説明

段差検知装置およびこれを備えた電動車両

【課題】 簡易な構成で適切に段差を検知できる段差検知装置を提供する。
【解決手段】 電動車いす20の周辺を撮影するカメラ11と、電動車いす20の走行面からカメラまでの高さのデータ17を記憶するメモリ15と、カメラ11にて撮影した画像に基づいて段差を検知する制御部12とを備える。制御部12は、第1の時刻にカメラ11にて撮影した画像に、高さの測定対象となる測定点を設定すると共に、測定点よりも手前に基準点を設定し、第2の時刻にカメラ11にて撮影した画像から基準点の対応点と測定点の対応点を求め、メモリ15に記憶されたカメラ11の高さのデータ17に基づいて、基準点、測定点、基準点の対応点、測定点の対応点を、走行面と同じ高さの平面に射影し、射影平面上における基準点とその対応点との距離、および、測定点とその対応点との距離を求め、各距離から、測定点の高さを算出し、測定点の高さに基づいて段差を検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車いす等の電動車両に搭載して用いられる段差検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化社会の到来や低炭素社会への転換に伴って、電動車両の利用者が増加することが予想される。近年、高齢者向けに作られた三輪または四輪の一人乗り電動車両が普及してきている。このような車両は、現在は「シニアカー」として知られているが、ガソリン自動車から電気自動車へ移行することが予想される将来の社会にあっては、一人乗りの小型車両が近距離移動のためのパーソナルモビリティとして普及する可能性がある。
【0003】
自動車に比べて車体の小さい電動車両にとって、段差は、転倒の可能性がある危険な場所である。電動車いすやシニアカーは高齢者が利用することが多いが、高齢者が転倒した場合、大けがをするおそれがある。
【0004】
最近では、段差を乗り越えることができるように工夫された車いすも提案されている(特許文献1、特許文献2)。しかし、利用者が段差に気付いていなければ、段差に当たったときの衝撃で態勢を崩すおそれがあり、やはり危険である。
【0005】
ところで、路上にある障害物を検知する多くの技術が知られている。例えば、レーダでスキャンすることにより三次元情報を取得する方法(非特許文献1)、ミリ波帯の電波を用いて障害物までの距離を測る方法(非特許文献2)、超音波センサから発する超音波が物体で反射して返ってくるまでの時間から障害物までの距離を測る方法、レーザープロジェクタから発したマルチスポット光の結像点を検出して距離を算出する方法(非特許文献3)、複数のカメラで撮影した画像の視差情報を利用して三次元情報を得る方法(非特許文献4)、異なる時刻に撮影した2枚の画像から俯瞰画像を生成し、俯瞰画像に高さを有する障害物を合成する方法(特許文献3)等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−49910号公報
【特許文献2】特開2008−154840号公報
【特許文献3】特開2008−48094号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】城殿清澄他「レーザレーダを用いた高信頼な歩行者検出」2006年 電子情報通信学会総合大会、A−17−8
【非特許文献2】梶木淳子他「ミリ波式センサを用いた障害物検出アルゴリズムに関する一研究」信学技報 TECHNICAL REPORT OF IEICE. ITS99−113
【非特許文献3】荒蒔勲他「小型距離画像センサを用いた移動ロボットの障害物回避手法の提案」日本機械学会 2001年ロボティクス・メカトロニクス講演会 講演概要集
【非特許文献4】熊野仁子他「ステレオビジョンセンサを用いた自律移動ロボットの実時間障害物回避」日本機械学会 2000年ロボティクス・メカトロニクス講演会 講演概要集
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記した障害物を検知する技術のうち、レーザレーダ、ミリ波センサ、超音波センサ、レーザープロジェクタを用いる方法は、電磁波や超音波等の反射を検知する方法であるため、路上等に存在する障害物の検知には適している。しかし、例えば、階段や側溝のように走行中のレベルより低くなる段差では、電磁波や超音波が適切に反射して戻ってこないこともあり、そのような場合には段差を検知することができない。また、これらの方法で用いられるセンサ等は高価であり、自動車等に比べて単価が安い車いす等の電動車両に用いるのは現実的ではない。
【0009】
上記したステレオビジョンセンサを用いれば、低くなっている段差を検知することが可能である。しかし、視差情報から三次元情報を得るためには、それぞれのカメラがどの方向を向いて設置されているかを正確に把握する必要があり、カメラのキャリブレーションが煩雑である。また、二台のカメラを用いるので、コストが高いという問題もある。
【0010】
