説明

歩行動作評価システム及び歩行動作評価方法

【課題】本発明の目的は、被験者の歩行動作をより簡易かつ正確に評価することである。
【解決手段】歩行動作評価システム100は、被験者の歩行動作に伴う床反力の変化を示す床反力データを取得するデータ取得部112と、床反力データに基づいて、少なくとも1つの関節についての歩行動作に伴う角度の変化を示す関節角度データ、及び、当該関節についての歩行動作に伴うモーメントの変化を示す関節モーメントデータの少なくとも一方を含む歩行動作データの主成分得点を推定する、主成分得点推定部114と、推定された主成分得点である推定主成分得点CP1〜CPnに基づいて、被験者の歩行動作を評価する、歩行動作評価部116とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歩行動作評価システム及び歩行動作評価方法に関する。特に、被験者の歩行動作をより簡易かつ正確に評価することができるシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の生活習慣病の問題や健康へ関心の高まりにより、ウォーキング人口が増加している。すなわち、人々の「歩行」に関する関心が高まってきている。従来においては、歩行動作の評価を行うために歩行動作の様子を計測することが知られているが、例えば特開2008−173250号公報に代表されるように、被験者の歩行動作の評価を行うたびに、歩行動作をモーションキャプチャ等の高価かつ複雑な装置を使用して計測せざるを得ず、人々の「歩行」に関する関心の高まりに反して、歩行動作を評価するための簡易かつ正確なシステムについては普及してはいない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−173250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、被験者の歩行動作を簡易かつ正確に評価することができるシステム及び方法を提供することが求められている。
【0005】
よって、本発明の目的は、上記の課題を解決することができる歩行動作評価システム及び歩行動作評価方法を提供することを目的とする。この目的は特許請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属項は本発明の更なる有利な具体例を規定する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るシステムは、被験者の歩行動作を評価する歩行動作評価システムであって、被験者の歩行動作に伴う床反力の変化を示す床反力データを取得するデータ取得部と、前記床反力データに基づいて、少なくとも1つの関節についての歩行動作に伴う角度の変化を示す関節角度データ、及び、当該関節についての歩行動作に伴うモーメントの変化を示す関節モーメントデータの少なくとも一方を含む歩行動作データの主成分得点を推定する、主成分得点推定部と、推定された前記主成分得点である推定主成分得点に基づいて、前記被験者の歩行動作を評価する、歩行動作評価部とを含む。
【0007】
かかる構成によれば、床反力データに基づいて歩行動作データの主成分得点を推定し、かかる推定主成分得点に基づいて被験者の歩行動作を評価するので、非常に簡易な構成で被験者の歩行動作を評価することができる。これにより、例えば、被験者の歩行動作を計測するたびに、モーションキャプチャのような高価で取り扱いが煩雑なカメラを使用しなければならないという不都合を解消することができる。また、主成分得点という総合的指標の値を推定するため、歩行動作の評価のための処理を簡易かつ正確に行うことができる。よって、被験者の歩行動作を簡易かつ正確に評価することができる。
【0008】
上記システムにおいて、前記床反力データに基づいて前記主成分得点を推定する推定式を予め格納する記憶部をさらに含み、前記主成分得点推定部は、前記記憶部から前記推定式を読み出して、前記床反力データに基づいて前記主成分得点を推定してもよい。
【0009】
これにより、簡易な構成ながらも、様々な要因を加味した正確な評価を行うことができる。
【0010】
上記システムにおいて、前記主成分得点推定部は、前記被験者の歩行動作に伴って当該被験者の足にかかる床反力の変化を示すデータを前記床反力データとして、前記主成分得点を推定してもよい。
【0011】
上記システムにおいて、前記主成分得点推定部は、前記床反力データの主成分得点に基づいて、前記歩行動作データの主成分得点を推定してもよい。
【0012】
上記システムにおいて、前記主成分得点推定部は、前記被験者の体重、並びに、歩行の速度、歩幅及び周期の少なくとも1つのデータにさらに基づいて、前記主成分得点を推定してもよい。
【0013】
上記システムにおいて、前記歩行動作データの主成分得点の標本値と、歩行動作の特徴とを対応付けて予め格納した第1のデータベースをさらに含み、前記歩行動作評価部は、前記第1のデータベースにおいて前記推定主成分得点に対応する前記標本値を参照して、前記被験者の歩行動作を評価してもよい。
【0014】
上記システムにおいて、前記主成分得点推定部は、前記歩行動作データについての第1から第n(nは2以上の整数)の主成分のそれぞれについて、主成分得点を推定し、前記歩行動作評価部は、推定されたn個の前記主成分得点であるn個の推定主成分得点に基づいて、前記被験者の歩行動作を評価してもよい。
【0015】
上記システムにおいて、前記第1から第nの主成分のそれぞれについて、主成分得点の複数の標本値と、当該複数の標本値を正規化した複数の正規化データとを対応付けて予め格納した第2のデータベースをさらに含み、前記歩行動作評価部は、前記第2のデータベースにおいて前記n個の推定主成分得点に対応するn個の前記標本値を参照して、前記被験者の歩行動作を評価してもよい。
【0016】
