説明

歩数計測装置、歩数計測方法およびプログラム

【課題】利用者の歩行ピッチが変化した場合に、利用者の歩数を正確に計測できるようにすること。
【解決手段】歩数計測装置は、加速度ベクトルを検出する加速度センサと、歩数計以外の機能が使用されているか否か判定する判定部と、加速度ベクトルの絶対値(「加速度」)の変化が周期的である場合に、周期的な加速度の変化に基づいて、利用者の歩数を第1のカウント値としてカウントする第1のカウンタ部と、加速度の変化が周期的である期間の前後における所定の期間中に非周期的な加速度の変化が検出されるとともに、該所定の期間において歩数計以外の機能が使用されていないと判定された場合に、非周期的な加速度変化に基づいて、利用者の歩数を第2のカウント値としてカウントする第2のカウンタ部と、第1のカウント値と第2のカウント値とを足し合わせて、利用者の歩数を算出する歩数算出部と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歩数計測装置、歩数計測方法およびプログラムに関し、特に加速度センサに基づく歩数計測装置、歩数計測方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの歩数計測装置では、歩行状態と歩行以外の状態とを区別するために、歩数計測装置に設けられた加速度センサによって加速度の周期的な変化が検出されている期間にわたって、歩数のカウントが行われる。以下では、加速度ベクトルの絶対値を単に「加速度」という。
【0003】
例えば、特許文献1において、加速度の周期的な変化に基づいて、歩数を計測する歩数計機能を備えた携帯電子機器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−034892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下の分析は、本発明者によってなされたものである。
【0006】
上記の歩数計測装置によると、加速度の周期的な変化を生じる期間における歩数のみが計測対象とされ、これ以外の非周期的な加速度の変化を生じる期間においては、歩数が計測されない。これらの歩数計測装置によると、利用者が一定のペースで歩行を継続している場合には、歩数を正確に計測することができる。しかしながら、利用者が歩行のペースを変化させ、または、歩行と停止を繰り返したような場合には、歩数を正確に計測することができないという問題がある。
【0007】
上記の歩数計測装置においては、歩行による加速度変化と、ノイズまたは携帯電話の操作に伴って生じた加速度変化とを区別するために、所定の範囲内の周期で加速度が変化した場合に限って利用者は歩行状態にあるものと判定し、それ以外の加速度変化に対しては歩行と判定しないようなアルゴリズムが採用されている。しかしながら、実際の歩行動作においては、歩行を停止する直前に歩行ピッチが低下したり、一旦停止した後に数歩のみ歩行したりする場合がある。このような場合には、加速度の変化は周期的でないため、かかるアルゴリズムによると歩数としてカウントされない。
【0008】
以上のように、上記の歩数計測装置では、計測された加速度の変化が一定の周期を有していない場合には歩行とみなされないため、実際の歩数と計測された歩数との間に誤差が生じるおそれがある。
【0009】
そこで、利用者の歩行ピッチが変化した場合に、利用者の歩数を正確に計測できるようにすることが課題となる。本発明の目的は、かかる課題を解決する歩数計測装置、歩数計測方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の視点に係る歩数計測装置は、
加速度ベクトルを検出する加速度センサと、
歩数計以外の機能が使用されているか否か判定する判定部と、
前記加速度ベクトルの絶対値(以下「加速度」という。)の変化が周期的である場合に、該周期的な加速度の変化に基づいて、利用者の歩数を第1のカウント値としてカウントする第1のカウンタ部と、
加速度の変化が周期的である期間の前後における所定の期間中に非周期的な加速度の変化が検出されるとともに、該所定の期間において歩数計以外の機能が使用されていないと判定された場合に、該非周期的な加速度変化に基づいて、利用者の歩数を第2のカウント値としてカウントする第2のカウンタ部と、
前記第1のカウント値と前記第2のカウント値とを足し合わせて、利用者の歩数を算出する歩数算出部と、を備えている。
【0011】
第2の視点に係る歩数計測方法は、
歩数計測装置が、加速度センサにより加速度ベクトルを検出する工程と、
