説明

歯間ブラシおよびその製造方法

【課題】安価でかつワイヤが柄から抜けにくい歯間ブラシを提供する。
【解決手段】歯間ブラシは、毛(11)と、毛(11)を撚り合わせたワイヤ(12)と、ワイヤ(12)に取り付けられた柄(20)とからなる。柄(20)は、メインボディ(21)を備えている。メインボディ(21)には、ワイヤ(12)の基部が貫通した縦孔(41)と、縦孔(41)に繋がり、メインボディ(21)を横方向に貫通している空間部(42)と、空間部(42)の内壁面における前記縦孔(41)の開口部の周縁部から空間部(42)内にのびた管状のワイヤ抜止部(50)とが形成されている。ワイヤ抜止部(50)は、ワイヤ(12)の基部の先端部がそれに挿入されている状態で、ワイヤ(12)とともに屈曲している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、歯間ブラシおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の歯間ブラシとしては、毛と、毛を撚り合わせたワイヤと、ワイヤに取り付られた柄とからなり、ワイヤの基部に抜止用屈曲部が形成されており、柄に対するワイヤの取り付けが、これらのインサート樹脂成形によって果たされているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
インサート樹脂成形は、成形用金型の構造が複雑で、高価につき、設備費が高い。また、金型にワイヤをセットする作業は時間と手間が掛かり面倒である。したがって、インサート樹脂成形によって製造された歯間ブラシは高価である。そこで、本出願人は、インサート樹脂成形を用いることなく、単なる樹脂成形によって歯間ブラシを製造することが可能な、歯間ブラシおよびその製造方法を開発している(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62−174423号公報
【特許文献2】特許第3886050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の目的は、安価でかつワイヤが柄から抜けにくい歯間ブラシおよびこれを製造することのできる製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、毛(11)と、前記毛(11)を撚り合わせたワイヤ(12)と、前記ワイヤ(12)に取り付けられた柄(20)とからなり、前記柄(20)がメインボディ(21)を備えており、前記メインボディ(21)には、前記ワイヤ(12)の基部が貫通した縦孔(41)と、前記縦孔(41)に繋がり、前記メインボディ(21)を横方向に貫通している空間部(42)と、前記空間部(42)の内壁面における前記縦孔(41)の開口部の周縁部から前記空間部(42)内にのびた管状のワイヤ抜止部(50)とが形成されており、前記ワイヤ抜止部(50)は、前記ワイヤ(12)の基部の先端部がそれに挿入されている状態で、前記ワイヤ(12)とともに屈曲している歯間ブラシである。
【0007】
請求項1に記載の発明では、インサート樹脂成形を用いることなく、単なる樹脂成形によって歯間ブラシを製造することが可能である。したがって、安価な歯間ブラシが提供される。請求項1に記載の発明では、メインボディ(21)にワイヤ抜止部(50)が形成されており、このワイヤ抜止部(50)は、ワイヤ(12)の基部の先端部がそれに挿入されている状態で、ワイヤ(12)とともに屈曲しているので、ワイヤ(12)がメインボディ(21)に形成されている縦孔(41)から抜けにくくなる。つまり、ワイヤ(12)が柄(20)から抜けにくくなる。メインボディ(21)にワイヤ抜止部(50)がなく、ワイヤ(12)の基部の先端部のみが屈曲されている場合に比べて、請求項1に記載の発明では、縦孔(41)内でワイヤ(12)が回転しにくくなるとともに、ワイヤ(12)が引っ張られた場合に、ワイヤ(12)が直線状に伸びにくくなるため、ワイヤ(12)が縦孔(41)から抜けにくくなる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記空間部(42)内に充填部材(22)が充満されており、この充填部材(22)によって前記ワイヤ抜止部(50)の周囲を取り囲む係止部(52)が形成されている請求項1に記載の歯間ブラシである。