上記システムにおいて、前記歩行動作データは、前記関節角度データ及び前記関節モーメントデータの両方を含んでもよい。
【0017】
上記システムにおいて、前記歩行動作データは、前記被験者の複数の異なる関節についてのデータであってもよい。
【0018】
上記システムにおいて、前記歩行動作データは、前記被験者の股関節、膝関節及び足首関節についてのデータであってもよい。
【0019】
これらの関節は、歩行動作の特徴を支配する重要な要因であるため、かかる関節についてのデータを適用することで、歩行動作について重要な総合的指標を示すことができる。
【0020】
上記システムにおいて、前記床反力データは、前記被験者が歩行動作を行う歩行誘導装置に設けられたセンサにより検出されてもよい。
【0021】
上記システムにおいて、前記データ取得部は、前記床反力データを通信ネットワークを介して取得してもよい。
【0022】
本発明の一態様に係る方法は、被験者の歩行動作を評価する歩行動作評価方法であって、被験者の歩行動作に伴う床反力の変化を示す床反力データを取得するステップと、前記床反力データに基づいて、少なくとも1つの関節についての歩行動作に伴う角度の変化を示す関節角度データ、及び、当該関節についての歩行動作に伴うモーメントの変化を示す関節モーメントデータの少なくとも一方を含む歩行動作データの主成分得点を推定する、ステップと、推定された前記主成分得点である推定主成分得点に基づいて、前記被験者の歩行動作を評価するステップとを含む。
【0023】
かかる構成によれば、床反力データに基づいて歩行動作データの主成分得点を推定し、かかる推定主成分得点に基づいて被験者の歩行動作を評価するので、非常に簡易な構成で被験者の歩行動作を評価することができる。これにより、例えば、被験者の歩行動作を計測するたびに、モーションキャプチャのような高価で取り扱いが煩雑なカメラを使用しなければならないという不都合を解消することができる。また、主成分得点という総合的指標の値を推定するため、歩行動作の評価のための処理を簡易かつ正確に行うことができる。よって、被験者の歩行動作を簡易かつ正確に評価することができる。
【0024】
上記方法において、前記推定するステップは、前記床反力データに基づいて前記主成分得点を推定する推定式を予め格納する記憶部から、前記推定式を読み出して、前記床反力データに基づいて前記主成分得点を推定してもよい。
【0025】
上記方法において、前記推定するステップは、前記被験者の歩行動作に伴って当該被験者の足にかかる床反力の変化を示すデータを前記床反力データとして、前記主成分得点を推定してもよい。
【0026】
上記方法において、前記評価するステップは、前記歩行動作データの主成分得点の標本値と、歩行動作の特徴とを対応付けて予め格納した第1のデータベースにおいて、前記推定主成分得点に対応する前記標本値を参照して、前記被験者の歩行動作を評価してもよい。
【0027】
上記方法において、前記推定するステップは、前記歩行動作データについての第1から第n(nは2以上の整数)の主成分のそれぞれについて、主成分得点を推定し、
【0028】
前記評価するステップは、推定されたn個の前記主成分得点であるn個の推定主成分得点に基づいて、前記被験者の歩行動作を評価してもよい。
【0029】
上記方法において、前記評価するステップは、前記第1から第nの主成分のそれぞれについて、主成分得点の複数の標本値と、当該複数の標本値を正規化した複数の正規化データとを対応付けて予め格納した第2のデータベースにおいて、前記n個の推定主成分得点に対応するn個の前記標本値を参照して、前記被験者の歩行動作を評価してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係る歩行動作評価システムを含む図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る歩行動作評価システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】図1の端末及び計測装置の一例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る歩行動作評価方法のフローチャートを示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る歩行動作評価方法のフローチャートを示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る足にかかる床反力の変化を示すデータの一例を示す図である。
【図7】図7は本発明の一実施形態に係る標本1人分の歩行動作データを示す図である。
【図8】図8(A)は本発明の一実施形態に係る標本N人分の主成分得点の標本値を示し、図8(B)は図8(A)の第1の主成分得点に応じて分類されたG1〜G3のそれぞれに該当する標本値の歩行動作データを示す図である。また、図8(C)は、第4の主成分得点に応じて分類されたG1´〜G3´のそれぞれに該当する標本値の歩行動作データを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しつつ、発明の実施形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせのすべてが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0032】
1.歩行動作評価システムについて
図1〜図3を参照して、本発明の一実施形態に係る歩行動作評価システムの構成について説明する。ここで、図1は本実施形態に係る歩行動作評価システムを含む図であり、図2は歩行動作評価システムのハードウェア構成を示す図であり、図3は図1の端末及び計測装置の一例を示す図である。
【0033】
