死ドメイン含有レセプター5
【課題】本発明は、新規な死ドメイン含有レセプター5(DR5)タンパク質を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明によって、腫瘍壊死(TNF)レセプターファミリーのメンバーであり、そしてTRAILに結合する死ドメイン含有レセプター5(DR5)タンパク質が提供される。詳細には、ヒトDR5タンパク質をコードする単離された核酸分子が提供される。DR5ポリペプチドもまた提供され、ベクター、宿主細胞、およびこれらを産生する組換え方法も提供される。本発明はさらに、アンタゴニストおよびDR5活性のアンタゴニストを同定するためのスクリーニング方法に関する。
【解決手段】本発明によって、腫瘍壊死(TNF)レセプターファミリーのメンバーであり、そしてTRAILに結合する死ドメイン含有レセプター5(DR5)タンパク質が提供される。詳細には、ヒトDR5タンパク質をコードする単離された核酸分子が提供される。DR5ポリペプチドもまた提供され、ベクター、宿主細胞、およびこれらを産生する組換え方法も提供される。本発明はさらに、アンタゴニストおよびDR5活性のアンタゴニストを同定するためのスクリーニング方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、レセプターの腫瘍壊死因子ファミリーの新規なメンバーに関する。より詳細には、ヒト死ドメイン含有レセプター5(すなわち、単純に「DR5」)をコードする単離された核酸分子が提供される。DR5ポリペプチドもまた提供され、ベクター、宿主細胞、およびこれらを産生するための組換え方法も提供される。本発明はさらに、DR5活性のアゴニストおよびアンタゴニストを同定するためのスクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連分野
多数の生物学的作用(例えば、特定の刺激への応答および天然の生物学的プロセス)は、サイトカインのような因子によって制御される、多くのサイトカインは、レセプターを係合し、そして細胞内応答を産生することによって、レセプターを通して作用する。
【0003】
例えば、腫瘍壊死因子(TNF)αおよびβはサイトカインであり、これは多数の生物学的プロセスを制御するTNFレセプターを通して作用し、このプロセスとしては、感染およびショックの導入および炎症性疾患に対する防御が挙げられる。TNF分子は、「TNFリガンド」スーパーファミリーに属し、そしてそれらのレセプターまたは対抗リガンド「TNFレセプター」スーパーファミリーとともに作用する。従来、TNFリガンドスーパーファミリーの9のメンバーが同定されており、そしてTNFレセプタースーパーファミリーの10のメンバーが特徴付けられている。
【0004】
リガンドとしては、TNFα、リンフォトキシンα(LT−α、TNFβとしてもまた公知である)、LT−β(複合体異種三量体のLT−α−βに見出される)、FasL、CD40L、CD27L、CD30L、4−1BBL、OX40L、および神経成長因子(NGF)が挙げられる。TNFレセプターのスーパーファミリーとしては、p55TNFレセプター、p75TNFレセプター、TNFレセプター関連タンパク質、FAS抗原、またはAPO−1、CD40、CD27、CD30、4−1BB、OX40、低親和性p75、およびNGFレセプターが挙げられる(Meager,A., Biologicals, 22:291−295(1994))。
【0005】
TNFリガンドスーパーファミリーの多くのメンバーは、活性化T細胞によって発現され、このことは、細胞個体発生および機能の基礎となる他の細胞型とのT細胞相互作用に必要であることを意味する。(Meager,A.,前出)。
【0006】
TNFレセプターファミリーのいくつかのメンバーの必須の機能に関する考慮すべき見識は、これらのタンパク質の発現を回避する変異体の同定および創生から得られている。例えば、FAS抗原およびそのリガンドに天然に存在する変異は、リンパ球増殖性疾患を引き起こし(Watanabe−Fukunaga,R.,ら、Nature 356:314(1992))、これはおそらく、プログラムされた細胞死の失敗に反映する。CD40リガンドの変異は、血漿中の高レベルの免疫グロブリンMおよび低レベルの免疫グロブリンGによって特徴付けられるX関連免疫欠損状態を引き起こし、これは欠陥のあるT細胞依存性B細胞活性化を引き起こす(Allen,R.C.ら、Science 259:990(1993))。低親和性神経成長因子レセプターの標的化変異は、末梢構造の欠陥のある感覚性新機軸(sensory innovation)によって特徴付けられる障害を引き起こす(Lee,K.F.ら、Cell 69:737(1992))。
【0007】
TNFおよびLT−αは、2つのTNFレセプター(55および75kdTNFレセプター)に結合し得る。TNFおよびLT−αによって誘発される(それらのレセプターを通じて作用する)多数の生物学的効果としては、移植された腫瘍の出血性壊死、細胞傷害性、内毒素ショックにおける役割、炎症、免疫調節、増殖および抗ウイルス応答、ならびに電離放射線の有害な効果に対する防御が挙げられる。TNFおよびLT−αは、広範な疾患の病原性に関与し、これには、内毒素ショック、大脳マラリア、腫瘍、自己免疫疾患、AIDS、および移植片−宿主拒絶が挙げられる(Beutler,BおよびVon Huffel,C., Science 264:667−668(1994))。p55レセプターにおける変異は、微生物感染に対する感受性を増加させる。
【0008】
さらに、TNFR1(p55)およびFas付近の約80アミノ酸ドメインが、「死ドメイン」として報告され、これはプログラムされた細胞死についての形質導入シグナルを担う(Tartagliaら、Cell 74:845(1993))。
【0009】
アポトーシスまたはプログラムされた細胞死は、多細胞生物の正常な発生および恒常性に必須の生理学的プロセスである(H.Steller, Science 267:1445−1449(1995))。アポトーシスの撹乱は、ガン、神経変性疾患、および後天性免疫疾患症候群を含むいくつかのヒト疾患の病原性に寄与する(C.B.Thompson, Science 267:1456−1462(1995))。近年、多くの注目が、2つの細胞表面死レセプターFas/APO−1およびTNFR−1のシグナル形質導入および生物学的機能に集中している(J.L.Clevelandら、Cell 81:479−482(1995);A.Fraserら、Cell 85:781−784(1996);S.Nagataら、Science 267:1449−56(1995))。両方とも、TNFレセプターファミリーのメンバーであり、これらはまた、とりわけ、TNFR−2、低親和性NGFR、CD40、およびCD30を含む(C.A.Smithら、Science 248:1019−23(1990);M.Tewariら、in Modular Texts in Molecular and Cell Biology M. Purton, Heldin, Carl編、(Chapman and Hall, London, 1995))。ファミリーメンバーは、それらの細胞外ドメインにおけるシステインリッチ反復の存在によって規定されるが、Fas/APO−1およびTNFR−1もまた、細胞内相同性の領域(適切には「死ドメイン」と称され、これはDrosophila suicide遺伝子reaperの遠縁にあたる)を共有する(P.Golsteinら、Cell 81:185−186(1995);K.Whiteら、Science 264:677−83(1994))。この共有された死ドメインは、両方のレセプターが、最近まで未確認のままの、関連セットのシグナル形質導入分子と相互作用することが示唆される。Fas/APO−1の活性化は、死ドメイン含有アダプター分子FADD/MORT1(A.M.Chinnaiyanら、Cell 81:505−12(1995);M.P.Boldinら、J.Biol Chem 270:7795−8(1995);F.C.Kischkelら、EMBO 14:5579−5588(1995))を補充し、これは順に、FLICE/MACH1(プロアポトーシスプロテアーゼのICE/CED−3ファミリーのメンバー)に結合し、そしておそらく活性化する(M.Muzioら、Cell 85:817−827(1996);M.P.Boldinら、Cell 85:803−8151(1996))。Fas/APO−1の中心の役割は、細胞死を引き起こすことであるが、TFNR−1は、その多くがNF−kBを活性化する能力に由来する多様な生物学的活性の整列を合図し得る(L.A.Tartagliaら、Immunol Today 13:151−3(1992))。従って、TNFR−1は、多価アダプター分子TRADDを補充し、これはFADDに類似し、死ドメインもまた含む(H.Hsuら、Cell 81:495−504(1995);H.Hsu,ら、Cell 84:299−308(1996))。FADD、TRAF2、およびRIPを含むシグナル分子の数との関連を通じて、TRADDは、アポトーシスおよびNF−kB活性化の両方を合図し得る(H.Hsuら、Cell 84:299−308(1996)Cell 84:299−308(1996);H.Hsuら、Immunity 4:387−396(1996))。
【0010】
近年、新たなアポトーシス誘導性TNFリガンドが発見されている。S.R.Wileyら(Immunity 3:673−682(1995))は、分子を「TNF関連アポトーシス誘導性リガンド」または単純に「TRAIL]と命名した。この分子はまた、「Apo−2リガンド」または「Apo−2L」とも称された。R.M.Pittら、J.Biol.Chem. 271:12687−12690(1996)。この分子はまた、同時継続中の米国特許分割出願第60/013,405号にも開示された。便宜上、この分子は、本明細書中でTRAILとして称される。
【0011】
FASリガンド(この転写物は、刺激されたT細胞に非常に制限されるようである)とは異なり、有意なレベルのTRAILが、多くのヒト組織(例えば、脾臓、胚、前立腺、胸腺、卵巣、小腸、結腸、末梢血リンパ球、胎盤、腎臓)において検出され、そしていくつかの細胞株によって連続的に転写される。TRAILはFasリガンドから独立して作用することが示されている(Wileyら、前出)。TRAILはFas/Apo−1Lによる死伝達と同様の時間枠内で、迅速にアポトーシスを活性化するが、TNF誘導性アポトーシスより早いことが示されている。S.A.Marstersら、Current Biology 6:750−752(1996)。TRAILのTNFR−1、Fas、または近年同定されたDR3への結合の不能性は、TRAILは、独特のレセプターと相互作用し得ることを示唆する。
【0012】
TRAILについてのいくつかの独特のレセプターは、すでに同定されている。同時継続中の米国分割特許出願番号第60/035,722号において、DR4(TRAILについての新規な死ドメイン含有レセプター)が開示された。Panら、Science 276,111−113(1997年4月)を参照のこと。TR5レセプター(同時継続中の米国分割特許出願番号第60/035,496号の主題)は、TRAILに結合することが示されている。同時継続中の米国分割特許出願番号第60/xxxxxxにおいて、TR10レセプターもまたTRAILに結合し、これはDR4との配列相同性に起因することが予測された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
TNFファミリーリガンドおよびTNFファミリーレセプターの効果は変化し、そして哺乳動物系の生物学的プロセスにおいて正常および異常の両方の多数の機能に影響する。それゆえ、正常および疾患状態の両方において生物学的活性に影響するこのようなレセプターおよびリガンドの同定および特徴づけのための明確な必要性が存在する。特に、TRAILに結合するさらなる新規なレセプターを単離および特徴付ける必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明の要旨
本発明は、単離された核酸分子を提供し、これは、図1(配列番号2)に示されるアミノ酸配列または1997年3月7日にATCC受託番号97920として寄託されたcDNAクローンによってコードされるアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む
本発明はまた、組換えベクター(本発明の単離された核酸分子を含む)を提供し、そして組換えベクターを含む宿主細胞、ならびにこのようなベクターおよび宿主細胞を作成する方法、およびDR5ポリペプチドまたはペプチドの組換え技術による産生のためにそれらを使用するための方法を提供する。
【0015】
本発明はさらに、本明細書中に記載されるポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列を有する単離されたDR5ポリペプチドを提供する。
【0016】
本発明はまた、DR5タンパク質のレベルを検出するための定量的および診断用アッセイのような診断用アッセイを提供する。従って、例えば、正常なコントロール組織サンプルと比較してDR5またはその可溶性形態の過剰発現を検出するための本発明による診断用アッセイが、腫瘍の存在を検出するのに使用され得る。
【0017】
腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーリガンドは、最も多面性のサイトカインの中にあることが公知であり、これは、細胞毒性、抗ウイルス活性、免疫調節活性、およびいくつかの遺伝子の転写調節を含む大多数の細胞性応答を含む。TNFファミリーリガンドに対する細胞性応答は、正常な生理学的応答だけでなく、増加したアポトーシスに関連する疾患またはアポトーシスの阻害も含む。アポトーシス(プログラムされた細胞死)は、免疫系の末梢Tリンパ球の欠失に関与する生理学的機構であり、そしてその調節不全は、多数の異なる病原性プロセスを導き得る。増加した細胞生存に関連する疾患、またはアポトーシスの阻害としては、ガン、自己免疫疾患、ウイルス感染、炎症、移植片対宿主疾患、急性移植片拒絶、および慢性移植片拒絶が挙げられる。増加したアポトーシスに関連する疾患としては、AIDS、神経変性障害、脊髄形成異常症候群、虚血性障害、毒素誘導性肝臓疾患、敗血症性ショック、悪液質、および摂食障害が挙げられる。
【0018】
従って、本発明はさらに、TNFファミリーリガンドによって誘導されるアポトーシスを増強するための方法を提供し、これは、DR5ポリペプチドを発言する細胞に、DR5媒介性伝達を増加し得るアゴニストの有効量を投与する工程を包含する。好ましくは、DR5媒介性伝達は、疾患を処置するために増加され、ここで減少したアポトーシスが示される。
【0019】
さらなる局面において、本発明は、TNFファミリーリガンドによって誘導されるアポトーシスを阻害するための方法に関し、これはDR5ポリペプチドを発現する細胞に、DR5媒介性伝達を減少し得るアンタゴニストの有効量を投与する工程を包含する。好ましくは、DR5媒介性伝達は、疾患を処置するために減少され、ここで増加したアポトーシスが示される。
【0020】
本発明のいずれの候補体「アゴニスト」または「アンタゴニスト」がアポトーシスを増強または阻害し得るかどうか、当該分野で公知のTNFファミリーリガンド/レセプター細胞応答アッセイを用いて決定され得、これは以下により詳細に記載される。従って、さらなる局面において、スクリーニング方法は、候補体アゴニストまたはアンタゴニストがTNFファイリーリガンドに対する細胞応答を増強または阻害し得るかどうかを決定する工程が提供される。この方法は、DR5ポリペプチドを発現する細胞を、候補体化合物およびTNFファミリーリガンドと接触させる工程、細胞応答をアッセイする工程、ならびに細胞応答を標準的な細胞応答と比較する工程を含み、候補体化合物の非存在下でリガンドとの接触がなされ、それにより、標準を超える増加した細胞応答は、候補化合物がリガンド/レセプター伝達経路のアゴニストであることを示し、そして標準に比べて減少した細胞応答は、候補体化合物が、リガンド/レセプター伝達経路のアンタゴニストであることを示す。本発明によって、DR5ポリペプチドを発現する細胞は、内因性または外因的に投与されたTNFファミリーリガンドのいずれかと接触させられ得る。
【0021】
したがって、本発明は、以下を提供する。
1.単離された核酸分子であって、以下:
(a)配列番号2のアミノ酸約−51〜約360を含むポリヌクレオチドをコードするヌクレオチド配列;
(b)配列番号2のアミノ酸約−50〜約360を含むポリヌクレオチドをコードするヌクレオチド配列;
(c)配列番号2のアミノ酸約1〜約360を含むポリヌクレオチドをコードするヌクレオチド配列;
(d)ATCC受託番号97920に含まれるcDNAクローンによってコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(e)ATCC受託番号97920に含まれるcDNAクローンによってコードされるアミノ酸配列を有する成熟DR5ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(f)DR5細胞外ドメインをコードするヌクレオチド配列;
(g)DR5膜貫通ドメインをコードするヌクレオチド配列;
(h)DR5細胞内ドメインをコードするヌクレオチド配列;
(i)DR5死ドメインをコードするヌクレオチド配列;および
(j)上記の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、または(i)のいずれかのヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列、
からなる群より選択される配列に少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む、単離された核酸分子。
2.上記ポリヌクレオチドが配列番号1のヌクレオチド配列を有する、項目1に記載の核酸分子。
3.上記ポリヌクレオチドが、配列番号2のアミノ酸配列を有するDR5ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有する、項目1に記載の核酸分子。
4.上記ポリヌクレオチドが、配列番号2のアミノ酸配列を有する成熟DR5ポリペプチドをコードする配列番号1のヌクレオチド配列を有する、項目1に記載の核酸分子。
5.上記ポリヌクレオチドが、ATCC受託番号97920に含まれるcDNAクローンの完全ヌクレオチド配列を有する、項目1に記載の核酸分子。
6.上記ポリヌクレオチドが、ATCC受託番号97920に含まれるcDNAクローンによてコードされるアミノ酸配列を有するDR5ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有する、項目1に記載の核酸分子。
7.上記ポリヌクレオチドが、ATCC受託番号97920に含まれるcDNAクローンによってコードされるアミノ酸配列を有する成熟DR5ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有する、項目1に記載の核酸分子。
8.単離された核酸分子であって、項目1に記載の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、または(j)のヌクレオチド配列と同一のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド配列に、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド配列を含み、ここで上記ハイブリダイズするポリヌクレオチドが、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、アデノシンヌクレオチドのみまたはチミジンヌクレオチドのみからなるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドにハイブリダイズしない、単離された核酸分子。
9. 項目1に記載の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、または(i)のアミノ酸配列を有するDR5ポリペプチドのエピトープ保有部分のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含む、単離された核酸分子。
10.配列番号2のアミノ酸残基約11〜約59を含むポリペプチド;配列番号2のアミノ酸残基約68〜約113を含むポリペプチド;配列番号2のアミノ酸残基約173〜約220を含むポリペプチド;および配列番号2のアミノ酸残基約224〜約319を含むポリペプチド、からなる群より選択されるDR5ポリペプチドのエピトープ保有部分をコードする、項目9に記載の単離された核酸分子。
11.DR5細胞外ドメインをコードする、項目1に記載の単離された核酸分子。
12.DR5膜貫通ドメインをコードする、項目1に記載の単離された核酸分子。
13.DR5細胞内ドメインをコードする、項目1に記載の単離された核酸分子。
14.組換えベクターを作製する方法であって、項目1に記載の単離された核酸分子をベクターに挿入する工程を包含する、方法。
15.項目14に記載の方法によって産生される、組換えベクター。
16.組換え宿主細胞を作製する方法であって、項目1に記載の単離された核酸分子を宿主細胞に挿入する工程を包含する、方法。
17.項目16に記載の方法によって産生される、組換え宿主細胞。
18.DR5ポリペプチドを産生するための組換え方法であって、項目17に記載の組換え宿主細胞を、上記ポリペプチドが発現されるような条件下で培養する工程、および上記ポリペプチドを回収する工程、を包含する組換え方法。
19.単離されたDR5ポリペプチドであって、以下:
(a)配列番号2のアミノ酸約−51〜約360;
(b)配列番号2のアミノ酸約−50〜約360;
(c)配列番号2のアミノ酸約1〜約360;
(d)ATCC受託番号97920に含まれるcDNAクローンによってコードされるアミノ酸配列を有するDR5ポリペプチドのアミノ酸配列;
(e)ATCC受託番号97920に含まれるcDNAクローンによってコードされるアミノ酸配列を有する成熟DR5ポリペプチドのアミノ酸配列;
(f)DR5細胞外ドメインのアミノ酸配列;
(g)DR5膜貫通ドメインのアミノ酸配列;
(h)DR5細胞内ドメインのアミノ酸配列;
(i)DR5死ドメインのアミノ酸配列;および
(j)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、または(j)のポリペプチドのいずれか1つのエピトープ保有部分のアミノ酸配列、
からなる群より選択される配列に少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む、単離されたDR5ポリペプチド。
20.DR5タンパク質のエピトープ保有部分を含む単離されたポリペプチドであって、ここで上記部分が、配列番号2のアミノ酸残基約11〜約59を含むポリペプチド;配列番号2のアミノ酸残基約68〜約113を含むポリペプチド;配列番号2のアミノ酸残基約173〜約220を含むポリペプチド;および配列番号2のアミノ酸残基約224〜約319を含むポリペプチド、からなる群より選択される、単離されたポリペプチド。
21.項目19に記載のDR5ポリペプチドに特異的に結合する、単離された抗体。
22.単離された核酸分子であって、以下:
(a)クローンHAPBU13R(配列番号6)のヌクレオチド配列;
(b)クローンHSBBU76R(配列番号7)のヌクレオチド配列;
(c)図1(配列番号1)に示される配列の部分のヌクレオチド配列であって、ここで上記部分が、ヌクレオチド284〜1,362の少なくとも50の連続するヌクレオチドを含む、ヌクレオチド配列;および
(d)上記の(a)、(b)、または(c)のヌクレオチド配列のいずれかに相補的なヌクレオチド配列、
からなる群より選択される配列に、少なくとも95%同一の配列を有するポリヌクレオチドを含む、単離された核酸分子。
23.DR5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む単離された核酸分子であって、ここで、少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を除いて、上記ポリペプチドは、以下:
(a)配列番号2のアミノ酸約−51〜約360を含むポリヌクレオチドをコードするヌクレオチド配列;
(b)配列番号2のアミノ酸約−50〜約360を含むポリヌクレオチドをコードするヌクレオチド配列;
(c)配列番号2のアミノ酸約1〜約360を含むポリヌクレオチドをコードするヌクレオチド配列;
(d)ATCC受託番号97920に含まれるcDNAによってコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(e)ATCC受託番号97920に含まれるcDNAクローンによってコードされるアミノ酸配列を有する成熟DR5ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(f)DR5細胞外ドメインをコードするヌクレオチド配列;
(g)DR5膜貫通ドメインをコードするヌクレオチド配列;
(h)DR5細胞内ドメインをコードするヌクレオチド配列;
(i)全てまたは一部の膜貫通ドメインが欠失される、DR5レセプター細胞外および細胞内ドメインをコードするヌクレオチド配列;ならびに
(j)DR5死ドメインをコードするヌクレオチド配列;
(k)上記の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、または(j)のいずれかに相補的なヌクレオチド配列、
からなる群より選択される配列を有する、単離された核酸分子。
24.単離されたDR5ポリペプチドであって、ここで、少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を除いて、上記ポリペプチドは、以下:
(a)配列番号2のアミノ酸約−51〜約360;
(b)配列番号2のアミノ酸約−50〜約360;
(c)配列番号2のアミノ酸約1〜約360;
(d)ATCC受託番号97920に含まれるcDNAによってコードされるアミノ酸配列を有するDR5ポリペプチドのアミノ酸配列;
(e)ATCC受託番号97920に含まれるcDNAクローンによってコードされるアミノ酸配列を有する成熟DR5ポリペプチドのアミノ酸配列;
(f)DR5レセプター細胞外ドメインをコードするアミノ酸配列;
(g)DR5レセプター膜貫通ドメインをコードするアミノ酸ド配列;
(h)DR5レセプター細胞内ドメインをコードするアミノ酸配列;
(i)膜貫通ドメインの全てまたは部分が欠失されるDR5レセプター細胞内ドメインおよび細胞外ドメインのアミノ酸配列;
(j)DR5死ドメインをコードするアミノ酸配列;および
(k)上記の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、または(j)のポリペプチドのいずれか1つのエピトープ保有部分のアミノ酸配列、
からなる群より選択される配列を有する、単離されたDR5ポリペプチド。
25.項目19のポリペプチドおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
26.項目21に記載の抗体および薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
27.項目24に記載のポリペプチドおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
28.異種ポリペプチドに融合された、項目19に記載のポリペプチドを含む、融合タンパク質。
29.上記核酸が、DR5ポリペプチドに対する抗体によって結合され得るタンパク質をコードし、ここで上記ポリペプチドが、配列番号2のアミノ酸配列を有する、項目8に記載の単離された核酸。
30.組換えベクターを作製する方法であって、項目8に記載の単離された核酸分子をベクターに挿入する工程を包含する、方法。
31.項目30に記載の方法によって産生される、組換えベクター。
32.組換え宿主細胞を作製する方法であって、項目8に記載の単離された核酸分子を宿主細胞に導入する工程を包含する、方法。
33.項目32に記載の方法によって産生される、組換え宿主。
34.ポリペプチドを産生するための組換え方法であって、項目33に記載の宿主細胞を、上記ポリペプチドが発現されるような条件下で培養する工程、および上記ポリペプチドを回収する工程、を包含する組換え方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
好ましい実施態様の詳細な説明
本発明は、図1(配列番号2)で示されるアミノ酸配列を有するDR5ポリペプチド、またはポリペプチドのフラグメントをコードするポリヌクレオチドを含む単離された核酸分子を提供する。本発明のDR5ポリペプチドは、TNFRファミリーの、他の既知の死ドメイン含有レセプター(図2のヒトTNFR−1、DR3、およびFasを含む)と配列相同性を共有する。図1(配列番号1)に示されるヌクレオチド配列は、HLYBX88のようなcDNAクローンの配列決定によって得られ、このクローンは、1997年3月7日にアメリカンタイプカルチャーコレクション、12301 Park Lawn Drive, Rockille, Maryland 20852に寄託され、そして受託番号97920が与えられた。寄託されたクローンは、pSport 1プラスミド(Life Technologies, Gaithersburg, MD)に含まれる。
【0023】
核酸分子
他に示されない限り、本明細書中でDNA分子を配列決定することによって決定されたすべてのヌクレオチド配列は、自動化DNA配列決定機(例えば、Applied Biosystems, Inc.のModel 373)を用いて決定され、そして本明細書中で決定されたDNA分子によってコードされるポリペプチドのすべてのアミノ酸配列は、上記のように決定されるDNA配列の翻訳によって推定された。従って、この自動化アプローチによって決定された任意のDNA配列について当該分野において公知のように、本明細書中で決定される任意のヌクレオチド配列はいくつかの誤りを含み得る。自動化によって決定されるヌクレオチド配列は、配列決定されるDNA分子の実際のヌクレオチド配列に対して、代表的には少なくとも約90%同一、より代表的には少なくとも約95%〜少なくとも約99.9%同一である。実際の配列は、当該分野において周知の手動DNA配列決定方法を含む他のアプローチによってさらに正確に決定され得る。当該分野においてまた公知のように、実際の配列と比較して、決定されたヌクレオチド配列における単一の挿入または欠失は、ヌクレオチド配列の翻訳においてフレームシフトを引き起こし、その結果、決定されたヌクレオチド配列によってコードされる推定アミノ酸配列は、配列決定されたDNA分子によって実際にコードされるアミノ酸配列(このような挿入または欠失の点にて始まる)とは完全に異なる。
【0024】
本明細書中で提供される情報(例えば、配列番号1に示される核酸配列)を使用して、DR5ポリペプチドをコードする本発明の核酸分子は、出発物質としてmRNAを使用してcDNAをクローニングするための手順のような、標準的なクローニングおよびスクリーニング手順を使用して得られ得る。本発明の例示となる、本発明の核酸分子は、以下のヒト組織のcDNAライブラリーで同定された:一次樹状細胞、内皮組織、脾臓、慢性リンパ性白血病、およびヒト胸腺間質細胞。
【0025】
配列番号1のDR5 cDNAの決定されたヌクレオチド配列は、約411アミノ酸残基のタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含み、その開始コドンは、約51アミノ酸残基のリーダー配列を有する、図1(配列番号1)に示されるヌクレオチド配列の130〜132位にある。公知のTNFレセプターファミリーのメンバーの、本発明のDR5ポリペプチドは、複数のシステインリッチドメインにわたって有意な配列相同性を含む、図2に示されるヒトTNFR1、FAS、およびDR3ポリペプチドと高度な相同性を共有する。DR5が、他の死ドメイン含有レセプターに対して示す相同性は、DR5もまたアポトーシスを誘導する能力を有する死ドメイン含有レセプターであることを強く示す。DR5はまた現在、TRAILに結合することが示されている。
【0026】
示されるように、本発明はまた、本発明のDR5タンパク質の成熟形態を提供する。シグナル仮説によれば、哺乳動物細胞によって分泌されるタンパク質は、一旦粗面小胞体を横切って成長するタンパク質鎖の搬出が開始されると成熟タンパク質から切断される、シグナルまたは分泌リーダー配列を有する。大部分の哺乳動物細胞および昆虫細胞でさえも、分泌タンパク質を同じ特異性で切断する。しかし、いくつかの場合では、分泌タンパク質の切断は完全に単一ではなく、タンパク質において2種類以上の成熟種を生じる。さらに、分泌タンパク質の切断特異性は、究極的には完全タンパク質の一次構造によって決定され、すなわち、それはポリペプチドのアミノ酸配列に固有なものであることが長い間知られていた。
【0027】
それゆえに、本発明は、ATCC受託番号97920として同定される宿主中に含まれるcDNAクローンによってコードされ、そして図1(配列番号2)に示されるようなアミノ酸配列を有する、成熟DR5ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を提供する。ATCC受託番号97920として同定される宿主に含まれるcDNAクローンによってコードされるアミノ酸配列を有する成熟DR5タンパク質によって、寄託された宿主中のベクターに含まれるクローンのヒトDNA配列によってコードされる完全オープンリーディングフレームの、哺乳動物細胞(例えば、以下に記載するようなCOS細胞)中での発現によって産生されるDR5タンパク質の成熟形態が意味される。以下に示すように、ATCC受託番号97920に含まれるcDNAクローンによってコードされるアミノ酸配列を有する成熟DR5は、コンピュータ分析に基づく予測された切断部位の正確さに依存して、配列番号2に示された予測された「成熟」DR5タンパク質(アミノ酸約1〜約360)と異なり得るか、または異ならなくてもよい。
【0028】
タンパク質が分泌リーダーおよびリーダー配列の切断点を有するかどうかを予測する方法は、利用可能である。例えば、McGeoch(Virus Res. 3:271−286 (1985))およびvon Heinje(Nucleic Acids Res. 14:4683−4690 (1986))の方法が使用され得る。これらの方法の各々の公知の哺乳動物分泌タンパク質の切断点の予測の正確さは、75〜80%の範囲内にある。von Heinje, 前出。しかし、2つの方法は、所定のタンパク質に対して常に同じ予測された切断点を産生するわけではない。
【0029】
今回の場合、本発明の完全DR5ポリペプチドの予測アミノ酸配列は、コンピュータープログラム(「PSORT」)によって分析された。K.NakaiおよびM.Kanehisa, Genomics 14:897−911 (1992) を参照のこと。PSORTは、アミノ酸配列に基づいてタンパク質の細胞内位置を予測するための熟達したシステムである。この位置付けのコンピューター予測の一部として、McGeochおよびvon Heinjeの方法が取り入れられる。PSORTプログラムによる分析は、図1におけるアミノ酸51と52の間(配列番号2の−1と1の間)の切断部位を予測した。その後、完全アミノ酸配列を目視検査によってさらに分析し、von Heinjeの(−1,−3)規則の単純形態を適用した。von Heinje、前出。従って、DR5タンパク質のリーダー配列は、図1の下線を付したアミノ酸残基約1〜約51(配列番号2の約−51〜約1に対応する)からなると予測され、一方予測された成熟DR5タンパク質は、図1の残基約52〜約411(配列番号2の約1〜約360に対応する)からなる。
【0030】
示されるように、本発明の核酸分子は、RNA(例えば、mRNA)の形態、またはDNA(例えば、クローニングによって得られるか、または合成的に生成されるcDNAおよびゲノムDNAを含む)の形態で存在し得る。DNAは、二本鎖または一本鎖であり得る。一本鎖DNAは、コード鎖(センス鎖としても知られる)であり得るか、または非コード鎖(アンチセンス鎖とも呼ばれる)であり得る。
【0031】
「単離された」核酸分子によって、ネイティブな環境から取り出された核酸分子(DNAまたはRNA)が意図される。例えば、ベクター中に含まれる組換えDNA分子は、本発明の目的のために単離されると考えられる。単離されたDNA分子のさらなる例は、異種宿主細胞において維持される組換えDNA分子、または溶液中の(部分的または実質的に)精製されたDNA分子を含む。単離されたRNA分子は、本発明のDNA分子のインビボまたはインビトロでのRNA転写物を含む。本発明に従う単離された核酸分子は、合成的に生成されたこのような核酸分子をさらに含む。
【0032】
本発明の単離された核酸分子は、配列番号1に示されるオープンリーディングフレーム(ORF)を含むDR5 DNA分子;成熟DR5タンパク質のコード配列を含むDNA分子;および上記のDNA分子とは実質的に異なる配列を含むが、遺伝コードの縮重に起因して、なおDR5タンパク質をコードするDNA分子を含む。当然ながら、遺伝コードは当業者には公知である。従って、当業者にとっては、このような縮重改変体を生成することは日常的である。
【0033】
別の局面において、本発明は、1997年3月7日にATCC受託番号97920として寄託されたプラスミド中に含まれるcDNAクローンによってコードされるアミノ酸配列を有するDR5ポリペプチドをコードする、単離された核酸分子を提供する。さらなる実施態様において、成熟DR5ポリペプチドまたはN末端メチオニンを欠く完全長DR5ポリペプチドをコードする核酸分子が提供される。本発明はさらに、配列番号1に示されるヌクレオチド配列、または上記の寄託されたクローンに含まれるDR5 cDNAのヌクレオチド配列、あるいは上記の配列の1つに相補的な配列を有する核酸分子を有する単離された核酸分子を提供する。このような単離された分子、特にDNA分子は、染色体を用いるインサイチュハイブリダイゼーションによる遺伝子マッピングのためのプローブ、および例えばノーザンブロット分析によってヒト組織中のDR5遺伝子の発現を検出するためのプローブとして有用である。
【0034】
本発明はさらに、本明細書中に記載される単離された核酸分子のフラグメントに関する。寄託されたcDNAのヌクレオチド配列、配列番号1に示されるヌクレオチド配列、またはそれらに相補的な鎖を有する単離されたDNA分子のフラグメントによって、少なくとも約15nt、そしてより好ましくは少なくとも20nt、なおより好ましくは少なくとも30nt、そしてさらにより好ましくは、少なくとも約40、50、100、150、200、250、300、400、または500nt長のDNAフラグメントが意図される。これらのフラグメントは、本明細書で議論するような、診断用プローブおよびプライマーを含むがこれらには限定されない多くの使用法を有する。もちろん、より大きいDNAフラグメント(500〜1500nt長)もまた、本発明に従って、寄託されたcDNAのヌクレオチド配列または配列番号1に示される配列の、全てではないとしても大部分に対応するフラグメントのように有用である。例えば、少なくとも20nt長のフラグメントによって、寄託されたDNAのヌクレオチド配列または配列番号1に示されるヌクレオチド配列からの、20以上の連続する塩基を含むフラグメントが意図される。
【0035】
本発明の好ましい核酸フラグメントは以下をコードする核酸分子を含むが、これらに限定されない:DR5細胞外ドメインを含むポリペプチド(図1のアミノ酸残基約52〜約184(配列番号2の約1から約133));DR5膜貫通ドメインを含むポリペプチド(図1のアミノ酸残基約185〜約208(配列番号2の約134〜約157));DR5細胞内ドメインを含むポリペプチド(図1のアミノ酸残基約209〜約411(配列番号2の約158〜約360));およびDR5死ドメインを含むポリペプチド(図1のアミノ酸残基約324〜約391(配列番号2の約273〜約340))。これらのドメインの位置はコンピューターグラフィックスによって予測されているので、当業者は、これらのドメインを構成するアミノ酸残基が、各々のドメインを定義するために使用される基準に依存して、わずかに変化し得る(例えば、約1〜15残基)ことを理解する。
【0036】
本発明の好ましい核酸フラグメントは、アミノ末端メチオニンをコードするヌクレオチド(配列番号1のヌクレオチド130〜132)を欠く、完全長DR5ポリペプチドをコードする。なぜならそのメチオニンは天然に切断され、そしてこのような配列は、おそらく遺伝的に操作するDR5発現ベクターにおいて有用であることが知られるからである。このようなポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドはまた、本発明によって意図される。
【0037】
本発明の好ましい核酸フラグメントは、さらに、DR5タンパク質のエピトープ保有部分をコードする核酸分子を含む。特に、本発明のこのような核酸フラグメントは、以下をコードする核酸分子を含むが、これらに限定されない:図1のアミノ酸残基約62〜約110(配列番号2の約11〜約59)を含むポリペプチド;図1のアミノ酸残基約119〜約164(配列番号2の約68〜約113)を含むポリペプチド;図1のアミノ酸残基約224〜約271(配列番号2の約173〜約220)を含むポリペプチド;および図1のアミノ酸残基約275〜約370(配列番号2の約224〜約319)を含むポリペプチド。本発明者らは、上記のポリペプチドフラグメントがDR5タンパク質の抗原領域であることを決定した。DR5タンパク質の、他のこのようなエピトープ保有部分を決定する方法は、下記で詳細に記載される。
【0038】
さらに、本発明は、以下の関連するcDNAクローン:HAPBU13R(配列番号6)、およびHSBBU76R(配列番号7)から決定された、配列番号1の広い部分に関連するヌクレオチド配列を有する核酸分子を提供する。HAPBU13RおよびHSBBU76Rのヌクレオチド配列は、図4に示される。
【0039】
さらに、本発明は、配列番号1の残基284〜1,362、好ましくは284〜681の少なくとも約30ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約50ヌクレオチドの任意の部分を含むポリヌクレオチドを含む。
【0040】
別の局面において、本発明は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、上記の本発明の核酸分子、例えばATCC受託番号97920に含まれるcDNAクローン中のポリヌクレオチドの一部にハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む、単離された核酸分子を提供する。「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」によって、42℃で、以下:50%ホルムアミド、5×SCC(150 mM NaCl、15 mM クエン酸三ナトリウム)、50 mM リン酸ナトリウム(pH 7.6)、5×デンハルト溶液、10% 硫酸デキストラン、および20 g/ml変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中での一晩のインキュベーションを行い、その後約65℃で0.1×SSC中でフィルターを洗浄することが意図される。
【0041】
ポリヌクレオチドの「部分」にハイブリダイズするポリヌクレオチドによって、少なくとも約15ヌクレオチド(nt)、そしてより好ましくは少なくとも約20nt、なおより好ましくは少なくとも約30nt、そしてさらになおより好ましくは少なくとも約30〜70または80〜150nt、あるいは全長の参照ポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチド(DNAまたはRNAのいずれか)が意図される。これらは、上記でそして下記でより詳細に議論されるように、診断用プローブおよびプライマーとして有用である。
【0042】
「少なくとも20nt長」のポリヌクレオチドの部分によって、例えば、参照ポリヌクレオチド(例えば、寄託されたcDNAまたは配列番号1に示されるようなヌクレオチド配列)のヌクレオチド配列からの20以上の連続するヌクレオチドが意図される。
