説明

歯ブラシ

先細形状の毛と複数の非先細形状の毛で構成された複数の毛の束を有する歯ブラシ頭部。先細形状の毛を含む束は、幅方向に向かい合う最も外側の束のパターンの両側に沿って配置され、非先細形状の毛を含む内側の束よりも長い長さとなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯ブラシ、特に歯ブラシの毛の構成に関する。特に、本発明は改良された先細形状のブリスル(毛)のフィラメント(長繊維)を含む、歯ブラシの毛の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
歯ブラシは、使用者の口の中に挿入される頭部及び使用する際に握られる柄を、それらの間の首の部分と共に、一般的に含み、これらが歯ブラシの(必ずしも直線とは限らない)長手方向に配置された、よく知られている物品である。歯ブラシ頭部は、本出願において「毛面」と呼ばれる表面を通常有し、毛は、毛面に最も近い毛の下端から、毛面から離れた上端に伸びている。毛面は、向かい合う幅方向の縁部において、側面により制限される。
【0003】
歯ブラシの毛もまた、よく知られている物品であり、硬いが柔軟性のある材料でできたフィラメントから一般的に構成されており、毛面から伸びた複数のフィラメントが束になって配置されている。ポリアミドナイロンは、歯ブラシの毛の材料として非常に頻繁に使用される。
【0004】
歯ブラシの毛フィラメントは、2つの既知の種類がある。非先細形状の毛は、先端が丸くなった例えば不規則な半球又は半楕円体形の最上端、例えば5%以下の一番上の部分、を除いて、毛の下端から上端までの全長に沿って典型的には円筒形の実質的に同一の断面を有している。所謂「先細形状の毛」が知られており、これらの毛は、実質的な長さの部分、例えば20%以上の長さ部分について、毛面から離れたこれらの端部に向かって、通常浅く尖端になった円錐形の形状に先が細くなる。先細形状の毛は、それらの上端においてより細くなっており、非先細形状のフィラメントとは異なる屈曲性と柔軟性の特徴を有している。特に、先細形状の毛は、所謂「歯間」空間と呼ばれている歯の隙間の空間内に到達する上で有効性が知られている。例えば、そのような先細形状の毛は、とりわけ、EP-A-1 234 525、EP-A-1 415 572、US-A-6,546,586、WO-A-97/42853、WO-A-97/42854、WO-A-01/32053、WO-A-01/82741及びEP-A-0 596 633において開示されている。
【0005】
毛面における先細形状の毛の、特殊な相対的配置についても知られている。例えば、US-A-6,546,586は、各束をその中に有する歯ブラシ頭部について開示しており、この各束は、均一な断面の比較的短い毛及びその上端に向かって先細形状になる比較的長い先細形状の毛の形状のポリブチレンテレフタレート製の複数の毛を備える。例えば電動歯ブラシの頭部を開示するUS-A-2006/0096053の歯ブラシ頭部上の先細の及び非先細の毛を組み合わせることが知られている。また、束の中に長い毛と短い毛とを組み合わせることについても、例えばUS-A-3,103,679、WO-A-96/16571及びDE-A-35 28 596で知られている。WO-A-2009/000903は、外輪が非先細形状の毛で囲まれ、内側の領域に先細形状の毛を有する歯ブラシ頭部について開示している。
【0006】
毛面から離れた毛の端部が細くなっているという、その他の種類の歯ブラシの毛についても知られている。例えば、所謂「羽の生えた毛」と呼ばれ、毛面から離れた毛先が更に細かいフィラメントに分割されている毛がある。例えば羽の生えた毛は、EP-A-1 173 081及びUS-A-6,322,152において開示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、先細形状及び非先細形状の毛を組み合わせた歯ブラシ頭部の可能性を探ることを目的とし、特に、先細形状の毛フィラメントを組み込みこんだ改良された歯ブラシ頭部の提供、例えば、特に歯間空間内、歯肉縁部及び歯肉下に到達する歯のクリーニングの提供を目的とする。本発明の他の目的及び利点については、以下の説明によって明示される。
【0008】
本発明の第1の態様によると、歯ブラシ頭部が提供され、該頭部は歯ブラシの握り柄と結合されるか又は結合可能であり、これにより長手方向に頭部と握り柄とを画定する。頭部は長手方向に細長く、長手方向に垂直な幅方向を有しており、該頭部は、複数の毛の束が毛方向に伸びる毛面を有し、該毛は、複数の束の各々が複数の毛を備えて配置され、該毛は、複数の先細形状の毛及び複数の非先細形状の毛から構成されており、