本実施形態に係るシステム100は、被験者の歩行動作を評価するシステムであり、具体的には、被験者の歩行動作に伴う床反力の変化を示す床反力データに基づいて、当該被験者の歩行動作がどのような特徴をもつのか、どのようなアドバイスを与えるべきか、又は、第三者と比較してどのような点がどのくらい異なるのか等を、より簡易かつ正確に示すことができるシステムである。なお、本出願において「歩行動作」とは、歩く動作のみならず、走る動作をも含むものとする。
【0034】
システム100には、本実施形態に係る歩行動作を評価するための所定のプログラムが予めインストールされている。このシステム100は、図1に示すように、本実施形態に係る歩行動作を評価するために必要な処理を行う処理部110、及び、かかる処理に必要な情報を記憶するための記憶部120を含む。
【0035】
システム100には、例えば図2に示すようなCPU101、ROM102、RAM103、外部記憶装置104、ユーザインタフェース105、ディスプレイ106、プリンタ107、及び通信インタフェース108を備える汎用又は専用のコンピュータを適用することができる。システム100は、単一のコンピュータより構成されるものであっても、ネットワーク上に分散した複数のコンピュータより構成されるものであってもよい。
【0036】
システム100は、例えばCPUが、上記したROM、RAM、外部記憶装置などに記憶された又は通信ネットワーク130を介してダウンロードされた所定のプログラム(本実施形態に係る歩行動作を評価する方法を規定したプログラム)を実行することにより、システム100を後述の各種機能ブロック又は各種ステップとして機能させることができる。
【0037】
図1においては、システム100(例えば処理部110)は、データ送受信可能なように、通信ネットワーク130を介して端末140に接続されている。通信ネットワーク130は、インターネットのような通信網のみならず、ローカルエリアネットワーク(LAN)やその他通信回線などを介した通信網を含むことができる。
【0038】
端末140は、入力されたデータを通信ネットワーク130上に送信可能であり、かつ、通信ネットワーク130からデータを受信可能な装置である。図1に示すように、複数の端末140−1〜nが通信ネットワーク130に接続され、システム100が複数の端末140−1〜nとデータ送受信可能なように接続されていてもよい。
【0039】
端末140には表示部142が設けられている。表示部142は、通信ネットワーク130から受信したデータを被験者に提供するためのものである。さらに、表示部142によって、被験者にデータの入力を促してもよい。
【0040】
端末140−1〜nは、データ送受信可能なように計測装置150−1〜nに接続されている。計測装置150−1〜nは、少なくとも歩行動作に伴う各種データ(例えば歩行の速度、歩幅及び周期)等を計測するものである。計測装置150−1〜nは例えば被験者が歩行動作を行うための歩行誘導装置(例えばトレッドミル)152と、被験者の歩行動作に伴う床反力の変化を示す床反力データを検出するセンサ(例えばロードセル)154とを含む。センサ154は、歩行誘導装置152の歩行面(床面に水平な面)153に垂直方向にかかる床反力データを検出し、当該床反力データを電気信号に変換する。図3に示すように、複数のセンサ154a〜fが、歩行誘導装置152の歩行面153に分散して設けられてもよい。ただし、センサの構成、種類、個数及び配置等は図3に示す例に限定されるものではなく、被験者の歩行動作に伴う床反力データが検出できれば限定されるものではない。センサ154は、歩行誘導装置152に内蔵されていてもよいし、歩行誘導装置152がセンサの働きを兼ねていてもよい。
【0041】
図3に示すように、端末140は計測装置150に備え付けられていてもよく、この場合、端末140の表示部142が、被験者が歩行動作を行いながら視認できる位置に設けられる。
【0042】
なお、端末140は、計測装置150によって検出されたデータをシステム100に送信するのみならず、端末140の入力部(例えばキーボードやタッチパネルセンサ等)を介して、被験者から入力されたデータ(例えば被験者の年齢、性別等)をシステム100に送信してもよい。
【0043】
次に、システム100の構成について具体的に説明する。
【0044】
図1に示すように、システム100の処理部110は、主な構成として、被験者の歩行動作に伴う床反力の変化を示す床反力データを取得するデータ取得部112と、床反力データに基づいて歩行動作データの主成分得点を推定する主成分得点推定部114と、かかる推定主成分得点に基づいて被験者の歩行動作を評価する歩行動作評価部116と、歩行動作評価部116の評価結果を被験者に提供する結果提供部118とを含む。また、システム100の記憶部120は、主成分得点推定部114が主成分得点を推定するときに用いられる推定式を予め格納する推定式記憶部122と、歩行動作評価部116が評価するときに用いられる第1及び第2のデータベース124,126とを含む。なお、処理部110内の上記各構成は、記憶部120内の上記各構成にデータ送受信可能なように接続されており、これにより処理部110によって処理される必要なデータを上記記憶部に格納及び読み出し可能としている。
【0045】
データ取得部112は、通信ネットワーク130を介してセンサ154が検出した床反力データを取得する。この場合、データ取得部112は、センサ154が検出した床反力データをそのまま取得してもよいし、あるいは当該検出した床反力データから抽出したデータを取得してもよい。例えば後者の場合、データ取得部112は、図3に示す6個のセンサ154a〜fの各々が検出した床反力データから、歩行動作に伴う被験者の少なくとも一方の足にかかる床反力の変化を示すデータを抽出して当該データを取得してもよい。
【0046】
また、データ取得部112は、被験者の体重等の身体データ、年齢、性別及び特性などの属性データ、並びに、歩行動作誘導装置152によって検出される歩行動作に伴う各種データ(例えば歩行の速度、歩幅及び周期)等を取得してもよい。
