残尿処理具付ズボン。
【課題】従来の前あき構造男性用ズボンでは、排尿後のペニスに付着する残尿を除去するのが困難であったため、ズボンや下着等に付着する恐れがあった。
【解決手段】前あきの入り口部56の下前立て52a上部に設けられている吊り片54下方部に横に並べて紐用の穴34を一対設けたズボン本体50aと、本体21a上部に紐33を設け、その本体の下方部に前後の向かい合せに分岐立下がる前側に吸収パッド取付け部22aと後側に垂カバ−23とを形成し、前記吸収パッド取付け部内面に吸収パッド30を着脱自在に貼付け、前記吸収パッド取付け部22aの上部の分岐部28を支点にその取付け部の下方部を前方に持ち上げ変形及び復元自在に残尿処理具20aを形成し、それを前記吊り片に設けた穴に結び止め取付けた残尿処理具付ズボン10.
【解決手段】前あきの入り口部56の下前立て52a上部に設けられている吊り片54下方部に横に並べて紐用の穴34を一対設けたズボン本体50aと、本体21a上部に紐33を設け、その本体の下方部に前後の向かい合せに分岐立下がる前側に吸収パッド取付け部22aと後側に垂カバ−23とを形成し、前記吸収パッド取付け部内面に吸収パッド30を着脱自在に貼付け、前記吸収パッド取付け部22aの上部の分岐部28を支点にその取付け部の下方部を前方に持ち上げ変形及び復元自在に残尿処理具20aを形成し、それを前記吊り片に設けた穴に結び止め取付けた残尿処理具付ズボン10.
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
前あき構造の実質的には男性用ズボンで、その前あき構造の開閉部(入り口部)近傍に、排尿後のペニスに付着する残尿を吸収除去する吸収パツドを備えた残尿カット具を取付けた残尿処理具付ズボンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来ブリ−フやトランクス等の前部内側に尿漏れを防ぐ吸収パッドを設けたもの又は吸収パッドを設けたペニスを収納するポケットが付いた下着がある。
【0003】
また、前あき入り口部に近接するズボン内側に専用ポケットを設け、排尿後の亀頭部に付着する排尿滴を払拭する男性用衛生用品(拭き取り具)を入れた携帯用台紙を、前記専用ポケットに備えた専用ポケット付男性用ズボンがある。(例えば、特開2000-225070参照)
【0004】
【特許文献1】特開2000-225070
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の下着に吸収パッドが付いたものは主に失禁による尿漏れを防ぐもので、排尿後のペニスに付着す
る残尿を吸収除去するもんではなく、また、専用ポケット付男性用ズボンでは放尿前に専用ポケットか
ら携帯用台紙を取り出し、その携帯用台紙から拭き取り具を事前に取り出し、両手が使える放尿前に携帯
用台紙を専用ポケットに戻すか、又は他の従来のポケットに仮収納し、放尿後の亀頭排尿滴始末後に専用
ポケットに戻す操作手順にしないと、放尿後に携帯用台紙を専用ポケットから取り出そうとすると、亀頭
部が揺れ動き排尿滴がズボンに付着する恐れがある。それを防ぐためには一方の手は常に亀頭部又はその
近くに宛がうこととなり、前記携帯用台紙を放尿後に片手で取り出すのは困難と思われる。したがって面
倒な操作が伴うことと、ズボンに専用ポケットを設け複数の小ポケットや耐水袋などが設けられた複雑な
携帯用台紙を用意することはかなりのコストアップ要因となる問題がある。
【0006】
本発明は、吸収パッドをチャックの開閉の邪魔にならない位置に設け排尿後のペニス先端部に残る残尿を拭き取り、ペニス収納時にズボンや下着又は体に尿が付着するのを防ぐズボンを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の残尿処理具付ズボンは、男性用前あき構造のズボンで、そのズボンの入り口部(開口部)を形成する開閉用チャックが設けられたズボン本体の前後の重なり部の外側の上前立て(見返し部)と内側の下前立て(見返し部)とを有するズボン又は前記下前立て上部側端辺に固着して前記下前立てを吊り支える吊り片が設けられたズボンにおいて、入り口部のチャック位置より奥まったチャックを閉じた状態で隠蔽となる位置で、前記下前立て又は前記吊り片の表側又は前記下前立て又は前記吊り片の裏側に、残尿を吸収除去する一定の広さの吸収面を有する吸収パツドを備えた残尿処理具を着脱自在に取付けたものである。前記吸収パッドの吸収面の向きは、前記ズボン着用時においてズボンの内側(身体側)向きに設け、前記吸収パッドは速乾高吸収素材を用いるのが好ましい。(図1参照)
【0008】
前記残尿処理具の形状は、縦長本体の少なくとも上部にズボンに取付ける為の取付け手段を設け、同取付け手段下方部は前後の向かい合せに分岐立下がる前側の吸収パッド取付け部と、後側の垂カバ−部とを有し、、前記ズボンへの取付け時に前側(表側)に位置する前記吸収パッド取付け部内面に吸収パッドを着脱自在に取付け、前記垂カバ−部は前記吸収パッドの吸収面を覆う形状に形成されている。前記吸収パツドを設けた吸収パッド取付け部上部の分岐部を支点に、吸収パッド取付け部の下方部を前方上方に縦半円回転で持ち上げ、吸収パッドの吸収面の向きを変位自在とする。前記残尿処理具の本体は一定の腰の強さと弾力性を持つものとするのが良く、また、吸収パツド裏面に接着剤を設けた着脱自在の貼付け取付けにするのが好ましい。(図1、図2、図3参照)
【0009】
残尿処理具の変形例では、本体上端を前後に向かい合せに折り返しその向かい合せに折り返した前側本体内面に、表面が滑らかな弾性体の防水素材からなる薄板状の当板を取付け、もう一方の後側本体内面に、弾性体防水素材からなる薄板状の当板を取付け、前記当板を設けた本体向かい合わせ面上部を密着接続し、その接続部表側又は裏側にズボンへ取付ける為の取付け手段を設け、前記密着接続部下端位置から下方に分岐立下がる前側の吸収パッド取付け部と後側に垂カバ−部とを形成し、前記吸収パッド取付け部内面に設けられた当板面に吸収パッドを着脱自在に貼付け、前記垂カバ−部は前記吸収パッドの吸収面を覆う形状で設けられている。そして、前記ズボンへの取付け例では、前記ズボンの前あき入り口部の前記下前立て又は前記吊り片に前記残尿処理具が掛け止めされる取付け手段を設け、その取付け手段を介して残尿処理具をズボンに着脱自在に取付ける。前記当板を設けることにより残尿処理具本体の材質にかかわらず、その本体に一定の弾力と腰の強さを持たせることを可能とし、吸収パッドの貼付け取付けを容易にするとともに、残尿処理具の本体自身が尿で湿気るのを防ぐようにすることと、残尿処理具本体の変形後の復元を容易にする。前記当板を設けない場合は残尿処理具本体自身を防水性弾力体の材質から形成するのが好ましい。
