説明

歯車ユニット、記録媒体搬送装置および画像形成装置

【課題】ローラへの異物巻き込みを防止する。
【解決手段】正転方向に駆動されるとともに逆転方向に巻かれたコイルバネ19が内周壁に圧接するように嵌め込まれた入力歯車14と、入力歯車14と同軸上に配置されるとともにコイルバネ19の一端が取り付けられ、入力歯車14の回転により連れ周りするコイルバネ19を介して正転方向に駆動されてローラを回転させる出力歯車15と、入力歯車14および出力歯車15と同軸上に配置されるとともに出力歯車15と係合され、逆転方向に駆動されたときには入力歯車14からの駆動力に抗して出力歯車15を逆転方向に駆動する制御歯車16を有する歯車ユニットである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯車ユニット、記録媒体搬送装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばプリンタや複写機、ファクシミリなどの画像形成装置では、画像が記録される用紙(記録媒体)を搬送するために、様々な形態のローラが適宜配置された用紙搬送装置(記録媒体搬送装置)を備えている。
【0003】
一般的なローラは、相互に圧接された駆動ローラと従動ローラとで構成されており、従動ローラは駆動源から歯車ユニットを介して回転力が伝達された駆動ローラにより従動回転するようになっている。そして、駆動ローラと従動ローラとは圧接力により用紙を挟み込んで回転することによりこれらのローラの回転力が用紙に伝達され、当該用紙は所定の方向に搬送されていく。
【0004】
ここで、画像形成装置には、画像記録後の用紙を排出トレイに排出するための排出ローラが設けられている。この排出ローラもまた、前述のような駆動ローラと従動ローラとで構成されている。そして、用紙を排出トレイに排出する機能を有する排出ローラは、排出トレイに面して形成された排出口に配置される。そのため、排出ローラと排出口カバーとの間には異物が入り込みやすくなる。
【0005】
なお、排出ローラと排出口カバーとのクリアランスを小さくして異物の進入防止することも考えられるが、進入を確実に阻止することは困難であり、一旦入り込んでしまうと排出ローラに巻き込まれてしまう。
【0006】
なお、ローラへの異物進入を解決する技術としては、例えば特開2001−205896号公報、特開2001−213552号公報、特開2001−341903号公報、特開平8−6338号公報、実開平6−698号公報などに記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−205896号公報
【特許文献2】特開2001−213552号公報
【特許文献3】特開2001−341903号公報
【特許文献4】特開平8−6338号公報
【特許文献5】実開平6−698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、ローラへの異物巻き込みを防止することのできる歯車ユニットに関する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の歯車ユニットは、正転方向に駆動されるとともに逆転方向に巻かれたコイルバネが内周壁に圧接するように嵌め込まれた入力歯車と、前記入力歯車と同軸上に配置されるとともに前記コイルバネの一端が取り付けられ、前記入力歯車の回転により連れ周りする前記コイルバネを介して正転方向に駆動されてローラを回転させる出力歯車と、を有することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、前記入力歯車および前記出力歯車と同軸上に配置されるとともに前記出力歯車と係合され、逆転方向に駆動されたときには前記入力歯車からの駆動力に抗して前記出力歯車を逆転方向に駆動する制御歯車をさらに有する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の本発明の記録媒体搬送装置は、請求項1記載の歯車ユニットと、前記歯車ユニットの前記出力歯車により駆動される排出ローラを備え、画像が形成される記録媒体を搬送し排出する搬送路と、前記歯車ユニットの前記入力歯車を正転方向に駆動して回転する前記排出ローラにより記録媒体を排出方向に搬送する第1の駆動源と、を有することを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の本発明の記録媒体搬送装置は、請求項2記載の歯車ユニットと、前記歯車ユニットの前記出力歯車により駆動される排出ローラを備え、画像が形成される記録媒体を搬送し排出する搬送路と、前記歯車ユニットの前記入力歯車を正転方向に駆動して回転する前記排出ローラにより記録媒体を排出方向に搬送する第1の駆動源と、記録媒体を反転させる反転路と、前記歯車ユニットの前記制御歯車を逆転方向に駆動して回転する排出ローラにより記録媒体を前記反転路に導入する第2の駆動源と、を有することを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の本発明の画像形成装置は、記録媒体上に画像を形成する作像手段と、請求項3または4記載の記録媒体搬送装置と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、ローラの回転が停止して異物の巻き込みが防止される。