説明

歯清掃装置用アタッチメントおよび歯清掃装置

【課題】歯間を効率よく研磨することのできる歯清掃装置用アタッチメントおよび歯清掃装置を提供する。
【解決手段】この歯清掃装置のステイン除去用アタッチメントは、歯間に挿入されて歯間を清掃する歯間部25と、この歯間部25が設けられる基礎部28とを含む。歯間部25の外周面について、正面視および背面視においてそれぞれ外形線により囲まれて互いに対向する一対の面を第1主清掃面61および第2主清掃面62とし、各側面視においてそれぞれ外形線により囲まれて互いに対向する一対の面を第1副清掃面63および第2副清掃面64としたとき、歯間部25の先端部は、歯間部25の先端に向かうにつれて第1主清掃面61と第2主清掃面62との間隔が次第に狭くなるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯間に挿入されて歯間を清掃する歯間部と、この歯間部が設けられる基礎部とを含む歯清掃装置用アタッチメントおよび同アタッチメントを含む歯清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
外因性の着色汚れであるステイン等を除去する歯清掃装置として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
この歯清掃装置は、歯科用コントラアングルにプロフィーチップを装着して歯面を研磨するものであり、同チップとして円錐形状のものが採用されている。この装置の使用時には、ユーザがプロフィーチップを歯面または歯間に押し当てた状態で同チップを回転させる。これにより、プロフィーチップにより歯面または歯間が研磨される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−111777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の歯清掃装置は、プロフィーチップの先端が円錐形状のため、同チップの先端と歯間との接触面積が小さい。このため、歯間を隅々まで研磨することが難しい。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、歯間を効率よく研磨することのできる歯清掃装置用アタッチメントおよび歯清掃装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の歯清掃装置用アタッチメントは、歯間に挿入されて歯間を清掃する歯間部と、この歯間部が設けられる基礎部とを含む歯清掃装置用アタッチメントにおいて、前記歯間部の外周面について、正面視および背面視においてそれぞれ外形線により囲まれて互いに対向する一対の面を第1主清掃面および第2主清掃面とし、各側面視においてそれぞれ外形線により囲まれて互いに対向する一対の面を第1副清掃面および第2副清掃面として、前記歯間部の先端部は、前記歯間部の先端に向かうにつれて前記第1主清掃面と前記第2主清掃面との間隔が次第に狭くなることを特徴としている。
【0006】
この歯清掃装置用アタッチメントにおいては、前記第1主清掃面および前記第2主清掃面は、歯清掃装置の装置本体から当該アタッチメントに付与される振動の方向に沿うように設けられていることが好ましい。
【0007】
この歯清掃装置用アタッチメントにおいては、前記歯間部の先端部は、前記歯間部の先端に向かうにつれて前記第1副清掃面と前記第2副清掃面との間隔が次第に狭くなることが好ましい。
【0008】
この歯清掃装置用アタッチメントにおいては、前記第1主清掃面および前記第2主清掃面の少なくとも一方には溝が設けられていることが好ましい。
この歯清掃装置用アタッチメントにおいては、前記基礎部の面について、前記歯間部が設けられる面を基礎面Aとし、この基礎面Aとは別の面を基礎面Bとして、この基礎面Bには歯表面を研磨するための歯面部が設けられていることが好ましい。
【0009】
本発明の歯清掃装置は、上記の歯清掃装置用アタッチメントと、同アタッチメントが取り付けられる装置本体とを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、歯間を効率よく研磨することのできる歯清掃装置用アタッチメントおよび歯清掃装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態の歯清掃装置について、その断面構造を模式的に示す断面図。
【図2】同実施形態の歯清掃装置用アタッチメントについて、(a)はヘッド部の側面構造を示す側面図、(b)はヘッド部の正面構造を示す正面図。
【図3】同実施形態の歯清掃装置用アタッチメントについて、(a)はヘッド部の平面構造を示す平面図、(b)はヘッド部の底面構造を示す底面図。