この構成によれば、空間部(42)内に充満された充填部材(22)によって、ワイヤ抜止部(50)の周囲を取り囲む係止部(52)が形成されているので、縦孔(41)内でワイヤ(12)がより回転しにくくなるとともに、ワイヤ(12)が引っ張られた場合に、ワイヤ(12)が直線状により伸びにくくなるため、ワイヤ(12)が縦孔41からより抜けにくくなる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記柄(20)が前記メインボディ(21)とサブボディ(22)とを備えており、前記サブボディ(22)が、前記ワイヤ抜止部(50)の周囲を取り囲むように前記空間部(42)内に充満された係止部(52)を備えている請求項1に記載の歯間ブラシである。この構成では、サブボディ(22)が、ワイヤ抜止部(50)の周囲を取り囲むように空間部(42)内に充満された係止部(52)を備えているので、請求項2に記載の発明と同様な効果が得られる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記メインボディ(21)の表面の一部に前記サブボディ(22)が被覆されており、前記メインボディ(21)および前記サブボディ(22)の識別性が互いに相違させられている請求項3に記載の歯間ブラシである。この構成によれば、視覚的な訴求力を付加することができる。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記メインボディ(21)および前記サブボディ(22)が、合成樹脂製である請求項3に記載の歯間ブラシである。この構成では、樹脂同士の嵌合性が高いため、メインボディおよびサブボディの結合力を強化することができる。
【0012】
請求項6に記載の発明は、前記識別性の相違が、色、光沢および材質の少なくともいずれか1つに基因させられている請求項4に記載の歯間ブラシである。この構成によれば、識別性の相違を簡単に変更することができる。
【0013】
請求項7に記載の発明は、前記メインボディ(21)が、肩部(32)と、尻部(34)と、これらを低い段を介して連絡している胴部(33)とを含み、前記空間部(42)が前記肩部(32)と前記胴部(33)との間に形成されており、前記サブボディ(22)が前記空間部(42)内に充満されているとともに、前記胴部(33)に被覆されており、前記肩部(32)および前記尻部(34)の表面と、これらに隣接させられた前記サブボディ(22)表面との境界が面一となされている請求項3〜6のいずれか1つに記載の歯間ブラシである。この構成では、柄全体に平滑な印象を与えることができ、商品性の向上に貢献できる。
【0014】
請求項8に記載の発明は、毛(11)を撚り合わせたワイヤ(12)と、前記ワイヤ(12)に取り付けられた柄(20)とからなり、前記柄(20)がメインボディ(21)を備えている歯間ブラシの製造方法であって、縦孔(41)と、前記縦孔(41)に繋がり前記メインボディ(21)を横方向に貫通している空間部(42)と、前記空間部(42)の内壁面における前記縦孔(41)の開口部の周縁部から前記空間部(42)内にのびた管状部(50a)とを備えた前記メインボディ(21)を樹脂成形するステップと、前記ワイヤ(12)の基部の先端部を、前記メインボディ(21)の前記縦孔(41)を通じて前記管状部(50a)内に挿入し、前記管状部(50a)を前記ワイヤ(12)の基部の先端部が挿入された状態で前記ワイヤ(12)とともに屈曲させることにより、前記メインボディ(21)にワイヤ抜止部(50)を形成するステップと、を含む歯間ブラシの製造方法である。
【0015】
請求項8に記載の発明では、毛、ワイヤおよび柄を、それぞれに別々の工程で製造することができ、シンプルな工程でもって歯間ブラシを製造することができる。したがって、歯間ブラシの製造費が安価で済む。
【0016】
請求項9に記載の発明は、前記柄(20)のサブボディ(22)を、その一部が前記ワイヤ抜止部(50)の周囲を取り囲んで前記空間内(42)に充満されるように樹脂成形するステップを更に含む請求項8に記載の歯間ブラシの製造方法である。この構成では、サブボディ(22)の一部を、ワイヤ抜止部(50)の周囲を取り囲むように、空間内(42)に充満させることができる。
