止着テープ、止着テープの製造方法及びテープ型使い捨ておむつ
【課題】フック材の接着強度を簡単かつ十分に確保することができる止着テープを提供する。
【解決手段】不織布からなる基材シート11aと、ループ材接着面12aを有し、基材シート11aの一方の面にループ材接着面12aの一部が接着されたシート状のループ材12と、フック材接着面13aを有し、ループ材12のループ材接着面12aの、基材シート11aが接着されていない部分(欠落部15)にフック材接着面13aが接着されたフック材13と、を備える止着テープ10a。
【解決手段】不織布からなる基材シート11aと、ループ材接着面12aを有し、基材シート11aの一方の面にループ材接着面12aの一部が接着されたシート状のループ材12と、フック材接着面13aを有し、ループ材12のループ材接着面12aの、基材シート11aが接着されていない部分(欠落部15)にフック材接着面13aが接着されたフック材13と、を備える止着テープ10a。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、止着テープ、止着テープの製造方法及びテープ型使い捨ておむつに関し、更に詳しくは、フック材の接着強度を簡単かつ十分に確保することができる止着テープ、止着テープの製造方法及びテープ型使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、テープ型使い捨ておむつは、前身頃、股下部及び後身頃の各部から構成され、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これら両シートの間に配置された吸収体と、後身頃の左右の各側縁から延出するように配置され、前身頃と後身頃とを固定するための止着テープと、を備えている。そして、着用時に排泄された尿等の排泄物を液透過性のトップシートを介して吸収体に保持し、液不透過性のバックシートにより、排泄物がおむつの外に漏れ出すのを防ぐ構造になっている。
【0003】
このようなテープ型使い捨ておむつとしては、着用者の脚周りにおけるフィット性を向上させるために、例えば、図11に示すような止着テープ110を備えたテープ型使い捨ておむつが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。この止着テープ110は、不織布からなる基材シート111と、この基材シート111の一方の面に、フック材113と、基材シート111の他方の面に、ループ材112と、を有するものである。このような止着テープを用いると、一の止着テープの上に他の止着テープを重ねて固定することができるため、おむつを着用者にフィットさせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4024782号公報
【特許文献2】特許第4066806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2に記載したテープ型使い捨ておむつは、体形の異なる着用者が装着する場合であっても、装着性、フィット性に優れ、特に脚周りからの漏れを効果的に防止することができる。しかし、止着テープの基材シートとして不織布を使用した場合、基材シートの表面には凹凸が多いため、基材シートとフック材との接着面積が十分に得られず、フック材の接着強度が十分に得られないという問題があった。このような問題を解決するため、フック材を基材シートに接着するだけでなく、これに加え、フック材を基材シートにヒートシールして接着強度を補強していた。
【0006】
しかしながら、上記のようにフック材を基材シートにヒートシールする構造を有する止着テープは、製造に手間がかかるだけでなく、ヒートシールするための大掛かりな設備が必要になるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、フック材の接着強度を簡単かつ十分に確保できる止着テープ、この止着テープの製造方法、及び、上記止着テープを用いたテープ型使い捨ておむつを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、以下に示す止着テープ、止着テープの製造方法、及び、テープ型使い捨ておむつが提供される。
【0009】
[1]不織布からなる基材シートと、ループ材接着面を有し、前記基材シートの一方の面に前記ループ材接着面の一部が接着されたシート状のループ材と、フック材接着面を有し、前記ループ材の前記ループ材接着面の、前記基材シートが接着されていない部分に前記フック材接着面が接着されたフック材と、を備える止着テープ。
【0010】
[2]前記基材シートは、略長方形状の不織布を、その長手方向の一方の端部側の部分で、短手方向に沿って分割して離間させたものであり、前記基材シートが離間した部分で、前記フック材接着面が前記ループ材接着面に接着している前記[1]に記載の止着テープ。
【0011】
[3]前記フック材接着面の総面積に対する、前記フック材接着面と前記ループ材接着面との接着面積の割合が、50〜100%である前記[1]または[2]に記載の止着テープ。
【0012】
[4]前記基材シートと前記ループ材の接着強度は、前記フック材と前記ループ材の接着強度とは異なる前記[1]〜[3]のいずれかに記載の止着テープ。
【0013】
[5]前記ループ材は、フィルムと、前記フィルムの一方の面に配置されたループと、を備え、前記ループが配置された面の反対側の面に前記ループ材接着面を有する前記[1]〜[4]のいずれかに記載の止着テープ。
【0014】
[6]前記ループ材の、前記フック材接着面が接着されるフック材接着部分は、着色されており、前記フック材接着部分以外の部分は、前記フック材接着部分と異なる色に着色されている前記[1]〜[5]のいずれかに記載の止着テープ。
【0015】
[7]ループ材接着面を有するシート状の長尺ループ材の前記ループ材接着面の一部に、不織布からなる長尺基材シートを接着して、第一の長尺中間シートを得る第一の工程と、前記第一の長尺中間シートの前記長尺ループ材の前記ループ材接着面の、前記長尺基材シートが接着されていない基材シート非接着部に、フック材接着面を有する長尺フック材シートの前記フック材接着面を接着して、第二の長尺中間シートを得る第二の工程と、前記第二の長尺中間シートを所定の大きさに切り離して、複数の止着テープを得る第三の工程と、を備えた止着テープの製造方法。
【0016】
[8]前記第一の工程において、前記ループ材接着面に第一の接着剤を塗工し、その後、前記ループ材接着面の一部に、前記長尺基材シートを前記第一の接着剤によって接着し、前記第二の工程において、前記基材シート非接着部に、前記長尺フック材シートの前記フック材接着面を前記第一の接着剤によって接着する前記[7]に記載の止着テープの製造方法。
【0017】
[9]前記第一の工程において、前記ループ材接着面のうち、前記長尺ループ材の短手方向の一方の端部を含む第一の領域に、一の前記長尺基材シートを接着するとともに、他方の端部を含む第二の領域に、別の前記長尺基材シートを接着し、前記第二の工程において、前記ループ材接着面の、前記第一の領域と前記第二の領域との間の第三の領域に、前記長尺フック材シートの前記フック材接着面を接着する前記[7]または[8]に記載の止着テープの製造方法。
【0018】
[10]前記第二の工程において、前記フック材接着面に、あらかじめ第二の接着剤が塗工された前記長尺フック材シートを用意し、前記フック材接着面を、前記第一の領域に接着した前記長尺基材シート、前記ループ材接着面の前記第三の領域、及び、前記第二の領域に接着した前記長尺基材シートに接着する前記[9]に記載の止着テープの製造方法。
【0019】
[11]前記第三の工程は、前記第二の長尺中間シートを、前記第一の領域、前記第三の領域、前記第二の領域、前記第三の領域、前記第一の領域を順次通過するようなS字カーブ状の切断軌跡で切断して、一方にS字カーブ状の側縁を有し、他方に直線状の側縁を有する2枚の止着テープ中間体を得、得られた前記止着テープ中間体のそれぞれを、前記S字カーブ状の側縁の谷部と前記直線状の側縁との間で切り離して、複数の前記止着テープを得る工程である前記[9]または[10]に記載の止着テープの製造方法。
【0020】
[12]前身頃、股下部及び後身頃の各部から構成されるとともに、吸収体と、前記吸収体の表面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の裏面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートと、前記後身頃の左右の各側縁から延出するように配置され、前記前身頃と前記後身頃とを固定可能である前記[1]〜[6]のいずれかに記載の止着テープと、を備えたテープ型使い捨ておむつ。
【発明の効果】
【0021】
本発明の止着テープは、フック材の接着強度を簡単かつ十分に確保することができるという効果を奏するものである。
【0022】
本発明の止着テープの製造方法は、フック材の接着強度を簡単かつ十分に確保された止着テープを製造することができるという効果を奏するものである。
【0023】
本発明のテープ型使い捨ておむつは、止着テープのフック材の接着強度が簡単かつ十分に確保されているという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の止着テープの一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1のA−A’断面を示す断面図である。
【図3】本発明の止着テープの基材シートの一実施形態を示す平面図である。
【図4】本発明の止着テープの別の実施形態を示す断面図である。
【図5】本発明の止着テープの製造方法の一実施形態の製造工程を説明する斜視図である。
【図6】図5の製造工程における平面図である。
【図7】本発明の止着テープの製造方法の一実施形態の製造工程を説明する模式図である。
【図8】本発明の止着テープの製造方法の一実施形態の製造工程を説明する模式図である。
【図9】本発明のテープ型使い捨ておむつの一実施形態を示す平面図である。
【図10】図9に示すテープ型使い捨ておむつの使用状態を示す斜視図である。
【図11】従来の止着テープを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に属することが理解されるべきである。
【0026】
[1]止着テープ:
図1は、本発明の止着テープの一実施形態である止着テープ10aを示す平面図であり、図2は、図1のA−A’断面を示す断面図である。本発明の止着テープは、図2に示す止着テープ10aのように、不織布からなる基材シート11aと、ループ材接着面12aを有し、基材シート11aの一方の面にループ材接着面12aの一部が接着されたシート状のループ材12と、フック材接着面13aを有し、ループ材12のループ材接着面12aの、基材シート11aが接着されていない部分にフック材接着面13aが接着されたフック材13と、を備えるものである。このような止着テープは、フック材の接着強度が簡単かつ十分に確保され、フック材が剥離され難いものである。なお、図1〜図10において、共通の構成要素には同一の符号を付してある。
【0027】
なお、本発明の止着テープは、乳幼児用、成人用を問わず、テープ型使い捨ておむつの止着テープとして好適に使用することができるが、成人用のテープ型使い捨ておむつに使用することが好適である。成人用のテープ型使い捨ておむつは、長時間繰り返し使用することが多いため、乳幼児用のおむつに比べて、フック材が剥離し易い傾向があるためである。
【0028】
また、成人用のテープ型使い捨ておむつは、着用者の体型、具体的には、ウエスト周り、脚周りの寸法に合わせてテープ位置、締め付け具合を適宜調節できるという利点を得るため、一般的に、両側縁に2個ずつ止着テープが配置されている。このように止着テープを2個ずつ配置すると、上記のような利点があるが、このとき、一の止着テープを他の止着テープに重ねるように配置することが多い。そのため、成人用のテープ型使い捨ておむつとしては、一方の面にフック材が配置され、他方の面にループ材が配置された止着テープが多く用いられている。
【0029】
[1−1]基材シート:
基材シートは、不織布からなるものであり、具体的には、スパンボンド、SMS(スパンボンド/メルトブロー/スパンボンド)、SMMS(スパンボンド/メルトブロー/メルトブロー/スパンボンド)、カードエンボス、レジンボンド等の各種不織布からなるものを用いることができる。なお、良好な引張強度が得られるという観点からは、スパンボンド不織布を用いることが好ましい。
【0030】
不織布の構成材料としては、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル、脂肪族ポリアミド(ナイロン(登録商標))、その他の熱可塑性樹脂からなる合成繊維を挙げることができる。この場合、合成繊維は単繊維であってもよいし、芯鞘構造等を有する複合繊維であってもよい。一般に、単繊維を使用する場合は、ポリオレフィンが多く用いられるが、良好な引張強度が得られるという観点からすると、ポリエステルを用いることも好ましい。また、基材シートとして、複数の不織布を積層した積層体や不織布とフィルムとを積層した積層体を用いることもできる。
【0031】
基材シートは、乳幼児用のおむつに用いる止着テープであるか、成人用のおむつに用いる止着テープであるかなどによって、その形状を必要に応じて適宜選択することができるが、例えば、長方形状、楕円状などの形状のものを用いることができる。ここで、本明細書において「長方形状」とは、長方形、及び、長方形の長手方向の一方の端部の中央部分が、その長手方向の外方に突出した形状を含む概念である。長方形状の長手方向の一方の端部の中央部分が、その長手方向の外方に突出した形状としては、例えば、図1に示す止着テープ10aの形状を例示することができる。