【0043】
当然ながら、ポリA配列(例えば、図1(配列番号1)に示されるDR5 cDNAの3’末端ポリ(A)トラクト)またはT(もしくはU)残基の相補的ストレッチのみにハイブリダイズするポリヌクレオチドは、本発明の核酸の部分にハイブリダイズするために使用される本発明のポリヌクレオチドには含まれない。なぜなら、このようなポリヌクレオチドは、ポリ(A)ストレッチまたはその相補物(例えば、特に任意の二本鎖cDNAクローン)を含む任意の核酸分子にハイブリダイズするからである。
【0044】
示されるように、DR5ポリペプチドをコードする本発明の核酸分子は、以下:それ自体成熟ポリペプチドをコードする配列;成熟ポリペプチドのコード配列および付加的配列(例えば、プレタンパク質配列またはプロタンパク質配列またはプレプロタンパク質配列のようなリーダー配列あるいは分泌配列をコードする配列);上記の付加的コード配列を含むかまたは含まない、成熟ポリペプチドのコード配列を、さらなる非コード配列(例えば、イントロンならびに非コード5’および3’配列(例えば、スプライシングシグナルおよびポリアデニル化シグナルを含む、転写、mRNAプロセシングにおいて役割(例えば、リボソーム結合およびmRNAの安定性)を担う転写される非翻訳配列)を含むがこれらに限定されない);さらなる機能性を提供するようなさらなるアミノ酸をコードするさらなるコード配列とともに含み得るがこれらに限定されない。従って、例えば、ポリペプチドは、マーカー配列(例えば、融合されたポリペプチドの精製を容易にするペプチド)に融合され得る。本発明のこの局面の特定の好ましい実施態様において、マーカー配列は、とりわけ、ヘキサヒスチジンペプチド(例えば、pQEベクター(Qiagen, Inc.)において提供されるタグ)であり、それらの多くは市販されている。例えば、Gentzら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 821−824 (1989)に記載されるように、ヘキサヒスチジンは、融合タンパク質の簡便な精製を提供する。「HA」タグは、インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質由来のエピトープに対応する精製のために有用な別のペプチドであり、これは、Wilsonら、Cell 37: 767−778 (1984)により記載されている。以下に議論するように、他のこのような融合タンパク質は、NまたはC末端にてFcに融合されるDR5レセプターを含む。
【0045】
本発明はさらに、DR5レセプターの一部分、アナログ、または誘導体をコードする、本発明の核酸分子の改変体に関する。改変体は、天然の対立遺伝子改変体のように、天然に存在し得る。「対立遺伝子改変体」によって、生物の染色体上の所定の遺伝子座を占める遺伝子のいくつかの代わりの形態の1つが意図される。Genes II, Lewin, B.編、John Wiley&Sons, New York (1985)。天然に存在しない改変体は、当該分野で公知の変異誘発技術を用いて生成され得る。
【0046】
このような改変体には、ヌクレオチドの置換、欠失、または付加により産生される改変体が含まれる。この置換、欠失、または付加には1つ以上のヌクレオチドが含まれ得る。改変体は、コード領域、非コード領域、または両方において変化し得る。コード領域における変化は、保存的または非保存的アミノ酸置換、欠失、または付加を生じ得る。これらの間で特に好ましいのは、サイレントな置換、付加、および欠失であり、これらはDR5レセプター、またはそれらの一部の特性および活性を変化させない。この点に関してまた特に好ましいのは、保存的置換である。
【0047】
本発明のさらなる実施態様は、(a)配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;(b)配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするが、アミノ末端メチオニンを欠いているヌクレオチド配列;(c)配列番号2の約1〜約360位のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;(d)ATCC受託番号97920に含まれるcDNAクローンによってコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;(e)ATCC受託番号97920に含まれるcDNAクローンによってコードされるアミノ酸配列を有する成熟DR5ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;(f)配列番号2の約1〜約133位のアミノ酸配列を有するDR5細胞外ドメイン、またはATCC受託番号97920に含まれるcDNAによってコードされるDR5細胞外ドメインをコードするヌクレオチド配列;(g)配列番号2の約134〜約157位のアミノ酸配列を有するDR5膜貫通ドメイン、またはATCC受託番号97920に含まれるcDNAクローンによってコードされるDR5膜貫通ドメインをコードするヌクレオチド配列;(h)配列番号2の約158〜約360位のアミノ酸配列を有するDR5細胞内ドメイン、またはATCC受託番号97920に含まれるcDNAによってコードされるDR5細胞内ドメインをコードするヌクレオチド配列;(i)配列番号2の約273〜約340位のアミノ酸配列を有するDR5死ドメイン、またはATCC受託番号97920に含まれるcDNAによってコードされるDR5死ドメインをコードするヌクレオチド配列;および(j)上記の(a)(b)(c)(d)(e)(f)(g)(h)または(i)のいずれかのヌクレオチド配列に相補的な配列に対して、少なくとも90%同一、およびより好ましくは少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である、単離された核酸分子を含む。
【0048】
DR5ポリペプチドをコードする参照ヌクレオチド配列に、例えば、少なくとも95%「同一な」ヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドによって、そのポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が、DR5ポリペプチドをコードする参照ヌクレオチド配列の各100ヌクレオチドあたり5つまでの点変異をポリヌクレオチド配列が含み得ることを除いて、参照配列に同一であることが意図される。言い換えれば、参照ヌクレオチド配列と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを得るために、参照配列における5%までのヌクレオチドが欠失され得るか、もしくは別のヌクレオチドで置換され得るか、または参照配列において全ヌクレオチドの5%までの多数のヌクレオチドが、参照配列中に挿入され得る。参照(照会)配列は、図1(配列番号1)に示される全体のDR5ヌクレオチド配列、または本明細書中に記載される任意のポリヌクレオチドフラグメントであり得る。
【0049】
実際問題として、任意の特定の核酸分子が、例えば、配列番号1に示されるヌクレオチド配列または寄託されたcDNAクローンのヌクレオチド配列に少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるかどうかは、Bestfitプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package, Version 8 for Unix(登録商標), Genetics Computer Group, University Research Park, 575 Science Drive, Madison, WI 53711)のような公知のコンピュータープログラムを用いて従来通りに決定され得る。Bestfitは、SmithおよびWaterman、Advances in Applied Mathematics 2:482−489 (1981)の局所的相同性アルゴリズムを用いて、2つの配列間の最も相同性の高いセグメントを見出す。Bestfitまたは任意の他の配列整列プログラムを使用して、特定の配列が、本発明による参照配列に、例えば95%同一であるか否かを決定する場合、パラメーターは、もちろん、同一性のパーセントが、参照ヌクレオチド配列の全長にわたって計算されるように、そして参照配列の総ヌクレオチド数の5%までの相同性におけるギャップが許容されるように、設定される。
【0050】
特定の実施態様において、参照(照会)配列(本発明の配列)と対象配列との間の同一性はまた、グローバル配列アラインメントともいい、Brutlagら(Comp. App. Biosci. 6:237−245 (1990))のアルゴリズムに基づくFASTDBコンピュータープログラムを使用して決定される。同一性パーセントを計算するためのDNA配列のFASTDBアラインメントに使用される好ましいパラメーターは以下である:マトリックス=単一、k−tuple=4、ミスマッチペナルティー=1、結合ペナルティー=30、ランダム化グループ長=0、カットオフスコア=1、ギャップペナルティー=5、ギャプサイズペナルティー=0.05、ウィンドウサイズ=500、または対象核酸配列の長さのうち、どちらか短い方。この実施態様に従って、内部の欠損ではなく、5’または3’欠損のために、対象配列が照会配列よりも短い場合には、同一性パーセントを計算する場合に、FASTDBプログラムが対象配列の5’および3’欠損を考慮しないという事実を考慮した結果に対して、手作業の補正がなされる。5’または3’末端で欠損されている対象配列にとっては、照会配列と比較して、同一性パーセントは、照会配列の全塩基のパーセントとして、一致しない/アラインしない対象配列の5’および3’である照会配列の塩基の数を計算することによって補正される。ヌクレオチドが一致する/アラインするかどうかの決定は、FASTDB配列アラインメントの結果によって決定される。次いでこのパーセントは、パーセント同一性から減ぜられ、特定のパラメーターを使用して上記のFASTDBプログラムによって計算され、最終的なパーセント同一性スコアに到達する。この訂正されたスコアは、本実施態様の目的に使用されるものである。対象配列の5’および3’塩基の外側の塩基のみが、照会配列と一致しない/アラインしないFASTDBアラインメントによって示されるように、パーセント同一性スコアを手作業で調整する目的のために計算される。例えば、90塩基対象配列が、パーセント同一性を決定するために100塩基照会配列にアラインされる。対象配列の5’末端に欠損が生じており、それゆえにFASTDBアラインメントは5’末端の最初の10塩基の一致/アラインメントを示さない。10の不対塩基は、配列の10%を示し(5’および3’末端の塩基の番号は、照会配列の一致した塩基数/全塩基数ではない)、ゆえにFASTDBプログラムによって計算されるパーセント同一性スコアから10%が引かれる。残りの90塩基が完全に一致した場合、最終的なパーセント同一性は90%である。別の例において、90塩基対象配列は、100塩基照会配列と比較される。今回の欠損は内部の欠損であるので、照会配列に一致しない/アラインしない対象配列の5’または3’には塩基が存在しない。 この場合、FASTDBによって計算されたパーセント同一性は、手作業で補正されない。もう一度述べると、照会配列と一致しない/アラインしない対象配列の5’および3’の塩基のみが、手作業で補正される。他の手作業の補正は、本実施態様の目的のためにはなされない。
【0051】
本出願は、核酸分子が、DR5活性を有するポリペプチドをコードするか否かに関係なく、配列番号1に示される核酸配列、その寄託されたcDNAの核酸配列、またはそれらのフラグメントに対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である核酸分子に関する。これは、特定の核酸分子がDR5活性を有するポリペプチドをコードしない場合でさえ、当業者は、核酸分子をどのように使用するか(例えば、ハイブリダイゼーションプローブ、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のプライマーとして)をなお知るからである。DR5活性を有するポリペプチドをコードしない、本発明の核酸分子の使用としては、とりわけ(1)cDNAライブラリーにおけるDR5遺伝子またはその対立遺伝子改変体を単離すること;(2)Vermaら、Human Chromosomes: A Manual of Basic Techniques, Pergamon Press, New York (1988) によりに記載されるような、DR5遺伝子の正確な染色体位置を提供するための分裂中期染色体展開物に対するインサイチュハイブリダイゼーション(例えば、「FISH」);および(3)特定の組織におけるDR5 mRNA発現を検出するためのノーザンブロット分析、が挙げられる。
【0052】
しかし、配列番号1に示される核酸配列、寄託されたcDNAの核酸配列、またはそれらのフラグメントに対して、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を有し、実際、DR5タンパク質活性を有するポリペプチドをコードする、核酸分子が好ましい。「DR5活性を有するポリペプチド」により、特定の生物学的アッセイにおいて測定される場合に、本発明のDR5タンパク質(全長タンパク質、または好ましくは成熟タンパク質のいずれか)の活性に、必ずしも同一である必要はないが、類似の活性を示すポリペプチドが意図される。例えば、DR5タンパク質活性は、本質的には、以前に記載された通り(A.M. Chinnaiyanら、Cell 81: 505−12 (1995); M.P. Boldinら、J. Biol. Chem. 270:7795−8(1995); F.C. Kischkelら、EMBO 14:5579−5588(1995); A.M. Chinnaiyanら、J. Biol. Chem. 271: 4961−4965(1996))および以下の実施例5に示される通りに行われる細胞死アッセイを用いて測定され得る。MCF7細胞において、全長DR5、または候補死ドメインを含むレセプターをコードするプラスミドが、緑色蛍光タンパク質をコードするpLanternレポーター構築物を用いて同時トランスフェクトされる。DR5でトランスフェクトされた細胞の核は、DAPI染色により評価される場合、アポトーシス形態を示す。TNFR−1およびFas/APO−1と同様に(M.Muzioら、Cell 85:817−827(1996); M.P. Boldinら、Cell 85: 803−815(1996); M. Tewariら、J. Biol. Chem. 270: 3255−60(1995))、DR5誘導性アポトーシスは、ICE様プロテアーゼのインヒビター(CrmAおよびz−VAD−fmk)により、好ましくはブロックされる。
【0053】
もちろん、遺伝コードの縮重に起因して、当業者は、寄託されたcDNAの核酸配列、配列番号1に示される核酸配列、またはそれらのフラグメントに対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を有する多数の核酸分子が、「DR5タンパク質活性を有する」ポリペプドをコードすることをすぐに認識する。実際、これらのヌクレオチド配列の縮重改変体は全て、多くの場合、同じポリペプチドをコードするので、このことは、上記の比較アッセイを行わずとも当業者には明らかである。縮重改変体ではないような核酸分子については、理にかなった数のものがまた、DR5タンパク質活性を有するポリペプチドをコードすることが、当該分野でさらに認識される。このことは、当業者が、アミノ酸の置換(例えば、1つの脂肪族アミノ酸の、第二の脂肪族アミノ酸への置換)はタンパク質の機能に有意な影響を与える可能性が低いか、または可能性がないかのいずれかであることを完全に知っているからである。
【0054】
例えば、表現型的にサイレントなアミノ酸置換を行う方法に関するガイダンスが、Bowie,J.U.らの「Deciphering the Message in Protein Sequences: Tolerance to Amino Acid Substitutions」,Science 247:1306−1310(1990)において提供されている。ここで、著者らは、タンパク質が、アミノ酸置換に対して驚くべきほど寛容であることを示している。
【0055】
ポリヌクレオチドアッセイ
本発明はまた、相補的なポリヌクレオチドを検出するためのDR5ポリヌクレオチドの、例えば、診断試薬としての使用に関する。機能不全に関連する変異形態のDR5の検出は、例えば、腫瘍または自己免疫疾患のような、DR5またはその可溶性形態の過小発現(underexpression)、過剰発現、または変化された発現を生じる疾患、またはその疾患に対する感受性の診断を加え得るか、または定義し得る診断ツールを提供する。
【0056】
DR5遺伝子に変異を有する個体は、種々の技術により、DNAレベルにおいて検出され得る。診断のための核酸は、患者の細胞(例えば、血液由来)、尿、唾液、組織生検、および剖検材料から得られ得る。ゲノムDNAは、検出のために直接的に使用され得るか、または分析の前にPCRを用いることにより、酵素的に増幅され得る(Saikiら、Nature 324:163−166(1986))。RNAまたはcDNAはまた、同様の方法で使用され得る。例として、DR5をコードする核酸に対して相補的なPCRプライマーが、DR5の発現および変異を、同定および分析するために使用され得る。例えば、欠失および挿入が、正常の遺伝子型との比較した増幅産物のサイズの変化により検出され得る。点変異は、放射標識されたDR5 RNAか、あるいは放射標識されたDR5アンチセンスDNA配列に対して、増幅されたDNAをハイブリダイズすることにより同定され得る。完全にマッチした配列が、RNaseA消化により、または融解温度の差によりミスマッチ二重鎖から区別され得る。
【0057】
参照遺伝子と変異を有する遺伝子との間の配列の相違がまた、直接的なDNA配列決定により示され得る。さらに、クローンDNAセグメントは、特異的DNAセグメントを検出するためのプローブとして用いられ得る。このような方法の感度は、適切なPCRの使用、または別の増幅方法により非常に増強され得る。例えば、配列決定プライマーは、二本鎖PCR産物、または改変されたPCRにより生成される一本鎖テンプレート分子が使用される。配列決定は、放射標識されたヌクレオチドを用いる従来の手順により、または蛍光タグを用いる自動配列決定手順により行われる。
【0058】
DNA配列の差異に基づく遺伝子試験は、変性剤を含むかまたは含まないゲル上でのDNAフラグメントの電気泳動移動度における変化の検出により達成され得る。小配列の欠失および挿入は、高分解能のゲル電気泳動により可視化され得る。異なる配列のDNAフラグメントは、変性ホルムアミドグラジエントゲル上で識別され得、ここで異なるDNAフラグメントの移動度は、それらの特異的な融解温度または部分融解温度(partial melting temperature)に従って、ゲルの異なる位置に遅延する(例えば、Myersら、Science 230:1242(1985)を参照のこと)。
【0059】
特定の位置での配列変化はまた、ヌクレアーゼプロテクションアッセイ(例えば、RNaseおよびSl保護)または化学切断法により示され得る(例えば、Cottonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:4397−4401(1985))。
【0060】
従って、特異的DNA配列の検出は、以下を含むがこれらに限定されない方法により達成され得る:ハイブリダイゼーション、RNaseプロテクション、化学切断、直接的なDNAの配列決定、または制限酵素の使用(例えば、ゲノムDNAの制限断片長多型(「RFLP」)およびサザンブロッティング)。
【0061】
より慣習的なゲル電気泳動およびDNAの配列決定に加えて、変異はまた、インサイチュ分析により検出され得る。
【0062】
ベクターおよび宿主細胞
本発明はまた、本発明のDNA分子を含むベクター、本発明のベクターを用いて遺伝子操作された宿主細胞、および組換え技術による本発明のポリペプチドの産生に関する。
【0063】
宿主細胞は、本発明の核酸分子を取り込みそして本発明のポリペプチドを発現するように遺伝子操作され得る。ポリヌクレオチドは単独で、または他のポリヌクレオチドとともに導入され得る。そのような他のポリヌクレオチドは独立して導入され得るか、同時導入され得るか、または本発明のポリヌクレオチドと連結して導入され得る。
【0064】
本発明のこの局面に従って、ベクターは例えば、プラスミドベクター、一本鎖または二本鎖ファージベクター、一本鎖または二本鎖のRNAウイルスベクターまたはDNAウイルスベクターであり得る。このようなベクターは、DNAおよびRNAを細胞へ導入するための周知の技術により、ポリヌクレオチド(好ましくは、DNA)として細胞に導入され得る。ウイルスベクターは複製コンピテントまたは複製欠損であり得る。後者の場合、ウイルスの増殖は一般的に、相補性宿主細胞においてのみ、生じる。
【0065】
特定の局面において、ベクターの中で好ましいのは、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの発現のためのベクターである。一般的に、このようなベクターは、発現されるポリヌクレオチドに作動可能に連結され、宿主における発現に対して効果的である、シス作用性調節領域を含む。適切なトランス作用性因子は、宿主により供給されるか、相補性ベクターにより供給されるか、または宿主に導入される際のベクター自身により供給されるかのいずれかである。
【0066】
非常に種々の発現ベクターが、本発明のポリペプチドを発現するために使用され得る。このようなベクターは、染色体性ベクター、エピソーム性ベクター、およびウイルス由来のベクターを含み、これらには、例えば、細菌プラスミド由来のベクター、バクテリオファージ由来のベクター、酵母エピソーム由来のベクター、酵母染色体エレメント由来のベクター、バキュロウイルス、SV40のようなパポバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、ニワトリポックスウイルス、仮性狂犬病ウイルスおよびレトロウイルスのようなウイルス由来のベクター、ならびにそれらの組み合わせに由来するベクター(例えば、コスミドおよびファージミドのような、プラスミドおよびバクテリオファージの遺伝エレメント由来のベクター)が挙げられ、これらの全てが本発明のこの局面に従って、発現のために使用され得る。一般的に、ポリペプチドを発現するためのポリヌクレオチドを、宿主中で維持、増殖、または発現するのに適切な任意のベクターは、この点に関して、発現のために使用され得る。
【0067】
発現ベクターにおけるDNA配列は、適切な発現調節配列に作動可能に連結されおり、発現調節配列としては、例えば、mRNA転写を指向するプロモーターが挙げられる。このようなプロモーターの代表的としては、ファージλPLプロモーター、E.coli lacプロモーター、trpプロモーター、およびtacプロモーター、SV40初期プロモーターおよびSV40後期プロモーター、ならびにレトロウイルスLTRのプロモーターが挙げられる(周知のプロモーターのほんのいくつかを列挙したにすぎない)。一般的に、発現構築物は、転写(開始および終結)のための部位、そして転写された領域においては翻訳のためのリボソーム結合部位を含む。構築物により発現される成熟転写物のコード部分は、翻訳されるポリペプチドの始まりに翻訳開始AUGを含み、そして終わりに適切に配置される終結コドン(UAA、UGAまたはUAG)を含む。
【0068】
さらに、構築物は、発現を調節ならびに生じさせる調節領域を含み得る。一般的に、このような領域は、とりわけ、リプレッサー結合部位およびエンハンサーのように、転写制御により作動する。
【0069】
増殖および発現のためのベクターは一般的に、選択マーカーを含む。このようなマーカーはまた、増幅のために適切であり得るか、またはそのベクターはこの目的のためにさらなるマーカーを含み得る。この点に関して、発現ベクターは、好ましくは、形質転換された宿主細胞の選択のための表現型形質を提供する1つ以上の選択マーカー遺伝子を含む。このようなマーカーとしては、真核生物細胞の培養についてはジヒドロ葉酸レダクターゼ、ネオマイシン耐性、ならびにE.coliおよび他の細菌の培養については、テトラサイクリンもしくはアンピシリン耐性遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
本明細書中の他の箇所に記載したような適切なDNA配列を含むベクター、ならびに適切なプロモーター、および他の適切な調節配列は、所望のポリペプチドを宿主中に発現するのに適切な種々の周知の技術を使用して、適切な宿主に導入され得る。適切な宿主の代表的な例としては、細菌細胞(例えば、E.coli細胞、Streptomyces細胞、およびSalmonella typhimurium細胞);真菌細胞(例えば、酵母細胞);昆虫細胞(例えば、Drosophila S2細胞およびSpodoptera Sf9細胞);動物細胞(例えば、CHO細胞、COS細胞、およびBowes黒色腫細胞);ならびに植物細胞が挙げられる。上記の宿主細胞のための適切な培養培地および条件は当該分野で公知である。
【0071】
細菌における使用に好ましいベクターの中には、pQE70、pQE60、およびpQE−9(Qiagen から入手可能);pBSベクター、Phagescriptベクター、Bluescriptベクター、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A(Stratageneから入手可能);ならびにptrc99a、pKK223−3、pKK233−3、pDR540、pRIT5(Pharmaciaから入手可能)がある。好ましい真核生物ベクターの中には、pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1、およびpSG(Stratageneから入手可能);ならびにpSVK3、pBPV、pMSG、およびpSVL(Pharmaciaから入手可能)がある。これらのベクターは、単に、多くの市販のベクターおよび当業者が入手可能な周知のベクターの例示のために単に列挙されただけである。
【0072】
宿主細胞における発現のための適切なベクターおよびプロモーターの選択は、周知の手順であり、そして発現ベクターの構築、宿主へのベクターの導入および宿主における発現に必須な技術は、当該分野で日常的な技術である。
【0073】
本発明はまた、上記に議論した上記の構築物を含む宿主細胞にも関する。宿主細胞は、高等真核生物細胞(例えば、哺乳動物細胞)もしくは下等真核生物細胞(例えば、酵母細胞)であり得るか、または宿主細胞は、細菌細胞のような原核生物細胞であり得る。挿入された遺伝子配列の発現を調節するか、または所望される特異的な様式で遺伝子産物を修飾およびプロセシングする、宿主株が選択され得る。特定のプロモーターからの発現は、特定のインデューサーの存在下で上昇し得;従って、遺伝子操作されたポリペプチドの発現は制御され得る。さらに、異なる宿主細胞は、タンパク質の翻訳および翻訳後プロセシングおよび修飾(例えば、リン酸化、切断)についての特徴および特異的な機構を有する。適切な細胞株が、発現される外来タンパク質(foeign protein)の所望の修飾およびプロセシングを保証するために選択され得る。
【0074】
宿主細胞への構築物の導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、感染または他の方法によってもたらされ得る。このような方法は、多くの標準的実験室マニュアルに記載されている(例えば、Davisら、Basic Methods in Molecular Biology(1986))。
【0075】
ポリペプチドは、融合タンパク質((異なるタンパク質の)異種タンパク質配列へのペプチド結合を介して連結されたポリペプチドを含む)のような改変された形態で発現され得、そして分泌シグナルだけでなく、さらなる異種の機能的領域も含み得る。このような融合タンパク質は、適切なリーディングフレームにおいて、当該分野で公知の方法により、本発明のポリヌクレオチドと所望のアミノ酸配列をコードする所望の核酸配列とをお互いに連結することにより、そして当該分野で公知の方法により融合タンパク質産物を発現することによって作製され得る。あるいは、このような融合タンパク質は、タンパク質合成技術により(例えば、ペプチド合成機の使用により)作製され得る。従って、例えば、さらなるアミノ酸(特に、荷電したアミノ酸)の領域が、宿主細胞における、精製の間の、またはこれに続く取り扱いおよび保存の間の、安定性および持続性を改善するために、ポリペプチドのN末端に付加され得る。さらに、領域がまた、精製を容易にするためにポリペプチドへ付加され得る。そのような領域は、ポリペプチドの最終調製の前に除去され得る。とりわけ、分泌または排出を生じるため、安定性を改善するため、および精製を容易にするためのポリペプチドへのペプチド部分の付加は、当該分野で周知であり、そして日常的な技術である。好ましい融合タンパク質は、タンパク質の可溶化に有用な免疫グロブリン由来の異種領域を含む。例えば、EP−A−0 464 533(カナダ国対応出願第2045869号)は、別のヒトタンパク質またはその一部とともに、免疫グロブリン分子の定常領域の種々の部分を含む融合タンパク質を開示する。多くの場合、融合タンパク質中のFc部分は、治療および診断における使用に十分に有利であり、従って、例えば改善された薬物動態学的特性を生じる(EP−A 0232 262)。一方、いくつかの使用について、融合タンパク質が、記載される有利な様式で、発現され、検出され、そして精製された後に、Fc部分が欠失され得ることが望ましい。これは、Fc部分が、治療および診断における使用に対して障害となると判明する場合(例えば、融合タンパク質が免疫のための抗原として使用されるべき場合)である。薬物の発見において、例えばhIL−5レセプターのようなヒトタンパク質は、hIL−5のアンタゴニストを同定するための高処理能力スクリーニングアッセイの目的でFc部分と融合されている。D.Bennettら、Journal of Molecular Recognition, 8:52−58(1995)、およびK.Johansonら、The Journal of Biological Chemistry 270:9459−9471(1995)を参照のこと。
【0076】
DR5ポリペプチドは、標準的な方法(硫酸アンモニウム沈澱またはエタノール沈澱、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、およびレクチンクロマトグラフィーを含むがこれらに限定されない)によって組換え細胞培養物から回収され、そして精製され得る。最も好ましくは、高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)が精製のために用いられる。ポリペプチドが、単離および/または精製の間に変性された場合、活性な立体配座を再生するために、タンパク質の再折りたたみについての周知の技術が用いられ得る。
【0077】
本発明のポリペプチドは以下を含む:天然から精製された産物、化学合成手順の産物、および原核生物宿主または真核生物宿主(例えば、細菌細胞、酵母細胞、高等植物細胞、昆虫細胞、および哺乳動物細胞を含む)から組換え技術によって産生された産物。組換え産生手順において用いられる宿主に依存して、本発明のポリペプチドは、グリコシル化されていても、またはグリコシル化されていなくてもよい。さらに、本発明のポリペプチドはまた、いくつかの場合、宿主媒介プロセスの結果として、改変された開始メチオニン残基を含み得る。
【0078】
DR5ポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、種々の適用(特にDR5の化学的特性および生物学的特性を利用する適用)のために本発明に従って使用され得る。これらの中には、腫瘍の処置、寄生生物、細菌、およびウイルスに対する抵抗性、T細胞、内皮細胞、および特定の造血細胞の増殖を誘導するため、再狭窄、対宿主性移植片病を処置するため、抗ウイルス応答を調節するため、およびアゴニストによるDR5の刺激後の特定の自己免疫疾患を予防するための適用がある。さらなる適用は、細胞、組織、および生物体の障害の診断および処置に関する。本発明のこれらの局面は、以下にさらに議論される。
【0079】
DR5ポリペプチドおよびフラグメント
本発明はさらに、寄託されたcDNAによってコードされるアミノ酸配列、もしくは配列番号2のアミノ酸配列を有する、単離されたDR5ポリペプチド、または上記ポリペプチドの一部を含むポリペプチドもしくはペプチドを提供する。
【0080】
DR5のいくつかのアミノ酸配列が、タンパク質の構造または機能に有意な影響を与えることなく、変更され得ることが当該分野において認識される。配列におけるこのような差異が意図される場合、タンパク質上に、活性を決定する重要な領域が存在することが覚えられておくべきである。このような領域は、通常はリガンド結合部位もしくは死ドメインを構成する残基、またはこれらのドメインに影響を与える三次構造を形成する残基を含む。
【0081】
従って、本発明は、実質的なDR5タンパク質活性を示すか、または以下に議論されるタンパク質の一部分のようなDR5の領域を含むDR5タンパク質のバリエーションをさらに含む。このような変異体は、欠失、挿入、逆位、反復、および型置換を含む。上記のように、どのアミノ酸の変化が表現型的にサイレントである可能性があるかに関するガイダンスは、Bowie,J.U.ら、Science 247:1306−1310(1990)において見出され得る。
【0082】
従って、配列番号2のポリペプチドのフラグメント、誘導体またはアナログ、あるいは寄託されたcDNAによりコードされるポリペプチドのフラグメント、誘導体またはアナログは、(i)少なくとも1つ以上のアミノ酸残基が保存アミノ酸残基もしくは非保存アミノ酸残基(好ましくは保存アミノ酸残基、そしてより好ましくは少なくとも1個であるが10個より少ない保存アミノ酸残基)で置換され、そしてこのような置換されたアミノ酸残基は、遺伝コードによりコードされるものであってもよいしそうでなくともよいもの、または(ii)1つ以上のアミノ酸残基が置換基を含むもの、または(iii)成熟ポリペプチドが、ポリペプチドの半減期を増加させるための化合物(例えば、ポリエチレングリコール)のような別の化合物と融合したもの、または(iv)さらなるアミノ酸が成熟ポリペプチド(例えば、IgG Fc融合領域ペプチド配列)、またはリーダー配列もしくは分泌配列、または成熟ポリペプチドもしくはプロタンパク質配列の精製に使用される配列と融合したものであり得る。このようなフラグメント、誘導体およびアナログは、本明細書の教示より当業者の範囲内であると考えられる。
【0083】
特に興味深いのは、荷電したアミノ酸の、別の荷電したアミノ酸、および中性のアミノ酸、または負に荷電したアミノ酸との置換である。後者は、正の電荷が減少したタンパク質を生じてDR5タンパク質の特徴を改善する。凝集の防止は非常に望ましい。タンパク質の凝集は活性を減少させるだけではなく、凝集体は免疫原性であり得ることから薬学的処方物を調製する場合にまた、問題であり得る(Pinckardら、Clin.Exp.Immunol.2:331−340(1967);Robbinsら、Diabetes 36:838−845(1987);Clelandら、Crit.Rev.Therapeutic Drug Carrier Systems 10:307−377(1993))。
【0084】
アミノ酸の置換はまた、細胞表面のレセプターに対する結合の選択性を変化させ得る。Ostadeら、Nature 361:266−268(1993)は、TNF−レセプターの2つの公知の型の1つのみに対するTNF−αの選択的な結合を生じる特定の変異を記載する。従って、本発明のDR5レセプターは、天然の変異または人工操作のいずれかに由来する1つ以上のアミノ酸の置換、欠失、または付加を含み得る。
【0085】
示されるように、タンパク質の折り畳みまたは活性に有意には影響を与えない保存的アミノ酸置換のような、重要でない性質の変化が好ましい(表1を参照のこと)。
【0086】
【表1】
【0087】
機能に必須である、本発明のDR5タンパク質におけるアミノ酸は、部位特異的変異誘発またはアラニン走査型変異誘発のような当該分野に公知の方法により同定され得る(CunninghamおよびWells、Science 244:1081−1085(1989))。後者の手順は、分子内の全ての残基に単一のアラニン変異を導入する。次いで、得られた変異分子は、レセプター結合(インビトロ)のような生物学的活性、またはインビトロ増殖活性について試験される。リガンド−レセプター結合に重要な部位はまた、結晶化、核磁気共鳴、または光親和性標識のような構造分析により決定され得る(Smithら、J.Mol.Biol. 224:899−904(1992)およびde Vosら、Science 255:306−312(1992))。
【0088】
本発明のポリペプチドは、好ましくは単離された形態で提供される。「単離されたポリペプチド」によって、そのネイティブな環境から取り出されたポリペプチドが意図される。従って、組換え宿主細胞内で産生されるおよび/または含まれるポリペプチドは、本発明の目的のために単離されていると考えられる。組換え宿主細胞から部分的または実質的に精製されたポリペプチドもまた、「単離されたポリペプチド」として意図される。例えば、組換え的に産生されたバージョンのDR5ポリペプチドは、SmithおよびJohnson、Gene 67:31−40(1988)に記載される一工程方法により実質的に精製され得る。
【0089】
本発明のポリペプチドはまた、リーダーを含む寄託されたcDNAによりコードされるポリペプチド;リーダーを含まない、寄託されたcDNAによりコードされる成熟ポリペプチド(すなわち、成熟タンパク質);配列番号2におけるアミノ酸約−51〜約360を含むポリペプチド;配列番号2におけるアミノ酸約−50〜約360を含むポリペプチド;配列番号2におけるアミノ酸約1〜約360を含むポリペプチド;細胞外ドメインを含むポリペプチド;膜貫通ドメインを含むポリペプチド;細胞内ドメインを含むポリペプチド;全てまたは一部の膜貫通ドメインが欠失している、細胞外ドメインおよび細胞内ドメインを含むポリペプチド;および死ドメインを含むポリペプチド;ならびに上記のポリペプチドに少なくとも80%同一、より好ましくは少なくとも90%または95%同一、なおさらに好ましくは少なくとも96%、97%、98%、または99%同一であるポリペプチドを含み、そしてまた少なくとも30アミノ酸を、そしてより好ましくは少なくとも50アミノ酸を有するこのようなポリペプチドの部分をも含む。
【0090】
DR5ポリペプチドの参照アミノ酸配列に少なくとも、例えば、95%「同一の」アミノ酸配列を有するポリペプチドにより、そのポリペプチド配列が、DR5ポリペプチドの参照アミノ酸の各100アミノ酸毎に5つまでのアミノ酸変化を含み得ることを除いて、そのポリペプチドのアミノ酸配列は参照配列と同一であることが意図される。言い換えれば、参照アミノ酸配列に対して少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るために、参照配列においてアミノ酸残基の5%までが、欠失されるかもしくは別のアミノ酸で置換され得、または参照配列における総アミノ酸残基の5%までの多数のアミノ酸が参照配列に挿入され得る。これらの参照配列の変化は、参照アミノ酸配列のアミノ末端位置もしくはカルボキシ末端位置で、または参照配列の残基間で個々に、もしくは参照配列内で1つ以上の連続した基中のいずれかに散在した、これらの末端位置の間のどこかで起こり得る。
【0091】
実際問題として、任意の特定のポリペプチドが、例えば、図1(配列番号2)に示されるアミノ酸配列、寄託されたcDNAクローンによりコードされるアミノ酸配列、またはそれらのフラグメントに対して、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるかどうかは、Bestfitプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package, Unix(登録商標)用バージョン8、Genetics Computer Group, University Research Park, 575 Science Drive, Madison, WI 53711)のような公知のコンピュータープログラムを使用して従来通りに決定され得る。特定の配列が、本発明による参照配列に、例えば、95%同一であるかどうかを決定するために、Bestfitまたは任意の他の配列アラインメントプログラムを使用する場合、当然のことながら、同一性の百分率が参照アミノ酸配列の全長にわたって計算され、そして参照配列内のアミノ酸残基の総数の5%までの相同性におけるギャップが許容されるようにパラメーターが設定される。
【0092】
特定の実施態様では、全体的な配列アラインメントとしても言及される、参照(問い合わせ)配列(本発明の配列)と対象配列との間の同一性は、Brutlagら(Comp. App. Biosci. 6:237−245(1990))のアルゴリズムに基くFASTDBコンピュータープログラムを用いて決定される。FASTDBアミノ酸アラインメントにおいて用いられる好ましいパラメーターは、以下の通りである:Matrix=PAM 0、k−tuple=2、Mismatch Penalty=1、Joining Penalty=20、Randomization Group Length=0、Cuttof Score=1、Window Size=配列の長さ、Gap Penalty=5、Gap Size Penalty=0.05、Window Size=500または対象アミノ酸配列の長さのうちで短い方。この実施態様によれば、対象配列が、内部欠失ではなく、N末端欠失またはC末端欠失に起因して問い合わせ配列よりも短い場合、FASTDBプログラムが、全体の同一性パーセントを計算する場合には、対象配列のN末端短縮化およびC末端短縮化を計上しないという事実を考慮して結果に対して手動の補正が行なわれる。問い合わせ配列に対してN末端およびC末端で短縮化された対象配列については、同一性パーセントは、対応する対象残基とマッチ/アラインメントしない対象配列のN末端およびC末端である問い合わせ配列の残基の数を、問い合わせ配列の全塩基のパーセントとして計算することにより補正される。残基がマッチ/アラインメントするか否かの決定は、FASTDB配列アラインメントの結果により決定される。次いで、この百分率が、特定されたパラメーターを用いて上記のFASTDBプログラムにより計算された同一性パーセントから引かれて、最終的な同一性スコアのパーセントに到達する。この最終的な同一性スコアのパーセントは、この実施態様の目的のために用いられるものである。問い合わせ配列とマッチ/アラインメントしない、対象配列のN末端およびC末端についての残基のみ、同一性スコアのパーセントを手動で調整する目的のために考慮される。すなわち、問い合わせ残基のみが、対象配列の最も遠いN末端およびC末端の残基の外側に位置する。例えば、90アミノ酸残基の対象配列は、100残基の問い合わせ配列とアラインメントされて、同一性パーセントが決定される。欠失は対象配列のN末端で生じ、それゆえ、FASTDBアラインメントは、N末端における最初の10残基については、マッチ/アラインメントを示さない。10個の対合していない残基は、10%の配列を表し(マッチしなかったN末端およびC末端における残基の数/問い合わせ配列における残基の総数)、従って、10%がFASTDBプログラムにより計算される同一性スコアのパーセントから引かれる。残りの90残基が完全にマッチしていた場合、最終的な同一性%は90%である。別の例では、90残基の対象配列は、100残基の問い合わせ配列と比較される。今度は、欠失が内部欠失である場合、従って問い合わせとマッチ/アラインメントしない対象配列の残基はN末端にもC末端にも存在しない場合である。この場合、FASTDBにより計算される同一性パーセントは、手動では補正されない。再度、FASTDBアラインメントにおいて提示されるように、問い合わせ配列とマッチ/アラインメントしない、対象配列のN末端およびC末端の外側に位置する残基のみが、手動で補正される。他の手動の補正は、この実施態様の目的では行なわれない。
【0093】
本発明のポリペプチドは、当業者に周知の方法を用いるSDS−PAGEゲルまたは分子ふるいゲル濾過カラムでの分子量マーカーとして用いられ得る。