(図6、図7、図8〜図10、図13、図15、図16参照)
【0010】
前記残尿処理具に設ける取付け手段は、紐、ボタン、面ファスナ−、フック及びホックの中から選択した一つからなり、たとえば、残尿処理具に紐を設ける。又は残尿処理具表側又は裏側にボタン又はホックを横か縦に並べて2個設ける。又は残尿処理具表側又は裏側にフックを1個設ける。又は残尿処理具表側又は裏側に一定の広さの面ファスナ−を設ける。そして、フック形状は後述する複数の穴又は一定の縦長さの通し穴に介接止め容易とするために挿入部を縦長形状とするのが好ましい。
(図1〜図7、図11、図12、図14参照)
【0011】
そして、ズボンの下前立て又は吊り片に設ける前記残尿処理具を取付る為の取付け手段は、紐通し用の穴、ボタン掛け用の穴、面ファスナ−、フック掛け用の穴又はフック掛け用のフック受け具及びホックの中から選択した一つからなり、前記フック受け具はそのフック受け具本体の両端を縫製接続し、その接続部内側にフックを挿入掛け止めする上下に貫通する通し穴を形成している。また、残尿処理具の取付け高さを調整可能とする為に、前記フック受け具本体上部にボタン穴と同形状のフックを挿入掛け止めする穴を少なくとも1個設けたフック受け具形状としている。また、前記フック受け具を面ファスナ−材で形成するとフック又は面ファスナ−を設けたどちらかの残尿処理具の取付けが可能となる。また、たとえば、残尿処理具側に紐を設けると、ズボン側に紐通し用の穴を縦又は横に並べて一対設ける。また、残尿処理具側にボタンを二個設けると、ズボン側にボタン掛け用の穴を横あるいは縦に並べて2個設けている。そして、前記面ファスナ−又は前記フック受け具は前記下前立て又は前記吊り片の表側又は裏側に設けている。(図1〜図3、図8〜図16参照)
【0012】
また、残尿処理具のズボンへの取付け形態の変形例では、下前立てと吊り片の内、主に下前立て裏側に取付けられる場合では、残尿処理具を下前立て裏側からズボン入り口部に引き出しやすくする為に、例えば図17で示す様に、残尿処理具に設ける取付け手段となるフックの取付け形状を、残尿処理具の縦方向に対し下向きのフックの縦軸を斜め向きとし、下前立てに重なる残尿処理具下方部を下前立てより大きく露出する斜め傾斜の取付け形態としている。
【0013】
また、残尿処理具のズボンへの取付け形態の変形例では、下前立てと吊り片の内、主に下前立て表側に取付けられる場合では、チャックと残尿処理具との間隔が狭くなるため、チャックの開閉時に邪魔になる恐れがある。それを解消するために、残尿処理具の位置をチャックより一定間隔離した取付け形態とする。例えば図18で示す様に、下前立てに縦に並べて設けるボタン掛け用の2個の穴の内、上方の穴に対して下方の穴の位置をチャックから離れる(遠ざかる)下前立て側端辺側に偏心した位置に設け、残尿処理具に設ける2個のボタン内、上方のボタンに対して下方のボタンの位置をチャック寄りに設け、変動自在な残尿処理具の下方部とチャックとの間に一定の大きな間隔が形成される斜め向きの取付け形態とする。
【0014】
なを、紐通し用の穴及びフック掛け止め用の穴は実質的にはボタン掛け止め用の穴と同形のスリット状の長穴で、その長手方向を縦向き又は横向きとし、前記各穴を取付け高さが変えられる複数も設けると、前記各穴は前記下前立て又は吊り片を貫通して設けられている為、前記残尿処理具の取付は前記下前立て又は吊り片の表側又は裏側に取付け自在に高さ位置の調整が可能となる。そして、上記構成からなる残尿処理具は否回転取付けである為、残尿処理具の下方部の横ぶれを防ぎ取付けの安定を図るものとする。 (図1〜図18参照)
【発明の効果】
【0015】
上述した様に本発明の残尿処理具付ズボンは、ズボンの前あき入り口部より奥まった下前立て表側に、残尿処理具の下方部をズボンの入り口部から離した(遠ざかる)斜め傾斜の取付け形態にすると、排尿時の入り口部を開いた時に変動自在な残尿処理具下方部がズボン内から大きく露出するのを抑え見栄えを損なうことを防ぐ。また、チャックの開閉時に邪魔にならずペニスの取り出しを容易とし排尿時に邪魔になるのを防ぐ。そして、チャックを閉じた状態では外観を損なうことなくズボン内に完全に隠蔽することを可能とする。また、残尿処理具を下前立て裏側に下前立て部より下方部が露出する斜め傾斜の取付け形態にすると、ペニス取り出し時に手肌に触れにくく手先の挿入がスム−ズとなる。また、下前立て部より露出させることで、その下前立て裏側より残尿処理具を引き出しやすくする。また、残尿処理具を吊り片表側に設けるとチャックより一定の大きな間隔を有するためチャックの開閉に支障をきたさず、また、吊り片裏側に設けるとチャックの開閉時に全く邪魔にならず、下前立てとの重なり代が小さいものとなり取り出しやすくなる。そして、吸収パッドを備えた残尿処理具の下方部は吊り下げ形態であるため、ペニス先端部に相対する様に前方上方に半円回転の持ち上げを容易とし、残尿の雫が垂れない様に持ち上げたペニス先端部に吸収パッド面をあてがいやすくし、最も簡単で素早く衛生的にペニスに付着する残尿を吸収除去することができる。(図17、図18、図19参照)
【0016】
また、吸収パッドを覆う垂カバ−を設けると、吸収パッド面向かい側に分離した垂カバ−は吸収面の向きの操作時に邪魔になることなく、湿気た吸収パッド面が直接ズボンや下着に触れるのを防ぎズボン等が汚染されるのを抑える。また、吸収パッド取付け面と垂カバ−の内面に当板を設けると、残尿処理具自体が尿で湿気るのを防ぎ、接着剤を備えた吸収パッドを着脱自在に容易に貼付けの取付けが可能となり、吸収パッドのみの取替えでランニングコストを抑えることができる。また、吸収パツドを速乾高吸収素材にすると吸収パツド自体が体温で常に乾いた高吸収力を持つ状態を保つこととなる。
【0017】
そして、残尿処理具を着脱自在にズボンに取付けることにより、ズボン自体のコスト増を抑え、洗濯の邪魔になるのを防ぐ。また、ボタン又はホックを横又は上下に2個又は一定の大きさの面ファスナ−又
は紐又は縦長のフックを用いた取付け手段にすることにより、残尿処理具の否回転取付けで残尿処理具下方の横振れを防ぐことを可能とし、ペニス取出し時に残尿処理具がズボンより大きく露出するのを防ぎ見栄えを損なわず、更にチャック開閉時に邪魔になるのを防ぐ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の残尿処理具付ズボンの実施例の形態を図1〜図19に基づいて説明する。
【0019】
図1の内(A)は要部正面図を示し、(B)は要部横断面図を示し、(C)は要部縦断面図を示す。
前あき構造の男性用ズボンで、その前あきの入り口部(開口部)56を形成するズボン本体50aの重ね合せ部内側の下前立て(見返し部)52aと外側の上前立て(見返し部)51とを有し、下前立ての側端辺53上部にその下前立て上部の型崩れを防ぐために、斜め上方に吊り支える吊り片54が設けられたズボンにおいて、その吊り片の下方部に横に並べて紐通し用の穴34を一対設け、その穴に結び止めする残尿処理具20aは、その残尿処理具の本体21a上部に表側から裏側に通して紐33を設け、その紐取付け位置下方の任意の位置で分岐し、その分岐部28から下方に前後の向かい合せに分岐立下がる前側の吸収パッド取付け部22aと、後側の垂カバ−23部とを有し、前記前側の吸収パッド取付け部22aの内面に接着剤を設けた吸収パッド30を着脱自在に貼付け、前記垂カバ−は前記吸収パッドの吸収面を分離覆う形状に設けられ、前記吸収パッドを設けた吸収パッド取付け部22aは、その取付け部上部の分岐部28を支点に下方部を前方上方に持ち上げ縦回転開閉自在に、前記吸収パッドの吸収面の向きを変位可能に形成し、その残尿処理具20aを前記吊り片の表側26aに前記吊り片54に設けた一対の穴34に結び止めし、否回転吊り下げ状態に取付けた残尿処理具付ズボン10。
【0020】
図2は図1(A)の変形例を示す要部正面図で、図3は図2の縦断面図を示す。
残尿処理具20bは、前後に重なる前側(表側)の本体21bと後側(裏側)の本体21cの上部を重ね
密着接続し、その上部表側27aに縦に並べてボタン35を2個設け、そのボタン取付け位置から下方の密着接続下端位置で分岐し、その分岐部28から下方に向い合せに分岐立下がる前側の吸収パッド取付け部22bと、後側の後述する吸収パッドの吸収面を覆う垂カバ−24a部を形成し、前記前側の吸収パッド取付け部22bの内面に吸収パッド30を着脱自在に貼付け、その吸収パッドを設けた吸収パッド取付け部22bは、その取付け部上部の分岐部28を支点に下方部を前方に縦半円回転開閉自在に、前記吸収パッドの吸収面の向きを変位可能に形成し、ズボン本体の前あき重なり部の内側の下前立て52aに設けられている吊り片54下方部に縦に並べてボタン掛け用の穴36を2個設け、その穴に前記残尿処理具20bのボタン35を掛け止めし、前記吊り片54の裏側26bに前記残尿処理具を着脱自在に否回転吊り下げ状態に取付けた残尿処理具付ズボン。
【0021】
図4は図2の残尿処理具の変形例を示す正面図で、図5は図4の縦断面図を示す。
残尿処理具20cは、下前立て又は吊り片の表側に取付ける場合の形状を示し、下方部に吸収パッド30を設けた吸収パッド取付け部22cを有する本体21dと、下方部に垂カバ−部24bを有する本体21eとの上部を重ね密着接続し、その密着接続部にフック37の一部を挟み込み固着し、フックの掛け止め挿入部を密着接続部の裏側27bに下向きに設けている。
【0022】
図6は図4の変形例を示す正面図で、図7は図6の側面図を示す。
残尿処理具20dは、下前立て又は吊り片の裏側に取付ける場合の形状を示し、本体21f上端を前後の向かい合せに折り返し、前側下方部に吸収パッド取付け部22dと後側に垂カバ−部24cを形成し、その向かい合わせの前側本体内面に、吸収パッドの取付けを容易にする表面が滑らかな板状の当板31aを取付け、後側本体内面に板状の当板31bを取付け、前記当板を設けた向かい合わせの内面上部を密着接続し、その密着接続部表側27aに面ファスナ−48を固着し、前記吸収パッド取付け部の当板面に吸収パッド30を着脱自在に貼付けて形成している。前記当板は残尿処理具の形崩れを防ぐことと、吸収パッドの吸収面の向きの変形と復元を容易にすることと、残尿処理具本体の湿気を防ぐ為に、一定の腰の強さを有する弾性体防水素材とするのが好ましい。
【0023】
図8、図9は紐通し用又はボタン掛け用又はフック掛け止め用の穴を設けた前あき構造の男性用ズボンの要部正面図を示す。
図8はズボン本体50aの下前立て52a側端辺53上部に設けられている吊り片54で、その吊り片下方部の前記側端辺寄りに縦長の紐通し用の穴34又はボタン掛け用の穴36を2個(一対)横に並べて設けている。そして、図9は縦に並べて紐通し用の穴34又はボタン掛け用の穴36又はフック掛け止め用の穴38を各2個(一対)設けている。
【0024】
図10は図9で示す紐通し用又はボタン掛け用又はフック掛け止め用の穴の配列の変形例の要部正面図を示す。ズボン本体50bの下前立て52b上部の横幅は広く形成され、その上部に下前立て吊り用の穴が設けられた形態のズボンにおいて、前記下前立て吊り用の穴の下方部側端辺53寄りに、横長の紐通し用の穴34又はボタン掛け用の穴36又はフック掛け止め用の穴38を2個縦に並べて設けている。残尿処理具の取付けは通常は2個の穴を用いるが、前記穴を3個以上設けると残尿処理具の取付け高さを複数の取付け高さに調整することが可能となる。
【0025】
図11はズボンの下前立て表側に残尿処理具を取付ける実施例の要部正面図を示し、図12は図11の縦断面図を示す。ズボン本体50bの下前立て52bに縦に並べて設けられている2個の横長の穴38に、下前立て52bの表側25aから残尿処理具20cのフック37を挿入して取付けている。
【0026】
図13はフック受け具の取付け例を示す前あき構造の男性用ズボンの要部正面図と、図14は図13で示すフック受け具にフックを挿入掛け止めする複数の取付け高さ例を示す要部縦断面図。
ズボン本体50aの下前立て52a表側25a上部の側端辺53寄りに設ける縦長四角形状のフック受け具39は、そのフック受け具本体40の両端を縫製接続し、上下に連通するフックを挿入掛け止めする通し穴41を形成し、更に前記フック受け具本体の上部に前記通し穴に連通するフックを挿入掛け止めする横長の穴42を縦に並べて2個設け、図14で示すフック37の掛け止め高さを3段に調整可能としている。
【0027】
図15、図16は面ファスナ−の取付け例を示す前あき構造の男性用ズボンの要部正面図。
図15は図8、図9の変形例で、ズボン本体50aの下前立て52a側端辺53上部に設けられている吊り片54に、その吊り片の表側下方部の前記側端辺寄りに面ファスナ−48aを固着して設けている。図16は図10の変形例で、ズボン本体50bの下前立て52bの裏側上部側端辺53寄りに面ファスナ−48bを固着して設けている。
【0028】
図17、図18は残尿処理具の形態とその取付けの変形例を示す要部正面図。
図17の下前立て52a裏側に取付ける残尿処理具20eは、その残尿処理具の表側27a上端から下方に直立状態に伸延するフック37の縦軸45の方向に対し、残尿処理具の縦方向の向きを、チャック55b部側寄りの残尿処理具の上部に対し、その残尿処理具下方部を前記チャック部側より遠ざかる傾斜角46を有する斜め傾斜にし、下前立ての側端辺53より残尿処理具の下方部が大きく露出する取付け形態とし、下前立て裏側より残尿処理具の取り出しを容易とすることとチャックの開閉時に邪魔にならない構成としている。また、図18の下前立て52aに縦に並べて設けるボタン掛け用の穴36は、チャック55b部側寄りの上方の穴の位置に対して下方の穴の位置を、前記チャック部より偏心幅43aの幅で離れる(遠ざかる)位置に設け、下前立て52a表側に取付ける残尿処理具20f裏側のボタン35の位置は、上方の位置に対し下方の位置をチャック55b寄りに偏心幅43bずらした形態とする。それにより残尿処理具の下方部とチャックとの間に十分な間隔49を持たせることを可能とる斜め傾斜の取付けで、変位自在な残尿処理具の下方部がチャックの開閉時に邪魔になるのを抑えたものとしている。なお、前記ボタン掛け用の穴36とボタン35の内どちらか一方のみを偏心する場合では、偏心幅を大きくすることで一定の傾斜を保ち残尿処理具の下方部とチャックとの間に一定の十分な間隔を保つようにする。
【0029】
図19は本発明の残尿処理具付ズボン10の使用例の要部正面図を示す。
前あき重なり部の上前立て51と下前立て52aの一部を押し広げ、その押し広げた入り口部(開口部)56よりペニス60を取り出し排尿を行う。その入り口部より露出した排尿後のペニス先端部を、その先端部に付着している残尿雫がしたたるのを防ぐ様にペニス先端部を上向きに持ち上げ、残尿処理具20aの下方部を入り口部寄りに引き出し、その下方部を前方上部に持ち上げ吸収パッド30吸収面をペニス先端部に相対する向きに開きつつ、その吸収面をペニス先端部に押し当て残尿を吸収除去する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の残尿処理具付ズボンの要部を示し、(A)はその要部正面図(B)は要部横断面図(C)は要部縦断面図
【図2】図1(A)の残尿処理具付ズボンの変形例の要部正面図
【図3】図2のX1−X1線の矢視図
【図4】残尿処理具の実施例を示す正面図
【図5】図4のX2−X2線の矢視図
【図6】図4の変形例を示す正面図
【図7】図6の側面図
【図8】本発明の穴付男性用ズボンの要部正面図
【図9】図8の変形例を示す要部正面図
【図10】図9の変形例を示す要部正面図
【図11】フック取付け例を示す要部正面図
【図12】図11のX3−X3線の矢視図
【図13】本発明のフック受け付男性用ズボンの要部正面図
【図14】フック取付け例を示す要部縦断面図
【図15】本発明の面ファスナ−付男性用ズボンの要部正面図
【図16】図15の変形例を示す要部正面図
【図17】図2の変形例を示す要部正面図
【図18】図17の変形例を示す要部正面図
【図19】本発明の使用例を示す要部正面図
【符号の説明】
【0031】
10:残尿処理具付ズボン
20a、20b,20c、20d,20e、20f:残尿処理具
21a,21b,21c、21d、21f:本体
22a、22b,22c、22d:吸収パッド取付け部
23:垂カバ−
24a,24b、24c:垂カバ−部
25a:表側(下前立て)
25b:裏側(下前立て)
26a:表側(吊り片)
26b:裏側(吊り片)
27a:表側(残尿処理具)
27b:裏側(残尿処理具)
28:分岐部
30:吸収パッド
31a,31b:当板
33:紐
34:穴(紐通し用)
35:ボタン
36:穴(ボタン掛け用)
37:フック
38:穴(フック掛け用)
39;フック受け具(フック掛け止め具)
40:フック受け具本体
41:通し穴(フック掛け止用)
42:穴(フック掛け止用)
43a,43b:偏心幅
45:縦軸
46:角度
48,48a,48b:面ファスナ−
49:間隔
50a,50b:ズボン本体
51:上前立て(外側見返し部)
52a,52b:下前立て(内側見返し部)
53:側端辺
54:吊り片
55a,55b:チャック
56:入り口部(開口部)
60:ペニス
【技術分野】
【0001】
前あき構造の実質的には男性用ズボンで、その前あき構造の開閉部(入り口部)近傍に、排尿後のペニスに付着する残尿を吸収除去する吸収パツドを備えた残尿カット具を取付けた残尿処理具付ズボンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来ブリ−フやトランクス等の前部内側に尿漏れを防ぐ吸収パッドを設けたもの又は吸収パッドを設けたペニスを収納するポケットが付いた下着がある。
【0003】
また、前あき入り口部に近接するズボン内側に専用ポケットを設け、排尿後の亀頭部に付着する排尿滴を払拭する男性用衛生用品(拭き取り具)を入れた携帯用台紙を、前記専用ポケットに備えた専用ポケット付男性用ズボンがある。(例えば、特開2000-225070参照)
【0004】
【特許文献1】特開2000-225070
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の下着に吸収パッドが付いたものは主に失禁による尿漏れを防ぐもので、排尿後のペニスに付着す
る残尿を吸収除去するもんではなく、また、専用ポケット付男性用ズボンでは放尿前に専用ポケットか
ら携帯用台紙を取り出し、その携帯用台紙から拭き取り具を事前に取り出し、両手が使える放尿前に携帯
用台紙を専用ポケットに戻すか、又は他の従来のポケットに仮収納し、放尿後の亀頭排尿滴始末後に専用
ポケットに戻す操作手順にしないと、放尿後に携帯用台紙を専用ポケットから取り出そうとすると、亀頭
部が揺れ動き排尿滴がズボンに付着する恐れがある。それを防ぐためには一方の手は常に亀頭部又はその
近くに宛がうこととなり、前記携帯用台紙を放尿後に片手で取り出すのは困難と思われる。したがって面
倒な操作が伴うことと、ズボンに専用ポケットを設け複数の小ポケットや耐水袋などが設けられた複雑な
携帯用台紙を用意することはかなりのコストアップ要因となる問題がある。
【0006】
本発明は、吸収パッドをチャックの開閉の邪魔にならない位置に設け排尿後のペニス先端部に残る残尿を拭き取り、ペニス収納時にズボンや下着又は体に尿が付着するのを防ぐズボンを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の残尿処理具付ズボンは、男性用前あき構造のズボンで、そのズボンの入り口部(開口部)を形成する開閉用チャックが設けられたズボン本体の前後の重なり部の外側の上前立て(見返し部)と内側の下前立て(見返し部)とを有するズボン又は前記下前立て上部側端辺に固着して前記下前立てを吊り支える吊り片が設けられたズボンにおいて、入り口部のチャック位置より奥まったチャックを閉じた状態で隠蔽となる位置で、前記下前立て又は前記吊り片の表側又は前記下前立て又は前記吊り片の裏側に、残尿を吸収除去する一定の広さの吸収面を有する吸収パツドを備えた残尿処理具を着脱自在に取付けたものである。前記吸収パッドの吸収面の向きは、前記ズボン着用時においてズボンの内側(身体側)向きに設け、前記吸収パッドは速乾高吸収素材を用いるのが好ましい。(図1参照)
【0008】
前記残尿処理具の形状は、縦長本体の少なくとも上部にズボンに取付ける為の取付け手段を設け、同取付け手段下方部は前後の向かい合せに分岐立下がる前側の吸収パッド取付け部と、後側の垂カバ−部とを有し、、前記ズボンへの取付け時に前側(表側)に位置する前記吸収パッド取付け部内面に吸収パッドを着脱自在に取付け、前記垂カバ−部は前記吸収パッドの吸収面を覆う形状に形成されている。前記吸収パツドを設けた吸収パッド取付け部上部の分岐部を支点に、吸収パッド取付け部の下方部を前方上方に縦半円回転で持ち上げ、吸収パッドの吸収面の向きを変位自在とする。前記残尿処理具の本体は一定の腰の強さと弾力性を持つものとするのが良く、また、吸収パツド裏面に接着剤を設けた着脱自在の貼付け取付けにするのが好ましい。(図1、図2、図3参照)
【0009】
残尿処理具の変形例では、本体上端を前後に向かい合せに折り返しその向かい合せに折り返した前側本体内面に、表面が滑らかな弾性体の防水素材からなる薄板状の当板を取付け、もう一方の後側本体内面に、弾性体防水素材からなる薄板状の当板を取付け、前記当板を設けた本体向かい合わせ面上部を密着接続し、その接続部表側又は裏側にズボンへ取付ける為の取付け手段を設け、前記密着接続部下端位置から下方に分岐立下がる前側の吸収パッド取付け部と後側に垂カバ−部とを形成し、前記吸収パッド取付け部内面に設けられた当板面に吸収パッドを着脱自在に貼付け、前記垂カバ−部は前記吸収パッドの吸収面を覆う形状で設けられている。そして、前記ズボンへの取付け例では、前記ズボンの前あき入り口部の前記下前立て又は前記吊り片に前記残尿処理具が掛け止めされる取付け手段を設け、その取付け手段を介して残尿処理具をズボンに着脱自在に取付ける。前記当板を設けることにより残尿処理具本体の材質にかかわらず、その本体に一定の弾力と腰の強さを持たせることを可能とし、吸収パッドの貼付け取付けを容易にするとともに、残尿処理具の本体自身が尿で湿気るのを防ぐようにすることと、残尿処理具本体の変形後の復元を容易にする。前記当板を設けない場合は残尿処理具本体自身を防水性弾力体の材質から形成するのが好ましい。
(図6、図7、図8〜図10、図13、図15、図16参照)
【0010】
前記残尿処理具に設ける取付け手段は、紐、ボタン、面ファスナ−、フック及びホックの中から選択した一つからなり、たとえば、残尿処理具に紐を設ける。又は残尿処理具表側又は裏側にボタン又はホックを横か縦に並べて2個設ける。又は残尿処理具表側又は裏側にフックを1個設ける。又は残尿処理具表側又は裏側に一定の広さの面ファスナ−を設ける。そして、フック形状は後述する複数の穴又は一定の縦長さの通し穴に介接止め容易とするために挿入部を縦長形状とするのが好ましい。
(図1〜図7、図11、図12、図14参照)
【0011】
そして、ズボンの下前立て又は吊り片に設ける前記残尿処理具を取付る為の取付け手段は、紐通し用の穴、ボタン掛け用の穴、面ファスナ−、フック掛け用の穴又はフック掛け用のフック受け具及びホックの中から選択した一つからなり、前記フック受け具はそのフック受け具本体の両端を縫製接続し、その接続部内側にフックを挿入掛け止めする上下に貫通する通し穴を形成している。また、残尿処理具の取付け高さを調整可能とする為に、前記フック受け具本体上部にボタン穴と同形状のフックを挿入掛け止めする穴を少なくとも1個設けたフック受け具形状としている。また、前記フック受け具を面ファスナ−材で形成するとフック又は面ファスナ−を設けたどちらかの残尿処理具の取付けが可能となる。また、たとえば、残尿処理具側に紐を設けると、ズボン側に紐通し用の穴を縦又は横に並べて一対設ける。また、残尿処理具側にボタンを二個設けると、ズボン側にボタン掛け用の穴を横あるいは縦に並べて2個設けている。そして、前記面ファスナ−又は前記フック受け具は前記下前立て又は前記吊り片の表側又は裏側に設けている。(図1〜図3、図8〜図16参照)
【0012】
また、残尿処理具のズボンへの取付け形態の変形例では、下前立てと吊り片の内、主に下前立て裏側に取付けられる場合では、残尿処理具を下前立て裏側からズボン入り口部に引き出しやすくする為に、例えば図17で示す様に、残尿処理具に設ける取付け手段となるフックの取付け形状を、残尿処理具の縦方向に対し下向きのフックの縦軸を斜め向きとし、下前立てに重なる残尿処理具下方部を下前立てより大きく露出する斜め傾斜の取付け形態としている。
【0013】
また、残尿処理具のズボンへの取付け形態の変形例では、下前立てと吊り片の内、主に下前立て表側に取付けられる場合では、チャックと残尿処理具との間隔が狭くなるため、チャックの開閉時に邪魔になる恐れがある。それを解消するために、残尿処理具の位置をチャックより一定間隔離した取付け形態とする。例えば図18で示す様に、下前立てに縦に並べて設けるボタン掛け用の2個の穴の内、上方の穴に対して下方の穴の位置をチャックから離れる(遠ざかる)下前立て側端辺側に偏心した位置に設け、残尿処理具に設ける2個のボタン内、上方のボタンに対して下方のボタンの位置をチャック寄りに設け、変動自在な残尿処理具の下方部とチャックとの間に一定の大きな間隔が形成される斜め向きの取付け形態とする。
【0014】
なを、紐通し用の穴及びフック掛け止め用の穴は実質的にはボタン掛け止め用の穴と同形のスリット状の長穴で、その長手方向を縦向き又は横向きとし、前記各穴を取付け高さが変えられる複数も設けると、前記各穴は前記下前立て又は吊り片を貫通して設けられている為、前記残尿処理具の取付は前記下前立て又は吊り片の表側又は裏側に取付け自在に高さ位置の調整が可能となる。そして、上記構成からなる残尿処理具は否回転取付けである為、残尿処理具の下方部の横ぶれを防ぎ取付けの安定を図るものとする。 (図1〜図18参照)