【0032】
また、基材シートは、その一部に欠落部が形成されたものであってもよい。そして、基材シートの好ましい態様の一つとしては、この欠落部においてフック材のフック材接着面がループ材のループ材接着面に接着しているものを挙げることができる。欠落部の形状は、例えば、矩形、円形等を挙げることができる。なお、基材シートには、上記形状の欠落部が複数形成されていてもよい。欠落部が形成された基材シートとしては、例えば、図3に示す基材シート11bを例示することができる。この基材シート11bは、長手方向の一方の端部に矩形状の欠落部15が形成されている。このように欠落部を形成し、この欠落部においてフック材のフック材接着面とループ材のループ材接着面とを接着すれば、フック材の接着強度を簡単かつ十分に確保することができる。
【0033】
また、欠落部としては、基材シートの一部を切り欠いて形成されたものや、基材シートを分割して形成されたものなどを挙げることができる。即ち、基材シートは、長方形状の不織布を、その長手方向の一方の端部側の部分で、短手方向に沿って分割して離間させたものを用いることができる。これらの中でも、本発明の止着テープとしては、上記基材シートが離間した部分で、フック材接着面がループ材接着面に接着しているものであることが好ましい。更に、基材シートが離間した部分(欠落部)を覆うようにフック材を配置するとともに、基材シートの一方の面側にフック材を配置し、他方の面側にループ材を配置して、基材シートが離間した部分(欠落部)でフック材接着面とループ材接着面とが互いに直接接着しているものであることが好ましい。更に、フック材の一方の端部が、離間した一の基材シートに接着し、他方の端部が、離間した他の基材シートに接着していることが好ましい。このような止着テープは製造が容易であるという利点がある。
【0034】
例えば、図1に示す止着テープ10aは、略長方形状の不織布を、その長手方向の一方の端部側の部分で、短手方向に沿って分割して離間させた基材シート11aと、基材シート10aの一方の面側に配置したフック材13と、基材シート10aの他方の面側に配置したループ材(図2参照)とを備え、この基材シート11aが離間した部分(欠落部15)で、フック材13のフック材接着面がループ材のループ材接着面に接着している例である。
【0035】
このように所定の部分を分割して離間させた基材シートを用いると、図11に示すような従来の基材シート111に比べて、離間させた部分の材料(基材シート)を減らすことが可能であるため、止着テープのコストを下げることができるという利点がある。
【0036】
[1−2]ループ材:
ループ材は、ループ材接着面を有し、基材シートの一方の面にループ材接着面の一部が接着されたシート状のものである。このようなループ材は、他の止着テープのフック材と係合することができるため、着用者の体型に合わせておむつを装着することができる。なお、ループ材接着面は、平らな面である。
【0037】
ループ材としては、フィルムと、このフィルムの一方の面に配置されたループと、を備え、上記ループが配置された面の反対側の面にループ材接着面を有することが好ましい。より具体的には、合成樹脂などからなるフィルムと、このフィルムの一方の面(ループ材接着面の反対側の面)に配置されたループ状の繊維と、を備えるもの等を用いることができる。例えば、図2に示す止着テープ10aは、ループ材用フィルム25と、このループ材用フィルム25のループ材接着面12aの反対側の面に配置されたループ状の繊維(ループ)27と、を有するループ材12を備えた例である。
【0038】
上記フィルムとしては、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル、脂肪族ポリアミド(ナイロン(登録商標))、その他の熱可塑性樹脂製フィルムなど用いることができる。
【0039】
ループ材の、フック材接着面が接着されるフック材接着部分(例えば、図2の欠落部15に対応する部分)は、着色されており、上記フック材接着部分以外の部分は、フック材接着部分と異なる色に着色されていることが好ましい。このような構成であると、ループ材側から見た場合にフック材の位置を認識できるとともに、フック材側から見た場合であっても、フック材を通してループ材の色の違いを視認することができるため、フック材の位置を認識できる。このように、いずれの側から見た場合であっても、フック材の位置を確実に認識できる。そのため、おむつ着用時の作業性が向上するという利点がある。
【0040】
ループ材を基材シートに接着させる方法は、従来公知の方法を適宜採用することができるが、例えば、ホットメルト接着剤等の接着剤を用いる方法を好適に採用することができる。
【0041】
[1−3]フック材:
フック材は、フック材接着面を有し、ループ材のループ材接着面の、基材シートが接着されていない部分に上記フック材接着面が接着されているものであり、フック材接着面は平らな面である。フック材は、合成樹脂などからなるフィルムと、このフィルムの一方の面(フック材接着面の反対側の面)に形成された多数の突起と、備えるシート状のものなどを用いることができる。多数の突起としては、例えば、鉤状、きのこ状、錨状等の突起を挙げることができる。フック材としては、具体的には、メカニカルファスナー(面状ファスナーとも称される)の凸部材を用いることができる。
【0042】
例えば、図2に示す止着テープ10aは、フック材用フィルム28と、このフック材用フィルム28のフック材接着面13aの反対側の面に配置された多数の突起(フック)29と、を有するフック材13を備えた例である。
【0043】
このようなフック材は、他の止着テープのループ材とも係合することができるため、着用者の体型に合わせておむつを装着することができる。即ち、一の止着テープのフック材と他の止着テープのループ材との機械的結合(フック材の多数の突起をループ材のループ状の繊維に係合させること)により止着テープを所望の位置に固定することができる。
【0044】
フック材(上記フィルム及び多数の突起)の素材としては、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル、脂肪族ポリアミド(ナイロン(登録商標))、その他の熱可塑性樹脂からなる合成繊維を用いることができる。特に、ポリエチレンやポリプロピレンを好適に用いることができる。なお、フィルムと突起の素材は、同じであっても、異なっていてもよい。
【0045】
フック材は、そのフック材接着面の少なくとも一部が、ループ材のループ材接着面に接着されていれば良いが、以下の割合で接着されていることが好ましい。即ち、フック材接着面の総面積に対する、フック材接着面とループ材接着面との接着面積の割合が、50〜100%であることが好ましく、50〜97%であることが更に好ましい。上記割合が50%未満であると、フック材接着面とループ材接着面との接着面積が少なくなるため、フック材の接着強度を十分に確保できないおそれがある。なお、上記割合が97%以下であると、基材シートとフック材とをオーバーラップさせることができるため、引張強度を更に向上させることができるという利点がある。
【0046】
図4は、フック材13のフック材接着面13aの全部が、ループ材12のループ材接着面12aに接着されている止着テープ10bを示す例である。
【0047】
フック材は、そのフック材接着面に、所望の文字、図形、記号などを印刷することが好ましい。このようにすると、ループ材を通してフック材の位置を認識できるため、上記文字などを目印とすることができる。そのため、おむつ着用時の作業性が向上するという利点がある。
【0048】
フック材をループ材に接着させる方法は、従来公知の方法を適宜採用することができるが、例えば、ホットメルト接着剤等の接着剤を用いる方法を好適に採用することができる。
【0049】
本発明の止着テープは、フック材のフック材接着面と基材シートの一方の面がそれぞれループ材のループ材接着面に直接接着されており、これらを直接接着させる方法としては、上述したようにホットメルト接着剤などを用いる方法が挙げられるが、ホットメルト接着剤を用いる場合、フック材接着面をループ材接着面に接着するホットメルト接着剤は、基材シートの一方の面をループ材接着面に接着するホットメルト接着剤に対して、その塗工量、種類を異ならせることが好ましい。即ち、基材シートとループ材の接着強度は、フック材とループ材の接着強度とは異なることが好ましく、フック材とループ材の接着強度を、基材シートとループ材の接着強度に比して大きくすることが更に好ましい。なお、上記ホットメルト接着剤は、その塗工量、種類を同じにしてもよい。
【0050】
[2]止着テープの製造方法:
本発明の止着テープの製造方法は、ループ材接着面を有するシート状の長尺ループ材のループ材接着面の一部に、不織布からなる長尺基材シートを接着して、第一の長尺中間シートを得る第一の工程と、第一の長尺中間シートの長尺ループ材のループ材接着面の、長尺基材シートが接着されていない基材シート非接着部に、フック材接着面を有する長尺フック材シートのフック材接着面を接着して、第二の長尺中間シートを得る第二の工程と、第二の長尺中間シートを所定の大きさに切り離して、複数の止着テープを得る第三の工程と、を備えたものである。このような製造方法によると、フック材の接着強度を簡単かつ十分に確保された止着テープを製造することができる。
【0051】
[2−1]第一の工程:
本発明の止着テープの製造方法は、まず、ループ材接着面を有するシート状の長尺ループ材のループ材接着面の一部に、不織布からなる長尺基材シートを接着して、第一の長尺中間シートを得る第一の工程を行う。本工程においては、ループ材接着面のうち、長尺ループ材の短手方向の一方の端部を含む第一の領域に、一の長尺基材シートを接着するとともに、他方の端部を含む第二の領域に、別の長尺基材シートを接着して第一の長尺中間シートを得ることが好ましい。このような工程であると、製造工程中にトリム(廃棄物)などの無駄が生じ難くなるという利点がある。
【0052】
長尺ループ材としては、例えば、帯状のフィルムと、このフィルムの一方の面の全部に配置されたループ状の繊維(ループ)と、を備えるシート状のものを用いることができる。上記フィルムとしては、上述したループ材用フィルムと同様のものを用いることができる。
【0053】
長尺基材シートは、上述したように不織布からなるものであり、既に上述した基材シートと同様の不織布を用いることができる。
【0054】
長尺ループ材と長尺基材シートとを接着する方法は、上述したループ材を基材シートに接着させる方法と同様の方法を採用することができるが、本工程において、ループ材接着面に第一の接着剤を塗工し、その後、このループ材接着面の一部に、長尺基材シートを第一の接着剤によって接着することが好ましい。更に、ループ材接着面の全面に第一の接着剤を塗工し、その後、ループ材接着面のうち、長尺ループ材の短手方向の一方の端部を含む第一の領域に、一の長尺基材シートを上記第一の接着剤を介して接着するとともに、他方の端部を含む第二の領域に、別の長尺基材シートを上記第一の接着剤を介して接着して第一の長尺中間シートを得ることが好ましい。即ち、第一の接着剤を介して2枚の長尺基材シートを、長尺ループ材のループ材接着面の両側(短手方向の両端部側)にそれぞれ接着させることが好ましい。
【0055】
そして、後述するように、第一の領域と第二の領域との間の第三の領域には、長尺フック材シートのフック材接着面を上記第一の接着剤を介して接着することが好ましい。このように、製造上、長尺ループ材に接着剤(第一の接着剤)を塗工することが好ましく、その効果としては、生産性が向上することを挙げることができる。即ち、製造上のトラブルを生じ難いという利点がある。
【0056】
なお、第一の接着剤としては、上述したホットメルト接着剤等の接着剤を挙げることができる。ループ材接着面の全面に塗工する第一の接着剤は、一種単独でまたは二種以上のものを用いることができる。
【0057】
[2−2]第二の工程:
次に、第一の長尺中間シートの長尺ループ材のループ材接着面の、長尺基材シートが接着されていない基材シート非接着部に、フック材接着面を有する長尺フック材シートのフック材接着面を接着して、第二の長尺中間シートを得る第二の工程を行う。本工程においては、ループ材接着面の、第一の領域と第二の領域との間の第三の領域に、長尺フック材シートのフック材接着面を接着することが好ましい。
【0058】
長尺フック材シートとしては、例えば、帯状のフィルムと、このフィルムの一方の面に配置された複数の突起(フック)と、を備えるものを用いることができる。上記フィルムとしては、上述したフック材用フィルムと同様のものを用いることができる。長尺フック材シートとして帯状のものを用いる場合、長尺フック材シートの幅は、第三の領域の幅よりも狭いものであってもよいし、広いものであってもよい。
【0059】
第一の長尺中間シートに長尺フック材シートを接着させる方法は、フック材をループ材に接着させる方法と同様の方法を採用することができるが、本工程において、基材シート非接着部に、長尺フック材シートのフック材接着面を上記第一の接着剤によって接着することが好ましい。更に、上述したように、ループ材接着面の、第一の領域と第二の領域との間の第三の領域には、長尺フック材シートのフック材接着面を、上記ループ材接着面に塗工した上記第一の接着剤によって接着することが好ましい。
【0060】
また、本工程においては、そのフック材接着面に、あらかじめ第二の接着剤が塗工された長尺フック材シートを用いることが好ましく、このフック材接着面を、第一の領域に接着した長尺基材シート、ループ材接着面の第三の領域、及び、第二の領域に接着した長尺基材シートに接着することが好ましい。即ち、上記フック材は、ループ材以外に、離間した基材シートのそれぞれに接着していることが好ましい。このようにすると、製造される止着テープは、そのフック材が、離間した基材シートの両方に接着されているため、基材シートが離れる方向(図2に示すX方向)の引張強度が向上するという利点がある。