【0017】
請求項10に記載の発明は、前記ワイヤ抜止部(50)の形成を、前記ワイヤ(12)の基部が挿入されている管状部(50a)を、前記空間部(42)を通じて、2つのジグで両側から挟むようにして圧することにより行う請求項8または9記載の歯間ブラシの製造方法である。この構成によれば、2つのジグを用いて、管状部(50a)を屈曲させることによって、ワイヤ抜止部(50)を形成することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、安価でかつワイヤが柄から抜けにくい歯間ブラシおよびこれを製造することのできる製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る歯間ブラシの斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う縦断面図である。
【図3】図1のIII −III 線に沿う縦断面図である。
【図4】この発明の第1の実施形態に係る歯間ブラシにおけるメインボディの斜視図である。
【図5】図4に示すメインボディの正面図である。
【図6】図4に示すメインボディの正面断面図である。
【図7】図4に示すメインボディの側面図である。
【図8】図4に示すメインボディの側面断面図である。
【図9】図1に示す歯間ブラシの製造工程図である。
【図10】この発明の第2の実施形態に係る歯間ブラシの製造工程図である。
【図11】この発明の第3の実施形態に係る歯間ブラシにおけるメインボディの斜視図である。
【図12】図11に示すメインボディの正面断面図および側面断面図である。
【図13】この発明の第3の実施形態に係る歯間ブラシの製造工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。
【実施例】
【0021】
[1]第1の実施形態
図1〜図9を参照して、この発明の第1の実施形態について説明する。図1〜図3は、この発明の第1の実施形態に係る歯間ブラシを示している。
【0022】
以下の説明において、上下とは、図1〜図3を基準として、その上側を上、下側を下というものとする。さらに、左右とは、図2の左右の側をそれぞれ左右といい、前後とは、図3の左右の側をそれぞれいうものとする。
【0023】
歯間ブラシは、毛付撚りワイヤ10と熱可塑性合成樹脂製の柄20とからなる。毛付撚りワイヤ10は、毛11とステンレスワイヤ12とを備えている。毛11は、多数の束に分けられている。2つ折りにされたワイヤ12の間に毛11が束毎に挟まれてワイヤ12が撚り合わされている。これにより、植毛された先部分および無毛の基部を有する毛付撚りワイヤ10が構成されている。
【0024】
柄20は、メインボディ21およびサブボディ22よりなる。メインボディ21およびサブボディ22は、ポリエチレンの射出成形によって形成されたものである。後述するように、メインボディ21は一次成形により形成され、サブボディ22は二次成形により形成される。なお、メインボディ21およびサブボディ22の材料として、同じ材料を用いてもよいし、異なる材料を用いてもよい。歯間ブラシを把持しやすいように、胴部33の表面をほぼ覆っているサブボディ22の材料として、メインボディ21の材料よりも柔軟なものを用いることが好ましい。具体的には、たとえば、メインボディ21をポリエチレン製とし、サブボディ22をEPDM等のゴム質の合成樹脂製とする。
【0025】
図4〜図8は、一次成形により形成されたメインボディ21を示している。
【0026】
メインボディ21は、全体として、上下方向にのびた直線状であり、丸棒状の首部31と、下方に向かって広がる略逆U字状の肩部32と、丸棒状の胴部33と、下方に向かって狭まる円錐台状の尻部34とからなる。肩部32は、首部31の下端から下方に円錐状に広がった後、その左右両側部のみが下方に広がりながら胴部33の左右両側面の上部までのびている。肩部32の上部の円錐状に広がった部分を円錐部32aといい、円錐部32aの両側から下方に広がりながらのびた部分を垂下部32bということにする。
【0027】