【0047】
主成分得点推定部114は、データ取得部112が取得した床反力データに基づいて、歩行動作データの主成分得点を推定する。ここで、歩行動作データとは、少なくとも1つの関節についての歩行動作に伴う角度の変化を示す関節角度データ、及び、当該関節についての歩行動作に伴うモーメントの変化を示す関節モーメントデータの少なくとも一方を含む。また、歩行動作データの主成分得点とは、歩行動作データの相関関係のある複数の要因を合成(圧縮)して得られる総合的指標を示すものである。
【0048】
歩行動作データは、関節角度データ及び関節モーメントデータの両方を含むことが好ましい。これにより、被験者の関節角度及び関節モーメントの2つの異なる観点から総合的指標を示すことができる。
【0049】
また、歩行動作データは、被験者の1つの関節についてのデータであってもよいが、複数の異なる関節についてのデータであることが好ましい。これにより、被験者についての複数の異なる関節という複数の異なる観点からの総合的指標を示すことができる。
【0050】
この場合、歩行動作データは、例えば、被験者の股関節、膝関節及び足首関節についてのデータであることが好ましい。これらの関節は、歩行動作の特徴を支配する重要な要因であるため、かかる関節についてのデータを適用することで、歩行動作について重要な総合的指標を示すことができる。
【0051】
主成分得点は、元データである歩行動作データが有する要因の個数に応じて、第1〜第n(nは2以上の整数)の主成分についてそれぞれ求めることができる。例えば、
3つの各関節についてそれぞれ、関節角度データ及び関節モーメントデータをそれぞれ時間軸で101に分割した場合には、全体で606の要因となるので、理論上は最大で606個の主成分を求めることができる。
【0052】
主成分得点推定部114は、歩行動作データについての第1から第nの主成分のそれぞれについて、主成分得点(すなわち、第1〜第nの主成分得点)を推定してもよい。このように複数の主成分のそれぞれについて主成分得点を推定することにより、異なる観点からのn個の総合的指標を示すことができる。
【0053】
主成分得点推定部114は、予め記憶部120に格納しておいた推定式を用いて、主成分得点を推定してもよい。第1〜第nの主成分得点を推定する場合には、第1〜第nの推定式を用いる。このような推定式は、記憶部120の推定式記憶部122に予め格納されており、主成分得点推定部114が処理を行うときに、推定式記憶部122から推定式を読み出すことができる。
【0054】
ここで、推定式記憶部122は、床反力データに基づいて主成分得点を推定する推定式を予め格納する。第1〜第nの主成分得点を推定するために、第1〜第nの推定式を格納してもよい。このように推定式記憶部122が第1〜第nの推定式を予め格納しておくことにより、より簡易な構成により第1〜第nの主成分得点を推定することができる。
【0055】
また、推定式記憶部122は、標本(基準となる人)の性別や特性などの属性データごとにそれぞれ異なる推定式を格納してもよい。これによれば、被験者の属性データに応じてより適切な推定式を用いることができる。したがって、より正確な主成分得点を推定することができる。
【0056】
歩行動作評価部116は、推定された主成分得点に基づいて、被験者の歩行動作を評価する。推定された主成分得点が第1〜第nの主成分得点である場合には、当該n個の推定された主成分得点に基づいて、被験者の歩行動作を評価する。これによれば、異なった観点からの複数の総合的指標を基準とすることができるので、より正確かつ細部にわたって被験者の歩行動作を評価することができる。
【0057】
具体的には、歩行動作評価部116は、予め記憶部120に格納しておいた第1のデータベース124及び第2のデータベース126の少なくとも一方を参照して、被験者の歩行動作を評価する。ここで、第1のデータベース124においては、歩行動作データの主成分得点の標本値と、歩行動作の特徴とが対応付けて予め格納されており、他方、第2のデータベース126においては、第1から第nの主成分得点のそれぞれについての複数の標本値と、当該複数の標本値を正規化した複数の正規化データとが対応付けて予め格納されている。いずれのデータベース124,126においても、主成分得点推定部114が推定した主成分得点に対応する標本値を参照することにより、当該標本値に対応付けられたデータ、すなわち第1のデータベース124の場合には歩行動作の特徴についてのデータ、第2のデータベース126の場合には正規化データを取得することができる。
【0058】
そして、第1のデータベース124においては、主成分得点推定部114が推定した主成分得点に基づいて、歩行動作の特徴についての情報を取得することができ、被験者の歩行動作がどのような特徴をもつのか、どのようなアドバイスを与えるべきか等について評価することができる。
【0059】
また、第2のデータベース126においては、主成分得点推定部114が推定した第1〜第nの主成分得点に基づいて、第1〜第nの正規化データを取得することができる。したがって、被験者の主成分得点が平均値からどのくらい離れているかを、第1〜第nの主成分ごとに、各主成分間で比較可能なように示すことができ、これにより、第1〜第nの主成分のすべての主成分得点を加味した総合的指標を求めることができる。
【0060】
第1のデータベース124は、標本(基準となる人)の性別や特性などの属性データごとにそれぞれ異なるデータベースを格納してもよい。これは、第2のデータベース126についても同様である。これによれば、被験者の属性データに応じてより適切なデータベースを参照することができる。したがって、より正確に被験者の歩行動作を評価することができる。
【0061】
