説明

止水板および止水板装置

【課題】設置場所の開口幅に合わせて調整可能な止水板と、この止水板を使用した止水板装置を提供する。
【解決手段】スキンプレート11の表面に取り付けられた横桁材12および縦桁材13と、開口部の幅に対応して幅を調整可能な幅調整部14を具備し、スキンプレート11を、プレート本体20と、プレート本体20の両端側で幅調整部14のプレート収容部材30から幅方向に出退、固定自在に設けられた調整プレート21とで構成し、横桁材12を、プレート本体20に取り付けられた横桁本体22と、調整プレート21に設けられ幅調整部14の桁収容部材32から幅方向に出退、固定自在に設けられた調整桁23とで構成し、幅調整部14に、プレート収容部材30と調整プレート21とを固定するガイドボルト43と、桁収容部材32と調整桁23とを固定するガイドボルト53とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物や駐車場などの出入口に設置されて、異常降雨時や高潮時に雨水や海水の流入を防止する止水板およびこの止水板を使用した止水板装置に関し、設置現場の開口部の幅(径間)に対応して、止水板の幅を現場合わせで調整可能な構造を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、設置現場の開口部の径間に対応して防水扉(止水板)の幅を変更可能なものとして、たとえば特許文献1に開示されたものがある。これは、複数の防水扉を並設して、各防水扉ごとに起伏開閉装置を具備したもので、隣接する防水扉間にシール部材を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−163638
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
異常降雨時や高潮時に開口部からの浸水を防止する防水扉は、設置現場毎に、その開口幅と目的の止水深さとに基づいて耐水圧強度およびシール性能を確保した設計をそれぞれ行い、設置現場毎に工場で製造されていた。これに対して、特許文献1では、並設する防水扉の枚数を選択することで、設置現場の開口幅に対応することができる。しかし、単位扉の幅の倍数に対応できるものの、幅を調整することができず、設置場所が限られるという問題があった。
本発明は上記問題点を解決して、予め工場で製造した止水扉を、設置場所の開口幅に合わせて現場で調整し設置可能な止水板および止水板装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、スキンプレートと、当該スキンプレートの止水面側に上下方向に所定間隔をあけて取り付けられた複数の横桁材と、前記スキンプレートの止水面側に幅方向に所定間隔をあけて取り付けられた複数の縦桁材と、設置開口部の幅に対応して幅を調整可能な幅調整部とを具備した止水板であって、前記スキンプレートを、プレート本体と、当該プレート本体の両側部の少なくとも一方に前記幅調整部を介して幅方向に出退、固定自在に設けられた調整プレートとで構成し、前記横桁材を、前記プレート本体に取り付けられた横桁本体と、前記調整プレートに前記幅調整部を介して幅方向に出退、固定自在に設けられた調整桁とで構成し、前記幅調整部に、前記調整プレートを収容するプレート収容部材と、当該プレート収容部材と前記調整プレートとを固定するプレート固定手段と、前記プレート収容部材に取り付けられて前記調整桁を収容する桁収容部材と、当該桁収容部材と前記調整桁とを固定する桁固定手段とを設けたものである。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の構成において、プレート収容部材を、調整プレートの両面にそれぞれ配置された一対の収容板により構成し、桁収容部材を、前記収容板の止水面側に取り付けられた筒状材により構成し、調整桁は、外端部が前記調整プレートに取り付けられ、内端側が前記筒状材に出退自在に嵌合されたものである。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の構成において、調整プレートと調整桁の出退をそれぞれ案内するプレートガイド機構と桁ガイド機構とを設け、前記プレートガイド機構は、前記調整プレートに出退方向に沿って形成された長穴と、収容板に設けられて前記長穴にスライド自在に嵌合するプレートガイド部材と有し、前記桁ガイド機構は、前記調整桁に出退方向に沿って形成された長穴と、筒状材に設けられて前記長穴にスライド自在に嵌合する桁ガイド部材と有し、前記プレートガイド部材を、前記収容板に貫設され締め付けることにより前記収容板間に調整プレートを挟持可能なプレートガイドボルトとして、プレート固定手段を兼用させ、桁ガイド機構を、前記筒状部材に貫設され締め付けることにより前記筒状部材に調整桁を固定可能なガイドボルトとして、桁固定手段を兼用させた
