説明

歯科用研磨剤系

高度に清浄な、調節した研磨度の歯磨き剤組成物に用いる研磨剤系は、30〜150の範囲の放射性歯科用研磨(RDA)を有する第1のシリカと100〜300の範囲のRDAを有する第2のシリカとから選択できる少なくとも1種の研磨剤シリカと0.2μm以下の平均微結晶寸法を有する結晶質のアルミノケイ酸塩とを含有してなる。第1のシリカの重量含量は第2のシリカの重量含量よりも通常大きく、第2のシリカのRDAは第1のシリカのRDAよりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高度に清浄な、調節した研磨度の歯磨き剤組成物に用いる研磨剤系に関し、詳しく言えば非晶質シリカと結晶質のアルミノケイ酸塩との組合せからなる研磨剤系に関する。
【背景技術】
【0002】
歯磨き剤は普通、物理的な研磨用堆積により歯の機械的な清浄及び研磨のための摩耗性材料を包含し、且つまた化学的な清浄剤を含有し得る。
【0003】
摩耗性材料は主として歯の表面から付着物の機械的な除去を行なうのに意図され、例えば歯の表面に付着した薄膜(pellicle)フィルムの除去に意図される。薄膜フィルムは例えば茶及びコーヒーの如き食料品によって及び吐き出したタバコの煙中のタール及び粒状物によって変色及び着色しがちであり、歯の見苦しい外観を生じる。かかる機械的な除去は有効な清浄化には重要であるけれども、用いた研磨剤は歯への損傷例えば引掻きを最小とするため不当に荒々しくないのが重要である。
【0004】
合成により生産した非晶質シリカは歯磨き剤における好都合な摩耗性成分であることが多く、しかも予定の摩耗性特性及び歯磨き剤に用いるに適当な別の物理特性を有するように生産プロセス中に容易に仕立てることができる。沈降シリカは摩耗性成分として特に有用であり、一般には歯磨き剤組成物で選択される材料である。
【0005】
シリカは研磨による機械的な清浄化には特に有効であるけれども、化学的な清浄化の点では有意な寄与を生じない。
【0006】
結晶質のアルミノケイ酸塩(ゼオライト)は歯磨き剤組成物における清浄剤として用いられてきた。これらは機械的な清浄作用(研磨度:abrasivity)を有し、カルシウムイオンを結合することが知られている。歯科用の清浄剤は、相対的に良好な清浄化と象牙質の最小限の研磨とを組合せるのが望ましい。大抵の利用できるゼオライトは余りにも摩耗性で許容できないほどの研磨なしには十分な清浄化を与えることができないことが見出された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
シリカを単独で用いて達成し得る研磨度を越えて、増大した研磨度なしに向上した清浄化を有する処方物に対する必要性がある。驚くべきことには、今般見出された所によれば特定の1種又は複数のシリカと特定のアルミノケイ酸塩との組合せを用いると、許容し得る研磨特性と共に良好な清浄化を有する歯磨き剤組成物が得られる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、歯磨き剤組成物に用いる研磨剤系(abrasive system)は30〜300の範囲の放射性歯科用研磨(Radio-active Dental Abrasion; RDA)と、40〜150 cm3/100gの範囲の吸油量と3〜15μmの範囲の重量平均粒度とを有する少なくとも1種の摩耗性の非晶質シリカと、0.2μm以下の平均微結晶寸法を有する結晶質アルミノケイ酸塩とを含有する。
【0009】
1種又は複数の摩耗性シリカの量は用いたシリカの研磨度に応じて決まる。通常摩耗性シリカ含量は、研磨剤系の合したシリカ研磨剤/アルミノケイ酸塩含量の7〜85重量%、例えば12〜80重量%の範囲にある。
【0010】
シリカは、30〜150の範囲の放射性歯科用研磨(RDA)と60〜140cm3/100gの範囲の吸油量と5〜15μmの範囲の重量平均粒度とを有する摩耗性の非晶質シリカ(ここではシリカAと記載する)及び/又は100〜300の範囲の放射性歯科用研磨(RDA)と40〜150 cm3/100gの範囲の吸油量と3〜15μmの範囲の重量平均粒度とを有する摩耗性の非晶質シリカ(ここではシリカBと記載する)であり得る。
【0011】
両方のシリカを用いる時は、シリカAの重量での量はシリカBのそれよりも通常大きく、シリカBのRDAはシリカAのRDAよりも大きい。
【0012】
シリカAとシリカBとの両方が存在する場合には、シリカBは「清浄化増強剤」として機能し、然るにシリカBに対してシリカAは研磨剤系の主要なシリカ含分を成す。
【0013】
少なくとも1種の摩耗性シリカに加えて、本発明の研磨剤系は30以下のRDAを有する増粘用シリカをも含有できる。
【0014】
研磨剤系で用いた1種又は複数のシリカは沈降シリカであるのが典型的である。
【0015】
本発明の研磨剤系の諸成分は、高い水含量を有するフィルターケーキに伴なう微生物の問題及び保存の問題を有せずに、自由流動性の粉末を確保するのに乾燥状態にあるのが好ましい。研磨剤系及び/又はその個々の成分に伴なうしかも105℃での減損により測定した物理的な水含量は、研磨剤系又は個々の成分の20%以下であるのが好ましい。
【0016】
本発明の研磨剤系及びその諸成分に対するRDA値は以下に定義した如く成分の水性スラリーを用いて測定する。然しながら、完全な歯磨き剤組成物即ち以下に定義した如く何れかの任意成分を含有する完全な歯磨き剤組成物についてRDAを測定するならば、得られたRDA値はかなり異なってしまう。例えば本発明による研磨剤系を包含する典型的な歯磨き剤組成物のRDAは25〜200の範囲、好ましくは30〜180、より好ましくは50〜150の範囲にあるものである。
