説明

歩行型田植機

【課題】従来に比べて部品点数が少ない簡素な構造で主クラッチ、およびフロートの移動を規制するスタンドを連係して操作することが可能な歩行型田植機を提供する。
【解決手段】歩行型田植機1に、スタンド15および係合アーム163を操作する主クラッチ・スタンド操作機構180を具備し、主クラッチ・スタンド操作機構180に、一端部がスタンド15に固定されるワイヤー部材、ワイヤー部材の中途部に固定されるとともに主クラッチ16に係合する係合部材182、ワイヤー部材の中途部かつ係合部材182よりもワイヤー部材の一端部寄りとなる位置に設けられるバネ部材、およびワイヤー部材の他端部に連結される操作部材190を具備し、ワイヤー部材の他端部を引っ張ったときにスタンド15の姿勢が規制姿勢に変更されるとともに主クラッチ16が回動することにより歩行型田植機1のトランスミッションへの駆動力の伝達が停止されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行型田植機の技術に関する。より詳細には、歩行型田植機の主クラッチおよび姿勢制御のオン・オフを一つの操作系で切り替える技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンの駆動力をミッションケースに伝達するか否かを切り替える主クラッチを具備する歩行型田植機は知られている。
このような主クラッチの一例としては、ベルトテンション式のクラッチが知られている。例えば、特許文献1および特許文献2に記載の如くである。
【0003】
一般的なベルトテンション式のクラッチの一例としては、歩行型田植機の機体に回動可能に支持されるアームと、当該アームの一端部に回転可能に支持されるローラと、一端部がアームに固定されるとともに他端部が歩行型田植機の機体に固定され、エンジンの駆動力をミッションケースに伝達するためのベルトに当該ローラを押し付ける方向に付勢するバネと、一端部が当該アームの中途部または当該アームの他端部に連結されるワイヤー(主クラッチを操作するためのワイヤー)と、当該ワイヤーの他端部が連結されるとともに歩行型田植機の後部のハンドルに設けられる主クラッチレバー(主クラッチを操作するためのレバー)と、を具備するものが挙げられる。
上記ベルトテンション式のクラッチの場合、作業者が主クラッチレバーに触れていないときには、バネの付勢力によりローラがベルトに押し付けられ、ベルトの張力が増大することにより主クラッチが「入」(エンジンの駆動力がミッションケースに伝達される状態)となる。
また、作業者が主クラッチレバーを握ったときには、バネの付勢力に抗してローラがベルトから離間し、ベルトの張力が減少することにより主クラッチが「切」(エンジンの駆動力がミッションケースに伝達されない状態)となる。
【0004】
また、従来、歩行型田植機の機体の前後方向の傾き、ひいては水田に対する機体の高さを制御することにより歩行型田植機による苗の植え付け深さを安定させる機構であるピッチング制御機構も知られている。例えば、特許文献1から特許文献6までに記載の如くである。
【0005】
一般的なピッチング制御機構の一例としては、一端部が機体に回動可能に支持されるとともに他端部には走行輪が回転可能に支持されるアームを回動させるための単動式の油圧シリンダ(ピッチングシリンダ)と、油圧シリンダに作動油を供給することにより油圧シリンダを伸長させる状態、作動油を油圧シリンダに封入することにより油圧シリンダの全長を一定に保持する状態および油圧シリンダから作動油を回収することにより油圧シリンダを収縮させる状態のいずれかに切り替え可能な油圧ポンプと、歩行型田植機の機体の下部に回動可能に支持されるフロートと、歩行型田植機の機体に対するフロートの回動角度を検出するフロートセンサと、フロートセンサにより検出されるフロートの回動角度と油圧ポンプの状態とを連係させるための連係機構と、を具備するものが挙げられる。
【0006】
歩行型田植機に予備の苗を積み込む作業を行う際には歩行型田植機の重量が大きく増大するために歩行型田植機の姿勢が変化する場合がある。
従って、上記ピッチング制御機構が作動している状態で歩行型田植機に予備の苗を積み込む作業を行ったとき、歩行型田植機の姿勢が不安定になる(歩行型田植機が作業者にとって予想外の挙動を示す)場合がある。
このような問題を解消するものとして、「ピッチング制御機構が作動する状態およびピッチング制御機構が作動しない状態を手動で切り替える機構」を具備する歩行型田植機も知られている。例えば、特許文献1から特許文献6までに記載の如くである。
「ピッチング制御機構が作動する状態およびピッチング制御機構が作動しない状態を手動で切り替える機構」の具体例としては、フロートセンサにより検出されるフロートの回動角度と油圧ポンプの状態とを連係させるための連係機構を成すアームに着脱可能に係合する部材を操作することによりフロートセンサが回動可能な状態と回動不能な状態とを切り替えるもの(特許文献2参照)、フロートセンサの回動軸の中途部にクラッチを設けて当該クラッチの入切を切り替えるもの(特許文献5参照)、フロートに当接することによりフロートの移動(回動)を規制するスタンドの姿勢を変更するもの、等が知られている。
【0007】
特許文献2、特許文献3および特許文献5に記載の歩行型田植機の場合、主クラッチの操作系(ワイヤーおよびクラッチレバーを合わせたもの)と「ピッチング制御機構が作動する状態およびピッチング制御機構が作動しない状態を手動で切り替える機構」の操作系とは別物であるため、これらの操作系を達成するためには少なくとも二本のワイヤーおよび二本のクラッチレバーを要する。
【0008】
ピッチング制御機構が作動しない状態に保持して歩行型田植機に予備の苗を積み込む作業を行う際には通常、歩行型田植機は走行せず田植え作業も行わないので、主クラッチの操作系と「ピッチング制御機構が作動する状態およびピッチング制御機構が作動しない状態を手動で切り替える機構」の操作系とを連係することにより、主クラッチを「切」の状態に保持したときにはピッチング制御機構を作動しない状態に保持する歩行型田植機も知られている。例えば、特許文献1、特許文献4および特許文献6に記載の如くである。
【0009】
しかし、特許文献1、特許文献4および特許文献6に記載に記載の歩行型田植機の場合、結局は主クラッチの操作系を成すワイヤーおよび「ピッチング制御機構が作動する状態およびピッチング制御機構が作動しない状態を手動で切り替える機構」の操作系を成すワイヤーの二本のワイヤーを要する。
特許文献1に記載の歩行型田植機の場合、「ピッチング制御機構が作動する状態およびピッチング制御機構が作動しない状態を手動で切り替える機構」の具体的構成については開示していない。
また、特許文献4および特許文献6に記載の歩行型田植機の場合、二つの操作系を連係させるための複雑なリンク機構を要する。
このように、主クラッチの操作系と「ピッチング制御機構が作動する状態およびピッチング制御機構が作動しない状態を手動で切り替える機構」の操作系とを連係させる場合にはこれらの操作系が複雑になり、部品点数も多くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実開平1−90315号公報
【特許文献2】実開昭64−9513号公報
【特許文献3】実開昭64−24908号公報
【特許文献4】特開昭59−88016号公報
【特許文献5】特開昭63−141510号公報
【特許文献6】特開平6−78611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、従来に比べて部品点数が少ない簡素な構造で主クラッチ、およびフロートの移動を規制するスタンドを連係して操作することが可能な歩行型田植機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0013】
即ち、請求項1においては、
フロートの前端部が上方に移動することを規制する規制姿勢および規制しない退避姿勢との間で姿勢を変更することが可能なスタンドと、
エンジンからトランスミッションへの駆動力の伝達およびその停止を行う主クラッチに設けられる入切部材と、
を操作する操作機構を具備する歩行型田植機であって、
前記操作機構は、
一端部が前記スタンドに固定されるワイヤー部材と、
前記ワイヤー部材の中途部に固定され、前記主クラッチの入切部材に係合する係合部材と、
前記ワイヤー部材の中途部かつ前記係合部材よりも前記ワイヤー部材の一端部寄りとなる位置に設けられるバネ部材と、
前記ワイヤー部材の他端部に連結される操作部材と、
を具備し、
前記操作部材を操作することにより前記ワイヤー部材の他端部を引っ張ったとき、前記スタンドが回動することにより前記スタンドの姿勢が前記退避姿勢から前記規制姿勢に変更されるとともに、前記入切部材が前記係合部材と係合しつつ前記主クラッチが回動することにより前記トランスミッションへの駆動力の伝達が停止されるものである。
【0014】
請求項2においては、
前記スタンドは、
機体に回動可能に軸支されるスタンド軸部と、
前記スタンド軸部に固定され、前記規制姿勢のときに前記フロートの上面に当接する当接部と、
一端部が前記スタンド軸部に固定され、他端部には前記ワイヤー部材の一端部が固定される操作アーム部と、
を具備し、
前記主クラッチは、
前記機体に回動可能に支持される主アーム部と、
前記主アーム部の一端部に回転可能に支持されるローラ部と、
前記主アーム部に固定され、前記係合部材に係合する係合部と、
前記ローラ部が前記エンジンから前記トランスミッションへの駆動力の伝達を行うベルトに当接する方向に回動するように前記主アーム部を付勢する付勢部と、
を具備し、
前記主クラッチの係合部は前記入切部材に相当するものである。
【0015】
請求項3においては、
鋼線の中途部を螺旋状に成形することにより、前記鋼線のうち螺旋状に成形された部分を前記バネ部材とし、前記鋼線のうち螺旋状に成形されなかった部分を前記ワイヤー部材とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、従来に比べて部品点数が少ない簡素な構造で主クラッチ、およびフロートの移動を規制するスタンドを連係して操作することが可能である、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る歩行型田植機の実施の一形態を示す左前方斜視図。
【図2】本発明に係る歩行型田植機の実施の一形態を示す右後方斜視図。
【図3】本発明に係る歩行型田植機の実施の一形態を示す左側面図。
【図4】本発明に係る歩行型田植機の実施の一形態を示す平面図。
【図5】本発明に係る歩行型田植機の実施の一形態の機体を示す分解斜視図。
【図6】本発明に係る歩行型田植機の実施の一形態の伝動機構を示すスケルトン図。
【図7】本発明に係る歩行型田植機の実施の一形態のミッションケースを示す展開断面図。
【図8】本発明に係る歩行型田植機の実施の一形態のセンターフロートを示す斜視図。
【図9】本発明に係る歩行型田植機の実施の一形態の左サイドフロートおよび右サイドフロートを示す斜視図。
【図10】本発明に係る歩行型田植機の実施の一形態のピッチング制御機構を示す模式図。
【図11】本発明に係る歩行型田植機の実施の一形態のポンプユニットを示す斜視図。
【図12】本発明に係る歩行型田植機の実施の一形態のピッチングセンサを示す斜視図。
【図13】本発明に係る歩行型田植機の実施の一形態のピッチングシリンダを示す斜視図。
【図14】本発明に係る歩行型田植機の実施の一形態のスイング装置を示す斜視図。
【図15】本発明に係る歩行型田植機の実施の一形態のスタンドを示す斜視図。
【図16】本発明に係る歩行型田植機の実施の一形態の主クラッチを示す斜視図。
【図17】(a)本発明に係る歩行型田植機の実施の一形態の主クラッチを示す左側面図、(b)本発明に係る歩行型田植機の実施の一形態の主クラッチを示す正面図。
【図18】本発明に係る歩行型田植機の実施の一形態の操作機構を示す斜視図。
【図19】(a)本発明に係る歩行型田植機の実施の一形態の係合部材を示す分解斜視図、(b)本発明に係る歩行型田植機の実施の一形態の係合部材を示す断面図。
【図20】主クラッチが「入」になっているときの本発明に係る歩行型田植機の実施の一形態のワイヤー部材を示す左側面図。
【図21】主クラッチが「切」になっているときの本発明に係る歩行型田植機の実施の一形態のワイヤー部材を示す左側面図。
【図22】本発明に係る歩行型田植機の操作機構の別実施形態を示す左側面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、図1から図21までを用いて本発明に係る歩行型田植機の実施の一形態である歩行型田植機1の全体構成について説明する。
【0019】
図1に示す本実施形態の歩行型田植機1は、いわゆる四条植えの歩行型田植機である。
図1から図7、図10、図15および図16に示す如く、歩行型田植機1は、主として機体2(図5参照)、エンジン3、左車輪4L、右車輪4R、植え付け装置5(図6および図7参照)、苗供給装置6、伝動機構7(図6および図7参照)、センターフロート10C、左サイドフロート10L、右サイドフロート10R、ピッチング制御機構11(図10参照)、スタンド15(図15参照)、主クラッチ16(図16参照)および操作部17を具備する。
【0020】
機体2は本発明に係る機体の実施の一形態であり、歩行型田植機1の主たる構造体を成す部材群である。
図5に示す如く、機体2はエンジン台21、バンパー22、ミッションケース23、センターフレーム24、左車軸ケース25L、右車軸ケース25R、左側方フレーム26L、右側方フレーム26R、中央植え付けケース27C、左植え付けケース27L、右植え付けケース27R、左後フレーム28L、右後フレーム28Rを具備する。
なお、本発明に係る機体は本実施形態の機体2の如き構成に限定されない。
【0021】
エンジン台21は機体2の前部を成す部材である。本実施形態のエンジン台21は金属板を適宜折り曲げることにより製造される。
【0022】
バンパー22は機体2の前部を保護するための部材である。バンパー22はエンジン台21の前端部に固定される。
【0023】
ミッションケース23は後述する伝動機構7を構成する部材群(の一部)を収容する部材である。本実施形態のミッションケース23は鋳造品である左側部材23Lおよび右側部材23R、並びにこれらを固定するボルトを具備する。
ミッションケース23の前端部はエンジン台21の後端部にボルトにより固定される。
【0024】
センターフレーム24は機体2の中央部を成す部材である。本実施形態のセンターフレーム24は前後方向に伸びた金属製の角筒状の部材である。センターフレーム24の前端部はミッションケース23の後端部にボルトにより固定される。
【0025】
左車軸ケース25Lは左車輪4Lを機体2に対して概ね上下方向にスイング可能に支持し、かつ左車輪4Lを軸支する部材である。
左車軸ケース25Lの一端部(前端部)はミッションケース23の左側面(左側部材23L)に回動可能に支持され、左車軸ケース25Lの他端部は概ね左車軸ケース25Lの一端部の後方に配置される。左車軸ケース25Lの他端部(後端部)には左車輪4Lが軸支される。
【0026】
右車軸ケース25Rは右車輪4Rを機体2に対して概ね上下方向にスイング可能に支持し、かつ右車輪4Rを軸支する部材である。
右車軸ケース25Rの一端部(前端部)はミッションケース23の右側面(右側部材23R)に回動可能に支持され、右車軸ケース25Rの他端部は概ね右車軸ケース25Rの一端部の後方に配置される。右車軸ケース25Rの他端部(後端部)には右車輪4Rが軸支される。
【0027】
本実施形態の左車軸ケース25Lおよび右車軸ケース25Rは金属板にプレス加工を施すことにより細長いケース状(内部に空間が形成された形状)に成形された部材である。
【0028】
左側方フレーム26Lは機体2の左側部を成す部材であり、右側方フレーム26Rは機体2の右側部を成す部材である。
本実施形態の左側方フレーム26Lおよび右側方フレーム26Rは二本の金属製の円筒の端部を外形が概ねL字型の継手部材で連結したものである。
左側方フレーム26Lの一端部(継手部材で連結された二本の円筒のうち、一方の円筒において継手部材に固定されていない方の端部)はミッションケース23の左側面(左側部材23L)に固定され、左側方フレーム26Lの他端部(継手部材で連結された二本の円筒のうち、他方の円筒において継手部材に固定されていない方の端部)は左側方フレーム26Lの一端部の後左側方かつやや下方となる位置に配置される。
同様に、右側方フレーム26Rの一端部はミッションケース23の右側面(右側部材23R)に固定され、右側方フレーム26Rの他端部は右側方フレーム26Rの一端部の後右側方かつやや下方となる位置に配置される。