前記加速度ベクトルの絶対値(以下「加速度」という。)の変化が周期的である場合に、該周期的な加速度の変化に基づいて、利用者の歩数を第1のカウント値としてカウントする工程と、
加速度の変化が周期的である期間の前後における所定の期間中に非周期的な加速度の変化が検出されるとともに、該所定の期間において歩数計以外の機能が使用されていないと判定された場合に、該非周期的な加速度変化に基づいて、利用者の歩数を第2のカウント値としてカウントする工程と、
前記第1のカウント値と前記第2のカウント値とを足し合わせて、利用者の歩数を算出する工程と、を含む。
【0012】
第3の視点に係るプログラムは、
加速度センサにより検出された加速度ベクトルを該加速度センサから入力する処理と、
前記加速度ベクトルの絶対値(以下「加速度」という。)の変化が周期的である場合に、該周期的な加速度の変化に基づいて、利用者の歩数を第1のカウント値としてカウントする処理と、
加速度の変化が周期的である期間の前後における所定の期間中に非周期的な加速度の変化が検出されるとともに、該所定の期間において歩数計以外の機能が使用されていないと判定された場合に、該非周期的な加速度変化に基づいて、利用者の歩数を第2のカウント値としてカウントする処理と、
前記第1のカウント値と前記第2のカウント値とを足し合わせて、利用者の歩数を算出する処理と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る歩数計測装置、歩数計測方法およびプログラムによると、利用者の歩行ピッチが変化した場合に、利用者の歩数を正確に計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る歩数計測装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】第1および第2の実施形態に係る歩数計測装置の構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態に係る歩数計測装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施例における加速度の変化を模式的に示す図である。
【図5】第2の実施例における加速度の変化を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
はじめに、本発明の概要について説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、専ら理解を助けるための例示であり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。
【0016】
図1を参照すると、本発明に係る歩数計測装置(30)は、加速度ベクトルを検出する加速度センサ(31)と、歩数計以外の機能が使用されているか否か判定する判定部(32)と、加速度ベクトルの絶対値(以下「加速度」という。)の変化が周期的である場合に、周期的な加速度の変化に基づいて、利用者の歩数を第1のカウント値としてカウントする第1のカウンタ部(33)と、加速度の変化が周期的である期間の前後における所定の期間中に非周期的な加速度の変化が検出されるとともに、該所定の期間において歩数計以外の機能が使用されていないと判定された場合に、非周期的な加速度変化に基づいて、利用者の歩数を第2のカウント値としてカウントする第2のカウンタ部(35)と、第1のカウント値と第2のカウント値とを足し合わせて、利用者の歩数を算出する歩数算出部(36)と、を備えている。
【0017】
判定部(32)は、上記所定の期間において、着信時のバイブレーション機能その他の歩数計以外の機能であって加速度の変化伴うものが使用されているか否かを判定するようにしてもよい。第2のカウンタ部(35)は、かかる機能が使用されている場合には、加速度の変化を歩数としてカウントしない。
【0018】
また、判定部(32)は、上記所定の期間において、利用者によるキー入力操作その他の歩行以外の利用者の動作であって加速度の変化を伴うものが行われているか否かを判定するようにしてもよい。第2のカウンタ部(35)は、かかる動作が行われている場合には、加速度の変化を歩数としてカウントしない。
【0019】
図1を参照すると、歩数計測装置(30)は、加速度センサによって検出された加速度ベクトルの時系データを保持する記憶部(37)をさらに備えていてもよい。このとき、カウンタ部33、35は、記憶部に記録された加速度ベクトルを読み出すようにしてもよい。
【0020】