また、第1のデータベース124においては、歩行動作データの主成分得点のすべての標本値が、いずれかの歩行動作の特徴と直接的に対応付けられている必要は必ずしもなく、少なくとも主成分得点が、第1のグループ(平均+2σの付近)、第2のグループ(平均付近)、及び、第3のグループ(平均−2σの付近)に該当する標本値と、歩行動作の特徴とが対応付けられていればよい。これにより、推定された主成分得点が、標本値の第1〜第3のいずれのグループに属するか又は近いかを判定することで、当該推定された主成分得点に対応する歩行動作の特徴を取得することができる。これにより、より簡易な構成で被験者の歩行動作を評価することができる。
【0062】
なお、推定式記憶部122、第1のデータベース124及び第2のデータベース126は、処理部110としてのサーバの外部に設けられた記憶媒体であっても構わない。
【0063】
結果提供部118は、歩行動作評価部116の評価結果を被験者に提供する。例えば、結果提供部118が、当該評価結果を通信ネットワーク130を介して被験者が操作する端末140の表示部142に提供してもよい。この場合、被験者が歩行動作を行っている間に、被験者に評価結果を提供してもよい。これにより、例えば被験者は、歩行動作を続けながらリアルタイムで評価結果を知ることができるので、歩行動作の矯正をリアルタイムで行うことができる。
【0064】
以上のとおり、本実施形態に係る歩行動作評価システムによれば、床反力データに基づいて歩行動作データの主成分得点を推定し、かかる推定主成分得点に基づいて被験者の歩行動作を評価することができる。したがって、非常に簡易な構成で被験者の歩行動作を評価することができる。これにより、例えば、被験者の歩行動作を計測するたびに、モーションキャプチャのような高価で取り扱いが煩雑なカメラを使用しなければならないという不都合を解消することができる。また、主成分得点という総合的指標の値を推定するため、歩行動作の評価のための処理を簡易かつ正確に行うことができる。よって、被験者の歩行動作を簡易かつ正確に評価することができる。また、予め格納しておいた推定式や評価に関するデータベースを用いて評価するので、簡易な構成ながらも、様々な要因を加味した正確な評価を行うことができる。
【0065】
なお、上記実施形態においては、システム100が通信ネットワーク130を介して端末140及び計測装置150と接続される構成を説明したが、他の例として通信ネットワーク130を使用することなく、システム100と、端末140及び計測装置150との間でデータ送受信させることもできる。
【0066】
2.歩行動作評価方法について
次に、図4〜図8を参照して、本発明の一実施形態に係る歩行動作の評価方法について説明する。ここで、図4及び図5は、本実施形態に係る歩行動作評価方法に関するフローチャートであり、図6〜図8は図4のフローチャートを説明するためのデータの一例である。
【0067】
本実施形態に係る歩行動作評価方法は、上記システム100を用いて行うことができる。なお、以下に説明する各ステップ(図4及び図5に示される符号が付されたステップのみならず、当該ステップの部分的なステップを含む)は処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更して又は並列に実行することができる。
【0068】
最初に、図4を参照して、本実施形態に係る歩行動作評価方法を行うための準備段階について説明する。かかる準備段階は、主成分得点を推定するための推定式と、歩行動作を評価するための第1及び第2のデータベースとを作成することを含む。
【0069】
まず、標本(基準となる人)に計測装置上を歩行するよう促し、当該標本について各種データを取得する(S101)。計測装置の一例としては、図3に示すような歩行誘導装置152及びセンサ154に加えて、モーションキャプチャMC(図示しない)を含む計測装置を適用することができる。
【0070】
こうして、センサによって検出した床反力データを取得し(S102)、当該床反力データに基づいて、歩行動作に伴う標本の少なくとも一方の足にかかる床反力の変化を示すデータを取得する(S103)。例えば図6に示すように、標本の一方の足にかかる床反力の変化を示すデータを少なくとも1歩分について取得する。
【0071】
また、MCによって標本の関節位置データ及び関節角度データを取得し(S104,105)、さらに、関節位置データ及び上記S103で取得した床反力の変化を示すデータに基づいて関節モーメントデータを取得する(S106)。これらの関節位置データ、関節角度データ及び関節モーメントデータについては、上記したとおり、標本の股関節、膝関節及び足首関節について取得することが好ましい。
【0072】
こうして、関節角度データ及び関節モーメントデータの少なくとも一方を含む歩行動作データを取得することができる(S107)。例えば図7に示すように、標本の股関節、膝関節及び足首関節について、関節角度データ及び関節モーメントデータの両方を含む歩行動作データを取得する。
【0073】
また、上記各ステップにおいて取得したデータに加えて、標本の体重等の身体データ、年齢、性別及び特性などの属性データ、並びに、歩行動作誘導装置によって検出される歩行動作に伴う各種データ(例えば歩行の速度、歩幅及び周期)等を取得してもよい。
【0074】
このように、各ステップを複数の標本に対して行い、複数の標本について各種データを取得して、図1の記憶部120に格納する。この場合、標本の性別や特性などの属性データに対応付けて、複数の標本についてのデータを分類してもよい。これにより、図5のフローチャートにおいて評価される被験者に最適のデータを用いて、被験者の歩行動作を評価することができるので、より正確に評価することができる。
【0075】
次に、歩行動作データについて第1〜第nの主成分得点の標本値を取得する(S108)。すなわち、標本1人分について第1〜第nの主成分得点であるn個の主成分得点を算出し、当該n個の主成分得点を記憶部120に格納する。具体的には、図7に示す標本1人分の歩行動作データに基づいて、標本1人分の主成分を算出し、これにより第1〜第nの主成分得点を算出する。例えば、N人分の標本がある場合には、第1〜第nの主成分得点のそれぞれについてN個のデータを算出する。
