説明

正面輝度が改善された長手方向ウェーブパターンのプリズム山を持つプリズムシート、これを採用したバックライトユニット、及び該バックライトユニットを備えた液晶表示装置

【課題】 長手方向ウェーブパターンのプリズム山を持つプリズムシート、これを採用したバックライトユニット、及び該バックライトユニットを備えた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】 透明基板25aと、透明基板25a上に配されたものであって、長手方向ウェーブパターンのプリズム山25bと、を備え、長手方向ウェーブパターンは、プリズム山25bの高さが長手方向に沿って連続的または不連続的に変化するように形状化され、長手方向ウェーブパターンの反復周期は、プリズム山25bの平均高さの50ないし100倍であるプリズムシート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリズムシート、前記プリズムシートを採用したバックライトユニット、及び該バックライトユニットを備えた液晶表示装置に関し、より詳細には、所定の反復周期を持つ長手方向ウェーブパターンのプリズム山を備えるプリズムシート、前記プリズムシートを採用したバックライト、及び前記バックライトを備えた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、薄型化、小型化及び低消費電力化などが求められるノート型パソコン、テレビまたは携帯電話などに使われる平板表示装置として、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel:PDP)、電界放出ディスプレイ装置(Field Emission Display device:FED)、薄膜トランジスタ液晶表示装置(Thin Film Transistor Liquid Crystal Display device:TFT−LCD)などが開発され、これらのうち色再現性に優れ、かつ薄型の液晶表示装置が最も活発に研究されている。
【0003】
前記平板表示装置のうちPDP及びFEDは自発的に発光できるが、液晶表示装置はそれ自体は発光体ではないため、補助光源であるバックライトユニットを利用して光を照射することによって、画像表示が可能になっている。前記バックライトユニットは光を照射するが、画面全体を均一に照射しなければならないという要求に応じるために、エッジ型または直下型と呼ばれる面光源の構造を持つ。
【0004】
図4は、エッジ型光源を持つ従来技術によるバックライトユニットを示した分離斜視図である。
【0005】
図4を参照すれば、エッジ型光源を持つ従来技術によるバックライトユニット10は、光源11、前記光源11から発光される光を案内する導光板12、導光板12の下部に配される反射シート13、導光板12の上部に配される拡散シート14、拡散シート14の上部に配されるプリズムシート15、及びプリズムシート15の上部に配される保護シート16を備える。また、バックライトユニットの光源11の外部には光源カバー11aが配されている。また、ここでは図示されていないが、前記バックライトユニット10上に、液晶表示パネルと反射防止層とが順次積層されて液晶表示装置(液晶表示パネル)を構成する。また、前記液晶表示パネルの上下両面に、各1枚ずつ2枚の偏光板がさらに配される。
【0006】
光源11は光を発生させるものであって、線光源ランプまたは面光源ランプ、CCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)またはLED(Light Emitting Diode)など多様な光源が使われうる。
【0007】
導光板12は、光源11で発生した光を拡散シート14にガイドするものであって、直下型光源を採用する場合には省略できる。
【0008】
反射シート13は、光源11で発生した光を反射させて、拡散シート14の方向に供給する。
【0009】
拡散シート14は、導光板12を通じて入射される光を拡散及び散乱させて、プリズムシート15へ供給する。
【0010】
プリズムシート15は、拡散シート14を通じて入射される光を屈折させて液晶表示パネル(図示せず)の平面に集光させる。プリズムシートは、高い集光効率、広い視野角、モアレ現象防止、他のフィルムとの光学的結合防止など多様な設計目標によって、プリズム山の形態及び山傾斜面の角度など多様な設計値の変形及び組み合わせが可能であり、商業的に適用されている。図4は、そのうち、それぞれ上面にストライプ状に配列された三角形のプリズム山が形成されている2枚のプリズムシート15a、15bが互いに直角に交差するように配された形態で使われた場合を例示したものである。
【0011】
一方、プリズムシート15を保護するための方案として、保護シート16がプリズムシート15の上部に配されるのが必須である。
【0012】
ところが、前記のような構成を持つプリズムシート15は、製造時に表面が損傷するか、その内外部に異物が混入するなどの理由によって、不良になる場合が多い。このようにプリズムシート15に不良が発生する場合、ユーザーは液晶表示装置の画質が悪いと感じるため、不良が発生したプリズムシート15は確認後に廃棄されなければならない。これは結局、プリズムシート15の歩留まりを低下させる原因になる。
【0013】
また、前記のような構成を持つ従来技術によるバックライトユニットは、プリズム山が一定の方向のストライプ形状に配され、プリズム山パターンが液晶表示パネルのRGBパターンと重なることによってモアレ現象が発生するという問題点がある。
【0014】
またこの場合、プリズムシート15のプリズム山の形態がストライプ状にパターン化されていて、それぞれのプリズムシート15a、15bが隣接したシート15b、16と接触する表面積が増大し、これによって浸潤(wet−out)現象が発生するという問題点がある。ここで、浸潤現象とは、二つの表面が互いに光学的に接触して一つのフィルムから次のフィルムに光が伝えられる時、屈折率の変化が除去される場合に生じる現象であって、観察者がスクリーン画像がまだらに随時変化する外観を持つと認識する現象をいう。この浸潤現象は、特に、プリズムシート15のように光学的効果のために立体化された表面(すなわち、プリズム山)を持つフィルムを使用する場合に問題になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の一具現例は、所定の反復周期を持つ長手方向ウェーブパターンのプリズムを備えるプリズムシートを提供する。
