うl’部も細部においては微細な穴貫きが必要となる。そのコイルバネ様の部分は機能縁体のどの部分よりも伸縮率が大きくなるため図2のような前かがみの姿勢をとれば尻下方向へ引かれて最大に伸ばされる。l’部の鋭角に描かれたバネの角々には引っ張りに耐えられるC形の補強が欠かせない。l’部が他の部分よりも大きく幅広に描かれた理由はその部分を クリン、クリン と二重四重に折り捲り易くするために太めに描いた。その部分を二重四重に折って対半身側の臀部の曲面へ添わせてしまえば、l’部が幅広であることにもよって自然な状態では元の状態に戻り難くもなる。(図11参照)
【0011】
機能縁体付き下着の耳様タブ部は「股間よじ分け開口形式の下着」のものよりも腰骨方向へ不自然なほどに拡幅されて内太股を幅広く覆う形態となった。その理由は機能縁体の股関節屈曲部を図5の如くに人体の実際の股関節回転軸上の適所へ位置させて股関節と同調した動きで屈曲させたい為だ。股関節屈曲部はその位置が人体の股関節回転軸近辺でなければならず、他の場所ではリンパや血管を圧迫してしまう為、不快感となる。また、g部が股関節から大腿骨に渡っての足腰の硬い部分へ懸からなければ異物的な感触となり、内太股からも外れやすくなる。内太股へ至るジグザグ部分は激しい運動の後では鼠径部の下へ食い込んで来る可能性もあり、可能な限り図5のs間の間隔を広げて近代においては靴下留めが締めていた部分へ遠ざけた。ジグザグ部分が鼠径部の下へ上昇するのを防止する為には太股裏のj部を補強し、身頃体裾部に付けた締布87を締めるなどの処置によっても改善される。しかしながら股関節屈曲部gの上下と尻下屈曲部kの下へ刻まれる平べったい脊柱様の部分は、ジグザグ部分が股間へ向かわぬよう、完成時では大腿の外側へ向かうように熱処理等で曲げられる為、それらの危惧や防止策を講じる意味は薄らぐ。(大腿骨の骨頭が腸骨に填まっている部分が股関節となる。)
【0012】
理想となる機能縁体の形態は図1よりも図3の形態が最良のものとなるが図4の如く縫着が厄介と思われる事を懸念し、展開された身頃各部の布形と機能縁体の曲線とがほぼ一致する素のフレームが描かれた図1を主図とした。本意の形態となる図3の機能縁体は股関節屈曲部gと尻下屈曲部kを中心とした全体が身体の両側面へ拡がるように完成時では非着用時の図6の形態となるように形作られる。着用時は機能縁体全体が縦方向へゆるやかに伸び、股関節屈曲部と尻下屈曲部以下の部分が内側へ大きく引き下げられる格好となる。そのため内太股へは450g〜650g程度の負荷が加えられる。そのような形態に形作ることによって機能縁体全体がバネ性を得て下半身と脚部が如何様な姿勢となっても股関節屈曲部と尻下屈曲部以下のタブ部と一体のジグザグ部分が太股から離れることなく脚部の動きと一体化されて絶妙な感じで動き回ってくれる。他の方法では双方のタブ部を各々の身頃体の外側と内側へマジックテープ等で強制的に貼り付けて大腿の力だけで動かす方法もあるが無機的な機能縁体を生き々きと活かすためには、それ自体にバネ性を与えたほうが面白く楽しい。また、機能縁体全体が身体の両側面へ拡幅しようとする力は縫い込まれた双方の身頃体へ伝わって同方向に作用する為、身体を内側へ締め付ける力となって働く。(図7内の黒と白の矢印に注目。)
【0013】
図3の機能縁体は完成品から剥ぎ取ってガラス板の間へ挟んで展開した格好となり、股関節屈曲部gと下腹部屈曲部hと尻下屈曲部kの周辺の各々の機能縁体の角度が理想的なものとなっている。なんらかの工夫で図3の状態の機能縁体が身頃各部の布形と合致されて縫着されてしまう方法や装置等があればよい。が、やはり厄介となれば図1の機能縁体を身頃各部へ縫着した後に高温プレス加工等で図3の形態となるように変形させる。
【0014】
股関節屈曲部gの下方と尻下屈曲部kの下方の平べったい脊柱様の部分は機能縁体と一体のタブ部が運動する大腿へ瞬時に沿うよう、適度のバネ性が発揮されなければならず合成樹脂類等のみの反発力では絶妙な動きとならない場合は別素材を加えるか、図3図内のp・q・rの形状となる適度な強度のピアノ線の封入が必要となる。またはバネ性を発揮させられる形状記憶合金等が利用可能であれば、それらを封入することによって高温プレス加工等の変形工程が省略される。