【0061】
なお、第二の接着剤としては、上述したホットメルト接着剤等の接着剤を挙げることができ、第二の接着剤は、上述した第一の接着剤と同じものであってもよく、異なるものであってもよい。
【0062】
図5は、第二の工程で得られた第二の長尺中間シート70を示す斜視図である。また、図6は、図5に示す第二の長尺中間シート70を長尺フック材シート71側から見た平面図である。第二の長尺中間シート70は、以下のようにして得られるものである。まず、帯状の長尺ループ材72のループ材接着面の全面にホットメルト接着剤(第一の接着剤)を塗工し、その後、ループ材接着面のうち、その短手方向の一方の端部を含む第一の領域51に、一の長尺基材シート73aを上記ホットメルト接着剤によって接着するとともに、他方の端部を含む第二の領域52に、別の長尺基材シート73bを上記ホットメルト接着剤によって接着して第一の長尺中間シートを得る。次に、あらかじめフック材接着面71aにホットメルト接着剤(第二の接着剤)が塗工された長尺フック材シート71を用意し、この長尺フック材シート71のフック材接着面71aを、長尺基材シート73a、第一の領域51と第二の領域52との間の第三の領域53、長尺基材シート73bに上記ホットメルト接着剤によって接着して、第二の長尺中間シート70を得ることができる。
【0063】
なお、上述したように、フック材接着面に、あらかじめ第二の接着剤が塗工されたフック材を用いることが好ましいが、製造ラインにてフック材接着面に上記第二の接着剤を塗工するようにしてもよい。
【0064】
また、第一の長尺中間シートに長尺フック材シートを接着させる方法として、ホットメルト接着剤を用いた製造ラインにおいては、ホットメルト接着剤は、長尺ループ材の第三の領域に塗工することもできる。このように第三の領域に塗工する場合、例えば、第一の長尺中間シートが塗工中に蛇行することがあっても、ホットメルト接着剤がはみ出し難いという利点がある。即ち、ホットメルト接着剤がはみ出したことに起因する問題を回避することができる。
【0065】
更に、フック材の接着時には、上記第二の接着剤による接着方法に加え、ヒートシールなどの圧着加工をすることができる。このように圧着加工を行うと、フック材の接着強度を有効に高めることができるという利点がある。
【0066】
また、第一の領域と第二の領域に用いる接着剤(第一の接着剤)は、第三の領域に用いる接着剤(第一の接着剤、第二の接着剤)に対して、その塗工量、種類を異ならせることが好ましい。即ち、長尺ループ材と長尺フック材シートの接着部位における接着強度が、長尺ループ材と長尺フック材シートの接着部位における接着強度とは異なるように、塗工量や種類を異ならせて上記接着剤を塗工することが好ましい。例えば、ループ材接着面の全面に接着剤(第一の接着剤)を塗工する際に、フック材との接着部位と基材シートとの接着部位とで、上記接着剤の塗工量を変えることができる。
【0067】
[2−3]第三の工程:
次に、第二の長尺中間シートを所定の大きさに切り離して、複数の止着テープを得る第三の工程を行う。本工程において、第二の長尺中間シートを切り離す方法は、特に制限はないが、以下のように行うことが好ましい。即ち、第二の長尺中間シートを、第一の領域、第三の領域、第二の領域、第三の領域、第一の領域を順次通過するようなS字カーブ状の切断軌跡で切断して、一方にS字カーブ状の側縁を有し、他方に直線状の側縁を有する2枚の止着テープ中間体を得、得られた止着テープ中間体のそれぞれを、S字カーブ状の側縁の谷部と直線状の側縁との間で切り離することが好ましい。このようにして複数の止着テープを得る場合、製造工程中においてトリム(廃棄物)が生じ難くなるため、製造コストを下げることができる。
【0068】
図7は、第二の長尺中間シート70を、第一の領域51、第三の領域53、第二の領域52、第三の領域53、第一の領域51を順次通過するようなS字カーブ状の切断軌跡Sで切断した例を示している。このようにして第二の長尺中間シート70を切断すると、例えば、図8に示すような、一方にS字カーブ状の側縁を有し、他方に直線状の側縁を有する止着テープ中間体74を2枚得ることができる。
【0069】
図8は、止着テープ中間体74を、S字カーブ状の側縁の谷部74aと直線状の側縁74bとの間で切り離した例を示している。このようにして、複数の止着テープ10aを得ることができる。
【0070】
[3]テープ型使い捨ておむつ:
本発明のテープ型使い捨ておむつの一実施形態は、図9に示すテープ型使い捨ておむつ100のように、前身頃2、股下部4及び後身頃6の各部から構成されるとともに、吸収体22と、一部が液透過性材料からなるトップシート18と、液不透過性材料からなるバックシート20と、後身頃6の左右の各側縁6a,6bから延出するように配置され、後身頃6と前身頃2とを固定可能な止着テープ10aと、備えるものである。止着テープ10aは、本発明の止着テープであり、一方の面側にフック材13が配置され、他方の面側にループ材12が配置されている。このようなテープ型使い捨ておむつは、フック材の接着強度が向上し、剥離され難い止着テープを備えるものである。
【0071】
更に、図9に示すテープ型使い捨ておむつ100は、前身頃2には、フロントパッチ17が配置されており、このフロントパッチ17は、図10に示すように、止着テープ10aのフック材13を固定することが可能なように構成されている。このような構成によって、おむつの後身頃6を前身頃2に対して固定することができ、おむつを着用者に装着させることが可能となる。フロントパッチ17としては、メカニカルファスナーのループ材からなるものを用いることができる。図10は、図9に示すテープ型使い捨ておむつ100の使用状態を示す斜視図である。図10に示すように、一の止着テープ10aは、フロントパッチ17に固定可能であるとともに、他の止着テープ10aにも固定可能である。
【0072】
なお、本明細書において「前身頃」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の腹側(身体前方)を覆う部分、「股下部」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の股下を覆う部分、「後身頃」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の背側(身体後方)を覆う部分を意味する。
【0073】
[3−1]止着テープ:
本発明のテープ型使い捨ておむつが備える止着テープは、上述した本発明の止着テープであり、後身頃の左右の各側縁から延出するように配置され、後身頃と前身頃とを固定可能なものである。この止着テープは、一方の端部が、ホットメルト接着剤等の接着剤によって後身頃に固定される。
【0074】
[3−2]吸収体:
吸収体は、着用者の尿を吸収し、保持するための部材である。吸収体は、着用者の尿や体液を吸収し保持するものであり、吸収性材料によって構成される。
【0075】
吸収体を構成する吸収性材料としては、使い捨ておむつその他の吸収性物品に通常使用される従来公知の吸収性材料、例えば、フラッフパルプ、高吸水性ポリマー(Super Absorbent Polymer;以下、「SAP」と記す)、親水性シート等を挙げることができる。フラッフパルプとしては、木材パルプや非木材パルプを綿状に解繊したものを用いることが好ましく、SAPとしては、ポリアクリル酸ナトリウムを用いることが好ましく、親水性シートとしては、ティシュ、吸収紙、親水化処理を行った不織布を用いることが好ましい。
【0076】
これらの吸収性材料は、通常、単層または複層のマット状として用いられる。この際、上記吸収性材料のうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、フラッフパルプ100質量部に対して、10〜500質量部程度のSAPを併用したものが好ましい。SAPはフラッフパルプの各マット中に均一に混合されていてもよいし、複層のフラッフパルプの層間に層状に配置されていてもよい。
【0077】
吸収体は、トップシートとバックシートの間の少なくとも一部に介装されることが好ましい。より具体的には、吸収体は少なくとも股下部に介装され、この吸収体が前身頃や後身頃にまで及んでいてもよい。吸収体の周縁部には、トップシートとバックシートの間に吸収体が介装されていないフラップ部が形成される。
【0078】
吸収体は、その全体が親水性シートによって包み込まれていることが好ましい。このような構成は、吸収体からSAPが漏洩することを防止し、吸収体に形状安定性を付与することができるという利点がある。
【0079】
吸収体の形状については、特に制限はないが、従来の使い捨ておむつその他の吸収性物品において使用される形状、例えば、矩形状、砂時計型、ひょうたん型、T字型等を挙げることができる。図9に示すテープ型使い捨ておむつ100は、砂時計型の吸収体22を用いた例である。
【0080】
なお、吸収体には、その表面側に(例えば、吸収体とトップシートとの間に)、尿や体液等の液体を拡散させるためのシート(セカンドシート)を付帯的に配置してもよい。このセカンドシートを付設すると、着用者の姿勢等に起因して、トップシート裏面側の空間が十分に形成されないような場合でも、尿や体液等の吸収速度が低下し難く、吸収速度の低下による尿や体液等の漏れを防止することが可能となる。
【0081】
セカンドシートを構成する材料としては、親水性で液透過性の材料、例えば、織布、不織布、多孔性プラスチック、フラッフパルプ等を挙げることができる。これらの構成素材としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、レーヨン、パルプ、或いはこれらの複合繊維等を挙げることができる。パルプとしては、カーリーセルロースファイバー等のけん縮繊維を好適に用いることができる。
【0082】
[3−3]トップシート:
トップシートは、吸収体の上面(おむつの装着時において着用者の肌側に位置する面)を被覆するように配置されるシートである。トップシートは、その少なくとも一部(全部ないし一部)が、着用者の尿や体液を透過させ得る液透過性材料により構成され、通常、吸収体の表面近傍は、液透過性材料によって構成されている。このようにトップシートは、少なくとも一部が液透過性材料により構成されていればよく、トップシート全体が液透過性材料で構成されている必要はない。
【0083】
トップシートを構成する液透過性材料としては、例えば、織布、不織布、多孔性フィルム等を挙げることができる。これらの中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる不織布に親水化処理を施したものを用いることが好ましい。不織布の種類は、特に制限はなく、例えば、エアースルー(カード熱風)、カードエンボス、スパンボンド等の各種製法によって製造された従来公知の不織布を好適に用いることができる。
【0084】
トップシートは単一のシート材によって構成されていてもよいが、複数のシート材によって構成されていてもよい。また、おむつの装着時において着用者の肌側に位置する面には、液透過性材料により構成されたトップシート(センターシート)が配置され、サイドフラップの部分には、更に別のシート(サイドシート)が配置されていてもよい。図9に示すテープ型使い捨ておむつ100は、その中央部に液透過性材料からなるトップシート18(センターシート18a)を配置し、おむつのサイドフラップ8部分には液の透過に対して抵抗性を示す通気撥水性材料からなるサイドシート19を配置した例である。
【0085】
[3−4]バックシート:
バックシートは、吸収体の下面(おむつの装着時において着用者の着衣側に位置する面)を被覆するように配置されるシートである。バックシートは、着用者の尿がおむつ外部に漏洩してしまうことを防止するため、液不透過性材料によって構成される。
【0086】
バックシートの配置方法は、特に制限はないが、吸収体で吸収された尿の漏れを防止するという観点から、少なくとも吸収体の存在する部分に配置することができる。例えば、図9に示すテープ型使い捨ておむつ100は、おむつの外形と一致するように、バックシート20を配置した例である。
【0087】
バックシートを構成する液不透過性材料としては、例えば、ポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フィルム等を挙げることができる。これらの中でも、微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。この微多孔性ポリエチレンフィルムは、0.1〜数μmの微細な孔が多数形成されており、液不透過性ではあるが透湿性を有するため、おむつ内部の蒸れを防止することができるという利点がある。
【0088】
なお、バックシートには、その外表面側にシート材(カバーシート)を貼り合わせてもよい。このカバーシートは、バックシートを補強し、バックシートの手触り(触感)を良好なものとするという利点がある。
【0089】
カバーシートを構成する材料としては、例えば、織布、不織布等を挙げることができる。これらの中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂からなる乾式不織布、湿式不織布を用いることが好ましい。
【0090】
[3−5]立体ギャザー:
本発明のテープ型使い捨ておむつは、着用者の排泄した尿の横漏れを防止するため、立体ギャザーを備えていてもよい。立体ギャザーは、着用者の排泄した尿の横漏れを防止するための部材であり、立体的に起立可能なように構成された防漏壁である。このような立体ギャザーを形成することにより、立体ギャザーが防波堤となり、おむつの脚周り開口部等からの漏れ(いわゆる「横漏れ」)を有効に防止することができる。
【0091】