【0029】
中央植え付けケース27Cは後述する植え付け装置5のうち中央左側植え付けアーム部51Lおよび中央右側植え付けアーム部51Rを回転可能に軸支するとともにこれらに駆動力を伝達するものである。
本実施形態の中央植え付けケース27Cは鋳造品であり、中央植え付けケース27Cの前端部はセンターフレーム24の後端部に固定される。
【0030】
左植え付けケース27Lは後述する植え付け装置5のうち左側植え付けアーム部52Lを回転可能に軸支するとともにこれに駆動力を伝達するものである。
本実施形態の左植え付けケース27Lは鋳造品であり、左植え付けケース27Lの前端部は左側方フレーム26Lの他端部(後端部)に固定される。
【0031】
右植え付けケース27Rは後述する植え付け装置5のうち右側植え付けアーム部52Rを回転可能に軸支するとともにこれに駆動力を伝達するものである。
本実施形態の右植え付けケース27Rは鋳造品であり、右植え付けケース27Rの前端部は右側方フレーム26Rの他端部(後端部)に固定される。
【0032】
左後フレーム28Lは機体2の左後部を成す部材である。
本実施形態の左後フレーム28Lは前後方向に伸びた金属製の角筒状の部材であり、左後フレーム28Lの前端部は左植え付けケース27Lの後端部に固定される。
【0033】
右後フレーム28Rは機体2の右後部を成す部材である。
本実施形態の右後フレーム28Rは前後方向に伸びた金属製の角筒状の部材であり、右後フレーム28Rの前端部は右植え付けケース27Rの後端部に固定される。
【0034】
図6に示すエンジン3は本発明に係るエンジンの実施の一形態であり、歩行型田植機1の駆動源である。本実施形態のエンジン3はガソリンエンジンであり、エンジン台21の上面の後部に固定される。
【0035】
図1から図4に示す左車輪4Lおよび右車輪4Rは歩行型田植機1の駆動輪である。左車輪4Lは左車軸ケース25Lの他端部(後端部)に軸支される。右車輪4Rは右車軸ケース25Rの他端部(後端部)に軸支される。
【0036】
図6に示す植え付け装置5は苗の植え付けを行う装置である。本実施形態の植え付け装置5はクランク式の植え付け装置であり、中央左側植え付けアーム部51L、中央右側植え付けアーム部51R、左側植え付けアーム部52L、右側植え付けアーム部52Rおよび図示せぬ駆動アームや連動アーム等を具備する。
左側植え付けアーム部52L、中央左側植え付けアーム部51L、中央右側植え付けアーム部51Rおよび右側植え付けアーム部52Rは左から順に間隔を空けて並んだ状態で、歩行型田植機1の機体2の後下部に配置される。
中央左側植え付けアーム部51L、中央右側植え付けアーム部51R、左側植え付けアーム部52Lおよび右側植え付けアーム部52Rは後述する苗供給装置6(苗載台61の前端部)に載置された苗マットから所定量の苗を切り取り、切り取られた苗を水田に移植する一連の作業を行うことにより、苗を水田に植え付ける。
【0037】
図1から図4に示す苗供給装置6は植え付け装置5に苗を供給する装置である。
苗供給装置6は苗載台61、縦送り装置62、横送り装置63(図6参照)および予備苗台64を具備する。
【0038】
苗載台61は植え付け装置5に供給する苗を載置する台である。苗載台61は前下がりに傾斜した載置面を有する板状の部材であり、機体2の後部の苗載台フレーム(本実施形態ではハンドルフレーム171)に左右方向に固定された上苗台レールおよび下苗台レールの上を左右に摺動可能に載置される。
苗載台61の載置面には苗マット(床土、レキメンマット等のマット状物の上に種子を蒔いて発芽させることにより苗の根をマット状物に絡ませたもの)が載置される。
苗載台61の前端部は中央左側植え付けアーム部51L、中央右側植え付けアーム部51R、左側植え付けアーム部52Lおよび右側植え付けアーム部52Rの上方となる位置に配置される。
【0039】
縦送り装置62は苗載台61の前下部に配置され、苗載台61の載置面に載置された苗マットを苗載台61の前端部に搬送する装置である。縦送り装置62は苗載台61の載置面の反対側の面(裏面)に設けられ、載置面に突出したローラを回転駆動することにより苗マットを苗載台61の前端部に向けて搬送する。
【0040】
横送り装置63は苗載台61を左右に往復駆動させるものであり、苗載台61の前下方に配置される。
【0041】
予備苗台64は苗載台61に供給するための予備苗(予備の苗マット)を載置するための台である。予備苗台64は機体2に固定され、苗載台61の前方かつ機体2の上方となる位置に配置される。
【0042】
以下では主として図6および図7を用いて伝動機構7について説明する。
伝動機構7はエンジン3において発生した駆動力(エンジン3が発生させた駆動力)を左車輪4L、右車輪4R、植え付け装置5および苗供給装置6に伝達するための機構(部材群)である。
図6および図7に示す如く、伝動機構7はプーリ71a・71b、ベルト71c、プーリ72a・72b、ベルト72c、主軸73、ギヤ73a・73b・73c・73d・73e・73f、変速軸74、ギヤ74a、変速ギヤ75、左サイドクラッチ軸76L、右サイドクラッチ軸76R、サイドクラッチギヤ77、ボール78L・78L・・・、ボール78R・78R・・・、左サイドクラッチシフタ79L、右サイドクラッチシフタ79R、左サイドクラッチバネ80L、右サイドクラッチバネ80R、スプロケット81L・81R、スプロケット82L・82R、チェーン83L・83R、左車軸84L、右車軸84R、株間変速軸85、ギヤ85a、第一株間ギヤ86、第二株間ギヤ87、株間変速ギヤ88、植え付けクラッチ軸89、ベベルギヤ89a、植え付けクラッチ90、中央植え付け伝動軸91、ベベルギヤ91a・91b、中央植え付けアーム軸92、ベベルギヤ92a、スプロケット92b、左植え付け伝動軸93L、右植え付け伝動軸93R、ベベルギヤ94L・94R、左後伝動軸95L、右後伝動軸95R、ベベルギヤ96L・96R、ベベルギヤ97L・97R、左植え付けアーム軸98L、右植え付けアーム軸98Rおよびベベルギヤ99L・99Rを具備する。
本実施形態における伝動機構7を構成する部材群のうち、ミッションケース23に収容されているものは本発明に係るトランスミッションの実施の一形態である。
【0043】
プーリ71aはエンジン3の本体から左側方に突出した出力軸3aの中途部に相対回転不能に固定される。
プーリ71bはポンプユニット110の筐体111から左側方に突出した入力軸112aに相対回転不能に固定される(図11参照)。
ベルト71cはプーリ71aおよびプーリ71bに巻回される。図示せぬテンションプーリが巻きバネの弾性力でベルト71cに押し付けられることにより、ベルト71cには所定の大きさの張力が付与される。
【0044】
図6に示す如く、エンジン3において発生した駆動力は、プーリ71a、ベルト71cおよびプーリ71bを経てポンプユニット110に伝達される。より詳細には、エンジン3の出力軸3aが回転することにより、プーリ71a、ベルト71c、プーリ71bおよび後で詳述するポンプユニット110の油圧ポンプ部112の入力軸112aが回転し、油圧ポンプ部112が駆動される。
【0045】
プーリ72aはエンジン3の出力軸3aの先端部(左端部)に相対回転不能に固定される。
プーリ72bは後述する主軸73の一端部(左端部)に相対回転不能に固定される。
ベルト72cはプーリ72aおよびプーリ72bに巻回される。ベルト72cには、後で詳述する主クラッチ16により所定の大きさの張力を付与することが可能である。
ベルト72cは本発明に係る「エンジンからトランスミッションへの駆動力の伝達を行うベルト」の実施の一形態である。
【0046】
図6および図7に示す如く、主軸73はエンジン3において発生した駆動力をミッションケース23に入力するための回転軸である。主軸73はミッションケース23に回転可能に軸支される。主軸73のうち、一端部(左端部)はミッションケース23の左側方に突出し、その他の部分はミッションケース23に収容される。
【0047】
ギヤ73a・73b・73c・73d・73e・73fはいずれも主軸73に相対回転不能かつ主軸73の軸線方向(長手方向)に移動不能に固定され、ミッションケース23に収容される。
ギヤ73a・73bは歩行型田植機1の走行速度の変更に関わる平歯車であり、本実施形態ではギヤ73aの歯数はギヤ73bの歯数よりも大きい。
ギヤ73c・73d・73e・73fは歩行型田植機1により植え付けられる苗の進行方向における間隔(株間)の変更に関わる歯車であり、「ギヤ73cの歯数<ギヤ73dの歯数<ギヤ73eの歯数<ギヤ73fの歯数」の関係が成立する。
【0048】
変速軸74は歩行型田植機1の走行速度の変更に関わる回転軸である。変速軸74はミッションケース23に回転可能に軸支され、ミッションケース23に収容される。
【0049】
ギヤ74aは変速軸74に相対回転不能かつ変速軸74の軸線方向に移動不能に固定される平歯車である。本実施形態では、変速軸74の右半部にギヤ74aが一体的に形成され、変速軸74の左半部にはスプライン溝が形成される。
【0050】
変速ギヤ75は歩行型田植機1の走行速度の変更に関わる歯車である。変速ギヤ75は歯数の異なる二つの平歯車を同軸で積層した形状を有する。変速ギヤ75のうち歯数が小さい方の平歯車を成す部分が小ギヤ部75a、歯数が大きい方の平歯車を成す部分が大ギヤ部75bである。
変速ギヤ75には貫通孔が形成され、当該貫通孔にはスプライン溝が形成される。変速ギヤ75は変速軸74の左半部に貫装される。
変速ギヤ75の貫通孔に形成されたスプライン溝と変速軸74の左半部に形成されたスプライン溝とが係合することにより、変速ギヤ75は変速軸74に対して相対回転不能かつ変速軸74の軸線方向(長手方向)に移動可能である。
【0051】
左サイドクラッチ軸76Lは左車輪4Lへの駆動力の伝達に関わる回転軸である。
左サイドクラッチ軸76Lの一端部(右端部)の外周面には、左サイドクラッチ軸76Lの軸線方向(長手方向)に伸びた複数の係合溝が形成される。
左サイドクラッチ軸76Lの右半部はミッションケース23に回転可能に軸支され、ミッションケース23に収容される。左サイドクラッチ軸76Lの左半部は左車軸ケース25Lの一端部(前端部)に回転可能に軸支され、左車軸ケース25Lに収容される。
左車軸ケース25Lは左サイドクラッチ軸76Lによりミッションケース23に回動可能に(概ね上下方向にスイング可能に)支持される。
【0052】
右サイドクラッチ軸76Rは右車輪4Rへの駆動力の伝達に関わる回転軸である。
右サイドクラッチ軸76Rの一端部(左端部)の外周面には、右サイドクラッチ軸76Rの軸線方向(長手方向)に伸びた複数の係合溝が形成される。
右サイドクラッチ軸76Rの左半部はミッションケース23に回転可能に軸支され、ミッションケース23に収容される。右サイドクラッチ軸76Rの右半部は右車軸ケース25Rの一端部(前端部)に回転可能に軸支され、右車軸ケース25Rに収容される。
右車軸ケース25Rは右サイドクラッチ軸76Rによりミッションケース23に回動可能に(概ね上下方向にスイング可能に)支持される。
【0053】
左サイドクラッチ軸76Lおよび右サイドクラッチ軸76Rがミッションケース23に軸支されたとき、左サイドクラッチ軸76Lおよび右サイドクラッチ軸76Rの軸線は互いに一直線となる。また、左サイドクラッチ軸76Lの右端面と右サイドクラッチ軸76Rの左端面とが軽く当接する。
【0054】
サイドクラッチギヤ77は左車輪4Lに駆動力を伝達するか否か、並びに右車輪4Rに駆動力を伝達するか否かを切り替えるための平歯車である。
サイドクラッチギヤ77は平歯車を成す円盤状の部分および当該円盤状の部分の両端面から突出した一対のスリーブ状の部分を合わせた形状を有する。
サイドクラッチギヤ77には、当該円盤状の部分および一対のスリーブ状の部分を貫通する貫通孔が形成される。当該貫通孔には、左サイドクラッチ軸76Lの右端部および右サイドクラッチ軸76Rの左端部が挿入される。
左サイドクラッチ軸76Lの右端部および右サイドクラッチ軸76Rの左端部がサイドクラッチギヤ77の貫通孔に挿入されているとき、サイドクラッチギヤ77は左サイドクラッチ軸76Lおよび右サイドクラッチ軸76Rに対して相対回転可能であるが、左サイドクラッチ軸76Lおよび右サイドクラッチ軸76Rの軸線方向には移動不能である。
サイドクラッチギヤ77の一対のスリーブ状の部分には、当該の一対のスリーブ状の部分外周面から貫通孔まで貫通する複数の横孔が形成される。
サイドクラッチギヤ77はギヤ74aと噛合する。
【0055】
図7に示す如く、ボール78L・78L・・・およびボール78R・78R・・・は金属製の球状の部材である。
ボール78L・78L・・・はサイドクラッチギヤ77の一対のスリーブ状の部分に形成された複数の横孔のうち、左サイドクラッチ軸76Lの右端部に対応するものに収容される。
ボール78R・78R・・・はサイドクラッチギヤ77の一対のスリーブ状の部分に形成された複数の横孔のうち、右サイドクラッチ軸76Rの左端部に対応するものに収容される。
【0056】
図6に示す如く、左サイドクラッチシフタ79Lおよび右サイドクラッチシフタ79Rは概ね筒状の部材である。
左サイドクラッチシフタ79Lは左サイドクラッチ軸76Lの右半部に貫装される。左サイドクラッチ軸76Lに貫装された左サイドクラッチシフタ79Lは左サイドクラッチ軸76Lの軸線方向に移動可能である。
右サイドクラッチシフタ79Rは右サイドクラッチ軸76Rの左半部に貫装される。右サイドクラッチ軸76Rに貫装された右サイドクラッチシフタ79Rは右サイドクラッチ軸76Rの軸線方向に移動可能である。
【0057】
左サイドクラッチバネ80Lは左サイドクラッチシフタ79Lを左サイドクラッチ軸76Lの右端部から離間する方向(左側方)に付勢する部材である。本実施形態の左サイドクラッチバネ80Lは巻きバネからなり、左サイドクラッチ軸76Lに嵌装される。
左サイドクラッチバネ80Lは弾性変形することにより左サイドクラッチシフタ79Lを付勢する。
【0058】
右サイドクラッチバネ80Rは右サイドクラッチシフタ79Rを右サイドクラッチ軸76Rの左端部から離間する方向(右側方)に付勢する部材である。本実施形態の右サイドクラッチバネ80Rは巻きバネからなり、右サイドクラッチ軸76Rに嵌装される。
右サイドクラッチバネ80Rは弾性変形することにより右サイドクラッチシフタ79Rを付勢する。
【0059】
図6に示す如く、左サイドクラッチシフタ79Lが左サイドクラッチバネ80Lの付勢力により左側方に移動したとき、左サイドクラッチシフタ79Lの右端部がサイドクラッチギヤ77の一対のスリーブ状の部分のうち左側の部分の外周面に重なり、当該部分に形成された複数の横孔を塞ぐ。
その結果、当該横孔に収容されたボール78L・78L・・・は左サイドクラッチ軸76Lの右端部の外周面に形成された複数の係合溝およびサイドクラッチギヤ77に形成された複数の横孔に係合し、左サイドクラッチ軸76Lおよびサイドクラッチギヤ77はボール78L・78L・・・により相対回転不能に連結される。
【0060】
左サイドクラッチシフタ79Lに外力を作用させることにより左サイドクラッチシフタ79Lが左サイドクラッチバネ80Lの付勢力に抗して右側方に移動したとき、左サイドクラッチシフタ79Lの右半部がサイドクラッチギヤ77の一対のスリーブ状の部分のうち左側の部分の外周面に重なる。
しかし、左サイドクラッチシフタ79Lの右半部の内周面にはボール78L・78L・・・を収容し得る空間が形成されているため、サイドクラッチギヤ77の一対のスリーブ状の部分のうち左側の部分の外周面に形成された複数の横孔からボール78L・78L・・・が突出することが可能である。
その結果、当該横孔に収容されたボール78L・78L・・・は左サイドクラッチ軸76Lの右端部の外周面に形成された複数の係合溝に係合せず、左サイドクラッチ軸76Lおよびサイドクラッチギヤ77はボール78L・78L・・・により相対回転不能に連結されない。
【0061】
このように、左サイドクラッチシフタ79Lの位置を変更する(左側方または右側方に移動させる)ことにより、左サイドクラッチ軸76Lおよびサイドクラッチギヤ77が相対回転不能に連結されるか否か(サイドクラッチギヤ77から左サイドクラッチ軸76Lに駆動力を伝達可能であるか否か)を切り替えることが可能である。
【0062】
右サイドクラッチシフタ79Rも同様に、右サイドクラッチシフタ79Rの位置を変更する(右側方または左側方に移動させる)ことにより、右サイドクラッチ軸76Rおよびサイドクラッチギヤ77が相対回転不能に連結されるか否か(サイドクラッチギヤ77から右サイドクラッチ軸76Rに駆動力を伝達可能であるか否か)を切り替えることが可能である。
【0063】
スプロケット81Lは左サイドクラッチ軸76Lの他端部(左端部)に相対回転不能に固定され、左車軸ケース25Lに収容される。