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、ローラの回転が停止して異物の巻き込みが防止される。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、排出ローラの回転が停止して異物の巻き込みが防止される。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、排出ローラの回転が停止して異物の巻き込みが防止される。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、排出ローラの回転が停止して異物の巻き込みが防止できる画像形成装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態である画像形成装置の全体構成を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施の形態である画像形成装置に設けられた排出ローラを示す斜視図である。
【図3】駆動ローラと従動ローラとで構成された排出ローラによるシートの搬送を示す図である。
【図4】本発明の一実施の形態である画像形成装置に用いられた排出ローラを駆動する駆動系を示す模式図である。
【図5】図4に示す歯車列におけるスプリングクラッチを含んだ部分を示す斜視図である。
【図6】スプリングクラッチの構成部品を全て分解して示す斜視図である。
【図7】スプリングクラッチの構成部品を一部分解して示す斜視図である。
【図8】スプリングクラッチの斜視図である。
【図9】スプリングクラッチの軸方向断面図である。
【図10】スプリングクラッチの動作原理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0021】
図1は本発明の一実施の形態である画像形成装置の全体構成を示す説明図である。
【0022】
図1において、画像形成装置は、装置本体20内に例えば電子写真方式の作像エンジン(作像手段の一例)21が搭載されており、この作像エンジン21の下方に収納された引出形式のシート供給装置40が配置されている。装置本体20の上部には排出トレイ27が形成され、装置本体20の内部には、シート供給装置40から送出された用紙などのシート(記録媒体の一例)Sを作像エンジン21を経由して排出口26から排出トレイ27へと導くシート搬送路(搬送路の一例)28が略上下方向に形成されている。
【0023】
なお、本実施の形態では、シート供給装置40は、装置本体20内に2段構成(具体的には下部に位置するシート供給装置40aと上部に位置するシート供給装置40b)となっているが、これに限られるものではなく、1段構成でもよいし、あるいは3段以上の構成であってもよい。
【0024】
本実施の形態において、作像エンジン21は、電子写真方式の複数のデバイスを一体化したプロセスカートリッジ22が用いられており、このプロセスカートリッジ22は、像保持体としての感光体ドラム22aと、この感光体ドラム22aを帯電する帯電装置22bと、感光体ドラム22a上に形成された静電潜像をトナーにて可視像化する現像装置22cと、感光体ドラム22a上の残留トナーを清掃するクリーニング装置22dとを備えている。なお、プロセスカートリッジ22は排出トレイ27に開閉可能に設けられたトレイカバー27aを通じて着脱可能になっている。
【0025】
さらに、作像エンジン21は、帯電装置22bにより一様に所定の電位に帯電された感光体ドラム22aに、光により静電潜像を書き込む例えばレーザ走査装置からなる露光装置23と、感光体ドラム22a上に形成されたトナー像をシートSに転写する転写ローラ24と、この転写ローラ24により転写されたトナー像を熱圧着してシートSに定着させる定着装置25とを備えている。
【0026】
また、本実施の形態において、シート搬送路28のうち、感光体ドラム22aの上流側にはシートSを位置決め搬送するためのレジストローラ29が配設され、シート搬送路28における排出口26の近傍には排出ローラ(ローラの一例)30が配設されている。
【0027】
なお、シート搬送路28に面して位置する感光体ドラム22a、転写ローラ24および定着装置25もシートSの搬送手段として機能する。
【0028】
したがって、シート供給装置40から供給されたシートSは、シート搬送路28のレジストローラ29により位置合わせされ、所定のタイミングでプロセスカートリッジ22の画像転写部位に送られて像転写され、その後、定着装置25を経て排出ローラ30により排出口26から排出トレイ27に排出される。
【0029】