複数の毛の束が、毛面において、先細形状の毛を含む複数の外側の束から構成されるパターンで配置され、幅方向に向かい合う最も外側の束の両側に沿って配置され、第1の長い長さであるパターンからなり、
そして、複数の外側の束の間の幅方向には非先細形状の毛を含む内側の束が配置され、第1の長い長さよりも短く、第2の短い長さからなることを特徴とする。
【0009】
この先細形状の毛の新規な配置は、歯肉縁部における効果的なクリーニングを容易にすると考えられる。本発明の歯ブラシ頭部の他の利点については、以下の記載から明らかになるであろう。
【0010】
本発明の歯ブラシ頭部は、様々な構造で実現することができる。
【0011】
例えば、複数の外側の束の全てが、先細形状の毛を含んでもよい。
【0012】
例えば、先細形状の毛を含む全ての束が、全体的に先細形状の毛から構成されてもよい。
【0013】
あるいは、複数の外側の束は、先細形状の毛を含む束及び先細形状の毛を含まない束から構成され、該束は、第1の長い長さ又は該第1の長い長さより長い若しくは短い長さのものである。例えば、複数の外側の束は、先細形状の毛を含まない束又は束の群と共に、長さ方向で交替する先細形状の毛の束若しくは束の群を有する。
【0014】
例えば、複数の外側の束の全てを、第1の長い長さとする。例えば、複数の外側の束の全てを、第1の長い長さと同じ長さとする。あるいは、複数の外側の束は、第2の短い長さよりも長い第1の長い長さの2倍以上の束から構成する。例えば、交替して複数の外側の束は、また第2の短い長さと同じ若しくはより短い長さの束を有する。
【0015】
例えば、内側の束の全ては、非先細形状の毛を含む。
【0016】
例えば、内側の束の全ては、全体的に非先細形状の毛から構成される。あるいは、内側の束のいくつかは、先細形状の毛を含む。
【0017】
例えば、内側の束の全ては、第2の短い長さとしてよく、例えば内側の束の全てを第2の短い長さと同じにする。あるいは、複数の内側の束は、第1の長い長さよりも短い第2の短い長さの2倍以上の束から構成してよい。例えば、交替して複数の内側の束は、また第1の長い長さと同じ若しくはより長い長さの束を有する。
【0018】
複数の外側の束は、毛面に向かって毛の長さに沿って観た時、毛面の縁部の形状に実質的に従う線内に配置される。
【0019】
例えばこの配置において、外側の束は、各束について毛面の幅の縁部から幅方向に実質的に等間隔に配置される。
【0020】
例えば複数の外側の束は、各束が毛面の隣接する端から幅方向に実質的に等距離になるように配置される。あるいは、複数の外側の束は、異なる束が毛面の隣接する端から幅方向に異なる距離になるように配置される。例えば、複数の外側の束は、それぞれ毛面の縁部から幅方向の距離の2倍以上で、互いに幅方向に隣接して配置される。
【0021】
先細形状の毛を含む束、例えば第1の長い長さの毛の束は、また、握り柄から長手方向に離れている毛面の端部に隣接して配置してもよい。例えば、そのような束は歯ブラシの握り柄から最も長手方向に離れた束であるかもしれない。そのような束は、全体的に先細形状の毛から構成されているか又は非先細形状の毛と併せて先細形状の毛から構成してよい。例えば、そのような束は、先細形状及び非先細形状の両方の毛を含んだ束か又は全体的に先細形状の毛、及び非先細形状の毛それぞれから構成されて隣接する束を含んでもよい。
【0022】
追加的又は代替的に、束、例えば第1の長い長さの束は、歯ブラシ頭部が握り柄に結合しているか、結合可能である側の歯ブラシ頭部の位置に隣接する毛面の端部に隣接して配置される。例えば、そのような束は、歯ブラシの握り柄に長手方向で最も近い束でよい。そのような束は、全体的に先細形状の毛から構成されているか又は非先細形状の毛と併せて先細形状の毛が含まれていてよい。例えば、そのような束は、先細形状及び非先細形状の両方の毛を含む束から構成されるか又はそれぞれ全体的に先細形状の毛、及び非先細形状の毛それぞれから構成された隣接する束から構成されてよい。
【0023】
例えば、第1の長い長さと第2の短い長さの差は、1〜5mm、例えば2〜4mmであり得る。典型的に、第1の長い長さは、11〜13mmである。
【0024】
先細形状の毛を含む束及び非先細形状の毛を含む束は、これ以外の場合には、毛面上に従来のレイアウトで配置できる。例えば、束は、すぐ隣接する束と約2〜3mm離れた二次元配列で配置することができるし、例えば、長手方向に対して対称の通常のレイアウトで配置してよい。そのようなレイアウトは、毛面全体を横切る幅方向に並んだ複数の毛の束の列を有することができる。
