説明

歩行支援装置

【課題】使用者が操作しやすい箇所に吊上力設定機構の操作部を容易に設置可能とでき、さらに、使用者の体格の違いに応じて使用者が操作しやすい位置に吊上力設定機構の操作部の位置を可変的に設定可能な歩行支援装置を提供する。
【解決手段】本発明の歩行支援装置1は、支柱2と、吊棒3と、人体吊下げ点4と、機構吊下げ点8と、機構吊下げ点に吊下げられた弾性伸縮機構5と、一端が弾性伸縮機構の下部に連結された調整ロープ6と、調整ロープを巻き取ったり巻き出したりして弾性伸縮機構の伸縮量を調整することによって人体吊下げ点に吊下げられる人体に付与する吊上力を設定するための吊上力設定機構7とを備え、吊上力設定機構7が、他端部を巻き取ったり巻き出すための巻取部101と、操作部(操作ハンドル107)を備えた操作軸108と、巻取部の巻取軸の端部と操作軸の端部とを互いに連結する自在継手109とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊上力を設定するための吊上力設定機構の操作部を、使用者が操作しやすい箇所に設置可能とした歩行支援装置を提供する。
【背景技術】
【0002】
ロープの途中に弾性伸縮体としてのコイルばねを設けて人体を吊るようにした歩行支援装置が知られている。この歩行支援装置は、使用者に装着される吊りバンドと吊ロープの一端とが互いに繋げられ、吊ロープの他端とコイルばねの一端とが互いに繋げられ、コイルばねの他端と調整ロープの一端とが互いに繋げられ、調整ロープの他端と電動操作のウインチ(以下、電動ウインチという)のような巻取機の巻取軸とが互いに繋がれた構成であり、調整ロープを巻き取ったり巻き出したりするための電動ウインチの駆動及び停止を指示するための操作ボタンを備える。即ち、調整ロープを巻き取ったり巻き出したりして弾性伸縮体の伸縮量を調整することによって人体に付与する吊上力を設定するための吊上力設定機構が、巻取機としての電動ウインチと操作部としての操作ボタンとを備える。
【特許文献1】特開2001−346842号公報
【特許文献2】特開2002−58712号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の歩行支援装置のように、電動ウインチを使用した場合、電動ウインチを駆動するモータの電源を搭載して配線が必要になるため、断線による故障が生じたり、電源の交換が必要になる。このような断線による故障や、電源交換の手間を避けるために、手動操作のウインチ(以下、手動ウインチという)のような巻取機を用いることも考えられるが、巻取機が装置フレームに固定され、巻取機の操作部の位置も固定されてしまうと、使用者が操作部を操作しにくい場合がある。この場合、使用者が操作しやすいように巻取機の巻取軸に操作軸を継ぎ足して巻取機から離れた位置に操作部を設けることが考えられる。しかしながら、巻取軸と操作軸とが一直線になるように繋げなければならないので、操作部の設置場所が巻取軸の軸線上に限られてしまう。この場合、装置フレームの形状によって、吊上力設定機構の巻取機を取付けたい装置フレームに対する巻取機の取付部位の上方に、操作部を設置するスペースが無かったり、操作軸を回転可能に支持する軸受板を固定する場所が無かったりした場合には、巻取機の取付部位を変更しなければならず、巻取機や操作部の取付部位が制限されてしまうので、使用者が操作しやすい箇所に吊上力設定機構の操作部を設置しにくいといった課題があった。また、使用者の体格の違いに応じて使用者が操作しやすいように吊上力設定機構の操作部の位置を可変的に設定できないという課題もあった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、使用者が操作しやすい箇所に吊上力設定機構の操作部を容易に設置可能とでき、さらに、使用者の体格の違いに応じて使用者が操作しやすい位置に吊上力設定機構の操作部の位置を可変的に設定可能な歩行支援装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の歩行支援装置は、支柱と、支柱の上部に支点で上下方向に往復するシーソー運動を行うように取付けられた吊棒と、吊棒の支点よりも後側に位置する他端部に設けられた人体吊下げ点と、吊棒の支点よりも前側に位置する一端部に設けられた機構吊下げ点と、機構吊下げ点に吊下げられた弾性伸縮機構と、一端が弾性伸縮機構の下部に連結された調整ロープと、調整ロープを巻き取ったり巻き出したりして弾性伸縮機構の伸縮量を調整することによって人体吊下げ点に吊下げられる人体に付与する吊上力を設定するための吊上力設定機構とを備え、吊上力設定機構が、他端部を巻き取ったり巻き出すための巻取部と、操作部を備えた操作軸と、巻取部の巻取軸の端部と操作軸の端部とを互いに連結する自在継手とを備えたことを特徴とする。
支柱と、支柱の上部に支点で上下方向に往復するシーソー運動を行うように取付けられた吊棒と、吊棒の支点よりも後側に位置する他端部に設けられた人体吊下げ点と、吊棒の支点よりも前側に位置する一端部に設けられた機構吊下げ点と、機構吊下げ点に吊下げられた弾性伸縮機構と、一端が弾性伸縮機構の下部に連結された調整ロープと、調整ロープを巻き取ったり巻き出したりして弾性伸縮機構の伸縮量を調整することによって人体吊下げ点に吊下げられる人体に付与する吊上力を設定するための吊上力設定機構とを備え、吊上力設定機構が、ウォームホイールとウォームとで形成されたウォームギヤと、ウォームホイールの回転中心軸と一緒に回転して調整ロープの他端部を巻き取ったり巻き出すための巻取部と、操作部を備えた操作軸と、ウォームホイールの回転中心軸の端部と操作軸の端部とを互いに連結する自在継手とを備えたことも特徴とする。