【0015】
図7の如く機能縁体は各身頃体の縁部へ沿って、右身頃体30においては外側へ、左身頃体40においては内側へ取り付けられる方法が最良となる。(図名のt−t’は図8のt−t’の部分の断面となる。)機能縁体が各身頃体の縁部へ延長された布しろ等で包まれる包み込み縫いがされると前後左右上下からの生地の摩擦と細かな折り皺によって機能縁体の柔軟な動きが減じられてしまう。機能縁体の外縁の一部が縫われることを可としても全体の包み込み縫いは機能をそこない、野暮となる。それゆえに機能縁体本体の材質はミシン針によって布地面へ直接に縫込まれる薄い部分が設定された耐衝撃性の樹脂類等で成型される。図3では三ヶ所の機能縁体の断面を黒色で拡大して載せたがどの断面にも極薄の厚みとなるミシン糸縫込み部が設定される。(図中のm−m’、n−n’、o−o’はそれらの断面位置。)また、機能縁体は図1及び図3を除いた他の図の図中に於いては簡略化した形態で描いた。
【0016】
生地の伸縮性に機能縁体全体が順応出来るように平べったい脊柱様の部分やジグザグ部やコイルバネ様の部分がそれらに刻まれたが個々人によっては体形が大きく異なる為に図3内の円枠の中へi部を分割して長さを調節できる仕組みの股上調整部を新たに描き加えた。その参考として載せた股上調整部は前側のe、e’部のみに有っても良いし、後と前の四ヶ所へ取り付けてもよい。が、前側にあれば股関節屈曲部を最良の位置へ落ち着かせる調整部となってくれる。円枠内の図は串団子形の穴を引き分けて左上に描かれた二つのボタン部分を任意の位置へ填め込むことによって四段階の微調整が出来る仕組みとした。それらが前部にもあれば前後左右で(人体も機能縁体も左右で微妙に異なる為。)16段階以上の微調整ができる。
【0017】
股関節屈曲部を設けて身頃体のタブ部を不自然に腰脇へ拡張させた為に「股間よじ分け開口形式の下着」ではブリーフ的に開けることの出来た前部開口部が封じられてしまう不都合が生じた。が、その部分へ、ペニス穴を空けることにより解決した。(図8及び図9などに描かれるペニス穴は解りやすいように丸く小さく描いたが実際ではもう少し縦長にして下方へ伸びる形態とする。)
【0018】
ペニス穴は左身頃体と右身頃体の両方に開けられた穴となり、その双方の穴を図9の如くに中央寄りに引き合わせることによって開口させることが出来るが機能縁体にはバネ性がある為、交錯させたペニス穴を快適に使うことが出来ない。そこで双方のペニス穴が両脇へ戻ろうとする動きを止める制止爪f及びf’を設けて噛み合う仕組みを構築した。それの係留と解除の方法は、開口時では右手の親指を左身頃体の下腹部屈曲部周辺の縁に当てて左腰方向へ押しながら中指あるいは人差し指を右身頃体の奥の下腹部屈曲部の縁へ押し込み引っ掛けて引けば図7の細部の如くに制止爪fは内側へ向き、制止爪f’は外側へ向いている為、双方の爪が左右へ交錯した後に双方の機能縁体の縁を自然に捕えてロッキングする。その制止を解くには、やはり右手の親指と中指などを使ってその部分の制止を押し込み弾けば解除される。
【0019】
尻下屈曲部k以下の脊柱様の部分は尻下の直下ではなく大腿の後部へ位置するようにb部からの距離が長くなるように形作る。その部分が臀部の付け根以下の大腿へ位置させないと着座姿勢時に尻下へ入り込んで不快感や違和感となってしまう。機能縁体と生地とが理想的な伸縮をするのならばその必要は無いが、少なくとも座骨部の真下とならぬような配慮と余裕が必要となる。機能縁体のj部は脊柱様の部分が大腿の付け根以下となり、着座時では陰嚢の真下となったときにその部分を排尿等で汚さぬように配慮するため、J字形の形態に曲げて空けた。最近は自動車化狙撃強襲旅団などの兵科の機動化が進んでいるため、また身体能力の低い兵も微増した為、銃眼下で用便可能な衣服が要求される。
【0020】