【0025】
毛面は、実質的に平面としてよい。あるいは、毛面は、長手方向において及び/又は幅方向において、凹状であり得る。例えば、毛面は、凹状にカーブ又は該表面は平面同士が鈍角の領域を含み得る。例えば、毛面は、柄から最も離れた頭部の先端部に隣接した先端領域を含んでもよく、すぐこれに長手方向の領域に鋭角である。例えば、先端領域は、これのすぐ長手方向の領域に対して、上向きに傾斜することができる。
【0026】
先細形状の毛を含む束及び/又は非先細形状の毛を含む束は、毛面に対して垂直方向に向けられる。あるいは、それらは毛面に対して、例えば毛面に対して75〜85度のような非垂直の角度で傾斜するように向けてもよい。かかる傾斜した束は、好ましくは長手方向に傾くので、毛面から離れたそれらの端部は、握り柄から長手方向に近付くか又は遠くなる。このような構成の一形態では、幅方向に隣接する束は、長手方向で反対に傾斜するようにする。例えば、かかる束は、幅方向に観たときにXの配置で交差するように見えることがあり得る。
【0027】
先細形状及び非先細形状の毛から成る束は、従来の方法で毛面に固定することができる。そのような従来の方法には、毛面内の受け穴にくさび状に打ち込まれる小さな金属製「アンカー」の周知の使用、すなわち毛面に固定される毛の一部の周囲を囲うクリップを使用する方法が含まれる。その他の従来の方法は、所謂「アンカーなし」の方法であり、頭部が作製される金型空洞内において頭部用プラスチック材料を毛の周囲に注入することによって、毛の端部を毛面へ固定する。
【0028】
第1の構造において、歯ブラシ頭部は、束が固定される従来のポリプロピレン等のプラスチック材料からの従来の単一のブロックを具備する。
【0029】
あるいは、第2の構造において、歯ブラシ頭部は、握り柄から離れた頭部の端部に比較的近い頭部の部分が、握り柄に比較的近い歯ブラシ頭部の部分に弾性的かつ柔軟に結合している構造を有する。そのような結合は、一つ以上の柔軟なプラスチック材料の結合及び熱可塑性エラストマーのようなエラストマー材料から構成された複合体の結合領域による結合でもよい。そのような頭部の構造は、例えばWO-A-97/07707及びWO-A-98/37788において開示されている。
【0030】
そのような第2の構造において、例えば上記の部分のうちの一つ、すなわち、握り柄から離れた頭部の端部に近い部分、又は握り柄に近い歯ブラシ頭部の部分、又はこれらの両部分は、そこから延びた毛の束を有し、該毛の束は、先細形状の毛を含む複数の外側の束を有する毛面上のパターンで配置され、前記束のパターンの幅方向に対向する最外側に沿って配置され、第1の長い長さのものであり、かつ、複数の外側の束の幅方向の間に、非先細形状の毛を含む第2の短い長さの複数の内側の束が存在する。
【0031】
あるいは、第3の構造において、歯ブラシ頭部は、三つ以上の、好ましくは三つの、歯ブラシ頭部を横切って隣接して配置された長手方向に長い部分からなる構造を有し、各部分は、柔軟性を持たせて握り柄に結合され、外側の部分の間に幅方向に配置された、少なくとも一つ、しかし好ましくは一つの中間部分を備えて、2つの前記外側の部分が幅方向に向かい合って配置されるという構成になっている。各部分は幅方向に隣接する部分と関連し、独立して弾性的に動くことができる。複数の外側の束は、1番長い長さの先細形状の毛を含み、幅方向に向かい合った2つの外側の部分に配置され、複数の内側の束は、第2の短い長さから成る非先細形状の毛を含み、少なくとも1つの内側の部分に配置される。そのような部分は、それぞれが独自の毛面を有し、一緒になって歯ブラシ頭部の毛面を形成している。
【0032】
この後者の構造例は、WO-A-2004/041023に開示されている。
【0033】
例えばそのような頭部の構造は、幅方向に隣接し長手方向に延びる三つの部分を備え、そこから毛が伸び、該3つの部分とは、中間部分及び中間部分の幅方向の各側にある外側の部分であり、一つ以上の部分が弾性的に柔軟に握り柄に結合されているか若しくは結合可能である。そして頭部の先端に隣接する中間部分の端部は、握り柄の方に長手方向にすぐ隣接する中間部分の一部に対して、全体的に幅方向に拡大しており、頭部の先端に隣接する毛−積載パッドを提供する。該頭部の先端に隣接する中間部分の端部は、先端に隣接する歯ブラシ頭部の幅全体を越えて伸びている。
【0034】
該中間部分は、中間の毛−積載パッドを含み、該中間部分は先端パッドと頭部の基端部との間では、中間部分の一部のうち最大幅の領域となっている。