メインボディ21には、首部31の先端から、首部31および肩部32の円錐部32aを上下方向(縦方向)に貫通した縦孔41が形成されている。縦孔41の径は、毛付撚りワイヤ10が緩く挿通される大きさである。また、肩部32と胴部33との間には、縦孔41に繋がり、メインボディ21を前後方向(横方向)に貫通した空間部42が形成されている。空間部42の内壁面における縦孔41の開口部の周縁部には、空間部42内にのびかつ縦孔41と連通する孔51を有する管状部50aが形成されている。
【0028】
この管状部50aは、図4〜図6および図8に示すように、メインボディ21が一次成形によって形成されたときには直線状となっている。また、第1の実施形態では、管状部50aの先端(下端)は、胴部33の上端面に繋がっている。後述するように、歯間ブラシの製造工程において、管状部50aの下端が胴部33から切り離されるとともに、管状部50aが略S字状に屈曲される。したがって、歯間ブラシの完成品においては、管状部50aは、図3に示すように、左右方向から見て略S字状に屈曲した状態のワイヤ抜止部50となる。
【0029】
胴部33は、上下方向にのびた丸棒の正面側および背面側を、平らに削ったような形状
に形成されている。胴部33の左右両側面は、その幅中央が外方に張り出す曲面にそれぞれ形成されている。一方、胴部33の前後両面は、平面に平成されている。胴部33の前後両面には、上端部および下端部とそれらの間の中間部分との境界に、中間部分に向かって徐々に低くなる傾斜状段部43、44が形成されている。これにより、胴部33の前後両面の上下中間部分の表面が、胴部33の前後両面の上端部および下端部の表面よりも低く形成されている。胴部33の前面には、上下方向に間隔をおいて2つの円形凹所45、46が形成されている。また、胴部33の左右両側面には、上下に長い方形隆起部47、48がそれぞれ形成されている。
【0030】
肩部32の各垂下部32bと胴部33との境界には、肩部32より低い肩側段35が形成されている。この肩側段35は、左右方向から見て上方向に開放されたU字状である。尻部34と胴部33との境界には、尻部34より低い環状の尻側段36が形成されている。
【0031】
図1〜図3に戻って、前述したように、メインボディ21には、縦孔41と連通する孔51を有しかつ左右方向から見て略S字状に屈曲しているワイヤ抜止部50が形成されている。縦孔41には、毛付き撚りワイヤ10の基部が貫通している。毛付き撚りワイヤ10の基部の先端部は、ワイヤ抜止部50内に挿入されており、ワイヤ抜止部50とともに左右方向から見て略S字状に屈曲している。つまり、毛付き撚りワイヤ10の基部の先端部には、屈曲部12aが形成されている。
【0032】
サブボディ22は、方形隆起部47、48の外表面を除く胴部33の表面全体を被覆するとともに、空間部42および凹所45、46の内部を充満するように、形成されている。空間部42内において、ワイヤ抜止部50の周囲は、サブボディ22によって取り囲まれており、これが、ワイヤ抜止部50に対する係止部52を構成している。
【0033】
また、肩側段35および尻側段36は、サブボディ22によってそれぞれの段差が埋められている。これにより、肩部32および尻部34の表面と、これらに隣接するサブボディ22の表面との境界が面一となっている。方形隆起部47、48の外表面は、サブボディ22表面に露出している。この実施形態では、使用者が柄20を把持したときにすべりにくくするために、メインボディ21の胴部33の長さ中間部の周囲に形成されたサブボディ22の表面には、上下方向に間隔をおいて複数の溝が形成されている。
【0034】
メインボディ21およびサブボディ22を構成している樹脂の色は、互いに相違させられている。例えば、その色を、メインボディ21が青、サブボディ22が白を採用したとすると、柄20は、清潔感に溢れるツートンカラーで彩られることになる。
【0035】
次に、歯間ブラシの製造方法について図9を参照しながら説明する。まず、メインボディ21を一次成形する。これにより、図4〜図8に示すような、メインボディ21が得られる。前述したように、メインボディ21が成形された際には、略S字状に屈曲したワイヤ抜止部50ではなく、直線状の管状部50aが形成されている。
【0036】
次に、縦孔41から毛付撚りワイヤ10の基部を挿入していき、毛付撚りワイヤ10の基部の先端部を管状部50a内に挿入する。この後、空間部42内に、その両側(前後)からジグ61、62を挿入していく。これらのジグ61、62の対向面の一方には、管状部50aの下端を胴部33から切り離すための刃が形成され、他方にはこの刃を逃がすための切欠部が形成されている。また、これらのジグ61、62の対向面には、管状部50aを略S字状に屈曲させるための凹凸が形成されている。