【0017】
一般に、シリカAは低い〜中位のRDAを有する。典型的にはそのRDAは少なくとも40であり、より普通には少なくとも50である。典型的にはそのRDAは130より大きくなく例えば110より大きくない。
【0018】
本発明で用いたシリカの吸油量は以下に記載した試験により測定する。シリカAについて好ましい範囲は80〜120 cm3/100gである。シリカAは6〜12μmの範囲の重量平均粒度を有するのが好ましく、該粒度は以下に記載される如くマルベルン マスターサイザー(登録商標)により測定する。シリカAの所望の粒度はシリカを微粉砕工程にかけることにより得られるのが通常である。
【0019】
一般に、シリカBは中位〜高いRDAを有する。典型的にはそのRDAは少なくとも100であり、より通常は少なくとも120であり、例えば少なくとも130である。典型的には、そのRDAは220より大きくなく、より通常は200より大きくなく、例えば180より大きくない。
【0020】
シリカBの吸油量は典型的には少なくとも50であり、より通常は少なくとも60、例えば少なくとも65 cm3/100gである。シリカBの吸油量は典型的には精々130であり、より通常は精々120、例えば精々100cm3/100gである。シリカAとシリカBとの両方が研磨剤系に存在する場合には、通常シリカBはより低い吸油量を有する。
【0021】
好ましくは、シリカBは少なくとも2μm、より通常は少なくとも3μmの重量平均粒度を有する。好ましくは、シリカBはマルベルン マスターサイザー(登録商標)により測定すると精々8μm、より通常は精々6μmの重量平均粒度を有する。通常シリカBの所望の粒度はシリカを超微粉砕用の微粉砕工程にかけることにより得られる。
【0022】
5重量%の懸濁物として測定したシリカA及びシリカB(及び存在するいずれか別のシリカ、例えば増粘用シリカ)のpHは典型的には精々8であり、より通常は精々7.5、例えば精々7.0である。典型的にはシリカA及びシリカB(及び系に存在する何れか別のシリカ)のpHは少なくとも3.0であり、より通常は少なくとも4.0である。研磨剤系のpHは該系を用いる歯磨き剤組成物のpHを調節する特に有効な方式である。本発明の特徴によると、研磨剤系の諸成分は該系のpHが精々10.0、より通常は精々9.5、例えば精々9.0であるような仕方で選択される。かかるpHの調節は、イオン交換技術により結晶質アルミノケイ酸塩の固有の高いpHを調節する必要性なしに、研磨剤系のシリカ含量(シリカA及び/又はシリカB及び存在する何れか別のシリカ)によって実施できる。然しながら、特に一層低い練り歯磨きpHを必要とするならば結晶質アルミノケイ酸塩の少なくとも一部がpH−調節した結晶質アルミノケイ酸塩によって構成されるという可能性を排除するものではない。
【0023】
1000℃での強熱減量によって測定される通り、非晶質シリカA又はBに存在する水の量は通常25重量%以下であり、好ましくは15重量%以下である。通常1000℃での強熱減量は4重量%以上である。
【0024】
本発明で有用な結晶質アルミノケイ酸塩は次式;
M2/nO・Al2O3・xSiO2・yH2O
(式中Mは金属部分を表わし、該金属はnの原子価を有し、xはシリカとアルミナとのモル比を表わし、yは水分子とアルミナとの比率を示す)によって表わし得る。多数のアルミノケイ酸塩(ゼオライト)の構造及び特徴はRobert E. Krieger Publishing Company発行のドナルド W.ブレックによる標準著作「ゼオライトの分子篩(Zeolite Molecular Sieves)」に記載されている。通常前記実験式中のxの値は1.5〜10の範囲にある。ゼオライトの空隙に含有される水の量を表わすyの値は大きく変化し得る。無水の材料ではyは0であり、十分に水和したゼオライトではyは典型的には5以下である。
【0025】
本発明で有用なゼオライトは天然産生の又は合成のアルミノケイ酸塩に基づき得るが、好ましい形のゼオライトはゼオライトPとして知られる構造を有する。特に好ましい形のゼオライトはEP−A−0 384 070号、EP−A−0 565 364号、EP−A−0 697 010号、EP−A−0 742 780号、WO−A−96/14270号、WO−A−96/34828号及びWO−A−97/06102号に開示されたゼオライトであり、その記載内容全体を参考のためここに組入れてある。EP−A−0 384 070号に記載したゼオライトPは前記した実験式(但しMはアルカリ金属を表わし、xは2.66以下の値を有し、好ましくは1.8〜2.66の範囲の値を有する)を有し且つ本発明で特に有用である構造を有する。xは1.8〜2.4の範囲の値を有するのがより好ましい。前記の特許文献に開示したゼオライトPは、20重量%以下の湿分にまで乾燥した時でさえ、十分0.2μm以下の微結晶寸法と2.5μm以下の凝集体寸法(即ち重量平均粒度)とを有して製造されるように容易に適合する。これは、乾燥すると、大きな重量平均粒度に凝集する傾向のある別のゼオライトとは対照的である。
【0026】
以下に記載した試験を用いて測定した結晶質アルミノケイ酸塩の平均微結晶寸法は0.01〜0.1μm(典型的には0.1μm以下)であるのが好ましく、0.02〜0.08μmであるのがより好ましい。