【0035】
先端パッドと中間のパッドとの間の部分の第1の結合領域部分は、隣接する先端パッドと中間パッドの一部よりも幅が狭くなっている。
【0036】
中間のパッドと柄との間の第2の結合領域部分は、先端に近く隣接する中間のパッドの一部よりも幅が狭くなっている。
【0037】
好ましくは、頭部は三つの部分のみ、すなわち一つの中間部分及び二つの外側のみを備える。
【0038】
例えば、中間部分はある領域で、例えば握り柄の近くに長手方向にすぐ隣接している領域について、先端から離れた中間部分の長手方向の長さの50%以下、例えば25%以下の領域では幅方向に広がってよい。
【0039】
頭部の先端部に隣接する中間部分の端部は、握り柄の方に長手方向にすぐ隣接する中間部分の一部に対して一体的に幅方向に拡大してよく、それにより中間部分の端部と握り柄の方に長手方向にすぐ隣接する中間部分の一部との間にくぼみを形成し、外側部分の端部は、該端部がくぼみ内に適合し得るように該くぼみと相補する形状に形成され得る。
【0040】
好ましくは二つ以上、好ましくはすべての部分が弾性的に柔軟に握り柄に結合されるので、前記部分は、毛に圧力が加えられると、長手方向と幅方向とに平行して、平面が弾性的に曲げられる。好ましくは、各部分は、握り柄の柔軟な頸部によって、弾性的に握り柄に結合される。
【0041】
例えば、中間部分及び側面部分は、摺動接触とすることができる。WO-A-2005/039858は、そのような頭部が作られる方法について記述している。
【0042】
この第3の構造において、例えば二つの外側部分にある複数の外側の束の全ては、第1の長い長さの先細形状の毛からなり、中間部(単数又は複数)の複数の内側の束の全ては、第2の短い長さの非先細形状の毛からなってよい。
【0043】
この第3の構造において、先細形状の毛を含む複数の束は、中間部分の先端に隣接する中間部分から伸びてもよい。そのような束は、歯ブラシの握り柄から最も長手方向に離れた束である。
【0044】
本発明は、また本明細書で開示する歯ブラシ頭部に結合された握り柄を具備した歯ブラシを提供する。そのような歯ブラシは、歯のまわりで手の動きによってのみ動かされることを意図された手動用の歯ブラシである。あるいは、その歯ブラシは、柄に対して毛を駆動するための内蔵モーターを具備した電動歯ブラシである。そのような歯ブラシは、一般的によく知られている従来の構造とすることができる。
【0045】
先細構造及び非先細構造の毛について、例えばナイロンやポリブチレンテレフタレート等の従来の毛の材料から作ることができる。毛は、機械的な磨耗や化学的浸食のような従来の方法によって、先細形状又は丸い端部に加工される。毛の方向を横切ってカットすると、先細形状の毛を含むか否かに関わりなく、毛の束は断面内で円形又は他の形状である。先細形状の毛を有する、例えば一つ以上の束、例えば外側の束のいくつか若しくは全ては、が、長手方向に細長い、例えば長円形や角が丸められた長方形の部分を有する。
【0046】
歯ブラシ頭部及び握り柄の他の部分も、ポリプロピレン等のプラスチック材料のような従来の材料から造られ、そして柄も、例えば熱可塑性エラストマーから造られた従来のグリップ性を強化する表面パッド領域を含む。多数の従来の握り柄のタイプは、歯ブラシの技術分野で周知である。好適な握り柄の構造の一つの例は、例えばEP-A-0 336 641に開示されている。歯ブラシの握り柄及びその他の部分は、歯ブラシの技術において一般的である、射出成形のような従来の技術によって全体的に造ることができる。
【0047】
本発明は、これから添付の図面を参照し、例示によってのみ説明される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】非先細形状及び先細形状の毛の側面図を示す図である。
【図2】本発明の歯ブラシ頭部の第1の構造の平面図を示す図である。
【図3】図2の線A−Aで切断した、図2の歯ブラシ頭部の断面を示す図である。
【図4】本発明の歯ブラシ頭部の別の構造の平面図及び断面図を示す図である。
【図5】本発明の歯ブラシ頭部の別の構造の平面図及び断面図を示す図である。
【図6】本発明の歯ブラシ頭部の別の構造の平面図及び断面図を示す図である。
【図7】本発明の歯ブラシ頭部の別の構造の平面図及び断面図を示す図である。
【図8】本発明の歯ブラシ頭部の別の構造の平面図を示す図である。
【図9】本発明の歯ブラシ頭部の別の構造の平面図を示す図である。
【図10】本発明の歯ブラシ頭部の別の構造の側面図を示す図である。
【図11】本発明の歯ブラシ頭部の別の構造のそれぞれの平面図及び側面図を示す図である。
