説明

歯ブラシ並びにその製造方法

本発明は、本体(12)の内部空間(36)に配置された繰返し充電可能なエネルギー貯蔵体(24)を有する電動歯ブラシ(10)に関する。内部空間(36)は、主シール要素(56)によって、跳ね水および他の有害な作用に対して密封される。外部の電源ユニット(46)のための少なくとも1つの接点要素(28)が、エネルギー貯蔵体(24)に対する電気接続を形成する。この接点要素は、内部空間(36)に配置することができ、この場合には、充電のために主シール要素(56)を取り外すことができる。あるいは、接点要素を、内部空間(36)の外部に配置することもでき、この場合には、補助シール要素(76)によって接点要素を防護するものであってもよい。本発明は、このような歯ブラシの製造方法にも関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の特徴を備えた電動式作動ユニットを有する歯ブラシと、このような歯ブラシの、請求項14の特徴を備えた製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
繰返し充電可能なエネルギー貯蔵体(蓄電池)を備えた電動歯ブラシは周知であり、広く市販されている。大部分の電動歯ブラシでは、電気エネルギーは、充電ステーションからエネルギー貯蔵体へ電磁誘導により伝達される。このことは、例えばスイス国特許第656,987号明細書(特許文献1)に記載されている。この充電方法は、エネルギー貯蔵体と充電ステーションとの間に電気配線による接続を要さないことにより、ユーザーの取り扱いが簡単である(すなわち、充電ステーションに、電気接点を探すことなく簡単に配置できる)点、および、例えば水または歯磨き剤等の、電気接点の汚れや腐食の要因となる外界の影響を受け難い点で有利なものである。誘導充電の欠点は、高い製造コスト、および、高コストの充電回路からなる充電ステーションのために広い空間を要することである。同様に、歯ブラシも、整流装置を備えた少なくとも1つの二次コイルが存在しなければならないため、大きく、重く、かつ、扱い難いものとなる。
【0003】
米国特許第4,827,552号明細書(特許文献2)には、差込型の接点を介して充電可能なエネルギー貯蔵体を有する一般的な電動歯ブラシが開示されている。この接点要素は、電動歯ブラシの底部、したがって、ブラシのヘッド部から滴下する水が蓄積される領域に、保護されることなく配置されており、接点要素の汚れおよび腐食によって、十分な電流が伝達されないおそれがある。
【0004】
【特許文献1】スイス国特許第656,987号明細書
【特許文献2】米国特許第4,827,552号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、動作の信頼性および費用対効果が高く、省スペース化が可能であって、可能な限り簡単に実施できると共に、電動歯ブラシの寸法を最小限に抑えることが可能な充電方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、請求項1の特徴を備えた歯ブラシ、および、請求項14の特徴を備えた製造方法によって達成される。本発明の更なる有利な形態は、従属請求項、本明細書の説明、および添付図面によって明らかとなるであろう。
【0007】
電気機器(例えば、携帯電話)に対する直接充電方式は、それ自体は周知であるが、本発明に従って、濡れた部分の中に存在する電動部品を有する歯ブラシに対しても使用できるように改善される。トランスと整流要素からなるか、または、同期式電子回路からなる電源ユニットを使用して、充電電流が、直接的に、すなわち、接点要素という手段によって電動歯ブラシに伝達される。この歯ブラシには、高コストでかさばる充電回路の代わりに、適切な場合には蓄電池への接続線を備えた、唯一つの接点要素が備えられている。したがって、この歯ブラシは、誘導充電方式による従来の電動歯ブラシよりも、大幅に細くかつ軽くすることができ、取り扱いが容易になる。また、美的要求を満足させるための、設計の自由度も増大する。本発明によれば、都合の良い大量生産部品あるいは標準部品を使用することが可能となり、したがって、家庭の既存の電源ユニットを使用することが可能となる。
【0008】
本発明によれば、歯ブラシの、エネルギー貯蔵体が配置される内部空間は、主シール要素によって密封され、その結果、歯ブラシが目的の用途で使用されている間、水または他の異物の侵入が不可能になる。これによって、エネルギー貯蔵体および電気接点の、汚れおよび腐食が防止される。
【0009】
本発明の第1の変形例では、エネルギー貯蔵体および接点要素は、共に内部空間に配置されており、内部空間は、目的の用途での使用、すなわち歯磨きの間は、主シール要素によって密封される。主シール要素は、少なくとも充電のために接点要素が外部から接続可能となる範囲で、可動なものである。
【0010】
本発明の第2の変形例では、内部空間は、永続的に密封される。すなわち、内部空間は、歯ブラシの目的の用途での使用の間と共に、充電の間も、耐水的に密封されている。主シール要素は、例えば修理作業のために、取り外しできるように設けられていてもよい。ただし、エネルギー貯蔵体は、射出成形によって完全に固定配置することもできる。接点要素は、内部空間の外側に配置されており、その際、例えば閉鎖用のキャップ等の補助シール要素によって、接点要素を密封することも任意に選択できる。
【0011】
内部空間が永続的に密封されている場合、接点要素は、例えば、ハンドル部および/またはネック部の表面の、背面側の領域および/または側面側の領域に配置される。また、接点要素は、切欠き内に配置されて、表面に対して内側に窪んだ位置にあるものであってもよい。このようにして、接点要素は、歯ブラシを(通常、歯ブラシを直立させるかまたは前面側を上方に向けた姿勢で)定置したときに、水滴および流れ落ちる歯磨き剤によって、接点上に残留物が蓄積されることがないように、配置されるものである。それぞれの配置形態において、接点要素の開口部は、水滴の垂れない方向に設けられる。1つまたは複数の所定の定置姿勢を取らせるために、電動歯ブラシには、好ましくは軟質部から形成される幾何学的要素(支持用突起部)を備えた外装部が設けられていることが好ましい。
【0012】
本発明の、特に第1の変形例における有利な発展形において、充電回路ロジックは、充電の間は、電動歯ブラシの作動が不可能なように構成されている。これによって、短絡および内部空間の汚れが防止され、ユーザーの安全性が増大する。
【0013】
歯ブラシは、好ましくは、パッケージ内の姿が一目瞭然となるように包装されている。例えば、電源ユニットおよび/または接点要素が、表示窓を通して見えるようになっている。これによって、購入者が、適切な電源ユニットを自分が既に持っているかどうかを調べることも可能になる。
【0014】
本発明に係る電動歯ブラシの作動部は、例えば、ヘッド部を振動させる振動要素、または、ヘッド部を含むパーツを振動させることが可能な駆動部を含む。例えば、光、音楽、時間に関する他の電力消費体を設けることもできる。また、好ましくは、蓄電池に対する電力消費体のオンおよびオフを切り替えるスイッチング要素を備えている。このスイッチング要素は、機械的スイッチまたは電子的スイッチとすることができる。このスイッチは、ユーザーが作動させるもの(例えば、プッシュ・ボタン、ロータリ・スイッチ、バタフライ・スイッチ、閉鎖体中の接点要素、変位センサ、圧力センサ等)であっても、または、他の外部作用によって作動するものであってもよい。蓄電池は、好ましくは、NiCd(ニッケル・カドミウム)電池またはNiMh(ニッケル水素)電池である。大量生産品である単三電池または単四電池が使用される。電動歯ブラシは、好ましくは、4ボルトよりも低い電圧、さらに好ましくは、1.2ボルトで作動するものである。コスト上の理由から、1個の1.2ボルト蓄電池を使用することが望ましい。蓄電池の放電サイクル毎の最適な持続時間は、少なくとも2時間であるが、少なくとも5時間またはそれ以上であることが好ましい。単四電池を用いてこの持続時間が達成可能な場合、省スペース上の理由から、このサイズが好ましい。振動式のヘッド部を備えた歯ブラシの場合、単四電池の好ましい容量は、300〜800mAhである。回転式のヘッド部を備えた歯ブラシの場合は、単三電池の好ましい容量は、600〜2300mAhである。
【0015】
蓄電池は、特に充電の間に、例えば酸素および/または水素のような爆発性のガスを発生させる場合があるため、内部空間は、水に対して内部空間を防護すると共にガス透過性を有するシール要素によって密封されることが好ましい。好ましくは、硬質部に装着された適切な膜が使用される。
【0016】
本発明に係る電動歯ブラシは、好ましくは、1つまたは複数の構造形成用の硬質部(例えば、PS(ポリスチレン)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)、SAN(スチレン・アクリロニトリル)、PET(ポリエステル)、PA(ポリアミド)、そして、好ましくはPP(ポリプロピレン)からなる)と、少なくとも1つまたは複数の軟質部を含む。軟質部は、好ましくは、使用される硬質部に対して親和性を有するTPE(熱可塑性エラストマー)から形成され、2成分射出成形の間に硬質部に結合されるものである。軟質部は、通常、スイッチ用の可撓性の皮膜部として使用される。この電動歯ブラシは、とりわけ、電気部品を備えた内部空間を含むものであり、この内部空間は、耐水的に密閉される。内部空間は、好ましくは、硬質部および軟質部の成形において、コアプル装置(core puller)によって形成される。
【0017】