スプロケット82Lは後述する左車軸84Lの一端部(右端部)に相対回転不能に固定され、左車軸ケース25Lに収容される。
チェーン83Lはスプロケット81Lおよびスプロケット82Lに巻回され、左車軸ケース25Lに収容される。
【0064】
左車軸84Lは左車輪4Lを左車軸ケース25Lに軸支するための回転軸である。
左車軸84Lは左車軸ケース25Lの他端部(後端部)に回転可能に軸支され、左車軸84Lの右半部は左車軸ケース25Lに収容され、左車軸84Lの左半部は左車軸ケース25Lの左側方に突出している。
左車輪4Lは左車軸84Lの他端部(左端部)に相対回転不能に固定される。
【0065】
スプロケット81Rは右サイドクラッチ軸76Rの他端部(右端部)に相対回転不能に固定され、右車軸ケース25Rに収容される。
スプロケット82Rは後述する右車軸84Rの一端部(左端部)に相対回転不能に固定され、右車軸ケース25Rに収容される。
チェーン83Rはスプロケット81Rおよびスプロケット82Rに巻回され、右車軸ケース25Rに収容される。
【0066】
右車軸84Rは右車輪4Rを右車軸ケース25Rに軸支するための回転軸である。
右車軸84Rは右車軸ケース25Rの他端部(後端部)に回転可能に軸支され、右車軸84Rの左半部は右車軸ケース25Rに収容され、右車軸84Rの右半部は右車軸ケース25Rの右側方に突出している。
右車輪4Rは右車軸84Rの他端部(右端部)に相対回転不能に固定される。
【0067】
株間変速軸85は歩行型田植機1により植え付けられる苗の間隔(株間)の変更に関わる回転軸である。
株間変速軸85はミッションケース23に回転可能に軸支され、ミッションケース23に収容される。本実施形態では、株間変速軸85の外周面にはスプライン溝が形成される。
【0068】
ギヤ85aは株間変速軸85の一端部(左端部)に相対回転不能かつ株間変速軸85の軸線方向(長手方向)に移動不能に固定される。
【0069】
第一株間ギヤ86は歩行型田植機1により植え付けられる苗の間隔(株間)の変更に関わる平歯車である。第一株間ギヤ86は大ギヤ部86aおよび小ギヤ部86bを具備する。
【0070】
大ギヤ部86aは平歯車を成す円盤状の部分と、当該円盤状の部分の一方の盤面から突出したスリーブ状の部分とを合わせた形状を有する。大ギヤ部86aには、大ギヤ部86aの円盤状の部分およびスリーブ状の部分を貫通する貫通孔が形成される。また、大ギヤ部86aには、円盤状の部分の一対の盤面を貫通する複数の係合孔が形成される。
小ギヤ部86bは平歯車を成す円盤状の部分である。小ギヤ部86bには、小ギヤ部86bの円盤状の部分を貫通する貫装孔が形成される。小ギヤ部86bに形成された貫装孔には大ギヤ部86aのスリーブ状の部分が貫装され、溶接により小ギヤ部86bが大ギヤ部86aに相対回転不能に固定される。
【0071】
株間変速軸85が大ギヤ部86aに形成された貫通孔を貫通することにより、第一株間ギヤ86が株間変速軸85の略中央部に貫装される。
株間変速軸85に貫装された第一株間ギヤ86は株間変速軸85に対して相対回転可能である。
また、株間変速軸85に貫装された第一株間ギヤ86の左右の端部は株間変速軸85に外嵌されたリングに当接するため、第一株間ギヤ86は株間変速軸85の軸線方向に移動不能である。
株間変速軸85に貫装された第一株間ギヤ86の大ギヤ部86aはギヤ73cに噛合する。
【0072】
第二株間ギヤ87は歩行型田植機1により植え付けられる苗の間隔(株間)の変更に関わる平歯車である。第二株間ギヤ87には、一対の盤面を貫通する貫通孔が形成される。
また、第二株間ギヤ87には、一対の盤面を貫通する複数の係合孔が形成される。
株間変速軸85が第二株間ギヤ87に形成された貫通孔を貫通することにより、第二株間ギヤ87は株間変速軸85の右端部に貫装される。
第二株間ギヤ87は株間変速軸85に対して相対回転可能かつ株間変速軸85の軸線方向に移動不能である。
株間変速軸85に貫装された第二株間ギヤ87はギヤ73fに噛合する。
【0073】
株間変速ギヤ88は歩行型田植機1により植え付けられる苗の間隔(株間)の変更に関わる平歯車である。
株間変速ギヤ88には左右一対の盤面を貫通する貫通孔が形成され、当該貫通孔の内周面にはスプライン溝が形成される。また、株間変速ギヤ88の左右一対の盤面には、それぞれ複数の係合突起が形成される。
【0074】
株間変速軸85が株間変速ギヤ88に形成された貫通孔を貫通することにより、株間変速ギヤ88は株間変速軸85に貫装される。
株間変速ギヤ88が株間変速軸85に貫装されたとき、株間変速ギヤ88の貫通孔に形成されたスプライン溝と株間変速軸85に形成されたスプライン溝とが係合することにより、株間変速ギヤ88は株間変速軸85に対して相対回転不能かつ株間変速軸85の軸線方向(長手方向)に移動可能である。
なお、株間変速ギヤ88が株間変速軸85に貫装されたとき、株間変速ギヤ88は第一株間ギヤ86および第二株間ギヤ87により挟まれる位置に配置される。
【0075】
植え付けクラッチ軸89は植え付け装置5および苗供給装置6に駆動力を伝達するための回転軸である。
植え付けクラッチ軸89はミッションケース23に回転可能に軸支される。
植え付けクラッチ軸89の中途部はミッションケース23に収容され、植え付けクラッチ軸89の一端部(左端部)および他端部(右端部)はそれぞれミッションケース23の左側方および右側方に突出している。
植え付けクラッチ軸89の左半部には二つのリング状の溝が互いに間隔を空けて形成され、当該二つの溝には二つのリングが外嵌される。また、植え付けクラッチ軸89の外周面において、植え付けクラッチ軸89の左半部に形成された二つのリング状の溝のうち右側の溝から植え付けクラッチ軸89の中央部までの部分にはスプライン溝が形成される。
【0076】
ベベルギヤ89aは植え付けクラッチ軸89の中途部に相対回転不能かつ植え付けクラッチ軸89の軸線方向に移動不能に固定される。
【0077】
植え付けクラッチ90は植え付け装置5および苗供給装置6に駆動力を伝達するか否かを切り替えるためのクラッチである。
本実施形態の植え付けクラッチ90は植え付けクラッチギヤ90a、植え付けクラッチ爪90bおよび植え付けクラッチバネ90cを具備する。
【0078】
植え付けクラッチギヤ90aは平歯車である。植え付けクラッチギヤ90aには、一対の盤面を貫通する貫通孔が形成される。植え付けクラッチギヤ90aに形成された貫通孔に植え付けクラッチ軸89を貫通することにより、植え付けクラッチギヤ90aは植え付けクラッチ軸89の左半部に貫装され、ミッションケース23に収容される。
植え付けクラッチ軸89に貫装された植え付けクラッチギヤ90aの右側の盤面には係合部が形成される。
植え付けクラッチギヤ90aは植え付けクラッチ軸89の左半部に外嵌された二つのリングで挟まれた位置に配置され、植え付けクラッチギヤ90aの左右の盤面は当該二つのリングに当接する。従って、植え付けクラッチ軸89に貫装された植え付けクラッチギヤ90aは、植え付けクラッチ軸89に対して相対回転可能かつ植え付けクラッチ軸89の軸線方向に移動不能である。
【0079】
植え付けクラッチ爪90bは概ね円柱形状の部材である。植え付けクラッチ爪90bには左右一対の端面を貫通する貫通孔が形成され、当該貫通孔の内周面にはスプライン溝が形成される。
植え付けクラッチ爪90bの左側の端面には係合部が形成される。
植え付けクラッチ爪90bに形成された貫通孔に植え付けクラッチ軸89を貫通することにより、植え付けクラッチ爪90bは植え付けクラッチ軸89に貫装される。
【0080】
植え付けクラッチ爪90bが植え付けクラッチ軸89に貫装されたとき、植え付けクラッチ爪90bは植え付けクラッチギヤ90aの右側となる位置(植え付けクラッチギヤ90aとベベルギヤ89aとで挟まれる位置)に配置される。
また、植え付けクラッチ爪90bが植え付けクラッチ軸89に貫装されたとき、植え付けクラッチ爪90bの貫通孔に形成されたスプライン溝と植え付けクラッチ軸89に形成されたスプライン溝とが係合する。
従って、植え付けクラッチ爪90bは植え付けクラッチ軸89に対して相対回転不能かつ植え付けクラッチ軸89の軸線方向(長手方向)に移動可能である。
【0081】
植え付けクラッチバネ90cは植え付けクラッチ爪90bを植え付けクラッチギヤ90aに接近する方向(本実施形態では左側方)に付勢する部材である。本実施形態の植え付けクラッチバネ90cは金属製の巻きバネであり、植え付けクラッチ軸89に貫装される。
植え付けクラッチバネ90cが植え付けクラッチ軸89に貫装されたとき、植え付けクラッチバネ90cの一端部(右端部)はベベルギヤ89aの左端面に当接し、植え付けクラッチバネ90cの他端部(左端部)は植え付けクラッチ爪90bの右側の端面に当接する。
【0082】
図7に示す如く、植え付けクラッチ爪90bが植え付けクラッチバネ90cの付勢力により左側方(植え付けクラッチギヤ90aに接近する方向)に移動したとき、植え付けクラッチギヤ90aに形成された係合部と植え付けクラッチ爪90bに形成された係合部とが係合し、植え付けクラッチギヤ90aは植え付けクラッチ爪90bに対して相対回転不能に連結される。
その結果、植え付けクラッチギヤ90aおよび植え付けクラッチ爪90bは一体的に回転することとなり、駆動力を植え付け装置5および苗供給装置6に伝達することが可能である。
【0083】
植え付けクラッチ爪90bに外力を加える(本実施形態では、植え付けクラッチホーク174a(図7参照)が植え付けクラッチ爪90bに係合する)ことにより植え付けクラッチ爪90bが植え付けクラッチバネ90cの付勢力に抗して右側方(植え付けクラッチギヤ90aから離間する方向)に移動したとき、植え付けクラッチギヤ90aに形成された係合部と植え付けクラッチ爪90bに形成された係合部とが係合した状態が解除され、植え付けクラッチギヤ90aは植え付けクラッチ爪90bに対して相対回転可能となる。
その結果、植え付けクラッチギヤ90aおよび植え付けクラッチ爪90bは一体的に回転せず、駆動力を植え付け装置5および苗供給装置6に伝達することはできない。
【0084】
このように、植え付けクラッチ爪90bの位置を変更する(左側方または右側方に移動させる)ことにより、植え付けクラッチギヤ90aおよび植え付けクラッチ爪90bが相対回転不能に連結されるか否か(植え付けクラッチギヤ90aから植え付けクラッチ爪90bを経て植え付けクラッチ軸89に駆動力を伝達可能であるか否か)を切り替えることが可能である。
【0085】
中央植え付け伝動軸91は植え付け装置5のうち、中央左側植え付けアーム部51Lおよび中央右側植え付けアーム部51Rへの駆動力の伝達に関わる回転軸である。
図6に示す如く、中央植え付け伝動軸91はセンターフレーム24に収容される。
中央植え付け伝動軸91の一端部(前端部)はミッションケース23の後端部に回転可能に軸支され、中央植え付け伝動軸91の他端部(後端部)は中央植え付けケース27Cの前端部に回転可能に軸支される。
【0086】
ベベルギヤ91aは中央植え付け伝動軸91の一端部(前端部)に相対回転不能に固定され、ミッションケース23に収容される。ベベルギヤ91aはベベルギヤ89aに噛合する。
【0087】
ベベルギヤ91bは中央植え付け伝動軸91の他端部(後端部)に相対回転不能に固定され、中央植え付けケース27Cに収容される。
【0088】
中央植え付けアーム軸92は植え付け装置5のうち、中央左側植え付けアーム部51Lおよび中央右側植え付けアーム部51Rへの駆動力の伝達に関わる回転軸である。
中央植え付けアーム軸92は中央植え付けケース27Cに回転可能に軸支される。中央植え付けアーム軸92の一端部(左端部)および他端部(右端部)は中央植え付けケース27Cの左側方および右側方にそれぞれ突出している。中央植え付けアーム軸92の中途部は中央植え付けケース27Cに収容される。
中央植え付けアーム軸92の一端部(左端部)および他端部(右端部)には、それぞれ中央左側植え付けアーム部51Lおよび中央右側植え付けアーム部51Rが連結される。
【0089】
左植え付け伝動軸93Lは植え付け装置5のうち、左側植え付けアーム部52Lへの駆動力の伝達に関わる回転軸である。
左植え付け伝動軸93Lの一端部(右端部)は植え付けクラッチ軸89の一端部(左端部)に相対回転不能に連結される。
左植え付け伝動軸93Lは左側方フレーム26Lの一端部(ミッションケース23の左側面に固定されている方の端部)から屈曲部(左側方フレーム26Lの継手部材に対応する部分)までの部分に収容される。
左植え付け伝動軸93Lの他端部(左端部)は左側方フレーム26Lの屈曲部に回転可能に軸支される。
【0090】
ベベルギヤ94Lは左植え付け伝動軸93Lの他端部(左端部)に相対回転不能に固定され、左側方フレーム26Lの屈曲部に収容される。
【0091】
左後伝動軸95Lは植え付け装置5のうち、左側植え付けアーム部52Lへの駆動力の伝達に関わる回転軸である。
左後伝動軸95Lのうち一端部(前端部)から中途部までの部分は左側方フレーム26Lの屈曲部から他端部(左植え付けケース27Lの前端部に固定されている方の端部)までの部分に収容され、左後伝動軸95Lのうち他端部(後端部)は左植え付けケース27Lに収容される。
左後伝動軸95Lの一端部(前端部)は左側方フレーム26Lの屈曲部に回転可能に軸支され、左後伝動軸95Lの他端部(後端部)は左植え付けケース27Lに回転可能に軸支される。
【0092】
ベベルギヤ96Lは左後伝動軸95Lの一端部(前端部)に相対回転不能に固定され、左側方フレーム26Lの屈曲部に収容される。ベベルギヤ96Lはベベルギヤ94Lに噛合する。
ベベルギヤ97Lは左後伝動軸95Lの他端部(後端部)に相対回転不能に固定され、左植え付けケース27Lに収容される。
【0093】
左植え付けアーム軸98Lは植え付け装置5のうち、左側植え付けアーム部52Lへの駆動力の伝達に関わる回転軸である。
左植え付けアーム軸98Lは左植え付けケース27Lに回転可能に軸支される。左植え付けアーム軸98Lのうち、一端部(右端部)は左植え付けケース27Lの右側方に突出し、残りの部分は左植え付けケース27Lに収容される。
左植え付けアーム軸98Lの一端部(右端部)には、左側植え付けアーム部52Lが連結される。
【0094】
ベベルギヤ99Lは左植え付けアーム軸98Lの他端部(左端部)に相対回転不能に固定され、左植え付けケース27Lに収容される。ベベルギヤ99Lはベベルギヤ97Lに噛合する。
【0095】
右植え付け伝動軸93Rは植え付け装置5のうち、右側植え付けアーム部52Rへの駆動力の伝達に関わる回転軸である。
右植え付け伝動軸93Rの一端部(左端部)は植え付けクラッチ軸89の他端部(右端部)に相対回転不能に連結される。
右植え付け伝動軸93Rは右側方フレーム26Rの一端部(ミッションケース23の右側面に固定されている方の端部)から屈曲部(右側方フレーム26Rの継手部材に対応する部分)までの部分に収容される。
右植え付け伝動軸93Rの他端部(右端部)は右側方フレーム26Rの屈曲部に回転可能に軸支される。
【0096】
ベベルギヤ94Rは右植え付け伝動軸93Rの他端部(右端部)に相対回転不能に固定され、右側方フレーム26Rの屈曲部に収容される。
【0097】
右後伝動軸95Rは植え付け装置5のうち、右側植え付けアーム部52Rへの駆動力の伝達に関わる回転軸である。
右後伝動軸95Rのうち一端部(前端部)から中途部までの部分は右側方フレーム26Rの屈曲部から他端部(右植え付けケース27Rの前端部に固定されている方の端部)までの部分に収容され、右後伝動軸95Rのうち他端部(後端部)は右植え付けケース27Rに収容される。
右後伝動軸95Rの一端部(前端部)は右側方フレーム26Rの屈曲部に回転可能に軸支され、右後伝動軸95Rの他端部(後端部)は右植え付けケース27Rに回転可能に軸支される。
【0098】
ベベルギヤ96Rは右後伝動軸95Rの一端部(前端部)に相対回転不能に固定され、右側方フレーム26Rの屈曲部に収容される。ベベルギヤ96Rはベベルギヤ94Rに噛合する。
ベベルギヤ97Rは右後伝動軸95Rの他端部(後端部)に相対回転不能に固定され、右植え付けケース27Rに収容される。
【0099】
右植え付けアーム軸98Rは植え付け装置5のうち、右側植え付けアーム部52Rへの駆動力の伝達に関わる回転軸である。
右植え付けアーム軸98Rは右植え付けケース27Rに回転可能に軸支される。右植え付けアーム軸98Rのうち、一端部(左端部)は右植え付けケース27Rの左側方に突出し、残りの部分は右植え付けケース27Rに収容される。
右植え付けアーム軸98Rの一端部(左端部)には、右側植え付けアーム部52Rが連結される。
【0100】