【0027】
結晶質アルミノケイ酸塩のRDAは比較的低く、120以下であるのが好ましく、100以下であるのがより好ましい。そのRDAは通常30より大きいものである。
【0028】
更には、好ましいアルミノケイ酸塩は用いた時歯の表面に最低限の引掻きを生ずる。引掻きは以下に記載したPAV試験を用いて評価でき、好ましいアルミノケイ酸塩は4〜11のPAVを有し、好ましくは4〜9、より好ましくは4〜7のPAVを有する。
【0029】
好ましくはアルミノケイ酸塩は以下に定義した如く、無水アルミノケイ酸塩の1g当り少なくとも100mgのCaOのカルシウム結合能力を有し、好ましくは無水アルミノケイ酸塩の1g当り少なくとも130mgのCaO、最も好ましくは無水アルミノケイ酸塩の1g当り少なくとも150mgのCaOのカルシウム結合能力を有する。
【0030】
アルミノケイ酸塩は少なくとも40 cm3/100g、好ましくは40〜100 cm3/100gの範囲の吸油量を有するのが好ましい。
【0031】
アルミノケイ酸塩は、マルベルン マスターサイザー(登録商標)により測定すると少なくとも0.5μm、より通常は少なくとも1.0μm例えば少なくとも1.8μmの重量平均粒度を有するのが好ましい。アルミノケイ酸塩はマルベルン マスターサイザー(登録商標)により測定すると精々10.0μm、より通常は精々5.0μm、例えば精々3.0μmの重量平均粒度を有するのが好ましい。アルミノケイ酸塩について最も好ましい範囲は2.0〜2.5μmである。
【0032】
通常、ゼオライトPの好ましい形態は前記式中のMがアルカリ金属イオンよりなる形態である。然しながら、ゼオライトPの適当な形態には、例えば公開された国際特許出願第WO 01/94512号に開示される通りアルカリ金属部分Mの一部が別の金属部分で交換された形態がある。部分的に交換したゼオライトは研磨剤系のpHを調節するのが望ましい時には、特に有用である。かかるpH調節工程はゼオライトの追加の加工と、それに係る経費とを伴なう。この理由のため、前述した如く、研磨剤系のシリカ含量により且つ選択したシリカ(類)の個有のpHにより高度pHのゼオライトの作用を緩衝するのが好ましい。
【0033】
本発明の研磨剤系で用いたアルミノケイ酸塩のpH、特に前述した如く部分的に交換されていない時のアルミノケイ酸塩のpHは通常10より大きい。研磨剤系に存在するアルミノケイ酸塩がかかるイオン交換を受けたものである場合には、そのpHは通常10より大きくない。
【0034】
本発明の歯科用研磨剤に存在するシリカとアルミノケイ酸塩との割合は、これを用いる歯磨き剤組成物に適当な特性の釣合いを達成するのに変化し得る。
【0035】
シリカAが本発明の研磨剤系に存在する唯一のシリカ研磨剤である場合には、典型的には研磨剤系の合したシリカ研磨剤/アルミノケイ酸塩含量の少なくとも15重量%、より通常は少なくとも20重量%例えば少なくとも30重量%よりなる。この場合には、シリカAは典型的には研磨剤系の合したシリカ研磨剤/アルミノケイ酸塩含量の精々85重量%、より通常は精々80重量%例えば精々70重量%よりなる。シリカA含量について典型的な範囲は研磨剤系の合したシリカ研磨剤/アルミノケイ酸塩含量の40〜60重量%である。
【0036】
シリカBが本発明の研磨剤系に存在する唯一のシリカ研磨剤である場合には、典型的には研磨剤系の合したシリカ研磨剤/アルミノケイ酸塩含量の少なくとも1重量%、より通常は少なくとも5重量%例えば少なくとも10重量%よりなる。この場合には、シリカBは典型的には研磨剤系の合したシリカ研磨剤/アルミノケイ酸塩含量の精々70重量%、より通常は精々50重量%例えば精々40重量%よりなる。シリカB含量について典型的な範囲は研磨剤系の合したシリカ研磨剤/アルミノケイ酸塩の15〜35重量%である。
【0037】
シリカAとシリカBの両方の研磨剤が本発明の研磨剤系に存在する場合には、シリカAは典型的には系の合したシリカA/シリカB/アルミノケイ酸塩含分の少なくとも25重量%、より通常は少なくとも35重量%例えば少なくとも40重量%よりなる。シリカBは典型的には合したシリカA/シリカB/アルミノケイ酸塩全体の少なくとも2重量%、より通常は少なくとも4重量%例えば少なくとも10重量%よりなる。この場合には、シリカA及びシリカBは典型的には研磨剤系の合したシリカ研磨剤/アルミノケイ酸塩含分の精々80重量%、より通常は精々70重量%例えば精々65重量%よりなる。
【0038】
別量の追加の成分は、相異なる結晶質アルミノケイ酸塩例えば清浄化増強剤(booster)として作用するA、X又はY型のゼオライト(以下では「増強剤ゼオライト」と記載する)であり得る。存在する時は、存在する増強剤ゼオライトの量は通常、先に記載した結晶質アルミノケイ酸塩(「主要」ゼオライト)の量よりも少ない。通常増強剤ゼオライトを用いる場合には、研磨剤系中にシリカBを含有させるのは必要でない。
【0039】
増強剤ゼオライトは好ましくは100〜300の範囲のRDA、より好ましくは100〜250の範囲のRDAを有する。増強剤ゼオライトのPAVは好ましくは9〜25の範囲、より好ましくは9〜20の範囲にある。増強剤ゼオライトのRDAとPAVとの両方についての値は主要ゼオライトについての値よりも大きい。増強剤ゼオライトの好ましい吸油量は30〜100cm3/100gの範囲にあり、より好ましくは30〜50cm3/100gの範囲にある。増強剤ゼオライトの重量平均粒度は2.0〜5.0μmの範囲にあるのが好ましい。増強剤ゼオライトは0.2μm以上の平均微結晶寸法を有するのが好ましく、1.0μm以上であるのが最も好ましい。