特許文献3に記載された俯瞰画像を生成する方法は、カメラを一台しか用いないので、比較的安価に装置を構成することができる。しかし、特許文献3では、異なる時刻に撮影した俯瞰画像を重ね合わせるために車両の移動量のデータを用いる必要がある。
【0011】
そこで、本発明は上記背景に鑑み、簡易な構成により、走行中のレベルから上方向に突出した段差だけでなく、低くなっている段差をも適切に検知することができる段差検知装置およびこれを備えた電動車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、電動車両に搭載して用いられる段差検知装置であって、電動車両の周辺を撮影するカメラと、電動車両の走行面からカメラまでの高さのデータを記憶する記憶部と、前記カメラにて撮影した画像に基づいて、画像に映った領域内にある段差を検知する制御部とを備え、前記制御部は、第1の時刻に前記カメラにて撮影した画像に、高さの測定対象となる測定点を設定すると共に、測定点よりも手前に基準点を設定し、第2の時刻に前記カメラにて撮影した画像の中から前記基準点の対応点と前記測定点の対応点を求め、前記記憶部に記憶されたカメラの高さのデータに基づいて、前記基準点、前記測定点、前記基準点の対応点、前記測定点の対応点を、前記走行面と同じ高さの平面に射影し、前記射影平面上における前記基準点とその対応点との距離、および、前記測定点とその対応点との距離を求め、前記各距離から、前記測定点の高さを算出し、前記測定点の高さに基づいて段差を検知し、段差を検知したときに、段差があることを示す信号を出力する。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、電動車両の走行面と同じ高さの平面に射影した測定点とその対応点との距離と、同平面に射影した基準点とその対応点との距離とに基づいて、簡易に測定点の高さを算出することができ、これにより段差を検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施の形態の段差検知装置を備えた電動車いすの構成を示す図である。
【図2】第1の実施の形態の段差検知装置の構成を示す図である。
【図3】第1の時刻tに撮影した画像の例を示す図である。
【図4】第2の時刻t+Δtに撮影した画像の例を示す図である。
【図5】高さを求めるアルゴリズムについて説明するための図である。
【図6】高さを求めるアルゴリズムについて説明するための図である。
【図7】高さを求めるアルゴリズムについて説明するための図である。
【図8】第1の実施の形態の段差検知装置の動作を示す図である。
【図9】第2の実施の形態の段差検知装置の構成を示す図である。
【図10】第2の実施の形態の段差検知装置の動作を示す図である。
【図11】第3の実施の形態の段差検知装置の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態の段差検知装置および電動車両について説明する。以下では、電動車両として電動車いすを例として説明するが、本発明は、電動車いす以外の電動車両にも適用することが可能である。例えば、本発明は、シニアカーや、超小型電気自動車、台車等に適用できる。また、床清掃ロボットのような自律移動ロボットに適用することも可能である。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の段差検知装置10を備えた電動車いす20の構成を示す図である。段差検知装置10は、カメラ11が電動車いす20の前方を撮影するような位置に取り付けられている。カメラ11は、少なくとも電動車いす20の前輪23の一部が撮影範囲に入るように、下方に向けられている。これにより、撮影される画像の下方の領域には走行面が映ることになる。なお、ここでは、少なくとも前輪23の一部が撮影範囲に入るような方向を向けてカメラ11を取り付けているが、必ずしも前輪23の一部が入らなくても、撮影される画像の下方の領域に走行面が映る角度であればよい。
【0017】
図2は、段差検知装置10の構成を示す図である。段差検知装置10は、カメラ11と、制御部12と、スピーカ13と、入力部14と、メモリ15とを備えている。メモリ15には、制御部12に、段差を検知する処理を実行させるためのプログラム16と、カメラ11の高さのデータ17が記憶されている。ここで、カメラ11の高さとは、電動車いす20に搭載されたカメラ11の走行面からの高さである。カメラ11の高さは、カメラ11を電動車いす20に取り付けた際に計測し、計測した高さのデータを入力部14から入力する。
【0018】
制御部12は、メモリ15から読み出したプログラム16を実行することにより、制御部12は、カメラ11にて撮影した画像に基づいて、画像に映った領域内にある段差を検知する機能を有している。スピーカ13は、制御部12にて段差を検知したときに、警報を出力する機能を有している。
【0019】