【0037】
空間部42内にその両側からジグ61、62を挿入していくと、まず、一方のジグ62
に形成された刃によって、管状部50aの下端が切断され、管状部50aの下端が胴部33から切り離される。この後、さらにジグ61、62を挿入していき、管状部50aを両ジグ61、62によって両側から加圧する。そうすると、両ジグ61、62の対向面に形成された凹凸により、管状部50aが略S字状に変形し、ワイヤ抜止部50が形成される。なお、毛付撚りワイヤ10の基部の先端部も略S字状に変形し、屈曲部12aが形成される。この際、ジグ61、62を加熱しておき、加圧時に管状部50aを加圧すると同時に加熱するようにしてもよい。この加圧はプレス機械によって行なわれる。
【0038】
この後、ジグ61、62を退却させた後に、二次成形によってサブボディ22を形成する。メインボディ21およびサブボディ22は互いに固着されて分離する心配は無い。
【0039】
前記第1の実施形態による歯間ブラシでは、インサート樹脂成形を用いることなく、単なる樹脂成形によって製造することが可能である。したがって、安価な歯間ブラシが提供される。また、前記第1の実施形態による歯間ブラシでは、毛付撚りワイヤ10の基部が挿入されかつ毛付き撚りワイヤ10とともに略S字状に屈曲しているワイヤ抜止部50が、メインボディ21に形成されているので、毛付撚りワイヤ10がメインボディ21に形成されている縦孔41から抜けにくくなる。メインボディ21にワイヤ抜止部50がなく、毛付き撚りワイヤ10の基部の先端部のみが屈曲されている場合に比べて、前記第1の実施形態による歯間ブラシでは、毛付き撚りワイヤ10が縦孔41内で回転しにくくなるとともに、毛付き撚りワイヤ10が引っ張られた場合に、毛付き撚りワイヤ10が直線状に伸びにくくなるため、毛付き撚りワイヤ10が縦孔41から抜けにくくなる。
【0040】
さらに、前記第1の実施形態による歯間ブラシでは、サブボディ22によって、ワイヤ抜止部50の周囲を取り囲む係止部52が形成されているので、縦孔41内で毛付き撚りワイヤ10がより回転しにくくなるとともに、毛付き撚りワイヤ10が引っ張られた場合に、毛付き撚りワイヤ10が直線状により伸びにくくなるため、毛付き撚りワイヤ10が縦孔41からより抜けにくくなる。
【0041】
歯間ブラシを把持しやすいように、胴部33の表面をほぼ覆っているサブボディ22の材料として、メインボディ21の材料よりも柔軟なものを用いることが好ましい。たとえば、メインボディ21をポリエチレン製とし、サブボディ22をEPDM等のゴム質の合成樹脂製とする。このような場合においても、略S字状に屈曲しているワイヤ抜止部50は比較的硬い材料(サブボブィ22より硬い材料)で形成されているため、毛付き撚りワイヤ10が引っ張られた場合に、毛付き撚りワイヤ10が直線状に伸びにくく、毛付き撚りワイヤ10が縦孔41から抜けにくくなる。
【0042】
また、前記第1の実施形態による歯間ブラシでは、一次成形により得られるメインボディ21には、図4〜図6、図8に示すように、管状部50aが形成されている。そして、管状部50aに毛付き撚りワイヤ10の基部の先端部が挿入された状態で、その管状部50aがジグ61、62により、両側から加圧され、これにより、管状部50aが毛付き撚りワイヤ10とともに屈曲される。このように、一次成形により得られるメインボディ21には、毛付き撚りワイヤ10の基部の先端部が挿入されかつ毛付き撚りワイヤ10ともに屈曲される管状部50aが形成されているので、毛付き撚りワイヤ10をジグによる最適な加圧位置に位置決めすることができる。このため、毛付き撚りワイヤ10および管状部50aを、最適な加圧位置において加圧することができるようになる。また、ジクを用いて管状部50aを屈曲させて、ワイヤ抜止部50を形成させる工程を、自動化しやすくなる。
[2]第2の実施形態
図10を参照して、この発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態に係る歯間ブラシは、第1の実施形態に係る歯間ブラシと比較すると、管状部50aを略S字