【0094】
本発明者らは、DR5ポリペプチドが、3つの主な構造ドメインを示す、411残基のタンパク質であることを見出した。第1に、リガンド結合ドメインは、図1における残基約52〜約184内(配列番号2におけるアミノ酸残基約1〜約133)に同定された。第2に、膜貫通ドメインは、図1における残基約185〜約208内(配列番号2におけるアミノ酸残基約134〜約157)に同定された。第3に、細胞内ドメインは、図1における残基約209〜約411内(配列番号2におけるアミノ酸残基約158〜約360)に同定された。重要なことには、細胞内ドメインは、残基約324から約391(配列番号2におけるアミノ酸残基約273〜約340)に死ドメインを含む。図1に示されるさらに好ましいポリペプチドのフラグメントは、残基約52〜約411(配列番号2におけるアミノ酸残基約1〜約360)の成熟タンパク質、ならびに細胞外ドメインおよび細胞内ドメインの全てまたは一部を含むが膜貫通ドメインを欠く可溶性ポリペプチドを含む。
【0095】
本発明はさらに、リーダーを含む、寄託されたcDNAクローンによりコードされるDR5ポリペプチド、ならびに成熟タンパク質、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、細胞内ドメイン、死ドメイン、およびそれらの全ての組合せから選択されるDR5ポリペプチドフラグメントを提供する。
【0096】
別の局面において、本発明は、本明細書中に記載のポリペプチドのエピトープ保有部分を含む、ペプチドまたはポリペプチドを提供する。このポリペプチド部分のエピトープは、本発明のポリペプチドの免疫原性または抗原性のエピトープである。「免疫原性エピトープ」は、タンパク質全体が免疫原である場合、抗体応答を誘発するタンパク質の一部分として定義される。他方、抗体が結合し得るタンパク質分子の領域は、「抗原性エピトープ」として定義される。タンパク質の免疫原性エピトープの数は一般的に、抗原性エピトープの数よりも少ない。例えば、Geysenら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:3998−4002(1983)を参照のこと。
【0097】
抗原性エピトープを保有する(すなわち、抗体が結合し得るタンパク質分子の領域を含む)ペプチドまたはポリペプチドの選択に関して、タンパク質配列の一部を模倣する比較的短い合成ペプチドが、その部分的に模倣されたタンパク質と反応する抗血清を日常的に誘発し得ることが当該分野で周知である。例えば、Sutcliffe,J.G.,Shinnick,T.M.,Green,N.およびLearner,R.A.,「Antibodies That React With Predetermined Sites on Proteins」,Science 219:660−666(1983)を参照のこと。タンパク質反応性血清を誘発し得るペプチドは、タンパク質の一次配列で頻繁に示され、そして簡単な化学的法則のセットにより特徴付けられ得、そしてインタクトなタンパク質の免疫優性領域(すなわち、免疫原性エピトープ)にも、アミノ末端またはカルボキシル末端にも、制限されない。
【0098】
それゆえ、本発明の抗原性エピトープ保有ペプチドおよびポリペプチドは、本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体(モノクローナル抗体を含む)を惹起するために有用である。例えば、Wilsonら、Cell 37:767−778(1984)の777頁を参照のこと。従って、本発明の抗原性エピトープ保有ペプチドおよびポリペプチドは、本発明のポリペプチドのアミノ酸配列に含まれる、少なくとも7個の、より好ましくは少なくとも9個、そして最も好ましくは少なくとも約15個〜約30個の間のアミノ酸の配列を、好ましくは含む。
【0099】
DR5特異的抗体の生成のために使用され得る、抗原性ポリペプチドまたはペプチドの制限されない例として、以下のものが含まれる:図1におけるアミノ酸残基約62〜約110(配列番号2における約11〜約59)を含むポリペプチド;図1におけるアミノ酸残基約119〜約164(配列番号2における約68〜約113)を含むポリペプチド;図1におけるアミノ酸残基約224〜約271(配列番号2における約173〜約220)を含むポリペプチド;および図1におけるアミノ酸残基約275〜約370(配列番号2における約224〜約319)を含むポリペプチド。上記に示すように、本発明者らは、上記ポリペプチドフラグメントが、DR5タンパク質の抗原性領域であると決定した。
【0100】
本発明のエピトープ保有ペプチドおよびポリペプチドは、任意の従来の手段により生成され得る。Hougthen,R.A, 「General Method for the Rapid Solid−Phase Synthesis of Large Numbers of Peptides: Specificity of Antigen−Antibody Interaction at the Level of Individual Amino Acids」, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:5131−5135(1985)。この「Simultaneous Multiple Peptide Synthesis(SMPS)」プロセスは、Hougthenらに対する米国特許第4,631,211号(1986)でさらに記載される。
【0101】
当業者が理解するように、本発明のDR5ポリペプチドおよび上記のそのエピトープ保有フラグメントは、免疫グロブリン(IgG)の定常ドメインの一部と合わされ得、キメラポリペプチドを生じる。これらの融合タンパク質は、精製を促進し、そしてインビボで半減期の増加を示す。これは、例えば、ヒトCD4−ポリペプチドの最初の2つのドメインおよび哺乳動物免疫グロブリンのH鎖またはL鎖の定常領域の種々のドメインからなるキメラタンパク質について示されている(EPA 394,827;Trauneckerら、Nature 331:84−86(1988))。IgG部分によるジスルフィド結合二量体構造を有する融合タンパク質はまた、他の分子との結合および中和において、単量体DR5タンパク質またはタンパク質フラグメント単独よりも効率的であり得る(Fountoulakisら、J Biochem 270:3958−3964(1995))。
【0102】
ポリペプチドアッセイ
本発明はまた、正常レベルおよび異常レベルの決定を含む、細胞および組織におけるDR5タンパク質またはその可溶性形態のレベルの検出のための定量的および診断アッセイのような診断アッセイに関する。従って、例えば、正常コントロール組織サンプルと比較した、DR5またはその可溶性形態の過剰発現を検出するための本発明による診断アッセイは、例えば、腫瘍の存在を検出するために用いられ得る。宿主由来のサンプルにおけるタンパク質(例えば、本発明のDR5タンパク質またはその可溶性形態)のレベルを決定するために用いられ得るアッセイ技術は、当業者に周知である。このようなアッセイ方法は、放射免疫アッセイ、競合的結合アッセイ、ウェスタンブロット分析、およびELISAアッセイを含む。
【0103】
生物学的サンプル中のDR5タンパク質レベルのアッセイは、当該分野で公知の任意の方法を用いて行い得る。「生物学的サンプル」によって、DR5レセプタータンパク質またはmRNAを含有する、個体、細胞株、組織培養物、または他の供給源から得られた、任意の生物学的サンプルが意図される。生物学的サンプル中のDR5タンパク質のレベルをアッセイするために好ましいのは、抗体に基く技術である。例えば、組織におけるDR5タンパク質発現は、古典的な免疫組織学的方法を用いて研究され得る(Jalkanen,M.ら,J.Cell.Biol.101:976−985(1985);Jalkanen,M.ら,J.Cell.Biol.105:3087−3096(1987))。DR5タンパク質遺伝子発現を検出するために有用な、抗体に基づく他の方法には、免疫アッセイ(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)および放射免疫アッセイ(RIA))が挙げられる。
【0104】
適切な標識が当該分野で公知であり、そして、これには酵素標識(例えば、グルコースオキシダーゼ)、放射性同位体(例えば、ヨウ素(125I、121I)、炭素(14C)、イオウ(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(112In)、およびテクネチウム(99mTc))、蛍光標識(例えば、フルオレセインおよびローダミン)およびビオチンが含まれる。
【0105】
治療
腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーのリガンドは、最も多面性のサイトカインの1つであることが公知であり、多数の細胞応答(細胞傷害性、抗ウイルス活性、免疫調節活性、およびいくつかの遺伝子の転写調節を含む)を誘導する(Goeddel, D.V.ら, 「Tumor Necrosis Factors: Gene Structure and Biological Activities」, Symp. Quant. Biol. 51:597−609 (1986), Cold Spring Harbor; Beutler, B.およびCerami, A., Annu. Rev. Biochem. 57:505−518 (1988); Old, L.J., Sci. Am. 258:59−75 (1988); Fiers, W., FEBS Lett. 285:199−224 (1991))。TNFファミリーのリガンドは、TNFファミリーのレセプター(本発明のDR5を含む)に結合することにより、このような種々の細胞応答を誘導する。DR5ポリペプチドを発現する細胞、およびDR5リガンドに対する強力な細胞応答を有すると考えられる細胞は、初代樹状細胞、内皮組織、脾臓、慢性リンパ性白血病、およびヒト胸腺支質細胞を含む。「TNFファミリーのリガンドに対する細胞応答」により、TNFファミリーのリガンドにより誘導される、細胞、細胞株、組織、組織培養物、または患者に対する、任意の遺伝子型変化、表現型変化、および/または形態学的変化を意図する。示されたように、このような細胞応答は、TNFファミリーのリガンドに対する正常な生理学的応答だけでなく、アポトーシスの増加またはアポトーシスの阻害に関連する疾患をも含む。アポトーシス(プログラム細胞死)は、免疫系からの末梢Tリンパ球の欠損に関与する生理学的機構であり、そしてその調節不全は、多数の異なる病原性プロセスを導き得る(Ameisen, J.C., AIDS 8:1197−1213(1994); Krammer, P.H.ら, Curr. Opin. Immunol. 6:279−289 (19994))。
【0106】
増加した細胞生存またはアポトーシスの阻害に関連する疾患は、ガン(例えば、濾胞性リンパ腫、p53変異を有するガン、およびホルモン依存性腫瘍(例えば、乳ガン、前立腺ガン、カポージ肉腫、および卵巣ガン));自己免疫障害(例えば、全身性エリテマトーデスおよび免疫関連糸球体腎炎慢性関節リウマチ)およびウイルス感染(例えば、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、およびアデノウイルス)、炎症;対宿主性移植片病、急性移植片拒絶、および慢性移植片拒絶を含む。増加したアポトーシスに関連する疾患は、AIDS;神経変性障害(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、色素性網膜炎、小脳変性);骨髄形成異常症候群(例えば、再生不良性貧血)、虚血性損傷(例えば、心筋梗塞、発作、および再灌流障害により引き起こされるもの)、毒素誘導性肝臓疾患(例えば、アルコールにより引き起こされるもの)、敗血症性ショック、悪液質、および食欲不振を含む。
【0107】
従って、1つの局面では、本発明は、TNFファミリーリガンドにより誘導されるアポトーシスを増強するための方法に関し、この方法は、DR5ポリペプチドを発現する細胞に、DR5媒介シグナル伝達を増加させ得る有効量のDR5リガンド、アナログ、またはアゴニストを投与する工程を含む。好ましくは、DR5媒介シグナル伝達は、疾患を処置するために増加され、ここで、減少したアポトーシスまたは減少したサイトカインおよび接着分子の発現が示される。アゴニストは、可溶性形態のDR5およびDR5ポリペプチドに対するモノクローナル抗体を含み得る。
【0108】
さらなる局面では、本発明は、TNFファミリーリガンドにより誘導されるアポトーシスを阻害するための方法に関し、この方法は、DR5ポリペプチドを発現する細胞に、DR5媒介シグナル伝達を減少させ得る有効量のアンタゴニストを投与する工程を含む。好ましくは、DR5媒介シグナル伝達は、疾患を処置するために減少され、ここで、増加したアポトーシスまたはNFκB発現が示される。アンタゴニストは、可溶性形態のDR5およびDR5ポリペプチドに対するモノクローナル抗体を含み得る。
【0109】
「アゴニスト」により、アポトーシスを亢進または増強し得る、天然に存在する化合物および合成化合物が意図される。「アンタゴニスト」により、アポトーシスを阻害し得る、天然に存在する化合物および合成化合物が意図される。本発明の任意の候補「アゴニスト」または「アンタゴニスト」が、アポトーシスを増強し得るかまたは阻害し得るかは、以下でより詳細に記載されるアッセイを含む、当該分野で公知のTNFファミリーのリガンド/レセプター細胞応答アッセイを用いて決定され得る。
【0110】
1つのこのようなスクリーニング手順は、本発明のレセプターを発現するようにトランスフェクトしたメラニン保有細胞の使用を含む。このようなスクリーニング技術は、1992年2月6日に公開されたPCT WO 92/01810に記載される。このようなアッセイは、例えば、本発明のレセプターポリペプチドの活性化を阻害(または増強)する化合物についてスクリーニングするために、レセプターをコードするメラニン保有細胞を、TNFファミリーのリガンドおよび候補アンタゴニスト(またはアゴニスト)の両方と接触させることにより、用いられ得る。リガンドにより生成されるシグナルの阻害または増強は、化合物が、リガンド/レセプターシグナル伝達経路のアンタゴニストまたはアゴニストであることを示す。
【0111】
他のスクリーニング技術は、レセプター活性化により引き起こされる細胞外pHの変化を測定する系においてレセプターを発現する細胞(例えば、トランスフェクトされたCHO細胞)の使用を含む。例えば、化合物は、本発明のレセプターポリペプチドを発現する細胞と接触され得、そして2次メッセンジャー応答(例えば、シグナル伝達またはpH変化)が測定されて、潜在的な化合物がレセプターを活性化するかまたは阻害するかが決定され得る。
【0112】
別のこのようなスクリーニング技術は、レセプターをコードするRNAを、Xenopus卵母細胞に導入してレセプターを一過性に発現する工程を含む。次いで、レセプター卵母細胞は、レセプターリガンドおよびスクリーニングされる化合物と接触され得、続いてレセプターの活性化を阻害すると考えられる化合物についてのスクリーニングの場合はカルシウムシグナルの阻害または活性化の検出が行なわれる。
【0113】
別のスクリーング技術は、細胞において構築物を発現させる工程を含み、ここで、レセプターは、ホスホリパーゼCまたはDに結び付けられる。このような細胞は、内皮細胞、平滑筋細胞、胎児性腎臓細胞などを含む。スクリーニングは、レセプターの活性化またはレセプターの活性化の阻害をホスホリパーゼシグナルから検出することにより、本明細書中の上記の通りに達成され得る。
【0114】
別の方法は、本発明のレセプターポリペプチドの活性化を阻害する化合物(アンタゴニスト)を、細胞表面にレセプターを有する細胞に対する標識化リガンドの結合の阻害を決定することによりスクリーニングする工程を含む。このような方法は、真核生物細胞を、この細胞がその表面上にレセプターを発現するように、レセプターをコードするDNAでトランスフェクトする工程、およびこの細胞を公知のリガンドの標識化形態の存在下で化合物と接触させる工程を含む。リガンドは、例えば、放射能により標識され得る。レセプターに結合した標識化リガンドの量は、例えば、レセプターの放射能を測定することにより測定される。化合物が、レセプターに結合する標識化リガンドの減少により決定されるようにレセプターに結合する場合、レセプターに対する標識化リガンドの結合は阻害される。
【0115】
本発明のアゴニストおよびアンタゴニストについてさらなるスクリーニングアッセイは、Tartaglia, L.A.およびGoeddel, D.V., J.Biol.Chem. 267:4304−4307(1992)に記載される。
【0116】
従って、さらなる局面では、候補アゴニストまたはアンタゴニストがTNFファミリーのリガンドに対する細胞応答を増強し得るかまたは阻害し得るかを決定するためのスクリーニング方法が提供される。この方法は、DR5ポリペプチドを発現する細胞を、候補化合物およびTNFファミリーのリガンドと接触させる工程、細胞応答をアッセイする工程、および標準的な細胞応答に対してこの細胞応答を比較する工程(標準は、候補化合物の非存在下でリガンドとの接触が行なわれる場合にアッセイされる)を含み、ここで標準を超える増加した細胞応答は、候補化合物がリガンド/レセプターシグナル伝達経路のアゴニストであることを示し、そして標準と比較して減少した細胞応答は、候補化合物がリガンド/レセプターシグナル伝達経路のアンタゴニストであることを示す。「細胞応答をアッセイすること」により、候補化合物および/またはTNFファミリーのリガンドに対する細胞応答を定性的または定量的に測定する(例えば、T細胞増殖またはトリチウム化チミジン標識における増加または減少を決定または評価すること)ことが意図される。本発明により、DR5ポリペプチドを発現する細胞は、内因的または外因的のいずれかの投与されたTNFファミリーのリガンドと接触され得る。
【0117】
本発明によるアゴニストは、天然に存在する化合物および合成化合物(例えば、TNFファミリーのリガンドペプチドフラグメント、トランスフォーミング増殖因子、神経伝達物質(例えば、グルタミン酸、ドパミン、N−メチル−D−アスパラギン酸)、腫瘍サプレッサー(p53)、細胞溶解性T細胞および代謝拮抗物質など)を含む。好ましいアゴニストは、化学療法薬(例えば、シスプラチン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、シトシンアラビノシド、ナイトロジェンマスタード、メトトレキサート、およびビンクリスチン)を含む。他には、エタノールおよび−アミロイドペプチドを含む(Science 267:1457−1458(1995))。さらに好ましいアゴニストは、DR5ポリペプチドに対して惹起されたポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体、またはそれらのフラグメントを含む。TNFファミリーのレセプターに対して惹起されたこのようなアゴニスト抗体は、Tartaglia, L.A.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:9292−9296(1991); ならびにTartaglia, L.A.およびGoeddel, D.V.,J.Biol.Chem. 267(7):4304−4307(1992) に開示される。PCT出願WO 94/09137もまた参照のこと。
【0118】
本発明によるアンタゴニストは、天然に存在する化合物および合成化合物(例えば、CD40リガンド、中性アミノ酸、亜鉛、エストロゲン、アンドロゲン、ウイルス遺伝子(例えば、アデノウイルスElB、バキュロウイルスp35およびIAP、牛痘ウイルスcrmA、エプスタイン−バーウイルスBHRF1、LMP−1、アフリカ豚コレラウイルスLMW5−HL、ならびにヘルペスウイルスyl34.5)、カルパインインヒビター、システインプロテアーゼインヒビター、ならびに腫瘍プロモーター(例えば、PMA、フェノバルビタール、およびα−ヘキサクロロシクロヘキサン)など)を含む。
【0119】
他の潜在的なアンタゴニストは、アンチセンス分子を含む。アンチセンス技術が、アンチセンスDNAもしくはRNAを介して、または三重らせん形成を介して、遺伝子発現を制御するために使用され得る。アンチセンス技術は、例えば、Okano,J.Neurochem.56:560(1991);Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression,CRC Press,Boca Raton,FL.(1988)に考察される。三重らせん形成は、例えば、Leeら,Nucleic Acids Research 6:3073(1979);Cooneyら,Science 241:456(1988);およびDervanら,Science 251:1360(1991)に考察される。この方法は、相補的なDNAまたはRNAに対するポリヌクレオチドの結合に基く。
【0120】
例えば、本発明の成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの5’コード部分は、約10〜40塩基対長のアンチセンスRNAオリゴヌクレオチドを設計するために用いられ得る。DNAオリゴヌクレオチドは、転写に関与する遺伝子領域に相補的であり、それによりレセプターの転写および産生を防止するように設計される。アンチセンスRNAオリゴヌクレオチドは、インビボでmRNAにハイブリダイズし、そしてレセプターポリペプチドへのmRNA分子の翻訳をブロックする。
【0121】
1つの実施態様では、本発明のDR5アンチセンス核酸は、外来性配列からの転写により細胞内で産生される。例えば、ベクターまたはその部分は転写され、本発明のアンチセンス核酸(RNA)を産生する。このようなベクターは、DR5アンチセンス核酸をコードする配列を含む。このようなベクターは、転写されて所望のアンチセンスRNAを生成し得る限り、エピソーム性であり続け得るか、または染色体に組込まれることとなり得る。このようなベクターは、当該分野で標準的な組換えDNA技術法により構築され得る。ベクターは、脊椎動物細胞における複製および発現のために用いられる、当該分野で公知のプラスミド性、ウイルス性、または他のものであり得る。DR5をコードする配列またはそのフラグメントの発現は、脊椎動物、好ましくはヒト細胞において作用する当該分野で公知の任意のプロモーターによって行なわれ得る。このようなプロモーターは、誘導性または構成性であり得る。このようなプロモーターは、SV40初期プロモーター領域(BernoistおよびChambon, Nature 29:304−310 (1981))、ラウス肉腫ウイルスの3’の長い末端反復配列に含まれるプロモーター(Yamamotoら、Cell 22:787−797 (1980))ヘルペスチミジンプロモーター(Wagnerら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78:1441−1445 (1981))、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら, Nature 296:39−42(1982))などを含むがこれらに限定されない。
【0122】
本発明のアンチセンス核酸は、DR5遺伝子のRNA転写物の少なくとも一部に相補的な配列を含む。しかし、好ましいとはいえ、絶対的な相補性は要求されない。本明細書で言及される「RNAの少なくとも一部に相補的な」配列とは、RNAとハイブリダイズして安定な二重鎖を形成し得るに充分な相補性を有する配列;二本鎖DR5アンチセンス核酸の場合、二重鎖DNAの一本鎖が試験され得るか、または三重らせん形成がアッセイされ得ることを意味する。ハイブリダイズする能力は、相補性の程度およびアンチセンス核酸の長さの両方に依存する。一般に、ハイブリダイズする核酸が大きければ大きいほど、より多くの塩基がDR5 RNAとミスマッチであり、これは、安定な二重鎖を含み得、そして安定な二重鎖(もしくは三重らせんの場合もあり得る)を依然として形成し得る。当業者は、ハイブリダイズした複合体の融点を決定する標準的な手順の使用により、ミスマッチの許容される程度を確認し得る。
【0123】
本発明の潜在的なアンタゴニストはまた、触媒性RNAまたはリボザイム(例えば、1990年10月4日に公開された、PCT国際公開WO 90/11364;Sarverら、Science 247:1222−1225(1990)を参照のこと)を含む。部位特異的認識配列でmRNAを切断するリボザイムがDR5 mRNAsを破壊するために使用され得る場合、ハンマーヘッド型リボザイムの使用が好ましい。ハンマーヘッド型リボザイムは、標的mRNAと相補的な塩基対を形成する隣接領域によって決定される位置でmRNAを切断する。唯一必要なことは、標的mRNAが以下の2塩基の配列を有することである:5’−UG−3’。ハンマーヘッド型リボザイムの構築および産生は、当該分野で周知であり、そしてHaseloffおよびGerlach, Nature 334:585−591(1988)に完全に記載されている。DR5のヌクレオチド配列内に、多数の潜在的なハンマーヘッド型リボザイム切断部位が存在する(図1)。好ましくは、リボザイムは、切断認識部位がDR5 mRNAの5’末端に近接するように(すなわち、非機能性mRNA転写の効率を増大させ、そして細胞内蓄積を最小限にするように)操作される。リボザイムをコードするDNA構築物は、DNAをコードするアンチセンスの導入について上に記載されるのと同様の様式で細胞に導入され得る。アンチセンス分子とは異なり、リボザイムは触媒性であるので、より低い細胞内濃度が効率のために必要とされる。
【0124】
本発明のさらなるアンタゴニストには、DR5の可溶性形態(すなわち、全長レセプターの細胞外領域からのリガンド結合ドメインを含むDR5フラグメント)が含まれる。このような可溶性形態のレセプター(天然に存在し得るか、または合成され得る)は、TNF−ファミリーリガンドへの結合について細胞表面DR5と競合することによって、DR5媒介性シグナリングと拮抗する。従って、リガンド結合ドメインを含む可溶性形態のレセプターは、TNF−ファミリーリガンドによって誘導されるアポトーシスを阻害し得る、新規のサイトカインである。これはモノマーとして発現され得るが、好ましくはダイマーまたはトリマーとして発現される。なぜなら、これらはモノマー形態の可溶性レセプターよりも、アンタゴニスト(例えば、IgGFc−TNFレセプターファミリー融合体)として優れていることが示されているからである。他のこのようなサイトカインが当該分野で公知であり、これにはFasリガンドによって誘導されるアポトーシスを制限するように生理学的に作用するFas B(マウスFasレセプターの可溶性形態)が含まれる(Hughes, D.P.およびCrispe, I.N., J. Exp. Med. 182:1395−1401 (1995))。
【0125】
本明細書中で使用される用語「抗体」(Ab)または「モノクローナル抗体」(mAb)は、抗原に結合し得るインタクトな分子およびそのフラグメント(例えば、FabおよびF(ab’)2フラグメントのような)を含むことを意味する。Fab、Fab’、およびF(ab’)2フラグメントはインタクトな抗体のFcフラグメントを欠いており、循環からより迅速に除去され、そしてインタクトな抗体の非特異的組織結合をほとんど有し得ない(Wahlら、J. Nucl. Med. 24:316−325 (1983))。
【0126】
本発明の抗体は、本発明のDR5免疫原を使用する、任意の種々の標準的な方法によって調製され得る。示されるように、このようなDR5免疫原には、全長DR5ポリペプチド(これはリーダー配列を含み得るか、または含まなくてもよい)およびDR5ポリペプチドフラグメント(例えば、リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、細胞内ドメイン、および死ドメイン)が含まれる。
【0127】
本発明の抗体は、本発明のポリペプチド配列の位置および活性に関して、当該分野で公知の方法(例えば、これらのポリペプチドを画像化するため、適切な生理学的サンプルにおけるそのレベルを測定するためなど)において使用され得る。抗体はまた、DR5のアゴニストおよびアンタゴニストとして、イムノアッセイおよび治療法における使用もまた有する。
【0128】
DR5ドメインを結合するタンパク質および他の化合物もまた、本発明の候補アゴニストおよびアンタゴニストである。このような結合化合物は、酵母ツーハイブリッド系を使用して「捕獲」され得る(FieldsおよびSong, Nature 340:245−246 (1989))。酵母ツーハイブリッド系の改変バージョンは、Roger Brentおよび共同研究者らによって記載されている(Gyuris, J.ら、Cell 75:791−803 (1993); Zervos, A.S.ら、Cell 72:223−232 (1993))。好ましくは、酵母ツーハイブリッド系は、DR5リガンド結合ドメインまたはDR5細胞内ドメインのいずれかに結合する化合物を捕獲するために、本発明に従って使用される。このような化合物は、本発明の良い候補アゴニストおよびアンタゴニストである。
【0129】
「TNF−ファミリーリガンド」によって、TNFレセプターファミリーのメンバーに結合し得る、天然に存在するリガンド、組換えリガンド、および合成リガンドが意図され、これは、リガンド/レセプターシグナリング経路を誘導し得る。TNFリガンドファミリーのメンバーには、DR5リガンド、TRAIL、TNF−α、リンホトキシン−α(LT−α、TNF−βとしても公知である)、LT−β(複合体へテロトリマーLT−α2−βに見出される)、FasL、CD40、CD27、CD30、4−1BB、OX40、および神経成長因子(NGF)が含まれるが、これらに限定されない。DR5およびその誘導体(フラグメントを含む)ならびにそのアナログのTRAILに結合する能力を決定するために行われ得るアッセイの例は、以下の実施例6に記載される。
【0130】
本発明の例示的な治療適用は、以下でより詳細に議論される。AIDSを規定する免疫不全の状態は、二次的にCD4+ Tリンパ球の数および機能を低減させる。最近の報告は、3.5×107細胞と2×109細胞との間にあるCD4+ T細胞の日毎の減少を評価する(Wei X.ら、Nature 373:117−122(1995))。HIV感染の設定におけるCD4+ T細胞減少の1つの原因は、HIV誘導性アポトーシスであると考えられている。実際、HIV誘導性アポトーシス細胞死は、インビトロだけでなく、より重要なことに、感染した個体においても実証されている(Ameisen,J.C., AIDS 8:1197−1213 (1994);Finkel, T.H.、およびBanda, N.K., Curr. Opin, Immunol. 6:605−615 (1995);Muro−Cacho, C.A.ら、J.Immunol. 154:5555−5566 (1995))。さらに、アポトーシスおよびCD4+ Tリンパ球減少は、AIDSの種々の動物モデルにおいて密接に関連しており(Brunner, T.ら、Nature 373:441−444 (1995);Gougeon, M.L.ら、AIDS Res. Hum, Retroviruses 9: 553−563 (1993))、そして、アポトーシスは、ウイルス複製がAIDSを生じない動物モデルにおいては観察されない(Gougeon, M.L.ら、AIDS Res. Hum. Retroviruses 9:553−563 (1993))。さらなるデータは、HIV感染個体からの、感染されていないが初回刺激されたまたは活性化されたTリンパ球が、TNFファミリーリガンドFasLに遭遇した後、アポトーシスを受けることを示す。HIV感染の後、死を生じる単球細胞株を使用することによって、HIVでのU937細胞の感染がFasLの新規の発現を生じ、そしてそのFasLがHIV誘導性アポトーシスを媒介することを示されている(Badley, A.D.ら、J.Virol. 70:199−206(1996))。さらに、TNFファミリーリガンドは、非感染性マクロファージにおいて検出可能であり、そしてその発現は、非感染CD4 Tリンパ球の選択的な殺傷を生じるHIV感染後、アップレギュレートされた(Badley, A.D.ら、J.Virol. 70:199−206(1996))。従って、本発明によって、HIV+個体を処置する方法が提供され、これは、本発明のアンタゴニストを投与して、CD4 Tリンパ球の選択的な殺傷を減少させる工程を包含する。投与および投薬量の態様は、以下で詳細に議論される。
【0131】
同種移植片拒絶において、レシピエント動物の免疫系は、前もって応答に対して初回刺激されていない。なぜなら、ほとんどの部分の免疫系は、環境抗原によってのみ初回刺激されるからである。同じ種の他のメンバーからの組織は同じ様式では提示されていない(例えば、ウイルスおよび細菌は提示されている)。同種移植片拒絶の場合、免疫抑制レジメは、免疫系がエフェクター段階に及ばないように予防するように設計される。しかし、異種移植片拒絶の免疫プロフィールは、同種移植片拒絶よりも疾患再発に類似し得る。疾患再発の場合、免疫系は、ネイティブな島細胞の破壊によって示されるように、すでに活性化されている。それゆえ、疾患再発において、免疫系は、すでにエフェクター段階である。本発明のアゴニストは、同種移植片および異種移植片の両方に対して免疫応答を抑制し得る。なぜなら、活性化され、そしてエフェクター細胞に分化されるリンパ球はDR5ポリペプチドを発現し、それによって、アポトーシスを増強する化合物の影響を受けやすいからである。従って、本発明は、さらに、免疫特権(privileged)組織を作成する方法を提供する。
【0132】
DR5アンタゴニストは、炎症性疾患(例えば、リウマチ様関節炎、骨関節炎、乾癬、敗血症、および炎症性腸疾患)の処置に有用であり得る。
【0133】
さらに、DR5のリンパ芽球発現に起因して、可溶性DR5アゴニストまたはアンタゴニストのmABは、この形態のガンを処置するために使用され得る。さらに、可溶性DR5または中和性mABは、種々の慢性および急性形態の炎症(例えば、リウマチ様関節炎、骨関節炎、乾癬、敗血症、および炎症性腸疾患)を処置するために使用され得る。
【0134】
投与の様態
本明細書中に記載されるアゴニストまたはアンタゴニストは、インビトロ、エキソビボ、またはインビボで、本発明のレセプターを発現する細胞に投与され得る。アゴニストまたはアンタゴニストの「有効量」の投与によって、TNFファミリーリガンドに対する細胞性応答を増強または阻害するに十分な化合物(ポリペプチドを含む)の量が意図される。詳細には、アゴニストまたはアンタゴニストの「有効量」の投与によって、DR5媒介性アポトーシスを増強または阻害するに有効な量が意図される。もちろん、アポトーシスが増強されることが所望される場合、本発明のアゴニストは、TNFファミリーリガンドとともに同時投与され得る。当業者は、アゴニストまたはアンタゴニストの有効量が経験的に決定され得、そして純粋な形態または薬学的に受容可能な塩、エステル、またはプロドラッグの形態で使用され得ることを理解する。アゴニストまたはアンタゴニストは、1つ以上の薬学的に受容可能な賦形剤(すなわち、キャリア)と組み合わせて、組成物において投与され得る。
【0135】
ヒト患者に投与される場合、本発明の化合物および組成物の日毎の全使用量は、有効な医学的判断の範囲内で担当医によって決定されることが理解される。任意の特定の患者についての特定の治療有効用量レベルは、医学分野において周知の因子に基づく。
【0136】
一般的な定義として、用量あたり非経口的に投与されるDR5ポリペプチドの全薬学的有効量は、患者の体重あたり、約1μg/kg/日〜10mg/kg/日の範囲でありるが、上記のように、これは治療的な決定の問題である。より好ましくは、この用量は、ホルモンについて、少なくとも0.01mg/kg/日であり、そしてヒトについて最も好ましくは約0.01と1mg/kg/日との間である。連続的に与えられる場合、DR5アゴニストまたはアンタゴニストは、代表的には、約1μg/kg/時間〜約50μg/kg/時間の投薬速度で、例えば、ミニポンプを使用して、1〜4注入/日か、または連続的な皮下注入のいずれかによって投与される。静脈内バッグ(intravenous bag)溶液もまた使用され得る。
【0137】
投薬はまた、RIA技術によって決定されるように、患者特異的様式で設定され、予め決定された濃度のアゴニストまたはアンタゴニストを血液に提供し得る。従って、患者投薬は、RIAによって測定される場合、50〜1000ng/ml、好ましくはほぼ150から500ng/mlで、血液レベルを通して継続的な進行を達成するように調製され得る。
【0138】
アゴニストまたはアンタゴニスト(本発明のDR5ポリヌクレオチドおよびポリペプチドを含む)および薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤を含む薬学的組成物が提供され、これらは、経口的に、直腸に、非経口的に、槽内に、膣内に、腹腔内に、局所的に(粉末、軟膏、ドロップ、または経皮パッチによるように)、頬内または経口スプレーもしくは経鼻スプレーとして投与され得る。重要なことに、アゴニストおよびTNF−ファミリーリガンドの同時投与によって臨床的副作用は、より低い容量の、リガンドおよびアゴニストの両方を使用することによって低減され得る。アゴニストは、特定の治療適用の緊急性に依存して、TNF−ファミリーリガンドの前、後、または同時のいずれかで「同時投与され」得ることが理解される。「薬学的に受容可能なキャリア」は、非毒性固体、半固体または液体賦形剤、希釈剤、カプセル用材料、または任意の型の処方補助物を意味する。特定の実施態様において、「薬学的に受容可能な」とは、連邦政府、または合衆国、または米国薬局方に列挙される管理局、または動物(より特には、ヒト)における使用のための他の一般に認識される薬局方によって認可されることを意味する。本態様に従う適切な薬学的キャリアの非限定的な例は、E.W.Martinによる「Remington’s Pharmaceutical Science」に提供され、そしてこれには、水および油(石油、動物、野菜または合成起源の油、例えば、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などを含む)のような滅菌液が含まれる。水は、薬学的組成物が静脈内に投与される場合、好ましいキャリアである。生理食塩水溶液および水性デキストロースおよびグリセロール溶液が、特に注入可能な溶液のために液体キャリアとして使用され得る。
【0139】
本明細書で使用される用語「非経口」とは、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨下(intrasternal)、皮下、および関節内注射および注入を包含する、投与様態をいう。
【0140】
非経口注入のための本発明の薬学的組成物は、薬学的に受容可能な滅菌溶液または非水性溶液、分散液、懸濁液、またはエマルジョン、ならびに使用直前に滅菌注射用溶液または分散液へ再構成するための滅菌粉末が含まれ得る。
【0141】
界面活性剤(例えば、CHAPSまたはNR−40)を緩衝液とともに含むことによって適切に可溶化される場合、可溶性DR5ポリペプチドに加えて、膜貫通領域を含むDR5ポリペプチドもまた使用され得る。
【0142】
染色体アッセイ
本発明の核酸分子はまた、染色体同定に有用である。この配列は、個々のヒト染色体における特定の位置に特異的に標的化され、そしてハイブリダイズし得る。本発明による染色体へのDNAのマッピングは、それらの配列を、疾患に関連した遺伝子と相関づけるのに重要な第一歩である。
【0143】
これに関して特定の好ましい実施態様では、本明細書中で開示されるcDNAおよび/またはポリヌクレオチドは、DR5遺伝子のゲノムDNAをクローニングするために用いられる。これは、一般的に市販されている、種々の周知の技術およびライブラリーを用いて達成され得る。次いで、この目的のために周知の技術を用いるインサイチュ染色体マッピングのためにゲノムDNAが使用される。
【0144】
さらに、配列は、cDNAからPCRプライマー(好ましくは、15〜25bp)を調製することにより、染色体にマッピングされ得る。遺伝子の3’非翻訳領域のコンピューター分析を用いて、ゲノムDNAにおいて1つを超えるエキソンにまたがらない従って、増幅プロセスを複雑化する、プライマーを迅速に選択する。次いで、これらのプライマーは、個々のヒト染色体を含有する体細胞ハイブリッドのPCRスクリーニングのために用いられる。
【0145】
中期染色体スプレッド(spread)へのcDNAクローンの蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(「FISH」)は、一工程で、正確な染色体位置を提供するために用いられ得る。この技術は、50または60bp程度の短さのcDNAを用いて行われ得る。この技術の概説については、Vermaら、Human Chromosomes: a Manual of Basic Techniques, Pergamon Press, New York (1988)を参照のこと。
【0146】
一旦、配列が正確な染色体位置にマッピングされると、染色体上の配列の物理学的な位置が、遺伝子マップデータと相関づけられ得る。このようなデータは、例えば、V. McKusick, Mendelian Inheritance In Man(Johns Hopkins University, Welch Medical Libraryからオンラインで入手可能である)に見出される。次いで、同じ染色体領域にマッピングされた遺伝子と疾患との間の関係が、連鎖分析(物理学的に隣接した遺伝子の同時遺伝)によって同定される。
【0147】
次に、罹患個体と非罹患個体との間でのcDNAまたはゲノム配列における差異を決定することが必要である。変異が罹患個体のいくらかまたは全てにおいて認められるが、いずれの正常個体でも認められない場合、従って、この変異は、おそらく疾患の原因因子である。
【0148】
本発明に一般的に記載されるように、以下の実施例を参照することにより、本発明は、より迅速に理解されるが、以下の実施例は、例示の目的で提供され、限定は意図されない。
【実施例】
【0149】
(実施例1)
E.coliにおける発現および精製
寄託されたcDNAクローン(ATCC番号97920)における成熟DR5タンパク質をコードするDNA配列を、DR5タンパク質のアミノ末端配列および遺伝子の3’側のベクター配列に特異的なPCRオリゴヌクレオチドプライマーを使用して増幅する。クローニングを容易にする制限部位を含むさらなるヌクレオチドを、それぞれ5’および3’配列に付加する。
【0150】
E.coliにおけるDR5細胞外ドメインの発現のために、以下のプライマーを使用する:5’プライマーは、5’− CGCCCATGGAGTCT GCTCTGATCAC −3’(配列番号8)の配列を有し、下線を付したNcoI部位を含み;そして3’プライマーは、5’− CGCAAGCTTTTAGCCTGATTC TTTGTGGAC −3’(配列番号9)の配列を有し、そして下線を付したHindIII部位を含む。
【0151】
制限部位は、細菌性発現ベクターpQE60における制限酵素部位に都合が良い。これを、本実施例の細菌性発現のために使用する(Qiagen, Inc.,9259 Eton Avenue, Chatsworth, CA, 91311)。pQE60はアンピシリン抗生物質耐性(「Ampr」)をコードし、そして細菌の複製起点(「ori」)、IPTG誘導性プロモーター、およびリボソーム結合部位(「RBS」)を含む。
【0152】
増幅されたDR5 DNAおよびベクターpQE60の両方を、NcoIおよびHindIIIで消化し、そして消化されたDNAを、次いで互いに連結する。制限化されたpQE60ベクターへDR5タンパク質DNAを挿入することによって、DR5タンパク質コード領域をベクターのIPTG誘導性プロモーターの下流に配置し、そして作動可能にこのプロモーターおよびDR5タンパク質の翻訳に適切に位置付けられた開始AUGとインフレームで連結する。
【0153】