次に、段差を検知する制御部12の機能について説明する。以下に説明する機能は、メモリ15に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。制御部12は、第1の時刻tに撮影した画像と、第2の時刻t+Δtに撮影した画像とに基づいて、画像に映った領域内にある段差を検知する。
【0020】
図3は、第1の時刻tに撮影した画像の例を示す図、図4は、第2の時刻t+Δtに撮影した画像の例を示す図である。第1の時刻tと第2の時刻t+Δtの画像を比較すると、第1の時刻tにおける画像に映っていた縁石Cが、第2の時刻t+Δtにおける画像では近づいている。
【0021】
制御部12は、第1の時刻tにおける画像に、測定点Bと、測定点Bより手前にある基準点Aを設定する。ここで、「手前」とは、カメラ11に近い方であり、画像においては下方である。基準点Aを測定点Bより手前に設定しているのは、本実施の形態においては、処理を簡単にするために、基準点Aがある場所を走行面であると仮定して処理を行うためである。従って、電動車いす20の走行面が映っている可能性が高い場所、すなわち、測定点Bより電動車いす20に近い場所に基準点Aを設定する。なお、本実施の形態では、カメラ11は、少なくとも電動車いす20の前輪23の一部が撮影範囲に入るように、下方に向けられているので、撮影画像の下方の前輪23の近傍に映る領域は、走行面である可能性が極めて高い。また、車輪の接地地点が撮影範囲に入るような場所および角度でカメラ11を設置すると、確実にカメラの撮影範囲に走行面を入れることができる。従って、例えば、前輪の接地地点から前方数mが撮影範囲になるように設置してもよい。
【0022】
図3に示す例では、測定点Bとして縦5個×横10個からなる50個の点を設定している。基準点Aとして、横に並ぶ10個の点を設定する。測定点Bの間隔は、検出したい段差の大きさや、カメラ11の解像度に基づいて定めることができる。測定点Bの密度を高めることにより、より詳細な情報を得ることができる。本実施の形態では、10個の基準点を設定しているが、基準点は1個でもよい。
【0023】
制御部12は、時刻t+Δtにおける画像の中から、基準点Aに対応する対応点A´、測定点Bに対応する対応点B´を求める。対応点とは、異なる画像において、同じ位置を示す点である。対応点は、例えば、基準点Aまたは測定点Bを中心とする所定の領域と相関の高い領域を別の画像の中から求め、その領域の中心を対応点として求める。対応点の算出には、相互相関(Cross−correlation)(例えば、B.P.Lathi著「ラシィ 詳説 ディジタル・アナログ通信システム」p50−51)を用いることができる。相互相関を用いる方法に限らず、別の公知の方法を用いてもよい。例えば、類似度(SSD:Sum of Square Difference)や相違度(SAD:Sum of Absolute Difference)を用いてもよいし、テンプレートマッチングによる局所的な相関の探索、Kanade−Lucas−Tomasiトラッカー等などを採用することもできる。
【0024】
図4は、図3に示した基準点Aの対応点A´、測定点Bの対応点B´を示す図である。図4に示す画像の方が、縁石Cに近づいているので、対応点A´,B´は、画像の下方に移動している。また、若干ではあるが、図4に示す画像の方が、縁石Cが大きく映っている。図4に示す例では、全ての対応点が画像内に存在しているが、電動車いす20の移動量が大きい場合や電動車いす20が大きく曲がった場合等には、対応点が画像内に存在しないことも考えられる。
【0025】
図5および図6は、制御部12によって高さを求めるアルゴリズムについて説明するための図である。制御部12は、基準点A、測定点B(図3参照)と、基準点Aの対応点A´および測定点Bの対応点B´(図4参照)を走行面と同じ高さの平面(以下、「射影平面」という)に射影する。このとき制御部12は、カメラ11の高さHのデータをメモリ15から読み出し、読み出した高さHのデータを用いる。
【0026】
図5は、カメラ座標系において、基準点Aがその対応点A´に移動し、測定点Bがその対応点B´に移動した例を示す。制御部12は、基準点Aを射影平面に射影し点A1の座標を求め、基準点Aの対応点A´を走行面に射影し点A1´の座標を求める。同様に、制御部12は、測定点Bを走行面に射影し点B1の座標を求め、測定点Bの対応点B´を射影平面に射影し点B1´の座標を求める。続いて、制御部12は、基準点A1とその対応点A1´との距離D1、測定点Bとその対応点B1´との距離D2を求める。
【0027】
図6は、距離D1、距離D2およびカメラ11の高さHを用いて、測定点Bの高さを求める例を示す図である。制御部12は、基準点A1がその対応点A1´まで移動した移動距離D1と等しくなるような測定点Bの高さhを求める。具体的には、下記の式(1)によって高さhを計算する。なお、ここで求められる高さhは、測定点Bを含む領域を代表する高さである。
h=H×(1−D1/D2)・・・(1)
【0028】
制御部12は、すべての測定点に対して上記の計算を行うことにより、すべての測定点の高さを求める。本実施の形態において、「高さ」は、走行面を基準とした高さである。走行面より上に突出している場合には高さはプラスの値で表され、例えば、窪みなどのように、走行面より下に低くなっている場合には、高さはマイナスの値で表わされる。上記式(1)による計算により、図7に示すように、走行面より低くなっている段差も適切に検出できる。
【0029】
本実施の形態では、制御部12は、基準点の移動距離D1として、10個ある基準点の移動距離の平均を用いる。これにより、対応点の算出誤差や、走行面でないところに基準点を設定したこと等に起因する誤差を低減し、安定した測定結果を得ることができる。
【0030】
制御部12は、算出した測定点の高さのデータに基づいて、段差を検知する。制御部12は、例えば、算出したすべての測定点の高さの絶対値と所定の閾値とを比較し、一つでも閾値以上の測定点がある場合に、段差があると判定することができる。所定の閾値には、電動車いす20の利用者にとって危険な高さを設定することができる。例えば、10cmの段差が危険である場合には、閾値として10cmを用いる。この値は、製造時に段差検知装置10に設定しておいてもよいし、ユーザが設定することとしてもよい。なお、本実施の形態では、走行面より高くなっている場合にも低くなっている場合にも、同じ閾値を用いて段差を検出しているが、走行面より高いか低いかによって段差を判定する閾値を変えてもよい。
【0031】
制御部12は、段差があることを検知したときには、段差があることを示す信号をスピーカ13に対して出力する。スピーカ13は、制御部12からこの信号を受信したときに、警報音を出力する。警報音は、所定時間(例えば、2秒)、継続して出力することとしてもよい。
【0032】
図8は、本実施の形態の段差検知装置10の動作を示す図である。段差検知装置10は、図8に示す動作を繰り返し行うことにより、電動車いす20の前方周辺に段差がある場合に、段差を検知する。
【0033】
段差検知装置10は、第1の時刻tに画像を取得し、その画像に基準点と測定点を設定する(S10)。続いて、段差検知装置10は、Δt秒後の第2の時刻t+Δtに画像を取得し、先に設定した基準点、測定点に対応する対応点を求める(S12)。
【0034】
次に、段差検知装置10は、第1の時刻tに取得した画像中の基準点および測定点と、第2の時刻t+Δtに取得した画像中の基準点の対応点および測定点の対応点を、走行面と同じ高さの射影平面に射影し、その座標を求める(S14)。続いて、段差検知装置10は、射影平面上における基準点とその対応点との距離、測定点とその対応点との距離を求める(S16)。ここで求めた距離は、時刻tから時刻t+Δtの間に、基準点および測定点が射影平面上で移動した距離である。段差検知装置10は、複数の基準点について求めた距離の平均値を求める(S18)。
【0035】
次に、段差検知装置10は、基準点の平均移動距離と、測定点の移動距離と、カメラ11の高さのデータ17を用いて、それぞれの測定点の高さを求める(S20)。段差検知装置10は、求めた測定点の高さに基づいて、段差があるか否かを判定し、段差を検知した場合には(S22でYES)、段差があることを知らせる警報音をスピーカ13から出力する(S24)。段差がないと判定した場合には(S22でNO)、時刻tおよび時刻t+Δtに取得した画像を使った処理を終了する。
【0036】
本実施の形態の段差検知装置10は、測定点の移動距離と基準点の移動距離とを用いて段差を検知するので、走行面より高くなっている段差のみならず、走行面より低くなっている段差をも検知することができる。
【0037】
また、本実施の形態の段差検知装置10は、一台のカメラ11で撮影した画像を用いて段差を検知することができるので、キャリブレーションが容易であるとともに、装置の製造コストを抑制できる。
【0038】
また、本実施の形態では、画像処理のみで段差を検知しており、電動車いす20の移動量のデータを用いていないので、簡易な構成で装置を実現できるとともに、移動量を検知する機能を有していない電動車いす20にも、取り付けるたけですぐに利用できる。
【0039】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態の段差検知装置10aを備えた電動車いす20について説明する。第2の実施の形態の電動車いす20の基本的な構成は、第1の実施の形態と同じである(図1参照)。第2の実施の形態の段差検知装置10aは、電動車いす20の車輪の駆動制御部22と連動しており、段差を検知したときに電動車いす20を自動停止する。
【0040】
図9は、第2の実施の形態の段差検知装置10aおよび電動車いす20の構成を示す図である。ここでは、第1の実施の形態の段差検知装置10と相違する構成を中心に説明する。第2の実施の形態の段差検知装置10aは、通信インターフェース18を備えており、電動車いす20の通信インターフェース21と接続されている。
【0041】
段差検知装置10aの制御部12は、第1の実施の形態と同様に、第1の時刻と第2の時刻の画像から段差を検知する処理を行う。制御部12は、段差を検知すると、段差があることを示す信号をスピーカ13に送信すると共に、通信インターフェース18を通じて電動車いす20に送信する。電動車いす20は、段差検知装置10aから段差があることを示す信号を受信すると、駆動制御部22にて、車輪の駆動を停止する。
【0042】
図10は、第2の実施の形態の段差検知装置10aを備えた電動車いす20の動作を示す図である。第2の実施の形態の段差検知装置10aによって段差を検知する動作は、第1の実施の形態と同じである(S10〜S22)。第2の実施の形態の段差検知装置10aは、段差を検知したときに(S22でYES)、スピーカ13から警報音を出力すると共に、電動車いす20を自動停止する(S26)。
【0043】
第2の実施の形態の段差検知装置10aを備えた電動車いす20は、段差を検知したときに自動的に停止するので、安全性を高めることができる。また、第2の実施の形態の段差検知装置10aは、第1の実施の形態と同様に、走行面より低くなっている段差をも検知することができる、キャリブレーションが容易であるとともに、簡易な構成で装置を実現できる等の効果を有する。
【0044】
本実施の形態では、段差を検知したときに電動車いす20を自動停止する例について説明したが、電動車いす20は、段差を回避するように制御してもよい。具体的には、段差検知装置10aが段差を検知したときに段差がない方向も検知し、電動車いす20に、段差があることを示す信号と共に段差のない方向を示す信号を送信する。電動車いす20の駆動制御部22は、段差検知装置10aから通知された方向へ進行方向を変えるようにステアリング機能を有する車輪に指示信号を出す。なお、段差を検知したときに、電動車いす20を自動停止するか方向変換するかのモードを選択できるようにしてもよい。他の車両や歩行者がいる公道において意図せぬ方向へ移動すると危険な場合もあるが、モードを選択できるようにすることにより、例えば、公道では自動停止し、庭や屋内では自動で方向変換するというように使い分けることができる。
【0045】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態の段差検知装置を備えた電動車いす20について説明する。第3の実施の形態の電動車いす20の基本的な構成は、第2の実施の形態と同じである(図1、図9参照)。第3の実施の形態の段差検知装置は、段差の高さだけではなく、段差までの距離に基づいて段差を検知する機能を有する。
【0046】
図11は、第3の実施の形態の段差検知装置を備えた電動車いす20の動作を示す図である。第3の実施の形態の段差検知装置によって、測定点の高さを求めるまでの動作は、第1の実施の形態および第2の実施の形態と同じである(S10〜S20)。第3の実施の形態の段差検知装置は、測定点の高さを求めた後、高さの絶対値が所定の閾値より大きい測定点(以下、「段差候補」という)があるか否かを判定する(S28)。段差候補がない場合には(S28でNO)、段差検知装置は、時刻tおよび時刻t+Δtに取得した画像を使った処理を終了する。
【0047】
段差候補がある場合には(S28でYES)、その測定点までの距離を求める(S30)。具体的には、距離を求めるべき測定点を、その測定点の高さhと同じ高さの平面に射影し、射影された測定点までの距離を求める(図6も参照)。次に、段差検知装置は、走行の障害になる可能性のある段差があるか否かを判定する(S32)。具体的には、段差検知装置は、段差候補までの距離と所定の閾値とを比較し、段差候補までの距離が所定の閾値以下の場合には、段差があると判定する。
【0048】
段差検知装置は、段差がないと判定した場合には(S32でNO)、時刻tおよび時刻t+Δtに取得した画像を使った処理を終了する。段差検知装置は、段差を検知した場合には(S32でYES)、スピーカ13から警報音を出力すると共に、電動車いす20を自動停止する(S34)。
【0049】
第3の実施の形態の段差検知装置は、段差候補までの距離が所定の閾値以下となった場合に段差があると判定し、段差候補が所定の閾値より離れている場合には段差を検知しない。すなわち、電動車いす20から遠くに離れていて、走行の障害にならない段差については、警報を出力したり、自動停止を行なわない。これにより、段差があっても危険でない場合には、電動車いす20の円滑な走行の妨げにならないようにすることができる。
【0050】
また、第3の実施の形態の段差検知装置は、上記した実施の形態と同様に、走行面より低くなっている段差をも検知することができる、キャリブレーションが容易であるとともに、簡易な構成で実現できる等の効果を有する。
【0051】
以上、本発明の段差検知装置およびこれを備えた電動車両について、実施の形態を挙げて詳細に説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではない。
【0052】
上記した実施の形態では、電動車いす20の前方周辺を撮影するような位置にカメラ11を取り付ける例について説明したが、後方にも進行することが多い電動車両の場合には、電動車両の後方にカメラ11を取り付けてもよい。これにより、前方に取り付けた場合と全く同様に、段差を検知することが可能である。