状に屈曲させる方法が異なっている。具体的には、第2の実施形態では、管状部50aを略S字状に屈曲させるために使用されるジクが、第1の実施形態で使用されるジグと異なっている。その他の点は、第1の実施形態と同じである。
【0043】
図10は、この発明の第2の実施形態である歯間ブラシの製造方法を示している。まず、第1の実施形態と同様なメインボディ21を一次成形する。これにより、図4〜図8に示すような、メインボディ21が得られる。メインボディ21が成形された際には、略S字状に屈曲したワイヤ抜止部50ではなく、直線状の管状部50aが形成されている。この管状部50aの下端は、胴部33の上面に繋がっている。
【0044】
次に、縦孔41から毛付撚りワイヤ10の基部を挿入していき、毛付撚りワイヤ10の基部の先端部を管状部50a内に挿入させる。この後、空間部42内に、その両側(前後)からジグ61A、62Aを挿入させる。これらのジグ61A、62Aの対向面には、管状部50aを略S字状に屈曲させるための凹凸が形成されているが、第1の実施形態で使用されるジグ61、62とは異なり、いずれのジク61A、62Aにも管状部50aの下端を胴部33から切り離すための刃は形成されていない。
【0045】
空間部42内にその両側からジグ61A、62Aを挿入していき、管状部50aを両ジグ61A、62Aによって両側から加圧する。そうすると、両ジグ61A、62Aの対向面に形成された凹凸により、管状部50aはその下端が胴部33の上面に繋がっている状態のまま略S字状に変形し、ワイヤ抜止部50が形成される。つまり、管状部50aは、その延性によって伸びて、変形する。なお、毛付撚りワイヤ10の基部の先端部も略S字状に変形し、屈曲部12aが形成される。この際、ジグ61A、62Aを加熱しておき、加圧時に管状部50aを加圧すると同時に加熱するようにしてもよい。この加圧はプレス機械によって行なわれる。
【0046】
この後、ジグ61A、62Aを退却させた後に、二次成形によってサブボディ22を形成する。この第2の実施形態においても、前記第1の実施形態と同様な効果が得られる。[3]第3の実施形態
図11〜図13を参照して、この発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態に係る歯間ブラシは、第1の実施形態に係る歯間ブラシと比較すると、一次成形によって製造されるメインボディ21における管状部50aが異なっている。より具体的には、図11および図12に示すように、第3の実施形態におけるメインボディ21においては、管状部50aが第1の実施形態のそれより短く形成され、管状部50aの下端が胴部33に繋がっていない。また、管状部50aを略S字状に屈曲するために用いられるジグが、第1の実施形態で用いられるジグと異なっている。これらの点以外は、第1の実施形態と同じである。
【0047】
図13は、この発明の第3の実施形態である歯間ブラシの製造方法を示している。まず、図11および図12に示すようなメインボディ21を一次成形によって製造する。メインボディ21が成形された際には、略S字状に屈曲したワイヤ抜止部50ではなく、直線状の管状部50aが形成されている。この管状部50aの下端は、空間42内にのびているが、胴部33には達していない。つまり、管状部50aの下端は、胴部33には繋がっていない。
【0048】
次に、縦孔41から毛付撚りワイヤ10の基部を挿入していき、毛付撚りワイヤ10の基部の先端部を管状部50a内に挿入(挿通)させる。この後、空間部42内に、その両側(前後)からジグ61B、62Bを挿入させる。これらのジグ61B、62Bの対向面には、管状部50aを略S字状に屈曲させるための凹凸が形成されている。
【0049】
空間部42内にその両側からジグ61B、62Bを挿入していき、管状部50aを両ジグ61B、62Bによって両側から加圧する。そうすると、両ジグ61B、62Bの対向面に形成された凹凸により、管状部50aが略S字状に変形し、ワイヤ抜止部50が形成される。なお、毛付撚りワイヤ10の基部の先端部も略S字状に変形し、屈曲部12aが形成される。この際、ジグ61B、62Bを加熱しておき、加圧時に管状部50aを加圧すると同時に加熱するようにしてもよい。この加圧はプレス機械によって行なわれる。
【0050】