【図4】同実施形態の歯清掃装置の振幅パターンの一例を示す波形図。
【図5】同実施形態の歯清掃装置の振幅パターンの他の例を示す波形図。
【図6】同実施形態の歯清掃装置の振幅パターンの他の例を示す波形図。
【図7】本発明のその他の実施形態の歯清掃装置用アタッチメントについて、(a)は歯間部の斜視構造を示す斜視図、(b)は歯間部の正面構造を示す正面図、(c)は歯間部の側面構造を示す側面図、(d)は歯間部の平面構造を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1〜図6を参照して、本発明の一実施形態について説明する。なお、本実施形態ではステインを除去するための歯清掃装置およびそのアタッチメントとして本発明を具体化した一例を示している。
【0013】
図1に、歯清掃装置1の全体構成を示す。
歯清掃装置1は、歯間および歯面を清掃するためのステイン除去用アタッチメント10と、ユーザに把持されて同アタッチメント10に振動を付与する装置本体40とを含む。以降では、ステイン除去用アタッチメント10および装置本体40の配列方向すなわち歯清掃装置1の長手方向を「上下方向DZ」とする。また、上下方向DZにおいてステイン除去用アタッチメント10側を「上側」とし、装置本体40側を「下側」とする。
【0014】
装置本体40は、ステイン除去用アタッチメント10を上下方向DZに振動させる駆動部41と、駆動部41に電力を供給する電力部45と、駆動部41および電力部45を内部に収容するハウジング50とを含む。
【0015】
駆動部41は、ステイン除去用アタッチメント10が固定される駆動軸41aと、駆動軸41aを上下方向DZに振動させるモータ42と、振動パターンにより同モータ42を駆動する駆動回路部43とを含む。ステイン除去用アタッチメント10は、駆動軸41aへの取り付けおよび駆動軸41aからの取り外しができる。
【0016】
電力部45は、所定電圧以下の電力を供給する蓄電池または充電池により構成されている。蓄電池または充電池は、ハウジング50内においてモータ42に対してステイン除去用アタッチメント10とは反対側に設けられている。
【0017】
ハウジング50の上面部51には、駆動軸41aを挿入するための孔51aが設けられている。ハウジング50の側面部52には、駆動回路部43への電力の供給および遮断を切り替えるスイッチ44が設けられている。駆動軸41aにステイン除去用アタッチメント10が取り付けられた状態においては、同アタッチメント10の下端面とハウジング50の上面部51との間に隙間が形成される。
【0018】
ステイン除去用アタッチメント10は、歯を研磨するためのヘッド部20と、ヘッド部20を支持する支持部30とを含む。ヘッド部20は、支持部30への取り付けおよび支持部30からの取り外しができる。支持部30は、ヘッド部20が設けられる先端方向に向けて先細りに形成されている。支持部30の先端部には、ヘッド部20を装着するための嵌合部31が設けられている。嵌合部31の径は、先端部および基端部から中間部に向かうにつれて次第に大きくなる。支持部30の基端部には、駆動軸41aを嵌め込むための嵌合部32が設けられている。
【0019】
図2および図3を参照して、ステイン除去用アタッチメント10の詳細な構造について説明する。なお、図2(a)はアタッチメント10の側面構造を、図2(b)はアタッチメント10の正面構造を、図3(a)はアタッチメント10の平面構造を、図3(b)はアタッチメント10の底面構造をそれぞれ示している。
【0020】
ヘッド部20は、歯の表面を研磨するための歯面研磨部23と、歯と歯の隙間部分を研磨するための歯間部25と、歯面研磨部23および歯間部25が設けられる基礎部28とを含む。
【0021】
以下では、歯清掃装置1の方向および面についてそれぞれ次のように示す。
基礎部28の高さ方向すなわち歯間部25の中心線に沿う方向を「縦方向DY」とし、基礎部28の幅方向すなわち上下方向DZおよび縦方向DYに直交する方向を「横方向DX」とする。また、上下方向DZおよび縦方向DYにより定められる平面を「正面」および「背面」とし、上下方向DZおよび横方向DXにより定められる平面を「側面」とする。
【0022】
歯面研磨部23および歯間部25および基礎部28は低弾性率の材料であるエラストマーにより一体のものとして形成されている。基礎部28は、縦方向DYに対して垂直な第1基礎面28aおよび第2基礎面28bと、横方向DXに対して垂直な一対の第3基礎面28cと、上下方向DZに対して垂直な第4基礎面28dとを有する。なお、第1基礎面28aは基礎面Aに相当し、第2基礎面28bは基礎面Bに相当する。
【0023】
歯面研磨部23の構造について説明する。なお、図2(a)には歯面研磨部23の左側面構造が示されている。また、図2(b)には歯面研磨部23の正面構造が示されている。また、図3(b)には歯面研磨部23の底面構造が示されている。