【0053】
上記した第3の実施の形態では、段差候補までの距離が所定の閾値以上の場合に段差があることを検知したが、この判定に用いる所定の閾値は、設定により、あるいは、電動車いす20の走行速度により可変としてもよい。例えば、電動車いす20の走行速度が大きい場合には、電動車いす20の走行速度が小さい場合より、所定の閾値を大きくしてもよい。これにより、速度に応じて、走行の障害になり得る段差を適切に検知することができる。
【0054】
また、段差候補までの距離に加えて、その段差候補の方向のデータを用いて、段差を検知してもよい。具体的には、段差候補が、電動車いす20の進行方向に対して、所定の角度以上外れている場合には、たとえ距離が短くとも段差として検知しないこととしてもよい。これにより、走行の障害になり得る段差を適切に検知することができる。
【0055】
以下に、上記に説明した実施の形態の構成について、総括する。
(1)実施の形態の段差検知装置は、電動車両に搭載して用いられる段差検知装置であって、電動車両の周辺を撮影するカメラと、電動車両の走行面からカメラまでの高さのデータを記憶する記憶部と、前記カメラにて撮影した画像に基づいて、画像に映った領域内にある段差を検知する制御部とを備え、前記制御部は、第1の時刻に前記カメラにて撮影した画像に、高さの測定対象となる測定点を設定すると共に、測定点よりも手前に基準点を設定し、第2の時刻に前記カメラにて撮影した画像の中から前記基準点の対応点と前記測定点の対応点を求め、前記記憶部に記憶されたカメラの高さのデータに基づいて、前記基準点、前記測定点、前記基準点の対応点、前記測定点の対応点を、前記走行面と同じ高さの平面に射影し、前記射影平面上における前記基準点とその対応点との距離、および、前記測定点とその対応点との距離を求め、前記各距離から、前記測定点の高さを算出し、前記測定点の高さに基づいて段差を検知し、段差を検知したときに、段差があることを示す信号を出力する。
【0056】
実施の形態の段差検知装置は、走行面と同じ高さの平面上に射影した測定点の移動距離と基準点の移動距離とを用いて段差を検知するので、走行面より高くなっている段差のみならず、走行面より低くなっている段差をも検知することができる。また、一台のカメラで撮影した画像を用いて段差を検知することができるので、キャリブレーションが容易であるとともに、簡易な構成の装置とすることができる。
【0057】
(2)前記制御部は、前記カメラの高さをH、前記基準点とその対応点との距離をD1、測定点とその対応点の距離をD2として、測定点の高さhを、h=H×(1−D1/D2)によって求めてもよい。この式により、測定点の高さhを容易に求めることができる。
【0058】
(3)前記制御部は、複数の基準点を設定し、複数の基準点と当該複数の基準点に対応する各対応点との距離の平均値を用いて前記測定点の高さを算出してもよい。複数の基準点の平均値を用いることにより、基準点に対応する対応点の算出誤差や、設定した基準点が走行面上にないことに起因する誤差等の影響を低減し、測定点の高さを精度良く求めることができる。
【0059】
(4)前記制御部は、高さの絶対値が所定の閾値以上である測定点があったときに段差があると検知してもよい。これにより、測定点の高さのデータから段差を検知することができる。
【0060】
(5)前記制御部は、画像上の測定点をその測定点の高さの平面に射影することにより、高さの絶対値が前記所定の閾値以上の測定点までの距離を求め、前記測定点までの距離が所定の閾値以下になったときに段差があると検知し、前記測定点までの距離が所定の閾値以下でないときには段差を検知しないこととしてもよい。これにより、電動車両から遠くに離れていて、走行の障害にならない場所については段差を検知せず、円滑な走行の妨げにならないようにできる。
【0061】
(6)前記制御部から出力された段差があることを示す信号を受けたときに、段差があることを音声出力する音声出力部を備えてもよい。これにより、段差があることをユーザに知らせることができる。
【0062】
(7)実施の形態にかかる電動車いすなどの電動車両は、上記に記載した段差検知装置を備える。上記の段差検知装置を備えることにより、適切に段差を検知できるので、電動車両の安全性を高めることができる。
【0063】
(8)上記電動車両において、前記カメラが、前記電動車両の進行方向を撮影すると共に、電動車両の車輪の少なくとも一部を撮影する角度で取り付けられていてもよい。このような角度でカメラを取り付けることにより、撮影画像の下方の領域には走行面が入るので、撮影画像の下方に基準点を設定するだけで、走行面が映る部分に基準点を設定することができる。
【0064】
(9)上記電動車両において、前記カメラが、前記電動車両の車輪が接地する位置を撮影範囲に含むような角度で取り付けられていてもよい。電動車両の車輪が接地する位置は走行面なので、この角度でカメラを取り付けることにより、確実に撮影範囲内に走行面を含めることができる。