立体ギャザーの構成は、従来の使い捨ておむつその他の吸収性物品に使用される構成を採用することができる。例えば、撥水性のシート材の一部に伸縮材(立体ギャザー伸縮材)を配置し、その立体ギャザー伸縮材によってシート材にギャザー(襞)を形成したもの等を好適に用いることができる。
【0092】
なお、立体ギャザーは、トップシートやバックシートとは全く別個のシート材により形成してもよいが、トップシート(例えば、センターシート)やサイドシート等を折り返すことにより形成してもよい。
【0093】
この立体ギャザーは、股下部からの漏れを防止するため、少なくとも股下部に形成されていればよいが、前身頃や後身頃に形成されていてもよい。例えば、図9に示すテープ型使い捨ておむつ100は、おむつの長手方向に沿って、股下部4から前身頃2と後身頃6の双方にかけて連続的に、一対の立体ギャザー26a,26bが形成された例である。なお、立体ギャザー26a,26bには、その先端部に立体ギャザー伸縮材36a,36bが設けられている。また、立体ギャザーは、二対以上形成してもよい。
【0094】
立体ギャザーは、おむつの内側に向かって傾倒する内倒しギャザーであってもよいし、おむつの外側に向かって傾倒する外倒しギャザーであってもよい。また、高さ方向の一部に、曲げ部や折り返し部を形成した立体ギャザー(いわゆる、C折りギャザーやZ折りギャザー等)であってもよい。
【0095】
[3−6]各種伸縮材:
本発明のテープ型使い捨ておむつは、脚周り伸縮材及びウエスト周り伸縮材を更に配置することができる。
【0096】
脚周り伸縮材は、脚周り開口部に沿って配置される伸縮材である。この脚周り伸縮材を配置することによって、脚周り開口部に伸縮性に富むギャザー(レグギャザー)を形成することができる。レグギャザーを形成すると、脚周りに隙間が形成され難くなり、脚周り開口部からの尿漏れを効果的に防止することができる。また、脚周り伸縮材を配置する(レグギャザーを形成する)と、おむつを交換する際に吸収体の両側で脚周り伸縮材が収縮するため、股下部近傍が椀状に変形し、凹部が形成される。そして、おむつの交換に際して、尿や体液がその凹部に溜まるため、尿や体液がこぼれ難くなるという利点がある。
【0097】
例えば、図9に示すテープ型使い捨ておむつ100は、おむつの長手方向に沿って、直線的に二本の脚周り伸縮材40を配置した例であり、この脚周り伸縮材40によってレグギャザーが形成されている。脚周り伸縮材40は、例えば、糸ゴムによって構成することができる。なお、脚周り伸縮材は、直線的に配置すること以外に、例えば、おむつの脚周り開口部のカーブに沿って曲線的に配置してもよい。
【0098】
脚周り伸縮材40は、図9に示すテープ型使い捨ておむつ100のように、立体ギャザー26a,26bの起立線46より外側の部分に配置することが好ましい。このように配置すると、立体ギャザーの十分な防漏効果を確保しつつ、装着感を向上させることができる。
【0099】
なお、図9に示すテープ型使い捨ておむつ100は、脚周り伸縮材40の形状、配置位置、配置数等を左右対称とした例であるが、左右非対称であってもよい。また、図9に示すテープ型使い捨ておむつ100は、脚周り伸縮材40を、おむつの片側に二本配置した例を示しているが、一本だけ配置してもよいし、三本以上配置してもよい。また、複数本の脚周り伸縮材を用いる場合、太さや伸張率等は目的に応じて適宜設定することができ、同じものを用いてもよいし、異なるものを用いてもよい。
【0100】
ウエスト周り伸縮材は、ウエスト周り開口部に沿って配置される伸縮材である。ウエスト周り伸縮材を配置することによって、ウエスト開口部に伸縮性に富むギャザー(ウエストギャザー)を形成することができる。このウエストギャザーによって、ウエスト周りに隙間が形成され難くなり、ウエスト周りからの尿漏れを防止することができる。また、おむつのフィット性が良好となり、おむつのずり下がりを防止することができる。
【0101】
図9に示すテープ型使い捨ておむつ100は、おむつの後身頃6の端縁に沿って帯状のウエスト周り伸縮材42を配置した例である。このウエスト周り伸縮材42としては、糸ゴムを用いることができる。なお、ウエスト周り伸縮材42は、図9に示すように、後身頃(背側)のみに配置してもよいが、前身頃(腹側)のみに配置してもよいし、後身頃と前身頃の両方に配置してもよい。
【0102】
例えば、図9に示すテープ型使い捨ておむつ100のように、後身頃6の左右の各側縁6a,6bに、止着テープ10aをそれぞれ2個ずつ配置した場合には、後身頃6の端縁に沿ってウエスト周り伸縮材42が付設されるとともに、少なくとも股下部4の両側縁に沿って脚周り伸縮材40を付設することが好ましい。
【0103】
このような構成によると、2個の止着テープ10aのうち上側に配置された止着テープ10aとウエスト周り伸縮材42が一体となって、着用者のウエスト周りにおけるおむつのフィット性を向上させることができる。また、2個の止着テープ10aのうち下側に配置された止着テープ10aと脚周り伸縮材40が一体となって、着用者の脚周りにおけるおむつのフィット性を向上させることができる。この効果は、上側に配置された止着テープ10aを前身頃2の端縁と略同一方向に延びるように配置し、下側に配置された止着テープ10aを前身頃2の端縁側(おむつ上側)に向かって引き上げるようにして配置した場合に特に大きくなる。
【0104】
これらの伸縮材は、ギャザーの収縮の程度等を勘案した上で、構成材料、その材料の伸長率、固定時の伸長状態等を適宜設定することができる。
【0105】
伸縮材としては、従来の使い捨ておむつにおいて使用されてきた伸縮材を好適に用いることができる。具体的には、天然ゴムや合成ゴム(ウレタンゴム等)の弾性材からなる糸ゴム、平ゴムの他、伸縮性ネット、伸縮性フィルム等を挙げることができる。
【0106】
伸縮材は、十分な伸縮力を作用させるため、伸長状態で固定することが好ましい。例えば、伸縮材が天然ゴムや合成ゴムである場合には、110〜400%の伸長状態で固定することが好ましく、200〜300%の伸長状態で固定することがより好ましい。このような範囲の伸長状態で固定することにより、十分な伸縮力を作用させることが可能となる。
【0107】
上記伸縮材は、おむつの他の構成部材に対して固定することができる。固定方法としては、具体的には、ホットメルト接着剤、その他の流動性の高い接着剤を用いた方法や、ヒートシールなどの、熱や超音波等による方法を挙げることができる。
【0108】
[4]テープ型使い捨ておむつの製造方法:
本発明のテープ型使い捨ておむつの製造方法を、図9に示すテープ型使い捨ておむつ100を製造する場合を例示して説明する。まず、バックシート20の材料となる長尺のシート材(バックシート材)の表面に、親水性シートに包まれた吸収体22及び脚周り伸縮材40を載置した後、バックシート材の上記表面側にトップシート18の材料となる長尺のシート材(トップシート材)を載置して、おむつの中間体となる積層体(おむつ連続体)を得る。このとき、トップシート材は、センターシート18aに相当するトップシート材と、サイドシート19に相当するサイドシート材の2種類を用いる。なお、サイドシート19に相当するサイドシート材の一部を折り返すことによって、上記サイドシート材に立体ギャザー26a,26bを形成する。
【0109】
その後、得られたおむつ連続体を、おむつの脚周り開口部に相当する部分を円弧状に切り抜いて切除(Rカット)し、脚周り開口部を形成する。その後に、おむつの後身頃6の側縁6a,6bに、それぞれ2個の止着テープ10aを付設した後、所定の位置で切断して、テープ型使い捨ておむつ100を製造することができる。
【0110】
なお、上述した一連の工程は、機械的な手段によって連続的に行うことができる。具体的には、長尺のシート材をローラーから連続的に送出する装置などを用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明の止着テープは、乳幼児、または介護を必要とする高齢者や障害者等の成人などが使用するテープ型使い捨ておむつの止着テープとして好適に用いることができる。本発明の止着テープの製造方法は、乳幼児、または介護を必要とする高齢者や障害者等の成人などが使用するテープ型使い捨ておむつの止着テープの製造方法として好適に用いることができる。また、本発明のテープ型使い捨ておむつは、乳幼児用、または介護を必要とする高齢者や障害者等の成人用のおむつとして好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0112】
2:前身頃、4:股下部、6:後身頃、6a,6b:側縁、8:サイドフラップ、10a,10b,110:止着テープ、11a,11b,111:基材シート、12,112:ループ材、12a,72a:ループ材接着面、13,113:フック材、13a:フック材接着面、15:欠落部、17:フロントパッチ、18:トップシート、18a:センターシート、19:サイドシート、20:バックシート、22:吸収体、25:ループ材用フィルム、26a,26b:立体ギャザー、27:ループ、28:フック材用フィルム、29:フック、36a,36b:立体ギャザー伸縮材、40:脚周り伸縮材、42:ウエスト周り伸縮材、46:起立線、51:第一の領域、52:第二の領域、53:第三の領域、70:第二の長尺中間シート、71:長尺フック材シート、71a:フック材接着面、72:長尺ループ材、72a:ループ材接着面、73a,73b:長尺基材シート、74:止着テープ中間体、74a:谷部、74b:直線状の側縁、100:テープ型使い捨ておむつ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、止着テープ、止着テープの製造方法及びテープ型使い捨ておむつに関し、更に詳しくは、フック材の接着強度を簡単かつ十分に確保することができる止着テープ、止着テープの製造方法及びテープ型使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、テープ型使い捨ておむつは、前身頃、股下部及び後身頃の各部から構成され、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これら両シートの間に配置された吸収体と、後身頃の左右の各側縁から延出するように配置され、前身頃と後身頃とを固定するための止着テープと、を備えている。そして、着用時に排泄された尿等の排泄物を液透過性のトップシートを介して吸収体に保持し、液不透過性のバックシートにより、排泄物がおむつの外に漏れ出すのを防ぐ構造になっている。
【0003】
このようなテープ型使い捨ておむつとしては、着用者の脚周りにおけるフィット性を向上させるために、例えば、図11に示すような止着テープ110を備えたテープ型使い捨ておむつが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。この止着テープ110は、不織布からなる基材シート111と、この基材シート111の一方の面に、フック材113と、基材シート111の他方の面に、ループ材112と、を有するものである。このような止着テープを用いると、一の止着テープの上に他の止着テープを重ねて固定することができるため、おむつを着用者にフィットさせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4024782号公報
【特許文献2】特許第4066806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2に記載したテープ型使い捨ておむつは、体形の異なる着用者が装着する場合であっても、装着性、フィット性に優れ、特に脚周りからの漏れを効果的に防止することができる。しかし、止着テープの基材シートとして不織布を使用した場合、基材シートの表面には凹凸が多いため、基材シートとフック材との接着面積が十分に得られず、フック材の接着強度が十分に得られないという問題があった。このような問題を解決するため、フック材を基材シートに接着するだけでなく、これに加え、フック材を基材シートにヒートシールして接着強度を補強していた。
【0006】
しかしながら、上記のようにフック材を基材シートにヒートシールする構造を有する止着テープは、製造に手間がかかるだけでなく、ヒートシールするための大掛かりな設備が必要になるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、フック材の接着強度を簡単かつ十分に確保できる止着テープ、この止着テープの製造方法、及び、上記止着テープを用いたテープ型使い捨ておむつを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、以下に示す止着テープ、止着テープの製造方法、及び、テープ型使い捨ておむつが提供される。
【0009】
[1]不織布からなる基材シートと、ループ材接着面を有し、前記基材シートの一方の面に前記ループ材接着面の一部が接着されたシート状のループ材と、フック材接着面を有し、前記ループ材の前記ループ材接着面の、前記基材シートが接着されていない部分に前記フック材接着面が接着されたフック材と、を備える止着テープ。
【0010】
[2]前記基材シートは、略長方形状の不織布を、その長手方向の一方の端部側の部分で、短手方向に沿って分割して離間させたものであり、前記基材シートが離間した部分で、前記フック材接着面が前記ループ材接着面に接着している前記[1]に記載の止着テープ。
【0011】
[3]前記フック材接着面の総面積に対する、前記フック材接着面と前記ループ材接着面との接着面積の割合が、50〜100%である前記[1]または[2]に記載の止着テープ。
【0012】
[4]前記基材シートと前記ループ材の接着強度は、前記フック材と前記ループ材の接着強度とは異なる前記[1]〜[3]のいずれかに記載の止着テープ。
【0013】