【0040】
本発明の歯科用研磨剤系に存在するシリカA及びシリカB又は増強剤ゼオライトの割合は研磨度を調節しながら最適な清浄化を与えるように変化し得る。一般に、シリカAと増強剤粒子との重量割合は100:0〜0:100の範囲にある。この比率が90:10〜50:50の範囲にあるのが好ましい。ここで用いた用語「増強剤粒子」は増強剤シリカ即ちシリカB、増強剤ゼオライト又は増強剤シリカと増強剤ゼオライトとの組合せを示す。
【0041】
本発明の研磨剤系を用いて歯磨き剤組成物を製造する時は、研磨剤系の諸成分は、次後の混合物を歯磨き剤組成物の別成分と組合せる前に混合でき、あるいは歯磨き剤組成物の別成分に別個に添加できる。各々の場合に、諸成分又はこれの混合物は、少なくともこれを歯磨き剤組成物の別成分と組合せる前は、通常実質的に乾燥自由流動性の粒状材料の形であるものである。
【0042】
本発明の研磨剤系を含有する歯磨き剤組成物はまた、細菌による鉱質消失(虫歯)及び/又は食事の酸性成分による鉱質消失(浸食)に対する保護としてフッ素イオン供給源を含有し得る。フッ素イオン供給源はこれらの目的のため練り歯磨きに通常用いた化合物の何れかによって提供でき、例えばフッ化ナトリウム、アルカリ金属モノフルオロリン酸塩、フッ化第一錫等によって提供でき、ナトリウムモノフルオロリン酸塩の如きアルカリ金属モノフルオロリン酸塩が好ましい。フッ素イオン供給源は虫歯の保護のため既知の要領で役立つ。フッ素イオン供給源は、抗虫歯及び抗浸食効果を与えるに安全な且つ有効な量で例えばフッ素イオンとして約25ppm〜約3500ppm、好ましくは約1100ppmを与えるに十分な量で用いるのが好ましい。例えば処方物はフッ化ナトリウムの如きアルカリ金属フッ化物の0.1〜0.5重量%を含有できる。
【0043】
本発明の研磨剤系を含有する歯磨き剤組成物のpHは約6〜10.5であるのが好ましく、約7〜約9.5であるのがより好ましい。典型的には該組成物は適当なpHを与えるのに例えば1.0重量%まで又はそれ以上の水酸化ナトリウムを含有できる。
【0044】
本発明の研磨剤系は歯磨き剤組成物を製造するのに経口上許容できる担体中に配合し得る。用語「経口上許容できる担体」とは安全で有効な要領で得られる歯磨き剤組成物を口腔に施用するのに用い得る適当な担体(ビヒクル)を意味する。
【0045】
慣用の練り歯磨きの要領で使用できる即ち歯ブラシ上に押出すことができる、本発明の研磨剤系を含有する組成物においては、経口上許容できるビヒクルは一般に慣用の組成を有することができ、例えば増粘剤、結合剤及び調湿剤を包含する組成を有する。好ましい結合剤には例えば天然ゴム及び合成ゴム例えばキサンタンガム、カラギーナン、アルギネート、セルロースエーテル類及びエステル類がある。好ましい調湿剤にはグリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール及びポリエチレングリコールがある。好ましい調湿剤系はグリセリン、ソルビトール及びポリエチレングリコールよりなる。
【0046】
更には、経口上許容できるビヒクルは場合によっては、1種又はそれ以上の表面活性剤、甘味剤、香味剤、抗虫歯剤(フッ素イオン供給源に加えて)、抗プラーク剤、抗菌剤例えばトリクロサン又はセチルピリジニウムクロライド、歯の脱感作剤例えばカリウム又はストロンチウム塩例えば硝酸カリウム又は塩化ストロンチウム、着色剤及び顔料を含有できる。有用な表面活性剤にはアルキル部分に10〜18個の炭素原子を有するアルキルサルフェートの水溶性塩例えばラウリル硫酸ナトリウムがあるが、別のアニオン系表面活性剤並びに非イオン系、両性及びカチオン系表面活性剤も用い得る。
【0047】
水性の経口上許容できるビヒクルを用いるならば、歯磨き剤組成物は、本発明の練り歯磨きに所望の安定性と流れ特性とを提供するように、約10〜約80重量%の調湿剤例えばソルビトール、グリセリン、ポリエチレングリコール又はキシリトールと;約0.25〜約5重量%の清浄剤と;0〜約2重量%の甘味剤と;0〜約2重量%の香味剤とを、水及び有効量の結合剤及び増粘剤例えば約0.1〜約15重量%と共に含有するのが適当である。
【0048】
前述した如く、本発明の研磨剤系は良好な清浄化を有する歯磨き剤組成物を提供することができしかも市販の処方物に許容できると一般に考えられる研磨限界内に適当である。組成物の清浄化能力はFT100清浄化試験として知られる試験によって評価でき、その詳細を以下に示す。研磨剤系は標準の処方を有する歯磨き剤組成物中で試験する。本発明の好ましい研磨剤系は少なくとも50%、好ましくは少なくとも65%、最も好ましくは75%以上のFT100清浄化値を有する。
【0049】
本発明の研磨剤系の諸成分を特徴付けるのに用いた試験は次の通りである。
【0050】
放射性の歯科用研磨(Radioactive Dentine Abrasion)試験(RDA)