支柱が左支柱と右支柱とにより形成され、吊棒が左吊棒と右吊棒と左右の吊棒を互いに連結する連結棒とにより形成され、左吊棒が左支柱の上部の支点で上下方向に往復するシーソー運動を行うように取付けられ、右吊棒が右支柱の上部の支点で上下方向に往復するシーソー運動を行うように取付けられ、左右の吊棒の間の下方に位置する人が左右の吊棒の後側に設けられた左右の人体吊下げ点で吊り下げられたことも特徴とする。
弾性伸縮機構が左右いずれかの吊棒の前側に設けられた機構吊下げ点より左右に位置ずれしないように下方に真っ直ぐに延長するように設けられ、巻取部が左右の吊棒の機構吊下げ点の間の下方に位置する装置フレームに設けられ、調整ロープの他端が弾性伸縮機構の下方に位置する装置フレームに設けられたガイドを経由して巻取部に連結されたことも特徴とする。
左吊棒の前側に設けられた機構吊下げ点に吊下げられた左の弾性伸縮機構と、右吊棒の前側に設けられた機構吊下げ点に吊下げられた右の弾性伸縮機構と、ウォームホイールの回転中心軸と一緒に回転可能なように設けられた左右の巻取部とを備え、左の弾性伸縮機構の調整ロープの他端部と左の巻取部とが連結され、右の弾性伸縮機構の調整ロープの他端部と右の巻取部とが連結されたことも特徴とする。
吊棒の支点から吊棒の人体吊下げ点までの他端側寸法が、吊棒の支点から吊棒の機構吊下げ点までの一端側寸法よりも長いことも特徴とする。
人体吊下げ点に吊下げられる使用者が操作可能な範囲に操作部が設置されたことも特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、巻取部の巻取軸の端部と操作軸の端部とが自在継手により連結されたことによって、使用者が操作しやすい箇所に吊上力設定機構の操作部を容易に設置可能とできたり、使用者の体格の違いに応じて使用者が操作しやすい位置に吊上力設定機構の操作部の位置を可変的に設定可能とできる。つまり、使用者が操作しやすい箇所に操作部を設置できたり、使用者の体に合わせて操作部の高さや角度を調整可能な歩行支援装置を得ることができる。
さらに、ウォームギヤを設けたことにより、ウォームホイールとウォームとの噛み合いによる摩擦力が巻取部の回転を規制するブレーキとして働くので、人体に付与する吊上力を設定するための吊上力設定機構を構成する巻取機構としてブレーキ機構付きの安価な巻取機構を採用でき、安価な歩行支援装置を得ることができる。
左右の支柱の上部に設けられた左右の吊棒の間の下方に位置する使用者が左右の吊棒の後側に設けられた左右の人体吊下げ点で吊り下げられる構成としたので、支柱が使用者の前方視界を遮らない構成とでき、使用者が左支柱と右支柱との間から前方を確認しやすくなる歩行支援装置を提供できる。
弾性伸縮機構が左右いずれかの吊棒の前側に設けられた機構吊下げ点より左右に位置ずれしないように下方に真っ直ぐに延長するように設けられた構成としたので、弾性伸縮機構が使用者の前方視界を妨げない歩行支援装置を提供できる。
左右の吊棒のそれぞれに弾性伸縮機構を取付けた構成としたので、弾性伸縮機構が使用者の前方視界を妨げず、かつ、左右の吊棒に加わる負担を同等にでき、左右の吊棒のねじれを少なくできる構成の歩行支援装置を提供できる。
また、シーソーのような吊棒を備え、吊棒の支点から吊棒の人体吊下げ点までの他端側寸法を、吊棒の支点から吊棒の機構吊下げ点までの一端側寸法よりも長くしたので、人体吊下げ点の上下移動可能幅を大きくできるとともに吊上げ装置により人体吊下げ点に付与される吊上力を大きくできる。即ち、人体吊下げ点で吊下げられた使用者の上下移動可能幅を大きくできるとともに使用者の体重負荷を軽減するための吊上力を大きくできる。したがって、使用者の体重負荷を軽減できるとともに使用者の歩行動作に伴う使用者の上下動にも追従できて自然な歩行を支援できる歩行支援装置が得られる。また、機構吊下げ点の上下移動可能幅を人体吊下げ点の上下移動可能幅よりも小さくできるので、人体吊下げ点で吊下げられた使用者の上下移動に伴う吊上力の変動を小さくできる。
人体吊下げ点に吊下げられる使用者が操作可能な範囲に操作部が設置されたことにより、使用者が吊上力を容易に調整できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
最良の形態1
図1乃至図3は本発明の最良の形態1による歩行支援装置を示し、図1は歩行支援装置を横から見て示し、図2(a)は吊上力設定機構を示し、図2(b)は図3(a)のA方向から見た図を示し、図3は歩行支援装置を示す。
【0007】
図1を参照し、歩行支援装置1の概要を説明する。歩行支援装置1は、支柱2、吊棒3、人体吊下げ点4、弾性伸縮機構5、調整ロープ6、吊上力設定機構7、機構吊下げ点8、装置フレーム9、走行体としての車輪10を備える。
【0008】
支柱2は、上下に延長する。支柱2は装置フレーム9に連結される。装置フレーム9は下部に土台フレーム部33を備え、土台フレーム部33に車輪10が設けられ、車輪10が転がることで移動可能な歩行支援装置1に構成される。
【0009】
吊棒3は、支柱2の上部に支点14で上下方向に往復するシーソー運動を行うように取付けられる。即ち、吊棒3が支柱2の上部に回転中心軸13を支点14として回転可能に取付けられたことによって、吊棒3の一端部12と他端部15とが支点14を中心にして互いに上下方向に往復するシーソー運動を行う。
【0010】
人体吊下げ点4は、吊棒3の支点14よりも後側に位置する吊棒3の他端部15に設けられる。
機構吊下げ点8は、吊棒3の支点14よりも前側に位置する吊棒3の一端部12に設けられる。
【0011】
吊棒3の支点14から吊棒3の人体吊下げ点4までの他端側寸法aは、吊棒3の支点14から吊棒3の機構吊下げ点8までの一端側寸法bよりも長い。