連結混合物を、標準的な手順を用いて、コンピテントなE.coli細胞に形質転換する。このような手順は、Sambrookら、Molecular Cloning: a Laboratory Manual、第2版;Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989)に記載される。プラスミドpREP4の複数のコピー(これは、lacリプレッサーを発現し、そしてカナマイシン耐性(「Kanr」)を付与する)を含有するE.coli株M15/rep4を本明細書中に記載の例示的実施例を行うにあたって使用する。この株(これは、DR5タンパク質を発現するのに適切である多くの株の内の単に一つの株である)は、Qiagen,(前出)から市販されている。
【0154】
形質転換体を、アンピシリンおよびカナマイシンの存在下でLBプレート上で増殖するそれらの能力により同定する。プラスミドDNAを耐性コロニーから単離し、そしてクローン化DNAの同定を、制限分析、PCR、およびDNA配列決定により確認する。
【0155】
所望の構築物を含むクローンを、アンピシリン(100μg/ml)およびカナマイシン(25μg/ml)の両方を補充したLB培地における液体培養中で一晩(「O/N」)増殖させる。O/N培養物を用いて約1:100〜1:250の希釈で大規模培養に接種する。細胞を、0.4と0.6との間の、600nmでの光学密度(「OD600」)にまで増殖させる。次いで、イソプロピル−B−D−チオガラクトピラノシド(「IPTG」)を最終濃度1mMまで加えて、lacIリプレッサーを不活化することにより、lacリプレッサー感受性プロモーターからの転写を誘導する。細胞をさらに3〜4時間引き続きインキュベートする。
【0156】
次いで、標準的な方法によって、細胞を遠心分離により採集し、そして破壊する。封入体を日常的な回収技術を使用して破壊細胞から精製し、そしてタンパク質を封入体から8Mの尿素中へ可溶化する。可溶性タンパク質を含む8M尿素溶液を、2×リン酸緩衝化生理食塩水(「PBS」)中のPD−10カラムに通し、それによって尿素を除去し、緩衝液を交換し、そしてタンパク質を再折りたたみさせる。タンパク質を、エンドトキシンを除去するために、さらなるクロマトグラフィー工程によって精製する。次いで、それを滅菌ろ過する。滅菌ろ過タンパク質調製物を、95μ/mlの濃度で2×PBS中に保存する。
【0157】
(実施例2)
哺乳動物細胞における発現
代表的な哺乳動物発現ベクターは、プロモーターエレメント(mRNAの転写の開始を媒介する)、タンパク質コード配列、ならびに転写の終結および転写物のポリアデニル化に必要なシグナルを含む。さらなるエレメントとしては、エンハンサー、Kozak配列、ならびにRNAスプライシングのためのドナー部位およびアクセプター部位に隣接する介在配列が挙げられる。非常に効率的な転写を、SV40由来の初期および後期プロモーター、レトロウイルス(例えば、RSV、HTLVI、HIVI)由来の長末端反復(LTR)ならびにサイトメガロウイルス(CMV)の初期プロモーターを用いて達成し得る。しかし、細胞性シグナル(例えば、ヒトアクチンプロモーター)もまた使用され得る。本発明の実施における使用に適切な発現ベクターとしては、例えば、pSVLおよびpMSG(Pharmacia, Uppsala, Sweden)、pRSVcat(ATCC 37152)、pSV2dhfr(ATCC 37146)、ならびにpBC12MI(ATCC 67109)のようなベクターが挙げられる。使用され得る哺乳動物宿主細胞としては、ヒトHela293細胞、H9細胞およびJurkat細胞、マウスNIH3T3細胞およびC127細胞、Cos1細胞、Cos7細胞およびCV1細胞、ウズラQC1−3細胞、マウスL細胞、ならびにチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞が挙げられる。
【0158】
あるいは、目的の遺伝子は、染色体に組み込まれたその遺伝子を含む安定な細胞株において発現され得る。選択マーカー(例えば、dhfr、gpt、ネオマイシン、ハイグロマイシン)との同時トランスフェクションは、トランスフェクトされた細胞の同定および単離を可能にする。
【0159】
トランスフェクトされた遺伝子もまた増幅され、大量のコードされたタンパク質を発現し得る。ジヒドロ葉酸レダクターゼ( DHFR )マーカーは、目的の遺伝子の数百または数千ものコピーを有する細胞株を開発するのに有用である。別の有用な選択マーカーは、酵素グルタミンシンターゼ(GS)である(Murphyら、Biochem J. 227:277−279(1991);Bebbingtonら、Bio/Technology 10:169−175(1992))。これらのマーカーを使用して、哺乳動物細胞を選択培地において増殖させ、そして最も高い耐性を有する細胞を選択する。これらの細胞株は、染色体に組み込まれた増幅された遺伝子を含む。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞は、タンパク質の産生にしばしば使用される。
【0160】
発現ベクターpC1およびpC4は、ラウス肉腫ウイルスの強力なプロモーター(LTR)(Cullenら、Molecular and Cellullar Biology 5: 438−447(1985年3月))およびCMV−エンハンサーのフラグメント(Boshartら、Cell 41:521−530(1985))を含む。複数のクローニング部位(例えば、制限酵素切断部位BamHI、XbaI、およびAsp718を有する)は、目的の遺伝子のクローニングを容易にする。ベクターはさらに、ラットプレプロインシュリン遺伝子の3’イントロン、ポリアデニル化、および終結シグナルを含む。
【0161】
クローニングおよびCHO細胞における発現
ベクターpC4を、DR5ポリペプチドの発現のために使用する。プラスミドpC4は、プラスミドpSV2−dhfr(ATCC受託番号37146)の誘導体である。このプラスミドは、SV40初期プロモーターの制御下で、マウスDHFR遺伝子を含む。これらのプラスミドでトランスフェクトされるジヒドロ葉酸活性を欠如するチャイニーズハムスター卵巣細胞または他の細胞は、化学治療剤メトトレキサート(MTX)を補充した選択培地(αマイナスMEM、Life Technologies)中で細胞を増殖させることによって選択され得る。メトトレキサート(MTX)に耐性である細胞におけるDHFR遺伝子の増幅は、よく考証されている(例えば、Alt, F.W., Kellems, R.M., Bertino, J.R.およびSchimke, R.T., J. Biol. Chem. 253:1357−1370(1978)Hamlin, J.L.およびMa, C., Biochem. et Biophys. Acta, 1097:107−143(1990)Page, M.J.およびSydenham, M.A. 1991, Biotechnology 9:64−68(1991)を参照のこと)。漸増濃度のMTXにおける細胞増殖は、DHFR遺伝子の増幅の結果として、標的酵素DHFRを過剰産生することによって薬物への耐性を生じる。第2の遺伝子がDHFR遺伝子に連結される場合、通常、同時増幅され、そして過剰発現される。増幅した遺伝子の1,000を超えるコピーを有する細胞株を開発するためにこのアプローチを使用し得ることは、当該分野において公知である。続いて、メトトレキサートが取り除かれる場合、宿主細胞の1つ以上の染色体に組み込まれた増幅遺伝子を含む細胞株が得られる。
【0162】
プラスミドpC4は、目的の遺伝子の発現のために、ラウス肉腫ウイルスの長末端反復(LTR)の強力なプロモーター(Cullenら、Molecular and Cellullar Biology 5:438−447 (1985年3月))、およびヒトサイトメガロウイルス(CMV)の前初期遺伝子のエンハンサーから単離されたフラグメント(Boshartら、Cell 41:521−530 (1985))を含む。プロモーターの下流には、遺伝子の組み込みを可能にする以下の単一の制限酵素切断部位、BamHI、XbaIおよびAsp718が存在する。これらのクローニング部位の後ろに、プラスミドは、ラットプレプロインスリン遺伝子の3’イントロンおよびポリアデニル化部位を含む。他の高効率プロモーターもまた、発現のために使用され得る(例えば、ヒトβアクチンプロモーター、SV40初期もしくは後期プロモーター、または他のレトロウイルス(例えば、HIVおよびHTLVI)由来の長末端反復)。ClontechのTet−OffおよびTet−On遺伝子発現系ならびに同様の系は、哺乳動物細胞において調節された方法でDR5ポリペプチドを発現するために使用され得る(Gossen, M., およびBujard, H., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 5547−5551(1992))。mRNAのポリアデニル化のために、他のシグナル(例えば、ヒト成長ホルモン由来またはグロビン遺伝子由来)も同様に使用され得る。
【0163】
染色体に組み込まれた目的の遺伝子を保有する安定な細胞株もまた、選択マーカー(例えば、gpt、G418、またはヒグロマイシン)と同時トランスフェクションする際に選択し得る。開始時に1つより多い選択マーカー(例えば、G418およびメトトレキサート)を使用することは有利である。
【0164】
プラスミドpC4を制限酵素BamHIで消化し、次いでウシ腸ホスフェートを使用して、当該分野で公知の手順により脱リン酸化する。次いで、ベクターを1%アガロースゲルから単離する。
【0165】
完全なポリぺプチドをコードするDNA配列を、遺伝子の所望の部分の5’および3’配列に対応するPCRオリゴヌクレオチドプライマーを使用して増幅する。下線を付したBamHI部位、Kozak配列、およびAUG開始コドンを含む5’プライマーは、以下の配列を有する:
5’−CGCGGATCCGCCATCATGGAACAACGGGGACAGAAC−3’(配列番号10)。
下線を付したAsp718部位を含む3’プライマーは、以下の配列を有する:5’−CGCGGTACCTTAGGACATGGCAGAGTC−3’(配列番号11)。
【0166】
増幅されたフラグメントを、エンドヌクレアーゼBamHIおよびAsp718で消化し、次いで、1%アガロースゲル上で再び精製する。次いで、単離したフラグメントおよび脱リン酸化したベクターを、T4 DNAリガーゼで連結する。次いで、E.coli HB101またはXL−1 Blue細胞を形質転換し、そしてプラスミドpC4に挿入したフラグメントを含有する細菌を、例えば、制限酵素分析を使用して同定する。
【0167】
活性DHFR遺伝子を欠損するチャイニーズハムスター卵巣細胞をトランスフェクションのために使用する。5μgの発現プラスミドpC4を、リポフェクチン法(Felgnerら、前出)を使用して、0.5μgのプラスミドpSVneoと同時トランスフェクトする。プラスミドpSV2−neoは、優性選択マーカー(G418を含む一群の抗生物質に対する耐性を付与する酵素をコードするTn5由来のneo遺伝子)を含む。細胞を、1mg/mlのG418を補充したαマイナスMEMに播種する。2日後、細胞をトリプシン処理し、そして10、25、または50ng/mlのメトトレキサートおよび1mg/ml G418を補充したαマイナスMEM中のハイブリドーマクローニングプレート(Greiner, Germany)に播種する。約10〜14日後、単一のクローンをトリプシン処理し、次いで異なる濃度のメトトレキサート(50nM、100nM、200nM、400nM、800nM)を用いて、6ウェルペトリ皿または10mlフラスコに播種する。次いで、最高濃度のメトトレキサートで増殖するクローンを、さらに高濃度のメトトレキサート(1μM、2μM、5μM、10mM、20mM)を含む新たな6ウェルプレートに移す。同じ手順を、100〜200μMの濃度で増殖するクローンが得られるまで繰り返す。所望の遺伝子産物の発現を、例えば、SDS−PAGEおよびウェスタンブロットによって、または逆相HPLC分析によって分析する。
【0168】
COS細胞でのクローニングおよび発現
発現プラスミドpDR5−HAを、DR5タンパク質の可溶性細胞外ドメインをコードするcDNAを、発現ベクターpcDNAI/AmpまたはpcDNAIII(Invitrogen,Inc.から入手可能)中にクローニングすることにより作製する。発現ベクターpcDNAI/ampは以下を含む:(1)E.coliおよび他の原核生物細胞での増殖に有効なE.coli複製起点;(2)プラスミド含有原核生物細胞の選択のためのアンピシリン耐性遺伝子;(3)真核生物細胞での増殖のためのSV40複製起点;(4)cDNAが都合良くCMVプロモーターの発現制御下に置かれ、そしてポリリンカー中の制限部位によりSV40イントロンおよびポリアデニル化シグナルに作動可能に連結し得るように配置された、CMVプロモーター、ポリリンカー、SV40、およびポリアデニル化シグナル。その3’末端にインフレームで融合したDR5ポリぺプチドの細胞外ドメインおよびHAタグをコードするDNAフラグメントを、組換えタンパク質発現がCMVプロモーターによって指向されるように、ベクターのポリリンカー領域にクローニングする。HAタグは、Wilsonら、Cell 37:767 (1984)により記載されるインフルエンザ赤血球凝集素タンパク質由来のエピトープに対応する。標的タンパク質へのHAタグの融合により、HAエピトープを認識する抗体を有する組換えタンパク質の検出と回収が容易になる。
【0169】
プラスミド構築ストラテジーは、以下の通りである。寄託クローンのDR5 cDNAを、E.coliでのDR5の発現のためのベクター構築について上で詳しく記載した都合の良い制限部位を含むプライマーを用いて増幅する。発現されたDR5の検出、精製、および特徴付けを容易にするために、プライマーの1つは、上記のように赤血球凝集素タグ(「HAタグ」)を含む。
【0170】
好適なプライマーとしては、この実施例で使用される以下のものがあげられる。下線のBamHI部位を含む5’プライマーは、以下の配列を有する:5’−CGCGGATCCGCCATCATGGAACAACGGGGACAGAAC−3’(配列番号10)。下線を付したAsp718制限配列を含む3’プライマーは、以下の配列を有する:5’−CGCGGTACCTTAGCCTGATTCTTTTGGAC−3’(配列番号12)。
【0171】
PCR増幅DNAフラグメント、およびベクター、pcDNAI/Ampを、BamHIおよびAsp718で消化し、次いで連結する。連結混合物を、E.coli株SURE(Stratagene Cloning Systems、11099 North Torrey Pines Road,La Jolla,CA 92037から入手可能)に形質転換し、形質転換した培養物をアンピシリン培地プレートにプレートし、次いでこれをインキュベートしてアンピシリン耐性コロニーを増殖させる。プラスミドDNAを耐性コロニーから単離し、そして制限分析またはその他の手段により、DR5ポリぺプチドの細胞外ドメインをコードするフラグメントの存在について試験する。
【0172】
組換えDR5の発現のために、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:a Laboratory Manual、Cold Spring Laboratory Press、Cold Spring Harbor,New York(1989)に記載されるように、DEAE−DEXTRANを用いて、上述のように、COS細胞を発現ベクターでトランスフェクトする。細胞を、このベクターによるDR5の発現の条件下でインキュベートする。
【0173】
DR5−HA融合タンパク質の発現を、例えば、Harlowら、Antibodies:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor,New York(1988)に記載の方法を用いて、放射標識および免疫沈降法により検出する。この目的のため、トランスフェクションの2日後、細胞を35S−システイン含有培地で8時間インキュベートすることにより標識する。上述のWilsonらにより記載されるように、細胞および培地を回収し、そして細胞を洗浄し、そして界面活性剤含有RIPA緩衝液:150mM NaCl、1%NP−40、0.1%SDS、1% NP−40、0.5%DOC、50mM TRIS、pH7.5で溶解する。タンパク質を、HA特異的モノクロナール抗体を用い、細胞溶解物および培養培地から沈殿させる。次いで、沈殿させたタンパク質を、SDS−PAGEおよびオートラジオグラフィーにより分析する。期待されるサイズの発現産物は細胞溶解物中に見いだされ、ネガティブコントロールには見いだされない。
【0174】
この実施例での発現に使用するプライマーセットは、この実施例でCHO発現について使用するpC4、この実施例でのCOS発現についてのpcDNAI/Amp、および以下の実施例でのバキュロウイルス発現について使用するpA2と適合性である。従って、例えば、CHO発現について増幅された完全なDR5コードフラグメントはまた、COS発現についてのpcDNAI/Ampまたはバキュロウイルス発現についてのpA2に連結され得る。
【0175】
(実施例3)
バキュロウイルス発現系におけるDR5の可溶性細胞外ドメインのクローニングおよび発現
この例示的な実施例において、プラスミドシャトルベクターpA2を使用して、完全なタンパク質をコードするクローン化DNA(その天然に付随するシグナル配列を含む)を、バキュロウイルスへ挿入し、標準的な方法(例えば、Summersら、A Manual of Methods for Baculovirus Vectors and Insect Cell Culture Procedures, Texas Agricultural Experimental Station Bulletin No. 1555 (1987)に記載される方法)を使用してDR5タンパク質を発現させる。この発現ベクターは、Autograph californica核多角体病ウイルス(ACMNPV)の強力なポリヘドロンプロモーター、続いて都合の良い制限部位を含む。組換えウイルスの平易な選択のために、プラスミドは、同じ方向で、弱いDrosophilaプロモーターの制御下で、E.coli由来のβガラクトシダーゼ遺伝子、続いて、ポリヘドリン遺伝子のポリアデニル化シグナルを含む。挿入遺伝子は、クローニングされたポリヌクレオチドを発現する生存ウイルスを生成するために、野生型ウイルスのDNAとの細胞媒介性相同組換えのためのウイルス配列を両側に隣接させている。当業者に容易に理解されるように、構築物が転写、翻訳、分泌などのための適切に配置されたシグナル(例えば、インフレームのAUGおよび必要ならばシグナルペプチド)を提供する限り、多くの他のバキュロウイルスベクター(例えば、pAc373、pVL941、およびpAcIMI)が、pA2の代わりに使用され得る。このようなベクターは、例えば、Luckowら、Virology 170: 31−39 (1989)に記載される。
【0176】
寄託されたクローン(ATCC番号97920)のDR5タンパク質の可溶性細胞外ドメインをコードするcDNA配列を、この遺伝子の5’配列および3’配列に対応するPCRオリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅する。
【0177】
DR5に対する5’プライマーは、下線を付したBamHI制限酵素部位を含む、配列5’CGCGGATCCGCCATCATGGAACAACGGGGACAGAAC−3’(配列番号10)を有する。発現ベクター中に挿入されて、以下に記載のように、DR5をコードする増幅されたフラグメントの5’末端は、効率的な切断シグナルペプチドを提供する。真核生物細胞における翻訳の開始のための効率的なシグナルは、Kozak, M., J. Mol. Biol. 196:947−950 (1987)に記載されるように、構築物のベクター部分に適切に配置される。
【0178】
DR5についての3’プライマーは、下線を付したAsp718制限、続いて図1中のDR5ヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド、続いて終止コドンを含む配列5’−CGCGGTACCTTAGCCTGATTCTTTGTGGAC−3’(配列番号12)を有する。
【0179】
増幅されたフラグメントを、市販のキット(「Geneclean」BIO 101 Inc., La Jolla, Ca)を用いて1%アガロースゲルから単離する。次いで、このフラグメントを、BamHIおよびAsp718で消化し、そして再度1%アガロースゲル上で精製する。このフラグメントを「F1」と命名する。
【0180】
プラスミドを、制限酵素BamHIおよびAsp718で消化し、そして必要に応じて、当該分野で公知の日常的な手順を用いて、仔ウシ腸ホスファターゼを用いて脱リン酸化し得る。次いで、このDNAを市販のキット(「Geneclean」BIO 101 Inc., La Jolla, Ca.)を用いて1%アガロースゲルから単離する。このベクターDNAを本明細書中で「V1」と命名する。
【0181】
フラグメントF1と脱リン酸化プラスミドV1とを、T4 DNAリガーゼで連結する。E.coli HB101細胞またはXL−1 Blue細胞(Stratagene Cloning Systems, La Jolla, CA)のような他の適切なE.coli宿主を、連結混合物で形質転換し、そして培養プレートに塗布する。ヒトDR5を有するプラスミドを含む細菌を、PCR法を用いて同定する。このPCR法では、プライマーの一つを用いてその遺伝子を増幅し、そして第2のプライマーは、十分にベクター内に由来し、その結果、DR5遺伝子フラグメントを含むそれらの細菌コロニーのみがDNAの増幅を示す。クローニングされたフラグメントの配列を、DNA配列決定によって確認する。このプラスミドを、本明細書中で、pBac DR5と命名する。
【0182】
5μgのプラスミドpBac DR5を、Felgnerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:7413−7417 (1987)によって記載されるリポフェクチン法を用いて、1.0μgの市販の線状化バキュロウイルスDNA(「BaculoGoldTM baculovirus DNA」, Pharmingen, San Diego, CA.)とともに同時トランスフェクトする。1μgのBaculoGoldTMウイルスDNAおよび5μgのプラスミドpBac DR5を、50μlの無血清グレース培地(Life Technologies Inc., Gaithersburg, MD)を含むマイクロリッタープレートの無菌ウェル中で混合する。その後、10μlのリポフェクチンおよび90μlのグレース培地を添加し、混合し、そして室温にて15分間インキュベートする。次いで、このトランスフェクション混合物を、1mlの無血清グレース培地を有する35mm組織培養プレート内に播種されたSf9昆虫細胞(ATCC CRL 1711)に滴下する。プレートを、前後に揺らして新たに添加された溶液を混合する。次いで、プレートを27℃で5時間インキュベートする。5時間後、トランスフェクション溶液をプレートから除去し、そして10%ウシ胎仔血清を補充した1mlのグレース昆虫培地を添加する。プレートをインキュベーターに戻し、そして培養を27℃で4日間続ける。
【0183】
4日後、上清を回収し、そしてSummersおよびSmith(前出)に記載されるようにプラークアッセイを行う。「Blue Gal」(Life Technologies Inc., Gaithersburg, MD)を有するアガロースゲルを、青く染色されたプラークを産生するgal発現クローンの容易な同定および単離を可能にするために用いる。(このタイプの「プラークアッセイ」の詳細な説明はまた、Life Technologies Inc.、Gaithersburg ,MDによって配布される昆虫細胞培養およびバキュロウイルス学のための使用者ガイド(第9〜10頁)においても見い出され得る)。適切なインキュベーションの後、青く染色されたプラークを、マイクロピペッター(例えば、エッペンドルフ)のチップで拾う。次いで、組換えウイルスを含む寒天を、200μlのグレース培地を含む微小遠心管中に再懸濁する。そして、組換えバキュロウイルスを含む懸濁液を用いて、35mmディッシュに播種された昆虫Sf9細胞に感染させる。4日後、これらの培養ディッシュの上清を回収し、次いでそれらを4℃で保存する。この組換えウイルスをV−DR5と称する。
【0184】
DR5遺伝子の発現を確認するために、Sf9細胞を、10%熱不活化FBSを補充したグレース培地中で増殖させる。細胞を、約2(約1〜約3)の感染多重度(「MOI」)にて組換えバキュロウイルスV−DR5で感染させる。6時間後、その培地を除去し、そしてメチオニンおよびシステインを除いたSF900 II培地(Life Technologies Inc., Gaithersburg, MDから入手可能)に置き換える。放射性標識されたタンパク質が所望される場合、42時間後、5μCiの35S−メチオニンおよび5μCiの35S−システイン(Amershamから入手可能)を添加する。細胞をさらに16時間インキュベートし、次いで細胞を遠心分離により収集する。上清中のタンパク質ならびに細胞内タンパク質をSDS−PAGE、続いて(放射性標識されていれば)オートラジオグラフィーにより分析する。精製タンパク質のアミノ末端のアミノ酸配列の微小配列決定を用いて、成熟タンパク質のアミノ末端配列を決定し得、従って分泌シグナルペプチドの切断点および長さを決定し得る。
【0185】
(実施例4)
DR5遺伝子発現の組織分布
ヒト組織におけるDR5遺伝子の発現を調べるため、とりわけ上述のSambrookらにより記載される方法を使用してノーザンブロット分析を行った。DR5タンパク質(配列番号1)の全ヌクレオチド配列を含有するcDNAプローブを、rediprimeTMDNA標識システム(Amersham Life Science)を使用して、製造業者の指示にしたがって32Pで標識した。標識後、CHROMA SPIN−100TMカラム(Clontech Laboratories,Inc.)を用いて、製造元プロトコル番号PT1200−1に従ってプローブを精製した。次に、精製標識プローブを、DR5 mRNAについて種々のヒト組織を試験するために使用した。
【0186】
種々のヒト組織(H)またはヒト免疫系組織(IM)を含むMultiple Tissue Northern(MTN)ブロットをClontech(Palo Alto CA)から入手し、ExpressHybTMハイブリダイゼーション溶液(Clontech)を用いて、製造業者のプロトコル番号PT1190−1に従って標識プローブで試験した。ハイブリダイゼーションおよび洗浄の後、ブロットを−70℃で一晩でフィルムにマウントおよび曝露した。フィルムを標準的な手順に従って感光した。DR5の発現を、心臓、脳、胎盤、肺、肝臓、骨格筋、腎臓、膵臓、脾臓、胸腺、前立腺、精巣、子宮、小腸、結腸、末梢血白血球(PBL)、リンパ節、骨髄、および胎児肝臓において検出した。
【0187】
DR5の発現をまた、以下のガン細胞株、HL60(前骨髄球白血病)、Hela細胞S3、K562(慢性骨髄性白血病)、MOLT4(リンパ芽球白血病)、Raji(バーキットリンパ腫)、SW480(結腸直腸腺ガン)、A549(肺ガン)、およびG361(メラノーマ)においてノーザンブロットによって評価し、そして試験した細胞株の全てにおいて検出した。
【0188】
(実施例5)
哺乳動物細胞におけるDR5誘導アポトーシス
Fas/APO−1およびTNFR−1の哺乳動物細胞における過剰発現は、レセプター活性化を模倣する(M. Muzioら、Cell 85:817−827 (1996); M. P. Boldinら、Cell 85:803−815 (1996))。従って、この系を、アポトーシスの誘導におけるDR5の機能的役割を研究するために利用する。この実施例は、MCF7ヒト乳ガン細胞およびヒト類上皮ガン(Hela)細胞の両方において、DR5の過剰発現がアポトーシスを誘導したことを実証する。
【0189】
実験の設計
細胞死アッセイを、本質的に以前に記載されるように行った(A.M. Chinnaiyanら、Cell 81:505−12 (1995); M.P. Boldinら、J. Biol Chem 270:7795−8 (1995); F.C. Kischkelら、EMBO 14:5579−5588 (1995); A.M. Chinnaiyanら、J Biol Xhem 271: 4961−4965 (1996))。簡単には、MCF−7ヒト乳ガンクローン細胞株およびHela細胞を、ベクター、DR5、DR5D(52−411)、またはTNFR−1と、βガラクトシダーゼレポーター構築物と一緒に同時トランスフェクトした。
【0190】
MCF7およびHela細胞を、リポフェクタミン手順(GIBCO−BRL)を使用して、製造業者の指示に従ってトランスフェクトした。293細胞を、CaPO4沈澱を使用してトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後に、以前に記載のように(A.M. Chinnaiyanら、Cell 81:505−12 (1995): M.P. Boldinら、J Biol Chem 270:7795−8 (1995); F.C. Kischkelら、EMBO 14:5579−5588 (1995))、細胞を固定してX−Galで染色し、そして顕微鏡で観察した。図5に示すデータ(平均±SD)は、円形のアポトーシス細胞のパーセントを総βガラクトシダーゼポジティブ細胞の関数として表す(n=3)。DR5の過剰発現は、MCF7(図5A)およびHela細胞(図5B)の両方においてアポトーシスを誘導した。
【0191】
MCF7細胞をまた、z−VAD−fmk(20μl)(Enzyme Systems Products, Dublin, CA)の存在下で、DR5発現構築物でトランスフェクトするか、または3倍過剰のCrmA(M. Tewariら、J Biol Chem 270:3255−60 (1995))もしくはFADD−DN発現構築物、もしくはベクター単独でトランスフェクトした。図5Cに示すデータは、DR5によって誘導されたアポトーシスが、カスパーゼインヒビターによって弱められるが、優性ネガティブFADDによっては弱められないことを示す。
【0192】
図5Dに示されるように、DR5は、FADDまたはTRADDとはインビボで会合しなかった。293細胞を、カルシウムリン酸沈澱を使用して、示された発現構築物とともに同時トランスフェクトした。トランスフェクションの後(40時間で)、細胞溶解物を調製し、そしてFlag M2抗体アフィニティーゲル(IBI, Kodak)で免疫沈降させ、そしてFADDまたはmyc−タグ化TRADD(myc−TRADD)の存在を、FADDに対するポリクローナル抗体またはmycに対する西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)結合体化抗体(BMB)を用いる免疫ブロッティングによって検出した(Baker, S.J.ら、Oncogene 12:1(1996); Chinnaiyan, A.M.ら、Science 274:990 (1996))。
【0193】
図5Eに示すように、FLICE2−DNは、DR5誘導アポトーシスをブロックする。293細胞を、DR5またはTNFR−1発現構築物と同時トランスフェクトし、そして示されたように4倍過剰のCrmA、FLICE−DN、FLICE 2−DN、またはベクター単独とともに、βガラクトシダーゼの報告された構築物の存在下で同時トランスフェクトした。細胞を染色し、そして25〜30時間後に試験した。
【0194】
結果
DR5の過剰発現は、MCF7ヒト乳ガン細胞(図5A)およびヒト類上皮ガン(Hela)細胞(図5B)の両方において、アポトーシスを誘導した。トランスフェクトした細胞のほとんどは、アポトーシスを経験している細胞に特徴的な形態学的な変化(Earnshaw, W.C., Curr. Biol. 7:337 (1995))を示し、円形になり濃縮されて、そしてディッシュから脱離した。死ドメインの欠失は、殺傷能力を消失させた。DR4と同様に、DR5誘導アポトーシスは、カスパーゼインヒビター、CrmAおよびz−VAD−fmkによってブロックされたが、優性ネガティブFADDは効果がなかった(図5C)。これと一致して、DR5はFADDおよびTRADDとインビボで相互作用しなかった(図5D)。新たに同定したFLICE様分子の優性ネガティブバージョン、FLICE2(Vincenz, Cら、J. Biol. Chem. 272:6578 (1997))は、効率的にDR5誘導アポトーシスをブロックしたのに対し、優性ネガティブFLICEは、ブロックした条件下で部分的な効果を有するのみであった。TNFR−1は、アポトーシスを効率的に誘導した(図5E)。まとめると、証拠は、RD5が、FLICE2および下流のカプラーゼの活性化を包含するアポトーシスプログラムに参加しているが、FADDとは独立であることを示唆する。
【0195】
(実施例6)
DR5の細胞外ドメインは、細胞傷害性リガンド−−TRILに結合し、そしてTRIL−誘導アポトーシスをブロックする
上記で議論されるように、TRAIL/Apo2Lは、腫瘍壊死因子(TNF)リガンドファミリーに属し、そしてその死ドメインがレセプターDR4(両方の細胞型において発現される)を含有するにもかかわらず、多くの形質転換細胞株の迅速な細胞死を誘導するが、通常組織では誘導しない細胞傷害性リガンドである。この実施例は、本発明のレセプターRD5もまたTRAILに結合することを示す。
【0196】
DR5およびDR4の細胞外リガンド結合システインリッチドメインの類似性を仮定することによって、本発明者らは、DR5がまたTRAILに結合することを理論づける。このことを確認するために、DR5の可溶性細胞外リガンド結合ドメインを、ヒト免疫グロブリン(IgG)のFc部分に対する融合物として発現した。
【0197】
図6Aに示すように、DR5−Fcは、特異的にTRAILに結合するが、関連する細胞傷害性リガンドTNFαには結合しなかった。この実験において、DR5、DR4、TRID、またはTNFR1のFc細胞外ドメインおよび対応するリガンドを調製し、そして結合アッセイをPanら、Science 276:111 (1997)に記載されるように行った。それぞれのFc融合物を、プロテインGセファローズとともに沈澱させ、そして共沈した可溶性リガンドを、抗Flag(Babco)または抗myc−HRP(BMB)を用いたイムノブロッティングによって検出した。図6Aの下部パネルは、結合アッセイにおいて存在するインプットFc融合物を示す。
【0198】
さらに、DR5−Fcは、TRAILのアポトーシスを誘導する能力をブロックした(図6B)。MCF7細胞を、等量のFc融合物またはFc単独の存在下で、可溶性TRAIL(200ng/ml)で処置した。6時間後、細胞を固定し、そしてPanら(同書)に記載されるように試験した。図6Bに示すデータ(平均±SD)は、計数される総核のうちのアポトーシス核のパーセントである(n=4)。
【0199】
最後に、DR5−Fcは、TNFR1−Fcが完全にTNFα殺傷を消失させる条件下で、アポトーシスTNFα誘導細胞死に対する効果を有さなかった(図6C)。MCF7細胞を、等量のFc融合物またはFc単独の存在下で、TNFα(40ng/ml; Genentech, Inc.)で処理した。核を染色し、そして11〜15時間後に試験した。
【0200】
TRAILのためのレセプターとしてDR5を新たに同定したことは、TRAIL開始シグナル伝達の生物学にさらなる複雑性を加える。
【0201】
本発明が、前述の説明および実施例において具体的に記載されるものとは異なった様式で実施され得ることは、明らかである。
【0202】
本発明の多くの改変および変形は、上記の教示を参考にして可能であり、それゆえ、添付の請求の範囲内にある。
【0203】
本明細書中で参照される全ての特許、特許出願、および刊行物の全開示は、本明細書中で参考として援用される。
【0204】
【表2】
【0205】
【表3】
【0206】
(配列表)
【0207】
【表4】
【0208】
【表5】
【0209】
【表6】
【0210】
【表7】
【0211】
【表8】
【0212】
【表9】
【0213】
【表10】
【0214】
【表11】
【0215】
【表12】
【0216】
【表13】
【0217】
【表14】
【0218】
【表15】
【図面の簡単な説明】
【0219】
【図1A】図1は、DR5のヌクレオチド配列(配列番号1)および推定アミノ酸配列(配列番号2)を示す。アミノ酸1〜51(下線を付した)は、シグナルペプチドを構成し(配列番号2のアミノ酸残基約−51〜約−1);アミノ酸52〜184は、細胞外ドメインを構成し(配列番号2のアミノ酸残基約1〜約133);アミノ酸185〜208(下線を付した)は、膜貫通ドメインを構成し(配列番号2のアミノ酸残基約134〜約157);そしてアミノ酸209〜411は、細胞内ドメインを構成し(配列番号2のアミノ酸残基約158〜360)、そのアミノ酸324〜391(斜字体)は死ドメインを構成する(配列番号2のアミノ酸残基約273〜約340)と予測される。
【図1B】図1は、DR5のヌクレオチド配列(配列番号1)および推定アミノ酸配列(配列番号2)を示す。アミノ酸1〜51(下線を付した)は、シグナルペプチドを構成し(配列番号2のアミノ酸残基約−51〜約−1);アミノ酸52〜184は、細胞外ドメインを構成し(配列番号2のアミノ酸残基約1〜約133);アミノ酸185〜208(下線を付した)は、膜貫通ドメインを構成し(配列番号2のアミノ酸残基約134〜約157);そしてアミノ酸209〜411は、細胞内ドメインを構成し(配列番号2のアミノ酸残基約158〜360)、そのアミノ酸324〜391(斜字体)は死ドメインを構成する(配列番号2のアミノ酸残基約273〜約340)と予測される。
【図2A】図2は、DR5(HLYBX88)、ヒト腫瘍壊死因子レセプター1(h TNFR1)(配列番号3)、ヒトFasタンパク質(配列番号4)、およびレセプター3を含む死ドメイン(配列番号5)のアミノ酸配列間の類似性領域を示す。比較は、DNA Star suite プログラムに含まれる、Megalignプログラムで、Clustal法を使用して行われた。
【図2B】図2は、DR5(HLYBX88)、ヒト腫瘍壊死因子レセプター1(h TNFR1)(配列番号3)、ヒトFasタンパク質(配列番号4)、およびレセプター3を含む死ドメイン(配列番号5)のアミノ酸配列間の類似性領域を示す。比較は、DNA Star suite プログラムに含まれる、Megalignプログラムで、Clustal法を使用して行われた。
【図2C】図2は、DR5(HLYBX88)、ヒト腫瘍壊死因子レセプター1(h TNFR1)(配列番号3)、ヒトFasタンパク質(配列番号4)、およびレセプター3を含む死ドメイン(配列番号5)のアミノ酸配列間の類似性領域を示す。比較は、DNA Star suite プログラムに含まれる、Megalignプログラムで、Clustal法を使用して行われた。
【図3】図3は、DR5アミノ酸配列の分析を示す。α、β、ターン、およびコイル領域;親水性および疎水性;両親媒性領域;可撓性領域;抗原性指数、および表面確率が示されている。「抗原性指数−Jameson−Wolf」のグラフでは、図1に示されるアミノ酸残基約62〜約110、約119〜約164、約224〜約271、および約275〜約370が、示されるDR5タンパク質の高度な抗原性領域に一致する。図1におけるこれらの高度に抗原性のフラグメントは、配列番号2の以下のフラグメントにそれぞれ一致する:アミノ酸残基約11〜約59、約68〜約113、約173〜約220、および約224〜約319。
【図4】図4は、図1(配列番号1)に示されるヌクレオチド配列に関連する2つのcDNA分子のヌクレオチド配列(HAPBU13RおよびHSBBU76R)を示す。
【図5A】図5Aは、DR5過剰発現によって誘導されるMCF7ヒト乳癌細胞におけるアポトーシスを示す棒グラフである。図5Bは、DR5過剰発現によって誘導されるヒト類表皮癌(Hela)細胞におけるアポトーシスを示す棒グラフである。図5Cは、DR5に誘導されるアポトーシスが、カスパーゼ(caspase)インヒビターであるCrmAおよびz−VAD−fmkによってブロックされるが、優性ネガティブなFADDは効果がないことを示す棒グラフである。図5Dは、DR4と同様に、DR5は、インビボではFADDおよびTRADDと相互作用しないことを示す示すイムノブロットである。図5Eは、新しく同定した、FLICE様分子の優性ネガティブバージョン(version)である、FLICE2(Vincenz, C.ら、J. Biol. Chem. 272:6578 (1997))が効率的にDR5誘導性のアポトーシスをブロックするが、一方優性ネガティブFLICEは、それがブロックした条件下で部分的な効果のみ有したことを示す棒グラフである。TNFR−1がアポトーシスを効果的にブロックしたことも示す。
【図5D】図5Aは、DR5過剰発現によって誘導されるMCF7ヒト乳癌細胞におけるアポトーシスを示す棒グラフである。図5Bは、DR5過剰発現によって誘導されるヒト類表皮癌(Hela)細胞におけるアポトーシスを示す棒グラフである。図5Cは、DR5に誘導されるアポトーシスが、カスパーゼ(caspase)インヒビターであるCrmAおよびz−VAD−fmkによってブロックされるが、優性ネガティブなFADDは効果がないことを示す棒グラフである。図5Dは、DR4と同様に、DR5は、インビボではFADDおよびTRADDと相互作用しないことを示す示すイムノブロットである。図5Eは、新しく同定した、FLICE様分子の優性ネガティブバージョン(version)である、FLICE2(Vincenz, C.ら、J. Biol. Chem. 272:6578 (1997))が効率的にDR5誘導性のアポトーシスをブロックするが、一方優性ネガティブFLICEは、それがブロックした条件下で部分的な効果のみ有したことを示す棒グラフである。TNFR−1がアポトーシスを効果的にブロックしたことも示す。
【図5E】図5Aは、DR5過剰発現によって誘導されるMCF7ヒト乳癌細胞におけるアポトーシスを示す棒グラフである。図5Bは、DR5過剰発現によって誘導されるヒト類表皮癌(Hela)細胞におけるアポトーシスを示す棒グラフである。図5Cは、DR5に誘導されるアポトーシスが、カスパーゼ(caspase)インヒビターであるCrmAおよびz−VAD−fmkによってブロックされるが、優性ネガティブなFADDは効果がないことを示す棒グラフである。図5Dは、DR4と同様に、DR5は、インビボではFADDおよびTRADDと相互作用しないことを示す示すイムノブロットである。図5Eは、新しく同定した、FLICE様分子の優性ネガティブバージョン(version)である、FLICE2(Vincenz, C.ら、J. Biol. Chem. 272:6578 (1997))が効率的にDR5誘導性のアポトーシスをブロックするが、一方優性ネガティブFLICEは、それがブロックした条件下で部分的な効果のみ有したことを示す棒グラフである。TNFR−1がアポトーシスを効果的にブロックしたことも示す。
【図6A】図6Aは、DR5−Fc(ならびにDR4およびTRID)が、特異的にTRAILに結合するが、関連する細胞毒性リガンドTNFαに結合しないことを示すイムノブロットである。図6Aの下部のパネルは、結合アッセイ中に存在するFc融合物の入力を示す。図6Bは、DR5−FcがTRAILのアポトーシスを誘導する能力をブロックしたことを示す棒グラフである。図6Bに示されるデータ(平均±SD)は、計数された全核(n=4)中のアポトーシス性の核のパーセントである。図6Cは、TNFR1−Fcが完全にTNFα殺傷を無効にした条件下で、DR5−Fcはアポトーシス性TNFα誘導細胞死に効果を有さなかったことを示す棒グラフである。
【図6C】図6Aは、DR5−Fc(ならびにDR4およびTRID)が、特異的にTRAILに結合するが、関連する細胞毒性リガンドTNFαに結合しないことを示すイムノブロットである。図6Aの下部のパネルは、結合アッセイ中に存在するFc融合物の入力を示す。図6Bは、DR5−FcがTRAILのアポトーシスを誘導する能力をブロックしたことを示す棒グラフである。図6Bに示されるデータ(平均±SD)は、計数された全核(n=4)中のアポトーシス性の核のパーセントである。図6Cは、TNFR1−Fcが完全にTNFα殺傷を無効にした条件下で、DR5−Fcはアポトーシス性TNFα誘導細胞死に効果を有さなかったことを示す棒グラフである。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、レセプターの腫瘍壊死因子ファミリーの新規なメンバーに関する。より詳細には、ヒト死ドメイン含有レセプター5(すなわち、単純に「DR5」)をコードする単離された核酸分子が提供される。DR5ポリペプチドもまた提供され、ベクター、宿主細胞、およびこれらを産生するための組換え方法も提供される。本発明はさらに、DR5活性のアゴニストおよびアンタゴニストを同定するためのスクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連分野