試験手法は米国歯科協会によって推奨される歯磨き剤研磨度の評価方法に従がう(Journal of Dental Research 55 (4), 563, 1976参照)。この手法においては、取出したヒトの歯に中性子束を照射し、標準のブラシ掛け方式にかける。歯根における象牙質から取出した放射性のリン32を、試験した歯磨き剤の研磨指数として用いる。ナトリウムカルボキシメチルセルロースの0.5%水溶液50cm3中に10gのピロリン酸カルシウムを含有する対照スラリーも測定し、この混合物のRDAを任意に100として採用する。沈降シリカ又は結晶質のアルミノケイ酸塩について粉末RDAを測定するためには、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの0.5%水溶液50cm3に入れた10.0gのシリカ又はアルミノケイ酸塩の懸濁物を調製し、該懸濁物を同じブラシ掛け方式にかける。本発明の研磨剤系を含有する歯磨き剤組成物についてRDA値を測定するためには、25gの歯磨き剤組成物と40cm3の水とから供試スラリーを製造し、このスラリーを同じブラシ掛け方式にかける。
【0051】
プラスチック研磨値(Plastics Abrasion Value)(PAV)
この試験はソルビトール/グリセロール混合物に入れたアルミノケイ酸塩の懸濁物と接触しているパースペックス(Perspex:登録商標)板をブラシ掛けする歯ブラシヘッドに基づく。パースペックス(登録商標)は象牙質と同様な硬度を有する。それ故パースペックス(登録商標)上に引掻きを生じる物質は象牙質にも同様な量の引掻きを生じ易い。通常スラリー濃度は次の通りである。
【0052】
アルミノケイ酸塩 2.5g
グリセロール 10.0g
ソルビトールシロップ 23.0g
*シロップは70%ソルビトール/30%水を含有する
全ての成分をビーカー中に秤量し、簡単な攪拌機を用いて1500rpmで2分間分散させる。英国のルーサイトインターナショナル社によって製造された標準のパースペックス(PERSPEX)クリアーカーストアクリルシート、品位 000の110mm×55mm×3mmシートを試験に用いる。
【0053】
試験は シーン インスツルメント社によって生産された改良したウェットスクラブ研磨試験機を用いて実施する。改良は刷毛の代りに歯ブラシを用い得るようにホルダーを交換したものである。更には、145gの重量を有するブラシ組立て体に400gの錘りを取付けてブラシをパースペックスシートに押し付ける。歯ブラシは、丸い末端フィラメントと中位の肌理とを有する多重植毛された平坦なトリムナイロンヘッドを有し、例えば周知のプロフェッショナル メンタデント(Professional Mentadent)Pゴムヘルスデザイン又は均等な歯ブラシを有する。
【0054】
45°のプラスペック光沢ヘッド検出器と標準(50%の光沢)反射板とを用いて検流計を検量する。検流計(ガルバノメーター)の読み取りはこれらの条件下で50の値に調節する。次いで同じ反射率の装置を用いて新たなパースペックスシートの読み取りを行なう。次いでパースペックスシートの新たな試験片をホルダーに取付ける。ブラシ掛け行程を完全に潤滑させるのに十分な、分散されたアルミノケイ酸塩2cm3を該シート上に配置し、ブラシヘッドをシート上に降下させる。機械を始動させ、シートに錘りのついたブラシヘッドの300行程を施こす。パースペックスシートをホルダーから取り出し、全ての懸濁物を洗い出す。次いでパースペックスシートを乾燥させ、その光沢値を再び測定する。研磨値は研磨されていない光沢値と研磨後の光沢値との間の差である。既知の研磨剤に応用した時この試験手法は次の典型的な値を与える。
【0055】
PAV
炭酸カルシウム(15μm) 32
シリカキセロゲル(10μm)英国特許1 262 292号により製造 25
アルミナ三水和物(ギブサイト社)(15μm) 16
ピロリン酸カルシウム(10μm) 14
リン酸二カルシウム二水和物(15μm) 7
吸油量
吸油量はASTMによるスパチュラ練り合せ(rub-out)方法(American Society of Test Material標準規格D281)により測定する。試験は、スパチュラで切断した時でさえ破断又は分離しない剛質のパテ様ペーストが形成されるまで平滑な表面上でスパチュラでこすることにより亜麻仁油をシリカ又はアルミノケイ酸塩と混合する原理に基づく。次いで吸油量は次の等式により、この条件を達成するのに用いた油の容量(Vcm3)とシリカ又はアルミノケイ酸塩の重量(W.g)とから算出する;
吸油量=(V×100)/W 即ち油のcm3/シリカ又はアルミノケイ酸塩の100gにより表わす。
【0056】
マルベルン マスターサイザー(登録商標)による重量平均粒度
シリカ又はアルミノケイ酸塩の重量平均粒度は、300RFレンズとMS17試料提示単位とを有するマルベルン マスターサイザー(登録商標)、モデルSを用いて測定する。マルベルン インスツルメント社製のこの装置は低出力のHe/Neレーザーを用いるフラウンホーファー回折の原理を用いる。測定前に、試料を超音波により水中に5分間(シリカの場合)及び30秒間(アルミノケイ酸塩の場合)分散させて水性懸濁物を形成する。マルベルン マスターサイザー(登録商標)はシリカ又はアルミノケイ酸塩の重量粒度分布を測定する。重量平均粒度(d50)即ち50パーセンチル及び何れか特定の寸法以下の材料の百分率は該装置によって生成したデータから容易に得られる。
【0057】
アルミノケイ酸塩の平均微結晶寸法
平均微結晶寸法は走査電子顕微鏡で撮った写真から測定する。結晶質アルミノケイ酸塩を約1〜3重量%の水分にまで乾燥させ、凝集体を乳棒及び乳鉢で破砕する。写真からは、十分な個数例えば100個の結晶が計数され、それらの寸法を測定して統計上有意な平均(算術平均)寸法を決定する。
【0058】
アルミノケイ酸塩のカルシウム結合能力
アルミノケイ酸塩を先ず飽和塩化ナトリウム溶液上で恒量にまで平衡させ、水分を測定する。1gdm-3(乾量)に対応する量で或る量を1cm3の水に分散させ、得られる分散液を、0.01M NaCl溶液(50cm3)及び0.05M CaCl2(3.923cm3)よりなる総容量54.923cm3の攪拌溶液に注入する。これは1dm3当り200mgのCaOの濃度に対応し、即ちSi:Al比1.00のアルミノケイ酸塩により成形し得る理論最大量(197mg)よりわずかに大きい。該分散液を25℃の温度で15分間激しく攪拌し、その後にカルシウム電極を用いてCa2+イオン濃度を測定する。測定したCa2+イオン濃度を当初の濃度から差引いてアルミノケイ酸塩試料の実効カルシウム結合能力を得る。
【0059】
FT100清浄化試験
この試験は「摩耗性の練り歯磨きによる歯着色の予防:新規な試験管内試験及び臨床所見とのその関連」P.L. Dawson等のJ. Cosmet. Sci., 49, 275~283(1998)に十分に記載されている。
【0060】
試験すべき研磨剤系を次の歯磨き剤処方物1に配合する。
【0061】

量A、B及びCは供試下の研磨剤系により決定する。増粘用シリカ(「D」)の量は、以下に定義した練り歯磨きの凝着試験により測定するとペーストの凝着が150〜430gの範囲にあるのを確保するように調節する。
【0062】
基材
高度に研磨した17mmの焼結した、純粋なヒドロキシアパタイト(HAP)円板よりなる基材を調製する。該円板はブエラー(Buehler)回転グラインダー及びP600湿潤紙を用いて続いてP1200ラップ紙を用いて研磨して鏡様の仕上げ面を与えてエナメル歯表面に模倣する。清浄化前の円板の白色度(CIE 1976 L*a*b*システムを用いる)L*(クリーン)は次いでミノルタの色度計CR200を用いて測定し、標準の検量タイルに対して検量される。
【0063】
着色(Staining)
タンニン酸の0.5重量%溶液の50gと第二鉄硫酸アンモニウムの0.5重量%溶液の50gとを混合して暗色を有する新たなコロイド状鉄(III)タンニン酸錯体(「タンニン酸第二鉄」)を形成することにより新たな着色汚染溶液を調製する。この新たな混合物を微細なリス毛のヘアブラシを用いてHAP円板状に塗布し、加温ヘアドライヤーを用いて温和に乾燥させた。十分な個数の汚染溶液の被覆層を施用して、ミノルタ色度計CR200を用いて測定するとL*=50+/−5の暗色測定値を生成する。この値をL*(汚染した)と呼ぶ。
【0064】
練り歯磨きスラリーの調製
次の成分よりなる希釈剤を調製する;
重量%
ナトリウムカルボキシメチルセルロース(SCMC 7M) 0.5
グリセロール 5.0
ホルマリン 0.1
脱塩水 44.4
供試下の練り歯磨きをプラスチックビーカー中に秤量し、次の重量割合;
練り歯磨き 33.3%;希釈剤 33.3%;水 33.3%
で希釈剤及び脱塩水と混合して100gの練り歯磨きスラリー製剤を製造し、これを1分間4000r.p.m.で高剪断ハイドルフ(Heidolph)ミキサーで混合する。練り歯磨きスラリーは沈降の何れかの変化を避けるために試験を行なう直前に製造する。
【0065】
ブラシ掛け(Brushing)
汚染したHAP円板を次いで、供試練り歯磨きスラリーを含有する容器の底部に水平に載置し、263gの秤量したメンタデントPプロフェッショナル ソフトナイロンの平坦なトリム歯ブラシヘッドを、機械的な掃除機(改質したマーチンデール研磨試験機)を用いて円板表面上で振動させる。1分当り150サイクルの振動速度を用いる。歯ブラシヘッドは34本のタクト植毛された、平坦なトリムの0.2mm剛毛ナイロンヘッドであり、線状のボールベアリングに載置した竪型スピンドル上に装填した錘りによって秤量した。FT100試験については100回の振動後の汚染除去を監視した。清浄化後のHAP円板の白色度L*(清浄化した)をミノルタ色度計CR200を用いて測定する。清浄化は%FT100除去率として定義する;

練り歯磨きの凝着(cohesion)
練り歯磨きの凝着はこれを練り歯磨きのチューブから歯ブラシ上に押出した時に形成されるリボン形の「立上がり」特性の良好な尺度である。より高い凝着値はより堅固な練り歯磨きリボンを示し、然るに低い凝着値は低粘度の不十分に構成された練り歯磨きから得られ、歯ブラシの剛毛中に急速に垂れる。歯磨き剤は、垂れさがらずしかも余りにも堅固でない良好な品質と押出可能なリボン形を与えるように150〜430gの範囲内の凝着力を有するのが一般に要求される。
【0066】
試験の基本原理は2枚の平行な板を離して引張るに必要とされる重量(g数)を測定するものであり、2枚の板に挟んだ練り歯磨きの特定層を有する。目的の構成装置は次の部材よりなる;
1)ばねが100mmの長さに0から430gまで延長し得るバネ秤り。バネは10gの間隔で零乃至430gの検量目盛を有し、試験の開始時に零に調節し得る。
【0067】
2)モーターで駆動されるラチェット、これは底部板に取付けてありこれを用いて底部板に1分当り5cmの一定の均一な平滑で竪方向の引張りを印加できる。
【0068】
3)直径64mmの研磨したクロム製の円板上部板、これはバネ秤りに結合し得るフックを上側に有する。研磨した板は、該板の一体部分として該板の下側に研磨したクロムの3枚の小さな同一のスペーサー片を有する。これらのスペーサー片は4mmの深さに突出しており、装置を組立てて試験を行なう時には練り歯磨きの被膜厚さを測定する。