なお、本実施の形態の画像形成装置ではシート反転路(反転路の一例)31が形成されており、両面記録モード時には、一方面に画像が形成されたシートSはシート反転路31に戻されるようになっている。すなわち、シート搬送路28のうち、排出ローラ30の手前は二股に分岐しており、その分岐部分に切替ゲート33が設けられ、当該分岐部分からレジストローラ29に戻るシート反転路31が形成されている。
【0030】
このシート反転路31には搬送ローラ32が適宜配置されており、両面記録モード時には、切替ゲート33がシート反転路31を開く側に切り替えられ、排出ローラ30にシートSの後端手前がかかる時点で排出ローラ30が反転し、シートSがシート反転路31に導かれた後、反転されたシートSがレジストローラ29、感光体ドラム22aと転写ローラ24との間、および定着装置25を経て排出トレイ27へと導かれるようになっている。
【0031】
なお、本画像形成装置のシート搬送装置(記録媒体搬送装置の一例)は、上述のシート搬送路28、シート反転路31、排出ローラ30、および後述するスプリングクラッチ17、主モータ10、副モータ70などにより構成される。
【0032】
シート供給装置40のシート送出方向側の上方にはシート送出ユニット45が設けられている。
【0033】
このシート送出ユニット45は、シート供給装置40に積載されたシートSの内の最上部に位置するシートSに接触配置されてこれを送出するピックアップローラ46と、このピックアップローラ46にて送出されたシートSを1枚ずつ捌く捌き機構47とを備えている。
【0034】
捌き機構47は、シートSをシート搬送路28の方向へ送るフィードローラ48と、このフィードローラ48と圧接して回転するとともに所定の回転阻止力が付与された捌きローラ49とからなる。
【0035】
そして、ピックアップローラ46は、フィードローラ48の回転軸を揺動点として揺動自在な揺動プレート(図示せず)の自由端側に回転自在に取り付けられている。揺動プレートにはスプリングにて下方側に向かう付勢力が付与されており、ピックアップローラ46が最上部のシートSに所定の力で押圧される。
【0036】
図2に示すように、排出ローラ30は、後述するスプリングクラッチ17(図4)などで構成された駆動系60を介して伝達されたモータの回転力により回転する駆動ローラ54と、この駆動ローラ54に圧接されて従動回転する従動ローラ55とからなる。
【0037】
駆動ローラ54は、駆動系60と噛み合う排出ローラ歯車54bが一方側の端部に取り付けられるとともに図示しない軸受けに回転可能に支持されたシャフト54aと、所定の間隔を開けてシャフト54aに装着されたゴム製で円筒形状のローラ本体54cとからなる。
【0038】
従動ローラ55は、駆動ローラ54のローラ本体54cにそれぞれ対応して複数個が別体となっており、相互に同軸上に配列されている。従動ローラ55は、図示しない支持部に回転可能に支持される軸部材55aと、この軸部材55aの外側に嵌め込まれた円筒状の筒部材55bとからなる。このような従動ローラ55は、駆動ローラ54の回転力が筒部材55bに伝達されることにより従動回転し、駆動ローラ54と協働してシートSを搬送する。
【0039】
駆動ローラ54と従動ローラ55とで構成された排出ローラ30によるシートSの搬送を図3に示す。なお、排出ローラ30は排出口26に配置されており、装置本体20の一部をなす排出口カバー20aの先端が近接している。
【0040】
ここで、排出ローラ30を駆動する駆動系について図4〜図10を用いて説明する。
【0041】
図4は本発明の一実施の形態である画像形成装置に用いられた排出ローラを駆動する駆動系を示す模式図である。
【0042】
図4に示すように、主モータ(第1の駆動源の一例)10は、アイドラ11、加熱ローラ歯車12、デカーラロール歯車13を介して、スプリングクラッチ(歯車ユニットの一例)17の入力歯車14を回転させる。入力歯車14は同軸配置されたスプリングクラッチ17の出力歯車15、アイドラ18を経て排出ローラ歯車54bを回転させる。これにより、駆動ローラ54と従動ローラ55とのニップを通ってシートSが排出される。このとき、加熱ローラ歯車12、デカーラロール歯車13および入力歯車14は常に同一方向に正転している。
【0043】
また、シート反転路31には、逆転駆動源である副モータ(第2の駆動源の一例)70がアイドラ71、72、電磁クラッチ73、操作歯車74を経てスプリングクラッチ17の制御歯車16に連結されている。電磁クラッチ73は排出ローラ歯車54bの逆転駆動を行うときにのみクラッチ接続を行う。
【0044】
図4において、実線で示す矢印は正転時の各歯車の回転方向を示し、鎖線で示す矢印は逆転時の各歯車の回転方向を示している。
【0045】
図5は図4に示す歯車列におけるスプリングクラッチ17を含んだ部分を示す斜視図である。
【0046】
図5に示すように、入力歯車14は、主モータ10により回転されるデカーラロール歯車13を経て正転方向への回転力が付与され、出力歯車15を駆動することによりアイドラ18を経て排出ローラ歯車54bを回転させる。これにより、シートSは排出方向に搬送される。
【0047】