ものである。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3記載の止水板を使用した止水板装置であって、構造物の開口部の底部に、止水板をスキンプレートが上面となる倒伏状態で収容する収容ピットを形成し、前記収容ピット内に、止水板を開閉自在に支持する複数のヒンジと、止水板を倒伏姿勢と起立姿勢との間で起伏させて構造物の開口部を開閉可能なシリンダ装置とを設けたものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、幅調整部において、調整プレートの内端側をプレート収容部材に収容することによりシール性能を確保し、これら調整桁の内端側を桁収容部材に収容することで、幅調整部を折り曲げようとする水圧負荷を効果的に支持させて、調整プレートの耐水圧強度を調整桁により保持することができる。したがって、幅調整部により、設置現場において、シール性能と耐水圧強度とを低下させることなく、開口部の幅に対応して止水板の幅を容易に調整することができる。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、調整プレートを一対の収容板間に収容してシール性能を向上させ、調整桁の内端側を筒状材内に収容することにより、容易に取り付けられるとともに十分な耐水圧強度を確保することができる。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、プレートガイド機構と桁ガイド機構とにより、現場での調整プレートと調整桁の出退調整を容易に行うことができる。またプレートスライドボルトおよび桁スライドボルトにより、調整プレートと調整桁の出退の案内と固定とを兼用して、材料コストおよび製造コストを低減することができる。
【0012】
請求項4記載の発明によれば、設置現場で開口部に対応して、幅調整が可能な止水板を使用することにより、現場での設置工事を短時間で容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る止水板の実施例を示し、幅調整部の部分拡大斜視図である。
【図2】幅調整部に水圧が負荷された状態の説明図で、(a)は止水板全体を示す概略平面図、(b)は幅調整部の拡大平面図、(c)は調整桁の内装長さを短くした時の幅調整部の拡大平面図である。
【図3】止水板の正面図で、(a)は収縮状態を示し、(b)は進展状態を示す。
【図4】止水板を示し、(a)は収縮状態の平面図、(b)は進展状態の平面図、(c)は進展状態の背面図である。
【図5】止水板を示し、(a)は図3(b)に示すA−A矢視図、(b)は図3(b)に示すB−B断面図、(c)は図3(b)に示すC−C断面図である。
【図6】幅調整部を示し、(a)は図3(b)に示すD−D断面図、(b)は図3(b)に示すE−E断面図である。
【図7】本発明に係る止水板装置の実施例を示す横断面図である。
【図8】横桁本体、調整桁、縦桁材の他の実施例を示す横断面図で、(a)(d)は溝形材の使用例、(b)(e)はH形材の使用例、(c)(f)はI形材の使用例を示す。
【図9】桁収容部材の他の実施例を示す横断面図である。
【図10】幅調整部の他の実施例を示す平面視の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0014】
(止水板)
以下、本発明に係る止水板の実施例を図1〜図6に基づいて説明する。
図3〜図4に示すように、この止水板10は、スキンプレート11と、このスキンプレート11の正面(止水面側)に上下方向に所定間隔をあけて取り付けられた複数の横桁材12と、スキンプレート11の正面に幅方向に所定間隔をあけて取り付けられた複数の縦桁材13と、設置現場で構造物の開口部の幅に対応して幅を調整可能な幅調整部14とを具備している。
【0015】
スキンプレート11は、プレート本体20と、プレート本体20の両側部(一方でも可)にそれぞれ設けられた幅調整部14のプレート収容部材30を介して幅方向に出退自在に配置された調整プレート21とで構成され、それぞれ所定厚みのステンレス板により形成されている。
【0016】
横桁材12は、プレート本体20の正面に取り付けられたステンレス製の角パイプ(筒状材)からなる横桁本体22と、横桁本体22に当て金36を介して連続する位置に溶接された幅調整部14の桁収容部材32を介して出退自在に収容された調整桁23とで構成されており、調整桁23は、ステンレス製の角パイプ(筒状材)からなり、外端部が調整プレート21の正面に位置調整用の調整シム37を介して取り付けられ、内端側が桁収容部材32内にスライド自在に嵌合されている。これら横桁材12は、プレート本体20の上辺部および下辺部と、上辺部と下辺部の間に所定間隔をあけて複数本が配置され、それぞれ強度部材として溶接などにより取り付けられている。
【0017】
縦桁材13は、プレート本体20の正面に取り付けられたステンレス製の角パイプ(筒状材)からなり、左右の側辺部と、左右の側辺部間に所定間隔をあけて複数本が横桁本体22間に配置され、それぞれ強度部材として溶接などにより取り付けられている。