【0012】
人体吊下げ点4には、人体吊ロープ16が吊り下げられ、人体吊ロープ16の下端部17と装着具18とが互いに連結される。即ち、装着具18は、人体吊下げ点4に使用者19の人体を支えるために人体吊ロープ16で吊り下げられる。そして、装着具18を装着した使用者19の人体が人体吊ロープ16により人体吊下げ点4に吊下げられることによって、コイルばね51のような弾性伸縮体を内蔵した弾性伸縮機構5による吊上力が使用者19に付与され、使用者19は自己の体重負担が軽減された状態での歩行が可能となる。
【0013】
機構吊下げ点8と弾性伸縮機構5の上端取付部22とが連結ロープや連結金具のような機構吊ロープ20により互いに連結される。即ち、弾性伸縮機構5が機構吊ロープ20により機構吊下げ点8に吊り下げられる。弾性伸縮機構5の下部取付部24には調整ロープ6の一端部23が連結され、調整ロープ6が吊上力設定機構7による操作によって巻き取られたり巻き出されたりすることによって、弾性伸縮機構5内のコイルばね51を伸縮させる。これにより、弾性伸縮機構5による吊上力を設定できる。
【0014】
支柱2の上部には、吊棒3における人体吊下げ点4の下方への設定値以上の移動を規制する転倒防止ストッパ29、及び、人体吊下げ点4の上方への設定値以上の移動を規制する吊棒回転防止ストッパ30を備える。
【0015】
弾性伸縮機構5を説明する。弾性伸縮機構5は、弾性伸縮体としてのコイルばね51、収納ケース52を備える。収納ケース52は、上端開口下端閉塞の大径筒体53、下端開口上端閉塞の小径筒体54、締結キャップ55を備える。大径筒体53の筒の内径は小径筒体54の筒の外径よりも大きい。大径筒体53の筒壁には溝58が形成される。溝58は大径筒体53の筒壁の内周面56から外周面57に貫通するとともに大径筒体53の上端開口59から下端に向けて一直線状に延長する。外周面57における溝58の横には溝58の上下方向に渡って吊上力の目盛部61が設けられる。小径筒体54の筒の外周面62の下部には外周面62より外側に突出する指針63が設けられる。小径筒体54が大径筒体53の筒内に収納された場合に、指針63が溝58を経由して溝58よりも大径筒体53の外周面57の外側に突出して溝58内を上下に移動可能である。指針63が目盛部61のある目盛値の横に位置された場合に、その目盛値が吊上力を示すように目盛部61が形成される。大径筒体53の上端開口59側の外周面57にはねじ部64が形成される。締結キャップ55の筒の内壁にはねじ部64にねじ嵌合するねじ部64aが形成される。
【0016】
弾性伸縮機構5は、大径筒体53の筒の下底面に設けられた係留部65にコイルばね51の一端部66が連結され、小径筒体54の筒の上底面に設けられた係留部67にコイルばね51の他端部68が連結され、小径筒体54の指針63が大径筒体53の上端開口59側から筒の溝58内に嵌め込まれて小径筒体54の下端開口側の筒部が大径筒体53の筒の内側に嵌め込まれる。コイルばね51の一端部66が係留部65に取付けられ、コイルばね51の他端部68が係留部67に取付けられることでコイルばね51を小径筒体54と大径筒体53とに連結できる。締結キャップ55の中央孔69が小径筒体54の外周面62を取り囲むように位置されて締結キャップ55のねじ部64aと大径筒体53のねじ部64とが互いに締結される。そして、弾性伸縮機構5の機構吊下げ点8と弾性伸縮機構5の取付部22とが機構吊ロープ20により互いに連結され、調整ロープ6の一端部23が弾性伸縮機構5の取付部24に固定され、調整ロープ6の他端部25が吊上力設定機構7の巻枠に固定される。
【0017】
図2を参照し、吊上力設定機構7の構成を説明する。吊上力設定機構7は、巻取部101と、軸受体102と、互いに噛み合うウォームホイール103とウォーム104とで構成されたウォームギヤ105と、ウォーム104の回転中心軸106と、操作軸108と、回転中心軸106の他端部135と操作軸108の一端部136とを繋ぐ自在継手109と、操作軸108の他端部131に設けられた操作部としての円形の操作ハンドル107とを備えた巻取機構により形成される。巻取部101は、鼓形状の筒体により形成された巻取ドラム111と、巻取ドラム111の回転中心軸となる巻取軸112とを備える。巻取ドラム111には、調整ロープ6を他端から巻取可能なように調整ロープ6の他端が連結される。軸受体102は、装置フレーム9に設けられた取付板113にボルト114で固定された固定ベース115と、巻取軸受部116と、ウォーム軸受部117とを備える。巻取軸受部116は、固定ベース115から垂直に立ち上がって平行に相対向する一対の垂直板118;119に形成された一対の軸受孔120;120により構成される。ウォーム軸受部117は、一方の垂直板119の上部に設けられて一方の垂直板119と直交した水平板121に形成された軸受孔122と、水平板121と平行に対向する固定ベース115の表面に形成された軸受孔123とにより構成される。
【0018】