ベベルギヤ99Rは右植え付けアーム軸98Rの他端部(右端部)に相対回転不能に固定され、右植え付けケース27Rに収容される。ベベルギヤ99Rはベベルギヤ97Rに噛合する。
【0101】
以下では、エンジン3から左車輪4Lまでの駆動力の伝達経路およびエンジン3から右車輪4Rまでの駆動力の伝達経路について説明する。
図6に示す如く、エンジン3において発生した駆動力は出力軸3a、プーリ72a、ベルト72c、プーリ72bを経て主軸73に伝達される。
【0102】
主軸73から変速軸74までの駆動力の伝達経路は、変速軸74に対する変速ギヤ75の位置を変更することにより変化する。
【0103】
変速ギヤ75が左から一番目の位置(最も左側となる位置)に移動した場合、変速ギヤ75の小ギヤ部75aがギヤ73aに噛合する。
この場合、本実施形態では「前進2速(歩行型田植機1が高速で前方に走行する場合の駆動力伝達経路)」が選択された状態となり、主軸73に伝達された駆動力は主軸73からギヤ73a、変速ギヤ75を経て変速軸74に伝達される。
【0104】
変速ギヤ75が左から二番目の位置(左から一番目の位置の右隣となる位置)に移動した場合、変速ギヤ75の大ギヤ部75bがギヤ73bに噛合する。
この場合、本実施形態では「前進1速(歩行型田植機1が低速で前方に走行する場合の駆動力伝達経路)」が選択された状態となり、主軸73に伝達された駆動力は主軸73からギヤ73b、変速ギヤ75を経て変速軸74に伝達される。
【0105】
変速ギヤ75が左から三番目の位置(左から二番目の位置の右隣となる位置)に移動した場合、変速ギヤ75はギヤ73aおよびギヤ73bのいずれにも噛合しない。
この場合、本実施形態では「中立(歩行型田植機1が走行しない場合の駆動力伝達経路)」が選択された状態となり、主軸73に伝達された駆動力は主軸73から変速軸74に伝達されない。
【0106】
変速ギヤ75が左から四番目の位置(左から三番目の位置の右隣となる位置であり、最も右側となる位置)に移動した場合、変速ギヤ75の大ギヤ部75bが第一株間ギヤ86の小ギヤ部86bに噛合する。
この場合、本実施形態では「後進(歩行型田植機1が後方に走行する場合の駆動力伝達経路)」が選択された状態となり、主軸73に伝達された駆動力は主軸73からギヤ73c、第一株間ギヤ86、変速ギヤ75を経て変速軸74に伝達される。
【0107】
このように、変速軸74に対する変速ギヤ75の位置を変更する(「左から一番目の位置」から「左から四番目の位置」までの四つの位置のいずれかを選択する)ことにより、歩行型田植機1の走行および停止、走行方向(前進および後進)、並びに前進時の走行速度(前進1速および前進2速)を切り替えることが可能である。
【0108】
変速軸74に伝達された駆動力は、変速軸74からギヤ74aを経てサイドクラッチギヤ77に伝達される。
左サイドクラッチシフタ79Lが左側方に移動している場合、サイドクラッチギヤ77に伝達された駆動力はボール78L・78L・・・、左サイドクラッチ軸76L、スプロケット81L、チェーン83L、スプロケット82L、左車軸84Lを経て左車輪4Lに伝達される。
右サイドクラッチシフタ79Rが右側方に移動している場合、サイドクラッチギヤ77に伝達された駆動力はボール78R・78R・・・、右サイドクラッチ軸76R、スプロケット81R、チェーン83R、スプロケット82R、右車軸84Rを経て右車輪4Rに伝達される。
【0109】
以下では、エンジン3から植え付け装置5までの駆動力の伝達経路およびエンジン3から苗供給装置6までの駆動力の伝達経路について説明する。
図6に示す如く、エンジン3において発生した駆動力は出力軸3a、プーリ72a、ベルト72c、プーリ72bを経て主軸73に伝達される。
【0110】
主軸73から株間変速軸85までの駆動力の伝達経路は、株間変速軸85に対する株間変速ギヤ88の位置を変更することにより変化する。
【0111】
株間変速ギヤ88が左から一番目の位置(最も左側となる位置)に移動した場合、株間変速ギヤ88の左側の盤面に形成された複数の係合突起が第一株間ギヤ86の大ギヤ部86aに形成された複数の係合孔に係合し、株間変速ギヤ88および第一株間ギヤ86が一体的に回転可能な状態(相対回転不能な状態)となる。
この場合、本実施形態では「株間1速(歩行型田植機1により植え付けられる苗の間隔(株間)が最も大きい場合の駆動力伝達経路)」が選択された状態となり、主軸73に伝達された駆動力は主軸73からギヤ73c、第一株間ギヤ86、株間変速ギヤ88を経て株間変速軸85に伝達される。
【0112】
株間変速ギヤ88が左から二番目の位置(左から一番目の位置の右隣となる位置)に移動した場合、株間変速ギヤ88がギヤ73dに噛合する。
この場合、本実施形態では「株間2速(歩行型田植機1により植え付けられる苗の間隔(株間)が二番目に大きい場合の駆動力伝達経路)」が選択された状態となり、主軸73に伝達された駆動力は主軸73からギヤ73d、株間変速ギヤ88を経て株間変速軸85に伝達される。
【0113】
株間変速ギヤ88が左から三番目の位置(左から二番目の位置の右隣となる位置)に移動した場合、株間変速ギヤ88がギヤ73c、ギヤ73d、ギヤ73eおよびギヤ73fのいずれにも噛合しない。
この場合、本実施形態では「中立(歩行型田植機1が植え付け装置5に駆動力を伝達しない場合の駆動力伝達経路)」が選択された状態となり、主軸73に伝達された駆動力は主軸73から株間変速軸85に伝達されない。
【0114】
株間変速ギヤ88が左から四番目の位置(左から三番目の位置の右隣となる位置)に移動した場合、株間変速ギヤ88がギヤ73eに噛合する。
この場合、本実施形態では「株間3速(歩行型田植機1により植え付けられる苗の間隔(株間)が三番目に大きい場合の駆動力伝達経路)」が選択された状態となり、主軸73に伝達された駆動力は主軸73からギヤ73e、株間変速ギヤ88を経て株間変速軸85に伝達される。
【0115】
株間変速ギヤ88が左から五番目の位置(左から四番目の位置の右隣となる位置であって、最も右側となる位置)に移動した場合、株間変速ギヤ88の右側の盤面に形成された複数の係合突起が第二株間ギヤ87に形成された複数の係合孔に係合し、株間変速ギヤ88および第二株間ギヤ87が一体的に回転可能な状態(相対回転不能な状態)となる。
この場合、本実施形態では「株間4速(歩行型田植機1により植え付けられる苗の間隔(株間)が四番目に大きい(最も小さい)場合の駆動力伝達経路)」が選択された状態となり、主軸73に伝達された駆動力は主軸73からギヤ73f、第二株間ギヤ87、株間変速ギヤ88を経て株間変速軸85に伝達される。
【0116】
このように、株間変速軸85に対する株間変速ギヤ88の位置を変更する(「左から一番目の位置」から「左から五番目の位置」までの五つの位置のいずれかを選択する)ことにより、歩行型田植機1により植え付けられる苗の間隔(株間)を切り替えることが可能である。
【0117】
植え付けクラッチ90が「入」になっている場合(植え付けクラッチギヤ90aに形成された係合部と植え付けクラッチ爪90bに形成された係合部とが係合している場合)、株間変速軸85に伝達された駆動力はギヤ85a、植え付けクラッチ90を経て植え付けクラッチ軸89に伝達される。
【0118】
植え付けクラッチ軸89に伝達された駆動力はベベルギヤ89a、ベベルギヤ91a、中央植え付け伝動軸91、ベベルギヤ91b、ベベルギヤ92a、中央植え付けアーム軸92を経て中央左側植え付けアーム部51Lおよび中央右側植え付けアーム部51Rに伝達される。
また、中央植え付けアーム軸92に伝達された駆動力はスプロケット92bを経て苗供給装置6(縦送り装置62および横送り装置63)に伝達される。
【0119】
植え付けクラッチ軸89に伝達された駆動力は左植え付け伝動軸93L、ベベルギヤ94L、ベベルギヤ96L、左後伝動軸95L、ベベルギヤ97L、ベベルギヤ99L、左植え付けアーム軸98Lを経て左側植え付けアーム部52Lに伝達される。
【0120】
植え付けクラッチ軸89に伝達された駆動力は右植え付け伝動軸93R、ベベルギヤ94R、ベベルギヤ96R、右後伝動軸95R、ベベルギヤ97R、ベベルギヤ99R、右植え付けアーム軸98Rを経て右側植え付けアーム部52Rに伝達される。
【0121】
以下では図1から図4、図8および図9を用いてセンターフロート10C、左サイドフロート10Lおよび右サイドフロート10Rについて説明する。
センターフロート10C、左サイドフロート10Lおよび右サイドフロート10Rは歩行型田植機1に浮力を付与する(ひいては、歩行型田植機1が水田に埋没することを防止する)ものである。センターフロート10Cは本発明に係るフロートの実施の一形態である。
センターフロート10C、左サイドフロート10Lおよび右サイドフロート10Rは前後方向に伸びた概ね板状の部材である。センターフロート10C、左サイドフロート10Lおよび右サイドフロート10Rの内部にはそれぞれ空間が形成され、これらの空間には空気が封入される。
【0122】
図1から図3に示す如く、センターフロート10Cは機体2の左右中央かつ下方となる位置に配置される。
【0123】
図1、図3および図8に示す如く、センターフロート10Cの後端部はブラケット101Cおよびピン102Cにより機体2の左右中央部かつ後下部となる位置に回動可能に連結される。
より詳細には、ブラケット101Cがセンターフロート10Cの後端部の上面に固定される。ピン102Cは機体2の左右中央かつ後下部となる部分(厳密には、機体2に固定されるハンドルフレーム171の下部フレーム171aの中央部(図18参照))およびブラケット101Cに貫装される。
【0124】
センターフロート10Cの前端部はブラケット103C、フロートアーム104C、ピン107Cおよびピン108Cにより機体2の左右中央部かつ前下部となる位置に上下方向に移動可能に(揺動可能に)連結される。
より詳細には、ブラケット103Cはセンターフロート10Cの前端部の上面に固定される。フロートアーム104Cの一端部(下端部)には貫通孔105Cが形成され、フロートアーム104Cの他端部(上端部)から中途部までの部分には貫通長孔106Cが形成される。ピン107Cが貫通孔105Cおよびブラケット103Cに形成された貫通孔に貫装されることにより、センターフロート10Cの前端部とフロートアーム104Cの一端部(下端部)とが回動可能に連結される。
ピン108Cが貫通長孔106Cおよびバンパー22の下部に形成された貫通孔に貫装されることにより、フロートアーム104Cは摺動可能(フロートアーム104Cの長手方向に移動可能)かつバンパー22に対して回動可能に連結される。
【0125】
このように、センターフロート10Cは歩行型田植機1の機体2に対してピン102Cを中心として回動可能である。
従って、センターフロート10Cの前端部は歩行型田植機1の機体2に対して上下方向に移動可能(揺動可能)である。
【0126】
図1から図4に示す如く、左サイドフロート10Lは機体2の下方かつ左後寄りとなる位置に配置される。
【0127】
図1、図3および図9に示す如く、左サイドフロート10Lの後端部はブラケット101Lおよびピン102Lにより機体2の左後下部となる位置に回動可能に連結される。
より詳細には、ブラケット101Lは左サイドフロート10Lの後端部の上面に固定される。ピン102Lは機体2の左後下部となる部分(厳密には、機体2に固定されるハンドルフレーム171の下部フレーム171aの左端部(図18参照))およびブラケット101Lに貫装される。
【0128】
左サイドフロート10Lの前端部はブラケット103L、フロートアーム104L、ピン107Lおよび左サイドフロートアーム108Lにより機体2の前後中央部かつ左下部となる位置に上下方向に移動可能に(揺動可能に)連結される。
より詳細には、ブラケット103Lが左サイドフロート10Lの前端部の上面に固定される。左サイドフロートアーム108Lの一端部が左側方フレーム26Lの屈曲部に固定される。フロートアーム104Lの一端部(下端部)には貫通孔105Lが形成され、フロートアーム104Lの他端部(上端部)から中途部までの部分には貫通長孔106Lが形成される。
ピン107Lが貫通孔105Lおよびブラケット103Lに形成された貫通孔に貫装されることにより、左サイドフロート10Lの前端部とフロートアーム104Lの一端部(下端部)とが回動可能に連結される。
左サイドフロートアーム108Lの他端部が貫通長孔106Cに貫装されることにより、フロートアーム104Lは摺動可能(フロートアーム104Lの長手方向に移動可能)かつ左側方フレーム26Lに対して回動可能に連結される。
【0129】
このように、左サイドフロート10Lは歩行型田植機1の機体2に対してピン102Lを中心として回動可能である。
従って、左サイドフロート10Lの前端部は歩行型田植機1の機体2に対して上下方向に移動可能(揺動可能)である。
【0130】
図1から図4に示す如く、右サイドフロート10Rは機体2の下方かつ右後寄りとなる位置に配置される。
【0131】
図1、図3および図9に示す如く、右サイドフロート10Rの後端部はブラケット101Rおよびピン102Rにより機体2の右後下部となる位置に回動可能に連結される。
【0132】
右サイドフロート10Rの前端部はブラケット103R、フロートアーム104R、ピン107Rおよび右サイドフロートアーム108Rにより機体2の前後中央部かつ右下部となる位置に上下方向に移動可能に(揺動可能に)連結される。フロートアーム104Rの一端部(下端部)には貫通孔105Rが形成され、フロートアーム104Rの他端部(上端部)から中途部までの部分には貫通長孔106Rが形成される。
【0133】
このように、右サイドフロート10Rは歩行型田植機1の機体2に対してピン102Rを中心として回動可能である。
従って、右サイドフロート10Rの前端部は歩行型田植機1の機体2に対して上下方向に移動可能(揺動可能)である。
【0134】
以下では図10から図14を用いてピッチング制御機構11の構造について説明する。
ピッチング制御機構11は歩行型田植機1の機体2の前後方向の傾きひいては水田に対する機体2の高さ(車高)を制御することにより、歩行型田植機1による苗の植え付け深さを安定させるための機構である。
図10に示す如く、本実施形態のピッチング制御機構11はポンプユニット110、ピッチングセンサ120、ピッチングシリンダ130およびスイング装置140を具備する。
【0135】
図10および図11に示す如く、ポンプユニット110は筐体111、油圧ポンプ部112、切り替えバルブ113、リリーフバルブ114・115および配管116・117を具備する。
【0136】
筐体111はポンプユニット110の主たる構造体を成す部材であり、鋳造により製造される。
筐体111の表面には第一ポート111aおよび第二ポート111bが形成される。
筐体111の内部にはオイルパン111cおよび油路111d・111e・111f・111g・111h・111i・111jが形成される。
筐体111はエンジン台21の前端部上面(エンジン3の前方)に固定される。
【0137】
油圧ポンプ部112は後で詳述するピッチングシリンダ130を伸長させるための作動油をピッチングシリンダ130に圧送する。
本実施形態の油圧ポンプ部112は筐体111の内部に形成される。
エンジン台21に固定された筐体111の左側面からは油圧ポンプ部112の入力軸112a先端部(左端部)が突出しており、入力軸112aの先端部にはプーリ71bが固定される。
エンジン3からの駆動力が入力軸112aに伝達されることにより入力軸112aが回転し、油圧ポンプ部112が駆動される。その結果、油圧ポンプ部112は吸入ポート112bから吸入した作動油を吐出ポート112cから吐出(圧送)する。
【0138】
切り替えバルブ113は油圧ポンプ部112により圧送される作動油の圧送経路を切り替えるバルブである。本実施形態の切り替えバルブ113はスプール弁であり、筐体111に収容される。
切り替えバルブ113は第一ポート113a、第二ポート113bおよび第三ポート113cの三つのポートを有する。
切り替えバルブ113は筐体111に対して切り替えバルブ113を構成するスプールの長手方向(本実施形態では、前後方向)に移動する(摺動する)ことにより、(i)第三ポート113cが閉塞されるとともに第一ポート113aと第二ポート113bとが連通される状態、(ii)第二ポート113bが閉塞されるとともに第一ポート113aと第三ポート113cとが連通される状態、(iii)第一ポート113aが閉塞されるとともに第二ポート113bと第三ポート113cとが連通される状態、の三つの状態のいずれかに切り替えることが可能である。
【0139】
リリーフバルブ114・115は筐体111の内部の油路群を流れる作動油に所定以上の圧力が作用した場合に作動する(開く)バルブである。本実施形態のリリーフバルブ114・115は筐体111に収容される。