【0024】
歯面研磨部23は、6個の歯面部24により構成されている。各歯面部24は、横方向DXに延びる長方形のリブとして形成されている。また、第2基礎面28bから縦方向DYに向けて突出して形成されている。
【0025】
各歯面部24は、上下方向DZにおいて等間隔に一列に形成されている。隣り合う歯面部24同士の間隔(以下、「歯面間隔SX」)は、駆動部41により付与されるステイン除去用アタッチメント10の振幅よりも小さい。例えば、ステイン除去用アタッチメント10の振幅が1.2mmの場合、歯面部24の間隔は1.2mm未満に設定される。このステイン除去用アタッチメント10においては、歯面間隔SXが1mmに設定されている。なお、歯面間隔SXは隣り合う2つの歯面部24において、一方の歯面部24の先端部と他方の歯面部24の先端部との間隔に相当する。
【0026】
歯間部25の構造について説明する。なお、図2(a)には歯間部25の左側面構造が示されている。また、図2(b)には歯間部25の正面構造が示されている。また、図3(a)には歯間部25の平面構造が示されている。
【0027】
歯間部25の左側面構造と右側面構造とは実質的に同一であるため、右側面構造については図示を省略する。また、歯間部25の正面構造と背面構造とは実質的に同一であるため、背面構造については図示を省略する。
【0028】
歯間部25の外周面について、正面視および背面視においてそれぞれ外形線により囲まれて互いに対向する一対の面を「第1主清掃面61」および「第2主清掃面62」とする。また、各側面視においてそれぞれ外形線により囲まれて互いに対向する一対の面を「第1副清掃面63」および「第2副清掃面64」とする。
【0029】
歯間部25は、第1基礎面28aから縦方向DYに向けて突出するとともに、基端部から先端部に向かうにつれて先細りとなるように形成されている。歯間部25の頂部65には、上下方向DZに延びる平滑な面が設けられている。
【0030】
歯間部25の外周面は、第1主清掃面61および第2主清掃面62および第1副清掃面63および第2副清掃面64により形成されている。第1主清掃面61と第2主清掃面62との間隔は、歯間部25の先端に向かうにつれて次第に狭くなる。第1副清掃面63と第2副清掃面64との間隔は、歯間部25の先端に向かうにつれて次第に狭くなる。
【0031】
第1主清掃面61および第2主清掃面62には、研磨剤を保持するための部位として先端に向けて直線状に延びる複数の溝27が形成されている。第1副清掃面63および第2副清掃面64にも同様に、研磨剤を保持するための部位として先端に向けて直線状に延びる複数の溝27が形成されている。
【0032】
歯面部24の各部位の寸法について説明する。
以下では、歯面部24の底部の上下方向DZの長さを「歯面部24の厚さLB」とする。また、歯面部24の縦方向DYの長さを「歯面部24の高さLA」とする。また、歯面部24の横方向DXの長さを「歯面部24の幅LC」とする。また、歯面部24においての基礎部28との接続部分を「歯面部24の底部」とする。
【0033】
図2(a)および(b)に示されるように、歯面部24の底部の厚さLBは、歯面部24の高さLAおよび幅LCよりも小さい。歯面部24の底部の厚さLBは、歯面部24の底部から先端部に向かうにつれて次第に小さくなる。各歯面部24の高さLAは、互いに同じ大きさに設定されている。すなわち、各歯面部24の先端は同一の平面上に設けられている。
【0034】
歯間部25の各部位の寸法について説明する。
以下では、歯間部25においての基礎部28との接続部分を「歯間部25の底部26」とする。また、歯間部25の底部26の上下方向DZの長さを「歯間部25の底部幅MBB」とする。また、歯間部25の先端部の上下方向DZの長さを「歯間部25の先端幅MBT」とする。また、歯間部25の縦方向DYの長さを「歯間部25の高さMA」とする。また、歯間部25の底部26の横方向DXの長さを「歯間部25の底部厚さMCB」とする。また、歯間部25の先端部の横方向DXの長さを「歯間部25の先端厚さMCT」とする。
【0035】
図2(a)および(b)に示されるように、歯間部25の底部幅MBBは、歯間部25の底部厚さMCBよりも大きい。また歯間部25の先端幅MBTは、歯間部25の先端厚さMCTよりも大きい。また歯間部25の先端厚さMCTは、先端部を歯間に入れることに適した大きさに設定されている。また歯間部25の高さMAは、歯間部25の底部幅MBBよりも大きい。また歯間部25の高さMAは、歯面部24の高さLAよりも大きい。
【0036】
基礎部28の各部位の寸法について説明する。