ウォーム104は外周にねじが形成された両端開口の円筒により形成される。ウォーム104の筒の両端の開口が一対の軸受孔122;123に向かい合うようにウォーム104が水平板121と固定ベース115との間に設置された状態において、ウォーム104の回転中心軸106の一端部125が軸受孔122、ウォーム104の筒内に通されて軸受孔123に挿入される。回転中心軸106とウォーム104とが例えば結合ねじのような結合材126で互いに結合されたことによって、回転中心軸106とウォーム104とが一緒に回転するように構成される。ウォームホイール103の回転中心と巻取軸112の一端部127とが互いに連結されたことによって、巻取部101が、ウォームホイール103の回転中心軸と一緒に回転して調整ロープ6の他端部25を巻き取ったり巻き出す。巻取ドラム111の筒の両端の開口が一対の垂直板118;119に形成された一対の軸受孔120;120に向かい合うように巻取ドラム111が垂直板118;119間に設置された状態において、巻取軸112の他端部128が軸受孔120、巻取ドラム111の筒内、軸受孔130に通され、ウォームホイール103とウォーム104とが噛み合う状態に設定された後に、巻取軸112の他端部128に形成されたねじ部に止めナット129が取付けられたことによって、巻取軸112が軸受孔130より外れないように取付けられる。なお、巻取軸112の外周には図外の係合突起が形成され、巻取ドラム111の筒の内面には、係合突起が係合する図外の係合溝が筒の一端から他端にかけて連続して形成される。これら係合突起と係合溝とが互いに係合されたことで巻取軸112と巻取ドラム111とが一緒に回転するように構成される。
【0019】
つまり、巻取軸112の両端部が、軸受体102に回転可能に支持され、ウォーム104の回転中心軸106の一端部125が固定ベース115の軸受孔123に回転可能に支持され、ウォーム104の回転中心軸106の他端に近い他方の軸部137が水平板121の軸受孔122に回転可能に支持される。これにより、ウォームホイール103とウォーム104とが互いに噛み合うように設置される。操作軸108の他端部131は、例えば、後述する装置フレーム9の前左右部75の中央部に取付けられた軸受板132に形成された軸受孔133を貫通して上方に延長する。操作軸108の他端部131には、円形の操作ハンドル107の円の中心部が固定される。即ち、人体吊下げ点4に吊下げられる使用者19が操作可能な範囲に操作ハンドル107が設置された。
【0020】
自在継手109の一端に形成された連結孔138内に回転中心軸106の他端部135が嵌め込まれて図外の締結ねじによって連結孔138と他端部135とが連結され、自在継手109の他端に形成された連結孔139内に操作軸108の一端部136が嵌め込まれて図外の締結ねじによって連結孔139と一端部136とが連結されたことで、操作軸108の回転力を自在継手109を介して回転中心軸106に伝達できるように、操作軸108と自在継手109と回転中心軸106とが互いに連結される。回転中心軸106の他端部135と操作軸108の一端部136とが自在継手109により連結されたことによって、操作軸108を回転中心軸106に対して30°〜40°程度まで傾けることが可能となる。
【0021】
操作ハンドル107の回転に伴って操作軸108が回転し、その回転力が自在継手109によりウォーム104の回転中心軸106に伝達されてウォーム104が回転し、このウォーム104と噛み合うウォームホイール103が回転することによって、巻取軸112および巻取ドラム111が回転する。即ち、操作ハンドル107を回転操作することによって、調整ロープ6を巻取部101で巻き取ったり巻き出したりすることができて、弾性伸縮機構5内のコイルばね51を伸縮させることができるので、弾性伸縮機構5による吊上力を調整できる。
【0022】
即ち、操作ハンドル71を操作して調整ロープ6を巻き取ることによって、大径筒体53が下方に移動して、コイルばね51が上下方向に伸びる。この際の、コイルばね51が元の状態に戻ろうとする力(コイルばね51が縮もうとする力)が吊上力となり、その吊上力の値はそのときの指針63の横の目盛値で示される。つまり、調整ロープ6を巻き取れば吊上力を大きくでき、調整ロープ6を巻き出せば吊上力を小さくできる。すなわち、装着具18を装着した使用者19の体を吊り上げる吊上力(体重免荷量)が吊上力設定機構7による調整ロープ6の巻取量によって決定される歩行支援装置1となり、吊上力を変更するための操作を容易とできて、吊上力を容易に変更可能な歩行支援装置1が得られる。
【0023】
また、ウォームギヤ105のウォームホイール103とウォーム104との噛み合いによる摩擦力が巻取軸112および巻取ドラム111の回転を規制するブレーキとして働くので、操作ハンドルを離した時にコイルばね51の力で調整ロープ6が巻き出されてしまって吊上力が解除されてしまうようなこともない。
【0024】
図3を参照し、最良の形態1の歩行支援装置1をより具体的に説明する。支柱2は、上端が前側に位置して下端が後側に位置するように前後に傾斜して上下に延長する左支柱31と右支柱32とにより形成される。装置フレーム9は、土台フレーム部33、支柱支持フレーム部34を備え、支柱支持フレームと支柱2とが互いに連結される。
【0025】
土台フレーム部33は、左フレーム部35、右フレーム部36、前フレーム部37を備える。左フレーム部35及び右フレーム部36は前後方向に延長して互いに一定の間隔を隔てて平行に配置される。前フレーム部37は左右方向に延長して左端が左フレーム部35の前端と右フレーム部36の前端とに繋がる。左フレーム部35の後端と右フレーム部36の後端との間は開放された出入部38となっている。この出入部38を経由して使用者19が人体吊下げ点4の下方位置と外部との間を出入り可能である。即ち、人が右フレーム部36の外側に立って左フレーム部35の方向に向いて上から見た場合に、土台フレーム部33は後部(出入部38)が開放されたコ字形である。左支柱31は、左フレーム部35の前後の中間よりも後方位置より上方に立ち上がるように設けられる。右支柱32は、右フレーム部36の前後の中間よりも後方位置より上方に立ち上がるように設けられる。即ち、左支柱31及び右支柱32は、後から前に傾けて設けられる。
【0026】