【0140】
油路111dの一端部はオイルパン111cに接続され、油路111dの他端部は油圧ポンプ部112の吸入ポート112bに接続される。
油路111eの一端部は油圧ポンプ部112の吐出ポート112cに接続され、油路111eの他端部は切り替えバルブ113の第一ポート113aに接続される。
油路111fの一端部は切り替えバルブ113の第二ポート113bに接続され、油路111fの他端部は筐体111の第一ポート111aに接続される。
油路111gの一端部は筐体111の第二ポート111bに接続され、油路111gの他端部はオイルパン111cに接続される。
油路111hの一端部は切り替えバルブ113の第三ポート113cに接続され、油路111hの他端部は油路111gの中途部に接続される。
油路111iの一端部は油路111eの中途部に接続され、油路111iの他端部は油路111gの中途部に接続される。
油路111jの一端部は油路111fの中途部に接続され、油路111jの他端部は油路111gの中途部に接続される。
リリーフバルブ114は油路111iの中途部に配置される。リリーフバルブ115は油路111jの中途部に配置される。
【0141】
配管116の一端部は筐体111の第一ポート111aに接続され、配管117の他端部は後で詳述するピッチングシリンダ130の油路131bに接続される。
配管117の一端部は後で詳述するピッチングシリンダ130の油路131cに接続され、配管117の他端部は筐体111の第二ポート111bに接続される。
【0142】
ピッチングセンサ120は機体2に対するセンターフロート10Cの前端部の相対的な高さ(上下方向の相対的な位置)、ひいては機体2に対する水田の相対的な高さを検出するものである。
図10および図12に示す如く、ピッチングセンサ120はセンサアーム121、センサローラ122、センサ軸123、回動アーム124、センサバネ125、センサロッド126および切り替えアーム127を具備する。
【0143】
センサアーム121は棒状の部材である。本実施形態のセンサアーム121は金属製の丸棒からなり、センサアーム121の一端部から屈曲部までの部分はセンサアーム121の他端部から屈曲部までの部分に対して垂直となるように屈曲される。
【0144】
センサローラ122はピッチングセンサ120を構成する部材のうち、センターフロート10Cの前端部の上面に当接する部材である。本実施形態のセンサローラ122は円筒形状の部材であり、センサアーム121の一端部に回転可能に貫装される。
【0145】
センサ軸123はセンサアーム121を機体2に回動可能に支持するための軸である。
本実施形態のセンサ軸123の左端部にはセンサローラ122の他端部が溶接により固定され、センサ軸123の右端部はエンジン台21の右側面に回転可能に軸支される。
【0146】
回動アーム124の一端部はセンサ軸123の右端部に固定される。センサ軸123の右端部に固定された回動アーム124の長手方向(回動アーム124の一端部から他端部を結ぶ線の方向)はセンサ軸123の長手方向(軸線方向)に対して垂直である。
【0147】
センサバネ125はセンサローラ122がセンターフロート10Cの前端部の上面に当接する方向にセンサアーム121が回動するように付勢するバネである。
本実施形態のセンサバネ125は金属製の巻きバネであり、センサ軸123に貫装される。センサバネ125の一端部はエンジン台21に係止され、センサバネ125の他端部は回動アーム124の中途部に係止される。
【0148】
センサロッド126は棒状の部材であり、センサロッド126の一端部は回動アーム124の他端部に回動可能に連結される。
【0149】
切り替えアーム127の一端部は筐体111の右側面に回動可能に支持される。切り替えアーム127の中途部にはセンサロッド126の他端部が回動可能に連結される。切り替えアーム127の他端部は切り替えバルブ113の一端部に回動可能に連結される。
【0150】
ピッチングシリンダ130は歩行型田植機1の機体2の前後方向の傾きを調整するための油圧シリンダである。
図10および図13に示す如く、ピッチングシリンダ130はシリンダ本体131およびシリンダロッド132を具備する。
【0151】
シリンダ本体131は円筒状の部材であり、シリンダ本体131の一端部(前端部)は開口し、シリンダ本体131の他端部(後端部)は閉塞される。
図13に示す如く、シリンダ本体131の他端部には雄ネジ部131aが形成される。
エンジン台21の後面を成す板材に形成された貫通孔に貫装された雄ネジ部131aにナットが螺装されることにより、シリンダ本体131がエンジン台21の内部に固定される。
シリンダ本体131の他端部にはシリンダ本体131の内周面と外周面とを連通する油路131bが形成される。
シリンダ本体131の一端部にはシリンダ本体131の内周面と外周面とを連通する油路131cが形成される。
【0152】
シリンダロッド132はシリンダ本体131に液密的に摺動可能に支持される概ね円柱形状の部材である。
シリンダロッド132の一端部(前端部)はシリンダ本体131の外部に突出し、シリンダロッド132の中途部から他端部(後端部)までの部分はシリンダ本体131に収容される。
シリンダロッド132には油路132aが形成される。油路132aの一端部はシリンダロッド132の後端面に開口し、油路132aの他端部はシリンダロッド132の他端部(後端部)の外周面に開口する。
シリンダロッド132がシリンダ本体131の前方に大きく突出したとき、油路132aの他端部とシリンダ本体131に形成された油路131cとが接続される。
【0153】
スイング装置140は左車軸ケース25Lおよび右車軸ケース25Rとピッチングシリンダ130とを連結することにより、ピッチングシリンダ130の伸長・収縮に応じて左車軸ケース25Lおよび右車軸ケース25Rを回動させる、ひいては左車輪4Lおよび右車輪4Rを上下方向に揺動させるものである。
図10および図14に示す如く、スイング装置140は摺動アーム141、左スイングロッド142L、右スイングロッド142R、スイングアーム軸143、左スイングアーム144L、右スイングアーム144R、左スイングバー145L、右スイングバー145R、左ブラケット146Lおよび右ブラケット146Rを具備する。
【0154】
摺動アーム141は棒状の部材であり、摺動アーム141の中央部はシリンダロッド132の一端部に回動可能に連結される。
摺動アーム141の一端部(左端部)および他端部(右端部)はそれぞれエンジン台21の左側面および右側面を成す板材に形成された摺動溝21a・21a(左側の摺動溝21aについては図13参照、右側の摺動溝21aについては不図示)を貫通してエンジン台21の左側方および右側方に突出している。
【0155】
左スイングロッド142Lおよび右スイングロッド142Rは棒状の部材である。
左スイングロッド142Lの一端部(前端部)は摺動アーム141の一端部(左端部)に回動可能に連結される。右スイングロッド142Rの一端部(前端部)は摺動アーム141の他端部(右端部)に回動可能に連結される。
【0156】
スイングアーム軸143は後で詳述する左スイングアーム144Lおよび右スイングアーム144Rを機体2に回動可能に支持するための軸である。
本実施形態のスイングアーム軸143は丸棒状の部材であり、ミッションケース23に貫装される。ミッションケース23に貫装されたスイングアーム軸143は、ミッションケース23に対してスイングアーム軸143の軸線方向(左右方向)に摺動不能に固定される。ミッションケース23に貫装されたスイングアーム軸143の左端部および右端部はそれぞれミッションケース23の左側方および右側方に突出している。
【0157】
左スイングアーム144Lおよび右スイングアーム144Rは概ねL字型に屈曲した板状の部材である。
左スイングアーム144Lの屈曲部(左スイングアーム144Lの中途部において屈曲している部分)はスイングアーム軸143の左端部に回転可能に貫装される。左スイングアーム144Lの一端部(概ね下方に突出している方の端部)は左スイングロッド142Lの他端部(後端部)に回動可能に連結される。
右スイングアーム144Rの屈曲部はスイングアーム軸143の右端部に回転可能に貫装される。右スイングアーム144Rの一端部(概ね下方に突出している方の端部)は右スイングロッド142Rの他端部(後端部)に回動可能に連結される。
【0158】
左スイングバー145Lおよび右スイングバー145Rは棒状の部材である。
左スイングバー145Lの一端部(上端部)は左スイングアーム144Lの他端部(概ね後方に突出している方の端部)に回動可能に連結される。
右スイングバー145Rの一端部(上端部)は右スイングアーム144Rの他端部(概ね後方に突出している方の端部)に回動可能に連結される。
【0159】
左ブラケット146Lは左車軸ケース25Lの前後中途部かつ上部となる位置に固定される。左ブラケット146Lには左スイングバー145Lの他端部(下端部)が回動可能に連結される。
右ブラケット146Rは右車軸ケース25Rの前後中途部かつ上部となる位置に固定される。右ブラケット146Rには右スイングバー145Rの他端部(下端部)が回動可能に連結される。
【0160】
以下では図10から図14を用いてピッチング制御機構11の動作について説明する。
【0161】
図10に示す如く、水田(の表面)に対する機体2の高さ(上下方向の位置)が適正(植え深さを設定した高さ)であるとき、機体2に対するセンターフロート10Cの前端部の相対的な高さ(上下方向の相対的な位置)は予め設定された適正な範囲にある。このとき、センターフロート10Cの前端部の上面に当接するピッチングセンサ120の回動角度(機体2の前後方向とセンサアーム121の長手方向とが成す角度)は予め設定された所定の範囲に収まる。
【0162】
ピッチングセンサ120の回動角度が予め設定された所定の範囲に収まっているとき、切り替えバルブ113は(ii)第二ポート113bが閉塞されるとともに第一ポート113aと第三ポート113cとが連通される状態に保持される。
その結果、油圧ポンプ部112がオイルパン111cから油路111dおよび吸入ポート112bを経て吸入するとともに吐出ポート112cから吐出した作動油は、油路111e、切り替えバルブ113の第一ポート113a、切り替えバルブ113の第三ポート113c、油路111h、油路111gを経てオイルパン111cに戻される。
また、切り替えバルブ113の第二ポート113bから油路111f、第一ポート111a、配管116、油路131bおよびピッチングシリンダ130の内部に存在する作動油は、第二ポート113bが閉塞されることにより封入される。
従って、機体2に対する左車軸ケース25Lおよび右車軸ケース25Rの回動角度、ひいては機体2に対する左車輪4Lおよび右車輪4Rの上下方向の位置(高さ)は一定に保持される。
【0163】
水田(の表面)に対する機体2の位置が低過ぎるとき、センターフロート10Cが水田から受ける浮力(または泥による押し上げ力、または、前進による水面からの反力)が増大し、センターフロート10Cの前端部は上方に移動する。
その結果、機体2に対するセンターフロート10Cの前端部の相対的な高さ(上下方向の相対的な位置)は予め設定された適正な範囲から外れ、予め設定された適正な範囲よりも高くなる(センターフロート10Cの前端部が機体2に接近する)。
このとき、センターフロート10Cの前端部の上面に当接するセンサローラ122は上方に持ち上げられ、センサアーム121、センサ軸123および回動アーム124はセンサバネ125の付勢力に抗して左側面視で時計回りに回動し、ピッチングセンサ120の回動角度は予め設定された所定範囲から外れる(予め設定された所定範囲よりも小さくなる)。
そして、センサロッド126は後方に引き寄せられ、切り替えアーム127は左側面視で反時計回りに回動し、切り替えバルブ113は後方に移動して(i)第三ポート113cが閉塞されるとともに第一ポート113aと第二ポート113bとが連通される状態に保持される。
その結果、油圧ポンプ部112がオイルパン111cから油路111dおよび吸入ポート112bを経て吸入するとともに吐出ポート112cから吐出した作動油は、油路111e、切り替えバルブ113の第一ポート113a、切り替えバルブ113の第二ポート113b、油路111f、第一ポート111a、配管116、油路131bを経てピッチングシリンダ130の内部に圧送される。
【0164】
作動油がピッチングシリンダ130の内部に圧送されることにより、ピッチングシリンダ130は伸長し(シリンダロッド132が前方に突出し)、摺動アーム141は摺動溝21a・21aに沿って前方に押し出され、左スイングロッド142Lおよび右スイングロッド142Rは前方に引き寄せられ、左スイングアーム144Lおよび右スイングアーム144Rは左側面視で時計回りに回動し、左スイングバー145Lおよび右スイングバー145Rは下方に押し出され、左車軸ケース25Lおよび右車軸ケース25Rは左側面視で時計回りに回動し、左車輪4Lおよび右車輪4Rは機体2に対して下方に押し下げられる。
【0165】
左車輪4Lおよび右車輪4Rは機体2に対して下方に押し下げられることにより、機体2の後部が上昇し、水田(の表面)に対する機体2の位置が適正な状態に戻る。
【0166】
ピッチングシリンダ130が伸長することにより油路132aの他端部とシリンダ本体131に形成された油路131cとが接続されたとき、ピッチングシリンダ130の内部に圧送された作動油は油路132a、油路131c、配管117、第二ポート111bおよび油路111gを経てオイルパン111cに戻されるので、ピッチングシリンダ130がこれ以上に伸長することはない。
【0167】
水田(の表面)に対する機体2の位置が高過ぎるとき、センターフロート10Cが水田から受ける浮力(または泥による押し上げ力、または、前進による水面からの反力)が減少し、センターフロート10Cの前端部は下方に移動する。
その結果、機体2に対するセンターフロート10Cの前端部の相対的な高さ(上下方向の相対的な位置)は予め設定された適正な範囲から外れ、予め設定された適正な範囲よりも低くなる(センターフロート10Cの前端部が機体2から離間する)。
このとき、センターフロート10Cの前端部の上面に当接するセンサローラ122はセンサバネ125の付勢力により下方に移動し、センサアーム121、センサ軸123および回動アーム124は左側面視で時計回りに回動し、ピッチングセンサ120の回動角度は予め設定された所定範囲から外れる(予め設定された所定範囲よりも大きくなる)。
そして、センサロッド126は前方に押し出され、切り替えアーム127は左側面視で時計回りに回動し、切り替えバルブ113は前方に移動して(iii)第一ポート113aが閉塞されるとともに第二ポート113bと第三ポート113cとが連通される状態に保持される。
【0168】
第一ポート113aが閉塞されることにより、油圧ポンプ部112によりオイルパン111cから油路111dおよび吸入ポート112bを経て吸入され、吐出ポート112cから吐出されて油路111eに到達した作動油の圧力は上昇し、リリーフバルブ114が作動する(開く)。従って、油路111eに到達した作動油は、油路111iおよび油路111gを経てオイルパン111cに戻される。
【0169】
第二ポート113bと第三ポート113cとが連通されることにより、左車輪4Lおよび右車輪4Rは機体2の自重で機体2に対して上方に押し上げられ、左車軸ケース25Lおよび右車軸ケース25Rは左側面視で反時計回りに回動し、左スイングバー145Lおよび右スイングバー145Rは上方に押し出され、左スイングアーム144Lおよび右スイングアーム144Rは左側面視で反時計回りに回動し、左スイングロッド142Lおよび右スイングロッド142Rは後方に引き寄せられ、摺動アーム141は摺動溝21a・21aに沿って後方に引き寄せられ、ピッチングシリンダ130は収縮する(シリンダロッド132が後方に没入する)。
このように、左車輪4Lおよび右車輪4Rが機体2の自重で機体2に対して上方に押し上げられることにより機体2の後部が下降し、水田(の表面)に対する機体2の位置が適正な状態に戻る。
【0170】
なお、ピッチングシリンダ130が収縮することにより、ピッチングシリンダ130の内部の作動油は、油路131b、配管116、第一ポート111a、油路111f、切り替えバルブ113の第二ポート113b、切り替えバルブ113の第三ポート113c、油路111hおよび油路111gを経てオイルパン111cに戻される。
【0171】
以下では図15、図20および図21を用いてスタンド15の構造について説明する。
スタンド15は本発明に係るスタンドの実施の一形態である。
本実施形態のスタンド15はスタンドバー151、操作アームユニット152およびスタンドバネ153を具備する。