図10と図11は解りやすくする為に右身頃体30を取り除いた。そして左身頃体40だけが各々によじ分け捲られる状況を図解したイラストである。が、右身頃体30が各々の図の左側に右と同様のシンメトリーな状態で存在する状況をイメージされたい。図10においての着座時の排尿は股関節軸上のタブ部を引き起こして逆側へ返し、右身頃体30のタブ部も同様に逆側に返されることによって股間下のJ字となる部分までもが空いて排尿が可能となる図である。が、問題は左身頃体の奥にあるタブ部が適度な強度のピアノ線の封入によって航空機のフラップのようにしか動かないのであれば、それを引き出すことが難しくなる。そこで図10の右の円枠内に示した下腹部屈曲部の真下へ位置する回転部とその部分の回転を解除するボタンを設置することにした。
【0021】
円枠内の図はドラフト段階のものだが要点は得ている。解除ボタンの周囲は外着の着圧からボタンが押されて解除されることを防ぐボタンガードが円囲みの塀となって保護する形態となり、そのボタン下が回転の軸となるようにコンパクト化された構造となる。解除ボタンが押されると円枠図内の矢印方向へ回転するために奥まったタブ部を引き起こさずに下方へ回して引出すことが出来る。タブ部が解除されて引き出されるとジグザグ部分が内股間にだぶってしまうのでタブ部を交互によじ分け捲った後は裏返った状態のままで再びロックし、だぶつきを無くして用便をする。そしてタブ部を元の状態に戻したい時は捲りを戻して回転部以下の部分を奥へ押し込んでやれば自動的にロックされる。しかし、機能縁体が予測に反して柔軟な動きをしてくれるのならば回転部と解除ボタンは不用なものとなる。
【0022】
図11は身頃体の後部が臀部の四半球部近辺へよじ分け捲られた図であるが機能縁体後部のb部が背腰脇の位置から中央下部へ移動している状態となっている。下半身用下着にはゴム線またはゴムベルト等の収縮部がある為、それらの余剰伸縮を得ることによってb部が引き下げられて図の位置へ寄った状況となる。b部を脇腹に置かずに背腰脇へ置いた理由は少しでも脊椎寄りに位置させたほうが股間部から臀部に至る開口が容易となり、折り捲り易くもなる為、その部分へ位置させた。
【発明の効果】
【0023】
機能縁体付き下着の着ごこちは内太股に弱い負荷のかかった軽快なものとなる。陰部の間に生地以外の樹脂類がない為、太股上げ運動が何十回でも出来、タブ部から臀部へ至る布縁の乱れも無い。屈脚時の生地皺も起立すれば機能縁体の滑らかな面部とバネ性によって雲散霧消される。屈脚して左身頃体のタブ部をクリン、と捲ると内太股からj部近辺までもが一遍に捲れてしまう。そして
クリン、クリン
と再び捲ると片尻側へ巻かれたままで静止した。左身頃体の内太股内に挟まれている右身頃体のタブ部を引出し、更に回転部の解除ボタンを押して奥まっている股関節屈曲部を引出して左身頃体と同様にタブ部の全体を捲ると臀部の全てが露出される。左右に交錯して捲られたl’とl”部は幅広である為と尻の曲面へ添って反ってしまうために捲れ戻ることが無い。用便後に手を使ってその部分の反りを返してやると右身頃体はジュルン、と左身頃体の奥へ入り込んで半自動的な身繕いをする。前部のタブ部は丁寧に左身頃体の内太股内へ差し入れてやる必要があり、股関節屈曲部を奥へ押し込んでやると、自動的にロックされる。左身頃体のタブ部はそれらの必要がなく普通にその反りを返せばよい。
パフン、パフン
という小気味のよい音とともに機能縁体と身頃体の縁部が身体の曲面へ添って一体化され、下半身全体を心地よく締め付けた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
機能縁体付き下着の左右の身頃の縁部の形態は「股間よじ分け開口形式の下着」の布形図5(本考案の股間よじ分け開口形式のズボン下形下着の布形図である。)での縁部の形態と全体的には同じとなるが機能縁体付き下着で新たに股関節屈曲部へ拡幅された身頃分の生地が追加され、ペニス穴が空けられた部分の生地がマイナスされる身頃となる。本機能縁体付き下着の身頃はニット地などでも編み上げられる可能性がある為、また多様な身頃の形割り方法もある為、あえて描かなかった。本明細書内では「股間よじ分け開口形式の下着」の布形図内で図示された左右のタブ付き股下身頃と左後外身頃・右後内身頃、あるいは他の様式となる身頃を縫い上げて立体化される立体物を総括して右身頃体および左身頃体という呼び名で記した。