本発明のすべての変形例において、電源ユニットが使用される。この電源ユニットは、それを使用する地域の電源(例えば、AC230V、または、AC115V)に接続される。電源ユニットは、好ましくは、そのハウジングに電源プラグが組込まれており、それによって、電源ユニットを直接コンセントに差し込むことができるように構成されている。この場合、4kVのクラスII電源ユニットであって、IP X4(IEC標準60529、DIN40050)に適合するものが使用される。ただし、次善の手段として、コンセントと電源ユニットとの間に電源ケーブルを設けることもできる。この場合には、例えばIP X7等のより高い防護性を備えた電源ユニットを使用する必要がある。電源ユニットは、常に短絡保護されていなければならない。
【0018】
電源ユニットにおいて、その地域のAC供給電圧(例えば、AC50ヘルツ、210〜250ボルト)が、蓄電池を充電するための低いDC電圧に変換される。次いで、ケーブルまたは接点要素によって、電源ユニットから電動歯ブラシへ直流電圧(DC4〜7ボルト)が直接伝送される。充電電流は、好ましくは、蓄電池の容量の10%(C/10)に相当し、約30〜230mAである。この結果、上述した種類の蓄電池の場合、充電時間は、10〜14時間となる。ケーブルは、電動歯ブラシを定置するための手段と、最寄りのコンセント(電源接続)との間の距離を埋めるものである。このケーブル長は、0.5mと2mの間、好ましくは、1.5mである。あるいは、適切な接点要素を使用して、電動歯ブラシを電源ユニットに直接差込むものであってもよい。
【0019】
接点要素として、好ましくは、プラグ/ソケット型のものが使用される。プラグは、好ましくは、電源ユニットのケーブルに装着され、安全のため、外側と内側との間に段差が設けられた中空の内部空間を有している。この構成によれば、プラグを導電性の面上に置いた場合でも、短絡を回避することができる。プラグの接続要素は、おおよそ次のような寸法を有している。すなわち、長さは3〜15mm、好ましくは10mmであり、半径は2〜10mm、好ましくは5.5mmである。
【0020】
ソケットとして構成される接点要素は、好ましくは、電動歯ブラシ上または電動歯ブラシ中に装着される。このソケットは、例えば、ピン等の手段によって、上記プラグに加えて、(例えば、歯ブラシの閉鎖体中の)他の導電部品に接触して接続させることも可能であることが好ましい。このため、このピンは、1〜4mm、好ましくは2.4mmの最小半径を有している。このピンは、好ましくは、モーターおよび蓄電池の正極(+)端子に接続される。好ましくは、接点要素と相互作用する上記導電部品はスイッチであり、このスイッチにより、充電の間に電力消費体の接続を切断して、蓄電池の充電のみを実施するものである。
【0021】
コストを削減するために、差込式の接点要素として大量生産部品を用いることが好ましい。この接点要素の金属面は、通常、(例えば、金、ニッケル、クロム等により)表面被覆されている。ニッケル層により、良好な導電性が得られると共に、特に、低い製造コストでもって、反応性の水/歯磨き剤混合物に対する良好な耐腐食性が得られる。ソケットの寸法は、通常、蓄電池の半径以下に設定され、これによって、内部空間の寸法を最小限に抑えることができる。外形寸法の一例として、単四型蓄電池を使用する場合のソケットの幅/高さは、好ましくは10.5mmよりも小さく、単三型蓄電池を使用する場合の、選択された差込深さに応じた長さは、14.5mmよりも短い。
【0022】
プラグの差込操作には、好ましくは、1〜10mmおよび/または10〜180°の、ソケットに対するプラグの所定の動き(平行移動、回転、またはそれらの組み合わせ)が伴うものである。この動きによって、汚れおよび腐食に対して、接点の表面をある程度磨くことが可能となり、その自己清浄化作用によって、接触接続が容易になる。同様に、差込操作の間は、接触して接続する面間に、(例えば、一方の接触接続面の他方の接触接続面に対するバネ作用によって、)ある程度の圧力が発生するため、それによって、汚れを効果的に擦り落とすことができる。このように、プラグの差込操作は、接触して接続する面同士の相対的な動きと圧力の組み合せを伴って、実施されることが好ましい。差込深さの終端部において、プラグとソケットは係合するように構成されており、これによって、プラグの自発的な解除や、プラグとソケットの間の接触の緩みの発生が回避される。プラグを解除するために必要な力は、好ましくは、電動歯ブラシ全体のプラグの引き抜き方向にかかる自重よりも大きい。ソケットは、その担体(例えば、印刷回路基板)に、嵌合によって係止されており、したがって、プラグの差込力が、例えば半田付けされた電気接点にかかることはない。
【0023】
上述したような差込操作では、ある程度の力が作用するため、電動歯ブラシの脆弱な構成要素が損傷を受けないようにする必要がある。特に、この力によって、ブラシ毛が押しつぶされることも、または、撓むこともなく、あるいは、ネック部の制振手段が変形しないようにする必要がある。このため、接点要素を、ハンドル部上またはハンドル部中に配置する必要があり、この際、ハンドル部には、片方の手でそれを容易に保持できるだけの十分な領域が残されている必要がある。この観点から、接点要素は、ハンドル部の端部に配置することが望ましい。加えて、プラグの差込操作の間に電動歯ブラシを保持すべきハンドル部の保持部分を、ユーザーに対して明瞭に示す必要がある。この目的のために、窪み、突起部、表面のテクスチャ構造等の幾何学的要素、および/または、軟質材料を使用した領域、および/または、適切な刻印を使用することができる。
【0024】
プラグの差込方向は、ハンドル部の長手軸に対して−90°〜90°の角度をなすことが望ましく、さらに望ましくは、この長手軸の方向に差込操作が実施されるものである。これによって、上述したように、片方の手で、差込力を最も効果的に吸収することができる。
【0025】
プラグの差込操作は、接点要素が回転対称性を有しており、好ましくは、その断面形状を円とすることによって容易化することができる。この場合、接点要素同士の相対的な配置は重要ではないため、ユーザーがそれを探る必要はなく、差込方向のみが正しければよい。本発明の様々な変形例において、差込方向は、好ましくは、閉鎖体の開口方向に対して平行であるかまたは垂直である。
【0026】
電動歯ブラシに対する接点要素の配置形態は、汚れ易さ、内部空間の密封態様、充電の間のプラグの差込操作、および、電動歯ブラシの使用感の観点から、非常に重要なものである。汚れに関していえば、電動歯ブラシを、その使用後に定置したときに、歯磨き剤の残留物が接点要素上に蓄積されないように、接点要素を配置する必要がある。電動歯ブラシには、その外装部に、好ましくは軟質材料からなる幾何学的要素が設けられており、それによって、ユーザーが歯ブラシを使用後に定置する姿勢を明確に規定することが好ましい。加えて、電気的な接点要素は、歯ブラシを使用後に定置した際に、水滴または歯磨き剤が蓄積されない位置に設ける必要がある。1つ、あるいは、必要な場合には複数の、所定の水平定置姿勢に加えて、本願発明には、歯ブラシを直立させて定置する場合に、歯ブラシ立て(コップ)を使用すること、または、ハンドル部を平坦にすることも含まれる。それぞれの配置形態において、接点要素(例えば、ソケット)の開口部は、水滴の垂れない方向に設けられることが好ましい。
【0027】
接点要素の配置についてのさらなる判断基準は、歯ブラシの使用感の快適性である。上述した接点要素は、少なくとも部分的には金属部品からなるため、電動歯ブラシの使用中に、磨き圧力(約100g〜1kg、平均300g)によって、歯ブラシを操作する手が接点要素による圧迫を受けないような配置が選択されるものである。一変形例では、この目的のために、接点要素を、歯ブラシの表面の、歯ブラシ内に僅かに窪んだ位置に配置すると共に、ある程度の弾性作用を有する軟質部によって覆うか、または、軟質部中に埋め込むものである。このような、柔軟な取り付け方法によれば、プラグの差込方向を正確に維持する必要がないため、差込操作および引抜操作を容易に行うことができる。この場合、接点要素は、好ましくは、ハンドル部の側面または背面側に取り付けられる。しかしながら、より好ましくは、接点要素を、歯ブラシの内部空間または外部との境界部分に組み入れると共に、主シール要素(例えば、軟質部または硬質部、あるいは、それらの組み合せからなる防護用プラスチック層)によって密封するものである。この変形例では、ハンドル部の表面は、プラスチックによって完全に覆われているため、歯磨きの間に圧迫されることはない。同様に、接点要素の汚れに対して、より優れた防護性を有するものとなる。
【0028】
内部空間および接点要素の密封に関しては、上述したように、次のような形態が適用される。
【0029】
(i) 接点要素は、電動歯ブラシの内部空間の、ユーザーによる操作が容易に実施可能な位置、好ましくは、ハンドル部と閉鎖体との分離ラインの直近に、配置される。接点要素を含む内部空間全体が、主シール要素(例えば、閉鎖体)の閉鎖操作によって密封される。主シール要素は、電動歯ブラシと同一の硬質部および軟質部、あるいは、場合によっては軟質部のみから、電動歯ブラシと一体の作業で形成することができる。歯ブラシのハンドル部と主シール要素との間に、例えば薄板ヒンジとして構成される永続的な結合部を設けることも任意に選択できる。接点要素は、プラスチックからなる硬質の担体上か、または、印刷回路基板上に固定され、例えば印刷された導電体またはケーブル等によって、蓄電池に電気的に接続される。この硬質の担体には、例えば、スイッチ、駆動部、および蓄電池等の他の機能部品が固定されていてもよい。この担体は、好ましくは、印刷回路基板からなり、そこに接点要素が固定されると共に、蓄電池、および、例えば印刷された導電体また抵抗器のような別の回路要素を備えるものである。このような、いわゆる蓄電池サブアセンブリは、自足的なシステムであり、その外部に対して、プラグ差込用の接点要素を備えた繰返し充電可能な電池として機能するものである。このサブアセンブリは、従来の使い捨て型電池と同様に使用することができる。エネルギー貯蔵体の端子には、直接的に、または、接点要素を介して、外部から接続することができる。
【0030】
電動歯ブラシの、最適な製造上の管理性を達成するために、接点要素と蓄電池は、担体上に、一列に(すなわち、一方の後に他方が並ぶように)配置するものである。したがって、内部空間の半径は、蓄電池と担体とを合わせた分の大きさに略相当するものとなる。単四型蓄電池を使用する変形例では、その蓄電池と担体について、単四型蓄電池の半径と担体の厚みは、単三電池の半径に略相当する。したがって、上述したような最小構成の蓄電池サブアセンブリは、ほとんど費用をかけることなく、単三電池に置き換えることができる。したがって、本発明に係る電動歯ブラシは、僅かの変更(例えば、長さの差を埋めること)により、使い捨て型の単三電池を使用して作動させることができる。さらに、繰返し充電可能な電動歯ブラシの製造と、使い捨て型のエネルギー貯蔵体を用いた電動歯ブラシの製造には、同一の射出成形を使用することができる。
【0031】
この変形例の場合、内部空間が開放されるのは蓄電池の充電時のみであるため、接点要素が汚れる危険性はない。この変形例では、内部空間の開放時(例えば、充電の間)には、この状態では内部空間は密封されていないため、電動歯ブラシが確実に使用できないようにすることが好ましい。また、好ましくは、他の機能部品(例えば、駆動部、蓄電池等)は、(例えば、組み付けられたプラスチック部材、または、プラスチック製の粘着ラベルを用いた)必ずしも耐水的ではない遮蔽体によって、覆われているものである。この遮蔽体は、ユーザーに対して、この遮蔽体に覆われていない接点要素をはっきりと見せると共に、ユーザーを混乱させる可能性がある他の機能部品は見えないようにしつつ、充電の間の跳ね水に対する防護を与えるものである。好ましくは、遮蔽体は、この遮蔽体を蓄電池サブアセンブリに結合する係合手段(例えば、スナップ作用を備えた突起部)を有している。さらに、遮蔽体には、蓄電池サブアセンブリを、歯ブラシのハンドル部の硬質部に対して半径方向に固定するスナップ作用要素が設けられていてもよく、これによって、(遮蔽体を備えた)蓄電池サブアセンブリの脱落を防止することができる。
【0032】
(ii) 電動歯ブラシの内部空間は、主シール要素によって、接点要素に対して密封されている。接点要素自体は、覆いを有することも、密封されることもなく、外部環境と自由に連通している。この変形例では、接点要素の汚れおよび腐食に対する危険性は増大するが、ユーザーは、例えば閉鎖体またはシール要素の取り外しのような余分な操作から免れることができる。十分な密封を達成するために、主シール要素は、一体に成形されるかまたは別体に設けられたシール(例えば、Oリング)を備えたハウジング部によって構成することができる。ただし、製造上の理由から、接点要素は、好ましくは、硬質部に嵌合により配置された後に、軟質部によりオーバーモールドおよび/または封入されて固定されており、したがって、電動歯ブラシの内部空間から密封されている。接点要素は、歯ブラシの内部空間に存在する別の電気部品(例えば印刷回路基板または蓄電池等)に、直接的にまたは電気的接続要素(例えば、被覆撚り線)を介して接続するものである。
【0033】
上記(ii)に記載した変形例は、接点要素を外部環境に対して密封する補助シール要素を追加することによって、拡張することができる。この場合、外側の補助シール要素を開放するだけで、電動歯ブラシを充電することができる。内部空間は、充電の間および使用の間のいずれの状態においても、完全に密封されている。ユーザーが主シール要素を開放できるようにはなっていない。この変形例では、場合によっては、充電の間に、すなわち、接点要素を差し込んだまま、電動歯ブラシを使用することも可能である。補助シール要素は、追加のカバーまたは柔軟に変形可能なシールリップとして構成されるものであってもよい。また、補助シール要素は、好ましくは、使用可能な軟質部を用いて形成されるものである。コスト上の理由から、補助シール要素は、歯ブラシが備える硬質部または軟質部と一体の作業で製造されることが望ましい。このようなシール要素を、例えば薄板ヒンジまたは弾性材料からなる可撓性の接続要素によって、電動歯ブラシのハンドル部に固定的に連結することもできる。これによって、充電の間に補助シール要素を紛失することが防止される。
【0034】
蓄電池サブアセンブリは、少なくとも、蓄電池、抵抗器、および、例えば印刷回路基板として構成される担体、を含むものである。接点要素を射出成形によって本体(閉鎖体、ハンドル部)に配置固定しない場合には、この接点要素も、蓄電池サブアセンブリの構成要素とすることが好ましく、これによって、1つまたは複数の使い捨て型電池と置き換えることが可能となる。このサブアセンブリは、必要な場合には、例えばスイッチング要素、タイマー機能部、モーター、LED等の追加の部品によって、補足されるものであってもよい。抵抗器は、蓄電池の過充電を防止すると共に、電源ユニットからの一定の充電電流を許容するものである。好適な出力(無負荷時の出力がDC7V、負荷接続時230mAでの出力がDC4V)を有する電源ユニットを様々な電池容量に対して使用する場合の、特定の変形例における低抗値の例を、次表に示す。
【0035】
【表1】

【0036】
蓄電池を損傷することなく、より大きな充電電流を伴う他の電源ユニットを使用することを可能とするために、抵抗値は、必要な値よりも多少高めに設定することが好ましい。
【0037】
充電回路ロジックは、充電方法全体の基本的な構成要素である。本発明に従う構成により、蓄電池の十分な充電を実施すると共に、内部空間の密封態様に応じて、電動歯ブラシの様々な作動状態の間に、様々な作動制限を実現することが可能となる。この点については、図12a〜12hを参照して、後述する。
【0038】
本発明のさらなる有利な変形例において、電動歯ブラシには、例えばスタンドとして構成されるホルダーが備えられている。ホルダーに差し込まれた電動歯ブラシは、その接点要素が、水の流れ方向または滴下する箇所に配置されることのないように、定置される。また、充電は、ユーザーがホルダーを所有していない場合にも可能なものである。ホルダーは、純粋に機械的なものであってもよい。すなわち、ホルダーは、電動歯ブラシを支持および定置する補助具として機能し、電気部品を含まないものであってもよい。この変形例では、電動歯ブラシをホルダーに定置したときに、接点要素に対して自由に接続可能である必要がある。別の変形例では、ホルダーは、例えばタイマー、充電状態ディスプレイ、充電容量ディスプレイ、音楽用のデバイス等の電気的要素を含んでいる。これらの追加的な電気的要素に対しては、好ましくは、電動歯ブラシと同一の接点要素によって電力が供給される。すなわち、これらの電気的要素は、電動歯ブラシと同一の作動電圧で動作するものである。さらに別の変形例では、ホルダー自体が追加的な蓄電池を備えている。このようなホルダーは、単に中継のための電気的要素であって、使用しても使用しなくてもよい。この変形例において、旅行の際には、電動歯ブラシを、電源ユニットから直接充電することもできる。したがって、ホルダーは、電源ユニットおよび電動歯ブラシと同一の差込接点を有している。補助シール要素を使用した変形例の場合には、ホルダーの差込接点に加えて、補助シール要素に対応する空間(例えば、窪み部)を設けることが望ましい。ホルダーは、電気的機能(例えば、計時機能)を始動させるために、電動歯ブラシのホルダーへの配置またはホルダーからの取出を検出する手段を含むことが好ましい。電動歯ブラシの存在は、ユーザーの操作または歯ブラシの配置により始動する、機械的に作動するプッシュボタンによって検出される。また、歯ブラシの存在は、充電電流/充電電圧の電子回路による分析によって検出されるものであってもよいが、この場合、コストは上昇する。
【0039】
特に、差込接点を備えたホルダーの場合には、かなりの差込力が作用するため、ホルダーは、それが載置される面に対する固定手段を備えるものであってもよい。これは、追加の重りを組み込むか、または、固着要素(例えば、吸盤)を使用することによって達成できる。このような固着要素に軟質材料を使用する場合には、他の目的(例えば、プッシュボタンを覆う皮膜部、内部空間の電気部品を密封するシール要素、ハンドル部の操作のための窪み部、ホルダーの可動部)に使用されるものと同一の軟質材料を使用して、これらを一体の作業で形成することが望ましい。
【0040】
歯ブラシの充電が必要なのは、多数回の歯磨きサイクルの後のみであるため、ホルダーは、好ましくは、電動歯ブラシに対する2つの配置態様を有するものである。それらの一方は、充電のための配置態様(歯ブラシは電気的に接続される)であり、他方は、歯ブラシを電気的に接続することなく、単に定置するための配置態様である。
【0041】
市販用のセットには、電源ユニットを含む歯ブラシが含まれており、場合によっては、変形例に応じて、交換用ヘッド部/着脱式ヘッド部を備え、さらに、ホルダーを備えることも任意に選択できる。歯ブラシが繰返し充電可能なものであることがユーザーに分かるように、電源接続に対する接点要素および電動歯ブラシに対する接点要素を含む電源ユニットを、透明のパッケージ中に見えるように包装することが好ましい。また、電動歯ブラシの充電方法がユーザーに直ちに認識されるように、開放状態の主シール要素または補助シール要素が見えるように包装することも任意に選択できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
本発明の例は、以下で説明されると共に、添付図面に図示されている。図面は、純粋に概念的なものである。
【0043】
図1および図3〜10は、本発明に従う様々な歯ブラシ10を示すものである。それぞれの場合において、歯ブラシ10の本体12は、ブラシ毛に覆われたヘッド部16、ハンドル部14、および、それらの間に配置されたネック部18を含んでいる。ヘッド部16は、全長の約5%〜20%を構成し、ネック部18は、ハンドル部14に対して先細りになると共に全長の約15%〜50%を構成し、ハンドル部は、全長の約40%〜80%を構成している。閉鎖体40は、ハンドル部14の構成要素であり、様々な変形例に応じて、ハンドル部の長さの10%〜70%を占める。
【0044】
それぞれの場合において、本体12は、電動式作動ユニット22を備えた作動部20を含んでおり、図示の例では、電動式作動ユニットは、ヘッド部および/または植毛板を振動駆動(図1および図7〜9)または回転駆動(図3〜6および図10)するためのモーターである。それぞれの歯ブラシ10は、繰返し充電可能なエネルギー貯蔵体24(蓄電池)および接点要素28を含んでいる。これらは、印刷回路基板38上に実装されており、この印刷回路基板は、ハンドル部13の内部空間36に配置されている。内部空間36には、弾性的な接続要素88に合体されたスイッチ34も配置されており、この接続要素は、組み付け状態において、エネルギー貯蔵体24の端子に接触して接続するものである。
【0045】
印刷回路基板38は、嵌合および圧入(form-fitting and press-fitting)によって電動歯ブラシの硬質部に連結可能な手段104を有している。図示した例では、弾性的なスナップ作用を有する突出部104(図1h)が、接点ブリッジ54の背後に係止されるものである。印刷回路基板38は、0.5〜3mm、好ましくは1mmの厚みを有している。多くの変形例において、印刷回路基板38は、その上に実装された部品と共に、電動歯ブラシ10の背面側から内部空間36に組み入れられる。
【0046】
図2は、比較例として、電池によって構成される再充電不能なエネルギー貯蔵体26を備えた歯ブラシを示すものである。この歯ブラシの構成および作用は、本出願の優先日前には公開されていなかった国際特許出願であるPCT/EP03/09681号に記載されている。この歯ブラシの外面的な構成および作動ユニット22の組み付けは、図1a〜1cに示す歯ブラシと同様な方法で実現される。また、蓄電池24、接点要素28、印刷回路基板38、および、接続線からなる蓄電池サブアセンブリ108(図1h)と、電池26との長さの差は、様々な長さの弾性接続要素88によって補償することができる。したがって、有利なことに、本発明に係る電動歯ブラシと、同一の歯ブラシ本体、同一の製造ツール、および、ほぼ同一の製造工程を使用することができる。スイッチ34を、蓄電池サブアセンブリ108の印刷回路基板38上に配置することも任意に選択可能である。
【0047】
以下、図1a〜1gに示す歯ブラシ10について、本願発明の理解のために必要な範囲のみを説明する。本体12および作動部20の構成および製造に関しては、PCT/EP03/09681号を参照されたい。
【0048】
印刷回路基板38上には、蓄電池24、および、標準のソケットにより構成される接点要素28が実装されている(図1h)。接点要素28は、印刷回路基板38上に、固定要素106を用いて嵌合(form-fitting)により固定される。蓄電池サブアセンブリ108は、内部空間36の、2つの部分からなる本体12のうち第1のハウジング部62に押し込まれる。内部空間36は、閉鎖体40として構成される第2のハウジング部64を定位置に配置することによって閉鎖される。2つのハウジング部の間には、シール58が配置されており、このシールは、閉鎖体40上、あるいは、好ましくはハンドル部14の硬質部30に、一体に成形されている。シール58は、好ましくは、軟質材料と硬質材料からなる本体12の、軟質部32と同一の材料からなるものである。硬質部30は、ハウジングに安定性を与える構成部分を形成するために用いられ、一方、軟質部32は、その他の要素、例えば、弾性的なネック部14、ハンドル部14の滑り止め用コーティング、ヘッド部16のクリーニング要素、所定の定置姿勢を形成するための支持要素102、作動ユニット22を埋め込むための部分、蓄電池24に対する衝撃を和らげるための制振要素等を形成するために用いられる。軟質部から形成されるすべての要素は、好ましくは、一体の作業で一体に成形され、特に、その際に同一の材料が使用されるものである。
【0049】
図1bに示すように、閉鎖体40は、シール58と共に主シール要素56として機能し、それによって、歯ブラシの通常の使用の間に、水および他の異物の侵入に対して内部空間36を密封するものである。図1cおよび図1dには、開放状態が示されており、この状態において、電源ユニット46(図13参照)のプラグ44は、接点要素28に接続可能となる。閉鎖体40は、バヨネット式、ねじ込み式、または、スナップ式のキャップとして第1のハウジング部62に配置されている。また、この閉鎖体を、第1のハウジング部62に装着される固定リング50に、薄板ヒンジ42を介して連結することも任意に選択できる。ハンドル部には、固定リング50を継ぎ目なく確実に係止するために、対応する凹部が設けられている。
【0050】
図1eは、内部空間をその長手方向から見込む図である。図1eに示すように、内部空間36は、開放状態において、シール要素としては機能しない遮蔽体60(図1f)のみによって覆われている。この遮蔽体の好適な実施形態は、図14a〜14eを参照して後述する。図1iには、遮蔽体60がない状態が示されている。このように、充電の間には、水が侵入する可能性があるため、次のような手段によって、スイッチ34の状態によることなく、閉鎖状態においてのみ作動部20が作動可能となるようにするものである。図12a〜12eに示すように、手動開始用のスイッチ34は、もう1つのスイッチ70に直列に接続されており、このスイッチ70は、第1のハウジング部62中の接点ブリッジ54に接続する、閉鎖体40中の接点ストリップ片48によって形成される。接点ストリップ片48は、閉鎖体40を部分的に示す図1gに図示されている。閉鎖状態において、接点ストリップ片48は、接点要素28のピン90と接点ブリッジ54との間を導通させ、それによって、作動ユニット22は基本的に作動可能な状態となる。電源ユニットの接点要素44が差し込まれたときには、接点ブリッジ54は、接点要素44の非導電性の部分に接触するのみであり、その結果、スイッチ70は開いた状態である。
【0051】
同様に、スイッチ34’を閉鎖体40に組み込むことも任意に選択できる。このスイッチ34’は、オン/オフ用のスイッチ34の代替手段として使用することも、または、スイッチ34に加えて取り付けた場合には、別の作動状態を形成するために使用することもできる。この種の閉鎖体については、図15a、15bを参照して後述する。
【0052】
閉鎖体40は、開口部92と膜52を含んでおり、水に対しては十分な防護を形成しながら、作動中に発生したガスを脱気することができる。
【0053】
歯ブラシの製造工程において、内部空間36は、金型コアによって硬質部内に形成され、ハンドル部14の背面側から軸方向に離型される。表面、凸部、および凹部は、ここで成形され、これらは、スイッチング要素34、蓄電池サブアセンブリ108、およびモーターサブアセンブリ22の組み付けに使用される。蓄電池サブアセンブリ108は、バネ要素88によって、軸方向に撓み性を有するように取り付けられる。軟質材料からなる制振要素(図示省略)は、好ましくは、半径方向に設けられる。印刷回路基板38は、1つまたは複数のスナップ作用要素104を有しており、このスナップ作用要素は、蓄電池サブアセンブリが硬質部の対応する凹部に押し込まれると、接点ブリッジ54の一方または両方の脚部の背後に係止されるものである。接点ストリップ片48とソケット28のピン90は、バヨネット式キャップである閉鎖体が回転されたときに、接点ストリップ片48が予備圧力を伴いつつピン90と接触するように配置される。ソケットのピン90は、好ましくは、閉鎖体40の回転軸上に配置される。
【0054】
閉鎖体40は、第1のハウジング部62と同様に、硬質部または軟質部、あるいはそれらの両方の組み合わせから形成される。固定リング50は、好ましくは閉鎖体と一体の作業で形成される。また、この固定リングは、好ましくは、他の軟質部と同一の材料からなり、内部空間の閉鎖/開放のための回転に損傷なく適合可能とするために、可撓性および弾性を有するように構成される。固定リング50と閉鎖体40とを結合する架橋部品42は、好ましくは、歯ブラシの使用時にユーザーの手を圧迫しないように、歯ブラシの側方側または下側に設けられる。
【0055】
蓄電池サブアセンブリは、単四電池24を有している。ただし、内部空間36の半径は、このサブアセンブリの代わりに、使い捨て型単三電池26にも適合可能なように構成されている。したがって、このような電池作動式の歯ブラシの製造に容易に切り替えることができる。単四電池を備えた蓄電池サブアセンブリと単三電池との間の長さの差を補償するために、閉鎖体40中の接点ストリップ片48、スイッチング要素34、または、スイッチング要素34の、バネ要素88として構成される延長部分が、適宜延長される。主シール要素56の実際のシール58は、軟質材料であるか、あるいは、第1のハウジング部62または閉鎖体40上の別体のOリングである。
【0056】
このような歯ブラシを製造するために、次のようなサブアセンブリが準備される。1.振動ユニット、接続線、接点ピン、および接点ブリッジ54を備えたモーターサブアセンブリ22。2.脱気用の膜52、接点ストリップ片48、および固定リング50(任意選択)を備えた閉鎖体40。3.スナップ作用要素104を有する印刷回路基板38、抵抗器R、蓄電池24、接点要素28、および遮蔽体60(任意選択)を備えた蓄電池サブアセンブリ108。4.バネ要素88を備えたスイッチ34。5.ブラシ毛を備えたヘッド部16。
【0057】
組み立ては、次のような工程で実施される。
1.歯ブラシの硬質部30。
2.モーターサブアセンブリ22の硬質部30への組み付けおよび固定。
3.歯ブラシの軟質部32(モーターサブアセンブリ22へのオーバーモールドにより、 スイッチの皮膜部、保持領域、支持要素102、シール要素、軟質/弾性クリーニ ング要素(任意選択)、制振要素、ネック部の可撓領域等を形成する)。
4.スイッチング要素34の組み入れ、および、電動歯ブラシの硬質部30への固定。
5.遮蔽体を備えた蓄電池サブアセンブリ108の、硬質部30の凹部への組み入れ、お よび、接点ブリッジ54の脚部の背後での係止。次いで、作動試験の実施(任意選 択)。
6.閉鎖体40の組み付け(この際、固定リング50の使用を任意に選択できる)。
7.ヘッド部の組み付け。
8.包装。
【0058】
図3a〜3dは、本発明に従う歯ブラシの別の一例を示す図である。この歯ブラシは、回転式のヘッド部と、それに応じた駆動ユニット22とを有している。閉鎖体40は、第2のハウジング部64として形成されており、エネルギー貯蔵体24に適合して、ハンドル部14のかなりの部分を占めるものである。接点要素28は、内部空間36の、ハンドル部14のほぼ中央部に配置されている。第1および第2のハウジング部62、64は、ねじ山66を介して互いに螺合されている。閉鎖体40が開く距離は、適切な手段により制限されている。したがって、閉鎖体40は、それを回転させることによって、充電のために限定された距離だけ開くことができるものであり、ユーザーが閉鎖体40を完全に取り外すことは意図されていない。この距離は、少なくとも接点要素28の大きさにほぼ該当するものである。電源ユニット46の接点要素44は、歯ブラシの前面側にある接点要素28に、歯ブラシ10の長手軸Lに対して直交するように差し込まれる。別の手段として、ハンドル部62にスナップ作用により係止されるスライド式の閉鎖体を設けることもできる。
【0059】
この例においても、閉鎖体40の閉鎖時に自動的に閉じられるスイッチ70が設けられている。好ましくは、屈曲バネ部68が印刷回路基板の端部に装着されており、このバネ部が、閉鎖体40によって蓄電池の端子に対して付勢されることによって、スイッチ70として機能するものである。この目的のために、閉鎖体40は、その内部に、長手軸L上に配置された突起部110を有しており、閉鎖状態において、回転位置によらずバネ部68を押圧するものである。
【0060】
本発明に従って、エネルギー貯蔵体24および接点要素28を備えた内部空間36は、第2のハウジング部64として構成された主シール要素56、および、適切な場合には追加のシール要素(軟質材料またはOリング)によって、耐水的に密閉される。
【0061】
このような歯ブラシを製造するために、まず、次のようなサブアセンブリが準備される。1.モーター、シール、およびガイドを備えたモーターサブアセンブリ22。2.突起部110を備えた閉鎖体40。3.印刷回路基板38、スイッチ70、抵抗器R、蓄電池24を備えた蓄電池サブアセンブリ108。4.ヘッド部16を備えた着脱式ブラシ。
【0062】
製造/組み立ての残りの部分は、次のような工程で実施される。
【0063】
1.歯ブラシの硬質部30。
2.歯ブラシの軟質部32(スイッチの皮膜部、保持領域、支持用突起部、シール要素、 軟質/弾性クリーニング要素(任意選択)、制振要素、ネック部の可撓領域等を形成 する)。
3.モーターサブアセンブリの硬質部への組み付けおよび固定。
4.蓄電池サブアセンブリ108の、硬質部30の凹部への組み入れおよび係止。ここで 、差込接点または配線94により、モーターサブアセンブリへの電気的な接続を形成 する。
5.閉鎖体40の組み付け。
6.着脱式ブラシの組み付け。
7.包装。
【0064】
図4a〜4cには、図3a〜3dに示した例と類似する例が示されている。ただし、この例では、歯ブラシを立てた状態で充電可能にするために、閉鎖体40は相当に短く、かつ、その端部は平坦である。接点要素28は、ハンドル部14の後端部に配置されている。モーターアセンブリ22、34と蓄電池サブアセンブリ108を印刷回路基板38によって接続し、単一のサブアセンブリを形成することも任意に選択できる(図4c)。印刷回路基板38は、スイッチング要素70を有し、このスイッチング要素は、内部空間36が閉鎖体40によって閉鎖されるときの回転によって閉じられる。2つのバネ部70a、70bは、好ましくは、印刷回路基板38の閉鎖体側の端部に装着されており、これらのバネ部は、閉鎖体40によって互いに押圧されて、回路を閉じるものである。製造および組み立てについては、図3a〜3dに示した例と同様のものである。
【0065】
スイッチ70は、接点要素28と分離して閉鎖体40に配置することもできる。
【0066】
図5a〜5cは、図3a〜3dおよび図4a〜4cに示した例に類似する、回転型の着脱式ブラシを備えた電動歯ブラシの例を示すものである。この例では、接点要素28およびエネルギー貯蔵体24は、印刷回路基板38と共に閉鎖体40に配置されている。この閉鎖体は、充電のために第1のハウジング部62から完全に取り外すことができ、それ以外の場合は、第1のハウジング部に、ねじ込まれるか、差し込まれるか、または、スナップ作用により係止されている。閉鎖状態では、好ましくは第1のハウジング部62の別の印刷回路基板38’上に配置された2つの接点バネ72が、蓄電池24の端子および/または蓄電池上に配置された接点要素28のピン90に、接触して接続する。したがって、これらの構成要素は、スイッチ70として機能し、閉鎖状態において、蓄電池サブアセンブリ108とスイッチ34を備えたモーターサブアセンブリとを導通させるものである。
【0067】
印刷回路基板38上の蓄電池サブアセンブリは、1つまたは複数のスナップ作用要素を有しており、サブアセンブリが閉鎖体40の硬質部中の対応する凹部に押し込まれると、このスナップ作用要素が係止される。蓄電池サブアセンブリは、好ましくは1つの単三電池を有している。閉鎖体40の内部空間36の半径および/または蓄電池サブアセンブリに対応する凹部の半径は、このサブアセンブリの代わりに、2つの使い捨て型単三電池にも適合可能なように構成されている。したがって、使い捨て型単三電池を用いた歯ブラシの製造に容易に切り替えることができる。
【0068】
内部空間36を閉鎖するための主シール要素56は、好ましくはシール58と共に、閉鎖体40によって実現されており、シール58は、軟質材料、あるいは、電動歯ブラシ上または閉鎖体40上のOリングとして構成されている。
【0069】
製造/組み立てについては、蓄電池サブアセンブリが閉鎖体中の凹部に組み入れられて係止される点を除いて、上述した例と同様のものである。
【0070】
図6a〜6dは、図5a〜5cに示す電動歯ブラシの変形例を示すものであり、この変形例では、蓄電池サブアセンブリ108が本体12のハンドル部に配置されている。上述の例と同様に、接点要素28およびエネルギー貯蔵体24は、上下に重ねられて配置されている。閉鎖体40は、導電的に互いに接続される2つのバネ要素72のみを含んでいる。閉鎖体の閉鎖状態では、これらのバネ要素が、蓄電池の端子と接点要素28のピン90とを短絡する。この変形例では、内部空間36は、使い捨て型単三電池の使用ために十分な寸法を有しているため、使い捨て型単三電池を用いた製造工程に容易に切り替えることができる。この閉鎖体にも、図15a、15bを参照して後述する追加のスイッチ34’を設けることができる。この場合には、バネ要素72は、接点ストリップ片48と同様に、スイッチ34’を介して分岐するものとなる。
【0071】
図7a、7bは、振動ユニット22、繰返し充電可能なエネルギー貯蔵体24、および、接点要素28を備えた電動歯ブラシを示す図である。基本的な構成は、図1に対応するが、図1に示した例とは異なり、ハンドル部14中の内部空間36は、主シール要素56によって永続的に閉鎖されている。この例において、主シール要素56は、閉鎖体40として構成される第2のハウジング部64によって形成され、第1のハウジング部62に永続的に結合されて、第1のハウジング部と共に、内部空間36の境界を形成するものである。閉鎖体40は、硬質部および軟質部30、32からなる。接点要素28と、接点要素28からエネルギー貯蔵体24および/または印刷回路基板38への接続線94は、軟質部32に埋め込まれている。接点要素28は、閉鎖体40の硬質部に完全に固定され、軟質部のオーバーモールドにより封入されている。接点要素28は、基本的に、オーバーモールド成形時の射出圧力および温度に耐え得る硬質材料(例えば、金属)からなる。閉鎖体40は、例えば溶接(溶着)またはスナップ作用結合により、第1のハウジング部62に対して永続的に結合されている。
【0072】
接点要素28は、凹部74内に配置されている。この凹部は、好ましくは、電源ユニットの接点要素44と相補的な形状を有しており、歯ブラシ10の長手軸に沿った方向を向いている。ただし、この方向は、最大で+/−90°までの角度を有していてもよい。また、閉鎖体40には、脱気用の膜52を備えた開口部92が設けられている。
【0073】
図15a、15bを参照して後述する例に従ったスイッチ34’により、スイッチ70を形成することもでき、これによって、付着された閉鎖体を伴うスイッチ72を作動させることができる。
【0074】
凹部74は、通常作動時には、充電時には取り外すことができる補助シール要素76によって覆われることが望ましいが、必ずしもこの態様には限定されない。補助シール要素は、凹部74を補完する形状を有していることが望ましく、薄板ヒンジ42によって実際のブラシ本体12に連結されている。補助シール要素76がこのような形状を有していることによって、特定の状況下で凹部74に蓄積された物質は、閉鎖時に排除される。
【0075】
製造のために、次のようなサブアセンブリが準備される。1.振動ユニット、接続線、および接点ピン112を備えたモーターサブアセンブリ22。2.脱気用の膜52、接点要素28、および、必要な場合には接続線94を備えた閉鎖体40。3.印刷回路基板38、抵抗器R、および蓄電池24を備え、接点要素28は備えていない蓄電池サブアセンブリ108。4.スイッチ34。5.ブラシ毛を供えたヘッド部16。
【0076】
組み立て工程は、次の通りである。
1.歯ブラシの硬質部30。
2.モーターサブアセンブリ22の硬質部30への組み付けおよび固定。
3.歯ブラシの軟質部32(モーターサブアセンブリ22へのオーバーモールドにより、 スイッチの皮膜部114、保持領域、支持用突起部102、シール要素、軟質/弾性 クリーニング要素(任意選択)、制振要素、ネック部の可撓領域等を形成する)。
4.スイッチング要素34の組み入れ、および、その電動歯ブラシの硬質部30への固定 。
5.蓄電池サブアセンブリ108の、硬質部の凹部への組み入れ。次いで、作動試験の実 施(任意選択)。
6.閉鎖体中の接点要素28とエネルギー貯蔵体24との間を導通する電気接続の形成。
7.閉鎖体、蓄電池サブアセンブリ、および、モーターサブアセンブリの組み付け。
8.ヘッド部の組み付け。
9.包装。
【0077】
図8は、電動歯ブラシのさらに別の例を示す図である。接点要素28は、ハンドル部14に埋め込まれて歯ブラシの背面側に配置されており、その差込方向は、長手方向である。内部空間36は、硬質部30からなる主シール要素56によって閉鎖されている。接続線94は、軟質部32に埋め込まれていてもよい。電源ユニットの接点要素44のための凹部74、および、脱気用開口部92は、歯ブラシの底部側の端面98に配置されている。この端面98は、閉鎖用キャップ96によって覆うこともでき、このキャップは、硬質部のみからなるものであってもよい。閉鎖用キャップ96は、接点要素28を異物に対して防護するための補助シール要素76として機能する。
【0078】
この例における製造工程は、図7a、7bに示した例の場合と同様のものであるが、接点要素28がハンドル部14に直接埋め込まれて、その軟質部32に封入される点で相違するものである。このための工程は、好ましくは、モーターサブアセンブリの埋め込み工程と一体の作業で実施される。
【0079】
図9は、主シール要素56を備えると共に補助シール要素76の具備を任意に選択可能な歯ブラシのさらに別の例を示す図である。凹部74は、本体12の背面側86に配置されており、長手軸に沿った方向を向いている。内部空間36は、閉鎖体40によって永続的に閉鎖される。この閉鎖体は、主シール要素56として機能し、脱気用の膜52を備えた開口部92が含まれている。接点要素28は、ハンドル部14の壁に配置されており、補助シール要素76によって覆うこともできる。接点要素28は、軟質部32に埋め込まれている。したがって、閉鎖体40は、硬質部のみからなるものであってもよい。この歯ブラシは、例えば歯ブラシ立て(コップ)を用いて、直立させた状態での充電に特に適している。
【0080】
この歯ブラシの製造工程は、図8に示した例の場合と同様のものである。
【0081】
上述したすべての変形例、特に、内部空間36が永続的に閉鎖される変形例において、接点要素28への接続が可能である限り、内部空間36に、特定の材料を充填することもできる。
【0082】
図10a〜10cは、内部空間36が主シール要素56によって永続的に閉鎖される歯ブラシのさらに別の例を示す図である。主シーリング要素56は、スリーブ状の第2のハウジング部64によって形成され、第1のハウジング部62に配置されて、そこに永続的に結合される。第2のハウジング部64の、第1のハウジング部62側とは反対側に、補助シール要素76が設けられている。この補助シール要素は、星型に設けられたスリットを有する膜からなり、この膜は、電源ユニットの接点要素44を貫通させることはできるが、水、少なくとも跳ね水に対しては、十分な防護を提供するものである。
【0083】
図10cは、共通の印刷回路基板上に配置されたモーターおよび蓄電池サブアセンブリを示す図である。このサブアセンブリは、硬質部が形成された後に、内部空間36に押し込まれる。接点要素は、別体として形成される第2のハウジング部64に組み込まれて、その軟質部に埋め込まれている。第1および第2のハウジング部62、64が結合される前に、蓄電池サブアセンブリおよび接点要素28の接続線94が接続される。
【0084】
図11は、図3a〜3dに示した例と類似する歯ブラシ10のためのホルダー80を示す図である。ホルダー80は、歯ブラシ10のハンドル部14に適合した窪み82を有している。接点要素28は、歯ブラシ10の背面側86に配置されている。したがって、この接点要素28は、歯ブラシをホルダーに置いたときに、窪み内の接点要素84に接触する。窪み内の接点要素は、ソケット100に導電的に接続しており、このソケットに、電源ユニット46の接点要素44を差込むことができる。歯ブラシ10は、ホルダー80を介して充電することも、あるいは、電源ユニット46の接点要素44を接点要素28に差込むことによって、直接充電することもできる。
【0085】
図12a〜12hは、内部空間の密封の様々な態様における充電回路を示す回路図である。
【0086】
事例1: 接点要素28は、エネルギー貯蔵体24と共に内部空間36に配置されており、内部空間36は、閉鎖体40によって密封されている(図1および図3〜5)。通常作動の間(図12a)は、主シール要素(閉鎖体40)が内部空間36を耐水的に密閉する。スイッチ70は、閉鎖体40を所定の位置に配置するか、または、そこから移動させるかに応じて動作するものであり、この場合には、スイッチ70は、閉じている。ユーザーは、もう1つのスイッチ34によって、電力消費体22のオンおよびオフを切り替えることができる。閉鎖体40が所定の位置から移動すると、スイッチ70は、蓄電池24と電力消費体22との間の接続を不可避的にオフにする(図12b)。したがって、開放状態、すなわち、非密封状態では、電動歯ブラシのスイッチをオンにすることはできない。プラグ44をソケット28に差込むことによって蓄電池24を充電している間は、内部空間36は開放状態である(図12c)。さらに、スイッチ70を設けることによって、電力消費体22が作動してさえいなければ、蓄電池24の充電を、スイッチ34の状態に関わらず、いつでも実施することが可能となるという状況が達成できる。仮に、蓄電池24の充電の間に電力消費体22が作動し(すなわち、スイッチ34およびスイッチ70が閉じられている)、かつ、蓄電池24が完全に空であった場合には、充電を実施することはできない。
【0087】
事例2(図12d〜12e): それぞれの作動状態(図7〜10)において、内部空間36は、接点要素28に対して完全に密封されている。主シール要素が取り外されることはないため、区別される作動状態は、通常作動状態(図12d)と充電状態(図12e)の2つだけである。実際、補助シール要素の開放操作または閉鎖操作は、充電回路に何ら影響を及ぼさない。蓄電池24を充電するために、ソケット28は、好ましくは、組込スイッチ70を有しており、この組込スイッチが、上記事例1における閉鎖体により作動するスイッチ70の機能を果すものである。この組込スイッチ70は、スイッチ34の状態に関わらず蓄電池24が充電可能であることを保障するものである。プラグ44が差込まれたときに組込スイッチ70が開くことによって(図12e)、電力消費体22がスイッチ34を介して蓄電池24に接続しているために完全に空の蓄電池24を充電することができない、という状況が回避される。
【0088】
組込スイッチ70が設られていない場合には、上記の状況のような潜在的な欠点を伴うものの、プラグ44を差し込んだ状態での作動は、原理的には可能である。
【0089】
事例3(図12f〜12h): 事例1の場合と同様に、この事例では、3つの作動状態が区別される。スイッチ70は、図6bに示すバネ要素72に相当し、スイッチ70’が、好ましくは、事例2の場合と同様に、接点要素28に組み込まれている。
【0090】
図12fは、通常作動状態を示す図である。ユーザーは、スイッチ34によって電力消費体22のオンおよびオフを切り替えることができる。閉鎖体によって作動するスイッチ70、および、接点要素28に組み込まれたスイッチ70’は、閉じている。スイッチ70を閉じることによって、抵抗器Rは短絡される。
【0091】
図12gは、閉鎖体が取り外されると共に、汚れの危険性のために、スイッチ34の状態に関わらず電力消費体が作動しないようにした状態を示す図である。この作動状態では、電力消費体22は、抵抗器Rを介して蓄電池24に電気的に接続しているが、抵抗器Rの抵抗値を、電力消費体22の内部抵抗よりも大きくすることによって、そのスイッチをオンにすることができないようになっており、その結果、上記目的が達成される。
【0092】