[5]前記ループ材は、フィルムと、前記フィルムの一方の面に配置されたループと、を備え、前記ループが配置された面の反対側の面に前記ループ材接着面を有する前記[1]〜[4]のいずれかに記載の止着テープ。
【0014】
[6]前記ループ材の、前記フック材接着面が接着されるフック材接着部分は、着色されており、前記フック材接着部分以外の部分は、前記フック材接着部分と異なる色に着色されている前記[1]〜[5]のいずれかに記載の止着テープ。
【0015】
[7]ループ材接着面を有するシート状の長尺ループ材の前記ループ材接着面の一部に、不織布からなる長尺基材シートを接着して、第一の長尺中間シートを得る第一の工程と、前記第一の長尺中間シートの前記長尺ループ材の前記ループ材接着面の、前記長尺基材シートが接着されていない基材シート非接着部に、フック材接着面を有する長尺フック材シートの前記フック材接着面を接着して、第二の長尺中間シートを得る第二の工程と、前記第二の長尺中間シートを所定の大きさに切り離して、複数の止着テープを得る第三の工程と、を備えた止着テープの製造方法。
【0016】
[8]前記第一の工程において、前記ループ材接着面に第一の接着剤を塗工し、その後、前記ループ材接着面の一部に、前記長尺基材シートを前記第一の接着剤によって接着し、前記第二の工程において、前記基材シート非接着部に、前記長尺フック材シートの前記フック材接着面を前記第一の接着剤によって接着する前記[7]に記載の止着テープの製造方法。
【0017】
[9]前記第一の工程において、前記ループ材接着面のうち、前記長尺ループ材の短手方向の一方の端部を含む第一の領域に、一の前記長尺基材シートを接着するとともに、他方の端部を含む第二の領域に、別の前記長尺基材シートを接着し、前記第二の工程において、前記ループ材接着面の、前記第一の領域と前記第二の領域との間の第三の領域に、前記長尺フック材シートの前記フック材接着面を接着する前記[7]または[8]に記載の止着テープの製造方法。
【0018】
[10]前記第二の工程において、前記フック材接着面に、あらかじめ第二の接着剤が塗工された前記長尺フック材シートを用意し、前記フック材接着面を、前記第一の領域に接着した前記長尺基材シート、前記ループ材接着面の前記第三の領域、及び、前記第二の領域に接着した前記長尺基材シートに接着する前記[9]に記載の止着テープの製造方法。
【0019】
[11]前記第三の工程は、前記第二の長尺中間シートを、前記第一の領域、前記第三の領域、前記第二の領域、前記第三の領域、前記第一の領域を順次通過するようなS字カーブ状の切断軌跡で切断して、一方にS字カーブ状の側縁を有し、他方に直線状の側縁を有する2枚の止着テープ中間体を得、得られた前記止着テープ中間体のそれぞれを、前記S字カーブ状の側縁の谷部と前記直線状の側縁との間で切り離して、複数の前記止着テープを得る工程である前記[9]または[10]に記載の止着テープの製造方法。
【0020】
[12]前身頃、股下部及び後身頃の各部から構成されるとともに、吸収体と、前記吸収体の表面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の裏面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートと、前記後身頃の左右の各側縁から延出するように配置され、前記前身頃と前記後身頃とを固定可能である前記[1]〜[6]のいずれかに記載の止着テープと、を備えたテープ型使い捨ておむつ。
【発明の効果】
【0021】
本発明の止着テープは、フック材の接着強度を簡単かつ十分に確保することができるという効果を奏するものである。
【0022】
本発明の止着テープの製造方法は、フック材の接着強度を簡単かつ十分に確保された止着テープを製造することができるという効果を奏するものである。
【0023】
本発明のテープ型使い捨ておむつは、止着テープのフック材の接着強度が簡単かつ十分に確保されているという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の止着テープの一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1のA−A’断面を示す断面図である。
【図3】本発明の止着テープの基材シートの一実施形態を示す平面図である。
【図4】本発明の止着テープの別の実施形態を示す断面図である。
【図5】本発明の止着テープの製造方法の一実施形態の製造工程を説明する斜視図である。
【図6】図5の製造工程における平面図である。
【図7】本発明の止着テープの製造方法の一実施形態の製造工程を説明する模式図である。
【図8】本発明の止着テープの製造方法の一実施形態の製造工程を説明する模式図である。
【図9】本発明のテープ型使い捨ておむつの一実施形態を示す平面図である。
【図10】図9に示すテープ型使い捨ておむつの使用状態を示す斜視図である。
【図11】従来の止着テープを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に属することが理解されるべきである。
【0026】
[1]止着テープ:
図1は、本発明の止着テープの一実施形態である止着テープ10aを示す平面図であり、図2は、図1のA−A’断面を示す断面図である。本発明の止着テープは、図2に示す止着テープ10aのように、不織布からなる基材シート11aと、ループ材接着面12aを有し、基材シート11aの一方の面にループ材接着面12aの一部が接着されたシート状のループ材12と、フック材接着面13aを有し、ループ材12のループ材接着面12aの、基材シート11aが接着されていない部分にフック材接着面13aが接着されたフック材13と、を備えるものである。このような止着テープは、フック材の接着強度が簡単かつ十分に確保され、フック材が剥離され難いものである。なお、図1〜図10において、共通の構成要素には同一の符号を付してある。
【0027】
なお、本発明の止着テープは、乳幼児用、成人用を問わず、テープ型使い捨ておむつの止着テープとして好適に使用することができるが、成人用のテープ型使い捨ておむつに使用することが好適である。成人用のテープ型使い捨ておむつは、長時間繰り返し使用することが多いため、乳幼児用のおむつに比べて、フック材が剥離し易い傾向があるためである。
【0028】
また、成人用のテープ型使い捨ておむつは、着用者の体型、具体的には、ウエスト周り、脚周りの寸法に合わせてテープ位置、締め付け具合を適宜調節できるという利点を得るため、一般的に、両側縁に2個ずつ止着テープが配置されている。このように止着テープを2個ずつ配置すると、上記のような利点があるが、このとき、一の止着テープを他の止着テープに重ねるように配置することが多い。そのため、成人用のテープ型使い捨ておむつとしては、一方の面にフック材が配置され、他方の面にループ材が配置された止着テープが多く用いられている。
【0029】
[1−1]基材シート:
基材シートは、不織布からなるものであり、具体的には、スパンボンド、SMS(スパンボンド/メルトブロー/スパンボンド)、SMMS(スパンボンド/メルトブロー/メルトブロー/スパンボンド)、カードエンボス、レジンボンド等の各種不織布からなるものを用いることができる。なお、良好な引張強度が得られるという観点からは、スパンボンド不織布を用いることが好ましい。
【0030】
不織布の構成材料としては、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル、脂肪族ポリアミド(ナイロン(登録商標))、その他の熱可塑性樹脂からなる合成繊維を挙げることができる。この場合、合成繊維は単繊維であってもよいし、芯鞘構造等を有する複合繊維であってもよい。一般に、単繊維を使用する場合は、ポリオレフィンが多く用いられるが、良好な引張強度が得られるという観点からすると、ポリエステルを用いることも好ましい。また、基材シートとして、複数の不織布を積層した積層体や不織布とフィルムとを積層した積層体を用いることもできる。
【0031】
基材シートは、乳幼児用のおむつに用いる止着テープであるか、成人用のおむつに用いる止着テープであるかなどによって、その形状を必要に応じて適宜選択することができるが、例えば、長方形状、楕円状などの形状のものを用いることができる。ここで、本明細書において「長方形状」とは、長方形、及び、長方形の長手方向の一方の端部の中央部分が、その長手方向の外方に突出した形状を含む概念である。長方形状の長手方向の一方の端部の中央部分が、その長手方向の外方に突出した形状としては、例えば、図1に示す止着テープ10aの形状を例示することができる。
【0032】
また、基材シートは、その一部に欠落部が形成されたものであってもよい。そして、基材シートの好ましい態様の一つとしては、この欠落部においてフック材のフック材接着面がループ材のループ材接着面に接着しているものを挙げることができる。欠落部の形状は、例えば、矩形、円形等を挙げることができる。なお、基材シートには、上記形状の欠落部が複数形成されていてもよい。欠落部が形成された基材シートとしては、例えば、図3に示す基材シート11bを例示することができる。この基材シート11bは、長手方向の一方の端部に矩形状の欠落部15が形成されている。このように欠落部を形成し、この欠落部においてフック材のフック材接着面とループ材のループ材接着面とを接着すれば、フック材の接着強度を簡単かつ十分に確保することができる。
【0033】
また、欠落部としては、基材シートの一部を切り欠いて形成されたものや、基材シートを分割して形成されたものなどを挙げることができる。即ち、基材シートは、長方形状の不織布を、その長手方向の一方の端部側の部分で、短手方向に沿って分割して離間させたものを用いることができる。これらの中でも、本発明の止着テープとしては、上記基材シートが離間した部分で、フック材接着面がループ材接着面に接着しているものであることが好ましい。更に、基材シートが離間した部分(欠落部)を覆うようにフック材を配置するとともに、基材シートの一方の面側にフック材を配置し、他方の面側にループ材を配置して、基材シートが離間した部分(欠落部)でフック材接着面とループ材接着面とが互いに直接接着しているものであることが好ましい。更に、フック材の一方の端部が、離間した一の基材シートに接着し、他方の端部が、離間した他の基材シートに接着していることが好ましい。このような止着テープは製造が容易であるという利点がある。
【0034】
例えば、図1に示す止着テープ10aは、略長方形状の不織布を、その長手方向の一方の端部側の部分で、短手方向に沿って分割して離間させた基材シート11aと、基材シート10aの一方の面側に配置したフック材13と、基材シート10aの他方の面側に配置したループ材(図2参照)とを備え、この基材シート11aが離間した部分(欠落部15)で、フック材13のフック材接着面がループ材のループ材接着面に接着している例である。
【0035】
このように所定の部分を分割して離間させた基材シートを用いると、図11に示すような従来の基材シート111に比べて、離間させた部分の材料(基材シート)を減らすことが可能であるため、止着テープのコストを下げることができるという利点がある。
【0036】
[1−2]ループ材:
ループ材は、ループ材接着面を有し、基材シートの一方の面にループ材接着面の一部が接着されたシート状のものである。このようなループ材は、他の止着テープのフック材と係合することができるため、着用者の体型に合わせておむつを装着することができる。なお、ループ材接着面は、平らな面である。
【0037】
ループ材としては、フィルムと、このフィルムの一方の面に配置されたループと、を備え、上記ループが配置された面の反対側の面にループ材接着面を有することが好ましい。より具体的には、合成樹脂などからなるフィルムと、このフィルムの一方の面(ループ材接着面の反対側の面)に配置されたループ状の繊維と、を備えるもの等を用いることができる。例えば、図2に示す止着テープ10aは、ループ材用フィルム25と、このループ材用フィルム25のループ材接着面12aの反対側の面に配置されたループ状の繊維(ループ)27と、を有するループ材12を備えた例である。
【0038】
上記フィルムとしては、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル、脂肪族ポリアミド(ナイロン(登録商標))、その他の熱可塑性樹脂製フィルムなど用いることができる。
【0039】
ループ材の、フック材接着面が接着されるフック材接着部分(例えば、図2の欠落部15に対応する部分)は、着色されており、上記フック材接着部分以外の部分は、フック材接着部分と異なる色に着色されていることが好ましい。このような構成であると、ループ材側から見た場合にフック材の位置を認識できるとともに、フック材側から見た場合であっても、フック材を通してループ材の色の違いを視認することができるため、フック材の位置を認識できる。このように、いずれの側から見た場合であっても、フック材の位置を確実に認識できる。そのため、おむつ着用時の作業性が向上するという利点がある。
【0040】
ループ材を基材シートに接着させる方法は、従来公知の方法を適宜採用することができるが、例えば、ホットメルト接着剤等の接着剤を用いる方法を好適に採用することができる。
【0041】
[1−3]フック材:
フック材は、フック材接着面を有し、ループ材のループ材接着面の、基材シートが接着されていない部分に上記フック材接着面が接着されているものであり、フック材接着面は平らな面である。フック材は、合成樹脂などからなるフィルムと、このフィルムの一方の面(フック材接着面の反対側の面)に形成された多数の突起と、備えるシート状のものなどを用いることができる。多数の突起としては、例えば、鉤状、きのこ状、錨状等の突起を挙げることができる。フック材としては、具体的には、メカニカルファスナー(面状ファスナーとも称される)の凸部材を用いることができる。
【0042】