また、制御歯車16は、副モータ70から電磁クラッチ73を介して操作歯車74を経て逆転方向への回転力が付与され、入力歯車14からの駆動力に抗して出力歯車15を逆転方向に駆動することによりアイドラ18を経て排出ローラ歯車54bを逆転させる。これにより、シートSは両面記録のためにシート反転路31に導入される。
【0048】
次に、このような回転動作を行うスプリングクラッチ17の構成について説明する。
【0049】
図6はスプリングクラッチの構成部品を全て分解して示す斜視図、図7はスプリングクラッチの構成部品を一部分解して示す斜視図、図8はスプリングクラッチの斜視図、図9はスプリングクラッチの軸方向断面図、図10はスプリングクラッチの動作原理を説明するための図である。
【0050】
前述のように、スプリングクラッチ17は、主モータ10(図4)により正転方向に駆動される入力歯車14を有している。
【0051】
図6、図7および図9に詳しく示すように、入力歯車14は筒状となっており、中空となった内部にはコイルバネ19が嵌め込まれている。コイルバネ19は、入力歯車14の回転方向である正転方向とは反対方向つまり逆転方向に巻かれており、入力歯車14の内周壁に圧接して嵌め込まれている。
【0052】
入力歯車14と同軸上には、出力歯車15が配置されている。出力歯車15にはボス15aが形成されており、当該ボス15aがコイルバネ19の嵌め込まれた入力歯車14を貫通している。出力歯車15のボス15aにはコイルバネ19の一端が取り付けられている。
【0053】
このような入力歯車14および出力歯車15と同軸上には、制御歯車16が配置されている。制御歯車16は出力歯車15のボス15aとコイルバネ19の嵌め込まれた入力歯車14との間に装着されて、出力歯車15と係合している。
【0054】
そして、このように入力歯車14、出力歯車15、制御歯車16およびコイルバネ19が相互に組み合わさり、ボス15aの先端にバネカバー19aが嵌め込まれることにより、図8に示すスプリングクラッチ17が構成されている。
【0055】
前述のように制御歯車16は操作歯車74と噛み合っている。この操作歯車74は、所定の回転角だけ回転伝達を遅らせる回転遅れ機構を備えた回転伝達歯車75を同軸に備えており、この回転伝達歯車75は出力歯車15と常時噛み合っている。
【0056】
次に、このようなスプリングクラッチ17の動作原理について、図10を用いて説明する。
【0057】
まず、シートSを排出方向に搬送する場合について説明する。
【0058】
入力歯車14に嵌め込まれたコイルバネ19は逆転方向に巻かれているので、主モータ10により入力歯車14が正転方向に駆動されるとコイルバネ19には径が縮まる方向に摩擦力が働くが、コイルバネ19は入力歯車14の内周壁に圧接しているので、静止摩擦力によって入力歯車14の回転に連れ周りする。
【0059】
そして、コイルバネ19の一端が出力歯車15に取り付けられていることから、入力歯車14が正転方向に駆動されてコイルバネ19が連れ周りすると、出力歯車15は当該コイルバネ19の回転により回転する。そして、前述のように、出力歯車15が正転方向に回転することにより排出ローラ歯車54bが回転され、排出ローラ30によってシートSが排出方向に搬送されるようになる(図3参照)。
【0060】
図3に示すように排出ローラ30と排出口カバー20aとの間に異物が入り込んで出力歯車15の回転を阻止する負荷がかかった場合について説明する。
【0061】
入力歯車14に嵌め込まれたコイルバネ19は逆転方向に巻かれているので、入力歯車14が正転方向に駆動されるとコイルバネ19には径が縮まる方向に摩擦力が働いている。
【0062】
したがって、異物の入り込みによる排出ローラ30の負荷が出力歯車15を介してコイルバネ19に回転阻止力として作用し、これによって入力歯車14とコイルバネ19との最大静止摩擦力を越えると、入力歯車14の内周面とコイルバネ19の外周とがスリップして回転力の伝達が切れる。これにより、出力歯車15の駆動が停止されて排出ローラ30の回転が停止し、異物の巻き込みが防止されるようになる。
【0063】
ここで、本実施の形態とは異なり、コイルバネが入力歯車14と同じ正転方向に巻かれている場合について説明する。このときには、入力歯車14が正転方向に駆動されるとコイルバネには径が広がる方向に摩擦力が働くので、コイルバネは入力歯車14にロックされる。したがって、異物の入り込みにより出力歯車15に負荷がかかったときでも、本実施の形態のように入力歯車14とコイルバネ19とがスリップすることはなく、入力歯車14の回転力はコイルバネを介して出力歯車15へと伝達される。よって、排出ローラ30は回転が継続されて、入り込んだ異物は排出ローラ30へ巻き込まれてしまう。
【0064】
次に、シートSを排出方向とは反対の、シート反転路31に導入する場合について説明する。
【0065】
制御歯車16は出力歯車15と係合し、さらに操作歯車74と噛み合っているので、副モータ70の回転力が伝達されていないとき、つまり操作歯車74が静止しているときは、主モータ10により正転方向に駆動される出力歯車15の回転に伴って正転方向に回転する。また、操作歯車74は回転伝達歯車75を同軸に備えており、この回転伝達歯車75は出力歯車15と常時噛み合っている。