【0018】
幅調整部14は、図1、図5、図6に示すように、プレート収容部材30と桁収容部材32とにより、対水圧強度とシール性能を確保しつつ伸縮調整可能に構成されている。すなわち、プレート収容部材30は、プレート本体20の両端縁部で正面と背面とに溶接などにより密着して全高にわたって取り付けられた収容正面板(収容板)34と収容背面板(収容板)35からなり、収容正面板34と収容背面板35との間に、プレート本体20の厚み分の収容空間31が形成されて、調整プレート21の内端側が出退、固定自在に収容されている。また桁収容部材32は、収容正面板34に、横桁材12に当て金36を介して連続する位置に取り付けられた角パイプ材(筒状材)からなり、その収容空間33内に調整桁23の内端側が出退、固定自在に収容されている。
【0019】
なお、横桁本体22や調整桁23、縦桁材13は、最高水面(図7に示すW.L)の水圧に耐えるのに十分な耐水圧強度が得られるものであれば、図8(a)(d)に示す溝形材や図8(b)(e)に示すH形材、図8(c)(f)に示すI形材であってもよい。
【0020】
さらにプレート収容部材30には、調整プレート21の出退を案内するプレートガイド機構41が設けられている。このプレートガイド機構41は、調整プレート21の内端側で収容空間31内の収容部分に、幅(出退)方向に形成された長穴42と、収容正面板34と収容背面板35の幅(出退)方向の中央位置にボルト穴を介して貫設されて長穴42にスライド自在に嵌合されるガイドボルト(プレートガイド部材)43とで構成されている。またガイドボルト43は、幅調整後に締め付けられることで、収容正面、背面板34,35間に調整プレート21を挟持して密着固定することができ、これらガイドボルト53によりプレート固定手段が兼用されている。
【0021】
さらにまた、桁収容部材32には、調整桁23の出退を案内する桁ガイド機構51が設けられている。この桁ガイド機構51は、調整桁23の内端側で上面と下面とに収容空間33内の収容部分に出退方向に形成された長穴52と、桁収容部材32の出退方向の中央位置にボルト穴を介して貫設されて長穴52にスライド自在に嵌合されるガイドボルト(桁ガイド部材)53とで構成されている。これらガイドボルト53は、幅調整後に締め付けられることで、桁収容部材32内に調整桁23を固定することができ、これらガイドボルト53により桁固定手段が兼用されている。
【0022】
なお、プレート固定手段および桁固定手段として、ガイドボルト43,53に加えてタッピングビスや固定ピンなどの固定具を打ち込んだり、装着したりすることができ、また現場溶接が可能であれば、溶接により固定することもできる。
【0023】
上記構成において、工場で製造された止水板10を、設置現場に運搬して設置し、ガイドボルト43,53を緩めた状態で、プレートガイド機構41および桁ガイド機構51により調整プレート21と調整桁23を案内させて出退させ、La×2の出退許容範囲内で止水板10の幅を調整する。幅調整後は、ガイドボルト43,53を締め付けるとともに、必要に応じてタッピングビスや固定ピンなどの固定具(図示せず)を打ち込んで固定する。
【0024】
図4(c)示すように、止水板10の背面(反止水面側)には、プレート本体20の底辺部に底辺シール材24が取り付けられるとともに、調整プレート21の側縁部に沿う側辺シール材25と、幅調整後に底辺部に沿って取り付けられる底辺シール材26とがそれぞれ取り付けられている。
【0025】
図2(a)に示すように、門柱61間の開口部に設置された止水板10に水圧Fを受けると、反力F/2がそれぞれ門柱61の支点Pで支持される。なお、図では、スキンプレート11が横桁材12と門柱61との間に介在されるが、強度部材として考慮しないため省略している。
【0026】
この時、図2(b)に示すように、幅調整部14では、門柱61の支点Pが回転支点となり、支点Pにおける反力F/2と、調整桁23の内端と桁収容部材32の背面とが当接する点Paにおける外力Faと、桁収容部材32の外端部と調整桁23の正面とが当接する点Pbにおける外力Fbとの関係は、Fb−Fa=F/2…(1)式で表される。また、支点Pと点Pa間のレバー:La、支点Pと点Pb間のレバー:Lbとして、支点Pを中心とする回転モーメントを考えると、Fa×La=Fb×Lb…(2)式で表されて吊り合う。ここで、点Paと点Pb間の調整桁23の内装長さ:Lc=La−Lb…(3)式となる。したがって、図2(c)に示すように、(3)式から、レバー:Lbが一定で、内装長さ:Lcが短いと、レバー:Laが短くなり、(2)式からレバー:Laが短いと、外力:Faが大きくなり、(1)式から外力:Faが大きくなると、外力:Fbも大きくなることから、桁収容部材32や調整桁23に大きい負荷が発生して破損する恐れがある。このため、この幅調整部14では、最高水面W.Lによる最大水圧を受けることがあっても、点Pa,Pbにおける外力Fa,Fbを小さくして水圧:Fを十分に支持できるように、調整桁23の内装長さ:Lcを十分な長さに設定している。