以下では、基礎部28の上下方向DZの長さを「基礎部28の縦幅NB」とする。また、基礎部28の縦方向DYの長さを「基礎部28の高さNA」とする。また、基礎部28の横方向DXの長さを「基礎部28の横幅NC」とする。
【0037】
図2(b)に示されるように、基礎部28の高さNAは、歯面部24の高さLAよりも大きく、かつ歯間部25の高さMAよりも小さい。図3(a)および(b)に示されるように、基礎部28の縦幅NBは横幅NCよりも大きい。また基礎部28の横幅NCは、歯面部24の幅LCよりも大きい。また基礎部28の縦幅NBは、歯間部25の底部幅MBBよりも大きい。
【0038】
ヘッド部20の各部位の具体的な寸法を以下に示す。
・歯面部24の高さLAは3mm、歯面部24の底部の厚さLBは1mm、歯面部24の幅LCは6mmに設定されている。
・歯間部25の高さMAは10mm、歯間部25の底部厚さMCBは5mm、歯間部25の底部幅MBBは8mm、歯間部25の先端幅MBTは3mmに設定されている。
・基礎部28の縦幅NBは13mm、基礎部28の横幅NCは9mm、基礎部28の高さNAは5mmに設定されている。
【0039】
なお、口腔内での使用感を考慮した好ましい歯間部25の高さMAおよび先端部MBTの範囲としては、それぞれ「MA=8〜12mm」および「MBT=1〜3mm」が挙げられる。
【0040】
図4を参照して、歯清掃装置1の動作について説明する。
スイッチ44がオフからオンに切り替えられたとき、駆動軸41aが振動数300Hzで上下方向DZに振動する。スイッチ44がオンに切り替えられてから所定期間TAが経過するまでは、振幅Vが所定振幅VAに向けて次第に大きくなる。スイッチ44がオンに切り替えられてから所定期間TAが経過したとき、振幅Vの大きさが所定振幅VAとなる。
【0041】
振幅Vが所定振幅VAに到達してから所定期間TBが経過するまでは、振幅Vが所定振幅VAに維持される。振幅Vが所定振幅VAに到達してから所定期間TBが経過したとき、振幅Vが所定期間TBにわたり所定振幅VAに維持された旨をユーザに報知するため、振動が一旦停止される。
【0042】
振動が停止されてから所定期間TCが経過した後、振幅Vが所定振幅VAに設定された状態で振動が再開される。以降は、振幅Vが所定期間TBにわたり所定振幅VAに維持される動作と、その後に所定期間TCだけ振動が停止される動作とが繰り返し行われる。
【0043】
上記振動パターンの一例を以下に示す。
スイッチ44がオンに切り替えられてから振幅Vが所定振幅VAに到達するまでの所定期間TAは、「2秒」に設定される。所定振幅VAは、「1.2mm」に設定される。振幅Vが所定振幅VAに維持される所定期間TBは、「30秒」に設定される。振動が一時的に停止される所定期間TCは、振動が停止したことをユーザに認識させるために必要な時間が設定される。振動が瞬間的に停止した場合にもそのことがユーザに認識されるため、所定期間TCとしては所定期間TBよりも十分に短い期間を設定することができる。ここでは、所定期間TCとして所定期間TAおよび所定期間TBよりも短い期間が設定されている。
【0044】
次に、ユーザによる歯清掃装置1の使用方法について説明する。
ユーザは、この歯清掃装置1を用いて歯の清掃を行うにあたり、研磨成分を含んだ適量の歯磨剤を歯面研磨部23および歯間部25の少なくとも一方に載せる。次に、歯清掃装置1のスイッチ44をオフからオンに切り替える。
【0045】
歯の平坦部のステイン等を除去するときには、歯面研磨部23を同平坦部に押し当てる。歯と歯の間にあるステイン等を除去するときには、歯間部25を歯と歯の間に挿入する。振幅Vが所定期間TBにわたり所定振幅VAに維持されたことにともない振動が停止したとき、これに基づいて研磨する歯を別の歯に変更するまたは歯の研磨を終了する。
【0046】
ステイン除去用アタッチメント10が振動している状態において、歯間部25が歯と歯の間に挿入されたとき、歯間部25の先端部が歯の隙間の方向に沿って振動する。歯間部25は振動方向に延びる第1主清掃面61および第2主清掃面62を有するため、歯間部25が歯に接触しても振動方向の変形が生じにくい。
【0047】
ステイン除去用アタッチメント10が振動している状態において、歯面研磨部23が歯に押し当てられたとき、歯面部24の先端部は歯の表面に対して平行に振動する。歯面部24の上下方向DZの移動距離は、隣り合う歯面部24同士の間隔である歯面間隔SXよりも大きいため、1つの歯面部24の研磨範囲とこの歯面部24に隣接する別の歯面部24の研磨範囲とが重なり合う。
【0048】
本実施形態よれば以下の作用効果を奏することができる。
(1)歯清掃装置1において、ステイン除去用アタッチメント10の歯間部25の先端部は、歯間部25の先端に向かうにつれて第1主清掃面61と第2主清掃面62との間隔が次第に狭くなる。このように、歯間部25の先端部が先細りの形状であるため、歯間部25を歯と歯の間に挿入する作業が容易になる。また、歯間部25の先端部の外周面が第1主清掃面61および第2主清掃面62により形成されているため、先端部が円錐形状の歯間部と比較して歯との接触面積が大きくなる。従って、歯間を効率よく研磨することができる。すなわち、ステインを除去する効果を高めることができる。
【0049】
また、上記の構成によれば、歯間部25の剛性が高くなるため、歯間部25が歯と歯の間に挿入された状態でステイン除去用アタッチメント10が振動したときの歯間部25の変形が小さくなる。従って、ステイン除去用アタッチメント10の振動を効率よく歯間に伝達することができる。
【0050】
(2)歯清掃装置1において、ステイン除去用アタッチメント10の第1主清掃面61および第2主清掃面62は、駆動部41から当該アタッチメント10に付与される振動の方向に沿うように設けられている。これにより、歯間部25が歯と歯の間に挿入された状態においてステイン除去用アタッチメント10が振動したとき、第1主清掃面61および第2主清掃面62がそれぞれ対向する歯に沿うように移動する。このため、各清掃面61,62が歯間をまたぐように設けられる構成と比較して、歯間部25の変形が小さくなる。これにより、ステイン除去用アタッチメント10の振動を効率よく歯間に伝達することができる。
【0051】
(3)歯清掃装置1において、ステイン除去用アタッチメント10の歯間部25の先端部は、歯間部25の先端に向かうにつれて第1副清掃面63と第2副清掃面64との間隔が次第に狭くなる。このように、歯間部25の先端部が先細りの形状であるため、歯間部25を歯と歯の間に挿入する作業が容易になる。また、歯間部25の先端部の外周面が第1副清掃面63および第2副清掃面64により形成されているため、先端部が円錐形状の歯間部と比較して歯との接触面積が大きくなる。従って、歯間を効率よく研磨することができる。
【0052】
(4)歯清掃装置1において、ステイン除去用アタッチメント10の歯間部25の第1主清掃面61および第2主清掃面62には複数の溝27が設けられている。これにより、歯を清掃するときに用いられる研磨剤が各溝27に保持されるため、清掃の途中に研磨剤を補充する回数を少なくすることができる。
【0053】
(5)歯清掃装置1において、ステイン除去用アタッチメント10には歯間を研磨するための歯間部25および歯面を研磨するための歯面研磨部23が1つの基礎部28に設けられている。これにより、1つのアタッチメント10を装着した状態で歯間および歯面を研磨することが可能となるため、歯間部25および歯面研磨部23の一方のみが設けられている歯清掃装置1と比較して、アタッチメントの取り替えにともなうユーザの手間を軽減することができる。
【0054】
(6)歯清掃装置1において、ステイン除去用アタッチメント10のヘッド部20はシリコンゴムにより形成されている。これにより、歯の清掃時に同ヘッド部20が歯茎に接触することに起因して歯茎を痛めることを抑制することができる。
【0055】
(7)歯清掃装置1において、ステイン除去用アタッチメント10の隣り合う歯面部24同士の間隔(歯面間隔SX)が同アタッチメント10の振動の振幅よりも小さい。これにより、ステイン除去用アタッチメント10が振動したとき、隣り合う歯面部24の一方の研磨範囲と他方の研磨範囲とが重なり合うため、歯面研磨部23と対応する歯面において研磨されない部分を少なくすることができる。
【0056】
(8)歯清掃装置1において、ステイン除去用アタッチメント10の各歯面部24は横方向DXに延びる形状を有する。これにより、各歯面部24と歯面との接触面積が大きくなるため、歯面をより効率的に研磨することができる。
【0057】
(9)歯清掃装置1において、ステイン除去用アタッチメント10の各歯面部24は、その長手方向が振動方向と直交するように、かつ振動方向に一列となるように設けられている。これにより、各歯面部24の長手方向が振動方向に沿うように各歯面部24が設けられた構成と比較して、歯面をより確実に研磨することができる。
【0058】
(10)歯清掃装置1において、ステイン除去用アタッチメント10の各歯面部24は、振動方向に直交する方向に延びる幅広の部位として形成されている。これにより、各歯面部24が振動方向に沿う方向に伸びる幅広の部位として形成された場合と比較して、ステイン除去用アタッチメント10が振動したときの各歯面部24の研磨範囲が大きくなるため、歯をより確実に研磨することができる。
【0059】
(11)歯清掃装置1において、ステイン除去用アタッチメント10の歯間部25の高さMAが歯面部24の高さLAよりも大きい。このため、振動方向に対して垂直な断面においての先端部の角度は、歯間部25の高さMAを歯面部24の高さLAよりも小さくしたものよりも鋭角となる。これにより、歯間部25の高さMAを歯面部24の高さLAよりも小さくした構成と比較して、歯間部25の先端を歯と歯の間により確実に挿入することができる。