【0076】
こうして主成分得点の標本値を取得したら、主成分得点を推定するための推定式と、歩行動作を評価するための第1及び第2のデータベースとを作成する(S109〜111)。
【0077】
まず、主成分得点を推定するための推定式について説明する。
【0078】
第1〜第nの主成分得点の標本値と、上記各ステップS102〜106等で取得した各種データに基づいて、第1〜第nの推定式を取得する(S109)。取得した第1〜第nの推定式については記憶部120(推定式記憶部122)に格納する。
【0079】
第1〜第nの推定式は、被験者の床反力データから得られる値、被験者の体重「W(kg)」、歩行の速度「Sp(m/s)」、歩幅「St(m)」及び周期「T(sec)」等のパラメータから作成することができる。ここで、床反力データから得られる値としては、例えば、被験者の歩行動作に伴って当該被験者の足にかかる床反力の変化を示すデータの変化点「(x1,y1),(x2,y2),(x3,y3)」(図6参照)、及び、当該データについての第1〜第m(mは2以上の整数)の主成分のそれぞれについての主成分得点である「αCP1〜CPm」を用いることができる。
【0080】
ここで、上記したデータの変化点(図6参照)については、例えば、足を床面に着地した後に床反力が最大となる第1の変化点(x1,y1)付近、足が床面に着地している間に床反力が最小となる第2の変化点(x2,y2)付近、及び、足を床面が蹴るときに床反力が最大となる第3の変化点(x2,y2)付近の少なくとも1つを適用することができる。なお、上記した床反力の主成分得点については、足にかかる床反力の変化を示すデータを時間軸でk個に分割して、当該k個の主成分において、第1〜第mの主成分得点を求めればよい。
【0081】
第1〜第nの推定式の具体例としては、例えば第1〜第6の推定式は下記のように表すことができる(例えば第1〜第6の推定式を示す)。なお、下記式において、a10〜a63については、項目における実測値と推定値との間の相関関係や、複数の項目の相関関係を鑑みて重み付けした重回帰係数である。
【0082】
CP1=a10+a11・y3+a12・x1+a13・x2+a14・W+a15・T
CP2=a20+a21・αCP6+a22・x2+a23・St
CP3=a30+a31・αCP4+a32・αCP6+a33・αCP8+a34・y3
CP4=a40+a41・αCP1+a42・αCP2+a43・αCP3+a44・αCP6
+a45・y1+a46・y2+a47・y3+a48・x3+a49・W+a49・St
+a4A・Sp
CP5=a50+a51・αCP3+a52・y3+a53・W+a54・T+a55・Sp
CP6=a60+a61・αCP3+a62・x3+a63・T
なお、上記推定式は一例であり、これらの例に限定されるものではない。
【0083】
次に、第1のデータベースについて説明する。
【0084】
第1〜第nの主成分得点の標本値と歩行動作データとに基づいて、第1〜第nの主成分得点の標本値と歩行動作データの特徴とを対応付ける(S110)。例えば図8(A)に示すように、第1の主成分についての主成分得点について、第1のグループG1(平均+2σの付近)に該当する標本値と、第2のグループG2(平均付近)に該当する標本値と、第3のグループG3(平均−2σの付近)に該当する標本値とを選択し、選択された各標本値に対応する歩行動作データ同士を比較する。
【0085】
第1の主成分得点については、例えば図8(B)に示すように膝関節モーメントデータに着目すると、歩行動作の1歩分において足を床面に着地した後のt1において膝関節モーメントに大きな差が生じていることがわかる。すなわち、G1においては足の着地後において膝関節モーメントが小さく、他方、G3においては足の着地後において膝関節モーメントが大きいことがわかる。したがって、G1においては足の着地後の衝撃を膝で吸収していないため膝の負担が大きく、他方、G3においては足の着地後の衝撃を膝で吸収しているため膝の負担が小さいことがわかる。こうして、主成分得点の評価値と歩行動作の特徴とを対応付けることができる。
【0086】
上記は関節モーメントデータに着目した例を説明したが、関節角度データに着目して歩行動作の特徴を求めることもできる。例えば第4の主成分得点について、第1のグループG1´(平均+2σの付近)に該当する標本値と、第2のグループG2´(平均付近)に該当する標本値と、第3のグループG3´(平均−2σの付近)に該当する標本値とを選択し、選択された各標本値に対応する歩行動作データ同士を比較する例を考える。
【0087】
第4の主成分得点については、例えば図8(C)に示すように足首関節角度データに着目すると、歩行動作の1歩分において足を床面に着地してから床面を蹴るときのt2において、足首関節角度に大きな差が生じていることがわかる。すなわち、G1´においては足が床面を蹴るとき足首関節角度が大きく、他方、G3´においては足が床面を蹴るとき足首関節角度が小さいことがわかる。したがって、G1´においては足が床面を蹴るときに足首をよく曲げているため床面を蹴る力(例えば下腿の筋力)をあまり使っておらず、他方、G3´においては足が床面を蹴るときに足首を伸ばしているため床面を蹴る力(例えば下腿の筋力)をよく使っていることがわかる。こうして、主成分得点の評価値と歩行動作の特徴とを対応付けることができる。
【0088】
このようにして、第1〜第nの主成分得点について、それぞれ主成分得点の評価値と、歩行動作データの特徴とを対応付ける。この場合、1つの主成分得点の評価値を、歩行動作データの複数の特徴と対応付けてもよい。また、歩行動作の特徴は、複数の異なる関節についてのデータから求めてもよいし、また、角度とモーメントとの異なる種類のデータから求めてもよい。