図12hには、好ましくは接点要素28に組み込まれた追加的なスイッチ70’が示されている。プラグ44が差込まれた(したがって、スイッチ70’が開いた)場合、上記事例2の場合と同様に、電力消費体22がスイッチ34を介して電源ユニット46に接続しているために完全に空の蓄電池24を充電することができない、という状況が回避される。
【0093】
組込スイッチ70’が設られていない場合、上記の状況のような潜在的な欠点を伴うものの、プラグ44を差し込んだ状態での作動は、事例2の場合と同様に、原理的には可能である。
【0094】
図13は、市販用のセットを示しており、歯ブラシ10および電源ユニット46が、透視性の包装材中に外から見えるように配置されている。
【0095】
図14a、14bは、図1fに歯ブラシの軸方向から見込む図として概略的に示した遮蔽体60の、実施形態を示す図である。遮蔽体60は、本体138を含み、この本体は、歯ブラシの軸方向および一側面側方向に開いた切欠き部140を取り囲んでいる。使用の際には、切欠き部140に接点要素が挿入され、接点要素の背後に係止用突起部142が係止される。これによって、遮蔽体は、蓄電池サブアセンブリに固定される。さらに、本体138の外壁上には、固定手段144が配置されており、この固定手段を使用して歯ブラシのハンドル部に遮蔽体60を固定することによって、蓄電池サブアセンブリの脱落を防止することができる。これらの固定手段144は、例えば、歯ブラシのハンドル部の硬質部に係合する突起部として形成することができる。この場合には、軟質材料を、この突起部によって押し退けるものであってもよい。
【0096】
図15a、15bは、スイッチ34’を有する閉鎖体40を示す図である。このスイッチ34’は、上述したオン/オフ用のスイッチ34の代わりとして使用することも、あるいは、スイッチ34に加えて使用することもできる。スイッチ34’は、例えば、2つの切り替え位置を有している。第1の切り替え位置では、ピン90および接点ブリッジ54が、スイッチ34’によって短絡される。これは、通常作動状態に相当する。他の切り替え位置では、ピン90と接点ブリッジ54との間の接続は、もう1つの電気部品124を介する経路に分岐し、この電気部品によって、別の作動状態が形成される。一例として、この電気部品は、例えばショットキー・ダイオードにより、電圧を低減してモーターの速度およびパワーを低減するものであってもよい。このような閉鎖体は、勿論、再充電不能な電池によって作動する電動歯ブラシで使用することもできる。この場合には、接点は、ピン90ではなく、電池の電極によって形成される。
【0097】
この閉鎖体は、次のような構成要素からなる。すなわち、接点ブリッジ54のみに接触して接続し、元の変形例のようにピン90には接続しない接点ストリップ片48。閉鎖体40内に配置され、接点ストリップ片48からスイッチ34’への経路を形成する2本の電気接続線120、122。ここで、第1の電気接続線120は、スイッチ34’への直接的な(短絡)経路を形成し、第2の電気接続線122は、作動状態を変更する電気部品124を介した経路を形成する。切り替え位置に応じて、電気回路は、直接的に閉じられるか、または、電気部品124を介して閉じられて、この電気部品の影響下にある別のスイッチング状態が形成される。スイッチ34’から接点ストリップ片48中の切欠き130を通じてピン90に戻る経路を有し、好ましくは、閉鎖状態でのみ導通する電気接続は、バネ128を備えたボルト126によって実現される。
【0098】
スイッチ34’を、(オン/オフ用の)主スイッチとして使用する場合、オン/オフのスイッチング状態を形成するために、接点ストリップ片48への第1の電気接続線120のみが使用される。この場合、他方の電気接続線122は使用されない。
【0099】
この閉鎖体は、好ましくは、2つの部材から形成される。すべての電気部品は、硬質部からなる内部の円筒型の第1の部材132に装着される。スリーブ状の第2の部材134は、円筒型の第1の部材132を取り囲む硬質部のリングと、好ましくは、軟質部からなるスイッチの皮膜部136とからなり、この皮膜部によって、スイッチ34’の押圧が可能となる。軟質部は、スイッチおよびそのスイッチング状態を可視化するために、好ましくは透明なものである。閉鎖体を構成する2つの部材132、134は、例えばスナップ作用、溶接(溶着)、または、接着によって、好ましくは永続的に互いに結合されている。
【0100】
外側スリーブ134は、換気膜によって覆われた穴を有していてもよい。換気膜は、好ましくは、内側スリーブ132を用いて締結するか、または、接着剤により結合するか、あるいは、その両方によって固定される。
【0101】
図15a、15bに示す閉鎖体は、多少の修正を施すことによって、他の変形例においても使用できる。同様に、この閉鎖体は、例えば、電池を使用した歯ブラシ、あるいは、電気剃刀のような他の衛生用電動機器といった、繰返し充電可能な歯ブラシ以外の用途にも適用することができる。
【0102】
図16a〜16hは、図15a、15を参照して上述した追加のスイッチ34’を使用した変形例における、基本的な回路図を示した図である。これらの回路図は、原則的に図12a〜12hに対応するものでり、相違点は、閉鎖体によって実現されるオン/オフ用のスイッチ70が、これらの回路図において、2つのスイッチング状態を取るスイッチ34’を備えたスイッチ・サブアセンブリ146に置き換えられる点である。スイッチ・サブアセンブリ146は、歯ブラシの閉鎖体40に組込まれている。閉鎖体が取り外された状態は、図16b、16c、16e、16g、および、16hに示されている。図12a〜12hとの相違点は、以下に説明されている。それ以外の部分については、図12a〜12hの説明を参照されたい。
【0103】
スイッチ・サブアセンブリ146は、並列に接続された2つの接続線120、122を有しており、その1つが、この場合はショットキー・ダイオードである電気部品124を介した経路を形成する。閉鎖体40が、歯ブラシに装着されている場合、スイッチ34’によって、短絡線120を介して閉じた電気回路か、または、電気部品124を介した閉じた電気回路のいずれか一方が形成される。閉鎖体40が取り外されている場合、スイッチ34’は作動しない。図12a〜12hを参照して上述した機能は、短絡線120によって果されるものであり、電気部品124によって、追加のスイッチング状態が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】図1a〜図1iは、本発明に従う歯ブラシの一例およびその構成部分を、様々な視点から示した図である。
【図2】図2は、再充電不能なエネルギー貯蔵体を備えた従来の歯ブラシを示した図である。
【図3】図3a〜図3dは、本発明に従う歯ブラシの一例およびその構成部分を、様々な視点から示した図である。
【図4】図4a〜図4cは、本発明に従う歯ブラシの一例およびその構成部分を、様々な視点から示した図である。
【図5】図5a〜図5cは、本発明に従う歯ブラシの一例およびその構成部分を、様々な視点から示した図である。
【図6】図6a〜図6dは、本発明に従う歯ブラシの一例およびその構成部分を、様々な視点から示した図である。
【図7】図7a〜図7bは、本発明に従う歯ブラシの一例およびその構成部分を、様々な視点から示した図である。
【図8】図8は、本発明に従う歯ブラシの一例およびその構成部分を、様々な視点の1つから示した図である。
【図9】図9は、本発明に従う歯ブラシの一例およびその構成部分を、様々な視点の1つから示した図である。
【図10】図10a〜図10cは、本発明に従う歯ブラシの一例およびその構成部分を、様々な視点の1つから示した図である。
【図11】本発明に従う歯ブラシを、ホルダーと共に示す図である。
【図12】図12a〜図12hは、様々な作動状態のにおける充電回路を示す回路図である。
【図13】図13は、本発明に従う歯ブラシおよび電源ユニットを備えた市販用のセットを示す図である。
【図14】図14a〜図14bは、空洞の境界を定める遮蔽体を示す図である。
【図15】図15a〜図15bは、別の作動状態を形成するための追加的なスイッチを有する閉鎖体を示す図である。
【図16】図16a〜図16hは、図15aおよび15bに示す追加的なスイッチを有する歯ブラシの、基本的な回路図である。
【図1a】

【図1b】

【図1c】

【図1d】

【図1e】

【図1f】

【図1g】

【図1h】

【図1i】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル部(14)、ヘッド部(16)、および、前記ハンドル部(14)と前記ヘッド部(16)との間に配置されたネック部(18)を含む本体(12)と、
該本体(12)内に少なくとも一部が配置され、電動式作動ユニット(22)および該作動ユニット(22)のための電源デバイスを含む作動部(20)と、を有する歯ブラシであって、
前記電源デバイスは、繰返し充電可能なエネルギー貯蔵体(24)および少なくとも1つの接点要素(28)を有し、前記エネルギー貯蔵体(24)と、使用時に前記本体の外部に配置される電源ユニット(46)との間が、前記少なくとも1つの接点要素(28)を介して導通可能であり、
前記エネルギー貯蔵体(24)は、前記本体(12)の内部空間(36)に配置され、該内部空間(36)は、前記エネルギー貯蔵体(24)が、跳ね水および他の異物に接触することを回避するために、主シール要素(56)によって密封されることを特徴とする歯ブラシ。
【請求項2】
前記内部空間(36)は、前記主シール要素(56)によって永続的に閉鎖されており、少なくとも1つの接点要素(28)は、前記内部空間(36)の外部に配置されることを特徴とする請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項3】