この後、ジグ61B、62Bを退却させた後に、二次成形によってサブボディ22を形成する。この第3の実施形態においても、前記第1の実施形態と同様な効果が得られる。
【符号の説明】
【0051】
11 毛
12 ワイヤ
20 柄
21 メインボディ
41 縦孔
42 空間部
50 ワイヤ抜止部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛(11)と、前記毛(11)を撚り合わせたワイヤ(12)と、前記ワイヤ(12)に取り付けられた柄(20)とからなり、前記柄(20)がメインボディ(21)を備えており、
前記メインボディ(21)には、前記ワイヤ(12)の基部が貫通した縦孔(41)と、前記縦孔(41)に繋がり、前記メインボディ(21)を横方向に貫通している空間部(42)と、前記空間部(42)の内壁面における前記縦孔(41)の開口部の周縁部から前記空間部(42)内にのびた管状のワイヤ抜止部(50)とが形成されており、
前記ワイヤ抜止部(50)は、前記ワイヤ(12)の基部の先端部がそれに挿入されている状態で、前記ワイヤ(12)とともに屈曲している歯間ブラシ。
【請求項2】
前記空間部(42)内に充填部材(22)が充満されており、この充填部材(22)によって前記ワイヤ抜止部(50)の周囲を取り囲む係止部(52)が形成されている請求項1に記載の歯間ブラシ。
【請求項3】
前記柄(20)が前記メインボディ(21)と前記サブボディ(22)とを備えており、前記サブボディ(22)が、前記ワイヤ抜止部(50)の周囲を取り囲むように前記空間部(42)内に充満された係止部(52)を備えている請求項1に記載の歯間ブラシ。
【請求項4】
前記メインボディ(21)の表面の一部に前記サブボディ(22)が被覆されており、前記メインボディ(21)および前記サブボディ(22)の識別性が互いに相違させられている請求項3に記載の歯間ブラシ。
【請求項5】
前記メインボディ(21)および前記サブボディ(22)が、合成樹脂製である請求項3に記載の歯間ブラシ。
【請求項6】
前記識別性の相違が、色、光沢および材質の少なくともいずれか1つに基因させられている請求項4に記載の歯間ブラシ。
【請求項7】
前記メインボディ(21)が、肩部(32)と、尻部(34)と、これらを低い段を介して連絡している胴部(33)とを含み、前記空間部(42)が前記肩部(32)と前記胴部(33)との間に形成されており、前記サブボディ(22)が前記空間部(42)内に充満されているとともに、前記胴部(33)に被覆されており、前記肩部(32)および前記尻部(34)の表面と、これらに隣接させられた前記サブボディ(22)表面との境界が面一となされている請求項3〜6のいずれか1つに記載の歯間ブラシ。
【請求項8】
毛(11)を撚り合わせたワイヤ(12)と、前記ワイヤ(12)に取り付けられた柄(20)とからなり、前記柄(20)がメインボディ(21)を備えている歯間ブラシの製造方法であって、
縦孔(41)と、前記縦孔(41)に繋がり前記メインボディ(21)を横方向に貫通している空間部(42)と、前記空間部(42)の内壁面における前記縦孔(41)の開口部の周縁部から前記空間部(42)内にのびた管状部(50a)とを備えた前記メインボディ(21)を樹脂成形するステップと、
前記ワイヤ(12)の基部の先端部を、前記メインボディ(21)の前記縦孔(41)を通じて前記管状部(50a)内に挿入し、前記管状部(50a)を前記ワイヤ(12)の基部の先端部が挿入された状態で前記ワイヤ(12)とともに屈曲させることにより、前記メインボディ(21)にワイヤ抜止部(50)を形成するステップと、を含む歯間ブラシの製造方法。
【請求項9】
前記柄(20)のサブボディ(22)を、その一部が前記ワイヤ抜止部(50)の周囲を取り囲んで前記空間内(42)に充満されるように樹脂成形するステップを更に含む請求項8に記載の歯間ブラシの製造方法。
【請求項10】
前記ワイヤ抜止部(50)の形成を、前記ワイヤ(12)の基部が挿入されている管状部(50a)を、前記空間部(42)を通じて、2つのジグで両側から挟むようにして圧することにより行う請求項8または9記載の歯間ブラシの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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