【0060】
(12)歯清掃装置1では、所定期間TBにわたり継続してステイン除去用アタッチメント10を振動させた後、所定期間TBにわたり振動が継続されたことをユーザに報知するため、同アタッチメント10の振動を一時的に停止する。これにより、研磨対象とする歯を変更するタイミングまたは歯の研磨を終了するタイミングをユーザに認識させることが可能になるため、同じ歯について研磨が過度に長い時間にわたり行われることを抑制することができる。
【0061】
(13)歯清掃装置1では、スイッチ44がオンに切り替えられたときにステイン除去用アタッチメント10の振幅Vを徐々に大きくしている。これにより、ヘッド部20に載せられた研磨剤が飛び散ることを抑制することができる。
【0062】
(その他の実施形態)
なお、本発明の実施態様は上記実施形態にて例示した態様に限られるものではなく、これを例えば以下に示すように変更して実施することもできる。また以下の各変形例は、上記実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0063】
・上記実施形態では、ヘッド部20を支持部30とは各別に形成する構造としたが、ヘッド部20と支持部30とを一体に形成することもできる。また、一体に形成されたヘッド部20および支持部30を含むステイン除去用アタッチメント10と装置本体40とを一体に形成することもできる。
【0064】
・上記実施形態では、歯清掃装置1の動作中において振幅Vが所定振幅VAに維持された期間が所定期間TBに達した旨をユーザに報知するため、ステイン除去用アタッチメント10の振動を一時的に停止しているが、次のように変更することもできる。すなわち、図5に示されるように、振幅Vが所定振幅VAに維持された期間が所定期間TBに達したとき、振幅Vを所定振幅VAよりも小さい所定振幅VBまで小さくし、その後に振幅Vを再び所定振幅VAまで増大することにより、上記旨をユーザに報知することもできる。また、このように振幅Vを所定振幅VBまで小さくする構成において、さらに次のように変更を加えることもできる。すなわち、図6に示されるように、振幅Vが所定振幅VAに維持された期間が所定期間TBに達したとき、振幅Vを所定振幅VBに向けて徐々に小さくすることもできる。
【0065】
・上記実施形態では、振幅Vが所定振幅VAに維持された期間が所定期間TBに達したとき、振幅Vを瞬時に「0」まで減少させているが、振幅Vを徐々に「0」まで減少させることもできる。
【0066】
・振幅Vを所定振幅VAから所定振幅VBまで減少させる構成において、振幅Vを所定振幅VBまで減少させた後、所定期間にわたり振幅Vを所定振幅VBに維持し、その後に所定振幅VAまで増加させることもできる。この場合には、振幅Vが所定振幅VBに維持されている期間において、ユーザが研磨対象とする歯を変更した場合、比較的振動が小さい状態において歯間部25を次の研磨対象に押し当てることができるため、その作業性が向上する。
【0067】
・上記実施形態では、ステイン除去用アタッチメント10の振動態様を制御することにより、研磨が所定期間TBにわたり継続して行われた旨をユーザに認識させるようにしているが、別の構成によりその旨をユーザに認識させることもできる。例えば、所定期間TBが経過したとき発光体を点滅させる構成、または所定期間TBが経過したときに音を発する構成、またはこれらの構成および実施形態の構成を組み合わせた構成を採用することもできる。
【0068】
・上記実施形態では、歯面部24の歯面間隔SXを駆動部41により振動するステイン除去用アタッチメント10の振幅よりも小さくしているが、紙面間隔SXをステイン除去用アタッチメント10の振幅と同じ大きさにすることもできる。
【0069】
なお、ステイン除去用アタッチメント10が振動しているときにおいて、その振幅が歯面部24の歯面間隔SXよりも大きくなる期間が一時的に存在する場合には、一の歯面部24とこれに隣接する別の歯面部24との研磨範囲が重なりあう。従って、歯面部24の歯面間隔SXがステイン除去用アタッチメント10の最大振幅よりも小さい値であれば、上記実施形態の(7)の効果が得られる。
【0070】
・上記実施形態では、ステイン除去用アタッチメント10の振動条件として周波数を300Hzとし、最大振幅を1.2mmとしているが、振動条件はこれに限定されるものではない。すなわち、最大振幅を歯面部24の配列間隔と同じ、または同間隔よりも大きい値に変更することもできる。この場合にも上記実施形態の効果に準じた効果が得られる。具体例として、歯面部24の配列間隔を1.3mmとし、最大振幅を1.5mmとするものが挙げられる。