【図12】本発明の歯ブラシ頭部の別の構造のそれぞれの平面図及び側面図を示す図である。
【図13】本発明の頭部を具備した本発明の歯ブラシの全体構成のそれぞれの平面図と側面図を示す。
【図14】本発明の頭部を具備した本発明の歯ブラシの全体構成のそれぞれの平面図と側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1を参照すると、従来の非先細形状の毛10が概略側面図に示され、歯ブラシ頭部(図示せず)の毛面20から毛方向「B」に伸びている。毛10は、その毛面20に隣接した下端10Aから、毛面20から離れた上端10Bまでその全長に沿って実質的に同じ均一な円筒形の断面を有する。一番上の上端、例えば最上部の5%以下に直に隣接する領域10Cは、不規則な半球楕円形で先端が丸くなっている。図1は、従来の先細形状の毛30についても示す。毛面20から上方に伸びるこの毛30の下方部30Aは、実質的に均一な円筒形の断面を有する。毛30の長さの最上部30%を構成する上方部30Bは、先が細くなり浅くとがった円錐形となっている。
【0050】
図2を参照すると、歯ブラシ頭部40が概ね平面図に示されており、その端部40Aにおいて握り柄の頸部41を介して歯ブラシの握り柄と結合しており、これにより長手方向に反対側の先端40Bを有する頭部40から握り柄41までを長手方向L−Lに画定する。頭部40は、長手方向L−Lにおいて細長く、長手方向L−Lと垂直な幅方向W−Wを有する。頭部40は、平坦面の毛面42を有し、そこから(概ね)毛43から成る複数の束が毛面の平面と垂直に、それらの毛方向「B」に、及び長手方向L−Lと幅方向W−Wとの両方の方向に沿って伸び、図2に示される図では、その毛方向「B」に沿って下方向に伸びている。複数の束43は、それぞれが複数の毛を含む。
【0051】
複数の毛の束43は、毛面42において、先細形状の毛のみを含む複数の外側の束431から構成されたパターンで配置され(すなわち、図1の30に示されているように)、束431は、幅方向に向かい合う最も外側の束43のパターンに沿って配置される。束431は、毛面42の幅方向の縁部44から、実質的に等距離に、逐次一列(それらを結ぶ点線で示す)になって配置される。複数の外側の束431の間の幅方向には、非先細形状の毛のみを含む複数の内側の束432(すなわち、図1の10に図示)が配置される。
【0052】
複数の束43は、毛面42上に互いに約2〜3mm離して従来の2次元的配列に配置される。図2において示されるように、この配置は長手方向L−Lに対して対称であり、毛面42を横切る方向W−Wにおいて幅方向に配向された毛の束44の列を含む。
【0053】
図3は、図2の線A−Aに沿って切断した際の、歯ブラシ頭部を通した断面を示し、頭部40を横切り幅方向W−Wに伸びている。図3は、先細形状の毛のみを含む複数の外側の束431が、毛面42に隣接するそれらの下端から毛面42から離れた上端までにわたる第1の長い長さからできており、非先細形状の毛のみを含む複数の中間の束432が、第1の長い長さよりも短い第2の短い長さからできていることを示す。
【0054】
図2及び図3に示される歯ブラシ頭部において、束431の第1の長い長さと、束432の第2の短い長さの差は、1〜5mm、例えば2〜4mmである。通常、束431の第1の長い長さは10〜12mmである。
【0055】
図2及び図3の頭部40において、毛43の束は、従来の小さい金属製「アンカー」(図示せず)により毛面内に固定する。
【0056】
図4及び図5を参照すると、歯ブラシ頭部50の第2の構造が、図4において平面図で概ね示され、その端部50Aにて、握り柄の頸部51を介して歯ブラシの握り柄に結合されており、それによって握り柄51の長手方向L−Lに向かい、かつ反対側の先端50Bを有する頭部50を画定する。頭部50は、長手方向L−Lに細長く、長手方向L−Lに直交する幅方向W−Wを有する。頭部50は、毛面52を有し、複数の毛53の束が毛面52のそれぞれの部分の平面に垂直な毛方向「B」に(概ね)伸びている。図5は、長手方向の断面を示す。
【0057】
図4及び図5の頭部50は、既知の構造を有する。その構造において、握り柄51に結合された頭部50の端部50Aに比較的近い頭部の部分54は、リンク55において、握り柄51から比較的離れている歯ブラシ頭部50の部分56に、弾性的かつ柔軟的に結合されている。リンク55は、図5に示されるように、部分55、56に一体的に結合する柔軟なプラスチック材料でできたリンク57から構成された複合結合領域を有し、該リンク57は、熱可塑性エラストマー等の周囲が柔軟性のエラストマー材料58に埋め込まれている。このような頭部の構造は、例えばWO-A-97/07707及びWO-A-98/37788に開示され、例えば本出願人のAQUAFRESH(商標)ブランドの下に販売されているとおり、既知の歯ブラシとして存在する。