【0066】
したがって、出力歯車15が正転方向に回転しているときは電磁クラッチ73がクラッチオフしており回転伝達歯車75は空回りしている。
【0067】
電磁クラッチ73がオンされて副モータ70の回転力が伝達されると操作歯車74が逆転方向に回転され、当該操作歯車74と噛み合っている制御歯車16を逆転方向に回転させる。制御歯車16は出力歯車15と係合していることから、制御歯車16が逆転方向に駆動されると、出力歯車15は、入力歯車14に連れ周りするコイルバネ19を介して伝達される入力歯車14の駆動力に抗して逆転方向に駆動される。そして、制御歯車16から所定の回転角だけ送れて逆転方向に駆動される回転伝達歯車75により、出力歯車15には逆転方向の回転が与えられる。
【0068】
このようにして出力歯車15が逆転方向に回転することにより排出ローラ歯車54bが逆回転され、排出ローラ30によってシートSが排出方向と反対方向に搬送されてシート反転路31に導入される。
【0069】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0070】
たとえば、本実施の形態では、本発明の歯車ユニットを、制御歯車を備えたスプリングクラッチに適用した場合で説明しているが、歯車ユニットとしては、入力歯車、コイルバネおよび出力歯車で構成してもよい。この場合には、出力歯車はシートを排出方向にのみ搬送することになる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上の説明では、本発明をトナー記録する画像形成装置に適用した場合が示されているが、例えば吐出されたインクで記録するインクジェット形式の画像形成装置やATM(自動現金預入払出機)など、種々の装置に適用することができる。
【0072】
また、搬送される記録媒体としては、用紙やフィルム、はがき、現金など、画像形成が可能な様々なものが適用可能である。
【0073】
さらに、歯車ユニットにより回転されるのは排出ローラに限定されるものではなく、記録媒体を搬送する搬送路上に設置された様々なローラに適用が可能である。のみならず、画像形成装置以外でも、異物巻き込みの可能性がある様々なローラの駆動系の一部として適用が可能である。
【符号の説明】
【0074】
10 主モータ
11 アイドラ
12 加熱ローラ歯車
13 デカーラロール歯車
14 入力歯車
15 出力歯車
15a ボス
16 制御歯車
17 スプリングクラッチ
18 アイドラ
19 コイルバネ
19a バネカバー
20 装置本体
20a 排出口カバー
21 作像エンジン
26 排出口
28 シート搬送路
30 排出ローラ
31 シート反転路
54 駆動ローラ
54a シャフト
54b 排出ローラ歯車
54c ローラ本体
55 従動ローラ
55a 軸部材
55b 筒部材
60 駆動系
70 副モータ
71 アイドラ
73 電磁クラッチ
74 操作歯車
75 回転伝達歯車
S シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正転方向に駆動されるとともに逆転方向に巻かれたコイルバネが内周壁に圧接するように嵌め込まれた入力歯車と、
前記入力歯車と同軸上に配置されるとともに前記コイルバネの一端が取り付けられ、前記入力歯車の回転により連れ周りする前記コイルバネを介して正転方向に駆動されてローラを回転させる出力歯車と、
を有することを特徴とする歯車ユニット。
【請求項2】
前記入力歯車および前記出力歯車と同軸上に配置されるとともに前記出力歯車と係合され、逆転方向に駆動されたときには前記入力歯車からの駆動力に抗して前記出力歯車を逆転方向に駆動する制御歯車をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1記載の歯車ユニット。
【請求項3】
請求項1記載の歯車ユニットと、
前記歯車ユニットの前記出力歯車により駆動される排出ローラを備え、画像が形成される記録媒体を搬送し排出する搬送路と、
前記歯車ユニットの前記入力歯車を正転方向に駆動して回転する前記排出ローラにより記録媒体を排出方向に搬送する第1の駆動源と、
を有することを特徴とする記録媒体搬送装置。
【請求項4】
請求項2記載の歯車ユニットと、
前記歯車ユニットの前記出力歯車により駆動される排出ローラを備え、画像が形成される記録媒体を搬送し排出する搬送路と、
前記歯車ユニットの前記入力歯車を正転方向に駆動して回転する前記排出ローラにより記録媒体を排出方向に搬送する第1の駆動源と、
記録媒体を反転させる反転路と、
前記歯車ユニットの前記制御歯車を逆転方向に駆動して回転する排出ローラにより記録媒体を前記反転路に導入する第2の駆動源と、
を有することを特徴とする記録媒体搬送装置。
【請求項5】
記録媒体上に画像を形成する作像手段と、
請求項3または4記載の記録媒体搬送装置と、
を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate