説明

歯ブラシ

【課題】 吸引力に優れ、安全で快適な口腔内洗浄を連続して行うことができる歯ブラシを提供する。
【解決手段】 首部3からヘッド部2先端までの何れか位置に少なくとも1以上の吸引口51を設け、吸引口51に連通して設けられた排出通路5と、該排出通路51の他端に設けられた排出口52とを備えることにより、粘性の低い水分が口腔内に溜まっている歯磨きの初期段階のみならず、歯磨きを継続して口腔内が泡立ってきた時に、泡が絡んだ唾液等を含む水分や残渣等をスムーズに効率よく吸引、排出することができるため、被洗浄者が口腔内の水分等を吐き出ださずに、歯磨きを連続して快適に行うことができる。従って、安全で快適な口腔内洗浄を連続して行うことができ、特に、体に不自由な部分がある人や寝たきりの人の歯磨きに好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内を洗浄する歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
う蝕や歯周病等の口腔内疾患を予防するためには、歯牙表面や歯肉溝、歯間部、或いは粘膜に付着堆積する歯垢や食物残渣等の汚れを除去することが重要となる。これらの除去作業を行う口腔洗浄用具として歯ブラシがある。
【0003】
通常、歯ブラシの取り扱いは、一般の人にとって特に高度な技術を必要とするものではなく、ブラッシングによって口腔内の洗浄作業を簡単に行うことができる。しかしながら、身体に不自由な部分がある人、特に寝たきり状態にある人にとっては、口腔内に水を含んだり、口腔内に溜まった唾液や泡等を排出する行為が著しく困難となることがある。唾液や泡等の排出は、口腔内の洗浄を安全に連続して行う上で重要である。
【0004】
従来、体に不自由な部分がある人、特に寝たきり状態の人の口腔内洗浄を目的とした歯ブラシとして、口腔内に溜まった水分等を吸引する排出機構を備えたものが提案されている(例えば、特許文献1〜3)。
【0005】
特許文献1には、先端にヘッド部が設けられた柄部を備え、前記ヘッド部には水を注入するための給水口及び水分等を吸引するための吸引口が設けられ、該吸引口に連通して柄部内部に設けられた吸引孔と、水タンク及び送水ポンプを備えて前記柄部に対して着脱交換可能に設けられた把持部とを具備し、前記吸引口を前記ヘッド部の両側における柄部の先端に設けた歯ブラシが記載されている。
【0006】
特許文献2には、把持部先端のヘッド部に植毛面を有し、前記ヘッド部には前記植毛面に開口する先浄水供給口と供給された先浄水を排出する排水口とが形成され、先浄水供給口を洗浄水供給源に、排水口を吸入負圧源に連絡しており、前記植毛面の周囲を囲む可撓性スカート材が設けられた歯ブラシが記載されている。
【0007】
特許文献3には、ヘッド部植毛面に複数の刷毛もしくは複数の刷毛体が植設され、ヘッド部植毛面に円形又は楕円形の吸水孔が設けられ、該吸水孔の周囲の刷毛もしくは刷毛体が、前記吸水孔を中心として吸水孔の開口形状と相似な円形又は楕円形状に並ぶように植設した歯ブラシが記載されている。
【特許文献1】特許第3190606号公報
【特許文献2】特開平10−113231号公報
【特許文献3】特開2004−135935号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の歯ブラシは、吸引口がヘッド部の刷毛の両側(2箇所)に設けられているため、ヘッド部の幅方向の寸法が広くなる。このため、刷毛体よりも幅広に形成されたヘッド部の両側部が、歯ブラシで口腔内をブラッシングする際に邪魔となり、ヘッド部の両側部によって歯肉を傷つける虞がある。また、吸引口の向きが刷毛体形成方向と同方向となっているために刷毛体が邪魔となり、吸引効率が低下する虞がある。
【0009】
特許文献2に記載の歯ブラシは、吸引口と吸水口とがヘッド部の植毛面内に設けられており、口腔内をブラッシングしながら洗浄後の水や残渣等を吸引して汚れを除去するものである。この構成では、植毛面の根元に気泡が絡み、気泡を介して周囲の空気を主として吸引してしまい、唾液を含んだ粘性の高い水分を吸引しにくくなり、唾液や汚れを吸引して除去する効果が低下する虞がある。
【0010】
特許文献3に記載の歯ブラシでは、吸水口の開口部周囲が、ヘッド部植毛面から突出した刷毛もしくは刷毛体で囲まれるようになっている。このため、刷毛もしくは刷毛体が障害となって吸水口と口腔内が離れた状態となり、水分や残渣等を吸い込めなくなる虞がある。