【0071】
・上記実施形態では、歯間部25の縦方向DYの高さMAを歯面部24の縦方向DYの高さLAよりも大きくしているが、両者の寸法関係はこれに限定されない。例えば、歯間部25の縦方向DYの高さMAを歯面部24の縦方向DYの高さLAよりも小さくすることもできる。
【0072】
・上記実施形態において歯面部24の寸法の一例を示したが、歯面部24のサイズはこれに限定されるものではない。また、歯面研磨部23の歯面部24の個数は、1本〜5本のいずれかまたは7本以上に変更することもできる。
【0073】
・上記実施形態では、複数の歯面部24を一列に並べて歯面研磨部23を構成しているが、歯面部24に二列以上に配列して歯面研磨部23を構成することもできる。この場合は、歯の表面において2つの箇所を同時に研磨することができる。
【0074】
・上記実施形態では、基礎部28に1つの歯間部25を設けているが、2つ以上の歯間部25を設けることもできる。この場合、先端部の互い角度が異なる複数種類の歯間部25を設けることにより、ユーザが歯間の隙間の大きさに応じて使用する歯間部25を選択することができる。
【0075】
・上記実施形態では、歯間部25の周囲面に直線状の溝27を形成しているが、溝27の形状は直線状に限定されない。例えば、溝27の形状を波状や螺旋状にすることもできる。また、溝27を断続的に形成することもできる。
【0076】
・上記実施形態では、シリコンゴムにより形成されたヘッド部20を用いたが、エラストマーにより形成されたヘッド部を用いることもできる。
・上記実施形態では、基礎部28の第2基礎面28bに歯面研磨部23を設けるとともに第1基礎面28aに歯間部25を設けているが、歯面研磨部23および歯間部25の形成位置はこれに限定されない。例えば、以下の(A)〜(D)のように変更することもできる。
(A)第2基礎面28bに歯面研磨部23を設けるとともに第3基礎面28cに歯間部25を設ける。この場合には、第3基礎面28cが基礎面Aに相当し、第2基礎面28bが基礎面Bに相当する。
(B)第2基礎面28bに歯間部25を設けるとともに第3基礎面28cに歯面研磨部23を設ける。この場合には、第2基礎面28bが基礎面Aに相当し、第3基礎面28cが基礎面Bに相当する。
(C)第2基礎面28bに歯面研磨部23を設けるとともに第4基礎面28dに歯間部25を設ける。この場合には、第4基礎面28dが基礎面Aに相当し、第2基礎面28bが基礎面Bに相当する。
(D)第2基礎面28bに歯間部25を設けるとともに第4基礎面28dに歯面研磨部23を設ける。この場合には、第2基礎面28bが基礎面Aに相当し、第4基礎面28dが基礎面Bに相当する。
【0077】
・上記実施形態では、基礎部28の第1基礎面28aに歯間部25を設けているが、これに加えて、第3基礎面28cまたは第4基礎面28dの少なくとも一方に歯間部25を設けることもできる。
【0078】
・上記実施形態では、基礎部28の第2基礎面28bに歯面研磨部23を設けているが、これに加えて、第3基礎面28cまたは第4基礎面28dの少なくとも一方に歯面研磨部23を設けることもできる。
【0079】
・上記実施形態では、基礎部28の第2基礎面28bに歯面研磨部23を設け、第1基礎面28aに歯間部25を設けているが、歯面研磨部23を省略することもできる。
・上記実施形態では、歯面部24を歯の表面を研磨するものとし、歯間部25を歯と歯の間を研磨するものとしているが、歯面部24および歯間部25の用途はこれに限定されない。例えば、歯面部24を歯と歯の間に押し当てて使用することもできる。また、歯間部25を歯の表面に押し当てて使用することもできる。
【0080】
・上記実施形態では、歯間部25の先端部に向かうにつれて第1副清掃面63と第2副清掃面64との間隔が次第に狭くなるように歯間部25を構成したが、各副清掃面63,64の間隔を歯間部25の高さ方向において一定の大きさにすることもできる。
【0081】
・上記実施形態では、歯間部25の底部26から頂部65にかけて各主清掃面61,62の間隔が次第に狭くなるように歯間部25を構成したが、歯間部25のうちの下方の部分に各主清掃面61,62の間隔が一定となる部分を設けることもできる。すなわち、各主清掃面61,62の間隔が先端部に向かうにつれて次第に狭くなる部位について、これを歯間部25のうちの上方に限定して設けることもできる。この場合、各主清掃面61,62の間隔が先端部に向かうにつれて次第に狭くなる部位以外の部位については、各主清掃面61,62の間隔を任意に変更することができる。なお、ここで示した各主清掃面61,62についての変形例は、各主清掃面61,62をそれぞれ各副清掃面63,64に読み替えてこれら清掃面63,64に適用することもできる。
【0082】