歩数計測装置(30)によると、利用者の歩行ピッチが変化した場合においても、利用者の歩数を正確に計測することができる。
【0021】
本発明において、さらに下記の形態が可能である。
[形態1]
前記第1の視点に係る歩数計測装置のとおりである。
[形態2]
判定部は、前記所定の期間において、着信時のバイブレーション機能その他の歩数計以外の機能であって加速度の変化伴うものが使用されているか否かを判定するようにしてもよい。
[形態3]
判定部は、前記所定の期間において、利用者によるキー入力操作その他の歩行以外の利用者の動作であって加速度の変化を伴うものが行われているか否かを判定するようにしてもよい。
[形態4]
歩数計測装置は、前記加速度センサによって検出された加速度ベクトルの時系データを保持する記憶部をさらに備えていてもよい。
[形態5]
加速度センサは、3軸の加速度センサであってもよい。
[形態6]
前記第2の視点に係る歩数計測方法のとおりである。
[形態7]
前記第3の視点に係るプログラムのとおりである。
【0022】
(実施形態1)
第1の実施形態に係る歩数計測装置について、図面を参照して説明する。図2は、本実施形態に係る歩数計測装置を備えた携帯電話機11の構成を示すブロック図である。なお、本実施携帯に係る歩数計測装置が設けられる携帯端末は、携帯電話機に限られない。図2を参照すると、携帯電話機11は、中央処理装置(CPU)12、バス13、リード・オンリ・メモリ(ROM:Read Only Memory)14、作業用メモリ15、加速度センサ制御部16、加速度センサ計測部17、表示制御部18、表示部19、および、送受信部20を備えている。
【0023】
CPU12は、バス13を介して装置内の各部と接続されている。
【0024】
ROM14は、CPU12が実行するための各種の制御用プログラム等の固定的なデータを保持する。作業用メモリ15は、例えば、ランダム・アクセス・メモリ(RAM:Random Access Memory)によって構成され、CPU12がプログラムを実行する上で一時的に必要とされるデータを保持する。また、作業用メモリ15は、歩数計情報を表示する画像データを所定の領域において保持する。
【0025】
加速度センサ計測部17は、加速度センサに基づいて加速度ベクトルを計測する。加速度センサとして、一例として、3軸の加速度センサを用いることができる。加速度センサ制御部16は、加速度センサ計測部17で計測された加速度ベクトルから加速度の大きさ(単に「加速度」という。)を算出するとともに、歩数のカウントを行う。
【0026】
表示部19は、例えば、白黒またはカラーの液晶パネル、有機EL(電子蛍光)等の表示装置であり、携帯電話機11の本体(非図示)の前面に配置される。表示制御部18は、表示部19の表示内容を制御する制御回路である。
【0027】
送受信部20は、無線によってデータの送受信を行う。
【0028】
図3は、本実施形態に係る歩数計測装置の動作を示すフローチャートである。図3においては、特に、歩数カウントの処理を示す。
【0029】
図3を参照すると、携帯電話機11の利用者が歩数計機能を有効にすることで、加速度センサ計測部17は、周期的な加速度の変化の測定を開始する(ステップS61)。
【0030】
加速度センサ制御部16は、歩行に相当する加速度変化の有無の監視を開始する。携帯電話機11の利用者が歩行動作を開始すると、加速度センサ制御部16は、歩行に相当する周期的な加速度変化を検出し(ステップS62)、歩数をカウントする(ステップS63)。
【0031】
加速度センサ制御部16は、周期的な加速度の変化が継続している場合には(ステップS64のNo)、歩数をカウントし続ける。一方、携帯電話機11の利用者が歩行動作を急に停止したり、歩行動作の終了直前にゆっくり数歩歩行したりしたときには、周期的な加速度の変化が終了し(ステップS64のYes)、加速度センサ制御部16は、歩数のカウントを停止する。
【0032】
周期的な加速度の変化の検出が終了した後(ステップS64のYes)、加速度の変化が検出されることなく所定の期間が経過した場合には(ステップS65のYes、または、ステップS65のNoかつステップS66のNo)、利用者の歩行動作が終了したものと判定し、歩数のカウントを終了する。このとき、次の歩行動作が開始され、歩行に相当する加速度変化が検出されるまでは、歩数のカウントを行わない。
【0033】
一方、周期的な加速度の変化の検出が終了した後(ステップS64のYes)、所定の期間内に(ステップS65のNo)、非周期的な(ないし間欠的な)加速度の変化が検出された場合には(ステップS66のYes)、携帯電話機11における歩数計以外の機能の使用に伴う加速度変化であるか否かを判定する(ステップS67)。
【0034】
例えば、携帯電話機11のキー押下等の携帯電話機11の操作が検出されたか否か、携帯電話機11のアプリケーションの起動、もしくは、着信時のバイブレーション動作が検出されたか否か、または、携帯電話機11の表示の閲覧に関連する動作が検出されたか否かに基づいて、携帯電話機11において、歩数計以外機能が使用されているか否かを判定するようにしてもよい。
【0035】
携帯電話機11における歩数計以外の機能に伴う加速度の変化であると判定された場合には(ステップS67のYes)、歩数をカウントすることなく、終了する。一方、携帯電話機11において、操作や表示の閲覧が実施されておらず、加速度の変化が携帯電話機11の操作に伴うものではないと判定された場合には(ステップS67のNo)、非周期的な加速度変化も、歩数としてカウントする(ステップS68)。
【0036】
表示部19は、周期的な加速度の変化が検出された期間においてステップS63でカウントされた歩数と、非周期的な加速度の変化に対してステップS68でカウントされた歩数とを、足し合わせた歩数を、利用者の最終的な歩数として表示する。
【0037】
ステップS65〜S68における歩数カウントの処理を挿入することで、歩行終了の直前において歩行ピッチが変化したときの加速度変化、または、歩行終了直後にさらに数歩歩行したときに生じる非周期的な(間欠的な)加速度変化も、歩数としてカウントすることができる。
【0038】
また、携帯電話機11の使用に伴う加速度変化であるか否かを判定することにより(ステップS67)、歩行以外の原因によって生じた間欠的な加速度変化を、歩数として誤ってカウントすることを防ぐこともできる。
【0039】
歩数計の利用者の実際の動作を考慮すると、利用者の状態の変化ポイントにおいて、加速度の変化が周期性を有していない場合がある。本実施形態の歩数計測装置は、利用者の状態の変化ポイントにおいて、別途カウント条件(ステップS65〜S67)を設けることで、加速度の変化が周期性を有していない場合においても、歩数としてカウントする対象とする。
【0040】
例えば、利用者が目標とする対象物まで歩行する場合においては、対象物の近くで歩行速度が遅くなり、歩行のピッチが低下したり、一旦、停止した後、対象物との距離を合わせるために数歩移動したりする。しかしながら、従来の歩数計測装置によると、歩行のピッチが低下し始めた時点以降における歩数を正しくカウントすることができない。一方、本実施形態の歩数計測装置によると、このような場合においても、歩数としてカウントすることができるため、歩数の測定誤差を削減することができる。
【0041】
このように、本実施形態に係る歩数計測装置によると、利用者の歩行ピッチが変化した場合に、利用者の歩数を正確に計測できるようにすることができる。特に、本実施形態によると、歩行停止直前または歩行停止直後における歩数を正確に計測することができる。
【0042】
(実施形態2)
次に、第2の実施形態に係る歩数計測装置について、図面を参照して説明する。図2は、本実施形態に係る歩数計測装置を備えた携帯電話機11の構成を示すブロック図である。携帯電話機11の構成は、第1の実施形態における構成と同様であるため、説明を省略する。
【0043】
第1の実施形態に係る歩数計測装置においては、周期的な加速度の変化に相当する歩行状態から静止状態へ移行する際に生じる非周期的な(ないしは間欠的な)加速度変化を歩数としてカウントするようにした。本実施形態では、歩行状態から静止状態へ遷移する際に限らず、静止状態から周期的な加速度の変化を生じる歩行状態へ遷移する際においても、実施形態1と同様のカウント条件に基づいて、歩数をカウントする。
【0044】
例えば、周期的な加速度の変化の検出される以前の所定の期間内に、非周期的な(ないし間欠的な)加速度の変化が検出された場合には、携帯電話機11における歩数計以外の機能の使用に伴う加速度変化であるか否かを判定する。
【0045】
ここで、携帯電話機11における歩数計以外の機能に伴う加速度の変化であると判定された場合には、歩数としてカウントしない。一方、携帯電話機11において、操作や表示の閲覧が実施されておらず、加速度の変化が携帯電話機11の操作に伴うものではないと判定された場合には、非周期的な加速度変化も、歩数としてカウントする。
【0046】
以上のように、本実施形態に係る歩数計測装置によると、周期的な加速度の変化が検出される直前における所定の期間内において、上記のような歩数カウントの処理を挿入することで、停止状態から一定のピッチでの歩行を開始するまでの期間における歩数を正確に計測することができる。