【0011】
従来の排出機構を備えた歯ブラシでは、特に、歯磨きを継続して口腔内が泡立ってきた時に、吸引効果が低下するという問題があった。吸引効果を向上させるため、吸引ポンプを強力なものにして吸引力を高める方法もあるが、吸引力を高めるだけでは、頬等の口腔内が吸い付けられて口腔粘膜が吸引口に吸着する虞がある等、満足な吸引効果は得られず、改善が望まれていた。
【0012】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、吸引力に優れ、安全で快適な口腔内洗浄を連続して行うことができる歯ブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本出願人は、検討の結果、従来の歯ブラシの植毛面に吸引口を設けた構成とした場合、植毛面の根元に気泡が絡み、唾液を含む粘性の高い水分を吸引せず、気泡を介して周囲の空気を主として吸引してしまい、水分等の液体の吸引効果が劣化することを知見した。
そこで、本出願人は、吸引口をヘッド部の植毛面以外の位置、具体的にはヘッド部の側面、背面、または先端面に、好ましくはヘッドの先端面に設けることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0014】
本発明は以下に示す歯ブラシを提供するものである。
第1の発明では、刷毛体が植設されたヘッド部と、首部と、把持部とを有した歯ブラシであって、前記首部から前記ヘッド部先端までの、植毛面以外の何れかの位置に少なくとも1以上の吸引口が形成され、前記吸引口に連通して歯ブラシ内を貫くように排出通路が形成され、該排出通路の他端に排出口が形成されてなることを特徴とする歯ブラシを提供する。
第2の発明では、前記首部又は前記把持部の何れかの位置に、前記排出通路に連通した通気口が設けられていることを特徴とする歯ブラシを提供する。
第3の発明では、前記首部と前記把持部とが脱着可能に組み付けられていることを特徴とする歯ブラシを提供する。
第4の発明では、前記首部から前記ヘッド部先端までの何れか位置に、水を吐出する給水口が少なくとも1以上設けられ、前記給水口に連通して歯ブラシ内を貫くように設けられた給水通路と、該給水通路の他端に設けられ、水が入水される取水口とを具備してなることを特徴とする歯ブラシを提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の歯ブラシは、首部からヘッド部先端までの何れか位置に少なくとも1以上吸引口を設け、該吸引口に連通して設けられた排出通路と、該排出通路の他端に設けられた排出口とが備えられている。
これにより、粘性の低い水分が口腔内に溜まっている歯磨きの初期段階と同様に、歯磨きを継続して口腔内が泡立ってきた場合であっても、泡が絡んだ唾液等を含む水分や残渣等をスムーズに効率よく吸引、排出することができるため、被洗浄者が口腔内の水分等を吐き出ださずに、歯磨きを連続して快適に行うことができる。
従って、安全で快適な口腔内洗浄を連続して行うことができ、特に、体に不自由な部分がある人や寝たきりの人の歯磨きに好適である。
また、本発明の歯ブラシでは、吸引口を、ヘッド部の植毛面以外の位置に設けることにより、刷毛体に影響を受けることなく、水分や残渣等を、より一層効率よく吸引、排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る歯ブラシの実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1及び図2(a)、(b)は、本発明の歯ブラシの第1の実施形態を示すものであり、この歯ブラシ1は、刷毛体27が植毛面23に植設されたヘッド部2と、首部3と、把持部4とを有しており、首部3からヘッド部2の先端面22までの植毛面23以外の何れかの位置に少なくとも1以上の吸引口51が形成され、吸引口51に連通して歯ブラシ内を貫くように排出通路5が形成され、排出通路5の他端に排出口52が形成されて概略構成される。
【0017】
図示例のように、歯ブラシは、使用者が掴む把持部4から該把持部4よりも細く延出してなる首部3と、首部3から該首部3よりも太く延出してなり、歯牙を擦掃する刷毛体27が植設されたヘッド部2とが連なって細長に構成されているが、歯ブラシの形状はこれに限定されず、例えば、把持部と首部とが同じ寸法となるように構成したもの等であっても良い。