支柱支持フレーム部34は、左右の中間支持フレーム部41;42、中間上側連結フレーム部43、中間前連結フレーム部44、左右の上下連結フレーム部45;46、左右の前後連結フレーム部47;48、上部連結フレーム部49を備える。左中間支持フレーム部41は、前フレーム部37の左右の中間よりも左にずれた位置と左支柱31の上下の中間位置とを互いに連結する。右中間支持フレーム部42は、前フレーム部37の左右の中間よりも右にずれた位置と右支柱32の上下の中間位置とを互いに連結する。中間上側連結フレーム部43は、左支柱31及び右支柱32の相対峙する中間位置同士を互いに連結する。中間上側連結フレーム部43は、左中間支持フレーム部41と左支柱31との左連結点71Aと右中間支持フレーム部42と右支柱との右連結点72とを互いに連結する。中間上側連結フレーム部43は、左連結点71Aから前方に延長する左前後部73と、右連結点72から前方に延長する右前後部74と、左前後部73と右前後部74とを互いに連結する前左右部75とにより形成され、土台フレーム部33と同じように上から見てコ字形である。中間前連結フレーム部44は、左連結点71Aや右連結点72よりも下側に位置する部分で左中間支持フレーム部41と右中間支持フレーム部42とを互いに連結する。左上下連結フレーム部45は、中間前連結フレーム部44の左端部とこの左端部の真上に位置する中間上側連結フレーム部43の前左右部75の左端部とを互いに連結する。右上下連結フレーム部46は、中間前連結フレーム部44の右端部とこの右端部の真上に位置する中間上側連結フレーム部43の前左右部75の右端部とを互いに連結する。左前後連結フレーム部47は、中間前連結フレーム部44の左端部に対応した左中間支持フレーム部41の左側部から左支柱31を越えて後方に延長するとともに左中間支持フレーム部41の左側部と左支柱31とを互いに連結する。右前後連結フレーム部48は、中間前連結フレーム部44の右端部に対応した右中間支持フレーム部42の右側部から右支柱32を越えて後方に延長するとともに右中間支持フレーム部42の右側部と右支柱32とを互いに連結する。上部連結フレーム部49は、左支柱31の上端と右支柱32の上端とを互いに連結するとともに、左支柱31より左に延長し、かつ、右支柱32より右に延長する。支柱支持フレーム部34が、支柱2の左右の方向から加わる力、支柱2の前後の方向から加わる力に対して、支柱2に強度を付与する。吊上力設定機構7の固定ベース115は、土台フレーム部33における前フレーム部37の中央部に設けられた取付板113に止ねじや溶接などによって取付けられる。上部連結フレーム部49の左右の端部の前後に、転倒防止ストッパ29及び吊棒回転防止ストッパ30が設けられる。
【0027】
吊棒3は、左吊棒81、右吊棒82、連結棒83とを備え、左吊棒81と右吊棒82とが左右に相対峙された状態で前後方向に複数設けられた連結棒83により互いに連結された構造である。左支柱31の上部と右支柱32の上部とにそれぞれ吊棒支持部84;85が設けられる。即ち、左支柱31及び右支柱32の上部に設けられた上部連結フレーム部49の左右の端部に設けられた支点14で吊棒3の左吊棒81と右吊棒82とが上下方向に往復するシーソー運動を行うように取付けられる。
【0028】
人体吊下げ点4は、吊棒3の支点14よりも後側に位置する吊棒3の他端部15である左吊棒81の他端部15a及び右吊棒82の他端部15bに設けられる。機構吊下げ点8は、吊棒3の支点14より前側に位置する吊棒3の一端部12を形成する右吊棒82の一端部12bに設けられる。人体吊下げ点4や機構吊下げ点8は、リング状の連結部88;89により形成される。機構吊下げ点8である連結部89と弾性伸縮機構5の取付部22とが連結金具やロープのような機構吊ロープ20により互いに連結される。装着具18に取付けられた人体吊ロープ16の上端に設けられた引掛具を人体吊下げ点4である連結部88に引掛けることにより、装着具18を装着した使用者19の人体が人体吊下げ点4に人体吊ロープ16で吊り下げられる。
【0029】
歩行支援装置1の使用方法を説明する。まず、介護者などが装着具18を使用者19に装着する。使用者19又は介護者が操作ハンドル107を操作して吊上力を設定する。使用者19が、支柱2や装置フレーム9に掴まりながら歩行すると車輪10が走行面10aを転がって歩行支援装置1も移動する。
【0030】
最良の形態1によれば、回転中心軸106の他端部135と操作軸108の一端部136とが自在継手109により連結されたことによって、操作軸108を回転中心軸106に対して傾けることが可能となったので、例えば、操作軸108を使用者19の方向に傾けて操作ハンドル107を使用者に対して平行になる方向に傾けた状態で装置フレーム9に取り付けることができる。例えば、操作軸108の他端部131に軸受板132を取り付けた状態において、吊上力設定機構7の固定ベース115を前フレーム部37に取り付けた後に、操作軸108を使用者19の方向に傾けて軸受板132を装置フレーム9に溶接などで固定すればよい。例えば、装置フレーム9の形状によって、吊上力設定機構7を取付けたい部位の上方に操作ハンドル107を設置するスペースが無かったり、軸受板132を固定するフレーム部分が無かったりした場合に、操作軸108を回転中心軸106に対して傾けることによって、操作ハンドル107の設置箇所を変更したり、軸受板132をフレーム部分に固定できるようになる。また、使用者19が操作しやすい箇所に操作ハンドル107を設置できるようになる。これにより、使用者19が吊上力を容易に調整できるようになる。
【0031】