例えば、図2に示す止着テープ10aは、フック材用フィルム28と、このフック材用フィルム28のフック材接着面13aの反対側の面に配置された多数の突起(フック)29と、を有するフック材13を備えた例である。
【0043】
このようなフック材は、他の止着テープのループ材とも係合することができるため、着用者の体型に合わせておむつを装着することができる。即ち、一の止着テープのフック材と他の止着テープのループ材との機械的結合(フック材の多数の突起をループ材のループ状の繊維に係合させること)により止着テープを所望の位置に固定することができる。
【0044】
フック材(上記フィルム及び多数の突起)の素材としては、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル、脂肪族ポリアミド(ナイロン(登録商標))、その他の熱可塑性樹脂からなる合成繊維を用いることができる。特に、ポリエチレンやポリプロピレンを好適に用いることができる。なお、フィルムと突起の素材は、同じであっても、異なっていてもよい。
【0045】
フック材は、そのフック材接着面の少なくとも一部が、ループ材のループ材接着面に接着されていれば良いが、以下の割合で接着されていることが好ましい。即ち、フック材接着面の総面積に対する、フック材接着面とループ材接着面との接着面積の割合が、50〜100%であることが好ましく、50〜97%であることが更に好ましい。上記割合が50%未満であると、フック材接着面とループ材接着面との接着面積が少なくなるため、フック材の接着強度を十分に確保できないおそれがある。なお、上記割合が97%以下であると、基材シートとフック材とをオーバーラップさせることができるため、引張強度を更に向上させることができるという利点がある。
【0046】
図4は、フック材13のフック材接着面13aの全部が、ループ材12のループ材接着面12aに接着されている止着テープ10bを示す例である。
【0047】
フック材は、そのフック材接着面に、所望の文字、図形、記号などを印刷することが好ましい。このようにすると、ループ材を通してフック材の位置を認識できるため、上記文字などを目印とすることができる。そのため、おむつ着用時の作業性が向上するという利点がある。
【0048】
フック材をループ材に接着させる方法は、従来公知の方法を適宜採用することができるが、例えば、ホットメルト接着剤等の接着剤を用いる方法を好適に採用することができる。
【0049】
本発明の止着テープは、フック材のフック材接着面と基材シートの一方の面がそれぞれループ材のループ材接着面に直接接着されており、これらを直接接着させる方法としては、上述したようにホットメルト接着剤などを用いる方法が挙げられるが、ホットメルト接着剤を用いる場合、フック材接着面をループ材接着面に接着するホットメルト接着剤は、基材シートの一方の面をループ材接着面に接着するホットメルト接着剤に対して、その塗工量、種類を異ならせることが好ましい。即ち、基材シートとループ材の接着強度は、フック材とループ材の接着強度とは異なることが好ましく、フック材とループ材の接着強度を、基材シートとループ材の接着強度に比して大きくすることが更に好ましい。なお、上記ホットメルト接着剤は、その塗工量、種類を同じにしてもよい。
【0050】
[2]止着テープの製造方法:
本発明の止着テープの製造方法は、ループ材接着面を有するシート状の長尺ループ材のループ材接着面の一部に、不織布からなる長尺基材シートを接着して、第一の長尺中間シートを得る第一の工程と、第一の長尺中間シートの長尺ループ材のループ材接着面の、長尺基材シートが接着されていない基材シート非接着部に、フック材接着面を有する長尺フック材シートのフック材接着面を接着して、第二の長尺中間シートを得る第二の工程と、第二の長尺中間シートを所定の大きさに切り離して、複数の止着テープを得る第三の工程と、を備えたものである。このような製造方法によると、フック材の接着強度を簡単かつ十分に確保された止着テープを製造することができる。
【0051】
[2−1]第一の工程:
本発明の止着テープの製造方法は、まず、ループ材接着面を有するシート状の長尺ループ材のループ材接着面の一部に、不織布からなる長尺基材シートを接着して、第一の長尺中間シートを得る第一の工程を行う。本工程においては、ループ材接着面のうち、長尺ループ材の短手方向の一方の端部を含む第一の領域に、一の長尺基材シートを接着するとともに、他方の端部を含む第二の領域に、別の長尺基材シートを接着して第一の長尺中間シートを得ることが好ましい。このような工程であると、製造工程中にトリム(廃棄物)などの無駄が生じ難くなるという利点がある。
【0052】
長尺ループ材としては、例えば、帯状のフィルムと、このフィルムの一方の面の全部に配置されたループ状の繊維(ループ)と、を備えるシート状のものを用いることができる。上記フィルムとしては、上述したループ材用フィルムと同様のものを用いることができる。
【0053】
長尺基材シートは、上述したように不織布からなるものであり、既に上述した基材シートと同様の不織布を用いることができる。
【0054】
長尺ループ材と長尺基材シートとを接着する方法は、上述したループ材を基材シートに接着させる方法と同様の方法を採用することができるが、本工程において、ループ材接着面に第一の接着剤を塗工し、その後、このループ材接着面の一部に、長尺基材シートを第一の接着剤によって接着することが好ましい。更に、ループ材接着面の全面に第一の接着剤を塗工し、その後、ループ材接着面のうち、長尺ループ材の短手方向の一方の端部を含む第一の領域に、一の長尺基材シートを上記第一の接着剤を介して接着するとともに、他方の端部を含む第二の領域に、別の長尺基材シートを上記第一の接着剤を介して接着して第一の長尺中間シートを得ることが好ましい。即ち、第一の接着剤を介して2枚の長尺基材シートを、長尺ループ材のループ材接着面の両側(短手方向の両端部側)にそれぞれ接着させることが好ましい。
【0055】
そして、後述するように、第一の領域と第二の領域との間の第三の領域には、長尺フック材シートのフック材接着面を上記第一の接着剤を介して接着することが好ましい。このように、製造上、長尺ループ材に接着剤(第一の接着剤)を塗工することが好ましく、その効果としては、生産性が向上することを挙げることができる。即ち、製造上のトラブルを生じ難いという利点がある。
【0056】
なお、第一の接着剤としては、上述したホットメルト接着剤等の接着剤を挙げることができる。ループ材接着面の全面に塗工する第一の接着剤は、一種単独でまたは二種以上のものを用いることができる。
【0057】
[2−2]第二の工程:
次に、第一の長尺中間シートの長尺ループ材のループ材接着面の、長尺基材シートが接着されていない基材シート非接着部に、フック材接着面を有する長尺フック材シートのフック材接着面を接着して、第二の長尺中間シートを得る第二の工程を行う。本工程においては、ループ材接着面の、第一の領域と第二の領域との間の第三の領域に、長尺フック材シートのフック材接着面を接着することが好ましい。
【0058】
長尺フック材シートとしては、例えば、帯状のフィルムと、このフィルムの一方の面に配置された複数の突起(フック)と、を備えるものを用いることができる。上記フィルムとしては、上述したフック材用フィルムと同様のものを用いることができる。長尺フック材シートとして帯状のものを用いる場合、長尺フック材シートの幅は、第三の領域の幅よりも狭いものであってもよいし、広いものであってもよい。
【0059】
第一の長尺中間シートに長尺フック材シートを接着させる方法は、フック材をループ材に接着させる方法と同様の方法を採用することができるが、本工程において、基材シート非接着部に、長尺フック材シートのフック材接着面を上記第一の接着剤によって接着することが好ましい。更に、上述したように、ループ材接着面の、第一の領域と第二の領域との間の第三の領域には、長尺フック材シートのフック材接着面を、上記ループ材接着面に塗工した上記第一の接着剤によって接着することが好ましい。
【0060】
また、本工程においては、そのフック材接着面に、あらかじめ第二の接着剤が塗工された長尺フック材シートを用いることが好ましく、このフック材接着面を、第一の領域に接着した長尺基材シート、ループ材接着面の第三の領域、及び、第二の領域に接着した長尺基材シートに接着することが好ましい。即ち、上記フック材は、ループ材以外に、離間した基材シートのそれぞれに接着していることが好ましい。このようにすると、製造される止着テープは、そのフック材が、離間した基材シートの両方に接着されているため、基材シートが離れる方向(図2に示すX方向)の引張強度が向上するという利点がある。
【0061】
なお、第二の接着剤としては、上述したホットメルト接着剤等の接着剤を挙げることができ、第二の接着剤は、上述した第一の接着剤と同じものであってもよく、異なるものであってもよい。
【0062】
図5は、第二の工程で得られた第二の長尺中間シート70を示す斜視図である。また、図6は、図5に示す第二の長尺中間シート70を長尺フック材シート71側から見た平面図である。第二の長尺中間シート70は、以下のようにして得られるものである。まず、帯状の長尺ループ材72のループ材接着面の全面にホットメルト接着剤(第一の接着剤)を塗工し、その後、ループ材接着面のうち、その短手方向の一方の端部を含む第一の領域51に、一の長尺基材シート73aを上記ホットメルト接着剤によって接着するとともに、他方の端部を含む第二の領域52に、別の長尺基材シート73bを上記ホットメルト接着剤によって接着して第一の長尺中間シートを得る。次に、あらかじめフック材接着面71aにホットメルト接着剤(第二の接着剤)が塗工された長尺フック材シート71を用意し、この長尺フック材シート71のフック材接着面71aを、長尺基材シート73a、第一の領域51と第二の領域52との間の第三の領域53、長尺基材シート73bに上記ホットメルト接着剤によって接着して、第二の長尺中間シート70を得ることができる。
【0063】
なお、上述したように、フック材接着面に、あらかじめ第二の接着剤が塗工されたフック材を用いることが好ましいが、製造ラインにてフック材接着面に上記第二の接着剤を塗工するようにしてもよい。
【0064】
また、第一の長尺中間シートに長尺フック材シートを接着させる方法として、ホットメルト接着剤を用いた製造ラインにおいては、ホットメルト接着剤は、長尺ループ材の第三の領域に塗工することもできる。このように第三の領域に塗工する場合、例えば、第一の長尺中間シートが塗工中に蛇行することがあっても、ホットメルト接着剤がはみ出し難いという利点がある。即ち、ホットメルト接着剤がはみ出したことに起因する問題を回避することができる。
【0065】
更に、フック材の接着時には、上記第二の接着剤による接着方法に加え、ヒートシールなどの圧着加工をすることができる。このように圧着加工を行うと、フック材の接着強度を有効に高めることができるという利点がある。
【0066】
また、第一の領域と第二の領域に用いる接着剤(第一の接着剤)は、第三の領域に用いる接着剤(第一の接着剤、第二の接着剤)に対して、その塗工量、種類を異ならせることが好ましい。即ち、長尺ループ材と長尺フック材シートの接着部位における接着強度が、長尺ループ材と長尺フック材シートの接着部位における接着強度とは異なるように、塗工量や種類を異ならせて上記接着剤を塗工することが好ましい。例えば、ループ材接着面の全面に接着剤(第一の接着剤)を塗工する際に、フック材との接着部位と基材シートとの接着部位とで、上記接着剤の塗工量を変えることができる。
【0067】
[2−3]第三の工程:
次に、第二の長尺中間シートを所定の大きさに切り離して、複数の止着テープを得る第三の工程を行う。本工程において、第二の長尺中間シートを切り離す方法は、特に制限はないが、以下のように行うことが好ましい。即ち、第二の長尺中間シートを、第一の領域、第三の領域、第二の領域、第三の領域、第一の領域を順次通過するようなS字カーブ状の切断軌跡で切断して、一方にS字カーブ状の側縁を有し、他方に直線状の側縁を有する2枚の止着テープ中間体を得、得られた止着テープ中間体のそれぞれを、S字カーブ状の側縁の谷部と直線状の側縁との間で切り離することが好ましい。このようにして複数の止着テープを得る場合、製造工程中においてトリム(廃棄物)が生じ難くなるため、製造コストを下げることができる。
【0068】
図7は、第二の長尺中間シート70を、第一の領域51、第三の領域53、第二の領域52、第三の領域53、第一の領域51を順次通過するようなS字カーブ状の切断軌跡Sで切断した例を示している。このようにして第二の長尺中間シート70を切断すると、例えば、図8に示すような、一方にS字カーブ状の側縁を有し、他方に直線状の側縁を有する止着テープ中間体74を2枚得ることができる。
【0069】
図8は、止着テープ中間体74を、S字カーブ状の側縁の谷部74aと直線状の側縁74bとの間で切り離した例を示している。このようにして、複数の止着テープ10aを得ることができる。
【0070】
[3]テープ型使い捨ておむつ:
本発明のテープ型使い捨ておむつの一実施形態は、図9に示すテープ型使い捨ておむつ100のように、前身頃2、股下部4及び後身頃6の各部から構成されるとともに、吸収体22と、一部が液透過性材料からなるトップシート18と、液不透過性材料からなるバックシート20と、後身頃6の左右の各側縁6a,6bから延出するように配置され、後身頃6と前身頃2とを固定可能な止着テープ10aと、備えるものである。止着テープ10aは、本発明の止着テープであり、一方の面側にフック材13が配置され、他方の面側にループ材12が配置されている。このようなテープ型使い捨ておむつは、フック材の接着強度が向上し、剥離され難い止着テープを備えるものである。
【0071】