【0069】
4)モーターで駆動されるラチェットの下側に取付けた直径76mmの研磨したクロム製の円板下部板。上部板が中心から同心円的に下部板上に定置し得るように2本の短いペグを板の上部に定置し得る。
【0070】
5)上部板を下部板上に同心円的に位置させることができしかも下部板が大体水平(装置の基部で水準フィートの使用によって達成される)であるように下部板を調節させることができる金属製の骨組。
【0071】
15〜20gの練り歯磨きを上部板の下側に均一に分布させ、上部板を下部板の上部に細心に位置させ、その際2個の短かいペグを用いて上部板の端を定置させる。全ての3個のスペーサーが下部板と接触されるまで上部板を下部板上にしっかりと押下げる。2枚の板の間から搾り出された過剰の練り歯磨きをスパチュラで除去し、こうして練り歯磨きが上部板の直径を越えて伸張しないようにする。次いで上部板をバネ秤りに接続させ、目盛を零gに設定する。次いで装置を指導させてモーター駆動ラチェットを下部板に降下させる。バネは徐々に伸張され、練り歯磨き剤で挟んだ2枚の平行な板が最後には離れて引張られる時に最高の所見重量を記録する。これがg数で記録した練り歯磨き剤凝着力である。
【0072】
pH
この測定は沸騰した脱塩水(CO2無含有)に入れたシリカ及び/又はアルミノケイ酸塩の5重量%懸濁液について行なう。
【0073】
1000℃での強熱減量
強熱減量は1000℃の炉中で恒量にまで強熱した時のシリカの重量減損によって測定する。
【0074】
105℃での湿分減損
湿分減損は105℃のオーブンで恒量にまで加熱した時のシリカ及び/又はアルミノケイ酸塩の重量減損によって測定する。
【0075】
本発明を次の実施例によって例示するが、これに限定されるものではない。
【実施例】
【0076】
本発明の使用を証明するために、前記の歯磨き剤処方物1を基剤処方物として用い、その際粒子成分A、B、C及びDは次の実施例により変化する。
【0077】
実施例1
歯磨き剤処方物1において、14重量%のソルボシル(Sorbosil)AC35を主要な非晶質シリカ研磨剤、Aとして用い、10重量%のダウシル(Doucil)A24ゼオライトを結晶質アルミノケイ酸塩、Cとして用い、6.4のpHを有する6.5重量%の増粘用シリカ、Dと共に用いる。この実施例では増強剤粒子、Bは存在しない。研磨剤AとゼオライトCと増粘剤Dとを含有してなる混合物のpHは8.5である。用いた清浄化用粒子の諸特性は表1及び表2に示してある。
【0078】
得られる練り歯磨きの諸特性は表3に与えてある。
【0079】
実施例2
歯磨き剤処方物1においては、6.4のpHを有する4重量%の増粘用シリカと共に、14重量%のソルボシルAC35を主要な非晶質シリカ研磨剤、Aとして用い、20重量%のダウシルA24ゼオライトを結晶質アルミノケイ酸塩、Cとして用いた。この実施例では増強剤粒子、Bは存在しない。研磨剤AとゼオライトCと増粘剤Dとを含有してなる混合物のpHは9.0である。用いた清浄化用粒子の諸特性は表1及び表2に示してある。
【0080】
得られる練り歯磨きの諸特性は表3に与えてある。
【0081】
実施例3
歯磨き剤処方物1においては、6.4のpHを有する5重量%の増粘用シリカ、Dと共に14重量%のソルボシルAC35を主要な非晶質シリカ研磨剤、Aとして用い、10重量%のダウシルA24ゼオライトを結晶質アルミノケイ酸塩、Cとして用い、4.2重量%のソルボシルAC43シリカ増強剤粒子、Bもまた該処方物に添加した。研磨剤Aと増強剤BとゼオライトCと増粘剤Dとを含有してなる混合物のpHは8.2である。用いた清浄化用粒子の諸特性は表1及び表2に示してある。
【0082】
得られる練り歯磨きの諸特性は表3に与えてある。
【0083】

ダウシルA24ゼオライトは英国のイネオス シリカ社から入手し得る結晶質アルミノケイ酸塩である。
【0084】

ソルボシルAC35は英国のイネオス シリカ社から入手し得る練り歯磨きの摩耗性シリカ(主要な非晶質シリカ)である。
【0085】
ソルボシルAC43は英国のイネオス シリカ社から入手し得る練り歯磨きの清浄化用増強剤シリカである。
【0086】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯磨き剤組成物に用いる研磨剤系であって、30〜300の範囲の放射性歯科用研磨(RDA)と40〜150cm3/100gの範囲の吸油量と、3〜15μmの範囲の重量平均粒度とを有する少なくとも1種の研磨剤の非晶質シリカと、0.2μm以下の平均微結晶寸法を有する結晶質のアルミノケイ酸塩とを含有してなる研磨剤系。
【請求項2】
30〜150の範囲の放射性歯科用研磨(RDA)と、60〜140cm3/100gの範囲の吸油量と5〜15μmの範囲の重量平均粒度とを有する摩耗性の非晶質シリカ(ここではシリカAと示す)及び/又は100〜300の範囲の放射性歯科用研磨(RDA)と40〜150 cm3/100gの範囲の吸油量と3〜15μmの範囲の重量平均粒度とを有する摩耗性の非晶質シリカ(ここではシリカBと示す)を含有してなる請求項1記載の研磨剤系。
【請求項3】
シリカAは130以下のRDAを有する請求項2記載の研磨剤系。
【請求項4】
シリカAは80〜120cm3/100gの吸油量を有する請求項2又は3記載の研磨剤系。
【請求項5】
シリカAは6〜12μmまでの重量平均粒度を有する請求項2〜4の何れかに記載の研磨剤系。
【請求項6】