【発明の効果】
【0015】
上述した様に本発明の残尿処理具付ズボンは、ズボンの前あき入り口部より奥まった下前立て表側に、残尿処理具の下方部をズボンの入り口部から離した(遠ざかる)斜め傾斜の取付け形態にすると、排尿時の入り口部を開いた時に変動自在な残尿処理具下方部がズボン内から大きく露出するのを抑え見栄えを損なうことを防ぐ。また、チャックの開閉時に邪魔にならずペニスの取り出しを容易とし排尿時に邪魔になるのを防ぐ。そして、チャックを閉じた状態では外観を損なうことなくズボン内に完全に隠蔽することを可能とする。また、残尿処理具を下前立て裏側に下前立て部より下方部が露出する斜め傾斜の取付け形態にすると、ペニス取り出し時に手肌に触れにくく手先の挿入がスム−ズとなる。また、下前立て部より露出させることで、その下前立て裏側より残尿処理具を引き出しやすくする。また、残尿処理具を吊り片表側に設けるとチャックより一定の大きな間隔を有するためチャックの開閉に支障をきたさず、また、吊り片裏側に設けるとチャックの開閉時に全く邪魔にならず、下前立てとの重なり代が小さいものとなり取り出しやすくなる。そして、吸収パッドを備えた残尿処理具の下方部は吊り下げ形態であるため、ペニス先端部に相対する様に前方上方に半円回転の持ち上げを容易とし、残尿の雫が垂れない様に持ち上げたペニス先端部に吸収パッド面をあてがいやすくし、最も簡単で素早く衛生的にペニスに付着する残尿を吸収除去することができる。(図17、図18、図19参照)
【0016】
また、吸収パッドを覆う垂カバ−を設けると、吸収パッド面向かい側に分離した垂カバ−は吸収面の向きの操作時に邪魔になることなく、湿気た吸収パッド面が直接ズボンや下着に触れるのを防ぎズボン等が汚染されるのを抑える。また、吸収パッド取付け面と垂カバ−の内面に当板を設けると、残尿処理具自体が尿で湿気るのを防ぎ、接着剤を備えた吸収パッドを着脱自在に容易に貼付けの取付けが可能となり、吸収パッドのみの取替えでランニングコストを抑えることができる。また、吸収パツドを速乾高吸収素材にすると吸収パツド自体が体温で常に乾いた高吸収力を持つ状態を保つこととなる。
【0017】
そして、残尿処理具を着脱自在にズボンに取付けることにより、ズボン自体のコスト増を抑え、洗濯の邪魔になるのを防ぐ。また、ボタン又はホックを横又は上下に2個又は一定の大きさの面ファスナ−又
は紐又は縦長のフックを用いた取付け手段にすることにより、残尿処理具の否回転取付けで残尿処理具下方の横振れを防ぐことを可能とし、ペニス取出し時に残尿処理具がズボンより大きく露出するのを防ぎ見栄えを損なわず、更にチャック開閉時に邪魔になるのを防ぐ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の残尿処理具付ズボンの実施例の形態を図1〜図19に基づいて説明する。
【0019】
図1の内(A)は要部正面図を示し、(B)は要部横断面図を示し、(C)は要部縦断面図を示す。
前あき構造の男性用ズボンで、その前あきの入り口部(開口部)56を形成するズボン本体50aの重ね合せ部内側の下前立て(見返し部)52aと外側の上前立て(見返し部)51とを有し、下前立ての側端辺53上部にその下前立て上部の型崩れを防ぐために、斜め上方に吊り支える吊り片54が設けられたズボンにおいて、その吊り片の下方部に横に並べて紐通し用の穴34を一対設け、その穴に結び止めする残尿処理具20aは、その残尿処理具の本体21a上部に表側から裏側に通して紐33を設け、その紐取付け位置下方の任意の位置で分岐し、その分岐部28から下方に前後の向かい合せに分岐立下がる前側の吸収パッド取付け部22aと、後側の垂カバ−23部とを有し、前記前側の吸収パッド取付け部22aの内面に接着剤を設けた吸収パッド30を着脱自在に貼付け、前記垂カバ−は前記吸収パッドの吸収面を分離覆う形状に設けられ、前記吸収パッドを設けた吸収パッド取付け部22aは、その取付け部上部の分岐部28を支点に下方部を前方上方に持ち上げ縦回転開閉自在に、前記吸収パッドの吸収面の向きを変位可能に形成し、その残尿処理具20aを前記吊り片の表側26aに前記吊り片54に設けた一対の穴34に結び止めし、否回転吊り下げ状態に取付けた残尿処理具付ズボン10。
【0020】
図2は図1(A)の変形例を示す要部正面図で、図3は図2の縦断面図を示す。
残尿処理具20bは、前後に重なる前側(表側)の本体21bと後側(裏側)の本体21cの上部を重ね
密着接続し、その上部表側27aに縦に並べてボタン35を2個設け、そのボタン取付け位置から下方の密着接続下端位置で分岐し、その分岐部28から下方に向い合せに分岐立下がる前側の吸収パッド取付け部22bと、後側の後述する吸収パッドの吸収面を覆う垂カバ−24a部を形成し、前記前側の吸収パッド取付け部22bの内面に吸収パッド30を着脱自在に貼付け、その吸収パッドを設けた吸収パッド取付け部22bは、その取付け部上部の分岐部28を支点に下方部を前方に縦半円回転開閉自在に、前記吸収パッドの吸収面の向きを変位可能に形成し、ズボン本体の前あき重なり部の内側の下前立て52aに設けられている吊り片54下方部に縦に並べてボタン掛け用の穴36を2個設け、その穴に前記残尿処理具20bのボタン35を掛け止めし、前記吊り片54の裏側26bに前記残尿処理具を着脱自在に否回転吊り下げ状態に取付けた残尿処理具付ズボン。
【0021】
図4は図2の残尿処理具の変形例を示す正面図で、図5は図4の縦断面図を示す。
残尿処理具20cは、下前立て又は吊り片の表側に取付ける場合の形状を示し、下方部に吸収パッド30を設けた吸収パッド取付け部22cを有する本体21dと、下方部に垂カバ−部24bを有する本体21eとの上部を重ね密着接続し、その密着接続部にフック37の一部を挟み込み固着し、フックの掛け止め挿入部を密着接続部の裏側27bに下向きに設けている。
【0022】
図6は図4の変形例を示す正面図で、図7は図6の側面図を示す。
残尿処理具20dは、下前立て又は吊り片の裏側に取付ける場合の形状を示し、本体21f上端を前後の向かい合せに折り返し、前側下方部に吸収パッド取付け部22dと後側に垂カバ−部24cを形成し、その向かい合わせの前側本体内面に、吸収パッドの取付けを容易にする表面が滑らかな板状の当板31aを取付け、後側本体内面に板状の当板31bを取付け、前記当板を設けた向かい合わせの内面上部を密着接続し、その密着接続部表側27aに面ファスナ−48を固着し、前記吸収パッド取付け部の当板面に吸収パッド30を着脱自在に貼付けて形成している。前記当板は残尿処理具の形崩れを防ぐことと、吸収パッドの吸収面の向きの変形と復元を容易にすることと、残尿処理具本体の湿気を防ぐ為に、一定の腰の強さを有する弾性体防水素材とするのが好ましい。