更に、図9に示すテープ型使い捨ておむつ100は、前身頃2には、フロントパッチ17が配置されており、このフロントパッチ17は、図10に示すように、止着テープ10aのフック材13を固定することが可能なように構成されている。このような構成によって、おむつの後身頃6を前身頃2に対して固定することができ、おむつを着用者に装着させることが可能となる。フロントパッチ17としては、メカニカルファスナーのループ材からなるものを用いることができる。図10は、図9に示すテープ型使い捨ておむつ100の使用状態を示す斜視図である。図10に示すように、一の止着テープ10aは、フロントパッチ17に固定可能であるとともに、他の止着テープ10aにも固定可能である。
【0072】
なお、本明細書において「前身頃」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の腹側(身体前方)を覆う部分、「股下部」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の股下を覆う部分、「後身頃」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の背側(身体後方)を覆う部分を意味する。
【0073】
[3−1]止着テープ:
本発明のテープ型使い捨ておむつが備える止着テープは、上述した本発明の止着テープであり、後身頃の左右の各側縁から延出するように配置され、後身頃と前身頃とを固定可能なものである。この止着テープは、一方の端部が、ホットメルト接着剤等の接着剤によって後身頃に固定される。
【0074】
[3−2]吸収体:
吸収体は、着用者の尿を吸収し、保持するための部材である。吸収体は、着用者の尿や体液を吸収し保持するものであり、吸収性材料によって構成される。
【0075】
吸収体を構成する吸収性材料としては、使い捨ておむつその他の吸収性物品に通常使用される従来公知の吸収性材料、例えば、フラッフパルプ、高吸水性ポリマー(Super Absorbent Polymer;以下、「SAP」と記す)、親水性シート等を挙げることができる。フラッフパルプとしては、木材パルプや非木材パルプを綿状に解繊したものを用いることが好ましく、SAPとしては、ポリアクリル酸ナトリウムを用いることが好ましく、親水性シートとしては、ティシュ、吸収紙、親水化処理を行った不織布を用いることが好ましい。
【0076】
これらの吸収性材料は、通常、単層または複層のマット状として用いられる。この際、上記吸収性材料のうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、フラッフパルプ100質量部に対して、10〜500質量部程度のSAPを併用したものが好ましい。SAPはフラッフパルプの各マット中に均一に混合されていてもよいし、複層のフラッフパルプの層間に層状に配置されていてもよい。
【0077】
吸収体は、トップシートとバックシートの間の少なくとも一部に介装されることが好ましい。より具体的には、吸収体は少なくとも股下部に介装され、この吸収体が前身頃や後身頃にまで及んでいてもよい。吸収体の周縁部には、トップシートとバックシートの間に吸収体が介装されていないフラップ部が形成される。
【0078】
吸収体は、その全体が親水性シートによって包み込まれていることが好ましい。このような構成は、吸収体からSAPが漏洩することを防止し、吸収体に形状安定性を付与することができるという利点がある。
【0079】
吸収体の形状については、特に制限はないが、従来の使い捨ておむつその他の吸収性物品において使用される形状、例えば、矩形状、砂時計型、ひょうたん型、T字型等を挙げることができる。図9に示すテープ型使い捨ておむつ100は、砂時計型の吸収体22を用いた例である。
【0080】
なお、吸収体には、その表面側に(例えば、吸収体とトップシートとの間に)、尿や体液等の液体を拡散させるためのシート(セカンドシート)を付帯的に配置してもよい。このセカンドシートを付設すると、着用者の姿勢等に起因して、トップシート裏面側の空間が十分に形成されないような場合でも、尿や体液等の吸収速度が低下し難く、吸収速度の低下による尿や体液等の漏れを防止することが可能となる。
【0081】
セカンドシートを構成する材料としては、親水性で液透過性の材料、例えば、織布、不織布、多孔性プラスチック、フラッフパルプ等を挙げることができる。これらの構成素材としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、レーヨン、パルプ、或いはこれらの複合繊維等を挙げることができる。パルプとしては、カーリーセルロースファイバー等のけん縮繊維を好適に用いることができる。
【0082】
[3−3]トップシート:
トップシートは、吸収体の上面(おむつの装着時において着用者の肌側に位置する面)を被覆するように配置されるシートである。トップシートは、その少なくとも一部(全部ないし一部)が、着用者の尿や体液を透過させ得る液透過性材料により構成され、通常、吸収体の表面近傍は、液透過性材料によって構成されている。このようにトップシートは、少なくとも一部が液透過性材料により構成されていればよく、トップシート全体が液透過性材料で構成されている必要はない。
【0083】
トップシートを構成する液透過性材料としては、例えば、織布、不織布、多孔性フィルム等を挙げることができる。これらの中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる不織布に親水化処理を施したものを用いることが好ましい。不織布の種類は、特に制限はなく、例えば、エアースルー(カード熱風)、カードエンボス、スパンボンド等の各種製法によって製造された従来公知の不織布を好適に用いることができる。
【0084】
トップシートは単一のシート材によって構成されていてもよいが、複数のシート材によって構成されていてもよい。また、おむつの装着時において着用者の肌側に位置する面には、液透過性材料により構成されたトップシート(センターシート)が配置され、サイドフラップの部分には、更に別のシート(サイドシート)が配置されていてもよい。図9に示すテープ型使い捨ておむつ100は、その中央部に液透過性材料からなるトップシート18(センターシート18a)を配置し、おむつのサイドフラップ8部分には液の透過に対して抵抗性を示す通気撥水性材料からなるサイドシート19を配置した例である。
【0085】
[3−4]バックシート:
バックシートは、吸収体の下面(おむつの装着時において着用者の着衣側に位置する面)を被覆するように配置されるシートである。バックシートは、着用者の尿がおむつ外部に漏洩してしまうことを防止するため、液不透過性材料によって構成される。
【0086】
バックシートの配置方法は、特に制限はないが、吸収体で吸収された尿の漏れを防止するという観点から、少なくとも吸収体の存在する部分に配置することができる。例えば、図9に示すテープ型使い捨ておむつ100は、おむつの外形と一致するように、バックシート20を配置した例である。
【0087】
バックシートを構成する液不透過性材料としては、例えば、ポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フィルム等を挙げることができる。これらの中でも、微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。この微多孔性ポリエチレンフィルムは、0.1〜数μmの微細な孔が多数形成されており、液不透過性ではあるが透湿性を有するため、おむつ内部の蒸れを防止することができるという利点がある。
【0088】
なお、バックシートには、その外表面側にシート材(カバーシート)を貼り合わせてもよい。このカバーシートは、バックシートを補強し、バックシートの手触り(触感)を良好なものとするという利点がある。
【0089】
カバーシートを構成する材料としては、例えば、織布、不織布等を挙げることができる。これらの中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂からなる乾式不織布、湿式不織布を用いることが好ましい。
【0090】
[3−5]立体ギャザー:
本発明のテープ型使い捨ておむつは、着用者の排泄した尿の横漏れを防止するため、立体ギャザーを備えていてもよい。立体ギャザーは、着用者の排泄した尿の横漏れを防止するための部材であり、立体的に起立可能なように構成された防漏壁である。このような立体ギャザーを形成することにより、立体ギャザーが防波堤となり、おむつの脚周り開口部等からの漏れ(いわゆる「横漏れ」)を有効に防止することができる。
【0091】
立体ギャザーの構成は、従来の使い捨ておむつその他の吸収性物品に使用される構成を採用することができる。例えば、撥水性のシート材の一部に伸縮材(立体ギャザー伸縮材)を配置し、その立体ギャザー伸縮材によってシート材にギャザー(襞)を形成したもの等を好適に用いることができる。
【0092】
なお、立体ギャザーは、トップシートやバックシートとは全く別個のシート材により形成してもよいが、トップシート(例えば、センターシート)やサイドシート等を折り返すことにより形成してもよい。
【0093】
この立体ギャザーは、股下部からの漏れを防止するため、少なくとも股下部に形成されていればよいが、前身頃や後身頃に形成されていてもよい。例えば、図9に示すテープ型使い捨ておむつ100は、おむつの長手方向に沿って、股下部4から前身頃2と後身頃6の双方にかけて連続的に、一対の立体ギャザー26a,26bが形成された例である。なお、立体ギャザー26a,26bには、その先端部に立体ギャザー伸縮材36a,36bが設けられている。また、立体ギャザーは、二対以上形成してもよい。
【0094】
立体ギャザーは、おむつの内側に向かって傾倒する内倒しギャザーであってもよいし、おむつの外側に向かって傾倒する外倒しギャザーであってもよい。また、高さ方向の一部に、曲げ部や折り返し部を形成した立体ギャザー(いわゆる、C折りギャザーやZ折りギャザー等)であってもよい。
【0095】
[3−6]各種伸縮材:
本発明のテープ型使い捨ておむつは、脚周り伸縮材及びウエスト周り伸縮材を更に配置することができる。
【0096】
脚周り伸縮材は、脚周り開口部に沿って配置される伸縮材である。この脚周り伸縮材を配置することによって、脚周り開口部に伸縮性に富むギャザー(レグギャザー)を形成することができる。レグギャザーを形成すると、脚周りに隙間が形成され難くなり、脚周り開口部からの尿漏れを効果的に防止することができる。また、脚周り伸縮材を配置する(レグギャザーを形成する)と、おむつを交換する際に吸収体の両側で脚周り伸縮材が収縮するため、股下部近傍が椀状に変形し、凹部が形成される。そして、おむつの交換に際して、尿や体液がその凹部に溜まるため、尿や体液がこぼれ難くなるという利点がある。
【0097】
例えば、図9に示すテープ型使い捨ておむつ100は、おむつの長手方向に沿って、直線的に二本の脚周り伸縮材40を配置した例であり、この脚周り伸縮材40によってレグギャザーが形成されている。脚周り伸縮材40は、例えば、糸ゴムによって構成することができる。なお、脚周り伸縮材は、直線的に配置すること以外に、例えば、おむつの脚周り開口部のカーブに沿って曲線的に配置してもよい。
【0098】
脚周り伸縮材40は、図9に示すテープ型使い捨ておむつ100のように、立体ギャザー26a,26bの起立線46より外側の部分に配置することが好ましい。このように配置すると、立体ギャザーの十分な防漏効果を確保しつつ、装着感を向上させることができる。
【0099】
なお、図9に示すテープ型使い捨ておむつ100は、脚周り伸縮材40の形状、配置位置、配置数等を左右対称とした例であるが、左右非対称であってもよい。また、図9に示すテープ型使い捨ておむつ100は、脚周り伸縮材40を、おむつの片側に二本配置した例を示しているが、一本だけ配置してもよいし、三本以上配置してもよい。また、複数本の脚周り伸縮材を用いる場合、太さや伸張率等は目的に応じて適宜設定することができ、同じものを用いてもよいし、異なるものを用いてもよい。
【0100】
ウエスト周り伸縮材は、ウエスト周り開口部に沿って配置される伸縮材である。ウエスト周り伸縮材を配置することによって、ウエスト開口部に伸縮性に富むギャザー(ウエストギャザー)を形成することができる。このウエストギャザーによって、ウエスト周りに隙間が形成され難くなり、ウエスト周りからの尿漏れを防止することができる。また、おむつのフィット性が良好となり、おむつのずり下がりを防止することができる。
【0101】
図9に示すテープ型使い捨ておむつ100は、おむつの後身頃6の端縁に沿って帯状のウエスト周り伸縮材42を配置した例である。このウエスト周り伸縮材42としては、糸ゴムを用いることができる。なお、ウエスト周り伸縮材42は、図9に示すように、後身頃(背側)のみに配置してもよいが、前身頃(腹側)のみに配置してもよいし、後身頃と前身頃の両方に配置してもよい。
【0102】
例えば、図9に示すテープ型使い捨ておむつ100のように、後身頃6の左右の各側縁6a,6bに、止着テープ10aをそれぞれ2個ずつ配置した場合には、後身頃6の端縁に沿ってウエスト周り伸縮材42が付設されるとともに、少なくとも股下部4の両側縁に沿って脚周り伸縮材40を付設することが好ましい。
【0103】
このような構成によると、2個の止着テープ10aのうち上側に配置された止着テープ10aとウエスト周り伸縮材42が一体となって、着用者のウエスト周りにおけるおむつのフィット性を向上させることができる。また、2個の止着テープ10aのうち下側に配置された止着テープ10aと脚周り伸縮材40が一体となって、着用者の脚周りにおけるおむつのフィット性を向上させることができる。この効果は、上側に配置された止着テープ10aを前身頃2の端縁と略同一方向に延びるように配置し、下側に配置された止着テープ10aを前身頃2の端縁側(おむつ上側)に向かって引き上げるようにして配置した場合に特に大きくなる。
【0104】
これらの伸縮材は、ギャザーの収縮の程度等を勘案した上で、構成材料、その材料の伸長率、固定時の伸長状態等を適宜設定することができる。