【0089】
こうして得られた歩行動作データの主成分得点の標本値と、歩行動作の特徴とが対応付けられたデータベースは、第1のデータベース124として記憶部120に格納する。
【0090】
次に、第2のデータベースについて説明する。
【0091】
第1〜第nの主成分得点のそれぞれについての複数の標本値と、当該複数の標本値を正規化した複数の正規化データとを対応付ける(S111)。すなわち、当該複数の標本値を標準偏差を用いて正規化して複数の正規化データを取得する。こうして、標本値が平均値からどのくらい離れているかを、第1〜第nの主成分ごとに、各主成分間で比較可能なように示すことができる。したがって、第1〜第nの主成分のすべての主成分得点を加味した総合的指標を求めることができる。
【0092】
こうして得られた当該複数の標本値と当該複数の正規化データとが対応付けられたデータベースは、第2のデータベース126として記憶部120に格納する。
【0093】
以上で準備段階を終了し、被験者に対して実際に歩行動作の評価を行うことができる。図5を参照して、本実施形態に係る歩行動作評価方法について説明する。
【0094】
まず、被験者に計測装置150上を歩行するよう促し、被験者について各種データを取得する(S201)。すなわち、まず、センサ154によって検出した床反力データを取得し(S202)、当該床反力データに基づいて、歩行動作に伴う被験者の少なくとも一方の足にかかる床反力の変化を示すデータを取得する(S203)。また、センサ154によって検出した床反力データに基づいて、床反力データの第1〜第mの主成分得点を取得する(S204)。他方、歩行動作誘導装置152及び端末140からのデータ、すなわち、被験者の体重等の身体データ、被験者の年齢、性別及び特性などの属性データ、並びに、歩行動作に伴う各種データ(例えば歩行の速度、歩幅及び周期)等を取得する。これらの各ステップは、例えばデータ取得部112により行うことができる。
【0095】
次に、被験者の歩行動作に伴う床反力の変化を示す床反力データに基づいて、歩行動作データの主成分得点を推定する。具体的には、S203〜205で取得した各種データに基づいて、記憶部120(推定式記憶部122)から第1〜第nの推定式を読み出して、第1〜第nの主成分得点を推定して、第1〜第nの推定主成分得点CP1〜CPnを取得する(S206)。かかるステップは、例えば主成分得点推定部114により行うことができる。
【0096】
この場合、S205で取得した被験者の属性データに基づいて、被験者の属性データに合致する第1〜第nの推定式を読み出してもよい。なお、主成分得点の推定方法及び推定式の詳細については上記したとおりである。
【0097】
次に、推定された主成分得点に基づいて、被験者の歩行動作を評価する(S207〜S211参照)。この場合、第1のデータベース124に基づいて評価してもよいし、第2のデータベース126に基づいて評価してもよいし、それら両方に基づいて評価してもよい。
【0098】
具体的には、第1のデータベース124を参照して(S207)、被験者の第1〜第nの推定主成分得点CP1〜CPnに対応する歩行動作の特徴を取得する(S208)。他方、第2のデータベース126を参照して(S210)、被験者の第1〜第nの推定主成分得点CP1〜CPnに対応する正規化データを取得する(S210)。そして、第1のデータベース124及び第2のデータベース126の少なくとも一方の結果に基づいて、被験者の歩行動作を評価する(S211)。これらの各ステップは、例えば歩行動作評価部116により行うことができる。なお、具体的な評価の詳細については上記したとおりである。
【0099】
その後、必要に応じて、評価結果を被験者に提供する(S212)。具体的には、第1のデータベース124及び第2のデータベース126を参照することにより取得した、歩行動作の特徴や正規化データ自体に基づく情報を評価結果として被験者に提供する。かかるステップは、結果提供部118により行うことができる。
【0100】
以上のとおり、本実施形態に係る歩行動作評価方法によれば、上記システムの構成について説明したように、被験者の歩行動作を非常に簡易かつ正確に評価することができる。
【0101】
上記発明の実施形態を通じて説明された実施例や応用例は、用途に応じて適宜に組み合わせて、又は変更若しくは改良を加えて用いることができ、本発明は上述した実施形態の記載に限定されるものではない。そのような組み合わせ又は変更若しくは改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0102】
100・・・システム
110・・・処理部
112・・・データ取得部
114・・・主成分得点推定部
116・・・歩行動作評価部
118・・・結果提供部
120・・・記憶部
122・・・推定式記憶部
124・・・第1のデータベース
126・・・第2のデータベース
130・・・通信ネットワーク
140・・・端末
142・・・表示部
150・・・計測装置
152・・・歩行動作誘導装置
154・・・センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の歩行動作を評価する歩行動作評価システムであって、
被験者の歩行動作に伴う床反力の変化を示す床反力データを取得するデータ取得部と、
前記床反力データに基づいて、少なくとも1つの関節についての歩行動作に伴う角度の変化を示す関節角度データ、及び、当該関節についての歩行動作に伴うモーメントの変化を示す関節モーメントデータの少なくとも一方を含む歩行動作データの主成分得点を推定する、主成分得点推定部と、
推定された前記主成分得点である推定主成分得点に基づいて、前記被験者の歩行動作を評価する、歩行動作評価部と
を含む、歩行動作評価システム。
【請求項2】
前記床反力データに基づいて前記主成分得点を推定する推定式を予め格納する記憶部をさらに含み、