【0023】
図8、図9は紐通し用又はボタン掛け用又はフック掛け止め用の穴を設けた前あき構造の男性用ズボンの要部正面図を示す。
図8はズボン本体50aの下前立て52a側端辺53上部に設けられている吊り片54で、その吊り片下方部の前記側端辺寄りに縦長の紐通し用の穴34又はボタン掛け用の穴36を2個(一対)横に並べて設けている。そして、図9は縦に並べて紐通し用の穴34又はボタン掛け用の穴36又はフック掛け止め用の穴38を各2個(一対)設けている。
【0024】
図10は図9で示す紐通し用又はボタン掛け用又はフック掛け止め用の穴の配列の変形例の要部正面図を示す。ズボン本体50bの下前立て52b上部の横幅は広く形成され、その上部に下前立て吊り用の穴が設けられた形態のズボンにおいて、前記下前立て吊り用の穴の下方部側端辺53寄りに、横長の紐通し用の穴34又はボタン掛け用の穴36又はフック掛け止め用の穴38を2個縦に並べて設けている。残尿処理具の取付けは通常は2個の穴を用いるが、前記穴を3個以上設けると残尿処理具の取付け高さを複数の取付け高さに調整することが可能となる。
【0025】
図11はズボンの下前立て表側に残尿処理具を取付ける実施例の要部正面図を示し、図12は図11の縦断面図を示す。ズボン本体50bの下前立て52bに縦に並べて設けられている2個の横長の穴38に、下前立て52bの表側25aから残尿処理具20cのフック37を挿入して取付けている。
【0026】
図13はフック受け具の取付け例を示す前あき構造の男性用ズボンの要部正面図と、図14は図13で示すフック受け具にフックを挿入掛け止めする複数の取付け高さ例を示す要部縦断面図。
ズボン本体50aの下前立て52a表側25a上部の側端辺53寄りに設ける縦長四角形状のフック受け具39は、そのフック受け具本体40の両端を縫製接続し、上下に連通するフックを挿入掛け止めする通し穴41を形成し、更に前記フック受け具本体の上部に前記通し穴に連通するフックを挿入掛け止めする横長の穴42を縦に並べて2個設け、図14で示すフック37の掛け止め高さを3段に調整可能としている。
【0027】
図15、図16は面ファスナ−の取付け例を示す前あき構造の男性用ズボンの要部正面図。
図15は図8、図9の変形例で、ズボン本体50aの下前立て52a側端辺53上部に設けられている吊り片54に、その吊り片の表側下方部の前記側端辺寄りに面ファスナ−48aを固着して設けている。図16は図10の変形例で、ズボン本体50bの下前立て52bの裏側上部側端辺53寄りに面ファスナ−48bを固着して設けている。
【0028】
図17、図18は残尿処理具の形態とその取付けの変形例を示す要部正面図。
図17の下前立て52a裏側に取付ける残尿処理具20eは、その残尿処理具の表側27a上端から下方に直立状態に伸延するフック37の縦軸45の方向に対し、残尿処理具の縦方向の向きを、チャック55b部側寄りの残尿処理具の上部に対し、その残尿処理具下方部を前記チャック部側より遠ざかる傾斜角46を有する斜め傾斜にし、下前立ての側端辺53より残尿処理具の下方部が大きく露出する取付け形態とし、下前立て裏側より残尿処理具の取り出しを容易とすることとチャックの開閉時に邪魔にならない構成としている。また、図18の下前立て52aに縦に並べて設けるボタン掛け用の穴36は、チャック55b部側寄りの上方の穴の位置に対して下方の穴の位置を、前記チャック部より偏心幅43aの幅で離れる(遠ざかる)位置に設け、下前立て52a表側に取付ける残尿処理具20f裏側のボタン35の位置は、上方の位置に対し下方の位置をチャック55b寄りに偏心幅43bずらした形態とする。それにより残尿処理具の下方部とチャックとの間に十分な間隔49を持たせることを可能とる斜め傾斜の取付けで、変位自在な残尿処理具の下方部がチャックの開閉時に邪魔になるのを抑えたものとしている。なお、前記ボタン掛け用の穴36とボタン35の内どちらか一方のみを偏心する場合では、偏心幅を大きくすることで一定の傾斜を保ち残尿処理具の下方部とチャックとの間に一定の十分な間隔を保つようにする。
【0029】
図19は本発明の残尿処理具付ズボン10の使用例の要部正面図を示す。
前あき重なり部の上前立て51と下前立て52aの一部を押し広げ、その押し広げた入り口部(開口部)56よりペニス60を取り出し排尿を行う。その入り口部より露出した排尿後のペニス先端部を、その先端部に付着している残尿雫がしたたるのを防ぐ様にペニス先端部を上向きに持ち上げ、残尿処理具20aの下方部を入り口部寄りに引き出し、その下方部を前方上部に持ち上げ吸収パッド30吸収面をペニス先端部に相対する向きに開きつつ、その吸収面をペニス先端部に押し当て残尿を吸収除去する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の残尿処理具付ズボンの要部を示し、(A)はその要部正面図(B)は要部横断面図(C)は要部縦断面図
【図2】図1(A)の残尿処理具付ズボンの変形例の要部正面図
【図3】図2のX1−X1線の矢視図
【図4】残尿処理具の実施例を示す正面図
【図5】図4のX2−X2線の矢視図
【図6】図4の変形例を示す正面図
【図7】図6の側面図
【図8】本発明の穴付男性用ズボンの要部正面図
【図9】図8の変形例を示す要部正面図
【図10】図9の変形例を示す要部正面図
【図11】フック取付け例を示す要部正面図
【図12】図11のX3−X3線の矢視図
【図13】本発明のフック受け付男性用ズボンの要部正面図
【図14】フック取付け例を示す要部縦断面図
【図15】本発明の面ファスナ−付男性用ズボンの要部正面図
【図16】図15の変形例を示す要部正面図
【図17】図2の変形例を示す要部正面図
【図18】図17の変形例を示す要部正面図
【図19】本発明の使用例を示す要部正面図
【符号の説明】
【0031】
10:残尿処理具付ズボン
20a、20b,20c、20d,20e、20f:残尿処理具
21a,21b,21c、21d、21f:本体
22a、22b,22c、22d:吸収パッド取付け部
23:垂カバ−
24a,24b、24c:垂カバ−部
25a:表側(下前立て)
25b:裏側(下前立て)
26a:表側(吊り片)
26b:裏側(吊り片)
27a:表側(残尿処理具)
27b:裏側(残尿処理具)
28:分岐部
30:吸収パッド
31a,31b:当板
33:紐
34:穴(紐通し用)
35:ボタン
36:穴(ボタン掛け用)
37:フック
38:穴(フック掛け用)