【0018】
ヘッド部2は、植毛面23が設けられたヘッド本体21と、刷毛が束ねられてなり、植毛面23に固定された刷毛体27とから構成されている。
ヘッド本体21は、歯ブラシ1の先端となる先端面22と、側面24、25と、植毛面23と、該植毛面23と反対側の背面26とを有している。
刷毛体27は、細長の刷毛が束ねられてなり、植毛面23の複数箇所に固定される。刷毛体27は、歯ブラシ1を用いて歯磨きを行う際に歯牙を擦掃するものである。
本実施形態の歯ブラシ1は、吸引口51が先端面22に設けられており、排出通路5が、ヘッド部2、首部3及び把持部4を、歯ブラシ長さ方向で貫通するように設けられている。
【0019】
ヘッド本体21を構成する樹脂は特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸メチル、プロピオン酸セルロース、ポリウレタン、ポリアミド、ABS等が挙げられ、コストの点でポリプロピレンを用いることが好ましい。
【0020】
刷毛体27は、公知の歯ブラシの刷毛を用いれば良く、例えば、ポリアミド(ナイロン6−10、ナイロン6−12等)やポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)製のものが挙げられる。
刷毛の太さは特に限定されないが、通常4mil(0.102mm)〜8mil(0.203mm)のものが使用され、毛先が研磨によって丸められて加工されていることが好ましい。また、毛切り形状も特に限定されないが、一般的な平切りの他、山切りカットや船底カット等が用いられる。植毛面23からの刷毛の長さは、口腔内での操作性と歯磨き効果の点から、5〜10mmであることが好ましい。
刷毛体27の植毛面23への固定方法は、公知の方法を用いれば良く、例えば、金属片(平線)を用いた平線植毛法の他、刷毛体の下端を加熱溶融して溶融塊を形成した後、溶融した樹脂を金型内に注入して歯ブラシを製造するインモールド法(特許第2601452号公報、特表平9−512724号公報)、刷毛体溶融部を溶融している歯ブラシのヘッド部中へ圧入して固定する熱融着法(特公平6−46962号公報)等が挙げられる。
【0021】
ヘッド本体21に刷毛体27を固定する植毛面23の大きさは、歯ブラシ長さ方向で10〜20mm、幅方向で6〜10mmであることが、口腔内での操作性や歯磨き効率の点から好ましい。
ヘッド本体21の厚さ方向寸法(図2(b)上下方向)は、吸引口51や排水通路5を設けることを考慮して6〜10mmが好ましく、7〜9mmであればより好ましい。
ヘッド部2の形状は、図示例のように、植毛面23側から見て長円形に形成することが、口腔内での操作性や歯磨き効率の点から好ましい。また、先端面22の形状は、図示例のように、歯ブラシ先端に向かうに従ってヘッド本体21の厚さ方向寸法(図2(b)上下方向)が徐々に減少するように曲面状に形成することが、口腔内での操作性や歯磨き効率の点から好ましい。
本実施形態の歯ブラシ1のように、排出通路5が設けられることによってヘッド部2の厚み寸法が大きくなっている歯ブラシの場合、先端面22を曲面状に形成することにより、口腔内における歯ブラシの操作性が向上する。
【0022】
首部3は、把持部4から延出してヘッド部2の支持体として機能する。首部3の内部には、該首部3を長さ方向で貫くように排出通路5が設けられている。
ヘッド部4を構成する材質としては、ヘッド部2と同様、公知のものを採用すれば良く、適宜決定できる。
【0023】
把持部4は、細長棒状に形成され、内部を貫通して設けられた排出通路5と、該排出通路に連通して後端面4aに設けられた排出口52とを有している。
把持部4は、歯ブラシ1を使用して口腔内の洗浄を行う際、手で把持しやすい形状に構成することが好ましく、適宜決定すれば良い。
把持部4を構成する材質としては、ヘッド部2及び首部3と同様、公知のものを採用すれば良く、適宜決定できる。
【0024】
吸引口51は、ヘッド部2の植毛面23以外の任意の位置に、少なくとも1以上設けられ、本実施形態においてはヘッド部2の先端面22の中央部に設けられている。吸引口51は、口腔内の水分や残渣等を吸い込むための入口であり、吸引された水分等は、吸引口51に連通した排出通路5を通り、排出口52に導かれる。