【0027】
上記実施例によれば、幅調整部14において、調整プレート21の内端側をプレート収容部材30内に密着状態で収容することによりシール性能を確保し、さらに調整プレート21の耐水圧強度が調整桁23により保持される。さらに幅調整部14では、調整桁23の内端側の十分な内装長さで桁収容部材32内に収容することで、水圧により幅調整部14を折り曲げようとする負荷を効果的に支持することができる。したがって、設置現場では、幅調整部14により止水板10の幅を容易に調整して、異常降雨時や高潮時の比較的短い時間に十分なシール性能と耐水圧強度とを確保して、門柱61間の開口部に容易に設置することができ、止水板の汎用性を拡大することができる。
【0028】
もちろん、幅調整部14にシール剤を充填したり、シール材を装着することにより漏水量を少なくして、長時間にわたって止水することも可能となる。
また、調整プレート21を収容正面板34および収容背面板35間に密に接して収容し、ガイドボルト43を利用して締め付けることにより、調整プレート21と収容正面板34および収容背面板35に密着させて固定し、シール性能を向上させることができる。
【0029】
さらに、プレートガイド機構41および桁ガイド機構51により、調整プレート21および調整桁23の出退を案内することで、現場での出退調整を容易かつ精度良く行うことができ、ガイドボルト43により調整プレート21の固定を容易に行うことができる。
【0030】
さらにまた、桁収容部材32に筒状材を使用することにより、容易に取り付けられるとともに十分な耐水圧強度を確保することができ、材料コストおよび製造コストを低減することができる。
【0031】
(止水板装置)
図7は本発明に係る止水板10を具備した止水板装置の実施例を示す横断面図である。この止水板装置60は、構造物である門柱61間に形成された開口部62に設けられている。開口部62の前部路面には、止水板10を収容可能な収容ピット63が形成され、スキンプレート11が上面となる倒伏姿勢で止水板10が収容ピット63に収容される。また収容ピット63の背面壁63aと門柱61の正面は、面一状の止水受け面64に形成されている。
【0032】
前記止水板10の背面に設けられた底辺シール材24と側辺シール材25と底辺シール材26とにより、止水板10が起立されて止水受け面64に押し付けられることで、各辺シール材24〜26が止水受け面64に圧接されてシールされる。なお、収容背面板35の底辺部は、その厚み分がプレート本体20および調整プレート21より背面側に突出しているため、直接収容ピット63の背面壁63aに圧接されて密着しシールするように構成されている。もちろん、収容背面板35の底辺部シール材を設けることもできる。またこれら各辺シール材24〜26を、背面壁63aと門柱61の止水受け面64に設けることもできる。
【0033】
収容ピット63の背面壁63aに、止水板10を開閉自在に支持する複数のヒンジ65が設けられ、止水板10の中間部の3本の縦桁材13と、収容ピット63の底面壁63bとの間に、止水板10を倒伏姿勢と起立姿勢との間で起伏させて開口部62を開閉可能なテレスコピック形で流体圧式の開閉シリンダ装置66と、開閉シリンダ装置66の進展時に開閉シリンダ装置66を上方に傾動させる補助シリンダ装置67とが設けられている。
【0034】
したがって、異常降雨時や高潮時に、開閉シリンダ装置66を進展させるとともに、補助シリンダ装置67を進展して、倒伏姿勢の止水板10をヒンジ65を中心に回動させて起立させ、スキンプレート11の底辺と左右側辺にそれぞれ設けられた各辺シール材24〜26を門柱61と収容ピット63の背面壁63aに押し付けて開口部62を閉鎖する。
【0035】
上記実施例によれば、設置現場で門柱61間の開口部62を、幅調整が可能な止水板10を使用することにより、従来のように、現場の寸法に合わせて止水板を設計して工場で製造するのに比較して、設計施工期間を大幅に短縮して短時間で設置することができる。また、異常降雨時や高潮時の数時間または十数時間の増水時の開口部62からの漏水を十分に少なくするとともに、幅調整部14におけるシール性能と耐水圧強度とを十分に確保することができる。
【0036】
(桁収容部材の変形例)
桁収容部材32の角パイプに替えて、図9に示すように、溝形材からなる桁収容部材38を上面または下面を開放した姿勢で使用することもできる。この場合には、予め調整桁23を調整プレート21から外しておき、設置現場で調整プレート21の調整後に、調整桁23を上方または下方から桁収容部材38に嵌合させ、調整桁23を調整シム37を介して調整プレート21に取り付けることができる。これにより、桁収容部材38の組付け歪などの変形、変位により、調整桁23が桁収容部材38内をスライドしにくい時に容易に取り付けることができる。