多数の生物学的作用(例えば、特定の刺激への応答および天然の生物学的プロセス)は、サイトカインのような因子によって制御される、多くのサイトカインは、レセプターを係合し、そして細胞内応答を産生することによって、レセプターを通して作用する。
【0003】
例えば、腫瘍壊死因子(TNF)αおよびβはサイトカインであり、これは多数の生物学的プロセスを制御するTNFレセプターを通して作用し、このプロセスとしては、感染およびショックの導入および炎症性疾患に対する防御が挙げられる。TNF分子は、「TNFリガンド」スーパーファミリーに属し、そしてそれらのレセプターまたは対抗リガンド「TNFレセプター」スーパーファミリーとともに作用する。従来、TNFリガンドスーパーファミリーの9のメンバーが同定されており、そしてTNFレセプタースーパーファミリーの10のメンバーが特徴付けられている。
【0004】
リガンドとしては、TNFα、リンフォトキシンα(LT−α、TNFβとしてもまた公知である)、LT−β(複合体異種三量体のLT−α−βに見出される)、FasL、CD40L、CD27L、CD30L、4−1BBL、OX40L、および神経成長因子(NGF)が挙げられる。TNFレセプターのスーパーファミリーとしては、p55TNFレセプター、p75TNFレセプター、TNFレセプター関連タンパク質、FAS抗原、またはAPO−1、CD40、CD27、CD30、4−1BB、OX40、低親和性p75、およびNGFレセプターが挙げられる(Meager,A., Biologicals, 22:291−295(1994))。
【0005】
TNFリガンドスーパーファミリーの多くのメンバーは、活性化T細胞によって発現され、このことは、細胞個体発生および機能の基礎となる他の細胞型とのT細胞相互作用に必要であることを意味する。(Meager,A.,前出)。
【0006】
TNFレセプターファミリーのいくつかのメンバーの必須の機能に関する考慮すべき見識は、これらのタンパク質の発現を回避する変異体の同定および創生から得られている。例えば、FAS抗原およびそのリガンドに天然に存在する変異は、リンパ球増殖性疾患を引き起こし(Watanabe−Fukunaga,R.,ら、Nature 356:314(1992))、これはおそらく、プログラムされた細胞死の失敗に反映する。CD40リガンドの変異は、血漿中の高レベルの免疫グロブリンMおよび低レベルの免疫グロブリンGによって特徴付けられるX関連免疫欠損状態を引き起こし、これは欠陥のあるT細胞依存性B細胞活性化を引き起こす(Allen,R.C.ら、Science 259:990(1993))。低親和性神経成長因子レセプターの標的化変異は、末梢構造の欠陥のある感覚性新機軸(sensory innovation)によって特徴付けられる障害を引き起こす(Lee,K.F.ら、Cell 69:737(1992))。
【0007】
TNFおよびLT−αは、2つのTNFレセプター(55および75kdTNFレセプター)に結合し得る。TNFおよびLT−αによって誘発される(それらのレセプターを通じて作用する)多数の生物学的効果としては、移植された腫瘍の出血性壊死、細胞傷害性、内毒素ショックにおける役割、炎症、免疫調節、増殖および抗ウイルス応答、ならびに電離放射線の有害な効果に対する防御が挙げられる。TNFおよびLT−αは、広範な疾患の病原性に関与し、これには、内毒素ショック、大脳マラリア、腫瘍、自己免疫疾患、AIDS、および移植片−宿主拒絶が挙げられる(Beutler,BおよびVon Huffel,C., Science 264:667−668(1994))。p55レセプターにおける変異は、微生物感染に対する感受性を増加させる。
【0008】
さらに、TNFR1(p55)およびFas付近の約80アミノ酸ドメインが、「死ドメイン」として報告され、これはプログラムされた細胞死についての形質導入シグナルを担う(Tartagliaら、Cell 74:845(1993))。
【0009】
アポトーシスまたはプログラムされた細胞死は、多細胞生物の正常な発生および恒常性に必須の生理学的プロセスである(H.Steller, Science 267:1445−1449(1995))。アポトーシスの撹乱は、ガン、神経変性疾患、および後天性免疫疾患症候群を含むいくつかのヒト疾患の病原性に寄与する(C.B.Thompson, Science 267:1456−1462(1995))。近年、多くの注目が、2つの細胞表面死レセプターFas/APO−1およびTNFR−1のシグナル形質導入および生物学的機能に集中している(J.L.Clevelandら、Cell 81:479−482(1995);A.Fraserら、Cell 85:781−784(1996);S.Nagataら、Science 267:1449−56(1995))。両方とも、TNFレセプターファミリーのメンバーであり、これらはまた、とりわけ、TNFR−2、低親和性NGFR、CD40、およびCD30を含む(C.A.Smithら、Science 248:1019−23(1990);M.Tewariら、in Modular Texts in Molecular and Cell Biology M. Purton, Heldin, Carl編、(Chapman and Hall, London, 1995))。ファミリーメンバーは、それらの細胞外ドメインにおけるシステインリッチ反復の存在によって規定されるが、Fas/APO−1およびTNFR−1もまた、細胞内相同性の領域(適切には「死ドメイン」と称され、これはDrosophila suicide遺伝子reaperの遠縁にあたる)を共有する(P.Golsteinら、Cell 81:185−186(1995);K.Whiteら、Science 264:677−83(1994))。この共有された死ドメインは、両方のレセプターが、最近まで未確認のままの、関連セットのシグナル形質導入分子と相互作用することが示唆される。Fas/APO−1の活性化は、死ドメイン含有アダプター分子FADD/MORT1(A.M.Chinnaiyanら、Cell 81:505−12(1995);M.P.Boldinら、J.Biol Chem 270:7795−8(1995);F.C.Kischkelら、EMBO 14:5579−5588(1995))を補充し、これは順に、FLICE/MACH1(プロアポトーシスプロテアーゼのICE/CED−3ファミリーのメンバー)に結合し、そしておそらく活性化する(M.Muzioら、Cell 85:817−827(1996);M.P.Boldinら、Cell 85:803−8151(1996))。Fas/APO−1の中心の役割は、細胞死を引き起こすことであるが、TFNR−1は、その多くがNF−kBを活性化する能力に由来する多様な生物学的活性の整列を合図し得る(L.A.Tartagliaら、Immunol Today 13:151−3(1992))。従って、TNFR−1は、多価アダプター分子TRADDを補充し、これはFADDに類似し、死ドメインもまた含む(H.Hsuら、Cell 81:495−504(1995);H.Hsu,ら、Cell 84:299−308(1996))。FADD、TRAF2、およびRIPを含むシグナル分子の数との関連を通じて、TRADDは、アポトーシスおよびNF−kB活性化の両方を合図し得る(H.Hsuら、Cell 84:299−308(1996)Cell 84:299−308(1996);H.Hsuら、Immunity 4:387−396(1996))。
【0010】
近年、新たなアポトーシス誘導性TNFリガンドが発見されている。S.R.Wileyら(Immunity 3:673−682(1995))は、分子を「TNF関連アポトーシス誘導性リガンド」または単純に「TRAIL]と命名した。この分子はまた、「Apo−2リガンド」または「Apo−2L」とも称された。R.M.Pittら、J.Biol.Chem. 271:12687−12690(1996)。この分子はまた、同時継続中の米国特許分割出願第60/013,405号にも開示された。便宜上、この分子は、本明細書中でTRAILとして称される。
【0011】
FASリガンド(この転写物は、刺激されたT細胞に非常に制限されるようである)とは異なり、有意なレベルのTRAILが、多くのヒト組織(例えば、脾臓、胚、前立腺、胸腺、卵巣、小腸、結腸、末梢血リンパ球、胎盤、腎臓)において検出され、そしていくつかの細胞株によって連続的に転写される。TRAILはFasリガンドから独立して作用することが示されている(Wileyら、前出)。TRAILはFas/Apo−1Lによる死伝達と同様の時間枠内で、迅速にアポトーシスを活性化するが、TNF誘導性アポトーシスより早いことが示されている。S.A.Marstersら、Current Biology 6:750−752(1996)。TRAILのTNFR−1、Fas、または近年同定されたDR3への結合の不能性は、TRAILは、独特のレセプターと相互作用し得ることを示唆する。
【0012】
TRAILについてのいくつかの独特のレセプターは、すでに同定されている。同時継続中の米国分割特許出願番号第60/035,722号において、DR4(TRAILについての新規な死ドメイン含有レセプター)が開示された。Panら、Science 276,111−113(1997年4月)を参照のこと。TR5レセプター(同時継続中の米国分割特許出願番号第60/035,496号の主題)は、TRAILに結合することが示されている。同時継続中の米国分割特許出願番号第60/xxxxxxにおいて、TR10レセプターもまたTRAILに結合し、これはDR4との配列相同性に起因することが予測された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
TNFファミリーリガンドおよびTNFファミリーレセプターの効果は変化し、そして哺乳動物系の生物学的プロセスにおいて正常および異常の両方の多数の機能に影響する。それゆえ、正常および疾患状態の両方において生物学的活性に影響するこのようなレセプターおよびリガンドの同定および特徴づけのための明確な必要性が存在する。特に、TRAILに結合するさらなる新規なレセプターを単離および特徴付ける必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明の要旨
本発明は、単離された核酸分子を提供し、これは、図1(配列番号2)に示されるアミノ酸配列または1997年3月7日にATCC受託番号97920として寄託されたcDNAクローンによってコードされるアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む
本発明はまた、組換えベクター(本発明の単離された核酸分子を含む)を提供し、そして組換えベクターを含む宿主細胞、ならびにこのようなベクターおよび宿主細胞を作成する方法、およびDR5ポリペプチドまたはペプチドの組換え技術による産生のためにそれらを使用するための方法を提供する。
【0015】
本発明はさらに、本明細書中に記載されるポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列を有する単離されたDR5ポリペプチドを提供する。
【0016】
本発明はまた、DR5タンパク質のレベルを検出するための定量的および診断用アッセイのような診断用アッセイを提供する。従って、例えば、正常なコントロール組織サンプルと比較してDR5またはその可溶性形態の過剰発現を検出するための本発明による診断用アッセイが、腫瘍の存在を検出するのに使用され得る。
【0017】
腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーリガンドは、最も多面性のサイトカインの中にあることが公知であり、これは、細胞毒性、抗ウイルス活性、免疫調節活性、およびいくつかの遺伝子の転写調節を含む大多数の細胞性応答を含む。TNFファミリーリガンドに対する細胞性応答は、正常な生理学的応答だけでなく、増加したアポトーシスに関連する疾患またはアポトーシスの阻害も含む。アポトーシス(プログラムされた細胞死)は、免疫系の末梢Tリンパ球の欠失に関与する生理学的機構であり、そしてその調節不全は、多数の異なる病原性プロセスを導き得る。増加した細胞生存に関連する疾患、またはアポトーシスの阻害としては、ガン、自己免疫疾患、ウイルス感染、炎症、移植片対宿主疾患、急性移植片拒絶、および慢性移植片拒絶が挙げられる。増加したアポトーシスに関連する疾患としては、AIDS、神経変性障害、脊髄形成異常症候群、虚血性障害、毒素誘導性肝臓疾患、敗血症性ショック、悪液質、および摂食障害が挙げられる。
【0018】
従って、本発明はさらに、TNFファミリーリガンドによって誘導されるアポトーシスを増強するための方法を提供し、これは、DR5ポリペプチドを発言する細胞に、DR5媒介性伝達を増加し得るアゴニストの有効量を投与する工程を包含する。好ましくは、DR5媒介性伝達は、疾患を処置するために増加され、ここで減少したアポトーシスが示される。
【0019】
さらなる局面において、本発明は、TNFファミリーリガンドによって誘導されるアポトーシスを阻害するための方法に関し、これはDR5ポリペプチドを発現する細胞に、DR5媒介性伝達を減少し得るアンタゴニストの有効量を投与する工程を包含する。好ましくは、DR5媒介性伝達は、疾患を処置するために減少され、ここで増加したアポトーシスが示される。
【0020】
本発明のいずれの候補体「アゴニスト」または「アンタゴニスト」がアポトーシスを増強または阻害し得るかどうか、当該分野で公知のTNFファミリーリガンド/レセプター細胞応答アッセイを用いて決定され得、これは以下により詳細に記載される。従って、さらなる局面において、スクリーニング方法は、候補体アゴニストまたはアンタゴニストがTNFファイリーリガンドに対する細胞応答を増強または阻害し得るかどうかを決定する工程が提供される。この方法は、DR5ポリペプチドを発現する細胞を、候補体化合物およびTNFファミリーリガンドと接触させる工程、細胞応答をアッセイする工程、ならびに細胞応答を標準的な細胞応答と比較する工程を含み、候補体化合物の非存在下でリガンドとの接触がなされ、それにより、標準を超える増加した細胞応答は、候補化合物がリガンド/レセプター伝達経路のアゴニストであることを示し、そして標準に比べて減少した細胞応答は、候補体化合物が、リガンド/レセプター伝達経路のアンタゴニストであることを示す。本発明によって、DR5ポリペプチドを発現する細胞は、内因性または外因的に投与されたTNFファミリーリガンドのいずれかと接触させられ得る。
【0021】
したがって、本発明は、以下を提供する。
1.単離された核酸分子であって、以下:
(a)配列番号2のアミノ酸約−51〜約360を含むポリヌクレオチドをコードするヌクレオチド配列;
(b)配列番号2のアミノ酸約−50〜約360を含むポリヌクレオチドをコードするヌクレオチド配列;
(c)配列番号2のアミノ酸約1〜約360を含むポリヌクレオチドをコードするヌクレオチド配列;
(d)ATCC受託番号97920に含まれるcDNAクローンによってコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(e)ATCC受託番号97920に含まれるcDNAクローンによってコードされるアミノ酸配列を有する成熟DR5ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(f)DR5細胞外ドメインをコードするヌクレオチド配列;
(g)DR5膜貫通ドメインをコードするヌクレオチド配列;
(h)DR5細胞内ドメインをコードするヌクレオチド配列;
(i)DR5死ドメインをコードするヌクレオチド配列;および
(j)上記の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、または(i)のいずれかのヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列、
からなる群より選択される配列に少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む、単離された核酸分子。
2.上記ポリヌクレオチドが配列番号1のヌクレオチド配列を有する、項目1に記載の核酸分子。
3.上記ポリヌクレオチドが、配列番号2のアミノ酸配列を有するDR5ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有する、項目1に記載の核酸分子。
4.上記ポリヌクレオチドが、配列番号2のアミノ酸配列を有する成熟DR5ポリペプチドをコードする配列番号1のヌクレオチド配列を有する、項目1に記載の核酸分子。
5.上記ポリヌクレオチドが、ATCC受託番号97920に含まれるcDNAクローンの完全ヌクレオチド配列を有する、項目1に記載の核酸分子。
6.上記ポリヌクレオチドが、ATCC受託番号97920に含まれるcDNAクローンによてコードされるアミノ酸配列を有するDR5ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有する、項目1に記載の核酸分子。
7.上記ポリヌクレオチドが、ATCC受託番号97920に含まれるcDNAクローンによってコードされるアミノ酸配列を有する成熟DR5ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有する、項目1に記載の核酸分子。
8.単離された核酸分子であって、項目1に記載の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、または(j)のヌクレオチド配列と同一のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド配列に、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド配列を含み、ここで上記ハイブリダイズするポリヌクレオチドが、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、アデノシンヌクレオチドのみまたはチミジンヌクレオチドのみからなるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドにハイブリダイズしない、単離された核酸分子。
9. 項目1に記載の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、または(i)のアミノ酸配列を有するDR5ポリペプチドのエピトープ保有部分のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含む、単離された核酸分子。
10.配列番号2のアミノ酸残基約11〜約59を含むポリペプチド;配列番号2のアミノ酸残基約68〜約113を含むポリペプチド;配列番号2のアミノ酸残基約173〜約220を含むポリペプチド;および配列番号2のアミノ酸残基約224〜約319を含むポリペプチド、からなる群より選択されるDR5ポリペプチドのエピトープ保有部分をコードする、項目9に記載の単離された核酸分子。
11.DR5細胞外ドメインをコードする、項目1に記載の単離された核酸分子。
12.DR5膜貫通ドメインをコードする、項目1に記載の単離された核酸分子。
13.DR5細胞内ドメインをコードする、項目1に記載の単離された核酸分子。
14.組換えベクターを作製する方法であって、項目1に記載の単離された核酸分子をベクターに挿入する工程を包含する、方法。
15.項目14に記載の方法によって産生される、組換えベクター。
16.組換え宿主細胞を作製する方法であって、項目1に記載の単離された核酸分子を宿主細胞に挿入する工程を包含する、方法。
17.項目16に記載の方法によって産生される、組換え宿主細胞。
18.DR5ポリペプチドを産生するための組換え方法であって、項目17に記載の組換え宿主細胞を、上記ポリペプチドが発現されるような条件下で培養する工程、および上記ポリペプチドを回収する工程、を包含する組換え方法。
19.単離されたDR5ポリペプチドであって、以下:
(a)配列番号2のアミノ酸約−51〜約360;
(b)配列番号2のアミノ酸約−50〜約360;
(c)配列番号2のアミノ酸約1〜約360;
(d)ATCC受託番号97920に含まれるcDNAクローンによってコードされるアミノ酸配列を有するDR5ポリペプチドのアミノ酸配列;
(e)ATCC受託番号97920に含まれるcDNAクローンによってコードされるアミノ酸配列を有する成熟DR5ポリペプチドのアミノ酸配列;
(f)DR5細胞外ドメインのアミノ酸配列;
(g)DR5膜貫通ドメインのアミノ酸配列;
(h)DR5細胞内ドメインのアミノ酸配列;
(i)DR5死ドメインのアミノ酸配列;および
(j)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、または(j)のポリペプチドのいずれか1つのエピトープ保有部分のアミノ酸配列、
からなる群より選択される配列に少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む、単離されたDR5ポリペプチド。
20.DR5タンパク質のエピトープ保有部分を含む単離されたポリペプチドであって、ここで上記部分が、配列番号2のアミノ酸残基約11〜約59を含むポリペプチド;配列番号2のアミノ酸残基約68〜約113を含むポリペプチド;配列番号2のアミノ酸残基約173〜約220を含むポリペプチド;および配列番号2のアミノ酸残基約224〜約319を含むポリペプチド、からなる群より選択される、単離されたポリペプチド。
21.項目19に記載のDR5ポリペプチドに特異的に結合する、単離された抗体。
22.単離された核酸分子であって、以下:
(a)クローンHAPBU13R(配列番号6)のヌクレオチド配列;
(b)クローンHSBBU76R(配列番号7)のヌクレオチド配列;
(c)図1(配列番号1)に示される配列の部分のヌクレオチド配列であって、ここで上記部分が、ヌクレオチド284〜1,362の少なくとも50の連続するヌクレオチドを含む、ヌクレオチド配列;および
(d)上記の(a)、(b)、または(c)のヌクレオチド配列のいずれかに相補的なヌクレオチド配列、
からなる群より選択される配列に、少なくとも95%同一の配列を有するポリヌクレオチドを含む、単離された核酸分子。
23.DR5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む単離された核酸分子であって、ここで、少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を除いて、上記ポリペプチドは、以下:
(a)配列番号2のアミノ酸約−51〜約360を含むポリヌクレオチドをコードするヌクレオチド配列;
(b)配列番号2のアミノ酸約−50〜約360を含むポリヌクレオチドをコードするヌクレオチド配列;
(c)配列番号2のアミノ酸約1〜約360を含むポリヌクレオチドをコードするヌクレオチド配列;
(d)ATCC受託番号97920に含まれるcDNAによってコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(e)ATCC受託番号97920に含まれるcDNAクローンによってコードされるアミノ酸配列を有する成熟DR5ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(f)DR5細胞外ドメインをコードするヌクレオチド配列;
(g)DR5膜貫通ドメインをコードするヌクレオチド配列;
(h)DR5細胞内ドメインをコードするヌクレオチド配列;
(i)全てまたは一部の膜貫通ドメインが欠失される、DR5レセプター細胞外および細胞内ドメインをコードするヌクレオチド配列;ならびに
(j)DR5死ドメインをコードするヌクレオチド配列;
(k)上記の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、または(j)のいずれかに相補的なヌクレオチド配列、
からなる群より選択される配列を有する、単離された核酸分子。
24.単離されたDR5ポリペプチドであって、ここで、少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を除いて、上記ポリペプチドは、以下:
(a)配列番号2のアミノ酸約−51〜約360;
(b)配列番号2のアミノ酸約−50〜約360;
(c)配列番号2のアミノ酸約1〜約360;
(d)ATCC受託番号97920に含まれるcDNAによってコードされるアミノ酸配列を有するDR5ポリペプチドのアミノ酸配列;
(e)ATCC受託番号97920に含まれるcDNAクローンによってコードされるアミノ酸配列を有する成熟DR5ポリペプチドのアミノ酸配列;
(f)DR5レセプター細胞外ドメインをコードするアミノ酸配列;
(g)DR5レセプター膜貫通ドメインをコードするアミノ酸ド配列;
(h)DR5レセプター細胞内ドメインをコードするアミノ酸配列;
(i)膜貫通ドメインの全てまたは部分が欠失されるDR5レセプター細胞内ドメインおよび細胞外ドメインのアミノ酸配列;
(j)DR5死ドメインをコードするアミノ酸配列;および
(k)上記の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、または(j)のポリペプチドのいずれか1つのエピトープ保有部分のアミノ酸配列、
からなる群より選択される配列を有する、単離されたDR5ポリペプチド。
25.項目19のポリペプチドおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
26.項目21に記載の抗体および薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
27.項目24に記載のポリペプチドおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
28.異種ポリペプチドに融合された、項目19に記載のポリペプチドを含む、融合タンパク質。
29.上記核酸が、DR5ポリペプチドに対する抗体によって結合され得るタンパク質をコードし、ここで上記ポリペプチドが、配列番号2のアミノ酸配列を有する、項目8に記載の単離された核酸。
30.組換えベクターを作製する方法であって、項目8に記載の単離された核酸分子をベクターに挿入する工程を包含する、方法。
31.項目30に記載の方法によって産生される、組換えベクター。
32.組換え宿主細胞を作製する方法であって、項目8に記載の単離された核酸分子を宿主細胞に導入する工程を包含する、方法。
33.項目32に記載の方法によって産生される、組換え宿主。
34.ポリペプチドを産生するための組換え方法であって、項目33に記載の宿主細胞を、上記ポリペプチドが発現されるような条件下で培養する工程、および上記ポリペプチドを回収する工程、を包含する組換え方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
好ましい実施態様の詳細な説明
本発明は、図1(配列番号2)で示されるアミノ酸配列を有するDR5ポリペプチド、またはポリペプチドのフラグメントをコードするポリヌクレオチドを含む単離された核酸分子を提供する。本発明のDR5ポリペプチドは、TNFRファミリーの、他の既知の死ドメイン含有レセプター(図2のヒトTNFR−1、DR3、およびFasを含む)と配列相同性を共有する。図1(配列番号1)に示されるヌクレオチド配列は、HLYBX88のようなcDNAクローンの配列決定によって得られ、このクローンは、1997年3月7日にアメリカンタイプカルチャーコレクション、12301 Park Lawn Drive, Rockille, Maryland 20852に寄託され、そして受託番号97920が与えられた。寄託されたクローンは、pSport 1プラスミド(Life Technologies, Gaithersburg, MD)に含まれる。
【0023】
核酸分子
他に示されない限り、本明細書中でDNA分子を配列決定することによって決定されたすべてのヌクレオチド配列は、自動化DNA配列決定機(例えば、Applied Biosystems, Inc.のModel 373)を用いて決定され、そして本明細書中で決定されたDNA分子によってコードされるポリペプチドのすべてのアミノ酸配列は、上記のように決定されるDNA配列の翻訳によって推定された。従って、この自動化アプローチによって決定された任意のDNA配列について当該分野において公知のように、本明細書中で決定される任意のヌクレオチド配列はいくつかの誤りを含み得る。自動化によって決定されるヌクレオチド配列は、配列決定されるDNA分子の実際のヌクレオチド配列に対して、代表的には少なくとも約90%同一、より代表的には少なくとも約95%〜少なくとも約99.9%同一である。実際の配列は、当該分野において周知の手動DNA配列決定方法を含む他のアプローチによってさらに正確に決定され得る。当該分野においてまた公知のように、実際の配列と比較して、決定されたヌクレオチド配列における単一の挿入または欠失は、ヌクレオチド配列の翻訳においてフレームシフトを引き起こし、その結果、決定されたヌクレオチド配列によってコードされる推定アミノ酸配列は、配列決定されたDNA分子によって実際にコードされるアミノ酸配列(このような挿入または欠失の点にて始まる)とは完全に異なる。
【0024】
本明細書中で提供される情報(例えば、配列番号1に示される核酸配列)を使用して、DR5ポリペプチドをコードする本発明の核酸分子は、出発物質としてmRNAを使用してcDNAをクローニングするための手順のような、標準的なクローニングおよびスクリーニング手順を使用して得られ得る。本発明の例示となる、本発明の核酸分子は、以下のヒト組織のcDNAライブラリーで同定された:一次樹状細胞、内皮組織、脾臓、慢性リンパ性白血病、およびヒト胸腺間質細胞。
【0025】
配列番号1のDR5 cDNAの決定されたヌクレオチド配列は、約411アミノ酸残基のタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含み、その開始コドンは、約51アミノ酸残基のリーダー配列を有する、図1(配列番号1)に示されるヌクレオチド配列の130〜132位にある。公知のTNFレセプターファミリーのメンバーの、本発明のDR5ポリペプチドは、複数のシステインリッチドメインにわたって有意な配列相同性を含む、図2に示されるヒトTNFR1、FAS、およびDR3ポリペプチドと高度な相同性を共有する。DR5が、他の死ドメイン含有レセプターに対して示す相同性は、DR5もまたアポトーシスを誘導する能力を有する死ドメイン含有レセプターであることを強く示す。DR5はまた現在、TRAILに結合することが示されている。
【0026】
示されるように、本発明はまた、本発明のDR5タンパク質の成熟形態を提供する。シグナル仮説によれば、哺乳動物細胞によって分泌されるタンパク質は、一旦粗面小胞体を横切って成長するタンパク質鎖の搬出が開始されると成熟タンパク質から切断される、シグナルまたは分泌リーダー配列を有する。大部分の哺乳動物細胞および昆虫細胞でさえも、分泌タンパク質を同じ特異性で切断する。しかし、いくつかの場合では、分泌タンパク質の切断は完全に単一ではなく、タンパク質において2種類以上の成熟種を生じる。さらに、分泌タンパク質の切断特異性は、究極的には完全タンパク質の一次構造によって決定され、すなわち、それはポリペプチドのアミノ酸配列に固有なものであることが長い間知られていた。
【0027】
それゆえに、本発明は、ATCC受託番号97920として同定される宿主中に含まれるcDNAクローンによってコードされ、そして図1(配列番号2)に示されるようなアミノ酸配列を有する、成熟DR5ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を提供する。ATCC受託番号97920として同定される宿主に含まれるcDNAクローンによってコードされるアミノ酸配列を有する成熟DR5タンパク質によって、寄託された宿主中のベクターに含まれるクローンのヒトDNA配列によってコードされる完全オープンリーディングフレームの、哺乳動物細胞(例えば、以下に記載するようなCOS細胞)中での発現によって産生されるDR5タンパク質の成熟形態が意味される。以下に示すように、ATCC受託番号97920に含まれるcDNAクローンによってコードされるアミノ酸配列を有する成熟DR5は、コンピュータ分析に基づく予測された切断部位の正確さに依存して、配列番号2に示された予測された「成熟」DR5タンパク質(アミノ酸約1〜約360)と異なり得るか、または異ならなくてもよい。
【0028】
タンパク質が分泌リーダーおよびリーダー配列の切断点を有するかどうかを予測する方法は、利用可能である。例えば、McGeoch(Virus Res. 3:271−286 (1985))およびvon Heinje(Nucleic Acids Res. 14:4683−4690 (1986))の方法が使用され得る。これらの方法の各々の公知の哺乳動物分泌タンパク質の切断点の予測の正確さは、75〜80%の範囲内にある。von Heinje, 前出。しかし、2つの方法は、所定のタンパク質に対して常に同じ予測された切断点を産生するわけではない。
【0029】
今回の場合、本発明の完全DR5ポリペプチドの予測アミノ酸配列は、コンピュータープログラム(「PSORT」)によって分析された。K.NakaiおよびM.Kanehisa, Genomics 14:897−911 (1992) を参照のこと。PSORTは、アミノ酸配列に基づいてタンパク質の細胞内位置を予測するための熟達したシステムである。この位置付けのコンピューター予測の一部として、McGeochおよびvon Heinjeの方法が取り入れられる。PSORTプログラムによる分析は、図1におけるアミノ酸51と52の間(配列番号2の−1と1の間)の切断部位を予測した。その後、完全アミノ酸配列を目視検査によってさらに分析し、von Heinjeの(−1,−3)規則の単純形態を適用した。von Heinje、前出。従って、DR5タンパク質のリーダー配列は、図1の下線を付したアミノ酸残基約1〜約51(配列番号2の約−51〜約1に対応する)からなると予測され、一方予測された成熟DR5タンパク質は、図1の残基約52〜約411(配列番号2の約1〜約360に対応する)からなる。
【0030】
示されるように、本発明の核酸分子は、RNA(例えば、mRNA)の形態、またはDNA(例えば、クローニングによって得られるか、または合成的に生成されるcDNAおよびゲノムDNAを含む)の形態で存在し得る。DNAは、二本鎖または一本鎖であり得る。一本鎖DNAは、コード鎖(センス鎖としても知られる)であり得るか、または非コード鎖(アンチセンス鎖とも呼ばれる)であり得る。
【0031】
「単離された」核酸分子によって、ネイティブな環境から取り出された核酸分子(DNAまたはRNA)が意図される。例えば、ベクター中に含まれる組換えDNA分子は、本発明の目的のために単離されると考えられる。単離されたDNA分子のさらなる例は、異種宿主細胞において維持される組換えDNA分子、または溶液中の(部分的または実質的に)精製されたDNA分子を含む。単離されたRNA分子は、本発明のDNA分子のインビボまたはインビトロでのRNA転写物を含む。本発明に従う単離された核酸分子は、合成的に生成されたこのような核酸分子をさらに含む。
【0032】
本発明の単離された核酸分子は、配列番号1に示されるオープンリーディングフレーム(ORF)を含むDR5 DNA分子;成熟DR5タンパク質のコード配列を含むDNA分子;および上記のDNA分子とは実質的に異なる配列を含むが、遺伝コードの縮重に起因して、なおDR5タンパク質をコードするDNA分子を含む。当然ながら、遺伝コードは当業者には公知である。従って、当業者にとっては、このような縮重改変体を生成することは日常的である。
【0033】
別の局面において、本発明は、1997年3月7日にATCC受託番号97920として寄託されたプラスミド中に含まれるcDNAクローンによってコードされるアミノ酸配列を有するDR5ポリペプチドをコードする、単離された核酸分子を提供する。さらなる実施態様において、成熟DR5ポリペプチドまたはN末端メチオニンを欠く完全長DR5ポリペプチドをコードする核酸分子が提供される。本発明はさらに、配列番号1に示されるヌクレオチド配列、または上記の寄託されたクローンに含まれるDR5 cDNAのヌクレオチド配列、あるいは上記の配列の1つに相補的な配列を有する核酸分子を有する単離された核酸分子を提供する。このような単離された分子、特にDNA分子は、染色体を用いるインサイチュハイブリダイゼーションによる遺伝子マッピングのためのプローブ、および例えばノーザンブロット分析によってヒト組織中のDR5遺伝子の発現を検出するためのプローブとして有用である。
【0034】
本発明はさらに、本明細書中に記載される単離された核酸分子のフラグメントに関する。寄託されたcDNAのヌクレオチド配列、配列番号1に示されるヌクレオチド配列、またはそれらに相補的な鎖を有する単離されたDNA分子のフラグメントによって、少なくとも約15nt、そしてより好ましくは少なくとも20nt、なおより好ましくは少なくとも30nt、そしてさらにより好ましくは、少なくとも約40、50、100、150、200、250、300、400、または500nt長のDNAフラグメントが意図される。これらのフラグメントは、本明細書で議論するような、診断用プローブおよびプライマーを含むがこれらには限定されない多くの使用法を有する。もちろん、より大きいDNAフラグメント(500〜1500nt長)もまた、本発明に従って、寄託されたcDNAのヌクレオチド配列または配列番号1に示される配列の、全てではないとしても大部分に対応するフラグメントのように有用である。例えば、少なくとも20nt長のフラグメントによって、寄託されたDNAのヌクレオチド配列または配列番号1に示されるヌクレオチド配列からの、20以上の連続する塩基を含むフラグメントが意図される。
【0035】
本発明の好ましい核酸フラグメントは以下をコードする核酸分子を含むが、これらに限定されない:DR5細胞外ドメインを含むポリペプチド(図1のアミノ酸残基約52〜約184(配列番号2の約1から約133));DR5膜貫通ドメインを含むポリペプチド(図1のアミノ酸残基約185〜約208(配列番号2の約134〜約157));DR5細胞内ドメインを含むポリペプチド(図1のアミノ酸残基約209〜約411(配列番号2の約158〜約360));およびDR5死ドメインを含むポリペプチド(図1のアミノ酸残基約324〜約391(配列番号2の約273〜約340))。これらのドメインの位置はコンピューターグラフィックスによって予測されているので、当業者は、これらのドメインを構成するアミノ酸残基が、各々のドメインを定義するために使用される基準に依存して、わずかに変化し得る(例えば、約1〜15残基)ことを理解する。
【0036】
本発明の好ましい核酸フラグメントは、アミノ末端メチオニンをコードするヌクレオチド(配列番号1のヌクレオチド130〜132)を欠く、完全長DR5ポリペプチドをコードする。なぜならそのメチオニンは天然に切断され、そしてこのような配列は、おそらく遺伝的に操作するDR5発現ベクターにおいて有用であることが知られるからである。このようなポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドはまた、本発明によって意図される。
【0037】
本発明の好ましい核酸フラグメントは、さらに、DR5タンパク質のエピトープ保有部分をコードする核酸分子を含む。特に、本発明のこのような核酸フラグメントは、以下をコードする核酸分子を含むが、これらに限定されない:図1のアミノ酸残基約62〜約110(配列番号2の約11〜約59)を含むポリペプチド;図1のアミノ酸残基約119〜約164(配列番号2の約68〜約113)を含むポリペプチド;図1のアミノ酸残基約224〜約271(配列番号2の約173〜約220)を含むポリペプチド;および図1のアミノ酸残基約275〜約370(配列番号2の約224〜約319)を含むポリペプチド。本発明者らは、上記のポリペプチドフラグメントがDR5タンパク質の抗原領域であることを決定した。DR5タンパク質の、他のこのようなエピトープ保有部分を決定する方法は、下記で詳細に記載される。
【0038】
さらに、本発明は、以下の関連するcDNAクローン:HAPBU13R(配列番号6)、およびHSBBU76R(配列番号7)から決定された、配列番号1の広い部分に関連するヌクレオチド配列を有する核酸分子を提供する。HAPBU13RおよびHSBBU76Rのヌクレオチド配列は、図4に示される。
【0039】
さらに、本発明は、配列番号1の残基284〜1,362、好ましくは284〜681の少なくとも約30ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約50ヌクレオチドの任意の部分を含むポリヌクレオチドを含む。
【0040】
別の局面において、本発明は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、上記の本発明の核酸分子、例えばATCC受託番号97920に含まれるcDNAクローン中のポリヌクレオチドの一部にハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む、単離された核酸分子を提供する。「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」によって、42℃で、以下:50%ホルムアミド、5×SCC(150 mM NaCl、15 mM クエン酸三ナトリウム)、50 mM リン酸ナトリウム(pH 7.6)、5×デンハルト溶液、10% 硫酸デキストラン、および20 g/ml変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中での一晩のインキュベーションを行い、その後約65℃で0.1×SSC中でフィルターを洗浄することが意図される。
【0041】
ポリヌクレオチドの「部分」にハイブリダイズするポリヌクレオチドによって、少なくとも約15ヌクレオチド(nt)、そしてより好ましくは少なくとも約20nt、なおより好ましくは少なくとも約30nt、そしてさらになおより好ましくは少なくとも約30〜70または80〜150nt、あるいは全長の参照ポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチド(DNAまたはRNAのいずれか)が意図される。これらは、上記でそして下記でより詳細に議論されるように、診断用プローブおよびプライマーとして有用である。
【0042】
「少なくとも20nt長」のポリヌクレオチドの部分によって、例えば、参照ポリヌクレオチド(例えば、寄託されたcDNAまたは配列番号1に示されるようなヌクレオチド配列)のヌクレオチド配列からの20以上の連続するヌクレオチドが意図される。
【0043】
当然ながら、ポリA配列(例えば、図1(配列番号1)に示されるDR5 cDNAの3’末端ポリ(A)トラクト)またはT(もしくはU)残基の相補的ストレッチのみにハイブリダイズするポリヌクレオチドは、本発明の核酸の部分にハイブリダイズするために使用される本発明のポリヌクレオチドには含まれない。なぜなら、このようなポリヌクレオチドは、ポリ(A)ストレッチまたはその相補物(例えば、特に任意の二本鎖cDNAクローン)を含む任意の核酸分子にハイブリダイズするからである。
【0044】