【0058】
部分55及び56の両方の毛面52から伸びている毛の束53は、毛面上で、先細形状の毛のみを含む複数の外側の束531から構成されるパターンで配置され、かつ、幅方向に向かい合う最も外側の束パターンに沿って配置され、第1の長い長さからできている。同時に、該束53は、これら複数の外側の束531の間の幅方向に、非先細形状の毛のみを含み第2の短い長さである複数の内側の束532を有する。
【0059】
図4は、部分54から伸びた束53の、毛の方向「B」に沿って下方からみた図である。部分55及び56の二つの毛面52は、互いに対して180°未満、一般的には約170°の角度を形成する。
【0060】
頭部40、50及び頸部41、51の間の結合がリジッドリングとして示されているが、これに替えて、例えばWO-A-98/37788において開示されているように、既知のタイプの柔軟なリンクとしてもよい。
【0061】
図6及び7を参照すると、これは歯ブラシ頭部60(全体)を示す。頭部60は、その端部60Aにおいて、握り柄の頸部61を介して歯ブラシの握り柄(図示せず)と結合し、それにより、頭部60−握り柄61の長手方向L−Lを画定し、かつ、長手方向の他先端60Bを有する。頭部60は、長手方向L−Lに細長く、長手方向L−Lに直交して幅方向W−Wを有する。頭部60は、三つの長手方向に細長い部分62、63、64、すなわち、幅方向に向かい合って配置された二つの外側の部分62、64と、歯ブラシ頭部60を横切って幅方向に隣接して配置された前記外側の部分62、64の幅方向間に配置された中間部分63を有する。各部分62、63、64は、それぞれの頸部611、612、613によって前記柄に柔軟に結合される。各部分62、63、64は、それぞれの毛面65、66、67を有しており、図7は、図6の頭部60を横断する線A−Aで切断した断面図を示す。
【0062】
外側の部分62及び64の毛面65、67からは、第1の長い長さの先細形状の毛を含む複数の外側の束68、及び第2の短い長さの非先細形状の毛のみ含む複数の内側の束69が伸びている。中間部分63の毛面からは、第2の短い長さの非先細形状の毛のみを含む複数の内側の束69が伸びている。
【0063】
中間部分63は、外側の部分62、63の端部を超えて長手方向に伸びており、毛面611を有する先端パッド610を形成するために拡大される。先端パッド610の毛面611からは、先細形状の毛のみを含む複数の外側の束681が伸びており、該束681は、幅方向に向かい合う最も外側の束の先端パターンの両側に沿って、かつ、握り柄61から離れている先端パッド610の端部の周囲に配置されている。
【0064】
図8を参照すると、歯ブラシ頭部80の一つの横側平面図が示されている。外側の毛81の毛面82上の(概略的な)配置を示している。束81は、先細形状の毛を含む束81A及び先細形状の毛を含まない束81Bを含む。束81Bは、第1の長い長さ、又はこの第1の長い長さよりも長いか又は短い長さでもよい。複数の外側の束81は、先細形状の毛を含む束81A及び先細形状の毛を含まない束81Bを長手方向に交互に配置することにより構成される。複数の束83は、非先細形状の毛を含み、第2の短い長さからなる。頭部80は、長手方向に隣接する頸部84に結合している。
【0065】
図9を参照すると、歯ブラシ頭部90の一つの横側平面図が示されている。外側の毛91の毛面92上の(概略的な)配置を示している。この配置において、複数の外側の束91は先細形状の毛を含んでおり、各束91は隣接する毛面の縁部93から実質的に幅方向に等間隔に配置される。複数の外側の束91は、異なる束91A、91Bが隣接する毛面の縁部93から、(中心から測ると)互いに異なる距離D1、D2で幅方向に隣接するように配置されている。D1はD2よりも長くなっている。複数の束94は、非先細形状の毛を含んでおり、第2の短い長さからなる。頭部90は、長手方向に隣接する頸部領域95と結合している。
【0066】