前記主成分得点推定部は、前記記憶部から前記推定式を読み出して、前記床反力データに基づいて前記主成分得点を推定する、請求項1記載の歩行動作評価システム。
【請求項3】
前記主成分得点推定部は、前記被験者の歩行動作に伴って当該被験者の足にかかる床反力の変化を示すデータを前記床反力データとして、前記主成分得点を推定する、請求項1又は2に記載の歩行動作評価システム。
【請求項4】
前記主成分得点推定部は、前記床反力データの主成分得点に基づいて、前記歩行動作データの主成分得点を推定する、請求項3に記載の歩行動作評価システム。
【請求項5】
前記主成分得点推定部は、前記被験者の体重、並びに、歩行の速度、歩幅及び周期の少なくとも1つのデータにさらに基づいて、前記主成分得点を推定する、請求項1から4のいずれかに記載の歩行動作評価システム。
【請求項6】
前記歩行動作データの主成分得点の標本値と、歩行動作の特徴とを対応付けて予め格納した第1のデータベースをさらに含み、
前記歩行動作評価部は、前記第1のデータベースにおいて前記推定主成分得点に対応する前記標本値を参照して、前記被験者の歩行動作を評価する、請求項1から5のいずれかに記載の歩行動作評価システム。
【請求項7】
前記主成分得点推定部は、前記歩行動作データについての第1から第n(nは2以上の整数)の主成分のそれぞれについて、主成分得点を推定し、
前記歩行動作評価部は、推定されたn個の前記主成分得点であるn個の推定主成分得点に基づいて、前記被験者の歩行動作を評価する、請求項1から6のいずれかに記載の歩行動作評価システム。
【請求項8】
前記第1から第nの主成分のそれぞれについて、主成分得点の複数の標本値と、当該複数の標本値を正規化した複数の正規化データとを対応付けて予め格納した第2のデータベースをさらに含み、
前記歩行動作評価部は、前記第2のデータベースにおいて前記n個の推定主成分得点に対応するn個の前記標本値を参照して、前記被験者の歩行動作を評価する、請求項7記載の歩行動作評価システム。
【請求項9】
前記歩行動作データは、前記関節角度データ及び前記関節モーメントデータの両方を含む、請求項1から8のいずれかに記載の歩行動作評価システム。
【請求項10】
前記歩行動作データは、前記被験者の複数の異なる関節についてのデータである、請求項1から9のいずれかに記載の歩行動作評価システム。
【請求項11】
前記歩行動作データは、前記被験者の股関節、膝関節及び足首関節についてのデータである、請求項1から10のいずれかに記載の歩行動作評価システム。
【請求項12】
前記床反力データは、前記被験者が歩行動作を行う歩行誘導装置に設けられたセンサにより検出される、請求項1から11のいずれかに記載の歩行動作評価システム。
【請求項13】
前記データ取得部は、前記床反力データを通信ネットワークを介して取得する、請求項1から12のいずれかに記載の歩行動作評価システム。
【請求項14】
被験者の歩行動作を評価する歩行動作評価方法であって、
被験者の歩行動作に伴う床反力の変化を示す床反力データを取得するステップと、
前記床反力データに基づいて、少なくとも1つの関節についての歩行動作に伴う角度の変化を示す関節角度データ、及び、当該関節についての歩行動作に伴うモーメントの変化を示す関節モーメントデータの少なくとも一方を含む歩行動作データの主成分得点を推定する、ステップと、
推定された前記主成分得点である推定主成分得点に基づいて、前記被験者の歩行動作を評価するステップと
を含む、歩行動作評価方法。
【請求項15】
前記推定するステップは、前記床反力データに基づいて前記主成分得点を推定する推定式を予め格納する記憶部から、前記推定式を読み出して、前記床反力データに基づいて前記主成分得点を推定する、請求項14記載の歩行動作評価方法。
【請求項16】
前記推定するステップは、前記被験者の歩行動作に伴って当該被験者の足にかかる床反力の変化を示すデータを前記床反力データとして、前記主成分得点を推定する、請求項14又は15に記載の歩行動作評価方法。
【請求項17】
前記評価するステップは、前記歩行動作データの主成分得点の標本値と、歩行動作の特徴とを対応付けて予め格納した第1のデータベースにおいて、前記推定主成分得点に対応する前記標本値を参照して、前記被験者の歩行動作を評価する、請求項14から16のいずれかに記載の歩行動作評価方法。
【請求項18】
前記推定するステップは、前記歩行動作データについての第1から第n(nは2以上の整数)の主成分のそれぞれについて、主成分得点を推定し、
前記評価するステップは、推定されたn個の前記主成分得点であるn個の推定主成分得点に基づいて、前記被験者の歩行動作を評価する、請求項14から17のいずれかに記載の歩行動作評価方法。
【請求項19】
前記評価するステップは、前記第1から第nの主成分のそれぞれについて、主成分得点の複数の標本値と、当該複数の標本値を正規化した複数の正規化データとを対応付けて予め格納した第2のデータベースにおいて、前記n個の推定主成分得点に対応するn個の前記標本値を参照して、前記被験者の歩行動作を評価する、請求項18記載の歩行動作評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−246607(P2010−246607A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96333(P2009−96333)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【特許番号】特許第4450431号(P4450431)
【特許公報発行日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(503421254)フィールファイン株式会社 (4)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】