また、操作軸108を出し入れ可能で操作軸108の異なる傾き角度に応じて操作軸108を回転可能に支持できる複数の軸受板132を装置フレーム9に設けておき、使用者19の体格の違いに応じて使用者19が操作しやすい位置に操作ハンドル107の位置を可変的に設定可能な歩行支援装置1としてもよい。つまり、使用者19に体に合わせて使用者19が操作ハンドル107の高さや角度を調整可能な歩行支援装置1を得ることができる。
【0032】
ウォームギヤ75のウォームホイール73とウォーム74との噛み合いによる摩擦力が巻取ドラム111の回転を規制するブレーキとして働くので、ブレーキ機構を備えた高価な手動ウインチを用いた巻取機構に比べて巻取機構を安価に構成できる。即ち、人体に付与する吊上力を設定するための吊上力設定機構7を構成する巻取機構としてブレーキ機構付きの安価な巻取機構を採用した歩行支援装置1を得ることができる。
また、操作ハンドル107を備えたので、使用者19が操作ハンドル107を使用して吊上力を設定しやすくなった。
【0033】
弾性伸縮機構5を備えた歩行支援装置1では、使用者19を吊るための所望の吊上力を得るためにコイルばね51のばね力を強くしてコイルばね51の伸縮量を小さくすると、使用者19の歩行動作に伴う上下移動可能幅が小さくなるため、使用者19は上下動の少ない不自然な歩行動作を強いられることになる。逆に、使用者19を吊るための所望の吊上力を得るためにコイルばね51のばね力を弱くしてコイルばね51の伸縮量を大きくすると、使用者19の歩行動作に伴う上下移動可能幅を大きくできるが、この場合、コイルばね51の伸び代を確保しなければならない。この場合、コイルばね51と巻取機構との間の距離を長くして、コイルばね51の伸び代を確保することが考えられる。しかしながら、手動ウインチのような巻取機を用いる場合において、コイルばね51のような弾性伸縮体の伸び代を確保するために巻取機を装置フレーム9の下部に設置すると、使用者19が人体吊ロープ16で吊られた状態のまま巻取機を操作して吊上力を調整することができなくなってしまう。
【0034】
最良の形態1によれば、装置フレーム9の下部において、巻取軸112が、調整ロープ6の上下延長方向と直交する方向である水平方向に延長するように設置され、ウォーム104の回転中心軸106を、巻取軸112と直交する上下方向に延長させることができるので、人体吊ロープ16で吊られた使用者19が吊られた状態のまま操作ハンドル107を操作することができるように操作ハンドル107を装置フレーム9の下部より上方でかつ使用者19の手の届く位置に設けることができるようになる。即ち、巻取部101を装置フレーム9の下部である前フレーム部37に設置できて、コイルばね51の伸び代を確保できるために、使用者19の歩行動作に伴う上下移動可能幅を大きくできて、使用者19が自然な歩行動作を行えるようになるとともに、使用者19が吊られた状態のまま操作ハンドルを操作することができて吊上力を調整できるようになる。
【0035】
最良の形態1では、吊棒3の支点14から吊棒3の人体吊下げ点4までの他端側寸法aを、吊棒3の支点14から吊棒3の機構吊下げ点8までの一端側寸法bよりも長くしたので、人体吊下げ点4で吊下げられた使用者19の上下移動可能幅を大きくできる。つまり、人体吊下げ点4の上下移動可能幅=機構吊下げ点8の上下移動可能幅×(a/b)となる。したがって、使用者19の歩行動作に伴う使用者19の上下動に追従できるようになるとともに使用者19の体重負荷を軽減するための吊上力を大きくできる。よって、自力で体重を支えきれない使用者19であっても自然な歩行を行えるように歩行支援できる歩行支援装置1が得られる。
【0036】
また、人体吊下げ点4に吊上力が作用している状態から使用者19の歩行動作に伴って人体吊下げ点4の位置が上下に移動した場合には吊上力が変動するが、他端側寸法aを一端側寸法bよりも長くしたので、機構吊下げ点8の上下移動可能幅を人体吊下げ点4の上下移動可能幅よりも小さくでき、人体吊下げ点4で吊下げられた使用者19の上下移動に伴う吊上力の変動を小さくできる。
【0037】
例えば、他端側寸法aと一端側寸法bとの比を7:1とした場合、人体吊り下げ点4に25kgの吊上力を作用させるためには、機構吊り下げ点8を175kgの力で下方に引っ張る必要がある。そして、人体吊り下げ点4に25kgの吊上力が作用している状態から使用者19の歩行動作に伴って人体吊り下げ点4の位置を上下に10.5cmずつ移動可能なようにする(即ち、人体吊り下げ点4の上下移動可能幅を21cmにする)ためには、コイルばね51の伸縮によって機構吊り下げ点8が上下に1.5cmずつ移動可能としなければならない(即ち、機構吊り下げ点8の上下移動可能幅を3cmにする)。よって、この場合、機構吊り下げ点8に175kgの力を付与でき、かつ、機構吊り下げ点8を上下に1.5cmずつ移動可能とできるコイルばね51を使用すればよい。すなわち、コイルばね51は、設定したい、最大吊上力、人体吊り下げ点4の位置の上下最大移動可能幅に応じて、その設定値を実現できるものを選定すればよい。この場合、人体吊下げ点4で吊下げられた使用者19の上下移動可能幅を21cmと大きくでき、しかも、使用者19の体重負荷を軽減するための吊上力を25kg程度と大きくできる。したがって、人体吊下げ点4が使用者19の歩行動作に伴う使用者19の上下動に追従できるようになり、使用者19の体重負荷を軽減するための吊上力も大きいので、自力で体重を支えきれない使用者19であっても自然な歩行を行えるように歩行支援できる歩行支援装置1が得られる。また、人体吊り下げ点4の上下移動可能幅21cmに対して機構吊り下げ点8の上下移動可能幅を3cmにでき、機構吊下げ点8の上下移動可能幅を人体吊下げ点4の上下移動可能幅よりも小さくできるので、人体吊下げ点4で吊下げられた使用者19の上下移動に伴う吊上力の変動を小さくできる。