39;フック受け具(フック掛け止め具)
40:フック受け具本体
41:通し穴(フック掛け止用)
42:穴(フック掛け止用)
43a,43b:偏心幅
45:縦軸
46:角度
48,48a,48b:面ファスナ−
49:間隔
50a,50b:ズボン本体
51:上前立て(外側見返し部)
52a,52b:下前立て(内側見返し部)
53:側端辺
54:吊り片
55a,55b:チャック
56:入り口部(開口部)
60:ペニス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服の内、前あき構造のズボンで、前記前あき入り口部を形成するチャックを備えた上前立てと下前立てを有するズボン又は前記下前立て上部側端辺に固着し、該下前立てを吊り支える吊り片が設けられたズボンにおいて、前記ズボンに取付ける残尿処理具は、一定の縦長さを有する本体の少なくとも上部に前記ズボンに取付ける為の取付け手段と、前記本体下方部に排尿後のペニス先端部に付着する尿を吸収除去する為の吸収バッドとを設けて形成し、前記ズボンに前記残尿処理具を取付ける為の取付け手段を設け、該取付け手段の位置は、前記ズボンの前記下前立て又は前記吊り片の内少なくともどちらか一方に設けられ、前記残尿処理具の前記下前立て又は前記吊り片への取付け形態は、一定の広さを有する前記吸収バッドの吸収面を前記ズボンの内側中央向きとし、ズボン着用時で隠蔽状態となる前記下前立て又は前記吊り片の表側、又は前記下前立て又は前記吊り片の裏側に着脱自在に取付けたことを特徴とする残尿処理具付ズボン。
【請求項2】
前記残尿処理具に、前記吸収パッドの吸収面を覆う垂カバ−を設け、前記垂カバ−は前記吸収面に介接離反自在になったことを特徴とする請求項1記載の残尿処理具付ズボン。
【請求項3】
前記残尿処理具の縦長さの内、少なくとも前記吸収バッドの取付け面と、その吸収バッド取付け面に対面する前記垂カバ−の内面とに防水性の当板を設け、前記吸収バッドを前記当板に着脱自在に取付けたことを特徴とする請求項2記載の残尿処理具付ズボン。
【請求項4】
前記残尿処理具は前記ズボンへの取付け時に、前記ズボン入り口部側寄りの前記残尿処理具の上部に対し、前記残尿処理具の下方部が前記ズボン入り口部側より離れた斜め傾斜に取付けられたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の残尿処理具付ズボン。
【請求項5】
前記残尿処理具の取付け手段は、紐、ボタン、面ファスナ−、フック及びホックの中から選択した一つから形成したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の残尿処理具付ズボン。
【請求項6】
前記ズボンの取付け手段は、紐通し用の穴、ボタン掛け用の穴、面ファスナ−、フック受け具及びホックの中から選択した一つから形成し、 前記面ファスナ−又は前記フック受け具は前記下前立て又は前記吊り片の表面又は裏面に設けられ、前記フック受け具は上下に連通するトンネル状の通し穴を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の残尿処理具付ズボン。
【請求項1】
衣服の内、前あき構造のズボンで、前記前あき入り口部を形成するチャックを備えた上前立てと下前立てを有するズボン又は前記下前立て上部側端辺に固着し、該下前立てを吊り支える吊り片が設けられたズボンにおいて、前記ズボンに取付ける残尿処理具は、一定の縦長さを有する本体の少なくとも上部に前記ズボンに取付ける為の取付け手段と、前記本体下方部に排尿後のペニス先端部に付着する尿を吸収除去する為の吸収バッドとを設けて形成し、前記ズボンに前記残尿処理具を取付ける為の取付け手段を設け、該取付け手段の位置は、前記ズボンの前記下前立て又は前記吊り片の内少なくともどちらか一方に設けられ、前記残尿処理具の前記下前立て又は前記吊り片への取付け形態は、一定の広さを有する前記吸収バッドの吸収面を前記ズボンの内側中央向きとし、ズボン着用時で隠蔽状態となる前記下前立て又は前記吊り片の表側、又は前記下前立て又は前記吊り片の裏側に着脱自在に取付けたことを特徴とする残尿処理具付ズボン。
【請求項2】
前記残尿処理具に、前記吸収パッドの吸収面を覆う垂カバ−を設け、前記垂カバ−は前記吸収面に介接離反自在になったことを特徴とする請求項1記載の残尿処理具付ズボン。
【請求項3】
前記残尿処理具の縦長さの内、少なくとも前記吸収バッドの取付け面と、その吸収バッド取付け面に対面する前記垂カバ−の内面とに防水性の当板を設け、前記吸収バッドを前記当板に着脱自在に取付けたことを特徴とする請求項2記載の残尿処理具付ズボン。
【請求項4】
前記残尿処理具は前記ズボンへの取付け時に、前記ズボン入り口部側寄りの前記残尿処理具の上部に対し、前記残尿処理具の下方部が前記ズボン入り口部側より離れた斜め傾斜に取付けられたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の残尿処理具付ズボン。
【請求項5】
前記残尿処理具の取付け手段は、紐、ボタン、面ファスナ−、フック及びホックの中から選択した一つから形成したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の残尿処理具付ズボン。
【請求項6】
前記ズボンの取付け手段は、紐通し用の穴、ボタン掛け用の穴、面ファスナ−、フック受け具及びホックの中から選択した一つから形成し、 前記面ファスナ−又は前記フック受け具は前記下前立て又は前記吊り片の表面又は裏面に設けられ、前記フック受け具は上下に連通するトンネル状の通し穴を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の残尿処理具付ズボン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−190557(P2011−190557A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58576(P2010−58576)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(599028423)有限会社朝日設計工業 (14)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(599028423)有限会社朝日設計工業 (14)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]