前記接点要素(28)が跳ね水に接触することを回避するために、使用時に前記接点要素(28)を密封するための手段である補助シール要素(76)を含み、該補助シール要素は、前記接点要素(28)を少なくとも充電のために外部から電気接続可能とするために、少なくとも部分的に可動であることを特徴とする請求項2に記載の歯ブラシ。
【請求項4】
前記補助シール要素(28)は、変位、回転、取り外し、または、貫通可能であることを特徴とする請求項3に記載の歯ブラシ。
【請求項5】
前記エネルギー貯蔵体(24)および前記少なくとも1つの接点要素(28)は、前記内部空間(36)に配置されており、該内部空間(36)は、閉鎖可能であると共に、前記少なくとも1つの接点要素(28)が少なくとも充電のために外部から電気接続可能となる範囲で、開放可能であることを特徴とする請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項6】
前記本体(12)は、第1のハウジング部(62)と第2のハウジング部(64)とを含み、前記ハンドル部(14)は、前記第1および/または第2のハウジング部(62,64)によって形成されており、前記第1および第2のハウジング部(62,64)は、互いに相対的に可動であり、開放位置と閉鎖位置との間で、前記本体(12)の長手軸(L)に沿って変位すると共に、前記第2のハウジング部(64)は、好ましくは、前記内部空間(36)を閉鎖するための閉鎖体(40)として構成されていることを特徴とする請求項5に記載の歯ブラシ。
【請求項7】
前記接点要素(28)は、前記内部空間(36)に配置されており、前記閉鎖位置では、前記内部空間(36)が少なくとも跳ね水に対して密封され、前記開放位置では、少なくとも前記接点要素(28)が外部から電気接続可能であることを特徴とする請求項6に記載の歯ブラシ。
【請求項8】
前記第1および第2のハウジング部(62,64)は互いに螺合されており、好ましくは、距離制限手段を備えたねじ山(66)が使用されることを特徴とする請求項6または7に記載の歯ブラシ。
【請求項9】
前記第2のハウジング部(64)と相互作用するスイッチ(70)を有し、この相互作用によって、前記開放位置において前記作動ユニット(22)が停止することを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項10】
前記スイッチ(70)は、前記接点要素(28)と、該接点要素に対して相対的に可動な部分(48,68,72)とを含み、それらの部分(48,62,72)は、前記閉鎖位置において、前記接点要素(28)に対して導通状態で電気接続されることを特徴とする請求項9に記載の歯ブラシ。
【請求項11】
前記接点要素(28)は、前記エネルギー貯蔵体(24)の端子に直接的に電気接続されるピン(90)を有していることを特徴とする請求項5から10のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項12】
前記少なくとも1つの接点要素(28)は、前記歯ブラシ(10)の本体中の切欠き内に配置されて、前記歯ブラシ(10)の本体の外面に対して内側に窪んだ位置にあり、前記切欠き(74)は、好ましくは、前記ヘッド部(16)から逸れる向きに形成されることを特徴とする請求項2に記載の歯ブラシ。
【請求項13】
前記切欠きの形状は、前記エネルギー貯蔵体(24)のための電源ユニットの接点要素(44)の形状に適合していることを特徴とする請求項12に記載の歯ブラシ。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の歯ブラシを製造するための方法であって、
補強として機能する少なくとも1つの硬質部(30)から、射出成形によって本体(12)を形成する工程と、
前記本体(12)中に、または、前記本体(12)上に、作動ユニット(22)を挿入する工程と、
前記作動ユニット(22)が、少なくとも部分的に軟質部(32)に封入されるように、前記軟質部(32)を一体に成形する工程と、を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項15】
前記軟質部(32)が形成された後、前記内部空間(36)に前記電源デバイスを挿入し、次いで、前記軟質部および/または前記硬質部(30; 32)から形成される前記主シール要素(56)によって、前記内部空間(36)を密封することを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記軟質部(32)が形成される前に、前記内部空間(36)に前記電源デバイスを挿入し、次いで、前記接点要素(28)が、少なくとも部分的に前記軟質部(32)に埋め込まれるように、前記軟質部(32)を一体に成形すると共に、前記内部空間(36)は、前記軟質部(32)から形成される前記主シール要素(56)によって密封されることを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
【請求項17】
クリーニング要素、ネック部および/または前記内部空間の制振要素、前記本体上の軟質/弾性構造体、および、シール要素を含む、前記軟質部からなるすべての構造体は、一体の作業で形成されることを特徴とする請求項14から16のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項18】
請求項1から13のいずれか1項に記載の歯ブラシ(10)と電源ユニット(46)とを含む歯ブラシセットであって、前記歯ブラシ(10)および前記電源ユニット(46)が、該歯ブラシ(10)または電源ユニット(46)の少なくともいずれか一方の接点要素(28,44)が外部から見えるように、包装されていることを特徴とする歯ブラシセット。


【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【図9】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【図11】
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【図12a】
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【図12b】
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【図12c】
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【図12d】
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【図12e】
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【図12f】
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【図12g】
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【図12h】
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【図13】
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【図14a】
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【図14b】
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【図15a】
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【図15b】
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【図16a】
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【図16b】
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【図16c】
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【図16d】
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【図16e】
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【図16f】
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【図16g】
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【図16h】
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【公表番号】特表2007−511261(P2007−511261A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538777(P2006−538777)
【出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【国際出願番号】PCT/EP2004/012708
【国際公開番号】WO2005/046508
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(506161256)トリサ ホールディング アクチェンゲゼルシャフト (2)
【Fターム(参考)】