【0038】
他端側寸法aと一端側寸法bとを同じにした場合や他端側寸法aを一端側寸法bよりも短くした場合と、他端側寸法aを一端側寸法bよりも長くした場合とを比較すると、他端側寸法aを一端側寸法bよりも長くした場合の方が、人体吊下げ点4で吊下げられた使用者19の上下移動可能幅を大きくできるとともに使用者19の体重負荷を軽減するための吊上力を大きくでき、しかも、使用者19の上下移動に伴う吊上力の変動を小さくできる。
【0039】
また、最良の形態の歩行支援装置1によれば、吊上力設定機構7を備え、吊上力を吊上力設定機構7による調整ロープ6の巻取量で決定される構成としたため、吊上力設定機構7を操作して調整ロープ6を巻き取ったり、巻き出したりすることによって、吊上力を容易に変更でき、吊上力を変更するための操作の容易な歩行支援装置1が得られる。
また、弾性伸縮機構5の弾性体としてコイルばね51を用いたので、弾性伸縮機構5の構成を簡単にでき、吊上力を容易に変更可能な構成の歩行支援装置1を安価に得ることができる。
また、転倒防止ストッパ29を備えているので、使用者19が足を滑らせたりした場合などにおいての使用者19の転倒を防止できる。
【0040】
最良の形態1によれば、支柱2が左支柱31と右支柱32とにより形成され、吊棒3が左吊棒81と右吊棒82と左右の吊棒81;82を互いに連結する連結棒83とにより形成され、左吊棒81が左支柱31の上部の支点14で上下方向に往復するシーソー運動を行うように取付けられ、右吊棒82が右支柱32の上部の支点14で上下方向に往復するシーソー運動を行うように取付けられ、左右の吊棒81;82の間の下方に位置する使用者19が左右の吊棒81;82の後側に設けられた左右の人体吊下げ点4;4で吊り下げられる構成としたので、支柱2が使用者19の前方視界を遮らない構成とでき、使用者19が左支柱31と右支柱32との間から前方を確認しやすくなる歩行支援装置1を提供できる。
【0041】
最良の形態2
使用者19が図1のように弾性伸縮機構5の設けられた前側を向いて使用する場合、弾性伸縮機構5が前方の中央にあると使用者19の前方視界が妨げられるので、弾性伸縮機構5を、図4のように、前側の右端側(あるいは左端側)に寄せて設ける。これにより、弾性伸縮機構5が使用者19の前方視界を妨げない構成の歩行支援装置1を提供できる。この場合、調整ロープ6の他端部25がガイド滑車145を経由して巻取部101に導かれた構成とする。
【0042】
即ち、弾性伸縮機構5が左右いずれかの吊棒81;82の前側に設けられた機構吊下げ点8より左右に位置ずれしないように下方に真っ直ぐに延長するように設けられ、巻取部101が左右の吊棒81;82の間の下方に位置する装置フレーム9に設けられ、調整ロープ6の他端部25が弾性伸縮機構5の下方に位置する装置フレーム9に設けられたガイドとしてのガイド滑車145を経由して巻取部101に連結された歩行支援装置1とした。
【0043】
最良の形態3
最良の形態2のように、弾性伸縮機構5を前側の右端側(あるいは左端側)に寄せて設ける場合において、吊上力設定機構7の巻取部101を弾性伸縮機構5の下方に位置する前フレーム部37の右端側(あるいは左端側)に設け、自在継手109を介して使用者19が操作ハンドル107を操作しやすい位置になるように操作軸10を傾けて設置してもよい。尚、図示しないが、中間軸と2つの自在継手を用いても良い。即ち、ウォーム104の回転中心軸106の他端部135と中間軸の一端とを一方の自在継手で繋ぎ、中間軸の他端部と操作軸108の一端部136とを他方の自在継手で繋ぐ構成とすることで、操作軸を回転中心軸の軸線から離れた位置に設置できるので、操作ハンドル107の向きの調整が容易となり、使用者19の操作しやすいように操作ハンドル107の向きを設定することが容易となる。さらに、この場合、中間軸に対する操作軸108の傾角と中間軸に対する回転中心軸106の傾角とを等しくすることによって、操作軸108と回転中心軸106との角速度比を同じにできるので、操作ハンドル107の操作性を良くできる。
【0044】
最良の形態4
図5に示すように、左右の吊棒81;82のそれぞれに弾性伸縮機構5を取付けた構成としたことで、弾性伸縮機構5が使用者19の前方視界を妨げず、かつ、左右の吊棒81;82に加わる負担を同等にでき、左右の吊棒81;82のねじれを少なくできる構成の歩行支援装置1を提供できる。
【0045】
即ち、左吊棒81の前側に設けられた機構吊下げ点8に吊下げられた左の弾性伸縮機構5と、右吊棒82の前側に設けられた機構吊下げ点8に吊下げられた右の弾性伸縮機構5と、ウォームホイール104の中心に連結されて左右に延長した巻取軸の左右に設けられてウォームホイール104の回転中心軸140(巻取軸)と一緒に回転可能なように設けられた左右の巻取部101;101とを備え、左の弾性伸縮機構5の調整ロープ6の他端部25と左の巻取部101とが連結され、右の弾性伸縮機構5の調整ロープ6の他端部25と右の巻取部101とが連結された構成の歩行支援装置1とした。141は回転中心軸140の両端を回転可能に支持する軸受部である。
【0046】
最良の形態5
図6に示すように、調整ロープ6の他端部25が、弾性伸縮機構5の下方に位置する装置フレーム9の下部に設置したガイド滑車150を経由して上方に導かれ、使用者19の前方に設けられた手動ウインチ151の巻取軸に連結された構成とした。このような構成とした場合、弾性伸縮機構5のコイルばね51の伸び代を確保できるために、使用者19の歩行動作に伴う上下移動可能幅を大きくできて、使用者19が自然な歩行動作を行えるようになるとともに、使用者19が吊られた状態のまま手動ウインチ151の操作ハンドル152を操作することができて吊上力を調整できるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