示されるように、DR5ポリペプチドをコードする本発明の核酸分子は、以下:それ自体成熟ポリペプチドをコードする配列;成熟ポリペプチドのコード配列および付加的配列(例えば、プレタンパク質配列またはプロタンパク質配列またはプレプロタンパク質配列のようなリーダー配列あるいは分泌配列をコードする配列);上記の付加的コード配列を含むかまたは含まない、成熟ポリペプチドのコード配列を、さらなる非コード配列(例えば、イントロンならびに非コード5’および3’配列(例えば、スプライシングシグナルおよびポリアデニル化シグナルを含む、転写、mRNAプロセシングにおいて役割(例えば、リボソーム結合およびmRNAの安定性)を担う転写される非翻訳配列)を含むがこれらに限定されない);さらなる機能性を提供するようなさらなるアミノ酸をコードするさらなるコード配列とともに含み得るがこれらに限定されない。従って、例えば、ポリペプチドは、マーカー配列(例えば、融合されたポリペプチドの精製を容易にするペプチド)に融合され得る。本発明のこの局面の特定の好ましい実施態様において、マーカー配列は、とりわけ、ヘキサヒスチジンペプチド(例えば、pQEベクター(Qiagen, Inc.)において提供されるタグ)であり、それらの多くは市販されている。例えば、Gentzら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 821−824 (1989)に記載されるように、ヘキサヒスチジンは、融合タンパク質の簡便な精製を提供する。「HA」タグは、インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質由来のエピトープに対応する精製のために有用な別のペプチドであり、これは、Wilsonら、Cell 37: 767−778 (1984)により記載されている。以下に議論するように、他のこのような融合タンパク質は、NまたはC末端にてFcに融合されるDR5レセプターを含む。
【0045】
本発明はさらに、DR5レセプターの一部分、アナログ、または誘導体をコードする、本発明の核酸分子の改変体に関する。改変体は、天然の対立遺伝子改変体のように、天然に存在し得る。「対立遺伝子改変体」によって、生物の染色体上の所定の遺伝子座を占める遺伝子のいくつかの代わりの形態の1つが意図される。Genes II, Lewin, B.編、John Wiley&Sons, New York (1985)。天然に存在しない改変体は、当該分野で公知の変異誘発技術を用いて生成され得る。
【0046】
このような改変体には、ヌクレオチドの置換、欠失、または付加により産生される改変体が含まれる。この置換、欠失、または付加には1つ以上のヌクレオチドが含まれ得る。改変体は、コード領域、非コード領域、または両方において変化し得る。コード領域における変化は、保存的または非保存的アミノ酸置換、欠失、または付加を生じ得る。これらの間で特に好ましいのは、サイレントな置換、付加、および欠失であり、これらはDR5レセプター、またはそれらの一部の特性および活性を変化させない。この点に関してまた特に好ましいのは、保存的置換である。
【0047】
本発明のさらなる実施態様は、(a)配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;(b)配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするが、アミノ末端メチオニンを欠いているヌクレオチド配列;(c)配列番号2の約1〜約360位のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;(d)ATCC受託番号97920に含まれるcDNAクローンによってコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;(e)ATCC受託番号97920に含まれるcDNAクローンによってコードされるアミノ酸配列を有する成熟DR5ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;(f)配列番号2の約1〜約133位のアミノ酸配列を有するDR5細胞外ドメイン、またはATCC受託番号97920に含まれるcDNAによってコードされるDR5細胞外ドメインをコードするヌクレオチド配列;(g)配列番号2の約134〜約157位のアミノ酸配列を有するDR5膜貫通ドメイン、またはATCC受託番号97920に含まれるcDNAクローンによってコードされるDR5膜貫通ドメインをコードするヌクレオチド配列;(h)配列番号2の約158〜約360位のアミノ酸配列を有するDR5細胞内ドメイン、またはATCC受託番号97920に含まれるcDNAによってコードされるDR5細胞内ドメインをコードするヌクレオチド配列;(i)配列番号2の約273〜約340位のアミノ酸配列を有するDR5死ドメイン、またはATCC受託番号97920に含まれるcDNAによってコードされるDR5死ドメインをコードするヌクレオチド配列;および(j)上記の(a)(b)(c)(d)(e)(f)(g)(h)または(i)のいずれかのヌクレオチド配列に相補的な配列に対して、少なくとも90%同一、およびより好ましくは少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である、単離された核酸分子を含む。
【0048】
DR5ポリペプチドをコードする参照ヌクレオチド配列に、例えば、少なくとも95%「同一な」ヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドによって、そのポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が、DR5ポリペプチドをコードする参照ヌクレオチド配列の各100ヌクレオチドあたり5つまでの点変異をポリヌクレオチド配列が含み得ることを除いて、参照配列に同一であることが意図される。言い換えれば、参照ヌクレオチド配列と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを得るために、参照配列における5%までのヌクレオチドが欠失され得るか、もしくは別のヌクレオチドで置換され得るか、または参照配列において全ヌクレオチドの5%までの多数のヌクレオチドが、参照配列中に挿入され得る。参照(照会)配列は、図1(配列番号1)に示される全体のDR5ヌクレオチド配列、または本明細書中に記載される任意のポリヌクレオチドフラグメントであり得る。
【0049】
実際問題として、任意の特定の核酸分子が、例えば、配列番号1に示されるヌクレオチド配列または寄託されたcDNAクローンのヌクレオチド配列に少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるかどうかは、Bestfitプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package, Version 8 for Unix(登録商標), Genetics Computer Group, University Research Park, 575 Science Drive, Madison, WI 53711)のような公知のコンピュータープログラムを用いて従来通りに決定され得る。Bestfitは、SmithおよびWaterman、Advances in Applied Mathematics 2:482−489 (1981)の局所的相同性アルゴリズムを用いて、2つの配列間の最も相同性の高いセグメントを見出す。Bestfitまたは任意の他の配列整列プログラムを使用して、特定の配列が、本発明による参照配列に、例えば95%同一であるか否かを決定する場合、パラメーターは、もちろん、同一性のパーセントが、参照ヌクレオチド配列の全長にわたって計算されるように、そして参照配列の総ヌクレオチド数の5%までの相同性におけるギャップが許容されるように、設定される。
【0050】
特定の実施態様において、参照(照会)配列(本発明の配列)と対象配列との間の同一性はまた、グローバル配列アラインメントともいい、Brutlagら(Comp. App. Biosci. 6:237−245 (1990))のアルゴリズムに基づくFASTDBコンピュータープログラムを使用して決定される。同一性パーセントを計算するためのDNA配列のFASTDBアラインメントに使用される好ましいパラメーターは以下である:マトリックス=単一、k−tuple=4、ミスマッチペナルティー=1、結合ペナルティー=30、ランダム化グループ長=0、カットオフスコア=1、ギャップペナルティー=5、ギャプサイズペナルティー=0.05、ウィンドウサイズ=500、または対象核酸配列の長さのうち、どちらか短い方。この実施態様に従って、内部の欠損ではなく、5’または3’欠損のために、対象配列が照会配列よりも短い場合には、同一性パーセントを計算する場合に、FASTDBプログラムが対象配列の5’および3’欠損を考慮しないという事実を考慮した結果に対して、手作業の補正がなされる。5’または3’末端で欠損されている対象配列にとっては、照会配列と比較して、同一性パーセントは、照会配列の全塩基のパーセントとして、一致しない/アラインしない対象配列の5’および3’である照会配列の塩基の数を計算することによって補正される。ヌクレオチドが一致する/アラインするかどうかの決定は、FASTDB配列アラインメントの結果によって決定される。次いでこのパーセントは、パーセント同一性から減ぜられ、特定のパラメーターを使用して上記のFASTDBプログラムによって計算され、最終的なパーセント同一性スコアに到達する。この訂正されたスコアは、本実施態様の目的に使用されるものである。対象配列の5’および3’塩基の外側の塩基のみが、照会配列と一致しない/アラインしないFASTDBアラインメントによって示されるように、パーセント同一性スコアを手作業で調整する目的のために計算される。例えば、90塩基対象配列が、パーセント同一性を決定するために100塩基照会配列にアラインされる。対象配列の5’末端に欠損が生じており、それゆえにFASTDBアラインメントは5’末端の最初の10塩基の一致/アラインメントを示さない。10の不対塩基は、配列の10%を示し(5’および3’末端の塩基の番号は、照会配列の一致した塩基数/全塩基数ではない)、ゆえにFASTDBプログラムによって計算されるパーセント同一性スコアから10%が引かれる。残りの90塩基が完全に一致した場合、最終的なパーセント同一性は90%である。別の例において、90塩基対象配列は、100塩基照会配列と比較される。今回の欠損は内部の欠損であるので、照会配列に一致しない/アラインしない対象配列の5’または3’には塩基が存在しない。 この場合、FASTDBによって計算されたパーセント同一性は、手作業で補正されない。もう一度述べると、照会配列と一致しない/アラインしない対象配列の5’および3’の塩基のみが、手作業で補正される。他の手作業の補正は、本実施態様の目的のためにはなされない。
【0051】
本出願は、核酸分子が、DR5活性を有するポリペプチドをコードするか否かに関係なく、配列番号1に示される核酸配列、その寄託されたcDNAの核酸配列、またはそれらのフラグメントに対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である核酸分子に関する。これは、特定の核酸分子がDR5活性を有するポリペプチドをコードしない場合でさえ、当業者は、核酸分子をどのように使用するか(例えば、ハイブリダイゼーションプローブ、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のプライマーとして)をなお知るからである。DR5活性を有するポリペプチドをコードしない、本発明の核酸分子の使用としては、とりわけ(1)cDNAライブラリーにおけるDR5遺伝子またはその対立遺伝子改変体を単離すること;(2)Vermaら、Human Chromosomes: A Manual of Basic Techniques, Pergamon Press, New York (1988) によりに記載されるような、DR5遺伝子の正確な染色体位置を提供するための分裂中期染色体展開物に対するインサイチュハイブリダイゼーション(例えば、「FISH」);および(3)特定の組織におけるDR5 mRNA発現を検出するためのノーザンブロット分析、が挙げられる。
【0052】
しかし、配列番号1に示される核酸配列、寄託されたcDNAの核酸配列、またはそれらのフラグメントに対して、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を有し、実際、DR5タンパク質活性を有するポリペプチドをコードする、核酸分子が好ましい。「DR5活性を有するポリペプチド」により、特定の生物学的アッセイにおいて測定される場合に、本発明のDR5タンパク質(全長タンパク質、または好ましくは成熟タンパク質のいずれか)の活性に、必ずしも同一である必要はないが、類似の活性を示すポリペプチドが意図される。例えば、DR5タンパク質活性は、本質的には、以前に記載された通り(A.M. Chinnaiyanら、Cell 81: 505−12 (1995); M.P. Boldinら、J. Biol. Chem. 270:7795−8(1995); F.C. Kischkelら、EMBO 14:5579−5588(1995); A.M. Chinnaiyanら、J. Biol. Chem. 271: 4961−4965(1996))および以下の実施例5に示される通りに行われる細胞死アッセイを用いて測定され得る。MCF7細胞において、全長DR5、または候補死ドメインを含むレセプターをコードするプラスミドが、緑色蛍光タンパク質をコードするpLanternレポーター構築物を用いて同時トランスフェクトされる。DR5でトランスフェクトされた細胞の核は、DAPI染色により評価される場合、アポトーシス形態を示す。TNFR−1およびFas/APO−1と同様に(M.Muzioら、Cell 85:817−827(1996); M.P. Boldinら、Cell 85: 803−815(1996); M. Tewariら、J. Biol. Chem. 270: 3255−60(1995))、DR5誘導性アポトーシスは、ICE様プロテアーゼのインヒビター(CrmAおよびz−VAD−fmk)により、好ましくはブロックされる。
【0053】
もちろん、遺伝コードの縮重に起因して、当業者は、寄託されたcDNAの核酸配列、配列番号1に示される核酸配列、またはそれらのフラグメントに対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を有する多数の核酸分子が、「DR5タンパク質活性を有する」ポリペプドをコードすることをすぐに認識する。実際、これらのヌクレオチド配列の縮重改変体は全て、多くの場合、同じポリペプチドをコードするので、このことは、上記の比較アッセイを行わずとも当業者には明らかである。縮重改変体ではないような核酸分子については、理にかなった数のものがまた、DR5タンパク質活性を有するポリペプチドをコードすることが、当該分野でさらに認識される。このことは、当業者が、アミノ酸の置換(例えば、1つの脂肪族アミノ酸の、第二の脂肪族アミノ酸への置換)はタンパク質の機能に有意な影響を与える可能性が低いか、または可能性がないかのいずれかであることを完全に知っているからである。
【0054】
例えば、表現型的にサイレントなアミノ酸置換を行う方法に関するガイダンスが、Bowie,J.U.らの「Deciphering the Message in Protein Sequences: Tolerance to Amino Acid Substitutions」,Science 247:1306−1310(1990)において提供されている。ここで、著者らは、タンパク質が、アミノ酸置換に対して驚くべきほど寛容であることを示している。
【0055】
ポリヌクレオチドアッセイ
本発明はまた、相補的なポリヌクレオチドを検出するためのDR5ポリヌクレオチドの、例えば、診断試薬としての使用に関する。機能不全に関連する変異形態のDR5の検出は、例えば、腫瘍または自己免疫疾患のような、DR5またはその可溶性形態の過小発現(underexpression)、過剰発現、または変化された発現を生じる疾患、またはその疾患に対する感受性の診断を加え得るか、または定義し得る診断ツールを提供する。
【0056】
DR5遺伝子に変異を有する個体は、種々の技術により、DNAレベルにおいて検出され得る。診断のための核酸は、患者の細胞(例えば、血液由来)、尿、唾液、組織生検、および剖検材料から得られ得る。ゲノムDNAは、検出のために直接的に使用され得るか、または分析の前にPCRを用いることにより、酵素的に増幅され得る(Saikiら、Nature 324:163−166(1986))。RNAまたはcDNAはまた、同様の方法で使用され得る。例として、DR5をコードする核酸に対して相補的なPCRプライマーが、DR5の発現および変異を、同定および分析するために使用され得る。例えば、欠失および挿入が、正常の遺伝子型との比較した増幅産物のサイズの変化により検出され得る。点変異は、放射標識されたDR5 RNAか、あるいは放射標識されたDR5アンチセンスDNA配列に対して、増幅されたDNAをハイブリダイズすることにより同定され得る。完全にマッチした配列が、RNaseA消化により、または融解温度の差によりミスマッチ二重鎖から区別され得る。
【0057】
参照遺伝子と変異を有する遺伝子との間の配列の相違がまた、直接的なDNA配列決定により示され得る。さらに、クローンDNAセグメントは、特異的DNAセグメントを検出するためのプローブとして用いられ得る。このような方法の感度は、適切なPCRの使用、または別の増幅方法により非常に増強され得る。例えば、配列決定プライマーは、二本鎖PCR産物、または改変されたPCRにより生成される一本鎖テンプレート分子が使用される。配列決定は、放射標識されたヌクレオチドを用いる従来の手順により、または蛍光タグを用いる自動配列決定手順により行われる。
【0058】
DNA配列の差異に基づく遺伝子試験は、変性剤を含むかまたは含まないゲル上でのDNAフラグメントの電気泳動移動度における変化の検出により達成され得る。小配列の欠失および挿入は、高分解能のゲル電気泳動により可視化され得る。異なる配列のDNAフラグメントは、変性ホルムアミドグラジエントゲル上で識別され得、ここで異なるDNAフラグメントの移動度は、それらの特異的な融解温度または部分融解温度(partial melting temperature)に従って、ゲルの異なる位置に遅延する(例えば、Myersら、Science 230:1242(1985)を参照のこと)。
【0059】
特定の位置での配列変化はまた、ヌクレアーゼプロテクションアッセイ(例えば、RNaseおよびSl保護)または化学切断法により示され得る(例えば、Cottonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:4397−4401(1985))。
【0060】
従って、特異的DNA配列の検出は、以下を含むがこれらに限定されない方法により達成され得る:ハイブリダイゼーション、RNaseプロテクション、化学切断、直接的なDNAの配列決定、または制限酵素の使用(例えば、ゲノムDNAの制限断片長多型(「RFLP」)およびサザンブロッティング)。
【0061】
より慣習的なゲル電気泳動およびDNAの配列決定に加えて、変異はまた、インサイチュ分析により検出され得る。
【0062】
ベクターおよび宿主細胞
本発明はまた、本発明のDNA分子を含むベクター、本発明のベクターを用いて遺伝子操作された宿主細胞、および組換え技術による本発明のポリペプチドの産生に関する。
【0063】
宿主細胞は、本発明の核酸分子を取り込みそして本発明のポリペプチドを発現するように遺伝子操作され得る。ポリヌクレオチドは単独で、または他のポリヌクレオチドとともに導入され得る。そのような他のポリヌクレオチドは独立して導入され得るか、同時導入され得るか、または本発明のポリヌクレオチドと連結して導入され得る。
【0064】
本発明のこの局面に従って、ベクターは例えば、プラスミドベクター、一本鎖または二本鎖ファージベクター、一本鎖または二本鎖のRNAウイルスベクターまたはDNAウイルスベクターであり得る。このようなベクターは、DNAおよびRNAを細胞へ導入するための周知の技術により、ポリヌクレオチド(好ましくは、DNA)として細胞に導入され得る。ウイルスベクターは複製コンピテントまたは複製欠損であり得る。後者の場合、ウイルスの増殖は一般的に、相補性宿主細胞においてのみ、生じる。
【0065】
特定の局面において、ベクターの中で好ましいのは、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの発現のためのベクターである。一般的に、このようなベクターは、発現されるポリヌクレオチドに作動可能に連結され、宿主における発現に対して効果的である、シス作用性調節領域を含む。適切なトランス作用性因子は、宿主により供給されるか、相補性ベクターにより供給されるか、または宿主に導入される際のベクター自身により供給されるかのいずれかである。
【0066】
非常に種々の発現ベクターが、本発明のポリペプチドを発現するために使用され得る。このようなベクターは、染色体性ベクター、エピソーム性ベクター、およびウイルス由来のベクターを含み、これらには、例えば、細菌プラスミド由来のベクター、バクテリオファージ由来のベクター、酵母エピソーム由来のベクター、酵母染色体エレメント由来のベクター、バキュロウイルス、SV40のようなパポバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、ニワトリポックスウイルス、仮性狂犬病ウイルスおよびレトロウイルスのようなウイルス由来のベクター、ならびにそれらの組み合わせに由来するベクター(例えば、コスミドおよびファージミドのような、プラスミドおよびバクテリオファージの遺伝エレメント由来のベクター)が挙げられ、これらの全てが本発明のこの局面に従って、発現のために使用され得る。一般的に、ポリペプチドを発現するためのポリヌクレオチドを、宿主中で維持、増殖、または発現するのに適切な任意のベクターは、この点に関して、発現のために使用され得る。
【0067】
発現ベクターにおけるDNA配列は、適切な発現調節配列に作動可能に連結されおり、発現調節配列としては、例えば、mRNA転写を指向するプロモーターが挙げられる。このようなプロモーターの代表的としては、ファージλPLプロモーター、E.coli lacプロモーター、trpプロモーター、およびtacプロモーター、SV40初期プロモーターおよびSV40後期プロモーター、ならびにレトロウイルスLTRのプロモーターが挙げられる(周知のプロモーターのほんのいくつかを列挙したにすぎない)。一般的に、発現構築物は、転写(開始および終結)のための部位、そして転写された領域においては翻訳のためのリボソーム結合部位を含む。構築物により発現される成熟転写物のコード部分は、翻訳されるポリペプチドの始まりに翻訳開始AUGを含み、そして終わりに適切に配置される終結コドン(UAA、UGAまたはUAG)を含む。
【0068】
さらに、構築物は、発現を調節ならびに生じさせる調節領域を含み得る。一般的に、このような領域は、とりわけ、リプレッサー結合部位およびエンハンサーのように、転写制御により作動する。
【0069】
増殖および発現のためのベクターは一般的に、選択マーカーを含む。このようなマーカーはまた、増幅のために適切であり得るか、またはそのベクターはこの目的のためにさらなるマーカーを含み得る。この点に関して、発現ベクターは、好ましくは、形質転換された宿主細胞の選択のための表現型形質を提供する1つ以上の選択マーカー遺伝子を含む。このようなマーカーとしては、真核生物細胞の培養についてはジヒドロ葉酸レダクターゼ、ネオマイシン耐性、ならびにE.coliおよび他の細菌の培養については、テトラサイクリンもしくはアンピシリン耐性遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
本明細書中の他の箇所に記載したような適切なDNA配列を含むベクター、ならびに適切なプロモーター、および他の適切な調節配列は、所望のポリペプチドを宿主中に発現するのに適切な種々の周知の技術を使用して、適切な宿主に導入され得る。適切な宿主の代表的な例としては、細菌細胞(例えば、E.coli細胞、Streptomyces細胞、およびSalmonella typhimurium細胞);真菌細胞(例えば、酵母細胞);昆虫細胞(例えば、Drosophila S2細胞およびSpodoptera Sf9細胞);動物細胞(例えば、CHO細胞、COS細胞、およびBowes黒色腫細胞);ならびに植物細胞が挙げられる。上記の宿主細胞のための適切な培養培地および条件は当該分野で公知である。
【0071】
細菌における使用に好ましいベクターの中には、pQE70、pQE60、およびpQE−9(Qiagen から入手可能);pBSベクター、Phagescriptベクター、Bluescriptベクター、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A(Stratageneから入手可能);ならびにptrc99a、pKK223−3、pKK233−3、pDR540、pRIT5(Pharmaciaから入手可能)がある。好ましい真核生物ベクターの中には、pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1、およびpSG(Stratageneから入手可能);ならびにpSVK3、pBPV、pMSG、およびpSVL(Pharmaciaから入手可能)がある。これらのベクターは、単に、多くの市販のベクターおよび当業者が入手可能な周知のベクターの例示のために単に列挙されただけである。
【0072】
宿主細胞における発現のための適切なベクターおよびプロモーターの選択は、周知の手順であり、そして発現ベクターの構築、宿主へのベクターの導入および宿主における発現に必須な技術は、当該分野で日常的な技術である。
【0073】
本発明はまた、上記に議論した上記の構築物を含む宿主細胞にも関する。宿主細胞は、高等真核生物細胞(例えば、哺乳動物細胞)もしくは下等真核生物細胞(例えば、酵母細胞)であり得るか、または宿主細胞は、細菌細胞のような原核生物細胞であり得る。挿入された遺伝子配列の発現を調節するか、または所望される特異的な様式で遺伝子産物を修飾およびプロセシングする、宿主株が選択され得る。特定のプロモーターからの発現は、特定のインデューサーの存在下で上昇し得;従って、遺伝子操作されたポリペプチドの発現は制御され得る。さらに、異なる宿主細胞は、タンパク質の翻訳および翻訳後プロセシングおよび修飾(例えば、リン酸化、切断)についての特徴および特異的な機構を有する。適切な細胞株が、発現される外来タンパク質(foeign protein)の所望の修飾およびプロセシングを保証するために選択され得る。
【0074】
宿主細胞への構築物の導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、感染または他の方法によってもたらされ得る。このような方法は、多くの標準的実験室マニュアルに記載されている(例えば、Davisら、Basic Methods in Molecular Biology(1986))。
【0075】
ポリペプチドは、融合タンパク質((異なるタンパク質の)異種タンパク質配列へのペプチド結合を介して連結されたポリペプチドを含む)のような改変された形態で発現され得、そして分泌シグナルだけでなく、さらなる異種の機能的領域も含み得る。このような融合タンパク質は、適切なリーディングフレームにおいて、当該分野で公知の方法により、本発明のポリヌクレオチドと所望のアミノ酸配列をコードする所望の核酸配列とをお互いに連結することにより、そして当該分野で公知の方法により融合タンパク質産物を発現することによって作製され得る。あるいは、このような融合タンパク質は、タンパク質合成技術により(例えば、ペプチド合成機の使用により)作製され得る。従って、例えば、さらなるアミノ酸(特に、荷電したアミノ酸)の領域が、宿主細胞における、精製の間の、またはこれに続く取り扱いおよび保存の間の、安定性および持続性を改善するために、ポリペプチドのN末端に付加され得る。さらに、領域がまた、精製を容易にするためにポリペプチドへ付加され得る。そのような領域は、ポリペプチドの最終調製の前に除去され得る。とりわけ、分泌または排出を生じるため、安定性を改善するため、および精製を容易にするためのポリペプチドへのペプチド部分の付加は、当該分野で周知であり、そして日常的な技術である。好ましい融合タンパク質は、タンパク質の可溶化に有用な免疫グロブリン由来の異種領域を含む。例えば、EP−A−0 464 533(カナダ国対応出願第2045869号)は、別のヒトタンパク質またはその一部とともに、免疫グロブリン分子の定常領域の種々の部分を含む融合タンパク質を開示する。多くの場合、融合タンパク質中のFc部分は、治療および診断における使用に十分に有利であり、従って、例えば改善された薬物動態学的特性を生じる(EP−A 0232 262)。一方、いくつかの使用について、融合タンパク質が、記載される有利な様式で、発現され、検出され、そして精製された後に、Fc部分が欠失され得ることが望ましい。これは、Fc部分が、治療および診断における使用に対して障害となると判明する場合(例えば、融合タンパク質が免疫のための抗原として使用されるべき場合)である。薬物の発見において、例えばhIL−5レセプターのようなヒトタンパク質は、hIL−5のアンタゴニストを同定するための高処理能力スクリーニングアッセイの目的でFc部分と融合されている。D.Bennettら、Journal of Molecular Recognition, 8:52−58(1995)、およびK.Johansonら、The Journal of Biological Chemistry 270:9459−9471(1995)を参照のこと。
【0076】
DR5ポリペプチドは、標準的な方法(硫酸アンモニウム沈澱またはエタノール沈澱、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、およびレクチンクロマトグラフィーを含むがこれらに限定されない)によって組換え細胞培養物から回収され、そして精製され得る。最も好ましくは、高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)が精製のために用いられる。ポリペプチドが、単離および/または精製の間に変性された場合、活性な立体配座を再生するために、タンパク質の再折りたたみについての周知の技術が用いられ得る。
【0077】
本発明のポリペプチドは以下を含む:天然から精製された産物、化学合成手順の産物、および原核生物宿主または真核生物宿主(例えば、細菌細胞、酵母細胞、高等植物細胞、昆虫細胞、および哺乳動物細胞を含む)から組換え技術によって産生された産物。組換え産生手順において用いられる宿主に依存して、本発明のポリペプチドは、グリコシル化されていても、またはグリコシル化されていなくてもよい。さらに、本発明のポリペプチドはまた、いくつかの場合、宿主媒介プロセスの結果として、改変された開始メチオニン残基を含み得る。
【0078】
DR5ポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、種々の適用(特にDR5の化学的特性および生物学的特性を利用する適用)のために本発明に従って使用され得る。これらの中には、腫瘍の処置、寄生生物、細菌、およびウイルスに対する抵抗性、T細胞、内皮細胞、および特定の造血細胞の増殖を誘導するため、再狭窄、対宿主性移植片病を処置するため、抗ウイルス応答を調節するため、およびアゴニストによるDR5の刺激後の特定の自己免疫疾患を予防するための適用がある。さらなる適用は、細胞、組織、および生物体の障害の診断および処置に関する。本発明のこれらの局面は、以下にさらに議論される。
【0079】
DR5ポリペプチドおよびフラグメント
本発明はさらに、寄託されたcDNAによってコードされるアミノ酸配列、もしくは配列番号2のアミノ酸配列を有する、単離されたDR5ポリペプチド、または上記ポリペプチドの一部を含むポリペプチドもしくはペプチドを提供する。
【0080】
DR5のいくつかのアミノ酸配列が、タンパク質の構造または機能に有意な影響を与えることなく、変更され得ることが当該分野において認識される。配列におけるこのような差異が意図される場合、タンパク質上に、活性を決定する重要な領域が存在することが覚えられておくべきである。このような領域は、通常はリガンド結合部位もしくは死ドメインを構成する残基、またはこれらのドメインに影響を与える三次構造を形成する残基を含む。
【0081】
従って、本発明は、実質的なDR5タンパク質活性を示すか、または以下に議論されるタンパク質の一部分のようなDR5の領域を含むDR5タンパク質のバリエーションをさらに含む。このような変異体は、欠失、挿入、逆位、反復、および型置換を含む。上記のように、どのアミノ酸の変化が表現型的にサイレントである可能性があるかに関するガイダンスは、Bowie,J.U.ら、Science 247:1306−1310(1990)において見出され得る。
【0082】
従って、配列番号2のポリペプチドのフラグメント、誘導体またはアナログ、あるいは寄託されたcDNAによりコードされるポリペプチドのフラグメント、誘導体またはアナログは、(i)少なくとも1つ以上のアミノ酸残基が保存アミノ酸残基もしくは非保存アミノ酸残基(好ましくは保存アミノ酸残基、そしてより好ましくは少なくとも1個であるが10個より少ない保存アミノ酸残基)で置換され、そしてこのような置換されたアミノ酸残基は、遺伝コードによりコードされるものであってもよいしそうでなくともよいもの、または(ii)1つ以上のアミノ酸残基が置換基を含むもの、または(iii)成熟ポリペプチドが、ポリペプチドの半減期を増加させるための化合物(例えば、ポリエチレングリコール)のような別の化合物と融合したもの、または(iv)さらなるアミノ酸が成熟ポリペプチド(例えば、IgG Fc融合領域ペプチド配列)、またはリーダー配列もしくは分泌配列、または成熟ポリペプチドもしくはプロタンパク質配列の精製に使用される配列と融合したものであり得る。このようなフラグメント、誘導体およびアナログは、本明細書の教示より当業者の範囲内であると考えられる。
【0083】
特に興味深いのは、荷電したアミノ酸の、別の荷電したアミノ酸、および中性のアミノ酸、または負に荷電したアミノ酸との置換である。後者は、正の電荷が減少したタンパク質を生じてDR5タンパク質の特徴を改善する。凝集の防止は非常に望ましい。タンパク質の凝集は活性を減少させるだけではなく、凝集体は免疫原性であり得ることから薬学的処方物を調製する場合にまた、問題であり得る(Pinckardら、Clin.Exp.Immunol.2:331−340(1967);Robbinsら、Diabetes 36:838−845(1987);Clelandら、Crit.Rev.Therapeutic Drug Carrier Systems 10:307−377(1993))。
【0084】
アミノ酸の置換はまた、細胞表面のレセプターに対する結合の選択性を変化させ得る。Ostadeら、Nature 361:266−268(1993)は、TNF−レセプターの2つの公知の型の1つのみに対するTNF−αの選択的な結合を生じる特定の変異を記載する。従って、本発明のDR5レセプターは、天然の変異または人工操作のいずれかに由来する1つ以上のアミノ酸の置換、欠失、または付加を含み得る。
【0085】
示されるように、タンパク質の折り畳みまたは活性に有意には影響を与えない保存的アミノ酸置換のような、重要でない性質の変化が好ましい(表1を参照のこと)。
【0086】
【表1】
【0087】
機能に必須である、本発明のDR5タンパク質におけるアミノ酸は、部位特異的変異誘発またはアラニン走査型変異誘発のような当該分野に公知の方法により同定され得る(CunninghamおよびWells、Science 244:1081−1085(1989))。後者の手順は、分子内の全ての残基に単一のアラニン変異を導入する。次いで、得られた変異分子は、レセプター結合(インビトロ)のような生物学的活性、またはインビトロ増殖活性について試験される。リガンド−レセプター結合に重要な部位はまた、結晶化、核磁気共鳴、または光親和性標識のような構造分析により決定され得る(Smithら、J.Mol.Biol. 224:899−904(1992)およびde Vosら、Science 255:306−312(1992))。
【0088】
本発明のポリペプチドは、好ましくは単離された形態で提供される。「単離されたポリペプチド」によって、そのネイティブな環境から取り出されたポリペプチドが意図される。従って、組換え宿主細胞内で産生されるおよび/または含まれるポリペプチドは、本発明の目的のために単離されていると考えられる。組換え宿主細胞から部分的または実質的に精製されたポリペプチドもまた、「単離されたポリペプチド」として意図される。例えば、組換え的に産生されたバージョンのDR5ポリペプチドは、SmithおよびJohnson、Gene 67:31−40(1988)に記載される一工程方法により実質的に精製され得る。
【0089】
本発明のポリペプチドはまた、リーダーを含む寄託されたcDNAによりコードされるポリペプチド;リーダーを含まない、寄託されたcDNAによりコードされる成熟ポリペプチド(すなわち、成熟タンパク質);配列番号2におけるアミノ酸約−51〜約360を含むポリペプチド;配列番号2におけるアミノ酸約−50〜約360を含むポリペプチド;配列番号2におけるアミノ酸約1〜約360を含むポリペプチド;細胞外ドメインを含むポリペプチド;膜貫通ドメインを含むポリペプチド;細胞内ドメインを含むポリペプチド;全てまたは一部の膜貫通ドメインが欠失している、細胞外ドメインおよび細胞内ドメインを含むポリペプチド;および死ドメインを含むポリペプチド;ならびに上記のポリペプチドに少なくとも80%同一、より好ましくは少なくとも90%または95%同一、なおさらに好ましくは少なくとも96%、97%、98%、または99%同一であるポリペプチドを含み、そしてまた少なくとも30アミノ酸を、そしてより好ましくは少なくとも50アミノ酸を有するこのようなポリペプチドの部分をも含む。
【0090】
DR5ポリペプチドの参照アミノ酸配列に少なくとも、例えば、95%「同一の」アミノ酸配列を有するポリペプチドにより、そのポリペプチド配列が、DR5ポリペプチドの参照アミノ酸の各100アミノ酸毎に5つまでのアミノ酸変化を含み得ることを除いて、そのポリペプチドのアミノ酸配列は参照配列と同一であることが意図される。言い換えれば、参照アミノ酸配列に対して少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るために、参照配列においてアミノ酸残基の5%までが、欠失されるかもしくは別のアミノ酸で置換され得、または参照配列における総アミノ酸残基の5%までの多数のアミノ酸が参照配列に挿入され得る。これらの参照配列の変化は、参照アミノ酸配列のアミノ末端位置もしくはカルボキシ末端位置で、または参照配列の残基間で個々に、もしくは参照配列内で1つ以上の連続した基中のいずれかに散在した、これらの末端位置の間のどこかで起こり得る。
【0091】
実際問題として、任意の特定のポリペプチドが、例えば、図1(配列番号2)に示されるアミノ酸配列、寄託されたcDNAクローンによりコードされるアミノ酸配列、またはそれらのフラグメントに対して、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるかどうかは、Bestfitプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package, Unix(登録商標)用バージョン8、Genetics Computer Group, University Research Park, 575 Science Drive, Madison, WI 53711)のような公知のコンピュータープログラムを使用して従来通りに決定され得る。特定の配列が、本発明による参照配列に、例えば、95%同一であるかどうかを決定するために、Bestfitまたは任意の他の配列アラインメントプログラムを使用する場合、当然のことながら、同一性の百分率が参照アミノ酸配列の全長にわたって計算され、そして参照配列内のアミノ酸残基の総数の5%までの相同性におけるギャップが許容されるようにパラメーターが設定される。
【0092】
特定の実施態様では、全体的な配列アラインメントとしても言及される、参照(問い合わせ)配列(本発明の配列)と対象配列との間の同一性は、Brutlagら(Comp. App. Biosci. 6:237−245(1990))のアルゴリズムに基くFASTDBコンピュータープログラムを用いて決定される。FASTDBアミノ酸アラインメントにおいて用いられる好ましいパラメーターは、以下の通りである:Matrix=PAM 0、k−tuple=2、Mismatch Penalty=1、Joining Penalty=20、Randomization Group Length=0、Cuttof Score=1、Window Size=配列の長さ、Gap Penalty=5、Gap Size Penalty=0.05、Window Size=500または対象アミノ酸配列の長さのうちで短い方。この実施態様によれば、対象配列が、内部欠失ではなく、N末端欠失またはC末端欠失に起因して問い合わせ配列よりも短い場合、FASTDBプログラムが、全体の同一性パーセントを計算する場合には、対象配列のN末端短縮化およびC末端短縮化を計上しないという事実を考慮して結果に対して手動の補正が行なわれる。問い合わせ配列に対してN末端およびC末端で短縮化された対象配列については、同一性パーセントは、対応する対象残基とマッチ/アラインメントしない対象配列のN末端およびC末端である問い合わせ配列の残基の数を、問い合わせ配列の全塩基のパーセントとして計算することにより補正される。残基がマッチ/アラインメントするか否かの決定は、FASTDB配列アラインメントの結果により決定される。次いで、この百分率が、特定されたパラメーターを用いて上記のFASTDBプログラムにより計算された同一性パーセントから引かれて、最終的な同一性スコアのパーセントに到達する。この最終的な同一性スコアのパーセントは、この実施態様の目的のために用いられるものである。問い合わせ配列とマッチ/アラインメントしない、対象配列のN末端およびC末端についての残基のみ、同一性スコアのパーセントを手動で調整する目的のために考慮される。すなわち、問い合わせ残基のみが、対象配列の最も遠いN末端およびC末端の残基の外側に位置する。例えば、90アミノ酸残基の対象配列は、100残基の問い合わせ配列とアラインメントされて、同一性パーセントが決定される。欠失は対象配列のN末端で生じ、それゆえ、FASTDBアラインメントは、N末端における最初の10残基については、マッチ/アラインメントを示さない。10個の対合していない残基は、10%の配列を表し(マッチしなかったN末端およびC末端における残基の数/問い合わせ配列における残基の総数)、従って、10%がFASTDBプログラムにより計算される同一性スコアのパーセントから引かれる。残りの90残基が完全にマッチしていた場合、最終的な同一性%は90%である。別の例では、90残基の対象配列は、100残基の問い合わせ配列と比較される。今度は、欠失が内部欠失である場合、従って問い合わせとマッチ/アラインメントしない対象配列の残基はN末端にもC末端にも存在しない場合である。この場合、FASTDBにより計算される同一性パーセントは、手動では補正されない。再度、FASTDBアラインメントにおいて提示されるように、問い合わせ配列とマッチ/アラインメントしない、対象配列のN末端およびC末端の外側に位置する残基のみが、手動で補正される。他の手動の補正は、この実施態様の目的では行なわれない。
【0093】
本発明のポリペプチドは、当業者に周知の方法を用いるSDS−PAGEゲルまたは分子ふるいゲル濾過カラムでの分子量マーカーとして用いられ得る。
【0094】
本発明者らは、DR5ポリペプチドが、3つの主な構造ドメインを示す、411残基のタンパク質であることを見出した。第1に、リガンド結合ドメインは、図1における残基約52〜約184内(配列番号2におけるアミノ酸残基約1〜約133)に同定された。第2に、膜貫通ドメインは、図1における残基約185〜約208内(配列番号2におけるアミノ酸残基約134〜約157)に同定された。第3に、細胞内ドメインは、図1における残基約209〜約411内(配列番号2におけるアミノ酸残基約158〜約360)に同定された。重要なことには、細胞内ドメインは、残基約324から約391(配列番号2におけるアミノ酸残基約273〜約340)に死ドメインを含む。図1に示されるさらに好ましいポリペプチドのフラグメントは、残基約52〜約411(配列番号2におけるアミノ酸残基約1〜約360)の成熟タンパク質、ならびに細胞外ドメインおよび細胞内ドメインの全てまたは一部を含むが膜貫通ドメインを欠く可溶性ポリペプチドを含む。
【0095】
本発明はさらに、リーダーを含む、寄託されたcDNAクローンによりコードされるDR5ポリペプチド、ならびに成熟タンパク質、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、細胞内ドメイン、死ドメイン、およびそれらの全ての組合せから選択されるDR5ポリペプチドフラグメントを提供する。
【0096】