【0047】
なお、利用者が歩行状態から走行状態へ変化した場合、または、走行状態から歩行状態へ変化した場合においても、加速度の変化における周期性が失われる。しかしながら、本実施形態に係る歩数計測装置によると、利用者が歩行状態から走行状態へ変化した場合、または、走行状態から歩行状態へ変化した場合においても、ピッチが変動する期間における歩数を正確に計測することができる。
【0048】
また、携帯電話機11における歩数計以外の機能の使用に伴う加速度変化であるか否かを判定する条件として、携帯電話機11の操作の有無、表示の閲覧の有無を判定する以外に、携帯電話機11その他の携帯端末の動作システムを監視することで、携帯端末を使用しているか否かを判定するようにしてもよい。
【実施例1】
【0049】
上記の実施形態に係る歩数計測装置の動作について、具体的な実施例に基づいて説明する。図4は、本実施例における加速度の変化を模式的に示す図である。図4において、横軸は時間、縦軸は加速度(加速度ベクトルの絶対値)を示す。図4は、携帯電話機11の利用者が、一定のピッチで歩行動作を行った後に停止し、停止後に携帯電話機11を操作した場合における加速度の変化を一例として示す。
【0050】
ここで、加速度センサが3軸の加速度センサである場合に、加速度センサによって計測された加速度ベクトルを(a,a,a)とすると、加速度は、√(a+a+a)によって与えられる。
【0051】
図4を参照すると、期間P1において、周期的な加速度の変化が計測されている。本実施形態に係る歩数計測装置によると、期間P1における歩数がカウントされる(図3のステップS63)。
【0052】
一方、期間P2の開始時おいて、周期的な加速度の変化が終了し(ステップS64のYes)、加速度の非周期的(ないし、間欠的な)変化が計測され始める。期間P2が期間P1の終了後の所定の期間内である場合には(ステップS65のNo)、この加速度の変動が、携帯電話機11における歩数計以外の機能の使用に伴うものであるか否かが判定される(ステップS67)。
【0053】
期間P2における加速度の変化が、携帯電話機11における歩数計以外の機能の使用に伴うものでないと判定された場合には(ステップS67のNo)、期間P2においても、歩数がカウントされる(ステップS68)。
【0054】
さらに、期間P3においては、利用者は停止している。したがって、期間P3の前半においては、加速度の変化が検出されることなく、所定の期間が経過し(ステップS65のYes)、歩数の計測は終了する。期間P3に含まれる期間P4における加速度の変化は、停止した状態の利用者が形態端末を操作したことによるものであり、歩数としてカウントされない。
【0055】
このように、上記の実施形態に係る歩数計測装置によると、利用者が一定のピッチで歩行する状態から停止状態に至るまでの期間P2における歩数を正確にカウントすることができる。
【実施例2】
【0056】
上記の実施形態に係る歩数計測装置の動作について、具体的な実施例に基づいて説明する。図5は、本実施例における加速度の変化を模式的に示す図である。図5は、一定のピッチでの走行状態にあった利用者が、一定のピッチでの歩行状態に遷移した場合の加速度の変化を一例として示す。
【0057】
図5を参照すると、期間P5において、利用者は一定のピッチで走行している。また、期間P7において、利用者は一定のピッチで歩行している。期間P6は、利用者が走行を止めて歩行に切り替えるまでの期間に相当する。
【0058】
期間P6の開始時おいて、周期的な加速度の変化が終了し(ステップS64のYes)、加速度の非周期的(ないし、間欠的な)変化が計測され始める。期間P6が期間P5の終了後の所定の期間内である場合には(ステップS65のNo)、この加速度の変動が、携帯電話機11における歩数計以外の機能の使用に伴うものであるか否かが判定される(ステップS67)。
【0059】
期間P6における加速度の変化が、携帯電話機11における歩数計以外の機能の使用に伴うものでないと判定された場合には(ステップS67のNo)、期間P6においても、歩数がカウントされる(ステップS68)。
【0060】
さらに、期間P7において、周期的な加速度が計測されると、これに伴う歩数がカウントされる(ステップS63)。
【0061】
図5を参照すると、期間P6においては、期間P5の走行時の周期、および、期間P7の歩行時の周期のいずれの周期にも該当しない加速度の波形が検出されている。上記実施形態に係る歩数計測装置によると、期間P6のように、利用者の第1の状態から第2の状態へと変化するまでの過渡期における歩数をカウントすることができる。