【0016】
本発明の他の具現例は、前記プリズムシートを採用したバックライトユニットを提供する。
【0017】
本発明のさらに他の具現例は、前記バックライトユニットを備える液晶表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一側面は、透明基板と、前記透明基板上に配されたものであって、長手方向ウェーブパターンのプリズム山と、を備え、前記長手方向ウェーブパターンは、前記プリズム山の高さが長手方向に沿って連続的または不連続的に変化するように形状化され、前記長手方向ウェーブパターンの反復周期は、前記プリズム山の平均高さの50ないし100倍であるプリズムシートを提供する。
【0019】
前記プリズム山は、三角形形状の断面を持つ。
【0020】
前記プリズム山は、底辺の長さが25μmないし1mmであり、高さが5ないし600μmである。
【0021】
前記プリズム山は、その頂角が60ないし115゜である。
【0022】
前記プリズム山は、アーチ状の断面を持つ。
【0023】
本発明の他の側面は、前記プリズムシートを備えるバックライトユニットを提供する。
【0024】
本発明のさらに他の側面は、前記バックライトユニットを備える液晶表示装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一具現例によるプリズムシートを示した斜視図である。
【図2】図1のプリズムシートとこれに積層された他の光学フィルムとを示した断面図である。
【図3】図1と類似した構成を持つプリズムシートに対してシミュレーションテストを行うことによって、長手方向ウェーブパターンの反復周期による正面輝度の変化を調べた結果を棒グラフで示した図面である。
【図4】エッジ型の光源を持つ従来技術によるバックライトユニットを示した分離斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付した図面を参照して本発明の一具現例によるプリズムシートについて詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の一具現例によるプリズムシートを示した斜視図であり、図2は、図1のプリズムシートとこれに積層された他の光学フィルムとを示した断面図である。
【0028】
図1を参照すれば、本発明の一具現例によるプリズムシート25は、透明基板25a及びプリズム山25bを備える。
【0029】
透明基板25aは、ポリエステル樹脂などの材質で形成されて、これに入射される光を透過させる役割を行う。
【0030】
プリズム山25bは、透明基板25a上に配されて透明基板25aを通じて入射される光を液晶表示パネル(図示せず)の平面に集光させる。プリズム山25bは、透明基板25aと同様の材質で形成されることが望ましいが、本発明はこれに限定されるものではない。本具現例で、プリズム山25bは、長手方向ウェーブパターンを持つように形状化される。具体的に、前記長手方向ウェーブパターンは、プリズム山25bの高さが長手方向に沿って連続的または不連続的に変化するように形状化される。このようにプリズム山25bを形状化することによって、図2に示したように、プリズムシート25上に積層される他の光学フィルム30とプリズム山25bとの接触表面積を縮小して異物の混入、接触によるスクラッチ、及びユーザーの不良視認性を低減し、製品の不良率を低減させるだけではなく、浸潤現象が発生することを防止できる。これについては後でさらに詳細に説明する。
【0031】
しかし、前記のようにプリズム山25bの高さを変化させる場合、プリズムシート25に入射された光がプリズム山25bの頂上部を通過して出光される時、その出光位置が多角化されることによってプリズムシート25の正面に集光される光量が減少する。これによって、前記のような構成を持つプリズムシート25を採用した液晶表示パネルは正面輝度が低減するという問題点がある。
【0032】
これらの問題点を解決するための方案として、プリズム山25bは、そのウェーブパターンがプリズム山25bの平均高さ(h25b、avg)の50ないし100倍である反復周期RPを持つように形成される。このように、プリズム山25bのウェーブパターンの反復周期RPを限定すれば、プリズム山25bのウェーブパターンによる前述した正面輝度の減少をある程度低減させることができる。すなわち、プリズム山25bのウェーブパターンの反復周期RPが50以上になれば、そうでない場合に比べて出光される光の方向が規則的に正面に向かうので、これらのプリズムシート25を採用した液晶表示装置の正面輝度が増大する。しかし、前記反復周期RPが100を超過すれば、プリズムシート25が隣接したシート30と接触する表面積が増大し、これによって浸潤現象が発生するという問題点がある。
【0033】
また、前記プリズム山25bは三角形の断面を持つことが望ましく、その底辺の長さが25μmないし1mmであり、高さが5ないし600μmであり、頂角が60ないし115゜である。ここで、底辺とは、プリズム山25bの厚さ方向の断面において透明基板25aの平面と接するプリズム山25bの一辺を意味し、頂角とは、プリズム山25bの厚さ方向の断面において前記底辺と対向するプリズム山25bの角を意味する。プリズム山25の断面形状、大きさ及び頂角が前記範囲を外れれば、正面輝度が低下し、視野角が狭くなって望ましくない。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、前記プリズム山25bは方形、五角形、アーチ状など他の多様な形状の断面を持つことができる。
【0034】
以下、図2を参照して長手方向ウェーブパターンのプリズム山25bが歩留まりを向上させて浸潤現象を防止する原理について詳細に説明する。