図10を参照すると、歯ブラシ頭部100及び隣接する頸部領域101の一方の側面図が示されている。図10はまた、一般的な歯ブラシのように、歯ブラシの長手方向が直線ではなく、頸部101の方向は頭部100の方向に対して角度が付けられていることを示す。頭部100及び頸部101の全体的な構造は、図9の対応する頭部90及び頸部91と同じである。幅方向に隣接する先細形状の毛を含む2つの外側の束102及び103が、毛面104から伸びていることが示されている。束102及び103は、毛面に対して75〜85度のように、毛面に対して直角ではない角度に傾けて配向されており、それらの毛面から離れた各端部が、握り柄から長手方向に近づくか、又は遠くなるように長手方向に傾いている。図10に見られるように、束102及び103は、幅方向にXの配置で交差しているように見える。頸部101は、頭部100を握り柄105に結合させている。
【0067】
図11及び12を参照してみると、これらは、それぞれ、本発明の歯ブラシ頭部110の毛面を見下ろした平面透視図及び幅方向に見る側面図を示している。見られるように、概略的な配置はそれぞれ図6及び図7に類似している。したがって、頭部110の幾つかの異なる特徴ののみが詳細に記載されている。分かりやすく説明するために、毛の束の一部のみを表示していることに注意されたい。
【0068】
歯ブラシ頭部110は、歯ブラシ頭部110にわたって幅方向に隣接して配置された3つの長手方向に細長い部分111、112、113から形成される構造を有しており、2つの幅方向に向かい合って配置された概ね三日月形状の外側の部分111及び113と、外側の部分111、113の間に幅方向に配置された概ね楕円形の中間部分112から形成される。各部分111、112、113は、幅方向に隣接する部分に対して、独立して弾性的に可動である。各部分111、112、113は、毛に圧力を加えると部分111、112、113が弾性的に長手方向と幅方向とに平行な平面から曲がるように、それぞれ柔軟な頸部114、115、116によって歯ブラシの握り柄(図示せず)に柔軟に連結している。
【0069】
複数の外側の束117は、第1の長い長さからなる先細形状の毛を含み、幅方向に向かい合って配置された2つの外側の部分111、113に配置されている。これらの束117は、長手方向L−Lにおいて細長く、丸みを帯びた角の長方形の形状をした、それらの毛方向を隔てる部分カットを有する。複数の内側の束118は、非先細形状の毛を含み、第2の短い長さからなり、中間部分112に配置されている。
【0070】
中間部分112は、先端119から離れた中間部分112の長手方向の長さのうち、50%以下の長さである先端部119に近い領域112Aにおいて、握り柄に近い長手方向にすぐに隣接した領域と相対的に、幅方向に広がっている。112Aにおけるこの拡幅は、中間部分112の端部112Aと、柄部の方の、すぐ長手方向に近接する中間部分との間に、凹面120を形成している。外側部分111の端部11Aは、この端部111Aが凹凸に適合するように、凹部120に相補的な形状に成形されている。
【0071】
中間部分112は、隣接する外側の部分111、113と摺動接触されている。
【0072】
複数の束121は先細形状の毛を含み、中間部分の先端119に隣接した中間部分112の横に広がった部分112Aから伸びており、これらの束は、歯ブラシの握り柄から長手方向に最も離れた束である。
【0073】
毛面122は、各部分111、112、113の毛面から構成され、長手方向に凹となっており、図12に見られるように緩やかに湾曲凹形状になった上部面を有する。これにより、横に広がった領域112A上の束121を、毛面から離れたそれらの端部が毛面に近いそれらの端部よりも握り柄により近くなるように指向させる。
【0074】
図13及び14を参照すると、本発明の頭部を具備した本発明の歯ブラシ構造の全体の平面図及び側面図それぞれが示されている。歯ブラシ130は全体的に、上述した頭部40、50、60、80、110の任意の頭部であり得る頭部131を含む。頭部131は、上述の頸部41、51、61、83、95、114、115、116の任意の頸部であり得る頸部133によって握り柄132に結合される。頭部131、握り柄132及び頸部領域は、すべて長手方向L−Lに沿って配置される。頭部131の毛面134及び側面135を見ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯ブラシの握り柄に結合されているか若しくは結合可能であり、これにより頭部−握り柄の長さ方向を画定する歯ブラシ頭部であって、
前記長さ方向に細長く、前記長さ方向に垂直な幅方向を有する頭部であって、毛の複数の束がそこから伸びる毛面を有する頭部であって、該毛は夫々複数の毛を含む複数の束にまとめられ、該毛は複数の先細形状の毛及び複数の非先細形状の毛を有する、歯ブラシ頭部において、