【0025】
包み込み縫いは幅広で複雑な形態の物を包み込むのが不適切となる為、本明細書内では機能縁体をバリバリと縫って直付けする方法をとったが、他の布地を縁形に切って機能縁体をサンドイッチする方法もあった。その場合は機能縁体の極薄の厚みとなるミシン糸縫込み部分が不要となる。キュプラ地のような極薄で滑らかな生地を幅広の縁形に切り、それを裏地的に縫い付けた後に機能縁体の調整部(前面側の部分)となる二つのボタン部分をそのキュプラ地の曲がりくねった長い筒の中へ潜らせて通せば高温プレスの工程が無用となる為、機能縁体は初めから図3の形態のままに射出成型すれば良いことになる。(尻下のj部のカーブが機能縁体の貫き通し時に不利な形態となるが、その部分は通常のストリームラインとなってもよい。そのほうが着座感が良くもなる。)機能縁体が裏地内の全体へ潜った後に調整部として分離されたe、e’部のボタンとボタンホールを填め、ゴム線収縮部を縫い込み、曲がりくねった各所をポイント的に縫って機能縁体を縁部へ縫い留めて固定させる。裏地内へ潜ってしまったf、f’部はボタンホール状の切込みを作って出し、調整部は外部からの適度な圧迫によって二つのボタン部分が八つの穴間を自在に移動出来る加減に金型設計しておく。また回転部の解除ボタンも裏地に潜ってしまうが、それも反応動作が裏地外からでも敏感になるよに仕組くんでおく。
【実施例1】
【0026】
軍での採用は厳しいトライアル・テストを経た後に競合社の中から選出されなければならず、第一に耐久性が要求される。サイズは大・中・小・特大などの四つほどに限定されるので微調整部を備えるものが有望となる。スプリング等の金属類の封入は被弾時の人体へのダメージを極力少なくする配慮の為に拒否される。そのために合成樹脂類等のみでのバネ性が発揮されるものでなければならず900g〜1200g程度の負荷が内太股を主とした他の部分へ加わる堅固なものとなり、ジグザグ部分や股関節屈曲部等の内側へはパット類を各所へ厚く貼る縫い方が指定される。
【0027】
図8は軍用モデルを想定して描いたが、四つほどの少ないサイズに限定される為、図のイラストよりも横幅に余裕のあるルーズなサイズに形作られる。それによって気温の暖寒に対して裾部が締布87等によって引き締めることの出来る構造を要求される。ゴム線収縮部に備えられた紐はゴム部の劣化に備えて補助として取り付けられる。前面のベルト通し様の部分は省略されることもあるが、機能縁体を調整したときに余ってしまった身頃地のダブりを吊り上げる為のもので、裏面がマジックテープとなっている。それと同様のものが背腰側にも二ヶ所取り付けられる。回転部などは無く、分厚い樹脂部を手でグリンと曲げて奥まったタブ部を引出すタイプとなるが左右の股関節屈曲部間の幅までもが調整できる仕組みを要求される。また、股関節屈曲部の屈曲する部分へはキャンパス地のような頑丈な素材が封入される。
【実施例2】
【0028】
民生品としての機能縁体付き下着の形態は軍用品的な武骨さと凸凹の少ない美しい形態に形作られる。機能縁体はゴム線収縮部から股関節屈曲部までの長さが微調整される仕組みとなるが人体は個々人によっては大きく異なるために、その部分の長さの調整だけでは足りず、横幅などのサイズ合わせが必要となる。特に左右の股関節間の幅が何十センチであるかが最も重要視される。そのため機能縁体付き下着のサイズは通常のS・M・L・LL等のサイズ揃えが不適切となり、背広の体形分けに似たA・B・Y体の如くの型分けや2センチ幅ごとのサイズ分けが必要となる。
【実施例3】
【0029】