【0065】
(10)上記電動車両において、前記制御部の出力は、車輪を駆動する駆動制御部に入力され、前記駆動制御部は、段差があることを示す信号が入力されたときに、前記車輪の駆動を停止する、あるいは、前記段差を回避するように駆動してもよい。この構成により、段差があるときに電動車両を停止し、または、段差を回避することにより転倒等の危険を未然に防止できる。
【0066】
(11)実施の形態のプログラムは、段差を検知するためのプログラムであって、周辺を撮影するカメラを有する電動車両に搭載して用いられるコンピュータに、電動車両の周辺の第1の時刻における画像を入力するステップと、電動車両の周辺の第2の時刻における画像を入力するステップと、前記第1の時刻における画像に、高さの測定対象となる測定点を設定すると共に、測定点よりも手前に基準点を設定するステップと、前記第2の時刻における画像の中から前記基準点の対応点と前記測定点の対応点を求めるステップと、記憶部から電動車両の走行面からカメラまでの高さのデータを読み出すステップと、前記カメラの高さのデータに基づいて、前記基準点、前記測定点、前記基準点の対応点、前記測定点の対応点を走行面と同じ高さの平面に射影するステップと、射影平面上における前記基準点とその対応点との距離、および、前記測定点とその対応点との距離を求めるステップと、前記各距離から、前記測定点の高さを算出するステップと、前記測定点の高さに基づいて段差を検知するステップと、段差を検知したときに、段差があることを示す信号を出力するステップとを実行させる。
【0067】
この構成により、上記した段差検知装置と同様に、簡易な構成によって、適切に段差を検知することができると共に、キャリブレーションが容易である。
【0068】
(12)実施の形態の段差検知方法は、電動車両に搭載して用いられる段差検知装置によって、段差を検知する方法であって、前記段差検知装置が、電動車両の周辺を撮影するカメラにて第1の時刻に撮影した画像を入力するステップと、前記段差検知装置が、前記カメラにて第2の時刻に撮影した画像を入力するステップと、前記段差検知装置が、前記第1の時刻における画像に、高さの測定対象となる測定点を設定すると共に、測定点よりも手前に基準点を設定するステップと、前記段差検知装置が、前記第2の時刻における画像の中から前記基準点の対応点と前記測定点の対応点を求めるステップと、前記段差検知装置が、記憶部から電動車両の走行面からカメラまでの高さのデータを読み出すステップと、前記段差検知装置が、前記カメラの高さのデータに基づいて、前記基準点、前記測定点、前記基準点の対応点、前記測定点の対応点を走行面と同じ高さの平面に射影するステップと、前記段差検知装置が、射影平面上における前記基準点とその対応点との距離、および、前記測定点とその対応点との距離を求めるステップと、前記段差検知装置が、前記各距離から、前記測定点の高さを算出するステップと、前記段差検知装置が、前記測定点の高さに基づいて段差を検知するステップと、前記段差検知装置が、段差を検知したときに、段差があることを示す信号を出力するステップとを備える。
【0069】
この構成により、上記した段差検知装置と同様に、簡易な構成によって、適切に段差を検知することができると共に、キャリブレーションが容易である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上説明したように、本発明は、簡易な構成によって適切に段差を検知できるという効果を有し、例えば、電動車いすやシニアカー等の電動車両に有用である。
【符号の説明】
【0071】
10 段差検知装置
11 カメラ
12 制御部
13 スピーカ
14 入力部
15 メモリ
16 プログラム
17 カメラの高さデータ
18 通信インターフェース
20 電動車いす
21 通信インターフェース
22 駆動制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両に搭載して用いられる段差検知装置であって、
電動車両の周辺を撮影するカメラと、
電動車両の走行面からカメラまでの高さのデータを記憶する記憶部と、
前記カメラにて撮影した画像に基づいて、画像に映った領域内にある段差を検知する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
第1の時刻に前記カメラにて撮影した画像に、高さの測定対象となる測定点を設定すると共に、測定点よりも手前に基準点を設定し、
第2の時刻に前記カメラにて撮影した画像の中から前記基準点の対応点と前記測定点の対応点を求め、
前記記憶部に記憶されたカメラの高さのデータに基づいて、前記基準点、前記測定点、前記基準点の対応点、前記測定点の対応点を、前記走行面と同じ高さの平面に射影し、
前記射影平面上における前記基準点とその対応点との距離、および、前記測定点とその対応点との距離を求め、
前記各距離から、前記測定点の高さを算出し、
前記測定点の高さに基づいて段差を検知し、