機構吊下げ点8側が1本の一端側棒部により形成されて人体吊下げ点4側が一端側棒部から左右2つに分岐する多端側分岐棒部により形成された吊棒の一端側棒部を1本の支柱2の上部に形成された支点14で取付けた構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】歩行支援装置の側面図(一部断面)(最良の形態1)。
【図2】吊上力設定機構を示す構成図(最良の形態1)。
【図3】歩行支援装置の斜視図(最良の形態1)。
【図4】歩行支援装置の斜視図(最良の形態2)。
【図5】歩行支援装置の斜視図(最良の形態4)。
【図6】歩行支援装置の斜視図(最良の形態5)。
【符号の説明】
【0049】
1 歩行支援装置、2 支柱、3 吊棒、4 人体吊下げ点、5 弾性伸縮機構、
6 調整ロープ、7 吊上力設定機構、8 機構吊下げ点、9 装置フレーム、
31 左支柱、32 右支柱、81 左吊棒、82 右吊棒、101 巻取部、
103 ウォームホイール、104 ウォーム、105 ウォームギヤ、
106 ウォームの回転中心軸、107 操作ハンドル(操作部)、109 自在継手、
a 他端側寸法、b 一端側寸法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱と、支柱の上部に支点で上下方向に往復するシーソー運動を行うように取付けられた吊棒と、吊棒の支点よりも後側に位置する他端部に設けられた人体吊下げ点と、吊棒の支点よりも前側に位置する一端部に設けられた機構吊下げ点と、機構吊下げ点に吊下げられた弾性伸縮機構と、一端が弾性伸縮機構の下部に連結された調整ロープと、調整ロープを巻き取ったり巻き出したりして弾性伸縮機構の伸縮量を調整することによって人体吊下げ点に吊下げられる人体に付与する吊上力を設定するための吊上力設定機構とを備え、吊上力設定機構が、他端部を巻き取ったり巻き出すための巻取部と、操作部を備えた操作軸と、巻取部の巻取軸の端部と操作軸の端部とを互いに連結する自在継手とを備えたことを特徴とする歩行支援装置。
【請求項2】
支柱と、支柱の上部に支点で上下方向に往復するシーソー運動を行うように取付けられた吊棒と、吊棒の支点よりも後側に位置する他端部に設けられた人体吊下げ点と、吊棒の支点よりも前側に位置する一端部に設けられた機構吊下げ点と、機構吊下げ点に吊下げられた弾性伸縮機構と、一端が弾性伸縮機構の下部に連結された調整ロープと、調整ロープを巻き取ったり巻き出したりして弾性伸縮機構の伸縮量を調整することによって人体吊下げ点に吊下げられる人体に付与する吊上力を設定するための吊上力設定機構とを備え、吊上力設定機構が、ウォームホイールとウォームとで形成されたウォームギヤと、ウォームホイールの回転中心軸と一緒に回転して調整ロープの他端部を巻き取ったり巻き出すための巻取部と、操作部を備えた操作軸と、ウォームホイールの回転中心軸の端部と操作軸の端部とを互いに連結する自在継手とを備えたことを特徴とする歩行支援装置。
【請求項3】
支柱が左支柱と右支柱とにより形成され、吊棒が左吊棒と右吊棒と左右の吊棒を互いに連結する連結棒とにより形成され、左吊棒が左支柱の上部の支点で上下方向に往復するシーソー運動を行うように取付けられ、右吊棒が右支柱の上部の支点で上下方向に往復するシーソー運動を行うように取付けられ、左右の吊棒の間の下方に位置する人が左右の吊棒の後側に設けられた左右の人体吊下げ点で吊り下げられたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の歩行支援装置。
【請求項4】
弾性伸縮機構が左右いずれかの吊棒の前側に設けられた機構吊下げ点より左右に位置ずれしないように下方に真っ直ぐに延長するように設けられ、巻取部が左右の吊棒の機構吊下げ点の間の下方に位置する装置フレームに設けられ、調整ロープの他端が弾性伸縮機構の下方に位置する装置フレームに設けられたガイドを経由して巻取部に連結されたことを特徴とする請求項3に記載の歩行支援装置。
【請求項5】
左吊棒の前側に設けられた機構吊下げ点に吊下げられた左の弾性伸縮機構と、右吊棒の前側に設けられた機構吊下げ点に吊下げられた右の弾性伸縮機構と、ウォームホイールの回転中心軸と一緒に回転可能なように設けられた左右の巻取部とを備え、左の弾性伸縮機構の調整ロープの他端部と左の巻取部とが連結され、右の弾性伸縮機構の調整ロープの他端部と右の巻取部とが連結されたことを特徴とする請求項3に記載の歩行支援装置。
【請求項6】
吊棒の支点から吊棒の人体吊下げ点までの他端側寸法が、吊棒の支点から吊棒の機構吊下げ点までの一端側寸法よりも長いことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の歩行支援装置。
【請求項7】
人体吊下げ点に吊下げられる使用者が操作可能な範囲に操作部が設置されたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の歩行支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−39273(P2009−39273A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−206680(P2007−206680)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(000001317)株式会社熊谷組 (551)
【出願人】(502281127)株式会社ファテック (83)