【0105】
伸縮材としては、従来の使い捨ておむつにおいて使用されてきた伸縮材を好適に用いることができる。具体的には、天然ゴムや合成ゴム(ウレタンゴム等)の弾性材からなる糸ゴム、平ゴムの他、伸縮性ネット、伸縮性フィルム等を挙げることができる。
【0106】
伸縮材は、十分な伸縮力を作用させるため、伸長状態で固定することが好ましい。例えば、伸縮材が天然ゴムや合成ゴムである場合には、110〜400%の伸長状態で固定することが好ましく、200〜300%の伸長状態で固定することがより好ましい。このような範囲の伸長状態で固定することにより、十分な伸縮力を作用させることが可能となる。
【0107】
上記伸縮材は、おむつの他の構成部材に対して固定することができる。固定方法としては、具体的には、ホットメルト接着剤、その他の流動性の高い接着剤を用いた方法や、ヒートシールなどの、熱や超音波等による方法を挙げることができる。
【0108】
[4]テープ型使い捨ておむつの製造方法:
本発明のテープ型使い捨ておむつの製造方法を、図9に示すテープ型使い捨ておむつ100を製造する場合を例示して説明する。まず、バックシート20の材料となる長尺のシート材(バックシート材)の表面に、親水性シートに包まれた吸収体22及び脚周り伸縮材40を載置した後、バックシート材の上記表面側にトップシート18の材料となる長尺のシート材(トップシート材)を載置して、おむつの中間体となる積層体(おむつ連続体)を得る。このとき、トップシート材は、センターシート18aに相当するトップシート材と、サイドシート19に相当するサイドシート材の2種類を用いる。なお、サイドシート19に相当するサイドシート材の一部を折り返すことによって、上記サイドシート材に立体ギャザー26a,26bを形成する。
【0109】
その後、得られたおむつ連続体を、おむつの脚周り開口部に相当する部分を円弧状に切り抜いて切除(Rカット)し、脚周り開口部を形成する。その後に、おむつの後身頃6の側縁6a,6bに、それぞれ2個の止着テープ10aを付設した後、所定の位置で切断して、テープ型使い捨ておむつ100を製造することができる。
【0110】
なお、上述した一連の工程は、機械的な手段によって連続的に行うことができる。具体的には、長尺のシート材をローラーから連続的に送出する装置などを用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明の止着テープは、乳幼児、または介護を必要とする高齢者や障害者等の成人などが使用するテープ型使い捨ておむつの止着テープとして好適に用いることができる。本発明の止着テープの製造方法は、乳幼児、または介護を必要とする高齢者や障害者等の成人などが使用するテープ型使い捨ておむつの止着テープの製造方法として好適に用いることができる。また、本発明のテープ型使い捨ておむつは、乳幼児用、または介護を必要とする高齢者や障害者等の成人用のおむつとして好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0112】
2:前身頃、4:股下部、6:後身頃、6a,6b:側縁、8:サイドフラップ、10a,10b,110:止着テープ、11a,11b,111:基材シート、12,112:ループ材、12a,72a:ループ材接着面、13,113:フック材、13a:フック材接着面、15:欠落部、17:フロントパッチ、18:トップシート、18a:センターシート、19:サイドシート、20:バックシート、22:吸収体、25:ループ材用フィルム、26a,26b:立体ギャザー、27:ループ、28:フック材用フィルム、29:フック、36a,36b:立体ギャザー伸縮材、40:脚周り伸縮材、42:ウエスト周り伸縮材、46:起立線、51:第一の領域、52:第二の領域、53:第三の領域、70:第二の長尺中間シート、71:長尺フック材シート、71a:フック材接着面、72:長尺ループ材、72a:ループ材接着面、73a,73b:長尺基材シート、74:止着テープ中間体、74a:谷部、74b:直線状の側縁、100:テープ型使い捨ておむつ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布からなる基材シートと、
ループ材接着面を有し、前記基材シートの一方の面に前記ループ材接着面の一部が接着されたシート状のループ材と、
フック材接着面を有し、前記ループ材の前記ループ材接着面の、前記基材シートが接着されていない部分に前記フック材接着面が接着されたフック材と、を備える止着テープ。
【請求項2】
前記基材シートは、略長方形状の不織布を、その長手方向の一方の端部側の部分で、短手方向に沿って分割して離間させたものであり、
前記基材シートが離間した部分で、前記フック材接着面が前記ループ材接着面に接着している請求項1に記載の止着テープ。
【請求項3】
前記フック材接着面の総面積に対する、前記フック材接着面と前記ループ材接着面との接着面積の割合が、50〜100%である請求項1または2に記載の止着テープ。
【請求項4】
前記基材シートと前記ループ材の接着強度は、前記フック材と前記ループ材の接着強度とは異なる請求項1〜3のいずれか一項に記載の止着テープ。
【請求項5】
前記ループ材は、フィルムと、前記フィルムの一方の面に配置されたループと、を備え、前記ループが配置された面の反対側の面に前記ループ材接着面を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の止着テープ。
【請求項6】
前記ループ材の、前記フック材接着面が接着されるフック材接着部分は、着色されており、前記フック材接着部分以外の部分は、前記フック材接着部分と異なる色に着色されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の止着テープ。
【請求項7】
ループ材接着面を有するシート状の長尺ループ材の前記ループ材接着面の一部に、不織布からなる長尺基材シートを接着して、第一の長尺中間シートを得る第一の工程と、
前記第一の長尺中間シートの前記長尺ループ材の前記ループ材接着面の、前記長尺基材シートが接着されていない基材シート非接着部に、フック材接着面を有する長尺フック材シートの前記フック材接着面を接着して、第二の長尺中間シートを得る第二の工程と、
前記第二の長尺中間シートを所定の大きさに切り離して、複数の止着テープを得る第三の工程と、を備えた止着テープの製造方法。
【請求項8】
前記第一の工程において、前記ループ材接着面に第一の接着剤を塗工し、その後、前記ループ材接着面の一部に、前記長尺基材シートを前記第一の接着剤によって接着し、
前記第二の工程において、前記基材シート非接着部に、前記長尺フック材シートの前記フック材接着面を前記第一の接着剤によって接着する請求項7に記載の止着テープの製造方法。
【請求項9】
前記第一の工程において、前記ループ材接着面のうち、前記長尺ループ材の短手方向の一方の端部を含む第一の領域に、一の前記長尺基材シートを接着するとともに、他方の端部を含む第二の領域に、別の前記長尺基材シートを接着し、
前記第二の工程において、前記ループ材接着面の、前記第一の領域と前記第二の領域との間の第三の領域に、前記長尺フック材シートの前記フック材接着面を接着する請求項7または8に記載の止着テープの製造方法。
【請求項10】
前記第二の工程において、前記フック材接着面に、あらかじめ第二の接着剤が塗工された前記長尺フック材シートを用意し、前記フック材接着面を、前記第一の領域に接着した前記長尺基材シート、前記ループ材接着面の前記第三の領域、及び、前記第二の領域に接着した前記長尺基材シートに接着する請求項9に記載の止着テープの製造方法。
【請求項11】
前記第三の工程は、前記第二の長尺中間シートを、前記第一の領域、前記第三の領域、前記第二の領域、前記第三の領域、前記第一の領域を順次通過するようなS字カーブ状の切断軌跡で切断して、一方にS字カーブ状の側縁を有し、他方に直線状の側縁を有する2枚の止着テープ中間体を得、得られた前記止着テープ中間体のそれぞれを、前記S字カーブ状の側縁の谷部と前記直線状の側縁との間で切り離して、複数の前記止着テープを得る工程である請求項9または10に記載の止着テープの製造方法。
【請求項12】
前身頃、股下部及び後身頃の各部から構成されるとともに、
吸収体と、前記吸収体の表面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の裏面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートと、前記後身頃の左右の各側縁から延出するように配置され、前記前身頃と前記後身頃とを固定可能である請求項1〜6のいずれか一項に記載の止着テープと、を備えたテープ型使い捨ておむつ。
【請求項1】
不織布からなる基材シートと、
ループ材接着面を有し、前記基材シートの一方の面に前記ループ材接着面の一部が接着されたシート状のループ材と、
フック材接着面を有し、前記ループ材の前記ループ材接着面の、前記基材シートが接着されていない部分に前記フック材接着面が接着されたフック材と、を備える止着テープ。
【請求項2】
前記基材シートは、略長方形状の不織布を、その長手方向の一方の端部側の部分で、短手方向に沿って分割して離間させたものであり、
前記基材シートが離間した部分で、前記フック材接着面が前記ループ材接着面に接着している請求項1に記載の止着テープ。
【請求項3】
前記フック材接着面の総面積に対する、前記フック材接着面と前記ループ材接着面との接着面積の割合が、50〜100%である請求項1または2に記載の止着テープ。
【請求項4】
前記基材シートと前記ループ材の接着強度は、前記フック材と前記ループ材の接着強度とは異なる請求項1〜3のいずれか一項に記載の止着テープ。
【請求項5】
前記ループ材は、フィルムと、前記フィルムの一方の面に配置されたループと、を備え、前記ループが配置された面の反対側の面に前記ループ材接着面を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の止着テープ。
【請求項6】
前記ループ材の、前記フック材接着面が接着されるフック材接着部分は、着色されており、前記フック材接着部分以外の部分は、前記フック材接着部分と異なる色に着色されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の止着テープ。
【請求項7】
ループ材接着面を有するシート状の長尺ループ材の前記ループ材接着面の一部に、不織布からなる長尺基材シートを接着して、第一の長尺中間シートを得る第一の工程と、
前記第一の長尺中間シートの前記長尺ループ材の前記ループ材接着面の、前記長尺基材シートが接着されていない基材シート非接着部に、フック材接着面を有する長尺フック材シートの前記フック材接着面を接着して、第二の長尺中間シートを得る第二の工程と、
前記第二の長尺中間シートを所定の大きさに切り離して、複数の止着テープを得る第三の工程と、を備えた止着テープの製造方法。
【請求項8】
前記第一の工程において、前記ループ材接着面に第一の接着剤を塗工し、その後、前記ループ材接着面の一部に、前記長尺基材シートを前記第一の接着剤によって接着し、
前記第二の工程において、前記基材シート非接着部に、前記長尺フック材シートの前記フック材接着面を前記第一の接着剤によって接着する請求項7に記載の止着テープの製造方法。
【請求項9】
前記第一の工程において、前記ループ材接着面のうち、前記長尺ループ材の短手方向の一方の端部を含む第一の領域に、一の前記長尺基材シートを接着するとともに、他方の端部を含む第二の領域に、別の前記長尺基材シートを接着し、
前記第二の工程において、前記ループ材接着面の、前記第一の領域と前記第二の領域との間の第三の領域に、前記長尺フック材シートの前記フック材接着面を接着する請求項7または8に記載の止着テープの製造方法。
【請求項10】
前記第二の工程において、前記フック材接着面に、あらかじめ第二の接着剤が塗工された前記長尺フック材シートを用意し、前記フック材接着面を、前記第一の領域に接着した前記長尺基材シート、前記ループ材接着面の前記第三の領域、及び、前記第二の領域に接着した前記長尺基材シートに接着する請求項9に記載の止着テープの製造方法。
【請求項11】
前記第三の工程は、前記第二の長尺中間シートを、前記第一の領域、前記第三の領域、前記第二の領域、前記第三の領域、前記第一の領域を順次通過するようなS字カーブ状の切断軌跡で切断して、一方にS字カーブ状の側縁を有し、他方に直線状の側縁を有する2枚の止着テープ中間体を得、得られた前記止着テープ中間体のそれぞれを、前記S字カーブ状の側縁の谷部と前記直線状の側縁との間で切り離して、複数の前記止着テープを得る工程である請求項9または10に記載の止着テープの製造方法。
【請求項12】
前身頃、股下部及び後身頃の各部から構成されるとともに、
吸収体と、前記吸収体の表面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の裏面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートと、前記後身頃の左右の各側縁から延出するように配置され、前記前身頃と前記後身頃とを固定可能である請求項1〜6のいずれか一項に記載の止着テープと、を備えたテープ型使い捨ておむつ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−167080(P2010−167080A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12075(P2009−12075)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】
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