別の局面において、本発明は、本明細書中に記載のポリペプチドのエピトープ保有部分を含む、ペプチドまたはポリペプチドを提供する。このポリペプチド部分のエピトープは、本発明のポリペプチドの免疫原性または抗原性のエピトープである。「免疫原性エピトープ」は、タンパク質全体が免疫原である場合、抗体応答を誘発するタンパク質の一部分として定義される。他方、抗体が結合し得るタンパク質分子の領域は、「抗原性エピトープ」として定義される。タンパク質の免疫原性エピトープの数は一般的に、抗原性エピトープの数よりも少ない。例えば、Geysenら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:3998−4002(1983)を参照のこと。
【0097】
抗原性エピトープを保有する(すなわち、抗体が結合し得るタンパク質分子の領域を含む)ペプチドまたはポリペプチドの選択に関して、タンパク質配列の一部を模倣する比較的短い合成ペプチドが、その部分的に模倣されたタンパク質と反応する抗血清を日常的に誘発し得ることが当該分野で周知である。例えば、Sutcliffe,J.G.,Shinnick,T.M.,Green,N.およびLearner,R.A.,「Antibodies That React With Predetermined Sites on Proteins」,Science 219:660−666(1983)を参照のこと。タンパク質反応性血清を誘発し得るペプチドは、タンパク質の一次配列で頻繁に示され、そして簡単な化学的法則のセットにより特徴付けられ得、そしてインタクトなタンパク質の免疫優性領域(すなわち、免疫原性エピトープ)にも、アミノ末端またはカルボキシル末端にも、制限されない。
【0098】
それゆえ、本発明の抗原性エピトープ保有ペプチドおよびポリペプチドは、本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体(モノクローナル抗体を含む)を惹起するために有用である。例えば、Wilsonら、Cell 37:767−778(1984)の777頁を参照のこと。従って、本発明の抗原性エピトープ保有ペプチドおよびポリペプチドは、本発明のポリペプチドのアミノ酸配列に含まれる、少なくとも7個の、より好ましくは少なくとも9個、そして最も好ましくは少なくとも約15個〜約30個の間のアミノ酸の配列を、好ましくは含む。
【0099】
DR5特異的抗体の生成のために使用され得る、抗原性ポリペプチドまたはペプチドの制限されない例として、以下のものが含まれる:図1におけるアミノ酸残基約62〜約110(配列番号2における約11〜約59)を含むポリペプチド;図1におけるアミノ酸残基約119〜約164(配列番号2における約68〜約113)を含むポリペプチド;図1におけるアミノ酸残基約224〜約271(配列番号2における約173〜約220)を含むポリペプチド;および図1におけるアミノ酸残基約275〜約370(配列番号2における約224〜約319)を含むポリペプチド。上記に示すように、本発明者らは、上記ポリペプチドフラグメントが、DR5タンパク質の抗原性領域であると決定した。
【0100】
本発明のエピトープ保有ペプチドおよびポリペプチドは、任意の従来の手段により生成され得る。Hougthen,R.A, 「General Method for the Rapid Solid−Phase Synthesis of Large Numbers of Peptides: Specificity of Antigen−Antibody Interaction at the Level of Individual Amino Acids」, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:5131−5135(1985)。この「Simultaneous Multiple Peptide Synthesis(SMPS)」プロセスは、Hougthenらに対する米国特許第4,631,211号(1986)でさらに記載される。
【0101】
当業者が理解するように、本発明のDR5ポリペプチドおよび上記のそのエピトープ保有フラグメントは、免疫グロブリン(IgG)の定常ドメインの一部と合わされ得、キメラポリペプチドを生じる。これらの融合タンパク質は、精製を促進し、そしてインビボで半減期の増加を示す。これは、例えば、ヒトCD4−ポリペプチドの最初の2つのドメインおよび哺乳動物免疫グロブリンのH鎖またはL鎖の定常領域の種々のドメインからなるキメラタンパク質について示されている(EPA 394,827;Trauneckerら、Nature 331:84−86(1988))。IgG部分によるジスルフィド結合二量体構造を有する融合タンパク質はまた、他の分子との結合および中和において、単量体DR5タンパク質またはタンパク質フラグメント単独よりも効率的であり得る(Fountoulakisら、J Biochem 270:3958−3964(1995))。
【0102】
ポリペプチドアッセイ
本発明はまた、正常レベルおよび異常レベルの決定を含む、細胞および組織におけるDR5タンパク質またはその可溶性形態のレベルの検出のための定量的および診断アッセイのような診断アッセイに関する。従って、例えば、正常コントロール組織サンプルと比較した、DR5またはその可溶性形態の過剰発現を検出するための本発明による診断アッセイは、例えば、腫瘍の存在を検出するために用いられ得る。宿主由来のサンプルにおけるタンパク質(例えば、本発明のDR5タンパク質またはその可溶性形態)のレベルを決定するために用いられ得るアッセイ技術は、当業者に周知である。このようなアッセイ方法は、放射免疫アッセイ、競合的結合アッセイ、ウェスタンブロット分析、およびELISAアッセイを含む。
【0103】
生物学的サンプル中のDR5タンパク質レベルのアッセイは、当該分野で公知の任意の方法を用いて行い得る。「生物学的サンプル」によって、DR5レセプタータンパク質またはmRNAを含有する、個体、細胞株、組織培養物、または他の供給源から得られた、任意の生物学的サンプルが意図される。生物学的サンプル中のDR5タンパク質のレベルをアッセイするために好ましいのは、抗体に基く技術である。例えば、組織におけるDR5タンパク質発現は、古典的な免疫組織学的方法を用いて研究され得る(Jalkanen,M.ら,J.Cell.Biol.101:976−985(1985);Jalkanen,M.ら,J.Cell.Biol.105:3087−3096(1987))。DR5タンパク質遺伝子発現を検出するために有用な、抗体に基づく他の方法には、免疫アッセイ(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)および放射免疫アッセイ(RIA))が挙げられる。
【0104】
適切な標識が当該分野で公知であり、そして、これには酵素標識(例えば、グルコースオキシダーゼ)、放射性同位体(例えば、ヨウ素(125I、121I)、炭素(14C)、イオウ(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(112In)、およびテクネチウム(99mTc))、蛍光標識(例えば、フルオレセインおよびローダミン)およびビオチンが含まれる。
【0105】
治療
腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーのリガンドは、最も多面性のサイトカインの1つであることが公知であり、多数の細胞応答(細胞傷害性、抗ウイルス活性、免疫調節活性、およびいくつかの遺伝子の転写調節を含む)を誘導する(Goeddel, D.V.ら, 「Tumor Necrosis Factors: Gene Structure and Biological Activities」, Symp. Quant. Biol. 51:597−609 (1986), Cold Spring Harbor; Beutler, B.およびCerami, A., Annu. Rev. Biochem. 57:505−518 (1988); Old, L.J., Sci. Am. 258:59−75 (1988); Fiers, W., FEBS Lett. 285:199−224 (1991))。TNFファミリーのリガンドは、TNFファミリーのレセプター(本発明のDR5を含む)に結合することにより、このような種々の細胞応答を誘導する。DR5ポリペプチドを発現する細胞、およびDR5リガンドに対する強力な細胞応答を有すると考えられる細胞は、初代樹状細胞、内皮組織、脾臓、慢性リンパ性白血病、およびヒト胸腺支質細胞を含む。「TNFファミリーのリガンドに対する細胞応答」により、TNFファミリーのリガンドにより誘導される、細胞、細胞株、組織、組織培養物、または患者に対する、任意の遺伝子型変化、表現型変化、および/または形態学的変化を意図する。示されたように、このような細胞応答は、TNFファミリーのリガンドに対する正常な生理学的応答だけでなく、アポトーシスの増加またはアポトーシスの阻害に関連する疾患をも含む。アポトーシス(プログラム細胞死)は、免疫系からの末梢Tリンパ球の欠損に関与する生理学的機構であり、そしてその調節不全は、多数の異なる病原性プロセスを導き得る(Ameisen, J.C., AIDS 8:1197−1213(1994); Krammer, P.H.ら, Curr. Opin. Immunol. 6:279−289 (19994))。
【0106】
増加した細胞生存またはアポトーシスの阻害に関連する疾患は、ガン(例えば、濾胞性リンパ腫、p53変異を有するガン、およびホルモン依存性腫瘍(例えば、乳ガン、前立腺ガン、カポージ肉腫、および卵巣ガン));自己免疫障害(例えば、全身性エリテマトーデスおよび免疫関連糸球体腎炎慢性関節リウマチ)およびウイルス感染(例えば、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、およびアデノウイルス)、炎症;対宿主性移植片病、急性移植片拒絶、および慢性移植片拒絶を含む。増加したアポトーシスに関連する疾患は、AIDS;神経変性障害(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、色素性網膜炎、小脳変性);骨髄形成異常症候群(例えば、再生不良性貧血)、虚血性損傷(例えば、心筋梗塞、発作、および再灌流障害により引き起こされるもの)、毒素誘導性肝臓疾患(例えば、アルコールにより引き起こされるもの)、敗血症性ショック、悪液質、および食欲不振を含む。
【0107】
従って、1つの局面では、本発明は、TNFファミリーリガンドにより誘導されるアポトーシスを増強するための方法に関し、この方法は、DR5ポリペプチドを発現する細胞に、DR5媒介シグナル伝達を増加させ得る有効量のDR5リガンド、アナログ、またはアゴニストを投与する工程を含む。好ましくは、DR5媒介シグナル伝達は、疾患を処置するために増加され、ここで、減少したアポトーシスまたは減少したサイトカインおよび接着分子の発現が示される。アゴニストは、可溶性形態のDR5およびDR5ポリペプチドに対するモノクローナル抗体を含み得る。
【0108】
さらなる局面では、本発明は、TNFファミリーリガンドにより誘導されるアポトーシスを阻害するための方法に関し、この方法は、DR5ポリペプチドを発現する細胞に、DR5媒介シグナル伝達を減少させ得る有効量のアンタゴニストを投与する工程を含む。好ましくは、DR5媒介シグナル伝達は、疾患を処置するために減少され、ここで、増加したアポトーシスまたはNFκB発現が示される。アンタゴニストは、可溶性形態のDR5およびDR5ポリペプチドに対するモノクローナル抗体を含み得る。
【0109】
「アゴニスト」により、アポトーシスを亢進または増強し得る、天然に存在する化合物および合成化合物が意図される。「アンタゴニスト」により、アポトーシスを阻害し得る、天然に存在する化合物および合成化合物が意図される。本発明の任意の候補「アゴニスト」または「アンタゴニスト」が、アポトーシスを増強し得るかまたは阻害し得るかは、以下でより詳細に記載されるアッセイを含む、当該分野で公知のTNFファミリーのリガンド/レセプター細胞応答アッセイを用いて決定され得る。
【0110】
1つのこのようなスクリーニング手順は、本発明のレセプターを発現するようにトランスフェクトしたメラニン保有細胞の使用を含む。このようなスクリーニング技術は、1992年2月6日に公開されたPCT WO 92/01810に記載される。このようなアッセイは、例えば、本発明のレセプターポリペプチドの活性化を阻害(または増強)する化合物についてスクリーニングするために、レセプターをコードするメラニン保有細胞を、TNFファミリーのリガンドおよび候補アンタゴニスト(またはアゴニスト)の両方と接触させることにより、用いられ得る。リガンドにより生成されるシグナルの阻害または増強は、化合物が、リガンド/レセプターシグナル伝達経路のアンタゴニストまたはアゴニストであることを示す。
【0111】
他のスクリーニング技術は、レセプター活性化により引き起こされる細胞外pHの変化を測定する系においてレセプターを発現する細胞(例えば、トランスフェクトされたCHO細胞)の使用を含む。例えば、化合物は、本発明のレセプターポリペプチドを発現する細胞と接触され得、そして2次メッセンジャー応答(例えば、シグナル伝達またはpH変化)が測定されて、潜在的な化合物がレセプターを活性化するかまたは阻害するかが決定され得る。
【0112】
別のこのようなスクリーニング技術は、レセプターをコードするRNAを、Xenopus卵母細胞に導入してレセプターを一過性に発現する工程を含む。次いで、レセプター卵母細胞は、レセプターリガンドおよびスクリーニングされる化合物と接触され得、続いてレセプターの活性化を阻害すると考えられる化合物についてのスクリーニングの場合はカルシウムシグナルの阻害または活性化の検出が行なわれる。
【0113】
別のスクリーング技術は、細胞において構築物を発現させる工程を含み、ここで、レセプターは、ホスホリパーゼCまたはDに結び付けられる。このような細胞は、内皮細胞、平滑筋細胞、胎児性腎臓細胞などを含む。スクリーニングは、レセプターの活性化またはレセプターの活性化の阻害をホスホリパーゼシグナルから検出することにより、本明細書中の上記の通りに達成され得る。
【0114】
別の方法は、本発明のレセプターポリペプチドの活性化を阻害する化合物(アンタゴニスト)を、細胞表面にレセプターを有する細胞に対する標識化リガンドの結合の阻害を決定することによりスクリーニングする工程を含む。このような方法は、真核生物細胞を、この細胞がその表面上にレセプターを発現するように、レセプターをコードするDNAでトランスフェクトする工程、およびこの細胞を公知のリガンドの標識化形態の存在下で化合物と接触させる工程を含む。リガンドは、例えば、放射能により標識され得る。レセプターに結合した標識化リガンドの量は、例えば、レセプターの放射能を測定することにより測定される。化合物が、レセプターに結合する標識化リガンドの減少により決定されるようにレセプターに結合する場合、レセプターに対する標識化リガンドの結合は阻害される。
【0115】
本発明のアゴニストおよびアンタゴニストについてさらなるスクリーニングアッセイは、Tartaglia, L.A.およびGoeddel, D.V., J.Biol.Chem. 267:4304−4307(1992)に記載される。
【0116】
従って、さらなる局面では、候補アゴニストまたはアンタゴニストがTNFファミリーのリガンドに対する細胞応答を増強し得るかまたは阻害し得るかを決定するためのスクリーニング方法が提供される。この方法は、DR5ポリペプチドを発現する細胞を、候補化合物およびTNFファミリーのリガンドと接触させる工程、細胞応答をアッセイする工程、および標準的な細胞応答に対してこの細胞応答を比較する工程(標準は、候補化合物の非存在下でリガンドとの接触が行なわれる場合にアッセイされる)を含み、ここで標準を超える増加した細胞応答は、候補化合物がリガンド/レセプターシグナル伝達経路のアゴニストであることを示し、そして標準と比較して減少した細胞応答は、候補化合物がリガンド/レセプターシグナル伝達経路のアンタゴニストであることを示す。「細胞応答をアッセイすること」により、候補化合物および/またはTNFファミリーのリガンドに対する細胞応答を定性的または定量的に測定する(例えば、T細胞増殖またはトリチウム化チミジン標識における増加または減少を決定または評価すること)ことが意図される。本発明により、DR5ポリペプチドを発現する細胞は、内因的または外因的のいずれかの投与されたTNFファミリーのリガンドと接触され得る。
【0117】
本発明によるアゴニストは、天然に存在する化合物および合成化合物(例えば、TNFファミリーのリガンドペプチドフラグメント、トランスフォーミング増殖因子、神経伝達物質(例えば、グルタミン酸、ドパミン、N−メチル−D−アスパラギン酸)、腫瘍サプレッサー(p53)、細胞溶解性T細胞および代謝拮抗物質など)を含む。好ましいアゴニストは、化学療法薬(例えば、シスプラチン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、シトシンアラビノシド、ナイトロジェンマスタード、メトトレキサート、およびビンクリスチン)を含む。他には、エタノールおよび−アミロイドペプチドを含む(Science 267:1457−1458(1995))。さらに好ましいアゴニストは、DR5ポリペプチドに対して惹起されたポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体、またはそれらのフラグメントを含む。TNFファミリーのレセプターに対して惹起されたこのようなアゴニスト抗体は、Tartaglia, L.A.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:9292−9296(1991); ならびにTartaglia, L.A.およびGoeddel, D.V.,J.Biol.Chem. 267(7):4304−4307(1992) に開示される。PCT出願WO 94/09137もまた参照のこと。
【0118】
本発明によるアンタゴニストは、天然に存在する化合物および合成化合物(例えば、CD40リガンド、中性アミノ酸、亜鉛、エストロゲン、アンドロゲン、ウイルス遺伝子(例えば、アデノウイルスElB、バキュロウイルスp35およびIAP、牛痘ウイルスcrmA、エプスタイン−バーウイルスBHRF1、LMP−1、アフリカ豚コレラウイルスLMW5−HL、ならびにヘルペスウイルスyl34.5)、カルパインインヒビター、システインプロテアーゼインヒビター、ならびに腫瘍プロモーター(例えば、PMA、フェノバルビタール、およびα−ヘキサクロロシクロヘキサン)など)を含む。
【0119】
他の潜在的なアンタゴニストは、アンチセンス分子を含む。アンチセンス技術が、アンチセンスDNAもしくはRNAを介して、または三重らせん形成を介して、遺伝子発現を制御するために使用され得る。アンチセンス技術は、例えば、Okano,J.Neurochem.56:560(1991);Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression,CRC Press,Boca Raton,FL.(1988)に考察される。三重らせん形成は、例えば、Leeら,Nucleic Acids Research 6:3073(1979);Cooneyら,Science 241:456(1988);およびDervanら,Science 251:1360(1991)に考察される。この方法は、相補的なDNAまたはRNAに対するポリヌクレオチドの結合に基く。
【0120】
例えば、本発明の成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの5’コード部分は、約10〜40塩基対長のアンチセンスRNAオリゴヌクレオチドを設計するために用いられ得る。DNAオリゴヌクレオチドは、転写に関与する遺伝子領域に相補的であり、それによりレセプターの転写および産生を防止するように設計される。アンチセンスRNAオリゴヌクレオチドは、インビボでmRNAにハイブリダイズし、そしてレセプターポリペプチドへのmRNA分子の翻訳をブロックする。
【0121】
1つの実施態様では、本発明のDR5アンチセンス核酸は、外来性配列からの転写により細胞内で産生される。例えば、ベクターまたはその部分は転写され、本発明のアンチセンス核酸(RNA)を産生する。このようなベクターは、DR5アンチセンス核酸をコードする配列を含む。このようなベクターは、転写されて所望のアンチセンスRNAを生成し得る限り、エピソーム性であり続け得るか、または染色体に組込まれることとなり得る。このようなベクターは、当該分野で標準的な組換えDNA技術法により構築され得る。ベクターは、脊椎動物細胞における複製および発現のために用いられる、当該分野で公知のプラスミド性、ウイルス性、または他のものであり得る。DR5をコードする配列またはそのフラグメントの発現は、脊椎動物、好ましくはヒト細胞において作用する当該分野で公知の任意のプロモーターによって行なわれ得る。このようなプロモーターは、誘導性または構成性であり得る。このようなプロモーターは、SV40初期プロモーター領域(BernoistおよびChambon, Nature 29:304−310 (1981))、ラウス肉腫ウイルスの3’の長い末端反復配列に含まれるプロモーター(Yamamotoら、Cell 22:787−797 (1980))ヘルペスチミジンプロモーター(Wagnerら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78:1441−1445 (1981))、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら, Nature 296:39−42(1982))などを含むがこれらに限定されない。
【0122】
本発明のアンチセンス核酸は、DR5遺伝子のRNA転写物の少なくとも一部に相補的な配列を含む。しかし、好ましいとはいえ、絶対的な相補性は要求されない。本明細書で言及される「RNAの少なくとも一部に相補的な」配列とは、RNAとハイブリダイズして安定な二重鎖を形成し得るに充分な相補性を有する配列;二本鎖DR5アンチセンス核酸の場合、二重鎖DNAの一本鎖が試験され得るか、または三重らせん形成がアッセイされ得ることを意味する。ハイブリダイズする能力は、相補性の程度およびアンチセンス核酸の長さの両方に依存する。一般に、ハイブリダイズする核酸が大きければ大きいほど、より多くの塩基がDR5 RNAとミスマッチであり、これは、安定な二重鎖を含み得、そして安定な二重鎖(もしくは三重らせんの場合もあり得る)を依然として形成し得る。当業者は、ハイブリダイズした複合体の融点を決定する標準的な手順の使用により、ミスマッチの許容される程度を確認し得る。
【0123】
本発明の潜在的なアンタゴニストはまた、触媒性RNAまたはリボザイム(例えば、1990年10月4日に公開された、PCT国際公開WO 90/11364;Sarverら、Science 247:1222−1225(1990)を参照のこと)を含む。部位特異的認識配列でmRNAを切断するリボザイムがDR5 mRNAsを破壊するために使用され得る場合、ハンマーヘッド型リボザイムの使用が好ましい。ハンマーヘッド型リボザイムは、標的mRNAと相補的な塩基対を形成する隣接領域によって決定される位置でmRNAを切断する。唯一必要なことは、標的mRNAが以下の2塩基の配列を有することである:5’−UG−3’。ハンマーヘッド型リボザイムの構築および産生は、当該分野で周知であり、そしてHaseloffおよびGerlach, Nature 334:585−591(1988)に完全に記載されている。DR5のヌクレオチド配列内に、多数の潜在的なハンマーヘッド型リボザイム切断部位が存在する(図1)。好ましくは、リボザイムは、切断認識部位がDR5 mRNAの5’末端に近接するように(すなわち、非機能性mRNA転写の効率を増大させ、そして細胞内蓄積を最小限にするように)操作される。リボザイムをコードするDNA構築物は、DNAをコードするアンチセンスの導入について上に記載されるのと同様の様式で細胞に導入され得る。アンチセンス分子とは異なり、リボザイムは触媒性であるので、より低い細胞内濃度が効率のために必要とされる。
【0124】
本発明のさらなるアンタゴニストには、DR5の可溶性形態(すなわち、全長レセプターの細胞外領域からのリガンド結合ドメインを含むDR5フラグメント)が含まれる。このような可溶性形態のレセプター(天然に存在し得るか、または合成され得る)は、TNF−ファミリーリガンドへの結合について細胞表面DR5と競合することによって、DR5媒介性シグナリングと拮抗する。従って、リガンド結合ドメインを含む可溶性形態のレセプターは、TNF−ファミリーリガンドによって誘導されるアポトーシスを阻害し得る、新規のサイトカインである。これはモノマーとして発現され得るが、好ましくはダイマーまたはトリマーとして発現される。なぜなら、これらはモノマー形態の可溶性レセプターよりも、アンタゴニスト(例えば、IgGFc−TNFレセプターファミリー融合体)として優れていることが示されているからである。他のこのようなサイトカインが当該分野で公知であり、これにはFasリガンドによって誘導されるアポトーシスを制限するように生理学的に作用するFas B(マウスFasレセプターの可溶性形態)が含まれる(Hughes, D.P.およびCrispe, I.N., J. Exp. Med. 182:1395−1401 (1995))。
【0125】
本明細書中で使用される用語「抗体」(Ab)または「モノクローナル抗体」(mAb)は、抗原に結合し得るインタクトな分子およびそのフラグメント(例えば、FabおよびF(ab’)2フラグメントのような)を含むことを意味する。Fab、Fab’、およびF(ab’)2フラグメントはインタクトな抗体のFcフラグメントを欠いており、循環からより迅速に除去され、そしてインタクトな抗体の非特異的組織結合をほとんど有し得ない(Wahlら、J. Nucl. Med. 24:316−325 (1983))。
【0126】
本発明の抗体は、本発明のDR5免疫原を使用する、任意の種々の標準的な方法によって調製され得る。示されるように、このようなDR5免疫原には、全長DR5ポリペプチド(これはリーダー配列を含み得るか、または含まなくてもよい)およびDR5ポリペプチドフラグメント(例えば、リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、細胞内ドメイン、および死ドメイン)が含まれる。
【0127】
本発明の抗体は、本発明のポリペプチド配列の位置および活性に関して、当該分野で公知の方法(例えば、これらのポリペプチドを画像化するため、適切な生理学的サンプルにおけるそのレベルを測定するためなど)において使用され得る。抗体はまた、DR5のアゴニストおよびアンタゴニストとして、イムノアッセイおよび治療法における使用もまた有する。
【0128】
DR5ドメインを結合するタンパク質および他の化合物もまた、本発明の候補アゴニストおよびアンタゴニストである。このような結合化合物は、酵母ツーハイブリッド系を使用して「捕獲」され得る(FieldsおよびSong, Nature 340:245−246 (1989))。酵母ツーハイブリッド系の改変バージョンは、Roger Brentおよび共同研究者らによって記載されている(Gyuris, J.ら、Cell 75:791−803 (1993); Zervos, A.S.ら、Cell 72:223−232 (1993))。好ましくは、酵母ツーハイブリッド系は、DR5リガンド結合ドメインまたはDR5細胞内ドメインのいずれかに結合する化合物を捕獲するために、本発明に従って使用される。このような化合物は、本発明の良い候補アゴニストおよびアンタゴニストである。
【0129】
「TNF−ファミリーリガンド」によって、TNFレセプターファミリーのメンバーに結合し得る、天然に存在するリガンド、組換えリガンド、および合成リガンドが意図され、これは、リガンド/レセプターシグナリング経路を誘導し得る。TNFリガンドファミリーのメンバーには、DR5リガンド、TRAIL、TNF−α、リンホトキシン−α(LT−α、TNF−βとしても公知である)、LT−β(複合体へテロトリマーLT−α2−βに見出される)、FasL、CD40、CD27、CD30、4−1BB、OX40、および神経成長因子(NGF)が含まれるが、これらに限定されない。DR5およびその誘導体(フラグメントを含む)ならびにそのアナログのTRAILに結合する能力を決定するために行われ得るアッセイの例は、以下の実施例6に記載される。
【0130】
本発明の例示的な治療適用は、以下でより詳細に議論される。AIDSを規定する免疫不全の状態は、二次的にCD4+ Tリンパ球の数および機能を低減させる。最近の報告は、3.5×107細胞と2×109細胞との間にあるCD4+ T細胞の日毎の減少を評価する(Wei X.ら、Nature 373:117−122(1995))。HIV感染の設定におけるCD4+ T細胞減少の1つの原因は、HIV誘導性アポトーシスであると考えられている。実際、HIV誘導性アポトーシス細胞死は、インビトロだけでなく、より重要なことに、感染した個体においても実証されている(Ameisen,J.C., AIDS 8:1197−1213 (1994);Finkel, T.H.、およびBanda, N.K., Curr. Opin, Immunol. 6:605−615 (1995);Muro−Cacho, C.A.ら、J.Immunol. 154:5555−5566 (1995))。さらに、アポトーシスおよびCD4+ Tリンパ球減少は、AIDSの種々の動物モデルにおいて密接に関連しており(Brunner, T.ら、Nature 373:441−444 (1995);Gougeon, M.L.ら、AIDS Res. Hum, Retroviruses 9: 553−563 (1993))、そして、アポトーシスは、ウイルス複製がAIDSを生じない動物モデルにおいては観察されない(Gougeon, M.L.ら、AIDS Res. Hum. Retroviruses 9:553−563 (1993))。さらなるデータは、HIV感染個体からの、感染されていないが初回刺激されたまたは活性化されたTリンパ球が、TNFファミリーリガンドFasLに遭遇した後、アポトーシスを受けることを示す。HIV感染の後、死を生じる単球細胞株を使用することによって、HIVでのU937細胞の感染がFasLの新規の発現を生じ、そしてそのFasLがHIV誘導性アポトーシスを媒介することを示されている(Badley, A.D.ら、J.Virol. 70:199−206(1996))。さらに、TNFファミリーリガンドは、非感染性マクロファージにおいて検出可能であり、そしてその発現は、非感染CD4 Tリンパ球の選択的な殺傷を生じるHIV感染後、アップレギュレートされた(Badley, A.D.ら、J.Virol. 70:199−206(1996))。従って、本発明によって、HIV+個体を処置する方法が提供され、これは、本発明のアンタゴニストを投与して、CD4 Tリンパ球の選択的な殺傷を減少させる工程を包含する。投与および投薬量の態様は、以下で詳細に議論される。
【0131】
同種移植片拒絶において、レシピエント動物の免疫系は、前もって応答に対して初回刺激されていない。なぜなら、ほとんどの部分の免疫系は、環境抗原によってのみ初回刺激されるからである。同じ種の他のメンバーからの組織は同じ様式では提示されていない(例えば、ウイルスおよび細菌は提示されている)。同種移植片拒絶の場合、免疫抑制レジメは、免疫系がエフェクター段階に及ばないように予防するように設計される。しかし、異種移植片拒絶の免疫プロフィールは、同種移植片拒絶よりも疾患再発に類似し得る。疾患再発の場合、免疫系は、ネイティブな島細胞の破壊によって示されるように、すでに活性化されている。それゆえ、疾患再発において、免疫系は、すでにエフェクター段階である。本発明のアゴニストは、同種移植片および異種移植片の両方に対して免疫応答を抑制し得る。なぜなら、活性化され、そしてエフェクター細胞に分化されるリンパ球はDR5ポリペプチドを発現し、それによって、アポトーシスを増強する化合物の影響を受けやすいからである。従って、本発明は、さらに、免疫特権(privileged)組織を作成する方法を提供する。
【0132】
DR5アンタゴニストは、炎症性疾患(例えば、リウマチ様関節炎、骨関節炎、乾癬、敗血症、および炎症性腸疾患)の処置に有用であり得る。
【0133】
さらに、DR5のリンパ芽球発現に起因して、可溶性DR5アゴニストまたはアンタゴニストのmABは、この形態のガンを処置するために使用され得る。さらに、可溶性DR5または中和性mABは、種々の慢性および急性形態の炎症(例えば、リウマチ様関節炎、骨関節炎、乾癬、敗血症、および炎症性腸疾患)を処置するために使用され得る。
【0134】
投与の様態
本明細書中に記載されるアゴニストまたはアンタゴニストは、インビトロ、エキソビボ、またはインビボで、本発明のレセプターを発現する細胞に投与され得る。アゴニストまたはアンタゴニストの「有効量」の投与によって、TNFファミリーリガンドに対する細胞性応答を増強または阻害するに十分な化合物(ポリペプチドを含む)の量が意図される。詳細には、アゴニストまたはアンタゴニストの「有効量」の投与によって、DR5媒介性アポトーシスを増強または阻害するに有効な量が意図される。もちろん、アポトーシスが増強されることが所望される場合、本発明のアゴニストは、TNFファミリーリガンドとともに同時投与され得る。当業者は、アゴニストまたはアンタゴニストの有効量が経験的に決定され得、そして純粋な形態または薬学的に受容可能な塩、エステル、またはプロドラッグの形態で使用され得ることを理解する。アゴニストまたはアンタゴニストは、1つ以上の薬学的に受容可能な賦形剤(すなわち、キャリア)と組み合わせて、組成物において投与され得る。
【0135】
ヒト患者に投与される場合、本発明の化合物および組成物の日毎の全使用量は、有効な医学的判断の範囲内で担当医によって決定されることが理解される。任意の特定の患者についての特定の治療有効用量レベルは、医学分野において周知の因子に基づく。
【0136】
一般的な定義として、用量あたり非経口的に投与されるDR5ポリペプチドの全薬学的有効量は、患者の体重あたり、約1μg/kg/日〜10mg/kg/日の範囲でありるが、上記のように、これは治療的な決定の問題である。より好ましくは、この用量は、ホルモンについて、少なくとも0.01mg/kg/日であり、そしてヒトについて最も好ましくは約0.01と1mg/kg/日との間である。連続的に与えられる場合、DR5アゴニストまたはアンタゴニストは、代表的には、約1μg/kg/時間〜約50μg/kg/時間の投薬速度で、例えば、ミニポンプを使用して、1〜4注入/日か、または連続的な皮下注入のいずれかによって投与される。静脈内バッグ(intravenous bag)溶液もまた使用され得る。
【0137】
投薬はまた、RIA技術によって決定されるように、患者特異的様式で設定され、予め決定された濃度のアゴニストまたはアンタゴニストを血液に提供し得る。従って、患者投薬は、RIAによって測定される場合、50〜1000ng/ml、好ましくはほぼ150から500ng/mlで、血液レベルを通して継続的な進行を達成するように調製され得る。
【0138】
アゴニストまたはアンタゴニスト(本発明のDR5ポリヌクレオチドおよびポリペプチドを含む)および薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤を含む薬学的組成物が提供され、これらは、経口的に、直腸に、非経口的に、槽内に、膣内に、腹腔内に、局所的に(粉末、軟膏、ドロップ、または経皮パッチによるように)、頬内または経口スプレーもしくは経鼻スプレーとして投与され得る。重要なことに、アゴニストおよびTNF−ファミリーリガンドの同時投与によって臨床的副作用は、より低い容量の、リガンドおよびアゴニストの両方を使用することによって低減され得る。アゴニストは、特定の治療適用の緊急性に依存して、TNF−ファミリーリガンドの前、後、または同時のいずれかで「同時投与され」得ることが理解される。「薬学的に受容可能なキャリア」は、非毒性固体、半固体または液体賦形剤、希釈剤、カプセル用材料、または任意の型の処方補助物を意味する。特定の実施態様において、「薬学的に受容可能な」とは、連邦政府、または合衆国、または米国薬局方に列挙される管理局、または動物(より特には、ヒト)における使用のための他の一般に認識される薬局方によって認可されることを意味する。本態様に従う適切な薬学的キャリアの非限定的な例は、E.W.Martinによる「Remington’s Pharmaceutical Science」に提供され、そしてこれには、水および油(石油、動物、野菜または合成起源の油、例えば、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などを含む)のような滅菌液が含まれる。水は、薬学的組成物が静脈内に投与される場合、好ましいキャリアである。生理食塩水溶液および水性デキストロースおよびグリセロール溶液が、特に注入可能な溶液のために液体キャリアとして使用され得る。
【0139】
本明細書で使用される用語「非経口」とは、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨下(intrasternal)、皮下、および関節内注射および注入を包含する、投与様態をいう。
【0140】
非経口注入のための本発明の薬学的組成物は、薬学的に受容可能な滅菌溶液または非水性溶液、分散液、懸濁液、またはエマルジョン、ならびに使用直前に滅菌注射用溶液または分散液へ再構成するための滅菌粉末が含まれ得る。
【0141】
界面活性剤(例えば、CHAPSまたはNR−40)を緩衝液とともに含むことによって適切に可溶化される場合、可溶性DR5ポリペプチドに加えて、膜貫通領域を含むDR5ポリペプチドもまた使用され得る。
【0142】
染色体アッセイ
本発明の核酸分子はまた、染色体同定に有用である。この配列は、個々のヒト染色体における特定の位置に特異的に標的化され、そしてハイブリダイズし得る。本発明による染色体へのDNAのマッピングは、それらの配列を、疾患に関連した遺伝子と相関づけるのに重要な第一歩である。
【0143】
これに関して特定の好ましい実施態様では、本明細書中で開示されるcDNAおよび/またはポリヌクレオチドは、DR5遺伝子のゲノムDNAをクローニングするために用いられる。これは、一般的に市販されている、種々の周知の技術およびライブラリーを用いて達成され得る。次いで、この目的のために周知の技術を用いるインサイチュ染色体マッピングのためにゲノムDNAが使用される。
【0144】
さらに、配列は、cDNAからPCRプライマー(好ましくは、15〜25bp)を調製することにより、染色体にマッピングされ得る。遺伝子の3’非翻訳領域のコンピューター分析を用いて、ゲノムDNAにおいて1つを超えるエキソンにまたがらない従って、増幅プロセスを複雑化する、プライマーを迅速に選択する。次いで、これらのプライマーは、個々のヒト染色体を含有する体細胞ハイブリッドのPCRスクリーニングのために用いられる。
【0145】
中期染色体スプレッド(spread)へのcDNAクローンの蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(「FISH」)は、一工程で、正確な染色体位置を提供するために用いられ得る。この技術は、50または60bp程度の短さのcDNAを用いて行われ得る。この技術の概説については、Vermaら、Human Chromosomes: a Manual of Basic Techniques, Pergamon Press, New York (1988)を参照のこと。
【0146】
一旦、配列が正確な染色体位置にマッピングされると、染色体上の配列の物理学的な位置が、遺伝子マップデータと相関づけられ得る。このようなデータは、例えば、V. McKusick, Mendelian Inheritance In Man(Johns Hopkins University, Welch Medical Libraryからオンラインで入手可能である)に見出される。次いで、同じ染色体領域にマッピングされた遺伝子と疾患との間の関係が、連鎖分析(物理学的に隣接した遺伝子の同時遺伝)によって同定される。
【0147】
次に、罹患個体と非罹患個体との間でのcDNAまたはゲノム配列における差異を決定することが必要である。変異が罹患個体のいくらかまたは全てにおいて認められるが、いずれの正常個体でも認められない場合、従って、この変異は、おそらく疾患の原因因子である。
【0148】
本発明に一般的に記載されるように、以下の実施例を参照することにより、本発明は、より迅速に理解されるが、以下の実施例は、例示の目的で提供され、限定は意図されない。
【実施例】
【0149】
(実施例1)
E.coliにおける発現および精製
寄託されたcDNAクローン(ATCC番号97920)における成熟DR5タンパク質をコードするDNA配列を、DR5タンパク質のアミノ末端配列および遺伝子の3’側のベクター配列に特異的なPCRオリゴヌクレオチドプライマーを使用して増幅する。クローニングを容易にする制限部位を含むさらなるヌクレオチドを、それぞれ5’および3’配列に付加する。
【0150】
E.coliにおけるDR5細胞外ドメインの発現のために、以下のプライマーを使用する:5’プライマーは、5’− CGCCCATGGAGTCT GCTCTGATCAC −3’(配列番号8)の配列を有し、下線を付したNcoI部位を含み;そして3’プライマーは、5’− CGCAAGCTTTTAGCCTGATTC TTTGTGGAC −3’(配列番号9)の配列を有し、そして下線を付したHindIII部位を含む。
【0151】
制限部位は、細菌性発現ベクターpQE60における制限酵素部位に都合が良い。これを、本実施例の細菌性発現のために使用する(Qiagen, Inc.,9259 Eton Avenue, Chatsworth, CA, 91311)。pQE60はアンピシリン抗生物質耐性(「Ampr」)をコードし、そして細菌の複製起点(「ori」)、IPTG誘導性プロモーター、およびリボソーム結合部位(「RBS」)を含む。
【0152】
増幅されたDR5 DNAおよびベクターpQE60の両方を、NcoIおよびHindIIIで消化し、そして消化されたDNAを、次いで互いに連結する。制限化されたpQE60ベクターへDR5タンパク質DNAを挿入することによって、DR5タンパク質コード領域をベクターのIPTG誘導性プロモーターの下流に配置し、そして作動可能にこのプロモーターおよびDR5タンパク質の翻訳に適切に位置付けられた開始AUGとインフレームで連結する。
【0153】
連結混合物を、標準的な手順を用いて、コンピテントなE.coli細胞に形質転換する。このような手順は、Sambrookら、Molecular Cloning: a Laboratory Manual、第2版;Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989)に記載される。プラスミドpREP4の複数のコピー(これは、lacリプレッサーを発現し、そしてカナマイシン耐性(「Kanr」)を付与する)を含有するE.coli株M15/rep4を本明細書中に記載の例示的実施例を行うにあたって使用する。この株(これは、DR5タンパク質を発現するのに適切である多くの株の内の単に一つの株である)は、Qiagen,(前出)から市販されている。
【0154】
形質転換体を、アンピシリンおよびカナマイシンの存在下でLBプレート上で増殖するそれらの能力により同定する。プラスミドDNAを耐性コロニーから単離し、そしてクローン化DNAの同定を、制限分析、PCR、およびDNA配列決定により確認する。
【0155】
所望の構築物を含むクローンを、アンピシリン(100μg/ml)およびカナマイシン(25μg/ml)の両方を補充したLB培地における液体培養中で一晩(「O/N」)増殖させる。O/N培養物を用いて約1:100〜1:250の希釈で大規模培養に接種する。細胞を、0.4と0.6との間の、600nmでの光学密度(「OD600」)にまで増殖させる。次いで、イソプロピル−B−D−チオガラクトピラノシド(「IPTG」)を最終濃度1mMまで加えて、lacIリプレッサーを不活化することにより、lacリプレッサー感受性プロモーターからの転写を誘導する。細胞をさらに3〜4時間引き続きインキュベートする。
【0156】