スタンドバー151は金属製の丸棒を適宜屈曲させることによりクランク状に成形したものである。スタンドバー151はスタンド軸部151a、連結部151b、当接部151c、連結部151dおよびスタンド軸部151eを有する。
【0172】
スタンド軸部151a・151eは本発明に係るスタンド軸部の実施の一形態であり、それぞれスタンドバー151の左端部および右端部を成す部分である。
本実施形態のスタンド軸部151aの軸線およびスタンド軸部151eの軸線は互いに一直線となるので、スタンド軸部151aおよびスタンド軸部151eを合わせたものは実質的に一本の回動軸を成す。
【0173】
連結部151bはスタンド軸部151aの右端部と当接部151cの左端部とを連結する部分である。
連結部151dはスタンド軸部151eの左端部と当接部151cの右端部とを連結する部分である。
連結部151bの軸線方向(長手方向)はスタンド軸部151aの軸線方向(長手方向)に対して垂直である。連結部151dの軸線方向(長手方向)はスタンド軸部151eの軸線方向(長手方向)に対して垂直である。連結部151bの軸線方向(長手方向)は連結部151dの軸線方向(長手方向)に対して平行である。
【0174】
当接部151cは本発明に係る当接部の実施の一形態である。本実施形態の当接部151cは連結部151bおよび連結部151dを介してスタンド軸部151a・151eに連結される(実質的には、当接部151cは連結部151bおよび連結部151dを介してスタンド軸部151a・151eに固定される)。
当接部151cの軸線方向(長手方向)はスタンド軸部151a・151eの軸線方向(長手方向)に対して平行である。
【0175】
図15に示す如く、スタンドバー151は機体2に回動可能に支持される。
より詳細には、スタンド軸部151aがエンジン台21の左側面を成す板材の前後中央部かつ下部となる位置に形成された軸支孔21cに回動可能に貫装されるとともにスタンド軸部151eがエンジン台21の右側面を成す板材の前後中央部かつ下部となる位置に形成された軸支孔21dに回動可能に貫装されることにより、スタンドバー151(ひいては、スタンド軸部151aおよびスタンド軸部151eを合わせたもの)がエンジン台21の前後中央部かつ下部となる位置に回動可能に軸支される。
【0176】
本発明においてはスタンド軸部に外力(モーメント)が作用したときにスタンド軸部および当接部が一体的に回転する構造を有していれば良いので、本実施形態の如くスタンド軸部151a・151eと当接部151cとが一体的に成形される構成も「当接部がスタンド軸部に固定される」構成に含まれる。
【0177】
操作アームユニット152は筒部152a、回動角度規制部152bおよび操作アーム部152cを有する。
筒部152aは金属製の概ね円筒形状の部材である。
回動角度規制部152bは金属製の細長い板状の部材であり、回動角度規制部152bの中途部は筒部152aの一端部(右端部)に溶接により固定される。筒部152aに固定された回動角度規制部152bの長手方向は筒部152aの軸線方向に対して垂直である。
操作アーム部152cは本発明に係る操作アーム部の実施の一形態である。
本実施形態の操作アーム部152cは金属製の細長い板状の部材であり、操作アーム部152cの一端部は筒部152aの他端部(左端部)に溶接により固定される。操作アーム部152cの他端部には貫通孔152dが形成される。
【0178】
操作アームユニット152はスタンドバー151の左端部に相対回転不能に固定される。より詳細には、エンジン台21に回動可能に軸支されたスタンドバー151のスタンド軸部151aのうち、エンジン台21の左側面を成す板材の左側に突出している部分に操作アームユニット152の筒部152aが貫装され、筒部152aは割ピン等によりスタンドバー151に相対回転不能に固定される。
その結果、操作アーム部152cはスタンド軸部151a・151eに相対回転不能に固定される。
【0179】
スタンドバネ153はスタンド軸部151a・151eを中心としてスタンドバー151を左側面視で反時計回りに回動する方向に付勢する部材である。
本実施形態のスタンドバネ153は金属製の巻きバネであり、スタンドバー151のスタンド軸部151eに貫装される。スタンドバネ153の一端部はスタンドバー151の連結部151dに係止され、スタンドバネ153の他端部はエンジン台21に係止される。
【0180】
スタンドバー151にスタンドバネ153の付勢力以外の外力が作用しない場合、スタンドバー151はスタンドバネ153の付勢力によりスタンド軸部151a・151eを中心として左側面視で反時計回りに回動する。
スタンドバー151の当接部151cがスタンド軸部151a・151eの後方に配置される位置までスタンドバー151が左側面視で反時計回りに回動したとき、操作アームユニット152の回動角度規制部152bの一端部がエンジン台21の左側面を成す板材の下端部に形成された鍔部21eの上面に当接することにより、スタンドバー151の左側面視で反時計回りの回動が規制される。
【0181】
スタンドバー151の当接部151cがスタンド軸部151a・151eの後方に配置される位置にスタンドバー151が配置されているときのスタンド15の姿勢は、本発明に係る退避姿勢の実施の一形態に相当する。
【0182】
スタンド15の姿勢が「退避姿勢」に保持されているとき、スタンドバー151の当接部151cはエンジン台21の下端部よりも下方に突出することはない(エンジン台21の下端部よりも上方となる位置に配置される)ので、当接部151cはセンターフロート10Cの前端部に当接しない(干渉しない)。
従って、「退避姿勢」に保持されているときのスタンド15は、センターフロート10Cの前端部が上方に移動することを規制しない(許容する)。
【0183】
スタンドバー151に外力を作用させることにより、スタンドバー151をスタンドバネ153の付勢力に抗してスタンド軸部151a・151eを中心としてスタンドバー151を左側面視で時計回りに回動させることが可能である。
スタンドバー151の当接部151cがスタンド軸部151a・151eの下方に配置される位置までスタンドバー151が左側面視で時計回りに回動したとき、操作アームユニット152の回動角度規制部152bの他端部が鍔部21eの上面に当接することにより、スタンドバー151の左側面視で時計回りの回動が規制される。
スタンドバー151の当接部151cがスタンド軸部151a・151eの下方に配置される位置にスタンドバー151が配置されているときのスタンド15の姿勢は、本発明に係る規制姿勢の実施の一形態に相当する。
【0184】
スタンド15の姿勢が「規制姿勢」に保持されているとき、スタンドバー151の当接部151cはエンジン台21の下端部よりも下方に突出している(エンジン台21の下端部よりも下方となる位置に配置される)ので、当接部151cはセンターフロート10Cの前端部の上面に当接する(干渉する)。
従って、「規制姿勢」に保持されているときのスタンド15は、センターフロート10Cの前端部が上方に移動することを規制する。
なお、「規制姿勢」に保持されているときのスタンド15の当接部151cにセンターフロート10Cの前端部が当接しているとき、ピッチング制御機構11のピッチングセンサ120の回動角度が予め設定された所定の範囲に収まる(機体2に対する左車輪4Lおよび右車輪4Rの上下方向の位置が一定に保持される)ように各部材の相対的な位置関係が調整される。
【0185】
このように、スタンド15はスタンド軸部151a・151eを中心として回動することにより、「規制姿勢」と「退避姿勢」との間で姿勢を変更することが可能である。
【0186】
以下では図6、図16および図17を用いて主クラッチ16の構造について説明する。
【0187】
主クラッチ16は本発明に係る主クラッチの実施の一形態であり、エンジン3から「歩行型田植機1のトランスミッション」への駆動力の伝達およびその停止を行うものである。
図16および図17に示す本実施形態の主クラッチ16はいわゆるベルトテンション式のクラッチであり、主クラッチアーム161、主クラッチローラ162、係合アーム163および主クラッチバネ164を具備する。
【0188】
主クラッチアーム161は本発明に係る主アーム部の実施の一形態である。
本実施形態の主クラッチアーム161はアーム部材161a、支持軸部材161bおよび筒部材161cを具備する。
アーム部材161aは金属製の細長い板状の部材である。アーム部材161aの中途部には貫通孔161dが形成される。
支持軸部材161bは金属製の概ね円柱形状の部材である。支持軸部材161bはアーム部材161aの一端部に溶接により固定される。
筒部材161cは金属製の概ね円筒形状の部材である。筒部材161cはアーム部材161aの他端部に溶接により固定される。
筒部材161cはエンジン台21の左側面を成す板材に固定された回動軸21bに相対回転可能に貫装される。
筒部材161cが回動軸21bに相対回転可能に貫装されることにより、主クラッチアーム161は機体2に回動可能に支持される。
【0189】
主クラッチローラ162は本発明に係るローラ部の実施の一形態である。
本実施形態の主クラッチローラ162は概ね円筒形状の部材であり、主クラッチローラ162の外周面には周方向に延びたリング状の溝が形成される。主クラッチローラ162は主クラッチアーム161の支持軸部材161bに相対回転可能に貫装される。
主クラッチローラ162が支持軸部材161bに相対回転可能に貫装されることにより、主クラッチローラ162は主クラッチアーム161の一端部に回転可能に支持される。
【0190】
係合アーム163は本発明に係る係合部の実施の一形態であり、かつ、本発明に係る入切部材の実施の一形態である。言い換えれば、本発明に係る係合部の実施の一形態である係合アーム163は、本発明に係る入切部材の実施の一形態に相当する。
本実施形態の係合アーム163は概ね角柱形状の部材であり、係合アーム163の一端部は筒部材161cに溶接により固定され、主クラッチ16に設けられる。
係合アーム163には貫通溝163aおよび係合溝163bが形成される。
貫通溝163aは係合アーム163の前面から後面まで貫通し、かつ係合アーム163の下面に開口する溝であり、後述するワイヤー部材181(より厳密には、インナーワイヤー181b)が貫通溝163aを貫通する。
係合溝163bは係合アーム163の左側面から貫通溝163aを経て係合アーム163の右側面まで貫通し、かつ係合アーム163の前面に開口する溝である。係合溝163bの後端部は袋状になっており、係合溝163bの前端部(係合アーム163の前面に開口している部分)よりも上下方向において大きい。
係合溝163bに後述する係合部材182が収容されることにより、係合アーム163は後述する係合部材182に係合する(図19、図20および図21参照)。
【0191】
主クラッチバネ164は本発明に係る付勢部の実施の一形態である。
本実施形態の主クラッチバネ164は金属製の巻きバネである。主クラッチバネ164の一端部は主クラッチアーム161のアーム部材161aに形成された貫通孔161dに係止される。主クラッチバネ164の他端部は、プーリ72bを保護するためにミッションケース23の左側面に固定されるプーリカバー29から延設される係止バー29aに係止される。
主クラッチバネ164は、収縮しようとする弾性力(付勢力)により、主クラッチアーム161が回動軸21bを中心として左側面視で時計回りに回動するように付勢する。その結果、主クラッチアーム161の一端部に支持された主クラッチローラ162はベルト72cの外周面に当接する。
主クラッチローラ162がベルト72cの外周面に当接することにより、ベルト72cの張力が増大し、プーリ72aからベルト72cを経てプーリ72aに駆動力を伝達することが可能となる。
【0192】
本実施形態の主クラッチアーム161と係合アーム163とは別部材であり、両者が溶接により固定されるが、本発明はこれに限定されず、係合部に外力(モーメント)が作用したときに主アーム部および係合部が一体的に回転する構造を有していれば良い。
すなわち、「係合部が主アーム部に固定される」ことには、「主アーム部および係合部が一体的に成形されること」が含まれる。
【0193】
以下では図1から図4、並びに図18から図21を用いて操作部17について説明する。
操作部17は作業者が歩行型田植機1の各部を操作するためのものである。
図2に示す如く、操作部17はハンドルフレーム171、走行・株間変速レバー172、左サイドクラッチレバー173L、右サイドクラッチレバー173R、植え付けクラッチレバー174、スイングレバー175、苗取り量調整レバー176および主クラッチ・スタンド操作機構180を具備する。
【0194】
ハンドルフレーム171は操作部17の主たる構造体であり、機体2の後部に固定される。
図1から図4に示す如く、ハンドルフレーム171は下部フレーム171a、中央フレーム171b、上部フレーム171c、左側部フレーム171dおよび右側部フレーム171eを具備する。
【0195】
下部フレーム171aはハンドルフレーム171の下部を成す部材である。
本実施形態の下部フレーム171aは金属製の細長い円筒である。下部フレーム171aの一端部(左端部)は左後フレーム28Lの後端部に固定される。下部フレーム171aの他端部(右端部)は右後フレーム28Rの後端部に固定される。
【0196】
中央フレーム171bはハンドルフレーム171の中央部を成す部材である。
本実施形態の中央フレーム171bは金属製の細長い角筒である。
中央フレーム171bの一端部(前端部)は中央植え付けケース27Cの後端部に固定され、中央フレーム171bの中途部は下部フレーム171aの中央部(左右中央部)に固定される。中央フレーム171bの中途部(下部フレーム171aの中央部に固定される部分)において屈曲しており、中央フレーム171bはその中途部から他端部(後端部)までの部分は後斜め上方に延びる。中央フレーム171bの他端部(後端部)は苗載台61の後面上半部の後方となる位置に配置される。
【0197】
上部フレーム171cはハンドルフレーム171の上部を成す部材である。
本実施形態の上部フレーム171cは金属製の細長い円筒であり、上部フレーム171cの両端部(一端部および他端部)の長手方向が上部フレーム171cの中途部の長手方向に対して垂直となるように二箇所で屈曲される。上部フレーム171cの中途部は中央フレーム171bの他端部に固定される。
上部フレーム171cの中途部は中央フレーム171bの他端部に固定されたとき、上部フレーム171cの中途部の長手方向は左右方向に平行となり、上部フレーム171cの一端部(左端部)および他端部(右端部)は上部フレーム171cの中途部の後方に延びる。上部フレーム171cの一端部および他端部には作業者が握るためのグリップが装着される。
【0198】
左側部フレーム171dはハンドルフレーム171の左側部を成す部材である。
本実施形態の左側部フレーム171dは金属製の細長い円筒である。左側部フレーム171dの一端部(下端部)は下部フレーム171aの一端部(左端部)に固定される。左側部フレーム171dの他端部(上端部)は上部フレーム171cの一端部と中途部との境界部分(左側の屈曲部)に固定される。
【0199】
右側部フレーム171eはハンドルフレーム171の右側部を成す部材である。
本実施形態の右側部フレーム171eは金属製の細長い円筒である。右側部フレーム171eの一端部(下端部)は下部フレーム171aの他端部(右端部)に固定される。右側部フレーム171eの他端部(上端部)は上部フレーム171cの他端部と中途部との境界部分(右側の屈曲部)に固定される。
【0200】
走行・株間変速レバー172は歩行型田植機1の走行変速および株間変速を行うためのレバーである。
走行・株間変速レバー172の基端部は機体2(より詳細には、中央植え付けケース27Cの上部)に回動可能に支持され、走行・株間変速レバー172の先端部(作業者が手で持つ部分)は苗載台61の後面上半部の前方となる位置に配置される。
走行・株間変速レバー172はリンク機構(不図示)を介して伝動機構7の変速ギヤ75および株間変速ギヤ88に連結される(より詳細には、変速ギヤ75を変速軸74の軸線方向に移動させるためのシフタおよび株間変速ギヤ88を株間変速軸85の軸線方向に移動させるためのシフタに連結される)。
作業者は、走行・株間変速レバー172の先端部を手で持って走行・株間変速レバー172を回動させることにより、歩行型田植機1の走行変速および株間変速を行うことが可能である。
【0201】
左サイドクラッチレバー173Lおよび右サイドクラッチレバー173Rは歩行型田植機1の走行方向(直進、左旋回および右旋回)を操作するためのレバーである。