シリカBは少なくとも100のRDAを有する請求項2〜5の何れかに記載の研磨剤系。
【請求項7】
シリカBは50〜130cm3/100gの吸油量を有する請求項2〜6の何れかに記載の研磨剤系。
【請求項8】
シリカAとシリカBとの両方が研磨剤系に存在し、シリカBがより低い吸油量を有する請求項2〜7の何れかに記載の研磨剤系。
【請求項9】
シリカBは少なくとも2μmの重量平均粒度を有する請求項2〜8の何れかに記載の研磨剤系。
【請求項10】
シリカA及び/又はシリカBのpHは精々8である請求項2〜9の何れかに記載の研磨剤系。
【請求項11】
研磨剤系の諸成分は系のpHが精々10.0であるような仕方で選択される請求項1〜10の何れかに記載の研磨剤系。
【請求項12】
シリカA及び/又はシリカBに存在する水の量は通常25重量%以下である請求項2〜11の何れかに記載の研磨剤系。
【請求項13】
アルミノケイ酸塩は次式:M2/nO・Al2O3・xSiO2・yH2Oを有する請求項1〜12の何れかに記載の研磨剤系。
【請求項14】
アルミノケイ酸塩はゼオライトPである請求項1〜13の何れかに記載の研磨剤系。
【請求項15】
xは2.66以下の値を有する請求項13記載の研磨剤系。
【請求項16】
xは1.8〜2.66の範囲の値を有する請求項13記載の研磨剤系。
【請求項17】
xは1.8〜2.4の範囲の値を有する請求項13記載の研磨剤系。
【請求項18】
アルミノケイ酸塩は0.1μm以下の微結晶寸法を有する請求項1〜17の何れかに記載の研磨剤系。
【請求項19】
アルミノケイ酸塩は0.02〜0.08μmの微結晶寸法を有する請求項1〜18の何れかに記載の研磨剤系。
【請求項20】
結晶質アルミノケイ酸塩のRDAは120以下である請求項1〜19の何れかに記載の研磨剤系。
【請求項21】
結晶質アルミノケイ酸塩のPAVは11以下、好ましくは9以下である請求項1〜20の何れかに記載の研磨剤系。
【請求項22】
アルミノケイ酸塩は無水アルミノケイ酸塩の1g当り少なくとも100mgのCaOのカルシウム結合能力を有する請求項1〜21の何れかに記載の研磨剤系。
【請求項23】
アルミノケイ酸塩は、無水アルミノケイ酸塩の1g当り少なくとも130mgのCaOのカルシウム結合能力を有する請求項1〜22の何れかに記載の研磨剤系。
【請求項24】
アルミノケイ酸塩は少なくとも40cm3/100gの吸油量を有する請求項1〜23の何れか1つに記載の研磨剤系。
【請求項25】
アルミノケイ酸塩は少なくとも0.5μmの重量平均粒度を有する請求項1〜24の何れかに記載の研磨剤系。
【請求項26】
アルミノケイ酸塩は10.0μm以下の重量平均粒度を有する請求項1〜25の何れかに記載の研磨剤系。
【請求項27】
アルミノケイ酸塩は2.0〜2.5μmの重量平均粒度を有する請求項1〜26の何れかに記載の研磨剤系。
【請求項28】
結晶質のアルミノケイ酸塩は次式;M2/nO・Al2O3・xSiO2・yH2O(但しMはアルカリ金属塩であり、該アルカリ金属Mの少なくとも一部分は1種又はそれ以上の別の金属部分で交換されている)を有するゼオライトPから誘導される請求項1〜27の何れかに記載の研磨剤系。
【請求項29】
シリカAは研磨剤系の合したシリカ研磨剤/アルミノケイ酸塩含量の少なくとも15重量%よりなる請求項2〜28の何れかに記載の研磨剤系。
【請求項30】
シリカBは研磨剤系の合したシリカ研磨剤/アルミノケイ酸塩含量の少なくとも1重量%よりなる請求項2〜29の何れかに記載の研磨剤系。
【請求項31】
シリカAとシリカBとの両方が存在し、シリカAは研磨剤系の合したシリカ研磨剤/アルミノケイ酸塩含量の少なくとも25重量%よりなり、シリカBは合したシリカA/シリカB/アルミノケイ酸塩全体の少なくとも2重量%よりなる請求項2〜30の何れかに記載の研磨剤系。
【請求項32】
シリカAとシリカBとの両方が存在し、研磨剤系の合したシリカ研磨剤/アルミノケイ酸塩含量の精々80重量%よりなる請求項2〜31の何れかに記載の研磨剤系。
【請求項33】
100〜300の範囲のRDAを有する清浄用促進剤として作用する相異なる結晶質アルミノケイ酸塩を更に含有してなる請求項1〜32の何れかに記載の研磨剤系。
【請求項34】
促進剤アルミノケイ酸塩のPAVは9〜25の範囲にある請求項33記載の研磨剤系。
【請求項35】
促進剤アルミノケイ酸塩は30〜100cm3/100gの範囲の吸油量を有する請求項33又は34記載の研磨剤系。
【請求項36】
促進剤アルミノケイ酸塩は2.0〜5.0μmの範囲の重量平均粒度を有する請求項33〜35の何れかに記載の研磨剤系。
【請求項37】
研磨剤系の諸成分は自由流動性粉末を確保するのに乾燥状態にある請求項1〜36の何れかに記載の研磨剤系。
【請求項38】
30以下のRDAを有する増粘用シリカを含有する請求項1〜37の何れかに記載の研磨剤系。

【公表番号】特表2007−517845(P2007−517845A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−548376(P2006−548376)
【出願日】平成17年1月5日(2005.1.5)
【国際出願番号】PCT/GB2005/000011
【国際公開番号】WO2005/065634
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(501388205)イネオス シリカス リミテッド (7)
【Fターム(参考)】