機能縁体は左右へ一対となるものが標準となるが障害者向けの下着として片方だけのものが好適である為、右あるいは左だけに備えられる機能縁体付き下着も製作される。その場合、バネ性の基盤となっていた腹部の強固なヨーク部が成り立たなくなる為、対半身側の脇腹近辺へ合成樹脂類等と同質のブリッジが渡される。補強を強固にするため背腰側のb部も前側と似た形態で対半身側へ渡される。そのようにすれば機能縁体が標準のものと同様に動作するため、片手で片方だけのタブ部を操作することが出来る。標準のものとの違いはタブ部と他の部分が重合している下側の布地の重なりが無く、ただ5センチ幅ほどの布しろが縁部の下となる部分へ拡がるだけとなる。機能縁体が備わる上側の拡幅耳様タブ部の布地は股間と臀部を覆うバネ式のフタとして絶好の機能を果たすものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明品はツナギ服や防寒ズボン等に編み上げ靴や長靴を履いて各種の装備類とその装備帯やハーネス等の安全ベルト類を身体にがんじがらめにまとい付けて行動し、作業する人達に好適に着用される。航空宇宙・軍事・警察・消防・山岳救助等々の非常時の現場から建設作業・冬季スポーツ・医療・老人介護・障害者援護等々の広範囲の世界で最新の股間全開式パンツ&ズボン類と併用されて利用される可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】 機能縁体(左用)の展開図である。
【図2】 前屈時の機能縁体の伸縮屈曲透視図である。
【図3】 機能縁体(左用)変形展開図と細部構想拡大図である。
【図4】 機能縁体(左用)の取り込み縫着透視図である。
【図5】 機能縁体と大腿骨股関節部との相関図である。
【図6】 非着用時の機能縁体付き下着の正面透視図である。
【図7】 t−t’の水平断面および細部拡大図である。
【図8】 着用時の機能縁体付き下着の正面図である。
【図9】 ペニス穴係留透視図である。
【図10】 着座時のタブ部前面開口図と細部構想拡大図である。
【図11】 着座時の最大開口透視図である。
【符号の説明】
【0032】
30 右身頃体
31 機能縁体(右用)断片
40 左身頃体
41 機能縁体(左用)
42 機能縁体(左用)変形
81 前面左右身頃縫着糸線
82 後面左右身頃縫着糸線
86 拡幅耳様タブ部
87 締布
88 吊布
91 ゴム線収縮部
96 結び紐
97 ペニス穴
98 縫い糸
a a’ヨーク部(左・右)
b 後端部
c c”伸縮穴(前部および後部)
d 腹部屈曲部
e e’前部穴貫き部(左・右。分割案では調整部の左・右)
f f’制止爪(左・右)
g 股関節屈曲部
h 下腹部屈曲部
i 後部穴貫き部(分割案では調整部)
j J字部
k 尻下屈曲部
l’l”折り捲り部(左・右)
m−m’折り捲り部の断面
n−n’前部穴貫き部の断面
o−o’ジグザグ部の断面
p 尻下屈曲部下バネ
q 股関節屈曲部上バネ
r 股関節屈曲部下バネ
s 股関節屈曲部からジグザグ部間の間隔
t−t’機能縁体付き下着の水平断面線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
股間よじ分け開口形式の下着(設定登録済)に於いて、身体の左右を準鏡像的な形態で交錯する部分の身頃体の縁部と本特許願の発明によってその一部が局所的に拡幅変更された縁部の部分へ、布以外の素材で形作られて伸縮性・屈曲部・反発性・調整部・保温性・可動部・等々の性質と機構が混淆して備わる機能縁体が取り付けられた下半身用下着。
【請求項2】
伸縮性とバネ性をともなう機能縁体の股関節屈曲部(g)と尻下屈曲部(k)を実際の人体の股関節回転軸上の適所へ配置させる妙用によって、屈曲部(g・k)以下の拡幅耳様タブ部が下肢の動きに同調されて大腿から遊離されずに添い従うことが出来る仕組みとなった請求項1記載の下半身用下着。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−239166(P2007−239166A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−95671(P2006−95671)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(505319566)
【Fターム(参考)】