【0202】
左サイドクラッチレバー173Lは上部フレーム171cの左端部の下部に回動可能に支持される。
左サイドクラッチレバー173Lはリンク機構(不図示)を介して左サイドクラッチシフタ79L(より詳細には、左サイドクラッチホーク173a(図7参照))に連結される。
作業者は、左サイドクラッチレバー173Lを握った状態で保持する(左サイドクラッチレバー173Lが上方に回動した状態を保持する)ことにより、左サイドクラッチシフタ79Lを右側方に移動させ、ひいてはエンジン3から左車輪4Lへの駆動力の伝達を停止することが可能である。
【0203】
右サイドクラッチレバー173Rは上部フレーム171cの右端部の下部に回動可能に支持される。
右サイドクラッチレバー173Rはリンク機構(不図示)を介して右サイドクラッチシフタ79R(より詳細には、右サイドクラッチホーク173b(図7参照))に連結される。
作業者は、右サイドクラッチレバー173Rを握った状態で保持する(右サイドクラッチレバー173Rが上方に回動した状態を保持する)ことにより、右サイドクラッチシフタ79Rを左側方に移動させ、ひいてはエンジン3から右車輪4Rへの駆動力の伝達を停止することが可能である。
【0204】
作業者が左サイドクラッチレバー173Lおよび右サイドクラッチレバー173Rのいずれも握っていないとき、歩行型田植機1は直進することが可能である。
作業者が左サイドクラッチレバー173Lを握るとともに右サイドクラッチレバー173Rを握っていないとき、歩行型田植機1は左旋回することが可能である。
作業者が右サイドクラッチレバー173Rを握るとともに左サイドクラッチレバー173Lを握っていないとき、歩行型田植機1は右旋回することが可能である。
作業者が左サイドクラッチレバー173Lおよび右サイドクラッチレバー173Rのいずれも握っているとき、歩行型田植機1は直進することができない。
【0205】
植え付けクラッチレバー174はエンジン3から植え付け装置5および苗供給装置6に駆動力を伝達するか否かを切り替えるレバーである。
植え付けクラッチレバー174の基端部は上部フレーム171cの中途部やや右寄りとなる位置に「植え付けクラッチレバー174の先端部が前後方向に傾倒する方向に」回動可能に支持される。
植え付けクラッチレバー174の基端部はリンク機構(不図示)を介して植え付けクラッチ90の植え付けクラッチ爪90bに連結される。より詳細には、植え付けクラッチレバー174の基端部はリンク機構(不図示)を介して植え付けクラッチホーク174a(図7参照)に連結される。
植え付けクラッチホーク174aは植え付けクラッチ90の状態を「入(エンジン3から植え付け装置5および苗供給装置6に駆動力を伝達させることが可能な状態)」または「切(エンジン3から植え付け装置5および苗供給装置6に駆動力を伝達させることができない状態)」に切り替えるための部材である。
植え付けクラッチホーク174aが植え付けクラッチ爪90bに係合しない場合、植え付けクラッチ90の状態が「入」に保持される。
植え付けクラッチホーク174aが植え付けクラッチ爪90bに係合している場合、植え付けクラッチ90の状態が「切」に保持される。
作業者は、植え付けクラッチレバー174の先端部が前方に傾倒するように植え付けクラッチレバー174を回動させる(植え付けクラッチレバー174を「入」にする)ことにより、植え付けクラッチ90の状態を「入」に保持することが可能である。
作業者は、植え付けクラッチレバー174の先端部が後方に傾倒するように植え付けクラッチレバー174を回動させる(植え付けクラッチレバー174を「切」にする)ことにより、植え付けクラッチ90の状態を「切」に保持することが可能である。
【0206】
スイングレバー175は歩行型田植機1の車高を操作するためのレバーである。
スイングレバー175の基端部は上部フレーム171cの中途部やや右寄りかつ植え付けクラッチレバー174の右隣となる位置に回動可能に支持される。
スイングレバー175の基端部はリンク機構(不図示)を介してピッチング制御機構11のピッチングセンサ120の切り替えアーム127に連結される。
作業者は、スイングレバー175の先端部が左右方向に傾倒するようにスイングレバー175を回動させることにより、「自動スイング」、「手動スイング」、「連動スイング」のいずれかの状態に切り替えることが可能である。
【0207】
「自動スイング」はピッチング制御機構11が歩行型田植機1の車高を制御する状態である。
スイングレバー175の先端部が左右方向において「自動スイング」に対応する位置に配置されているとき、ピッチング制御機構11はピッチングセンサ120が検出した「機体2に対するセンターフロート10Cの前端部の相対的な高さ」に基づいて歩行型田植機1の車高を制御する。
【0208】
「手動スイング」は、作業者がスイングレバー175を操作することによる車高の調整がピッチング制御機構11による車高の制御よりも優先される状態である。
スイングレバー175の先端部が左右方向において「手動スイング」に対応する位置に配置されているとき、作業者はスイングレバー175の先端部が前後方向に傾倒するようにスイングレバー175を回動させることにより、ピッチングセンサ120よりも優先的にポンプユニット110の切り替えバルブ113を移動させ、ひいては左車輪4Lおよび右車輪4Rを機体2に対して上方または下方に移動させる(車高を変更する)ことが可能である。
【0209】
「連動スイング」は、作業者が植え付けクラッチレバー174を「入」にした場合(エンジン3から植え付け装置5および苗供給装置6に駆動力を伝達可能な場合)にはピッチング制御機構11が歩行型田植機1の車高を制御し、作業者が植え付けクラッチレバー174を「切」にした場合にはその操作に連動して車高を上げる状態である。
作業者は、スイングレバー175の先端部が左右方向において「連動スイング」に対応する位置に配置されているときに植え付けクラッチレバー174の先端部が後方に傾倒するように植え付けクラッチレバー174を回動させることにより、「エンジン3から植え付け装置5および苗供給装置6への駆動力の伝達の停止」および「車高の上昇(左車輪4Lおよび右車輪4Rを機体2に対して上方に移動させる)」を連動して行うことが可能である。
【0210】
苗取り量調整レバー176は苗取り量、すなわち中央左側植え付けアーム部51L、中央右側植え付けアーム部51R、左側植え付けアーム部52Lおよび右側植え付けアーム部52Rが苗載台61に載置されている苗マットから一回に取り出す苗の本数(一株本数)を調整するためのレバーである。
苗取り量調整レバー176の基端部は中央フレーム171bの中途部右側面に回動可能に支持される。苗取り量調整レバー176の基端部はリンク機構(不図示)を介して苗載台61の前端部(下端部)に設けられた苗取り出し板(不図示)に連結される。
作業者は、苗取り量調整レバー176の先端部が上下方向に傾倒するように苗取り量調整レバー176を回動させることにより、苗取り量を調整することが可能である。
【0211】
以下では図2、図18、図19、図20および図21を用いて主クラッチ・スタンド操作機構180の詳細について説明する。
主クラッチ・スタンド操作機構180は本発明に係る操作機構の実施の一形態である。
主クラッチ・スタンド操作機構180はスタンド15および主クラッチ16を操作するもの、より厳密には作業者がスタンド15および主クラッチ16を操作するために用いるものである。
図18に示す如く、主クラッチ・スタンド操作機構180はワイヤー部材181、係合部材182、バネ部材187および操作部材190を具備する。
【0212】
ワイヤー部材181はアウターワイヤー181aおよびインナーワイヤー181bを具備する。
【0213】
アウターワイヤー181aは可撓性を有する(弾性変形し得る)管状の部材である。
アウターワイヤー181aの一端部(前端部)は機体2、より詳細にはセンターフレーム24の左側面に設けられたブラケット24a(図5参照)に固定される。
アウターワイヤー181aの他端部(後端部)は、ハンドルフレーム171、より詳細には上部フレーム171cの中途部かつ左端部寄りとなる位置に設けられたレバー支持部材171fに固定される。
【0214】
インナーワイヤー181bは可撓性を有する(弾性変形し得る)紐状の部材である。
本実施形態のインナーワイヤー181bは複数の細い鋼線を撚り合わせたものであり、アウターワイヤー181aに貫装される。アウターワイヤー181aに貫装されたインナーワイヤー181bはアウターワイヤー181aに対して摺動可能(アウターワイヤー181aの長手方向に移動可能)である。インナーワイヤー181bの全長はアウターワイヤー181aの全長よりも大きい。
インナーワイヤー181bの一端部(前端部)は後で詳述するバネ部材187の巻きバネ部187aの一端部(後端部)に固定される。
インナーワイヤー181bの他端部(後端部)は後で詳述するレバーアーム193に固定される。
【0215】
係合部材182は本発明に係る係合部材の実施の一形態である。
図19に示す如く、本実施形態の係合部材182はボルト183およびナット186を具備する。
【0216】
ボルト183は頭部184および胴体部185を有する。
頭部184は一対の端面および六つの側面を有する六角柱状の部分である。
胴体部185は頭部184の一方の端面から突出している円柱形状の部分である。胴体部185の外周面には雄ネジが形成される。胴体部185の基端部(頭部184に繋がっている方の端部)には胴体部185の軸線方向に垂直な方向に胴体部185の外周面を貫通する貫通孔185aが形成される。
【0217】
ナット186は一対の端面および六つの側面を有する六角柱状の部材である。ナット186には一対の端面を貫通する貫通孔186aが形成される。貫通孔186aの内周面には雌ネジが形成される。
【0218】
係合部材182はワイヤー部材181の中途部に固定される。
より詳細には、図18および図19の(b)に示す如く、ボルト183の胴体部185に形成された貫通孔185aにワイヤー部材181のインナーワイヤー181bを貫装し、ボルト183にナット186を螺装することにより、係合部材182はインナーワイヤー181bの中途部かつ前端部寄りとなる位置に固定される。
【0219】
係合部材182は主クラッチ16の係合アーム163に係合する。
より詳細には、図20および図21に示す如く、インナーワイヤー181bの中途部かつ前端部寄りとなる位置に固定された係合部材182は係合アーム163に形成された係合溝163bに収容される。
係合部材182が係合溝163bに収容されたとき、インナーワイヤー181bは係合アーム163に形成された貫通溝163aを前後方向に貫通する。
【0220】
本実施形態の係合部材182はボルト183およびナット186を具備するが、本発明に係る係合部材はこれに限定されない。すなわち、本発明に係る係合部材はワイヤー部材の中途部を主クラッチの係合部に係合可能であれば他の形状でも良い。
【0221】
図18に示す如く、バネ部材187は巻きバネ部187aおよびフック部187bを有する金属製の巻きバネである。
巻きバネ部187aはバネ部材187のうち、螺旋状に巻かれた形状に形成された部分である。巻きバネ部187aの一端部(後端部)はインナーワイヤー181bの一端部(前端部)に固定される。
フック部187bは巻きバネ部187aの他端部に繋がった部分である。フック部187bの一端部(後端部)は巻きバネ部187aの一端部に繋がっており、フック部187bの他端部(前端部)はかぎ爪状に屈曲される。
図15、図20および図21に示す如く、フック部187bの他端部はスタンド15の操作アームユニット152の操作アーム部152cに形成された貫通孔152dに固定(係止)される。
【0222】
本実施形態では、ワイヤー部材181のアウターワイヤー181aおよびインナーワイヤー181b、並びにバネ部材187のフック部187bを合わせたものが本発明に係るワイヤー部材の実施の一形態に相当し、バネ部材187の巻きバネ部187aが本発明に係るバネ部材の実施の一形態に相当する。
すなわち、図20および図21に示す如く、バネ部材187のフック部187bはスタンド15に固定される。
また、バネ部材187の巻きバネ部187aは、本実施形態のワイヤー部材(ワイヤー部材181のアウターワイヤー181aおよびインナーワイヤー181b、並びにバネ部材187のフック部187bを合わせたもの)の中途部かつ係合部材182よりも本実施形態のワイヤー部材の一端部(前端部)寄りとなる位置に設けられる。
【0223】
なお、本実施形態ではバネ部材187のフック部187bが本発明に係るワイヤー部材の実施の一形態の一部としての機能を果たす構成としたが、本発明はこれに限定されない。
例えば、フック部187bを前後方向に短い形状に形成することにより実質的に巻きバネ部187aの前端部をスタンド15に固定し、巻きバネ部187aの後端部にインナーワイヤー181bの一端部を固定し、インナーワイヤー181bの中途部に係合部材182を固定しても良い。
すなわち、「ワイヤー部材の一端部がスタンドに固定され、かつ、バネ部材がワイヤー部材の中途部かつ係合部材よりもワイヤー部材の一端部寄りとなる位置に設けられる」ことには、「バネ部材の一端部がスタンドに固定され、ワイヤー部材の一端部がバネ部材の他端部に固定され、かつ、係合部材がワイヤー部材の中途部またはワイヤー部材の一端部に固定される」ことが含まれる。
【0224】
操作部材190は本発明に係る操作部材の実施の一形態であり、スタンド15および主クラッチ16を操作するときに作業者が手で触れる部分である。
図18に示す如く、本実施形態の操作部材190は主クラッチレバー191、主クラッチピン192、レバーアーム193、スペーサ194a・194bおよびアームピン195を具備する。
【0225】
主クラッチレバー191は操作部材190の主たる構造体を成す部分である。
主クラッチレバー191は回動筒191a、レバー本体191b、グリップ191c、ブラケット191dおよびローラ191eを具備する。
【0226】
回動筒191aは金属製の円筒形状の部材である。回動筒191aには一対の端面を貫通する貫通孔が形成される。
【0227】
レバー本体191bは金属製の棒状の部材である。レバー本体191bの一端部(基端部)は回動筒191aの外周面の一端部(左端部)に溶接により固定される。
【0228】
グリップ191cはスタンド15および主クラッチ16を操作するときに作業者が手で握る部分を成す部材である。
本実施形態のグリップ191cは樹脂材料製の一端部が閉塞された円筒形状の部材である。レバー本体191bの他端部(先端部)がグリップ191cの開口部に挿入されることにより、グリップ191cがレバー本体191bに固定される。
【0229】
ブラケット191dは細長い金属板の一端部と中途部との境界線および当該金属板の中途部と他端部との境界線でそれぞれ直角に折り曲げた形状の部材である。ブラケット191dを構成する金属板の一端部と他端部とは金属板の中途部により連結され、かつブラケット191dを構成する金属板の一端部の板面と他端部の板面とが平行に対向する。
ブラケット191dの中途部が回動筒191aの外周面の他端部(右端部)に溶接により固定されることにより、ブラケット191dは「ブラケット191dの一端部および他端部が回動筒191aの軸線方向に垂直な方向に突出するように」回動筒191aに固定される。
【0230】
ローラ191eは金属製の円筒形状の部材である。ローラ191eはブラケット191dに回転可能に軸支される。
【0231】
主クラッチピン192は主クラッチレバー191をハンドルフレーム171に回動可能に支持する部材である。
本実施形態の主クラッチピン192は概ね円柱形状の部材であり、主クラッチレバー191の回動筒191aに回転可能に貫装される。主クラッチピン192の左右両端部は回動筒191aの一対の端面から突出し、ハンドルフレーム171の上部フレーム171cの中途部かつ左寄りとなる位置に固定されたレバー支持部材171fに軸支される。
主クラッチピン192によりレバー支持部材171fに支持された主クラッチレバー191は、前後方向に(主クラッチレバー191のグリップ191cが前方および後方に傾倒する方向に)回動することが可能である。
【0232】
レバーアーム193は金属製の棒状の部材である。レバーアーム193はその両端部(前端部および後端部)よりも中途部の方が上方に張り出すように(上に凸となるように)湾曲した形状を有する。
レバーアーム193の一端部(前端部)にはワイヤー部材181のインナーワイヤー181bの他端部(後端部)が固定される(連結される)。
【0233】
スペーサ194a・194bは円筒形状の部材である。スペーサ194a・194bにはいずれも一対の端面を貫通する貫通孔が形成される。