前記複数の毛の束は、前記毛面に、先細形状の毛を含む複数の外側の束を有する前記毛面上のパターンで配置され、かつ前記束パターンの対向する最外側に沿って配置される、第1の長い長さのものであり、
複数の外側の束の幅方向の間に、非先細形状の毛を有する第2の短い長さの複数の内側の束が存在する、ことを特徴とする歯ブラシ頭部。
【請求項2】
前記複数の外側の全ての束が、先細形状の毛を含む請求項1に記載の歯ブラシ頭部。
【請求項3】
先細形状の毛を含む全ての束が、全体的に先細形状の毛から構成されている請求項1又は2に記載の歯ブラシ頭部。
【請求項4】
前記外側の全ての束が第1の長い長さである、請求項1、2又は3に記載の歯ブラシ頭部。
【請求項5】
前記内側の全ての束が非先細形状の毛を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の歯ブラシ頭部。
【請求項6】
前記内側の全ての束が全体的に非先細形状の毛から構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載の歯ブラシ頭部。
【請求項7】
前記内側の全ての束が第2の短い長さである、請求項1から6のいずれか一項に記載の歯ブラシ頭部。
【請求項8】
前記外側の束が一直線上に、前記毛面の幅方向の縁部から実質的に等間隔に配置されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の歯ブラシ頭部。
【請求項9】
前記第1の長い長さの先細形状の毛を含む束が、握り柄から長手方向に離れた前記毛面の端部に隣接して配置された、請求項1から8のいずれか一項に記載の歯ブラシ頭部。
【請求項10】
前記第1の長い長さの先細形状の毛を含む束が、前記歯ブラシ頭部の、握り柄に結合される位置に隣接して配置された、請求項1から9のいずれか一項に記載の歯ブラシ頭部。
【請求項11】
前記第1の長い長さと前記第2の短い長さの差が1〜5mmの範囲である、請求項1から10のいずれか一項に記載の歯ブラシ頭部。
【請求項12】
前記歯ブラシが、中に束を固定したプラスチック素材の単位ブロックを有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の歯ブラシ頭部。
【請求項13】
前記歯ブラシ頭部が、前記握り柄から離れた前記頭部の端部に比較的近い前記頭部の部分が、前記握り柄に比較的近い前記歯ブラシ頭部の部分に弾性的かつ柔軟的に結合されている構造を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の歯ブラシ頭部。
【請求項14】
前記歯ブラシ頭部が、前記歯ブラシ頭部の全体に隣接して幅方向に配置された、三個以上の長手方向に細長い部分でできた形態であって、それぞれが前記柄に柔軟に結合している形態と、間に少なくとも1個の中間部分を幅方向に配置させるとともに、幅方向に向かい合って配置された2つの外側の部分でできた形態とを備えた構造を有し、各部分が幅方向に隣接する部分に相対的に独立的かつ弾性的に可動であり、前記第1の長い長さの先細形状の毛を含む前記外側の複数の束が、前記幅方向に向かい合って配置された2つの外側部分に配置され、前記複数の内側部分が、前記少なくとも1個の内側の部分に配置された非先細形状の第2の短い長さでできた毛を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の歯ブラシ頭部。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の歯ブラシ頭部に結合する握り柄を含む歯ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2012−511943(P2012−511943A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540135(P2011−540135)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【国際出願番号】PCT/EP2009/067073
【国際公開番号】WO2010/069917
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(501390806)グラクソスミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト (20)
【氏名又は名称原語表記】GlaxoSmithKline Consumer Healthcare GmbH & Co. KG
【Fターム(参考)】