・上記実施形態では、歯間部25の頂部65に平滑な面を形成したが、頂部65の先端を尖った形状に変更することもできる。
・上記実施形態では、歯間部25として底部26が楕円形状のものを採用したが、図7に示されるように、底部76が矩形状の歯間部70を採用することもできる。この場合、歯間部70の外周面は、正面視および背面視においてそれぞれ外形線により囲まれて互いに対向する一対の面(第1主清掃面71および第2主清掃面72)、および各側面視においてそれぞれ外形線により囲まれて互いに対向する一対の面(第1副清掃面73および第2副清掃面74)により形成される。この場合、上記実施形態の歯間部25と同様に、歯間部70の先端部に平滑な面により形成される頂部75が設けられる。また、各清掃面71〜74には、研磨剤を保持するための部位として先端にむけて直線状に延びる複数の溝77が形成される。
【0083】
・上記実施形態では、駆動部41によりステイン除去用アタッチメント10に対して上下方向DZの振動を付与したが、上下方向DZの振動に加えて縦方向DYの振動を付与することもできる。また、上下方向DZの振動に代えて縦方向DYの振動を付与することもできる。なお、上記の変形例のいずれの場合においても、第1主清掃面61および第2主清掃面62がステイン除去用アタッチメント10に付与される振動の方向に沿うように設けられているため、上記(2)の効果に準じた効果が得られる。
【0084】
・上記実施形態では、ステインを除去するための歯清掃装置およびそのアタッチメント(ステイン除去用アタッチメント10)として本発明を実施したが、歯を清掃するための他の歯清掃装置として本発明を実施することもできる。他の歯清掃装置としては、例えばアタッチメントを振動させて歯垢を除去する装置が挙げられる。
【符号の説明】
【0085】
1…歯清掃装置、10…ステイン除去用アタッチメント(歯清掃装置用アタッチメント)、24…歯面部、25…歯間部、27…溝、28…基礎部、28a…第1基礎面(基礎面A)、28b…第2基礎面(基礎面B)、40…装置本体、61…第1主清掃面、62…第2主清掃面、63…第1副清掃面、64…第2副清掃面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯間に挿入されて歯間を清掃する歯間部と、この歯間部が設けられる基礎部とを含む歯清掃装置用アタッチメントにおいて、
前記歯間部の外周面について、正面視および背面視においてそれぞれ外形線により囲まれて互いに対向する一対の面を第1主清掃面および第2主清掃面とし、各側面視においてそれぞれ外形線により囲まれて互いに対向する一対の面を第1副清掃面および第2副清掃面として、
前記歯間部の先端部は、前記歯間部の先端に向かうにつれて前記第1主清掃面と前記第2主清掃面との間隔が次第に狭くなる
ことを特徴とする歯清掃装置用アタッチメント。
【請求項2】
請求項1に記載の歯清掃装置用アタッチメントにおいて、
前記第1主清掃面および前記第2主清掃面は、歯清掃装置の装置本体から当該アタッチメントに付与される振動の方向に沿うように設けられている
ことを特徴とする歯清掃装置用アタッチメント。
【請求項3】
請求項1または2に記載の歯清掃装置用アタッチメントにおいて、
前記歯間部の先端部は、前記歯間部の先端に向かうにつれて前記第1副清掃面と前記第2副清掃面との間隔が次第に狭くなる
ことを特徴とする歯清掃装置用アタッチメント。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の歯清掃装置用アタッチメントにおいて、
前記第1主清掃面および前記第2主清掃面の少なくとも一方には溝が設けられている
ことを特徴とする歯清掃装置用アタッチメント。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の歯清掃装置用アタッチメントにおいて、
前記基礎部の面について、前記歯間部が設けられる面を基礎面Aとし、この基礎面Aとは別の面を基礎面Bとして、
この基礎面Bには歯表面を研磨するための歯面部が設けられている
ことを特徴とする歯清掃装置用アタッチメント。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか一項に記載の歯清掃装置用アタッチメントと、同アタッチメントが取り付けられる装置本体とを含む歯清掃装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−255042(P2011−255042A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133327(P2010−133327)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】