【0035】
図2を参照すれば、プリズムシート25の上部表面Sは表面接触部Cで光学フィルム30と光学的に接触する。ここで、光学フィルム30は偏光板(図示せず)に含まれたフィルムでありうる。
【0036】
本具現例ではプリズム山25bが、前述したように長手方向に沿ってその高さが連続的または不連続的に変化するように長手方向ウェーブパターンで形状化されており、プリズム山25bの表面Sのうち表面接触部Cが非接触部(すなわち、Cを除外したS部)に比べて非常に小さい。したがって、大部分の光Lは、前記非接触部から出光された後、プリズムシート25と空気層Aとの界面で屈折して空気層Aを経て光学フィルム30に入射される。一方、残りの少量の光Lはほとんど屈折しない状態で表面接触部Cを通過して光学フィルム30に入射されるが、その量が非常に少なくて観察者が表面接触部Cの透過特性が周囲領域(すなわち、空気層A)の透過特性と異なると認識しなくなり、結果的にその部分Cを非正常または欠陥のある部分と認識しなくなる。また、プリズム山25bが長手方向ウェーブパターンで形状化されることによって、液晶表示パネル(図示せず)のRGBパターンとの光学的重畳が減少するか、または排除されてモアレ現象が減少するか、または防止される効果も得ることができる。
【0037】
さらに、表面接触部Cが非接触部に比べて非常に小さいため、表面接触部Cへの異物の混入量が減少するだけではなく表面接触部Cで発生するスクラッチも減少して製品不良率が全体的に低減する。また、プリズム山25bの高さが多様に変化するため、出光位置が多角化されて、ユーザーは製品不良があってもこれを明確に認められなくなり、結果的に不良製品を廃棄処分しなくてもそのまま使用できるようになって製品不良率を低減できる要因になる。
【0038】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0039】
図1と類似した構成を持つプリズムシートについて、下記のようにシミュレーションテストを行うことによって長手方向ウェーブパターンの反復周期による正面輝度の変化を調べて図3に示した。
【0040】
(使用したシミュレーションソフトウェア)
コンピュータシミュレーションのためのソフトウェアとして、Optical Research Association社製のLight Tools 6.0を使用した。
【0041】
(シミュレーションパラメータ)
●Number of Ray:3,000,000 Rays
●Ray Power Threshold:0.001
●Source Total Power:1 lumen
●Angular distribution of Source:Lambertian
(対象プリズムシート)
●横×縦:12.7cm×8.89cn
●プリズム山の高さ:24.5〜26.5μm
●プリズム山の底辺の長さ:49〜53μm
●長手方向ウェーブパターンの反復周期:1,000μm、1,500μm
●透明基板の屈折率:1.667
●プリズム山の屈折率:1.48〜1.62の範囲で調節される(Increment:0.03)
●Reference:3M社製のVikuiti BEFIII10T−22−DIAG
図3を参照すれば、長手方向ウェーブパターンの反復周期が1,000μm(プリズム山の平均高さ:25μm、前記平均高さの40倍)から1,500μm(前記平均高さの60倍)に増加することにより、正面輝度が上昇したということが分かる。具体的には、前記反復周期がプリズム山の平均高さの40倍から60倍に増加した時、正面輝度は約1.5%増加した。
【0042】
以上、図面を参照して本発明による望ましい具現例が説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これより多様な変形及び均等な他の具現例が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の保護範囲は特許請求の範囲によって定められねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、液晶表示装置関連の技術分野に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0044】
25 プリズムシート
25a 透明基板
25b プリズム山

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板と、
前記透明基板上に配されたものであって、長手方向ウェーブパターンのプリズム山と、を備え、
前記長手方向ウェーブパターンは、前記プリズム山の高さが長手方向に沿って連続的または不連続的に変化するように形状化され、
前記長手方向ウェーブパターンの反復周期は、前記プリズム山の平均高さの50ないし100倍であるプリズムシート。
【請求項2】
前記プリズム山は、三角形形状の断面を持つ請求項1に記載のプリズムシート。
【請求項3】
前記プリズム山は、底辺の長さが25μmないし1mmであり、高さが5ないし600μmである請求項2に記載のプリズムシート。
【請求項4】
前記プリズム山は、その頂角が60ないし115゜である請求項2に記載のプリズムシート。
【請求項5】
前記プリズム山は、アーチ状の断面を持つ請求項1に記載のプリズムシート。
【請求項6】
請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載のプリズムシートを備えるバックライトユニット。
【請求項7】
請求項6に記載のバックライトユニットを備える液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−187011(P2009−187011A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29896(P2009−29896)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(508130188)サムスン ファイン ケミカルズ カンパニー リミテッド (28)
【Fターム(参考)】