【0062】
なお、上記の特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0063】
11 携帯電話機
12 CPU
13 バス
14 ROM
15 作業用メモリ
16 加速度センサ制御部
17 加速度センサ計測部
18 表示制御部
19 表示部
20 送受信部
30 歩数計測装置
31 加速度センサ
32 判定部
33、35 カウンタ部
36 歩数算出部
37 記憶部
P1〜P7 期間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速度ベクトルを検出する加速度センサと、
歩数計以外の機能が使用されているか否か判定する判定部と、
前記加速度ベクトルの絶対値(以下「加速度」という。)の変化が周期的である場合に、該周期的な加速度の変化に基づいて、利用者の歩数を第1のカウント値としてカウントする第1のカウンタ部と、
加速度の変化が周期的である期間の前後における所定の期間中に非周期的な加速度の変化が検出されるとともに、該所定の期間において歩数計以外の機能が使用されていないと判定された場合に、該非周期的な加速度変化に基づいて、利用者の歩数を第2のカウント値としてカウントする第2のカウンタ部と、
前記第1のカウント値と前記第2のカウント値とを足し合わせて、利用者の歩数を算出する歩数算出部と、を備えていることを特徴とする歩数計測装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記所定の期間において、着信時のバイブレーション機能その他の歩数計以外の機能であって加速度の変化伴うものが使用されているか否かを判定することを特徴とする、請求項1に記載の歩数計測装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記所定の期間において、利用者によるキー入力操作その他の歩行以外の利用者の動作であって加速度の変化を伴うものが行われているか否かを判定することを特徴とする、請求項1または2に記載の歩数計測装置。
【請求項4】
前記加速度センサによって検出された加速度ベクトルの時系データを保持する記憶部をさらに備えていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の歩数計測装置。
【請求項5】
前記加速度センサは、3軸の加速度センサであることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の歩数計測装置。
【請求項6】
歩数計測装置が、加速度センサにより加速度ベクトルを検出する工程と、
前記加速度ベクトルの絶対値(以下「加速度」という。)の変化が周期的である場合に、該周期的な加速度の変化に基づいて、利用者の歩数を第1のカウント値としてカウントする工程と、
加速度の変化が周期的である期間の前後における所定の期間中に非周期的な加速度の変化が検出されるとともに、該所定の期間において歩数計以外の機能が使用されていないと判定された場合に、該非周期的な加速度変化に基づいて、利用者の歩数を第2のカウント値としてカウントする工程と、
前記第1のカウント値と前記第2のカウント値とを足し合わせて、利用者の歩数を算出する工程と、を含むことを特徴とする歩数計測方法。
【請求項7】
加速度センサにより検出された加速度ベクトルを該加速度センサから入力する処理と、
前記加速度ベクトルの絶対値(以下「加速度」という。)の変化が周期的である場合に、該周期的な加速度の変化に基づいて、利用者の歩数を第1のカウント値としてカウントする処理と、
加速度の変化が周期的である期間の前後における所定の期間中に非周期的な加速度の変化が検出されるとともに、該所定の期間において歩数計以外の機能が使用されていないと判定された場合に、該非周期的な加速度変化に基づいて、利用者の歩数を第2のカウント値としてカウントする処理と、
前記第1のカウント値と前記第2のカウント値とを足し合わせて、利用者の歩数を算出する処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−137904(P2012−137904A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289174(P2010−289174)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】