段差を検知したときに、段差があることを示す信号を出力する段差検知装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記カメラの高さをH、前記基準点とその対応点との距離をD1、測定点とその対応点の距離をD2として、測定点の高さhを、
h=H×(1−D1/D2)
によって求める請求項1に記載の段差検知装置。
【請求項3】
前記制御部は、複数の基準点を設定し、複数の基準点と当該複数の基準点に対応する各対応点との距離の平均値を用いて前記測定点の高さを算出する請求項1または2に記載の段差検知装置。
【請求項4】
前記制御部は、高さの絶対値が所定の閾値以上である測定点があったときに、段差があると検知する請求項1〜3のいずれかに記載の段差検知装置。
【請求項5】
前記制御部は、画像上の測定点をその測定点の高さの平面に射影することにより、高さの絶対値が前記所定の閾値以上の測定点までの距離を求め、
前記測定点までの距離が所定の閾値以下になったときに段差があると検知し、前記測定点までの距離が所定の閾値以下でないときには段差を検知しない請求項4に記載の段差検知装置。
【請求項6】
前記制御部から出力された段差があることを示す信号を受けたときに、段差があることを音声出力する音声出力部を備える請求項1〜5のいずれかに記載の段差検知装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の段差検知装置を備える電動車両。
【請求項8】
前記カメラが、前記電動車両の進行方向を撮影すると共に、電動車両の車輪の少なくとも一部を撮影する角度で取り付けられている請求項7に記載の電動車両。
【請求項9】
前記カメラが、前記電動車両の車輪が接地する位置を撮影範囲に含むような角度で取り付けられている請求項7に記載の電動車両。
【請求項10】
前記制御部の出力は、車輪を駆動する駆動制御部に入力され、
前記駆動制御部は、段差があることを示す信号が入力されたときに、前記車輪の駆動を停止する、あるいは、前記段差を回避するように駆動する請求項7〜9のいずれかに記載の電動車両。
【請求項11】
段差を検知するためのプログラムであって、周辺を撮影するカメラを有する電動車両に搭載されて用いられるコンピュータに、
電動車両の周辺の第1の時刻における画像を入力するステップと、
電動車両の周辺の第2の時刻における画像を入力するステップと、
前記第1の時刻における画像に、高さの測定対象となる測定点を設定すると共に、測定点よりも手前に基準点を設定するステップと、
前記第2の時刻における画像の中から前記基準点の対応点と前記測定点の対応点を求めるステップと、
記憶部から電動車両の走行面からカメラまでの高さのデータを読み出すステップと、
前記カメラの高さのデータに基づいて、前記基準点、前記測定点、前記基準点の対応点、前記測定点の対応点を走行面と同じ高さの平面に射影するステップと、
射影平面上における前記基準点とその対応点との距離、および、前記測定点とその対応点との距離を求めるステップと、
前記各距離から、前記測定点の高さを算出するステップと、
前記測定点の高さに基づいて段差を検知するステップと、
段差を検知したときに、段差があることを示す信号を出力するステップと、
を実行させるプログラム。
【請求項12】
電動車両に搭載して用いられる段差検知装置によって、段差を検知する方法であって、
前記段差検知装置が、電動車両の周辺を撮影するカメラにて第1の時刻に撮影した画像を入力するステップと、
前記段差検知装置が、前記カメラにて第2の時刻に撮影した画像を入力するステップと、
前記段差検知装置が、前記第1の時刻における画像に、高さの測定対象となる測定点を設定すると共に、測定点よりも手前に基準点を設定するステップと、
前記段差検知装置が、前記第2の時刻における画像の中から前記基準点の対応点と前記測定点の対応点を求めるステップと、
前記段差検知装置が、記憶部から電動車両の走行面からカメラまでの高さのデータを読み出すステップと、
前記段差検知装置が、前記カメラの高さのデータに基づいて、前記基準点、前記測定点、前記基準点の対応点、前記測定点の対応点を走行面と同じ高さの平面に射影するステップと、
前記段差検知装置が、射影平面上における前記基準点とその対応点との距離、および、前記測定点とその対応点との距離を求めるステップと、
前記段差検知装置が、前記各距離から、前記測定点の高さを算出するステップと、
前記段差検知装置が、前記測定点の高さに基づいて段差を検知するステップと、
前記段差検知装置が、段差を検知したときに、段差があることを示す信号を出力するステップと、
を備える段差検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−177334(P2011−177334A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43939(P2010−43939)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(504190548)国立大学法人埼玉大学 (292)