説明

歯科クリーニング装置

スペース(14)が間に画定されるように、離間された関係かつ概して互いに向かって傾斜して配置されるクリーニング要素(12)を備える歯科クリーニング装置(10)。スペース(14)を増大させるように移動可能であり、それにより、クリーニング要素(12)を歯の部分の両側に配置できるようにするクリーニング要素(12)。各クリーニング要素(12)は、歯および歯茎に対する他方のクリーニング要素(12)の角度を制御して、クリーニング要素(12)が傾斜して歯および歯茎に係合し、クリーニング要素(12)が歯と歯茎の間をクリーニングできることを保証するように動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科クリーニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
歯周病とは、歯を支持する組織および骨に影響する歯茎の疾病である。歯周病の禁忌としては、歯周辺の部位での歯茎の炎症および歯磨き中の歯茎の出血が挙げられる。この疾病が進行するにつれて、歯茎が退縮し、歯茎の下にある支持骨が失われ、結果として、歯がぐらぐらし、抜けることになる。歯周病は、歯茎および歯に存在する細菌により発生し、歯科医師または歯科衛生士により行われる特定の口腔衛生方法および専門要員によるクリーニングにより処置することができる。この疾病が疑われる個人への疾病の処置および予防は、患者も適切なクリーニングを行える場合に向上する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の態様は、離間した関係で配置されたクリーニング要素およびガイド要素を備え、クリーニング要素は、スペースがクリーニング要素とガイド要素との間に画定されるように、概してガイド要素に向かって傾斜し、クリーニング要素およびガイド要素のうちの少なくとも一方は、スペースを増大させるように移動可能であり、それにより、クリーニング要素およびガイド要素を歯の部分の両側に配置できる、歯科クリーニング装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
歯科クリーニング装置は、傾斜したクリーニング要素により、歯と隣接する歯茎との間のクリーニングを容易にする。ガイド要素は、歯および歯茎に対するクリーニング要素の角度を制御するように機能し、クリーニング要素が傾斜して歯および歯茎に係合し、クリーニング要素が歯と歯茎との間のクリーニングできることを保証する。
【0005】
好ましくは、クリーニング要素は第1のアーム上に設けられ、ガイド要素は第2のアーム上に設けられ、第1および第2のアームは離間した関係で配置される。したがって、クリーニング要素を奥歯に対して容易に使用することができる。
【0006】
第1のアームおよび第2のアームのうちの少なくとも一方は、その一端部に向かって可撓性材料の部分を備え得、クリーニング要素およびガイド要素のうちの少なくとも一方は、上記部分の変形により移動可能なように、概して上記一端部に設けられる。
【0007】
好ましくは、第1のアームおよび第2のアームのそれぞれは、上記一端部に第1の部分および他端部に第2の部分を備え、第1の部分は第2の部分に対して傾斜して配置される。したがって、クリーニング要素およびガイド要素は、アームが前歯を汚さない状態で、奥歯に配置することができる。
【0008】
好ましくは、ガイド要素は、上記クリーニング要素に向かって概して傾斜したさらなるクリーニング要素を備える。したがって、歯科クリーニング装置は、口の両側の歯に対して使用可能である。さらなるクリーニング要素は、スペースを増大させるように移動可能であってもよい。
【0009】
1つまたはそれぞれのクリーニング要素は、可撓性クリーニング要素を備え得るため、変形により移動可能である。1つまたはそれぞれのクリーニング要素は、剛毛束を備え得る。剛毛束は、概して円形の断面を有し、遠位端部において概して尖り得る。剛毛束は、好ましくは、歯間ブラシに一般に使用されるタイプのものであり、剛毛がクリーニングする対象である成人の臼歯よりも小さい。1つまたはそれぞれのクリーニング要素は、剛毛束の周囲に設けられる追加の剛毛束をさらに含み得、追加の剛毛束は、剛毛束が追加の剛毛束よりも先に延びるように、剛毛束よりも短い長さを有する。
【0010】
好ましくは、1つまたはそれぞれのクリーニング要素は、移動可能に取り付けられたクリーニングヘッド上に設けられる。クリーニングヘッドは、1つまたはそれぞれのクリーニング要素を線形に移動可能であり、それにより、スペースを増大させ得るように、線形に移動可能であり得る。クリーニングヘッドは、代替または追加として、回転可能に移動可能であり得、歯科クリーニング装置は、クリーニングヘッドを回転させるように動作可能な駆動手段をさらに備え得る。
【0011】
歯科クリーニング装置は、装置をハンドルに結合するように適合された結合装置をさらに備え得る。
【0012】
あるいは、歯科クリーニング装置は、ハンドルをさらに含み得、ハンドルは、前歯を汚さない状態での奥歯へのクリーニング要素およびガイド要素の配置を容易にするような傾斜形状を有し得る。
【0013】
本発明の実施形態について、例としてのみ、添付図面を参照して詳細にこれより説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態の歯科クリーニング装置の概略図である。
【図2】図1の装置の概略側面図である。
【図3】図1の装置の概略端面図である。
【図4】1組の下の歯に使用されている図1の装置の概略図である。
【図5】本発明の第2の実施形態にいよる歯科クリーニング装置のクリーニングヘッドおよびクリーニング要素の概略図である。