吸引口51は、図示例のように先端面22の中央部に設けられていることが好ましいが、吸引口51を設ける位置については適宜決定すれば良い。
吸引口51の形状は特に限定されず、任意とすることができるが、水分等の吸引効率の点から円形又は楕円形とすることが、吸引効率の点で好ましい。
吸引口51の寸法は、直径又は長径が1〜3mmの範囲であることが、水分等の吸引効率の点で好ましく、より好ましくは1.5〜2.5mmである。
吸引口51は、口腔粘膜によって吸引口51が塞がれないようにするため、吸引口51に連通した排出通路5よりも長寸径に拡開するように構成するのが好ましい。吸引口51が先端面22に設けられている場合は、吸引口51を、背面26側(図2(b)において上方)に向かって拡開してゆく構成とすれば一層好ましい。吸引口51を、背面26側に向かって拡開する構成とすることにより、吸引口51全体が頂部22aよりも首部3側に位置した状態となる。これにより、頂部22aが口腔粘膜等に接した場合であっても、吸引口51が口腔粘膜に塞がれることが無い。
吸引口51が植毛面23側(図2(b)下方)、つまり頂部22aに向かって拡開する構成とした場合、吸引口51が口腔粘膜を吸引しやすくなり、塞がれてしまう虞がある。
なお、図示例においては、吸引口51が先端面22の中央部に設けられているため、吸引口51全体が頂部22aよりも首部3側に位置しており、頂部22aが口腔粘膜等に接した場合であっても、吸引口51が口腔粘膜に塞がれることが無い。
【0025】
排出通路5は、吸引口51と排出口52との間に連通する空洞の通路であり、本実施形態においては歯ブラシ1内部を貫通するようにして設けられる。
排出通路5は、該排出通路5の経路がほぼ直線状となるように前記吸引口51及び排出口52の位置を決定することが、水分等の排出効率の点で好ましい。具体的には、図示例のように、吸引口51をヘッド部2の先端面22に、排出口52を把持部4の後端面4aに設けることにより、排出通路5をほぼ直線状に形成することが好ましいが、吸引口51、排出口52の位置及び排出通路5の経路形状については、適宜決定すれば良い。
また、排出通路5の経路中の任意の位置で、複数の吸引口51を設ける構成としても良い。
【0026】
排出口52は、把持部4の後端面4aに設けられており、排出通路5の出口として機能する。排出口52には、他端側が吸引ポンプ7に接続された吸引管6が接続され、図示例では、吸引管6の先端に設けられたアダプタ61が排出口52に対して着脱可能に取り付けられているが、排出口52と吸引管6との接続方法は他の方法であっても良く、例えば接着等による固定式であっても良い。
排出口52は、歯ブラシ1の任意の位置に設けることが出来るが、歯磨きの操作性の面から把持部4の後端面4aに設けることが好ましい。
【0027】
以下、本実施形態の歯ブラシ1を使用して口腔内の洗浄を行う形態について説明する。
図7に示すように、排出口52には吸引管6の一端が接続され、該吸引管6の他端には吸引ポンプ7が接続されている。
歯ブラシ1を使用する際は、図1に示した刷毛体27によって口腔内の被洗浄箇所のブラッシングを行い、吸引ポンプ7を動作させて、ヘッド部2の先端面22に設けられた吸引口51から口腔内の水分や残渣等を都度吸引する。吸入口51から吸引された水分や残渣等は、吸引管6を介して吸引ポンプ7内に設けられた図示しない吸引タンクに導かれる。
【0028】
これにより、粘性の低い水分が口腔内に溜まっている歯磨きの初期段階と同様に、歯磨きを継続して口腔内が泡立ってきた場合であっても、泡が絡んだ唾液等を含む水分や残渣等をスムーズに効率よく吸引、排出することができるため、被洗浄者が口腔内の水分等を吐き出ださずに、歯磨きを連続して快適に行うことができる。
従って、安全で快適な口腔内洗浄を連続して行うことができ、特に、体に不自由な部分がある人や寝たきりの人の歯磨きに好適である。
また、本実施形態の歯ブラシ1では、吸引口51を、ヘッド部2の先端面22に設けることにより、刷毛体27に影響を受けることなく、水分や残渣等を、より一層効率よく吸引することができる。
【0029】
以上、歯ブラシのヘッド部2の先端面22に吸引口51を設けた例を説明したが、吸引口51を設ける位置は、これには限定されない。
図3(a)、(b)に示した歯ブラシ11では、ヘッド部2の一方の側面24に吸引口53が設けられている。吸引口53が設けられる位置は、他方の側面25であっても良いし、両側面であっても良い。