【0234】
アームピン195はレバーアーム193をハンドルフレーム171に回動可能に支持する部材である。
本実施形態のアームピン195は概ね円柱形状の部材であり、レバーアーム193の他端部(後端部)に形成された貫通孔およびスペーサ194a・194bに形成された貫通孔に回転可能に貫装される。アームピン195の左右両端部はそれぞれスペーサ194aの左端部およびスペーサ194bの右端部から突出し、レバー支持部材171fにおいて主クラッチピン192が軸支された位置よりも後方となる位置に軸支される。
アームピン195によりレバー支持部材171fに支持されたレバーアーム193は、上下方向に(レバーアーム193の前端部が上方および下方に移動する方向に)回動することが可能である。
【0235】
主クラッチレバー191およびレバーアーム193がハンドルフレーム171に回動可能に支持されたとき、レバーアーム193の下面がローラ191eの外周面に当接する。
【0236】
以下では図18から図21を用いて主クラッチ・スタンド操作機構180によるスタンド15および主クラッチ16の操作について説明する。
【0237】
本実施形態では、スタンドバー151はスタンドバネ153により左側面視で反時計回りに回動する方向に付勢されているため、バネ部材187、インナーワイヤー181bおよび係合部材182を合わせたものはスタンドバネ153の付勢力により前方に移動している。
【0238】
主クラッチレバー191が前方に傾倒した姿勢で保持されているとき、レバーアーム193はローラ191eの外周面に当接しつつレバーアーム193の前端部が下方に回動した状態(左側面視で反時計回りに回動した状態)を保持するため、バネ部材187、インナーワイヤー181bおよび係合部材182を合わせたものはスタンドバネ153の付勢力により前方に引き寄せられ、前方に移動した状態で保持される。
その結果、図20に示す如く、スタンドバー151はスタンドバネ153の付勢力により左側面視で反時計回りに回動し、スタンド15の姿勢は「退避姿勢」に保持される。
また、係合部材182が前方に移動することにより、係合部材182に係合する係合アーム163、ひいては主クラッチアーム161、主クラッチローラ162および係合アーム163は主クラッチバネ164の付勢力により左側面視で時計回りに回動する。
その結果、主クラッチローラ162がベルト72cの外周面に当接し(押し付けられ)、ベルト72cの張力が増大し、主クラッチ16が「入」となる。すなわち、プーリ72aからベルト72cを経てプーリ72aに駆動力を伝達することが可能となる。
【0239】
主クラッチレバー191が前方に傾倒した姿勢から後方に傾倒する方向に回動したとき、レバーアーム193の前端部がローラ191eにより上方に押し上げられ、レバーアーム193が上方に回動する(左側面視で時計回りに回動する)。
レバーアーム193が上方に回動することにより、インナーワイヤー181bの他端部(後端部)は主クラッチレバー191が前方に傾倒した姿勢で保持されている場合よりも上方に引っ張られ、バネ部材187、インナーワイヤー181bおよび係合部材182を合わせたものはスタンドバネ153の付勢力に抗して後方に引き寄せられる(後方に移動する)。
その結果、図21に示す如く、スタンドバー151はスタンドバネ153の付勢力に抗して左側面視で時計回りに回動し、スタンド15の姿勢は「退避姿勢」から「規制姿勢」に変更される。
また、係合部材182が後方に移動することにより、係合アーム163、ひいては主クラッチアーム161、主クラッチローラ162および係合アーム163を合わせたものは係合部材182に係合しつつ主クラッチバネ164の付勢力に抗して左側面視で反時計回りに回動する。
その結果、主クラッチローラ162がベルト72cの外周面から離間し、ベルト72cの張力が減少し、主クラッチ16が「切」となる。すなわち、プーリ72aからベルト72cを経てプーリ72aに駆動力を伝達することができなくなり、ひいてはエンジン3から歩行型田植機1のトランスミッションへの駆動力の伝達が停止される。
【0240】
以上の如く、歩行型田植機1は、
センターフロート10Cの前端部が上方に移動することを規制する規制姿勢およびセンターフロート10Cの前端部が上方に移動することを規制しない退避姿勢との間で姿勢を変更することが可能なスタンド15と、
エンジン3からトランスミッションへの駆動力の伝達およびその停止を行う主クラッチ16に設けられる入切部材(本実施形態では、係合アーム163)と、
を操作する主クラッチ・スタンド操作機構180を具備する歩行型田植機であって、
主クラッチ・スタンド操作機構180は、
一端部(前端部)がスタンド15に固定されるワイヤー部材(本実施形態では、ワイヤー部材181のアウターワイヤー181aおよびインナーワイヤー181b、並びにバネ部材187のフック部187bを合わせたもの)と、
ワイヤー部材の中途部に固定され、主クラッチ16の入切部材に係合する係合部材182と、
ワイヤー部材の中途部かつ係合部材182よりもワイヤー部材の一端部(前端部)寄りとなる位置に設けられるバネ部材(本実施形態では、バネ部材187の巻きバネ部187a)と、
ワイヤー部材の他端部(後端部)に連結される操作部材190と、
を具備し、
操作部材190を操作する(本実施形態では、主クラッチレバー191を後方に傾倒する方向に回動させる)ことによりワイヤー部材の他端部(後端部)を引っ張ったとき、スタンド15が回動することによりスタンド15の姿勢が「退避姿勢」から「規制姿勢」に変更されるとともに、主クラッチ16の入切部材が係合部材182と係合しつつ主クラッチ16が(左側面視で反時計回りに)回動することにより歩行型田植機1のトランスミッションへの駆動力の伝達が停止される。
このように構成することは、以下の利点を有する。
すなわち、従来に比べて部品点数が少ない簡素な構造(実質的には一本のワイヤー部材)で主クラッチ16およびスタンド15を連係して操作することが可能である。
また、主クラッチ16およびスタンド15を連係して操作する構造を従来に比べて部品点数が少ない簡素な構造(実質的には一本のワイヤー部材)とすることにより、当該構造を少ないスペースに配置することが可能であり、歩行型田植機1の設計の自由度が増す。
【0241】
センターフロート10Cの前端部が水田からの浮力等の外力を受けて既に上方に移動している状態で操作部材190を操作する場合(本実施形態では、主クラッチレバー191を後方に傾倒する方向に回動させる場合)、スタンド15がセンターフロート10Cの前端部を下方に押し下げつつスタンド15の姿勢を「退避姿勢」から「規制姿勢」に変更することとなるため、実質的には操作部材190を操作する力で歩行型田植機1の機体2を持ち上げることとなる。この場合、操作部材190を操作する際に大きな力を要する。
しかし、本実施形態ではワイヤー部材の中途部かつ係合部材182よりもワイヤー部材の一端部(前端部)寄りとなる位置にバネ部材187の巻きバネ部187aを設けているので、操作部材190を操作したとき(本実施形態では、主クラッチレバー191を後方に傾倒する方向に回動させたとき)にはバネ部材187の巻きバネ部187aが弾性変形して伸びることによりスタンド15の姿勢が「退避姿勢」に保持され、かつ主クラッチ16は直ちに(確実に)「切」となる。
このように、歩行型田植機1はセンターフロート10Cの前端部が外力を受けて既に上方に移動していることに起因してスタンド15の姿勢を「退避姿勢」から「規制姿勢」に変更するために大きな力を要する場合には、スタンド15の姿勢を「退避姿勢」に保持しつつ主クラッチ16を「入」から「切」に確実に切り替えることが可能である。
【0242】
また、歩行型田植機1のスタンド15は、
機体2に回動可能に軸支されるスタンド軸部151a・151eと、
スタンド軸部151a・151eに(連結部151b・151dを介して)固定され、「規制姿勢」のときにセンターフロート10Cの上面に当接する当接部151cと、
一端部がスタンド軸部151aに(筒部152aを介して)固定され、他端部にはワイヤー部材の一端部(バネ部材187のフック部187b)が固定される操作アーム部152cと、
を具備し、
歩行型田植機1の主クラッチ16は、
機体2に回動可能に支持される主クラッチアーム161と、
主クラッチアーム161の一端部に回転可能に支持される主クラッチローラ162と、
主クラッチアーム161に固定され、係合部材182に係合する係合アーム163と、
主クラッチローラ162がエンジン3から歩行型田植機1のトランスミッションへの駆動力の伝達を行うベルト72cに当接する方向に回動するように主クラッチアーム161を付勢する主クラッチバネ164と、
を具備し、
主クラッチ16の係合アーム163は歩行型田植機1の入切部材に相当する。
【0243】
以下では、図22を用いて本発明に係る歩行型田植機の操作機構の別実施形態である主クラッチ・スタンド操作機構280について説明する。
なお、以下では先に図1から図21を用いて説明した歩行型田植機1と同じ部材については同じ部材番号を付すことにより説明を省略する。
【0244】
図22に示す如く、主クラッチ・スタンド操作機構280は第一鋼線281、係合部材182、回動ブラケット283、第二鋼線284および操作部材190を具備する。
【0245】
第一鋼線281は本発明に係る鋼線の実施の一形態であり、鉄鋼材料に引き抜き加工を施すことによりこれを線状に成形したものである。
【0246】
第一鋼線281の一端部(前端部)はかぎ爪状に屈曲されることによりフック部281aを成す。
フック部281aはスタンド15の操作アームユニット152の操作アーム部152cに形成された貫通孔152dに固定(係止)される(図15参照)。
【0247】
第一鋼線281の中途部は螺旋状に成形されることによりバネ部281bを成す。
バネ部281bは本発明に係るバネ部材の実施の一形態であり、弾性変形可能である。
【0248】
第一鋼線281からフック部281aおよびバネ部281bを除いた部分(より詳細には、第一鋼線281のうちフック部281aとバネ部281bとで挟まれた部分およびバネ部281bの後端部から第一鋼線281の後端部までの部分を合わせたもの)は本発明に係るワイヤー部材の実施の一形態である。
【0249】
第一鋼線281の中途部であってバネ部281bよりも第一鋼線281の後端部寄りとなる部分には係合部材182が固定される。
【0250】
回動ブラケット283は円筒部283a、第一アーム部283bおよび第二アーム部283cを具備する。
【0251】
円筒部283aは金属製の円筒形状の部材である。円筒部283aはハンドルフレーム171の下部フレーム171a(図18参照)に回転可能に貫装される。
【0252】
第一アーム部283bおよび第二アーム部283cは金属製の細長い板状の部材である。
第一アーム部283bおよび第二アーム部283cの一端部は円筒部283aの外周面に溶接により固定される。
円筒部283aの外周面に固定された第一アーム部283bおよび第二アーム部283cの長手方向は円筒部283aの軸線方向に対して垂直である。
第一アーム部283bおよび第二アーム部283cの他端部にはそれぞれ貫通孔が形成される。
第一アーム部283bの他端部には第一鋼線281の後端部が固定される(第一鋼線281の後端部は第一アーム部283bの他端部に形成された貫通孔に係止される)。
【0253】
第二鋼線284は鉄鋼材料に引き抜き加工を施すことによりこれを線状に成形したものである。
第二鋼線284の一端部は第二アーム部283cの他端部に固定される(第二鋼線284の一端部は第二アーム部283cの他端部に形成された貫通孔に係止される)。
【0254】
以上の如く、主クラッチ・スタンド操作機構280は、
第一鋼線281の中途部を螺旋状に成形することにより、第一鋼線281のうち螺旋状に成形された部分であるバネ部281bを本発明に係るバネ部材の実施の一形態とし、第一鋼線281のうち螺旋状に成形されなかった部分を本発明に係るワイヤー部材の実施の一形態とする。
このように構成することは以下の利点を有する。
すなわち、図1から図21に示す歩行型田植機1のワイヤー部材181はアウターワイヤー181aおよびインナーワイヤー181bを具備するが、このような歩行型田植機1を例えば黄砂のような微小な粉塵の多い地域で使用する場合、主クラッチ・スタンド操作機構180を使用する過程でインナーワイヤー181bの外周面に付着した粉塵がアウターワイヤー181aの内部(アウターワイヤー181aの内周面とインナーワイヤー181bの外周面との隙間)に持ち込まれ、アウターワイヤー181aに対するインナーワイヤー181bの移動(摺動)を阻害する(動きが重くなる)場合がある。
このような問題を回避するためにはインナーワイヤー181bの表面に付着した粉塵を頻繁に除去する必要があり、メンテナンスが煩雑になる。
しかし、主クラッチ・スタンド操作機構280の場合には、そもそもアウターワイヤーを具備しない構成であるため、第一鋼線281の外周面に付着した粉塵により第一鋼線281の動きが阻害されることはなく、メンテナンスが容易になる。
また、ワイヤー部材として鋼線を利用し、当該鋼線の中途部を螺旋状に成形し、当該螺旋状に成形した部分をバネ部材として利用することにより、ワイヤー部材とバネ部材とを別体とする場合に比べて部品点数を削減することが可能である。
【符号の説明】
【0255】
1 歩行型田植機
2 機体
3 エンジン
4L 左車輪
4R 右車輪
5 植え付け装置
6 苗供給装置
7 伝動機構
10C センターフロート(フロート)
10L 左サイドフロート
10R 右サイドフロート
11 ピッチング制御機構
15 スタンド
16 主クラッチ
151a・151e スタンド軸部
151c 当接部
152c 操作アーム部
161 主クラッチアーム(主アーム部)
162 主クラッチローラ(ローラ部)
163 係合アーム(入切部材、係合部)
164 主クラッチバネ(付勢部)
180 主クラッチ・スタンド操作機構(操作機構)
181 ワイヤー部材
182 係合部材
187 バネ部材
190 操作部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロートの前端部が上方に移動することを規制する規制姿勢および規制しない退避姿勢との間で姿勢を変更することが可能なスタンドと、
エンジンからトランスミッションへの駆動力の伝達およびその停止を行う主クラッチに設けられる入切部材と、
を操作する操作機構を具備する歩行型田植機であって、
前記操作機構は、
一端部が前記スタンドに固定されるワイヤー部材と、
前記ワイヤー部材の中途部に固定され、前記主クラッチの入切部材に係合する係合部材と、
前記ワイヤー部材の中途部かつ前記係合部材よりも前記ワイヤー部材の一端部寄りとなる位置に設けられるバネ部材と、
前記ワイヤー部材の他端部に連結される操作部材と、
を具備し、
前記操作部材を操作することにより前記ワイヤー部材の他端部を引っ張ったとき、前記スタンドが回動することにより前記スタンドの姿勢が前記退避姿勢から前記規制姿勢に変更されるとともに、前記入切部材が前記係合部材と係合しつつ前記主クラッチが回動することにより前記トランスミッションへの駆動力の伝達が停止される、
歩行型田植機。
【請求項2】
前記スタンドは、
機体に回動可能に軸支されるスタンド軸部と、
前記スタンド軸部に固定され、前記規制姿勢のときに前記フロートの上面に当接する当接部と、
一端部が前記スタンド軸部に固定され、他端部には前記ワイヤー部材の一端部が固定される操作アーム部と、
を具備し、
前記主クラッチは、
前記機体に回動可能に支持される主アーム部と、
前記主アーム部の一端部に回転可能に支持されるローラ部と、
前記主アーム部に固定され、前記係合部材に係合する係合部と、
前記ローラ部が前記エンジンから前記トランスミッションへの駆動力の伝達を行うベルトに当接する方向に回動するように前記主アーム部を付勢する付勢部と、
を具備し、
前記主クラッチの係合部は前記入切部材に相当する、
請求項1に記載の歩行型田植機。
【請求項3】
鋼線の中途部を螺旋状に成形することにより、前記鋼線のうち螺旋状に成形された部分を前記バネ部材とし、前記鋼線のうち螺旋状に成形されなかった部分を前記ワイヤー部材とする、
請求項1または請求項2に記載の歩行型田植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−87536(P2011−87536A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−244971(P2009−244971)
【出願日】平成21年10月23日(2009.10.23)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】