【図6】本発明の第3の実施形態の歯科クリーニング装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1〜図3を参照すると、本発明の第1の実施形態は、離間した関係で配置される第1および第2のクリーニング要素12を備えた歯科クリーニング装置10を提供し、クリーニング要素12は、スペース14がクリーニング要素12の間に画定されるように、概して互いに向かって傾斜する。
【0016】
この例では、クリーニング要素12は剛毛束を備えるが、他の適したクリーニング要素を代替として使用してもよいことが理解されよう。各クリーニング要素12は、クリーニングヘッド16上に設けられる。剛毛束12は、歯間ブラシに使用される剛毛束のタイプと同様に、クリーニングヘッド16に接続された概して円柱形の形状の第1の部分12aと、概して先細りし、先端が丸められた遠位端部分12bとを有する。剛毛束の遠位端部12bは、剛毛束12によるクリーニングの対象である臼歯22、24よりも小さい。各剛毛束は、最大高さ12〜15mm、最大直径3〜6mm、および遠位端部12bの丸められた先端の幅1〜2mmを有する。
【0017】
クリーニングヘッド16は、第1および第2のアーム18により担持される。各アーム18は、一端部に第1の部分18aおよび他端部に第2の部分18bを備える。クリーニングヘッド16は、第1の部分18aに設けられ、第1の部分18aの遠位端部を形成する。クリーニングヘッド16は、概して下方に(図2での向きのように)かつ第1の部分18aから離れるように傾斜する。クリーニングヘッド16はさらに、2つのクリーニングヘッド16および剛毛束12が概して互いに向かって傾斜すると共に、概して下方に(図2および図3での向きのように)傾斜するように、内側に傾斜する(図1および図3での向きのように)。結合装置(図示せず)が、第2の部分18bの内部に設けられ、装置10をハンドルに結合するように適合される。
【0018】
図2に示されるように、アーム18の第1の部分18aは、第2の部分18bに対して傾斜する。これは、図4に示されるように、剛毛束12を奥歯に配置する際に、前歯上に第2の部分18bの隙間高さを提供するためである。
【0019】
アーム18の第2の部分18bは、他端部において互いに結合し、アーム18の第1の部分18aは、図1および図3に示されるように、傾斜し離間された関係で配置される。
【0020】
アーム18の第1の部分18aは、可撓性材料で作られ、この例では、熱可塑性材料を含むが、代替として、ナイロンを含んでもよい。したがって、第1の部分18aの端部、ひいてはクリーニングヘッド16は、剛毛束12の間のスペース14のサイズを増大させるために、概して外側に(図面での向きのように)変形し得る。剛毛束12も可撓性を有し、図4に示されるように、歯の周囲に配置するために、外側に変形し得る。
【0021】
剛毛束12により画定されるスペース14は概して、図4に示されるように、2つの臼歯22と24との間の接合部20の幅よりもわずかに小さい。使用に際して、剛毛束12は、接合部20の周囲に配置され、装置が優しく下方の歯22、24上に押され、その結果生じる力が、アーム18の第1の部分18aを変形させると共に、剛毛12が接合部20および歯22、24を通り、歯22、24を囲む歯茎に接触するように剛毛12を変形させる。
【0022】
歯22、24の内側に配置された剛毛束12は、歯22、24の外側にある剛毛束12が、歯22、24と周囲の歯茎との間をクリーニングするために正しい角度に位置決めされることを保証するガイドとして動作する。同様に、歯22、24の外側に配置された剛毛束12は、歯22、24の内側にある剛毛束12のガイドとして動作する。それにより、剛毛束12は、使用中、歯冠の略垂直な側面に対して鋭角に配置され、剛毛12を歯冠と周囲の歯茎との間に配置し、それにより、歯冠と歯茎との間をクリーニングし得ることを保証する。
【0023】
それにより、歯科クリーニング装置10は、歯冠と周囲の歯茎との間をクリーニングするために正しい角度に剛毛12を提供するという、歯ブラシおよび歯間ブラシよりも優れた利点を提供する。既知のブラシの形状および構成により、熟練していない使用者が剛毛を、歯冠と周囲の歯茎との間をクリーニングするために正しい角度に配置することは、非常に難しい。
【0024】
歯科クリーニング装置10は、歯周病の予防および/または治療に使用することができ、この点に関して、レベル3の歯のぐらつき具合を有する歯を治療してテストした。歯科クリーニング装置10を使用した定期的なクリーニングの後、歯のぐらつき具合はレベル1に低減した。
【0025】
さらなる例では、クリーニングヘッド16は、既知の機械的な歯ブラシのように、クリーニング中に剛毛束12が回転し得るように、アーム18に回転可能に取り付け得る。
【0026】
本発明の第2の実施形態は、クリーニング要素30が、図5に示されるように、剛毛束12の周囲に設けられた追加の剛毛束32をさらに備える、歯科クリーニング装置を提供する。追加の剛毛束32は、剛毛束12の先細りし先が丸められた遠位端部12bが追加の剛毛束32の概して中央に配置され、追加の剛毛束から概して外側に延出するように見えるように、各剛毛束の第1の部分12aの高さに略等しい長さを有する。
【0027】
剛毛束12を他の任意の適したクリーニング要素で置換し得ることが当業者には理解されよう。さらに、アームの第1の部分18aの全長が可撓性であるのではなく、第1の部分18aの長さの一部のみが可撓性材料を含んでもよい。クリーニング要素を歯の周囲に配置できるようにするには、クリーニング要素が可撓性を有するだけで十分でもあり得るため、アーム18自体が可撓性を有する必要はない。あるいは、剛毛束12またはクリーニング要素は、剛毛束12をクリーニングヘッド16内に線形に移動させ、それにより、剛毛束間のスペース14のサイズを増大させ得るように、クリーニングヘッド16内部で線形に移動可能であり得る。
【0028】