図4に示した歯ブラシ12では、ヘッド部2の背面26に吸引口54が設けられている。
吸引口53が、ヘッド部2の先端ではなく側面24、25や背面26に設けられていることにより、歯磨き作業中に先端が口の粘膜に接触する場合であっても、口腔粘膜吸い込んでしまう虞が無い。
吸引口を設ける位置及び数については、適宜決定して組み合わせることができる。
【0030】
以下、本発明に係る歯ブラシの第2の実施形態について、図面を参照して説明する。
図5は、本実施形態の歯ブラシ13を示す図であり、以下の説明において、第1の実施形態の歯ブラシ1との共通部分については同じ符号を付して、その説明を省略する。
歯ブラシ13は、首部31と把持部41とが着脱可能に取り付けられている点で、第1の実施形態の歯ブラシ13と異なる。
【0031】
図5に示すように、歯ブラシ13は、首部31の取付突起31aを、把持部41の取付溝41aに圧挿入して固定されるようになっている。ヘッド部2及び首部3内部に貫通して設けられた排出通路5aと、把持部41内部に貫通して設けられた排出通路5bとは互いに連通しており、把持部41の後端部に設けられた排出口52には吸引管6が接続されるようになっている。
歯ブラシ13は、第1の実施形態の歯ブラシ1と同様、吸入口51から吸引された水分や残渣等が排出通路5a、5b及び排出口52を介して吸引管6へ導かれる。
なお、本実施形態では、首部31と把持部41とが着脱可能となるように構成しているが、例えば首部31とヘッド部2とが着脱可能となるように構成しても良く、着脱位置については適宜決定できる。
【0032】
以下、本発明に係る歯ブラシの第3の実施形態について、図面を参照して説明する。
図6(a)、(b)は、本実施形態の歯ブラシ14を示す図であり、首部31又は把持部41の何れかの任意の位置に、通気口が設けられている点で、第2の実施形態の歯ブラシ13と異なる。
【0033】
歯ブラシ14では、上述した吸引ポンプ7及び吸引管6を用いて吸引を行う時に、通気口8を指等で塞いだ状態とすることによって、吸入口51からの吸引を行うことができる。通気口8を開放状態した時は、通気口8から排出通路5a、(5b)に空気が流入することにより、吸入口51からの吸引力を弱めることができる。
これにより、口腔内のブラッシングを行う時は、通気口8を開放状態として吸引口51からの吸引力を弱めることができ、ブラッシング中に口腔内が吸引され、口腔粘膜によって吸引口51が塞がることが無い。また、ブラッシング完了後に通気口8を指等で塞ぐことにより、口腔内に溜まった水分や残渣等を吸引口51から吸引することができる。
通気口8は、首部31又は把持部41の任意の位置に設ければ良いが、首部31の後端側(把持部41側)もしくは把持部41の前端側(首部31側)に設けることが、指による通気口8の閉塞及び開放を行う操作性の点から好ましい。
また、本実施形態においては、首部と把持部とが脱着可能な歯ブラシに通気口8を設けた例を説明しているが、図1に示した第1の実施形態の歯ブラシ1のような一体型歯ブラシの任意の位置に通気口8を設けるように構成しても良いことは言うまでも無い。
【0034】
なお、本発明に係る歯ブラシでは、ヘッド部に先浄水の給水口を設け、該給水口に連通して歯ブラシ内部を貫くように設けられた給水通路と、給水通路に連通して歯ブラシ外部から先浄水を注入する取水口とが設けられた構成としても良い。
給水口を設けて口腔内に先浄水を供給することにより、口腔内の洗浄効果が高まるとともに、洗浄後、直ちに吸入口から水分や残渣等を吸入することができるため、被洗浄者に対して不快感を与えることが無い。
歯ブラシに給水口を設ける場合、ヘッド部の植毛面の先端面寄りの位置に設けることが、口腔内への水の供給効率や洗浄効率の点で好ましい。
【0035】
以下に、本発明に係る歯ブラシの実施例及び比較例について説明する。
図2、図3、図4に示すような吸引口を設けた本発明に係る歯ブラシ、及び、図8に示すような従来の吸引口を設けた歯ブラシを作製し、歯磨き開始直後(開始30秒後)及び歯磨き開始3分後の口腔内に溜まった水分の吸引量を測定した。
測定方法としては、各歯ブラシを用いて歯磨きを行い、歯磨き開始30秒後及び3分後に、口腔内から吸引して吸引ポンプのタンク内に溜まった水分の重量を測定し、単位時間あたりの吸引量を求めた。