【0037】
(幅調整部の他の実施例)
先の実施例では、プレート本体20と調整プレート21とを面一状に配置するように収容空間31を設けたが、図10に示すように、他の実施例のプレート収容部材70は、プレート本体20の端部を収容プレート部(収容板)71とし、この収容プレート部71にスペーサ72を介して収容背面板35を取り付けて収容空間73を形成したものである。なお、図10では、先の実施例と同一部材には、同一符号を付して説明を省略した。
【0038】
したがって、プレート本体20と調整プレート21とは、プレート本体20の厚み分の段差が生じ、止水受け面64との間に隙間が生じるが、厚みの大きいシール材を取り付けることで、シール性を確保することができ、先の実施例と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0039】
10 止水板
11 スキンプレート
12 横桁材
13 縦桁材
14 幅調整部
20 プレート本体
21 調整プレート
22 横桁本体
23 調整桁
30 プレート収容部材
31 収容空間
32 桁収容部材
33 収容空間
34 収容正面板(収容板)
35 収容背面板(収容板)
36 当て金
37 調整シム
41 プレートガイド機構
42 長穴
43 ガイドボルト(プレートガイド部材、プレート固定手段)
51 桁ガイド機構
52 長穴
53 ガイドボルト(桁ガイド部材、桁固定手段)
60 止水板装置
61 門柱
62 開口部
63 収容ピット
65 ヒンジ
66 開閉シリンダ装置
70 プレート収容部材
71 収容プレート部(収容板)
72 スペーサ
73 収容空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキンプレートと、当該スキンプレートの止水面側に上下方向に所定間隔をあけて取り付けられた複数の横桁材と、前記スキンプレートの止水面側に幅方向に所定間隔をあけて取り付けられた複数の縦桁材と、設置開口部の幅に対応して横幅を調整可能な幅調整部とを具備した止水板であって、
前記スキンプレートを、プレート本体と、当該プレート本体の両側部の少なくとも一方に前記幅調整部を介して幅方向に出退、固定自在に設けられた調整プレートとで構成し、
前記横桁材を、前記プレート本体に取り付けられた横桁本体と、前記調整プレートに前記幅調整部を介して幅方向に出退、固定自在に設けられた調整桁とで構成し、
前記幅調整部に、前記調整プレートを収容するプレート収容部材と、当該プレート収容部材と前記調整プレートとを固定するプレート固定手段と、前記プレート収容部材に取り付けられて前記調整桁を収容する桁収容部材と、当該桁収容部材と前記調整桁とを固定する桁固定手段とを設けた
ことを特徴とする止水板。
【請求項2】
プレート収容部材を、調整プレートの両面にそれぞれ配置された一対の収容板により構成し、
桁収容部材を、前記収容板の止水面側に取り付けられた筒状材により構成し、
調整桁は、外端部が前記調整プレートに取り付けられ、内端側が前記筒状材に出退自在に嵌合された
ことを特徴とする請求項1記載の止水板。
【請求項3】
調整プレートと調整桁の出退をそれぞれ案内するプレートガイド機構と桁ガイド機構とを設け、
前記プレートガイド機構は、前記調整プレートに出退方向に沿って形成された長穴と、収容板に設けられて前記長穴にスライド自在に嵌合するプレートガイド部材と有し、
前記桁ガイド機構は、前記調整桁に出退方向に沿って形成された長穴と、筒状材に設けられて前記長穴にスライド自在に嵌合する桁ガイド部材と有し、
前記プレートガイド部材を、前記収容板に貫設され締め付けることにより前記収容板間に調整プレートを挟持可能なプレートガイドボルトとして、プレート固定手段を兼用させ、
桁ガイド機構を、前記筒状部材に貫設され締め付けることにより前記筒状部材に調整桁を固定可能なガイドボルトとして、桁固定手段を兼用させた
ことを特徴とする請求項2記載の止水板。
【請求項4】
請求項1乃至3記載の止水板を使用した止水板装置であって、
構造物の開口部の底部に、止水板をスキンプレートが上面となる倒伏状態で収容する収容ピットを形成し、
前記収容ピット内に、止水板を開閉自在に支持する複数のヒンジと、止水板を倒伏姿勢と起立姿勢との間で起伏させて構造物の開口部を開閉可能なシリンダ装置とを設けた
ことを特徴とする止水板装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−163741(P2010−163741A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4169(P2009−4169)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【出願人】(501481621)株式会社ノムラフォーシーズ (15)
【出願人】(597052330)株式会社 東京建設コンサルタント (8)
【Fターム(参考)】