当業者には理解されるように、歯周病は一般に、前歯よりも奥歯に影響を及ぼすが、特に剛毛束間のスペースをより小さくして剛毛束12を構成することにより、クリーニング装置10を前歯のクリーニングに適合することもできる。
【0029】
図1〜図4に示される歯科クリーニング装置10は、既知の機械式の歯ブラシのハンドルを含め、任意の適したハンドルに取り付け得る。回転可能に取り付けられるクリーニングヘッド16が設けられる場合、ハンドル内に設けられた駆動源に結合して、クリーニングヘッド16の回転を既知の様式で駆動する、クリーニングヘッド16用の駆動装置がクリーニング装置10内に設けられる。。
【0030】
図6は、本発明の第3の実施形態による歯科クリーニング装置40を示す。歯科クリーニング装置40は、本発明の第1の実施形態による歯科クリーニング装置10と、ハンドル42とを備える。歯科クリーニング装置10およびハンドル42は、装置10がハンドル42から取り外せないような複合体を構成する。
【0031】
この例では、ハンドル42は、上述したように、前歯上にさらなる隙間を提供するために傾斜する。
【0032】
本発明の範囲から逸脱せずに、上述した歯科クリーニング装置10、30に対して様々な変更を行い得る。特に、アーム18は異なる構成で提供し得、例えば、互いに対して概して平行し、結合要素を介して他端部において接続され得る。剛毛束12は、代替の適したクリーニング要素で置換し得る。クリーニングヘッド6は、異なるサイズのスペース14が剛毛束間またはクリーニング要素間に画定されるように、アーム18の第1の部分18aに対して異なる角度向きを有し得る。アーム18の第2の部分18bに対する第1の部分18aの角度は、示される角度から異なってもよい。クリーニング装置10に傾斜したハンドルが設けられる場合、アーム18の第1の部分18aは、第2の部分18bに対する角度よりも小さな角度で、または第2の部分18bに対して傾斜せずに配置し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
離間した関係で配置されるクリーニング要素およびガイド要素を備え、前記クリーニング要素は、スペースが前記クリーニング要素と前記ガイド要素との間に画定されるように、概して前記ガイド要素に向かって傾斜し、前記クリーニング要素および前記ガイド要素のうちの少なくとも一方は、スペースを増大させるように移動可能であり、それにより、前記クリーニング要素および前記ガイド要素を歯の部分の両側に配置できるようにする、歯科クリーニング装置。
【請求項2】
前記クリーニング要素は第1のアーム上に設けられ、前記ガイド要素は第2のアーム上に設けられ、前記第1および第2のアームは離間した関係で配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のアームおよび前記第2のアームのうちの少なくとも一方は、その一端部に向かって可撓性材料の部分を備え、前記クリーニング要素および前記ガイド要素のうちの少なくとも一方は、前記部分の変形により移動可能なように、概して前記一端部に設けられる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のアームおよび第2のアームのそれぞれは、前記一端部に第1の部分および他端部に第2の部分を備え、前記第1の部分は前記第2の部分に対して傾斜して配置される、請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記ガイド要素は、前記クリーニング要素に向かって概して傾斜したさらなるクリーニング要素を備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記1つまたはそれぞれのクリーニング要素は、可撓性クリーニング要素を備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記1つまたはそれぞれのクリーニング要素は、剛毛束を備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記剛毛束は、概して円形の断面を有し、遠位端部において概して尖る、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記1つまたはそれぞれのクリーニング要素は、前記剛毛束の周囲に設けられる追加の剛毛束をさらに備え、前記追加の剛毛束は、前記剛毛束が前記追加の剛毛束よりも先に延びるように、前記剛毛束よりも短い長さを有する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記剛毛束は成人の臼歯よりも小さい、請求項7〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記1つまたはそれぞれのクリーニング要素は、移動可能に取り付けられたクリーニングヘッド上に設けられる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記装置をハンドルに結合するように適合された結合装置をさらに備える、請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−524587(P2012−524587A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506577(P2012−506577)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【国際出願番号】PCT/GB2010/050646
【国際公開番号】WO2010/122335
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(511231632)
【Fターム(参考)】