次いで、標準的な方法によって、細胞を遠心分離により採集し、そして破壊する。封入体を日常的な回収技術を使用して破壊細胞から精製し、そしてタンパク質を封入体から8Mの尿素中へ可溶化する。可溶性タンパク質を含む8M尿素溶液を、2×リン酸緩衝化生理食塩水(「PBS」)中のPD−10カラムに通し、それによって尿素を除去し、緩衝液を交換し、そしてタンパク質を再折りたたみさせる。タンパク質を、エンドトキシンを除去するために、さらなるクロマトグラフィー工程によって精製する。次いで、それを滅菌ろ過する。滅菌ろ過タンパク質調製物を、95μ/mlの濃度で2×PBS中に保存する。
【0157】
(実施例2)
哺乳動物細胞における発現
代表的な哺乳動物発現ベクターは、プロモーターエレメント(mRNAの転写の開始を媒介する)、タンパク質コード配列、ならびに転写の終結および転写物のポリアデニル化に必要なシグナルを含む。さらなるエレメントとしては、エンハンサー、Kozak配列、ならびにRNAスプライシングのためのドナー部位およびアクセプター部位に隣接する介在配列が挙げられる。非常に効率的な転写を、SV40由来の初期および後期プロモーター、レトロウイルス(例えば、RSV、HTLVI、HIVI)由来の長末端反復(LTR)ならびにサイトメガロウイルス(CMV)の初期プロモーターを用いて達成し得る。しかし、細胞性シグナル(例えば、ヒトアクチンプロモーター)もまた使用され得る。本発明の実施における使用に適切な発現ベクターとしては、例えば、pSVLおよびpMSG(Pharmacia, Uppsala, Sweden)、pRSVcat(ATCC 37152)、pSV2dhfr(ATCC 37146)、ならびにpBC12MI(ATCC 67109)のようなベクターが挙げられる。使用され得る哺乳動物宿主細胞としては、ヒトHela293細胞、H9細胞およびJurkat細胞、マウスNIH3T3細胞およびC127細胞、Cos1細胞、Cos7細胞およびCV1細胞、ウズラQC1−3細胞、マウスL細胞、ならびにチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞が挙げられる。
【0158】
あるいは、目的の遺伝子は、染色体に組み込まれたその遺伝子を含む安定な細胞株において発現され得る。選択マーカー(例えば、dhfr、gpt、ネオマイシン、ハイグロマイシン)との同時トランスフェクションは、トランスフェクトされた細胞の同定および単離を可能にする。
【0159】
トランスフェクトされた遺伝子もまた増幅され、大量のコードされたタンパク質を発現し得る。ジヒドロ葉酸レダクターゼ( DHFR )マーカーは、目的の遺伝子の数百または数千ものコピーを有する細胞株を開発するのに有用である。別の有用な選択マーカーは、酵素グルタミンシンターゼ(GS)である(Murphyら、Biochem J. 227:277−279(1991);Bebbingtonら、Bio/Technology 10:169−175(1992))。これらのマーカーを使用して、哺乳動物細胞を選択培地において増殖させ、そして最も高い耐性を有する細胞を選択する。これらの細胞株は、染色体に組み込まれた増幅された遺伝子を含む。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞は、タンパク質の産生にしばしば使用される。
【0160】
発現ベクターpC1およびpC4は、ラウス肉腫ウイルスの強力なプロモーター(LTR)(Cullenら、Molecular and Cellullar Biology 5: 438−447(1985年3月))およびCMV−エンハンサーのフラグメント(Boshartら、Cell 41:521−530(1985))を含む。複数のクローニング部位(例えば、制限酵素切断部位BamHI、XbaI、およびAsp718を有する)は、目的の遺伝子のクローニングを容易にする。ベクターはさらに、ラットプレプロインシュリン遺伝子の3’イントロン、ポリアデニル化、および終結シグナルを含む。
【0161】
クローニングおよびCHO細胞における発現
ベクターpC4を、DR5ポリペプチドの発現のために使用する。プラスミドpC4は、プラスミドpSV2−dhfr(ATCC受託番号37146)の誘導体である。このプラスミドは、SV40初期プロモーターの制御下で、マウスDHFR遺伝子を含む。これらのプラスミドでトランスフェクトされるジヒドロ葉酸活性を欠如するチャイニーズハムスター卵巣細胞または他の細胞は、化学治療剤メトトレキサート(MTX)を補充した選択培地(αマイナスMEM、Life Technologies)中で細胞を増殖させることによって選択され得る。メトトレキサート(MTX)に耐性である細胞におけるDHFR遺伝子の増幅は、よく考証されている(例えば、Alt, F.W., Kellems, R.M., Bertino, J.R.およびSchimke, R.T., J. Biol. Chem. 253:1357−1370(1978)Hamlin, J.L.およびMa, C., Biochem. et Biophys. Acta, 1097:107−143(1990)Page, M.J.およびSydenham, M.A. 1991, Biotechnology 9:64−68(1991)を参照のこと)。漸増濃度のMTXにおける細胞増殖は、DHFR遺伝子の増幅の結果として、標的酵素DHFRを過剰産生することによって薬物への耐性を生じる。第2の遺伝子がDHFR遺伝子に連結される場合、通常、同時増幅され、そして過剰発現される。増幅した遺伝子の1,000を超えるコピーを有する細胞株を開発するためにこのアプローチを使用し得ることは、当該分野において公知である。続いて、メトトレキサートが取り除かれる場合、宿主細胞の1つ以上の染色体に組み込まれた増幅遺伝子を含む細胞株が得られる。
【0162】
プラスミドpC4は、目的の遺伝子の発現のために、ラウス肉腫ウイルスの長末端反復(LTR)の強力なプロモーター(Cullenら、Molecular and Cellullar Biology 5:438−447 (1985年3月))、およびヒトサイトメガロウイルス(CMV)の前初期遺伝子のエンハンサーから単離されたフラグメント(Boshartら、Cell 41:521−530 (1985))を含む。プロモーターの下流には、遺伝子の組み込みを可能にする以下の単一の制限酵素切断部位、BamHI、XbaIおよびAsp718が存在する。これらのクローニング部位の後ろに、プラスミドは、ラットプレプロインスリン遺伝子の3’イントロンおよびポリアデニル化部位を含む。他の高効率プロモーターもまた、発現のために使用され得る(例えば、ヒトβアクチンプロモーター、SV40初期もしくは後期プロモーター、または他のレトロウイルス(例えば、HIVおよびHTLVI)由来の長末端反復)。ClontechのTet−OffおよびTet−On遺伝子発現系ならびに同様の系は、哺乳動物細胞において調節された方法でDR5ポリペプチドを発現するために使用され得る(Gossen, M., およびBujard, H., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 5547−5551(1992))。mRNAのポリアデニル化のために、他のシグナル(例えば、ヒト成長ホルモン由来またはグロビン遺伝子由来)も同様に使用され得る。
【0163】
染色体に組み込まれた目的の遺伝子を保有する安定な細胞株もまた、選択マーカー(例えば、gpt、G418、またはヒグロマイシン)と同時トランスフェクションする際に選択し得る。開始時に1つより多い選択マーカー(例えば、G418およびメトトレキサート)を使用することは有利である。
【0164】
プラスミドpC4を制限酵素BamHIで消化し、次いでウシ腸ホスフェートを使用して、当該分野で公知の手順により脱リン酸化する。次いで、ベクターを1%アガロースゲルから単離する。
【0165】
完全なポリぺプチドをコードするDNA配列を、遺伝子の所望の部分の5’および3’配列に対応するPCRオリゴヌクレオチドプライマーを使用して増幅する。下線を付したBamHI部位、Kozak配列、およびAUG開始コドンを含む5’プライマーは、以下の配列を有する:
5’−CGCGGATCCGCCATCATGGAACAACGGGGACAGAAC−3’(配列番号10)。
下線を付したAsp718部位を含む3’プライマーは、以下の配列を有する:5’−CGCGGTACCTTAGGACATGGCAGAGTC−3’(配列番号11)。
【0166】
増幅されたフラグメントを、エンドヌクレアーゼBamHIおよびAsp718で消化し、次いで、1%アガロースゲル上で再び精製する。次いで、単離したフラグメントおよび脱リン酸化したベクターを、T4 DNAリガーゼで連結する。次いで、E.coli HB101またはXL−1 Blue細胞を形質転換し、そしてプラスミドpC4に挿入したフラグメントを含有する細菌を、例えば、制限酵素分析を使用して同定する。
【0167】
活性DHFR遺伝子を欠損するチャイニーズハムスター卵巣細胞をトランスフェクションのために使用する。5μgの発現プラスミドpC4を、リポフェクチン法(Felgnerら、前出)を使用して、0.5μgのプラスミドpSVneoと同時トランスフェクトする。プラスミドpSV2−neoは、優性選択マーカー(G418を含む一群の抗生物質に対する耐性を付与する酵素をコードするTn5由来のneo遺伝子)を含む。細胞を、1mg/mlのG418を補充したαマイナスMEMに播種する。2日後、細胞をトリプシン処理し、そして10、25、または50ng/mlのメトトレキサートおよび1mg/ml G418を補充したαマイナスMEM中のハイブリドーマクローニングプレート(Greiner, Germany)に播種する。約10〜14日後、単一のクローンをトリプシン処理し、次いで異なる濃度のメトトレキサート(50nM、100nM、200nM、400nM、800nM)を用いて、6ウェルペトリ皿または10mlフラスコに播種する。次いで、最高濃度のメトトレキサートで増殖するクローンを、さらに高濃度のメトトレキサート(1μM、2μM、5μM、10mM、20mM)を含む新たな6ウェルプレートに移す。同じ手順を、100〜200μMの濃度で増殖するクローンが得られるまで繰り返す。所望の遺伝子産物の発現を、例えば、SDS−PAGEおよびウェスタンブロットによって、または逆相HPLC分析によって分析する。
【0168】
COS細胞でのクローニングおよび発現
発現プラスミドpDR5−HAを、DR5タンパク質の可溶性細胞外ドメインをコードするcDNAを、発現ベクターpcDNAI/AmpまたはpcDNAIII(Invitrogen,Inc.から入手可能)中にクローニングすることにより作製する。発現ベクターpcDNAI/ampは以下を含む:(1)E.coliおよび他の原核生物細胞での増殖に有効なE.coli複製起点;(2)プラスミド含有原核生物細胞の選択のためのアンピシリン耐性遺伝子;(3)真核生物細胞での増殖のためのSV40複製起点;(4)cDNAが都合良くCMVプロモーターの発現制御下に置かれ、そしてポリリンカー中の制限部位によりSV40イントロンおよびポリアデニル化シグナルに作動可能に連結し得るように配置された、CMVプロモーター、ポリリンカー、SV40、およびポリアデニル化シグナル。その3’末端にインフレームで融合したDR5ポリぺプチドの細胞外ドメインおよびHAタグをコードするDNAフラグメントを、組換えタンパク質発現がCMVプロモーターによって指向されるように、ベクターのポリリンカー領域にクローニングする。HAタグは、Wilsonら、Cell 37:767 (1984)により記載されるインフルエンザ赤血球凝集素タンパク質由来のエピトープに対応する。標的タンパク質へのHAタグの融合により、HAエピトープを認識する抗体を有する組換えタンパク質の検出と回収が容易になる。
【0169】
プラスミド構築ストラテジーは、以下の通りである。寄託クローンのDR5 cDNAを、E.coliでのDR5の発現のためのベクター構築について上で詳しく記載した都合の良い制限部位を含むプライマーを用いて増幅する。発現されたDR5の検出、精製、および特徴付けを容易にするために、プライマーの1つは、上記のように赤血球凝集素タグ(「HAタグ」)を含む。
【0170】
好適なプライマーとしては、この実施例で使用される以下のものがあげられる。下線のBamHI部位を含む5’プライマーは、以下の配列を有する:5’−CGCGGATCCGCCATCATGGAACAACGGGGACAGAAC−3’(配列番号10)。下線を付したAsp718制限配列を含む3’プライマーは、以下の配列を有する:5’−CGCGGTACCTTAGCCTGATTCTTTTGGAC−3’(配列番号12)。
【0171】
PCR増幅DNAフラグメント、およびベクター、pcDNAI/Ampを、BamHIおよびAsp718で消化し、次いで連結する。連結混合物を、E.coli株SURE(Stratagene Cloning Systems、11099 North Torrey Pines Road,La Jolla,CA 92037から入手可能)に形質転換し、形質転換した培養物をアンピシリン培地プレートにプレートし、次いでこれをインキュベートしてアンピシリン耐性コロニーを増殖させる。プラスミドDNAを耐性コロニーから単離し、そして制限分析またはその他の手段により、DR5ポリぺプチドの細胞外ドメインをコードするフラグメントの存在について試験する。
【0172】
組換えDR5の発現のために、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:a Laboratory Manual、Cold Spring Laboratory Press、Cold Spring Harbor,New York(1989)に記載されるように、DEAE−DEXTRANを用いて、上述のように、COS細胞を発現ベクターでトランスフェクトする。細胞を、このベクターによるDR5の発現の条件下でインキュベートする。
【0173】
DR5−HA融合タンパク質の発現を、例えば、Harlowら、Antibodies:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor,New York(1988)に記載の方法を用いて、放射標識および免疫沈降法により検出する。この目的のため、トランスフェクションの2日後、細胞を35S−システイン含有培地で8時間インキュベートすることにより標識する。上述のWilsonらにより記載されるように、細胞および培地を回収し、そして細胞を洗浄し、そして界面活性剤含有RIPA緩衝液:150mM NaCl、1%NP−40、0.1%SDS、1% NP−40、0.5%DOC、50mM TRIS、pH7.5で溶解する。タンパク質を、HA特異的モノクロナール抗体を用い、細胞溶解物および培養培地から沈殿させる。次いで、沈殿させたタンパク質を、SDS−PAGEおよびオートラジオグラフィーにより分析する。期待されるサイズの発現産物は細胞溶解物中に見いだされ、ネガティブコントロールには見いだされない。
【0174】
この実施例での発現に使用するプライマーセットは、この実施例でCHO発現について使用するpC4、この実施例でのCOS発現についてのpcDNAI/Amp、および以下の実施例でのバキュロウイルス発現について使用するpA2と適合性である。従って、例えば、CHO発現について増幅された完全なDR5コードフラグメントはまた、COS発現についてのpcDNAI/Ampまたはバキュロウイルス発現についてのpA2に連結され得る。
【0175】
(実施例3)
バキュロウイルス発現系におけるDR5の可溶性細胞外ドメインのクローニングおよび発現
この例示的な実施例において、プラスミドシャトルベクターpA2を使用して、完全なタンパク質をコードするクローン化DNA(その天然に付随するシグナル配列を含む)を、バキュロウイルスへ挿入し、標準的な方法(例えば、Summersら、A Manual of Methods for Baculovirus Vectors and Insect Cell Culture Procedures, Texas Agricultural Experimental Station Bulletin No. 1555 (1987)に記載される方法)を使用してDR5タンパク質を発現させる。この発現ベクターは、Autograph californica核多角体病ウイルス(ACMNPV)の強力なポリヘドロンプロモーター、続いて都合の良い制限部位を含む。組換えウイルスの平易な選択のために、プラスミドは、同じ方向で、弱いDrosophilaプロモーターの制御下で、E.coli由来のβガラクトシダーゼ遺伝子、続いて、ポリヘドリン遺伝子のポリアデニル化シグナルを含む。挿入遺伝子は、クローニングされたポリヌクレオチドを発現する生存ウイルスを生成するために、野生型ウイルスのDNAとの細胞媒介性相同組換えのためのウイルス配列を両側に隣接させている。当業者に容易に理解されるように、構築物が転写、翻訳、分泌などのための適切に配置されたシグナル(例えば、インフレームのAUGおよび必要ならばシグナルペプチド)を提供する限り、多くの他のバキュロウイルスベクター(例えば、pAc373、pVL941、およびpAcIMI)が、pA2の代わりに使用され得る。このようなベクターは、例えば、Luckowら、Virology 170: 31−39 (1989)に記載される。
【0176】
寄託されたクローン(ATCC番号97920)のDR5タンパク質の可溶性細胞外ドメインをコードするcDNA配列を、この遺伝子の5’配列および3’配列に対応するPCRオリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅する。
【0177】
DR5に対する5’プライマーは、下線を付したBamHI制限酵素部位を含む、配列5’CGCGGATCCGCCATCATGGAACAACGGGGACAGAAC−3’(配列番号10)を有する。発現ベクター中に挿入されて、以下に記載のように、DR5をコードする増幅されたフラグメントの5’末端は、効率的な切断シグナルペプチドを提供する。真核生物細胞における翻訳の開始のための効率的なシグナルは、Kozak, M., J. Mol. Biol. 196:947−950 (1987)に記載されるように、構築物のベクター部分に適切に配置される。
【0178】
DR5についての3’プライマーは、下線を付したAsp718制限、続いて図1中のDR5ヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド、続いて終止コドンを含む配列5’−CGCGGTACCTTAGCCTGATTCTTTGTGGAC−3’(配列番号12)を有する。
【0179】
増幅されたフラグメントを、市販のキット(「Geneclean」BIO 101 Inc., La Jolla, Ca)を用いて1%アガロースゲルから単離する。次いで、このフラグメントを、BamHIおよびAsp718で消化し、そして再度1%アガロースゲル上で精製する。このフラグメントを「F1」と命名する。
【0180】
プラスミドを、制限酵素BamHIおよびAsp718で消化し、そして必要に応じて、当該分野で公知の日常的な手順を用いて、仔ウシ腸ホスファターゼを用いて脱リン酸化し得る。次いで、このDNAを市販のキット(「Geneclean」BIO 101 Inc., La Jolla, Ca.)を用いて1%アガロースゲルから単離する。このベクターDNAを本明細書中で「V1」と命名する。
【0181】
フラグメントF1と脱リン酸化プラスミドV1とを、T4 DNAリガーゼで連結する。E.coli HB101細胞またはXL−1 Blue細胞(Stratagene Cloning Systems, La Jolla, CA)のような他の適切なE.coli宿主を、連結混合物で形質転換し、そして培養プレートに塗布する。ヒトDR5を有するプラスミドを含む細菌を、PCR法を用いて同定する。このPCR法では、プライマーの一つを用いてその遺伝子を増幅し、そして第2のプライマーは、十分にベクター内に由来し、その結果、DR5遺伝子フラグメントを含むそれらの細菌コロニーのみがDNAの増幅を示す。クローニングされたフラグメントの配列を、DNA配列決定によって確認する。このプラスミドを、本明細書中で、pBac DR5と命名する。
【0182】
5μgのプラスミドpBac DR5を、Felgnerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:7413−7417 (1987)によって記載されるリポフェクチン法を用いて、1.0μgの市販の線状化バキュロウイルスDNA(「BaculoGoldTM baculovirus DNA」, Pharmingen, San Diego, CA.)とともに同時トランスフェクトする。1μgのBaculoGoldTMウイルスDNAおよび5μgのプラスミドpBac DR5を、50μlの無血清グレース培地(Life Technologies Inc., Gaithersburg, MD)を含むマイクロリッタープレートの無菌ウェル中で混合する。その後、10μlのリポフェクチンおよび90μlのグレース培地を添加し、混合し、そして室温にて15分間インキュベートする。次いで、このトランスフェクション混合物を、1mlの無血清グレース培地を有する35mm組織培養プレート内に播種されたSf9昆虫細胞(ATCC CRL 1711)に滴下する。プレートを、前後に揺らして新たに添加された溶液を混合する。次いで、プレートを27℃で5時間インキュベートする。5時間後、トランスフェクション溶液をプレートから除去し、そして10%ウシ胎仔血清を補充した1mlのグレース昆虫培地を添加する。プレートをインキュベーターに戻し、そして培養を27℃で4日間続ける。
【0183】
4日後、上清を回収し、そしてSummersおよびSmith(前出)に記載されるようにプラークアッセイを行う。「Blue Gal」(Life Technologies Inc., Gaithersburg, MD)を有するアガロースゲルを、青く染色されたプラークを産生するgal発現クローンの容易な同定および単離を可能にするために用いる。(このタイプの「プラークアッセイ」の詳細な説明はまた、Life Technologies Inc.、Gaithersburg ,MDによって配布される昆虫細胞培養およびバキュロウイルス学のための使用者ガイド(第9〜10頁)においても見い出され得る)。適切なインキュベーションの後、青く染色されたプラークを、マイクロピペッター(例えば、エッペンドルフ)のチップで拾う。次いで、組換えウイルスを含む寒天を、200μlのグレース培地を含む微小遠心管中に再懸濁する。そして、組換えバキュロウイルスを含む懸濁液を用いて、35mmディッシュに播種された昆虫Sf9細胞に感染させる。4日後、これらの培養ディッシュの上清を回収し、次いでそれらを4℃で保存する。この組換えウイルスをV−DR5と称する。
【0184】
DR5遺伝子の発現を確認するために、Sf9細胞を、10%熱不活化FBSを補充したグレース培地中で増殖させる。細胞を、約2(約1〜約3)の感染多重度(「MOI」)にて組換えバキュロウイルスV−DR5で感染させる。6時間後、その培地を除去し、そしてメチオニンおよびシステインを除いたSF900 II培地(Life Technologies Inc., Gaithersburg, MDから入手可能)に置き換える。放射性標識されたタンパク質が所望される場合、42時間後、5μCiの35S−メチオニンおよび5μCiの35S−システイン(Amershamから入手可能)を添加する。細胞をさらに16時間インキュベートし、次いで細胞を遠心分離により収集する。上清中のタンパク質ならびに細胞内タンパク質をSDS−PAGE、続いて(放射性標識されていれば)オートラジオグラフィーにより分析する。精製タンパク質のアミノ末端のアミノ酸配列の微小配列決定を用いて、成熟タンパク質のアミノ末端配列を決定し得、従って分泌シグナルペプチドの切断点および長さを決定し得る。
【0185】
(実施例4)
DR5遺伝子発現の組織分布
ヒト組織におけるDR5遺伝子の発現を調べるため、とりわけ上述のSambrookらにより記載される方法を使用してノーザンブロット分析を行った。DR5タンパク質(配列番号1)の全ヌクレオチド配列を含有するcDNAプローブを、rediprimeTMDNA標識システム(Amersham Life Science)を使用して、製造業者の指示にしたがって32Pで標識した。標識後、CHROMA SPIN−100TMカラム(Clontech Laboratories,Inc.)を用いて、製造元プロトコル番号PT1200−1に従ってプローブを精製した。次に、精製標識プローブを、DR5 mRNAについて種々のヒト組織を試験するために使用した。
【0186】
種々のヒト組織(H)またはヒト免疫系組織(IM)を含むMultiple Tissue Northern(MTN)ブロットをClontech(Palo Alto CA)から入手し、ExpressHybTMハイブリダイゼーション溶液(Clontech)を用いて、製造業者のプロトコル番号PT1190−1に従って標識プローブで試験した。ハイブリダイゼーションおよび洗浄の後、ブロットを−70℃で一晩でフィルムにマウントおよび曝露した。フィルムを標準的な手順に従って感光した。DR5の発現を、心臓、脳、胎盤、肺、肝臓、骨格筋、腎臓、膵臓、脾臓、胸腺、前立腺、精巣、子宮、小腸、結腸、末梢血白血球(PBL)、リンパ節、骨髄、および胎児肝臓において検出した。
【0187】
DR5の発現をまた、以下のガン細胞株、HL60(前骨髄球白血病)、Hela細胞S3、K562(慢性骨髄性白血病)、MOLT4(リンパ芽球白血病)、Raji(バーキットリンパ腫)、SW480(結腸直腸腺ガン)、A549(肺ガン)、およびG361(メラノーマ)においてノーザンブロットによって評価し、そして試験した細胞株の全てにおいて検出した。
【0188】
(実施例5)
哺乳動物細胞におけるDR5誘導アポトーシス
Fas/APO−1およびTNFR−1の哺乳動物細胞における過剰発現は、レセプター活性化を模倣する(M. Muzioら、Cell 85:817−827 (1996); M. P. Boldinら、Cell 85:803−815 (1996))。従って、この系を、アポトーシスの誘導におけるDR5の機能的役割を研究するために利用する。この実施例は、MCF7ヒト乳ガン細胞およびヒト類上皮ガン(Hela)細胞の両方において、DR5の過剰発現がアポトーシスを誘導したことを実証する。
【0189】
実験の設計
細胞死アッセイを、本質的に以前に記載されるように行った(A.M. Chinnaiyanら、Cell 81:505−12 (1995); M.P. Boldinら、J. Biol Chem 270:7795−8 (1995); F.C. Kischkelら、EMBO 14:5579−5588 (1995); A.M. Chinnaiyanら、J Biol Xhem 271: 4961−4965 (1996))。簡単には、MCF−7ヒト乳ガンクローン細胞株およびHela細胞を、ベクター、DR5、DR5D(52−411)、またはTNFR−1と、βガラクトシダーゼレポーター構築物と一緒に同時トランスフェクトした。
【0190】
MCF7およびHela細胞を、リポフェクタミン手順(GIBCO−BRL)を使用して、製造業者の指示に従ってトランスフェクトした。293細胞を、CaPO4沈澱を使用してトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後に、以前に記載のように(A.M. Chinnaiyanら、Cell 81:505−12 (1995): M.P. Boldinら、J Biol Chem 270:7795−8 (1995); F.C. Kischkelら、EMBO 14:5579−5588 (1995))、細胞を固定してX−Galで染色し、そして顕微鏡で観察した。図5に示すデータ(平均±SD)は、円形のアポトーシス細胞のパーセントを総βガラクトシダーゼポジティブ細胞の関数として表す(n=3)。DR5の過剰発現は、MCF7(図5A)およびHela細胞(図5B)の両方においてアポトーシスを誘導した。
【0191】
MCF7細胞をまた、z−VAD−fmk(20μl)(Enzyme Systems Products, Dublin, CA)の存在下で、DR5発現構築物でトランスフェクトするか、または3倍過剰のCrmA(M. Tewariら、J Biol Chem 270:3255−60 (1995))もしくはFADD−DN発現構築物、もしくはベクター単独でトランスフェクトした。図5Cに示すデータは、DR5によって誘導されたアポトーシスが、カスパーゼインヒビターによって弱められるが、優性ネガティブFADDによっては弱められないことを示す。
【0192】
図5Dに示されるように、DR5は、FADDまたはTRADDとはインビボで会合しなかった。293細胞を、カルシウムリン酸沈澱を使用して、示された発現構築物とともに同時トランスフェクトした。トランスフェクションの後(40時間で)、細胞溶解物を調製し、そしてFlag M2抗体アフィニティーゲル(IBI, Kodak)で免疫沈降させ、そしてFADDまたはmyc−タグ化TRADD(myc−TRADD)の存在を、FADDに対するポリクローナル抗体またはmycに対する西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)結合体化抗体(BMB)を用いる免疫ブロッティングによって検出した(Baker, S.J.ら、Oncogene 12:1(1996); Chinnaiyan, A.M.ら、Science 274:990 (1996))。
【0193】
図5Eに示すように、FLICE2−DNは、DR5誘導アポトーシスをブロックする。293細胞を、DR5またはTNFR−1発現構築物と同時トランスフェクトし、そして示されたように4倍過剰のCrmA、FLICE−DN、FLICE 2−DN、またはベクター単独とともに、βガラクトシダーゼの報告された構築物の存在下で同時トランスフェクトした。細胞を染色し、そして25〜30時間後に試験した。
【0194】
結果
DR5の過剰発現は、MCF7ヒト乳ガン細胞(図5A)およびヒト類上皮ガン(Hela)細胞(図5B)の両方において、アポトーシスを誘導した。トランスフェクトした細胞のほとんどは、アポトーシスを経験している細胞に特徴的な形態学的な変化(Earnshaw, W.C., Curr. Biol. 7:337 (1995))を示し、円形になり濃縮されて、そしてディッシュから脱離した。死ドメインの欠失は、殺傷能力を消失させた。DR4と同様に、DR5誘導アポトーシスは、カスパーゼインヒビター、CrmAおよびz−VAD−fmkによってブロックされたが、優性ネガティブFADDは効果がなかった(図5C)。これと一致して、DR5はFADDおよびTRADDとインビボで相互作用しなかった(図5D)。新たに同定したFLICE様分子の優性ネガティブバージョン、FLICE2(Vincenz, Cら、J. Biol. Chem. 272:6578 (1997))は、効率的にDR5誘導アポトーシスをブロックしたのに対し、優性ネガティブFLICEは、ブロックした条件下で部分的な効果を有するのみであった。TNFR−1は、アポトーシスを効率的に誘導した(図5E)。まとめると、証拠は、RD5が、FLICE2および下流のカプラーゼの活性化を包含するアポトーシスプログラムに参加しているが、FADDとは独立であることを示唆する。
【0195】
(実施例6)
DR5の細胞外ドメインは、細胞傷害性リガンド−−TRILに結合し、そしてTRIL−誘導アポトーシスをブロックする
上記で議論されるように、TRAIL/Apo2Lは、腫瘍壊死因子(TNF)リガンドファミリーに属し、そしてその死ドメインがレセプターDR4(両方の細胞型において発現される)を含有するにもかかわらず、多くの形質転換細胞株の迅速な細胞死を誘導するが、通常組織では誘導しない細胞傷害性リガンドである。この実施例は、本発明のレセプターRD5もまたTRAILに結合することを示す。
【0196】
DR5およびDR4の細胞外リガンド結合システインリッチドメインの類似性を仮定することによって、本発明者らは、DR5がまたTRAILに結合することを理論づける。このことを確認するために、DR5の可溶性細胞外リガンド結合ドメインを、ヒト免疫グロブリン(IgG)のFc部分に対する融合物として発現した。
【0197】
図6Aに示すように、DR5−Fcは、特異的にTRAILに結合するが、関連する細胞傷害性リガンドTNFαには結合しなかった。この実験において、DR5、DR4、TRID、またはTNFR1のFc細胞外ドメインおよび対応するリガンドを調製し、そして結合アッセイをPanら、Science 276:111 (1997)に記載されるように行った。それぞれのFc融合物を、プロテインGセファローズとともに沈澱させ、そして共沈した可溶性リガンドを、抗Flag(Babco)または抗myc−HRP(BMB)を用いたイムノブロッティングによって検出した。図6Aの下部パネルは、結合アッセイにおいて存在するインプットFc融合物を示す。
【0198】
さらに、DR5−Fcは、TRAILのアポトーシスを誘導する能力をブロックした(図6B)。MCF7細胞を、等量のFc融合物またはFc単独の存在下で、可溶性TRAIL(200ng/ml)で処置した。6時間後、細胞を固定し、そしてPanら(同書)に記載されるように試験した。図6Bに示すデータ(平均±SD)は、計数される総核のうちのアポトーシス核のパーセントである(n=4)。
【0199】
最後に、DR5−Fcは、TNFR1−Fcが完全にTNFα殺傷を消失させる条件下で、アポトーシスTNFα誘導細胞死に対する効果を有さなかった(図6C)。MCF7細胞を、等量のFc融合物またはFc単独の存在下で、TNFα(40ng/ml; Genentech, Inc.)で処理した。核を染色し、そして11〜15時間後に試験した。
【0200】
TRAILのためのレセプターとしてDR5を新たに同定したことは、TRAIL開始シグナル伝達の生物学にさらなる複雑性を加える。
【0201】
本発明が、前述の説明および実施例において具体的に記載されるものとは異なった様式で実施され得ることは、明らかである。
【0202】
本発明の多くの改変および変形は、上記の教示を参考にして可能であり、それゆえ、添付の請求の範囲内にある。
【0203】
本明細書中で参照される全ての特許、特許出願、および刊行物の全開示は、本明細書中で参考として援用される。
【0204】
【表2】
【0205】
【表3】
【0206】
(配列表)
【0207】
【表4】
【0208】
【表5】
【0209】
【表6】
【0210】
【表7】
【0211】
【表8】
【0212】
【表9】
【0213】
【表10】
【0214】
【表11】
【0215】
【表12】
【0216】
【表13】
【0217】
【表14】
【0218】
【表15】
【図面の簡単な説明】
【0219】
【図1A】図1は、DR5のヌクレオチド配列(配列番号1)および推定アミノ酸配列(配列番号2)を示す。アミノ酸1〜51(下線を付した)は、シグナルペプチドを構成し(配列番号2のアミノ酸残基約−51〜約−1);アミノ酸52〜184は、細胞外ドメインを構成し(配列番号2のアミノ酸残基約1〜約133);アミノ酸185〜208(下線を付した)は、膜貫通ドメインを構成し(配列番号2のアミノ酸残基約134〜約157);そしてアミノ酸209〜411は、細胞内ドメインを構成し(配列番号2のアミノ酸残基約158〜360)、そのアミノ酸324〜391(斜字体)は死ドメインを構成する(配列番号2のアミノ酸残基約273〜約340)と予測される。
【図1B】図1は、DR5のヌクレオチド配列(配列番号1)および推定アミノ酸配列(配列番号2)を示す。アミノ酸1〜51(下線を付した)は、シグナルペプチドを構成し(配列番号2のアミノ酸残基約−51〜約−1);アミノ酸52〜184は、細胞外ドメインを構成し(配列番号2のアミノ酸残基約1〜約133);アミノ酸185〜208(下線を付した)は、膜貫通ドメインを構成し(配列番号2のアミノ酸残基約134〜約157);そしてアミノ酸209〜411は、細胞内ドメインを構成し(配列番号2のアミノ酸残基約158〜360)、そのアミノ酸324〜391(斜字体)は死ドメインを構成する(配列番号2のアミノ酸残基約273〜約340)と予測される。
【図2A】図2は、DR5(HLYBX88)、ヒト腫瘍壊死因子レセプター1(h TNFR1)(配列番号3)、ヒトFasタンパク質(配列番号4)、およびレセプター3を含む死ドメイン(配列番号5)のアミノ酸配列間の類似性領域を示す。比較は、DNA Star suite プログラムに含まれる、Megalignプログラムで、Clustal法を使用して行われた。
【図2B】図2は、DR5(HLYBX88)、ヒト腫瘍壊死因子レセプター1(h TNFR1)(配列番号3)、ヒトFasタンパク質(配列番号4)、およびレセプター3を含む死ドメイン(配列番号5)のアミノ酸配列間の類似性領域を示す。比較は、DNA Star suite プログラムに含まれる、Megalignプログラムで、Clustal法を使用して行われた。
【図2C】図2は、DR5(HLYBX88)、ヒト腫瘍壊死因子レセプター1(h TNFR1)(配列番号3)、ヒトFasタンパク質(配列番号4)、およびレセプター3を含む死ドメイン(配列番号5)のアミノ酸配列間の類似性領域を示す。比較は、DNA Star suite プログラムに含まれる、Megalignプログラムで、Clustal法を使用して行われた。
【図3】図3は、DR5アミノ酸配列の分析を示す。α、β、ターン、およびコイル領域;親水性および疎水性;両親媒性領域;可撓性領域;抗原性指数、および表面確率が示されている。「抗原性指数−Jameson−Wolf」のグラフでは、図1に示されるアミノ酸残基約62〜約110、約119〜約164、約224〜約271、および約275〜約370が、示されるDR5タンパク質の高度な抗原性領域に一致する。図1におけるこれらの高度に抗原性のフラグメントは、配列番号2の以下のフラグメントにそれぞれ一致する:アミノ酸残基約11〜約59、約68〜約113、約173〜約220、および約224〜約319。
【図4】図4は、図1(配列番号1)に示されるヌクレオチド配列に関連する2つのcDNA分子のヌクレオチド配列(HAPBU13RおよびHSBBU76R)を示す。
【図5A】図5Aは、DR5過剰発現によって誘導されるMCF7ヒト乳癌細胞におけるアポトーシスを示す棒グラフである。図5Bは、DR5過剰発現によって誘導されるヒト類表皮癌(Hela)細胞におけるアポトーシスを示す棒グラフである。図5Cは、DR5に誘導されるアポトーシスが、カスパーゼ(caspase)インヒビターであるCrmAおよびz−VAD−fmkによってブロックされるが、優性ネガティブなFADDは効果がないことを示す棒グラフである。図5Dは、DR4と同様に、DR5は、インビボではFADDおよびTRADDと相互作用しないことを示す示すイムノブロットである。図5Eは、新しく同定した、FLICE様分子の優性ネガティブバージョン(version)である、FLICE2(Vincenz, C.ら、J. Biol. Chem. 272:6578 (1997))が効率的にDR5誘導性のアポトーシスをブロックするが、一方優性ネガティブFLICEは、それがブロックした条件下で部分的な効果のみ有したことを示す棒グラフである。TNFR−1がアポトーシスを効果的にブロックしたことも示す。
【図5D】図5Aは、DR5過剰発現によって誘導されるMCF7ヒト乳癌細胞におけるアポトーシスを示す棒グラフである。図5Bは、DR5過剰発現によって誘導されるヒト類表皮癌(Hela)細胞におけるアポトーシスを示す棒グラフである。図5Cは、DR5に誘導されるアポトーシスが、カスパーゼ(caspase)インヒビターであるCrmAおよびz−VAD−fmkによってブロックされるが、優性ネガティブなFADDは効果がないことを示す棒グラフである。図5Dは、DR4と同様に、DR5は、インビボではFADDおよびTRADDと相互作用しないことを示す示すイムノブロットである。図5Eは、新しく同定した、FLICE様分子の優性ネガティブバージョン(version)である、FLICE2(Vincenz, C.ら、J. Biol. Chem. 272:6578 (1997))が効率的にDR5誘導性のアポトーシスをブロックするが、一方優性ネガティブFLICEは、それがブロックした条件下で部分的な効果のみ有したことを示す棒グラフである。TNFR−1がアポトーシスを効果的にブロックしたことも示す。
【図5E】図5Aは、DR5過剰発現によって誘導されるMCF7ヒト乳癌細胞におけるアポトーシスを示す棒グラフである。図5Bは、DR5過剰発現によって誘導されるヒト類表皮癌(Hela)細胞におけるアポトーシスを示す棒グラフである。図5Cは、DR5に誘導されるアポトーシスが、カスパーゼ(caspase)インヒビターであるCrmAおよびz−VAD−fmkによってブロックされるが、優性ネガティブなFADDは効果がないことを示す棒グラフである。図5Dは、DR4と同様に、DR5は、インビボではFADDおよびTRADDと相互作用しないことを示す示すイムノブロットである。図5Eは、新しく同定した、FLICE様分子の優性ネガティブバージョン(version)である、FLICE2(Vincenz, C.ら、J. Biol. Chem. 272:6578 (1997))が効率的にDR5誘導性のアポトーシスをブロックするが、一方優性ネガティブFLICEは、それがブロックした条件下で部分的な効果のみ有したことを示す棒グラフである。TNFR−1がアポトーシスを効果的にブロックしたことも示す。
【図6A】図6Aは、DR5−Fc(ならびにDR4およびTRID)が、特異的にTRAILに結合するが、関連する細胞毒性リガンドTNFαに結合しないことを示すイムノブロットである。図6Aの下部のパネルは、結合アッセイ中に存在するFc融合物の入力を示す。図6Bは、DR5−FcがTRAILのアポトーシスを誘導する能力をブロックしたことを示す棒グラフである。図6Bに示されるデータ(平均±SD)は、計数された全核(n=4)中のアポトーシス性の核のパーセントである。図6Cは、TNFR1−Fcが完全にTNFα殺傷を無効にした条件下で、DR5−Fcはアポトーシス性TNFα誘導細胞死に効果を有さなかったことを示す棒グラフである。
【図6C】図6Aは、DR5−Fc(ならびにDR4およびTRID)が、特異的にTRAILに結合するが、関連する細胞毒性リガンドTNFαに結合しないことを示すイムノブロットである。図6Aの下部のパネルは、結合アッセイ中に存在するFc融合物の入力を示す。図6Bは、DR5−FcがTRAILのアポトーシスを誘導する能力をブロックしたことを示す棒グラフである。図6Bに示されるデータ(平均±SD)は、計数された全核(n=4)中のアポトーシス性の核のパーセントである。図6Cは、TNFR1−Fcが完全にTNFα殺傷を無効にした条件下で、DR5−Fcはアポトーシス性TNFα誘導細胞死に効果を有さなかったことを示す棒グラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
死ドメイン含有レセプター5。
【請求項1】
死ドメイン含有レセプター5。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5D】
【図5E】
【図6A】
【図6C】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5D】
【図5E】
【図6A】
【図6C】
【公開番号】特開2008−81503(P2008−81503A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−260427(P2007−260427)
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【分割の表示】特願平10−540790の分割
【原出願日】平成10年3月17日(1998.3.17)
【出願人】(597018381)ヒューマン ジノーム サイエンシーズ, インコーポレイテッド (44)
【氏名又は名称原語表記】Human Genome Sciences, Inc.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【分割の表示】特願平10−540790の分割
【原出願日】平成10年3月17日(1998.3.17)
【出願人】(597018381)ヒューマン ジノーム サイエンシーズ, インコーポレイテッド (44)
【氏名又は名称原語表記】Human Genome Sciences, Inc.
【Fターム(参考)】
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