【0036】
各歯ブラシを用いた測定結果に基き、以下の評価基準で合否判定(○×で表記)した。
(1)○:口腔内に溜まった水分の吸引量が5ml/分以上。
(2)△:口腔内に溜まった水分の吸引量が1ml/分以上5ml/分未満。
(3)×:口腔内に溜まった水分の吸引量が1ml/分未満。
【0037】
測定結果及び上記評価基準による判定を表1に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
[実施例1]
図2に示すような、ヘッド部2の先端面22に吸引口51を設けた歯ブラシ1を作製し、上記測定を行った。
歯磨き開始30秒後の水分の吸引量、及び、3分後の水分吸引量共に5ml/分以上だった。
判定結果は、歯磨き開始30秒後、3分後共に○であった。
【0040】
[実施例2]
図3に示すような、ヘッド部2の側面24に吸引口51を設けた歯ブラシ11を作製し、上記測定を行った。
歯磨き開始30秒後の水分の吸引量、及び、3分後の水分吸引量共に5ml/分以上だった。
判定結果は、歯磨き開始30秒後、3分後共に○であった。
【0041】
[実施例3]
図4に示すような、ヘッド部2の背面26に吸引口51を設けた歯ブラシ12を作製し、上記測定を行った。
歯磨き開始30秒後の水分の吸引量、及び、3分後の水分吸引量共に5ml/分以上だった。
判定結果は、歯磨き開始30秒後、3分後共に○であった。
【0042】
[比較例]
図8に示すような、ヘッド部102の植毛面123に吸引口151を設けた歯ブラシ100を作製し、上記測定を行った。
歯磨き開始30秒後の水分の吸引量は5ml未満/分であり、3分後の水分吸引量は1ml/分以下だった。
判定結果は、歯磨き開始30秒後が△、3分後は×であった。
【0043】
上記結果のように、ヘッド部の植毛面以外の位置に吸引口を設けた歯ブラシは、歯磨き開始直後(開始30秒後)のみならず、歯磨き開始3分後の口腔内が泡だった状態においても、口腔内に溜まった水分を効率よく吸引できた。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の歯ブラシの一例を示す概略図である。
【図2】図1に示す歯ブラシの要部を示す概略図である。
【図3】本発明の歯ブラシの他例を示す概略図である。
【図4】本発明の歯ブラシの他例を示す概略図である。
【図5】本発明の歯ブラシの他例を示す概略図である。
【図6】本発明の歯ブラシの他例を示す概略図である。
【図7】本発明の歯ブラシの使用形態の一例を示す概略図である。
【図8】従来の歯ブラシを説明する概略図である。
【符号の説明】
【0045】
1、11、12、13…歯ブラシ、2…ヘッド部、22…先端面、23…植毛面、3、31…首部、4、41…把持部、5…排出通路、51、53、54…吸引口、52…排出口、8…通気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刷毛体が植設されたヘッド部と、首部と、把持部とを有した歯ブラシであって、
前記首部から前記ヘッド部先端までの、植毛面以外の何れかの位置に少なくとも1以上の吸引口が形成され、
前記吸引口に連通して歯ブラシ内を貫くように排出通路が形成され、
該排出通路の他端に排出口が形成されてなることを特徴とする歯ブラシ。
【請求項2】
前記首部又は前記把持部の何れかの位置に、前記排出通路に連通した通気口が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項3】
前記首部と前記把持部とが脱着可能に組み付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の歯ブラシ。
【請求項4】
前記首部から前記ヘッド部先端までの何れか位置に、水を吐出する給水口が少なくとも1以上設けられ、
前記給水口に連通して歯ブラシ内を貫くように設けられた給水通路と、
該給水通路の他端に設けられ、水が入水される取水口とを具備してなることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の歯ブラシ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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